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  • 特許-電池モジュール 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/262 20210101AFI20220606BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20220606BHJP
   H01M 50/242 20210101ALI20220606BHJP
   H01M 50/264 20210101ALI20220606BHJP
【FI】
H01M50/262 E
H01M50/204 401H
H01M50/242
H01M50/264
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019077565
(22)【出願日】2019-04-16
(65)【公開番号】P2020177747
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2020-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 拓也
【審査官】石井 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-027673(JP,A)
【文献】特開2015-149238(JP,A)
【文献】特表2015-520922(JP,A)
【文献】特開2017-123313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導性を有し、かつ複数の電池セルが積層されるプレートと、
前記プレートの両端部をそれぞれ固定する一対の固定部材と、
弾性を有し、かつ前記プレートの両端部とともに、両端部に設けられた固定部が一対の前記固定部材に固定される一対の弾性部材と、
を備え、
複数の前記電池セルは、
前記プレートに対して、前記積層方向の上方側に配置され、かつ前記積層方向の下方側に配置されており、
前記積層方向の上方側に配置された複数の前記電池セルは、
積層方向において互いに接触した状態で、積層方向の下方側の前記電池セルが前記プレートと接触し、上方側の前記電池セルが一方の前記弾性部材と接触し、
前記積層方向の下方側に配置された複数の前記電池セルは、
積層方向において互いに接触した状態で、積層方向の上方側の前記電池セルが前記プレートと接触し、下方側の前記電池セルが他方の前記弾性部材と接触し、
前記弾性部材は、
前記電池セルと接触する接触部と、前記固定部との間に、変化吸収部を有し、
前記変化吸収部は、
複数の前記電池セルの通常状態時から膨張状態時への変化による、前記接触部と前記固定部との直線距離の変化を吸収する
ことを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
前記変化吸収部は、1以上の屈曲点を有する
請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
一対の前記固定部材は、
積層方向から見た場合に、前記固定部材の一方の端部において連結部により互いに連結される
請求項1または2に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HEV)等の車両には、駆動源であるモータに電力を供給するための電源として、車両用電池パックが搭載されている。車両用電池パック内には、例えば、複数の電池セルを直列に接続した電池モジュールが収容されている。例えば、特許文献1では、積層された複数のバッテリセルを含むバッテリと、バッテリを収容するバッテリケースと、バッテリセルの積層方向に締め付け力を発生させ、複数のバッテリセルを一体に保持する拘束バンドとを備えるバッテリパック構造が開示されている。
【0003】
ところで、角型電池では、正極材、セパレータ、負極材が積層され、楕円形状に巻かれた電極シートが内部に収容されている。角型電池を、一般的に弾性力が高いと言われる拘束バンド等で一定の圧力をかけて拘束した場合、充放電により電池が膨張しても、例えば、楕円形状に巻かれた電極シートの中心部に生じる隙間で応力が吸収できることから、電極シートの破損を抑制することができる。
