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特許7083855グルコースペレット、並びにその作製方法及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】グルコースペレット、並びにその作製方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7004 20060101AFI20220606BHJP
   A61P 3/08 20060101ALI20220606BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220606BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20220606BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20220606BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20220606BHJP
【FI】
A61K31/7004
A61P3/08
A61P3/10
A61K9/16
A61K47/36
A61K47/38
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019572268
(86)(22)【出願日】2017-03-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 CN2017076869
(87)【国際公開番号】W WO2018165930
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2020-01-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519336115
【氏名又は名称】コサイ・メド-テック・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】ジァン、チャンチン
(72)【発明者】
【氏名】ジゥー、ドゥージー
(72)【発明者】
【氏名】ジァン、シェンハイ
(72)【発明者】
【氏名】ニン、ジエ
(72)【発明者】
【氏名】シーアン、シャオイェン
【審査官】金子 亜希
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0081941(US,A1)
【文献】特開2006-001941(JP,A)
【文献】特開平01-230513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/7004
A61P 3/08
A61P 3/10
A61K 9/16
A61K 47/36
A61K 47/38
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルコースコアと、該グルコースコアをコーティングする積層とを含むグルコースペレットであって、
該グルコースコアは、下記の構成成分:
グルコース及び/又はグルコース水和物と、希釈剤と、結合剤とを含み、該グルコース及び/又は該グルコース水和物は、重量パーセントで算出する場合、85%以下の量で該グルコースコア中に存在し、該グルコース及び/又は該グルコース水和物は110メッシュ以下の粒度を有し、該グルコースコアは、光学顕微鏡で測定したときに100μm~300μmの粒径を有し、
該積層は、下記の構成成分:
グルコース及び/又はグルコース水和物と、希釈剤と、結合剤とを含み、
該グルコース及び/又は該グルコース水和物は、重量パーセントで算出する場合、70%以上の量で該積層中に存在し、該グルコース及び/又は該グルコース水和物は、該グルコースコア中のグルコース及び/又はグルコース水和物の重量パーセントよりも多い重量パーセントで該積層中に存在し、該積層中のグルコース及び/又はグルコース水和物は、110メッシュ以下の粒度を有する、グルコースペレット。
【請求項2】
前記グルコースコアにおける前記希釈剤は、微結晶セルロース及びデンプンを含む、請求項1に記載のグルコースペレット。
【請求項3】
前記グルコースコアにおける前記デンプンは、重量パーセントで算出する場合、0%~13%の量で前記グルコースコア中に存在する、請求項2に記載のグルコースペレット。
【請求項4】
前記積層中の前記希釈剤は、微結晶セルロース及びデンプンである、請求項1~3のいずれか一項に記載のグルコースペレット。
【請求項5】
前記グルコースペレットは、15メッシュ~50メッシュの粒度を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のグルコースペレット。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のグルコースペレットと、該グルコースペレット上の徐放性コーティングとを含み、
該徐放性コーティングは、フィルム形成剤と、ポロゲンと、可塑剤とを含む、グルコース徐放性ペレット。
【請求項7】
重量パーセントで算出する場合、
前記フィルム形成剤は、60%~80%の量で前記徐放性コーティング中に存在し、
前記ポロゲンは、8%~20%の量で前記徐放性コーティング中に存在し、
前記可塑剤は、10%~23%の量で前記徐放性コーティング中に存在する、請求項6に記載のグルコース徐放性ペレット。
【請求項8】
請求項1~5いずれか一項に記載のグルコースペレットを作製する方法であって、下記の請求項1~5のいずれか一項におけるグルコースコアを作製する工程:
(1-1)グルコース及び/又はグルコース水和物を希釈剤と混合して、混合物1を得る工程と、
(1-2)溶媒中に結合剤を溶解して、結合剤溶液を形成する工程と、
(1-3)該結合剤溶液を該混合物1と混合して、混合物2を得る工程と、
(1-4)該混合物2を造粒して、グルコースコアを得る工程と、
を含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載のグルコースペレットを作製する方法であって、下記の通りに積層を作製する工程:
(2-1)グルコース及び/又はグルコース水和物を希釈剤と混合して、混合物を得る工程と、
(2-2)溶媒中に結合剤を溶解して、結合剤溶液を形成する工程と、
(2-3)該混合物及び該結合剤溶液を用いて、該グルコースコアの積層処理を実施して、乾燥させて、グルコースペレットを得る工程と、
を含む、方法。
【請求項10】
工程(2-3)において、該混合物対該グルコースコアの重量比は、(1.5~6):1である、請求項9に記載のグルコースペレットを作製する方法。
【請求項11】
工程(2-3)において、該混合物対該結合剤溶液の添加速度比は、(1.36~2.25):1である、請求項9に記載のグルコースペレットを作製する方法。
【請求項12】
請求項6又は7に記載のグルコース徐放性ペレットを作製する方法であって、下記のグルコースペレットをコーティングする工程:
(3-1)エタノール及び水を配合してエタノール-水の溶液にし、該エタノール-水の溶液中にポロゲンを溶解して、フィルム形成剤を添加して、溶液を得る工程と、
(3-2)工程(3-1)で得られた該溶液中に可塑剤を溶解して、コーティング溶液を得る工程と、
(3-3)前記グルコースペレットを、工程(3-2)で得られた該コーティング溶液でコーティングして、乾燥させて、グルコース徐放性ペレットを得る工程と、
を含む、方法。
【請求項13】
請求項1~5のいずれか一項に記載のグルコースペレット、又は請求項6若しくは7に記載のグルコース徐放性ペレットを含む医薬組成物。
【請求項14】
糖原病又は糖尿病の治療及び/又は補助療法用の薬剤の製造における、請求項1~5のいずれか一項に記載のグルコースペレット、請求項6若しくは7に記載のグルコース徐放性ペレット又は請求項13に記載の医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医学の分野に属し、グルコースペレット、その作製方法及びその使用に関する。特に、本発明は、グルコース徐放性(sustained-release:持続放出性)ペレット、その作製方法及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
糖原病(GSD)は、先天性酵素欠損症によって引き起こされるグリコーゲン代謝の障害であるが、かかる酵素欠損症のタイプの違いが、疾患の複雑なタイプをもたらす。糖原病は希少疾患であり、ヨーロッパでの疾患の発生率は、約1/20000~1/25000である。
【0003】
