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特許7083758眼鏡フレーム内にレンズを設計して配置する方法
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  • 特許-眼鏡フレーム内にレンズを設計して配置する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】眼鏡フレーム内にレンズを設計して配置する方法
(51)【国際特許分類】
   G02C 13/00 20060101AFI20220606BHJP
【FI】
G02C13/00
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2018559259
(86)(22)【出願日】2017-05-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-06
(86)【国際出願番号】 US2017031912
(87)【国際公開番号】W WO2017196948
(87)【国際公開日】2017-11-16
【審査請求日】2020-03-10
(31)【優先権主張番号】62/334,128
(32)【優先日】2016-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/382,598
(32)【優先日】2016-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/398,379
(32)【優先日】2016-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511232411
【氏名又は名称】マテリアライズ エヌ.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】MATERIALISE N.V.
【住所又は居所原語表記】Technologielaan 15, B-3001 Leuven, Belgium
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100161034
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 知洋
(74)【代理人】
【識別番号】100187632
【弁理士】
【氏名又は名称】橘高 英郎
(72)【発明者】
【氏名】パランディアン,アリレザ
(72)【発明者】
【氏名】クラッカーズ,トム
(72)【発明者】
【氏名】マース,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】畑中 隆志
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/027196(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/195471(WO,A1)
【文献】特開2015-66046(JP,A)
【文献】特開2011-60100(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0318776(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カスタムアイウェアの着用者の解剖学的構造及びライフスタイルに関する着用者情報を受信する工程と、
前記着用者の前記解剖学的構造及び前記ライフスタイルの少なくとも一部に基づき、前記着用者に最適化されたレンズの位置を設定するレンズパラメータの値を計算する工程と、
前記着用者の解剖学的部位のモフォロジを示すスキャン画像を取得する工程と、
デジタルカタログからフレームを選択する工程と、
前記レンズパラメータの値及び前記スキャン画像に適合するように前記フレームを修正し、前記フレームを形成し、前記レンズパラメータを有するカスタムアイウェアを作製する工程と、を含み、
前記フレームの修正は、1つ又は複数のフレームパラメータの値を前記レンズパラメータに適合するように修正することを含み、
前記レンズパラメータは、レンズオフセット(x&z)、装用時前傾角度(PA)、角膜頂点間距離(CVD)、レンズ面形状角度(LFFA)、最小視点高さ(EPH)、最小Bサイズ、上部までの最小距離、及び最小コリドー長さのうちの少なくとも1つを含み、
前記フレームパラメータは、フレームモデルID、OMAデータ、HBox、VBox、傾斜、フレーム面形状角度(FFFA)、パラメトリックモデル、色オプション、フレーム材料、溝の型、及び斜面の型のうちの少なくとも1つを含む
コンピュータにより実施されるカスタムアイウェアの作製方法。
【請求項2】
前記レンズパラメータの値は、処方データ、以前の眼鏡、レンズの型、瞳孔間距離(PD)、及び前記スキャン画像のうちの1つ又は複数に対して最適化されている請求項1に記載のカスタムアイウェアの作製方法。
【請求項3】
前記処方データは、二焦点レンズ、三焦点レンズ、又は多焦点レンズの測定結果を含む請求項2に記載のカスタムアイウェアの作製方法。
【請求項4】
前記レンズパラメータによって設定される前記レンズの位置は、前記レンズの第1領域に屈折補正機能を含む位置である請求項1~3のいずれか1項に記載のカスタムアイウェアの作製方法。
【請求項5】
前記レンズパラメータの値は、理想値及び前記レンズパラメータの許容値の範囲から選択される請求項1~4のいずれか1項に記載のカスタムアイウェアの作製方法。
【請求項6】
前記フレームを選択する工程は、前記レンズパラメータの値に適合するフレームを選ぶ工程を含む請求項1~5のいずれか1項に記載のカスタムアイウェアの作製方法。
【請求項7】
1つ又は複数の前記フレームパラメータに基づいてレンズ計算を行う工程をさらに含み、
前記レンズ計算は前記フレームパラメータを有するフレームに最適なレンズを近似する請求項1~6のいずれか1項に記載のカスタムアイウェアの作製方法。
【請求項8】
レンズを再加工して、前記レンズ計算からの前記最適なレンズに基づいて3Dレンズ形状を作成する工程をさらに含む請求項7に記載のカスタムアイウェアの作製方法。
【請求項9】
前記3Dレンズ形状、選択した前記フレーム、及び前記着用者の解剖学的部位のモフォロジを示す前記スキャン画像の自動フィッティングを行う工程をさらに含む請求項8に記載のカスタムアイウェアの作製方法。
【請求項10】
前記自動フィッティングの出力は、PA、CVD、LFFA、EPH、及び上部リムまでの距離のうちの1つ又は複数から選択されたレンズパラメータと、DBL、HBox、VBox、FFFA、傾斜角度、及びテンプル長さから選択されたフレームパラメータと、を含む請求項9に記載のカスタムアイウェアの作製方法。
【請求項11】
レンズ材料/レンズコードをフレームフィッティングのための前記フレームパラメータに追加する工程をさらに含む請求項10に記載のカスタムアイウェアの作製方法。
【請求項12】
異なるレンズ材料へ変更する工程と、前記レンズ計算、前記フレームの最適化、及び/又は前記自動フィッティングを少なくとも1回さらに繰り返す工程と、をさらに含む請求項11に記載のカスタムアイウェアの作製方法。
【請求項13】
前記フレームパラメータを変更する工程と、前記自動フィッティングを任意で少なくとも1回さらに繰り返す工程と、をさらに含む請求項11又は12に記載のカスタムアイウェアの作製方法。
【請求項14】
最終的に計算された前記レンズパラメータ及び前記フレームパラメータに基づいて、最終のレンズ計算が行われる請求項12又は13に記載のカスタムアイウェアの作製方法。
【請求項15】
前記レンズパラメータの最適化のための最終チェックを行う工程を含む請求項14に記載のカスタムアイウェアの作製方法。
【請求項16】
カスタマイゼーションウェブサービスを介して前記レンズのカスタマイズを行う工程を含む請求項11~15のいずれか1項に記載のカスタムアイウェアの作製方法。
【請求項17】
前記レンズのカスタマイズは、
前記フレームのデザイン、材料、加工、及び色のうちの少なくとも1つを選択する工程と、
前記レンズのコーティング、色合い、偏光、フィルタのうちの少なくとも1つを選択する工程と、
前記カスタムアイウェアを注文する工程と、を含む請求項16に記載のカスタムアイウェアの作製方法。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成されたコンピュータプログラム。
【請求項19】
処理装置によって実行される際、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法を前記処理装置に実行させるコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータ読取可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願と優先権主張の相互参照]
本出願は、2016年5月10日に出願された米国仮特許出願第62/334,128号、2016年9月1日に出願された米国仮特許出願第62/382,598号、及び2016年9月22日に出願された米国仮特許出願第62/398,379号の利益を主張し、上記出願の全開示が、上記出願の全体を参照することにより、本明細書に明確に組み込まれる。
【0002】
本出願は、カスタムアイウェアに関する。特に、本出願は、レンズの周囲に設計されて構成されたアイウェアフレームに関する。
【背景技術】
【0003】
従来より、アイウェア(眼鏡類)の設計はフレーム中心である。設計者がフレームを作成し、使用者がフレームを選択し、それから眼鏡技師が選択されたフレームにレンズを適合させる。この手法は、フレームに使用可能であるスタイル、大きさ、形状、材料、及び色の多様な範囲によって証明される、非常に大きな設計自由度を提供する。
【0004】
