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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】アンテナ装置、及び車両
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/62 20060101AFI20220606BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20220606BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220606BHJP
   B60R 1/26 20220101ALI20220606BHJP
   B60R 11/02 20060101ALN20220606BHJP
【FI】
B60S1/62 120B
B60S1/62 110A
H01Q1/22 B
H04N5/225 430
B60R1/26 100
B60R11/02 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019514544
(86)(22)【出願日】2018-04-24
(86)【国際出願番号】 JP2018016656
(87)【国際公開番号】W WO2018199108
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-03-26
(31)【優先権主張番号】P 2017085983
(32)【優先日】2017-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(74)【代理人】
【識別番号】100127306
【弁理士】
【氏名又は名称】野中 剛
(72)【発明者】
【氏名】土田 吉郎
(72)【発明者】
【氏名】林 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤井 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】清水 優
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-299511(JP,A)
【文献】特開2015-110369(JP,A)
【文献】特開2014-073826(JP,A)
【文献】特開2014-011785(JP,A)
【文献】特開2013-001310(JP,A)
【文献】特開2012-175359(JP,A)
【文献】実開昭55-075550(JP,U)
【文献】実開昭60-132960(JP,U)
【文献】特表2002-542094(JP,A)
【文献】特開平11-211821(JP,A)
【文献】特開2016-116048(JP,A)
【文献】国際公開第2017/046971(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0292593(US,A1)
【文献】特開2010-163103(JP,A)
【文献】国際公開第2018/079199(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/60
H01Q 1/22
B60R 11/02
H01Q 1/32
H01Q 1/42
H04N 5/225
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ素子を有するアンテナ部と、
カメラと、
カメラ用開口を有し、前記アンテナ部と前記カメラとを覆う外装ケースと、
前記カメラに設けられた光学部材と前記カメラ用開口の少なくとも一方がある第1領域に、噴射媒体を噴射させるウォッシャーと、
ブラケットと、
内装ケースとを備え、
前記ウォッシャーにおける噴射部は、前記第1領域よりも高い位置に配置され、
前記ブラケットは、上方で前記噴射部を保持し、下方で前記カメラを保持し、
前記内装ケースは、前記外装ケースの内側に配置され、
前記内装ケースには、前記ブラケットを介して、前記噴射部と前記カメラが取り付けられる、アンテナ装置。
【請求項5】
アンテナ素子を有するアンテナ部と、
カメラと、
カメラ用開口を有し、前記アンテナ部と前記カメラとを覆う外装ケースと、
前記カメラに設けられた光学部材と前記カメラ用開口の少なくとも一方がある第1領域に、噴射媒体を噴射させるウォッシャーとを備え、
前記ウォッシャーにおける噴射部は、前記第1領域と同じ高さか、前記第1領域よりも低い位置に配置され、
前記ウォッシャーにおける、前記噴射部と接続され前記噴射媒体が通るホースは、前記外装ケースの内側を通る、アンテナ装置。
【請求項7】
アンテナ素子を有するアンテナ部と、カメラと、カメラ用開口を有し、前記アンテナ部と前記カメラとを覆う外装ケースと、前記カメラに設けられた光学部材と前記カメラ用開口の少なくとも一方がある第1領域に、噴射媒体を噴射させるウォッシャーとを有するアンテナ装置を備え、
前記ウォッシャーにおける噴射部は、前記第1領域と同じ高さか、前記第1領域よりも低い位置に配置され、
前記ウォッシャーにおける、前記噴射部と接続され前記噴射媒体が通るホースは、前記外装ケースの内側を通る、車両。
【請求項9】
アンテナ素子を有するアンテナ部と、カメラと、カメラ用開口を有し、前記アンテナ部と前記カメラとを覆う外装ケースと、前記カメラに設けられた光学部材と前記カメラ用開口の少なくとも一方がある第1領域に、噴射媒体を噴射させるウォッシャーと、ブラケットと、内装ケースとを有するアンテナ装置を備え、
前記ウォッシャーにおける噴射部は、前記第1領域よりも高い位置に配置され、
前記ブラケットは、上方で前記噴射部を保持し、下方で前記カメラを保持し、
前記内装ケースは、前記外装ケースの内側に配置され、
前記内装ケースには、前記ブラケットを介して、前記噴射部と前記カメラが取り付けられる、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラを含むアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のように、カメラを含む車載アンテナ装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-116048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カメラに装着されるレンズには、ゴミや汚れが付着するおそれがある。
【0005】
したがって本発明の目的は、ゴミなどを除去してカメラで得られる画像を鮮明にすることが可能なアンテナ装置などを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るアンテナ装置は、アンテナ素子を有するアンテナ部と、カメラと、カメラ用開口を有しアンテナ部とカメラとを覆う外装ケースと、カメラに設けられた光学部材とカメラ用開口の少なくとも一方がある第1領域に、噴射媒体を噴射させるウォッシャーとを備える。
【0007】
