(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】植物栽培用の縦型組立品
(51)【国際特許分類】
A01G 9/02 20180101AFI20220606BHJP
A01G 27/02 20060101ALI20220606BHJP
A01G 27/00 20060101ALI20220606BHJP
【FI】
A01G9/02 B
A01G9/02 E
A01G27/02 F
A01G27/00 502E
A01G27/00 502W
(21)【出願番号】P 2018565667
(86)(22)【出願日】2017-06-14
(86)【国際出願番号】 US2017037426
(87)【国際公開番号】W WO2017218640
(87)【国際公開日】2017-12-21
【審査請求日】2020-06-11
(32)【優先日】2016-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518352639
【氏名又は名称】フレイト ファームズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】FREIGHT FARMS, INC.
【住所又は居所原語表記】840 Summer Street, Suite 108 Boston, MA 02127, US
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145458
【氏名又は名称】秋元 正哉
(72)【発明者】
【氏名】フリードマン,ジョン
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-337054(JP,A)
【文献】特開2003-160938(JP,A)
【文献】特開2015-000002(JP,A)
【文献】登録実用新案第3051736(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0005958(US,A1)
【文献】特開2000-069854(JP,A)
【文献】特開2012-183037(JP,A)
【文献】実開昭60-190240(JP,U)
【文献】特開平08-172948(JP,A)
【文献】実開昭59-070445(JP,U)
【文献】実開昭51-140736(JP,U)
【文献】特開平05-137471(JP,A)
【文献】特開2016-096754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/02
A01G 27/02
A01G 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物栽培用装置であって、
パネル組立品を備え、該パネル組立品が、
前面および後面を有する支持パネルと、
前記支持パネルの後面に支持され、前記支持パネルの上部領域の入口から下部領域の出口まで延びる栄養物流路を提供する、少なくとも1つの栄養物流れチャネルと、
前記支持パネルの前記前面に支持された、少なくとも1つの栽培ポケットであり、前記栄養物流れチャネルと並んで配置され、植物出入口を有する、少なくとも1つの栽培ポケットと、
前記支持パネルにある、少なくとも1つの流体開口であり、前記栽培ポケットの内部と前記栄養物流路との間を流体連通するように前記栽培ポケットの下部領域に配置された、少なくとも1つの流体開口と、
を備え
、
さらに、前記栽培ポケットを形成するように前記支持パネルの前記前面に固定された前面パネルを備え、前記前面パネルと前記支持パネルとをともに固定する接着部の対によって、前記栽培ポケットの輪郭が形成され、
前記栽培ポケットの前記輪郭が、前記植物出入口から前記流体開口下方の狭い閉鎖底部まで先細りになっている装置。
【請求項2】
前記栽培ポケットの前記植物出入口が、前記栽培ポケットの上部にわたって延びる、前記前面パネルの第1のスリットと、該第1のスリットから前記栽培ポケットの下部領域の方へ直交して延びる、前記前面パネルの第2のスリットと、を備える、請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
前記栽培ポケットの前記植物出入口が、さらに、前記第1のスリット下方に前記前面パネルの切り取り領域を含む、請求項
2に記載の装置。
【請求項4】
前記栽培ポケットの前記植物出入口が、前記パネル組立品の側方へ開く、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
さらに、前記栄養物流れチャネルと直線状に並ぶように縦列に配置された、複数の栽培ポケットを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
さらに、前記栄養物流れチャネルを形成するように、接着部
の対に沿って前記支持パネルの前記後面に固定された後面パネルを備え、前記栄養物流れチャネルが、上部入口から下部出口まで延び、前
記流体開口
を挟んで前記栽培ポケットと対面する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記栄養物流路が、前記後面パネルと前記支持パネルとをともに固定する、
前記接着部の
対の間の領域を含み、前
記接着部
の対が、前記上部入口から前記下部出口まで延びる、請求項
6に記載の装置。
【請求項8】
前記支持パネルと前記後面パネルが、前記栄養物流れチャネル内の栄養液を前記支持パネルの前記流体開口に導く位置において傾斜した接着部に沿ってともに接合される、請求項
6に記載の装置。
【請求項9】
前記パネル組立品が、さらに、平行な列に配置された複数の栄養物流れチャネルと、前記栄養物流れチャネルのそれぞれの列と直線状に並んで配置された複数の栽培ポケットと、を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記栄養物流れチャネルを形成する
