(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】端末及び通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 72/04 20090101AFI20220606BHJP
H04W 52/34 20090101ALI20220606BHJP
【FI】
H04W72/04 136
H04W52/34
H04W72/04 132
(21)【出願番号】P 2019507378
(86)(22)【出願日】2018-01-17
(86)【国際出願番号】 JP2018001096
(87)【国際公開番号】W WO2018173438
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2020-07-31
(31)【優先権主張番号】P 2017056569
(32)【優先日】2017-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩井 敬
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】高田 智史
(72)【発明者】
【氏名】堀内 綾子
【審査官】青木 健
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-129407(JP,A)
【文献】Qualcomm Incorporated,Discussion on SRS Design[online],3GPP TSG RAN WG1 #88 R1-1702618,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_R,2017年02月13日,Section 2.2-2.5
【文献】Panasonic,Discussion on SRS transmission for NR[online],3GPP TSG RAN WG1 #88 R1-1703453,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_R,2017年02月13日,Section 2
【文献】Nokia, Alcatel-Lucent Shanghai Bell,UL SRS design considerations in NR[online],3GPP TSG RAN WG1 #88 R1-1703183,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_88/Docs/R1-1703183.zip>,2017年02月13日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分帯域に対応する系列長を有する系列を複数個用いて生成される参照信号の送信電力が閾値を超える場合、複数の部分帯域のうち一部の部分帯域をドロップする回路と、
前記複数の部分帯域のうち前記ドロップされる一部の部分帯域以外の残りの部分帯域で前記参照信号を送信する送信機と、
を具備する端末。
【請求項2】
前記回路は、前記複数の部分帯域のうち、非連続な部分帯域をドロップする、
請求項1に記載の端末。
【請求項3】
前記回路は、前記複数の部分帯域のうち、連続する部分帯域をドロップする、
請求項1に記載の端末。
【請求項4】
前記ドロップされる一部の部分帯域は、端末固有の情報に対応付けられている、
請求項1に記載の端末。
【請求項5】
前記ドロップされる一部の部分帯域は、前記端末が前記参照信号を送信するタイミングに対応付けられている、
請求項1に記載の端末。
【請求項6】
前記送信機は、前記参照信号が割り当てられる部分帯域を示す複数の設定情報に従って前記参照信号を送信し、
前記ドロップされる一部の部分帯域は、前記複数の設定情報のうちの一部の設定情報に示される部分帯域である、
請求項1に記載の端末。
【請求項7】
前記ドロップされる一部の部分帯域は、前記複数の部分帯域のうち、系列番号が同一の符号系列が設定された部分帯域の中の少なくとも1つの部分帯域である、
請求項1に記載の端末。
【請求項8】
前記ドロップされる一部の部分帯域は、前記複数の部分帯域のうち、系列番号及び巡回シフト番号の双方が同一の符号系列が設定された部分帯域の中の少なくとも1つの部分帯域である、
請求項1に記載の端末。
【請求項9】
部分帯域に対応する系列長を有する系列を複数個用いて生成される参照信号の送信電力が閾値を超える場合、複数の部分帯域のうち一部の部分帯域をドロップし、
前記複数の部分帯域のうち前記ドロップされる一部の部分帯域以外の残りの部分帯域で前記参照信号を送信する、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端末及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
5Gの標準化において、LTE/LTE-Advancedとは必ずしも後方互換性を持たない新しい無線アクセス技術(NR:New RAT)が3GPPで議論されている。
【0003】
LTEでは、端末(「UE(User Equipment)」と呼ぶこともある)が基地局(「eNB」又は「gNB」と呼ぶこともある)から割り当てられた無線リソースで、Sounding Reference Signal(以下、「SRS」と呼ぶ)と呼ばれる参照信号を送信する。基地局は、SRSの受信品質を測定することで、SRSの送信帯域における上り品質を推定する。基地局は、上り品質の推定値を用いて、端末の周波数スケジューリング又はリンクアダプテーション(適応変調符号化)を行う。
【0004】
また、LTEのSRSは、Component carrier(CC:所定のシステム帯域)あたりに1つのZadoff-Chu(ZC)系列を用いて生成される。ZC系列の系列長は、SRS送信帯域幅に応じて決定される。また、CM/PAPR(Cubic Metric/Peak to Average Power Ratio)の増加を抑えるために、LTEのSRSは連続帯域で送信される。LTEのSRSは1つのZC系列を用いて生成されるため、CM/PAPRが低減できる利点を持つ。
【0005】
一方、NRでは、SRSを複数の部分帯域(以下、「partial band」と呼ぶ)で同時に送信するMultiple partial band-based SRS(以下、「Multi-PB SRS」と呼ぶ)が検討されている(例えば、非特許文献1を参照)。Multi-PB SRSは、1つのpartial bandのサイズに対応する系列長を有する系列(例えば、ZC系列)を1つ又は複数個用いて生成される。つまり、Multi-PB SRSの系列長は全体の送信帯域幅ではなく、partial bandに対応する帯域幅に応じて決定され、1つのpartial bandより広い送信帯域幅のSRSは、複数の系列(つまり、複数のpartial band)を用いて生成される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】R1-1703453, Panasonic,“Discussion on SRS transmission for NR”, RAN1#88, February 2017
【発明の概要】
【0007】
複数の系列を用いるMulti-PB SRSは、LTEのSRS、つまり、1つの系列から生成するSRS(以下、「Single-PB SRS」と呼ぶ)と比較してCM/PAPRが高くなる。端末は、送信機のパワーアンプを線形領域で動作させるため、最大送信電力をCM/PAPRに応じて削減する必要がある。よって、SRSのCM/PAPRが高いほど、端末の送信可能な最大送信電力が低下してしまう。端末がMulti-PB SRSを用いる場合に基地局から要求(指示)された送信電力でSRSを送信できない場合、基地局ではMulti-PB SRSを用いて上り品質を精度良く推定することができない。
【0008】
本開示の一態様は、Multi-PB SRSを用いる場合でも、上り品質を精度良く推定することができる基地局、端末及び通信方法の提供に資する。
【0009】
本開示の一態様に係る端末は、部分帯域に対応する系列長を有する系列を複数個用いて生成される参照信号の送信電力が閾値を超える場合、複数の部分帯域のうち一部の部分帯域をドロップする回路と、前記複数の部分帯域のうち前記ドロップされる一部の部分帯域以外の残りの部分帯域で前記参照信号を送信する送信機と、を具備する。
【0010】
本開示の一態様に係る通信方法は、部分帯域に対応する系列長を有する系列を複数個用いて生成される参照信号の送信電力が閾値を超える場合、複数の部分帯域のうち一部の部分帯域をドロップし、前記複数の部分帯域のうち前記ドロップされる一部の部分帯域以外の残りの部分帯域で前記参照信号を送信する。
【0011】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0012】
本開示の一態様によれば、Multi-PB SRSを用いる場合でも、上り品質を精度良く推定することができる。
