(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】マッチング装置、マッチング方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220606BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20220606BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20220606BHJP
【FI】
G06Q50/10
G08G1/01 F
H04M11/00 301
(21)【出願番号】P 2019212111
(22)【出願日】2019-11-25
【審査請求日】2021-08-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】森澤 雄太
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-212675(JP,A)
【文献】特開2013-251800(JP,A)
【文献】特開2016-011934(JP,A)
【文献】特開2005-309513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G08G 1/01
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行者の位置を示す歩行者位置情報と、移動通信端末の位置を示す端末位置情報との入力を受付ける情報入力部と、
前記歩行者位置情報に基づいて前記歩行者の移動履歴の特徴量である歩行者移動履歴特徴量を算出する歩行者移動履歴特徴量算出部と、
前記端末位置情報に基づいて前記移動通信端末の移動履歴の特徴量である端末移動履歴特徴量を算出する端末移動履歴特徴量算出部と、
前記端末移動履歴特徴量と特定の歩行者の前記歩行者移動履歴特徴量とに基づいて、前記特定の歩行者に関連付ける前記移動通信端末を判断するマッチング部と、
を備え
、
前記情報入力部は、複数のセンサーによってそれぞれに別個に認識された同一歩行者の同一時刻の位置を示す前記複数のセンサー毎の歩行者位置情報の入力を受付け、
前記歩行者移動履歴特徴量算出部は、前記複数のセンサー毎にそれぞれの歩行者位置情報に基づいて前記歩行者移動履歴特徴量を算出し、
前記マッチング部は、前記端末移動履歴特徴量と前記特定の歩行者の前記複数のセンサー毎の前記歩行者移動履歴特徴量とに基づいて、前記複数のセンサー毎に、前記特定の歩行者に関連付ける移動通信端末を判断し、
前記マッチング部は、前記複数のセンサー毎の判断結果の移動通信端末に対して、前記複数のセンサー間で重み付き多数決を行い、重み付き多数決の結果に基づいて最終的に前記特定の歩行者に関連付ける移動通信端末を決定する、
マッチング装置。
【請求項2】
前記歩行者移動履歴特徴量及び前記端末移動履歴特徴量は、一定期間毎に、代表位置と移動ベクトル群とから成る、
請求項1に記載のマッチング装置。
【請求項3】
前記マッチング部は、特定の一定期間において、特定の歩行者の代表位置が存在する地理区画に代表位置が存在する移動通信端末をマッチング対象に選択し、当該特定の歩行者の移動ベクトル群の各移動ベクトルのベクトル区画とマッチング対象の移動通信端末の移動ベクトル群の各移動ベクトルのベクトル区画との一致の度合いに基づいて、マッチング対象の移動通信端末の中から当該特定の歩行者に関連付ける移動通信端末を選択する、
請求項2に記載のマッチング装置。
【請求項4】
前記マッチング部は、特定の歩行者に関連付ける移動通信端末が複数選択された場合、当該特定の歩行者の移動ベクトル群と、当該移動通信端末の移動ベクトル群との内積の和が所定の閾値以上である移動通信端末を当該特定の歩行者に関連付ける、
請求項3に記載のマッチング装置。
【請求項5】
マッチング装置が、歩行者の位置を示す歩行者位置情報と、移動通信端末の位置を示す端末位置情報との入力を受付ける情報入力ステップと、
前記マッチング装置が、前記歩行者位置情報に基づいて前記歩行者の移動履歴の特徴量である歩行者移動履歴特徴量を算出する歩行者移動履歴特徴量算出ステップと、
前記マッチング装置が、前記端末位置情報に基づいて前記移動通信端末の移動履歴の特徴量である端末移動履歴特徴量を算出する端末移動履歴特徴量算出ステップと、
前記マッチング装置が、前記端末移動履歴特徴量と特定の歩行者の前記歩行者移動履歴特徴量とに基づいて、前記特定の歩行者に関連付ける前記移動通信端末を判断するマッチングステップと、
を含むマッチング方法
であって、
前記情報入力ステップは、複数のセンサーによってそれぞれに別個に認識された同一歩行者の同一時刻の位置を示す前記複数のセンサー毎の歩行者位置情報の入力を受付け、
