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特許7083821制御された光強度で対象物を照明するための装置および関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】制御された光強度で対象物を照明するための装置および関連する方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20220606BHJP
   A61N 5/06 20060101ALI20220606BHJP
【FI】
A61F9/007 190Z
A61N5/06 Z
A61F9/007 180
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019518135
(86)(22)【出願日】2017-06-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2017064827
(87)【国際公開番号】W WO2017216371
(87)【国際公開日】2017-12-21
【審査請求日】2020-05-18
(31)【優先権主張番号】16305741.7
(32)【優先日】2016-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518059934
【氏名又は名称】ソルボンヌ・ユニヴェルシテ
【氏名又は名称原語表記】SORBONNE UNIVERSITE
(73)【特許権者】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(73)【特許権者】
【識別番号】507241492
【氏名又は名称】アンスティトゥート・ナシオナル・ドゥ・ラ・サンテ・エ・ドゥ・ラ・ルシャルシュ・メディカル・(インセルム)
(73)【特許権者】
【識別番号】518445724
【氏名又は名称】ジェンサイト・バイオロジクス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル・シャヴァス
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム・シュネグロ
(72)【発明者】
【氏名】バンジャマン・エール・ベノスマン
【審査官】小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-526188(JP,A)
【文献】特表2017-530398(JP,A)
【文献】国際公開第2016/045897(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0129043(US,A1)
【文献】米国特許第05521392(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
A61N 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御された光強度で対象物(12)を照明するための装置(10)であって、前記光強度は、前記光強度が、満たすべき複数の条件(C1、C2、C3)を満たすときに制御されており、前記複数の条件(C1、C2、C3)は、所与の時間における強度に対する条件(C1、C2)およびある期間の間の線量に対する条件(C3)を含み、
- ビーム強度が前記満たすべき条件(C1、C2、C3)のうちの少なくとも1つを満たしていないビームを生成するように構成された光源(14)と、
- 入射ビームの強度を測定するように構成されたフォトダイオード(16)と、
- 入口から少なくとも1つの出口まで光を伝達するように構成された光学システム(18)であって、前記光源(14)、前記フォトダイオード(16)および前記光学システム(18)は、前記装置(10)が2つの異なる構成、すなわち、前記光源(14)によって放射された光の第1の部分が前記対象物(12)に伝達され、および前記光源(14)によって放射された光の第2の部分が前記フォトダイオード(16)に伝達される動作構成、並びに通常動作では、前記光源(14)によって生成された光が前記対象物(12)へも前記フォトダイオード(16)へも送られない制御構成を有するように配置されている、光学システム(18)と、
- 前記装置(10)が前記制御構成にあるときに前記フォトダイオード(16)上で測定された強度に基づいて、および前記満たすべき条件(C1、C2、C3)に基づいて前記第1の部分の値を制御するように構成されたコントローラ(20)と、
を含み、
前記光学システム(18)が複数の反射器(30)を含み、各反射器(30)は3つの位置、すなわち、前記反射器(30)が前記入射ビームを前記対象物(12)に向けて反射する第1の位置と、前記反射器(30)が前記入射ビームをフォトダイオード(16)に向けて反射する第2の位置と、前記反射器(30)が前記入射ビームを前記対象物(12)へも前記フォトダイオード(16)へも反射しない第3の位置とを有しており、前記コントローラ(20)は各反射器(30)の前記位置を指令するように構成されており、
前記複数の反射器(30)の各反射器(30)は、異常動作において前記位置のうちの1つで阻まれることがあり、
前記制御構成(M2)は、各反射器(30)が前記第1の位置または前記第3の位置にある構成に対応しており、
前記コントローラは、前記制御構成(M2)における前記装置(10)の異常動作に起因して前記対象物(12)を照明する強度を決定するように構成されている、装置。
【請求項2】
