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特許7083783燃焼ガス流の少なくとも一部を分離する為の集積吸着ガス分離システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】燃焼ガス流の少なくとも一部を分離する為の集積吸着ガス分離システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/62 20060101AFI20220606BHJP
   B01D 53/82 20060101ALI20220606BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20220606BHJP
【FI】
B01D53/62 ZAB
B01D53/82
C01B32/50
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019087173
(22)【出願日】2019-05-02
(62)【分割の表示】P 2015549909の分割
【原出願日】2013-12-31
(65)【公開番号】P2019150828
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2019-05-22
(31)【優先権主張番号】61/747,961
(32)【優先日】2012-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518334613
【氏名又は名称】スヴァンテ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ブーレ,アンドレ
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-011326(JP,A)
【文献】特開2010-069398(JP,A)
【文献】国際公開第2012/128928(WO,A1)
【文献】特開2010-241630(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0311761(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/34/53/85、
53/92、53/96、
53/04-53/18
C01B 32/50
F01K 23/00-27/02
F02C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼ガス流の少なくとも一部を分離する為の集積吸着ガス分離システムであって、前記燃焼ガス流には少なくとも二酸化炭素及び水分が含まれ、前記集積吸着ガス分離システムには:
(a)酸化剤流入口、燃焼チャンバ及び排気流出口を備え、操作中に前記燃焼ガス流を形成する原動機;
(b)前記原動機の前記排気流出口から前記燃焼ガス流の少なくとも一部を受け入れるように流体連結された加熱回路により、脱離流体流を受け入れて加熱するように流体連結された補助熱交換導管を備える補助熱交換器;
(c)前記水分の少なくとも一部を前記燃焼ガス流から分離し、回収し、第1凝縮物流を形成する為に、前記燃焼ガス流を前記加熱回路から受け入れるように流体連結された燃焼ガス冷却器を更に備え、前記脱離流体流には前記第1凝縮物流の少なくとも一部が含まれ;
(d)流入口及び流出口を備え、前記二酸化炭素成分を吸着する為の少なくとも1種の吸着材料を含む少なくとも1つの平行流路吸着剤接触器を備える吸着ガス分離器が備えられ、
少なくとも1つの前記平行流路吸着剤接触器は、前記燃焼ガス冷却器から少なくとも1つの前記平行流路吸着剤接触器の前記流入口に入る前記燃焼ガス流を受け入れるように流体連結され、少なくとも1種の前記吸着材料上に前記二酸化炭素成分の少なくとも一部を吸着させ、前記平行流路吸着剤接触器は、前記補助熱交換導管から前記脱離流体流を受け入れるように流体連結され、少なくとも1種の前記吸着材料上の前記二酸化炭素成分の少なくとも一部を脱離し、富二酸化炭素生成物流を形成し、
前記脱離流体流は真空以上大気圧よりも2バール高い圧力未満の範囲の圧力の供給流で前記補助熱交換導管に流入されることを特徴とする集積吸着ガス分離システム。
【請求項2】
前記圧力が真空以上大気圧よりも1バール高い圧力未満の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の集積吸着ガス分離システム。
【請求項3】
HRSG及び加熱回路を更に備える請求項1または2に記載の集積吸着ガス分離システムであって、前記燃焼ガス流を前記原動機から受け入れるように前記HRSGの前記加熱回路が流体連結され、下流で前記燃焼ガス流の少なくとも一部を前記HRSGの前記加熱回路から受け入れるように前記補助交換の前記加熱回路が流体連結されていることを特徴とする集積吸着ガス分離システム。
【請求項4】
前記補助熱交換器の前記加熱回路が前記HRSGに統合されていることを特徴とする請
求項3に記載の集積吸着ガス分離システム。
【請求項5】
前記富二酸化炭素生成物流の水分の少なくとも一部を捕捉して回収し、第2凝縮物流を形成する為に、前記富二酸化炭素生成物流を前記吸着ガス分離器から受け入れるように流体連結されたガス圧縮システムを更に備え、前記脱離流体流には前記第2凝縮物流の少なくとも一部が含まれていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の集積吸着ガス分離システム。
【請求項6】
前記富二酸化炭素生成物流を前記吸着ガス分離システムから受け入れるように流体連結されたガス圧縮システムを更に備え、前記ガス圧縮システムが前記原動機により機械的に駆動されることを特徴とする請求項1に記載の集積吸着ガス分離システム。
【請求項7】
複数の凝縮器内の前記富二酸化炭素生成物流の水分の少なくとも一部を捕捉して回収し、複数の凝縮器間の凝縮物流を形成する為に、前記富二酸化炭素生成物流を前記吸着ガス分離器ら受け入れるように流体連結された複数の凝縮器を有するガス圧縮システムを更に備え、前記脱離流体流には前記凝縮器間の凝縮物流の少なくとも一部が含まれていることを特徴とする請求項3に記載の集積吸着ガス分離システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
先行出願
本発明は、先行して提出された特許文献1、名称「System and Method for Integrated Adsorptive Gas Separation of Combustion Gases」に関するものであり、その内容は全体的に本明細書に援用される。本発明は、先行して提出された特許文献2、名称「Method of Adsorptive Gas Separation using Thermally Conductive Contactor Structure」に関するものであり、その内容は全体的に本明細書に援用される。また本出願は、先行して提出された特許文献3、名称「Parallel Passage Fluid Contactor Structure」に関するものであり、その内容はまた、全体的に本明細書に援用される。
【0002】
本発明は全体的に、燃焼ガスからの集積二酸化炭素ガス分離の為の方法、及びそのシステムに関する。より具体的には、本発明は燃焼ガスからの二酸化炭素の集積ガス分離及び分離した燃焼ガスの燃焼プロセスへの再利用の方法、ならびにそれらを組み入れたシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
温度スイング吸着法は、多成分ガス混合物の吸着分離で利用されることから当技術分野で公知である。従来の温度スイング吸着プロセスの多くは、吸着材料上で供給ガス混合物の一成分を優先的に吸着し、残留した供給ガス成分からそれを分離し、次いで吸着材料を再生して吸着された成分を脱離させ、吸着材料を循環再利用可能にする為に使用されている。
【0004】
ガス分離が望ましいと思われる工業的プロセスの1タイプとして燃焼プロセスが挙げられ、ここでは酸化剤及び炭素含有燃料を燃焼させ、機械的動力及び副産物、例えば熱及び燃焼プロセスの排ガス流を形成する。例えば化石燃料燃焼プロセスの排ガス混合物から二酸化炭素ガスを除去及び/又は隔離する為には、燃焼プロセスの排ガスから1種以上のガス成分を分離することが望ましい。このような用途では、従来の温度スイング吸着ガス分離システムに電力消費が追加され、又は非効率になると、通常このような温度スイング吸着ガス分離システムの化石燃料燃焼プロセスへの統合が不適当に非効率的となり、例えば、資本コストが受け入れ難い程に高まり、エネルギー効率及び/又はガス分離効率が低下し、ならびに作業コストが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】PCT国際特許出願第PCT/CA2012/050451号
【文献】PCT国際特許出願第PCT/CA2011/050521号
【文献】PCT国際特許出願第PCT/CA2010/000251号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、先行技術における一部の制限に対処する燃焼ガスの集積吸着ガス分離法を提供することである。
【0007】
本発明の1つの実施態様では、燃焼ガス流の少なくとも一部を燃料燃焼炉から分離する集積吸着ガス分離プロセスが提供され、ここでは、前記燃焼ガス流には少なくとも二酸化炭素及び水分が含まれ、該プロセスには:
(a)燃料流入口へ燃料流を流入させ、前記燃料燃焼炉の酸化剤流入口へ酸化剤流を流入させ、前記燃焼ガス流を形成する工程;
(b)各々が前記二酸化炭素成分を吸着する為の吸着材料を少なくとも1種含む複数の吸着剤接触器を有する吸着ガス分離システムに前記燃焼ガス流を流入させる工程;
(c)少なくとも1つの吸着剤接触器の流入口に前記燃焼ガス流を流入させる工程;
(d)前記燃焼ガス流の前記二酸化炭素成分の少なくとも一部を、少なくとも1種の前記吸着材料に吸着させる工程;
(e)前記燃焼ガス流より前記二酸化炭素成分が欠乏している第1の生成物流を、少なくとも1つの前記吸着剤接触器の流出口から回収する工程;
(f)少なくとも1つの前記吸着剤接触器内の少なくとも1種の前記吸着材料に吸着された前記二酸化炭素成分の第1部分を脱離する工程;
(g)前記燃焼ガス流より前記二酸化炭素成分が豊富である第2の生成物流を、少なくとも1つの前記吸着剤接触器の前記流入口及び流出口の少なくとも1つから回収する工程;
(h)少なくとも1種の前記吸着材料に吸着された前記二酸化炭素成分の第2部分を脱離する工程;
(i)前記二酸化炭素成分の前記第2部分を含む第3の生成物流を、少なくとも1つの前記吸着剤接触器の前記流入口及び流出口の少なくとも1つから回収する工程;ならびに
(j)燃焼用の前記燃料燃焼炉の酸化剤流入口へ前記第3の生成物流の少なくとも一部を再循環させる工程が含まれる。
【0008】
集積吸着ガス分離プロセスの任意の実施態様では、二酸化炭素成分の第2部分の脱離に加え、そのプロセスには更に少なくとも1つの前記吸着剤接触器に調節流を流入させる工程が含まれてもよい。
【0009】