前記歩行者移動履歴特徴量算出ステップは、前記複数のセンサー毎にそれぞれの歩行者位置情報に基づいて前記歩行者移動履歴特徴量を算出し、
前記マッチングステップは、前記端末移動履歴特徴量と前記特定の歩行者の前記複数のセンサー毎の前記歩行者移動履歴特徴量とに基づいて、前記複数のセンサー毎に、前記特定の歩行者に関連付ける移動通信端末を判断し、
前記マッチングステップは、前記複数のセンサー毎の判断結果の移動通信端末に対して、前記複数のセンサー間で重み付き多数決を行い、重み付き多数決の結果に基づいて最終的に前記特定の歩行者に関連付ける移動通信端末を決定する、
マッチング方法。
【請求項6】
コンピュータに、
歩行者の位置を示す歩行者位置情報と、移動通信端末の位置を示す端末位置情報との入力を受付ける情報入力ステップと、
前記歩行者位置情報に基づいて前記歩行者の移動履歴の特徴量である歩行者移動履歴特徴量を算出する歩行者移動履歴特徴量算出ステップと、
前記端末位置情報に基づいて前記移動通信端末の移動履歴の特徴量である端末移動履歴特徴量を算出する端末移動履歴特徴量算出ステップと、
前記端末移動履歴特徴量と特定の歩行者の前記歩行者移動履歴特徴量とに基づいて、前記特定の歩行者に関連付ける前記移動通信端末を判断するマッチングステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラム
であって、
前記情報入力ステップは、複数のセンサーによってそれぞれに別個に認識された同一歩行者の同一時刻の位置を示す前記複数のセンサー毎の歩行者位置情報の入力を受付け、
前記歩行者移動履歴特徴量算出ステップは、前記複数のセンサー毎にそれぞれの歩行者位置情報に基づいて前記歩行者移動履歴特徴量を算出し、
前記マッチングステップは、前記端末移動履歴特徴量と前記特定の歩行者の前記複数のセンサー毎の前記歩行者移動履歴特徴量とに基づいて、前記複数のセンサー毎に、前記特定の歩行者に関連付ける移動通信端末を判断し、
前記マッチングステップは、前記複数のセンサー毎の判断結果の移動通信端末に対して、前記複数のセンサー間で重み付き多数決を行い、重み付き多数決の結果に基づいて最終的に前記特定の歩行者に関連付ける移動通信端末を決定する、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッチング装置、マッチング方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、移動体が特定領域に接近していることを当該移動体に通知する技術が記載されている。特許文献1に記載される従来技術では、各種のセンサーからのセンサー情報によるイベントについて、イベントの信頼度、イベントの影響を受ける範囲に移動体が到達する到達可能性、及びイベントの影響を受ける範囲に移動体が到達することを回避することが可能な回避位置に基づいて、イベントの影響を受ける範囲に移動体が遭遇する遭遇可能性を算出し、算出した遭遇可能性を移動体に通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来技術では、移動体が特定領域に接近していることを当該移動体に通知することはできるが、特定領域に接近している歩行者に対してそのことを通知する通知先になる移動体を特定することはできない。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、特定の歩行者に対して情報を通知する通知先になる移動通信端末を当該歩行者に関連付けることを図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、歩行者の位置を示す歩行者位置情報と、移動通信端末の位置を示す端末位置情報との入力を受付ける情報入力部と、前記歩行者位置情報に基づいて前記歩行者の移動履歴の特徴量である歩行者移動履歴特徴量を算出する歩行者移動履歴特徴量算出部と、前記端末位置情報に基づいて前記移動通信端末の移動履歴の特徴量である端末移動履歴特徴量を算出する端末移動履歴特徴量算出部と、前記端末移動履歴特徴量と特定の歩行者の前記歩行者移動履歴特徴量とに基づいて、前記特定の歩行者に関連付ける前記移動通信端末を判断するマッチング部と、を備え、前記情報入力部は、複数のセンサーによってそれぞれに別個に認識された同一歩行者の同一時刻の位置を示す前記複数のセンサー毎の歩行者位置情報の入力を受付け、前記歩行者移動履歴特徴量算出部は、前記複数のセンサー毎にそれぞれの歩行者位置情報に基づいて前記歩行者移動履歴特徴量を算出し、前記マッチング部は、前記端末移動履歴特徴量と前記特定の歩行者の前記複数のセンサー毎の前記歩行者移動履歴特徴量とに基づいて、前記複数のセンサー毎に、前記特定の歩行者に関連付ける移動通信端末を判断し、前記マッチング部は、前記複数のセンサー毎の判断結果の移動通信端末に対して、前記複数のセンサー間で重み付き多数決を行い、重み付き多数決の結果に基づいて最終的に前記特定の歩行者に関連付ける移動通信端末を決定する、マッチング装置である。