満たすべき1つの条件(C1)は、任意の所与の時間における光強度が最大強度より下にあるかまたはそれに等しいことである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
満たすべき1つの条件(C2)は、任意の所与の時間における光強度が最小強度より上にあるかまたはそれに等しいことである、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
満たすべき1つの条件(C3)が、前記期間の間の前記線量が最大値より下にあるかまたはそれに等しいことである、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
記装置(10)は、前記コントローラ(20)が各反射器を前記第1の位置に、または前記第2の位置にあるように指令するときに前記動作構成にあり、前記装置(10)は、各反射器(30)が前記第3の位置にあるように指令されるときに前記制御構成にある、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記コントローラ(20)はさらに、前記装置(10)が前記制御構成にあるときに前記フォトダイオード(16)上で測定された強度に基づいて、および前記満たすべき条件(C1、C2、C3)に基づいて、前記第1の位置に移すべき反射器(30)の数を推定するように構成されており、前記推定された数のミラーに前記第1の位置に移るように指令する、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記光源(14)が光源のマトリクスであり、各光源が2つの状態、すなわち、前記光源が光を放射しない非供給状態、および前記光源が光を放射する供給状態を有しており、前記コントローラ(20)は、各光源の前記状態を制御するように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
照明すべき平面が前記対象物(12)に対して画定され、前記光源(14)および前記光学システム(18)の少なくとも一方は、前記装置(10)が前記動作構成にあるときに、光の強度の異なるレベルで照明されるいくつかの独立した空間領域を前記照明すべき前記平面内に画定することができるようにある、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記光学システム(18)は、点拡がり関数がシステム出力において25μmより下にあることを保証する光学部品を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記光学システム(18)は、光学収差を修正するように構成されたシステムを含み、光学収差を修正するために構成された前記システムは調整可能である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
光学収差を修正するために構成された前記システムが液体レンズである、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
制御された光強度で対象物(12)を照明する方法であって、前記光強度は、前記光強度が満たすべき複数の条件(C1、C2、C3)を満たすときに制御されており、前記複数の条件(C1、C2、C3)は、所与の時間における強度に対する条件(C1、C2)およびある期間の間の線量に対する条件(C3)を含み、
- 制御された光強度で対象物(12)を照明するための装置(10)を設けるステップであって、前記装置(10)は、
- ビーム強度が前記満たすべき条件(C1、C2、C3)のうちの少なくとも1つを満たしていないビームを生成するように構成された光源(14)と、
- 入射ビームの強度を測定するように構成されたフォトダイオード(16)と、
- 入口から少なくとも1つの出口まで光を伝達するように構成された光学システム(18)であって、前記光源(14)、前記フォトダイオード(16)および前記光学システム(18)は、前記装置(10)が2つの異なる構成、すなわち、前記光源(14)によって放射された光の第1の部分が前記対象物(12)に伝達され、および前記光源(14)によって放射された光の第2の部分が前記フォトダイオード(16)に伝達される動作構成、並びに通常動作では、前記光源(14)によって生成された光が対象物(12)へも前記フォトダイオード(16)へも送られない制御構成を有するように配置されている、光学システム(18)と、
- 前記第1の部分の値を制御するように構成されたコントローラ(20)とを含む、設けるステップと、
- 前記制御構成で動作するように前記装置(10)を指令するステップと、
- 前記フォトダイオード(16)の強度を測定するステップと、
- 前記測定された強度に基づいて、前記制御構成における前記装置(10)の異常動作に起因して前記対象物(12)を照明する強度を決定するステップと、
- 前記決定された光強度および前記満たすべき条件(C1、C2、C3)に基づいて、前記動作構成において放射すべき光の前記第1の部分を推定するステップと、
- 前記装置(10)に、前記推定された第1の部分に等しい前記第1の部分の値を有する前記動作構成にあるように指令するステップと、を含み、
前記光学システム(18)が複数の反射器(30)を含み、各反射器(30)は3つの位置、すなわち、前記反射器(30)が前記入射ビームを前記対象物(12)に向けて反射する第1の位置と、前記反射器(30)が前記入射ビームをフォトダイオード(16)に向けて反射する第2の位置と、前記反射器(30)が前記入射ビームを前記対象物(12)へも前記フォトダイオード(16)へも反射しない第3の位置とを有しており、前記コントローラ(20)は各反射器(30)の前記位置を指令するように構成されており、
