IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローランドディー.ジー.株式会社の特許一覧

特許7083743プリントヘッド、プリンタ、および三次元造形装置
<>
  • 特許-プリントヘッド、プリンタ、および三次元造形装置 図1
  • 特許-プリントヘッド、プリンタ、および三次元造形装置 図2
  • 特許-プリントヘッド、プリンタ、および三次元造形装置 図3
  • 特許-プリントヘッド、プリンタ、および三次元造形装置 図4
  • 特許-プリントヘッド、プリンタ、および三次元造形装置 図5
  • 特許-プリントヘッド、プリンタ、および三次元造形装置 図6
  • 特許-プリントヘッド、プリンタ、および三次元造形装置 図7
  • 特許-プリントヘッド、プリンタ、および三次元造形装置 図8
  • 特許-プリントヘッド、プリンタ、および三次元造形装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】プリントヘッド、プリンタ、および三次元造形装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20220606BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20220606BHJP
   B29C 64/124 20170101ALI20220606BHJP
   B29C 64/129 20170101ALI20220606BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 129
B41J2/01 303
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J2/165 201
B29C64/124
B29C64/129
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018235400
(22)【出願日】2018-12-17
(65)【公開番号】P2020097130
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】四ノ宮 文二
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-174900(JP,A)
【文献】特開2011-161824(JP,A)
【文献】特開2012-091458(JP,A)
【文献】特開2002-011860(JP,A)
【文献】特開2017-193121(JP,A)
【文献】特開2014-069309(JP,A)
【文献】特開2004-188924(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104553318(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B29C 64/124
B29C 64/129
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化性のインクを吐出する複数のノズルが形成されたノズル面をそれぞれ有する複数の吐出ヘッドと、
前記インクを硬化させる光を照射する照射部を有する光照射装置と、
それぞれ受光部を有し、前記受光部が受けた光の光量を測定するように構成された、前記複数の吐出ヘッドに対応する複数の光センサと、
制御装置と、
を備え、
前記ノズル面は、第1方向を向くとともに、前記第1方向に直交する第2方向に関して所定の長さを有し、かつ、前記第1方向および前記第2方向に直交する第3方向に関して所定の幅を有し、
前記複数の吐出ヘッドは、前記第3方向に並んで配置され、
前記照射部は、前記複数のノズル面と前記第3方向に並んで配置されるとともに、前記第2方向に関して前記複数のノズル面の存在範囲よりも長い照射範囲を有し、少なくとも前記第1方向に向かって前記光を照射するように構成され、
前記受光部は、前記第1方向を向くとともに、前記第2方向に関して少なくとも一部が前記照射範囲の中に入り、前記第3方向に関して少なくとも一部が対応する前記ノズル面の幅の中に入るように配置され
前記各光センサは、測定した光量に対応する信号を発信するように構成され、
前記制御装置は、
前記複数の光センサが発信する信号を受信する信号受信部と、
前記信号受信部が受信した信号に基づいて前記複数の光センサが受けた積算の光量をそれぞれ演算する演算部と、
積算の光量に係る閾値を記憶する記憶部と、
前記演算部で演算された複数の積算の光量のうち最も大きい積算の光量が前記閾値を上回ったか否かを判定する判定部と、
前記最も大きい積算の光量が前記閾値を上回ったと前記判定部によって判定されると、警告を発する警告部と、
を備えている、
プリンタ
【請求項2】
光硬化性のインクを吐出する複数のノズルが形成されたノズル面をそれぞれ有する複数の吐出ヘッドと、
前記インクを硬化させる光を照射する照射部を有する光照射装置と、
それぞれ受光部を有し、前記受光部が受けた光の光量を測定するように構成された、前記複数の吐出ヘッドに対応する複数の光センサと、
前記吐出ヘッドをクリーニングするクリーニング機構と、
制御装置と、
を備え、
前記各ノズル面は、第1方向を向くとともに、前記第1方向に直交する第2方向に関して所定の長さを有し、かつ、前記第1方向および前記第2方向に直交する第3方向に関して所定の幅を有し、
前記複数の吐出ヘッドは、前記第3方向に並んで配置され、
前記照射部は、前記複数のノズル面と前記第3方向に並んで配置されるとともに、前記第2方向に関して前記複数のノズル面の存在範囲よりも長い照射範囲を有し、少なくとも前記第1方向に向かって前記光を照射するように構成され、
前記各受光部は、前記第1方向を向くとともに、前記第2方向に関して少なくとも一部が前記照射範囲の中に入り、前記第3方向に関して少なくとも一部が対応する前記ノズル面の幅の中に入るように配置され、
前記光センサは、測定した光量に対応する信号を発信するように構成され、
前記制御装置は、
前記複数の光センサが発信する信号を受信する信号受信部と、
前記信号受信部が受信した信号に基づいて前記複数の光センサが受けた積算の光量をそれぞれ演算する演算部と、
積算の光量に係る閾値を記憶する記憶部と、
前記演算部で演算された複数の積算の光量のうち最も大きい積算の光量が前記閾値を上回ったか否かを判定する判定部と、
前記最も大きい積算の光量が前記閾値を上回ったと前記判定部によって判定されると、前記クリーニング機構を制御して前記吐出ヘッドをクリーニングさせるクリーニング制御部と、
を備えている
プリンタ。
【請求項3】
前記吐出ヘッドは、前記複数のノズルが前記第2方向に並んで配置されたノズル列を備え、
前記受光部は、対応する前記ノズル列の前記第2方向に配置されている、
請求項1または2に記載のプリンタ
【請求項4】
前記光センサは、対応する前記吐出ヘッドの前記第2方向に前記吐出ヘッドと隣接して設けられている、
請求項1~3のいずれか一つに記載のプリンタ
【請求項5】
前記吐出ヘッドは、
前記複数のノズルの一部が前記第2方向に並んで配置された第1ノズル列と、
前記複数のノズルの他の一部が前記第2方向に並んで配置され、前記第1ノズル列と前記第3方向に並ぶように設けられた第2ノズル列と、
を備え、