グリコーゲンは、グルコース単位で構成される高分子多糖であり、主に予備エネルギーとして肝臓及び筋肉に貯蔵されて、正常な肝臓及び筋肉は、それぞれグリコーゲン約4%及び2%を貯蔵する。グリコーゲン合成のプロセスには下記が含まれる:身体中に摂取されたグルコースは、グルコキナーゼ、グルコースリン酸ムターゼ及びウリジン二リン酸グルコースピロホスホリラーゼの触媒下でウリジン二リン酸グルコース(UDPG)を形成し、続いて、UDPGによって供給されるグルコース分子は、α-1,4-グリコシド結合を使用して、グリコーゲンシンテターゼによって長鎖へと連結されて、分岐を形成するように、3個~5個のグルコース残基毎に、分枝酵素によって1,4-結合を1,6-結合へと移行し、かかる展開により、最終的には樹状構造を有する高分子の形成がもたらされる。グリコーゲンの分子量は、最大数百万であり、その最外層におけるグルコース直鎖は比較的長く、通常、10個~15個のグルコース単位を有する。グリコーゲンの分解は、主にホスホリラーゼによって触媒され、グリコーゲン分子からグルコース1-リン酸を放出するが、ホスホリラーゼの役割は、1,4-グリコシド結合に限定され、分岐点の前に4個のグルコース残基のみが存在する場合には、ホスホリラーゼの役割が確実に持続するように、それらの中の3個の残基は、脱分枝酵素(デンプン1,6-グルコシダーゼ)によって他の直鎖に移行されなくてはならず、同時に、脱分枝酵素は、α-1,6-グリコシド結合によって連結された最後のグルコース分子を放出することができ、これは、グルコースに対する身体の要求を保証するように繰り返される。また、リソソーム中に存在するα-1,4-グルコシダーゼ(酸性マルターゼ)は、種々の長さのグルコース直鎖を、マルトース等のオリゴ糖分子へと加水分解することができる。グリコーゲンの上記合成及び分解プロセス中に、任意の酵素の欠損症は、種々の臨床所見を伴う様々なタイプの糖原病をもたらし得る。
【0004】
GSDを患う患者は、身体における関連酵素の欠如に起因して、正常にグリコーゲンを合成又は代謝することができず、その欠如が、グリコーゲン合成又は分解を妨害し、組織においてグリコーゲンを堆積させる。グリコーゲン合成及び異化作用に必要な酵素には、少なくとも8個のタイプが存在する。グリコーゲン代謝疾患は、種々のタイプの酵素欠損症に起因して、少なくとも13個の臨床タイプに分類することができ、その中で、I型、III型、IV型、VI型及びIX型は、主に肝病変を示し、II型、III型、V型及びVII型は、主に筋肉組織の関与を示す。それらの中でも、通常、多臓器、特に心臓に関与する早期型のII型糖原病は、1歳未満で発症し、これは致命的であり得る。Ia型(グルコース-6-ホスファターゼ欠損症)及びより希少なIb型(G-6-Pミクロソームトランスフェラーゼ欠損症)、III型、VI型、並びにX染色体及び常染色体劣性遺伝を伴うホスファターゼβ-キナーゼ欠損症を含む糖原病の主な臨床所見は、肝腫大及び低血糖症である。III型、V型、VII型を含む筋肉エネルギー障害の糖原病は主に、筋委縮症、筋緊張低下、及びジスキネジアを特徴とし、他の場合では、グリセロールリン酸ムターゼ欠損症及びLDHMサブユニット欠損症は、II型及びIV型等である。
【0005】
糖原病は、遺伝病であり、子供が産まれたときに発症する。年齢の増加に伴って、脱力感、発汗、嘔吐、痙攣、昏睡、及び更にはケトアシドーシス等の明らかな低血糖症の症状が現れる場合があり、グリコーゲンの徐々の蓄積に起因して、肝脾腫が現れる場合がある。子供は、発育遅延、知的バリアフリー、低身長、肥満、淡黄色の皮膚、腹部膨張、顕著な肝肥大及び肝臓の硬い感触、筋肉の未発達、脱力感、特に下肢での脱力感を有する。かかる疾患のほとんどの患者が、成人期まで生存することができず、多くの場合、アシドーシス及び昏睡で死亡するが、軽症例では、成人期に快方に向かう場合もある。
【0006】
上記疾患の臨床的治療は、食事の指導及び未加工(raw:未加熱、未調理)コーンスターチ治療に主に基づく。基本原理は、比較的安定な正常レベルで血糖を維持することであり、摂食後の過剰な高血糖によって引き起こされるグリコーゲン蓄積の増加をできる限り回避して、患者がグリコーゲンを代謝することができないことによって引き起こされる空腹時低血糖の症状を回避し、血中グルコースの変動によって引き起こされる一連の合併症を回避する(重症合併症は、生命を脅かし得る)。概して、食事の指導は、正常な血糖レベルを維持するように、高タンパク質低脂肪低糖食品を少量ずつ高頻度で摂取することを含み、特に、翌朝の低血糖を回避するのに、深夜に1回、追加の食事が必要である。他の治療として、感染を防止すること、アシドーシスを正すこと等が挙げられる。未加工コーンスターチ治療は、特に幼児及び児童に関して、糖原病の現在最も一般的な治療方法であり、この治療を受ける患者数は、アジアでは20000人~50000人であり、中国では約10000人~30000人であると推定される。未加工コーンスターチ治療の原理は、ヒトの身体におけるそれらの消化により、グルコースを徐々にかつ連続的に放出することであり、それにより、患者の血糖レベルを維持する。
【0007】
未加工コーンスターチ治療のコストは低いが、その投与方法は、多くの欠点を有する:
1)摂取する回数が多すぎること:1日4回以上、通常は2回の食事の間に、特に夜間のおよそ午前3時に摂取すること、
2)厳しい摂取条件:調理済みコーンスターチ又はコーンミール粥ではなく、「未加工」コーンスターチを必ず摂取すること、さらには必ず冷水で摂取することであり、したがって患者の許容レベルが低いこと、
3)服用量の多さ:冷水と一緒に摂取した後の未加工コーンスターチの容量膨張に起因して、治療量の未加工コーンスターチを一度に摂取することは、子供には非常に困難であること、
4)不十分な耐性:幼児において消化器系不耐性によって、下痢が容易に引き起こされること、
5)不十分なコンプライアンス:投与方法が複雑であり、長期投与は、日常生活にとって不便であること、
6)市販の未加工コーンスターチの品質は、均一ではなく、不安定な治療効果をもたらすこと、
7)未加工コーンスターチにおける徐放性を維持するための成分が少量であり、したがって、服用量が増加されること。
【0008】
まとめると、未加工コーンスターチ療法は、低コストの利点を有するが、その固有の欠点により適用は制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
糖原病の治療及び/又は補助療法に使用することができる新たな薬物が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、適切な粒度及び滑らかな表面を有するグルコースコアを作製し、さらに、適切な粒度分布、高い真円度及び滑らかな表面を有するグルコースペレットを作製した。これに基づいて、本発明者らはまた、グルコースを連続的にかつ徐々に放出することができ、患者の血糖を正常レベルに維持することができ、糖原病の治療及び/又は補助療法を達成することができるグルコース徐放性ペレットを開発した。本発明のグルコース徐放性ペレットはまた、糖尿病に対して治療又は補助療法の効果を有し、摂取するのに便利であり、口当たりが良く、良好な許容性及び良好なコンプライアンスを有する。
【0011】
本発明の第1の態様は、下記の構成成分:
グルコース(好ましくは、無水グルコース)及び/又はグルコース水和物と、希釈剤と、結合剤と、
を含むグルコースコアであって、グルコース及び/又はグルコース水和物は、重量パーセントで算出する場合、85%以下、好ましくは30%~80%、より好ましくは30%、36%、49%、50%、60%、61%、65%、67%、70%、74%、78%、80%、81%又は85%の量でグルコースコア中に存在する、グルコースコアに関する。
【0012】
本発明の或る特定の実施の形態において、グルコース及び/又はグルコース水和物は、110メッシュ以下、好ましくは120メッシュ以下、より好ましくは130メッシュ以下、140メッシュ以下又は150メッシュ以下の粒度を有する。
【0013】
本発明の或る特定の実施の形態において、グルコース水和物は、グルコース一水和物である。
【0014】
本発明の或る特定の実施の形態において、希釈剤は、微結晶セルロースを含み、任意に、希釈剤は、デンプンを更に含む。
【0015】
本発明の或る特定の実施の形態において、微結晶セルロースは、20μm~100μmの粒径を有する。
【0016】
本発明の或る特定の実施の形態において、微結晶セルロースは、含水量1.5%~6.0%(W/W)、好ましくは1.5%~4%(W/W)を有する。
【0017】
本発明の或る特定の実施の形態において、微結晶セルロースは、ドイツのJRS社によって生産されるMCC101である。
【0018】
本発明の或る特定の実施の形態において、微結晶セルロースは、重量パーセントで算出する場合、10%~60%、好ましくは15%~50%、より好ましくは10%、11.4%、12%、16%、18.7%、19%、22%、24%、27%、29.7%、30%、33%、37%、40%、42%、46%、47%、50%の量でグルコースコア中に存在する。