本発明の一態様は、前記歩行者移動履歴特徴量及び前記端末移動履歴特徴量は、一定期間毎に、代表位置と移動ベクトル群とから成る、上記のマッチング装置である。
本発明の一態様は、前記マッチング部は、特定の一定期間において、特定の歩行者の代表位置が存在する地理区画に代表位置が存在する移動通信端末をマッチング対象に選択し、当該特定の歩行者の移動ベクトル群の各移動ベクトルのベクトル区画とマッチング対象の移動通信端末の移動ベクトル群の各移動ベクトルのベクトル区画との一致の度合いに基づいて、マッチング対象の移動通信端末の中から当該特定の歩行者に関連付ける移動通信端末を選択する、上記のマッチング装置である。
本発明の一態様は、前記マッチング部は、特定の歩行者に関連付ける移動通信端末が複数選択された場合、当該特定の歩行者の移動ベクトル群と、当該移動通信端末の移動ベクトル群との内積の和が所定の閾値以上である移動通信端末を当該特定の歩行者に関連付ける、上記のマッチング装置である。
【0007】
本発明の一態様は、マッチング装置が、歩行者の位置を示す歩行者位置情報と、移動通信端末の位置を示す端末位置情報との入力を受付ける情報入力ステップと、前記マッチング装置が、前記歩行者位置情報に基づいて前記歩行者の移動履歴の特徴量である歩行者移動履歴特徴量を算出する歩行者移動履歴特徴量算出ステップと、前記マッチング装置が、前記端末位置情報に基づいて前記移動通信端末の移動履歴の特徴量である端末移動履歴特徴量を算出する端末移動履歴特徴量算出ステップと、前記マッチング装置が、前記端末移動履歴特徴量と特定の歩行者の前記歩行者移動履歴特徴量とに基づいて、前記特定の歩行者に関連付ける前記移動通信端末を判断するマッチングステップと、を含むマッチング方法であって、前記情報入力ステップは、複数のセンサーによってそれぞれに別個に認識された同一歩行者の同一時刻の位置を示す前記複数のセンサー毎の歩行者位置情報の入力を受付け、前記歩行者移動履歴特徴量算出ステップは、前記複数のセンサー毎にそれぞれの歩行者位置情報に基づいて前記歩行者移動履歴特徴量を算出し、前記マッチングステップは、前記端末移動履歴特徴量と前記特定の歩行者の前記複数のセンサー毎の前記歩行者移動履歴特徴量とに基づいて、前記複数のセンサー毎に、前記特定の歩行者に関連付ける移動通信端末を判断し、前記マッチングステップは、前記複数のセンサー毎の判断結果の移動通信端末に対して、前記複数のセンサー間で重み付き多数決を行い、重み付き多数決の結果に基づいて最終的に前記特定の歩行者に関連付ける移動通信端末を決定する、マッチング方法である。
【0008】
本発明の一態様は、コンピュータに、歩行者の位置を示す歩行者位置情報と、移動通信端末の位置を示す端末位置情報との入力を受付ける情報入力ステップと、前記歩行者位置情報に基づいて前記歩行者の移動履歴の特徴量である歩行者移動履歴特徴量を算出する歩行者移動履歴特徴量算出ステップと、前記端末位置情報に基づいて前記移動通信端末の移動履歴の特徴量である端末移動履歴特徴量を算出する端末移動履歴特徴量算出ステップと、前記端末移動履歴特徴量と特定の歩行者の前記歩行者移動履歴特徴量とに基づいて、前記特定の歩行者に関連付ける前記移動通信端末を判断するマッチングステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記情報入力ステップは、複数のセンサーによってそれぞれに別個に認識された同一歩行者の同一時刻の位置を示す前記複数のセンサー毎の歩行者位置情報の入力を受付け、前記歩行者移動履歴特徴量算出ステップは、前記複数のセンサー毎にそれぞれの歩行者位置情報に基づいて前記歩行者移動履歴特徴量を算出し、前記マッチングステップは、前記端末移動履歴特徴量と前記特定の歩行者の前記複数のセンサー毎の前記歩行者移動履歴特徴量とに基づいて、前記複数のセンサー毎に、前記特定の歩行者に関連付ける移動通信端末を判断し、前記マッチングステップは、前記複数のセンサー毎の判断結果の移動通信端末に対して、前記複数のセンサー間で重み付き多数決を行い、重み付き多数決の結果に基づいて最終的に前記特定の歩行者に関連付ける移動通信端末を決定する、コンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、特定の歩行者に対して情報を通知する通知先になる移動通信端末を当該歩行者に関連付けることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係るマッチング装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態に係る歩行者情報及び移動通信端末情報の構成例を示す図である。