【0013】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、Single-PB SRSの一例を示す。
【
図2】
図2は、Multi-PB SRSの一例を示す。
【
図3】
図3は、Single-PB SRS及びMulti-PB SRSのCM特性の一例を示す。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る端末の一部の構成を示す。
【
図5】
図5は、実施の形態1に係る端末の構成を示す。
【
図6】
図6は、実施の形態1に係る基地局の構成を示す。
【
図7】
図7は、実施の形態1に係る端末の動作例を示す。
【
図8】
図8は、実施の形態1に係る基地局の動作例を示す。
【
図9】
図9は、実施の形態1に係るドロップするPartial bandの決定方法の一例を示す。
【
図10】
図10は、実施の形態1に係るドロップするPartial bandの決定方法の一例を示す。
【
図11】
図11は、実施の形態1に係るドロップするPartial bandの決定方法の一例を示す。
【
図12】
図12は、実施の形態1に係るSRS送信帯域の論理的なPartial band番号の一例を示す。
【
図13】
図13は、実施の形態1に係るPartial bandにおける直交性を説明する。
【
図16】
図16は、実施の形態2に係るドロップするPartial bandの決定方法の一例を示す。
【
図19】
図19は、実施の形態3に係るドロップするPartial bandの決定方法の一例を示す。
【
図20】
図20は、実施の形態3に係るドロップするPartial bandの決定方法の一例を示す。
【
図23】
図23は、実施の形態4に係るSRSconfiguration情報の一例を示す。
【
図24】
図24は、実施の形態4に係るドロップするPartial bandの決定方法の一例を示す。
【
図27】
図27は、実施の形態5に係るドロップするPartial bandの決定方法の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
LTEのSRS(Single-PB SRS)は、CM/PAPRを低減できる利点を有する一方で、周波数スケジューリングの自由度が低い欠点がある。例えば、
図1に示すように、複数の端末(UE#1,#2)のSRS(系列番号:#a)の送信帯域が一致しない場合には、cyclic shift(CS)によって複数の端末のSRSを符号直交化できない。SRSの直交性が崩れると、基地局は、それらのSRSを用いて上り品質を正しく測定できない。よって、LTEのSRSは、複数の端末間で送信帯域を完全に一致(送信帯域幅と送信帯域位置とを一致)させる制約があり、周波数スケジューリングの自由度が低くなる。
【0017】
一方、NRは、LTEと比較して、様々な機能・能力(capability)を有する端末をサポートする必要がある。各端末の最適なSRS送信帯域幅は、各端末がサポートする送信帯域幅、送信電力又はアンテナ構成等に依存して決まる。このため、NRでは、様々なSRS送信帯域幅をサポートすることが重要である。よって、NRでは、LTEと比較して、SRSの周波数スケジューリングの自由度がより求められる。
【0018】
NRのMulti-PB SRSは、
図2に示すように、1つのpartial bandのサイズに対応する系列長を有する系列(例えばZC系列)を1つ又は複数個用いて生成される。ここで、partial bandとは、複数の端末間で共通の、SRSの最小送信周波数単位である。なお、partial bandは、「sub-band」又は「minimum partial band」と呼ばれることもある。
【0019】
また、
図2に示すように、基地局が広帯域の上り品質を短時間で推定できるように、Multi-PB SRSを非連続帯域で送信することも検討されている。
【0020】
ここで、Multi-PB SRSでは、送信帯域が一致しない複数の端末のSRSを、異なるCSを用いることにより、partial band単位で符号直交化することができる。このため、複数の端末間で共通のpartial bandを用いて、各端末がMulti-PB SRSをそれぞれ生成することで、基地局は、各端末のSRS送信帯域幅又は送信帯域位置を自由に設定できる。このように、Multi-PB SRSは、LTEのSRSと比較して、周波数スケジューリングの自由度が高い利点がある。
【0021】
しかし、上述したように、Multi-PB SRSは、LTEのSRS(Single-PB SRS)と比較してCM/PAPRが高くなる。
図3は、Multi-PB SRS及びSingle-PB SRSのCM特性の一例を示す。
図3に示すように、Multi-PB SRSのCMは、Single-PB SRSのCMと比較して約2~3dB高い。
【0022】
端末は、送信機のパワーアンプを線形領域で動作させるため、最大送信電力をCM/PAPRに応じて削減する必要がある。よって、SRSのCM/PAPRが高いほど、端末の送信可能な最大送信電力が低下する。このため、Multi-PB SRSを用いる場合、基地局から要求(指示)された送信電力で送信できない端末(以下、「Power limited端末」と呼ぶ)が発生する可能性ある。
【0023】
また、端末のCM/PAPRに応じた最大送信電力の削減量は、端末の送信機の実装に依存する。このため、基地局は、Power limited端末の実際の最大送信電力(送信可能な最大送信電力)を把握することができない。よって、基地局は、Power limited端末が送信するMulti-PB SRSを用いて、上り品質を精度良く推定できない可能性がある。
【0024】
そこで、以下では、Power limited端末が送信するMulti-PB SRSを用いて、基地局が上り品質を精度良く推定する方法について説明する。
【0025】
(実施の形態1)
[通信システムの概要]
本開示の各実施の形態に係る通信システムは、端末100及び基地局200を備える。
【0026】
端末100はMulti-PB SRSを送信し、基地局200はMulti-PB SRSを受信する。なお、上述したように、Multi-PB SRSは、1つのpartial bandのサイズに対応する系列長を有する系列を1つ又は複数個用いて生成される。つまり、端末100は、1つのpartial band(部分帯域)より広い送信帯域幅のSRSを送信する場合、複数の系列を用いてMulti-PB SRSを生成し、複数のPartial bandでMulti-PB SRSを送信する。
【0027】
図4は本開示の実施の形態に係る端末100の一部の構成を示すブロック図である。
図4に示す端末100において、SRSドロップ制御部105は、Partial bandに対応する系列長を有する系列を複数個用いて生成されるMulti-PB SRSの送信電力が閾値(最大送信電力)を超える場合、複数のPartial bandのうち一部のPartial bandをドロップする。無線送信部107は、複数のPartial bandのうち上記ドロップされる一部のPartial band以外の残りのPartial bandでMulti-PB SRSを送信する。
【0028】
[端末の構成]
図5は、本実施の形態に係る端末100の構成を示すブロック図である。
図5において、端末100は、アンテナ101と、無線受信部102と、復調・復号部103と、SRS生成部104と、SRSドロップ制御部105と、SRS帯域設定部106と、無線送信部107と、を有する。
【0029】
無線受信部102は、アンテナ101を介して受信した受信信号に対して、ダウンコンバート、A/D変換等の受信処理を施し、受信信号を復調・復号部103へ出力する。
【0030】
復調・復号部103は、無線受信部102から入力される受信信号に対して復調及び復号を行い、復号結果から、基地局200から送信されたSRSリソース情報を抽出する。復調・復号部103は、SRSリソース情報をSRS生成部104、SRSドロップ制御部105及びSRS帯域設定部106へ出力する。
【0031】
SRSリソース情報には、例えば、端末100がSRSを送信する、周波数リソース情報(例えば、システム帯域内のPartial band番号)、Partial bandサイズ(SRS用系列の系列長に相当)、符号系列の系列情報(例えば、系列番号、CS番号)等が含まれる。なお、全てのSRSリソース情報が端末100に対して同時に通知される必要はない。例えば、SRSリソース情報の一部の情報はセル共通情報として、又は、準静的な通知情報として端末100に予め通知されてもよい。また、SRSリソース情報の一部の情報は、スペックで規定されたシステム共通情報とし、端末100に通知されなくてもよい。
【0032】
SRS生成部104は、SRSリソース情報に含まれるPartial bandサイズに対応する系列長の符号系列(例えば、ZC系列)を生成する。また、SRS生成部104は、SRSリソース情報に含まれるCS番号に基づいて、生成した符号系列に対して巡回シフトを付与する。SRS生成部104は、巡回シフト後の符号系列をSRSとして、SRS帯域設定部106に出力する。