前記接着部
の対に沿って、前記支持パネルに固定された後面パネルと、
をさらに備え
る、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
平行な列に配置された複数の栄養物流れチャネルと、前記栄養物流れチャネルのそれぞれの列と直線状に並んで配置された複数の栽培ポケットと、をさらに備え、前記栄養物流れチャネル、および前記栄養物流れチャネルと直線状に並んで配置された前記複数の栽培ポケットがそれぞれ、付加的な前面パネル、付加的な後面パネル、ならびに、隣接する長手方向縁部に沿って前記前面パネル、前記後面パネルおよび前記支持パネルに固定された付加的な支持パネルによって形成される、請求項
10に記載の装置。
【請求項12】
前記後面パネル、前記支持パネルおよび前記前面パネルが、高周波溶接、超音波溶接、ヒートシール、接着剤、機械的締結具、またはスティッチングにより、接着部に沿ってともに固定される、請求項
10に記載の装置。
【請求項13】
前記前面パネル、前記後面パネルおよび前記支持パネルがそれぞれ、可撓性シートを備える、請求項
10に記載の装置。
【請求項14】
前記可撓性シートが、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、またはポリプロピレンを含む、請求項
13に記載の装置。
【請求項15】
前記栄養物流れチャネルの入口に取り付けられた
流入導管をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記栄養物流れチャネルの出口に取り付けられた
流出導管をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記パネル組立品が、さらに、平行な列に配置された複数の栄養物流れチャネルと、前記栄養物流れチャネルのそれぞれの列と直線状に並んで配置された複数の栽培ポケットと、を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
さらに、前記パネル組立品の上部領域に沿って、栄養液を、栄養液供給源からそれぞれの栄養物流れチャネルへ分配するマニホールドを備える、請求項
17に記載の装置。
【請求項19】
さらに、前記パネル組立品を縦向きにつり下げる懸架
具を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記懸架
具には、前記パネル組立品の上縁部に沿って複数の開口部が含まれる、請求項
19に記載の装置。
【請求項21】
前記栄養物流れチャネルの長さ
方向と平行に延びる、1つ以上の構造補強要素をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記構造補強要素が、リブ、ロッド、または空気充填チャネルを備える、請求項
21に記載の装置。
【請求項23】
植物栽培用システムであって、
請求項1に記載の装置と、
栄養物貯留槽と、
前記栄養物貯留槽から栄養物流れチャネルの入口への入口流れチャネルと、
を備える前記システム。
【請求項24】
さらに、前記栄養物流れチャネルの出口からの出口流れチャネルを備える、請求項
23に記載のシステム。
【請求項25】
さらに、複数の栽培ポケットのうちの1つ以上の中に配置された成長培地と、該成長培地内に配置された植物または種子を含む、請求項
23に記載のシステム。
【請求項26】
植物を栽培する方法であって、
請求項1に記載の植物栽培用装置を準備することと、
栽培ポケットに、成長培地および植物または種子を配置することと、
流体流れのための栄養物流体を、栄養物流れチャネルの入口に接続することと、
を含む前記方法。
【請求項27】
さらに、縦向きに前記植物栽培用装置を支持することを含む、請求項
26に記載の方法。
【請求項28】
さらに、屋内の温度・湿度管理された環境に前記植物栽培用装置を配置することを含む、請求項
26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2016年7月26日に出願された「植物栽培用の縦型組立品(Vertical Assembly for Growing Plant)」という名称の米国特許出願第15/219,410号の優先権を主張し、当該米国特許出願は、2015年6月14日に出願された「植物栽培用の縦型組立品(Vertical Assembly for Growing Plants)」という名称の米国仮出願第62/349,822号の優先権を主張し、これらの全開示内容は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
連邦支援研究または開発の陳述
適用なし
【背景技術】
【0003】
背景
生鮮食品の必要性は、人口の増加と、気候の変化が生育期に影響を及ぼすにつれて、高まっている。伝統的農業法と長距離輸送に基づく、現在の食糧供給モデルは、経済的にも環境的にも持続不可能である。伝統的な農業経営組織(Traditional farming operations)は、通常、農業地域に設立されているが、多額の前払い費用と広大な作付面積が必要であり、種子から販売までの運営費用が高い。
【0004】
都市農業および地域農業はまた、障害に直面している。都市部における栽培場所は限られており、高い需要を満たすには十分ではない。温室の高い操業開始費用および運営費用は、多くの企業が地域において作物を生産するのを困難にしている。屋上温室を支持するのに用いられる構造物は、構造技術者によって評価される必要があり、また、その重量を支持するのに付加的なブレースが必要なことが多い。都市農園(Urban gardens)は、汚染土壌に対処する必要があることが多い。ほとんどの水耕システムは、農業現場に設置することを目的としており、容易に移動できず、また、作業のために広範囲な人材育成が必要であるため、都市部では、水耕システムの利用は、容易ではない。