前記複数の反射器(30)の各反射器(30)は、異常動作において前記位置のうちの1つで阻まれることがあり、
前記制御構成(M2)は、各反射器(30)が前記第1の位置または前記第3の位置にある構成に対応しており、
前記コントローラは、前記制御構成(M2)における前記装置(10)の異常動作に起因して前記対象物(12)を照明する強度を決定するように構成されている、方法。
【請求項13】
前記対象物(12)は、前記装置(10)の使用者の視力を回復または改善する対象物である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記対象物(12)が光反応性タンパク質を発現する少なくとも1つの細胞を含む、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
光反応性タンパク質は、光駆動性イオンチャネルからなる群から選択される、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御された光強度で対象物を照明するための装置に関する。本発明は関連する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
光遺伝学は、細胞の活動を制御および監視するために光学と遺伝学の技術を組み合わせることに基づいている。それは、(i)細胞膜における外因性の光反応性タンパク質の発現によって標的細胞を光に対して感受性にするために標的細胞を遺伝子改変すること、および(ii)前記光反応性タンパク質に光を提供できる照明装置を提供することからなる。
【0003】
例えば、それはヒトを含む、生きている動物(Boyden et al., 2005, Nature Neuroscience 8(9):1263-68)、とくに眼(Busskamp et al., 2012, Gene Therapy 19(2):169-75)の神経機能を回復するために使用することができる選択的なニューロン活性化/抑制のための非常に強力なツールである。
【0004】
光の選択される波長は、光反応性タンパク質の最適波長に近接することになっており(Nagel et al, 2003, Proceedings of the National Academy of Sciences 100(24): 13940-45, Klapoetke et al. 2014, Nature Methods 11 (3): 338-46)、およびこれらのタンパク質は光に対して非常に低い感度を有していること(Asrican et al. 2013, Front Neural Circuits, 2013, 7:160; Busskamp et al. 2012, Gene Therapy 19(2): 169-75)が示されている。従って、光による最小レベルのタンパク質活性化を得るためには、標的細胞またはタンパク質が受ける光の強度は最小値より高くなるであろう(Barrett et al., 2014, Visual Neuroscience 31 (4-5): 345-354)。
【0005】
しかしながら、十分な光がその活性化を提供するために光反応性タンパク質に到達しなければならないが、組織または細胞の熱および光毒性を最小限に抑えることが必要とされる(Yan et al. 2016, Vision Research 121: 57-71)。所与の期間の間の光の線量がいかなる組織または細胞の損傷も引き起こさないことを保証することがさらに望ましい。強度に対する、および線量に対する光生物学的および眼科的な設定閾値は従来技術において知られている(例えば、ISO 15004-2 2016; “ISO 62471:2006” 2016; §8.3 of “ANSI Z136 Standards - LIA” 2014を参照)。強度は、放射照度(mW/mmまたは光子.cm.s-1)として定義され、所与の期間内の線量は、その期間にわたる強度の積分(mJ/mmまたは光子.cm-2)として定義される。
【0006】
従って、放射される光の強度を制御することができ、および/または対応する線量が最大値を超えないように保証することができる照明装置を提供することが望ましい。
【0007】
さらに、外因性の光反応性タンパク質を発現することにおいて患者間で変動性があり得、および羞明に対する閾値は患者間で非常に変動しやすく(Hamel 2006, Orphanet Journal of Rare Diseases 1:40)、それ故患者に送られる強度を適合させ得ることが望ましい。
【0008】
同様に、眼はそれ自体が、近視、遠視および乱視のような収差を含む光学収差を有する光学システムである(Navarro, et al. 1998, Journal of the Optical Society of America A 15(9):2522)。光学収差はまた、正視眼にも存在し、そして光生物学的および眼科的標準において考慮されている(ISO 15004-2, 2007; ISO 62471, 2006)。これらの収差は、光活性化可能タンパク質が受ける光強度を減少させる可能性があり、従って、これらの欠点を少なくとも部分的に修正することができる照明装置を提供することが望ましい。
【0009】
小型化された照明装置を提供することがさらに望ましく、それにより日常的にヒトが着用可能な装置に挿入することができる。
【0010】