【0033】
SRSドロップ制御部105は、SRSを含む信号を送信するために必要な送信電力が不足する場合(自機がPower limited端末であると判定した場合)、SRSリソース情報に含まれるMulti-PB SRSの送信に使用される複数のPartial bandのうち、非送信(ドロップ)とする一部のPartial band(例えば、Partial band番号)を決定する。SRSドロップ制御部105は、ドロップするPartial bandを示す情報(Partial band番号)をSRS帯域設定部106へ出力する。なお、SRSドロップ制御部105は、ドロップするPartial bandを除いた残りのSRSの周波数リソース情報(Partial band番号)をSRS帯域設定部106へ出力してもよい。
【0034】
なお、Power limited端末がドロップするPartial bandを決定するルール(以下、「ドロップルール」と呼ぶこともある)は、システムで規定されてもよく、基地局200から端末100へ通知されてもよく、端末100と基地局200との間で共有されている。
【0035】
また、SRSドロップ制御部105は、SRSの送信電力を算出し、無線送信部107へ出力する。SRSドロップ制御部105は、一部のPartial bandのドロップを適用する場合、ドロップ後(つまり、送信帯域幅低減後)のSRSの送信電力を算出し、無線送信部107へ出力する。
【0036】
なお、SRSドロップ制御部105における、Power limited端末の判定方法、及び、ドロップするPartial bandの決定方法の詳細については後述する。
【0037】
SRS帯域設定部106は、SRSリソース情報に含まれるSRSの周波数リソース情報(Partial band番号)に対応するPartial bandから、SRSドロップ制御部105から入力される情報に示されるドロップするPartial bandを除いた残りのPartial bandに、SRS生成部104から入力されるSRSをマッピングし、マッピング後の信号を無線送信部107へ出力する。
【0038】
無線送信部107は、SRS帯域設定部106から入力される信号に対してD/A変換、アップコンバートを施す。また、無線送信部107は、SRSドロップ制御部105から入力されるSRS送信電力となるように増幅処理を施す。無線送信部107は、無線送信処理によって得られた無線信号をアンテナ101から基地局200へ送信する。
【0039】
[基地局の構成]
図6は、本実施の形態に係る基地局200の構成を示すブロック図である。
図6において、基地局200は、SRSリソース情報生成部201と、変調・符号化部202と、無線送信部203と、アンテナ204と、無線受信部205と、復調部206と、SRSドロップ制御部207と、品質測定部208と、スケジューリング部209と、を有する。
【0040】
SRSリソース情報生成部201は、後述するスケジューリング部209からの指示に基づいて、SRSリソース情報(上述した端末100が受信したSRSリソース情報)を端末100に通知するための制御信号を生成し、変調・符号化部202及び品質推定部208へ出力する。
【0041】
なお、前述したように、基地局200は、全てのSRSリソース情報を端末100へ同時に通知する必要はない。Partial bandサイズ等の複数の端末100で共通の情報の一部は、セル固有の情報として基地局200が収容する複数の端末100に通知してもよい。また、SRSリソース情報は、DCI(Downlink Control Information)、MAC(Medium Access Control)、RRC(Radio Resource Control)の何れかの情報、又は、これらを複数組み合わせて通知されてもよい。
【0042】
変調・符号化部202は、SRSリソース情報生成部201から入力される制御信号を変調及び符号化し、符号化後の信号を無線送信部203へ出力する。
【0043】
無線送信部203は、変調・符号化部202から入力される信号に対してD/A変換、アップコンバート、増幅等の送信処理を施し、送信処理により得られた無線信号をアンテナ204から端末100へ送信する。
【0044】
無線受信部205は、アンテナ204を介して受信した端末100からの信号に対してダウンコンバート、A/D変換等の受信処理を施し、受信信号を復調部206へ出力する。
【0045】
復調部206は、無線受信部205から入力される受信信号を復調し、復調信号を品質推定部208へ出力する。
【0046】
SRSドロップ制御部207は、Power limited端末がドロップする可能性のあるPartial band番号を決定し、品質推定部208へ出力する。なお、Power limited端末が、ドロップするPartial bandを決定するルール(ドロップルール)は、システムで規定されてもよく、基地局200から端末100へ通知されてもよく、端末100と基地局200との間で共有されている。
【0047】
品質推定部208は、SRSリソース情報生成部201から入力される制御信号(端末100に通知したSRSリソース情報)に基づいて、復調部206から入力される復調信号から、SRS受信信号を抽出する。
【0048】
また、品質推定部208は、SRSドロップ制御部207から入力される、Power limited端末がドロップする可能性のあるPartial band番号に基づいて、SRS受信信号を構成する各Partial bandがドロップされたか否か(当該Partial bandでSRSが送信されたか否か)を判定する。例えば、品質推定部208は、ドロップが適用されるPartial bandの平均受信電力が所定閾値以下(雑音レベル相当)の場合、SRS受信信号を送信した端末100がPower limited端末であり、当該Partial bandが実際にドロップされていると判断する。また、品質推定部208は、ドロップが適用されるPartial bandの平均受信電力が所定閾値より大きい場合、SRS受信信号を送信した端末100がPower limited端末ではなく、当該Partial bandがドロップされていない(つまり、SRSが送信されている)と判断する。
【0049】
品質推定部208は、SRS生成に用いる符号系列から生成したレプリカ信号と、受信SRS信号との相関演算結果から、各Partial bandの品質推定値を算出する。ここで、品質推定部208は、ドロップが適用されたと判断したPartial bandの品質推定値を無効とする。つまり、品質推定部208は、ドロップが適用されたと判断したPartial band以外の有効なPartial bandの品質推定値を、スケジューリング部209へ出力する。
【0050】
スケジューリング部209は、品質推定部208から入力される品質推定結果に基づいてデータのスケジューリング(MCS(Modulation and Coding Scheme)設定、周波数リソース割当、送信電力制御等)を行う。また、スケジューリング部209は、データの割当周波数を考慮して、各端末100のSRSリソース情報を決定し、SRSリソース情報生成部201に出力する。
【0051】
[端末100及び基地局200の動作]
以上の構成を有する端末100及び基地局200における動作について詳細に説明する。
【0052】
図7は端末100(
図5)の動作を示すフローチャートであり、
図8は基地局200(
図6)の動作を示すフローチャートである。
【0053】
端末100は、SRSを送信する際、自機がPower limited端末であるか否かを判定する(ST101)。端末100がPower limited端末である場合(ST101:Yes)、端末100は、SRSリソース情報に示される複数のPartial bandのうち、ドロップする一部のPartial band(又は、SRSを送信するPartial band)を決定する(ST102)。
【0054】
このように、端末100(SRSドロップ制御部105)は、SRSの送信電力が閾値(最大送信電力)を超える場合、複数のPartial bandのうち一部のPartial bandをドロップする。
【0055】
そして、端末100は、SRSの送信電力を設定する(ST103)。この際、端末100がPower limited端末である場合(ST101:Yes)、端末100は、ST102で決定したドロップするPartial bandを除く残りのPartial bandで送信されるSRSの送信電力を設定する。一方、端末100がPower limited端末ではない場合(ST101:No)、端末100は、SRSリソース情報に示されるPartial bandで送信されるSRSの送信電力を設定する。
【0056】
そして、端末100は、ST103で設定された送信電力でSRSを送信する(ST104)。このように、一部のPartial bandのドロップが適用される場合、端末100(無線送信部107)は、Multi-PB SRSに設定された複数のPartial bandのうち、ドロップされる一部のPartial band以外の残りのPartial bandでMulti-PB SRSを送信する。
