(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】セグメント化された回転式フロア用剥離パッド
(51)【国際特許分類】
A47L 13/16 20060101AFI20220606BHJP
A47L 11/164 20060101ALI20220606BHJP
B24D 11/00 20060101ALI20220606BHJP
B24D 11/06 20060101ALI20220606BHJP
B24D 3/28 20060101ALI20220606BHJP
【FI】
A47L13/16 A
A47L11/164
B24D11/00 E
B24D11/06 Z
B24D11/00 Z
B24D3/28
(21)【出願番号】P 2019566050
(86)(22)【出願日】2018-02-21
(86)【国際出願番号】 US2018018934
(87)【国際公開番号】W WO2018156567
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2019-12-16
(32)【優先日】2017-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519299717
【氏名又は名称】エーシーエス インダストリーズ、インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】グリーンウッド、ジョージ
【審査官】関口 知寿
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-173262(JP,A)
【文献】特開2006-034604(JP,A)
【文献】特開2005-319450(JP,A)
【文献】特表2009-506793(JP,A)
【文献】特開2015-175177(JP,A)
【文献】特開2004-009018(JP,A)
【文献】特開2002-036127(JP,A)
【文献】特開平03-234476(JP,A)
【文献】特開昭63-057009(JP,A)
【文献】特開昭58-152531(JP,A)
【文献】特開平03-039131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 11/02
A47L 13/16
A47L 11/164
B24D 3/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床からワックスを剥離するためのフロア用剥離パッドであって、
平面状で、多角形の、対称的な、複数のパッドセグメント
を有し、
各パッドセグメントは、目粗に微細凹凸加工した不織ポリマー繊維材料から形成され、
前記複数のパッドセグメントは、部分的に円周方向に重なり合う関係で一体的に固定されて、
輪状のセグメント化されたパッドを形成し、
全体が床に係合するように構成された上部剥離面を有し、および全体が床に係合するように構成された対向した下部剥離面をも有し、
重なり合う側縁部を
有する隣接するパッドセグメントの各ペアは、
放射状に延びる取り付け線に沿って前記重なり合う側縁部に沿って固定され、
前記重なり合う側縁部、および前記
それぞれのパッドセグメントの厚さは、各パッドセグメント
が、前記床に対してある角度で配置され、放射線状に拡がるように
協働し、
前記上部および下部剥離面のそれぞれで回転方向に前記床に係合するように
前記取り付け線の前方に先行刃先の角度を成し、
隣接しあうパッドセグメントの各ペアの前記角度を成した先行刃先は、その間に放射状に延在する流体流路を形成し、剥離液および溶解した剥離ワックスは、床での回転中に半径方向外側に遠心力によって押し出され、
前記
輪状のセグメント化されたパッドは
前記上部および下部剥離面が同じ回転方向で有用であり両面使用できる
フロア用剥離パッド。
【請求項2】
請求項1記載のフロア用剥離パッドであって、24のパッドセグメントを有するフロア用剥離パッド。
【請求項3】
請求項1記載のフロア用剥離パッドにおいて、前記パッドセグメントは、接着剤付けと、超音波接合と、縫合とから選択される方法により固定されるものであるフロア用剥離パッド。
【請求項4】
請求項2記載のフロア用剥離パッドにおいて、前記パッドセグメントは、接着剤付けと、超音波接合と、縫合とから選択される方法により固定されるものであるフロア用剥離パッド。
【請求項5】
請求項1記載のフロア用剥離パッドにおいて、前記不織ポリマー繊維材料は、ポリアミドと、ポリエステルと、ナイロンとから成る群から選択されるものであるフロア用剥離パッド。
【請求項6】
請求項
2記載のフロア用剥離パッドにおいて、前記不織ポリマー繊維材料は、ポリアミドと、ポリエステルと、ナイロンとから成る群から選択されるものであるフロア用剥離パッド。
【請求項7】
請求項
3記載のフロア用剥離パッドにおいて、前記不織ポリマー繊維材料は、ポリアミドと、ポリエステルと、ナイロンとから成る群から選択されるものであるフロア用剥離パッド。
【請求項8】
請求項1記載のフロア用剥離パッドにおいて、さらに、