噴射部から、カメラに設けられた光学部材と、カメラ用開口の少なくとも一方がある領域(第1領域)、すなわち、カメラ本体の撮像面側に設けられた光学部材に向けて噴射媒体が噴射され、これにより当該光学部材の汚れを洗浄したり当該光学部材に付着したゴミを除去したりすることが可能になる、すなわち、カメラで得られる画像をゴミや汚れが無い鮮明な画像にすることが可能になる。
【0008】
好ましくは、ウォッシャーにおける噴射部は、第1領域よりも高い位置に配置される。
【0009】
噴射部が第1領域と比べて高い位置に配置されるので、噴射部の噴射口が下方を向くことになり、噴射口が上方を向いて配置される形態に比べて、ゴミなどが付着して目詰まりが起きにくく出来る。
【0010】
噴射部の噴射口が、第1領域と比べて高い位置に配置されるので、噴射媒体を上から当該第1領域に噴射させることが可能になる。
このため、噴射媒体が重力で下方に流れる分だけ、噴射媒体を下から上に向けて噴射させる形態に比べて、低い圧力で洗浄することが可能になる。
また、噴射部から噴射される方向と、重力に従って噴射媒体が流れる方向がほぼ一致するので、噴射媒体を下から上に向けて噴射させる形態に比べて、当該第1領域に噴射媒体が残りにくくすることも可能になる。
また、噴射部とホースとの接続位置を高い位置に配置出来るため、低い位置に配置する形態に比べて、ホースを大きく折り曲げずにアンテナ装置の内部に配線することが出来、ホースの内部で淀みが発生しにくい状態で、噴射部に噴射媒体を供給することが可能になる。
【0011】
さらに好ましくは、噴射部は、噴射媒体がカメラ用開口の全面に吹き付けられるように噴射する。
【0012】
さらに好ましくは、上方で噴射部を保持し、下方でカメラを保持するブラケットと、外装ケースの内側に配置され、ブラケットを介して、噴射部とカメラが取り付けられる内装ケースとを更に備える。
【0013】
また、好ましくは、ウォッシャーにおける噴射部は、第1領域と同じ高さか、第1領域よりも低い位置に配置される。
【0014】
噴射媒体を横から若しくは下から第1領域に噴射させることが可能になり、噴射部を第1領域よりも高い位置に配置して、噴射媒体を上から噴射させる形態に比べて、噴射媒体の経路を短くすることが可能になる。
【0015】
さらに好ましくは、アンテナ素子は、ウォッシャーよりも高い位置に配置される。
【0016】
ウォッシャーはアンテナ素子よりも下側に位置するため、噴射媒体によるアンテナ素子の干渉を抑制することが出来る。
【0017】
さらに好ましくは、ウォッシャーにおける、噴射部と接続され噴射媒体が通るホースは、外装ケースの内側を通る。
【0018】
外装ケースの外側にホースが通る形態に比べて、アンテナケーブルなどと一緒に配線しやすく出来る。
【0019】
また、好ましくは、噴射部は、外装ケースから離れて配置される。
【0020】
外装ケースから離れた位置に、ウォッシャーが設けられるので、噴射媒体によるアンテナ素子の干渉を抑制することが出来る。
【0021】
本発明に係る車両は、アンテナ素子を有するアンテナ部と、カメラと、カメラ用開口を有しアンテナ部とカメラとを覆う外装ケースとを有し、ルーフの上面に設けられたアンテナ装置と、ルーフに設けられ、カメラに設けられた光学部材とカメラ用開口の少なくとも一方がある第1領域に、噴射媒体を噴射させるウォッシャーとを備える。
【発明の効果】
【0022】
以上のように本発明によれば、ゴミなどを除去してカメラで得られる画像を鮮明にすることが可能なアンテナ装置などを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態におけるアンテナ装置の斜視図である。
図2】第1実施形態におけるアンテナ装置の上面図である。
図3】第1実施形態におけるアンテナ装置の側面図である。
図4】第1実施形態におけるアンテナ装置の背面図である。
図5】第1実施形態におけるアンテナ装置の下面図である。
図6図5のA-A断面構成図である。
図7】第2実施形態におけるアンテナ装置とウォッシャーの斜視図である。
図8】第2実施形態におけるアンテナ装置とウォッシャーの側面図である。
図9】第2実施形態におけるアンテナ装置とウォッシャーの断面構成図である。
図10】第2実施形態におけるアンテナ装置とウォッシャーであって外装ケースと内装ケースを省略したものの上面図である。
図11】第3実施形態におけるアンテナ装置の斜視図である。
図12】第3実施形態におけるアンテナ装置の側面図である。
図13】第3実施形態におけるアンテナ装置の断面構成図である。
図14】第3実施形態におけるアンテナ装置であって外装ケースと内装ケースを省略したものの上面図である。
図15】第3実施形態におけるアンテナ装置の背面図である。
図16】第3実施形態におけるアンテナ装置であって、外装ケースと、内装ケースと、ベースと、外装パッドが組み上げられる前の状態を示す斜視図である。
図17】第3実施形態におけるアンテナ装置であって、外装ケースと、ベースに取り付けられた内装ケースと、外装パッドが組み上げられる前の状態を示す斜視図である。
図18】第4実施形態におけるアンテナ装置の斜視図である。
図19】第4実施形態におけるアンテナ装置の側面図である。
図20】第4実施形態におけるアンテナ装置の断面構成図である。
図21】第4実施形態におけるアンテナ装置であって外装ケースと内装ケースを省略したものの上面図である。
図22】第4実施形態におけるアンテナ装置の背面図である。
図23】第5実施形態におけるアンテナ装置であって外装ケースと内装ケースを省略したものの上面図である。
図24】第5実施形態におけるアンテナ装置の背面図である。
図25】第6実施形態におけるアンテナ装置の断面構成図である。
図26】第6実施形態におけるアンテナ装置の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本実施形態に係る車載用アンテナ装置について、図を用いて説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用される。また、各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることができる。
【0025】
(第1実施形態)
第1実施形態におけるアンテナ装置1は、ルーフ100など車両の上面に取り付けられ、アンテナケース2、アンテナ部3、カメラ4、ベース5、取付金具7、ウォッシャー9を備える(図1図6参照)。
【0026】
方向を説明するために、アンテナ装置1が取り付けられる車両の前後方向をx方向、x方向と垂直な左右方向をy方向、x方向とy方向に垂直な略鉛直方向をz方向として説明する。図1において、xyz軸のそれぞれの矢印が指し示す方向をそれぞれ前方向、右方向、上方向と定義する。
【0027】
アンテナケース2は、アンテナ装置1を構成する部材を覆う部材で、外装ケース2a、外装パッド2b、内装ケース2cを有する。
外装ケース2aと内装ケース2cとで、いわゆる二重ケース構造となっており、内装ケース2cとベース5とカメラ4のカメラ本体41とウォッシャー9の噴射部91とで、少なくともベース5の上面における内装ケース2cに覆われる部分の防水が確保される。