本発明の更なる実施態様では、燃焼ガス流の少なくとも一部を分離する為の集積吸着ガス分離システムが提供され、ここでは、前記燃焼ガス流は少なくとも二酸化炭素及び水分を含み、該システムには:
(a)酸化剤流入口、燃焼チャンバ及び排気流出口を備え、操作中に前記燃焼ガス流を形成する原動機;
(b)加熱流体流を受け入れるように流体連結された加熱回路により、脱離流体流を受け入れて過熱するように流体連結された補助熱交換導管を備える補助熱交換器;
(c)流入口及び流出口を備え、前記二酸化炭素成分を吸着する為の少なくとも1種の吸着材料を含む少なくとも1つの吸着剤接触器を備える吸着ガス分離器が備えられ、
ここでは、少なくとも1つの前記吸着剤接触器は、前記原動機の前記排気流出口から少なくとも1つの前記吸着剤接触器の前記流入口に入る前記燃焼ガス流を受け入れるように流体連結され、少なくとも1種の前記吸着材料上に前記二酸化炭素成分の少なくとも一部を吸着させ、
前記吸着剤接触器は、前記補助熱交換導管からの前記脱離流体流を受け入れるように流体連結され、少なくとも1種の前記吸着材料上の前記二酸化炭素成分の少なくとも一部を脱離し、富二酸化炭素生成物流を形成し、また
前記脱離流体流は周囲より約2バール高い圧力未満の圧力の供給流で前記補助熱交換導管に流入される。
【0010】
本発明の別の実施態様では、ガス流の少なくとも一部を分離する吸着ガス分離プロセスが提供され、前記ガス流には少なくとも二酸化炭素及び水分が含まれ、このプロセスには:
(a)複数の吸着剤接触器を有する吸着ガス分離システムに前記ガス流を流入させる工程;
(b)前記二酸化炭素成分を吸着する為の少なくとも1種の吸着材料を有する少なくとも1つの前記吸着剤接触器の流入口に前記ガス流を流入させる工程;
(c)前記ガス流の前記二酸化炭素成分の少なくとも一部を、少なくとも1種の前記吸着材料に吸着させる工程;
(d)前記ガス流より前記二酸化炭素成分が欠乏している第1の生成物流を、少なくとも1つの前記吸着剤接触器の流出口から回収する工程;
(e)少なくとも1種の前記吸着材料を有する少なくとも1つの前記吸着剤接触器の前記流入口への前記ガス流の流入を停止する工程;
(f)少なくとも1種の前記吸着材料の加熱により、少なくとも1つの前記吸着剤接触器内の少なくとも1種の前記吸着材料に吸着された前記二酸化炭素成分の第1部分を脱離する工程;
(g)前記二酸化炭素成分が豊富な第2の生成物流を、少なくとも1つの前記吸着剤接触器の前記流入口及び流出口の少なくとも1つから回収する工程;
(h)少なくとも1種の前記吸着材料に吸着された前記二酸化炭素成分の第2部分を脱離する工程;ならびに
(i)前記二酸化炭素成分の前記第2部分を含む第3の生成物流を、少なくとも1つの前記吸着剤接触器の前記流入口及び流出口の少なくとも1つから回収する工程が含まれ、
ここでは、工程(b)から(i)は少なくとも1つの前記吸着剤接触器内で逐次行われる。
【0011】
本発明の更なる別の実施態様では、前記燃料燃焼炉及びガス分離システムを備える集積燃焼ガス分離システムの燃料燃焼炉から、燃焼ガス流の少なくとも一部を分離する集積ガス分離プロセスが提供され、前記燃焼ガス流は少なくとも二酸化炭素及び水分を含み、そのプロセスには:
(a)燃料流を燃料流入口に流入させ、酸化剤流を前記燃料燃焼炉の酸化剤流入口に流入させ、前記燃焼ガス流を形成する工程;
(b)前記燃焼ガス流を前記ガス分離システムに流入させる工程;
(c)前記ガス分離システム内で前記燃焼ガス流の前記二酸化炭素成分の少なくとも一部を収着する工程;
(d)前記燃焼ガス流より二酸化炭素が欠乏している排ガス流を前記ガス分離システムから回収する工程;
(e)前記ガス分離システム内で前記二酸化炭素成分の少なくとも一部を脱離する工程;
(f)少なくとも周期的に酸化剤流を前記ガス分離システムに流入させ混合酸化剤流を形成する工程;及び
(g)少なくとも周期的に前記混合酸化剤流を前記ガス分離システムから回収し、少なくとも周期的に前記混合酸化剤流の少なくとも一部を前記燃料燃焼炉の前記酸化剤流入口に流入させる工程が含まれ、
ここでは、少なくとも周期的に実質的に全ての前記脱離二酸化炭素成分を前記混合酸化剤流で回収する。
【0012】
本発明の別の実施態様では、燃焼ガス流の少なくとも一部を分離する為の集積燃焼ガス分離システムが提供され、燃焼ガス流は少なくとも二酸化炭素及び水分を含み、該システムには:
(a)燃料流入口、酸化剤流入口及び排ガス流出口を備え、操作中に前記燃焼ガス流を形成する燃料燃焼炉;
(b)燃焼ガス流入口、酸化剤流入口、排ガス流出口、混合ガス流出口、及び少なくとも1種の収着材料を含む少なくとも1つの収着剤接触器を備え、少なくとも1種の前記収着材料に前記二酸化炭素成分の少なくとも一部を収着することにより前記二酸化炭素成分を前記燃焼ガス流から分離できるように操作可能であるガス分離システム;
(c)前記燃料燃焼炉の前記排気流出口、及び前記ガス分離システムの前記燃焼ガス流入口に流体連結された燃焼ガス導管、ならびに
(d)前記ガス分離システムの前記混合ガス流出口、及び前記二酸化炭素成分の実質的に全ての脱離部を前記吸着ガス分離システムから回収する為の前記燃料燃焼炉の前記酸化剤流入口に流体連結された混合ガス導管が備えられる。
【0013】
添付図面を参照して、本発明の例示的な実施態様に従った燃焼ガスからの集積二酸化炭素ガス分離の為のシステム及び方法をこれから説明することとする:
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ガスタービン、熱回収蒸気発生装置(HRSG)、蒸気タービン、補助熱交換器、燃焼ガス冷却器、吸着ガス分離システム、及びガス圧縮システムを備える本発明の実施態様に従った集積吸着ガス分離システムを説明する概略図である。
図2】ガスタービン、熱回収蒸気発生装置(HRSG)、蒸気タービン、燃焼ガス冷却器、吸着ガス分離システム、ガス圧縮システム、及びHRSGに一体化された補助熱交換器を備える本発明の更なる実施態様に従った集積吸着ガス分離システムを説明する概略図である。
図3】燃料として天然ガス、酸化剤として空気、ガスタービンへの富二酸化炭素流の再利用を採用しているガスタービンを使用した、本発明の実施態様に従った例示的な集積二酸化炭素ガス分離プロセスを実行する本発明の実施態様に従った例示的な集積二酸化炭素ガス分離システムの多様な動作点に付随する多様な動作プロットのコンピュータシミュレーションモデルを説明するグラフである。
図4】燃料燃焼炉、及び燃料燃焼炉により形成された燃焼ガス流から二酸化炭素成分の少なくとも一部を分離するガス分離システムを備える本発明の実施態様に従った集積ガス分離システムを説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
同様の参照番号は、図面のいくつかの図を通して対応する部分を参照する。
【0016】
本発明の1つの実施態様では、燃焼ガス流の少なくとも一部を燃料燃焼炉から分離する為に集積二酸化炭素ガス分離プロセスが提供され、該燃焼ガス流には少なくとも二酸化炭素及び水分(水蒸気及び/又は蒸気など)が含まれる。集積二酸化炭素ガス分離プロセスには、吸着プロセス(下記に更に説明する吸着材料など使用)、化学吸収プロセス(例えばアミンをベースとする溶媒を使用)及び/又は膜分離プロセス(例えば、ゼオライト又はセラミック膜)が含まれ得るが、これらに限定するものではない。更に、集積二酸化炭素ガス分離プロセスには、実質的に全ての燃焼ガス流を燃料燃焼炉からガス分離装置へ流入させる工程、又は燃焼ガス流の少なくとも一部を燃料燃焼炉からガス分離装置に流入させる工程を含めてもよい。本明細書で開示され、更に下記に詳細に記述されているプロセスが、任意の好適な公知の二酸化炭素ガス分離プロセス及び/又は方法と併用され、任意の好適な公知の二酸化炭素ガス分離装置又はシステムを使用し、いくつかの例示的な実施態様に従って記述された例示的な吸着ガス分離プロセスに限定されず、例えば他の好適な非吸着二酸化炭素ガス分離プロセス、方法、装置又はシステムの代替的使用も含むことは理解されているものとする。
【0017】
例示的な実施態様では、吸着ガス分離プロセスには温度スイング吸着(以下、「TSA」と称する)プロセスが含まれ、ここでは吸着材料に吸着された燃焼ガス成分を脱離する為の少なくとも1つの脱離工程は主に吸着材料の加熱により操作される。しかし、代替的な実施態様では、パージ、又は好適なパージ流体による置換パージなどの代替的脱離メカニズムは、単独で、又は吸着された成分を脱離する為の加熱と併用して利用してもよい。あるいは、吸着ガス分離プロセスには圧力スイング吸着(以下、「PSA」と称する)プロセスが含まれ、ここでは二酸化炭素を選択的に吸着する為の吸着材料(以下、「吸着材料」と称する)に吸着された燃焼ガス成分を脱離する為の少なくとも1つの脱離工程は主に吸着材料を含む吸着剤接触器の圧力でのスイングにより操作される。しかし、代替的な実施態様では、パージ、又はパージ流体による置換パージ、あるいは吸着材料の加熱などの代替的吸着メカニズムは、単独で、又は例えば吸着された燃焼ガス成分を脱離する為の圧力スイングと併用して利用してもよい。更に別の代替法では、吸着ガス分離プロセスには部分的圧力スイング吸着(以下、「PPSA」と称する)プロセスが含まれてもよく、ここでは吸着材料に吸着された燃焼ガス成分を脱離する為の少なくとも1つの脱離工程は主に、吸着材料を含む吸着剤接触器内の少なくとも1種の吸着ガス成分の部分的な圧力又は濃度のスイングもしくは差異により操作される。別の代替的な実施態様では、吸着材料の加熱又は圧力スイングなどの代替的吸着メカニズムは、単独で、又は例えば吸着された燃焼ガス成分を脱離する為の部分的圧力スイングと併用して利用することも可能である。
【0018】
本発明に従った1つの実施態様では、燃料燃焼炉には燃焼用酸化剤反応物の原料として主に周囲空気を使用する任意の好適な型の燃料燃焼装置を備えることも可能である。他の実施態様では、燃料燃焼炉には代替的な酸化剤反応物を使用することも可能であり、例えば酸素が追加された空気又は周囲レベルより酸素が豊富な空気、実質的に酸素、酸素が欠乏した空気、周囲空気より酸素が少ないガス流、及び再利用燃焼ガスが挙げられるがこれらに限定するものではない。限定するものではないがガス状燃料、液状燃料及び/又は固形燃料などの燃料反応物は、発明の実施態様に従った燃料燃焼炉内の燃焼に使用することも可能である。特定の実施態様では、燃料燃焼炉は:例えばガスタービン燃焼炉、複合的循環ガスタービン燃焼炉、軽炭化水素燃焼炉、液体‐燃料(オイル/灯油/軽油/ガソリン/ジェット燃料及び他の燃焼性液体燃料など)燃焼炉、石炭‐燃焼性燃焼炉(石炭燃焼発電機設備などの、固形状、微粉状、ガス状または他の形態の石炭を燃料とする燃料炉が挙げられる)、バイオマス固体及び/又は液体燃料燃焼炉、蒸気発生装置/ボイラー燃焼炉、ならびにプロセスヒーター燃焼炉(プロセス流体及び/又はガスを加熱する精製及び/又は工業プロセスなどで使用し得る)などのタービン燃料燃焼炉の中の少なくとも1つを備えることも可能である。
【0019】
