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特許70838133,3,3-トリフルオロプロピンと水との共沸性又は共沸混合物様組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】3,3,3-トリフルオロプロピンと水との共沸性又は共沸混合物様組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/00 20060101AFI20220606BHJP
   C07C 17/386 20060101ALI20220606BHJP
   C07C 21/22 20060101ALI20220606BHJP
   C09K 5/04 20060101ALN20220606BHJP
   C09K 3/30 20060101ALN20220606BHJP
【FI】
C09K3/00 Z
C07C17/386
C07C21/22
C09K5/04 F
C09K3/30 J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019511568
(86)(22)【出願日】2017-08-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 US2017046762
(87)【国際公開番号】W WO2018044539
(87)【国際公開日】2018-03-08
【審査請求日】2020-08-07
(31)【優先権主張番号】15/251,468
(32)【優先日】2016-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ハルク・コプカリ
(72)【発明者】
【氏名】ハン・ティー・ファム
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・シー・メルケル
【審査官】山本 悦司
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-525486(JP,A)
【文献】特表2011-520016(JP,A)
【文献】特表2013-529717(JP,A)
【文献】特表2013-529234(JP,A)
【文献】特表2014-509310(JP,A)
【文献】特表2019-507175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/00、5/00、5/04
C07C 17/25、17/386、19/08、21/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
、3,3,3-トリフルオロプロピンとからなる共沸性又は共沸混合物様組成物であって、前記組成物が、14.4psia±2psiaの圧力で-47℃±0.5℃の沸点を有する、組成物。
【請求項2】
水と3,3,3-トリフルオロプロピンとを組み合わせた重量に基づいて、0.1~1重量%の水と、99~99.9重量%の3,3,3-トリフルオロプロピンとからなる組成物であって、前記組成物が、14.4psia±2psiaの圧力で-47℃±0.5℃の沸点を有する、組成物。
【請求項3】
1233zd(E)((E)-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン)、1233zd(Z)((Z)-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン)、1234ze(1,3,3,3-テトラフルオロプロペン)、1234yf(2,3,3,3-テトラフルオロプロペン)、及び1233xf(2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン)からなる群から選択される化合物を生成する方法であって、
i)前記化合物と3,3,3-トリフルオロプロピンとを含む反応混合物を準備する工程と、
ii)前記反応混合物と水とを組み合わせて3,3,3-トリフルオロプロピンと水との組成物を形成する工程であって、前記組成物が、水と3,3,3-トリフルオロプロピンとを組み合わせた重量に基づいて、1~50重量%の水と、50~99重量%の3,3,3-トリフルオロプロピンとを含む工程と、