前記受光部は、前記第3方向に関して、対応する前記第1ノズル列と前記第2ノズル列との間に少なくとも一部が入るように配置されている、
請求項1~のいずれか一つに記載のプリンタ
【請求項6】
前記インクは、紫外線の照射によって硬化し、
前記光照射装置は、紫外線を照射する、
請求項1~のいずれか一つに記載のプリンタ
【請求項7】
記録媒体が載置されるベッド備え、
前記ベッドは、前記複数のノズル面、前記照射部、および前記複数の受光部に対向するように設けられている、
請求項1~6のいずれか一つに記載のプリンタ。
【請求項8】
前記受光部と前記ベッドとの間の距離は、対応する前記ノズル面と前記ベッドとの間の距離に等しい、
請求項7に記載のプリンタ。
【請求項9】
前記複数の吐出ヘッドと前記光照射装置と前記複数の光センサとが搭載されたキャリッジと、
前記ベッドを前記キャリッジに対して前記第2方向に移動させる移動機構と
を備え、
前記制御装置は、前記移動機構を制御する移動制御部を備え、
前記照射部は、前記複数のノズル面よりも前記第2方向の一方側に突出しており、
前記光センサは、対応する前記吐出ヘッドよりも前記第2方向の前記一方側に設けられ、
前記移動制御部は、印刷中、前記ベッドが前記キャリッジに対して前記第2方向の前記一方側に進むように前記移動機構を制御する、
請求項7または8に記載のプリンタ。
【請求項10】
光硬化性の吐出液を吐出する複数のノズルが形成されたノズル面をそれぞれ有する複数の吐出ヘッドと、
前記吐出液を硬化させる光を照射する照射部を有する光照射装置と、
それぞれ受光部を有し、前記受光部が受けた光の光量を測定するように構成された、前記複数の吐出ヘッドに対応する複数の光センサと、
制御装置と、
を備え、
前記各ノズル面は、第1方向を向くとともに、前記第1方向に直交する第2方向に関して所定の長さを有し、かつ、前記第1方向および前記第2方向に直交する第3方向に関して所定の幅を有し、
前記複数の吐出ヘッドは、前記第3方向に並んで配置され、
前記照射部は、前記複数のノズル面と前記第3方向に並んで配置されるとともに、前記第2方向に関して前記複数のノズル面の存在範囲よりも長い照射範囲を有し、少なくとも前記第1方向に向かって前記光を照射するように構成され、
前記各受光部は、前記第1方向を向くとともに、前記第2方向に関して少なくとも一部が前記照射範囲の中に入り、前記第3方向に関して少なくとも一部が前記対応するノズル面の幅の中に入るように配置され、
前記光センサは、測定した光量に対応する信号を発信するように構成され、
前記制御装置は、
前記複数の光センサが発信する信号を受信する信号受信部と、
前記信号受信部が受信した信号に基づいて前記複数の光センサが受けた積算の光量をそれぞれ演算する演算部と、
積算の光量に係る閾値を記憶する記憶部と、
前記演算部で演算された複数の積算の光量のうち最も大きい積算の光量が前記閾値を上回ったか否かを判定する判定部と、
前記最も大きい積算の光量が前記閾値を上回ったと前記判定部によって判定されると、警告を発する警告部と、
を備えている、
三次元造形装置。
【請求項11】
赤外線の照射によって乾燥硬化する吐出液を吐出する複数のノズルが形成されたノズル面を有する吐出ヘッドと、
赤外線を照射する照射部を有する光照射装置と、
受光部を有し、前記受光部が受けた赤外線の光量を測定する光センサと、
を備え、
前記ノズル面は、第1方向を向くとともに、前記第1方向に直交する第2方向に関して所定の長さを有し、かつ、前記第1方向および前記第2方向に直交する第3方向に関して所定の幅を有し、
前記照射部は、前記ノズル面と前記第3方向に並んで配置されるとともに、前記第2方向に関して前記ノズル面の長さよりも長い照射範囲を有し、少なくとも前記第1方向に向かって赤外線を照射するように構成され、
前記受光部は、前記第1方向を向くとともに、前記第2方向に関して少なくとも一部が前記照射範囲の中に入り、前記第3方向に関して少なくとも一部が前記ノズル面の幅の中に入るように配置されている、
プリントヘッド。
【請求項12】
請求項11に記載のプリントヘッドを備えた、
プリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリントヘッドと、プリントヘッドを備えたプリンタおよび三次元造形装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光を受けて硬化する吐出液を利用した印刷や造形の技術が知られている。例えば、特許文献1には、記録媒体にインクを吐出する複数の吐出ヘッドと、記録媒体上のインクに紫外線を照射する紫外線ランプとを備えたプリンタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-69707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、吐出液を硬化させる光を照射する装置を備えたプリントヘッドにおいては、照射した光が記録媒体などによって反射される。反射光の一部は、吐出ヘッドにも照射される。また、反射光以外の光が吐出ヘッドに到達することもある。そこで、光の照射を続けていると、光を受けて、吐出ヘッドの吐出液が増粘または硬化するおそれがある。このような状態になると、吐出ヘッドに問題を引き起こす場合がある。上記問題を避けるためには、吐出ヘッドのクリーニングを実施することが好ましい。しかし、反射光の光量は、例えば、記録媒体の種類などによって大きく変動する。従って、適切なクリーニングのタイミングを設定することは難しい。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、適切なクリーニングのタイミングを知ることができるプリントヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示するプリントヘッドは、光硬化性の吐出液を吐出する複数のノズルが形成されたノズル面を有する吐出ヘッドと、前記吐出液を硬化させる光を照射する照射部を有する光照射装置と、受光部を有し、前記受光部が受けた光の光量を測定する光センサとを備える。
前記ノズル面は、第1方向を向くとともに、前記第1方向に直交する第2方向に関して所定の長さを有し、かつ、前記第1方向および前記第2方向に直交する第3方向に関して所定の幅を有している。
前記照射部は、前記ノズル面と前記第3方向に並んで配置されるとともに、前記第2方向に関して前記ノズル面の長さよりも長い照射範囲を有し、少なくとも前記第1方向に向かって前記光を照射するように構成されている。
前記受光部は、前記第1方向を向くとともに、前記第2方向に関して少なくとも一部が前記照射範囲の中に入り、前記第3方向に関して少なくとも一部が前記ノズル面の幅の中に入るように配置されている。
【0007】
上記プリントヘッドによれば、第3方向に関して、吐出ヘッドと光照射装置との間の距離と、光センサと光照射装置と間の距離とがほぼ同じであるため、吐出ヘッドに照射される光の量と光センサに照射される光の量とがほぼ等しい。そこで、光センサが測定する光量で、吐出ヘッドが受ける光量を代替することができる。よって、適切なクリーニングのタイミングを知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るプリンタを示す斜視図である。
図2】フロントカバーを開けた状態のプリンタを示す正面図である。
図3】プリントヘッドの構成を示す平面図である。
図4】ベッド付近を模式的に示した平面図である。