【0005】
これらの問題に対処するために、近年、コンテナ型農業システムが開発されている。例えば、米国特許第9,288,948号に記載されている、モジュール式コンテナ内の栽培システムが、高収量作物生産用に開発されている。モジュール式コンテナ内において、栽培システムには、植物に成長するまで種子を育てる発芽ステーションと、栽培植物を保持する複数の縦型ラックと、植物に適切な光を供給する照明システムと、植物に栄養物を供給する灌漑システムと、コンテナ内の環境条件を管理する空調システムと、植物に気流を供給する通風システムと、栽培システムの構成部品を監視し制御する監視システムと、が含まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の概要
本発明は、モジュール式栽培コンテナなどの適切な空間に垂直方向に取り付けることができるパネル組立品において植物を栽培する装置を提供する。パネル組立品は、所与の容積内に高密度の植物を供給するなどの効率を達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
方法およびシステムの他の側面には、次のものが含まれる。
1.植物栽培用装置であって、
パネル組立品を備え、このパネル組立品が、
前面および後面を有する支持パネルと、
支持パネルの後面に支持され、支持パネルの上部領域の入口から下部領域の出口まで延びる栄養物流路を提供する、少なくとも1つの栄養物流れチャネルと、
支持パネルの前面に支持された、少なくとも1つの栽培ポケットであり、栄養物流れチャネルと並んで配置され、植物出入口(plant access opening)を有する、前記栽培ポケットと、
支持パネルにある、少なくとも1つの流体開口であり、栽培ポケットの内部と栄養物流路との間を流体連通するように栽培ポケットの下部領域に配置された、前記流体開口と、
を備える装置。
【0009】
2.さらに、栽培ポケットを形成するように支持パネルの前面に固定された前面パネルを備え、栽培ポケットが、前面パネルと支持パネルとをともに固定する1つ以上の接着部内の領域を含む、項目1の装置。
3.栽培ポケットの1つ以上の接着部が、植物出入口から流体開口下方の狭い閉鎖底部まで先細りになっている、項目2の装置。
4.栽培ポケットの植物出入口が、栽培ポケットの上部にわたって延びる、前面パネルの第1のスリットと、第1のスリットから栽培ポケットの下部領域の方へ直交して延びる、前面パネルの第2のスリットと、を備える、項目2から3のうちのいずれかの装置。
【0010】
5.栽培ポケットの植物出入口が、さらに、第1のスリット下方に前面パネルの切り取り領域を含む、項目4の装置。
6.栽培ポケットの植物出入口が、パネル組立品の側方へ開く、項目1から3のうちのいずれかの装置。
7.さらに、栄養物流れチャネルと直線状に並ぶように縦列に配置された、複数の栽培ポケットを備える、項目1から6のうちのいずれかの装置。
8.さらに、栄養物流れチャネルを形成するように、接着部に沿って支持パネルの後面に固定された後面パネルを備え、栄養物流れチャネルが、上部入口から下部出口まで延び、栽培ポケットにおいて流体開口と交差する、項目1から7のうちのいずれかの装置。
【0011】
9.栄養物流路が、後面パネルと支持パネルとをともに固定する、2つの接着部の間の領域を含み、2つの接着部が、上部入口から下部出口まで延びる、項目8の装置。
10.2つの接着部が、下部出口の方へ先細りになっている、項目9の装置。
11.支持パネルと後面パネルが、栄養物流れチャネル内の栄養液を支持パネルの流体開口に導く位置において傾斜した接着部に沿ってともに接合される、項目8から10のうちのいずれかの装置。
12.パネル組立品が、さらに、平行な列に配置された複数の栄養物流れチャネルと、栄養物流れチャネルのそれぞれの列と直線状に並んで配置された複数の栽培ポケットと、を備える、項目1から11のうちのいずれかの装置。
【0012】
13.さらに、
栄養物流れチャネルを形成する接着部に沿って、支持パネルに固定された後面パネルと、
栄養物流れチャネルと直線状に並んで配置された複数の栽培ポケットを形成する1つ以上の接着部に沿って、支持パネルに固定された前面パネルと、を備え、栽培ポケットがそれぞれ、1つ以上の接着部内の領域を含む、
項目1から12のうちのいずれかの装置。
【0013】
14.さらに、平行な列に配置された複数の栄養物流れチャネルと、栄養物流れチャネルのそれぞれの列と直線状に並んで配置された複数の栽培ポケットと、を備え、栄養物流れチャネル、および栄養物流れチャネルと直線状に並んで配置された複数の栽培ポケットがそれぞれ、付加的な前面パネル、付加的な後面パネル、ならびに、隣接する長手方向縁部に沿って前面パネル、後面パネルおよび支持パネルに固定された付加的な支持パネルによって形成される、項目13の装置。
【0014】
15.後面パネル、支持パネルおよび前面パネルが、高周波溶接、超音波溶接、ヒートシール、接着剤、機械的締結具、またはスティッチングを用いて、接着部に沿ってともに固定される、項目13から14のうちのいずれかの装置。
16.前面パネル、後面パネルおよび支持パネルがそれぞれ、可撓性シートを備える、項目13から15のうちのいずれかの装置。
17.可撓性シートが、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、またはポリプロピレンを含む、項目16の装置。
18.可撓性シートが、織物材料、繊維材料、発泡材料、複合材料、または2種以上の材料の積層体を含む、項目16の装置。
【0015】
19.可撓性シートが、織布材料、不織布材料、ニット材料または編組材料を含む、項目16の装置。
20.可撓性シートが、防水材料であるか、または防水コーティングを含む、項目16から19のうちのいずれかの装置。