快適性及び外観は、現在のフレーム技術によって充分に果たされている一方、視覚感は悪い。アイウェアを使用する主な理由である視力矯正のため、光学性能はフレームよりもレンズに依存する。近視、遠視、乱視、老眼等の状態につながる目の光屈折誤差をレンズが矯正するためには、レンズの光学系を眼ごとに個別に処方し、眼の前の正しい位置及び向きに配置しなければならない。レンズが正しく合っていない場合、着用者は、視覚的不快感、眼精疲労、頭痛、及び視力低下に悩まされる。一例として、レンズの位置は装用時前傾角度の原因となる。なお、装用時前傾角度とは、レンズの光軸と第1眼位における眼の視軸とがなす角度である。通常、レンズの光学的中心は、2度の装用時前傾角度ごとに1mm下がる。そうでなければ、着用者は、光学的中心以外で球面屈折力及び円柱屈折力の変化によって引き起こされるレンズ収差を感じやすくなる。多焦点レンズ又は累進レンズでは、眼に対するレンズの位置がさらに重要である。
【0005】
フレームが最初に選択され、レンズがフレームに合うように作られる現在の環境では、フレーム設計は、レンズを着用者の眼の前に最適に配置又は配向させない結果となる制約を課す可能性がある。場合によっては、着用者は、正しく位置していないレンズの光学系を許容したり、そのレンズの光学系に慣れたりする。他の場合には、不適切な位置にあるレンズの悪影響を克服することができず、着用者は、まずその影響に悩まされ、それから、問題を解決するために多くの解決策を試す。これらの着用者にもたらされる結果は、身体的な不快感、解決策を探すために費やされる時間及びお金、またしばしば、着用者のニーズにより適合する異なるフレームの選択の申し込みである。当技術分野において、アイウェアの着用者にとってフィット感及び視覚感の両方を向上させる必要性が残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、レンズの周囲にアイウェアフレームを設計して形成するシステム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、カスタムアイウェアの着用者の解剖学的構造及びライフスタイルに関する着用者情報を受信する工程と、前記着用者の前記解剖学的構造及び前記ライフスタイルの少なくとも一部に基づき、前記着用者に最適化されたレンズの位置を設定するレンズパラメータの値を計算する工程と、前記着用者の解剖学的部位のモフォロジを示すスキャン画像を取得する工程と、デジタルカタログからフレームを選択する工程と、前記レンズパラメータの値及び前記スキャン画像に適合するように前記フレームを修正し、前記フレームを形成し、カスタムアイウェアを作製する工程と、を含むコンピュータにより実施されるカスタムアイウェアの作製方法に関する。
【0008】
前記レンズパラメータの値は、処方データ、以前の眼鏡、レンズの型、瞳孔間距離(PD)、及び前記スキャン画像のうちの1つ又は複数に対して最適化され得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記処方データは、二焦点レンズ、三焦点レンズ、又は多焦点レンズの測定結果を含む。
【0010】
ある実施形態では、前記レンズパラメータによって設定される前記レンズの位置は、前記レンズの第1領域に屈折補正機能を含む位置である。
【0011】
前記レンズパラメータは、レンズオフセット(x&z)、装用時前傾角度(PA)、角膜頂点間距離(CVD)、レンズ面形状角度(LFFA)、最小視点高さ(EPH)、最小Bサイズ、上部までの最小距離、及び最小コリドー長さのうちの少なくとも1つを含み得る。前記レンズパラメータの値は、理想値及び前記レンズパラメータの許容値の範囲から選択され得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記フレームを選択する工程は、前記レンズパラメータの値に適合するフレームを選ぶ工程を含む。前記フレームを修正する工程は、1つ又は複数のフレームパラメータ値を修正する工程を含み得る。
【0013】
前記フレームパラメータは、フレームモデルID、OMAデータ、HBox、VBox、傾斜、フレーム面形状角度(FFFA)、パラメトリックモデル、色オプション、フレーム材料、溝の型、及び斜面(bevel)の型を含み得る。
【0014】
ある実施形態では、本明細書に記載する方法は、1つ又は複数の前記フレームパラメータに基づいてレンズ計算を行う工程をさらに含み、前記レンズ計算は前記フレームパラメータを有するフレームに最適なレンズを近似する。
【0015】
この方法は、レンズを再加工(reconstruction)して、前記レンズ計算からの前記最適なレンズに基づいて3Dレンズ形状を作成する工程をさらに含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、この方法は、前記3Dレンズ形状、選択した前記フレーム、及び前記着用者の解剖学的部位のモフォロジを示す前記スキャン画像の自動フィッティングを行う工程をさらに含む。
【0017】
前記自動フィッティングの出力は、PA、CVD、LFFA、EPH、及び上部リムまでの距離のうちの1つ又は複数から選択されたレンズパラメータと、DBL、HBox、VBox、FFFA、傾斜角度、及びテンプル長さから選択されたフレームパラメータと、を含み得る。
【0018】
ある実施形態では、レンズ材料/レンズコードをフレームフィッティングのための前記フレームパラメータに追加し得る。例えば、この方法は、異なるレンズ材料へ変更する工程と、前記レンズ計算、前記フレームの最適化、及び/又は前記自動フィッティングを少なくとも1回さらに繰り返す工程と、をさらに含み得る。
【0019】
さらなるステップは、前記フレームパラメータを変更する工程と、前記自動フィッティングを任意で少なくとも1回さらに繰り返す工程と、をさらに含み得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、最終的に計算された前記レンズパラメータ及び前記フレームパラメータに基づいて、最終のレンズ計算が行われる。
【0021】
ある実施形態では、前記レンズパラメータの最適化のための最終チェックを行い得る。
【0022】
カスタマイゼーションウェブサービスを介してレンズのカスタマイズを行い得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記レンズのカスタマイズは、フレームのデザイン(設計)、材料、加工、及び色のうちの少なくとも1つを選択する工程と、レンズのコーティング、色合い、偏光、フィルタのうちの少なくとも1つを選択する工程と、前記カスタムアイウェアを注文(発注)する工程と、を含む。
【0024】
本開示の他の態様は、本明細書に記載された方法を実行するように構成されたコンピュータプログラムに関する。本開示のさらに他の態様は、処理装置によって実行される際、本明細書に記載された上記方法を前記処理装置に実行させるコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータ読取可能な媒体に関する。本開示のさらに他の態様は、本明細書に記載された方法にしたがってカスタマイズされたアイウェア製品に関する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、レンズの周囲にアイウェアフレームを設計して形成するシステム及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】一態様にかかる、カスタマイズされたアイウェアを設計する動作の例を示す図である。
図2】一態様にかかる、着用者用にレンズを最適化させる動作の例を示す図である。
図2A図2のレンズ最適化方法又はアルゴリズムを実行する動作の例を示す図である。
図3】一態様にかかる、着用者用にレンズを最適化し、最適化されたレンズに基づいてカスタマイズされたアイウェアを設計する動作の例を示す図である。
図4】カスタマイズされたアイウェアを設計するシステムの一例を示す図である。
図5】図のシステムのコンピュータのより詳細な図を示す。
図6】図の付加製造装置を用いて本明細書に開示された1つ又は複数の実施形態のアイウェアフレームを製造する一般的なプロセスの図である。
図7】本明細書に開示されたアイウェアの製造に用いられ得る付加製造装置の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
現在、フレームが選択され、レンズがフレームに合わせられる結果、着用者の視覚感がしばしば損なわれる。本発明者等は、着用者に適切にフィットするように屈折補正用レンズを確保できれば、また、フレームがレンズの適切な位置を制約するのではなく、むしろ支持することができれば、有利であることを認識した。したがって、本明細書では、レンズの周囲にアイウェアフレームを設計して形成するシステム及び方法について開示する。いくつかの実施形態では、このシステム及び方法は、着用者に最適化されたレンズパラメータから始め、それからレンズに適合するフレームを設計して形成することから、従来のアイウェアを作製する手法とは異なる。いくつかの実施形態では、フレームは、付加製造(AM)技術を用いて形成され得る。例えば、アイウェアの設計、カスタムフィッティング、及び調整用に最適化されているソフトウェアを、フレームを設計するために用いることができ、また、製品用AM処理を、フレームを形成するために用いることができる。いくつかの実施形態では、本明細書で論じられるAM技術が着用者の光学レンズ要求を満たすようにアイウェアをカスタマイズすることを可能にする。本明細書で論じられるアイウェア設計に対するレンズ中心の手法及び視覚中心の手法は、正確にフィットするだけでなく、着用者の視覚感も高めるカスタムアイウェアを生産し得る。
【0028】
眼鏡を組み立てる従来の方法では、事前に測定されたフレームデータに基づいて、与えられたアイウェアフレームに眼鏡レンズを合わせている。また、この処理においてフレームデータを修正又は最適化するためのいくつかの方法が提案されている。しかしながら、レンズからフレーム最適化までの直接的なデータフローは記載されておらず、またどのように実行されるかも記載されていない。
【0029】