【
図3】一実施形態に係る地理区画の構成例を示す図である。
【
図4】一実施形態に係るベクトル区画の構成例を示す図である。
【
図5】一実施形態に係る歩行者移動履歴特徴量情報及び端末移動履歴特徴量情報の構成例を示す図である。
【
図6】一実施形態に係るマッチング方法の手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係るマッチング装置の構成例を示すブロック図である。
図1において、マッチング装置1は、情報入力部10と、通知制御部11と、情報処理部12と、記憶部13と、情報出力部14と、を備える。情報処理部12は、移動履歴特徴量算出部121と、マッチング部122とを備える。
【0012】
マッチング装置1の各機能は、マッチング装置1がCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、マッチング装置1として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。例えば、マッチング装置1は、インターネット等の通信ネットワークに接続されるサーバコンピュータを使用して構成されてもよい。また、マッチング装置1の各機能はクラウドコンピューティングにより実現されてもよい。
【0013】
情報入力部10は、歩行者情報A及び移動通信端末情報Bの入力を受付ける。歩行者情報Aは、歩行者の情報であって、歩行者の識別情報(歩行者ID)、歩行者の位置を示す歩行者位置情報、歩行者位置情報の測定に利用されたセンサーの識別情報(センサーID)及び歩行者位置情報を測定した時刻(測定時刻)を含む情報である。歩行者位置情報の測定に利用されるセンサーは、例えば、ミリ波センサー、デジタルカメラ、LiDARセンサーなどである。これらのセンサーは、それぞれ定められた場所に設置される。
【0014】
移動通信端末情報Bは、移動通信端末の情報であって、移動通信端末の識別情報(端末ID)、移動通信端末の位置を示す端末位置情報、端末位置情報の測定に利用されたセンサーのセンサーID及び端末位置情報を測定した測定時刻を含む情報である。移動通信端末は、例えばスマートフォン等の携帯通信端末装置である。端末位置情報の測定に利用されるセンサーは、例えば、移動通信端末が備える測位デバイス(例えば、GPS(Global Positioning System)を利用した測位デバイス)、移動通信端末が接続している無線LANにおけるRTT(Round-Trip Time)の測定デバイス、移動通信端末が接続している無線基地局の端末位置検出デバイスなどである。
【0015】
図2は、歩行者情報A及び移動通信端末情報Bの構成例を示す図である。
図2に示されるように、歩行者情報Aは、歩行者ID、センサーID、測定時刻及び歩行者位置情報を有する。移動通信端末情報Bは、端末ID、センサーID、測定時刻及び端末位置情報を有する。
【0016】
通知制御部11は、歩行者情報Aやセンサーが検知したセンサー情報などに基づいて、通知対象の歩行者(歩行者ID)を決定する。例えば、センサーのうちデジタルカメラの撮像画像に基づいて歩きながらスマートフォンを操作している歩行者を認識し、認識結果の歩行者を通知対象の歩行者に決定する。なお、通知対象の歩行者(歩行者ID)は、マッチング装置1の外部から指定されてもよい。通知制御部11は、通知対象の歩行者の歩行者IDを情報処理部12へ通知する。
【0017】
情報処理部12の移動履歴特徴量算出部121は、歩行者位置情報に基づいて歩行者の移動履歴の特徴量である歩行者移動履歴特徴量を算出する。また、移動履歴特徴量算出部121は、端末位置情報に基づいて移動通信端末の移動履歴の特徴量である端末移動履歴特徴量を算出する。本実施形態において、移動履歴特徴量算出部121は、歩行者移動履歴特徴量算出部及び端末移動履歴特徴量算出部に対応する。
【0018】
情報処理部12のマッチング部122は、端末移動履歴特徴量と特定の歩行者の歩行者移動履歴特徴量とに基づいて、当該特定の歩行者に関連付ける移動通信端末を判断する。本実施形態の一例として、特定の歩行者は、通知対象の歩行者である。マッチング部122は、特定の歩行者の歩行者IDと、当該特定の歩行者に関連付ける移動通信端末の端末IDとをマッチング結果として情報出力部14へ通知する。
【0019】
記憶部13は、各種の情報を記憶する。記憶部13は、例えば、移動履歴特徴量算出部121が算出した歩行者移動履歴特徴量及び端末移動履歴特徴量を記憶する。
【0020】
情報出力部14は、マッチング部122による歩行者と移動通信端末とのマッチング結果を出力する。また、情報出力部14は、通知対象の歩行者に関連付けられた移動通信端末へ、当該歩行者に通知する通知情報を送信してもよい。