【0057】
一方、基地局200は、端末100から送信されるSRSを受信する(ST201)。また、基地局200は、SRSリソース情報に示される複数のPartial bandのうち、端末100においてドロップされる可能性のあるPartial band(SRSが送信されていない可能性のあるPartial band)を決定する(ST202)。そして、基地局200は、受信したSRSを用いて上り品質を推定する(ST203)。この際、基地局200は、ST202で決定したPartial bandが実際にドロップされているか否かを判定する。そして、基地局200は、ドロップされたPartial bandの品質推定値を無効とし、ドロップされたPartial band以外の残りのPartial bandの品質推定値を有効とする。
【0058】
[Power limited端末の判定方法]
次に、端末100(SRSドロップ制御部105)において、端末100がPower limited端末であるか否かを判定する方法(
図7のST101の処理)について詳細に説明する。
【0059】
端末100が1つの基地局200(接続セルcと呼ぶ)に対してSRSを送信する場合、接続セルcあたりの送信信号に要求される送信電力(Preq,c)は、以下のように、SRSの要求される送信電力(Preq_SRS, c)と等しい。
Preq, c = Preq_SRS, c 式(1)
【0060】
式(1)のPreq_SRS, cは、基地局200(接続セルc)から通知されるパラメータと、SRS帯域幅とから算出される値であり、例えば、以下の式(2)で算出される。
Preq_SRS, c = Poffset, c + 10log10Mc+ Po, c +αcPLC + fc 式(2)
【0061】
ここで、McはSRSの送信帯域幅(割当RB(Resource Block)数)であり、Po, cはデータチャネルの送信電力ターゲットを示すパラメータ値[dBm]であり、Poffset, cはPo, cに対するオフセット値[dB]であり、PLCはパスロスレベル[dB]であり、αcはパスロスの補償割合を示す重み係数であり、fcはクローズドループ制御される送信電力制御値(例えば、+3dBや-1dBなどの相対値)であり、過去の送信電力制御値を含めた加算結果である。
【0062】
式(2)において、Poffset, c、Mc、Po, c、αc、 fcは、基地局200から端末100へ指示されるパラメータである。これらのパラメータの一部は、SRSリソース情報に含まれてもよい。また、式(2)において、PLCは端末100で測定(図示せず)されるパラメータである。
【0063】
次に、基地局200(接続セルc)あたりの端末100の送信可能な最大送信電力(PCMAX,c)は、例えば、以下のように算出される。
PCMAX,c = PPowerClass- MPRc 式(3)
【0064】
ここで、PPowerClassは、端末100の公称の最大送信電力(例えば、LTEの場合23dBm)であり、MPRcは送信信号のCM/PAPRに応じた最大送信電力の低減量(Maximum Power Reduction)である。
【0065】
MPRcの最大許容値は基地局200から端末100へ通知されるが、MPRcの実際の値は端末100の実装に依存する。このため、基地局200は、MPRcの実際の値を把握できない。つまり、基地局200は、式(3)に示すMPRcを考慮した端末200の最大送信電力PCMAX,cを把握できない。なお、最大送信電力の低減量として、送信帯域の位置等に依存して、帯域外干渉レベルを抑えるための最大送信電力低減が更に加わる場合もある。
【0066】
ここで、次式(4)に示す条件、つまり、端末100の送信可能な最大送信電力(PCMAX,c)が接続セルcあたりの送信信号に要求される送信電力(Preq,c)未満の場合、端末100は基地局200の要求通りの送信電力で送信信号を送信できなくなり、送信電力不足となる。
PCMAX,c < Preq,c 式(4)
【0067】
そこで、端末100のSRSドロップ制御部105は、式(1)~式(3)に示す送信電力計算において、式(4)の条件を満たす端末100をPower limited端末であると判定する。
【0068】
なお、以下の式(5)で定義されるPCMAX,cとPreq,cとの差分は、Power headroom(PHR)と呼ばれる。
PHR = PCMAX,c - Preq,c 式(5)
【0069】
よって、端末100のSRSドロップ制御部105は、式(1)~式(3)に示す送信電力計算において、式(5)に示すPHRが負の値となる端末100をPower limited端末であると判定してもよい。
【0070】
また、端末100が同一タイミング(例えば、同一Slot又は同一Subframe)で複数のセル、又は、複数のCCに対してSRSを含む送信信号を送信する場合、SRSドロップ制御部105は、複数のセル又は複数のCCの全て(又は一部)において要求される送信電力(Preq,c)に基づいて、端末100がPower limited端末であるか否かを判定してもよい。具体的には、SRSドロップ制御部105は、各接続セルcで要求される送信電力(Preq,c)のトータルの送信電力(ΣPreq,c)と、端末100のトータルの送信可能な最大送信電力(PCMAX)とに基づいて、以下の条件を満たす場合に、端末100がPower limited端末である判定する。
PCMAX < ΣPreq,c 式(6)
【0071】
[ドロップするPartial bandの決定方法]
次に、端末100(SRSドロップ制御部105)において、端末100がPower limited端末である場合にドロップするPartial bandを決定する方法(
図7のST102の処理)について詳細に説明する。
【0072】
以下、ドロップするPartial bandを決定する具体例1,2について説明する。
【0073】
<具体例1>
具体例1では、SRSドロップ制御部105は、不連続なPartial bandをドロップする。例えば、SRSドロップ制御部105は、SRSの送信に指示された複数のPartial bandの中から、不連続なPartial bandを均等に選択し、選択したPartial bandをドロップする。
【0074】
図9、
図10、
図11は、具体例1におけるドロップするPartial bandの一例を示す。
【0075】
図9及び
図10では、システム帯域内で定義されたPartial band毎にPartial band番号(
図9では#0~#6)が付加されている。また、
図9及び
図10では、SRS送信帯域は、Partial band番号#0~#5の6個のPartial bandである。
【0076】
例えば、
図9に示すように、SRSドロップ制御部105は、偶数番号のPartial band#0,#2,#4をドロップする。すなわち、端末100は、Partial band#1,#3,#5でSRSを送信する。なお、
図9では、偶数番号のPartial bandをドロップする場合について示しているが、奇数番号のPartial bandをドロップしてもよい。
【0077】
または、
図10に示すように、SRSドロップ制御部105は、規定された一定数(
図10では3つ)毎のPartial bandをドロップする。すなわち、
図10では、端末100は、Partial band#0,#3をドロップし、残りのPartial band#1,#2,#4,#5でSRSを送信する。なお、Partial bandをドロップする間隔は3つに限定されず、他の値でもよい。また、ドロップするPartial bandの開始位置は、Partial band#0(SRS送信帯域の端)に限らず、SRSドロップ制御部105は、他の位置のPartial bandから一定数毎にPartial bandをドロップしてもよい。
【0078】
図9及び
図10の例では、システム帯域内で定義された物理的なPartial band番号に基づいてドロップされるPartial bandを決定するドロップルールについて説明した。しかし、ドロップルールは、端末100のSRS送信帯域内で定義された論理的なPartial band番号に基づいてもよい。
図11は、SRSの送信帯域内で定義された論理的なPartial band番号に基づくドロップルールの一例を示す。
図11では、SRS送信帯域を構成する4つのPartial bandに対して論理的なPartial band番号#0~#3がそれぞれ付加されている。
図11では、SRSドロップ制御部105は、論理的なPartial band番号のうち偶数番目のPartial band#0,#2をドロップする。なお、
図11において、奇数番目のPartial bandがドロップされてもよい。
【0079】
