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特許7083829駆動型のリセット可能でショックレスなホールドダウンとリリースの機構(ARES HDRM)
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】駆動型のリセット可能でショックレスなホールドダウンとリリースの機構(ARES HDRM)
(51)【国際特許分類】
   B64G 1/64 20060101AFI20220606BHJP
   F16B 7/04 20060101ALI20220606BHJP
【FI】
B64G1/64 100
F16B7/04 301B
【請求項の数】 37
(21)【出願番号】P 2019533181
(86)(22)【出願日】2017-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 CA2017051560
(87)【国際公開番号】W WO2018112637
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】62/437,179
(32)【優先日】2016-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508365953
【氏名又は名称】マクドナルド デットワイラー アンド アソシエイツ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘイ,ギャビン
(72)【発明者】
【氏名】バル,グレッグ ジー.
【審査官】姫島 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05439310(US,A)
【文献】特表2002-506955(JP,A)
【文献】特開平06-344999(JP,A)
【文献】特開2003-182698(JP,A)
【文献】特開2012-245912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/64
F16B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リセット可能でショックレスなホールドダウンとリリースの機構であって、
a)第1の対象物に取り付けるための取付け機構を含む遠位端を有し、第1インターフェースと、前記第1インターフェースを超えて延びる係合部材を含むロック機構を有するアクティブハウジングアッセンブリと、
b)第2の対象物に取り付けるための取付け機構を含む遠位端を有し、前記第1インターフェースに対して相補形の第2インターフェースを有し、それと前記第1インターフェースとの間でカップリングを形成して前記アクティブハウジングアッセンブリとの間で、回転荷重と面内荷重に応答することが可能である構造的な接続を与え、前記アクティブハウジングアッセンブリとの間で構造的接続が形成された場合に前記係合部材をその中に収容するように構成され、前記係合部材に対して相補形の内部構造を有するパッシブハウジングアッセンブリと、
を備え、
前記ロック機構は、前記構造的接続が確立されると、前記係合部材を半径方向外側に駆動して前記内部構造と物理的接触をさせ、それによって前記アクティブハウジングアッセンブリ及び前記パッシブハウジングアッセンブリをショックレスで共にロックするように構成される可逆駆動機構を有し、前記可逆駆動機構を反転すると前記係合部材を前記相補形の内部構造から物理的に係合を解放して、前記アクティブハウジングアッセンブリ及び前記パッシブハウジングアッセンブリをショックレスでお互いからリリースする機構。
【請求項2】
請求項1に記載の機構であって、
前記ロック機構は、前記アクティブハウジングアッセンブリに搭載される近位端を有する1対の係合部材と、前記アクティブハウジングアッセンブリから前記第1インターフェースを超えて延びる遠位端とを有し、
前記可逆駆動機構は、遠位端を有し、前記1対の係合部材間を移動可能で、前記パッシブハウジングアッセンブリの方に移動させられた場合、前記遠位端が前記1対の係合部材の遠位端の内面を支持し、それらを半径方向外側に駆動する可動部材を有する機構。
【請求項3】
請求項2に記載の機構であって、
前記係合部材は、少なくとも2つの弓形の細長いコレットアームと、前記アクティブハウジングアッセンブリに構造的に取り付けられる前記細長いコレットアームの近位端と、それに取り付けられているコレットウェッジを有する各細長いコレットアームの遠位端とを有するコレットを有し、前記コレットウェッジのそれぞれは、前記パッシブハウジングアッセンブリの前記内部構造と相補形の形状を有する外面を有し、
前記可動部材は、送りねじに搭載されるプランジャを有し、前記送りねじの近位端は前記プランジャを前後に可逆的に駆動するためのアクチュエータに動作可能に接続され、前記アクチュエータは、前記アクチュエータの作動を制御するための制御機構に接続されるための電気的接続部を含み、前記送りねじの遠位端は前記コレットウェッジの間に位置し、前記弓形の細長いコレットアームは、前記プランジャが前記コレットウェッジと物理的に接触していない場合に、前記コレットウェッジが前記送りねじの前記遠位端の方に傾斜するように構成されており、
前記アクチュエータは、前記プランジャを前記送りねじの前記遠位端の方に前進、及びそれから後退させるように構成される機構。
【請求項4】
請求項3に記載の機構であって、
前記コレットウェッジは、前記プランジャの外面に接触する内側ウェッジ面を有し、前記パッシブハウジングアッセンブリの前記内部構造は、前記コレットウェッジ上の選択される外側ウェッジ面と相補形となるように設計されているウェッジ面を有し、
前記内側ウェッジ面は、前記プランジャが前記コレットウェッジを引き離す場合に、前記選択される外側ウェッジ面は前記パッシブハウジングアッセンブリの相補形のウェッジ面に駆動され、前記コレットウェッジを前記細長いコレットアームの前記近位端からさらに遠ざけて、それによって前記細長いコレットアーム内に事前選択される張力を生じさせるように前記パッシブハウジングアッセンブリのウェッジ面と前記外側ウェッジ面との組み合わせで選択される機構。
【請求項5】
請求項4に記載の機構であって、
前記アクティブハウジングアッセンブリは、共にボルト締めされるように構成される2つのアクティブハウジング部分を有し、前記2つのアクティブハウジング部分を分離する事前選択される厚さのシムを有し、前記シムの厚さは前記細長いコレットアームに前記事前選択される張力を生成するように事前選択される機構。
【請求項6】
請求項5に記載の機構であって、
前記アクチュエータは、前記事前選択される張力をリリースし機械的衝撃の発生を防止するために十分に遅い速度で、前記プランジャを前記送りねじの前記近位端の方に移動させるように構成される機構。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の機構であって、
前記アクティブハウジングアッセンブリとパッシブハウジングアッセンブリとの間の前記構造的接続は、同一パッシブハウジングアッセンブリ又は異なるパッシブハウジングアッセンブリを前記アクティブハウジングアッセンブリに物理的に嵌合させ、前記係合部材を前記パッシブハウジングアッセンブリの前記相補形の内部構造に接触させることによって復旧することができ、それによってリセット可能でショックレスなホールドダウン及びリリースの機構を与える機構。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の機構であって、
前記アクティブハウジングアッセンブリの遠位端に位置する前記取付け機構は、前記アクティブハウジングアッセンブリをリリース可能なアッセンブリの第1部分にボルト締めするためのボルト孔を有する前記アクティブハウジングアッセンブリの近くの周辺に延び、
前記パッシブハウジングアッセンブリの前記遠位端に位置する前記取付け機構は、前記アクティブハウジングアッセンブリをリリース可能なアッセンブリの第2部分にボルト締めするためのボルト孔を有する前記パッシブハウジングアッセンブリの近くの周辺に延びる機構。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の機構であって、
