IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パイロットインキ株式会社の特許一覧 ▶ 東日本旅客鉄道株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-難燃性変色体 図1
  • 特許-難燃性変色体 図2
  • 特許-難燃性変色体 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】難燃性変色体
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/24 20060101AFI20220606BHJP
   D06M 13/292 20060101ALI20220606BHJP
   D06M 15/263 20060101ALI20220606BHJP
   D06M 15/564 20060101ALI20220606BHJP
   D06M 11/79 20060101ALI20220606BHJP
   D06M 23/08 20060101ALI20220606BHJP
   A47C 31/02 20060101ALI20220606BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20220606BHJP
【FI】
B32B5/24 101
D06M13/292
D06M15/263
D06M15/564
D06M11/79
D06M23/08
A47C31/02 J
B60N2/90
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018128205
(22)【出願日】2018-07-05
(65)【公開番号】P2020006544
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000111890
【氏名又は名称】パイロットインキ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】中島 明雄
(72)【発明者】
【氏名】中谷 興司
(72)【発明者】
【氏名】石田 拓司
(72)【発明者】
【氏名】坂本 圭司
【審査官】荒木 英則
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-077764(JP,A)
【文献】特開2010-007204(JP,A)
【文献】特開2007-092188(JP,A)
【文献】特開2005-287744(JP,A)
【文献】特開昭61-245371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B
D06M 13/292
D06M 15/263
D06M 15/564
D06M 11/79
D06M 23/08
A47C 31/02
B60N 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目付量が100g/m以上の難燃性布帛である基材と、
低屈折率顔料とバインダー樹脂とを含んでなる多孔質層と、
前記基材と前記多孔質層の間に、着色剤と難燃剤とバインダー樹脂とを含んでなる着色層と
を具備してなる、難燃性変色体。
【請求項2】
前記着色層の総質量に対する、前記難燃剤の質量の比率が、5~50質量%である、請求項1に記載の変色体。
【請求項3】
前記多孔質層が、難燃剤を含まない、請求項1または2に記載の変色体。
【請求項4】
前記多孔質層が、難燃剤を含んでなる、請求項1または2に記載の変色体。
【請求項5】
前記多孔質層の総質量に対する、前記難燃剤の質量の比率が、3~30質量%である、請求項4に記載の変色体。
【請求項6】
前記着色層に含まれる難燃剤の総質量に対する、前記多孔質層に含まれる難燃剤の総質量の比率が、10~90質量%である、請求項4または5に記載の変色体。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載の変色体と、
前記変色体の上に、難燃性布帛と
を具備してなり、表面から前記変色体の一部が視認可能である、難燃性変色複合体。
【請求項8】
目付量が100g/m 以上の不燃性布帛である基材と、低屈折率顔料とバインダー樹脂とを含んでなる多孔質層と、を具備してなる、難燃性変色体と、
前記変色体の上に、難燃性布帛と
を具備してなり、表面から前記変色体の一部が視認可能である、難燃性変色複合体。
【請求項9】
前記多孔質層が、難燃剤を含まない、請求項8に記載の難燃性変色複合体。
【請求項10】
前記多孔質層が、難燃剤を含んでなる、請求項8に記載の難燃性変色複合体。
【請求項11】
前記多孔質層の総質量に対する、前記難燃剤の質量の比率が、3~30質量%である、請求項10に記載の難燃性変色複合体。