不織繊維材料に全体にわたり分散および結合させた研磨粒子を有するものであるフロア用剥離パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワックスを塗布した床の清掃およびワックス剥離に関連して使用される回転式フロアパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ワックスを塗布した床を剥離および清掃するフロアパッドは、当該技術分野でよく知られている。一般的な先行技術のフロアパッドは、多孔質の研磨材料でできた1枚のシートから裁断された平面的な輪状のディスクを有する。先行技術のパッドは一定用途には許容されるものであったが、床塗布物を剥離するという特定の目的では、いくつかの難点が認められてきた。先行技術パッドの一体的(モノリシック)な平面では、積極的な剥離を行う縁部が得られないため、所望するよりも長い時間が剥離工程にかかる。商業用および教育用建築物の床は、通常、一晩のうちにワックスが剥離されて再度塗布され、この作業はできるだけ早く完了することが非常に望ましい。さらに、その剥離工程には、蓄積したワックスを溶解する上で役立つ剥離液の使用が伴う。この剥離工程において、前記液および剥離されたワックス材料は急激に沈着し、前記パッドの多孔質材料に詰まって、その性能を短時間で損なってしまう。その場合は、ワックス沈着を避けるため、前記パッドを頻繁に裏返すか交換しなければならない。この急激な沈着および目詰まりにより、作業に必要なパッド数が増大し、繰り返しパッドを交換する作業時間が増えて作業コストも増大する。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許出願公開第2009/0088054号明細書
(特許文献2) 米国特許出願公開第2013/0273822号明細書
(特許文献3) 米国特許第2,104,925号明細書
(特許文献4) 米国特許第2,024,691号明細書
(特許文献5) 米国特許第6,299,520号明細書
(特許文献6) 米国特許第4,724,567号明細書
(特許文献7) 米国特許第1,216,488号明細書
(特許文献8) 米国特許第2,033,253号明細書
(特許文献9) 米国特許第3,110,139号明細書
(特許文献10) 米国特許第3,176,438号明細書
(特許文献11) 米国特許第4,607,412号明細書
(特許文献12) 米国特許第4,679,360号明細書
(特許文献13) 米国特許第4,718,204号明細書
(特許文献14) 米国特許第5,201,149号明細書
(特許文献15) 米国特許第5,247,767号明細書
(特許文献16) 米国特許第5,438,728号明細書
(特許文献17) 米国特許第5,752,876号明細書
(特許文献18) 米国特許第6,066,034号明細書
(特許文献19) 米国特許第6,428,406号明細書
(特許文献20) 米国特許第6,582,289号明細書
(特許文献21) 米国特許第6,869,339号明細書
(特許文献22) 米国特許第7,004,829号明細書
(特許文献23) 米国特許第7,481,699号明細書
(特許文献24) 米国特許第7,828,633号明細書
(特許文献25) 米国特許第9,415,483号明細書
(特許文献26) 米国特許第0,760,080号明細書
(特許文献27) 米国特許出願公開第2014/0080392号明細書
(特許文献28) 独国特許出願公開第102008025554号明細書
(特許文献29) 国際公開第2015/119826号
(非特許文献)
(非特許文献1) 3M Floor Pads - "Durable solutions for a sustainable future" - 3M Science-Applied to Life-Cleaning and Workplace Safety,July 2017
(非特許文献2) 3M High Productivity Pad 7300 - Technical Data Sheet 7300,October 2016
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、複数の対称的で、好ましくは多角形の、パッドセグメントを有するセグメント化した回転式フロア用剥離パッドを提供し、前記複数のパッドセグメントは、部分的に重なり合う関係で一体的に固定される。前記セグメントは、目粗の不織ポリマー繊維から形成され、かつ、重複した隣接しあう側縁部に沿って、ホットメルト接着剤、超音波接合、または縫合により放射状に固定されることが好ましい。前記パッド材料には、研磨粒子を全体にわたり分散させて耐久性の樹脂系で当該材料に結合させることができる。裏打ちパッドはなく、前記セグメントは対称的であるため、前記パッドは裏返して両面使用することができる。前記複数のパッドセグメントは、各パッドセグメントが回転方向に対して角度を成した先行刃先を呈するよう、さらに、隣接しあうパッドセグメントの各ペアが放射状に空気および流体用の流路を形成するよう、重なり合った態様で一体的に固定される。重ね合わせの度合い、前記パッドセグメントの幅、および当該パッドセグメントの厚さに応じて、前記刃先の提示角度は変更可能である。
【0004】
使用時は、前記パッドが回転するに伴い、前記先行刃先がワックスに食い込んで、ワックスを床から積極的に剥離する。前記パッドの回転運動も、遠心力により剥離液および剥離されたワックス材料を流路に沿って放射状に外側へ押し出して、長期的に当該パッドの底面をより清浄にワックスの蓄積なく保つ。
【0005】