前記第1インターフェース及び第2インターフェースは、ハースインターフェースである機構。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の機構であって、
センサシステムからのフィードバックに基づいて前記アクティブハウジングアッセンブリ及びパッシブハウジングアッセンブリを調整、カップリング及び分離することに関連する全ての動作を遠隔のオペレータが制御可能にするための、前記アクティブハウジングアッセンブリ及びパッシブハウジングアッセンブリのうちの一方又は両方に搭載される前記センサシステムをさらに備える機構。
【請求項11】
請求項10に記載の機構であって、
前記センサシステムは、カメラベースのビジョンシステム、レーダー及びLIDARのうちのいずれか1つ又は組み合わせを有する機構。
【請求項12】
請求項10に記載の機構であって、
制御システムがアラインメントを実行するために前記センサシステムを使用する、前記パッシブハウジングアッセンブリを前記アクティブハウジングアッセンブリに位置決め及び嵌合するための位置決め装置をさらに備える機構。
【請求項13】
請求項10に記載の機構であって、
制御システムがアラインメントを実行するために前記センサシステムを使用する、前記アクティブハウジングアッセンブリを前記パッシブハウジングアッセンブリに位置決め及び嵌合するための位置決め装置をさらに備える機構。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の機構であって、
前記第1の対象物は宇宙機で、前記第2の対象物は宇宙機のペイロードである機構。
【請求項15】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の機構であって、
前記第1の対象物は宇宙機のペイロードで、前記第2の対象物は宇宙機である機構。
【請求項16】
リセット可能でショックレスなホールドダウンとリリースの機構であって、
a)第1の対象物に取り付けられるように構成される取付け機構を含む遠位端を有する第1ハウジングを有し、第1インターフェース、可動部材を含む前記第1ハウジングに搭載されるロック機構、及び前記第1ハウジングに搭載される近位端と前記第1ハウジングから前記第1インターフェースを超えて延びる遠位端とを有する1対の係合部材を含み、前記ロック機構は、前記可動部材が前記1対の係合部材間を移動可能で、前記第1ハウジングの遠位端の方に移動した場合に前記係合部材の遠位端の内面を支持し、それを半径方向外側に駆動するように構成されるアクティブハウジングアッセンブリと、
b)遠位端を第2の対象物に取り付けるように構成される取付け機構を含む遠位端を有する第2ハウジングを有し、前記第2ハウジングは、前記第1インターフェースと相補形の第2インターフェースを有し、それと前記第1インターフェースとの間でカップリングを形成して前記第1ハウジングと第2ハウジングの間に、回転荷重と面内荷重に応答することが可能である構造的接続を与え、前記第1及び第2ハウジングが構造的に接続された場合に、前記可動部材の前記第2ハウジングの方向への移動により前記係合部材は半径方向外側に駆動されて前記相補形の内部ハウジング構造と物理的に接触し、それによってショックレスに前記アクティブハウジングアッセンブリ及びパッシブハウジングアッセンブリを共にロックし、前記可動部材を前記第2ハウジングから離れるように後退させると、前記係合部材は前記相補形の内部ハウジング構造から物理的に解放されてショックレスに前記アクティブハウジングアッセンブリ及び前記パッシブハウジングアッセンブリを共にリリースするように、前記第2ハウジングが前記可動部材による係合に先立ち前記係合部材の前記遠位端を収容するように構成され、前記係合部材の遠位端の外面と相補形の内部構造を有する前記パッシブハウジングアッセンブリと、
を備える機構。
【請求項17】
請求項16に記載の機構であって、
前記係合部材は、少なくとも2つの弓形の細長いコレットアームと、前記アクティブハウジングアッセンブリに構造的に取り付けられる前記細長いコレットアームの近位端と、それに取り付けられているコレットウェッジを有する各細長いコレットアームの遠位端とを有するコレットを有し、前記コレットウェッジのそれぞれは、前記パッシブハウジングアッセンブリの前記内部構造と相補形の形状を有する外面を有し、
前記可動部材は、送りねじに搭載されるプランジャを有し、前記送りねじの近位端は前記プランジャを前後に可逆的に駆動するためのアクチュエータに動作可能に接続され、前記アクチュエータは、前記アクチュエータの作動を制御するための制御機構に接続されるための電気的接続部を含み、前記送りねじの遠位端は前記コレットウェッジの間に位置し、前記弓形の細長いコレットアームは、前記プランジャが前記コレットウェッジと物理的に接触していない場合に、前記コレットウェッジが前記送りねじの前記遠位端の方に傾斜するように構成されており、
前記アクチュエータは、前記プランジャを前記送りねじの前記遠位端の方に前進、及びそれから後退させるように構成される機構。
【請求項18】
請求項17に記載の機構であって、
前記コレットウェッジは、前記プランジャの外面に接触する内側ウェッジ面を有し、前記パッシブハウジングアッセンブリの前記内部構造は、前記コレットウェッジ上の選択される外側ウェッジ面と相補形となるように設計されているウェッジ面を有し、
前記内側ウェッジ面は、前記プランジャが前記コレットウェッジを引き離す場合に、前記選択される外側ウェッジ面は前記パッシブハウジングアッセンブリの相補形のウェッジ面に駆動され、前記コレットウェッジを前記細長いコレットアームの前記近位端からさらに遠ざけて、それによって前記細長いコレットアーム内に事前選択される張力を生じさせるように前記パッシブハウジングアッセンブリのウェッジ面と前記外側ウェッジ面との組み合わせで選択される機構。
【請求項19】
請求項18に記載の機構であって、
前記アクティブハウジングアッセンブリは、共にボルト締めされるように構成される2つのアクティブハウジング部分を有し、前記2つのアクティブハウジング部分を分離する事前選択される厚さのシムを有し、前記シムの厚さは前記細長いコレットアームに前記事前選択される張力を生成するように事前選択される機構。
【請求項20】
請求項18または19のいずれかに記載の機構であって、
前記アクチュエータは、前記事前選択される張力をリリースし機械的衝撃の発生を防止するために十分に遅い速度で、前記プランジャを前記送りねじの前記近位端の方に移動させるように構成される機構。
【請求項21】
請求項16乃至20のいずれか1項に記載の機構であって、
前記構造的接続は、同一パッシブハウジングアッセンブリ又は異なるパッシブハウジングアッセンブリを前記アクティブハウジングアッセンブリに物理的に嵌合させ、前記係合部材を前記パッシブハウジングアッセンブリの前記相補形の内部構造に接触させることによって復旧することができ、それによってリセット可能でショックレスなホールドダウン及びリリースの機構を与える機構。
【請求項22】
請求項16乃至21のいずれか1項に記載の機構であって、
前記アクティブハウジングアッセンブリの前記取付け機構は、前記アクティブハウジングアッセンブリを前記第1の対象物にボルト締めするためのボルト孔を有する前記アクティブハウジングアッセンブリ周りの周辺に延びる環状フランジを有し、
前記パッシブハウジングアッセンブリの前記遠位端に位置する前記取付け機構は、前記アクティブハウジングアッセンブリを前記第2の対象物にボルト締めするためのボルト孔を有する前記アクティブハウジングアッセンブリ周りの周辺に延びる環状フランジを有する機構。
【請求項23】
請求項16乃至22のいずれか1項に記載の機構であって、
前記第1インターフェース及び第2インターフェースはハースインターフェースである機構。
【請求項24】
請求項16乃至23のいずれか1項に記載の機構であって、
前記第1の対象物は宇宙機で、前記第2の対象物は宇宙機のペイロードである機構。
【請求項25】
請求項16乃至24のいずれか1項に記載の機構であって、
前記第1の対象物は宇宙機のペイロードで、前記第2の対象物は宇宙機である機構。
【請求項26】
駆動型のリセット可能でショックレスなホールドダウンとリリースの機構であって、
a)第1の対象物にそれを取り付けるための取付け機構を有する遠位端と第1インターフェースとを有するアクティブハウジングアッセンブリを有し、近位端が構造的に前記アクティブハウジングアッセンブリと係合しており、遠位端はそれに取り付けられるコレットウェッジを有する少なくとも2つの弓型の細長いコレットアームを有するコレットと、