21.前面パネル、後面パネルおよび支持パネルがそれぞれ、半硬質材料または自立材料を含む、項目13から20のうちのいずれかの装置。
22.さらに、栄養物流れチャネルの入口に取り付けられた入口固定具を備える、項目1から24のうちのいずれかの装置。
【0016】
23.さらに、栄養物流れチャネルの出口に取り付けられた出口固定具を備える、項目1から22のうちのいずれかの装置。
24.パネル組立品が、さらに、平行な列に配置された複数の栄養物流れチャネルと、栄養物流れチャネルのそれぞれの列と直線状に並んで配置された複数の栽培ポケットと、を備える、項目1から23のうちのいずれかの装置。
25.さらに、パネル組立品の上部領域に沿って、栄養液を、栄養液供給源からそれぞれの栄養物流れチャネルへ分配するマニホールドを備える、項目24の装置。
26.栄養物流れチャネル、および栄養物流れチャネルと直線状に並んで配置された複数の栽培ポケットが、付加的な前面パネル、付加的な後面パネル、ならびに、隣接する長手方向縁部に沿って前面パネル、後面パネルおよび支持パネルに固定された付加的な支持パネルによって形成される、項目24から25のうちのいずれかの装置。
【0017】
27.パネル組立品には、パネル組立品を補強するかまたは構造的支持を付与するように、支持パネルの1つ以上の中間位置において栄養物流れチャネルとほぼ平行に延びる補強要素が含まれる、項目24から26のうちのいずれかの装置。
28.パネル組立品には、パネル組立品を補強するかまたは構造的支持を付与するように、支持パネルの1つ以上の中間位置において栄養物流れチャネルとほぼ平行に延びる膨張式チャネルが含まれる、項目24から27のうちのいずれかの装置。
29.パネル組立品は、栄養物流れチャネル内の栄養流体が入口から出口へ流れるような向きに配置される、項目1から28のうちのいずれかの装置。
30.パネル組立品が、縦向きに配置される、項目1から29のうちのいずれかの装置。
【0018】
31.さらに、パネル組立品を縦向きにつり下げる懸架組立品を備える、項目1から30のうちのいずれかの装置。
32.懸架組立品には、パネル組立品の上縁部に沿って複数の開口部が含まれる、項目31の装置。
33.懸架組立品には、パネル組立品の上縁部に沿って複数のフックが含まれる、項目31から32のうちのいずれかの装置。
34.さらに、栄養物流れチャネルの長さの少なくとも一部と平行に延びる、1つ以上の構造補強要素を備える、項目1から33のうちのいずれかの装置。
【0019】
35.構造補強要素が、リブ、ロッド、または空気充填チャネルを備える、項目34の装置。
36.さらに、栄養物流れチャネルの長さの少なくとも一部と平行に延びるリブを備える、項目1から35のうちのいずれかの装置。
37.パネル組立品には、支持パネルの縁部に沿って延びる補強要素が含まれる、項目1から36のうちのいずれかの装置。
38.パネル組立品には、補強するかまたは構造的支持を付与するように、支持パネルの縁部に沿って膨張式チャネルが含まれる、項目1から37のうちのいずれかの装置。
【0020】
39.植物栽培用システムであって、
項目1から38のうちのいずれかの装置と、
栄養物貯留槽と、
栄養物貯留槽から栄養物流れチャネルの入口への入口流れチャネルと、
を備えるシステム。
40.さらに、栄養物流れチャネルの出口からの出口流れチャネルを備える、項目39のシステム。
41.さらに、複数の栽培ポケットのうちの1つ以上の中に配置された成長培地を備える、項目39から40のうちのいずれかのシステム。
42.さらに、成長培地内に配置された植物または種子を備える、項目41のシステム。
【0021】
43.項目1から42のうちのいずれかの装置を製造する方法であって、
前面シート、後面シートおよび支持シートを含む3つの可撓性シートを準備することと、
前面シートに、栽培ポケット用の植物出入口を形成することと、
支持シートに流体開口を形成することと、
1つ以上の接着部に沿って前面シートと支持シートとをともに固定して、栽培ポケットを形成することと、
接着部に沿って後面シートを支持シートおよび前面シートに固定して栄養物流れチャネルを形成し、3つの可撓性シートをともに貼り付けてパネル組立品を形成することと、
を含む方法。
44.さらに、それぞれの栽培ポケットの下部領域に隣接する、角度をなした1つ以上の境界において、3つの可撓性シートをともに接合することを含む、項目43の方法。
45.さらに、栄養物流れチャネルの入口に入口固定具を取り付けることと、栄養物流れチャネルの出口に出口固定具を取り付けることと、を含む、項目43から44のうちのいずれかの方法。
【0022】
46.さらに、パネル組立品の上縁部に沿って、懸架組立品の開口部を形成することを含む、項目43から45のうちのいずれかの方法。
47.植物を栽培する方法であって、
項目1から42のうちのいずれかの植物栽培用装置を準備することと、
栽培ポケットに、成長培地および植物または種子を配置することと、
流体流れのための栄養流体を、栄養物流れチャネルの入口に接続することと、
を含む方法。
48.さらに、縦向きに植物栽培用装置をつり下げることを含む、項目47の方法。
49.さらに、屋内の温度・湿度管理された環境に植物栽培用装置を配置することを含む、項目47から48のうちのいずれかの方法。
【0023】
50.植物栽培用装置であって、
前面パネル、後面パネルおよび支持パネルを備えたパネル組立品を備え、
複数の栄養物流れチャネルを形成するように、後面パネルと支持パネルとがともに固定され、栄養物流れチャネルがそれぞれ、入口から出口まで延び、
それぞれの栄養物流れチャネルと直線状に並んで配置された、複数の栽培ポケットを形成するように、前面パネルと支持パネルとがともに固定され、栽培ポケットにはそれぞれ、その上部領域において、前面パネルを貫通する植物出入口と、その下部領域において、栄養物流れチャネルと流体連通するように、支持パネルに形成された流体開口と、が含まれる装置。