【0019】
本発明の或る特定の実施の形態において、デンプンは、重量パーセントで算出する場合、0%~13%、好ましくは0%~10%、より好ましくは0%、1.5%、2%、6%、8%、10%の量でグルコースコア中に存在する。
【0020】
本発明の或る特定の実施の形態において、結合剤は、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、デンプンスラリー、デキストリン、アラビアゴム、エチルセルロース及びコンニャク粉からなる群から選択される1つ以上であり、ポリビニルピロリドンであることが好ましい。
【0021】
本発明の或る特定の実施の形態において、ポリビニルピロリドンは、数平均分子量30000~70000、好ましくは40000~60000、より好ましくは50000を有する。
【0022】
本発明の或る特定の実施の形態において、ポリビニルピロリドンは、Ashalnd社によって製造されるPVPK29/32である。
【0023】
本発明の或る特定の実施の形態において、結合剤は、重量パーセントで算出する場合、1.0%~5.0%、好ましくは1%、1.2%、1.3%、1.5%、1.6%、1.7%、2%、2.1%、2.3%、2.6%、2.8%、3%、3.4%、4%、4.7%、5%の量でグルコースコア中に存在する。
【0024】
本発明の或る特定の実施の形態において、グルコースコアは、溶媒を更に含む。
【0025】
本発明の或る特定の実施の形態において、溶媒は、水及び/又はアルコールからなる群から選択される。
【0026】
本発明の或る特定の実施の形態において、溶媒は、15.0重量%~25.0重量%、好ましくは15重量%、17重量%、19重量%、20重量%、21重量%、23重量%又は24重量%の量でグルコースコア中に存在する。
【0027】
本発明の或る特定の実施の形態において、グルコースコアは、100μm~300μm、好ましくは150μm~250μm、より好ましくは152μm~250μm、156μm、158μm、160μm、170μm、180μm、200μm、220μm、230μm又は240μmの粒径を有する。
【0028】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様によるグルコースコアのいずれか1つと、該グルコースコアをコーティングする積層とを含むグルコースペレットに関する。
【0029】
本発明の第2の態様の或る特定の実施の形態において、積層は、下記の構成成分:グルコース(好ましくは、無水グルコース)及び/又はグルコース水和物と、希釈剤と、結合剤とを含む。
【0030】
本発明の第2の態様の或る特定の実施の形態において、グルコース及び/又はグルコース水和物は、グルコースコア中のグルコース及び/又はグルコース水和物の量よりも多い量で積層中に存在する。
【0031】
本発明の第2の態様の或る特定の実施の形態において、グルコース及び/又はグルコース水和物は、重量パーセントで計算する場合、70%以上、好ましくは75%~90%、より好ましくは75%、77%、79%、80%、81%、82%、85%、86%、88%又は90%の量で積層中に存在する。
【0032】
本発明の第2の態様の或る特定の実施の形態において、積層中のグルコース及び/又はグルコース水和物は、110メッシュ以下、好ましくは120メッシュ以下、より好ましくは130メッシュ以下、140メッシュ以下又は150メッシュ以下の粒度を有する。
【0033】
本発明の第2の態様の或る特定の実施の形態において、積層中のグルコース水和物は、グルコース一水和物である。
【0034】
本発明の第2の態様の或る特定の実施の形態において、積層中の希釈剤は、微結晶セルロース及びデンプンである。
【0035】
本発明の第2の態様の或る特定の実施の形態において、積層中の微結晶セルロースは、20μm~100μmの粒径を有する。
【0036】
本発明の第2の態様の或る特定の実施の形態において、積層中の微結晶セルロースは、含水量1.5%~6.0%(W/W)、好ましくは1.5%~4%(W/W)を有する。
【0037】
本発明の第2の態様の或る特定の実施の形態において、積層中の微結晶セルロースは、ドイツのJRS社によって生産されるMCC101である。
【0038】
本発明の第2の態様の或る特定の実施の形態において、微結晶セルロースは、重量パーセントで算出する場合、1%~15%、好ましくは2%~11%、より好ましくは2%、2.4%、2.7%、3%、3.6%、4%、4.2%、4.8%、5%、5.1%、5.6%、6%、6.6%、7%、7.3%、8%、8.5%、9%、9.6%、10%、11%、14%の量で積層中に存在する。
【0039】
本発明の第2の態様の或る特定の実施の形態において、デンプンは、重量パーセントで算出する場合、1%~10%、好ましくは2%~8%、より好ましくは2%、2.3%、2.7%、3%、3.2%、4%、4.5%、4.9%、5%、5.7%、6%、6.4%、7%、7.3%又は8%の量で積層中に存在する。
【0040】
本発明の第2の態様の或る特定の実施の形態において、積層中の結合剤は、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、デンプンスラリー、デキストリン、アラビアゴム、エチルセルロース及びコンニャク粉からなる群から選択される1つ以上であり、ポリビニルピロリドンであることが好ましい。
【0041】
本発明の第2の態様の或る特定の実施の形態において、ポリビニルピロリドンは、数平均分子量30000~70000、好ましくは40000~60000、より好ましくは50000を有する。
【0042】
本発明の第2の態様の或る特定の実施の形態において、ポリビニルピロリドンは、Ashalnd社によって製造されるPVPK29/32である。
【0043】
本発明の第2の態様の或る特定の実施の形態において、結合剤は、重量パーセントで算出する場合、1.0%~3.0%、好ましくは0.4%、1%、1.2%、1.4%、1.6%、2%、2.2%、2.8%、3%の量で積層中に存在する。
【0044】
本発明の第2の態様の或る特定の実施の形態において、グルコースペレットは、15メッシュ~50メッシュ、好ましくは18メッシュ~40メッシュ、より好ましくは20メッシュ~30メッシュ、30メッシュ~40メッシュ、20メッシュ~40メッシュ、20メッシュ、24メッシュ、27メッシュ、32メッシュ、36メッシュ、38メッシュ、40メッシュ又は50メッシュの粒度を有する。
【0045】
本発明の第2の態様の或る特定の実施の形態において、グルコースペレットは、グルコース徐放性ペレットである。
【0046】
本発明の第2の態様の或る特定の実施の形態において、グルコース徐放性ペレットは、本発明の第2の態様によるグルコースペレットのいずれか1つと、該グルコースペレット上にコーティングされる徐放性コーティングとを含む。
【0047】
本発明の第2の態様の或る特定の実施の形態において、徐放性コーティングは、フィルム形成剤と、ポロゲン(porogen:細孔形成剤)と、可塑剤とを含む。
【0048】
本発明の第2の態様の或る特定の実施の形態において、徐放性コーティングは、更なる賦形剤を更に含む。
【0049】
本発明の第2の態様の或る特定の実施の形態において、フィルム形成剤は、エチルセルロース、酢酸セルロース、及びアクリル樹脂からなる群から選択される1つ以上であり、エチルセルロースであることが好ましい。
【0050】
本発明の第2の態様の或る特定の実施の形態において、フィルム形成剤は、重量パーセントで算出する場合、60%~80%、好ましくは60%、63%、68%、70%、72%、76%又は80%の量で徐放性コーティング中に存在する。
【0051】
本発明の第2の態様の或る特定の実施の形態において、ポロゲンは、重量パーセントで算出する場合、8%~20%、好ましくは8%、10%、12%、14%、15%、16%、18%又は20%の量で徐放性コーティング中に存在する。
【0052】
本発明の第2の態様の或る特定の実施の形態において、可塑剤は、重量パーセントで算出する場合、10%~23%、好ましくは14%、15%、16%、17%、20%、21%又は22%の量で徐放性コーティング中に存在する。
【0053】
本発明の第2の態様の或る特定の実施の形態において、ポロゲンは、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、タルク、及びポリエチレングリコールからなる群から選択される1つ以上である。
【0054】
本発明の第2の態様の或る特定の実施の形態において、可塑剤は、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、セバシン酸ジブチル、ポリエチレングリコール、フタル酸ジメチル及びフタル酸ジエチルからなる群から選択される1つ以上である。
【0055】