生体外での実験に対する光遺伝学的タンパク質をシミュレートするために現在利用可能な照明装置が構築されているが(Degenaar et al. 2009, Journal of Neural Engineering 6(3): 35007; Grossman et al. 2010, Journal of Neural Engineering 7(1): 16004)、それらは小型化されておらず、まだヒトの使用には適していない。
【0011】
ヘッドマウントディスプレイは、拡張現実感、仮想現実感、または映画ディスプレイに使用される。
【0012】
しかしながら、これらのヘッドマウントディスプレイによって提供される光強度は十分ではなく、光反応性タンパク質を刺激するように構成可能ではなく、それ故光遺伝学的用途には適していない。
【0013】
従って、対象物を、特にこの対象物が生細胞または組織であるときに、制御された光強度で照明するように構成された照明装置が依然として強く必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】米国特許出願公開第2014-0121265号明細書
【文献】米国特許第8,906,360号明細書
【非特許文献】
【0015】
【文献】Boyden et al., 2005, Nature Neuroscience 8(9):1263-68
【文献】Busskamp et al., 2012, Gene Therapy 19(2):169-75
【文献】Nagel et al, 2003, Proceedings of the National Academy of Sciences 100(24): 13940-45, Klapoetke et al. 2014, Nature Methods 11 (3): 338-46
【文献】Asrican et al. 2013, Front Neural Circuits, 2013, 7:160; Busskamp et al. 2012, Gene Therapy 19(2): 169-75
【文献】Barrett et al., 2014, Visual Neuroscience 31 (4-5): 345-354
【文献】Yan et al. 2016, Vision Research 121: 57-71
【文献】ISO 15004-2 2016; “ISO 62471:2006” 2016; §8.3 of “ANSI Z136 Standards - LIA” 2014
【文献】Hamel 2006, Orphanet Journal of Rare Diseases 1:40
【文献】Navarro, et al. 1998, Journal of the Optical Society of America A 15(9):2522
【文献】ISO 15004-2, 2007; ISO 62471, 2006
【文献】Degenaar et al. 2009, Journal of Neural Engineering 6(3): 35007; Grossman et al. 2010, Journal of Neural Engineering 7(1): 16004
【文献】Vann and Xiong, 2016, Int. J. Physiol. Pathophysiol. Pharmacol., 8, 1-8
【文献】Lanyi, J K, 2004, Annu Rev Physiol. 66:665-88
【文献】Lanyi, J K, 1990, Physiol Rev. 70:319-30
【文献】Hadjinicolaou et al. 2015, Clin Exp Optom., 98, 395-410
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、実施がより簡単な、制御された光強度で対象物を照明するための装置を提案することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的のために、本発明は、制御された光強度で対象物を照明するための装置に関し、光強度は、光強度が満たすべき複数の条件を満たすときに制御されており、複数の条件は、所与の時間における強度に対する条件およびある期間の間の線量に対する条件を含み、装置は、ビーム強度が満たすべき条件のうちの少なくとも1つを満たさないビームを生成するように構成された光源を含む。装置は、入射ビームの強度を測定するように構成されたフォトダイオードおよび光を入口から少なくとも1つの出口まで伝達するように構成された光学システムを備え、光源、フォトダイオードおよび光学システムは、装置が、2つの異なる構成、すなわち、光源によって放射された光の第1の部分が対象物に伝達され、および光源によって放射された光の第2の部分がフォトダイオードに伝達される動作構成、並びに通常動作では、光源によって生成された光が対象物へもフォトダイオードへも送られない制御構成を有するように配置されている。装置はまた、装置が制御構成にあるときにフォトダイオード上で測定された強度に基づいて、および満たすべき条件に基づいて、第1の部分の値を制御するように構成されたコントローラを含む。
【0018】
有利であるが必須ではない本発明のさらなる態様によれば、装置は、任意の技術的に許容される組み合わせにおいて採用される以下の特徴のうちの1つまたはいくつかを組み込んでもよい。
- 満たすべき1つの条件は、任意の所与の時点における光強度が最大強度より下にあるかまたはそれに等しいことである。
- 満たすべき1つの条件は、任意の所与の時間における光強度が最小強度より上にあるかまたはそれに等しいことである。