【0021】
[移動履歴特徴量算出方法]
本実施形態に係る移動履歴特徴量算出方法について説明する。本実施形態では、予め、空間を定義する。通知対象の歩行者が存在する例えば交差点や広場などのエリア(以下、通知対象エリアと称する)を予め定義し、当該通知対象エリアを二次元の独自座標系(以下、単に独自座標系と称する)で表現する。なお、本実施形態では独自座標系を用いるが、緯度と経度により位置表現される緯度経度座標系を用いてもよい。
【0022】
通知対象エリアに設置された各種のセンサーが検知したセンサー情報に基づいて歩行者の認識が行われる。この認識結果の歩行者について、歩行者情報Aが生成される。歩行者情報Aに含められる歩行者位置情報は、独自座標系における座標(x,y)で表現される。複数のセンサーが存在する場合、同じ歩行者に対して、センサー毎に歩行者情報Aが生成される。歩行者情報Aは、マッチング装置1の外部のサーバによって生成される。当該サーバによって生成された歩行者情報Aがマッチング装置1に入力される。
【0023】
移動通信端末の端末位置情報は、各種のセンサーを利用して取得される。例えば、移動通信端末が備える測位デバイス(例えば、GPS(Global Positioning System)を利用した測位デバイス)によって端末位置情報が取得される。例えば、移動通信端末が接続している無線LANにおけるRTTの測定デバイスが測定したRTTに基づいて推定された端末位置情報が取得される。例えば、移動通信端末が接続している無線基地局の端末位置検出デバイスにより推定された端末位置情報が取得される。取得された端末位置情報について、移動通信端末情報Bが生成される。移動通信端末情報Bに含められる端末位置情報は、独自座標系における座標(x,y)で表現される。複数のセンサーが存在する場合、同じ移動通信端末に対して、センサー毎に移動通信端末情報Bが生成される。移動通信端末情報Bは、マッチング装置1の外部のサーバによって生成される。当該サーバによって生成された移動通信端末情報Bがマッチング装置1に入力される。
【0024】
独自座標系への位置情報の変換は、所定の変換表によって行われる。例えば、元の位置情報が緯度経度で表現されている場合、独自座標系における緯度経度情報を予め表として準備し、当該緯度経度情報によって元の位置情報の緯度経度を独自座標系の座標(x,y)に変換する。なお、本実施形態では独自座標系を用いるが、緯度経度座標系を用いる場合には、緯度経度で表現される位置情報をそのまま使用すればよい。
【0025】
本実施形態において、移動履歴特徴量は、一定期間毎に、代表位置と移動ベクトル群とから成る。移動履歴特徴量の算出方法は、歩行者移動履歴特徴量及び端末移動履歴特徴量ともに同じであるので、ここでは歩行者移動履歴特徴量を例に挙げて説明する。
【0026】
[代表位置算出方法]
ある時刻をTnとした場合に、同一歩行者(歩行者ID)について、一定期間Tの時間範囲{Tn-T,Tn}に存在する歩行者位置情報に対して、独自座標系上の代表位置Opを算出する。一定期間Tは、移動履歴特徴量の算出に必要な個数の歩行者位置情報を含むように、予め設定される。代表位置Opの例1,例2を以下に示す。
【0027】
(代表位置の例1)
代表位置Opの例1は、時間範囲{Tn-T,Tn}に存在する歩行者位置情報の重心である。当該重心は、時間範囲{Tn-T,Tn}に存在する歩行者位置情報「座標(x,y)」の平均値として算出される。代表位置の例1によれば、代表位置Opは時系列情報が加味されたものになる。
【0028】
(代表位置の例2)
代表位置Opの例2は、時間範囲{Tn-T,Tn}に存在する歩行者位置情報のうち、最新の測定時刻の歩行者位置情報「座標(x,y)」である。代表位置の例によれば、代表位置Opは最新の位置を示すものになる。
【0029】
代表位置Opの例1,例2のいずれを用いるのかは、例えば、歩行者と移動通信端末とのマッチングの目的や情報処理能力等に応じて決めることが挙げられる。
【0030】
なお、端末移動履歴特徴量についても、上記した歩行者移動履歴特徴量と同様に、代表位置Owが算出される。
【0031】
[移動ベクトル群算出方法]
ある時刻をTnとした場合に、同一歩行者(歩行者ID)について、一定期間Tの時間範囲{Tn-T,Tn}に存在する歩行者位置情報に対して、独自座標系上の移動ベクトル群Gpを算出する。移動ベクトルVは速さdと方位aによって表現される。
V=(d,a)
移動ベクトル群Gpは、m個の移動ベクトルVの集合である。mは自然数のパラメータである。但し、mは、時間範囲{Tn-T,Tn}に存在する歩行者位置情報の個数と端末位置情報の個数とのうち、小さい方の個数以下に設定される。例えば、時間範囲{Tn-T,Tn}に存在する歩行者位置情報の個数がp個であり、端末位置情報の個数がw個であり、「p<w」であるならば、「1≦m≦p」を満足するようにmが設定される。