一部の実施形態は、種々の数のパッドセグメントを有する場合がある。各パッドは、24の対称的に同一のセグメントを有することが好ましい。他の実施形態には、歯状の縁部または貝殻状の縁部を含めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書の請求項では、本発明の特定の実施形態を特に示して明確に主張しているが、本発明の種々の実施形態は、本発明の種々の実施形態に関する以下の説明を添付の図面と併せ読むことにより、より容易に理解されるであろう。
【
図1】
図1は、当該セグメント化したフロア用剥離パッドの例示的な実施形態の斜視図である。
【
図4】
図4は、単一のパッドセグメントの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ここで図面を参照すると、本フロア用剥離パッドの一実施例が、全体として10で
図1~6に示されている。以下より詳しく説明するように、当該フロア用剥離パッド10は、当該技術分野で周知の回転式床洗浄機(図示せず)と併用される。この例示的パッド10は前記機械の下に配置され、摩擦力で定位置に保たれる。他の実施例において、前記パッドは、当該パッドを同軸状に保つ前記回転式床洗浄機の中央ねじを使って定位置に保つことができる。使用時、前記パッド10は、前記機械の下で反時計方向に回転する。
【0008】
この実施例では、複数の対称的な多角形パッドセグメント12を有するセグメント化した回転式フロア用剥離パッド10を例示しており、前記複数の対称的な多角形パッドセグメント12は、部分的に重なり合う関係で一体的に固定されて、従来の円状または輪状フロアパッドと全体的に同じサイズおよび構成の輪形状のパッドを形成する。
【0009】
前記パッドセグメント12は、目粗に微細凹凸加工した不織ポリマー繊維材料、例えばポリアミド、ポリエステル、またはナイロン繊維材料で形成することが好ましい。他のポリマー繊維材料も考えられる。一部の実施形態において、前記不織繊維材料は、天然繊維、例えばココナッツ繊維を含んでもよい。さらに他の実施形態において、前記不織材料は、全体にわたり均一に分散させ、かつ、フェノールまたはラテックス樹脂コーティングで前記不織繊維材料に強固に結合させた鉱物または樹脂の研磨粒子を含むことができる。この材料の不織繊維の性質は、
図6で最も良く見ることができる。
【0010】
先行技術のパッドは、事前に形成された前記材料の平面状シートから型抜きされる。ただし、その型抜き工程により大量の縁部廃棄物が生じ、それらをリサイクルまたは廃棄しなければならない。本パッドセグメント12は、例えば同じ材料シートから型抜きできる対称的ウェッジで、廃棄物がほとんど生じない。
【0011】
図4からわかるように、各パッドセグメント12は、内側の弧状の周縁14と、外側の弧状の周縁16と、対向しあう側縁部18、20とを有する多角形である。前記弧状のパッドセグメント12は、測定値約20°の弧を有することが好ましい。ただし、他の実施形態は、より大きな若しくは小さな寸法を有する場合がある。
【0012】
図1に戻ると、24のパッドセグメント12がそれぞれの重複した隣接しあう側縁部に沿って放射状に固定されて、前記輪形状のパッドを形成していることがわかるであろう。この実施例において、当該パッドセグメントは、放射状に延在するホットメルト接着剤のビーズ22により固定されることが好ましく、そのホットメルト接着剤のビーズ22は実質的に前記側縁部の全長に沿って延在する(
図3の点線)。他の実施形態において、前記セグメントは、同じ縁部に沿って超音波接合または縫合できる。ここで注意すべき重要な点は、裏打ちパッドがなく前記セグメント12が対称的であるため、前記パッド12は裏返して両面使用できることである。
図3に示す頂面の平面図は、底面の平面図(図示せず)と同一である。
【0013】
図1および2を再び参照すると、前記複数のパッドセグメント12は、各パッドセグメント12が角度を成した先行刃先24を呈し、かつ、隣接しあうパッドセグメントの各ペアが放射状の流路26を形成するよう、重なり合った態様で一体的に固定される。重ね合わせの度合い、前記パッドセグメント12の幅、および当該パッドセグメント12の厚さに応じて、前記先行縁部24の提示角度は変更可能である。
【0014】
使用時は、前記パッドが回転するに伴い(
図3の矢印Aを参照)、前記先行刃先24がワックスに食い込んで、ワックスを床から積極的に剥離する。前記パッド12の回転運動も、遠心力により剥離液および過剰なワックス材料を流路26に沿って放射状に外側へ押し出して(矢印Bを参照)、当該パッドの底面を清浄にワックスの蓄積なく保つ。
【0015】
一部の実施形態は、種々の数のパッドセグメントを有する場合がある。各パッドは、24の対称的に同一のセグメントを有することが好ましい。前記セグメントの寸法、形状、および構成は、個別用途に適すよう変更できる。
【0016】
他の実施形態には、歯状の先行縁部または貝殻状の縁部を含めることができる。さらに別の実施形態には、種々の剥離作用をもたらすよう非直線状の先行縁部を含めることができる。
【0017】
したがって、前記実施例は新規性および進歩性のあるフロア用剥離パッドを提供し、ワックス蓄積物をより迅速に床から剥離し、より長い耐用期間を有することがわかるであろう。
【0018】
以上、本発明の種々の実施形態を実装した一定の具体的な構造を示し、説明してきたが、当業者であれば、進歩性のある根本的な概念の要旨を変更しない範囲で前記部品の種々の変更形態および再構成形態が可能であること、ならびに前記進歩性のある根本的な概念は、添付の請求請求の範囲に別段の断りがない限り、本明細書に示し説明した特定の形態に限定されないことが明確に理解されるであろう。