図5】キャッピング機構およびクリーニング機構の構成を模式的に示す側面図である。
図6】プリンタのブロック図である。
図7】吐出ヘッドのクリーニングに係るフローチャートである。
図8】第2実施形態に係るプリントヘッドの構成を示す平面図である。
図9】変形例に係るプリンタのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るインクジェットプリンタ1(以下、プリンタ1と呼ぶ。)を示す斜視図である。図2は、フロントカバー20を開けた状態のプリンタ1を示す正面図である。ただし、図2では、前壁部12を外した状態を図示している。以下の説明では、特に断らない限り、プリンタ1を正面から見たときに、プリンタ1から遠ざかる方を前方、プリンタ1に近づく方を後方とする。左、右、上、下とは、プリンタ1を正面から見たときの左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。また、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味するものとする。ただし、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ1の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。また、図面中の符号Yは主走査方向を示している。ここでは、主走査方向Yは左右方向である。主走査方向Yは、第3方向の一例である。符号Xは、副走査方向を示している。ここでは、副走査方向Xは前後方向である。副走査方向Xは、第2方向の一例である。符号Zは、上下方向を示している。上下方向Zは、第1方向の一例である。主走査方向Yと副走査方向Xと上下方向Zとは、互いに直交している。ただし、主走査方向Y、副走査方向Xおよび高さ方向Zは、特に限定されず、プリンタ1の形態に応じて適宜に設定可能である。
【0011】
本実施形態では、プリンタ1は、インクジェット方式のプリンタである。本実施形態において、「インクジェット方式」とは、二値偏向方式または連続偏向方式などの各種の連続方式、および、サーマル方式または圧電素子方式などの各種のオンデマンド方式を含む従来公知の各種の手法によるインクジェット式のことをいう。また、プリンタ1は、いわゆる、フラットベッドタイプのプリンタである。
【0012】
プリンタ1は、記録媒体5にインクを吐出して、記録媒体5に印刷を行う装置である。記録媒体5の材質は特に限定されず、例えば、木、金属、ガラス、紙、布などを使用することができる。また、記録媒体5の形状も特に限定されず、平板状の他、様々な立体形状の記録媒体が使用可能である。
【0013】
図1に示すように、プリンタ1は、箱状に形成されている。本実施形態では、プリンタ1は、ケース10と、フロントカバー20とを備えている。ケース10は、底部11と、前壁部12と、後壁部13と、左壁部14と、右壁部15と、天面部16とを有している。底部11は、板状の部材である。前壁部12は、底部11の前端の右部に接続され、底部11の前端の右部から上方に延びている。図示は省略するが、後壁部13は、底部11の後端に接続され、底部11の後端から上方に延びている。左壁部14は、底部11の左端に接続され、底部11の左端から上方に延びている。左壁部14の後端は、後壁部13の左端に接続されている。右壁部15は、底部11の右端に接続され、底部11の右端から上方に延びている。右壁部15の前端は、前壁部12の右端に接続され、右壁部15の後端は、後壁部13の右端に接続されている。天面部16は、前壁部12の上端、後壁部13の上端、左壁部14の上端、および、右壁部15の上端にそれぞれ接続されている。図2に示すように、ケース10の前部には、開口17が形成されている。
【0014】
フロントカバー20は、ケース10の開口17を開閉自在に設けられている。ここでは、フロントカバー20は、後端を軸に回転可能なように、ケース10に支持されている。
【0015】
本実施形態では、底部11、前壁部12、後壁部13、左壁部14、右壁部15、天面部16およびフロントカバー20に囲まれることによって、内部空間18が形成されている。内部空間18は、プリンタ1による印刷が行われる空間である。フロントカバー20の後端を軸にして、フロントカバー20を上方に回転させることによって、内部空間18と外部空間とが連通される。
【0016】
本実施形態では、図1に示すように、フロントカバー20には、窓部21が設けられている。窓部21は、例えば、透明のアクリル板によって形成されている。作業者は、窓部21を通じて内部空間18を視認することが可能である。
【0017】
図1および図2に示すように、プリンタ1は、プリントヘッド25と、ベッド60と、移動機構70と、キャッピング機構80と、クリーニング機構90(図4参照)と、制御装置100とを備えている。図3は、プリントヘッド25の構成を示す平面図である。図3に示すように、プリントヘッド25は、キャリッジ26と、複数の吐出ヘッド31~34と、光照射装置40と、複数の光センサ51~54とを備えている。
【0018】
キャリッジ26は、第1吐出ヘッド31~第4吐出ヘッド34と、光照射装置40と、第1光センサ~51~第4光センサ54とを搭載している。第1吐出ヘッド31~第4吐出ヘッド34と、光照射装置40と、第1光センサ~51~第4光センサ54とは、キャリッジ26の下面に設けられ、下方を向くように配置されている。キャリッジ26の下方には、ベッド60が設けられている。そこで、吐出ヘッド31~34、光照射装置40、および光センサ~51~54は、ベッド60と対向している。
【0019】
キャリッジ26において、第1吐出ヘッド31~第4吐出ヘッド34は、主走査方向Yに並んで設けられている。第1吐出ヘッド31~第4吐出ヘッド34は、それぞれ、副走査方向Xに延びるとともに、主走査方向Yに関して所定の幅を有している。本実施形態では、第1吐出ヘッド31~第4吐出ヘッド34は、同じ吐出ヘッドである。そこで、第1吐出ヘッド31~第4吐出ヘッド34は、副走査方向Xに関して同じ長さを有し、主走査方向Yに関して同じ幅を有している。図3に示すように、第1吐出ヘッド31~第4吐出ヘッド34は、左方からこの順に並んでいる。
【0020】
第1吐出ヘッド31~第4吐出ヘッド34は、それぞれ、複数のノズル31a1~34a1が形成されたノズル面31b~34bを備えている。ノズル31a1~34a1は、インクが吐出される微小な孔である。ノズル面31b~34bは、下方を向いている。ノズル面31b~34bは、それぞれ、副走査方向Xに関して所定の長さを有し、主走査方向Yに関して所定の幅を有している。本実施形態では、ノズル面31b~ノズル面34bは、副走査方向Xに関して同じ長さを有し、主走査方向Yに関して同じ幅を有している。なお、本実施形態では、ノズル面31b~34bのベッド60からの高さも、すべて同じ高さに設定されている。
【0021】
第1吐出ヘッド31のノズル面31bにおいて、複数のノズル31a1は、副走査方向Xに並んで配置され、ノズル列31aを形成している。ノズル列31aを構成するノズル31a1の数は限定されないが、例えば、300個である。第2吐出ヘッド32~第4吐出ヘッド34も同様に構成されている。
【0022】