それと係合するプランジャを有する送りねじと、アクチュエータの動作を制御するための制御機構に接続されるために電気的接続部を有する前記アクチュエータとを有し、前記送りねじの近位端は前記アクチュエータに作動可能に接続され、前記送りねじの遠位端は前記コレットウェッジの間に位置し、前記弓型の細長いコレットアームは前記コレットウェッジが前記送りねじの前記遠位端の方に傾斜するように構成されるアクティブハウジングアッセンブリと、
b)第2の対象物に取り付けるための取付け機構を含む遠位端を有し、第2インターフェースを有し、それと前記アクティブハウジングアッセンブリ上の前記第1インターフェースとの間でカップリングを形成し、前記第1インターフェースと第2インターフェースが互いに嵌合して前記アクティブハウジングアッセンブリとの間に、回転荷重と面内荷重に応答することが可能である構造的接続を与え、前記コレットウェッジと相補形の内部ハウジング構造を有するパッシブハウジングアッセンブリを含むパッシブハウジングアッセンブリと、
を備え、
c)前記パッシブハウジングアッセンブリは、前記プランジャが前記パッシブハウジングアッセンブリの方に駆動されると、前記プランジャは前記コレットウェッジと係合し、コレットウェッジを半径方向外側に駆動して前記内部ハウジング構造と物理的に接触させ、係合すると、前記アクチュエータは移動を停止し、それによって前記アクティブハウジングアッセンブリ及び前記パッシブハウジングアッセンブリをショックレスに共にロックし、前記プランジャを前記パッシブハウジングアッセンブリから離して後退させることによってショックレスに前記アクティブハウジングアッセンブリ及び前記パッシブハウジングアッセンブリがリリースされるように構成される前記内部ハウジング構造を有する機構。
【請求項27】
請求項26に記載の機構であって、
前記コレットウェッジは、前記プランジャの外面に接触する内側ウェッジ面を有し、前記パッシブハウジングアッセンブリの前記内部ハウジング構造は、前記コレットウェッジ上の選択される外側ウェッジ面と相補形となるように設計されているウェッジ面を有し、
前記内側ウェッジ面は、前記プランジャが前記コレットウェッジを引き離す場合に、前記選択される外側ウェッジ面は前記パッシブハウジングアッセンブリの相補形のウェッジ面に駆動され、前記コレットウェッジを前記細長いアームの前記近位端からさらに遠ざけて、それによって前記細長いアーム内に事前選択される張力を生じさせるように前記パッシブハウジングアッセンブリのウェッジ面と前記外側ウェッジ面との組み合わせで選択される機構。
【請求項28】
請求項27に記載の機構であって、
前記アクチュエータは、前記事前選択される張力をリリースし機械的衝撃の発生を防止するために十分に遅い速度で、前記プランジャを前記送りねじの前記近位端の方に移動させるように構成される機構。
【請求項29】
請求項26乃至28のいずれか1項に記載の機構であって、
前記構造的接続は、同一又は異なるパッシブハウジングアッセンブリを前記アクティブハウジングアッセンブリに物理的に嵌合させ、前記コレットウェッジを前記パッシブハウジングアッセンブリの前記内部ハウジング構造に接触させることによって復旧することができ、それによってリセット可能でショックレスなホールドダウンとリリースの機構を与える機構。
【請求項30】
請求項27乃至29のいずれか1項に記載の機構であって、
前記アクティブハウジングアッセンブリは、共にボルト締めされるように構成される2つのハウジング部分から作製されており、前記2つのハウジング部分を分離する事前選択される厚さのシムを有し、前記シムの厚さは前記細長いコレットアームに前記事前選択される張力を生成するために事前選択される機構。
【請求項31】
請求項26乃至30のいずれか1項に記載の機構であって、
前記第1インターフェース及び第2インターフェースはハースインターフェースである機構。
【請求項32】
請求項26乃至31のいずれか1項に記載の機構であって、
前記第1の対象物は宇宙機で、前記第2の対象物は宇宙機のペイロードである機構。
【請求項33】
請求項26乃至31のいずれか1項に記載の機構であって、
前記第1の対象物は宇宙機のペイロードで、前記第2の対象物は宇宙機である機構。
【請求項34】
リリース可能なアッセンブリをリセット可能でショックレスに嵌合及び分離する方法であって、
a)第1インターフェースを有する遠位端と前記第1インターフェースを超えて延びる、自身に搭載される係合部材を有し、前記係合部材を横方向外側に移動させるように構成される可逆ロック機構とを有するアクティブハウジングアッセンブリを第1の対象物に取り付ける工程と、
b)前記第1インターフェースと相補形の第2のインターフェースを有する遠位端を有して、それと前記第1インターフェースとの間でカップリングを形成し、前記アクティブハウジングアッセンブリとの間で、回転荷重と面内荷重に応答することが可能である構造的な接続を与え、構造的な接続が前記アクティブハウジングアッセンブリとの間で形成される場合に前記係合部材を自身の中に収容するように構成され、前記係合部材と相補形の内部ハウジング構造を有するパッシブハウジングアッセンブリを第2の対象物に取り付ける工程と、
c)前記係合部材が前記パッシブハウジングアッセンブリの内に位置するように、前記アクティブハウジングアッセンブリとパッシブハウジングアッセンブリを調整して前記アクティブハウジングアッセンブリとパッシブハウジングアッセンブリとの間に構造的接続を形成する工程と、
d)前記係合部材が前記内部ハウジング構造と物理的に接触する場合に、前記アクティブハウジングアッセンブリとパッシブハウジングアッセンブリがショックレスに共にロックされるように、前記係合部材を半径方向外側に移動させて前記係合部材と相補形の前記パッシブハウジングアッセンブリの前記内部ハウジング構造と物理的に係合するように前記可逆ロック機構を作動させる工程と、
e)前記アクティブハウジングアッセンブリとパッシブハウジングアッセンブリをリリースすることが望ましい場合に、前記係合部材を前記内部ハウジング構造との物理的接触から離して内側に移動させ、それによってショックレスに前記アクティブハウジングアッセンブリ及び前記パッシブハウジングアッセンブリをリリースするために前記可逆ロック機構を作動させる工程と、
を備える方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法であって、
前記可逆ロック機構は、前記構造的接続が確立されると、前記係合部材を半径方向外側に駆動して前記内部ハウジング構造と物理的に接触させ、それによって前記アクティブハウジングアッセンブリ及び前記パッシブハウジングアッセンブリを互いにショックレスにロックするように構成される可逆駆動機構を有し、前記可逆駆動機構を逆転すると、前記係合部材は前記相補形の内部ハウジング構造から物理的に解放され、前記アクティブハウジングアッセンブリ及び前記パッシブハウジングアッセンブリはショックレスに互いにリリースされる方法。
【請求項36】
請求項34又は35に記載の方法であって、
前記第1の対象物は宇宙機で、前記第2の対象物は宇宙機のペイロードである方法。
【請求項37】
請求項34又は35に記載の方法であって、
前記第1の対象物は宇宙機のペイロードで、前記第2の対象物は宇宙機である方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、打ち上げ中に、宇宙機のコンポーネントをリリースするように機構が命令されるまで、そのコンポーネントをリリース可能に一緒に固定するためのリセット可能な機構に関する。命令があり次第、次に、それまで固定されていたコンポーネントに対してリリースに起因する極めて小さい衝撃力が伝達されて、コンポーネントはリリースされる。
【背景技術】
【0002】
あらゆる宇宙機の打ち上げ時には、宇宙空間にペイロードを実際に加速する荷重に加えて、バス構造と取り付けられている全ての要素にかなり大きな荷重が引き起こされる。これらには、音圧、不規則振動、横力及びねじり力が含まれ、通例では、組み合わさって、また宇宙機とそれのあらゆるサブコンポーネントに対する重要なデザインドライバーとなるに足りる大きさで作用する。宇宙機のコンポーネントは、アンテナアレイ、ポインティング機構、太陽電池アレイ、展開可能マスト等を含むがこれに限定されないが、その機能のために、打ち上げ後それらのコンポーネントの移動又は再配置を必要とし、同時に、上記に挙げた打ち上げ荷重に耐えるために設計された打ち上げ構成に固定され、次に、その機能を首尾よく果たすことができるように、一旦軌道に乗ると、正常にリリースできなければならない。