iii)液-液相分離、蒸留、又はスクラビングから選択される標準的な分離技術を使用して前記化合物から前記組成物を分離する工程と、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3,3,3-トリフルオロプロピンと水との共沸性又は共沸混合物様組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トリクロロフルオロメタン及びジクロロジフルオロメタンのようなクロロフルオロカーボン(chlorofluorocarbon、CFC)は、冷媒、発泡剤、及びガス滅菌用希釈剤として使用されてきた。近年、完全にハロゲン化されたクロロフルオロカーボンは、地球オゾン層に有害であり得ることが全世界的に懸念されている。したがって、成層圏的により安全な、これらの材料の代替物が望ましい。
【0003】
それゆえ、塩素置換基をほとんど又は全く含有しないフッ素置換炭化水素を使用する努力が世界的になされている。HFC、すなわち、炭素、水素及びフッ素のみを含有する化合物を生成して、溶媒、発泡剤、冷媒、洗浄剤、エアロゾル噴射剤、伝熱媒体、誘電体、消火組成物、及び動力サイクル作動流体として使用するための環境に望ましい生成物を提供することが、重要な主題となっている。フッ化水素を様々なヒドロクロロカーボン化合物と反応させることによって、HFCなどのフルオロカーボンを生成することが当該技術分野において既知である。ヒドロクロロフルオロカーボン(hydrochlorofluorocarbon、HCFC)又はクロロフルオロカーボン(CFC)は非オゾン破壊性ではないので、かかるHFCは、それらよりもはるかに環境的に有利であると見なされているだけでなく、非可燃性であり、塩素含有化合物と比較して非毒性である。HFCは、非オゾン破壊性であるので、HCFC又はCFCよりもはるかに環境的に有利であると見なされているが、最近のデータは、HFCが地球温暖化の一因でもあり得ることを示している。したがって、HFC、HCFC、及びCFCの代替物もまた探求されている。
【0004】
ヒドロフルオロオレフィン(hydrofluoroolefin、「HFO」)は、可能な代替品として提案されてきた。HFOは、単一の構成要素の流体又は共沸性混合物として最も使用されており、沸騰及び蒸発のどちらでも分留されないことが一般に知られている。かかる組成物の同定は、共沸混合物の形成が相対的に予測不可能であることに少なくとも部分的に起因して、困難である。したがって、業界は、CFC、HCFC、及びHFCの許容可能かつ環境的により安全な代用物である、新たなHFO系混合物を絶えず追求している。
【0005】
「TFPY」としても知られている3,3,3-トリフルオロプロピンは、これらに限定されないが、HFO-1234yf、HFO-1234ze、HCFO-1233zd(Z)、及びHFO-1225yeを含む様々なヒドロフルオロオレフィン(HFO)に好適な出発物質であり、これに限定されないが、HFO-1234ze、HFO-1234yf、HFCO-1233zdを含む様々なヒドロフルオロオレフィンの生成における副生成物としても生成され、これらの全ては当該技術分野において周知であり、いくつかは、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願公開第2009/0234165号に記載されており、その開示は参照により本明細書に援用される。
【0006】
例えば、米国特許第7,964,759号及び同第8,791,309号からの3,3,3-トリフルオロプロピンを生成する方法もまた、当該技術分野において既知である。
【0007】
3,3,3-トリフルオロプロピンの新たな組成物、その分離及び精製方法、並びに使用が望ましい。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、3,3,3-トリフルオロプロピンと水との共沸性又は共沸混合物様組成物を提供する。
【0009】
別の実施形態では、組成物は、水と3,3,3-トリフルオロプロピンとからなり得る。
【0010】
更なる実施形態では、組成物は、水と3,3,3-トリフルオロプロピンとを組み合わせた重量に基づいて、約1~約50重量%の水と、約50~約99重量%の3,3,3-トリフルオロプロピンとを含み得る。あるいは、組成物は、水と3,3,3-トリフルオロプロピンとを組み合わせた重量に基づいて、約0.1~約50重量%の水と、約50~約99.9重量%の3,3,3-トリフルオロプロピンとを含み得る。組成物は、約14.4psia±2psiaの圧力で約-47℃±0.5℃の沸点を有し得る。あるいは、組成物は、約14.4psiaの圧力で約-46.8℃の沸点を有し得る。
【0011】