複数の吐出ヘッド31~34には、図示しないインクチューブによって、それぞれ1つのインクカートリッジ35が接続されている。ここでは、第1吐出ヘッド31に接続されたインクカートリッジ35には、シアンインクが収容されている。第2吐出ヘッド32に接続されたインクカートリッジ35には、マゼンタインクが収容されている。第3吐出ヘッド33に接続されたインクカートリッジ35には、イエローインクが収容されている。第4吐出ヘッド34に接続されたインクカートリッジ35には、ブラックインクが収容されている。インクカートリッジ35は、例えば、底部11の左後部に設けられたインクカートリッジ収容部36に収容されている。
【0023】
本実施形態では、第1吐出ヘッド31~第4吐出ヘッド34は、光硬化性のインクを吐出する。詳しくは、第1吐出ヘッド31~第4吐出ヘッド34は、紫外線硬化性のインクを吐出する。紫外線硬化性インクは、紫外線が照射されることによって硬化するインクである。本実施形態では、第1吐出ヘッド31は、紫外線硬化性のシアンインクを吐出する。第2吐出ヘッド32は、紫外線硬化性のマゼンタインクを吐出する。第3吐出ヘッド33は、紫外線硬化性のイエローインクを吐出する。第4吐出ヘッド34は、紫外線硬化性のブラックインクを吐出する。
【0024】
複数の吐出ヘッド31~34は、それぞれ、複数のアクチュエータ(図示せず)を備えている。複数のアクチュエータは、それぞれ1つのノズルに対応している。各アクチュエータは、例えば、圧電素子を備え、圧電素子の膨張収縮によってインクを吐出するように構成されている。複数のアクチュエータは、それぞれ制御装置100に電気的に接続され、制御装置100によって制御されている。
【0025】
図3に示すように、光照射装置40は、キャリッジ26に設けられている。光照射装置40は、下方に向けて、光硬化性インクを硬化させる光を照射する。光照射装置40は、複数の吐出ヘッド31~34と主走査方向Yに並んで設けられている。ここでは、光照射装置40は、第1吐出ヘッド31の左方に設けられている。光照射装置40は、複数の吐出ヘッド31~34のいずれよりも左方に設けられている。光照射装置40は、副走査方向Xに延びている。
【0026】
光照射装置40は、図示しない光源と、照射部41とを備えている。照射部41は、光照射装置40の下面に形成されている。照射部41は、ここでは、光照射装置40の下面に形成された開口部に、紫外線を通過させるカバーが被せられたものである。照射部41は、光照射装置40のうちで、インクを硬化させる光が外部に向けて照射される部分である。図示しない光源は、光照射装置40の内部に設けられている。照射部41は、下方を向いている。照射部41は、少なくとも下方に向かって光を照射するように構成されている。照射部41が照射する光には、例えば左右方向や前後方向に向かって照射される光なども含まれうるが、照射部41が照射する光の多くは下方に向かって照射されている。照射部41は、吐出ヘッド31~34のノズル面31b~34bと主走査方向Yに並んでいる。
【0027】
照射部41は、副走査方向Xの長さが吐出ヘッド31~34のノズル面31b~34bよりも長く構成されている。照射部41の一部41aは、ノズル面31b~34bよりも前方に突出している。以下では、この部分を適宜、突出部分41aと称する。光照射装置40は、副走査方向Xに関して、照射部41の長さと同じか、ほぼ同じ長さの照射範囲A1に光を照射する。照射部41は、副走査方向Xに関して、ノズル面31b~34bよりも長い照射範囲A1を有している。
【0028】
第1光センサ51~第4光センサ54は、キャリッジ26に設けられている。第1光センサ51~第4光センサ54は、受けた光の光量を測定するセンサである。詳しくは、第1光センサ51~第4光センサ54は、それぞれ、受光部51a~54aを備え、受光部51a~54aが受けた光量を測定するように構成されている。受光部51a~54aは、下方を向いている。図3に示すように、受光部51a~54aは、平面視において、それぞれ第1光センサ51~第4光センサ54の外形よりも小さく構成されている。言い換えれば、平面視において、受光部51a~54aは、それぞれ第1光センサ51~第4光センサ54の一部を構成している。
【0029】
図3に示すように、第1光センサ51~第4光センサ54は、それぞれ、第1吐出ヘッド31~第4吐出ヘッド34と副走査方向Xに並んでいる。より詳しくは、第1光センサ51~第4光センサ54は、それぞれ、第1吐出ヘッド31~第4吐出ヘッド34よりも前方に設けられ、第1吐出ヘッド31~第4吐出ヘッド34に隣接している。第1光センサ51~第4光センサ54の左方には、光照射装置40の突出部分41aが位置している。突出部分41aは、第1光センサ51~第4光センサ54の前端よりも前方まで延びている。そこで、第1光センサ51~第4光センサ54は、光照射装置40の照射範囲A1内に全体が入っている。
【0030】
第1光センサ51は、その受光部51aが第1吐出ヘッド31のノズル列31aと副走査方向Xに並ぶように設けられている。本実施形態では、主走査方向Yに関して、受光部51aの中心線と、ノズル列31aの中心線は一致している(図3の中心線L1)。また、本実施形態では、第1光センサ51の受光部51aは、主走査方向Yに関して、第1吐出ヘッド31の幅の中に全体が入っている。受光部51aの主走査方向Yに関する幅は、第1吐出ヘッド31のノズル面31bの主走査方向Yに関する幅よりも狭い。第2吐出ヘッド32と第2光センサ52、第3吐出ヘッド33と第3光センサ53、および、第4吐出ヘッド34と第4光センサ54も同様に構成されている。
【0031】
第1光センサ51~第4光センサ54の受光部51a~54aのベッド60からの高さは、それぞれ、第1吐出ヘッド31~第4吐出ヘッド34のノズル面31b~34bと同じ高さに設定されている。そこで、受光部51a~54aとベッド60との間の距離は、それぞれ、ノズル面31b~34bとベッド60との間の距離と等しい。本実施形態では、ノズル面31b~34bのベッド60からの高さは同じ高さに設定されている。そこで、受光部51a~54aのベッド60からの高さも、全て同じ高さである。ただし、光センサ51~54の受光部51a~54aの高さは、それぞれ対応するノズル面31b~34bと同じであればよく、互いに異なっていてもよい。
【0032】
第1光センサ51~第4光センサ54は、公知の紫外線光量計などが好適に利用できる。第1光センサ51~第4光センサ54は、測定した光量に対応する信号を発信するように構成されている。本実施形態では、第1光センサ51~第4光センサ54は、アナログ出力端子を備え、測定した光量に対応するアナログ信号を出力する。第1光センサ51~第4光センサ54は制御装置100に接続され、制御装置100は、第1光センサ51~第4光センサ54からのアナログ信号を受信する。
【0033】
ベッド60には、記録媒体5が載置される。ベッド60は、吐出ヘッド31~34のノズル面31b~34b、光照射装置40の照射部41、および光センサ51~54の受光部51a~54aに対向するように設けられている。ベッド60は、上方を向いている。図4は、ベッド60付近を模式的に示した平面図である。ただし、図4では、前壁部12、後壁部13、左壁部14、右壁部15、天面部16およびフロントカバー20が取り外されている。図4に示すように、ベッド60は、平面視において、底部11における主走査方向Yの中央部分に配置されている。
【0034】