【0003】
打ち上げ中これらの可動コンポーネントを固定する装置は、総称的に、ホールドダウン及びリリース機構(HDRM)と呼ばれる。可動コンポーネントを固定する機能の一部として、ホールドダウン及びリリース機構は、通例、固定されるコンポーネントの構造的一体性の重要な部分も形成し、また、既知の剛性と強度を有する宇宙機本体への接続を提供し、固定されるコンポーネントがその既知の能力をベースに設計されることを可能にする。HDRMを変化する荷重とトルクに耐えることができるようにすることによって、可動コンポーネントをより効率的に設計することを可能にし、そうすることによって、宇宙機の全体の質量を低減し、宇宙機所有者/オペレータに対して大きな利益を提供する。
【0004】
最初の宇宙機飛行以来、様々な種類のHDRMが利用されてきており、それが宇宙機の構造の重要な部分を形成するので、可動コンポーネントと残りの宇宙機の部分との間の接続部は、通例、HDRM内の主荷重分担コンポーネント内に「プリロード」と呼ばれる、通例、かなり大きな張力の形をとる相当な荷重を受ける。宇宙機本体から可動コンポーネントをリリースすることに影響を及ぼすものとして、2つを接続するこの張力を取り除くことが含まれる。実際に、全ての既存のHDRM装置は、極めて迅速に、ほんの一瞬で、この接続する張力をリリースする、その結果、宇宙機とリリースされたコンポーネントの両方に対してかなり大きな機械的衝撃が加わる。極めて壊れやすい又は繊細な宇宙機のサブシステムに対して、これらの衝撃は性能を悪化させる恐れがあり、これらの衝撃が引き起こす恐れがある損傷を制限するための軽減技術が必要とされる。通例では、これらの軽減技術は構造をより堅牢にすることを含み、一方において、それが、質量を増し、宇宙機の性能を低下及び/又は打ち上げ費用を増大させる結果となる。
【0005】
さらに、大半の既存のHDRMは、破損し又はリリースプロセスの一部として溶け落ちる部品を一部含む設計に起因して消耗可能な要素を有する。このことにより、次に、宇宙機全体の設計を確証するために必要とされる、打ち上げに先立つ必須のリリースサイクルのテストを含めて、各リリースサイクルの後、HDRMの一部の部品を交換することが必要となる。実際に最も重要な部分が実際には全くテストされていないという事実が、打ち上げ後に行われるリリースの信頼をさらに低下させる。これらのシステムでは、飛行に先立ち、打ち上げられる機構の全ての部分を実際にテストすることは不可能である。HDRMの少なくとも一つのサブコンポーネントは新規であり、宇宙での最初の(そしてしばしば唯一の)リリースの時にテストされていない。
【0006】
現在、固定された可動の宇宙機用コンポーネントをリリースし、宇宙機とリリースされるコンポーネントとの間の構造的接続を提供し、ほぼゼロに近い衝撃でコンポーネントをリリースし、並びに新規の消耗可能なサブコンポーネントを必要としない完全にリセット可能なHDRM機構はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は2つのアイテムを構造的にかつリリース可能に共に固定し、命令があり次第、リリースされるアイテムのいずれにも機械的衝撃を与えないようにして2つのアイテムをリリースする機構に関する。本明細書中に開示されるHDRM機構は、駆動型のリセット可能なショックレス(AReS)HDRMと呼ばれるが、くさび(ウェッジ)の原理を用いて、繰り返して再設定でき、また消耗型サブコンポーネントを有しない、構造上、事実上ショックレスなリリース機構を提供する。
【0008】
本明細書中に開示される実施形態は、さもなければ宇宙機の可動コンポーネントを、その宇宙機の非可動の本体にリリース可能に固定するための機構を提供する。本発明は、スライディングくさびの原理を用いて、アクチュエータ駆動インターフェイシングウェッジが、2つのアイテム間の必要な構造的接続だけでなく、いずれの部品にも機械的衝撃荷重を与えないようにして2つの部品間の前記構造的接続、あるいはプリロードをリリースできる仕方も提供することができる方法を開示する。さらに、アクチュエータ駆動ウェッジを使用すると、いかなるリリース動作中においても、HDRMのいかなるコンポーネントの損傷、破損又は消耗も必要とされない。このことは、実際の宇宙での作動であるプリロードのリリースのために使用される全く同一のコンポーネントを作動に先立ちテストすることができ、信頼性を大幅に向上し、常に重要な作動である作動に対するリスクを低減することを意味する。リリースに失敗すると、衛星はずっと作動できなくなる恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書中に開示される機構には、前記プリロードのリリース後、部品を互いに物理的に配置する動作だけで、前記プリロードされた状態に前記機構を再設定する能力が本来備わっており、前記プリロードをリリースするために必要とされる方向と反対の方向にアクチュエータを回転させる電動機能に依存する。これにより、前記機構の最初のリリース動作に先立ち重要な便益が提供されるだけでなく、前に共に固定されたアイテムを、繰り返して、しかも最初のリリースの前と同一レベルの構造的接続で、再び共に固定できる動作を可能にする。
実施形態において、リセット可能でショックレスなホールドダウンとリリースの機構が提供され、
a)第1の対象物に取り付けるための取付け機構を含む遠位端を有し、第1インターフェースと、前記第1インターフェースを超えて延びる係合部材を含むロック機構を有するアクティブハウジングと、
b)第2の対象物に取り付けるための取付け機構を含む遠位端を有し、前記第1インターフェースに対して相補形の第2インターフェースを有し、それと前記第1インターフェースとの間でカップリングを形成して前記アクティブハウジングとの間で構造的な接続を与え、前記アクティブハウジングとの間で構造的接続が形成された場合に前記係合部材をその中に収容するように構成され、前記係合部材に対して相補形の内部構造を有するパッシブハウジングと、
を備え、
前記ロック機構は、前記構造的接続が確立されると、前記係合部材を半径方向外側に駆動して前記内部構造と物理的接触をさせ、それによって前記アクティブハウジングアッセンブリ及び前記パッシブハウジングのアッセンブリをショックレスで共にロックするように構成される可逆駆動機構を有し、前記駆動機構を反転すると前記係合部材を前記相補形の内部ハウジング構造から物理的に係合を解放して、前記アクティブハウジングのアッセンブリ及び前記パッシブハウジングのアッセンブリをショックレスでお互いからリリースする。
【0010】
前記ロック機構は、前記アクティブハウジングに搭載される近位端を有する1対の係合部材と、前記アクティブハウジングから前記第1インターフェースを超えて延びる遠位端とを有してもよく、
前記可逆駆動機構は、遠位端を有し、前記1対の係合部材間を移動可能で、前記パッシブアッセンブリの方に移動させられた場合、前記遠位端が前記1対の係合部材の遠位端の内面を支持し、それらを半径方向外側に駆動する可動部材を有する。
【0011】
前記係合部材は、少なくとも2つの弓形の細長いコレットアームと、前記アクティブハウジングに構造的に取り付けられる前記細長いコレットアームの近位端と、それに取り付けられているコレットウェッジを有する各細長いコレットアームの遠位端とを有するコレットを有してもよく、前記コレットウェッジのそれぞれは、前記パッシブハウジングの前記内部構造と相補形の形状を有する外面を有し、
前記可動部材は、送りねじに搭載されるプランジャを有し、前記送りねじの近位端は前記プランジャを前後に可逆的に駆動するためのアクチュエータに動作可能に接続され、前記アクチュエータは、前記アクチュエータの作動を制御するための制御機構に接続されるための電気的接続部を含み、前記送りねじの遠位端は前記コレットウェッジの間に位置し、前記弓形の細長いコレットアームは、前記プランジャが前記コレットウェッジと物理的に接触していない場合に、前記コレットウェッジが前記送りねじの前記遠位端の方に傾斜するように構成されており、
前記アクチュエータは、前記プランジャを前記送りねじの前記遠位端の方に前進、及びそれから後退させるように構成される。
