(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】反転容器用の液体ディスペンサー
(51)【国際特許分類】
B65D 47/20 20060101AFI20220606BHJP
B65D 51/24 20060101ALI20220606BHJP
【FI】
B65D47/20 111
B65D51/24 400
(21)【出願番号】P 2020527826
(86)(22)【出願日】2018-09-20
(86)【国際出願番号】 US2018051905
(87)【国際公開番号】W WO2019108293
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-05-18
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】ヘフテ、パウルス・アントニウス・アウグスティヌス
(72)【発明者】
【氏名】ショウベン、ジミー
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-176570(JP,A)
【文献】特開2016-037303(JP,A)
【文献】特表2002-544444(JP,A)
【文献】特開2013-095481(JP,A)
【文献】特表2001-514130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44-35/54
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分配可能な液体を収容する反転容器(2)に解放可能に取り付けるための液体ディスペンサー(1)であって、
i)接続スリーブ(11)を備える前記ディスペンサー(1)の本体(10)であって、前記接続スリーブ(11)が、前記反転容器(2)の開口部(5)に近接する外部面に係合するように適合可能であり、半径方向内方に間隔を空けて、前記反転容器(2)に収容された前記液体との流体連通を確立するための内部排出導管(12)を画定する、本体(10)と、
ii)前記内部排出導管(12)を横切って延在する前記本体(10)内に局在する弁(20)であって、前記弁(20)が、前記反転容器(2)の内部に収容された前記液体と接触するための内部側(21)と、外部雰囲気に晒されるための外部側(22)と、を有し、前記弁(20)が、前記弁内部側(21)上の圧力が前記弁外部側(22)上の圧力を超えるときに反応可能に開くことができる分配オリフィス(23)を画定する、弁(20)と、
iii)前記弁(20)の上流に局在する耐衝撃システム(30)であって、前記システム(30)が、中に空洞(32)を有し、前記本体(10)から長手方向に、かつ前記スリーブ(11)から半径方向内方に延在するハウジング(31)を備え、前記ハウジング(31)が、前記反転容器(2)から前記ハウジング(31)内への前記液体の流路を提供する少なくとも1つの入口開口部(33a)と、前記分配オリフィス(23)が開かれたときに前記ハウジング(31)から前記外部雰囲気への前記液体の流出経路を提供する少なくとも1つの出口開口部(33b)とを備え、前記空洞(32)が、
気体又はバルーンから選択され、好ましくは気体、より好ましくは空気である圧縮性物質によっ
て、部分的に占有されるように適合され、
前記圧縮性物質は、前記圧縮性物質の容積が変化することによって液圧ハンマー圧力を吸収す
る、耐衝撃システム(30)と、を備える、液体ディスペンサー(1)。
【請求項2】
定常状態での前記ハウジング(31)内部の前記気体、好ましくは空気の容積の、前記反転容器の容積に対する比率は、0.001より高く、好ましくは0.005~0.05、より好ましくは0.01~0.02である、請求項
1に記載の液体ディスペンサー(1)。
【請求項3】
前記ハウジング(31)が、200mm
3~250,000mm
3、好ましくは1,500mm
3~75,000mm
3の内部容積を有する、請求項1
又は2に記載の液体ディスペンサー(1)。
【請求項4】
前記入口開口部(33a)が、1mm
2~250mm
2の総表面積を有する、請求項1~
3のいずれか一項に記載の液体ディスペンサー(1)。
【請求項5】
前記ハウジング(31)が、プラスチック材料、好ましくは熱可塑性材料、好ましくはポリプロピレンを含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載の液体ディスペンサー(1)。
【請求項6】
前記分配オリフィス(23)を開くために前記弁内部側(21)にかかる力が、少なくとも10mbar、好ましくは少なくとも25mbarである、請求項1~
5のいずれか一項に記載の液体ディスペンサー(1)。
【請求項7】
前記弁(20)の内部抵抗力が、10mbar以上、250mbar未満である、請求項1~
6のいずれか一項に記載の液体ディスペンサー(1)。
【請求項8】
前記弁(20)が、半径方向外方に遠位端(26)まで延在する、少なくとも2つ、好ましくは複数のスリット(25)を有する可撓性中央部分(24)を備え、前記スリット(25)が交差して、前記分配オリフィス(23)を画定する、請求項1~
7のいずれか一項に記載の液体ディスペンサー(1)。
【請求項9】
前記本体(10)が、底端部(B)において、前記反転容器(2)を逆さまの状態で平坦な表面上に載せるように適合された外部部分(14)を備える、請求項1~
8のいずれか一項に記載の液体ディスペンサー(1)。
【請求項10】
前記弁(20)の前記内部側(21)と前記耐衝撃システム(30)との間に位置するバッフル(40)を更に備え、好ましくは、前記バッフル(40)が、前記バッフル(40)が上流の液圧ハンマー圧力を受けたときに、前記排出導管(12)の少なくとも一部への液体流を閉塞する閉鎖位置間の前記閉塞部材(41)の移動に適応する、少なくとも1つの支持部材(42)によって支持された閉塞部材(41)を含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載の液体ディスペンサー(1)。
【請求項11】
少なくとも10mbar、好ましくは少なくとも25mbarの圧力差が、前記弁外部側(22)に対して前記弁内部側(21)の間に存在するとき、前記分配オリフィス(23)が開状態になるように設計されている、請求項1~