一態様は、フレームのデータ、フレームの変形可能なデータ、着用者データ、及びレンズデータを提供する工程(提供ステップ)を含む眼鏡レンズ及びフレーム用の計算システムに関する。いくつかの方法では、フレームのリムのスペースを測定し、形状の慣性主軸を決定し、新しいリムフレームデータを計算することによって、眼鏡フレーム形状データを修正する。さらなる態様は、提供ステップ及び外形決めステップを含むフレームの外形を最適化するための方法を含む。加えて、使用者のライフスタイル情報に応じて用意された基本設計バリエーションを適用できる場合、レンズのコリドー長さは、使用者のライフスタイル情報及び累進レンズ用の基本設計情報にしたがって、累進レンズ用に用意されたコリドー長さバリエーションから選択され得る。しかしながら、コリドー長さ及び基本設計の選択は、事前に測定されたフレームパラメータによって制限され得る。
【0030】
アイウェアフレームは、色、パターン、スタイル、形状、フィット、及び材料の広い範囲で選択可能であり、いずれも着用者の好みに合うように適合させることができる。眼鏡技師は、着用者の顔の特徴、顔の形、顔の大きさ等の形状に基づいて、一般的な推奨を行う。例えば、眼鏡技師は、楕円形の顔で大きな鼻を有する人に、対比色のテンプル又はテンプルでの装飾的要素と、顔立ちの比率のバランスを取る低いブリッジと、を有し、顔に幅を足すアイウェアフレームを試すようにアドバイスし得る。フレームを選択する最も一般的な方法は、眼鏡技師の店で入手可能な様々なモデルを試すことである。
【0031】
いくつかの態様では、アイウェアフレームの画像を着用者の顔又は頭部のスキャン画像に重ねる仮想フィッティングシステムを用いることによって、着用者はより適切なフレームを探すことができる。いくつかのシステムでは、着用者の顔の左右の画像等の2D画像が用いられる。いくつかの態様では、3D形状、特に顔やフレームのような曲線形状を2D画像に平坦化する際、詳細がゆがめられたり省略されたりし得るので、2D画像を用いると、着用者にアイウェアフレームがどのように見えるかの近似しか着用者に与えることができない。したがって、いくつかの態様では、顔及びフレームの3Dレンダリングを生成する3Dスキャナ又はアルゴリズムを用いて、仮想フィッティングを実行することができる。いくつかの態様では、3D画像に基づくバーチャルフィッティングシステムは、実寸法の3D顔モデルを生成するために顔の特徴を抽出することができ、それからアイウェアの仮想フィッティング用に3D顔モデルを表示する。他の例では、仮想試着システムは、フレームフィッタ(fitter)及びレンズフィッタを組み合わせた画像処理システムと3D画像生成器とを含むので、フレームをフィットさせることができるとともにフレームの仕様にレンズを切断することができる。同様に、着用者の頭部の寸法に関するデータを受信して処理する方法は、アイウェア設計から始め、そして、着用者の頭部についてのデータを用いて着用者固有のアイウェアの設計を作成する。他のシステムは、カメラから携帯用デバイスに保存した画像を用いた場合であっても簡易画像に基づく着用者の顔の3Dモデルを生成し、このデータを、アイウェアモデルを構成するコンピュータと組合せ、着用者の顔の上にモデルを表示し、モデルのカスタマイゼーションを可能にする。加えて、コンピュータは、カスタマイズされたアイウェアモデルについての情報を製造業者に伝送することができる。
【0032】
いくつかの態様では、付加製造(AM)性能は、画像システムとカスタマイゼーションシステムとの組合せで用いられ得る。例えば、PCT/EP2015/059509(Materialise N.V.)には、カスタマイズされたアイウェアフレームを含む対象が記載されている。この文献では、スキャンされた身体部分(着用者の頭部、顔、耳)の画像に対象の表示をフィッティングし、身体部分に正確にフィットするように対象を調整することによってアイウェアフレームをカスタマイズしている。付加製造による対象の製造を容易にするために、対象は、3Dプリンタで容易に印刷可能な形式で表示されて調整される。
【0033】
3D印刷への接続は、顧客が、例えば眼鏡技師の店の多機能複合システムで、顔を(例えば3Dスキャナを用いて)スキャンする例でも見られる。それから、顧客は、個々の要件及び要望を入力し、顧客の顔のスキャン画像に合ったサンプルデザインの画像を受信し、フレームを選択し、その場でフレームを3D印刷する。最後に、アイウェアをカスタマイズする方法は、着用者の顔の特徴に基づいていてもよく、また、アイウェアを製造するために情報を3Dプリンタに送信してもよい。
【0034】
上述の方法のいくつかは、フレーム選択処理を容易にし得るものの、このような方法では、アイウェアのレンズについて適切に説明されていない。むしろ、このような方法では、フレームが選択されて合わされて、すでに選択されて合わされたフレームにレンズを合わせるように構成されているので、フレーム内にレンズをどのように収めるか、また、フレーム内にレンズをどのように位置させるかが制限される。例えば、眼鏡のフィッティングのシミュレーションを行うシステムは、レンズ選択、レンズ処方データ、レンズ材料データ、及びレンズ光学設計データに基づいてシミュレーションを行い得る。しかし、レンズデータは、予め選択された眼鏡フレームに取り付けられた際のレンズの形状及び外観を決定するために用いられる。いくつかの方法は、着用者のレンズ用の正しい幾何学的パラメータを自動的に決定する処理を用いる。しかし、この処理は、着用者及びすでに選択された眼鏡フレームを表すデータセットに依存する。したがって、本発明者等は、レンズパラメータ及び着用者の画像から始め、それからレンズパラメータ及び着用者の画像に基づいて適切なフレームパラメータを決定するカスタムアイウェアを作製する方法及びシステムを開発した。
【0035】
(スキャン画像)
いくつかの態様では、カスタムアイウェアは、アイウェアを着用する個人の特有の解剖学的構造に基づいて設計されて形成される。この個人という用語は、本明細書において、「着用者」、「使用者」、「個人」、又は「顧客」とも呼ばれ得る。アイウェアを選択するコンピュータベースのシステムでは、計算装置(コンピュータデバイス)は、画像取込装置を利用して着用者を撮像することによって着用者の実際的なデジタル表示(例えばデジタル画像)を生成し得る。例えば、着用者のデジタル画像は、カメラ、光センサ、又はスキャナ等の1つ又は複数の画像取込装置によって生成され得る。スキャナは、光学式スキャナ、赤外線スキャナ、レーザスキャナ、3Dスキャナ、又はX線装置やCDスキャナ等の医療用スキャナであり得る。いくつかの態様では、計算装置は、例えば、寸法が既知の基準物体を用いることによって、又は、スケールバー又は定規を用いることによって、着用者の画像に基づいて着用者の寸法を決定する。いくつかの実施形態では、デジタル画像は3Dスキャナを用いて取得した3D画像であり得る。いくつかの実施形態では、計算装置は、2つ以上の2D画像を結合して3D画像を生成し得る。
【0036】
着用者のデジタル表示は、着用者の解剖学的部位を含み得る。したがって、着用者の解剖学的構造に関する着用者情報は、着用者の解剖学的部位の身体的特徴及び/又は定量測定結果であり得る。いくつかの実施形態では、着用者の顔は、顔の正面又は頭部の後ろ、例えば着用者の頭部の前頭平面(冠状平面)に平行である面から撮像され得る。着用者の顔は、顔の一方の側又は両側から、着用者の頭部の矢状面に平行である面から撮像され得る。着用者の顔は、着用者の頭部の横断面に平行である平面図における上方から撮像され得る。眼、鼻、耳、まつ毛、及び眉毛等の解剖構造は、着用者のデジタル表示の少なくとも1つの角度からはっきりと見ることができる。ほお骨(例えば、頬骨及び頬骨弓)、まゆ骨(例えば、眼窩上孔)、及び耳の後ろの骨(例えば、乳様突起)等の構造も撮像され、例えば、アイウェア構成要素が接触していても接触していなくてもよい目印として又は境界としてレンズフィッティング及びフレームフィッティングに用いられ得る。いくつかの実施形態では、使用者のデジタル表示は、着用者の解剖学的部位を含む。デジタル表示は、着用者の解剖学的部位のモフォロジを(「形態」又は「構造」も)示し得る。レンズパラメータ及び着用者のデジタル表示から始まるカスタムアイウェアを作製するために、計算装置は着用者のデジタル表示を用いてもよく、それから、レンズパラメータ及び着用者のデジタル表示に基づいて適切なフレームパラメータを決定することができる。
【0037】
(レンズパラメータの最適化)
本明細書で論じるいくつかの態様では、例えば、眼鏡(例えばフレーム及びそれに取り付けられたレンズ)の光学性能を向上させるために、フレームを個々に(例えばカスタマイズされて)設計することができることから、設計されたフレームは取り付けられたレンズの理想の(又は理想に近い)装用条件を維持する。ある実施形態では、計算装置は、着用者の処方箋及び/又は着用者のライフスタイルパラメータ(例えば、着用者の歴史、着用者によって行われる活動等)に基づいて、着用者用レンズパラメータ(例えば、角膜頂点間距離(CVD)、装用時前傾角度(PA)、又は顔形状角度(FFA)等)を決定し得る。例えば、計算装置は、着用者のライフスタイル情報に基づいて、一般的な累進付加レンズ(PAL)、室内使用累進レンズ、又は近視累進レンズ(減衰レンズを含む)等のPAL用に、コリドー長さ等のレンズパラメータを決定し得る。他の例では、レンズの基本設計を、着用者のライフスタイルに基づいて決定してもよい。
【0038】
(a)ある態様では、計算装置は、アイウェアの着用者の処方データ及び着用者のライフスタイル情報を入力信号として受信して利用し、着用者用のレンズパラメータ(例えば、レンズパラメータの値の範囲)をコンピュータ計算し得る。ある実施形態では、計算装置は、コンピュータ計算されたレンズパラメータ及び着用者のデジタル表示に基づいて着用者用カスタムアイウェアをさらに設計し得る。例えば、以下に、着用者のライフスタイル情報に基づいて着用者用のレンズパラメータを生成する計算装置によって実行される方法の一例を記載する。ステップ1~4は、着用者の処方箋及びライフスタイル情報の計算装置への入力を含み、ステップ5は、計算装置によるレンズパラメータの出力を含む。
【0039】
(評価方法の一例)
入力データ:
ステップ1:患者の処方箋
R:sph +0.25D、cyl -1.25D、Ax 100deg、Add 2.50D
L:sph +2.25D、cyl -2.50D、Ax 80deg、Add 2.50D
【0040】
ステップ2:患者の歴史:今までにどのタイプの眼鏡を室内で主に使用しているか?