【0028】
外装ケース2aは、非透光性と電波透過性を有する合成樹脂製(ポリカーボネート(Polycarbonate)とASA(Acrylate Styrene Acrylonitrile)を含む合成樹脂などで形成された樹脂成型品)であり、例えば、x方向前側がx方向後側よりも低くなるように傾斜し、両側面が内側に湾曲したシャークフィン形状を有する。
外装ケース2aは、下面が開口し、アンテナ装置1を構成する部材であって、外装ケース2a以外のもの(内装ケース2c、アンテナ部3、カメラ4、ウォッシャー9など)を、z方向上方から覆う。
【0029】
外装ケース2aには、内壁からz方向下方に突出するように、ベース5への取り付け用の第1係止爪2a1が設けられ、外装ケース2aをベース5に固定する際に、第1係止爪2a1は、ベース5に設けられた第2係止爪5aと係合する。
【0030】
外装ケース2aの背面には、レンズ43に光を入射させて、車両の後方を撮影するため、後述するカメラ本体41におけるレンズ43及びその近傍を覆わないように、カメラ用開口21が設けられる。
【0031】
カメラ用開口21は、外装ケース2aの背面における左右略中心を通るxz平面上に設けられる。
カメラ用開口21が、外装ケース2aの背面における左右略中心を通るxz平面上を通る位置関係に配置されるため、当該左右略中心から撮影が可能になり、左右のバランスが取れた状態で広範囲の画像を撮影することが可能になる。
また、カメラ用開口21が、外装ケース2aの背面における左右略中心からずれたxz平面上を通る位置関係に配置される形態に比べて、外装ケース2aの背面における左右略中心を通るxz平面上にカメラ本体41など大きな部材を配置出来るので、アンテナ装置1を低背化しやすい。
【0032】
また、外装ケース2aの背面であって、カメラ用開口21よりもz方向上方には、ウォッシャー用開口22が設けられる。
【0033】
外装パッド2bは、エラストマー(Elastomer)やゴムなどで形成された環状の弾性部材であり、外装ケース2aの下端周縁部に嵌入され、外装ケース2aの下端周縁部と車両との間の隙間の目隠し、及び外装ケース2aの内部に水を浸入しにくくする(止水する)部材として機能する。
【0034】
内装ケース2cは、下面と背面が開口し、アンテナ部3におけるアンテナ素子31やアンテナ基板33と、カメラ4におけるカメラケーブル45の一部(カメラ本体41と接続される部分とベース開口5bに挿入される部分の間の領域)を、z方向上方から覆う。
【0035】
内装ケース2cの背面における開口した部分の下方には、ブラケット2c1やカメラ本体取り付け用のパッキンなどを介して、カメラ4のカメラ本体41が取り付けられ、当該ブラケット2c1やカメラ本体取り付け用のパッキンによって、内装ケース2cとカメラ4のカメラ本体41との間が密閉される。
カメラ4のカメラ本体41は、カメラ本体41の先端(x方向後側)に設けられたカバー47がカメラ用開口21の端部と接するような位置関係で、内装ケース2cに取り付けられる。
【0036】
内装ケース2cの背面における開口した部分の上方には、ブラケット2c1や噴射部取り付け用のパッキンなどを介して、ウォッシャー9の噴射部91が取り付けられ、当該ブラケット2c1や噴射部取り付け用のパッキンによって、内装ケース2cとウォッシャー9の噴射部91との間が密閉される。
ウォッシャー9の噴射部91は、噴射部91の先端における噴射口91aが設けられた領域が外装ケース2aの背面からx方向後側に露出するような位置関係で、内装ケース2cに取り付けられる。
【0037】
ブラケット2c1は、カメラ本体41と噴射部91の側面の少なくとも一部を覆ってこれらを保持する。
第1実施形態では、カメラ本体41を内装ケース2cに取り付けるためのブラケットと、噴射部91を内装ケース2cに取り付けるためのブラケットとが、ブラケット2c1として、一体的に構成される形態を説明するが、それぞれのブラケットが別体で構成される形態であってもよい。
【0038】
内装ケース2cは、非透光性と電波透過性を有する合成樹脂製(ポリカーボネート(Polycarbonate)とASA(Acrylate Styrene Acrylonitrile)を含む合成樹脂などで形成された樹脂成型品)である。
内装ケース2cの下端部には、ベース5とネジ止めするために使用されるネジ孔が設けられる。
【0039】
アンテナ部3は、アンテナ素子31、アンテナ基板33、アンテナケーブル35を有する。
【0040】
アンテナ素子31は、衛星放送受信用やGPS受信用やデジタル放送受信用の平面アンテナなどで構成される形態であってもよいし、AM/FM放送の受信用に容量装荷素子などの上部エレメントと波長短縮素子などの下部エレメントとで構成される形態であってもよいし、V2X(車車間・路車間通信)用や通信端末用のアンテナなどで構成される形態であってもよく、アンテナ基板33などを介してベース5に取り付けられる。
第1実施形態では、ベース5にアンテナ基板33が取り付けられ、無給電素子が上面に配置され、受信周波数が2.4GHzであるパッチアンテナを含むアンテナ素子31がアンテナ基板33に実装される形態を説明するが、アンテナ素子31は、内装ケース2c若しくは外装ケース2aの内壁に取り付けられる形態であってもよい。
【0041】
アンテナケーブル35は、アンテナ基板33に設けられたアンテナアンプに電力を供給したり、アンテナ素子31で得られた信号を出力したりするために使用される。
アンテナ基板33から延びるアンテナケーブル35は、ベース開口5b、第1開口101を通って、ルーフ100のz方向下方に延びる。
【0042】
カメラ4は、CMOSなどの撮像素子を含むカメラ本体41、レンズ43、カメラケーブル45、カバー47を有する。
カメラ4は、カメラ本体41における撮像素子の撮像面が車両の後方を向くように配置される。
カメラ本体41で得られる画像信号は、動画像に対応するものであっても静止画像に対応するものであってもよい。
カメラ本体41における、回路基板や撮像素子を保持すると共に、レンズ43が設けられる略x方向後側以外を覆う筐体は、シールド導体を兼ねた金属(例えば、アルミニウム)で構成される。
【0043】
カメラ本体41の略x方向後側には、撮像素子の撮像面と対向するようにレンズ43が設けられる。
カメラ用開口21を介して、カメラ本体41のレンズ43に当該後方からの光が入射する。
【0044】
後述するウォッシャー9の噴射部91から、カメラ本体41の先端(x方向後側端)に設けられた光学部材(カバー47、レンズ)と、カメラ用開口21の少なくとも一方がある領域(第1領域)に向けて、噴射媒体が噴射される。
【0045】
カメラ本体41に電力や制御信号を供給したり、カメラ本体41で得られた画像信号を出力したりするために使用されるカメラケーブル45は、カメラ本体41の略x方向前側から、内装ケース2c、ベース開口5bを通って、ルーフ100のz方向下方に延びる。
【0046】
カメラ本体41から延びるカメラケーブル45は、撮像素子の撮像面に垂直な略x方向で且つ略x方向前側に直線的に延び、ベース開口5bの上方近傍でz方向下方に折り曲げられてz方向下方に延びる。