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様によるグルコースコアのいずれか1つを作製する方法であって、下記の工程:
(1-1)グルコース(好ましくは、無水グルコース)及び/又はグルコース水和物を希釈剤と混合して、混合物1を得る工程と、
(1-2)溶媒中に結合剤を溶解して、結合剤溶液を形成する工程と、
(1-3)結合剤溶液を混合物1と混合して、混合物2を得る工程と、
(1-4)混合物2を造粒して、グルコースコアを得る工程と、
を含み、
任意に、工程(1-5):
工程(1-4)で得られたグルコースコアをふるいにかける工程、
を更に含む、方法に関する。
【0056】
本発明の或る特定の実施の形態において、工程(1-2)では、結合剤溶液は、重量パーセントで算出する場合、1%~60%、好ましくは1%~20%、より好ましくは4%、8%、10%、12%又は15%の濃度を有する。
【0057】
本発明の或る特定の実施の形態において、工程(1-3)では、結合剤溶液は、噴霧(atomizing:微粒化)様式で混合物1に添加されて、混合される。
【0058】
本発明の第4の態様は、本発明の第2の態様によるグルコースペレットのいずれか1つを作製する方法であって、積層を作製する下記の工程:
(2-1)グルコース(好ましくは、無水グルコース)及び/又はグルコース水和物を希釈剤と混合して、混合物を得る工程と、
(2-2)溶媒中に結合剤を溶解して、結合剤溶液を形成する工程と、
(2-3)混合物及び結合剤溶液を用いて、グルコースコアの積層処理を実施して、乾燥させて、グルコースペレットを得る工程と、
を含み、
任意に、工程(2-4):
工程(2-3)で得られたグルコースペレットをふるいにかける工程、
を更に含む、方法に関する。
【0059】
本発明の或る特定の実施の形態において、工程(2-2)では、結合剤溶液は、重量パーセントで算出する場合、1%~60%、好ましくは1%~20%、より好ましくは2.5%、3%、5%、7%、8%、9%又は10%の濃度を有する。
【0060】
本発明の或る特定の実施の形態において、工程(2-3)では、混合物対グルコースコアの重量比は、(1.5~6):1、好ましくは1.5:1、2.5:1、3.5:1、又は5.0:1である。
【0061】
本発明の或る特定の実施の形態において、工程(2-3)では、グルコースコアは、コーティング造粒機に一度に添加されて、混合物及び結合剤溶液は、連続的にコーティング造粒機に添加される。
【0062】
本発明の或る特定の実施の形態において、工程(2-3)では、混合物対結合剤溶液の添加速度比は、(1.36~2.25):1(g・分-1/g・分-1)、好ましくは1.4:1(g・分-1/g・分-1)、1.64:1(g・分-1/g・分-1)、1.7:1(g・分-1/g・分-1)又は1.78:1(g・分-1/g・分-1)である。
【0063】
本発明の或る特定の実施の形態において、上記方法は、グルコースペレットをコーティングする工程を更に含む。
【0064】
本発明の或る特定の実施の形態において、上記方法は、下記の工程:
(3-1)エタノール及び水を配合してエタノール-水の溶液にし、エタノール-水の溶液中にポロゲンを溶解して、フィルム形成剤を添加して、溶液を得る工程と、
(3-2)工程(3-1)で得られた溶液中に可塑剤を溶解して、コーティング溶液を得る工程と、
(3-3)グルコースペレットを、工程(3-2)で得られたコーティング溶液でコーティングして、乾燥させて、グルコース徐放性ペレットを得る工程と、
を更に含む。
【0065】
本発明の或る特定の実施の形態において、工程(3-1)では、エタノール-水の溶液中のエタノールの重量パーセントは、60%~90%、好ましくは80%である。
【0066】
本発明の或る特定の実施の形態において、工程(3-1)では、エタノール-水の溶液の重量は、ポロゲンの重量の50倍~250倍、好ましくは60倍、74倍、118倍、189倍又は200倍である。
【0067】
本発明の或る特定の実施の形態において、工程(3-1)では、ポロゲン及びフィルム形成剤の溶解は、攪拌下で実行される。
【0068】
本発明の或る特定の実施の形態において、工程(3-1)では、フィルム形成剤の溶解時間は、60分以上である。
【0069】
本発明の或る特定の実施の形態において、工程(3-2)では、可塑剤の溶解は、攪拌下で実行される。
【0070】
本発明の或る特定の実施の形態において、工程(3-2)では、可塑剤の溶解時間は、40分~60分、好ましくは40分、50分又は60分である。
【0071】
本発明の或る特定の実施の形態において、工程(3-3)では、コーティングプロセス中のグルコースペレットの温度は、30℃~46℃、好ましくは30℃、36℃、40℃、42℃、44℃又は46℃である。
【0072】
本発明の或る特定の実施の形態において、工程(3-3)では、乾燥温度は、20℃~50℃であり、乾燥時間は、20分~60分であり、好ましくは、乾燥温度は、35℃、40℃、45℃又は50℃であり、好ましくは、乾燥時間は、30分、40分又は50分である。
【0073】
本発明の第5の態様は、本発明の第2の態様によるグルコースペレットのいずれか1つを含む医薬組成物に関し、好ましくは、医薬組成物は、カプセル又は錠剤、より好ましくは、徐放性ペレットカプセル又は徐放性ペレットで作製された錠剤である。
【0074】
本発明の第6の態様は、糖原病又は糖尿病の治療及び/又は補助療法用の薬剤の製造における、本発明の第1の態様のいずれかの項目によるグルコースコア、本発明の第2の態様のいずれかの項目のグルコースペレット、又は本発明の第5の態様のいずれかの項目による医薬組成物の使用に関する。
【0075】
本発明の或る特定の実施の形態において、糖原病は、I型糖原病、II型糖原病、III型糖原病、IV型糖原病、V型糖原病、VI型糖原病、VII型糖原病、ホスファターゼbキナーゼ欠損症(VIII型又はIX型)、X型糖原病、及びO型糖原病からなる群から選択される1つ以上である。
【0076】
本発明の或る特定の実施の形態において、糖尿病は、II型糖尿病である。
【0077】
本発明の第7の態様は、糖原病又は糖尿病を治療する方法であって、治療を必要とする対象に、有効量の本発明の第2の態様のいずれかの項目によるグルコースペレット又は本発明の第5の態様のいずれかの項目による医薬組成物を投与する工程を含む、方法に関する。
【0078】
本発明の或る特定の実施の形態において、糖原病は、I型糖原病、II型糖原病、III型糖原病、IV型糖原病、V型糖原病、VI型糖原病、VII型糖原病、ホスファターゼbキナーゼ欠損症(VIII型又はIX型)、X型糖原病、及びO型糖原病からなる群から選択される1つ以上である。
【0079】
本発明の或る特定の実施の形態において、糖尿病は、II型糖尿病である。
【0080】
本発明の第8の態様は、グリコーゲン蓄積を阻害するか、又は血中グルコース安定性を維持する方法であって、それを必要とする対象に、有効量の本発明の第2の態様のいずれかの項目のグルコースペレット又は本発明の第5の態様のいずれかの項目の医薬組成物を投与する工程を含む、方法に関する。
【0081】
本発明において、別記しない限り、下記の通りである。
【0082】
「グルコース水和物」という用語は、結晶水を含有するグルコースを指し、通常、グルコース一水和物(C12・HO)である。
【0083】
「コア」という用語は、従来の「遠心-造粒プロセス」において積層を担持するのに最初に使用される材料である。
【0084】
「希釈剤」という用語は、「充填剤」とも呼ばれ、主要薬物と併用されて、中間体又は製剤の成形を容易にする賦形剤を指す。
【0085】
「結合剤」という用語は、材料を合体させるように、粘性がないか、又は不十分な粘性を有する材料に粘着性を付与する賦形剤を指す。
【0086】
「微結晶セルロース」という用語は、植物セルロースの部分的な加水分解によって得られる、一般に使用される希釈剤である。本発明の微結晶セルロースは、粒径20μm~100μm、含水量1.5%~6.0%(W/W)、及び数平均分子量26000~43000、好ましくは30000~40000、より好ましくは36000を有する。
【0087】
「積層」という用語は、「遠心-造粒」プロセスのペレット化工程中にコアの表面に徐々に接着する結合剤及び粉末を指す。
【0088】
「ペレット」という用語は、2.5mm未満の平均粒径を有する薬物粉末及び賦形剤で構成される球状固形物を指す。ペレットは、用量分散性製剤であり、用量の1つは、多くの場合、複数の別個のユニット、通常数十個又は更には100個を超えるペレットで構成される。
【0089】
「徐放性ペレット」という用語は、徐放性フィルムでペレットを覆うことによって作製される徐放性効果を有する小さなペレットを指す。徐放性ペレットは通常、2.5mm未満の平均粒径を有する。
【0090】
「フィルム形成剤」という用語は、連続的なフィルムを形成することが可能なポリマーを指す。