- 満たすべき1つの条件は、その期間の間の線量が最大値より下にあるかまたはそれに等しいことである。
- 光学システムは、複数の反射器を含み、各反射器は、反射器が入射ビームを対象物に向けて反射させる第1の位置、反射器が入射ビームをフォトダイオードに向けて反射させる第2の位置、および反射器が入射ビームを対象物へもフォトダイオードへも反射させない第3の位置、の3つの位置を有しており、コントローラは、各反射器の位置を指令するように構成されており、装置は、コントローラが各反射器を第1の位置または第2の位置にあるように指令するときに動作構成にあり、および装置は、各反射器が第3の位置にあるように指令されたときに制御構成にある。
- コントローラは、装置が制御構成にあるときにフォトダイオード上で測定された強度に基づいて、および満たすべき条件に基づいて、第1の位置に移すべき反射器の数を推定するようにさらに構成されており、推定された数のミラーが第1の位置に移るように命令する。
- 光源は光源のマトリックスであり、各光源は2つの状態、すなわち、光源が光を放射しない非供給状態および光源が光を放射する供給状態を有しており、コントローラは各光源の状態を制御するように構成されている。
- 照明すべき平面が対象物に対して画定され、光源および光学システムの少なくとも一方は、装置が動作構成にあるときに、光の強度の異なるレベルによって照明されるいくつかの独立した空間領域が、照明すべき平面内で画定され得るようにある。
- 光学システムは、点拡がり関数がシステム出力において30μmより下、好ましくは25μmより下にあることを保証する光学部品を含む。
- 光学システムは、光学収差を修正するのに適したシステムを含み、光学収差を修正するのに適したシステムは調整可能である。
- 光学収差を修正するのに適したシステムは液体レンズである。
- 装置は光遺伝学において使用され、対象物は装置の使用者の視力の回復または改善に関与しており、対象物は光反応性タンパク質を発現する複数の細胞を含み、光強度は、光強度がいかなる細胞および組織の損傷を防ぐために満たすべき複数の条件を満たすときに制御されている。
【0019】
本発明はまた、制御された光強度で対象物を照明するための方法に関し、光強度は、光強度が満たすべき複数の条件を満たすときに制御されており、複数の条件は、所与の時間における強度に対する条件およびある期間の間の線量に対する条件を含み、本方法は、制御された光強度で対象物を照明するための装置を設けるステップを含み、装置は、ビーム強度が満たすべき条件の少なくとも1つを満たさないビームを生成するように構成されている。装置は、入射ビームの強度を測定するように構成されたフォトダイオードと、入口から少なくとも1つの出口まで光を伝達するように構成された光学システムとを備え、光源、フォトダイオードおよび光学システムは、装置が2つの別個の構成、すなわち、光源によって放射された光の第1の部分が対象物に伝達され、および光源によって放出された光の第2の部分がフォトダイオードに伝達される動作構成、並びに通常動作では、光源によって生成された光が対象物へもフォトダイオードへも送られない制御構成を有するように配置されている。装置はまた、装置が制御構成にあるときにフォトダイオード上で測定された強度に基づいて、および満たすべき条件に基づいて第1の部分の値を制御するように構成されたコントローラを含む。本方法はまた、制御構成で動作するように装置に指令するステップと、フォトダイオード上の強度を測定するステップと、測定された強度に基づいて制御構成における装置の異常動作に起因して対象物を照明する強度を決定するステップと、決定された光強度および満たすべき条件(C1、C2、C3)に基づいて、動作構成において放射すべき光の第1の部分を推定するステップと、推定された第1の部分に等しい第1の部分の値を有する動作構成にあるように装置に命令するステップとを含む。
【0020】
有利ではあるが強制的ではない本発明のさらなる態様によれば、本方法は、任意の技術的に許容される組み合わせにおいて採用される以下の特徴のうちの1つまたはいくつかを組み込んでもよい。
- 対象物は、装置の使用者の視力を回復または改善する対象物である。
- 対象物は、光反応性タンパク質を発現する少なくとも1つの細胞を含む。
- 光反応性タンパク質は、光駆動イオンチャネルからなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の目的を限定することなく、添付の図面と対応させて説明のための例として与えられる以下の説明に基づいて、本発明はよりよく理解されるであろう。
【0022】
図1】対象物を照明するための装置の一例を概略的に示しており、装置は反射器またはビームスプリッタを含む。
図2】第1の位置にある反射器を概略的に示している。
図3】第2の位置にある図2の反射器を概略的に示している。
図4】第3の位置にある図2の反射器を概略的に示している。
図5】対象物を照明するための装置の別の実施例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
制御された光強度で対象物を照明するための装置10および対象物12が図1に示されている。
【0024】
装置10は、制御された光強度で対象物12を照明するように構成されている。
【0025】
光強度は、光強度が満たすべき複数の条件を満たすときに、制御されたと見なされる。
【0026】
複数の条件は、所与の時間における強度に対する条件およびある期間の間の線量に対する条件を含む。
【0027】
例えば、満たすべき1つの条件は、任意の所与の時間における光強度が最大強度より下にあるかそれに等しいことである。この条件を第1条件C1と命名する。
【0028】