【0024】
51.栽培ポケットがそれぞれ、前面パネルと支持パネルとをともに固定する1つ以上の接着部内の領域を含む、項目50の装置。
52.それぞれの栽培ポケットの1つ以上の接着部が、植物出入口から流体開口下方の狭い閉鎖底部まで先細りになっている、項目51の装置。
53.それぞれの栽培ポケットの植物出入口が、栽培ポケットの上部にわたって延びる、前面パネルの第1のスリットと、第1のスリットから栽培ポケットの下部領域の方へ直交して延びる、前面パネルの第2のスリットと、を備える、項目50から52のうちのいずれかの装置。
【0025】
54.それぞれの栽培ポケットの植物出入口が、さらに、第1のスリット下方に前面パネルの切り取り領域を含む、項目53の装置。
55.栽培ポケットが、1つ以上の縦列になるように配置される、項目50から54のうちのいずれかの装置。
56.栄養物流れチャネルが、後面パネルと支持パネルとをともに固定する、2つの接着部の間の領域を含み、2つの接着部が、上部入口から下部出口まで延びる、項目50から55のうちのいずれかの装置。
57.2つの接着部が、下部出口の方へ先細りになっている、項目56の装置。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図面の説明
本発明は、添付図面とともに利用される、次の詳細な説明からさらに十分に理解される。
【
図3】植物栽培用装置のさらなる実施形態の正面図である。
【
図4】1つの栽培植物を含む、
図3による装置の部分正面図である。
【
図5】
図3による装置のさらなる部分正面図である。
【
図8】
図4のVIII-VIII線に沿った断面図である。
【
図11】
図4のXI-XI線に沿った断面図である。
【
図12】植物栽培用装置のさらなる実施形態の正面図である。
【
図13】リブを組み込んだ植物栽培用装置のさらなる実施形態の正面図である。
【
図15】補強リブを組み込んだ植物栽培用装置のさらなる実施形態の正面図である。
【
図16】スタンドに取り付ける支持体を組み込んだ植物栽培用装置のさらなる実施形態の正面図である。
【
図17】植物栽培用装置のさらなる実施形態の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明の詳細な説明
図1から2には、植物栽培用装置10の一実施形態が示されている。装置10には、パネル組立品12であって、装置の一方の側に、装置の反対側にある1つまたは複数の栄養物流れチャネル30と直線状に並んで配置された、1つ以上の栽培ポケット40を提供するパネル組立品が含まれている。栄養物流れチャネルはそれぞれ、入口32から出口34まで延び、支持パネルを貫通する流体開口50を介して、1つ以上の栽培ポケットと流体連通している。
図1に示される装置には、6つの栄養物流れチャネルと直線状に並んで配置される、15の栽培ポケットが6列含まれている。ただし、用途および利用可能な空間に応じて、あらゆる数の栽培ポケット、およびあらゆる数の栄養物流れチャネルを設け得ることが認識されるであろう。
【0028】
図示されている態様において、パネル組立品12は、垂直方向縁部に沿って取り付け可能な多数の個別パネル組立品12’から形成されている。それぞれのパネル組立品12’には、一方の側に、垂直方向に位置合わせされた、1列の栽培ポケットと、反対側に単一の栄養物チャネルと、が設けられている。このように、所望の数の個別パネル組立品12’を製造し、ともに取り付けることができる。また、パネル組立品12は、以下にさらに説明するように、複数列の栽培ポケットおよび複数の栄養物チャネルを有する、単体のまたは一体型パネル組立品として形成され得ることも認識されるであろう。
【0029】
図3~11は、1列の栽培ポケットを有するパネル組立品12’の実施形態をさらに詳細に示している。パネル組立品12’には、前面16と後面18とを有する支持パネル14が含まれている。支持パネルの後面には栄養物流れチャネル30が支持され、栄養物流れチャネルと直線状に並んで配置されるように、支持パネルの前面には、1つ以上の栽培ポケット40が支持されている。栄養物流れチャネルは、支持パネル14を貫通する流体開口50を介して、支持パネルの前面にある、1つ以上の栽培ポケット40と流体連通している。
【0030】
それぞれの栽培ポケット40には、その上部領域において植物出入口42が含まれている。それぞれの栽培ポケットには成長培地3を入れることができ、成長培地には種子または植物5を入れることができる。
図4および8を参照されたい。パネル組立品の上部領域の流体入口32から、パネル組立品の下部領域の流体出口34まで、栄養物流れチャネル30を通して、植物栄養液を供給することができる。栄養液は、
図8の矢印31により示されているように、下方に流れる。栄養液が支持パネルの流体開口50を通過して流れると、一定量の栄養液も、流体開口50を通ってそれぞれの栽培ポケット40内の成長培地へ流れ(
図8および10の矢印52により示されている)、これによって、成長培地が湿った状態に保たれ、栽培植物5に栄養が持続して与えられる。
【0031】
いくつかの態様において、パネル組立品12には、栽培ポケット40および栄養物流れチャネル30を形成する接着部に沿って、層状配置により支持パネル14に固定された前面パネル22および後面パネル24が含まれている(