【0091】
「ポロゲン」という用語は、溶解媒質又は胃腸液と接触すると、溶解するか、又は外れて、コーティング材料中に網状の多孔質構造が生じる賦形剤を指す。
【0092】
「可塑剤」という用語は、コーティングプロセスでは広範囲に使用され、ポリマーのフィルム形成温度を低下させて、フィルムの可撓性を高める効果を有する合成高分子賦形剤を指す。
【0093】
「積層処理」という用語は、遠心-コーティング造粒機を使用して、結合剤及び粉末をコア上へ積層させる操作を指す。
【0094】
「造粒」という用語は、材料を、或る特定の形状及びサイズを有するペレットへ加工処理する操作を指す。
【0095】
「コーティング処理」という用語は、コーティングデバイスによって液滴を噴霧することでコーティング溶液をペレットの表面上へ一様に噴霧して、所望の重量増加を達成して、数マイクロメートルの厚さを有する塑性フィルム層を形成する操作を指す。乾燥後、フィルムコーティング作製物が作製される。
【発明の効果】
【0096】
本発明は、以下に記載する効果の少なくとも1つを達成する。
【0097】
1.本発明によって作製されるグルコースコアは、適切な粒度及び滑らかな表面を有する。
【0098】
2.本発明によって作製されるグルコースペレットは、適切な粒度分布、良好な真円度及び滑らかな表面を有する。
【0099】
3.本発明によって作製されるグルコース徐放性ペレットは、糖原病の治療及び/又は補助療法において有用であり、糖尿病等の血中グルコース調節と関連付けられる他の疾患に対して治療効果を有する。
【0100】
本発明の内容をより理解しやすくするために、添付の図面を参照して、下記の実施例において、本発明を更に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0101】
図1】試験実施例3における種々の徐放性ペレットの溶解率-時間曲線を示すグラフである。
【実施例
【0102】
実施例1:グルコースコアA、グルコースペレットA及びグルコース徐放性ペレットA
1.グルコースコアAの作製
(1-1)グルコース一水和物を微粉砕して、120メッシュのふるいに通して、ふるいにかけた部分を次の工程用に採取した。表1の配合に従って、グルコース一水和物614.0g及びMCC101 371.0gを、湿式混合造粒機に添加して、一様に混合した。
【0103】
(1-2)表1の配合に従って、PVPK29/32 15.0gを、水300.0g中に溶解して、結合剤溶液を作製し、結合剤溶液を、噴霧様式で湿式混合造粒機へ噴霧して、顆粒作製及び造粒によりグルコースコアAが得られ、グルコースコアA中のグルコース一水和物の含有量は、49.1%(W/W)であった。
【0104】
【表1】
【0105】
2.グルコースペレットAの作製
(2-1)表2の配合に従って、120メッシュのふるいにかけたグルコース一水和物2125.0g、MCC101 250.0g及びコーンスターチ125.0gを一様に混合して、粉末を得た。
【0106】
(2-2)表2の配合に従って、PVPK29/32 50gを、水950g中に溶解して、5.0%PVPK29/32結合剤溶液を作製した。
【0107】
(2-3)コーティング造粒機を起動して、得られたグルコースコアAを、コーティング造粒機に一度添加した。回転板の回転速度を設定して、工程(2-1)で得られた粉末及び工程(2-2)で得られた結合剤溶液を、コーティング造粒機に連続的に添加して、グルコースコアA上で積層及び粉末コーティング操作を実施した。ここで、添加した粉末の総重量対添加したグルコースコアAの総重量の比は、2.5:1であり、粉末対結合剤溶液の添加速度比は、1.70:1(g・分-1/g・分-1)であった。続いて、入口空気温度50℃及び乾燥時間45分で、生成物を流動床において乾燥させて、グルコースペレットAを得た。ここで、グルコースペレットAの積層中のグルコース一水和物の含有量は、81.73%(W/W)であった。
【0108】
【表2】
【0109】
3.グルコース徐放性ペレットAの作製
(3-1)80.0%(W/W)エタノール溶液をエタノール及び水から作製した。表3の配合に従って、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-EF)32.0gを、一定攪拌下で、80.0%(W/W)エタノール溶液3776.0g中に溶解した後、20センチポアズ(cP)のエチルセルロース160.0gを添加して、溶解が完了するまで、連続的に攪拌して、清澄透明な溶液を得た。
【0110】
(3-2)表3の配合に従って、コーティング前に、クエン酸トリエチル(TEC)32.0gを、工程(3-1)によって得られた溶液に添加して、40分間連続的に攪拌して、溶解させて、コーティング溶液を得た。
【0111】
(3-3)グルコースペレットA 1000.0gを、流動床の最下のスプレーコーティング皿に入れて、ペレットの流動化状態を調節した。しばらくの間、入口空気温度40℃で予熱した後、工程(3-2)で得られたコーティング溶液4000.0gを、流動床へ連続的に噴霧して、グルコースペレットAをコーティング処理に付した。コーティングの完了後、入口空気温度を45℃に設定して、30分間乾燥を行い、グルコース徐放性ペレットAを得た。
【0112】
【表3】
【0113】
実施例2:グルコースコアB、グルコースペレットB及びグルコース徐放性ペレットB
1.グルコースコアBの作製
(1-1)グルコース一水和物を微粉砕して、120メッシュのふるいに通して、ふるいにかけた部分を次の工程用に採取した。表4の配合に従って、グルコース一水和物750.0g及びMCC101 230.0gを、湿式混合造粒機に添加して、一様に混合し、初期混合物を得た。
【0114】
(1-2)表4の配合に従って、PVPK29/32 20.0gを、水230.0g中に溶解して、結合剤溶液を作製し、結合剤溶液を、噴霧様式で湿式混合造粒機へ噴霧して、顆粒作製及び造粒によりグルコースコアBが得られ、グルコースコアB中のグルコース一水和物の含有量は、60.22%(W/W)であった。
【0115】
【表4】
【0116】
2.グルコースペレットBの作製
(2-1)表5の配合に従って、120メッシュのふるいにかけたグルコース一水和物3062.5g、MCC101 280.0g及びコーンスターチ157.5gを、一様に混合して、粉末を得た。
【0117】
(2-2)表5の配合に従って、PVPK29/32 25gを、水975g中に溶解して、2.5%PVPK29/32結合剤溶液を作製した。
【0118】
(2-3)コーティング造粒機を起動して、得られたグルコースコアBを、コーティング造粒機に一度に添加した。回転板の回転速度を設定して、工程(2-1)で得られた粉末及び工程(2-2)で得られた結合剤溶液を、コーティング造粒機に連続的に添加して、グルコースコアB上で積層及び粉末コーティング操作を実施した。ここで、添加した粉末の総重量対添加したグルコースコアBの総重量の比は、3.5:1であり、粉末対結合剤溶液の添加速度比は、1.78:1(g・分-1/g・分-1)であった。続いて、入口空気温度50℃及び乾燥時間45分で、生成物を流動床において乾燥させて、グルコースペレットBを得た。ここで、グルコースペレットBの積層中のグルコース一水和物の含有量は、86.0%(W/W)であった。
【0119】
【表5】
【0120】
3.グルコース徐放性ペレットBの作製
(3-1)80.0%(W/W)エタノール溶液をエタノール及び水から作製した。表6の配合に従って、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC-E5)62.5gを、一定攪拌下で、80.0%(w/w)エタノール溶液4625.0g中に溶解した後、10センチポアズ(cP)のエチルセルロース250.0gを添加して、溶解が完了するまで、連続的に攪拌して、清澄透明な溶液を得た。
【0121】
(3-2)表6の配合に従って、コーティング前に、セバシン酸ジブチル(DBS)62.5gを、工程(3-1)で得られた溶液に添加して、40分間連続的に攪拌して、溶解させて、コーティング溶液を得た。
【0122】
(3-3)グルコースペレットB 1000.0gを、流動床の最下のスプレーコーティング皿に入れて、ペレットの流動化状態を調節した。しばらくの間、入口空気温度42℃で予熱した後、工程(3-2)で得られたコーティング溶液4000.0gを、流動床へ連続的に噴霧して、グルコースペレットBをコーティングした。コーティングの完了後、入口空気温度を45℃に設定して、30分間乾燥を行い、グルコース徐放性ペレットBを得た。
【0123】
【表6】
【0124】
実施例3:グルコースコアC、グルコースペレットC及びグルコース徐放性ペレットC
1.グルコースコアCの作製