【0004】
一方、パウチ型電池では、電極シートが積層された状態でラミネートに封止されていることから、充放電により電池が膨張した場合、生じた応力が電池の拘束構造体に直接加わる形となる。拘束構造体に弾性力が高いものを使用すると、電極シート内部に応力がかかり、電極シートが破損するおそれがある。これを回避するために、つるまきバネや板バネ等の弾性部材を用いて電極シートの加圧をコントロールしている(特許文献2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-192551号公報
【文献】特許第5098318号公報
【文献】特開2005-116437号公報
【文献】特開2012-248374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電池セルに加圧しつつ電池セル自体の伸縮を阻害しない電池の拘束構造として、電池セルの加圧部には弾性を持たせ、電池モジュールをリジットに拘束するものが提案されている。しかしながら、このような電池の拘束構造では、電池セル間に大きな隙間が必要になるため、高エネルギー密度を目的とした電池パックに使用することができず、改善の余地がある。
【0007】
本発明は、電池セルを積層した際に必要となる隙間を小さくすることができ、電池パックの低背化が可能となる電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る電池モジュールは、熱伝導性を有し、かつ複数の電池セルが積層されるプレートと、前記プレートの両端部をそれぞれ固定する一対の固定部材と、弾性を有し、かつ前記プレートの両端部とともに、両端部に設けられた固定部が一対の前記固定部材に固定される一対の弾性部材と、を備え、複数の前記電池セルは、前記プレートに対して、前記積層方向の上方側に配置され、かつ前記積層方向の下方側に配置されており、前記積層方向の上方側に配置された複数の前記電池セルは、積層方向において互いに接触した状態で、積層方向の下方側の前記電池セルが前記プレートと接触し、上方側の前記電池セルが一方の前記弾性部材と接触し、前記積層方向の下方側に配置された複数の前記電池セルは、積層方向において互いに接触した状態で、積層方向の上方側の前記電池セルが前記プレートと接触し、下方側の前記電池セルが他方の前記弾性部材と接触し、前記弾性部材は、前記電池セルと接触する接触部と、前記固定部との間に、変化吸収部を有し、前記変化吸収部は、複数の前記電池セルの通常状態時から膨張状態時への変化による、前記接触部と前記固定部との直線距離の変化を吸収することを特徴とする。
【0009】
上記電池モジュールにおいて、前記変化吸収部は、1以上の屈曲点を有するものである。
【0010】
上記電池モジュールにおいて、一対の前記固定部材は、積層方向から見た場合に、前記固定部材の一方の端部において連結部により互いに連結されるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る電池モジュールによれば、電池セルを積層した際に必要となる隙間を小さくすることができ、電池パックの低背化が可能となる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係る電池モジュールの概略構成を示す縦断面図である。
図2図2は、実施形態に係る電池モジュールの概略構成を示す部分分解斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る電池モジュールの要部の概略構成を示す模式図である。
図4図4(A)及び図4(B)は、実施形態に係る電池モジュールの要部の仕組みを説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態に係る電池モジュールについて図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。
【0014】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る電池モジュールの概略構成を示す縦断面図である。図2は、実施形態に係る電池モジュールの概略構成を示す部分分解斜視図である。図3は、実施形態に係る電池モジュールの要部の概略構成を示す模式図である。図4(A)及び図4(B)は、実施形態に係る電池モジュールの要部の仕組みを説明するための模式図である。なお、図1は、一対のカラーの幅方向において連結する連結部が省略されている。図4(A)は、電池セルの膨張前の弾性部材の状態の一例を表し、図4(B)は、電池セルの膨張時の弾性部材の状態の一例を表す。