【0047】
レンズ43の略x方向後側と側面を覆う領域には、レンズ43の保護のため、透光性を有する合成樹脂で形成されたカバー47が設けられる。
ブラケット2c1若しくはカメラ本体41とで、カバー47がレンズ43を密閉するように、カバー47は、ブラケット2c1若しくはカメラ本体41に、着脱可能な状態で取り付けられる。
すなわち、カメラ用開口21とレンズ43の間に、カバー47が配置される。
【0048】
なお、レンズ43がカバー47で覆われる形態を説明するが、カメラ用開口21がカバー47で覆われる形態や、カメラ用開口21とレンズ43がカバー47で覆われる形態であってもよい。
また、カバー47は、ブラケット2c1若しくはカメラ本体41に取り付けられる形態に限らず、外装ケース2a(の内壁など)に取り付けられる形態であってもよい。
また、カバー47が、光を屈折させて発散または収束させるレンズの一部として機能する形態であってもよい。
また、カメラ本体41が防水仕様になっている場合など、カメラ本体41等に影響が少なければ、カバー47を設けない形態であってもよい。
【0049】
ベース5は、アルミニウム等の金属製ベースで、略矩形形状を有する。
ベース5は、外装ケース2aの第1係止爪2a1と係合して外装ケース2aを係止する第2係止爪5aを外周部に有する。
【0050】
ベース5の上面には、アンテナ基板33と内装ケース2cが取り付けられる。
ベース5には、ベース開口5bが設けられ、アンテナケーブル35とカメラケーブル45とホース92は、ベース開口5bを通って、アンテナ装置1からルーフ100のz方向下方に延びる。
【0051】
カメラ本体41は、不図示のアースプレートを介して、ベース5に接続され、カメラ本体41が接地される。
カメラ本体41とベース5とのアース接続は、ブラケット2c1若しくはカメラケーブル45を介して行われる形態であってもよい。
【0052】
なお、ベース5が樹脂で構成される形態であってもよい。
この場合、ベース5が金属で構成される形態に比べて、軽量化や低コスト化を実現しやすくなる。
また、ベース5が樹脂で構成される場合、カメラ本体41の接地は、カメラケーブル45の一部をルーフ100に接続する、若しくは、プレート(不図示)を使ってカメラ本体41の外部に設けられた基板(不図示)と接続することにより行われる。
【0053】
車両のルーフ100には、ベース5からz方向下方に延びるボルトなど取付部材とアンテナケーブル35とカメラケーブル45とホース92が通る第1開口101が設けられる。
ベース5のルーフ100の上面への固定は、キャプチャーファスナーや爪付きワッシャーやナットなどの取付金具7を使って行われる。
【0054】
ウォッシャー9は、噴射媒体を、カメラ本体41の先端(x方向後側端)に設けられた光学部材(カバー47、レンズ43)と、カメラ用開口21の少なくとも一方がある領域(第1領域)に向けて噴射させる装置で、噴射部91と、タンク(不図示)と、ポンプ(不図示)と、ホース92を有する。
噴射媒体は、水や洗浄液などの液体と、空気などの気体の少なくとも一方を含む。
【0055】
噴射部91は、カメラ本体41よりも高さが高い位置に配置される。
噴射部91は、カメラ本体41の先端(x方向後側端)に設けられた光学部材(カバー47、レンズ43)と、カメラ用開口21の少なくとも一方がある領域、すなわち噴射媒体が噴射される領域よりも高さが高い位置に配置される。
噴射部91の先端における噴射口91aが設けられた領域が、外装ケース2aの背面であってカメラ用開口21よりもz方向上方に設けられたウォッシャー用開口22からx方向後側に突出し、噴射口91aがz方向下方で且つ第1領域に向くように、噴射部91が内装ケース2cの背面に取り付けられる。
【0056】
カメラ用開口21の全面に、噴射媒体が吹き付けられるように、すなわち、カメラ用開口21の全面を含み当該全面よりも広い領域に噴射媒体が吹き付けられるように、噴射口91aとカメラ本体41の位置関係などが決定される。
【0057】
タンクは、液体と気体の少なくとも一方で構成された噴射媒体を保管する。
ポンプは、当該タンクから噴射媒体を汲み出す。
ホース92は、噴射部91と接続され、当該ポンプによって汲み出された噴射媒体が通る。
ホース92は、柔軟性がある樹脂、或いは、硬質な樹脂、或いは、これらの組み合わせで構成される。
【0058】
また、カメラ4で撮像され、映像出力装置(不図示)で出力される画像に、噴射部91の噴射口91aなどが映り込まないように、噴射部91とカメラ4の位置関係、カメラ4の画角、映像出力装置で表示する画像領域などが決定される。
【0059】
噴射部91から、カメラ本体41の先端(x方向後側端)に設けられた光学部材(カバー47、レンズ)と、カメラ用開口21の少なくとも一方がある領域(第1領域)、すなわちカバー47(カバー47が無い場合はレンズ43)など、カメラ本体41の撮像面側に設けられた光学部材に向けて噴射媒体が噴射され、これにより当該光学部材の汚れを洗浄したり当該光学部材に付着したゴミを除去したりすることが可能になる、すなわち、カメラ4で得られる画像をゴミや汚れが無い鮮明な画像にすることが可能になる。
【0060】
カバー47が設けられている場合には、カバー47によって、カメラ本体41やレンズ43に噴射部91から高圧の噴射媒体が当たらないため、カメラ本体41やレンズ43に直接噴射媒体が当たって、カメラ本体41やレンズ43が傷ついたり、噴射媒体がカメラ本体41に浸入したりするのを防ぐことが出来る。
また、カバー47は、着脱可能な状態で、カメラ本体41に取り付けられるので、既存のカバー47が傷ついたり汚れたりした場合などに、当該既存のカバー47を新しいカバー47に取り替えることも可能である。
【0061】
また、噴射部91が第1領域と比べて高い位置に配置されるので、噴射部91の噴射口91aが下方を向くことになり、噴射口91aが上方を向いて配置される形態に比べて、ゴミなどが付着して目詰まりが起きにくく出来る。
【0062】
噴射部91の噴射口91aが、カメラ本体41の先端(x方向後側端)に設けられた光学部材(カバー47、レンズ43)と、カメラ用開口21の少なくとも一方がある領域(第1領域)と比べて高い位置に配置されるので、噴射媒体を上から当該第1領域に噴射させることが可能になる。
このため、噴射媒体が重力でz方向下方に流れる分だけ、噴射媒体を下から上に向けて噴射させる形態に比べて、低い圧力で洗浄することが可能になる。
また、噴射部91から噴射される方向と、重力に従って噴射媒体が流れる方向がほぼ一致するので、噴射媒体を下から上に向けて噴射させる形態に比べて、当該第1領域に噴射媒体が残りにくくすることも可能になる。
また、噴射部91とホース92との接続位置を高い位置に配置出来るため、低い位置に配置する形態に比べて、ホース92を大きく折り曲げずにアンテナ装置1の内部に配線することが出来、ホース92の内部で淀みが発生しにくい状態で、噴射部91に噴射媒体を供給することが可能になる。
【0063】
また、噴射媒体として、温めた状態の液体若しくは気体を使えば、当該第1領域が凍結していても、これを早期に融解させることが出来る。
【0064】