【請求項12】
請求項7~11に記載の難燃性変色複合体を具備してなる、車両用座席シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性変色体に関するものである。さらには、水等の付着により変色する難燃性変色体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、基材と、低屈折率顔料をバインダー樹脂と共に分散状態に固着させた多孔質層とを具備してなる変色体が開示されている。多孔質層が水等の吸液により透明化するため、乾燥状態での隠蔽性と吸液状態での透明性とにより、繰り返し色変化を楽しむことができるものである(例えば、特許文献1)。
【0003】
このような変色性積層体は、玩具用途に用いられることがある。日本においては、玩具安全マーク(STマーク)制度を設けている。この玩具安全マークを得るためには、所定の難燃性評価を満たすことが求められる。具体的には、燃焼に要する時間が規定時間以上となるようなことが求められる。
これに対して、カーテン、カーペット、寝具、車両用座席シート等の布帛については、より高い安全性が求められている。これらの繊維製品毎に試験法が定められ、難燃性レベルが、基本的に繊維製品に着火しても火災拡大に至らず自然鎮火するレベルに規制されており、玩具などに比較すると、より厳しい安全基準が設けられている。これに対して、変色性積層体は、有機樹脂材料を含むため、難燃性を付与することが難しく、変色積層体を車両用座席シートなどに用いる布帛に適用して高いレベルの難燃性を達成することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-198271号公報
【文献】特開2017-77764号公報
【文献】特開2017-87579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような背景に鑑み、水等の付着により色変化を視認することができ、高いレベルの難燃性を満たすことができる変色体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による難燃性変色体は、
目付量が100g/m以上の難燃性布帛である基材と、
低屈折率顔料とバインダー樹脂とを含んでなる多孔質層と、
前記基材と前記多孔質層の間に、着色剤と難燃剤とバインダー樹脂とを含んでなる着色層と
を具備してなることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明による難燃性変色体は、
目付量が100g/m以上の不燃性布帛である基材と、
低屈折率顔料とバインダー樹脂とを含んでなる多孔質層と、
を具備してなることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明による難燃性変色複合体は、
上記の変色体と、
前記変色体の上に、難燃性布帛と
を具備してなり、表面から前記変色体の一部が視認可能であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、水等の付着により色変化を視認することができ、高いレベルの難燃性を満たす変色体を提供するものである。また、吸液と乾燥を行うことにより、色変化を繰り返し行った際にも、色変化を視認することができる。高い難燃性レベルが要求される分野への応用性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による、基材と着色層と多孔質層とを具備してなる難燃性変色体の一実施例の断面図である。
図2】本発明による、基材と多孔質層とを具備してなる難燃性変色体の一実施例の断面図である。
図3】本発明による難燃性変色複合体の一実施例の平面図(a)と、(a)のb-b線における断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本明細書において、配合を示す「部」、「%」、「比」などは特に断らない限り質量基準である。
【0012】
<難燃性変色体>
本発明による難燃性変色体(以下、変色体ということがある)は、基材と多孔質層とが、または基材と着色層と多孔質層とが、積層された構造を有している。図1は、本発明の実施形態による、基材11と着色層12と多孔質層13とを具備してなる難燃性変色体10の断面図である。図2は、本発明の実施形態による、基材21と多孔質層22とを具備してなる難燃性変色体20の断面図である。
【0013】