移動機構70は、ベッド60をキャリッジ26に対して、主走査方向Y、副走査方向X、および上下方向Zに移動させる機構である。本実施形態では、移動機構70は、キャリッジ26を主走査方向Yに移動させ、ベッド60を副走査方向Xおよび上下方向Zに移動させる。キャリッジ26には複数の吐出ヘッド31~34、光照射装置40、および複数の光センサ51~54が搭載されており、移動機構70はそれらをベッド60に対して移動させる。移動機構70は、Y軸方向移動機構71と、X軸方向移動機構72と、Z軸方向移動機構73とを備えている。なお、ベッド60とキャリッジ26との移動は相対的なものであり、ベッド60およびキャリッジ26が移動する方向は、上記に限定されるわけではない。
【0035】
図2に示すように、Y軸方向移動機構71は、ガイドレール71aと、ベルト71bと、Y軸方向駆動モータ71c(図4参照)とを備えている。ガイドレール71aは、主走査方向Yに延びている。ガイドレール71aは、内壁19に固定されている。内壁19は、ケース10内で主走査方向Yに延びている。内壁19の左端は、左壁部14に接続され、内壁19の右端は、右壁部15に接続されている。キャリッジ26は、ガイドレール71aに摺動自在に係合している。キャリッジ26は、ガイドレール71aに沿って主走査方向Yへの移動が可能である。
【0036】
図2に示すように、キャリッジ26には、ベルト71bが固定されている。ベルト71bは、図示しない一対のプーリに巻き掛けられ、主走査方向Yに移動する。プーリには、Y軸方向駆動モータ71cが接続されている。Y軸方向駆動モータ71cは、制御装置100に電気的に接続されている。制御装置100は、Y軸方向駆動モータ71cの動作を制御している。Y軸方向駆動モータ71cが駆動することによって、ベルト71bは主走査方向Yに移動する。ベルト71bが主走査方向Yに移動することにより、キャリッジ26は、主走査方向Yに移動する。
【0037】
X軸方向移動機構72は、ベッド60を副走査方向Xに移動させる。図4に示すように、X軸方向移動機構72は、底部11の主走査方向Yの中央部分に開けられた開口11aの下に設けられている。X軸方向移動機構72は、第1シャフト72aと、第2シャフト72bと、搬送部材72cと、X軸方向駆動モータ72dとを備えている。第1シャフト72aおよび第2シャフト72bは、副走査方向Xに延びている。第1シャフト72aと第2シャフト72bとは平行に配置されている。第1シャフト72aおよび第2シャフト72bは、底部11に支持されている。搬送部材72cは、第1シャフト72aおよび第2シャフト72bに対して摺動自在に設けられている。搬送部材72cは、平板72c1と、第1筒状部72c2と、第2筒状部72c3とを有している。平板72c1は、底部11の開口11aの下方に位置している。図2図4に示すように、第1筒状部72c2および第2筒状部72c3は、中空の筒状の部材であって、例えば、ボールブッシュを備えている。第1筒状部72c2は、平板72c1の左端に設けられ、第2筒状部72c3は、平板72c1の右端に設けられている。第1筒状部72c2には、第1シャフト72aが摺動自在に挿入されている。第2筒状部72c3には、第2シャフト72bが摺動自在に挿入されている。X軸方向駆動モータ72dは、搬送部材72cを、第1シャフト72aおよび第2シャフト72bに沿って副走査方向Xに移動させる。X軸方向駆動モータ72dは、制御装置100に電気的に接続され、制御装置100によって制御されている。搬送部材72cの上には、Z軸方向移動機構73を介して、ベッド60が載置されている。X軸方向移動機構72は、Z軸方向移動機構73を介して、ベッド60を副走査方向Xに移動することができる。
【0038】
Z軸方向移動機構73は、ベッド60を上下方向Zに移動させる。Z軸方向移動機構73は、底部11に設けられた開口11aの下でX軸方向移動機構72と接続され、開口11aを通ってベッド60を支持している。Z軸方向移動機構73は、高さ調整部材73aと、Z軸方向駆動モータ73bとを備えている。高さ調整部材73aは、高さが可変に構成されている。高さ調整部材73aは、例えば、ボールねじ機構を備えている。Z軸方向駆動モータ73bは、高さ調整部材73aに接続されている。Z軸方向駆動モータ73bが駆動すると、高さ調整部材73aの高さが変化する。Z軸方向駆動モータ73bは、制御装置100に電気的に接続され、制御装置100によって制御されている。高さ調整部材73aの高さが変更されることによって、ベッド60の高さが調整される。
【0039】
Y軸方向移動機構71は、キャリッジ26をキャッピング機構80の上方に移動させることができるように構成されている。図2に示すように、キャッピング機構80は、プリンタ1の右端部付近に設けられている。図5は、キャッピング機構80およびクリーニング機構90の構成を模式的に示す側面図である。図2および図5に示すように、キャッピング機構80は、複数のキャップ81と、キャップ移動機構82と、吸引ポンプ83とを備えている。
【0040】
複数のキャップ81は、それぞれ、吐出ヘッド31~34のノズル面31b~34bに装着可能に構成されている。キャップ81は、吐出ヘッド31~34と同数設けられている。複数のキャップ81は、主走査方向Yに並んでいる。各キャップ81は、上部が開口した有底の箱状の形状を有している。複数のキャップ81は、それぞれ、例えば、ゴム等によって形成されている。キャップ81の上縁は、それぞれ、装着時には、吐出ヘッド31~34のノズル面31b~34bに密着するように構成されている。キャップ81が吐出ヘッド31~34に装着されると、ノズル面31b~34bは、キャップ81に覆われる。キャッピング機構80は、吐出ヘッド31~34へのキャップ81の装着によって、吐出ヘッド31~34を保護し、また乾燥などから守っている。なお、ここでは、複数のキャップ81は、複数の吐出ヘッド31~34の1つにそれぞれ装着されるように設けられたが、そうでなくてもよい。例えば、2つ以上の吐出ヘッドに対して1つのキャップが装着されてもよい。また、キャップ自体では1つであって、内部に仕切りが設けられていてもよい。
【0041】
キャップ移動機構82は、キャップ81を上下方向に移動可能に支持している。キャップ移動機構82は、キャップ81を上昇させることにより、吐出ヘッド31~34に装着する。また、キャップ81を下降させることにより、吐出ヘッド31~34から離間する。キャップ移動機構82は、例えば、ボールねじ機構と、駆動モータとを備えている。駆動モータが駆動すると、ボールねじ機構によって、キャップ81が上下方向に移動される。
【0042】
複数の吸引ポンプ83は、複数のキャップ81にそれぞれ接続されている。吸引ポンプ83は、キャップ81の数と同数設けられている。複数の吸引ポンプ83は、それぞれ1つのキャップ81に接続されている。吸引ポンプ83は、キャップ81に溜まったインクを吸引する。吸引ポンプ83は、例えば、チューブポンプである。複数の吸引ポンプ83は、それぞれ、チューブ等を介して、キャップ81の底部に接続されている。キャップ81が吐出ヘッド31~34に装着された状態で吸引ポンプ83が駆動されると、吐出ヘッド31~34のノズル31a1~34a1からインクが吸い出される。吸引ポンプ83に吸引されたインクは、図示しないチューブ等を介して図示しない廃液タンクに廃棄される。
【0043】
クリーニング機構90は、複数の吐出ヘッド31~34をクリーニングする機構である。クリーニング機構90は、ワイパー91とワイパー移動機構92とを備えている。ワイパー91は、ノズル面31b~34bを拭って、吐出ヘッド31~34をクリーニングする部材である。図4および図5に示すように、ワイパー91は、非クリーニング時、キャリッジ26よりも後方に配置されている。ワイパー91は、主走査方向Yに一定の幅を備えた平板状の部材である。ワイパー91の主走査方向Yに関する幅は、第1吐出ヘッド31の左端と第4吐出ヘッド34の右端との間の長さよりも長い。ワイパー91は、例えば、ゴムで形成されている。