なお、第1実施形態では、アンテナ素子31がx方向前側に配置され、カメラ本体41がx方向後側に配置され、カメラ本体41よりもz方向上方にウォッシャー9の噴射部91が配置される形態を説明したが、アンテナ素子31とカメラ本体41の位置関係はこれに限るものではなく、例えば、アンテナ素子31がx方向後側に配置され、撮像素子の撮像面が車両の前方を向くカメラ本体41がx方向前側に配置される形態であってもよい。
この場合も、ウォッシャー9の噴射部91は、カメラ本体41よりもz方向上方に配置される。
【0065】
また、第1実施形態では、アンテナ素子31を含むアンテナ装置1を例として、アンテナ装置1のアンテナケース2に、カメラ4のカメラ本体41が設けられ、且つ第1領域と比べて高い位置関係でウォッシャー9の噴射部91が設けられる形態を説明したが、アンテナ素子31を含まない車載撮影装置(例えば、車載後方撮影装置)のケースに、カメラ本体41が設けられ、且つ第1領域と比べて高い位置関係で噴射部91が設けられる形態であってもよい。
【0066】
この場合でも、第1領域(カメラ本体41の先端(x方向後側端)に設けられた光学部材(カバー47、レンズ43)と、カメラ用開口21の少なくとも一方がある領域に上方から噴射媒体を吹き付けることが出来るなど、第1領域と比べて高い位置に噴射部91を設けたことのメリットが得られる。
【0067】
第1実施形態では、第1領域と比べて高い位置に噴射部91が設けられる形態を説明した。
第2実施形態~第6実施形態では、第1領域と比べて同じか低い位置に噴射部91が設けられる形態について説明する。
【0068】
(第2実施形態)
第2実施形態におけるアンテナ装置1は、ルーフ100など車両の上面に取り付けられ、アンテナケース2、アンテナ部3、カメラ4、ベース5、取付金具7を備える。
第2実施形態における当該車両は、アンテナ装置1と、さらに、ルーフ100上であってアンテナ装置1と離れた位置に設けられ、アンテナ装置1におけるカメラ用開口21とレンズ43の少なくとも一方がある領域に向けて、液体と気体の少なくとも一方(噴射媒体)を噴射させるウォッシャー9とを備える(図7図10参照)。
【0069】
アンテナケース2は、アンテナ装置1を構成する部材を覆う部材で、外装ケース2a、外装パッド2b、内装ケース2cを有する。
外装ケース2aと内装ケース2cとで、いわゆる二重ケース構造となっており、内装ケース2cとベース5とカメラ4とで、少なくともベース5の上面における防水が確保される。
【0070】
外装ケース2aは、非透光性と電波透過性を有する合成樹脂製(ポリカーボネート(Polycarbonate)とASA(Acrylate Styrene Acrylonitrile)を含む合成樹脂などで形成された樹脂成型品)であり、例えば、x方向前側がx方向後側よりも低くなるように傾斜し、両側面が内側に湾曲したシャークフィン形状を有する。
外装ケース2aは、下面が開口し、アンテナ装置1を構成する部材であって、外装ケース2a以外のもの(内装ケース2c、アンテナ部3、カメラ4など)を、z方向上方から覆う。
【0071】
外装ケース2aには、内壁からz方向下方に突出するように、ベース5への取り付け用の第1係止爪2a1が設けられ、外装ケース2aをベース5に固定する際に、第1係止爪2a1は、ベース5に設けられた第2係止爪5aと係合する。
【0072】
外装ケース2aの背面には、レンズ43に光を入射させて、車両の後方を撮影するため、後述するカメラ本体41のレンズ43及びその近傍を覆わないように、カメラ用開口21が設けられる。
【0073】
カメラ用開口21は、外装ケース2aの背面における左右略中心を通るxz平面上に設けられる。
カメラ用開口21が、外装ケース2aの背面における左右略中心を通るxz平面上を通る位置関係に配置されるため、当該左右略中心から撮影が可能になり、左右のバランスが取れた状態で広範囲の画像を撮影することが可能になる。
また、カメラ用開口21が、外装ケース2aの背面における左右略中心からずれたxz平面上を通る位置関係に配置される形態に比べて、外装ケース2aの背面における左右略中心を通るxz平面上にカメラ本体41など大きな部材を配置出来るので、アンテナ装置1を低背化しやすい。
【0074】
外装パッド2bは、エラストマー(Elastomer)やゴムなどで形成された環状の弾性部材であり、外装ケース2aの下端周縁部に嵌入され、外装ケース2aの下端周縁部と車両との間の隙間の目隠しとして機能する。
外装パッド2bの下端であって、x方向後側の端部には、外装ケース2aとルーフ100の間に浸入した水の排出口として、排水切欠き2b1が設けられる。
【0075】
内装ケース2cは、下面と背面が開口し、アンテナ部3におけるアンテナケーブル35の一部(アンテナ基板33と接続される部分とベース開口5bに挿入される部分の間の領域)と、アンテナ素子31と、カメラ4におけるカメラケーブル45の一部(カメラ本体41と接続される部分とベース開口5bに挿入される部分の間の領域)を、z方向上方から覆う。
【0076】
内装ケース2cの背面における開口した部分には、ブラケット2c1とパッキンを介して、カメラ本体41が取り付けられ、当該ブラケット2c1と当該パッキンによって、内装ケース2cとカメラ本体41の間が密閉される。
【0077】
内装ケース2cは、非透光性と電波透過性を有する合成樹脂製(ポリカーボネート(Polycarbonate)とASA(Acrylate Styrene Acrylonitrile)を含む合成樹脂などで形成された樹脂成型品)である。
内装ケース2cの下端部には、ベース5とネジ止めするために使用されるネジ孔が設けられる。
【0078】
アンテナ部3は、アンテナ素子31、アンテナ基板33、アンテナケーブル35を有する。
【0079】
アンテナ素子31は、衛星放送受信用やGPS受信用やデジタル放送受信用の平面アンテナなどで構成される形態であってもよいし、AM/FM放送の受信用に容量装荷素子などの上部エレメントと波長短縮素子などの下部エレメントとで構成される形態であってもよいし、V2X(車車間・路車間通信)用や通信端末用のアンテナなどで構成される形態であってもよく、アンテナ基板33などを介してベース5に取り付けられる。
第2実施形態では、ベース5にアンテナ基板33が取り付けられ、無給電素子が上面に配置され、受信周波数が2.4GHzであるパッチアンテナを含むアンテナ素子31がアンテナ基板33に実装される形態を説明するが、アンテナ素子31は、内装ケース2c若しくは外装ケース2aの内壁に取り付けられる形態であってもよい。
【0080】
アンテナケーブル35は、アンテナ基板33に設けられたアンテナアンプに電力を供給したり、アンテナ素子31で得られた信号を出力したりするために使用される。
アンテナ基板33から延びるアンテナケーブル35は、ベース開口5b、第1開口101を通って、ルーフ100のz方向下方に延びる。
【0081】
カメラ4は、CMOSなどの撮像素子を含むカメラ本体41、レンズ43、カメラケーブル45、カバー47を有する。
カメラ4は、カメラ本体41における撮像素子の撮像面が車両の後方を向くように配置される。