このように、端末100(Power limited端末)が非連続なPartial bandをドロップすることで、SRSパラメータ情報に示される複数のPartial band(周波数領域)においてPartial bandを均一にドロップすることができる。これにより、基地局200において上り品質を推定できる周波数帯域が狭くなることを抑えることができ、周波数スケジューリング性能が向上する。
【0080】
<具体例2>
具体例2では、SRSドロップ制御部105は、連続するPartial bandをドロップする。例えば、SRSドロップ制御部105は、端末100に割り当てられたSRS送信帯域内の周波数が低い(又は周波数が高い)Partial bandから順に、規定された数のPartial bandをドロップする。
【0081】
図12は、具体例2におけるドロップするPartial bandの一例を示す。
【0082】
図12では、一例として、システム帯域内で定義されたPartial bandのうち、SRS送信帯域内で定義された論理的なPartial band番号#0~#5が付加されている。
【0083】
図12に示すように、SRSドロップ制御部105は、SRS送信帯域内のPartial band#0~#5のうち、周波数が低いPartial band#0から順に、規定された数(
図12では3個)の連続するPartial bandをドロップする。
【0084】
このように、SRS送信帯域内の連続する一部のPartial bandをドロップすることにより、SRS送信帯域幅(Mc)が狭くなる。SRS送信帯域幅(Mc)が狭くなると、式(2)に従ってSRSの要求される送信電力(Preq_SRS)が小さくなるので、式(4)の条件を満たさなくなり、端末100がPower limited端末でなくなる可能性がある。
【0085】
よって、具体例2では、上述したようなドロップするPartial band数は固定値ではなく、SRSドロップ制御部105は、端末100がPower limited端末でなくなるまで、連続するPartial bandを順にドロップしてもよい。これにより、ドロップされるPartial band数の増加を抑え、基地局200での上り品質の推定精度を向上させることができる。
【0086】
以上、ドロップするPartial bandを決定する具体例1,2について説明した。
【0087】
以上説明したように、本実施の形態では、端末100は、自機がPower limited端末であると判断した場合、Multi-PB SRSの送信帯域の一部のPartial bandをドロップ(非送信)し、残りのPartial bandでMulti-PB SRSを送信する。
【0088】
SRS送信帯域内の一部のPartial bandをドロップすることにより、SRSの送信帯域幅が狭くなり、SRSの送信に必要な送信電力(つまり、Preq,c)が低下する(例えば、式(2)を参照)。また、同時送信されるPartial band数が少ないほどCM/PAPRは小さくなる特性があるので、MPRcが低下し、端末100の送信可能な最大送信電力(PCMAX,c)が増加する(例えば、式(3)を参照)。すなわち、SRS送信帯域内の一部のPartial bandをドロップすることにより、端末100の送信可能な最大送信電力(PCMAX,c)が増加し、SRSの送信に必要な送信電力(Preq,c)が低下するので、端末100では、残りのPartial bandで送信されるSRSに対して、式(4)に示す条件を満たさなくなる可能性、つまり、基地局200の要求通りの送信電力で送信信号を送信できる可能性が高くなる。よって、Power limited端末は、ドロップされなかった残りのPartial bandを用いて、基地局200の要求通りの送信電力、又は、基地局200の要求する送信電力に近い電力でSRSを送信することができる。
【0089】
また、Multi-PB SRSは、Partial band毎に異なるCS番号を用いた複数の端末100のSRSを直交化できる特徴を有する。このため、例えば、
図13に示すように、各端末100(UE#1、UE#2)で一部のPartial bandがドロップされても、各端末100から送信された残りのPartial bandでは符号系列(例えば、Seq#b)による直交性を維持することができる。
【0090】
これにより、基地局200は、Power limited端末から、ドロップされた一部のPartial band以外の残りのPartial bandで送信されたMulti-PB SRSを用いて、当該残りのPartial bandの上り品質を精度良く推定することができる。
【0091】
よって、本実施の形態によれば、Multi-PB SRSを用いる場合でも、上り品質を精度良く推定することができる。
【0092】
なお、具体例1では、非連続なPartial bandをドロップする方法として、偶数番号(又は奇数番号)のPartial bandをドロップする方法及び一定数毎のPartial bandをドロップする方法について説明したが、これに限定されない。例えば、具体例2で説明した方法と同様にして、SRSドロップ制御部105は、偶数番号(又は奇数番号)のPartial band、又は、一定数毎のPartial bandのうち、端末100がPower limited端末でなくなる個数のPartial bandをドロップしてもよい。これにより、ドロップされるPartial band数の増加を抑え、基地局200での上り品質の推定精度を向上させることができる。
【0093】
(実施の形態2)
本実施の形態では、端末固有パラメータ情報を用いて、Multi-PB SRSのドロップルールが決定される場合について説明する。
【0094】
[端末の構成]
図14は、本実施の形態に係る端末300の構成を示すブロック図である。なお、
図14において、実施の形態1(
図5)と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。具体的には、
図14に示す端末300は、
図5に示す端末100と比較して、端末情報設定部301が追加されている。
【0095】
端末情報設定部301は、端末固有パラメータ情報を設定し、SRSドロップ制御部302へ出力する。ここで、端末固有パラメータ情報とは、例えば、端末ID又はCS番号等である。なお、端末固有パラメータ情報は、端末ID及びCS番号に限定されず、各端末300を識別できる端末固有の情報であればよい。
【0096】
SRSドロップ制御部302は、端末情報設定部301から入力される端末固有パラメータ情報に基づいて、ドロップするPartial bandを決定し、決定したPartial bandを示す情報(例えば、Partial band番号)をSRS帯域設定部106へ出力する。
【0097】
[基地局の構成]
図15は、本実施の形態に係る基地局400の構成を示すブロック図である。なお、
図15において、実施の形態1(
図6)と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。具体的には、
図15に示す基地局400は、
図6に示す基地局200と比較して、端末情報設定部401が追加されている。
【0098】
端末情報設定部401は、端末300が備える端末情報設定部301と同様、各端末300の端末固有パラメータ情報(例えば、端末ID又はCS番号等)を設定し、SRSドロップ制御部402へ出力する。
【0099】
SRSドロップ制御部402は、端末情報設定部401から入力される端末固有パラメータ情報に基づいて、ドロップする可能性のあるPartial band(Partial band番号)を決定し、決定したPartial band番号を品質推定部208へ出力する。
【0100】
[ドロップするPartial bandの決定方法]
次に、端末300(SRSドロップ制御部302)において、端末300がPower limited端末である場合にドロップするPartial bandを決定する方法(ドロップルール)について詳細に説明する。
【0101】
<具体例3>
具体例3では、SRSドロップ制御部302は、端末固有パラメータ情報の一例として、端末ID(UE ID)に基づいてドロップするPartial bandを決定する。
【0102】
図16は、具体例3におけるドロップするPartial bandの一例を示す。
図16では、システム帯域内で定義されたPartial band毎にPartial band番号(
図16では#0~#6)が付加されている。また、
図16では、SRS送信帯域は、Partial band番号#0~#5の6個のPartial bandである。
【0103】
図16では、端末IDが奇数の場合(
図16ではUE#3)、SRSドロップ制御部302は、奇数番号のPartial band#1,#3,#5をドロップする。すなわち、UE#3は、Partial band#0,#2,#4でSRSを送信する。一方、
図16では、端末IDが偶数の場合(
図16ではUE#2)、SRSドロップ制御部302は、偶数番号のPartial band#0,#2,#4をドロップする。すなわち、UE#2は、Partial band#1,#3,#5でSRSを送信する。