その別の形態では、本発明は、水と3,3,3-トリフルオロプロピンとを組み合わせた重量に基づいて、約1~約50重量%の水と、約50~約99重量%の3,3,3-トリフルオロプロピンとから本質的になる共沸性又は共沸混合物様組成物であって、組成物が、約14.4psia±2psiaの圧力で約-47℃±0.5℃の沸点を有する、組成物を提供する。組成物は、水と、3,3,3-トリフルオロプロピンとからなり得る。
【0012】
その更なる形態では、本発明は、水と3,3,3-トリフルオロプロピンとを組み合わせた重量に基づいて、約1~約50重量%の水と、約50~約99重量%の3,3,3-トリフルオロプロピンとから本質的になるブレンドを形成する工程を含む、共沸性又は共沸混合物様組成物を形成する方法を提供する。組成物は、水と、3,3,3-トリフルオロプロピンとからなり得る。
【0013】
前述の方法では、形成する工程は、水と3,3,3-トリフルオロプロピンとを組み合わせた重量に基づいて、約0.1~約50重量%の水から約50~約99.9重量%の3,3,3-トリフルオロプロピンとから本質的になるブレンドを形成することを含み得、組成物は、約14.4psia±2psiaの圧力で約-47℃±0.5℃の沸点を有し得るか、又はあるいは、組成物は、約14.4psiaの圧力で約-46.8℃の沸点を有し得る。
【0014】
その更なる形態では、本発明は、本質的に水を含まない3,3,3-トリフルオロプロピンを生成するための方法であって、水と3,3,3-トリフルオロプロピンとを組み合わせた重量に基づいて、約1~約50重量%の水と、約50~約99重量%の3,3,3-トリフルオロプロピンとから本質的になる共沸性又は共沸混合物様組成物を形成する工程であって、組成物が、水を多く含む相と、3,3,3-トリフルオロプロピンを多く含む相を含む、形成する工程と、水を多く含む相と3,3,3-トリフルオロプロピンを多く含む相とを分離する工程と、3,3,3-トリフルオロプロピンを多く含む相から水を除去して、1.0重量%未満の水を有する3,3,3-トリフルオロプロピンを生成する工程と、を含む、方法を提供する。
【0015】
前述の方法では、形成する工程は、水と3,3,3-トリフルオロプロピンとを組み合わせた重量に基づいて、約0.1~約50重量%の水と、約50~約99.9重量%の3,3,3-トリフルオロプロピンとから本質的になる共沸性又は共沸混合物様組成物を形成することを含み得、組成物が、水を多く含む相と、3,3,3-トリフルオロプロピンを多く含む相とを含む。また、前述の方法では、除去する工程は、分子篩、硫酸カルシウム、シリカ、アルミナ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された少なくとも1つの除去剤を使用して、3,3,3-トリフルオロプロピンを多く含む相から水を除去することを更に含み得る。あるいは、除去する工程は、液-液相分離によって、水を多く含む相と3,3,3-トリフルオロプロピンを多く含む相とを分離することを更に含み得る。除去する工程はまた、3,3,3-トリフルオロプロピンを多く含む相から水を除去して、0.5重量%未満の水又は0.1重量%未満の水を有する3,3,3-トリフルオロプロピンを生成することを更に含み得る。また更に、除去する工程は、蒸留によって、水を多く含む相と3,3,3-トリフルオロプロピンを多く含む相とを分離することを更に含み得る。
【0016】
本発明が、本発明の任意の特定の態様及び/又は実施形態に関して本明細書に記載の特性のうちのいずれかを、組み合わせの適合性を確実にするように適切な修正により、本明細書に記載の本発明の任意の他の態様及び/又は実施形態の他の特性のうちのいずれかの1つ以上と組み合わせることができることを、本発明に関係する当業者は理解するべきである。かかる組み合わせは、本開示によって考慮される本発明の一部であると見なされる。
【0017】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、いずれもただ例示的かつ説明的なものであり、特許請求される本発明を限定するものではないことが理解されるべきである。他の実施形態は、本明細書に開示の本発明の仕様及び実施を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0018】
3,3,3-トリフルオロプロピン(trifluoropropyne、TFPY)は、水と共に共沸性及び共沸混合物様組成物又は混合物を形成し、より具体的には、水と共に不均質な共沸性及び共沸混合物様組成物又は混合物を形成することが見出されている。
【0019】
3,3,3-トリフルオロプロピン(CHCCF又はCHF)は、
760mmHgで約-46℃の沸点を有し、以下の化学構造を有する:
【0020】
【化1】
【0021】