(1-1)グルコース一水和物を微粉砕して、120メッシュのふるいに通して、ふるいにかけた部分を次の工程用に採取した。表7の配合に従って、グルコース一水和物800.0g、MCC101 150.0g及びコーンスターチ20.0gを、湿式混合造粒機に添加して、一様に混合して、初期混合物を得た。
【0125】
(1-2)表7の配合に従って、PVPK29/32 30.0gを、水270.0g中に溶解して、結合剤溶液を作製し、結合剤溶液を、噴霧様式で湿式混合造粒機へ噴霧し、顆粒作製及び造粒によりグルコースコアCが得られ、グルコースコアC中に、グルコース一水和物は、60.6%(W/W)の量で存在し、デンプンは、約1.5%(W/W)の量で存在した。
【0126】
【表7】
【0127】
2.グルコースペレットCの作製
(2-1)表8の配合に従って、120メッシュのふるいにかけたグルコース一水和物3910.0g、MCC101 715.0g及びコーンスターチ375.0gを、一様に混合して、粉末を得た。
【0128】
(2-2)表8の配合に従って、PVPK29/32 72.0gを、水928.0g中に溶解して、7.2%PVPK29/32結合剤溶液を作製した。
【0129】
(2-3)コーティング造粒機を起動して、得られたグルコースコアCを、コーティング造粒機に一度に添加した。回転板の回転速度を設定して、工程(2-1)で得られた粉末及び工程(2-2)で得られた結合剤溶液を、コーティング造粒機に連続的に添加して、グルコースコアC上で積層及び粉末コーティング操作を実施した。ここで、添加した粉末の総重量対添加したグルコースコアCの総重量の比は、5.0:1であり、粉末対結合剤溶液の添加速度比は、1.64:1(g・分-1/g・分-1)であった。続いて、入口空気温度50℃及び乾燥時間45分で、生成物を流動床において乾燥させて、グルコースペレットCを得た。ここで、グルコースペレットCの積層中のグルコース一水和物の含有量は、77.5%(W/W)であった。
【0130】
【表8】
【0131】
3.グルコース徐放性ペレットCの作製
(3-1)80.0%(W/W)エタノール溶液をエタノール及び水から作製した。表9の配合に従って、PVPK29/32 18.75gを、一定攪拌下で、80.0%(W/W)エタノール溶液3536.25g中に溶解した後、45センチポアズ(cP)のエチルセルロース150.0gを添加して、溶解が完了するまで、連続的に攪拌して、清澄透明な溶液を得た。
【0132】
(3-2)表9の配合に従って、コーティング前に、クエン酸トリブチル(TBC)45.0gを、工程(3-1)によって得られた溶液に添加して、40分間連続的に攪拌して、溶解させて、コーティング溶液を得た。
【0133】
(3-3)グルコースペレットC 1000.0gを、流動床の底部のスプレーコーティング皿に入れて、ペレットの流動化状態を調節した。しばらくの間予熱した後、工程(3-2)で得られたコーティング溶液3750.0gを、流動床へ連続的に噴霧して、グルコースペレットをコーティング処理に付した。コーティングの完了後、入口空気温度を45℃に設定して、30分間乾燥を行い、グルコース徐放性ペレットCを得た。
【0134】
【表9】
【0135】
比較例1:グルコースコアI(コア中のグルコース一水和物含有量の効果)
グルコース一水和物を微粉砕して、120メッシュのふるいに通して、ふるいにかけた部分を次の工程用に採取した。表10の配合に従って、グルコース一水和物950.0g及びMCC101 50.0gを、湿式混合造粒機に添加して、一様に混合して、表10の配合に従って、PVPK29/32 12.36gを、精製水93.58g中に溶解して、結合剤溶液を作製した。実施例1と同様に、残りの工程を行い、グルコースコアIを得た。ここで、グルコースコアI中のグルコース一水和物の含有量は、85.29%(W/W)であった。
【0136】
グルコースコアIの粒度分布検出の結果を、試験実施例1に示す。
【0137】
【表10】
【0138】
比較例2:グルコースコアII(コア中のグルコース一水和物の粒度の効果)
100メッシュのふるいにかけた(150μm未満の)グルコース一水和物を使用することによって、実験を行って、実施例1と同様に、残りの工程を行い、グルコースコアIIを得た。
【0139】
グルコースコアIIの表面状態検出の結果を、試験実施例2に示す。
【0140】
比較例3:グルコースペレットIII(積層中のグルコース一水和物の含有量の効果)
表11の配合に従って、120メッシュのふるいにかけたグルコース一水和物1500.0g、MCC101 625.0g及びコーンスターチ375.0gを、一様に混合して、粉末を得て、表11の配合に従って、PVPK29/32 50.0gを、水950.0g中に溶解して、5.0%PVPK29/32結合剤溶液を得て、実施例1と同様に、残りの工程を行い、グルコースペレットIIIを得た。ここで、グルコースペレットIIIの積層中のグルコース含有量は、58.82%(W/W)であった。
【0141】
グルコースペレットIIIから作製されたグルコース徐放性ペレットIIIの放出効果の結果を、試験実施例3に示す。
【0142】
【表11】
【0143】
比較例4:グルコースペレットIV(積層中のグルコース一水和物の粒度の効果)
積層の配合に従って、100メッシュのふるいに通した(150μm未満の)グルコース一水和物を実験用に採取して、実施例1と同様に、残りの工程を行い、グルコースペレットIVを得た。
【0144】
グルコースペレットIVの表面状態検出の結果を、試験実施例2に示す。
【0145】
比較例5:グルコースペレットV及びグルコースペレットVI(グルコースコアの粒度の効果)
(1)グルコースペレットVの作製及び粒度分布検出
表12の配合に従って、グルコース一水和物614.0g及びMCC101 371.0gを、湿式混合造粒機で一様に混合して、PVPK-30 5.0gを、精製水100.0g中に溶解して、結合剤溶液を作製し、実施例1に従って、残りの工程を行い、コアを得た。ここで、得られたコアは、グルコースコアAの粒度よりも小さい粒度を有していた。
【0146】
【表12】
【0147】
実施例1の方法に従って、作製したより小さな粒度を有するグルコースコアから、グルコースペレットVを作製した。サンプリングした後、検出補助ソフトウェアと併用してOlympus社のSZXZ-ILLB光学顕微鏡を使用して検出を行い、グルコースペレットV中のグルコースコアは、相互接着現象を有することが観察された。
【0148】
(2)グルコースペレットVIの作製及び粒度分布検出
グルコースペレットVIは、比較例1で得られたグルコースコアIから作製し、実施例1に従って作製した。グルコースペレットVIの粒度分布検出の結果を、試験実施例1に記載する。
【0149】
比較例6:グルコースコアVII(コア中のデンプン含有量の効果)
表13の配合に従って、120メッシュのふるいにかけたグルコース一水和物614.0g、デンプン195.0g及びMCC101 176.0gを、湿式混合造粒機に添加して、一様に混合して、実施例1を参照して、残りの工程を行い、グルコースコアVIIを得た。ここで、デンプン含有量は、約14.76%(W/W)であった。
【0150】
グルコースコアVIIの粒度分布検出の結果を、試験実施例1に示す。
【0151】
【表13】
【0152】
比較例7:グルコースペレットVIII及びグルコースペレットIX(粉末/コアの重量比の効果)
(1)グルコースペレットVIIIの作製及び粒度検出:
グルコースコアの積層及び粉末コーティング操作において、添加した粉末の総重量対添加したグルコースコアAの総重量の比は、1:1であり、実施例1を参照して、残りの工程を行い、グルコースペレットVIIIを得た。
【0153】
(2)グルコースペレットIXの作製及び粒度検出:
グルコースコアの積層及び粉末コーティング操作において、添加した粉末の総重量対添加したグルコースコアAの総重量の比は、8:1であり、実施例1を参照して、残りの工程を行い、グルコースペレットIXを得た。
【0154】
グルコースペレットVIII及びグルコースペレットIXの粒度分布検出の結果を、試験実施例1に示す。
【0155】
比較例8:グルコースペレットX及びグルコースペレットXI(粉末供給速度及びスラリー噴霧速度の比の効果)
(1)グルコースペレットXの作製及び粒度検出:
グルコースコアの積層及び粉末コーティング操作において、粉末及び結合剤溶液の添加速度の比は、1:1(g・分-1/g・分-1)であり、実施例1を参照して、残りの工程を行い、グルコースペレットXを得た。サンプリングした後、検出補助ソフトウェアと併用してOlympus社のSZXZ-ILLB光学顕微鏡を使用して検出を行い、ペレット中のグルコースコアは、互いに接着することが観察された。
【0156】
(2)グルコースペレットXIの作製、粒度検出及び表面状態検出:
グルコースコアの積層及び粉末コーティング操作において、粉末対結合剤溶液の添加速度の比は、3:1(g・分-1/g・分-1)であり、実施例1を参照して、残りの工程を行い、グルコースペレットXIを得た。