別の実施例によれば、満たすべき1つの条件は、任意の所与の時間における光強度が最小強度より上にあるかまたはそれに等しいことである。この条件を第2条件C2と命名する。
【0029】
さらに別の実施例によれば、満たすべき1つの条件は、ある期間の間の線量が最大値より下にあるかまたはそれに等しいことである。例えば、その期間は1時間、12時間、24時間または48時間である。この条件を第3の条件C3と命名する。
【0030】
満たすべき1つの条件はまた、所与の波長の間隔にある強度に関連してもよい。
【0031】
条件のセットは、対象物、とりわけ医学的な対象物に対する基準を尊重するように選択することができる。
【0032】
別の実施例によれば、満たすべき1つの条件は、照明される領域が所与の領域を超えて広がらないことである。
【0033】
別の実施例によれば、光の強度の異なるレベルで照明されるいくつかの独立した空間領域を、対象物12に対応する平面内に画定することができる。満たすべき1つの条件は、強度の各レベルの均一性に対する条件である。具体的な実施例として、満たすべき条件は、強度の平均レベルに対する強度のレベルの変動の割合が最大値より下にあるかそれに等しいことである。
【0034】
別の実施例によれば、照明する対象物はそれ自体が絞りを含む光学システムである。あるいは、照明する対象物は眼であり、その絞りは瞳孔である。満たすべき1つの条件は、絞りの所与のディスクを通過する入射光の光束の割合が所与の値より上にあることである。
【0035】
満たすべき別の条件は、絞り平面上の所与の直径の任意のディスクを通過する入射光の光束の割合が所与の値より下にあることである。
【0036】
別の実施例によれば、満たすべき1つの条件は、ビーム経路の所与のセグメントにわたる所与の直径の任意のディスクを通過する入射光の光束の割合が所与の値より下にあることである。例えば、この条件を適用するビーム経路のこのセグメントは、眼の前方のセグメントとすることができる。
【0037】
本明細書の残りの部分では、装置10によって満たすべき複数の条件は、3つの条件C1、C2およびC3であると仮定される。
【0038】
図1の装置10は、光源14、フォトダイオード16、光学システム18、コントローラ20、カメラ22、指令ユニット24および電源26を含む。
【0039】
光源14は、ビーム強度が満たすべき条件のうちの少なくとも1つを満たさないビームを生成するように構成されている。
【0040】
図1の特定の実施例によれば、光源14は、任意の所与の時間における光強度が最小強度より上にあるかまたはそれに等しいビームを生成するように構成されている。これは、光源14が第1の条件C1を満たさないことを意味している。
【0041】
図1の場合、光源14はエレクトロルミネセントダイオードである。
【0042】
フォトダイオード16は入射ビーム上の強度を測定するように構成されている。
【0043】
例えば、フォトダイオード16はCMOS技術で作られ、頭字語CMOSは相補型金属酸化物半導体を指す。
【0044】
光学システム18は、入口から少なくとも1つの出口へ光を伝達するように構成されている。
【0045】
図1の場合、光学システム18は、光源14によって生成された光を、一方の光経路に従って対象物12へ、および他方の光経路に従ってフォトダイオード16へ伝達するように構成されている。
【0046】
光源14、フォトダイオード16および光学システム18は、装置10が2つの異なる構成M1およびM2、すなわち動作構成M1および制御構成M2を有するように配置されている。
【0047】
動作構成M1において、光源14によって放射される光の第1の部分は、対象物12に伝達され、光源14によって放射された光の第2の部分は、フォトダイオード16に伝達される。
【0048】
制御構成M2において、通常動作では、光源14によって生成された光は、対象物12へもフォトダイオード16へも送られない。通常動作とは、装置10の各構成要素がその公称動作に従って動作していることを意味する。これは、装置10の各構成要素がその指令に従って動作することを意味する。換言すれば、異常動作では、装置10の少なくとも1つの構成要素が、その指令に従って動作しない。
【0049】
図1の特定の実施例において、動作構成M1と制御構成M2との間の切り替えは、光学システム18によって可能にされる。
【0050】
光学システム18は、図1のボックスによって概略的に表された光学コンベア28と、複数の反射器30とを備え、複数の反射器30が光学コンベア28に属することを考慮に入れる。
【0051】
反射器30は通常はミラーである。
【0052】
反射器30はビームスプリッタとすることもできる。
【0053】
特定の実施例によれば、各反射器はマイクロミラーであり、それにより複数の反射器30がマイクロミラーのアレイを形成する。
【0054】
各反射器30は、図2から図4に示された3つの位置、すなわち第1の位置、第2の位置および第3の位置を有している。
【0055】
第1の位置(図2参照)では、反射器30は、入射ビームを対象物12に向けて反射する。
【0056】
第2の位置(図3参照)では、反射器30は、入射ビームをフォトダイオード16に向けて反射する。
【0057】
第3の位置(図4参照)では、反射器30は、入射ビームを対象物12へもフォトダイオード16へも反射しない。
【0058】
図示された実施例において、反射器30は、所与の軸の周りの回転によって一つの位置から別の位置まで通じる。
【0059】
さらに、第1の位置と第3の位置との間の回転の角度は、第3の位置と第2の位置との間の回転の角度に等しい。
【0060】