【0044】
ワイパー移動機構92は、ワイパー91を副走査方向Xに移動させる。ワイパー91は、非クリーニング時の位置よりも前方で、ノズル面31b~34bに接触するように構成されている。ワイパー91は、副走査方向Xに移動されるとき、ノズル面31b~34bを拭う。ワイパー91の主走査方向Yに関する幅は、第1吐出ヘッド31の左端と第4吐出ヘッド34の右端との間の長さよりも長い。そこで、ワイパー91の移動により、第1吐出ヘッド31~第4吐出ヘッド34までが一度にクリーニングされる。ワイパー移動機構92は、例えば、モータを備えている。ワイパー移動機構92は、制御装置100に電気的に接続され、制御装置100によって制御されている。
【0045】
図1に示すように、操作パネル170は、ケース10の右前部に設けられている。ユーザーは、操作パネル170に対して、印刷に関する操作を行う。
【0046】
図6は、プリンタ1に係るブロック図である。図6に示すように、制御装置100は、操作パネル170、第1吐出ヘッド31~第4吐出ヘッド34、光照射装置40、Y軸方向駆動モータ71c、X軸方向駆動モータ72d、Z軸方向駆動モータ73b、キャップ移動機構82、吸引ポンプ83、およびワイパー移動機構92と接続され、それらの動作を制御している。また、制御装置100は、第1光センサ51~第4光センサ54に接続され、それらからの信号を受信している。制御装置100は、例えば、プリンタ1に接続されたコンピュータであり、中央演算処理装置(以下、CPUという。)と、CPUが実行するプログラムなどが格納されたROMと、RAMなどを備えていてもよい。制御装置100の各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。また、各部は、プロセッサであってもよいし、回路であってもよい。制御装置100の構成は特に限定されない。図6に示すように、制御装置100は、移動制御部110と、吐出制御部120と、照射制御部130と、キャッピング制御部140と、クリーニング制御部150と、光量管理部160とを備えている。
【0047】
移動制御部110は、移動機構70を制御する。移動制御部110は、Y軸方向移動機構71を制御して、キャリッジ26を主走査方向Yに移動させる。また、移動制御部110は、X軸方向移動機構72を制御して、ベッド60を副走査方向Xに移動させる。移動制御部110は、Z軸方向移動機構73を制御して、ベッド60を上下方向Zに移動させる。移動制御部110は、これらの制御により、キャリッジ26およびその搭載物とベッド60との位置関係を三次元的に変化させる。
【0048】
吐出制御部120は、吐出ヘッド31~34からの光硬化性インクの吐出を制御する。画像の印刷時には、吐出制御部120は、移動機構70の動きと連動させて、吐出ヘッド31~34の所望のノズルからインクを吐出させる。
【0049】
照射制御部130は、光照射装置40の点灯/消灯および出力を制御する。照射制御部130は、ここでは、特にユーザーが指示しない限り、印刷時には光照射装置40を点灯させ、それ以外のときには消灯させる。
【0050】
キャッピング制御部140は、キャップ移動機構82を制御して、キャップ81を吐出ヘッド31~34に装着または離間させる。キャッピング制御部140は、印刷時とクリーニング時を除いて、基本的には、キャップ81を吐出ヘッド31~34に装着させている。
【0051】
クリーニング制御部150は、クリーニング機構90を制御して、複数の吐出ヘッド31~34をクリーニングさせる。詳しくは、クリーニング制御部150は、ワイパー移動機構92を制御して、ワイパー91に吐出ヘッド31~34のノズル面31b~34bを拭わせる。また、クリーニング制御部150は、必要に応じ、吸引ポンプ83を制御して、吐出ヘッド31~34のノズル31a1~34a1からインクを吸引させる。クリーニング制御部150は、光量管理部160からの指令に基づいて、また、その他のクリーニングを行うべき条件が揃ったときにクリーニングを実施する。あるいは、ユーザーの操作によってクリーニングを実施する。光量管理部160からの指令に基づくクリーニングについては後述する。
【0052】
光量管理部160は、複数の光センサ51~54が測定した光量を取得するとともに、取得した光量に基づいて、各部に動作を指令する。光量管理部160は、信号受信部161と、演算部162と、記憶部163と、判定部164とを備えている。
【0053】
信号受信部161は、第1光センサ51~第4光センサ54が発信する信号をそれぞれ受信する。信号受信部161は、ここでは、第1光センサ51~第4光センサ54が発信するアナログ信号をそれぞれ受信している。
【0054】
演算部162は、信号受信部161が受信した信号に基づいて、各光センサ51~54が受けた積算の光量をそれぞれ演算する。つまり、演算部162は、信号受信部161が受信した第1光センサ51からの信号に基づいて、第1光センサ51が受けた積算の光量を演算する。演算部162は、信号受信部161が受信した第2光センサ52からの信号に基づいて、第2光センサ52が受けた積算の光量を演算する。演算部162は、信号受信部161が受信した第3光センサ53からの信号に基づいて、第3光センサ53が受けた積算の光量を演算する。演算部162は、信号受信部161が受信した第4光センサ54からの信号に基づいて、第4光センサ54が受けた積算の光量を演算する。演算部162は、例えば、各光センサ51~54からのアナログ信号を予め定められた周期で取得し、取得したアナログ値から、取得時における光量を演算する。そして、このように取得した光量の間を線間補正して積算の光量を演算する。
【0055】
記憶部163は、積算の光量に係る閾値を記憶している。詳しくは後述するが、上記閾値は、吐出ヘッド31~34のクリーニングを実施すべき積算の光量として記憶されている。
【0056】
判定部164は、演算部162で演算された積算の光量が閾値を上回ったか否かを判定する。ここでは、判定部164は、演算部162で演算された複数の積算光量のうち、最も高いものが閾値を上回ったか否かを判定する。言い換えれば、判定部164は、演算部162で演算された複数の積算光量のうち1つでも閾値を上回ったものがあれば、積算の光量が閾値を上回ったと判定する。
【0057】
本実施形態では、プリンタ1は、印刷指令を受けると、キャリッジ26およびベッド60を印刷開始位置に移動させる。副走査方向Xに関するベッド60の印刷開始位置は、図4に図示されたベッド60上の前端付近の領域がキャリッジ26の真下にくるような位置である。キャリッジ26およびベッド60が印刷開始位置に配置されると、キャリッジ26が主走査方向Yに移動されながら、インクが吐出されて印刷が開始される。このとき、光照射装置40は、ベッド60上に載置された記録媒体5に光を照射する。記録媒体5において、印刷は、プリンタ1の前方側から後方側に向かって進行する。そこで、ベッド60は、印刷中、前方に間欠的に移動される。移動制御部110は、印刷中、ベッド60がキャリッジ26に対して前方に進むように移動機構70を制御する。
【0058】