1つの実施態様では、集積吸着ガス分離プロセスには、燃料流を燃料流入口に流入させ、酸化剤流を燃料燃焼炉の酸化剤流入口に流入させて燃焼ガス流を形成する工程が含まれてもよい。該プロセスにはその後、供給混合物として少なくとも二酸化炭素及び水分を含む燃料燃焼炉から出た燃焼ガス流の少なくとも一部を吸着ガス分離システムに流入させる吸着工程が含まれる。燃焼ガス流は、吸着ガス分離システム内の少なくとも1種の吸着材料を有する少なくとも1つの吸着剤接触器の流入口に流入させることも可能である。該プロセスには、その後、吸着材料に二酸化炭素成分の少なくとも一部を吸着させる工程が含まれてもよい。該プロセスにはまた、供給混合物又は燃焼ガス流より二酸化炭素成分が欠乏している第1生成物流を、吸着剤接触器及び吸着ガス分離システムの流出口から回収する工程が含まれてもよい。1つの実施態様では、吸着剤接触器から回収された第1の生成物流が、望ましくは二酸化炭素を実質的に含まないように、吸着工程により燃焼ガス流の実質的に全ての二酸化炭素成分が吸着ガス分離システム内の吸着材料に吸着されることも望ましい。燃焼ガス流から二酸化炭素を少なくとも実質的に完全に除去することにより、第1の生成物流が排ガス流として吸着ガス分離システムから、二酸化炭素を実質的に含まない環境へと放出されることも望ましく、それにより、燃料燃焼炉の操作から炭素放出が低減されるようになる。特定の実施態様では、放出された第1の生成物流が吸着工程中に、正味の効果として大気から二酸化炭素を除去できるように、第1生成物流の二酸化炭素濃度は環境の周囲二酸化炭素濃度より低い濃度、例えば大気中の約390ppmの周囲二酸化炭素濃度より低いことも望ましい。
【0020】
1つの実施態様に従えば、少なくとも1つ吸着材料を有する好適な吸着剤接触器は通常、例えば燃焼ガス流から二酸化炭素を吸着する容量に限りがある。吸着容量は吸着材料に吸着された二酸化炭素及び任意の他の成分を脱離することで周期的に回復できることも望ましい。通常、このような実施態様では、吸着剤接触器の吸着容量に達する前に、吸着材料に吸着された二酸化炭素及び/又は任意の他の成分が脱離されることも望ましい。特定の実施態様では、例えば燃焼ガス流による脱離流体の希釈を低減し、また/あるいは、吸着材料からの熱損失を低減する為に、吸着材料の脱離中、採用した脱離メカニズム(単数又は複数)(加熱、パージ、圧力スイング、部分的圧力スイング脱離メカニズムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない)に依存して、吸着剤接触器への燃焼ガス流の流入及び/又は通過を減少させ、又は実質的に停止し得ることも望ましい。特定の実施態様では、複数の接触器を備える吸着ガス分離システム内で、例えば燃焼ガス流を第1吸着剤接触器(脱離が必要な場合)から第2吸着剤接触器(燃焼ガス流の吸着の為)へ逸らすことにより、脱離の際に吸着剤接触器を通過する燃焼ガス流の流れを停止させる工程が吸着プロセスに含まれてもよい。
【0021】
1つの実施態様では、集積吸着ガス分離プロセスには、例えば蒸気流に限定するものではないが、好適な脱離流体又は流れを吸着剤接触器に流入させるか、あるいは吸着剤接触器及び/又は吸着剤接触器内の吸着材料を電気的ジュール加熱するなど、直接に吸着剤接触器を加熱し、それにより吸着剤接触器内の吸着材料に吸着された二酸化炭素成分の第1部分を脱離するなどして吸着剤接触器を加熱する工程を含む第1脱離工程が含まれてもよい。上記のとおり、1つの実施態様では、吸着された二酸化炭素の脱離は主にTSAプロセスなどによって熱により操作するが、例えば圧力スイング脱離、部分的圧力脱離及び/又はパージ脱離メカニズムなどの1つ以上の二次脱離メカニズムも含まれてもよい。特定の実施態様では、吸着された二酸化炭素の脱離には例えば、主に熱により操作する第1脱離工程、ならびに主にパージ及び/又は部分的圧力脱離メカニズムにより操作し得る第2脱離工程が含まれてもよい。代替的な実施態様では、吸着された二酸化炭素の脱離には例えば、主にパージ及び/又は部分的圧力脱離メカニズムにより操作する第1脱離工程、及び主に熱により操作し得る第2脱離工程が含まれてもよい。更なる代替的実施態様では、吸着された二酸化炭素の脱離は主に、例えばTSAプロセスと併用して、あるいはTSAプロセスの代わりに1つ以上の圧力スイング及び/又は部分的圧力スイングプロセスにより操作することが可能である。1つの実施態様では、集積吸着ガス分離プロセスには、二酸化炭素が豊富な第2の生成物流を吸着剤接触器の流入口又は流出口のいずれかから回収する工程が含まれてもよい。
更なる実施態様では、プロセスには二酸化炭素も含む第3の生成物流を回収する工程も含まれ、第2の生成物流には第1脱離工程中に脱離された二酸化炭素が含まれ、第3の生成物流には例えば第2脱離工程中に脱離された二酸化炭素が含まれる。
【0022】
好ましい実施態様では、二酸化炭素成分の少なくとも一部が吸着剤接触器の吸着材料に吸着されたまま残るように、吸着された二酸化炭素成分の一部を吸着剤接触器の吸着材料から脱離し、第2の生成物流で回収する。1つの実施態様では、第2の生成物流で回収された二酸化炭素成分の脱離部分には、吸着された二酸化炭素成分全体の約3分の1のみが含まれ、例えば第1脱離工程の最後には、吸着剤接触器の吸着材料に吸着された二酸化炭素成分は約3分の2が残る。従って1つのこのような実施態様では、吸着された二酸化炭素成分は一部のみ第1脱離工程で脱離されることから、吸着された二酸化炭素成分の大部分又は実質上全てを脱離するプロセスと比較して、脱離に必要な熱エネルギーの量が低減されることも望ましい。1つの実施態様では、蒸気を脱離流体として使用して吸着材料を加熱し、加熱及び/又は置換パージ脱離メカニズムなどにより二酸化炭素成分の第1部分を脱離することも可能であり、従って、吸着された二酸化炭素成分の一部のみを吸着剤接触器の吸着材料から脱離するには、蒸気の量を大幅に減少させる(例えば約3分の1)ことが望ましい。第2の生成物流は実質的に純粋な二酸化炭素を含み、あるいは吸着剤接触器をパージ又は脱離する為に蒸気を利用する場合は、実質的に二酸化炭素及び蒸気のみ含むことも望ましい。従って、このような第2の生成物流は二酸化炭素濃度が高いことも望ましく、それにより、炭素隔離、あるいはオイル回収を促進する目的といった他の用途などの使用及び/又は保存の為に効率的に圧縮(任意の蒸気成分の濃縮ノックアウト)され、燃料燃焼炉の操作において炭素排出を低減することに適している。
【0023】
別の実施態様では、二酸化炭素が豊富な第2の生成物流は、例えば約97%未満の二酸化炭素濃度、又は約90%未満の二酸化炭素濃度、又は約70%未満の二酸化炭素濃度、又は約50%未満の二酸化炭素濃度の流れの混合物を供給できるように選択及び制御できることも望ましい。特定のこのような実施態様では、例示的なプロセスにおいて、選択的に二酸化炭素を吸着する少なくとも1種の吸着材料を使用し、少なくとも第1脱離工程中、実質的に汚染されていない二酸化炭素流が提供されることも望ましい。基本的に二酸化炭素及び蒸気を含む第2の生成物流など、実質的に汚染されていない二酸化炭素流が、二酸化炭素を必要とする用途、例えば園芸、バイオマス製造、水処理、食品製造、ならびに薬品及びポリマーの製造に使用されることも望ましい。例示的な実施態様に従った第2の生成物流からの二酸化炭素及び/又は実質的に汚染されていない二酸化炭素流の濃度が選択できることにより、下流の精製プロセス及び/又は装置を追加する必要性が少なくなることから、二酸化炭素流を供給するコストが削減されることも望ましい。
【0024】
第1脱離工程の後、更なる実施態様で第2脱離工程を利用し、少なくとも1つの吸着剤接触器内の少なくとも1種の吸着材料に吸着された二酸化炭素成分の第2部分を脱離することも可能である。1つのこのような実施態様では、少なくとも1つの吸着剤接触器内の少なくとも1種の吸着材料に吸着された二酸化炭素成分の第2部分を脱離する為、集積吸着ガス分離プロセスには、例えば、限定するものではないが周囲空気流、高温空気流又は高温排ガス流などの好適な調節流を吸着剤接触器に流入させる工程が含まれてもよい。該プロセスには、その後、少なくとも1つの前記吸着剤接触器の流入口又は流出口から二酸化炭素成分の第2部分を含む第3の生成物流を回収する工程が含まれてもよい。吸着剤接触器で吸着された二酸化炭素成分の第2部分の脱離はTSA、PSA及びPPSA脱離プロセスの少なくとも1つにより操作可能である。その後、燃料燃焼炉の酸化剤流入口及び第3の生成物流導管を介して、操作中に、二酸化炭素含有調節流又は第3の生成物流の少なくとも一部を、燃料燃焼炉を通じて再利用する。1つの実施態様では、第3の生成物流は、例えば約400ppmの大気二酸化炭素濃度を超える二酸化炭素濃度など周囲空気より高い二酸化炭素濃度を有することも望ましい。別の実施態様では、第3の生成物流は、燃焼炉に形成された燃焼ガスより高い二酸化炭素濃度を有することも望ましい。1つの実施態様では、第2脱離工程中に吸着剤接触器に流入した調節流は、吸着剤接触器の吸着材料に吸着された残りの二酸化炭素成分の大部分、より好ましくは実質的に全てを脱離し、酸化剤流入口を介して燃料燃焼炉に二酸化炭素成分の第2部分を再利用することに効果的であることも望ましい。
【0025】
本発明に従った別の実施態様では、集積吸着ガス分離プロセスには:
(a)燃料流を燃料流入口に流入させ、酸化剤流を燃料燃焼炉の酸化剤流入口に流入させ、二酸化炭素及び水分を含む燃焼ガス流を形成する工程;
(b)複数の吸着剤接触器を有する吸着ガス分離システムに燃焼ガス流を流入させる工程;
(c)前記二酸化炭素成分を吸着する為の少なくとも1種の吸着材料を有する少なくとも1つの吸着剤接触器の流入口に燃焼ガス流を流入させる工程;
(d)少なくとも1つの吸着材料に燃焼ガス流の二酸化炭素成分の少なくとも一部を吸着させる工程;
(e)燃焼ガス流より二酸化炭素成分が欠乏している第1の生成物流を少なくとも1つの吸着剤接触器の流出口から回収する工程;
(f)少なくとも1つの吸着剤接触器への燃焼ガス流の流れを停止させる工程;
(g)少なくとも1つの吸着剤接触器内の少なくとも1種の吸着材料に吸着された二酸化炭素成分の第1部分を脱離する工程;
(h)燃焼ガス流より二酸化炭素成分が豊富な第2の生成物流を少なくとも1つの吸着剤接触器の流入口及び流出口の少なくとも1つから回収する工程;
(i)少なくとも1種の吸着材料に吸着された二酸化炭素成分の第2部分を脱離する工程;
(j)二酸化炭素成分の第2部分を含む第3の生成物流を少なくとも1つの吸着剤接触器の流入口及び流出口の少なくとも1つから回収する工程、ならびに
(k)燃焼の為の燃料燃焼炉の酸化剤流入口に第3の生成物流の少なくとも一部を流入させる工程が含まれる。
【0026】
特定の実施態様では、少なくとも1種の吸着材料に吸着された二酸化炭素成分の第2部分を脱離する工程には、調節流体流を少なくとも1つの吸着剤接触器に流入させ、吸着材料から二酸化炭素成分の第2部分を脱離する工程が含まれてもよい。1つのこのような実施態様では、調節流体流には空気、熱風、蒸気、燃焼ガス、富酸化剤流体流又は任意の他の好適な調節流体のうち少なくとも1つが含まれ、回収された第3の生成物流には、調節流体流及び吸着された二酸化炭素成分の第2部分が含まれてもよい。別の特定の実施態様では、二酸化炭素成分の第2部分はTSA、PSA及びPPSA脱離メカニズムのうちの1つ以上を利用して脱離することも可能である。
【0027】