【0157】
グルコースペレットXIの粒度分布検出の結果を、試験実施例1に示し、その表面状態検出の結果を、試験実施例2に示す。
【0158】
試験実施例1:粒度分布試験
(1)グルコースコアの粒度分布
実施例1、比較例1及び比較例6のグルコースコアの粒度分布を検出して、検出方法は、検出補助ソフトウェアと併用してOlympus社のSZXZ-ILLB型光学顕微鏡によってコアの粒度を測定することであった。コアの粒度分布は、最も大きなコア及び最も小さなコアの測定した粒度から決定され、結果を表14に示す。
【0159】
【表14】
【0160】
結果は下記を示した。
【0161】
比較例1のコアIは、実施例1のコアAよりも大きな粒径を有し、その粒度分布は、コアAの粒度分布ほど狭くなかった。コア中のグルコース一水和物の過剰含有量は、コアのより大きな粒度及びより広い粒度分布をもたらすことが観察された。
【0162】
比較例6のコアVIIの最も大きな粒度は、実施例1のコアAの粒度よりも大きく、その粒度分布は、コアAの粒度分布よりもはるかに広かった。コア中の過剰なデンプン含有量は、コアのより大きな粒度及びより広い粒度分布をもたらすことが観察された。
【0163】
(2)グルコースペレットの粒度分布
実施例1、比較例5(2)、比較例7、及び比較例8(2)におけるグルコースペレットの粒度分布を検出して、検出方法は、中国国家基準のふるい(GB/T6005-2008、試験用ふるい、基本サイズの金属ワイヤーメッシュ、穿孔したプレート及び電鋳シートメッシュ)によってスクリーニングを実施すること、種々の粒度範囲のペレットの質量を秤量すること、及びその質量比率を算出することであり、結果を表15に示す。
【0164】
【表15】
【0165】
結果は下記を示した。
【0166】
比較例5(2)のグルコースペレットの粒度は、主に大きな粒度のペレットの比率が増加して、即ち、30メッシュ~40メッシュのペレットの比率が減少して、20メッシュよりも大きいペレットの比率が著しく増加したため、実施例1の粒度よりも大きかった。より大きな粒度を有するコアによって作製されるグルコースペレットは、より大きな粒度を有することが観察された。
【0167】
比較例7(1)のグルコースペレットの粒度は、実施例1の粒度よりも小さかった。粉末の総重量対コアの総重量の比が、1:1であった場合、ペレットは、主に30メッシュ~50メッシュであった。他の条件が同じであり、粉末/コアの重量比が比較的小さかった場合、ペレットは、より小さな粒度を有することが観察された。
【0168】
比較例7(2)のグルコースペレットは、実施例1の粒度よりも大きな粒度を有した。ここで、ペレットの約45.8%は、20メッシュよりも大きいサイズを有し、ペレットの38.4%は、20メッシュ~30メッシュのサイズを有した。他の条件が同じであり、粉末/コアの重量比が比較的大きかった場合、ペレットは、より大きな粒度を有することが観察された。
【0169】
比較例8(2)のグルコースペレットの粒度は、実施例1の粒度よりも小さかった。ここで、40メッシュよりも小さなペレットの比率は、32.3%であり、実施例1の4.8%を著しく上回った。他の条件が同じであり、粉末供給速度対スラリー噴霧速度の比が比較的大きかった場合、ペレットは、より小さな粒度をもたらすことが観察された。
【0170】
試験実施例2:表面状態試験
(1)グルコースコアの表面状態
実施例1及び比較例2のグルコースコアの表面状態を検出した。検出方法は、サンプリングすること、及び光学顕微鏡下で観察することであり、結果を表16に示す。
【0171】
【表16】
【0172】
結果により、コア作製プロセスで使用するグルコース一水和物が、より大きな粒度及びより広い粒度分布を有する場合に、コアの表面状態に対して重大な影響を与えることが示された。
【0173】
(2)グルコースペレットの表面状態
実施例1、比較例4、及び比較例8(2)のグルコースペレットA、グルコースペレットIV、及びグルコースペレットXIの表面状態を検出した。ここで、検出方法は、サンプリングすること、及び光学顕微鏡下で観察することであり、結果を表17に示す。
【0174】
【表17】
【0175】
結果は下記を示した。
【0176】
積層におけるグルコース一水和物のより大きな粒度及びより広い粒度分布は、ペレットの表面状態に大いに影響を及ぼし、これは主に、ペレット表面が、低下した平坦度を有し、ペレット表面が、より不均等になり、更には幾つかのペレットが、グルコース結晶と接着した表面を有するという形で現れた。
【0177】
粉末供給速度対スラリー噴霧速度の比が大きすぎた場合、コア表面上での粉末の効率的かつ完全な拡がりに影響を及ぼす。続いて、それにより、表面の平坦度が影響を受け、ペレット表面上の粗さの増加をもたらす。
【0178】
試験実施例3:徐放性効果の実験
実施例1~実施例3の徐放性ペレット、及び比較例3のペレットIIIから作製した(実施例1における徐放性ペレットの作製方法を参照)徐放性ペレットIIIの放出効果を検出した。ここで、徐放性ペレットにおける薬物の含有量及び溶解率を評価指標として使用した。
【0179】
(1)高速液体クロマトグラフィーによる徐放性ペレットの薬物含有量の決定(Chinese Pharmacopoeia, 2015 Ed, General Rules 0512に従って、高速液体クロマトグラフィーにより決定):
クロマトグラフィー条件:Waters Xbridge(商標)アミド(50×4.6mm、5μm)親水性カラム、移動相としてアセトニトリル-水-トリエチルアミン(70:30:0.2)、定組成溶出、流速1.0mL/分、カラム温度:45℃、注入容量20μL、Waters2424ELSDによる検出、ドリフトチューブ温度70℃、噴霧器加熱70%、圧力35psi、ゲイン10。
【0180】
決定方法:グルコース約100mgに相当する適切な量のグルコース徐放性ペレット(W試料、g)をサンプリングして、100mL(V、mL)容のメスフラスコに入れ、適切な量のアセトニトリルを添加し、超音波処理し、約5分間振盪して、コーティングを膨張させた。次に、水30mLを添加し、超音波処理し、主要薬物が完全に溶解するまで約5分間振盪して、アセトニトリルを用いて標線まで希釈して、一様に振盪して、濾過して、濾液5mL(V、mL)を採取して、50mL(V、mL)容のメスフラスコに入れ、70%アセトニトリルを用いて標線まで希釈して、一様に振盪して、上記クロマトグラフィー条件及び試験パラメーターに従って決定される試料溶液として使用した。さらに、無水グルコース90mg(W参照、mg)を参照物質として採取して、正確に秤量して、100mL容のメスフラスコに入れ、水30mLを添加した後、超音波処理して、無水グルコースを溶解し、アセトニトリルを標線まで添加することで希釈し、ストック溶液を得た。ストック溶液1mL、2mL、5mL、7mL、10mLを正確に測定及び採取して、それぞれ5つの50mL容のメスフラスコに入れ、70%アセトニトリル-水を用いて標線まで希釈して、検量線溶液として使用し、その決定は、同じ方法で行った。徐放性ペレットの薬物含有量を算出し、結果を表18に示す。
【0181】
(2)徐放性ペレットの薬物溶解率の決定(Chinese Pharmacopoeia, 2015 Edition, Part IV, General Rules 0931, Second Method):
グルコース約100mgに相当する適切な量のグルコース徐放性ペレット(S標準、mg)を採取して、水500mL(V、mL)が溶解媒質であり、回転速度を50rpmに設定し、決定は、上記方法に従って行った。1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、8時間、10時間後、12時間後、それぞれ溶液5mLを採取して、濾過して、濾液3mL(V、mL)を採取して、10mL(V、mL)容のメスフラスコに添加して、アセトニトリルを用いて標線まで希釈して、一様に振盪し、試験される試料溶液として使用した。また、同じ容量及び同じ温度を有する溶解媒質を即座に添加した。無水グルコース90mg(W参照、mg)を参照物質として採取して、正確に秤量して、100mL容のメスフラスコに入れ、超音波処理下で水中に溶解して、標線まで希釈して、ストック溶液として使用した。ストック溶液1mL、2mL、5mL、7mL、10mLを採取して、正確に測定し、それぞれ5つの50mL容のメスフラスコに入れ、水を用いて標線まで希釈して、十分に振盪して、上記濃度を有する参照物質の溶液それぞれ3mLを、10mL容のメスフラスコに正確に移して、アセトニトリルを用いて標線まで希釈して、十分に振盪して、参照溶液として使用した。上記項目(1)におけるクロマトグラフィー条件に従って、試料溶液それぞれ及び参照溶液それぞれ100μLを正確に測定し、それぞれ、決定のために液体クロマトグラフィーに注入した。各参照溶液のlogA参照を縦軸として使用し、そのlogc参照を横軸として使用し、検量線をプロットした。ここで、A参照は、各参照溶液に関して測定したピーク面積を示し、c参照は、相当する参照溶液の濃度を示した。試料溶液のピーク面積A試料を、検量線に代入して、試料溶液の濃度c試料を得た。