1 一般的な目的
2 SVの読み取り
3 二焦点レンズ
4 中央の中間PAL(Mid-Intermediate PAL)
5 近距離Pal(減衰PAL)
6 遠視SV又は共用SV
7 裸眼
選択:4
【0041】
ステップ3:基本的な室内でのライフスタイル(重要度:0=重要でない、・・・、4=非常に重要)
重要度ポイント:IL(1)~IL(3)
+室内で遠距離(約4.5m)を見ることはどのくらい重要か?
IL(1)0・・・4/選択:1
+室内で中距離(60cm~1m)を見ることはどのくらい重要か?
IL(2)0・・・4/選択:4
+室内で近距離(30~50cm)を見ることはどのくらい重要か?
IL(3)0・・・4/選択:4
【0042】
重要度ポイント:IL(4)~IL(6)
+コンピュータの使用に関し、どのタイプのコンピュータを使用しているか?また、それらはどのくらい重要か?
デスクトップPC: IL(4)0・・・4/選択:3
ラップトップ型/ノート型パソコン: IL(5)0・・・4/選択:3
パッド/スマートフォン: IL(6)0・・・4/選択:1
【0043】
ステップ4:個人のライフスタイル
重要な5項目を選択する。選択した項目はどのくらい重要か?
(重要度:0=重要でない、・・・、2=非常に重要)
重要度レベルポイント:IL(7)~IL(15)
+本や雑誌を読む IL(7)0・・・2/選択:2
+新聞を読む IL(8)0・・・2/選択:0
+テレビを見る IL(9)0・・・2/選択:2
+机で行う通常の仕事 IL(10)0・・・2/選択:1
+複数人との打合せ IL(11)0・・・2/選択:1
+楽器の演奏 IL(12)0・・・2/選択:0
+テーブルゲームで遊ぶ IL(13)0・・・2/選択:0
+ガーデニング IL(14)0・・・2/選択:2
+芸術の創作 IL(15)0・・・2/選択:0
【0044】
いくつかの態様では、選択パラメータに重み付けされ、また選択パラメータは近距離ゾーン、中距離ゾーン、遠距離ゾーン用の機能パラメータに関連する。
【0045】
ステップ5:装用時前傾角度(PA)、角膜頂点間距離(CVD)、及びレンズ面形状角度(LFFA)の出力
+理想PA スペース用/スクリーン用/近場用の理想のPA 計算されたExp.:9.0deg
+PA最大値 PAの最大限界値(装用時前傾角度) 計算されたExp.:13.0deg
+PA最小値 PAの最小限界値(装用時前傾角度) 計算されたExp.:5.0deg
+理想CVD 角膜頂点間距離の理想値 計算されたExp.:12.1mm
+CVD最大値 CVDの最大限界値 計算されたExp.:13.5mm
+CVD最小値 CVDの最小限界値 計算されたExp.:11.5mm
+理想LFFA 理想のレンズ面形状角度 計算されたExp.:0deg
+LFFA最大値 LFFAの最大限界値 計算されたExp.:9.5deg
+LFFA最小値 LFFAの最小限界値 計算されたExp.:-2.0deg
【0046】
(b)レンズパラメータ及び適切な範囲限界の計算:理想の装用時前傾角度(PA)、理想の角膜頂点間距離(CVD)、理想のレンズ面形状角度(LFFA)、及びフレーム形状データ
いくつかの態様では、レンズパラメータの値の範囲は、計算装置を用いて以下のように計算される。いくつかの態様では、レンズパラメータの値の範囲は、他の適切な計算を用いて計算される。
【0047】
(1)理想の装用時前傾角度(PA)
これは、地面に対する水平線とレンズの前面上のプリズム基準点における垂直線との間の子午面における理想の角度として定義される。このため、着用者の頭部の位置が自然な位置にあるとき、着用者は、レンズのフィッティングポイントを通して水平方向(第1眼位)に見ることができる。いくつかの態様では、PAは以下のように計算され得る。
【0048】
着用者の右の加入度数Add(R)及び左の加入度数Add(L)の処方箋の値に基づいて、PA1を理想の装用時前傾角度とする。
【0049】
平均加入度数(MAD)は、以下のように定義される。
【0050】
MAD=(Add(R)+Add(L))/2
【0051】
MAD<2.0の場合、PA1=8.0
【0052】
MAD≧2.0の場合、PA1=4/3×(MAD-2)+8
【0053】
PAFを、遠距離視(例えば4~5m)で主に用いられる着用者の理想の装用時前傾角度とする。
【0054】
PAMを、中距離視(例えば60cm~1m)で主に用いられる着用者の理想の装用時前傾角度とする。
【0055】
PANを、近距離視(例えば30~50cm)で主に用いられる着用者の装用時前傾角度とする。
【0056】
理想的な場合:
PAF=8.0
PAM=9.0
PAN=10.0
【0057】
PA2を、遠距離視PAF、中距離視PAM、及び近距離視PANの着用者の重要度に基づく理想の装用時前傾角度とする。
【0058】
いくつかの実施形態では、計算装置は、着用者にとって最も重要な視力距離に基づいて、PA2を、PAF、PAM、及びPANから選択し得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、上述のように、計算装置は、遠距離視、中距離視、及び近距離視の着用者の重要度によって、及び/又は重み付けポイントに応じて、(例えば、上述のステップ3及びステップ4への入力情報としての)着用者のライフスタイル情報に基づいてPA2を計算し得る。
【0060】
ある実施形態では、室内の累進レンズに対する1つ又は複数の重み付けポイント及び重要度が以下のように定義され得る。
【0061】
遠視、中間視、近視の重み付けポイント(WP)は、ライフスタイル項目ごとに定義される。
【0062】
ステップ3から:基本的な室内ライフスタイル
重み付けポイント(1)~(3)
+室内で遠距離(例えば4.5m以上)を見ることはどのくらい重要か?
WP(1):遠距離 5、中距離 0、近距離 0
+室内で中距離(例えば60cm~1m)を見ることはどのくらい重要か?
WP(2):遠距離 0、中距離 5、近距離 0
+室内で近距離(例えば30~50cm)を見ることはどのくらい重要か?
WP(3):遠距離 0、中距離 0、近距離 5
【0063】
+コンピュータの使用に関し、どのタイプのコンピュータを使用しているか?また、それらはどのくらい重要か?