本発明は、水と3,3,3-トリフルオロプロピンとを含む(including)又は含む(comprising)共沸性又は共沸混合物様組成物を提供し、他の実施形態では、組成物は、水と3,3,3-トリフルオロプロピンとから本質的になり得、また更なる実施形態では、組成物は、水と3,3,3-トリフルオロプロピンとからなり得る。
【0022】
流体の熱力学的状態は、その圧力、温度、液体組成、及び蒸気組成によって画定される。真の共沸性組成物の場合、液体組成物及び蒸気相は、所与の温度及び圧力範囲において本質的に等しい。実際の条件では、これは、相変化中に構成要素を分離することができないことを意味する。本発明の目的では、共沸混合物は、周囲の混合物構成要素の沸点に対して最大沸点又は最低沸点を呈する液体混合物である。また、本明細書で使用される場合、用語「共沸混合物様」とは、厳密に共沸性である、及び/又は概ね共沸性混合物のように挙動する組成物を指す。
【0023】
共沸混合物又は共沸混合物様組成物は、所与の圧力下で液体形態であるとき、実質的に一定の温度で沸騰する2つ以上の異なる構成要素の混和物であり、この温度は個々の構成要素の沸騰温度よりも高くても低くてもよく、沸騰している液体組成物と本質的に同一の蒸気組成物を提供するであろう。
【0024】
本発明の目的では、共沸性組成物は、共沸混合物様組成物を含むと定義され、共沸混合物のように挙動する、すなわち、一定の沸騰特徴、又は沸騰若しくは蒸発時に分留しない傾向を有する組成物である。したがって、沸騰又は蒸発中に形成される蒸気の組成は、元の液体組成物と同じであるか、又は実質的に同じである。したがって、沸騰又は蒸発中、液体組成物は、少しでも変化する場合、最小又はごくわずかな程度のみ変化する。これは、沸騰又は蒸発中に液体組成物が実質的な度合まで変化する非共沸混合物様組成物とは対照的である。
【0025】
したがって、共沸混合物又は共沸混合物様組成物の本質的な特性は、所与の圧力で、液体組成物の沸点が固定されていること、及び沸騰している組成物の上の蒸気の組成が、本質的に、沸騰している液体組成物のものである、すなわち、液体組成物の構成要素の分留が本質的に起こらないことである。共沸性組成物の各構成要素の沸点及び重量百分率の両方は、共沸混合物又は共沸混合物様液体組成物が異なる圧力で沸騰に曝されると変化し得る。したがって、共沸混合物又は共沸混合物様組成物は、その構成要素間に存在する関連性の観点において、又は構成要素の組成範囲の観点において、又は特定の圧力での固定沸点を特徴とする組成物の各構成要素の正確な重量百分率の観点において定義され得る。
【0026】
本発明は、有効量の3,3,3-トリフルオロプロピンと水とを含む組成物を提供して、共沸性又は共沸混合物様組成物を形成する。本明細書で使用される場合、用語「有効量」は、他の構成要素と組み合わせられると、共沸混合物又は共沸混合物様混合物の形成をもたらす各構成要素の量である。
【0027】
本発明の組成物は、好ましくは、3,3,3-トリフルオロプロピンと水との組み合わせから本質的になるか、又は3,3,3-トリフルオロプロピンと水との組み合わせからなる二成分の共沸混合物である。本明細書で使用される場合、共沸混合物様組成物又は混合物の構成要素に関して、用語「から本質的になる」とは、組成物が、共沸混合物様の比で示された構成要素を含有し、追加の構成要素が新たな共沸混合物様の系を形成しないという条件で、追加の構成要素を含有し得ることを意味する。例えば、2つの化合物から本質的になる共沸混合物様混合物は、二成分の共沸混合物を形成するものであり、追加の構成要素が混合物を非共沸性にせず、化合物のいずれか又は両方と共沸混合物を形成しない(例えば、三成分の共沸混合物を形成しない)という条件で、任意選択的に、1つ以上の追加の構成要素を含んでもよい。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「異相共沸混合物」及び「不均質な共沸混合物」とは、2つの液相と同時に存在する蒸気相を含む共沸混合物様組成物を意味する。
【0029】
本発明はまた、共沸性又は共沸混合物様組成物を形成する方法であって、水と3,3,3-トリフルオロプロピンとを組み合わせた重量に基づいて、約1~約50重量パーセントの水と、約50~99重量パーセントの3,3,3-トリフルオロプロピンとを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなるブレンドを形成して、それによって共沸性又は共沸混合物様組成物を形成することを含む、方法を提供する。
【0030】