【0032】
移動ベクトル群Gpは、m個の移動ベクトルV(Vp1,Vp2,Vp3,Vp4,・・・,Vp(m-1),Vpm)から構成される配列で表現される。測定時刻Tnに対し、過去N個の歩行者位置情報を利用し、m個の移動ベクトルVを生成する場合、測定時刻Tnに対応する移動ベクトル群Gpは以下に示す配列になる。
移動ベクトル群Gp(Tn)=移動ベクトルV(Tn,1~m)={Vp1,Vp2,Vp3,Vp4,・・・,Vp(m-1),Vpm}
測定時刻Tnに対応する移動ベクトル群Gpを構成するm個の移動ベクトルV(Vp1,Vp2,Vp3,Vp4,・・・,Vp(m-1),Vpm)は、時間範囲{Tn-T,Tn}をm個のサブ時間範囲に等分したときの、それぞれのサブ時間範囲における移動ベクトルである。
移動ベクトルVは二次元座標上のベクトルであるため、速さdと方位aによって「V=(d,a)」と表現される。なお、X成分とY成分をそれぞれ記述した「V=(x,y)」と表現してもよい。
【0033】
なお、端末移動履歴特徴量についても、上記した歩行者移動履歴特徴量と同様に、移動ベクトル群Gwが算出される。
移動ベクトル群Gp,Gwは、時系列的な動き(どの時刻に、どの方向に、どれくらい動いたか)の3つの情報を有する。移動ベクトル群Gp,Gwを用いることにより、時系列的な動きによってマッチングの対象を絞ることができるようになる。
【0034】
以上が本実施形態に係る移動履歴特徴量算出方法の説明である。
【0035】
情報処理部12は、移動履歴特徴量算出部121により算出された代表位置Op,Ow及び移動ベクトル群Gp,Gwの各移動ベクトルVに対して、区画識別子(区画ID)を付与する。本実施形態では、予め、通知対象エリアを独自座標系上で複数の地理区画に区切り、各地理区画に地理区画IDを割り当てる。また、移動ベクトルに関する区画(ベクトル区画)を定義する。ベクトル区画については、移動ベクトルVの速さdと方位aからなる極座標系のベクトル空間を複数のベクトル区画に区切り、各ベクトル区画にベクトル区画IDを割り当てる。
【0036】
情報処理部12は、各代表位置Op,Owに対して、代表位置Op,Owが存在する地理区画の地理区画IDを付与する。また、情報処理部12は、各移動ベクトル群Gp,Gwに対して、移動ベクトル群Gp,Gwに含まれる移動ベクトル毎に移動ベクトルが存在するベクトル区画のベクトル区画IDを付与する。
【0037】
図3は、地理区画の構成例を示す図である。
図3に示されるように、各地理区画に対して地理区画ID(a1,a2,a3,・・・)が割り当てられる。各代表位置Op,Owに対して、代表位置Op,Owの座標(x,y)が存在する地理区画の地理区画IDが付与される。
【0038】
図4は、ベクトル区画の構成例を示す図である。
図4に示されるように、各ベクトル区画に対してベクトル区画ID(b1,b2,b3,・・・)が割り当てられる。各移動ベクトル群Gp,Gwに対して、移動ベクトル群Gp,Gwに含まれる移動ベクトル毎に移動ベクトルの速さdと方位aが存在するベクトル区画のベクトル区画IDが付与される。
図4には、ベクトル区画ID「b2」のベクトル区画に速さdと方位aが存在する移動ベクトルVが示されており、当該移動ベクトルVにベクトル区画ID「b2」が付与される。
【0039】
情報処理部12は、各歩行者(歩行者ID)の歩行者移動履歴特徴量情報Acを記憶部13に格納する。また、情報処理部12は、各移動通信端末(端末ID)の端末移動履歴特徴量情報Bcを記憶部13に格納する。
図5は、歩行者移動履歴特徴量情報Ac及び端末移動履歴特徴量情報Bcの構成例を示す図である。
図5の例では、歩行者移動履歴特徴量情報Acは、歩行者ID、センサーID、測定時刻、歩行者位置情報、代表位置Op、移動ベクトル群Gpの配列データ、代表位置Opの地理区画ID(代表位置区画ID)及び移動ベクトル群Gpの各移動ベクトルVのベクトル区画ID(移動ベクトル区画ID群)の配列データを有する。移動ベクトル群Gpの配列データは、移動ベクトル群Gpを構成するm個の移動ベクトルVから構成される配列のデータである。移動ベクトル群Gpの移動ベクトル区画ID群の配列データは、移動ベクトル群Gpを構成するm個の移動ベクトルVの各ベクトル区画IDから構成される配列のデータである。「移動ベクトル群Gpの配列長=移動ベクトル群Gpの移動ベクトル区画ID群の配列長=m」である。
また、