更なる実施態様では、集積吸着ガス分離プロセスには、少なくとも1つの吸着剤接触器内の少なくとも1つの吸着材料に吸着された二酸化炭素成分の第1部分を脱離させる第1脱離工程において脱離流体流を吸着剤接触器に流入させる工程が含まれ、ここでは、脱離流体には空気、熱風、蒸気、燃焼ガス、排ガス又は他の好適な脱離流体の少なくとも1つが含まれてもよい。
【0028】
第1脱離工程後、特定のこのような実施態様では、少なくとも1つの吸着剤接触器内の少なくとも1種の吸着材料に吸着された二酸化炭素成分の第2部分を脱離する為、第2脱離工程には、吸着剤接触器内に調節流体流を流入させる工程が含まれ、ここでは調節流体には蒸気又は他の好適な調節流体が含まれる。
【0029】
更に別の実施態様では、少なくとも1つの吸着剤接触器内の少なくとも1種の吸着材料に吸着された二酸化炭素成分の第1部分を脱離させる工程には、吸着材料及び吸着剤接触器の少なくとも1つを加熱する工程が含まれてもよい。1つのこのような実施態様では、このような加熱工程には例えば、吸着材料及び/又は吸着剤接触器の電気抵抗又はジュール加熱などによる直接加熱、あるいは吸着剤接触器への加熱流体の流入などによる間接加熱が含まれてもよい。同様に、別の実施態様では、少なくとも1つの吸着材料に吸着された二酸化炭素成分の第2部分を脱離させる工程には、吸着材料及び吸着剤接触器の少なくとも1つを加熱する工程も含まれてもよい。1つのこのような実施態様では、このような加熱工程には例えば、吸着材料及び/又は吸着剤接触器の電気抵抗又はジュール加熱などによる直接加熱、あるいは吸着剤接触器への加熱流体の流入などによる間接加熱が含まれてもよい。
【0030】
1つの実施態様では、燃焼ガス流は再利用の二酸化炭素成分及び燃焼プロセス中に形成された二酸化炭素成分の両方を含むことになる為、吸着二酸化炭素成分の第2部分を燃料燃焼炉に再利用する主要な利点は、供給混合物として集積吸着ガス分離システムに流入する燃焼ガス流中の二酸化炭素濃度が増加することにある。特に、ガスタービンなどの為の、燃焼ガス流の二酸化炭素濃度基準値が比較的低い燃料燃焼炉の場合、例えば石炭を燃料とする熱燃焼炉、蒸気発生装置/ボイラー及びプロセスヒーターでの付加的実施態様では、燃焼ガス流中の二酸化炭素濃度の増加により、二酸化炭素成分を再利用しないシステムの燃焼ガス流又は二酸化炭素が薄い二酸化炭素流と比較して、吸着ガス分離システム内の二酸化炭素の吸着分離の効率が高まることも望ましい。本発明の特定の実施態様における吸着ガス分離システムへ、供給混合物として提供された燃焼ガス流中の二酸化炭素濃度の増加により吸着二酸化炭素分離の効率がこのように高まると、例えば:蒸気の減少の形態など吸着された二酸化炭素を脱離する為のエネルギー消費の節減、他のパージ流体又は電流消費の節減、あるいは脱離加熱の必要性の削減;二酸化炭素が豊富な第2の生成物流中の二酸化炭素純度の増加;吸着ガス分離システムの寸法及び/又は資本コストの削減;ならびに吸着ガス分離システムからの二酸化炭素回収の向上:のうちの少なくとも1つが可能となることも望ましい。
【0031】
1つの実施態様では、二酸化炭素成分の第2部分の脱離は、主に周囲空気流及び/又は他の調節流を用いる置換パージ又は不活性パージにより達成可能であり、このような場合、二酸化炭素成分を脱離する為に必要なエネルギーが少ないことも望ましい。二酸化炭素成分の第2部分を脱離する為に使用する周囲空気及び/又は調節流は二酸化炭素の脱離の熱効果により冷却され、それにより、第3の生成物流または富二酸化炭素調節流は、酸化剤流入口を介して燃料燃焼炉に再利用する場合に、利用可能な周囲空気と比較して低温かつ高密度であることも望ましい。1つの実施態様では、第3の生成物流は周囲空気温度より低い温度まで冷却することも可能である。例えば燃焼前に酸化剤を圧縮するガスタービン燃焼炉内など、大気圧以上で燃料燃焼炉が稼働するような場合、低温かつ高密度の調節流により燃料燃焼炉の効率が向上されることも望ましい。実質的に大気圧、又は大気圧に近い圧力で燃料燃焼炉が稼働する用途では、調節流を予熱して燃料燃焼炉の効率を向上させることも望ましい。更なる実施態様では、吸着ガス分離システムから二酸化炭素を再利用することにより燃料燃焼炉の酸化剤流中の二酸化炭素濃度が高まると、二酸化炭素は空気より非熱容量が高い為、酸化剤として周囲空気のみを使用していたシステムと比較して酸化剤流の熱容量が増加し得ることも望ましい。燃焼温度を臨界レベル又は目的のレベルより低く維持する為に、ガスタービンなどの燃料燃焼炉は例えば通常、燃焼には過剰量の空気(非燃焼空気)で稼働する。
【0032】
燃料燃焼炉又はガスタービンの酸化剤流の熱容量が増加すると、燃焼温度が臨界レベル又は目的のレベルより低く維持されながら、酸化剤流の質量流量の減少及び/又は燃料燃焼速度の増加(これにより燃料燃焼炉の正味の電力出力が増加する)によってガスタービンが稼働し、ガスタービンの効率が高まることも望ましい。
【0033】
通常の、石炭を燃料とする蒸気発生装置/ボイラー、又はプロセスヒーター燃焼炉などにおいて、実質的大気圧で燃料燃焼炉が稼働する代替的実施態様では、二酸化炭素成分の第2部分を脱離する為に使用する調節流又は空気流は、代替的に第2脱離工程中に比較的高温の吸着剤接触器及び/又は吸着材料により加熱することも可能である。このような場合、燃料燃焼炉の酸化剤流入口に再循環させた第3の生成物流又は富二酸化炭素調節流を周囲空気温度以上まで加熱し、大気燃料燃焼炉の効率を向上することも望ましい。
【0034】
更なる実施態様では、通常の複合的循環ガスタービン設備、熱動力設備、蒸気発生装置/ボイラー、プロセスヒーターなど、熱伝達又は燃焼ガス流からの回収が含まれる燃料燃焼炉において、酸化剤流入口を介して吸着二酸化炭素の一部を燃料燃焼炉に再利用することにより燃焼ガス流の二酸化炭素濃度を高めると、二酸化炭素の熱容量が空気と比べて比較的高いことにより、燃焼ガス流の熱容量も増加することも望ましい。燃焼ガス流の熱容量のこのような増加により、例えば熱交換器及び/又は熱回収蒸気発生装置(以後、「HRSG」と称する)システム内の燃焼システムの熱伝達/回収部分での対流熱伝達効率が高まることも望ましい。
【0035】
更なる別の実施態様では、通常の蒸気発生装置/ボイラー、プロセスヒーター、数種の熱動力設備など、放射熱伝達又は燃焼ガス流からの回収が含まれる燃料燃焼炉において、吸着二酸化炭素の一部を燃料燃焼炉に再利用することにより燃焼ガス流の二酸化炭素濃度を高めると、燃焼ガス流の空気成分のごく僅かな放射熱伝達容量と比較して燃焼ガス流の濃度二酸化炭素成分が高い赤外線(IR)発光スペクトルにより、燃焼ガス流の放射熱伝達容量も増加することも望ましい。燃焼ガス流の放射熱伝達容量のこのような増加により、例えばこのような燃料燃焼炉内の熱交換器の放射領域で放射熱回収が増加することも望ましい。
【0036】
別の実施態様では、酸化剤流入口を介して、吸着二酸化炭素の一部を燃料燃焼炉に再利用することで燃焼ガス流中の二酸化炭素濃度が増加すると、結果として、低二酸化炭素濃度の燃料燃焼炉の酸化剤流と比較して燃焼の断熱火炎温度が低くなり、燃焼プロセス中の窒素酸化物形成が減少することも望ましい。例えば、発光品位を向上し、及び/又は発光処理システムの必要性を削減する為に、燃焼ガス流及び排ガス流中の窒素酸化物をこのように減少させることが望ましい。
【0037】
本発明の別の実施態様では、蒸気の形態の水蒸気は、吸着剤接触器の吸着材料から二酸化炭素を脱離する為に調節流体流に使用し、燃焼前水注入システムを実行する燃料燃焼炉の用途など、酸化剤流入口を介して燃料燃焼炉に再利用する為に提供することも可能である。吸着プロセスから水蒸気を再利用することにより水や水注入システムの必要性が削減されることも望ましく、また/あるいは、例えば蒸気パージ脱離工程からの水の回収率を高めることも可能である。
【0038】
1つの実施態様では、炭素隔離等の目的で二酸化炭素成分の第1部分を燃焼ガス流から分離する為の実質的に連続的な、あるいは反復的な循環燃焼ガス分離法が提供できるように、上記に従った本集積吸着ガス分離プロセスはその後反復することも望ましい。特定の実施態様では、集積吸着ガス分離プロセスの交互及び/又は逐次的操作が提供できるように、集積吸着ガス分離プロセスに従って操作する為の集積吸着ガス分離システムには2つ以上の吸着剤接触器が含まれることも望ましく、また、燃料燃焼炉の燃焼ガス流からの連続的及び/又は半連続的吸着分離を可能にすることも望ましい。1つの実施態様では、第1の生成物流が第1の吸着剤接触器から回収され、その間、第2の生成物流が第2の吸着剤接触器から回収され、実質的に同時に、二酸化炭素を含む調節流体流又は第3の生成物流は第3の吸着剤接触器から回収できるように、集積吸着分離システムには3つ以上の吸着剤接触器を備えることが可能である。例えば機械的/空気圧式又は他のタイプのバルブあるいは他のフロー制御装置を使用する集積吸着ガス分離システムなど、集積吸着ガス分離プロセスの実行に必要な流体流を提供して制御する集積吸着ガス分離システムでは、任意の好適な機械的配置がなされ、吸着材料を含む1、2または3つ以上の吸着剤接触器を備えるシステムに関して当技術分野で公知である本TSA及び/又はPPSA及び/又はPSA吸着プロセスの工程の流体流を提供することが可能となる。1つ以上の吸着材料を含む吸着剤接触器を回転部品に設置する回転ホイール又はローターの機械的配列がなされ、例えば回転エンタルピー又は他の吸着ホイールに利用するものと類似の集積吸着ガス分離プロセスの実行に必要な流体流を提供して制御することが可能となる。
【0039】
1つの実施態様では、1つ以上の吸着剤接触器には平行流路吸着剤接触器を備えてもよい。好適な平行流路吸着剤接触器には、流体を吸着剤接触器に流す為に吸着剤接触器の流入口と流出口との間に第1軸方向に配向した複数の実質的に平行な流体流路、及び流体流路の間に配置しそれらを分離する少なくとも1つの吸着材料を含むセル壁を備えてもよい。平行流路吸着剤接触器には、接触器の軸方向に配向され、吸着剤接触器の中に、又はそのセル壁上に含まれる少なくとも1種の吸着材料と直接接触している複数の軸連続した熱伝導性フィラメントを備えることも望ましい。集積吸着ガス分離プロセスを実行する際の使用に適している特定のこのような平行流路吸着剤接触器構造は特許文献3として提出された本出願人らの同時係属中PCT国際特許出願に記載されており、その内容は、本出願人らが現在提出中の本出願の一部として形成済みではあるが、参照として本願に援用される。1つ以上の代替的実施態様では、代替的吸着剤接触器としては、例えば充填層接触器、構造化吸着剤接触器、及び金属繊維接触器が挙げられる。
【0040】