本発明の共沸性又は共沸混合物様組成物は、有効量の水を3,3,3-トリフルオロプロピンと組み合わせることによって生成することができる。2つ以上の構成要素を組み合わせて組成物を形成するための、当該技術分野において既知の多種多様な方法のうちのいずれかは、本発明の方法への使用に適合させることができる。例えば、水と3,3,3-トリフルオロプロピンとを、バッチ式若しくは連続式の反応及び/若しくはプロセスの一部として、又は2つ以上のかかる工程の組み合わせを介して、手によって及び/又は機械によって、混合、ブレンド、又は組み合わせることができる。
【0031】
別の実施形態では、組成物は、水と3,3,3-トリフルオロプロピンとを組み合わせた重量に基づいて、約0.1~約50重量パーセントの水と、約50~99.9重量パーセントの3,3,3-トリフルオロプロピンとを含むか、これから本質的になるか、又はそれからなる。
【0032】
共沸性又は共沸混合物様組成物は、
約14.4±2psiaの圧力で約-47℃±0.5℃の沸点を有し、別の実施形態では、約14.4psiaの圧力で約-47℃の沸点を有し、更なる実施形態では、約14.4psiaの圧力で約-46.8℃の沸点を有する。
【0033】
本開示はまた、3,3,3-トリフルオロプロピンと水との共沸性又は共沸混合物様組成物を生成し、その後、不純物から共沸混合物を分離することも包含する。本開示はまた、以下より詳細に論じられるように、共沸性混合物から3,3,3-トリフルオロプロピンを分離及び精製するための工程も含む。
【0034】
3,3,3-トリフルオロプロピンは、3,3,3-トリフルオロプロピンが、1233zd(E)((E)-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン)、1233zd(Z)((Z)-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン)、1234ze(1,3,3,3-テトラフルオロプロペン)、1234yf(2,3,3,3-テトラフルオロプロペン)、及び1233xf(2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン)などの1つ以上の不純物を含有する反応混合物の構成要素として生成される、当該技術分野において既知の1つ以上の方法を使用して生成され得る。
【0035】
この混合物又は3,3,3-トリフルオロプロピン及び不純物を含有する任意の他の混合物から3,3,3-トリフルオロプロピンを除去することにおける第1の工程は、本明細書に定義されるように、有効量で水を添加して、3,3,3-トリフルオロプロピンと水との共沸性組成物を形成することによってであり、不純物自体は、3,3,3-トリフルオロプロピン、水、又は3,3,3-トリフルオロプロピンと水との混合物と共沸性混合物を形成しない。その後、共沸性組成物は、これらに限定されないが、液-液相分離、蒸留、スクラビング、又は分離手段として認識されている他の技術などの、標準的な分離技術を使用して不純物から分離される。
【0036】
精製された共沸混合物は、オゾン層破壊係数を有さず、地球温暖化の一因としてごくわずかであり、不燃性である混合物に対する、当該技術分野における必要性を満たす。かかる混合物は、これらに限定されないが、冷媒、発泡剤、噴射剤、及びガス滅菌用希釈剤などの広い範囲に利用され得る。共沸混合物はかかる目的のために、他の有用な添加剤又は成分と組み合わせて提供され得る。
【0037】
精製後、3,3,3-トリフルオロプロピンと水との共沸混合物の構成要素の一部を、本質的に水を含まない3,3,3-トリフルオロプロピンの精製された形態に分離することが望ましい場合もある。本明細書で使用される場合、「本質的に水を含まない」、又は「水を含まない」とは、1.0重量%未満の水、0.5重量%未満の水、又は0.1重量%未満の水を含む3,3,3-トリフルオロプロピンの組成物を指す。
【0038】
分離方法としては、当該技術分野において一般的に既知の任意の方法が挙げられ得る。一実施形態では、例えば、余剰な水は、液-液相分離によって3,3,3-トリフルオロプロピンから除去することができるが、他の代替形態としては、蒸留又はスクラビングが挙げられる。次いで、残りの水は、蒸留、及び/又は分子篩、硫酸カルシウム、シリカ、アルミナ、及びこれらの組み合わせなどの1つ以上の乾燥媒体又は乾燥剤の使用によって、3,3,3-トリフルオロプロピンから除去することができる。
【0039】
精製された3,3,3-トリフルオロプロピンは、冷媒、発泡剤、噴射剤、若しくはガス滅菌用の希釈剤などの最終生成物として使用されてもよく、又はモノマーとして、中間体として使用されてもよく、又はHFO代替物若しくは類似の化合物の生成のために更に処理されてもよい。
【0040】