【0012】
前記コレットウェッジは、前記プランジャの外面に接触する内側ウェッジ面を有してもよく、前記パッシブハウジングの前記内部構造は、前記コレットウェッジ上の選択される外側ウェッジ面と相補形となるように設計されているウェッジ面を有してもよく、
前記内側ウェッジ面は、前記プランジャが前記コレットウェッジを引き離す場合に、前記選択される外側ウェッジ面は前記パッシブハウジングの相補形のウェッジ面に駆動され、前記コレットウェッジを前記細長いアームの前記近位端からさらに遠ざけて、それによって前記細長いアーム内に事前選択される張力を生じさせるように前記パッシブハウジングのウェッジ面と前記外側ウェッジ面との組み合わせで選択される。
【0013】
前記アクティブハウジングは、共にボルト締めされるように構成される2つのアクティブハウジング部分を有してもよく、前記2つのアクティブハウジング部分を分離する事前選択される厚さのシムを有し、前記シムの厚さは前記コレットアームに前記事前選択される張力を生成するように事前選択されてもよい。前記アクチュエータは、前記事前選択される張力をリリースし機械的衝撃の発生を防止するために十分に遅い速度で、前記プランジャを前記送りねじの前記近位端の方に移動させるように構成されてもよい。
【0014】
前記アクティブハウジングとパッシブハウジングとの間の前記構造的接続は、同一パッシブハウジング又は異なるパッシブハウジングを前記アクティブハウジングに物理的に嵌合させ、前記係合部材を前記パッシブハウジングの前記相補形の内部構造に接触させることによって復旧することができ、それによってリセット可能でショックレスなホールドダウン及びリリースの機構を与える。
【0015】
前記アクティブハウジングの遠位端に位置する前記取付け構造は、前記アクティブハウジングを前記リリース可能なアッセンブリの前記第1部分にボルト締めするためのボルト孔を有する前記アクティブハウジングの近くの周辺に延びる取付け機構を有してもよく、そして
前記パッシブハウジングの前記遠位端に位置する前記取付け構造は、前記アクティブハウジングを前記リリース可能なアッセンブリの前記第2部分にボルト締めするためのボルト孔を有する前記パッシブハウジングの近くの周辺に延びる取付け機構を有する。
【0016】
第1インターフェースと第2インターフェースは、ハースインターフェースであってもよい。
【0017】
前記機構は、センサシステムからのフィードバックに基づいて前記アクティブハウジング及びパッシブハウジングを調整、カップリング及び分離することに関連する全ての動作を遠隔のオペレータが制御可能にするための、前記アクティブハウジング及びパッシブハウジングのうちの一方又は両方に搭載される前記センサシステムをさらに備えてもよい。前記センサシステムは、カメラベースのビジョンシステム、レーダー及びLIDARのうちのいずれか1つ又は組み合わせを有する。
【0018】
前記機構は、制御システムがアラインメントを実行するために前記センサシステムを使用する、前記パッシブハウジングを前記アクティブハウジングに位置決め及び嵌合するための位置決め装置をさらに備えてもよい。
【0019】
前記機構は、制御システムがアラインメントを実行するために前記センサシステムを使用する、前記アクティブハウジングを前記パッシブハウジングに位置決め及び嵌合するための位置決め装置をさらに備えてもよい。
【0020】
前記第1の対象物は宇宙機であってもよく、前記第2の対象物は宇宙機のペイロードである、又は、代わりに前記第1の対象物は宇宙機のペイロードで、前記第2の対象物は宇宙機である。
実施形態において、リリース可能なアッセンブリをリセット可能でショックレスに嵌合及び分離する方法が提供され、
a)第1インターフェースを有する遠位端と前記第1インターフェースを超えて延びる、自身に搭載される係合部材を有し、前記係合部材を横方向外側に移動させるように構成される可逆ロック機構とを有するアクティブハウジングを第1の対象物に取り付ける工程と、
b)前記第1インターフェースと相補形の第2のインターフェースを有する遠位端を有して、それと前記第1インターフェースとの間でカップリングを形成し、前記アクティブハウジングとの間で構造的な接続を与え、また構造的な接続が前記アクティブハウジングとの間で形成される場合に前記係合部材を自身の中に収容するように構成され、前記係合部材と相補形の内部構造を有するパッシブハウジングを第2の対象物に取り付ける工程と、
c)前記係合部材が前記パッシブハウジングの内に位置するように、前記アクティブハウジングとパッシブハウジングを調整して前記アクティブハウジングとパッシブハウジングとの間に構造的接続を形成する工程と、
d)前記係合部材が前記内部ハウジング構造と物理的に接触する場合に、前記アクティブハウジングとパッシブハウジングがショックレスに共にロックされるように、前記係合部材を半径方向外側に移動させて前記係合部材と相補形の前記パッシブハウジングの前記内部ハウジング構造と物理的に係合するように前記可逆ロック機構を作動させる工程と、
e)前記アクティブハウジングとパッシブハウジングをリリースすることが望ましい場合に、前記係合部材を前記内部ハウジング構造との物理的接触から離して内側に移動させ、それによってショックレスに前記アクティブハウジングとパッシブハウジングをリリースするために前記可逆ロック機構を作動させる工程と、
を備える。
【0021】
前記ロック機構は、前記構造的接続が確立されると、前記係合部材を半径方向外側に駆動して前記内部構造と物理的に接触させ、それによって前記アクティブハウジングアッセンブリ及び前記パッシブハウジングアッセンブリを互いにショックレスにロックするように構成される可逆駆動機構を有してもよく、前記駆動機構を逆転すると、前記係合部材は前記相補形の内部ハウジング構造から物理的に解放され、前記アクティブハウジングアッセンブリ及び前記パッシブハウジングアッセンブリはショックレスに互いにリリースされる。
【0022】
前記第1の対象物は宇宙機であってもよく、前記第2の対象物は宇宙機のペイロードであってもよい、又は代わりに前記第1の対象物は宇宙機のペイロードであってもよく、前記第2の対象物は宇宙機であってもよい。
【0023】
以下の詳細な説明と図面を参照することにより、本開示の機能上の及び有利な態様に関するさらなる理解を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
打ち上げ中に宇宙機のコンポーネントをリリース可能に固定するための機構に関する実施形態を、ほんの一例として、図面を参照して説明する。
図1】本開示に従って構成される駆動型のリセット可能でショックレスなホールドダウンとリリースの機構の実施形態の等尺性外観図である。
図2図1の矢印2に沿った図1の前記機構の上面図である。
図3】前記機構の内部構造を示す図2の3‐3線に沿った断面図である。
図4】前記機構のさらなる詳細を示す図2の4‐4線に沿った断面図である。
図5図4の5‐5線に沿った断面図である。
図6】前記機構の動作のシーケンスを示す図2の3‐3線に沿った断面図である。
図6A】前記機構の動作のシーケンスを示す図2の3‐3線に沿った断面図である。
図6B】前記機構の動作のシーケンスを示す図2の3‐3線に沿った断面図である。
図6C】前記機構の動作のシーケンスを示す図2の3‐3線に沿った断面図である。
図6D】前記機構の動作のシーケンスを示す図2の3‐3線に沿った断面図である。
図6E】前記機構の動作のシーケンスを示す図2の3‐3線に沿った断面図である。
図7図3の細部7の拡大図である。
図8】Z軸がアクティブハウジング210の軸に沿って位置し、X軸及びY軸と互いに直交する座標系である。
図9】アーミング状態の状態にあるコレットの等角図である
図10図2の4‐4線に沿った代替実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の様々な実施形態と態様について、下記に述べる詳細を参照して説明する。以下の説明と図面は本開示の例示であって本開示を限定するものとして解釈されるべきでない。図面は必ずしも原寸に比例していない。本開示の様々な実施形態の完全な理解を提供するために多くの具体的な詳細が説明される。しかしながら、場合によっては、本開示の実施形態の簡潔な記述を提供するために、周知又は従来の詳細は説明されない。
【0026】