【0182】
試料の溶解率は、下記式に従って算出した。結果を表19及び図1に示す。
【数1】
式中、1000は、mgとgとの間の変換率を表す。
【0183】
【表18】
【0184】
【表19】
【0185】
結果は下記を示した。
【0186】
徐放性ペレットの薬物含有量及び溶解率試験の結果によると、積層中により少ないグルコース含有量を有する徐放性ペレットIIIの薬物含有量は、実施例1~実施例3の徐放性ペレットの薬物含有量よりもはるかに低かった。
【0187】
実施例1~実施例3の徐放性ペレットと比較して、比較例3の徐放性ペレットIIIの徐放性効果は、主に初期段階でのよりゆっくりした放出及び後期段階での不完全な放出に起因して、非常に低かった。
【0188】
比較例3の徐放性ペレットIIIは、低い薬物含有量を有し、同じ規格の下で負荷させるには、より多くの徐放性ペレットが必要とされ、即ち、負荷量が増加した。さらに、幾らかの主要薬物が、放出の後期段階で完全に放出されないことに起因して、主要薬物としてのグルコースの利用率は高くなかった。
【0189】
上述の実施例は、単に本発明の説明であり、本発明の実施形態を限定するものとは意図されないことは明らかである。本発明の各種形態の他の変形又は変更は、上記説明を鑑みて、当業者によって成され得る。全ての実施形態を網羅する必要もすべもない。これらから得られる明らかな変更又は変形は、依然として本発明の範囲内である。
本発明:
A.下記の構成成分:
グルコース及び/又はグルコース水和物と、希釈剤と、結合剤と、
を含むグルコースコアであって、該グルコース及び/又は該グルコース水和物は、重量パーセントで算出する場合、85%以下、好ましくは30%~80%の量で該グルコースコア中に存在する、グルコースコア。
B.前記グルコース及び/又は前記グルコース水和物は、110メッシュ以下、好ましくは120メッシュ以下の粒度を有し、
好ましくは、前記グルコース水和物は、グルコース一水和物である、Aに記載のグルコースコア。
C.前記希釈剤は、微結晶セルロースを含み、任意に、デンプンを更に含み、
好ましくは、該微結晶セルロースは、重量パーセントで算出する場合、10%~60%、より好ましくは15%~50%の量で前記グルコースコア中に存在し、
好ましくは、該デンプンは、重量パーセントで算出する場合、0%~13%、より好ましくは0%~10%の量で前記グルコースコア中に存在し、
好ましくは、100μm~300μm、より好ましくは150μm~250μmの粒径を有する、A又はBに記載のグルコースコア。
D.A~Cのいずれかに記載のグルコースコアと、該グルコースコアをコーティングする積層とを含むグルコースペレットであって、
好ましくは、該積層は、下記の構成成分:
グルコース及び/又はグルコース水和物と、希釈剤と、結合剤と、
を含む、グルコースペレット。
E.前記グルコース及び/又は前記グルコース水和物は、前記グルコースコア中の前記グルコース及び/又は前記グルコース水和物の量よりも多い量で前記積層中に存在し、
好ましくは、前記グルコース及び/又は前記グルコース水和物は、重量パーセントで算出する場合、70%以上、より好ましくは75%~90%の量で前記積層中に存在し、
好ましくは、前記積層中の前記グルコース及び/又は前記グルコース水和物は、110メッシュ以下、より好ましくは120メッシュ以下の粒度を有し、
好ましくは、前記積層中の前記グルコース水和物は、グルコース一水和物である、Dに記載のグルコースペレット。
F.前記積層中の前記希釈剤は、微結晶セルロース及びデンプンであり、
好ましくは、該微結晶セルロースは、重量パーセントで算出する場合、1%~15%、より好ましくは2%~11%の量で前記積層中に存在し、
好ましくは、該デンプンは、重量パーセントで算出する場合、1%~10%、より好ましくは2%~8%の量で前記積層中に存在し、
好ましくは、前記グルコースペレットは、15メッシュ~50メッシュ、より好ましくは18メッシュ~40メッシュの粒度を有する、Dに記載のグルコースペレット。
G.グルコース徐放性ペレットであり、
好ましくは、該グルコース徐放性ペレットが、D~Fのいずれかに記載のグルコースペレットと、該グルコースペレット上の徐放性コーティングとを含み、
より好ましくは、該徐放性コーティングは、フィルム形成剤と、ポロゲンと、可塑剤とを含む、D~Fのいずれかに記載のグルコースペレット。
H.重量パーセントで算出する場合、
前記フィルム形成剤は、60%~80%の量で前記徐放性コーティング中に存在し、
前記ポロゲンは、8%~20%の量で前記徐放性コーティング中に存在し、
前記可塑剤は、10%~23%の量で前記徐放性コーティング中に存在する、Gに記載のグルコースペレット。
I.A~Cのいずれかに記載のグルコースコアを作製する方法であって、下記の工程:
(1-1)グルコース及び/又はグルコース水和物を希釈剤と混合して、混合物1を得る工程と、
(1-2)溶媒中に結合剤を溶解して、結合剤溶液を形成する工程と、
(1-3)該結合剤溶液を該混合物1と混合して、混合物2を得る工程と、
(1-4)該混合物2を造粒して、グルコースコアを得る工程と、
を含み、
任意に、工程(1-5):
工程(1-4)で得られたグルコースコアをふるいにかける工程、
を更に含み、
好ましくは、工程(1-2)において、該結合剤溶液は、重量パーセントで算出する場合、1%~60%、より好ましくは1%~20%の濃度を有し、
好ましくは、工程(1-3)において、該結合剤溶液は、噴霧様式で該混合物1に添加されて、混合される、方法。
J.D~Fのいずれかに記載のグルコースペレットを作製する方法であって、下記の通りに積層を作製する工程:
(2-1)グルコース及び/又はグルコース水和物を希釈剤と混合して、混合物を得る工程と、
(2-2)溶媒中に結合剤を溶解して、結合剤溶液を形成する工程と、
(2-3)該混合物及び該結合剤溶液を用いて、該グルコースコアの積層処理を実施して、乾燥させて、グルコースペレットを得る工程と、
を含み、
任意に、工程(2-4):
工程(2-3)で得られたグルコースペレットをふるいにかける工程、
を更に含み、
好ましくは、工程(2-2)において、該結合剤溶液は、重量パーセントで算出する場合、1%~60%、より好ましくは1%~20%の濃度を有し、
好ましくは、工程(2-3)において、該混合物対該グルコースコアの重量比は、(1.5~6):1であり、
好ましくは、工程(2-3)において、該混合物対該結合剤溶液の添加速度比は、(1.36~2.25):1である、方法。
K.前記グルコースペレットをコーティングする工程を更に含み、
好ましくは、下記の工程:
(3-1)エタノール及び水を配合してエタノール-水の溶液にし、該エタノール-水の溶液中にポロゲンを溶解して、フィルム形成剤を添加して、溶液を得る工程と、
(3-2)工程(3-1)で得られた該溶液中に可塑剤を溶解して、コーティング溶液を得る工程と
(3-3)前記グルコースペレットを、工程(3-2)で得られた該コーティング溶液でコーティングして、乾燥させて、グルコース徐放性ペレットを得る工程と、
を更に含み、
好ましくは、工程(3-3)において、前記グルコースペレットは、該コーティングプロセス中に、30℃~46℃の温度を有する、Jに記載のグルコースペレットを作製する方法。
L.D~Hのいずれかに記載のグルコースペレットを含む医薬組成物。
M.糖原病又は糖尿病の治療及び/又は補助療法用の薬剤の製造におけるA~Cのいずれかに記載のグルコースコア、D~Hのいずれかに記載のグルコースペレット又はLに記載の医薬組成物の使用であって、
好ましくは、該糖原病は、I型糖原病、II型糖原病、III型糖原病、IV型糖原病、V型糖原病、VI型糖原病、VII型糖原病、ホスファターゼbキナーゼ欠損症(VIII型又はIX型)、X型糖原病、及びO型糖原病からなる群から選択される1つ以上であり、
好ましくは、該糖尿病は、II型糖尿病である、使用。
N.糖原病又は糖尿病を治療する方法であって、治療を必要とする対象に、有効量のD~Hのいずれかに記載のグルコースペレット又はLに記載の医薬組成物を投与する工程を含み、
好ましくは、該糖原病は、I型糖原病、II型糖原病、III型糖原病、IV型糖原病、V型糖原病、VI型糖原病、VII型糖原病、ホスファターゼbキナーゼ欠損症(VIII型又はIX型)、X型糖原病、及びO型糖原病からなる群から選択される1つ以上であり、
好ましくは、該糖尿病は、II型糖尿病である、方法。
O.グリコーゲン蓄積を阻害するか、又は血中グルコース安定性を維持する方法であって、それを必要とする対象に、有効量のD~Hのいずれかに記載のグルコースペレット又はLに記載の医薬組成物を投与する工程を含む、方法。
図1