カメラ本体41で得られる画像信号は、動画像に対応するものであっても静止画像に対応するものであってもよい。
カメラ本体41における、回路基板や撮像素子を保持すると共に、レンズ43が設けられる略x方向後側以外を覆う筐体は、シールド導体を兼ねた金属(例えば、アルミニウム)で構成される。
【0082】
カメラ本体41の略x方向後側には、撮像素子の撮像面と対向するようにレンズ43が設けられる。
カメラ用開口21を介して、カメラ本体41のレンズ43に当該後方からの光が入射する。
カメラ本体41とレンズ43は、外装ケース2aのカメラ用開口21と対向する位置、すなわち、外装ケース2aの背面における左右略中心を通るxz平面上で且つカメラ用開口21と同じ高さの位置になるように、配置される。
カメラ用開口21、カメラ本体41、及びレンズ43が、いずれも外装ケース2aの背面における左右略中心を通るxz平面上を通り、略同じ高さの位置関係に配置されるため、カメラ用開口21からレンズ43に光を導く導光路を設ける必要がなく、必要最小限の大きさでアンテナ装置1にカメラ4を構成することが可能になる。
【0083】
ただし、カメラ本体41とレンズ43が、外装ケース2aのカメラ用開口21と対向しない位置に配置される形態であってもよい。
この場合には、カメラ用開口21とレンズ43の間を連結する筒状の導光路が設けられ、当該導光路の中にミラーなどの導光部材が設けられる形態であってもよい。
これによって、アンテナ装置1内におけるカメラ本体41などの配置の自由度を高めることが出来る。
後述するウォッシャー9の噴射部91から、当該導光部を介して、レンズ43がある領域まで、噴射媒体が噴射される。
【0084】
カメラ本体41に電力や制御信号を供給したり、カメラ本体41で得られた画像信号を出力したりするために使用されるカメラケーブル45は、カメラ本体41の略x方向前側から、パッキン、ブラケット2c1、内装ケース2c、ベース開口5b、第1開口101を通って、ルーフ100のz方向下方に延びる。
【0085】
カメラ本体41から延びるカメラケーブル45は、撮像素子の撮像面に垂直な略x方向で且つ略x方向前側に直線的に延び、ベース開口5bの上方近傍でz方向下側に折り曲げられてz方向下側に延びる。
【0086】
レンズ43の略x方向後側と側面を覆う領域には、レンズ43の保護のため、透光性を有する合成樹脂で形成されたカバー47が設けられる。
カバー47は、カメラ本体41とでレンズ43を密閉するように、カメラ本体41にネジ47aなどで着脱可能な状態で取り付けられる。
すなわち、カメラ用開口21とレンズ43の間には、カバー47が配置される。
【0087】
なお、レンズ43がカバー47で覆われる形態を説明するが、カメラ用開口21がカバー47で覆われる形態や、カメラ用開口21とレンズ43がカバー47で覆われる形態であってもよい。
また、カバー47は、カメラ本体41に取り付けられる形態に限らず、外装ケース2a(の内壁など)に取り付けられる形態であってもよい。
【0088】
ベース5は、アルミニウム等の金属製ベースで、略矩形形状を有する。
ベース5は、外装ケース2aの第1係止爪2a1と係合して外装ケース2aを係止する第2係止爪5aを外周部に有する。
【0089】
ベース5の上面には、アンテナ基板33と内装ケース2cが取り付けられる。
ベース5には、ベース開口5bが設けられ、アンテナケーブル35とカメラケーブル45は、ベース開口5bを通って、アンテナ装置1からルーフ100のz方向下側に延びる。
【0090】
カメラ本体41は、不図示のアースプレートを介して、ベース5に接続され、カメラ本体41が接地される。
カメラ本体41とベース5とのアース接続は、ブラケット2c1若しくはカメラケーブル45を介して行われる形態であってもよい。
【0091】
なお、ベース5が樹脂で構成される形態であってもよい。
この場合、ベース5が金属で構成される形態に比べて、軽量化や低コスト化を実現しやすくなる。
また、ベース5が樹脂で構成される場合、カメラ本体41の接地は、カメラケーブル45の一部をルーフ100に接続する、若しくは、プレート(不図示)を使ってカメラ本体41の外部に設けられた基板(不図示)と接続することにより行われる。
【0092】
車両のルーフ100には、ベース5からz方向下方に延びるボルトなど取付部材とアンテナケーブル35とカメラケーブル45が通る第1開口101と、ウォッシャー9の噴射部91若しくはホース92が通る第2開口102とが設けられる。
ベース5のルーフ100の上面への固定は、キャプチャーファスナーや爪付きワッシャーやナットなどの取付金具7を使って行われる。
噴射部91のルーフ100の上面への固定は、噴射部91に取り付けられたホース92がルーフ100の上方から第2開口102に挿入され、噴射部91を第2開口102に掛け止めするなどして行われる。
【0093】
ウォッシャー9は、水や洗浄液などの液体と空気などの気体の少なくとも一方(噴射媒体)を、カメラ本体41の先端(x方向後側端)に設けられた光学部材(カバー47、レンズ43)と、カメラ用開口21の少なくとも一方がある領域(第1領域)に向けて噴射させる装置で、噴射部91と、タンク(不図示)と、ポンプ(不図示)と、ホース92を有する。
噴射部91は、ルーフ100上であって、カメラ用開口21よりもx方向後側に設けられた第2開口102からz方向上方に突出するように設けられる。
タンクは、液体と気体の少なくとも一方で構成された噴射媒体を保管する。
ポンプは、当該タンクから噴射媒体を汲み出す。
ホース92は、噴射部91と接続され、当該ポンプによって汲み出された噴射媒体が通る。
ホース92は、柔軟性がある樹脂、或いは、硬質な樹脂、或いは、これらの組み合わせで構成される。
【0094】
噴射部91は、カメラ本体41よりも高さが低い位置に配置される。
噴射部91は、カメラ本体41の先端(x方向後側端)に設けられた光学部材(カバー47、レンズ43)と、カメラ用開口21の少なくとも一方がある領域(第1領域)、すなわち噴射媒体が噴射される領域と同じ高さか、当該領域よりも高さが低い位置に配置される。
第2実施形態~第4実施形態、及び第6実施形態では、噴射部91は、当該領域よりも高さが低い位置に配置され、第5実施形態では、噴射部91は、当該領域と同じ高さの位置に配置される。
【0095】
カメラ用開口21の全面に、噴射媒体が吹き付けられるように、すなわち、カメラ用開口21の全面を含み当該全面よりも広い領域に噴射媒体が吹き付けられるように、噴射口91aとカメラ本体41の位置関係などが決定される。
【0096】
第2実施形態では、外装ケース2aよりもx方向後側で、且つ外装ケース2aから離れた位置関係で、噴射部91が車両のルーフ100に取り付けられる。
また、カメラ4で撮像され、映像出力装置(不図示)で出力される画像に、噴射部91が映り込まないように、噴射部91とカメラ4の位置関係、カメラ4の画角、映像出力装置で表示する画像領域などが決定される。
【0097】