重み付けポイント(4)~(6)
WP(4):デスクトップPC:遠距離 0、中距離 8、近距離 2
WP(5):ラップトップ型/ノート型パソコン:遠距離 0、中距離 3、近距離 7
WP(6):パッド/スマートフォン:遠距離 0、中距離 3、近距離 5
【0064】
ステップ4から:個人のライフスタイル
重み付けポイント(7)~(15)
WP(7):本や雑誌を読む:遠距離 0、中距離 3、近距離 7
WP(8):新聞を読む:遠距離 0、中距離 5、近距離 5
WP(9):テレビを見る:遠距離 8、中距離 2、近距離 0
WP(10):机で行う通常の仕事:遠距離 1、中距離 5、近距離 4
WP(11):複数人との打合せ:遠距離 3、中距離 2、近距離 3
WP(12):楽器の演奏:遠距離 2、中距離 6、近距離 2
WP(13):テーブルゲームで遊ぶ:遠距離 0、中距離 5、近距離 5
WP(14):ガーデニング:遠距離 5、中距離 3、近距離 2
WP(15):芸術の創作:遠距離 1、中距離 5、近距離 3
【0065】
遠視、中間視、近視の総合加算点(TSP)は、IL(n)及びWP(n)から以下のように計算され得る。なお、n=1~15である。
【0066】
TSPfar=WPfar(1)×IL(1)+WPfar(2)×IL(2)+・・・+WPfar(14)×IL(14)+WPfar(15)×IL(15)
【0067】
TSPmid=WPmid(1)×IL(1)+WPmid(2)×IL(2)+・・・+WPmid(14)×IL(14)+WPmid(15)×IL(15)
【0068】
TSPnea=WPnea(1)×IL(1)+WPnea(2)×IL(2)+・・・+WPnea(14)×IL(14)+WPnear(15)×IL(15)
【0069】
TSP=TSPfar+TSPmid+TSPnea
【0070】
PA2=8×TSPfar/TSP+9×TSPmid/TSP+10×TSPnea/TSP
【0071】
上述の例で計算されたPA2の値は9.2である。
【0072】
サンプル例としての使用者のMADが2.50である場合、PA1の値は8.7となるであろう。
【0073】
理想のPA(Ideal PA)は以下のように計算された理想の装用時前傾角度として出力される。
【0074】
Ideal PA=(PA1+PA2)/2
【0075】
WP、IL、及びMADの上述のサンプル例では、Ideal PAは以下のように計算されるだろう。
【0076】
Ideal PA=(PA1+PA2)/2=(8.7+9.2)/2=9.0
【0077】
装用時前傾角度の適切な限界は以下のように計算される。
【0078】
PA最大値=Ideal PA+4.0
【0079】
PA最小値=Ideal PA-4.0
【0080】
(2)理想の角膜頂点間距離(CVD)
これは、主要な視覚方向(水平方向)における、着用者の角膜頂点とフレームに取り付けられたレンズの後面との間の理想の距離として定義される。
【0081】
dMPWは、以下のように右のレンズの度数と左のレンズの度数との間の差異の絶対値である。
【0082】
dMPW=|(Sph(R)+Cyl(R)/2)-(Sph(L)+Cyl(L)/2)|
【0083】
理想の角膜頂点間距離(Ideal CVD)は、以下のように計算される。
【0084】
dMPW<1.0である場合、Ideal CVD=12.5
【0085】
2.0>dMPW≧1.0である場合、Ideal CVD=(-1)×(dMPW-1)+12.5
【0086】
dMPW≧2.0である場合、Ideal CVD=11.5
【0087】
角膜頂点間距離(CVD)の適切な限界は以下のように定義される。
【0088】
CVD最大値=13.5
【0089】
CVD最小値=11.5
【0090】
(3)理想のレンズ面形状角度(LFFA)
これは、右のレンズ及び左のレンズの前面上のそれぞれのフィッティングポイントでの垂直線と視界の第1眼位線との間の、フィッティングポイントで左右のレンズの前面を横切る水平面における理想の角度である。
【0091】
理想のLFFAは、光学的理由の観点からのフレーム面形状角度の理想条件として、常に0である。
【0092】
LFFA最大値は、フレーム面形状角度の適切な装用条件としての最大限界値である。
【0093】
処方度数が高い着用者が大きなLFFA値を有する眼鏡を着用した場合、左右逆向きに水平に傾けた左右のレンズを介した傾きのある画像のため、着用者は不自然に感じたり違和感を覚えたりする傾向にある。この問題は、レンズの処方度数の水平成分が高い場合に大きくなる。処方度数が弱い場合、この問題は小さい。
【0094】
LFFA最大値は以下のように計算される。
【0095】
MPWhは、以下のように右及び左の水平度数成分の平均度数として定義される。
【0096】
MPWh=((Sph(R)+Cyl(R)×COS(AX(R)+90))^2+(Sph(L)+Cyl(L)×COS(AX(L)+90))^2)/2
【0097】
MPWhの絶対値(|MPWh|)<6.0の場合、LFFA最大値=(-5/6)×(MPWhの絶対値-6.0)+5.0
【0098】
|MPWh|≧6.0の場合、LFFA最大値=5.0
【0099】
LFFA最小値は、適切な装用条件の最小限界値である。いくつかの態様では、LFFAはゼロに限定されている。
【0100】
(4)推奨フレーム形状データ
フレーム形状データは、ボクシングシステム(A/Bサイズ)に関連する眼鏡レンズ(2次元平面)の最大垂直及び水平延設部を参照する。
【0101】
いくつかの態様では、米国特許出願公開第2011/043754号明細書に記載されているようなコリドー長さ選択方法を用いることで、フレームサイズ情報及びフレーム形状上のフィッティングポイント位置なしで、コリドー長さを予め選択することができる。
【0102】
いくつかの態様では、コリドー長さ及び累進設計の基本設計計算は、フィッティングポイントから組み立てられたレンズの上縁、下縁、右縁、及び左縁までの最小距離、最大距離、及び理想の距離、また、最終的には、理想のレンズの水平方向及び垂直方向における延設部を定義する。
【0103】
例えば、いくつかの態様では、フィッティングポイントからフレーム形状の上縁までの推奨長さは12mmである。いくつかの態様では、フィッティングポイントからフレーム形状の上縁までの最小長さは10mmである。
【0104】
いくつかの態様では、フィッティングポイントからフレーム形状の下縁までの推奨長さは8mmである。いくつかの態様では、フィッティングポイント付近からフレーム形状の下縁までの最小長さは4mmである。
【0105】
いくつかの態様では、最終的なコリドー長さ、及び、FP(フィッティングポイント)から上縁までの推奨長さ又は最小長さとFP付近から下縁までの推奨長さ又は最小長さとの合計は、推奨される(例えば20mm)又は最小の(例えば14mm)の垂直方向のフレームサイズを定義するだろう。
【0106】
コンピュータ計算されたレンズパラメータ及び着用者のデジタル表示に基づいて着用者用カスタムアイウェアをさらに設計するために、計算装置は上述のレンズパラメータ情報を受信して用いてもよい。
【0107】
図2は、着用者用にレンズを最適化する動作の例を示す。201で、レンズの着用者用アイウェアを任意に受注する。202で、計算装置は最適化されたレンズの着用者の(例えば画像取込装置によって取り込まれた)3Dスキャン画像を受信する。また、203で、計算装置は3Dスキャン画像の3D再加工を行い、着用者のデジタル表示(例えば、着用者の頭部の少なくとも一部のデジタル表示)を生成する。204で、計算装置はレンズデータ処理ソフトウェアへの入力信号としてのレンズデータを受信する。レンズデータは着用者の処方データ及び着用者の歴史(例えば、以前に使用していたアイウェア、以前のレンズ設計等)を含み得る。いくつかの態様では、処方データは、二焦点レンズ、三焦点レンズ、又は多焦点レンズの測定結果を含む屈折補正用レンズの測定結果を含み得る。
【0108】
計算装置は着用者のライフスタイルデータ(例えば、本明細書で論じたような、基本的な室内ライフスタイル及び/又は個人のライフスタイル)をさらに受信し得る。上述のように、着用者のライフスタイルはレンズを選ぶ際に重要な要素となり得る。したがって、着用者のライフスタイルに関する着用者情報は、着用者が必要とするレンズの型についての情報、又は着用者がアイウェアを使用して行うであろう活動についての情報を含み得る。例えば、何人かの着用者は、室内又は屋外のいずれか一方での使用のための累進レンズを使用することがあり、また何人かの着用者は、コンピュータ作業、読書、及び/又は他の近接作業を含む仕事又は趣味を有することがある。加えて、いくつかの態様では、レンズの型又は他のレンズ要求(例えば、単焦点(single vision)、累進視(progressive vision)、室内)情報は204で受信され得る。例えば、計算装置がレンズの型及び他のレンズ要求を用い、レンズの型や着用者の他のレンズ要求を満たすレンズ設計を決定してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、レンズ設計は、累進レンズ、単焦点レンズ、及び加工レンズから選択され得る。
【0109】