図5の例では、端末移動履歴特徴量情報Bcは、端末ID、センサーID、測定時刻、端末位置情報、代表位置Ow、移動ベクトル群Gwの配列データ、代表位置Owの地理区画ID(代表位置区画ID)及び移動ベクトル群Gwの各移動ベクトルVのベクトル区画ID(移動ベクトル区画ID群)の配列データを有する。移動ベクトル群Gwの配列データは、移動ベクトル群Gwを構成するm個の移動ベクトルVから構成される配列のデータである。移動ベクトル群Gwの移動ベクトル区画ID群の配列データは、移動ベクトル群Gwを構成するm個の移動ベクトルVの各ベクトル区画IDから構成される配列のデータである。「移動ベクトル群Gwの配列長=移動ベクトル群Gwの移動ベクトル区画ID群の配列長=m」である。
【0040】
[マッチング方法]
本実施形態に係るマッチング方法について説明する。
マッチング部122は、特定の一定期間において、特定の歩行者(以下、通知対象歩行者と称する)の代表位置Opが存在する地理区画に代表位置Owが存在する移動通信端末をマッチング対象に選択する。具体的には、通知対象歩行者(歩行者ID)の歩行者移動履歴特徴量情報Acの代表位置区画IDと同じ代表位置区画IDを有する端末移動履歴特徴量情報Bcの移動通信端末(端末ID)をマッチング対象に選択する。
【0041】
次いで、マッチング部122は、測定時刻Tnに対応する通知対象歩行者の移動ベクトル群Gpとマッチング対象の移動通信端末の移動ベクトル群Gwとのマッチングを判定する。この移動ベクトル群のマッチングの判定では、時間範囲{Tn-T,Tn}のm個のサブ時間範囲ごとに、同じサブ時間範囲に対応する移動ベクトル群Gpの移動ベクトルVと移動ベクトル群Gwの移動ベクトルVとの一致をベクトル区画IDの一致により判定する。
具体的には、マッチング部122は、測定時刻Tnに対応する通知対象歩行者の移動ベクトル区画ID群の配列データとマッチング対象の移動通信端末の移動ベクトル区画ID群の配列データとを使用して、サブ時間範囲ごとに、通知対象歩行者の移動ベクトル区画ID群のベクトル区画IDとマッチング対象の移動通信端末の移動ベクトル区画ID群のベクトル区画IDとが一致するか否かを判定する。このベクトル区画IDの一致の判定の結果、全てのサブ時間範囲において、両者のベクトル区画IDが一致したマッチング対象の移動通信端末(端末ID)を、当該通知対象歩行者(歩行者ID)に関連付ける移動通信端末(端末ID)として選択する。
なお、ベクトル区画IDが一致する個数の閾値を設け、ベクトル区画IDが一致する個数が当該閾値以上であるマッチング対象の移動通信端末(端末ID)を、当該通知対象歩行者(歩行者ID)に関連付ける移動通信端末(端末ID)として選択してもよい。
【0042】
なお、マッチング部122は、通知対象歩行者(歩行者ID)に関連付ける移動通信端末(端末ID)が複数選択された場合、当該通知対象歩行者(歩行者ID)の移動ベクトル群Gpと、当該移動通信端末(端末ID)の移動ベクトル群Gwとの内積の和が所定の閾値以上である移動通信端末(端末ID)を当該通知対象歩行者(歩行者ID)に関連付けてもよい。又は、当該内積の和が最大である一の移動通信端末(端末ID)を当該通知対象歩行者(歩行者ID)に関連付けてもよい。移動ベクトル群Gpのm個の移動ベクトルV(Vp1,Vp2,・・・,Vpm)と、移動ベクトル群Gwのm個の移動ベクトルV(Vw1,Vw2,・・・,Vwm)との内積の和Qは、次式で表される。
Q=Vp1・Vw1+Vp2・Vw2+・・・+Vpm・Vwm
但し、「Va・Vb」はベクトルVaとベクトルVbの内積を表す。
【0043】
図6は、本実施形態に係るマッチング方法の手順の例を示すフローチャートである。
図6を参照して本実施形態に係るマッチング方法を説明する。
【0044】
(ステップS1) マッチング装置1は、歩行者情報Aと移動通信端末情報Bとの入力を受付ける。
【0045】
(ステップS2) マッチング装置1は、歩行者情報Aの歩行者位置情報に基づいて歩行者移動履歴特徴量を算出する。また、マッチング装置1は、移動通信端末情報Bの端末位置情報に基づいて端末移動履歴特徴量を算出する。
【0046】
(ステップS3) マッチング装置1は、歩行者への通知需要があるか否かを判断する。歩行者への通知需要がある場合はステップS4に進み、歩行者への通知需要がない場合はステップS1に戻る。
【0047】
(ステップS4) マッチング装置1は、通知対象歩行者の歩行者移動履歴特徴量を算出する。なお、上記したステップS2で通知対象歩行者の最新の歩行者移動履歴特徴量が算出されている場合、本ステップS4を省略してもよい。
【0048】
(ステップS5) マッチング装置1は、通知対象歩行者と同じ代表位置区画IDを有し、且つ、通知対象歩行者と同じ移動ベクトル区画ID群を有する移動通信端末が存在するか否かを判断する。当該移動通信端末が存在する場合はステップS7に進み、当該移動通信端末が存在しない場合はステップS6に進む。
【0049】
(ステップS6) 通知対象歩行者に関連付ける移動通信端末(以下、マッチング端末と称する)の発見が失敗であり、ステップS1に戻る。