本明細書中で使用されるように、「を備える(comprises)」と「を備えている(comprising)」は、包括的でオープンエンドであり、排他的でないと解釈されるべきである。具体的には、請求項を含めて本明細書において使用される場合、用語「comprises」と「comprising」及びそれの変化形は具体的な機構、工程又はコンポーネントが含まれることを意味する。これらの用語はその他の機構、工程又はコンポーネントの存在を除外すると解釈されるべきではない。
【0027】
本明細書中で使用されるように、用語「例示的な(exemplary)」は、「例、実例又は例証として役割を果たす」という意味であり、本明細書中に開示されたその他の構成を上回って好ましい又は有益であると解釈されるべきではない。
【0028】
本明細書中で使用されるように、用語「約(about)」と「大体(approximately)」は、粒子の寸法の範囲、混合物の組成あるいはその他の物理的性質又は特性に関連して用いられる場合、平均して大半の寸法は満たされるが統計的にはその範囲外に寸法が存在する可能性がある実施形態を除外しないために、寸法の範囲の上限と下限に存在する可能性があるわずかなバリエーションをカバーすることを意図する。そのような実施形態を本開示から除外することを意図していない。
【0029】
以下は、AReS HDRMの好適な実施形態の説明である。付加的な実施形態も説明する。
【0030】
図1は、パッシブハウジング300、アクティブハウジングアッセンブリ200、及び取付け孔301と211を示すAReS HDRM100の等尺性外観図を示す。アクティブハウジングアッセンブリ200の可視コンポーネントは、アクティブハウジング210、プリロードシム220、コレット230、軸受ハウジング240及びアクチュエータアッセンブリ250を含む。図2は、AReS HDRM100の上面図を示す。
【0031】
図3は、パッシブハウジング300とアクティブハウジングアッセンブリ200のさらなる詳細を示す図2の3‐3線に沿った断面図を示す。図3は、AReS HDRM100による2つの対象物110と120の接続方法も示す(図1参照)。アクティブハウジングアッセンブリ200の可視コンポーネントは、アクティブハウジング210、プリロードシム220、コレット230、軸受ハウジング240、アクチュエータアッセンブリ250、軸受260、送りねじ271、軸受ワッシャ272、ファスナー253、軸受リテーナ273及びプランジャ280を含む。アクチュエータアッセンブリ250は、アクチュエータプレート251、及びアクチュエータ252を含む。本図は、また、取付け機構310によってその対象物110に取り付けられたパッシブハウジング300及び取付け機構205によってその対象物120に取り付けられたアクティブハウジング210も示す。AReSの1つの提案される使用において、対象物110は、宇宙機である対象物120にリリース可能かつリセット可能に固定されるペイロードである。AReSの別の応用例において、対象物110は宇宙機で、対象物120は、AReSにリリース可能かつリセット可能なように接続できるペイロードである。対象物110は、個別のファスナー(ボルト)、ねじ付きインターフェース、溶接、一体加工等の様々な方法のうちの1つを用いて取付け機構310においてパッシブハウジング300に接続されてもよい。同様にして、対象物120は、同じ様々な締結技法のうちの1つを用いて取付け機構205においてアクティブハウジング210に接続されてもよい。
【0032】
取付け機構は、それが取り付けられている対象物上の取付け機構に対応する孔と合う、自身を通過して延びる孔を有する環状フランジであってもよいことに留意されたい。
【0033】
図4は、パッシブハウジング300とアクティブハウジングアッセンブリ200のさらなる詳細を示す図2の4‐4線に沿った断面図を示す。アクティブハウジングアッセンブリの可視コンポーネントは、アクティブハウジング210、プリロードシム220、コレット230、軸受ハウジング240、アクチュエータアッセンブリ250、軸受260、送りねじ271、軸受ワッシャ272、ファスナー245、軸受リテーナ273、プランジャガイド285及びプランジャ280を含む。アクチュエータアッセンブリ250は、アクチュエータプレート251、アクチュエータ252及びアクチュエータハーネス254含む。パッシブハウジング300とアクティブハウジングアッセンブリ200との間のインターフェースは505で示される。
【0034】
図5は、プランジャガイド285が、どのようにプランジャ280に接続され、アクティブハウジング210の溝215の中を延び、及びコレット230の両側に設置されているかを示す図4の5‐5線に沿った断面図を示す。
【0035】
図6乃至図6Eは、取付け機構310によって対象物110に取り付けられたパッシブハウジング300、アクティブハウジングアッセンブリ200、取付け機構205によって対象物120に取り付けられたアクティブハウジング210、プリロードシム220、コレット230、コレットウェッジ235、コレットアーム504、軸受ハウジング240、アクチュエータプレート251及びアクチュエータ252、軸受260、送りねじ271、プランジャ280、インターフェース505、接触点503、及び接触面502を示す機構の動作のシーケンスを説明する図2の3‐3線に沿った断面図を示す。本図は、また、HDRMがアーミング状態の状態(図3参照)にある場合に構造的に固定されることに比べて、HDRMがリリース状態にある場合に、パッシブハウジング300からアクティブハウジングアッセンブリ200を分離すると、2つの対象物110と120を分離することができるようにどのように作用するかも説明する。
【0036】
図7は、AReS HDRMが完全な構造的プリロードを達成した場合におけるプランジャ280、送りねじ271、及びパッシブハウジング300の間の相互作用を示す図3の詳細7の拡大図を示す。本図は接触面502、接触点503及びウェッジ角501を示す。
【0037】
図8は、Z軸がアクティブハウジング210の軸に沿って位置し、またX軸とY軸に互いに直交する座標系を示す。Z軸周りのX軸とY軸の方向は概念的であり、本機構の動作にとって重要ではない。
【0038】
図9は、説明目的のためにコレット230のみの等角図を示す。コレットアーム504は、本機構が「配備された状態」にあるかのようにまっすぐな配置で示されている。コレットウェッジ235及び接触面502と506も見ることができる。
【0039】
図10は、別の実施形態を示し、パッシブハウジング300とアクティブハウジングアッセンブリ200を含む別の実施形態の機構の詳細を示す図4の繰り返しである。アクティブハウジングアッセンブリの可視コンポーネントは、アクティブハウジング210、プリロードシム220、コレット230、軸受ハウジング240、アクチュエータアッセンブリ250、軸受260、送りねじ271、軸受ワッシャ272、ファスナー245、軸受リテーナ273、プランジャガイド285及びプランジャ280を含む。アクチュエータアッセンブリ250は、アクチュエータハウジング600、アクチュエータ252、アクチュエータハーネス254、航空電子制御盤601、及びコネクタ602を含む。別の実施形態は、また、アーミング状態のスイッチ面603、アーミング状態のスイッチサポート604、アーミング状態のスイッチコンタクト607、リリース状態のスイッチ面605、リリース状態のスイッチサポート606、リリース状態のスイッチコンタクト608、アーミング状態のスイッチハーネス609及びリリース状態のスイッチハーネス610も含む。
動作の方法
【0040】
本明細書中に開示されたAReS HDRM装置は、くさびの原理を使用して、本機構の各部分に散りつけられたアイテムを適切に支持するために必要な所望の構造的プリロードだけでなく、本機構の動作において損傷、変更又は消耗される部品はないので、再利用性と信頼性の向上を可能にすることも達成する。
【0041】