【0015】
以下の説明において、図示のX方向は、本実施形態における電池モジュールの幅方向である。Y方向は、本実施形態における電池モジュールの奥行き方向であり、幅方向と直交する方向である。Z方向は、本実施形態における電池モジュールの積層方向であり、幅方向および奥行き方向と直交する方向である。特に、積層方向において一方を上方側、他方を下方側と称する。なお、本実施形態の積層方向は、例えば、電池モジュールが車両に搭載された状態において、鉛直方向に沿った方向とする。
【0016】
電池モジュール1は、筐体(不図示)に収容され、電池パックを構成する。電池パックは、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の車両(不図示)に搭載され、当該車両の走行用の駆動源(不図示)に電力を供給する二次電池である。電池モジュール1は、電池セル群2と、プレート3と、弾性部材4と、一対のカラー5とを備える。
【0017】
電池セル群2は、図1に示すように、平板状の複数の電池セル10からなる。複数の電池セル10は、積層方向に互いに接触した状態で、積層方向の一方側の電池セル10がプレート3と接触し、他方側の電池セル10が弾性部材4と接触する。本実施形態の電池セル群2は、プレート3に対して、積層方向の上方側に配置され、かつ積層方向の下方側に配置されている。電池モジュール1は、積層方向に配列される複数の電池セル群2を有する。複数の電池セル群2のうち、弾性部材4を介して隣り合う電池セル群2は、積層方向に隙間Gを空けて配列されている。隙間Gは、一対の弾性部材4に拘束され、積層方向の上方側に配置される2つの電池セル群2と、一対の弾性部材4に拘束され、積層方向の下方側に配置される2つの電池セル群2との間に設けられている。電池セル10は、充放電可能な二次電池である。本実施形態の電池セル10は、例えば、平板状のリチウムイオン電池であり、L字型のプラス電極端子とマイナス電極端子とが奥行き方向の一方から突出している。複数の電池セル10は、積層方向に積層され、互いに直列または並列に接続されている。
【0018】
プレート3は、複数の電池セル10が積層されるものである。プレート3は、熱伝導性を有し、銅やアルミニウム合金等の金属材料により平板状に形成される。プレート3は、積層方向から視た場合、電池セル10を覆う大きさを有し、略四角形状に形成される。プレート3は、積層方向において2つの電池セル10の間に挟まれており、これらの電池セル10と積層方向に面接触する。プレート3は、幅方向の両端部にボルト9が貫通する2つの貫通孔を有する。プレート3は、幅方向の両端部が、積層方向の上方側に配置される一対のカラー5と、積層方向の下方側に配置される一対のカラー5とに挟み込まれ固定される。プレート3は、積層方向において電池セル10に接触した状態で、当該電池セル10から熱を奪って放熱したり、当該熱を物理的および熱的に接続された各カラー5に伝達するものである。
【0019】
弾性部材4は、弾性を有し、かつプレート3の両端部とともに、両端部に設けられた固定部4aが一対のカラー5に固定されるものである。弾性部材4は、電池セル群2を挟んでプレート3に対向して配置され、当該電池セル群2を加圧して拘束するものである。弾性部材4は、熱伝導性を有し、銅やアルミニウム合金等の金属板により形成される。弾性部材4は、t=0.5~1.0mm程度の厚みを有する。弾性部材4は、積層方向から視た場合、電池セル10を覆う大きさを有し、略四角形状に形成される。弾性部材4は、電池セル群2に適切な加圧をした上で、プレート3に溶接等で固定される。弾性部材4は、図1図3に示すように、電池セル10と接触する接触部4bと、固定部4aとの間に、変化吸収部4cを有する。固定部4aは、弾性部材4の両端部にそれぞれ設けられ接続点41を介して変化吸収部4cに接続されている。固定部4aは、弾性部材4において、平板状の形成された部分である。接触部4bは、弾性部材4において、平板状に形成された部分である。接触部4bは、幅方向の両端がそれぞれ接続点42を介して変化吸収部4cに接続されている。