図7~11を参照)。具体的には、支持パネル14と前面パネル22との間の接着部62は、それぞれの栽培ポケットの輪郭を明らかにしている。図示されている態様において、接着部62は、全体として、それぞれの側面63に沿って、流体開口50の下にある閉鎖底部65へ下方に先細りになっている。支持パネル14と後面パネル24との間の接着部64は、それぞれの栄養物流れチャネルを定義づけしている。支持パネル14と後面パネル24との間に接着部68を設けて、流体流れを流体開口50の方へ導くバッフルを定義づけすることができる。このようにして、栄養液が流体開口を迂回しないか、または最小の栄養液しか流体開口を迂回せず、これによって、栄養液の消耗が防止されるかまたは最小限に抑えられる。パネル組立品を容易に製造するために、また、パネル組立品を強化するために、以下にさらに説明するとおり、後面パネルと支持パネルとの間の接着部も、前面パネルに接合することができるが、栄養物流れチャネル、流体入口、流体出口およびバッフルなどの要素を設けるのに、後面パネルを前面パネルに接合する必要はないことが認識されるであろう。
【0032】
流体入口32は栄養液供給源74に接続することができ、栄養液供給源は、支持パネル12の底部または底部付近において流体出口34へ接着部64の間を下方に栄養液を流すように、それぞれの栄養物流れチャネル30に栄養液を供給することができる。出口は、栄養液の収集貯留槽76に接続することができる。入口32からチャネル30へ流れを導くように、テーパ状接着部66を設けることができ、また、チャネル30から出口34へ流れを導くように、テーパ状接着部67を設けることができる。
【0033】
パネル組立品には、組立品を縦向きに取り付ける、適切な取付け固定具が含まれ得る。いくつかの態様において、装置は、上からつるされた固定具(overhead fixture)より縦向きにつり下げることができる。いくつかの態様において、装置には、上縁部に沿って開口部72が含まれ得る。開口部は、グロメット73によって補強することができる。開口部を通してフックまたは他の適切な懸架要素を配置し、上からつるされた棒、または別の形態の支持要素からつり下げることができる。他の多くの懸架機構を設け得ることが認識されるであろう。
【0034】
いくつかの態様において、パネル組立品には、直立方向または縦向きにおいてパネル組立品を補強し、および/またはこれを維持しやすくするように、付加的な構造要素が含まれ得る。
図13および14は、例えば、栄養物流れチャネルに隣接して形成された細長いポケットに溶接するかまたは差し込むことによって、栄養物流れチャネルに隣接してチャネルと平行にリブ78が配置される実施形態を示している。いくつかの態様において、個別パネル組立品12’の垂直方向縁部は、ともに固定されたときに、パネル組立品を構造的支持を付与するように構成することができる。
図15は、補強要素を形成するように、リブ78’がパネル組立品の間および/またはパネル組立品に沿って取り付けられた実施形態を示している。
【0035】
リブは、例えば、プラスチック製、金属製、または複合材料製のロッドであってもよい。いくつかの態様において、フレキシブルガラス繊維または他のロッドを用いることができる。いくつかの態様において、パネル組立品は、床に支持されたスタンドに取り付けることができる。
図16は、パネル組立品の複数の位置において適切な方法により支持ロッド79が取り付けられて、取付け点を形成する実施形態を示している。それぞれのロッドは、下端部において支持固定具に配置し、および/または上端部において支持固定具に取り付けることができる。いくつかの態様において、1つ以上のパネル組立品の垂直方向縁部には、膨張式チャネルであって、空気または別の流体によって膨張したときに、補強しおよび/または構造的支持を付与するのに用いることができる膨張式チャネルが含まれ得る。
【0036】
いくつかの態様において、栄養物流れチャネル30のそれぞれの入口32に接続するように、パネル組立品の上部に別個の流入導管(input conduits)81を設けることができる。
図1から3を参照されたい。継手83は、流入マニホールドに、または栄養液供給源74からの1つ以上の流入導管に接続するように、流入導管に取り付けることができる。栄養物流れチャネル30のそれぞれの出口34に接続するように、パネル組立品の底部に別個の流出導管(output conduit)85を設けることができる。流出導管は、収集貯留槽76へ排出することができる。
【0037】
いくつかの態様において、流入マニホールド90をパネル組立品の上部に配置して、栄養液供給源から栄養液を受け入れ、これを、それぞれの栄養物流れチャネル30に分配することができる。
図12を参照されたい。いくつかの態様において、マニホールドは、支持パネルと後面パネルとの間に、例えば、後面パネルと支持パネルとの間の接着部によってまたは接着部の間に保持できる、別個の要素として形成することができる。例えば、マニホールドは、これを画定する周囲に沿ってともに接着された、2つの材料シートから形成されていてもよい。マニホールドには、入口92と複数の出口94とが含まれていてもよく、それぞれの出口は、栄養物流れチャネル30の入口32と位置合わせされている。流入導管96は、例えば心棒溶接(mandrel welding)によって、マニホールドの入口に固定することができる。
【0038】
いくつかの態様において、収集マニホールド110をパネル組立品の底部に配置して、栄養液の流出を、パネル底部の排出口112に導くことができる。
図12を参照されたい。収集マニホールドは、栄養液を出口112の方へ導くように傾斜した接着部114によって、形成することができる。
【0039】
いくつかの態様において、収集貯留槽76はパネル組立品の下に配置することができ、栄養液を収集貯留槽内に直接流し落とすことができる。
図3を参照されたい。いくつかの態様において、収集貯留槽は、パネル組立品から離して配置することができ、適切な導管116を介してパネル組立品に接続することができる。
図12を参照されたい。
【0040】