ここで、多孔質層は、基材の表面全体に形成することができるが、製造を容易にするため、あるいは変色体によって表現できる画像や文字をデザインするために、基材表面の一部に形成することもできる。本発明においては、「変色体」とは、基材および多孔質層(または基材、着色層および多孔質層)が積層された構造を有するものを意味する。そして、多孔質層が基材表面の一部に形成されている場合には、基材および多孔質層(または基材、着色層および多孔質層)が積層された構造を有する部分を変色体と定義する。ただし、この場合には「変色体」とそれ以外の部分とが基材を介して一体化されているので、便宜的に積層構造を有していない部分を含めて「変色体」と称することがある。
【0014】
<基材>
基材は、難燃性布帛であり、印刷適性を備えたものであれば特に限定されない。変色体に着火して溶融または燃焼した際の基材による燃焼抑制効果を発現させるため、本発明に用いられる難燃性布帛の目付量は、100g/m以上であり、好ましくは、200g/m以上である。
同様に、変色体に着火して溶融または燃焼した際の基材による燃焼抑制効果をより改善するため、本発明による変色体の総質量に対する、基材の質量の比率が、50~99質量%であることが好ましく、より好ましくは65~99質量%、さらに好ましくは75~95質量%である。
また、難燃性布帛の表面形状としては平面状のものが好ましいが、凹凸状の形態であってもよい。
【0015】
ここで、本発明において、難燃性布帛とは、国土交通省による鉄道車両用材料の燃焼性規格における燃焼性判定基準で、難燃性、極難燃性、および不燃性に区分されるものをいうこととする。不燃性布帛とは、上記基準で、不燃性に区分されるものをいうこととする。
また、繊維の難燃化技術には、主に、ポリマーの合成段階で主鎖中に共重合させる共重合法、難燃剤を紡糸段階等にポリマーに練り込むブレンド法、仕上加工時等に難燃剤を付与する後加工法が挙げられるが、本発明では、どの方法で難燃化されていてもよい。
【0016】
不燃性布帛としては、例えばガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維アスベスト、アスベストからなる織物、編み物、不織布等が挙げられる。不燃性布帛を除く、難燃性布帛としては、例えばアラミド繊維、ノボロイド繊維、ポリアミドイミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリベンゾイミゾール繊維、フッ素繊維、防炎レーヨン、モダアクリル、難燃アクリル、難燃ポリエステル、ポリクラール、アラミド繊維、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンからなる織物、編み物、不織布等が挙げられる。
【0017】
<多孔質層>
多孔質層は、低屈折率顔料とバインダー樹脂を含んでなり、低屈率顔料がバインダー樹脂を介して分散状態で固着されている。この層は、乾燥状態と吸液状態で透明性が異なる層である。
【0018】
低屈折率顔料としては、珪酸及びその塩、バライト粉、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、クレー、タルク、アルミナホワイト、炭酸マグネシウム等が挙げられる。これらは屈折率が1.4~1.8の範囲にあり、水を吸液すると良好な透明性を示すものである。珪酸塩としては、珪酸アルミニウム、珪酸アルミニウムカリウム、珪酸アルミニウムナトリウム、珪酸アルミニウムカルシウム、珪酸カリウム、珪酸カルシウム、珪酸カルシウムナトリウム、珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、珪酸マグネシウムカリウム等が挙げられる。
低屈折率顔料は二種以上を併用することもできる。
低屈折率顔料のサイズは特に限定されるものではないが、平均粒子径が0.03~10.0μmのものが好適に用いられる。平均粒子径は、コールターカウンター法、レーザー回折法によって測定することができる。このとき、適切な標準試料の粒子径を基準とした検量線を作成し、それに基づいて平均粒子径を特定することが好ましい。
【0019】
これらの低屈折顔料のうち、好ましくは、珪酸である。
珪酸は非晶質の無定形珪酸として製造され、その製造方法により、四塩化ケイ素等のハロゲン化ケイ素の熱分解等の気相反応を用いる乾式法によるもの(以下、乾式法珪酸ということがある)と、ケイ酸ナトリウム等の酸による分解等の液相反応を用いる湿式法によるもの(以下、湿式法珪酸という)とに大別される。本発明において、湿式法珪酸を用いる方が好ましい。
乾式法珪酸と湿式法珪酸とでは分子構造が異なる。乾式法珪酸は珪酸が密に結合した三次元構造を形成するのに対して、湿式法珪酸は、珪酸が縮合して長い分子配列を形成した、所謂、二次元構造部分を有している。従って、乾式法珪酸と比較して分子構造が粗になるため、湿式法珪酸を多孔質層に適用した場合、乾式法珪酸を用いる系と比較して乾燥状態における光の乱反射性に優れ、乾燥状態での隠蔽性が大きくなるものと推察される。
また、多孔質層は、水を吸液させるものであるから、湿式法珪酸は乾式法珪酸に比べて粒子表面にシラノール基として存在する水酸基が多く、親水性の度合いが大であり、好適に用いられる。