【0050】
(ステップS7) マッチング装置1は、ステップS5で発見された移動通信端末が複数存在するか否かを判断する。当該移動通信端末が複数存在する場合はステップS8に進む。一方、当該移動通信端末が一つのみ存在する場合は、当該一の移動通信端末をマッチング端末に決定する。
【0051】
(ステップS8) マッチング装置1は、ステップS5で発見された複数の移動通信端末について、通知対象歩行者の移動ベクトル群Gpと、各移動通信端末の移動ベクトル群Gwとの内積の和に基づいて、当該複数の移動通信端末の中からマッチング端末を選択する。
【0052】
なお、複数のセンサーが存在する場合、同じ歩行者を各センサーにより別個に認識してもよい。この場合、センサー(センサーID)毎に、通知対象歩行者の歩行者移動履歴特徴量を算出して移動通信端末とのマッチングを行う。次いで、各センサー(センサーID)のマッチング結果のマッチング端末に対して、センサー間で重み付き多数決を行う。この重み付き多数決の結果に基づいて最終的なマッチング端末を決定する。例えば、最多得票数の移動通信端末を最終的なマッチング端末を決定する。例えば、一定以上の得票数の移動通信端末を最終的なマッチング端末を決定する。
【0053】
また、移動履歴特徴量を算出するタイミングの例1,例2を以下に示す。
【0054】
(移動履歴特徴量算出タイミングの例1)
歩行者情報A、移動通信端末情報Bがマッチング装置1に入力された時に、その都度、歩行者移動履歴特徴量、端末移動履歴特徴量を算出し、算出結果の歩行者移動履歴特徴量情報Ac、端末移動履歴特徴量情報Bcを記憶部13に保存する。移動履歴特徴量算出タイミングの例1によれば、定常的に一定の計算負荷がかかるが、通知対象歩行者に通知を行う需要が発生した時に、マッチング端末を特定するまでの時間を短縮することができる。
【0055】
(移動履歴特徴量算出タイミングの例2)
通知対象歩行者に通知を行う需要が発生した時に、歩行者移動履歴特徴量、端末移動履歴特徴量を算出する。移動履歴特徴量算出タイミングの例2によれば、移動履歴特徴量の算出の計算負荷が生じるのは、通知需要が発生した時のみとなる。
【0056】
本実施形態によれば、特定の歩行者に対して情報を通知する通知先になる移動通信端末を当該歩行者に関連付けることができる。これにより、例えば、センサーのうちデジタルカメラの撮像画像に基づいて認識された歩きながらスマートフォンを操作している歩行者に対して、安全面での注意を促すメッセージを当該歩行者に関連付けられた移動通信端末へ送信することができる。
【0057】
本実施形態によれば、歩行者及び移動通信端末の位置情報に加えて、歩行者の移動履歴特徴量(歩行者移動履歴特徴量)と移動通信端末の移動履歴特徴量(端末移動履歴徴量)とをマッチングすることにより、歩行者及び移動通信端末の位置情報のみのマッチングよりも正確にマッチング端末を決定することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、移動履歴特徴量のマッチングを行うことにより、計算量のオーダーを低減することができる。この点について以下に説明する。
【0059】
通知対象エリアに多数の歩行者が存在する場合、従来の移動履歴のマッチングでは多大な計算量を伴う。例えば、通知対象エリアにN人の歩行者が存在する場合において、N人の歩行者が一人一台ずつスマートフォンを持つとき、各歩行者と各スマートフォンとのマッチングにはN×N通りの計算が必要になる。さらにK個の時系列データを用いると、マッチングの計算量のオーダーはO(N×N×K)になる。このオーダーの計算量はリアルタイムな通知の需要には不向きな可能性がある。
【0060】
これに対して本実施形態によれば、N人の歩行者とN個のスマートフォンに対して、一つの代表位置Oとm個の移動ベクトルを求める。代表位置Oを「最新の測定時刻の位置情報」にすれば、計算が必要になるのはm個の移動ベクトルの算出である。ここで、1≦m≦K(Kは使用する位置情報の個数)であるから、計算量のオーダーはO(N×K)で済む。このように本実施形態によれば、計算量のオーダーを低減することができるので、例えばリアルタイムな通知の需要に対しても好適である。
【0061】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0062】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0063】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0064】
1…マッチング装置、10…情報入力部、11…通知制御部、12…情報処理部、13…記憶部、14…情報出力部、121…移動履歴特徴量算出部、122…マッチング部