いくつかの態様において、支持パネル14、前面パネル22、および後面パネル24はそれぞれ、可撓性材料からなるシートまたはフィルムとして設けることができる。パネル用のシートは、ほぼ同じ高さである。後面パネルは、支持パネルよりもわずかに広くすることができ、その結果、それぞれの栄養物流れチャネルを接着した後、それぞれの流体流路に深さを付与し、根が成長する空間を提供できるように、後面パネルには、いくらかのたるみがある。シート材料は、適切な厚さであり得る。いくつかの態様において、シートの厚さは、6~10ミル(0.006~0.010インチ)である。シート材料は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、またはポリプロピレンなどの適切な材料とすることができるが、これらに限定されない。シート材料は、栄養物流れチャネルおよび栽培ポケット内に栄養液を保持するように、防水性である。
【0041】
いくつかの態様において、シートは、半硬質高分子材料または繊維材料であり得る。いくつかの態様において、シートは、ある程度のねじり剛性(rigidity)もしくは曲げ剛度(stiffness)を有するか、または、自立型(self-supporting)もしくは自立性(self-standing)になるように形成することができる。いくつかの態様において、シートはまた、2種以上の材料からなる積層体でもあり得る。いくつかの態様において、防水ライナーを、強度を付与する別の材料に接着することができる。いくつかの態様において、1つ以上のシートは、ガラス繊維複合材料などの複合材料から形成することができる。いくつかの態様において、シートのうちの1つ以上は、繊維材料または織物、例えば、織布、不織布、ニットまたは編組材料であり得る。いくつかの材料では、シートのうちの1つ以上は、発泡材料であってもよい。シートは、再生材料から製造することができる。シートのうちの1つ以上には、少なくとも栄養液と接触する面上に、防水コーティングが含まれ得る。材料は不透明であるか、または、材料は、栽培ポケットおよび栄養物流れチャネル内への目視検査ができるように、透明もしくは半透明であり得る。少なくとも栽培ポケットの不透明材料は、根の成長に有用であり得る。
【0042】
装置は、適切な方法により製造することができる。一態様において、支持パネル14、前面パネル22、および後面パネル26はそれぞれ、所望の高さおよび幅に切断された、適切なシート材料として設けられる。それぞれの栽培ポケットにおける出入口42は、前面パネルに切り込まれている。図示されている態様において、それぞれのポケットにおける切り込みには、水平方向に延びる第1のスリット122と、第1のスリットから下方に直交して延びる、第2のスリット124と、が含まれている。出入口は、例えば、スリットに隣接する、シート材料からなる三角形部分126を取り外してさらに広げることができ、これによって、栽培ポケットへの出入りが増加する。
図7を参照されたい。流体開口50は、栽培ポケットの下部領域と位置合わせされるように、支持パネル14に切り込まれている。いくつかの態様において、それぞれのパネルの上縁部付近にある開口部72は、モジュール式栽培コンテナなどの栽培環境にパネル組立品を取り付ける、適切な固定具を収容するように切断することができる。打抜き、レーザ切断、ウォータージェット切断、スタンピングまたは同種のものといった、適切な切断機構または切断法を用いることができる。
【0043】
パネルが適切に切断された後、支持パネル14および前面パネル22は、スリットと重ね合わされ、適切に位置合わせして、一部分が切り取られる。支持パネルと前面パネルは、それぞれの栽培ポケット40の輪郭を明らかにする境界62に沿って、ともに接着されている。栽培ポケットは、成長培地内で根が成長する空間を提供するように、いくらかのたるみをもって接着することができる。接着された支持パネルと前面パネルは、部分組立品(subassembly)を形成する。そして、支持パネルに隣接する部分組立品に、後面パネル24が重ね合わせられる。後面パネルと部分組立品は、3つのパネルすべてをともに接合する接着部に沿って、ともに接着されている。栄養物流れチャネル30は、パネルの上縁部付近の領域から下縁部付近の領域まで延びる接着部64によって、形成されている。
【0044】
接着部64は、栽培ポケット40のそれぞれの列が、栄養物流れチャネル30を画定する2つの接着部64の間に位置合わせされるように配置されている。上述したように、後部パネルは、それぞれの栄養物流れチャネルに深さ寸法を付与するように、それぞれの栄養物流れチャネル内に少しのたるみをもって部分組立品に接着することができる。入口32には、傾斜接着部66を形成することができ、また、出口34には、傾斜接着部67を形成することができる。バッフルは、各栽培ポケットの下部領域に隣接する栄養物流路内の1対または2対の角度を持つ接着部68によって形成されて、栄養物流路内の栄養溶液の流れをそれぞれの栽培ポケットの底部の流体開口部に向けることができる。
【0045】
いくつかの態様において、さらに大きなパネル組立品を形成するように、個別のパネル組立品を、その垂直方向縁部に沿って、接着部76を介して取り付けることができる。
図1および2を参照されたい。垂直方向縁部に沿って形成され得る開口69を避けて、製造工程時に機器のパネルを支持するように、接着部は不連続であり得る。
【0046】
いくつかの態様において、装置の底部に収集マニホールド112を画定するように、接着部114を形成することができる。いくつかの態様において、流入マニホールド90は、適切な材料から形成され、パネル組立品の上部にある適切な接着部により、支持パネルと後面パネルとの間においてパネル組立品内に保持され得る。
図12を参照されたい。
【0047】
いずれかの接着部を形成するように、高周波溶接、超音波溶接、ヒートシール、接着、機械的締結具、またはスティッチングなどの適切な接着機構または接着法を用いることができるが、これらに限定されない。必要な場合、機械的締結具、またはスティッチングによって形成された接着部などを用いて、付加的な防水またはシームシーリングを、接着部に沿って利用してもよい。流入導管および流出導管は、適切な方法により、パネル組立品に取り付けることができる。いくつかの態様において、導管は、心棒溶接などの溶接によって、もしくはかぎ(barbs)などの機械的締結具を用いて、またはこれらの組み合わせによって取り付けることができる。