【0020】
変化吸収部4cは、複数の電池セル10の通常状態時から膨張状態時への変化による、接触部4bと固定部4aとの直線距離の変化を吸収する。電池セル10の通常状態とは、例えば、電池パックに対して充放電が行われていない状態を表す。電池セル10の膨張状態とは、例えば、充放電が行われている状態を表す。変化吸収部4cは、1以上の屈曲点CPを有する。変化吸収部4cは、屈曲点CPが直線状に伸びて弾性変形することで弾性力を得ることができる。本実施形態の変化吸収部4cは、図1図3、および図4に示すように、2つの屈曲点CPを有する。屈曲点CPは、電池セル10の通常状態時(例えば電池セル10が収縮した状態)において弾性変形することで、弾性部材4が電池セル群2に加圧する。
【0021】
一対のカラー5は、固定部材であり、弾性部材4の固定部4aとともに、プレート3の両端部をそれぞれ固定するものである。一対のカラー5は、幅方向に対向して配置され、かつ積層方向に沿って配列される。各カラー5は、積層方向に貫通する貫通孔を有し、ボルト9の締結によりプレート3の両端部および弾性部材4の固定部4aを固定する。一対のカラー5は、積層方向から見た場合に、カラー5の一方の端部において連結部5aにより互いに連結される。言い換えると、一対のカラー5は、積層方向から視た場合に、U字型形状を有する。
【0022】
次に、本実施形態の電池モジュール1の組み立てについて説明する。まず、作業者は、SOC(state of charge)を使用下限にした状態の複数の電池セル10を用意する。作業者は、それら複数の電池セル10を積層方向に積層して電池セル群2とし、当該電池セル群2をプレート3の積層方向の上方側および下方側にそれぞれ配置する。次に、作業者は、プレート3に配置された電池セル群2を一対の弾性部材4で上下方向から挟み込み、予め一定の圧力を加えた状態で、弾性部材4の両端の固定部4aと、プレート3の両端部と、カラー5とを抵抗溶接等により互いに接合する。弾性部材4は、電池セル10が最も収縮した状態において、電池セル群2に一定の圧力がかかるようにプレート3に接合される。このとき、変化吸収部4cの2つの屈曲点CPは、若干直線状に伸びて弾性変形させた状態になる。これにより、弾性部材4は、電池セル10の膨張および収縮に追従することができる。次に、作業者は、積層方向に沿って配列された複数のカラー5をボルト9により締結する。
【0023】
電池セル10は、SOCが少ないほど収縮し、充電により膨張する特性を有する。そこで、SOCを使用下限にした状態の電池セル10を使用し、弾性部材4を電池セル10の膨張、収縮に追従させるように、当該弾性部材4に一定の圧力をかけた状態で弾性部材4とプレート3とを接合する。これにより、電池セル10が最も収縮した状態でも、弾性部材4が電池セル群2に対して一定の圧力をかけた状態を作り出すことができる。この一定の圧力は、例えば、弾性部材4から積層方向にあるプレート3に向かうものである(図3の矢印)。これより、放電時に電池セル10が収縮した場合でも、弾性部材4が電池セル10に加圧するこができる。
【0024】
次に、本実施形態の電池モジュール1において、電池セル10が膨張または収縮した場合の弾性部材4の状態変化について説明する。電池モジュール1の充放電時には、複数の電池セル10が積層方向において膨張、収縮を繰り返すこととなる。電池セル10の積層方向における膨張・収縮により、電池セル群2が積層方向に相対移動すると、接触部4bと固定部4aとの直線距離が変化する(図4(A)、図4(B))。例えば、2つの電池セル10で構成された電池セル群2の積層方向の長さl1は、電池セル10の積層方向の膨張により、長さl2に変化する。この場合、長さl2>長さl1となる。本実施形態では、弾性部材4の変化吸収部4cが弾性変形することで、接触部4bと固定部4aとの直線距離の変化を吸収する。例えば、電池セル10が膨張した場合、接触部4bと固定部4aとの直線距離の伸びに対して、変化吸収部4cが弾性変形して、その伸びを吸収する。一方、電池セル10が収縮した場合、電池セル10が膨張した場合、接触部4bと固定部4aとの直線距離の縮みに対して、変化吸収部4cの弾性により、その縮みを吸収する。
【0025】