【0104】
なお、SRSドロップ制御部302は、端末IDが偶数の場合に奇数番号のPartial bandをドロップし、端末IDが奇数の場合に偶数番号のPartial bandをドロップしてもよい。
【0105】
このように、端末300においてドロップされる一部のPartial bandは、端末300の端末ID(端末固有パラメータ情報)に対応付けられている。これにより、
図16に示すように、偶数の端末IDを有する端末300と奇数の端末IDを有する端末300とでは、ドロップするPartial bandが互いに異なる。すなわち、ドロップされるPartial bandを端末IDと対応付けることにより、複数の端末300間でドロップする帯域をランダム化させる効果が期待できる。
【0106】
なお、端末固有パラメータ情報は、端末IDに限定されず、端末300が送信するSRSに設定されるCS番号を用いてもよい。CS番号は、SRSを多重する複数の端末300に対してそれぞれ異なる番号が設定される。よって、ドロップされる一部のPartial bandがCS番号に対応付けられることで、端末IDを用いる場合と同様に、SRSを多重する複数の端末300間でドロップする帯域をランダム化させる効果が期待できる。
【0107】
また、
図16に示す物理的なPartial band番号ではなく、
図12のように論理的なPartial band番号を用いてもよい。また、ドロップするPartial bandは、
図16に示すような非連続なPartial bandに限定されず、例えば、
図12に示すような連続するPartial bandでもよい。
【0108】
以上より、本実施の形態では、実施の形態1と同様、SRS送信帯域内の一部のPartial bandをドロップすることにより、端末300の送信可能な最大送信電力(PCMAX,c)が増加し、SRSの送信に必要な送信電力(Preq,c)が低下し、残りのPartial bandで送信されるSRSに対して、基地局400の要求通りの送信電力で送信信号を送信できる可能性が高くなる。よって、Power limited端末は、ドロップされなかった残りのPartial bandを用いて、基地局400の要求通りの送信電力、又は、基地局400の要求する送信電力に近い電力でSRSを送信することができる。これにより、基地局400は、Power limited端末から、ドロップされた一部のPartial band以外の残りのPartial bandで送信されたMulti-PB SRSを用いて、当該残りのPartial bandの上り品質を精度良く推定することができる。
【0109】
また、本実施の形態によれば、Multi-PB SRSのドロップルールは、端末固有パラメータ情報に基づいて決定される。これにより、Power limited端末がドロップするPartial bandを、セル内の複数の端末300間でランダム化(均一化)させることができる。よって、SRSの他セルへの干渉をランダム化できる。また、各端末300が端末固有パラメータ情報に基づいて異なるPartial bandでSRSを送信することにより、基地局400では、セル内で上り品質を推定できるPartial bandが増加し、周波数スケジューリング性能が向上する。
【0110】
(実施の形態3)
本実施の形態では、SRSに関する時間情報(タイミング情報)を用いて、Multi-PB SRSのドロップルールが決定される場合について説明する。
【0111】
[端末の構成]
図17は、本実施の形態に係る端末500の構成を示すブロック図である。なお、
図17において、実施の形態1(
図5)と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。具体的には、
図17に示す端末500は、
図5に示す端末100と比較して、タイミング設定部501が追加されている。
【0112】
タイミング設定部501は、SRSの送信タイミング情報を設定し、SRSドロップ制御部502へ出力する。ここで、SRSの送信タイミング情報とは、例えば、SRSが送信されるSlot番号(又はSubframe番号)、又は、SRSの送信回数番号等である。なお、SRSの送信タイミング情報は、Slot番号(Subframe番号)及び送信回数に限定されず、各端末500のSRS送信タイミングを特定できるパラメータであればよい。
【0113】
SRSドロップ制御部502は、タイミング設定部501から入力される送信タイミング情報に基づいて、ドロップするPartial bandを決定し、決定したPartial bandを示す情報(例えば、Partial band番号)をSRS帯域設定部106へ出力する。
【0114】
[基地局の構成]
図18は、本実施の形態に係る基地局600の構成を示すブロック図である。なお、
図18において、実施の形態1(
図6)と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。具体的には、
図18に示す基地局600は、
図6に示す基地局200と比較して、タイミング設定部601が追加されている。
【0115】
タイミング設定部601は、端末500が備えるタイミング設定部501と同様、各端末500が送信するSRSの送信タイミング情報(例えば、Slot番号(又はSubframe番号)、又は、SRSの送信回数番号等)を設定し、SRSドロップ制御部602へ出力する。
【0116】
SRSドロップ制御部602は、タイミング設定部601から入力される送信タイミング情報に基づいて、ドロップする可能性のあるPartial band(Partial band番号)を決定し、決定したPartial band番号を品質推定部208へ出力する。
【0117】
[ドロップするPartial bandの決定方法]
次に、端末500(SRSドロップ制御部502)において、端末500がPower limited端末である場合にドロップするPartial bandを決定する方法(ドロップルール)について詳細に説明する。
【0118】
<具体例4>
具体例4では、SRSドロップ制御部502は、送信タイミング情報の一例として、SRSの送信回数に基づいてドロップするPartial bandを決定する。
【0119】
図19及び
図20は、具体例4におけるドロップするPartial bandの一例を示す。
図19は、SRS送信帯域が時間的に変動する場合(周波数ホッピング有り)を示し、
図20は、SRS送信帯域が時間的に固定された場合(周波数ホッピング無し)を示す。なお、
図19及び
図20では、各スロットのSRS送信帯域において論理的なPartial band番号が付されている。
【0120】
図19では、端末500は、nスロット毎にMulti-PB SRSを送信し、複数のスロットに渡ってSounding帯域(システム帯域内のSRSの全送信帯域)全体でSRSを送信する。
図19では、Sounding帯域でSRSが送信されるには、端末500は2回のSRS送信を行う必要がある。
【0121】
この場合、SRSドロップ制御部502は、Sounding帯域全体にSRSを送信するために必要な送信回数分のSRSを送信する度に、ドロップするPartial band(Partial band番号)を切り替える。例えば、
図19では、SRSドロップ制御部502は、最初の2回のSRS送信(Slot#0,#n)では、奇数番号のPartial band#1をドロップし、次の2回のSRS送信(Slot#2n、#3n)では、偶数番号のPartial band#0をドロップする。更に次の2回のSRS送信以降についても同様である。
【0122】
次に、
図20では、端末500は、nスロット毎にSRSを送信する。
【0123】
この場合、
図20に示すように、SRSドロップ制御部502は、最初のSRS送信(Slot#0)では、奇数番号のPartial band#1,#3をドロップし、次のSRS送信(Slot#n)では、偶数番号のPartial band#0,#2をドロップする。更に次のSRS送信以降についても同様である。
【0124】
以上より、本実施の形態では、実施の形態1と同様、SRS送信帯域内の一部のPartial bandをドロップすることにより、端末500の送信可能な最大送信電力(PCMAX,c)が増加し、SRSの送信に必要な送信電力(Preq,c)が低下し、残りのPartial bandで送信されるSRSに対して、基地局600の要求通りの送信電力で送信信号を送信できる可能性が高くなる。よって、Power limited端末は、ドロップされなかった残りのPartial bandを用いて、基地局600の要求通りの送信電力、又は、基地局600の要求する送信電力に近い電力でSRSを送信することができる。これにより、基地局600は、Power limited端末から、ドロップされた一部のPartial band以外の残りのPartial bandで送信されたMulti-PB SRSを用いて、当該残りのPartial bandの上り品質を精度良く推定することができる。
【0125】