光照射装置40の突出部分41aは、複数の吐出ヘッド31~34よりも前方に位置している。本実施形態では、前方は印刷中における記録媒体5の送り方向(ベッド60の移動方向)である。従って、光照射装置40の突出部分41aは、インクを吐出済みの領域に光を照射している。記録媒体5に吐出された光硬化性インクは、この突出部分41aからの光を受けて、より確実に硬化される。
【0059】
光照射装置40がベッド60および記録媒体5に向かって照射した光は、ベッド60および記録媒体5によって一部が反射される。反射された光の一部は、吐出ヘッド31~34のノズル面31b~34b、および光センサ51~54に到達する。ノズル面31b~34bにはそれぞれノズル31a1~34a1が形成されており、ノズル31a1~34a1には光硬化性インクが保持されている。また、印刷後のノズル面31b~34bには、多くの場合、光硬化性インクが付着している。従って、ノズル面31b~34bのクリーニングをせずに印刷を続けていると、ノズル31a1~34a1内、またはノズル面31b~34bの光硬化性インクが増粘または硬化するおそれがある。このような状態になると、例えば、キャップ81を吐出ヘッド31~34に装着したときに隙間ができ、吐出ヘッド31~34が乾燥するという問題を引き起こす場合がある。上記問題を避けるためには、定期的に吐出ヘッド31~34のクリーニングを実施することが好ましい。
【0060】
吐出ヘッド31~34のクリーニングにおいては、例えば、ワイパー91にノズル面31b~34bを拭わせる。さらに、キャップ81を吐出ヘッド31~34に装着した状態でインクを吐出するフラッシングを行う。また、キャップ81を吐出ヘッド31~34に装着した状態で、吸引ポンプ83にキャップ81内を吸引させる。
【0061】
一般に、紫外線の照射によって硬化するインクの硬化では、受けた紫外線の積算光量が一定値を超えると、硬化したインクの割合が無視できない割合となり、クリーニングなどの対処が必要になる。しかし、反射光の光量は、例えば、記録媒体5の種類などによって大きく変動する。従って、クリーニングの頻度を、例えば、時間や印刷量などに基づいて適切に設定することは難しい。そこで、インクの増粘、硬化によるリスクを避けるために、必要以上に頻繁にクリーニングを行うことも多い。しかし、クリーニングにはある程度の時間を要するため、過度に頻繁なクリーニングは、生産性の低下を招くおそれがある。また、クリーニングではインクが廃棄され、コストも発生する。
【0062】
そこで、本実施形態に係るプリンタ1は、光センサ51~54を備え、光センサ51~54により反射光の光量を測定している。それにより、吐出ヘッド31~34のクリーニングのタイミングを適切に設定することが可能になる。光センサ51~54が測定する反射光の光量は、それぞれ、吐出ヘッド31~34のノズル面31b~34bが受ける反射光の光量とほぼ等しいと考えられる。この点につき、以下で説明する。
【0063】
図3の距離D1は、平面視における光照射装置40と第1吐出ヘッド31との距離である。光照射装置40および第1吐出ヘッド31は、それぞれ主走査方向Yに関して幅を有している。そのため、ここでは、距離D1は、光照射装置40の主走査方向Yに関する中心線L2と、第1吐出ヘッド31のノズル列31aの主走査方向Yに関する中心線L1との間の距離とする。図3の距離D2は、平面視における光照射装置40と第1光センサ51との距離である。第1光センサ51もまた、主走査方向Yに関して幅を有する。そのため、ここでは、距離D2は、光照射装置40の主走査方向Yに関する中心線L2と、第1光センサ51の受光部51aの主走査方向Yに関する中心線L1との間の距離とする。図3に示すように、ノズル列31aの主走査方向Yに関する中心線と、受光部51aの主走査方向Yに関する中心線とは、ともにL1である。そこで、平面視において、光照射装置40とノズル列31aとの距離D1と、光照射装置40と第1光センサ51との距離D2とは等しい。よって、第1吐出ヘッド31のノズル31a1が受ける反射光の光量は、第1光センサ51が受ける反射光の光量にほぼ等しい。
【0064】
さらに、第1光センサ51は、第1吐出ヘッド31の前方に隣接して設けられている。反射光の光量は、副走査方向Xの位置によって若干異なる可能性がある。副走査方向Xに関して、第1光センサ51の位置は、第1吐出ヘッド31の位置に近い方が望ましい。本実施形態では、副走査方向Xに関し、第1光センサ51は第1吐出ヘッド31に隣接しており、両者の距離は近い。
【0065】
なお、本実施形態では、光照射装置40は、吐出ヘッド31~34よりも記録媒体5の進行方向に突き出した突出部分41aを有している。第1光センサ51は、突出部分41aの右方に配置されている。そこで、第1光センサ51は、突出部分41aが照射した光の反射光を受けることができる。
【0066】
また、本実施形態では、上下方向に関しても、第1光センサ51の受光部51aとベッド60との間の距離と、第1吐出ヘッド31のノズル面31bとベッド60との間の距離とは、等しく設定されている。図5に示すように、第1光センサ51の受光部51aとベッド60との間の距離D3は、第1吐出ヘッド31のノズル面31bとベッド60との間の距離D4と等しい。よって、受光部51aが受ける反射光の光量とノズル面31bが受ける反射光の光量とは、より近くなる。
【0067】
第2光センサ52は、第1光センサ51よりも光照射装置40から離間している。よって、第2光センサ52が受ける反射光の光量は、多くの場合、第1光センサ51が受ける反射光の光量よりも少ない。少なくとも、多くの場合、第1光センサ51と同じではない。しかし、第2光センサ52と第2吐出ヘッド32との間の位置関係は、第1光センサ51と第1吐出ヘッド31との間のそれと同様である。よって、第2吐出ヘッド32が受ける反射光の光量は、第2光センサ52が受ける反射光の光量にほぼ等しい。第3吐出ヘッド33と第3光センサ53、および、第4吐出ヘッド34と第4光センサ54についても同様である。
【0068】
このように、本実施形態に係るプリンタ1では、光センサ51~54の適切な配置により、吐出ヘッド31~34が受ける光の光量に近い光量を測定することができる。そこで、光センサ51~54が測定する光量によって、吐出ヘッド31~34が受ける光量を好適に代替することができる。
【0069】
本実施形態では、光センサ51~54によって測定された光量に基づいて吐出ヘッド31~34のクリーニングを行う。図7は、吐出ヘッド31~34のクリーニングに係るフローチャートである。
【0070】
図7のステップS01では、光センサ51~54が受けた積算の光量T1~T4がそれぞれ演算される。
【0071】
ステップS02では、ステップS01で演算された積算の光量T1~T4が閾値V1を上回ったか否かがそれぞれ判定される。複数の積算光量T1~T4のうちに閾値V1を上回るものがなければ、積算の光量は、閾値V1を上回っていないと判定される(ステップS02の結果はNO)。ステップS02がNOの場合、ステップは、ステップS01の前に戻り、光量がさらに積算される。複数の積算光量T1~T4のうちに閾値V1を上回ったものがあれば、積算の光量は、閾値V1を上回ったと判定される(ステップS02の結果はYES)。ステップS02がYESの場合、ステップはステップS03に進む。
【0072】
閾値V1は、インクの増粘が問題とならない範囲で適宜に設定されるとよい。例えば、それ以上光を受けるとインクの増粘が問題となりうる限界の積算光量に、1より小さい適度な安全率を乗じた値としてもよい。
【0073】