図面を参照すると、図1は、本発明の実施態様に従って使用する為の例示的なガスタービン燃料燃焼炉300などの、燃料燃焼炉から燃焼ガスを分離する為の例示的な集積吸着ガス分離システム100の概略図を示している。1つの実施態様では、燃焼ガスから集積吸着ガス分離を行う当プロセス、及び/又は、より具体的には本明細書に記載の燃焼ガスから二酸化炭素の集積吸着ガス分離を行う当プロセスを実行する為に、集積吸着ガス分離システム100が使用できる。集積吸着ガス分離システム100には、例示的な天然ガス発電タービンなどの原動機又はタービン燃料燃焼炉300が備えられている。好適な例としての工業的航空転用ガスタービンは例えば:米国、ニューヨーク、SchenectadyのGeneral Electric Company;ドイツ、ErlangenのSiemens AG;及び英国、ロンドンのRolls‐Royce plcに製造されている。例示的なガスタービン燃料燃焼炉300には、燃料流302(通常、メタンを主成分とする天然ガスであるが、任意の他の好適なガス燃料、蒸気燃料、液体燃料、又は空気可燃性燃料が挙げられる)との混合の為のガスタービン燃料燃焼炉300に、酸化剤流306(通常空気流であるが、1種以上の他の好適な酸化剤あるいは酸化剤流、例えば酸素添加した空気流、富酸素流、実質的な酸素流、周囲空気より酸素が少ない酸化剤流、及び/又は燃焼排気ガス再循環流を含む酸化剤流などの酸化剤流が挙げられる)を流入させるための酸化剤流入口を備えてもよく、この混合物は燃料流入口を介して燃焼チャンバ310に流入させ、燃焼させ、少なくとも二酸化炭素及び水分を含む燃焼ガス流304を稼働中に形成し、これは排気流出口などを経てガスタービン燃料燃焼炉300から排出される。
【0041】
通常、例えば燃焼ガス流又は二酸化炭素流の再利用を行わない常法において約2.0~2.5の過剰空気率で稼働する燃料として天然ガス燃料を使用する従来のガスタービンは、二酸化炭素含有量が約3%~3.5%の燃焼ガス流を形成し得る。それに対し、燃料に石炭を使用するボイラーなど従来の燃料燃焼炉では通常、二酸化炭素含有量が約12%~15%の燃焼ガス流が形成される。例示的なガスタービン燃料燃焼炉300は、例えば電力を生成する発生装置を備える機械駆動装置(図1に図示せず)などの1つ以上の機械的負荷体に動力供給するように接続することも可能である。1つの実施態様では、集積吸着ガス分離システム100には、1つ以上の機械装置負荷体に接続されたガスタービン燃料燃焼炉300などの原動機を備えてもよく、ここでは機械装置負荷体の少なくとも1つには第2の生成物流を圧縮するガス圧縮装置が備えられている。一次原動機に接続したガス圧縮装置は電気モーターにより駆動するガス圧縮装置、あるいは二次原動機又はエンジンにより駆動するガス圧縮装置と比較してエネルギー効率が高いことも望ましい。このように効率が高まった理由は、例えば各々が固有のエネルギー変換損失を有する発電機、電気モーター又は蒸気発生装置などのガス圧縮装置を駆動するのに必要な装置の数を削減することによる原動機(ガスタービン燃料燃焼炉300など)でのガス圧縮装置の直接的駆動にある。
【0042】
1つの実施態様では、集積吸着ガス分離システム100には複合型循環ガスタービン(CCGT)設備が備えられ、例示的なガスタービン燃焼炉300の他に、燃焼ガス流304から熱エネルギーを回収する為の、互いに流体連結された例示的な熱回収蒸気発生装置(HRSG)400及び蒸気タービン500も備えられている。1つのこのような実施態様では、HRSG400には3つの熱回収蒸気発生膨張ループを備えてもよい。HRSG400には、ガス流入口、ガス流出口、複数の供給流入口、蒸気流出口、及びHRSG400のガス流入口を介してガスタービン300から燃焼ガス流304を受け入れるようにHRSG400が流体連結された1つ以上の熱交換導管を備えてもよい。別の実施態様では、HRSGは複数の供給ガス流入口を介して複数の供給ガス流を受け入れるように流体連結することが可能である。冷却済の燃焼ガス流432としてHRSG400のガス流出口を介して排出される前に、燃焼ガス流304はガス流入口を介してHRSG400に流入させ、HRSG400の加熱回路内に入れ、1つ以上の熱交換導管を加熱することも可能である。蒸気タービン500は複数の流入口を介してHRSG400から複数の蒸気流を受け入れるように流体連結してもよい。
【0043】
第1熱回収蒸気発生膨張ループでは、第1蒸気流512として蒸気流出口を介して排出される前に、供給流403は高圧供給流入口を介して高圧でHRSG400に流入させ、熱交換導管404内に第1圧力又は高圧の蒸気を発生させることも可能である。蒸気流522として流出口を介して排出される前に、蒸気流512は高圧蒸気タービン502などに流入させて膨張させ、膨張蒸気流512からエネルギーを回収することも可能である。1つの実施態様では、第1膨張蒸気流522はHRSG400から出た第2蒸気流514と合流させることも可能である。第2熱回収蒸気発生膨張ループでは、第2蒸気流514として蒸気流出口を介して排出される前に、第2供給流405は第2供給流入口を介して中圧でHRSG400に流入させ、熱交換導管406内に第2圧力又は中圧の蒸気を発生させることも可能である。蒸気流524として流出口を介して排出される前に、蒸気流514は中圧蒸気タービン504などに流入させて膨張させ、膨張蒸気流からエネルギーを回収することも可能である。1つの実施態様では、第2膨張蒸気流524はHRSG400から出た第3蒸気流516と合流させることも可能である。第3熱回収蒸気発生膨張ループでは、第3蒸気流516として蒸気流出口を介して排出される前に、第3供給流407は供給流入口を介して低圧でHRSG400に流入させ、熱交換導管408内に第3圧力又は低圧の蒸気を発生させることも可能である。蒸気流526として流出口を介して排出される前に、蒸気流516は低圧蒸気タービン506などに流入させて膨張させ、膨張蒸気流からエネルギーを回収することも可能である。水分離器、例えば濃縮器又は冷却器(図1に図示せず)は蒸気タービン500から蒸気流526を受け入れるように流入口を介して流体連結し、蒸気流526中の水分を分離し、回収することが可能である。回収した水分は集積吸着ガス分離システム100内で使用し、例えば、供給流403、405及び407の水供給源として再利用することもできる。
【0044】
1つの実施態様では、供給流403、405及び407には、集積吸着ガス分離システム100からの外部供給源及び/又は内部供給源の少なくとも1つからそれぞれ高圧、中圧及び低圧で供給された水流が含まれてもよい。蒸気タービン500の膨張タービン内の蒸気流512、514及び516の膨張により、蒸気内のエネルギーが機械的エネルギーに変換され、これを使用し、例えば発電機、ガス圧縮装置又は蒸気タービン500に接続されたポンプなどの1種以上の多様な機械装置(図1に図示せず)を駆動することが可能である。
【0045】
通常、熱回収蒸気発生膨張ループ又は蒸気タービンの為に形成された蒸気の品質が高い事も好ましい。蒸気流の質は通常、蒸気流のエネルギー容量(例えば温度や圧力)及び汚染レベル(例えば溶存固形分、pH等)として定量することも可能であり、ここでは高品質の蒸気は高温、高圧及び低汚染レベルである。ガス分離システム内の吸着材料からの二酸化炭素など吸着ガスの脱離には、蒸気タービン用に形成した蒸気流と比べて低い品質の、例えば低エネルギー及び高汚染レベルの蒸気流でも許容内であり、補助熱交換器及び補助熱交換導管により形成することも可能である。
【0046】
別の実施態様では、集積吸着ガス分離システム100には更に、例えば吸着ガス分離システム200内の吸着剤接触器内で吸着材料から吸着ガスを脱離する際に使用する為の、熱源として加熱流体流の少なくとも一部を受け入れるように流体連結された加熱回路を有する補助熱交換器、及び脱離流体供給流を受け入れるように流体連結され、加熱により脱離流体供給流を脱離流体流に変換する補助熱交換導管を備えてもよい。加熱流体は、ガスタービン300などの燃料燃焼炉からのガス又は液体、例えば高温プロセス液体流、高温プロセスガス流あるいは燃焼ガス流であってもよい。1つの実施態様では、吸着ガス分離システム200は、(ガスタービン燃料燃焼炉300などの)原動機の排気流出口から少なくとも1つの吸着剤接触器の流入口に入る燃焼ガス流を受け入れるように流体連結され、二酸化炭素成分の少なくとも一部を少なくとも1つの吸着材料に吸着させる。吸着ガス分離システムは、補助熱交換器の補助熱交換導管から少なくとも1つの吸着剤接触器の流入口に入る脱離流体流を受け入れるように流体連結され、吸着剤接触器に含まれる少なくとも1種の吸着材料上にある二酸化炭素成分の少なくとも一部を脱離させる。吸着ガス分離システム200も、少なくとも1つの吸着剤接触器の流入口に入る調節流体流を受け入れるように流体連結され、少なくとも1種の吸着材料上の二酸化炭素成分の少なくとも他の部分を脱離させ、第3の生成物流を回収する。第3の生成物流導管は少なくとも1つの吸着剤接触器の流出口から第3の生成物流を受け入れ、酸化剤流入口を介して第3の生成物流を原動機に再利用するように流体連結されている。1つの実施態様では、好ましくは周囲より約2バール高い圧力未満で、より好ましくは周囲より約1バール高い圧力未満で、脱離流体供給流を補助熱交換器の補助熱交換導管に流入させることも可能である。補助熱交換器の加熱回路はガス又は液体流供給源に流体連結し、任意のHRSGより下流に設置することも可能である。
【0047】
本発明の別の実施態様では、集積吸着ガス分離プロセスには、補助熱交換器の加熱回路に加熱流体の少なくとも一部を流入させて補助熱交換導管を加熱する工程、補助熱交換導管に脱離流体供給流を流入させて加熱により脱離流体供給流を脱離流体流に変換する工程、及び、脱離流体を流入させ、少なくとも1つの吸着剤接触器内の少なくとも1種の吸着材料に吸着された二酸化炭素成分の少なくとも一部を脱離する工程が含まれてもよい。加熱流はガス又は液体、例えば燃料燃焼炉からの高温プロセス液体流、高温プロセスガス流又は燃焼ガス流であってもよい。好ましくは周囲より約2バール高い圧力未満で、より好ましくは周囲より約1バール高い圧力未満で、脱離流体供給流を補助熱交換導管に流入させる。これにより脱離流体の形成及び供給に必要なエネルギーが節減され、結果として吸着ガス分離システムの作業コストが節減されることも望ましい。
【0048】
再度、図1を参照すると、1つの実施態様では、補助熱交換器430にはガス流入口、ガス流出口、供給流入口、蒸気流出口、及び少なくとも1つの補助熱交換導管411を備えることも可能であり、補助熱交換器430はガス流入口を介して、HRSG400からの燃焼ガス流432、及びガスタービン300からの燃焼ガス流304の少なくとも1つを受け入れるように流体連結されている。補助熱交換導管411は、燃焼ガス冷却器220から出て第1凝縮物流228を経由した脱離流体供給流409、及びガス圧縮システム240からの第2凝縮物流242を、供給流入口を介して受け入れるように流体連結されている。更に、燃焼ガス流410として熱交換器430のガス流出口を介して排出される前に、冷却された燃焼ガス流432は補助熱交換器430のガス流入口を介して流入させ、補助熱交換導管411に熱を移送することも可能である。脱離流体供給流409は非常に低い圧力、例えば実質上、周囲圧力又はややそれを超える圧力で、供給流入口を介して、補助熱交換器430に流入させ、蒸気流又は脱離流体流214として蒸気流出口を介して流出する前に補助熱交換導管411内に4分の1の圧力又は超低圧力の蒸気を発生させることが可能である。
【0049】