また、本実施の形態によれば、Multi-PB SRSのドロップルールは、端末500によるSRSの送信タイミング情報(時間情報)に基づいて決定される。すなわち、端末500においてドロップされる一部のPartial bandは、端末500がSRSを送信するタイミング(送信タイミング情報)に対応付けられている。
【0126】
これにより、端末500は、各スロットでは、
図19又は
図20に示すSRS送信帯域内の一部のPartial bandをドロップしつつ、複数のスロットに渡ってSRS送信帯域全体でSRSを送信することができるので、基地局600の周波数スケジューリング性能を向上させることができる。また、Power limited端末がドロップするPartial bandを、SRSが送信される複数のスロットにおいてランダム化(均一化)させることができる。
【0127】
(実施の形態4)
本実施の形態では、SRSパラメータ情報を用いて、Multi-PB SRSのドロップルールが決定される場合について説明する。
【0128】
[端末の構成]
図21は、本実施の形態に係る端末700の構成を示すブロック図である。なお、
図21において、実施の形態1(
図5)と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。具体的には、
図21に示す端末700は、
図5に示す端末100と比較して、SRSパラメータ情報設定部701が追加されている。
【0129】
SRSパラメータ情報設定部701は、複数のSRSパラメータ情報を設定し、SRSドロップ制御部702へ出力する。
【0130】
ここで、SRSパラメータ情報とは、SRSのホッピングパターン(送信時間リソース毎の周波数リソース情報)が含まれる設定情報である。SRSパラメータ情報は、例えば、DCI、MAC、RRCのいずれか、又はこれらを組み合わせた情報として後述する基地局800から通知されるSRS configuration 情報である。また、SRSパラメータ情報は、SRS送信帯域を構成する、各々が連続するPartial bandで構成される帯域毎に設定される。すなわち、1つの端末700が非連続帯域でMulti-PB SRSを送信する場合、基地局800は、非連続な複数の帯域にそれぞれ対応する複数のSRSパラメータ情報を当該1つの端末700へ通知する。
【0131】
SRSドロップ制御部702は、SRSパラメータ情報設定部701から入力されるSRSパラメータ情報に基づいて、ドロップするPartial bandを決定し、決定したPartial bandを示す情報(例えば、Partial band番号)をSRS帯域設定部106へ出力する。
【0132】
[基地局の構成]
図22は、本実施の形態に係る基地局800の構成を示すブロック図である。なお、
図22において、実施の形態1(
図6)と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。具体的には、
図22に示す基地局800は、
図6に示す基地局200と比較して、SRSパラメータ情報設定部801が追加されている。
【0133】
SRSパラメータ情報設定部801は、端末700が備えるSRSパラメータ情報設定部701と同様、各端末700のSRSパラメータ情報(例えば、SRS configuration情報)をSRSドロップ制御部802へ出力する。
【0134】
SRSドロップ制御部802は、SRSパラメータ情報設定部801から入力されるSRSパラメータ情報に基づいて、ドロップする可能性のあるPartial band(Partial band番号)を決定し、決定したPartial band番号を品質推定部208へ出力する。
【0135】
[ドロップするPartial bandの決定方法]
次に、端末700(SRSドロップ制御部702)において、端末700がPower limited端末である場合にドロップするPartial bandを決定する方法(ドロップルール)について詳細に説明する。
【0136】
<具体例5>
具体例5では、SRSドロップ制御部702は、SRSパラメータ情報に基づいてドロップするPartial bandを決定する。
【0137】
端末700には、SRS送信帯域を構成する連続帯域毎の周波数ホッピングパターン(つまり、SRSが割り当てられるPartial band)を示す複数のSRSパラメータ情報が設定されている。例えば、
図23では、2つの連続帯域で構成されるSRS送信帯域が設定された端末700に対して、2つのSRSパラメータ情報(SRS config#1及びSRS config#2)が設定されている。端末700は、SRS config#1及びSRS config#2を用いて、各スロットにおいて非連続帯域(2つの連続帯域)でSRSを送信する。また、端末700は、SRS config#1及びSRS config#2を用いて、nスロット毎に周波数ホッピングさせた帯域でSRSを送信する。
【0138】
このように1つの端末700に複数の周波数ホッピングパターンが設定される場合、端末700は、自機がPower limited端末と判定した場合、一部のSRSパラメータ情報に示される周波数ホッピングパターンに対応するPartial bandをドロップする。
【0139】
図24は、具体例5におけるドロップするPartial bandの一例を示す。
【0140】
図24では、SRSドロップ制御部702は、端末700に設定されたSRS config#1及びSRS config#2(
図23を参照)のうち、SRS config#2による周波数ホッピングパターンに対応するPartial bandをドロップする。
【0141】
なお、SRSドロップ制御部702は、複数のSRSパラメータ情報(SRS configuration情報)に固有の番号(SRS configuration情報番号)が付加されている場合、一部のSRS configuration情報番号で通知されたSRSリソースをドロップしてもよい。
【0142】
また、複数のSRS configuration情報が異なる通知方法で通知される場合、SRSドロップ制御部702は、SRS configuration情報の通知方法に応じてドロップするSRS configuration情報(周波数ホッピング情報)を決定してもよい。例えば、時間的に準静的な情報を通知するために用いるRRCベースの通知と、動的な情報を通知にするために用いるDCIベースの通知とによって、複数のSRS configuration情報が端末700に通知された場合、SRSドロップ制御部702は、RRCベースで通知されたSRS configuration情報に対応するSRSリソースを優先してドロップしてもよい。つまり、端末700は、DCIベースで通知されたSRS configuration情報に対応するSRSを優先して送信する。
【0143】
以上より、本実施の形態では、実施の形態1と同様、SRS送信帯域内の一部のPartial bandをドロップすることにより、端末700の送信可能な最大送信電力(PCMAX,c)が増加し、SRSの送信に必要な送信電力(Preq,c)が低下し、残りのPartial bandで送信されるSRSに対して、基地局800の要求通りの送信電力で送信信号を送信できる可能性が高くなる。よって、Power limited端末は、ドロップされなかった残りのPartial bandを用いて、基地局800の要求通りの送信電力、又は、基地局800の要求する送信電力に近い電力でSRSを送信することができる。これにより、基地局800は、Power limited端末から、ドロップされた一部のPartial band以外の残りのPartial bandで送信されたMulti-PB SRSを用いて、当該残りのPartial bandの上り品質を精度良く推定することができる。
【0144】
また、本実施の形態によれば、Multi-PB SRSのドロップルールは、複数の周波数ホッピングパターンを含むSRSパラメータ情報に基づいて決定される。すなわち、端末700においてドロップされる一部のPartial bandは、端末700に設定される複数のSRSパラメータ情報のうちの一部のSRSパラメータ情報に示されるPartial bandである。
【0145】
これにより、端末700(Power limited端末)は、一部のSRSパラメータ情報による周波数ホッピングパターンに対応するSRSリソースをドロップする。これにより、Power limited端末は、一部のSRSリソース(Partial band)をドロップしつつ、複数のスロットに渡ってSounding帯域全体にSRSを送信することができるので、基地局800の周波数スケジューリング性能を向上させることができる。
【0146】
(実施の形態5)
本実施の形態では、SRSの系列情報(系列番号及びCS番号)を用いて、Multi-PB SRSのドロップルールが決定される場合について説明する。
【0147】
[端末の構成]
図25は、本実施の形態に係る端末900の構成を示すブロック図である。なお、
図25において、実施の形態1(
図5)と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。具体的には、