ステップS03では、吐出ヘッド31~34のクリーニングが実行される。クリーニング制御部150は、判定部164によって、演算部162で演算された積算の光量が閾値V1を上回ったと判定されると、クリーニング機構90を制御して、吐出ヘッド31~34をクリーニングさせる。
【0074】
ステップS04では、積算の光量T1~T4の値が全てリセットされる。ステップS04の後、ステップはステップS01の前に戻る。そして、ステップS01~S04が最初から繰り返される。
【0075】
なお、図7および上記説明では簡略化したが、クリーニングは、積算光量が閾値V1を上回った後すぐにではなく、実施中の印刷が終了してから行われてもよい。
【0076】
上記のような制御により、プリンタ1は、自動で吐出ヘッド31~34のクリーニングを行い、吐出ヘッド31~34を問題のない状態に保つことができる。かつ、過剰なクリーニングによる生産性の低下を抑え、インクの廃棄量を少なくすることができる。
【0077】
(第2実施形態)
第2実施形態では、吐出ヘッドは2つのノズル列を備えている。また、光センサは、主走査方向Yに関して、2つのノズル列の中間に配置されている。第2実施形態は、その他の点に関しては、第1実施形態と共通である。そこで、第2実施形態の説明においては、第1実施形態と共通する部材には同じ符号を使用し、重複する説明は省略または簡略化する。
【0078】
図8は、第2実施形態に係るプリントヘッド25の構成を示す平面図である。図8に示すように、第1吐出ヘッド31は、第1ノズル列31cと、第2ノズル列31dとを備えている。第1ノズル列31cは、複数のノズル31a1の一部が副走査方向Xに一列に並んで構成されている。第1ノズル列31cは、副走査方向Xに延びている。第2ノズル列31dは、第1ノズル列31cと主走査方向Yに並んでいる。ここでは、第2ノズル列31dは、第1ノズル列31cの右方に配置されている。第2ノズル列31dは、第1ノズル列31cを構成するノズル31a1以外のノズル31a1が副走査方向Xに一列に並んで構成されている。第2ノズル列31dもまた、副走査方向Xに延びている。
【0079】
第1光センサ51は、主走査方向Yに関して、第1ノズル列31cと第2ノズル列31dとの間に受光部51aの一部が入るように設けられている。ただし、主走査方向Yに関して、第1ノズル列31cと第2ノズル列31dとの間には、受光部51aの全部が入っていてもよい。言い換えれば、主走査方向Yに関して、第1ノズル列31cと第2ノズル列31dとの間の距離は、受光部51aの幅よりも広くてもよい。ここでは、受光部51aの中心線と、第1ノズル列31cと第2ノズル列31dとの間の中心線とは一致している(図8の中心線L3)。また、副走査方向Xに関して、第1光センサ51は、第1実施形態と同様、第1吐出ヘッド31の前方に隣接している。第1光センサ51は、光照射装置40の照射範囲A1内に全体が入っている。
【0080】
よって、第1光センサ51は、第1ノズル列31cと第2ノズル列31dとの間の中心線L3上において第1吐出ヘッド31が受けるのとほぼ同じ光量の光を受けている。第1ノズル列31cと第2ノズル列31dとの間の中心線L3上は、主走査方向Yに関する第1吐出ヘッド31の位置を好適に代表している。
【0081】
第2吐出ヘッド32と第2光センサ52、第3吐出ヘッド33と第3光センサ53、および、第4吐出ヘッド34と第4光センサ54も、第1吐出ヘッド31と第1光センサ51と同様に構成されている。
【0082】
このように、1つの吐出ヘッドにつき複数のノズル列を有するプリンタでも、光センサを好適に配置することにより、吐出ヘッドが受ける光の光量に近い光量を測定することができる。それにより、吐出ヘッドを問題のない状態に保ちつつ、過剰なクリーニングによる生産性の低下を抑え、インクの廃棄量を少なくすることができる。
【0083】
(第1実施形態および第2実施形態の変形例)
第1実施形態および第2実施形態は、いくつかの変形例によっても実現できる。図9は、1つの変形例に係るプリンタ1のブロック図である。図9に示すように、本変形例の制御装置100は、光量管理部160に警告部165を備えている。警告部165は、判定部164によって演算部162で演算された積算の光量が閾値を上回ったと判定された場合に、警告を発する。本変形例では、クリーニングは自動で実施されず、警告でクリーニングが必要なことを知ったユーザーによって実施される。このような制御によっても、第1実施形態および第2実施形態と同様の効果を得ることができる。警告は、例えば、操作パネル170に表示されてもよい。あるいは、例えば、警告音が発せられてもよい。
【0084】
以上、いくつかの実施の形態について説明したが、ここに開示するプリンタは、上記した実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、光センサは、吐出ヘッドの主走査方向に関する幅の中に配置されていた。しかし、光センサは、一部が吐出ヘッドの主走査方向に関する幅の外側に出ていてもよい。例えば、光センサまたは受光部の幅が吐出ヘッドの幅よりも広いために、光センサまたは受光部が吐出ヘッドの外側にはみ出していてもよい。また、主走査方向に関して、光センサの中心線と吐出ヘッドの中心線とを一致させず、ずらしてもよい。光センサの受光部は、主走査方向に関して、吐出ヘッドの幅の中に少なくとも一部が入るように設けられていればよい。
【0085】
また、上記した実施形態では、吐出ヘッドが吐出するインクは、紫外線硬化性のインクであったが、それには限定されない。例えば、インクは熱硬化型のインクであってもよい。その場合、例えば、光照射装置から赤外線を照射することにより、インクの溶媒を揮発させ、インクを硬化させることができる。光照射装置は、例えば、メタルハライドランプ等を備えるとよい。このようなプリンタにおいても、ベッドや記録媒体からの反射光によって吐出ヘッドのインクが増粘または硬化するという問題は同じである。よって、かかるプリンタにも、ここに開示する技術は好適に利用することができる。
【0086】
上記した実施形態では、プリンタ1はフラットベッドタイプのプリンタであったが、プリンタの構成は特に限定されない。例えば、ここに開示される技術は、記録媒体がロールから供給されるタイプのプリンタに対して適用されてもよい。
【0087】
さらに、ここに開示する技術は、プリンタだけでなく、プリントヘッドを備えた他の装置にも利用することができる。例えば、ここに開示する技術は、吐出ヘッドからの吐出液として、光の照射によって硬化する硬化液を吐出する三次元造形装置などに利用されてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 プリンタ
5 記録媒体
25 プリントヘッド
26 キャリッジ
31~34 吐出ヘッド
31a ノズル列
31a1 ノズル
31b ノズル面
31c 第1ノズル列
31d 第2ノズル列
40 光照射装置
41 照射部
51~54 光センサ
51a 受光部
60 ベッド
70 移動機構
90 クリーニング機構
100 制御装置
110 移動制御部
150 クリーニング制御部
161 信号受信部
162 演算部
163 記憶部
164 判定部
165 警告部
X 副走査方向(第2方向)
Y 主走査方向(第3方向)
Z 上下方向(第1方向)
A1 照射範囲
V1 閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9