1つの実施態様では、補助熱交換導管411内の超低圧力で生じた蒸気流は、膨張タービンを通らずに蒸気流出口を介して吸着ガス分離システム200に供給されることも望ましい。補助熱交換導管411は、望ましくは、HRSG400の残留圧力より比較的低圧で蒸気を供給するように構成されていることも望ましく、例えば、好ましくは実質的に周囲圧力で、または周囲圧力よりわずかに高い圧力で稼働することが好ましい吸着ガス分離システム200内での低圧使用にのみ適している。本発明のその他の実施形態を参照して上述しているように、燃焼用の燃料燃焼炉へ再利用する為の生成物流を形成する二酸化炭素の脱離等、吸着分離システムの1つ以上の吸着器からの二酸化炭素の脱離での使用などに、例示的な補助熱交換導管411から供給された超低圧蒸気流を、脱離流体又は蒸気パージ流体の供給に使用することも望ましい。脱離流体供給流409は実質的には水流でもよく、好ましくは少なくとも、燃焼ガス冷却器220及び第1凝縮流228から回収された一部であってもよい。あるいは、脱離流体供給流409は集積吸着ガス分離システム100の外部にある供給源(図1に図示せず)から供給することが可能である。
【0050】
別の実施態様では、脱離用の吸着ガス分離器に蒸気流を供給する補助熱交換器または補助熱交換導管411を1次熱回収蒸気発生装置420内に統合してもよい。図2は、以下の例外はあるが集積吸着ガス分離システム100と実質的に類似している集積吸着ガス分離システム110を説明している。図2のシステム110では、補助熱交換導管411はHRSG420内に統合され、これにより図1に示す燃焼ガス流432及び熱交換器430は代替及び除外することが可能となる。その他の態様では、図2の集積吸着ガス分離システム110は実質的に、図1で説明され、上記で詳述されたシステム100に類似している。
【0051】
蒸気タービンにとって必要な高品質グレードの蒸気の使用と比較して、吸着ガス分離システム200の吸着材料から二酸化炭素を脱離する為の、超低圧で汚染制限が厳格でない低品質蒸気流を形成及び使用できることも望ましい。例えば、蒸気タービン用に形成した蒸気の使用を削減又は代替することにより集積吸着ガス分離システムの効率を高め、また、通常稼働中に蒸気を形成する為の外部水供給器に実質的に依存せずに集積吸着ガス分離システムを稼働させる集積吸着ガス分離システムから収集した凝縮物を再利用可能にするという利点もある。
【0052】
集積吸着ガス分離システム100及び110にはガス流入口及びガス流出口を有する直接的接触燃焼ガス冷却器などの燃焼ガス冷却器220も備えられ、ここでは燃焼ガス冷却器220はガス流入口を介して、補助熱交換器430又はHRSG420から冷却した燃焼ガス流410を受け入れるように流体連結されている。燃焼ガス流410は燃焼ガス流212として流出口を介して流出する前に、燃焼ガス冷却器220により冷却される。燃焼ガス冷却器220は燃焼ガス流410に含まれる水分を分離し回収する。
【0053】
吸着ガス分離システム200は、燃焼ガス流に含まれる二酸化炭素の少なくとも一部の吸着に適しているような少なくとも1種の好適な吸着材料を各々が含む1つ以上の吸着接触器を備えている。吸着ガス分離システム200内の1つ以上の吸着接触器に流入した流体流を制御及び/又は循環させる為に、好適な分流及び/又は調流装置、例えば弁及び/又は分流加減器(図1に図示せず)を使用してもよい。1つの実施態様では、吸着ガス分離システム200には、配列された少なくとも3つの吸着接触器202、204及び206が備えられ、各吸着接触器は例えば、所与の時間で分離流体流を受け入れるように流体連結することも可能である。吸着ガス分離システム200は、燃焼ガス冷却器220から流入口を介して燃焼ガス流212を受け入れるように流体連結され、補助熱交換導管411及び補助熱交換器430(図1参照)又はHRSG420(図2参照)から脱離流体流214を受け入れるように流体連結され、周囲空気、あるいは例えば加熱流、蒸気又は加熱処理流体などの別の好適な調節流である調節流供給源(図1及び図2に図示せず)からの調節流216、例えば空気流を受け入れるように流体連結されている。
【0054】
図1は第1配列内の吸着ガス分離システム200を説明している。吸着接触器202、204及び206の位置は各接触器の所望の工程に従って改変可能である。次の第2及び第3配列(図1に図示せず)では、接触器202、204及び206は代替的な位置に配置してもよい。第1配列では、接触器202は吸着工程の為の燃焼ガス流212を受け入れるように配置し、接触器204は第1脱離工程の蒸気流又は脱離流体流214を受け入れるように配置し、接触器206は第2脱離工程の調節流216を受け入れるように配置する。各吸着剤接触器は、吸着工程、第1脱離工程及び第2脱離工程を連続的に、または繰り返して逐次循環させることが可能である。図示した吸着接触器202、204及び206には各々、図示した工程を逐次行う単一又は複数の接触器を備えてもよい。
【0055】
接触器202の吸着材料における燃焼ガス流の二酸化炭素成分の少なくとも一部、好ましくは実質上全てを吸着させる為に、燃焼ガス流212を接触器202に流入させ、二酸化炭素が欠乏した第1の生成物流222を回収することも可能である。1つの実施態様では、第1の生成物流222は、例えば周囲に放出させるために、二酸化炭素を実質的に含まないことも望ましい。接触器204では吸着材料を加熱するなどして、吸着された二酸化炭素の第1部分を接触器204の吸着材料から脱離することも可能である。1つの実施態様では、流入口を介する脱離流体流214の流入を通じて吸着材料を加熱することにより二酸化炭素の第1部分を脱離し、流出口を介して、望ましくは燃焼ガス流より二酸化炭素が豊富な第2の生成物流224を回収することも可能である。代替的実施態様では、高熱燃焼ガス流、燃料燃焼炉から供給された下流、好ましくは、燃料燃焼炉からの下流及びガス分離システムの上流、より好ましくは燃料燃焼炉からの下流及び燃焼ガス冷却器の上流を利用して、吸着された二酸化炭素の第1部分を脱離及び/又はパージすることも可能である。更なる選択的実施態様では、高温燃焼ガス流、例えばガスタービン300から供給された下流、又はガスタービン300からの下流及び吸着ガス分離システム200からの上流、又はガスタービン300からの下流及び燃焼ガス冷却器220からの上流により、吸着材料に吸着された二酸化炭素の第2部分を任意に脱離することも可能である。1つの実施態様では、第2の生成物流には、実質的に純二酸化炭素及び/又は実質的に二酸化炭素、ならびに蒸気(又は脱離に適した他の流体)が含まれ、これらは例えば、増加油回収の際の炭素隔離又は交互利用など、使用及び/又は保存などの為に効率良く圧縮することに適していることも望ましい。接触器206は流入口及び酸化剤供給元(図1に図示せず)を介して調節流216を受け入れて、接触器206内の吸着材料から二酸化炭素の第2部分を脱離させ、流出口を介して調節流体流又は二酸化炭素が豊富な第3の生成物流226を回収し、再利用することも可能である。1つの実施態様では、第1の生成物流、第2の生成物流及び第3の生成物流は実質的に同時に回収し得る。
【0056】
別の実施態様では、集積吸着ガス分離システム100には、第3の生成物流導管(図1に図示せず)及びガスタービン燃料燃焼炉300の酸化剤流入口を介して吸着ガス分離システム200から第3の生成物流226の少なくとも一部を受け入れるように流体連結できるガスタービン燃料燃焼炉300も備えられている。第3の生成物流226は、稼働中にガスタービン燃料燃焼炉300を通る酸化剤の少なくとも一部として使用される酸化剤流入口を介してガスタービン燃料燃焼炉300に再利用することも可能である。1つの実施態様では、選択的に二酸化炭素を吸着する吸着材料は吸着ガス分離システム200で使用することが可能であり、これにより、脱離工程中に実質的に汚染物質の無い二酸化炭素流、例えば実質的に酸化窒素及び/又は酸化硫黄が無い二酸化炭素流が形成され得る。燃焼ガス流から酸化窒素及び/又は酸化硫黄の少なくとも一部を除去せずに燃焼炉からの燃焼ガス流を再利用する従来の排ガス再循環プロセスと比較すると、実質的に汚染物質の無い第3の生成物流を燃料燃焼炉に再利用することは望ましいと考えられる。このような実施態様では、第3の生成物流を脱離し回収する酸化物流を使用すると、第3の生成物流の二酸化炭素成分の濃度と比較して第2の生成物流の二酸化炭素成分の濃度の方が高くなると考えられる。
【0057】
1つの実施態様では、第1の吸着剤接触器202は燃焼ガス流212の実質的に全ての二酸化炭素成分を吸着することも好ましく、実質的に二酸化炭素を含まない吸着ガス分離システム200の流出口から第1の生成物流222が回収される。例示的な実施態様では、第2接触器204から脱離した二酸化炭素の第1部分は、望ましくは吸着工程中に吸着された全二酸化炭素の一部だけを含み、好ましい実施態様では、半分のみを含み、より望ましくは吸着工程中に吸着された全二酸化炭素の約3分の1を含む。従ってその後、1つの実施態様では、接触器206から脱離した二酸化炭素の第2部分は望ましくは、吸着工程中に吸着された全二酸化炭素の半分以上を含み、より好ましくは吸着工程中に吸着された全二酸化炭素の約3分の2を含む。1つの実施態様では、吸着工程中に吸着された全二酸化炭素のうち好ましくは半分以上、より好ましくは約3分の2を脱離し、その第3の生成物流226をガスタービン燃料燃焼炉300へ再利用することにより、吸着ガス分離システム200に送達させた燃焼ガス流304、432、410及び212中の二酸化炭素濃度が高まり、それにより、接触器202中の二酸化炭素吸着の効率が高まり、接触器204中の二酸化炭素の第1部分の脱離効率も高まり、それによって、吸着ガス分離システム200のエネルギー効率が高まり、二酸化炭素が欠乏した第1の生成物流222及び二酸化炭素が豊富な第2の生成物流224の生産コストが低減されることも望ましい。
【0058】
例えば、ガス分離装置から回収した生成物流が酸化剤流入口を介して燃料燃焼炉に流入する燃料燃焼炉の為の燃料流として天然ガス流を使用する集積ガス分離プロセスは、燃料燃焼炉に形成された燃焼ガス流の二酸化炭素成分を増加させて、濃度を約4%超、好ましくは約6%超、より好ましくは約10%超、更に好ましくは約20%超にすることも望ましい。別の例では、ガス分離装置から回収した生成物流が酸化剤流入口を介して燃料燃焼炉に流入する燃料燃焼炉の為の燃料として石炭を使用する集積ガス分離プロセスは、燃料燃焼炉に形成された燃焼ガス流の二酸化炭素成分を増加させて、濃度を約15.5%超、好ましくは約18%超、より好ましくは約20%超、更に好ましくは約25%超にすることも望ましい。更に、二酸化炭素の第2部分を脱離した際の熱から酸化剤の温度が低下するので、酸化剤流入口を介して第3の生成物流226に含まれる二酸化炭素及び空気をガスタービン燃料燃焼炉300へ再利用することには、燃焼に使用される複合酸化剤の温度を低下させるという利点もあり、それによりガスタービン燃料燃焼炉300の効率が高まる。酸化剤流がより低温になり、ガスタービン燃料燃焼炉300の酸化剤圧縮器に流入した第3の生成物流226中の二酸化炭素の熱容量が(空気のみ供給されている場合と比較して)増加することによって、ガスタービン燃料燃焼炉300の圧縮段階の効率も高まることも望ましい。
【0059】