205で、計算装置はレンズ最適化アルゴリズムを実行する。例えば、計算装置は、着用者のライフスタイルデータ、レンズの型又は着用者の他のレンズ要求、着用者の処方データ、以前のレンズ設計、及び着用者の歴史のうちの1つ又は複数に基づいて1つ又は複数のレンズパラメータを決定する。いくつかの態様では、計算装置によってコンピュータ計算された1つ又は複数のレンズパラメータは、レンズ設計、設計ID、コリドー長さ、遠方変化コード、近方変化コード、装用時前傾角度(PA)(理想値プラス可能な値の範囲)、角膜頂点間距離(CVD)(理想値プラス可能な値の範囲)、レンズ面形状角度(LFFA)(理想値プラス可能な値の範囲)、最小視点(Ep)高さ、最小Bサイズ、及び最小遠方ゾーンのうちの1つ又は複数を含む。例えば、205aで、着用者の処方データをレンズ最適化アルゴリズムに入力する。205bで、着用者の歴史をレンズ最適化アルゴリズムに入力する。205cで、着用者の基本的な室内でのライフスタイルデータをレンズ最適化アルゴリズムに入力する。205dで、着用者の個人的なライフスタイルデータをレンズ最適化アルゴリズムに入力する。任意の205eで、計算装置は、(例えば重要度に基づいて)ライフスタイルデータを重み付けするための重み付けポイントを用い、任意の205fで、重み付けされたライフスタイルデータを合計し、205iで、理想のPA等の1つ又は複数のレンズパラメータを決定する。また、入力データに基づいて、計算装置は、205gで、PA、CVD、FFA等の1つ又は複数のレンズパラメータをコンピュータ計算する。205hで、計算装置は計算モジュールを実行し、205iでの理想のPAや、205jでの理想のCVDや、205kでの理想のLFFA等の1つ又は複数のレンズパラメータをコンピュータ計算する。205lで、計算装置はレンズパラメータに基づいて推奨フレーム形状データを決定する。206で、計算装置はフレーム測定結果及びフレームの適合性を決定し得る。例えば、計算装置は、着用者のデジタル表示に基づいて、着用者の解剖学的構造の目印及び着用者の瞳孔間距離(PD)のうちの1つ又は複数を決定し、フレームを適合させ得る。いくつかの実施形態では、シングルサインオンキー(SSO)が用いられる。ある実施形態では、206を205の前に実行し得る。
【0110】
いくつかの実施形態では、レンズパラメータによって設定されるレンズ位置は、レンズの屈折補正機能をレンズの第1領域に配置する位置とする。
【0111】
(フレーム及びレンズのフィッティング)
上述のように、計算装置がレンズパラメータ情報を受信して使用し、コンピュータ計算されたレンズパラメータ及び着用者のデジタル表示に基づいて着用者用カスタムアイウェアをさらに設計し得る。
【0112】
ある態様では、着用者の視覚感のため、いくつかのレンズパラメータが他のパラメータよりも重要になり得る。例えば、装用時前傾角度(PA)及びレンズ面形状角度(LFFA)は、可能な限り理想値に近いか、又は少なくとも許容範囲(例えば、許容される値の範囲)内に設定され得る。いくつかの態様では、従来の手法でレンズを標準フレームに合わせる場合、理想のPA値及びLFFA値は得られにくい。その結果、標準フレームに合わせたレンズは、着用者にとっての正しいPA値又はLFFA値を有さないことが多い。
【0113】
上述のように、このような従来のフィッティングとは対照的に、本明細書に記載されたシステム及び方法は、着用者用に正しく位置決めされたレンズの周囲にフレームをどのように合わせるかを決定するために、正しいPA値及びLFFA値、並びに他のレンズパラメータ及び着用者の解剖学的構造のデータを用い得る。いくつかの実施形態では、レンズパラメータ及び着用者の解剖学的構造のデータを用い、カスタムアイウェアを設計するためのフレームパラメータを計算する。
【0114】
図3は、ある態様にしたがって、着用者用にレンズを最適化し、最適化されたレンズに基づいてカスタマイズされたアイウェアを設計する動作の例を示す。302で、着用者は例えばフレーム選択中に製品カタログ(301)からフレームを選択する。ある態様では、製品カタログ301は計算装置上に保存され得る。ある態様では、製品カタログ内の各フレーム設計は、フレーム設計を修正するための指示/パラメータの対応するセットを有し得る。一例として、フレーム設計者は、フレームの垂直方向の測定結果及びフレームの水平方向の測定結果が特定の設計例とみなされるために値の範囲内にそれぞれ入らなければならないことを明示し得る。
【0115】
計算装置は、(本明細書で論じたように計算された)着用者用レンズパラメータに基づいて選択されたフレーム用のフレームパラメータを決定する。フレームパラメータは、選択されたフレーム設計用のフレームモデルID、レンズ間距離(DBL)(定義された値及び許容値範囲)、Hbox(例えば、水平サイズ制約)(定義された値及び許容値範囲)、VBox(例えば、垂直サイズ制約)(定義された値及び許容値範囲)、傾き(定義された値及び許容値範囲)、フレーム面形状角度(FFFA)(定義された値及び許容値範囲)、テンプル長さ(定義された値及び許容値範囲)、パラメトリックモデル、色オプション、フレーム材料、溝の型、及び斜面の型のうちの1つ又は複数を含み得る。
【0116】
ある実施形態では、303で、計算装置がレンズ計算を行い、レンズ値(例えば、左右のレンズの前面ベースカーブ(BC)、左右のレンズの後面BC、左のCT、右のCT、屈折率(レンズ材料の測定)、斜面パラメータ、溝パラメータ、及びレンズの注文に必要なその他のパラメータ)を計算する。いくつかの実施形態では、計算装置は、既製のフレーム(例えば、初期フレームパラメータに応じて製品カタログ内で特定されるようなフレーム)のレンズ値を最初に計算し得る。いくつかの態様では、計算装置は、レンズパラメータに基づいてフレームを調整するための開始点として、これらの計算を用いる。計算装置は、レンズコード、OMAデータ(ソフトウェア情報)、フレーム材料、フレームの型、斜面の型、溝の型、処方データ、着用者のPD(PD/2を表す測定値であってもよい)、縁厚さ、最小EP高さ、垂直方向のプリズム、水平方向のプリズム、及びコリドー長さのうちの1つ又は複数を含む測定結果の組合せに基づいて、レンズ値を計算し得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、レンズ再加工を行う。前面BC値、後面BC値、CT値、及び反射率の値のうちの1つ又は複数を入力データとして用い、ブランクレンズ形状を作成し得る。これは、入力パラメータに基づくモデルである。
【0118】
ある実施形態では、304で、計算装置はレンズ最適化アルゴリズム(205)等のレンズ最適化アルゴリズムを実行する。
【0119】
305aで、計算装置はフレームパラメータをレンズパラメータに自動的にフィッティングさせる。レンズ、フレーム、及び着用者のスキャン画像に関する1つ又は複数のパラメータを用い、計算装置は、各レンズ、フレーム、及び着用者の解剖学的構造を互いにどのようにして最もフィッティングさせ得るかを決定する。この処理の間に計算装置によって調整されて最適化されたパラメータは、3Dモデル、目印、装用時前傾角度(PA)(理想値プラス可能な値の範囲)、角膜頂点間距離(CVD)(理想値プラス可能な値の範囲)、レンズ面形状角度(LFFA)(理想値プラス可能な値の範囲)、最小視点(Ep)高さ、最小Bサイズ、最小遠方ゾーン、左右のレンズの前面ベースカーブ(BC)、左右のレンズの後面BC、左のCT、右のCT、反射率、レンズ間距離(DBL)(定義された値及び許容値範囲)、Hbox(定義された値及び許容値範囲)、VBox(定義された値及び許容値範囲)、傾斜角度(定義された値及び許容値範囲)、フレーム面形状(FFFA)(定義された値及び許容値範囲)、テンプル長さ(定義された値及び許容値範囲)のうちの1つ又は複数を含む。
【0120】
計算装置は、自動フィッティングステップに続いて、調整されたカスタムフレーム(306a)のレンズ計算を実行する。レンズコード、OMAデータ(ソフトウェア情報)、フレーム材料、フレームの型、斜面の型、溝の型、処方データ、着用者のPD(PD/2を表す測定値であってもよい)、縁厚さ、最小EP高さ、垂直方向のプリズム、水平方向のプリズム、及びコリドー長さのうちの1つ又は複数を含む測定結果の組合せを用い、計算装置は、左右のレンズの前面ベースカーブ(BC)、左右のレンズの後面BC、左のCT、右のCT、反射率(レンズ材料の測定)、斜面パラメータ、溝パラメータ、及びレンズ注文に要求される他のパラメータのうちの1つ又は複数を含むレンズ測定結果をさらに決定する。
【0121】
いくつかの実施形態では、計算装置は、フレーム(305b)及び(306b)用に、より最適化された値を得るために、カスタムフレームの自動フィッティングステップ及びレンズ計算ステップを任意で少なくとも1回繰り返す。カスタムフレームの自動フィッティング及びレンズ計算は、1回、2回、3回、またはそれ以上の回数繰り返し得る。ある実施形態では、カスタムフレームの自動フィッティングステップ及びレンズ計算は繰り返されない。
【0122】
それから、計算装置は、レンズ、フレーム、及び着用者のスキャン画像の適合性を測定し得る(307)。
【0123】