噴射部91から、カメラ本体41の先端(x方向後側端)に設けられた光学部材(カバー47、レンズ43)と、カメラ用開口21の少なくとも一方がある領域(第1領域)、すなわちカバー47(カバー47が無い場合はレンズ43)など、カメラ本体41の撮像面側に設けられた光学部材に向けて噴射媒体が噴射され、これにより当該光学部材の汚れを洗浄したり当該光学部材に付着したゴミを除去したりすることが可能になる、すなわち、カメラ4で得られる画像をゴミや汚れが無い鮮明な画像にすることが可能になる。
【0098】
カバー47が設けられている場合には、カバー47によって、カメラ本体41やレンズ43に噴射部91から高圧の噴射媒体が当たらないため、カメラ本体41やレンズ43に直接噴射媒体が当たって、カメラ本体41やレンズ43が傷ついたり、噴射媒体がカメラ本体41に浸入したりするのを防ぐことが出来る。
また、カバー47は、着脱可能な状態で、カメラ本体41に取り付けられるので、既存のカバー47が傷ついたり汚れたりした場合などに、当該既存のカバー47を新しいカバー47に取り替えることも可能である。
【0099】
噴射部91が第1領域と比べて同じか低い位置に配置されるので、噴射媒体を横から若しくは下から当該領域に噴射させることが可能になり、ウォッシャー9の噴射部91を当該領域よりも高い位置に配置して、噴射媒体を上から噴射させる形態に比べて、噴射媒体の経路(ホース92の長さ)を短くすることが可能になる。
【0100】
また、アンテナケース2から離れた位置に、噴射部91やホース92が設けられるので、噴射部91やホース92に流れる噴射媒体によるアンテナ素子31の干渉を抑制することが出来る。
なお、アンテナ素子31から第1距離d1(アンテナ素子31の受信周波数の略λ/4)よりも離れた位置に、噴射部91やホース92が設けられた場合には、噴射部91がアンテナ素子31よりもz方向上方に位置しても、噴射部91やホース92に流れる噴射媒体によってアンテナ素子31の干渉が生じる可能性は少ない。
【0101】
また、噴射媒体として、温めた状態の液体若しくは気体を使えば、カメラ用開口21がある領域が凍結していても、これを早期に融解させることが出来る。
【0102】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する(図11図17参照)。
第2実施形態では、アンテナケース2から離れて、噴射部91が配置されるが、第3実施形態では、アンテナケース2に噴射部91が取り付けられる。
以下、第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0103】
第3実施形態におけるアンテナ装置1は、ルーフ100など車両の上面に取り付けられ、アンテナケース2、アンテナ部3、カメラ4、ベース5、取付金具7、ウォッシャー9を備え、第3実施形態における外装ケース2aのx方向後側には、噴射部91を保持するウォッシャー保持部2dが設けられる。
【0104】
ウォッシャー保持部2dは、噴射部91が取り付けられる孔を有する底面部2d1と、底面部2d1におけるy方向右側端でz方向上方に延びる右側面部2d2と、底面部2d1におけるy方向左側端でz方向上方に延びる左側面部2d3を有し、底面部2d1におけるx方向前側端は、外装ケース2aの背面に接続される。
【0105】
ウォッシャー保持部2dは、外装ケース2aと一体的に構成される形態であってもよいし、別体で外装ケース2aに取り付けられる形態であってもよい。
【0106】
外装パッド2bは、外装ケース2aと対向する部分だけでなく、ウォッシャー保持部2dと対向する部分にも設けられ、ウォッシャー保持部2dの底面部2d1における噴射部91が取り付けられる孔に対向する位置にホース92が通る孔を備える。
【0107】
右側面部2d2及び左側面部2d3における噴射部91のy方向の側面が対向する領域が底面部2d1よりもz方向上方に突出する量は、噴射部91が底面部2d1よりもz方向上方に突出する量よりも多くなるように、右側面部2d2、左側面部2d3、及び噴射部91の大きさや位置関係が決定される。
【0108】
噴射部91のルーフ100の上面への固定は、噴射部91に取り付けられたホース92が、底面部2d1の上方から、底面部2d1の孔と外装パッド2bの孔とルーフ100の第2開口102に挿入され、噴射部91を底面部2d1の孔に掛け止めするなどして行われる。
なお、第2開口102を設けずに、ホース92を、ベース5の上であって、且つアンテナ素子31よりもz方向下側の領域に配置して、ベース開口5bと第1開口101を通って、ルーフ100のz方向下側に引き出される形態であってもよい。
【0109】
アンテナケース2に噴射部91が取り付けられることにより、アンテナケース2から離れた位置に噴射部91が設けられる形態に比べて、走行中の風が噴射部91に当たりにくくなり、噴射部91による風切り音の発生を抑制することが可能になる。
また、右側面部2d2と左側面部2d3により、噴射部91のy方向の側面を覆うので、横風によって噴射部91から噴射される噴射媒体がy方向にずれるのを防ぐことが可能になる。
また、ホース92がアンテナケース2の内側を通るので、アンテナケース2の外側にホース92が通る形態に比べて、アンテナケーブル35などと一緒に配線しやすく出来る。
【0110】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する(図18図22参照)。
第2実施形態では、アンテナケース2から離れて噴射部91が構成され、第3実施形態では、外装ケース2aの背面に設けられたウォッシャー保持部2dに噴射部91が取り付けられるが、第4実施形態では、外装ケース2aの背面に噴射部91が取り付けられる。
以下、第2実施形態、及び第3実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0111】
第4実施形態におけるアンテナ装置1は、ルーフ100など車両の上面に取り付けられ、アンテナケース2、アンテナ部3、カメラ4、ベース5、取付金具7、ウォッシャー9を備え、第4実施形態における外装ケース2aには、カメラ用開口21に加えて、ウォッシャー用開口22が設けられる。
【0112】
カメラ用開口21は、外装ケース2aの背面における左右略中心を通るxz平面上に設けられ、ウォッシャー用開口22は、外装ケース2aの背面における左右略中心を通るxz平面上であって、カメラ用開口21よりも下方に設けられる。
噴射部91は、先端(ノズルがある部分)が、ウォッシャー用開口22からx方向後側に突出するように取り付けられる。
【0113】
ホース92は、ベース5の上であって、アンテナ素子31よりもz方向下側の領域を通り、ベース開口5bと第1開口101を通って、ルーフ100のz方向下側に延びる。
従って、第4実施形態では、ルーフ100に第2開口102は設けられない。
【0114】
第4実施形態では、アンテナケース2の内部に、噴射部91とホース92が配置され、ホース92が第1開口101を通って配置されるため、ルーフ100に設けた1つの開口(第1開口101)を使って、ウォッシャー9を含むアンテナ装置1をルーフ100に取り付けることが可能になる。
【0115】
アンテナケース2に噴射部91が設けられることにより、アンテナケース2から離れた位置に噴射部91が設けられる形態に比べて、走行中の風が噴射部91に当たりにくくなり、噴射部91による風切り音の発生を抑制することが可能になる。