1つの実施態様では、図1で説明された集積吸着ガス分離システム100には、ガス流入口、ガス流出口及び凝縮物流出口を有するガス圧縮システム240を備えることも可能であり、ガス圧縮システム240は、吸着ガス分離システム200からガス流入口を介して生成物流、例えば二酸化炭素が豊富な第2の生成物流224を受け入れるように流体連結されている。ガス圧縮システム240には、各圧縮段階の間に中間冷却器や任意の凝縮器を用いる一連の連続的圧縮段階などを介して、二酸化炭素が豊富な第2の生成物流を圧縮し、例えば隔離保存及び/又はオイル回収の促進などの他の産業用途及び/又は隔離用途などへ流用する為の、高度に圧縮及び/又は液化された凝縮二酸化炭素生成物流を提供することに適した二酸化炭素圧縮連接システムを備えることも望ましい。圧縮された第2の生成物流は高圧二酸化炭素流244としてガス圧縮システム240の流出口を介して排出することも可能である。第2の生成物流に含まれる水分を例えば凝縮器で分離し、回収し、第2の凝縮物流242として圧縮システム240の凝縮物流出口を介して排出する。
特定の実施態様に従った特定の用途、例えばオイル回収を促進する発電では、集積吸着ガス分離システムはオイル領域に近接させて設置し、電力を形成し、電力系統へ供給し、高圧二酸化炭素流をオイル領域に注入する。
【0060】
別の実施態様では、供給流及び/又は脱離流体供給流の少なくとも一部として、圧縮システムの1つ以上の凝縮器から高圧及び/又は高温の1種以上の凝縮物流を受け入れるように、HRSG又は補助熱交換器の1つ以上の熱交換導管を流体連結することも可能である。各段階の間に複数の中間冷却器及び凝縮器を採用している一連の複数の圧縮器段階を持つ圧縮システムでは、複数の圧力下にあるHRSGの複数の熱交換導管に複数の区分間凝縮物流を供給するように、複数の凝縮器が流体連結されている。場合により、複数の凝縮器は、個々に複数の熱交換導管に、あるいは複数の単体の複合体に流体連結し、一体化することも可能である。熱交換導管に圧縮システムの凝縮器を流体連結すると、HRSG又は補助熱交換器内の蒸気の少なくとも一部を形成する為の圧縮システム内で発生した圧力及び/又は熱の少なくとも一部を使用することにより集積吸着ガス分離システム及びプロセスの効率が高まることも望ましい。
【0061】
別の実施態様では、集積吸着ガス分離システムは、酸化剤流及び燃料流を燃料燃焼炉に流入させることで操作され、少なくとも二酸化炭素及び水分を含む燃焼ガス流を形成し得る。燃焼ガス流内の少なくとも一部の水分を分離し、回収可能な第1凝縮物流を形成する燃焼ガス冷却器に流入させる前に、燃焼ガス流を補助熱交換器に流入させ、熱を補助熱交換導管に移送することも可能である。その後、燃焼ガス流をガス分離システムに流入させてもよく、ここでは燃焼ガス流に含まれる二酸化炭素成分の少なくとも一部は、少なくとも1種の吸着材料に吸着させることが可能である。実質的に二酸化炭素が欠乏したガス流は第1の生成物流としてガス分離システムから排出することも可能である。補助熱交換器内の熱交換導管は脱離流体流、例えば蒸気流を形成し、これは、少なくとも1種の吸着材料に吸着された二酸化炭素成分の少なくとも一部が脱離されて実質的に二酸化炭素及び蒸気流又は第2の生成物流が形成されるガス分離システム内に選択的に流入させることも可能である。第2の生成物流を水分離器、例えば冷却器又は凝縮器に流入させることも可能であり、ここでは第2の生成物流内の水分の少なくとも一部が分離され、回収可能な第2凝縮物流を形成する。第1及び/又は第2凝縮物流は補助熱交換導管に流入させてもよい。1つの実施態様では、第1凝縮物流は、吸着剤接触器の吸着材料に吸着された二酸化炭素成分の少なくとも第1部分を脱離するのに十分な量と同等またはそれ以上の量で回収可能である。あるいは第1凝縮物流及び第2凝縮物流は、吸着剤接触器の吸着材料に吸着された二酸化炭素成分の少なくとも第1部分を脱離するのに十分な量と同等またはそれ以上の量で回収可能である。第1及び第2凝縮物流を凝縮及び回収すると、実質的に外部水供給源が無くても集積吸着ガス分離システムが操作できるようになる。このことにより、水分供給の限定的な場所でも集積吸着ガス分離システムが操作可能になり、及び/又はは、外部から供給された水の消費やコストの削減により集積吸着ガス分離システムの作業コストが削減されることも望ましい。
【0062】
燃焼ガスからの二酸化炭素の集積吸着ガス分離など、複合循環天然ガス発電タービンからの燃焼ガスの吸着ガス分離に採用した特定の実施態様では、吸着ガス分離システムは、接触器で吸着された二酸化炭素の約3分の1を脱離し、二酸化炭素が豊富な第2の生成物流又は実質的に二酸化炭素を含む第2の生成物流を回収し、また、接触器で吸着された二酸化炭素の約3分の2を脱離し、燃焼用のガスタービンに再利用可能な第3の生成物流を回収することも望ましい。第3の生成物流が吸着剤接触器で吸着された二酸化炭素の約3分の2を含み、第3の生成物流が燃焼用ガスタービンに再利用されるこのような1つの実施態様では、例えばガスタービンを備える燃焼炉から排出される燃焼ガス流中の二酸化炭素の濃度又は含有量は約12%の二酸化炭素を含有するように調節することも望ましく、燃焼ガス流中に含まれる二酸化炭素の約3分の1(又は、燃焼ガス流中の12%の二酸化炭素含有量のうち約3%~4%の二酸化炭素含有量)を第2の生成物流中で回収し(例えば隔離及び/又は工業用途など)、燃焼ガス流中に含まれる二酸化炭素の約3分の2(又は、燃焼ガス流中の12%の二酸化炭素含有量のうち約7%~8%の二酸化炭素含有量)を燃焼用ガスタービンに再利用する。代替的な実施態様では、例えば更に吸着システム中の二酸化炭素の吸着分離効率を高め、並びに/又はタービン及び/若しくは熱回収プロセスの効率を高める更なる利点をもたらす二酸化炭素濃度になるように好適に構成されているガスタービンでは、ガスタービンの燃焼ガス流中の二酸化炭素濃度は、二酸化炭素が実質的に12%を超えて含まれるように調節されることも望ましい。
【0063】
1つの実施態様では、集積ガス分離プロセスには、燃料燃焼炉の操作中に約4%超、好ましくは約6%超、より好ましくは約10%超、更に好ましくは約20%超の二酸化炭素濃度の燃焼ガス流を形成する燃料燃焼炉に、燃料流としての天然ガス流、酸化剤流及び第三の生成物流を流入させる工程が含まれる。燃料燃焼炉に流入させる酸化剤流は空気流であってもいいが、代替的な実施態様では、1種以上の他の好適な酸化剤流、例えば酸素を補充した空気流、富酸素流、周囲空気より少ない酸素を含む酸化剤流、及び/又は排ガス再循環による酸化剤流を含んでもよい。
【0064】
別の実施態様では、集積ガス分離プロセスには、燃料燃焼炉の操作中に15.5%超、好ましくは18%超、より好ましくは20%超、更に好ましくは25%超の二酸化炭素濃度の燃焼ガス流を形成する燃料燃焼炉、例えばボイラーに、燃料としての石炭、酸化剤流及び第三の生成物流を流入させる工程が含まれる。燃料燃焼炉に流入させる酸化剤流は空気流であってもいいが、代替的な実施態様では、1種以上の他の好適な酸化剤流、例えば酸素を補充した空気流、周囲空気より少ない酸素を含む酸化剤流、及び/又は排ガス再循環による酸化剤流を含んでもよい。
【0065】
図3は、本発明の実施態様に従ったガスタービンを組み入れた例示的な集積二酸化炭素ガス分離プロセスを実行する例示的な集積二酸化炭素ガス分離システムの多様な動作点に付随する多様な動作プロットのコンピュータシミュレーションモデルを説明するグラフである。このような実施態様では、集積二酸化炭素ガス分離システムには、燃料としての天然ガスや酸化剤としての空気を使用し、ガスタービンの酸化剤流入口に富二酸化炭素流を再循環させる例示的なガスタービン燃料燃焼炉が備えられている。燃料の流量、ガスタービン内膨張タービンの流入口温度、及び集積二酸化炭素ガス分離システムから回収した二酸化炭素の濃度、例えば第2の生成物流の二酸化炭素濃度は実質的に一定を保っている。図3に示すグラフのX軸は特定の動作点を表し、動作点1はガスタービンに再利用された最も多い二酸化炭素量を示し(タービンの酸化剤流入口に流入した第3の生成物流をシミュレーションしている)、動作点17はガスタービンに再利用された最も少ない二酸化炭素量を示す。プロット601はガスタービンに流入した空気のモル流量を示している。プロット602はガスタービンに流入した酸化剤流の酸素のモル分率を示している。プロット603はガスタービン形成された燃焼ガス流の二酸化炭素濃度を示している。プロット604はガスタービンに流入した酸化剤流の二酸化炭素のモル分率を示している。プロット605はガスタービンに形成された燃焼ガス流の熱容量を示している。プロット606は例示的な集積二酸化炭素ガス分離システムの電力出力を示している。1つの実施態様では、図3には、例示的にコンピュータシミュレーションされた図示の集積二酸化炭素ガス分離システムでモデル化されているガスタービンに流入した酸化剤流の二酸化炭素のモル分率に対する変化が、どのように燃焼ガス流の二酸化炭素濃度及び熱容量や、集積二酸化炭素ガス分離システムの電力出力に影響を及ぼすかが説明されている。
【0066】
図4は、本発明の実施態様に従った燃料燃焼炉からの燃焼ガスの分離、及び本発明のプロセスの実施態様に従った使用の為の例示的な集積ガス分離システム700の概略図を示している。1つの実施態様では、集積ガス分離システム700は本明細書に記載の本集積二酸化炭素ガス分離プロセスを実行する為に使用することも可能である。集積ガス分離システム700の操作中、燃料流702(通常、メタンが主成分である天然ガスであるが、任意の他の好適な気体、蒸気、液体、固体又は空気可燃性燃料を含んでもよい)は酸化剤流入口を介して燃料燃焼炉704に流入した混合酸化剤流710との混合用の燃料流入口を介して流入し、少なくとも二酸化炭素及び水分を含む燃焼ガス流712を形成することも可能である。燃焼ガス流712は燃焼ガス流718と任意のブリード流716とに分割することも可能である。ガス分離システム708は、燃料燃焼炉704の排出口から排出された燃焼ガス流712から燃焼ガス流718を流入口から受け入れるように流体連結され、二酸化炭素成分の少なくとも一部を燃焼ガス流718から分離する。
【0067】
1つの実施態様では、ガス分離システム708には吸着及び/又は吸収ガス分離プロセスなどの収着ガス分離プロセスを利用することも可能であり;代替的実施態様では、ガス分離システム708には、化学的吸収ガス分離プロセス(例えばアミンをベースとする溶媒及び/又はアミン含浸吸収性支持材料を使用する)及び/又は膜ガス分離プロセス(例えばゼオライト又はセラミック膜を使用する)及び/又は吸着ガス分離プロセス(例えば公知の吸着材料を使用する)などの任意の1つ以上の好適なガス分離プロセスを利用するが、これらに限定されるものではない。
【0068】
1つの実施態様では、燃焼ガス流718はガス分離システム708を流れることから、二酸化炭素成分は、少なくとも1つの吸着剤接触器などにおけるガス分離システム708内の少なくとも1種の吸着材料に吸着させ、吸着熱から熱を形成し、燃焼ガス流712と比べて二酸化炭素成分が欠乏している排ガス流714を形成することも可能である。1つの実施態様では、ガス分離プロセスの結果として、燃焼ガス流の二酸化炭素成分の実質的にすべてが吸着及び分離されることも望ましく、それによりガス分離システム708から回収した排ガス流714において二酸化炭素が実質的に欠乏することも望ましい。排ガス流714は例えば、流出口を介してガス分離システム708から回収し、集積ガス分離システム700から周囲空気へ排出することも可能である。吸着材料から二酸化炭素成分を脱離させる為に、吸着熱から放出された熱の少なくとも一部を使用してもよい。例えば、ガス分離システムでは、第2接触器が脱離工程を行っている間、第1接触器は吸着工程を行っており、第1接触器からの吸着熱は移送して第2接触器内の二酸化炭素成分の脱離に使用することも可能である。