動作構成M1は、反射器30の第1の部分が第1の位置にあると同時に、反射器の第2の部分が第2の位置にある構成に対応している。
【0061】
制御構成M2は、各反射器30が第3の位置にある構成に対応している。
【0062】
あるいは、制御構成M2は、各反射器30が第1の位置にある構成に対応している。
【0063】
通常動作では、制御構成M2において光源14によって生成された光は対象物12へもフォトダイオード16へも送られない。
【0064】
この特定の実施例における通常動作とは、装置10の各反射器30が各反射器に送られた指令に対応する位置にあることを意味している。しかしながら、反射器30はその位置で阻まれたままであることが起こる。
【0065】
従って、異常動作では、制御構成M2において、阻まれた反射器30は光を対象物12またはフォトダイオード16に送ることがある。
【0066】
この異常動作は、光強度が3つの条件C1、C2およびC3を満たすことを保証するように考慮する必要がある。これはコントローラ20によって達成される。
【0067】
コントローラ20は、装置10が制御構成M2にあるときにフォトダイオード16上で測定された強度に基づいて、および3つの条件C1、C2およびC3に基づいて、第1の部分の値を制御するように構成されている。
【0068】
図1の実施例によれば、コントローラ20は、各反射器30の位置を指令するように構成されている。
【0069】
コントローラ20はさらに、光強度によって満たすべき条件C1、C2、C3を満たす際に装置10の結果として起こる異常動作を考慮に入れ、装置10が制御構成M2にあるときにフォトダイオード16上で測定された強度に基づいて、および満たすべき条件C1、C2、C3に基づいて、第1の位置に移るべき反射器30の数を推定するように構成されており、推定された数の反射器30が第1の位置へ移るように指令する。
【0070】
図1のコントローラ20はまた、カメラ22、指令ユニット24および電源26との相互作用にある。
【0071】
電源は、例えば1つの電池、あるいは電力網に取り付けられた外部の15V電源とすることができる。
【0072】
カメラ22は、外部シーンを取り込み、取り込んだ外部シーンをコントローラ20に送るように構成されている。コントローラ20はさらに、シーンを光源20によって生成すべき変換されたビームに変換するように構成されている。
【0073】
コントローラ20は、電源26が存在するときに指令ユニット24がオン/オフスイッチとしてコントローラを指令している限りにおいて、指令ユニット24および電源26によって指令される。
【0074】
対象物を照明する方法を参照して、装置10の動作を説明する。
【0075】
この方法は、装置10を設けるステップを含む。
【0076】
本方法はまた、制御構成M2で動作するように装置10を指令するステップを含む。
【0077】
図示された実施例では、コントローラ20は各反射器30が第3の位置にあるように指令する。
【0078】
本方法は、フォトダイオード16上で強度を測定するステップも含む。通常動作では、フォトダイオード16上で測定された強度はノイズに対応している。ノイズは、ある位置から別の位置に切り替わるミラーの数に対応する強度である。
【0079】
これは、各反射器30が第3の位置に切り替わることができることを意味している。反射器30はその位置で阻まれていない。
【0080】
異常動作では、複数の反射器30はその位置で阻まれている。阻まれる位置はランダムであるので、いくつかの反射器30は、対象物12が光源14によって生成された光によって照明されることを意味する第1の位置で阻まれている。
【0081】
3つの位置間の統計上の共有を仮定すると、これはまた、いくつかの反射器30が第2の位置で阻まれており、測定強度を得るように光をフォトダイオード16に送ることを意味する。装置10が制御構成M2にあるときにフォトダイオード16によって測定されるいかなる光強度は、装置10の異常動作から生じる。
【0082】
本方法は、測定強度に基づいて、制御構成M2における装置10の異常動作に起因した対象物12を照明する強度を決定するステップをさらに含む。
【0083】
特定の実施形態によれば、3つの位置間の異常動作の統計上の共有の仮説を用いて、決定するステップは、第2の位置にある反射器30の数、同一であると仮定されている第1の位置にある反射器30の数を推定することによって、および第1の位置にある反射器30の数を、対象物12を照明する光強度に変換することによって達成される。変換動作は、考慮される光学システム18に依存している。
【0084】
本方法はまた、決定された光強度および満たすべき条件C1、C2、C3に基づいて、動作構成M1において放射すべき光の第1の部分を推定するステップを含む。
【0085】
本方法は次いで、推定された第1の部分と等しい第1の部分の値を用いて動作構成M2になるように装置10を指令するステップを含む。
【0086】
このステップは、適切な数の反射器30が第1の位置にあるように指令することによって達成される。
【0087】
従って、装置10は、複数の条件を満たし、装置10の構成要素の異常動作を考慮に入れた光強度で対象物を照明することを可能にしている。
【0088】
これは、装置10が光強度の制御の増大したレベルを提供するという事実をもたらす。
【0089】
加えて、装置10が制御構成M2を必要とする限りにおいて、装置は、フォトダイオード16およびコントローラ20を実装することは容易である。
【0090】
従って、装置10の他の実施形態が考慮される。
【0091】
別の実施形態が図5を参照して説明される。
【0092】