図25に示す端末900は、
図5に示す端末100と比較して、系列情報設定部901が追加されている。
【0148】
系列情報設定部901は、SRSを生成する符号系列の系列番号とCS番号とを含む系列情報を設定し、SRSドロップ制御部702へ出力する。
【0149】
SRSドロップ制御部902は、系列情報設定部901から入力される系列情報に基づいて、ドロップするPartial bandを決定し、決定したPartial bandを示す情報(例えば、Partial band番号)をSRS帯域設定部106へ出力する。
【0150】
[基地局の構成]
図26は、本実施の形態に係る基地局1000の構成を示すブロック図である。なお、
図26において、実施の形態1(
図6)と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。具体的には、
図26に示す基地局1000は、
図6に示す基地局200と比較して、系列情報設定部1001が追加されている。
【0151】
系列情報設定部1001は、端末900が備える系列情報設定部901と同様、各端末900のSRSの系列情報(例えば、系列番号及びCS番号)をSRSドロップ制御部1002へ出力する。
【0152】
SRSドロップ制御部1002は、SRSパラメータ情報設定部1001から入力されるSRSパラメータ情報に基づいて、ドロップする可能性のあるPartial band(Partial band番号)を決定し、決定したPartial band番号を品質推定部208へ出力する。
【0153】
[ドロップするPartial bandの決定方法]
次に、端末700(SRSドロップ制御部702)において、端末700がPower limited端末である場合にドロップするPartial bandを決定する方法(ドロップルール)について詳細に説明する。
【0154】
<具体例6>
具体例6では、SRSドロップ制御部902は、系列情報に基づいてドロップするPartial bandを決定する。
【0155】
図27は、具体例6におけるドロップするPartial bandの一例を示す。
図27では、UE#1(端末900)に対して、Partial band毎にSRSの生成に用いる符号系列の系列番号(Seq#a,#b)及びCS番号(CS#0,#3,#6,#9)が設定されている。
【0156】
端末900がPower limited端末である場合、SRSドロップ制御部902は、系列番号及びCS番号の双方が同一の符号系列が設定された複数のPartial bandのうちの少なくとも1つのPartial bandをドロップする。
【0157】
例えば、
図27では、同一の系列番号:Seq#a及びCS番号:CS#0が設定されたPartial bandが2つあり、同一の系列番号:Seq#b及びCS番号:CS#6が設定されたPartial bandが2つある。そこで、SRSドロップ制御部902は、Seq#b及びCS#0が設定された1つのPartial band及びSeq#b及びCS#6が設定された1つのPartial bandをそれぞれドロップする。
【0158】
なお、
図27では、系列番号及びCS番号の双方が同一のPartial bandがドロップされる場合について説明したが、これに限定されず、例えば、CS番号に依らず、少なくとも系列番号が同一のPartial bandがドロップされてもよい。
【0159】
以上より、本実施の形態では、実施の形態1と同様、SRS送信帯域内の一部のPartial bandをドロップすることにより、端末900の送信可能な最大送信電力(PCMAX,c)が増加し、SRSの送信に必要な送信電力(Preq,c)が低下し、残りのPartial bandで送信されるSRSに対して、基地局1000の要求通りの送信電力で送信信号を送信できる可能性が高くなる。よって、Power limited端末は、ドロップされなかった残りのPartial bandを用いて、基地局1000の要求通りの送信電力、又は、基地局1000の要求する送信電力に近い電力でSRSを送信することができる。これにより、基地局1000は、Power limited端末から、ドロップされた一部のPartial band以外の残りのPartial bandで送信されたMulti-PB SRSを用いて、当該残りのPartial bandの上り品質を精度良く推定することができる。
【0160】
また、本実施の形態によれば、Multi-PB SRSのドロップルールは、SRSの生成に用いる符号系列の系列情報(系列番号、CS番号)に基づいて決定される。ここで、系列番号が同一、又は、系列番号及びCS番号の双方が同一の符号系列を用いた場合にCM/PAPR特性が高くなる特性がある。よって、本実施の形態のように、系列番号が同一、又は、系列番号及びCS番号の双方が同一の符号系列が設定されたPartial bandをドロップすることにより、CM/PAPR特性を低減でき(つまり、MPRcを低減でき)、送信可能な最大送信電力(式(3)のPCMAX,c)を増加することができる。
【0161】
以上、本開示の各実施の形態について説明した。
【0162】
なお、上述した実施の形態は組み合わせてもよい。例えば、最初に、実施の形態5で説明した系列情報に基づくドロップルールを適用し、Partial bandドロップ適用後に依然としてPower limited端末であると判定された場合には、さらに実施の形態2で説明した端末固有パラメータ情報に基づくドロップルールを適用してもよい。または、基地局は、適用すべきドロップルールを端末毎に通知してもよい。または、セル毎に適用されるドロップルールが設定されてもよい。
【0163】
また、上記実施の形態において、一部のPartial bandをドロップすることは、一部のPartial band(残りのPartial band)でSRSが送信されることを意味する。
【0164】
また、上記各実施の形態では、SRSを例に挙げて説明したが、これに限らず、DM-RS (demodulation reference signal)、CSI-RS (Channel state information reference signal)などの符号系列を用いる参照信号に適用することもできる。
【0165】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0166】
本開示の端末は、部分帯域に対応する系列長を有する系列を複数個用いて生成される参照信号の送信電力が閾値を超える場合、複数の部分帯域のうち一部の部分帯域をドロップする回路と、前記複数の部分帯域のうち前記ドロップされる一部の部分帯域以外の残りの部分帯域で前記参照信号を送信する送信機と、を具備する。
【0167】
本開示の端末において、前記回路は、前記複数の部分帯域のうち、非連続な部分帯域をドロップする。
【0168】
本開示の端末において、前記回路は、前記複数の部分帯域のうち、連続する部分帯域をドロップする。
【0169】
本開示の端末において、前記ドロップされる一部の部分帯域は、端末固有の情報に対応付けられている。
【0170】
本開示の端末において、前記ドロップされる一部の部分帯域は、前記端末が前記参照信号を送信するタイミングに対応付けられている。
【0171】
本開示の端末において、前記送信機は、前記参照信号が割り当てられる部分帯域を示す複数の設定情報に従って前記参照信号を送信し、前記ドロップされる一部の部分帯域は、前記複数の設定情報のうちの一部の設定情報に示される部分帯域である。
【0172】
本開示の端末において、前記ドロップされる一部の部分帯域は、前記複数の部分帯域のうち、系列番号が同一の符号系列が設定された部分帯域の中の少なくとも1つの部分帯域である。
【0173】
本開示の端末において、前記ドロップされる一部の部分帯域は、前記複数の部分帯域のうち、系列番号及び巡回シフト番号の双方が同一の符号系列が設定された部分帯域の中の少なくとも1つの部分帯域である。
【0174】
本開示の通信方法は、部分帯域に対応する系列長を有する系列を複数個用いて生成される参照信号の送信電力が閾値を超える場合、複数の部分帯域のうち一部の部分帯域をドロップし、前記複数の部分帯域のうち前記ドロップされる一部の部分帯域以外の残りの部分帯域で前記参照信号を送信する。
【0175】
本開示の一態様は、移動通信システムに有用である。
【符号の説明】
【0176】
100,300,500,700,900 端末
101,204 アンテナ
102,205 無線受信部
103 復調・復号部
104 SRS生成部
105,207,302,402,502,602,702,802,902,1002 SRSドロップ制御部
106 SRS帯域設定部
107,203 無線送信部
200,400,600,800,1000 基地局
201 SRSリソース情報生成部
202 変調・符号化部
206 復調部
208 品質推定部
209 スケジューリング部
301,401 端末情報設定部
501,601 タイミング設定部
701,801 SRSパラメータ情報設定部
901,1001 系列情報設定部