なお、多孔質層の乾燥状態での隠蔽性と吸液状態での透明性を調整するために、湿式法珪酸と共に、他の低屈折率顔料を併用することもできる。
【0020】
多孔質層中の低屈折率顔料は、平均粒子径、比表面積、吸油量等の性状に左右されるが、乾燥状態での隠蔽性と吸液状態での透明性を共に満足するためには、塗布量が1~30g/mであることが好ましく、より好ましくは、5~20g/mである。1g/m未満では、乾燥状態で十分な隠蔽性を得ることが困難であり、また、30g/mを越えると吸液時に十分な透明性を得ることが困難である。
【0021】
バインダー樹脂としては、有機系および無機系のいずれであってもよい。例えば、ウレタン系樹脂、ナイロン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、アクリルポリオール樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、スチレン-ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン共重合樹脂、メタクリル酸メチル-ブタジエン共重合樹脂、ブタジエン樹脂、クロロプレン樹脂、メラミン樹脂、及び前記各樹脂エマルジョン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、尿素樹脂、フェノール樹脂、ケイ素樹脂等が挙げられる。
多孔質層は、一般的な塗膜と比較して着色剤に対するバインダー樹脂の混合比率が小さいため、十分な皮膜強度が得られ難い。そこで、耐擦過強度を高めるために、前記のバインダー樹脂のうち、ナイロン樹脂又はウレタン系樹脂を用いると効果的である。
【0022】
ウレタン系樹脂としては、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂等があり、二種以上を併用することもできる。また、樹脂が水に乳化分散したウレタン系エマルジョン樹脂や、イオン性を有するウレタン樹脂(ウレタンアイオノマー)自体のイオン基により乳化剤を必要とすることなく自己乳化して、水中に溶解乃至分散したコロイド分散型(アイオノマー型)ウレタン樹脂を用いることもできる。なお、ウレタン系樹脂は水性ウレタン系樹脂又は油性ウレタン系樹脂のいずれを用いることもできるが、水性ウレタン系樹脂、殊に、ウレタン系エマルジョン樹脂やコロイド分散型ウレタン系樹脂が好適に用いられる。
【0023】
ウレタン系樹脂は単独で用いることもできるが、皮膜に必要とされる性能に応じて、他のバインダー樹脂を併用することもできる。ウレタン系樹脂以外のバインダー樹脂を併用する場合、実用的な皮膜強度を得るためには、多孔質層のバインダー樹脂中にウレタン系樹脂を固形分質量比率で30%以上含有させることが好ましい。
【0024】
バインダー樹脂において、架橋性のものは任意の架橋剤を添加して架橋させることにより、さらに皮膜強度を向上させることができる。
バインダー樹脂には、水との親和性に大小が存在するが、これらを組み合わせることにより、多孔質層中への浸透時間、浸透度合い、浸透後の乾燥の遅速を調整することができる。更には、適宜分散剤や界面活性剤を添加して調整をコントロールすることができる。
【0025】
低屈折率顔料とバインダー樹脂の混合比率は、低屈折率顔料の種類及び性状に左右されるが、好ましくは、低屈折率顔料1質量部に対してバインダー樹脂固形分0.5~2質量部であり、より好ましくは、0.8~1.5質量部である。低屈折率顔料1質量部に対してバインダー樹脂固形分が0.5質量部以上の場合には、多孔質層の実用的な皮膜強度を得ることができ、2質量部以下では、多孔質層内部への水の浸透性が損なわれにくくなる。
【0026】
難燃剤は乾燥状態と吸液状態で透明性を制御する多孔質層の変色機能に影響を与えてしまうため、難燃剤を多孔質層に添加するだけでは、十分な変色機能が達成できず、実用に耐える変色体を獲ることができなかった。すなわち、変色機能と難燃性とを両立することが困難であると考えられていた。すなわち、変色機能が重視される場合には多孔質層は難燃剤を含まないことが好ましいが、その場合には高い難燃性レベルは達成しがたかった。最外表面または最外表面に近い位置に存在する多孔質層は、成分として燃焼性の高い有機バインダーを含んでいるためである。ところが、本願発明者らの検討によれば、多孔質層に含まれる難燃剤の含有量が低くても、下地となる着色層の難燃剤含有量を相対的に高くしたり、下地として不燃性布帛を用いることで、予想を超えて高いレベルの難燃性を達成できることがわかった。
【0027】
難燃剤を含む場合に、難燃剤としては、リン化合物、臭素化合物、塩素化合物、金属酸化物、含窒素化合物、ホウ素化合物からなる群から選択される化合物が好ましい。より好ましくは、リン化合物である。具体的には、芳香族リン酸エステル単量体、芳香族リン酸エステル縮合体等が挙げられる。