308で、計算装置は、Hbox(実際の値及び許容範囲)、DBL(実際の値及び許容範囲)、及びテンプル長さ(実際の長さ及び許容長さ)のうちの少なくとも1つを決定することによって、与えられたレンズ材料のフレームフィッティングを実行する。このように合わせられたフレームに使用可能なレンズを、例えば、レンズIDで示してもよい。
【0124】
いくつかの実施形態では、顧客はレンズ材料を変更する(309)。これらの場合、計算装置は、カスタムフレームのレンズ計算を再度実行し(306a)、カスタムフレームの自動フィッティング及びレンズ計算を任意で繰り返し(305a及び305b)、レンズ、フレーム、及び着用者のスキャン画像の適合性を測定し(307)、新しいレンズ材料のフレームフィッティング及びレンズ材料を変更するステップ(309)を実行する。レンズ材料が再度変更された場合、最終的なレンズ材料の最終値が確認されるまでこれらのステップを繰り返す。
【0125】
いくつかの実施形態では、顧客はフレームパラメータを変更する(310)。レンズ材料が変更された場合と同様に、計算装置は、カスタムフレームのレンズ計算を再度実行し(306a)、カスタムフレームの自動フィッティング及びレンズ計算を任意で繰り返し(305a及び305b)、レンズ、フレーム、及び着用者のスキャン画像の適合性を測定し(307)、フレームフィッティング及びレンズ材料を変更するステップを実行する(309)。フレームパラメータが再度変更された場合、選択が終了するまでこれらのステップを繰り返す。付加製造に適した典型的なフレーム材料は、可撓性、耐UV性、耐衝撃性、低アレルギー性、及び軽量の形態で利用可能であるポリアミドである。
【0126】
ある実施形態では、さらなるステップがレンズカスタマイゼーションウェブサービス(311)を含む。レンズIDの入力を受けて、計算装置は、カスタマイゼーションを実行するとともに、塗装、色合い、フィルタ、偏光、又は写真でカスタマイズされたレンズの仕様を出力する。顧客が塗装、色合い、フィルタ、偏光、並びにフレームカラー、質感、及び仕上げから選択する、デザイン、材料、加工、及び塗装の最終ステップが続いてもよい。計算装置は、選択を、レンズの塗装、色合い、及び仕上げ情報と、フレームの色、質感、及び仕上げ情報とを記述する最終出力と一体化してもよい。
【0127】
最終的に、顧客は、空間におけるレンズ位置が最適化されたレンズを有し、レンズ周囲にフレームを合わせたアイウェアをチェックして注文することができる。
【0128】
本開示の一態様は、本明細書に記載した方法を実行するように構成されたコンピュータプログラムである。
【0129】
本開示の他の態様は、処理装置によって実行される際、本明細書に記載された方法を処理装置に実行させるコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータ読取可能な媒体である。
【0130】
(カスタマイゼーションシステム)
本開示のさらなる態様は、眼鏡技師等のアイケアの専門家の助けがあってもなくても、顧客がカスタムアイウェアを注文するカスタマイゼーションシステム(図1)に関する。カスタマイゼーションシステムは本明細書に記載された方法を実行する。いくつかの実施形態では、カスタマイゼーションシステムはスキャナユニット及びコンピュータ等の計算装置を含む。計算装置は、処理装置と、メモリと、ディスプレイユニットと、顧客に関するデータを入力する入力手段とを有する。カスタマイゼーションシステムは、顧客から指示や情報を受信し、その結果を表示するユーザインタフェースを含み得る。システムは、他のコンピュータから情報を受信したり送信したりするために、ネットワークにさらに接続されていてもよい。いくつかの実施形態では、システムはアイウェアの仕様を製造業者に送信することができるように構成されている。例えば、仕様は付加製造用プリンタに送信され得る。
【0131】
1.顔のスキャン
いくつかの実施形態では、システムのスキャナユニットは、着用者の顔のスキャンを行うように構成されている。いくつかの態様では、スキャン精度は高い。いくつかの実施形態では、スキャナユニットは、シャッタカメラ及びライトのうちの1つ又は複数を含む。スキャナユニットは、画像(picture)レンダリング用のフラッシュ電力LEDと、広角視野用の投射キセノン・フラッシュチューブとを含み得る。いくつかの実施形態では、4つの工業グレードのグローバルシャッタカメラがある。カメラは、薄暗い光及び明るい光の両方の条件下で作動し得る。いくつかの実施形態では、キセノン・フラッシュチューブはより広い投射角度を可能にすることから、顧客は短時間で容易に位置決めすることができる。
【0132】
スキャナユニットは固定用ミラーを含み得るとともに、着用者間の身長の相違を調節するためにスキャナユニットを上下に昇降させる電子エレベータを含み得る。例えば、エレベータは、130~190cmの間でスキャナを昇降させ得る。エレベータは、電力スイッチを有していてもよく、リモート制御ユニットによって制御されてもよい。スキャナユニットは、USB等の標準的な接続を介して計算装置に接続される。
【0133】
いくつかの実施形態では、顧客はスキャナユニットから顔のスキャン画像を取得する。いくつかの実施形態では、顧客は、約1m離れてスキャナユニットの前に直立で立ち、スキャナユニットを顧客の眼から約2m離す。いくつかの実施形態では、ディスプレイの幅は約25cmであり、ディスプレイは鏡又は鏡面であり得る。いくつかの実施形態では、この鏡の幅は、顧客がスキャナの中央に位置決めされることを可能にし、スキャナユニットと顧客との間の距離は収束エラーを防止する距離とする。中央位置は視差エラーを防止する位置とする。したがって、いくつかの実施形態では、スクリーンに現れる顧客の画像が正しい位置を示すので、顧客が立つ必要がある地面に(線、x、又は一対の足跡等の)マークをつける必要がない。この時点で、アイケアの専門家はスキャナユニットの垂直方向の位置を顧客の頭部の前の正しい位置に調整することができる。調整後、アイケアの専門家は画像を撮ることができ、そして、システムは処理を完了するまで続ける。
【0134】
いくつかの実施形態では、カスタマイゼーションシステムは、アイウェアフレームのサンプルのディスプレイを含む。ディスプレイは独立ユニットであってもよく、あるいは、壁に掛かっているディスプレイであってもよい。ディスプレイは、本明細書に記載されたフィッティング方法及び最適化方法に適切なフレームの選択を示すことができる。また、顧客は、彼(彼女)がフィッティング用に後で選択するデザインのサンプルを触ったり試着したりすることができる。いくつかの実施形態では、フレームコレクション全体を有する台全体をディスプレイしたり、製品カタログに含めたりすることができる。
【0135】
2.個人情報
計算装置は、顧客の個人的なアイウェアのニーズに関する個人情報を受信するように構成されていてもよい。例えば、顧客が情報を入力してもよく、又は、顧客が計算装置に既に接続されている他のシステムから取り込まれた情報を有していてもよい。顧客情報は、顧客の視覚ニーズ及びライフスタイル要求についての詳細を含む。顧客の機能的なニーズに対応して、レンズを近距離ゾーン、中距離ゾーン、及び遠距離ゾーンに区分し得る。計算装置は、理想のレンズ設計を決定し、最良の視覚性能及び視覚感を提供する位置にレンズを配置する。
【0136】
3.フレーム選択及びカスタマイゼーション
いくつかの実施形態では、コンピュータスクリーンであり得るディスプレイユニットは、レンズの定義された位置に合致するとともにレンズに対する物理的な障壁を形成する張り出した頬骨や長いまつ毛等解剖学的構造の制限にいっそう配慮するフレームを示す。顧客は、好ましい色及び仕上げを有するベースモデルを選択し得る(フレーム選択)。計算装置は、レンズ、快適性、及び着用者の顔への適合性を自動的に調整する。
【0137】
4.付加的なレンズ機能
いくつかの実施形態では、カスタマイゼーションシステムは、顧客が最終的なレンズ選びのために追加のレンズ機能を選択することを可能にする。いくつかの実施形態では、アイケアの専門家はこのステップで顧客の手助けをする。計算装置は選択されたアイウェアにおける顧客の仮想イメージを生成する。いくつかの実施形態では、顧客及び/又はアイケアの専門家は、レンズの正しい位置を維持するためにフレームの形状を修正することができる。修正は、例えばフレーム構成要素(例えば、テンプル、鼻ブリッジ、フレーム高さ等)をどれだけ拡張または縮小することができるかを規定する設計者によって事前に規定された制限に配慮し得る。いくつかの実施形態では、顧客は、彼又は彼女の個人的な好みに合わせてフレームを構成するために、異なる色又は質感を試し得る。いくつかの実施形態では、フレームに対する修正は、印刷適性によっても制限される。
【0138】
5.注文及び製造
計算装置は、注文、追跡、及び製造のうちの少なくとも1つを調整するように構成されていてもよい。計算装置は、フレーム及び/又はレンズ仕様を1人又は複数の製造業者に接続するソフトウェアを有していてもよい。いくつかの実施形態では、フレームが付加製造を用いて生産される。したがって、フレームは理想の視力及びレンズパラメータに応じて3Dプリントされており、レンズと精密カットとをフレームに一体化させる。ある実施形態では、フレーム及びレンズが別々の製造業者によって生産されて組み立てられる。顧客及びアイケアの専門家は、追跡及び追跡機能を用いて注文の進捗を追うことができる。
【0139】