【0069】
1つの実施態様では、空気流、酸素を添加した空気流、実質的に酸素流、例えば周囲空気より少ない酸素を含む酸化剤流、及び燃焼ガス流718のうち少なくとも1つを含むような酸化剤流706を、個々の流入口を介してガス分離システム708に送り、吸着材料上の二酸化炭素成分の少なくとも一部を脱離させ、場合により吸着プロセス用の吸着材料を調節し、二酸化炭素が豊富な混合酸化剤流710を形成する。1つの実施態様に従えば、例えばガス分離システム708の吸着材料及び/又は吸着剤接触器の例示的な置換パージなどにより、混合酸化剤流710を用いて、少なくとも周期的に、脱離二酸化炭素成分の実質的に全てをガス分離システム708から回収することも可能である。少なくとも周期的に、ガス分離システムの流出口からの酸化剤流として混合酸化剤流710の少なくとも一部を受け入れるように、燃料燃焼炉704は、酸化剤流入口及び混合ガス導管(図4に図示せず)を介して流体連結されている。場合により、燃料燃焼炉704に供給された酸化剤流の一部はガス分離システムを流れることなく、酸化剤供給源に流体連結され、供給を受けることも可能である。1つのこのような例では、燃料燃焼炉704はガス分離システム708を介して酸化剤流706の一部と、混合酸化剤流710を受け入れるように、また、ガス分離システム708を通すことなく酸化剤流706(図4に図示せず)を直接受け入れるように流体連結することも可能である。混合酸化剤流710は二酸化炭素が豊富であることから、燃料燃焼炉704で形成された燃焼ガス流712及び燃焼ガス流718は、単独で酸化剤として空気を使用する燃料燃焼炉と比較して二酸化炭素が豊富であるか、あるいは二酸化炭素の濃度が高く、吸着ガス分離システム708の効率が高まることも望ましい。場合により、燃焼ガス流712の少なくとも一部は、燃焼ガス導管に流体連結され得る二酸化炭素が豊富な導管(図4に図示せず)を介して任意のブリード流716として集積ガス分離システム700から少なくとも周期的に回収することも可能である。集積ガス分離システム700及びブリード流716から回収した炭素のモル量は、燃料流入口を介して燃料燃焼炉704に流入した燃料流の炭素のモル量とほぼ同等の割合であることが好ましい。二酸化炭素が豊富である時の燃焼ガス流712及び燃焼ガス流718はまた、脱離流体、例えば蒸気流の量が少ないか、より好ましくは実質的に使用しない吸着材料の脱離を可能にし、このことにより、吸着材料又はガス分離システムの脱離中に消費されるエネルギーが削減され、更に結果として集積ガス分離システム700の効率が向上し、資本コスト及び/又は作業コストが削減されることも望ましい。
【0070】
代替的な態様では、本発明の実施態様に従った集積吸着ガス分離プロセスには、特に燃料燃焼炉から出た燃焼ガス流から二酸化炭素を分離する目的の温度スイング吸着(TSA)プロセスが含まれ、ここでは、その燃焼ガス中、混合物に少なくとも二酸化炭素及び水分が含まれている。二酸化炭素を分離するTSAプロセスを利用して、例えば石炭又は天然ガス発電装置などの熱発電装置の燃焼ガス又は排気から、あるいは蒸気発生装置/ボイラー又はプロセスヒーターから二酸化炭素の少なくとも一部を除去することも可能である。接触器で吸着された二酸化炭素成分の一部のみを第1脱離工程中に脱離し、第2の生成物流で回収することには、燃料燃焼炉から排出された燃焼ガス中の二酸化炭素濃度も増加するという利点があり、それにより、吸着ガス分離システム内の燃焼ガスからの二酸化炭素はTSAプロセスなどによってより効率的に吸着分離することが可能であることも望ましい。場合により、集積吸着ガス分離プロセスは主に、上述のような圧力スイング吸着(PSA)及び/又は部分的圧力スイング/変異パージ吸着(PPSA)プロセスに基づいており、ここではTSAが1次吸着プロセスではないが、例えば2次吸着駆動手段が含まれてもよい。
【0071】
1つのこのような実施態様では、TSA(あるいはPSA及び/又はPPSA)二酸化炭素ガス分離プロセスは吸着ガス分離システム内の複数の平行流路吸着剤接触器の各々の中で繰り返され、燃料燃焼炉に二酸化炭素の一部を再利用しながら燃焼ガス流から二酸化炭素成分の一部を分離する連続的又は反復的循環分離法を提供することも望ましい。特に、上記のように、吸着ガス分離システムは2つ以上のこのような平行流路吸着剤接触器を備えることも望ましく、そうすることで好適なTSA(あるいはPSA及び/又はPPSA)分離プロセスの交互及び/又は逐次操作(すなわち、吸着及び脱離工程は異なる接触器内で異なる時間に行われる)が可能になり、燃料燃焼炉から供給された燃焼ガスからの連続的及び/又は半連続的吸着分離が可能になる。上述のように、例えば機械的/空気圧式又は他のタイプのバルブ又は他の流量調節装置を使用する任意の好適な公知の吸着分離システムを使用し、吸着材料を含む1つ、2つ、3つ又はそれ以上の吸着器を含むシステムの為に、当技術分野で公知の本TSA(あるいはPSA及び/又はPPSA)プロセスの工程でガス流を提供することも可能である。
【0072】
上記のように、1つの実施態様では、二酸化炭素分離プロセスを実行するのに適した吸着ガス分離システムには、ガスを接触器に流す為に接触器の流入口と流出口との間で第1軸方向に配向された複数の実質的に平行な流体流路を各々が有している少なくとも1つの平行流路吸着剤接触器、及び流体流路間に配置され、それらを分断している少なくとも1種の二酸化炭素選択性吸着材料を含むセル壁が備えられている。このような好適な平行流路吸着剤接触器の各々には更に、接触器の軸方向に配向され、接触器のセル壁に含まれる少なくとも1種の二酸化炭素吸着材料と直接接触している軸連続的な熱電導性フィラメントが複数備えられている。上記のように、本発明の実施態様に従ったTSA二酸化炭素分離プロセスを実行する際の使用に適している特定のこのような平行流路吸着剤接触器構造は特許文献3として提出された本出願人らの同時係属中PCT国際特許出願に記載されており、その内容は、本出願人らが原出願の一部として形成済みではあるが、参照として本願に援用する。例えば、TSAが1次吸着プロセスではないが2次吸着駆動手段を含む他の実施態様を参照して上述したように、吸着ガス分離システムは主に圧力スイング及び/又は部分的圧力スイング/変異パージ吸着プロセスに基づく二酸化炭素分離プロセスの実行に適していると考えられる。
【0073】
本集積吸着ガス分離プロセスの1つの実施態様では、任意の好適な公知の二酸化炭素吸着材料は、プロセスの吸着工程中に二酸化炭素を吸着する吸着ガス分離システムの吸着剤接触器(単数又は複数)に使用することも可能である。このような好適な二酸化炭素吸着剤は、限定するものではないが:活性炭素吸着剤、アミン含浸吸着担体(シリカ、活性炭素、アルミナ、ゼオライト、ポリマー及びセラミック担体を含む)、金属塩、金属水酸化物、金属酸化物、ゼオライト、ヒドロタルサイト、アルカリ促進アルミナ、シリカライト、金属有機骨格、及びゼオライトイミダゾレート骨格吸着材料、ならびにこれらの組み合わせを含み得る可能性がある。望ましくは、例えば燃焼ガス流の任意の他のガス成分より二酸化炭素を選択的に吸着することが可能な、好適な二酸化炭素吸着材料が選択され得る。
【0074】
上記のように、1つの実施態様では、TSA(又はPPSA、若しくはPPSAと組み合わせて)吸着ガス分離プロセスの工程は実質的に一定又は等圧の圧力条件下で行えることも望ましい。吸着剤接触器への燃焼ガス流の流入、二酸化炭素成分の吸着、第1の生成物流又は二酸化炭素欠乏排ガス流の回収、接触器内の吸着材料に吸着された二酸化炭素の第1部分の脱離、第2の生成物流の回収、接触器内の吸着材料に吸着された二酸化炭素の第2部分の脱離、及び第3の生成物流の回収はすべて、例えば実質的に大気圧下で行うことが可能である。本TSA(又はPPSA、若しくはPPSAと組み合わせて)プロセスのこのような工程は、例えば等圧の超大気圧条件下など、実質的に一定の高圧下で行うことが可能である。本TSA(又はPPSA、若しくはPPSAと組み合わせて)プロセスにおける、燃焼ガス流を流入させ、吸着し、第1の生成物流を回収する工程は、例えば大気圧下など第1の実質的一定圧力条件下で行うことも可能であり、二酸化炭素を含む脱離された第2の生成物流を脱離し、回収している間、工程は高超大気圧などの高気圧下で行うことも可能である。1つの実施態様では、吸着分離システム及び/又は吸着剤接触器は脱離工程前に実質的に封止し、脱離工程中に吸着剤接触器の加熱を行った結果として、吸着された二酸化炭素が吸着材料から脱離している間に吸着剤接触器内の圧力が高まり、それにより接触器の圧力が例えば超大気圧レベルまで高まる。この方法では、場合により、脱離した二酸化炭素の生成物流又は第2の生成物流は、望ましくは吸着工程を行った圧力以上に高まった圧力で回収し、それにより、輸送、保管、隔離または産業用途の為に二酸化炭素を更に圧縮することが必要であるような特定の用途に適している二酸化炭素が豊富な加圧された第2の生成物流がもたらされる。二酸化炭素が豊富な脱離した第2の生成物流は吸着ガス分離システム及び/又は吸着剤接触器の流入口又は流出口から回収することも可能である。
【0075】
別の実施態様では、例えば吸着ガス分離システム内に燃焼ガス流を供給し、流動させるに十分な圧力がもたらされるように、吸着ガス分離システムは周囲圧を超える高圧の燃料燃焼炉から(複合型循環ガスタービン用HRSGの排気、又はHRSGの無いガスタービンのタービン排気などから)燃焼ガス流を受け入れることも可能である。例えば周囲圧より約10kPa超える圧力などの好適な超大気圧で燃焼ガス流は吸着ガス分離システムに提供できる。燃焼ガス流を流動させるに十分な高圧で燃焼ガスを吸着ガス分離システムに提供することにより、例えば、通風ファン、又は燃焼ガス流を吸着ガス分離システムに移す為の吸着ガス分離システムに接続する他の圧縮装置などの補助装置が削減及び/又は省略され、集積吸着ガス分離システム及び燃料燃焼炉の資本コスト及び/又はエネルギー消費が削減できることも望ましい。
【0076】
更なる実施態様では、当技術分野で公知の他のガス分離技術で想定されるとおり、本発明の集積吸着ガス分離プロセス及びシステムは特に、天然ガス併用循環ガスタービン発電機での集積に利用され、吸着した二酸化炭素を燃焼ガス流からガスタービンへ、少なくとも部分的に再利用する工程を含むことも可能である。
【0077】
本明細書で記載された例示的な実施態様は、網羅性を持たせる意図はなく、開示された明確な形式に本発明の範囲を限定する意図もない。その実施態様は、発明の原理及びその応用、ならびに実用的用途を説明し、他の当業者がその教示を理解できるように選択され、記述されている。
【0078】
前述の開示を鑑みて当業者にとって明白であるように、発明の範囲から逸脱することなく、本発明の実施において多くの変更及び修正が可能である。よって本発明の範囲は下記請求項により定義される要旨に従って解釈されるものとする。
図1
図2
図3
図4