【0028】
難燃剤を含む場合において、本発明による変色体が、着色層を具備する構成の場合、多孔質層の総質量に対する、難燃剤の質量の比率は、3~30質量%であることが好ましく、5~20質量%であることがより好ましい。着色層に含まれる難燃剤の総質量に対する、多孔質層に含まれる難燃剤の総質量の比率が、10~90%であることが好ましく、10~80%であることがより好ましい。
【0029】
難燃剤を含む場合において、本発明による変色体が、着色層を具備しない構成の場合、多孔質層の総質量に対する、難燃剤の質量の比率は、3~30質量%であることが好ましく、10~20質量%であることがより好ましい。
【0030】
また、多孔質層に着色剤を添加して着色したり、多孔質層上に着色剤を含む着色像を設けて複雑な様相変化を示す構成とすることもできる。着色剤としては、一般染料、一般顔料、蛍光染料、蛍光顔料、金属光沢顔料、可逆熱変色性組成物、可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、光変色性組成物、光変色性組成物を内包した光変色性マイクロカプセル顔料が挙げられる。蛍光染料、蛍光顔料等の蛍光性着色剤を用いると色変化の明瞭性に優れ、可逆熱変色性組成物、可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料等の熱変色性着色剤、光変色性着色剤、光変色性組成物、光変色性組成物を内包した光変色性マイクロカプセル顔料等の光変色性着色剤を用いると多彩な変化性を付与することができる。可逆熱変色性組成物としては、電子供与性呈色性有機化合物と電子受容性化合物と呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体の三成分を含む可逆熱変色性組成物が好適に用いられる。光変色性組成物としては、スピロオキサジン系化合物、スピロピラン系化合物、ジアリールエテン系化合物等のフォトクロミック化合物が好適に用いられる。
【0031】
<着色層>
基材と多孔質層の間には、着色層を設けることもできる。着色層は、着色剤と難燃剤とバインダー樹脂とを含んでなる。
【0032】
着色剤としては、一般染料、一般顔料、蛍光顔料、金属光沢顔料、可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が挙げられる。
【0033】
バインダー樹脂としては、有機系および無機系のいずれであってもよい。ウレタン系樹脂、ナイロン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、アクリルポリオール樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、スチレン-ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン共重合樹脂、メタクリル酸メチル-ブタジエン共重合樹脂、ブタジエン樹脂、クロロプレン樹脂、メラミン樹脂、及び前記各樹脂エマルジョン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、尿素樹脂、フェノール樹脂、ケイ素樹脂等が挙げられる。
【0034】
難燃剤としては、リン化合物、臭素化合物、塩素化合物、金属酸化物、含窒素化合物、ホウ素化合物からなる群から選択される化合物が好ましい。より好ましくは、リン化合物である。具体的には、芳香族リン酸エステル単量体、芳香族リン酸エステル縮合体等が挙げられる。
燃焼した際の燃焼抑制効果を発揮させるため、着色層の総質量に対する、難燃剤の質量の比率は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。また、塗膜強度、着色層と基材との密着性、変色体の耐久性などを維持するため、着色層の総質量に対する、難燃剤の質量の比率は、50質量%であることが好ましい。
【0035】
また、予め別の基材上に着色剤とバインダー樹脂を結合剤として含むビヒクル中に含有されたインキや塗料を塗布して転写層を設け、転写層を基材上に転写して着色層を設けることもできる。
なお、着色層は、色の異なる複数の着色剤を用いて多色の絵柄又は図柄とすることにより、着色層によるカラフルな柄を視認できるため、商品性を高めることができる。更に、基材が透明性を有する場合は、基材の裏面(多孔質層を設けていない面)に着色層を設けることもできる。
【0036】
<難燃性変色体の製造方法>
本発明による変色体の製造方法は、特に限定されるものではないが、以下のように製造することができる。
基材上に、低屈折率顔料と所望により難燃剤とがバインダー樹脂を結合剤として含むビヒクル中に分散された混合液が塗布され、揮発分を乾燥させて多孔質層を形成することができる。