本実施形態では、一対の弾性部材4に拘束された複数の電池セル群2との間に隙間Gが形成されている。電池セル10の積層方向における膨張・収縮により、電池セル群2が積層方向に相対移動すると、弾性部材4の変化吸収部4cが弾性変形により屈曲の程度が変化することで、当該相対移動を吸収して隙間Gの大きさが変化可能になる。したがって、電池セル10の積層方向における膨張・収縮による電池セル群2の移動を、電池モジュール1を収容する筐体内で吸収することができ、筐体を積層方向における長さ、すなわち厚みを薄くすることができ、電池モジュール1の小型化、低背化が可能となり、高エネルギー密度の電池パックを提供することが可能となる。
【0026】
以上説明したように、本実施形態に係る電池モジュール1は、熱伝導性を有し、かつ複数の電池セル10が積層されるプレート3と、プレート3の両端部をそれぞれ固定する一対のカラー5と、弾性を有し、かつプレート3の両端部とともに、両端部に設けられた固定部4aが一対のカラー5に固定される弾性部材4とを備える。複数の電池セル10は、積層方向において互いに接触した状態で、積層方向の一方側の電池セル10がプレート3に接触し、他方側の電池セル10が弾性部材4と接触する。弾性部材4は、電池セル10と接触する接触部4bと、固定部4aとの間に、変化吸収部4cを有する。変化吸収部4cは、複数の電池セル10の通常状態時から膨張状態時への変化による、接触部4bと固定部4aとの直線距離の変化を吸収する。
【0027】
上記構成により、電池セル10の積層方向における膨張・収縮により、電池セル群2が積層方向に相対移動しても、弾性部材4の変化吸収部4cが弾性変形により変化することで、当該相対移動を吸収するので、電池セル群2を拘束して加圧しつつ電池セル10自体の伸縮を可能とする。また、電池セル10の積層方向における膨張・収縮による電池セル群2の移動を、電池モジュール1を収容する筐体内で吸収することで、筐体を積層方向における厚みを薄くすることができ、電池セル10を積層した際に必要となる隙間Gを小さくすることができる。この結果、電池パックの小型化、低背化が可能となり、高エネルギー密度の電池パックを提供することができる。また、電池モジュール1を筐体に収容する際に、当該筐体の上面、下面に緩衝材が不要となる。そのため、積層方向に加圧するための緩衝材が電池セル10の収縮による応力や熱により塑性変形してしまい、積層方向への圧力を与え続けることができなくなることを抑制することができる。
【0028】
また、本実施形態に係る電池モジュール1は、変化吸収部4cが、1以上の屈曲点CPを有する。これにより、変化吸収部4cは、電池セルが膨張または収縮して積層方向に伸縮しても追従することができ、生じた応力が弾性部材4を介して電池セル10へ伝わることを抑制することができる。
【0029】
また、本実施形態に係る電池モジュール1は、一対のカラー5は、積層方向から見た場合に、カラー5の一方の端部において連結部5aにより互いに連結される。これにより、電池モジュール1の組み立て時において、弾性部材4の幅方向の位置ずれを低減することができ、例えば、電池セル10が最も収縮した状態において、弾性部材4が電池セル群2に対して一定の圧力をかけた状態を作り出すことができる。
【0030】
なお、上記実施形態では、電池セル群2は、2つの電池セル10を積層方向に積層して構成されているが、これに限定されるものではない。例えば、3つの電池セル10を積層したものであってもよいし、4つの電池セルを積層したものであってもよい。この場合、プレート3は、電池セル10の増加に合わせて増やしてもよい。また、積層方向は、鉛直方向に沿った方向としているが、これに限定されるものではない。
【0031】
また、上記実施形態では、プレート3は、平板状の金属板で構成されているが、これに限定されるものではない。例えば、プレート3は、内部に液冷流路を有するものであってもよい。
【0032】
また、上記実施形態では、変化吸収部4cは、2つの屈曲点CPを有するが、これに限定されるものではない。例えば、3つ以上であってよいし、1つ以下であってもよい。また、変化吸収部4cは、弾性を有するものであれば、屈曲点CPがなくてもよく、例えばS字形状を有するものであってもよい(図3の破線40)。
【符号の説明】
【0033】
1 電池モジュール
2 電池セル群
3 プレート
4 弾性部材
4a 固定部
4b 接触部
4c 変化吸収部
5 カラー
5a 連結部
10 電池セル
41,42 接続点
CP 屈曲点
図1
図2
図3
図4