【0048】
パネル組立品には、あらゆる数の栽培ポケットを設けることができる。それぞれの列は、所望の数の栽培ポケットを含み、所望の数の列の栽培ポケットを設けることができる。栽培ポケットの特定の数および間隔は、モジュール式コンテナ内の空間による制約、所望の作物、および所望の作物密度などの要因によって異なり得る。いくつかの態様において、単一の栽培ポケットを設けることができる。同様に、それぞれの栽培ポケットのサイズは、所望の作物および作物密度ごとに選択することができる。いくつかの態様において、それぞれの栽培ポケットのサイズは、少なくとも約100mm3の植物成長培地をその中に収容するように合わせられるが、栽培ポケットのサイズは、必要に応じて、さらに多いかまたはさらに少ない量の植物成長培地を収容するように合わせられてもよい。いくつかの態様において、種々のサイズの栽培ポケットを設けることができる。
【0049】
いくつかの態様において、支持パネルの後面に接着された、可撓性シート材料からなる別個のストリップとして、栄養物流れチャネルを設けることができる。いくつかの態様において、栄養物流れチャネルのそれぞれの列、および位置合わせされた栽培ポケットは、別個のパネル組立品として形成することができる。栄養物流れチャネルおよび栽培ポケットの列と平行に、長手方向縁部に沿って、あらゆる数の別個のパネル組立品を、ともに取り付けることができる。上述したように、パネル組立品は、適切な接着機構によって取り付けることができる。
【0050】
いくつかの態様において、パネル組立品には、単一の栽培ポケットが含まれ得る。いくつかの態様において、2つ以上のパネル組立品は、それぞれのパネル組立品が単一の栽培ポケットまたは複数の栽培ポケットを列状配置により含み、1列により、ともに取り付けることができる。上述したように、適切な接着機構を用いることができる。
【0051】
いくつかの態様において、2つ以上のパネル組立品をともに取り付けて、所望の用途または栽培空間に合う、所望の構成の栽培ポケットを提供することができる。いくつかの態様において、2つ以上のパネル組立品を着脱可能に取り付けて、種々の用途または種々の栽培空間に合うように再構成できるモジュール式装置を提供することができる。
【0052】
いくつかの態様において、2つのパネル組立品を、背中合わせに栽培環境に設置することができ、これによって、2つの後面パネルが、互いに接するかまたは密接する。このように、栽培環境内の空間を有効に利用することができ、さらに高い植物密度を実現することができる。いくつかの態様において、対向外面に栽培ポケットを有するパネル組立品、および内側共通栄養物流れチャネルを設けることができる。
【0053】
図17~19は、パネル組立品の側方へ開く出入口242をそれぞれ有した栽培ポケット240を有するパネル組立品212を含む、植物栽培用装置210の実施形態を概略的に示している。装置には、全体として上述したように、支持パネル214と、前面パネル222と、後面パネル224と、入口232から出口234まで延びる栄養物流れチャネルと、が含まれ得る。後面パネルには、出入口に隣接する側(B面)への延長部225が含まれ、前面パネルには、出入口とは反対側(A面)への延長部223が含まれ得る。複数のパネル組立品212は、A面とB面とを重ね合わせ、また、適切な方法によりこれらの面をともに接着して接合することができる(
図19を参照)。
【0054】
本明細書に説明されている植物栽培用装置は、多種多様な植物、具体的には、緑色の葉の多い植物を栽培するのに用いることができる。例えば、装置は、レタス、ホウレンソウ、スイスチャード(chard)などの葉の多い青野菜;ブロッコリ、キャベツ、カリフラワ、メキャベツ(Brussels sprouts)、コールラビ(kohlrabi)、カラシナ、ケール、ルッコラなどのアブラナ属;ならびに、バジル、オレガノ、パセリおよびミントなどのハーブを栽培するのに用いてもよい。装置は、種子の発芽、発芽後の植物生育、または実生後の植物生育に用いることができる。植物が非常に大きく成長すると、必要に応じて、さらに大きな栽培ポケットを有する装置に、もしくはポットに、または屋外の場所に移植してもよい。栽培ポケットは、トマト、花または根菜類などの植物用にサイズを合わせ、構成することができる。例えば、ニンジンなどの根菜類の生育に適応させるように、さらに大きなポケットを設けてもよい。特定の作物に応じて、適切な成長培地を用いてもよい。
【0055】
本明細書に用いられる「から本質的になる(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲の基本的特徴および新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない材料または段階を包含することができる。具体的には、組成物の成分の説明、または装置の要素の説明における「含む(備える)(comprising)」という用語についての本明細書における記載は、「から本質的になる」または「からなる(consisting of)」に置き換えることができる。
【0056】
本明細書に説明されている実施形態の種々の特徴は、種々の方法により組み合わせ得ることが認識される。例えば、一実施形態に関連して説明されている特徴は、たとえその実施形態に関連して明示的に説明されていなくても、別の実施形態に含まれていてもよい。
【0057】
本発明を、特定の好適な実施形態に関連して説明してきた。本発明は、示され、説明されている構造、動作、厳密な材料または実施形態の厳密な詳細に限定されず、また、当業者であれば、本明細書に開示されている実施形態に対する種々の改変、均等物の置換、組成の変更、および他の変形が明らかであることが理解される。