変色体が着色層を具備する場合は、基材上に、バインダー樹脂と所望により難燃剤とがバインダー樹脂を結合剤として含むビヒクル中に分散された混合液が塗布され、揮発分を乾燥させて着色層を形成し、その上に、さらに上記のように多孔質層を形成することができる。
【0037】
多孔質層および着色層の塗布は、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等により行うことができる。
【0038】
<難燃性変色複合体>
本発明による難燃性変色複合体(以下、複合体ということがある)は、本発明による変色体と、難燃性布帛とを具備してなり、表面から変色体の一部が視認可能となった構造を有する。変色体と難燃性布帛との組み合わせ方は任意であり、円形やスリット状の開口部を有する難燃性布帛と変色体とを貼り合わせ、難燃性布帛の開口部から変色体を視認可能としたもの、難燃性布帛と変色体とをパッチワークのように接ぎ合わせたもの、難燃性布帛の表面に、小面積の変色体を配置して固定したものなどが挙げられる。このうち、開口部を有する難燃性布帛と変色体とを貼り合わせ、開口部から変色体を視認可能としたものが好ましい。
図3(a)および(b)は、本発明による実施形態による難燃性変色複合体の一例を説明するための図である。図3(a)は、本発明による変色体32と開口部31を有する難燃性布帛33とを具備してなる難燃性変色複合体30の平面図である。図3(b)は、(a)のb-b線における断面図である。
【0039】
このような態様によれば、開口部を有する布帛は、変色体上に位置するため、従来の多孔質層が表面に存在する変色体と比較して、擦過等による多孔質層の物理的な損傷や欠落等を防止することができ、耐久性を向上させることができる。また、開口部を有する布帛に適宜印刷や刺繍を施すことにより、装飾性を向上させることができる。
このような複合体では、多孔質層が乾燥状態においては、布帛の開口部を通して、多孔質層の下層の色が隠蔽された状態が視認される。そして、水が付着され、多孔質層が吸液状体になると、多孔質層は透明化して下層の色が視認されるのである。
【0040】
ここでの、難燃性布帛は、変色体に用いられている布帛と同じ素材であってもよいし、別の素材であってもよい。
開口部の形状は、変色体の色変化が視認できる程度であれば、特に制限されない。
開口部を有する布帛は、10cmあたり少なくとも1つ以上の開口部を有することが好ましく、より好ましくは2つ以上であり、さらに好ましくは3つ以上である。
【0041】
開口部を有する布帛と変色体とは、接着、縫製等により、固着させることもできるが、着脱自在に構成することもできる。着脱自在に構成する場合、変色対上に開口部を有する布帛を固定する固定手段を設けて、開口部が変色体からずれて色変化を視認できなくなることを防止することが好ましい。固定手段としては、例えば、ベルクロ、ボタン、クリップ、粘着テープを用いたり、支持体や別途設けた基材に布帛を挟み込んで圧着する方法が挙げられる。
【0042】
本発明による変色体や複合体の具体的な実施形態としては、例えば、高いレベルの難燃性が求められる、カーテン、カーペット、寝具、車両用座席シート等の布帛が挙げられる。特に、本発明による変色体または複合体を車両用座席シートに適用した場合は、水漏れの有無を目視によって容易に確認することができ、水漏れがあった場合に座席交換等の対処を速やかに行うことができる。
なお、従来からの用途である、ぬいぐるみ、人形、人形用ドレス等の人形用衣装、鞄等の人形用付属品、水鉄砲の標的、動物を模した模型、人間と人形の手形や足形等の形跡を現すボード等の玩具類、水筆シート等の教習具類、ドレス、水着等の衣類、靴類、鞄類、家具、造花等にも適用できる。さらに、各種インジケーターとして適用することもでき、例えば、配管、パイプ、水槽、タンク等の液洩れ検知、身の回り品や家具の水濡れ検知、禁水性薬品の輸送や保管場所での水濡れ検知、結露、使い捨ておむつの尿の検知、土壌中の水分検知等が挙げられる。さらには、雨天時には模様や着色が変化する傘、あるいは雨天時に表示が変わる戸外用横断幕、道路標識、または建造物の壁面なども挙げられる。
【0043】
以下に実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、実施例中の部は質量部を示す。
【0044】
<実施例1(多孔質層/難燃剤を含む着色層/難燃性布帛)>
基材は、防炎加工された白色のポリエステルツイル生地(目付量:220g/m)を用いた。
基材上に、ピンク色顔料〔商品名:サンダイスーパーピンクF5B-E、山陽色素株式会社製、固形分20%〕5部、アクリル酸エステルエマルジョン〔商品名:モビニール763、日本合成化学工業株式会社製、固形分48%〕50部、水性インキ増粘剤3部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.3部、エポキシ系架橋剤5部、リン系難燃剤15部〔商品名:ホスコンSP-1000、明成化学工業株式会社、固形分100%〕、水21.2部を均一に混合攪拌してなるピンク色の難燃剤インキ(固形分46.8%)を用いて150メッシュのスクリーン版にて全面にベタ印刷し、130℃で3分間乾燥硬化させてピンク色の着色層(塗布量:22g/m)を形成した。