【0116】
ホース92は、第1開口101を通って、z方向下側に配線されるため、アンテナ素子31とホース92との距離dは短くなるが、ウォッシャー9(噴射部91、ホース92)はアンテナ素子31よりもz方向下側に位置するため、噴射部91やホース92に流れる噴射媒体によるアンテナ素子31の干渉を抑制することが出来る。
【0117】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する(図23図24参照)。
第2実施形態~第4実施形態では、カメラ用開口21とカメラ本体41とレンズ43が、外装ケース2aの背面における左右略中心を通るxz平面上を通る位置関係に配置される形態を説明したが、第4実施形態では、カメラ用開口21とカメラ本体41とレンズ43が、外装ケース2aの背面における左右略中心からずれたxz平面上を通る位置関係に配置される。
以下、第2実施形態~第4実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0118】
第5実施形態におけるアンテナ装置1は、ルーフ100など車両の上面に取り付けられ、アンテナケース2、アンテナ部3、カメラ4、ベース5、取付金具7、ウォッシャー9を備え、第5実施形態におけるカメラ用開口21とカメラ本体41とレンズ43は、外装ケース2aの背面における左右略中心からx方向後側から見てy方向右側にずれたxz平面上を通る位置関係に配置される。
【0119】
これにより、x方向後側から見てy方向左側(カメラ4が設けられていない側)に空きスペースが出来るので、空きスペースに他の部品を配置することが可能になる。
例えば、ウォッシャー用開口22を、カメラ用開口21と同じ高さで、x方向後側から見てy方向左側に設け、すなわち、噴射部91を、カメラ用開口21とレンズ43の少なくとも一方がある領域と同じ高さに配置し、x方向後側から見てy方向左側から噴射媒体をカメラ用開口21(x方向後側から見てy方向右側)に向けて噴射させることが可能になる。
この場合でも、噴射部91やホース92に流れる噴射媒体によるアンテナ素子31の干渉を抑制するため、アンテナ素子31から第1距離d1(アンテナ素子31の受信周波数の略λ/4)の範囲内では、噴射部91やホース92をアンテナ素子31よりも高さが低い位置に配置するのが望ましい。
【0120】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する(図25図26参照)。
第2実施形態~第5実施形態では、噴射部91のノズルがアンテナケース2の外側に配置され、アンテナケース2の外側からカメラ用開口21とレンズ43の少なくとも一方がある領域に向けて噴射媒体が噴射されるが、第6実施形態では、噴射部91のノズルがアンテナケース2の内側に配置され、アンテナケース2の内側(外装ケース2aと内装ケース2cの間の領域)でレンズ43がある領域に向けて噴射媒体が噴射される。
以下、第5実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0121】
第6実施形態におけるアンテナ装置1は、ルーフ100など車両の上面に取り付けられ、アンテナケース2、アンテナ部3、カメラ4、ベース5、取付金具7、ウォッシャー9を備える。
第6実施形態における内装ケース2cとベース5の間、内装ケース2cとカメラ本体41の間、及びカメラ本体41とカバー47の間は、パッキンや防水パッドを用いて、防水可能な密閉構造とされる(第1実施形態~第5実施形態における当該領域についても、防水可能な密閉構造とされていてもよい)。
少なくとも先端のノズルが、外装ケース2aと内装ケース2cの間に配置された状態で、噴射部91は外装ケース2aから離れてベース5などに取り付けられる。
第6実施形態では、第5実施形態と比べて、外装ケース2aの背面の下部は、x方向後側に突出した形状を有し、カバー47は、噴射部91のノズルよりもx方向前側に位置するように配置される。
【0122】
これにより、外部から見えにくい状態で、アンテナ装置1にカメラ4の洗浄のためのウォッシャー9を配置することが可能になって、アンテナ装置1の見栄えが良くなる。
また、ウォッシャー9から発せられる噴射媒体がアンテナ装置1の外部に飛散するのを抑えることも出来る。
噴射部91から発せられる噴射媒体の一部は、カバー47で反射して外装ケース2aの内部に落ちる可能性があるが、アンテナ素子31やカメラ本体41の撮像素子などの電子部品が配置された内装ケース2cとベース5の間の密閉空間(二重ケース構造の内側空間)には浸入せず、排水切欠き2b1を介して外装ケース2aの外側に排出される。
【0123】
なお、第2実施形態~第6実施形態では、アンテナ素子31がx方向前側に配置され、カメラ本体41がx方向後側に配置され、カメラ本体41よりもx方向後側にウォッシャー9が配置される形態を説明したが、アンテナ素子31とカメラ本体41の位置関係はこれに限るものではなく、例えば、アンテナ素子31がx方向後側に配置され、撮像素子の撮像面が車両の前方を向くカメラ本体41がx方向前側に配置される形態であってもよい。
この場合には、ウォッシャー9は、カメラ本体41よりもx方向前側に配置される。
【0124】
また、第2実施形態~第6実施形態では、アンテナ素子31を含むアンテナ装置1を例として、アンテナ装置1のアンテナケース2に、カメラ4のカメラ本体41が設けられ、且つ第1領域と比べて同じか低い位置関係でウォッシャー9の噴射部91が設けられる形態を説明したが、アンテナ素子31を含まない車載撮影装置(例えば、車載後方撮影装置)のケースに、カメラ本体41が設けられ、且つ第1領域と比べて同じか低い位置関係で噴射部91が設けられる形態であってもよい。
【0125】
この場合でも、第1領域(カメラ本体41の先端(x方向後側端)に設けられた光学部材(カバー47、レンズ43)と、カメラ用開口21の少なくとも一方がある領域に横から若しくは下から噴射媒体を吹き付けることが出来るなど、第1領域と比べて同じか低い位置に噴射部91を設けたことのメリットが得られる。
【0126】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0127】
1 アンテナ装置
2 アンテナケース
2a 外装ケース
2a1 第1係止爪
2b 外装パッド
2b1 排水切欠き
2c 内装ケース
2c1 ブラケット
2d ウォッシャー保持部
2d1 底面部
2d2 右側面部
2d3 左側面部
21 カメラ用開口
22 ウォッシャー用開口
3 アンテナ部
31 アンテナ素子
33 アンテナ基板
35 アンテナケーブル
4 カメラ
41 カメラ本体
43 レンズ
45 カメラケーブル
47 カバー
47a ネジ
5 ベース
5a 第2係止爪
5b ベース開口
7 取付金具
9 ウォッシャー
91 噴射部
92 ホース
100 ルーフ
101 第1開口
102 第2開口
d アンテナ素子と噴射部やホースの距離
d1 第1距離
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