6.顧客への配送
レンズ及びフレームの製造及び組み立て後、アイウェアをアイケアの専門家及び/又は顧客へ配送する。
【0140】
(付加製造)
本発明のさらなる態様は、本明細書の記載された方法を用いて製造された、カスタマイズされたアイウェア製品に関する。いくつかの実施形態では、カスタムアイウェアは、従来の3D印刷技術を利用して製造されている。
【0141】
本発明の実施形態は、3Dオブジェクトを設計して製造するシステム内で行われ得る。図に、3Dオブジェクト設計及び製造の実施に適切なコンピュータ環境の一例が示されている。環境はシステム400を含む。システム400は、例えば、任意のワークステーション、サーバ、又は情報を処理することができる他の計算装置であることができる1つ又は複数のコンピュータ402A402Dを含む。いくつかの態様では、各コンピュータ402A402Dを、適切な通信技術(例えば、インターネット・プロトコル)によって、ネットワーク405(例えばインターネット)に接続することができる。したがって、コンピュータ402A402Dは、ネットワーク405を介して相互に情報(例えば、ソフトウェア、3Dオブジェクトのデジタル表示、付加製造装置を動作させるためのコマンド又は指示等)を送受信し得る。
【0142】
システム400は、1つ又は複数の付加製造装置(例えば3Dプリンタ)406A 06Bをさらに含む。図示されているように、付加製造装置406Aはコンピュータ40 2Dに直接接続されており(また、ネットワーク405を介してコンピュータ402A 402Cに接続されたコンピュータ402Dを介して接続されており)、付加製造装置 06Bは、ネットワーク405を介してコンピュータ402A402Dに接続されている。したがって、当業者は、付加製造装置406は、コンピュータ402に直接接続され、ネットワーク405を介してコンピュータ402に接続され、及び/又は他のコンピュータ402及びネットワーク405を介してコンピュータ402に接続され得るということを理解するだろう。
【0143】
システム400を、ネットワークと1つ又は複数のコンピュータとについて説明したが、本明細書に記載される技術は、付加製造装置406に直接接続され得る単一のコンピュータ402にも適用されることに注意されたい。
【0144】
は、図のコンピュータの一例の機能的ブロック図を示す。コンピュータ402Aは、メモリ520、入力装置530、及び出力装置540とデータ通信する処理装置51 を含む。いくつかの実施形態では、処理装置は、任意のネットワークインタフェースカード560とさらにデータ通信する。個別に説明したが、コンピュータ402Aについて説明した機能的ブロックは、個別の構造要素である必要はないということを認識されたい。例えば、処理装置510及びメモリ520は、単一のチップ内にまとめられていてもよい。
【0145】
処理装置510は、本明細書に記載された機能を実行するように設計された、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)又は他のプログラマブル論理素子(装置)、別々のゲート又はトランジスタ論理、別々のハードウェア構成要素、又はこれらの任意の適切な組合せとすることができる。処理装置は、計算装置の組合せ、例えばDSPとマイクロプロセッサとの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと併せた1つ又は複数のマイクロプロセッサ、又は任意の他のこのような構成として実装され得る。
【0146】
処理装置510は、1つ又は複数のバスを介してメモリ520に接続され、メモリ52 から情報を読み取ったり、メモリ520に情報を書き込んだりすることができる。処理装置は、プロセッサ・レジスタ等のメモリを付加的に又は代替的に含み得る。メモリ52 は、異なるレベルが異なる容量及びアクセススピードを有するマルチレベル階層キャッシュを含むプロセッサキャッシュを含むことができる。メモリ520は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、他の揮発性記憶装置、又は非揮発性記憶装置を含むこともできる。記憶装置(ストレージ)は、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)やデジタルビデオデスク(DVD)等の光ディスク、フラッシュメモリ、フロッピーディスク、磁気テープ、及びZIPドライブを含むことができる。
【0147】
処理装置510は、コンピュータ402Aのユーザからの入力情報を受信する入力装置 530及びコンピュータ402Aのユーザへの出力情報を受け取る出力装置540にも接続され得る。適切な入力装置は、キーボード、ボタン、キー、スイッチ、ポインティングデバイス、マウス、操作レバー(ジョイスティック)、リモコン装置、赤外検出器、バーコード読み取り機、スキャナ、(可能であれば、例えば手の動きや顔の動きを検出する映像処理ソフトに接続されている)ビデオカメラ、人感センサ(動作感知装置)、又は(可能であれば、例えば音声コマンドを検出する音声処理ソフトに接続されている)マイクを含むが、これに限定されるものではない。適切な出力装置は、ディスプレイとプリンタとを含む映像出力装置、スピーカとヘッドホンとイヤホンとアラームとを含む音声出力装置、付加製造装置、及び触覚出力装置を含むが、これに限定されるものではない。
【0148】
処理装置510は、ネットワークインタフェースカード560にさらに接続され得る。ネットワークインタフェースカード560は、1つ又は複数のデータ伝送プロトコルにしたがってネットワークを介して伝送する処理装置510によって生成されたデータを用意する。ネットワークインタフェースカード560はまた、1つ又は複数のデータ伝送プロトコルにしたがってネットワークを介して受信したデータを復号する。ネットワークインタフェースカード560は、送信器、受信器、又はその両方を含むことができる。他の実施形態では、送信器及び受信器は、2つの個別の構成要素であることができる。ネットワークインタフェースカード560は、本明細書で述べた機能を実行するように設計された、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)又は他のプログラマブル論理素子、別々のゲート又はトランジスタ論理、別々のハードウェア構成要素、又はこれらの任意の適切な組み合わせとして具現化されることができる。
【0149】
は、カスタマイズされたアイウェア等の3Dオブジェクトや装置を製造するプロセス600を示す。図示するように、ブロック605では、オブジェクトのデジタル表示がコンピュータ402A等のコンピュータを用いて設計される。例えば、二次元(2-D)又は三次元(3D)データが、3Dオブジェクトのデジタル表示の設計を補助するためにコンピュータ402Aに入力され得る。続くブロック610において、情報がコンピュータ402Aから付加製造装置406等の付加製造装置へ送信され、装置406は、受信した情報にしたがって製造プロセスを開始する。プロセスはブロック615に続き、付加製造装置406はポリマや金属粉末等の適切な材料を用いて3Dオブジェクトを製造し続ける。ブロック620で、3Dオブジェクトが生成される。
【0150】
は、三次元(3D)オブジェクトを生成する付加製造装置700の一例を示す。この例では、付加製造装置700は、レーザ焼結装置である。レーザ焼結装置700は、1つ又は複数の3Dオブジェクトを層ごとに生成するために用いられ得る。レーザ焼結装置 700は、例えば、粉末714等の粉末(例えば、金属、ポリマ等)を利用し、形成プロセスの一部として一度に層のオブジェクトを形成し得る。
【0151】
連続的な粉末層は、例えば再塗工装置715A(例えば再塗工ブレード)を用いて互いの上面に広げられる。再塗工装置715Aが他の層を形成するために形成領域の向こう側から出発する場合、再塗工装置715Aは、層を構成する粉末が例えば図示する方向又は反対の方向に形成領域を横切って移動する際に層を構成する粉末を堆積させる。
【0152】
堆積後、コンピュータで制御されたCOレーザビームが表面を走査し、製品の対応する断面の粉末粒子同士を選択的に結合させる。いくつかの実施形態では、レーザ走査(スキャニング)装置712は、X-Y方向に動かせる赤外線レーザ光源である。このように、レーザ光源を、粉末層の最上部の特定の位置に光線を向けるためにX軸に沿って及びY軸に沿って移動させることができる。あるいは、いくつかの実施形態では、レーザ走査装置712は、固定レーザ光源からレーザ光を受光するとともに可動ミラー上でレーザ光を屈折させて光線を装置の作業領域内の特定の位置に向けるレーザスキャナを含み得る。レーザ露光の間、粉末温度は、材料(例えば、ガラス、ポリマ、金属)の転移点を超えて上昇し、その後、隣接する粒子が一緒に流れて3Dオブジェクトを形成する。装置700は、放射線ヒータ(例えば赤外線ランプ)及び/又は大気制御装置716も任意に含み得る。放射線ヒータを、新しい粉末層の再塗工とその層の走査との間に粉末を予備加熱するために用いてもよい。いくつかの実施形態では、放射線ヒータは省略され得る。大気制御装置は、例えば粉末酸化等の望ましくない状況を避けるために、プロセスの全体にわたって使用されてもよい。


図1
図2
図2A
図3
図4
図5
図6
図7