図1の実施形態を参照してなされた各説明は、図5に示された実施形態に当てはまる。相違点のみを説明する。
【0093】
この場合において、光源14はエレクトロルミネセントダイオードのマトリクスであり、各エレクトロルミネセントダイオードは2つの状態、エレクトロルミネセントダイオードが光を放射しない非供給状態およびエレクトロルミネセントダイオードが光を放射する供給状態を有している。
【0094】
光学システム18は、光の一部を対象物12に向けて透過させ、光の一部をフォトダイオード16に反射させるように構成されているセパレータを含む。
【0095】
コントローラ20は、各エレクトロルミネセントダイオードの状態を制御するように構成されている。
【0096】
動作構成M1は、いくつかのエレクトロルミネセントダイオードが供給状態にある構成に対応している。光の第1の部分は光学システム18を通る透過強度に対応していると同時に、光の第2の部分は光学システム18による反射強度に対応している。
【0097】
制御構成M2は、エレクトロルミネセントダイオードが非供給状態にある構成に対応している。通常動作では、各エレクトロルミネセントダイオードの指令とエレクトロルミネセントダイオードがおかれている状態との間には完全な対応関係がある。異常動作では、この対応は存在しない。
【0098】
コントローラ20は、この対応関係の欠如が対象物12に送られる光において考慮されることを保証することを可能にしている。
【0099】
装置10のこの実施形態はまた、光強度の制御の増大したレベルを提供する。
【0100】
そのような装置10は、いかなる種類の対象物12を照明するのに有用であり得る。
【0101】
特定の例によれば、照明する対象物はそれ自体がリアルタイムまたはオフライン条件で測定可能な光学収差を有する光学システムである。これらの光学収差は、その点拡がり関数(PSF)によって特徴付けられる。例えば、対象物が眼である場合、これらの光学収差は焦点ぼけおよび乱視を含む。
【0102】
これは光学システム18に対する制約を意味する。
【0103】
満たすべき1つの制約は、対象物の点拡がり関数と光学システム18の関連部分との組み合わせの標準偏差が最大値を下回ることである。
【0104】
満たすべき制約の別の例は、点拡がり関数が各空間領域において25μmより下にあることを保証する光学部品を光学システム18が含むことである。
【0105】
一つの例は、神経精神疾患および/または神経変性疾患を治療および/または予防するための装置10の使用者に実施される対象物12である。神経変性疾患の例は、網膜症、パーキンソン病、ハンチントン病、脳卒中、てんかん、アルツハイマー病である(例えば、Vann and Xiong, 2016, Int. J. Physiol. Pathophysiol. Pharmacol., 8, 1-8を参照)。
【0106】
一つの好ましい実施形態によれば、前記対象物12は、装置10の使用者の視力を回復または改善することに関与している。
【0107】
実際に、患者に実施される対象物12に対して、満たすべき条件、特に照明条件は、いかなる細胞および組織の損傷を防ぐために非常に厳格である。
【0108】
例えば、対象物12は、網膜、変性網膜、網膜細胞、変性網膜細胞または網膜インプラントである。
【0109】
好ましい実施形態によれば、本発明の装置は光遺伝学において有用である。光遺伝学は、生体組織の標的細胞における特定の事象を制御するために使用される遺伝的方法と光学的方法の組み合わせである。光遺伝学の特徴は、標的細胞における光反応性タンパク質の発現である。
【0110】
別の好ましい実施形態によれば、対象物12は光反応性タンパク質を発現する複数の細胞を含む。
【0111】
一例として、対象物12は眼の網膜であり、前記網膜は複数の光反応性タンパク質を発現するように変性されている。
【0112】
特別な実施形態によれば、光反応性タンパク質はオプシンである。
【0113】
好ましい実施形態によれば、それは、光駆動性イオンチャネルタンパク質からなる群から選択され、より具体的には、Chrimson、ChrimsonR、(国際公開第2013-71231)、ChrimsonR-tdT、キャッチ(Catch)、チャネルロドロプシン(米国特許出願公開第2014-0121265号明細書、米国特許第8,906,360号明細書)、メラノプシンおよびそれらの誘導体からなる群から選択される。別の特定の実施形態によれば、光反応性タンパク質は、バクテリオロドプシン(Lanyi, J K, 2004, Annu Rev Physiol. 66:665-88)、ハロロドプシン(Lanyi, J K, 1990, Physiol Rev. 70:319-30)およびそれらの誘導体などの光駆動性イオンポンプからなる群から選択される。
【0114】
あるいは、本発明の対象物12は、網膜変性によって盲目となった患者に対する視力の回復に使用される電子網膜プロテーゼである(Hadjinicolaou et al. 2015, Clin Exp Optom., 98, 395-410を参照)。
【0115】
別の実施例は、食べられることを対象とした対象物12である。例えば、対象物12は野菜であり得る。
【0116】
上で考察した実施形態および代替の実施形態は、本発明のさらなる実施形態を生み出すために組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0117】
10 装置
12 対象物
14 光源
16 フォトダイオード
18 光学システム
20 コントローラ
22 カメラ
24 指令ユニット
26 電源
28 光学コンベア
30 反射器
図1
図2
図3
図4
図5