AReS HDRMは、2つの対象物110と120を、リリース可能かつリセット可能に、互いに構造的に接続することができるように使用され、HDRMの各部分は対象物110又は120のどちらかに取り付けられる。本機構の2つの部分をリリースするために、そしてそれによって2つの対象物110と120をリリースするために、それらは最初に互いに適切に取り付けられ、所望のプリロード張力が、HDRM100を通して印加される必要な荷重を支えるコレット230で達成されなければならない。図6に示されるように、パッシブハウジング300はアクティブハウジングアッセンブリ200からの分離を開始する。この構成において、HDRM100の状態はリリース状態のであると定義される。2つのハウジング200と300は、この時点でリリースされるアイテムに取り付けられていてもよい又はHDRM100がプリロード又はアーミング状態の後にそれらのアイテムに固定されてもよい。孔301と210(図1参照)は、本機構を、リリース可能に取り付けられる2つのアイテムに取り付けるために設けられる。当該説明を明確にするために、プリロードされたHDRM100は、プリロードが達成された後で、リリースされるアイテムに取り付けられると想定する。プリロードが、リリースされる2つのアイテムにHDRM100が取り付けられる前又は後に達成されるかどうかは、動作のシーケンスに影響を及ぼさない。
ステップ1
【0042】
図6は、接続される前の本機構の2つの部品を示す。取付け機構310によってそれの対象物110に取り付けられたパッシブハウジング300は、取付け機構205によってそれの対象物120に取り付けられたアクティブハウジング210を有するアクティブハウジングアッセンブリ200から完全に分離している。全ての部品は完全に「分離された」状態にある。
ステップ2
【0043】
HDRM100をプリロードする第1ステップ最初のステップでは、嵌合インターフェース505でパッシブハウジング300をアクティブハウジングアッセンブリ200に接触させる(図6A参照)。この時点では、アクチュエータ252は送りねじ271を全く回転していない。本実施形態において、インターフェース505は、ハースカップリングで、回転荷重と面内荷重に応答することが可能である。これらのカップリングは当業者にとって周知である。異なる実施形態ではハースカップリングインターフェースを異なるインターフェースに取り替えており、下記で説明する。
ステップ3
【0044】
アクチュエータ252は、アクチュエータ駆動軸253を介して送りねじ271に取り付けられ、送りねじはプランジャ280にねじ込まれている。アクチュエータ252は、それがプランジャ280をパッシブハウジング300の方に前進させるように送りねじ271を回転させる。図6Bは、ちょうど2つの接触点503でコレットウェッジ235に接触しているプランジャ280と移動前のコレットウェッジ235を示す。リリース状態において、コレットアーム504は、コレットウェッジ235がパッシブハウジング300の内径から離れるように内側に湾曲している。
【0045】
送りねじ271は、特定の用途に対してより有利となるボールねじ又はラックとピニオン等の、回転運動を直線運動に変換するために使用される他の装置に交換されてもよいことが理解される。さらに、アクチュエータ252は、命令時に回転運動を提供することができる電気モータ等の任意の装置であってもよいが、これに限定されない。
ステップ4
【0046】
図6Cに示されるように、プランジャ280は継続して前進する。プランジャ280とコレットウェッジ235との間の接触点503は、プランジャ280が前進するにつれて変化し、コレットウェッジ235の方向は、それらが半径方向外側に移動してパッシブハウジング300の相補形溝の中に移動するにつれて変化、回転する。それらが半径方向外側に移動すると、コレットウェッジ235は、面502に沿ってパッシブハウジング300と接触し始める。
ステップ5
【0047】
図6Dは、送りねじ271が、コレットウェッジ235を外側に強制し、さらに、面502に沿ってパッシブハウジング300の内面の相補形溝と係合させるプランジャ280を継続して前進させる方法を示す。コレット230のアーム504は、コレットウェッジ235がパッシブハウジング300の溝の中に押し込まれるにつれてまっすぐになる。
ステップ6
【0048】
図7において、完全に係合されたコレットウェッジ235の詳細が示される。プランジャ280の前進が継続して、最終的には、コレット230のウェッジは傾斜している面502に沿ってパッシブハウジング300に接触する。コレットウェッジ235の内面506は、所定の角度501でテーパー形状になっている。この角度501は、プランジャ280が前進するにつれて、コレットウェッジ235が外側に押され、それによってパッシブハウジング300とアクティブハウジングアッセンブリ200との間の所望のプリロードを達成するために十分にコレットアーム504を広げるために必要な範囲だけ、面502を押し上げられる角度である。
【0049】
アクチュエータ252が継続してプランジャ280を前進させるにつれて、内側のウェッジ面506とプランジャ280との間の接触点503が移動してコレットウェッジ235をさらにパッシブハウジング300の相補形溝の中に強制する。一旦、面502に沿って完全な接触が生じると、プランジャ280がさらに前進することによって、傾斜面502をさらに登る向きにコレットウェッジ235を強制するように作用し、コレットアーム504に張力又はプリロードを生じさせるように作用する。
ステップ7
【0050】
一旦、プランジャ280の所定の前進が達成されると、次に、コレットアーム504の所望のプリロードも達成される。図6Eは、完全に伸長された位置にあるプランジャ280と面502に沿ってパッシブハウジング300と完全に係合しているコレットウェッジ235を示す。
【0051】
プランジャ300が十分に前進した場合に所望のプリロード達成を確立するためにいくつかの方法が使用されてもよい。これらには、送りねじ271の回転を計数する方法、コレットアーム504の張力又はプリロードを検出するひずみ計を用いる方法、又は本実施形態におけるように、アクチュエータ252を失速させることに加えてシム220を使用する方法が含まれる。
【0052】
図4に示されるように、アクチュエータ252はハーネス254を経由して電力を供給され命令される、そして製造工程において、シム220の厚さは、プランジャ280がパッシブハウジング300の下側に接触してアクチュエータ252を失速させる、又はその電流限度を超える場合、コレットアーム504に必要な張力を確実に発生させるよう、コレットウェッジ235が面502を登る向きに十分に強制されるように調整される。所望のプリロード及びパッシブハウジング300、アクティブハウジング210及びコレット230を作製するために使用される材料と方法によっては、別個のシムは必要でない場合がある。
【0053】
プランジャ280がコレットウェッジ235と接触する前に回転することを防止するために、プランジャ280は、アクティブハウジング210の内面の溝215を延びるガイドピン285によってガイドされる(図4及び図5参照)。
【0054】
図4を参照すると、送りねじ271は軸受260によって軸受ハウジング240の中で支持されている、そして、軸受260は、軸受ワッシャ272と軸受リテーナ273によって送りねじ271の軸に保持される。ファスナー245は軸受ハウジング240、コレット230及びシム220をアクティブハウジング210に保持するために使用される。ファスナー253(図3)は、アクチュエータアッセンブリ250を軸受ハウジング240に保持するために使用される。
【0055】
一旦、パッシブハウジング300とアクティブハウジングアッセンブリ200との間のプリロードが達成されると、HDRM100全体はアーミング状態とみなされる。リリース状態の状態に変えるためには、プリロードを達成するための前述の動作は基本的に逆転される。アクチュエータ252は、プランジャ280がパッシブハウジング300から離れるように、プランジャ280を反対方向に回転させるよう命令される。これにより、まず、数秒間続く期間にわたってコレットアーム504のプリロード又は張力のリリースが行われる。こうして時間をかけてプリロードをリリースすることは超低衝撃を達成する鍵であり、また本明細書中に開示される装置と実際の他のあらゆるリリース機構とを区別する鍵である。
【0056】
プリロードがリリースされて、プランジャ280は、パッシブハウジング300からなおさらに遠ざけられ、プランジャ280がそれらを引き離すことなく、コレットウェッジ235は、パッシブハウジング300をアクティブハウジングアッセンブリ200から自由に分離できる位置までパッシブハウジング300の相補形溝から引き出される。HDRMは、今やリリース状態の状態に戻っている。
【0057】