着色層上に、湿式法微粉末シリカ〔商品名:ニップシールE-220、日本シリカ工業株式会社製〕15部、黄色顔料〔商品名:サンダイスーパーイエロー10GSN-E、山陽色素株式会社製、固形分20%〕1部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP-20、大日本インキ化学工業株式会社製、固形分30%〕45部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部、水31.5部を均一に攪拌混合して得た黄色スクリーン印刷用インキ(固形分31.0%)を用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて黄色の多孔質層(30g/m)を形成し、実施例1の難燃性変色体を得た。
実施例1の難燃性変色体において、着色層の総質量に対する、着色層中に含まれる難燃剤の質量の比率は32.0%であり、変色体の総質量に対する、基材の質量比率は80.9%であった。
【0045】
<実施例2(多孔質層/不燃性布帛)>
基材は、黒色のカーボン製不織布(目付量:140g/m)を用いた。
基材上に、実施例1で用いた黄色スクリーン印刷用インキにおいて、黄色顔料を含めずに水の含有量を22.2部に変更した以外は同じ組成である、白色スクリーン印刷用インキ(固形分30.8%)を用いて、実施例1と同様の方法で、白色の多孔質層(30g/m)を形成し、実施例2の難燃性変色体を得た。
実施例2の難燃性変色体において、変色体の総質量に対する、基材の質量比率は82.3%であった。
【0046】
<実施例3(多孔質層/難燃剤を含む着色層/不燃性布帛)>
基材として、白色のガラス系繊維からなる不燃性織物生地(目付量:400g/m)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の難燃性変色体を得た。
実施例3の難燃性変色体において、着色層の総質量に対する、難燃剤の質量の比率は32.0%であり、変色体の総質量に対する、基材の質量比率は88.5%であった。
【0047】
<実施例4(難燃剤を含む多孔質層/難燃剤を含む着色層/不燃性布帛)>
多孔質層形成時に、実施例1に記載の黄色スクリーン印刷用インキにおいて、リン系難燃剤5部〔商品名:ホスコンSP-1000、明成化学工業株式会社〕をさらに含み、水系インキ用増粘剤の含有量が2.5部、水の含有量が27.0部に変更された、難燃剤含有黄色スクリーン印刷用インキ(固形分35.8%)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして黄色の多孔質層(34g/m)を形成し、実施例4の難燃性変色体を得た。
実施例4の難燃性変色体において、着色層の総質量に対する、着色層中に含まれる難燃剤の質量の比率は32.0%であり、多孔質層の総質量に対する、多孔質層に含まれる難燃剤の質量の比率は、14.0%であり、着色層に含まれる難燃剤の全質量に対する、多孔質層に含まれる難燃剤の全質量比率は、67.4%であり、変色体の総質量に対する、基材の質量の比率は、87.7%であった。
【0048】
<実施例5(難燃剤を含む多孔質層/不燃性布帛)>
基材として、黒色のカーボン製不織布(目付量:140g/m)を用いた。
基材上に、実施例2に記載の白色スクリーン印刷用インキにリン系難燃剤5部〔商品名:ホスコンSP-1000、明成化学工業株式会社〕をさらに含み、水系インキ用増粘剤を2.5部、水の含有量を17.7部に変更した(固形分35.6%)ものを用いて、実施例2と同様の方法で、白色の多孔質層(34g/m)を形成し、実施例5の難燃性変色体を得た。
実施例5の難燃性変色体において、多孔質層の総質量に対する、多孔質層に含まれる難燃剤の質量の比率は、14.0%であり、変色体の総質量に対する、基材の質量比率は80.5%であった。
【0049】
<実施例6(難燃剤を含む多孔質層/難燃剤を含む着色層/不燃性布帛)>
多孔質層形成時に、実施例1に記載の黄色スクリーン印刷用インキにおいて、リン系難燃剤15部〔商品名:ホスコンSP-1000、明成化学工業株式会社〕をさらに含み、水系インキ用増粘剤の含有量が1.5部、水の含有量が18.0部に変更された、難燃剤含有黄色スクリーン印刷用インキ(固形分45.4%)を用いて黄色の多孔質層(43g/m)を形成したこと以外は、実施例4と同様にして、実施例6の難燃性変色体を得た。