以下の非限定的な実施例は、本発明を例示するのに役立つ。
【実施例1】
【0041】
ドライアイスで冷却された凝縮器を取り付けたガラスの真空断熱容器を、3,3,3-トリフルオロプロピンで最初に充填した。次いで、水を徐々に添加し、混合物の温度を記録した。混合物の温度が、最低値に達し、その後不均質な共沸混合物の形成を示して安定した。測定中の周囲圧力は、14.4psiaであった。
【0042】
測定した温度を、表1及び2に示す。表2では、不均質な共沸混合物を示す2つの別個の相の物理的観察について述べている。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでない旨を明確に指示しない限り、複数形を含む。更に、量、濃度、又は他の値若しくはパラメータが、範囲、好ましい範囲、又は上方の好ましい値と下方の好ましい値との列挙のいずれかとして与えられるとき、これは、範囲が別々に開示されているかどうかにかかわらず、任意の上限範囲又は上方の好ましい値と任意の下限範囲又は下方の好ましい値との任意の対から形成される全ての範囲を具体的に開示しているものとして理解されるべきである。数値の範囲が本明細書に列挙されている場合、特に明記しない限り、範囲は、その端点、並びに範囲内の全ての整数及び端数を含むことが意図される。本発明の範囲は、範囲を定義するときに列挙される特定の値に限定されることを意図するものではない。
【0046】
前述の説明は、本発明の単なる例示に過ぎないことが理解されるべきである。本発明から逸脱することなく、当業者によって様々な代替形態及び修正形態を考案することができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲内に含まれる全てのかかる代替形態、修正形態、及び変動を包含することを意図する。
本明細書は以下の発明の態様を包含する。
[1]
3,3,3-トリフルオロプロピンと水とから本質的になる、共沸性又は共沸混合物様組成物。
[2]
前記組成物が、前記水と3,3,3-トリフルオロプロピンとを組み合わせた重量に基づいて、約1~約50重量%の水と、約50~約99重量%の3,3,3-トリフルオロプロピンとを含む、[1]に記載の組成物。
[3]
前記組成物が、
約14.4psia±2psiaの圧力で約-47℃±0.5℃の沸点を有する、[1]に記載の組成物。
[4]
前記水と3,3,3-トリフルオロプロピンとを組み合わせた重量に基づいて、約1~約50重量%の水と、約50~約99重量%の3,3,3-トリフルオロプロピンとから本質的になる共沸性又は共沸混合物様組成物であって、前記組成物が、約14.4psia±2psiaの圧力で約-47℃±0.5℃の沸点を有する、組成物。
[5]
前記組成物が、水と3,3,3-トリフルオロプロピンとからなる、[4]に記載の組成物。
[6]
本質的に水を含まない3,3,3-トリフルオロプロピンを生成する方法であって、
前記水と3,3,3-トリフルオロプロピンとを組み合わせた重量に基づいて、約1~約50重量%の水と、約50~約99重量%の3,3,3-トリフルオロプロピンとから本質的になる共沸性又は共沸混合物様組成物を形成する工程であって、前記組成物が、水を多く含む相と、3,3,3-トリフルオロプロピンを多く含む相とを含む、形成する工程と、
前記水を多く含む相と前記3,3,3-トリフルオロプロピンを多く含む相とを分離する工程と、
前記3,3,3-トリフルオロプロピンを多く含む相から水を除去して、1.0重量%未満の水を有する3,3,3-トリフルオロプロピンを生成する工程と、を含む、方法。
[7]
前記形成する工程が、前記水と3,3,3-トリフルオロプロピンとを組み合わせた重量に基づいて、約0.1~約50重量%の水と、約50~約99.9重量%の3,3,3-トリフルオロプロピンとから本質的になる共沸性又は共沸混合物様組成物を形成することを含み、前記組成物が、水を多く含む相と、3,3,3-トリフルオロプロピンを多く含む相とを含む、[6]に記載の方法。
[8]
前記除去する工程が、分子篩、硫酸カルシウム、シリカ、アルミナ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの除去剤を使用して、前記3,3,3-トリフルオロプロピンを多く含む相から水を除去することを更に含む、[6]に記載の方法。
[9]
前記除去する工程が、液-液相分離によって、前記水を多く含む相と前記3,3,3-トリフルオロプロピンを多く含む相とを分離することを更に含む、[6]に記載の方法。
[10]
前記除去する工程が、蒸留によって、前記水を多く含む相と前記3,3,3-トリフルオロプロピンを多く含む相とを分離することを更に含む、[6]に記載の方法。