パッシブハウジング300が、再び嵌合インターフェース505でアクティブハウジングアッセンブリ200上に配置された場合、HDRM100は、本機構に対する付加的な変更なく、再びアーミング状態の状態に駆動されてもよい。毎回全く同一のコンポーネントを用いてアーミング状態の状態とリリース状態の状態との間を繰り返し循環させるこの能力は、本捕捉とリリースの機構の再使用性の鍵であり、また動作上使用される全てのコンポーネントは動作に先立ちテストすることができるので、アッセンブリ全体の信頼性を向上するための鍵でもある。
付加的な実施形態
【0058】
上述したように、パッシブハウジング300とアクティブハウジング210との間のインターフェースはハースカップリングである。これらのカップリングは、回転荷重及びカップリングの軸に直交する平面の面内荷重(X‐Y平面内の応答荷重及びZ軸周りのモーメントと呼ばれることが多い、図8参照)に応答することができる構造的な接続を提供する。
【0059】
別の実施形態において、本インターフェースは、Z軸周りの回転を制限せず、またその他の全ての荷重及びモーメントに応答する周知の「カップとコーン」デザインであってもよい。
【0060】
さらなる実施形態では、ハースカップリングを、平面内の1方向の運動とZ軸周りの運動を可能とし、またその他のあらゆる荷重とモーメントに応答するスロット付きプレートに置き換える。
【0061】
さらなる実施形態では、プレートの平面内の滑り運動とZ軸周りの回転を可能とするが、その他の全ての荷重とモーメントに応答するように、ハースカップリングをコレットの直径よりも大きな孔を有するプレートに置き換える。
【0062】
リリースは、運用計画の特定の時点で宇宙機の制御コンピュータからの自動命令によって制御又は始動することができ、AReSのリリースは宇宙機のコンピュータからの宇宙機データバス接続を経由して始動される。代わりに、リリースの始動は地上のオペレータの命令によって行われてもよい。この命令は地上局で提供され、宇宙機のコンピュータへの通信リンクを介してAReSの始動を可能にする。
【0063】
AReSのパッシブ及びアクティブ部分を接続する物理的動作は手動で行うことができる、あるいは組み立てリグを使用して、アクティブアッセンブリにまで取り付けられたパッシブハウジングを用いてペイロードを提供し、2つのインターフェースを嵌合させることができる。
【0064】
さらなる実施形態において、AReS HDRMは、標準の火工式リリース機構をリリースするための短い発射パルスのみを提供する任意の宇宙機制御システムと後方互換性を有してもよい。当該実施形態の付加的特徴は、プランジャがアーミング状態の又はリリース状態の状態にある場合に、宇宙機により提供されるパルスを解釈してそのパルスを使用するアビオニクスを確立するセンサであり、当該センサから戻された信号を加えてアクチュエータに制御可能に電力を供給して機構を駆動する。当該実施形態の利点は、制御システムに変更を要せず、AReS HDRMと従来の宇宙機制御システムとの容易な統合を提供する火工式リリース機構を収容するようにすでに構成されている宇宙機制御システムを用いてAReS HDRMを使用することができることにある。
【0065】
図10に示されるように、プランジャ280は、アーミング状態のスイッチコンタクト607とリリース状態のスイッチコンタクト608をサポートする機構を含む。AReS HDRMがアーミング状態の状態にある場合、図10に示されるように、アーミング状態のスイッチコンタクト607は、アーミング状態のスイッチサポート604に構造的にサポートされているアーミング状態のスイッチ面603と電気的に接触し、回路を閉じて、アーミング状態のスイッチハーネス609を介して、アクチュエータハウジング600内の航空電子制御盤601に信号を提供する。
【0066】
コネクタ602を介して、HDRMをリリースする信号が宇宙機から受信されると、航空電子制御盤601は、同時にコネクタ602を介して宇宙機から供給される電力をアクチュエータ252に供給するように構成され、それによってプランジャ280を移動させる。プランジャ280が後退すると、アーミング状態のスイッチコンタクト607はアーミング状態のスイッチ面603とから電気的に分離し、アーミング状態のスイッチハーネス609の回路を開放する。航空電子制御盤601は、これを利用してプランジャ280が後退していることを検出し、「後退した」スイッチコンタクト608が、「後退した」スイッチサポート606に支持される「後退した」スイッチ面605と電気的に接触し、プランジャ280が完全に後退してアクティブハウジングアッセンブリ200がパッシブハウジング300をリリースしたことを航空電子制御盤601に伝える「後退した」スイッチハーネス610の回路を閉じるまでアクチュエータ252に継続して電力を供給する。航空電子制御盤601は、その後、アクチュエータ252に電力を供給することを停止し、プランジャ280の移動は停止する。上記の説明のとおり、プランジャ280が後退して、コレット230はパッシブハウジング300をリリースし、AReS HDRMの2つの部分は現在分離可能である。
【0067】
ポテンショメータ、レゾルバ、マイクロスイッチ等のその他のセンサがプランジャ280の位置を確定して航空電子制御盤601にそれを報告するために使用できることは理解されるであろう。
【0068】
本機構のリセット可能な特質のため、さらなる実施形態は、従来のファスナーを使用することができない場合がある環境に対するリリース可能な構造的ファスナーとして本機構を使用する。そのような環境、例として、恐らく大気圏外又は原子炉内部において、アクティブハウジングアッセンブリ200とパッシブハウジングアッセンブリ300は、以前において嵌合されたことがなく、人為的又はロボット的手段により、前記環境内で初めて嵌合されるアイテムに取り付けることができる。本機構を配備された状態に作動させると、2つのアイテムの間に構造的な接続が形成される。このようにして、AReSは、前記環境内でアイテムを収容するために、又はその環境でより大きな集合体として使用するために複数のアイテムを共に組み立てるために使用することができる。
【0069】
本実施形態において、アクティブハウジングアッセンブリ200及びパッシブハウジングアッセンブリ300の遠隔カップリングは、ハウジング200と300のうちの一方又は両方に搭載される位置決め装置(例えば、ロボットアーム/マニピュレータ)とセンサによって可能になるであろう。位置決め装置は、120にすでに取り付けられているパッシブハウジングアッセンブリ300を、120にすでに取り付けられているアクティブハウジングアッセンブリ200に位置決めし、嵌合させることによって、対象物110を第2の対象物120に位置決めし、嵌合させるために使用できるであろう。別の実施形態において、位置決め装置は、120にすでに取り付けられているアクティブハウジングアッセンブリ200を、110にすでに取り付けられているパッシブハウジングアッセンブリ300に位置決めし、嵌合させることによって、対象物120を第2の対象物110に位置決めし、嵌合させるために使用される。パッシブハウジングアッセンブリ300をアクティブハウジングアッセンブリ200に対して(又はアクティブハウジングアッセンブリ200をパッシブハウジングアッセンブリ300に対して)嵌合できるように十分な精度で位置決めするために、コンピュータ制御システムによる又は、カメラ、レーダー又はLIDARを有してもよい様々なセンサを用い、恐らく地上局との通信を用いて遠隔地からの人間を介在する命令による位置決め装置の自律制御を含むがこれに限定されない様々な方法で遂行できる。
【0070】
パッシブハウジング300とアクティブハウジング210は、リリースされるアイテムとは別個のコンポーネントとして示されてきたが、パッシブハウジング300とアクティブハウジング210の動作可能な機構は、リリースされるアイテムの一方又は他方あるいは両方と一体で製造することができ、全体の質量を低減することによるさらなる便益を提供する。
【0071】
本開示の好適な実施形態の上述の説明は、本開示の原理を例示するために提示されたのであり、例示された特定の実施形態に本開示を限定するものではない。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物内に包含される全ての実施形態によって定義されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8
図9
図10