実施例6の難燃性変色体において、着色層の総質量に対する、着色層中に含まれる難燃剤の質量の比率は32.0%であり、多孔質層の総質量に対する、多孔質層に含まれる難燃剤の質量の比率は、33.0%であり、着色層に含まれる難燃剤の全質量に対する、多孔質層に含まれる難燃剤の全質量比率は、100.0%であり、変色体の総質量に対する、基材の質量の比率は、86.0%であった。
【0050】
<比較例1(多孔質層/着色層/布帛)>
基材は、白色のT/Cブロード生地(目付量:130g/m)を用いた。
基材上に、ピンク色顔料〔商品名:サンダイスーパーピンクFBL、山陽色素株式会社製〕5部、アクリル酸エステルエマルジョン〔商品名:モビニール763、日本合成化学工業株式会社製、固形分48%〕50部、水性インキ増粘剤5部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.3部、エポキシ系架橋剤5部、水34.2を均一に混合攪拌してなるピンク色スクリーン印刷用インキを用いて、150メッシュのスクリーン版にて全面にベタ印刷し、130℃で3分間乾燥硬化させてピンク色の着色層(塗布量:15g/m)を形成した。
着色層上に、実施例1と同様に、多孔質層(30g/m)を形成させて、比較例1の変色体を得た。
【0051】
<比較例2(多孔質層/布帛)>
基材は、ピンク色のポリエステルサテン生地(目付量:130g/m)を用いた。
基材上に、実施例1と同様に、多孔質層(30g/m)を形成させて、比較例2の変色体を得た。
【0052】
<比較例3(多孔質層/着色層/難燃性布帛)>
着色層形成に、難燃剤含有ピンク色スクリーン印刷用インキに代えて、比較例1に記載のピンク色スクリーン印刷用インキを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3の変色体を得た。
【0053】
<比較例4(多孔質層/難燃性布帛)>
基材は、ピンク色の難燃性ポリエステルインターロック生地(目付量:250g/m)を用いた。
基材上に、実施例1と同様に、多孔質層(30g/m)を形成させて、比較例4の変色体を得た。
【0054】
<比較例5(多孔質層/難燃剤を含む着色層/難燃性布帛)>
基材は、防炎加工された白色のポリエステルタフタ生地(目付量:80g/m)を用いた。
基材上に、実施例1と同様にして、着色層と多孔質層とを形成し、比較例5の変色体を得た。
【0055】
得られた実施例1~6および比較例1~5の変色体を以下の方法で評価した。得られた結果は、表1に示す通りである。
【0056】
<難燃性評価>
国土交通省による鉄道車両用材料の燃焼性規格に準じた燃焼性試験を実施し、下記評価基準で、燃焼性を評価した。
A:上記規格によると難燃性に区分される。
B:上記規格によると緩燃性に区分される。
C:上記規格によると可燃性に区分され、焼失する試験片の面積が70%未満であった。
D:上記規格によると可燃性に区分され、焼失する試験片の面積が70%以上であった。
【0057】
<変色性評価>
得られた実施例1~6および比較例1~5の変色体を、乾燥状態での色と、筆を用いて水を付着させて、吸液状態での色を、目視により確認した。さらに、乾燥状態と吸液状態とを繰り返し、色変化を確認し、下記基準で評価した。
A:乾燥状態と吸液状態での色変化が明確に認識され、繰り返し色変化を再現することができた。
B:乾燥状態と吸液状態での色変化が認識され、繰り返し色変化を再現することができた。
C:乾燥状態と吸液状態での色変化が認識され難かった。
D:乾燥状態と吸液状態での色変化が認識されなかった。
【0058】
【表1】
表中、A~Bは、AとBとの中間の燃焼性を示したことを意味する。
なお、実施例2の難燃性変色体は、実施例5の難燃性変色体と比較して、より明瞭な色変化が確認された。実施例1および3の難燃性変色体は、実施例4の難燃性変色体と比較して、より明瞭な色変化が確認された。
【0059】
<車両用座席>
実施例3の難燃性変色体の上に、5mm×5mmの開口部を10mm間隔で有する難燃性布帛であるモケット生地を重ねて、縫製して、車両座席用カバーを得た。得られた車両用座席カバーを高反発のウレタンフォームに被せて車両用座席を得た。この車両用座席は、柔軟な風合いと質感有しており、水の付着による色変化を視認することができた。この座席は、繰り返し使用されても、多孔質層が保護されているため、物理的な損傷等を受けることが少なく、変色機能の永続性に優れていた。また、使用による汚損や有色液体の付着により多孔質層の色変化を視認することが困難になった場合でも、縫製で固着された難燃性変色体を交換することもできる。
その他の実施例の難燃性変色体についても、車両用座席に用いた場合に、本発明の効果が得られる。
【符号の説明】
【0060】
10 難燃性変色体
11 基材
12 着色層
13 多孔質層
20 難燃性変色体
21 基材
22 多孔質層
30 難燃性変色複合体
31 開口部
32 難燃性変色体
33 開口部を有する難燃性布帛
図1
図2
図3