10のいずれか一項に記載の液体ディスペンサー(1)。
【請求項12】
請求項1~
11のいずれか一項に記載の液体ディスペンサー(1)を備える反転容器(2)であって、好ましくは、前記液体ディスペンサー(1)が、閉鎖キャップ又はシールを備えない、反転容器(2)。
【請求項13】
前記反転容器(2)が、少なくとも1つの弾性的に変形可能な側壁(3)を有し、
前記反転容器(2)の前記弾性的に変形可能な側壁(3)が圧搾によって弾性的に変形されると、圧力が加わって前記空洞(32)内の前記圧縮性物質を圧縮させ、前記容器(2)と前記弁(20)との間の前記液体を、前記分配オリフィス(23)を通して前記外部雰囲気に分配させ、
前記弾性的に変形可能な側壁(3)が解放されると、前記外部雰囲気から前記空洞(32)に空気を通気して前記空洞(32)内の前記圧縮性物質を減圧し、前記弾性的に変形可能な側壁(3)をその元の形状に戻す、請求項
12に記載の反転容器(2)。
【請求項14】
反転容器(2)からの液体の漏れを低減又は防止するための請求項1~
11のいずれか一項に記載の液体ディスペンサー(1)の使用であって、好ましくは、前記反転容器(2)が、液圧ハンマー圧力を受ける、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反転容器から液体を分配するための液体ディスペンサーに関する。本ディスペンサーは、本体、弁、及び一時的な液体圧力の上昇(例えば、液圧ハンマー圧力)を吸収して、弁の望ましくない開放及び液体の漏れを実質的に低減/防止するように特に適合された耐衝撃システムを備える。
【背景技術】
【0002】
液体を分配するための注ぎ口を備える容器は、当技術分野において、特に食器洗浄製品の分野において周知である。これらのボトルは、頂部に位置する開口部を有し、典型的には「トップアップボトル」と呼ばれる。液体を分配するために、消費者は、典型的には、注ぎ口を露出させるためにキャップを開ける必要があり、次いでボトルを反転させて絞り、液体を分配する。これらのトップアップボトルにはいくつかの問題が存在する。第一に、ボトルが絞られていない場合であっても、ボトルの反転時に液体が流出し、ボトルから分配される液体の量を制御することを困難にしている。これはまた、ボトルを使用後に右側を上に回転するときに液体のこぼれを引き起こす場合がある。第二に、これらのボトルは、注ぎ口の周縁部の周りに液体を残す傾向があるため、汚れて見える。液体はまた、乾燥する傾向があり、クラストを形成する。クラストがビルドアップされる場合、それは最終的に注ぎ口をブロックする。第三に、これらのボトルの貧弱な人間工学的設計は、消費者の不便を引き起こす。例えば、トップアップボトルから液体を投与するために手首を絶えずねじることは、消費者にとって不快であるか、又は困難であり得、特により大きなサイズのボトルを使用する場合、及び/又は高齢の消費者にとってそうである。最後に、溶媒/他の揮発物(例えば、香料)が蒸発するのを防ぐために必要とされる閉鎖キャップ又はシールの存在は、消費者の更なる操作を必要とし、ボトルを使い勝手の悪いものにしている。これらの問題の全ては、これらのトップアップボトルに対する消費者の不満の一因になっている。
【0003】
結果として、「反転容器」は、消費者に人気がある。反転容器は、「底部」に液体を分配するための開口部を有し、逆さまの状態で使用される。反転容器は、典型的には、水平表面上に置かれたときにそれらの底部上に載る。反転容器は、キャップされた注ぎ口を有する概ね可撓性のボトルを備える。このようなシステムの改善には、吐出口に弾性弁を含んでもよい(例えば、国際公開第2004/02843号(Method Products)を参照されたい)。弁の目的は、容器に力が加えられない限り、液体が漏出しないように、分配される液体の容積を制御し、反転容器による漏れを最小限に抑えることである。
【0004】
これらのタイプの反転容器に伴う特定の課題は、定常状態(すなわち、貯蔵)中及び/又は衝撃時に、特に衝撃時に、内部に収容された液体の漏れの防止である。例えば、反転容器が温度変化、具体的には増加(例えば、日当たりの良い窓の横やコンロの上部付近に置かれた反転容器、等)、を受けるときに貯蔵中に漏れが発生する場合があり、これにより内部圧力の上昇及び漏れにつながる可能性がある。具体的には、「衝撃」とは、反転容器が取り扱われる、輸送される、落下される、又は倒されるときを意味する。衝撃の結果として、容器の内部で一時的な液体圧力が上昇し、これは液圧ハンマー圧力とも呼ばれ、瞬間的に弁を強制的に開いて液体を漏出させ得、その結果、製品に対する消費者の不満を引き起こす。漏れ問題を克服しようとする以前の試みには、閉鎖キャップを含むことが含められていた(例えば、中国特許第2784322(U)号(Liu Zhonghai)及び国際公開第2014/130079号(Dow Global Technologies)を参照されたい)。しかしながら、閉鎖キャップを含めることは、投与のために閉鎖キャップを開き、投与プロセス後に閉鎖キャップを再度閉じなければならない追加の工程を意味し、これは消費者にとって望ましくない。更に、キャップは、液体の乱雑さ及び注ぎ口/キャップの周囲の液体の干上がったクラストを回避しない。他の試みは、弾性弁の頂部上に組み込まれたバッフルを有し(例えば、特開第2007/176594号(Lion)、及び国際公開第2000/68038号(Aptar Group)を参照されたい)、これは、具体的には反転容器に関連する、より具体的には衝撃時の漏れの問題を完全に解決していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2004/02843号
【文献】中国特許第2784322(U)号
【文献】国際公開第2014/130079号
【文献】特開第2007/176594号
【文献】国際公開第2000/68038号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このため、反転容器が衝撃を受けるときに、特に落下又は倒されるときに、弁が開く傾向を実質的に低減又は防止する、反転容器のための改善された液体ディスペンサーの必要性が残されている。液体の定常状態の漏れを低減又は防止する改善された液体ディスペンサーの必要性も存在する。液体の容易な及び/又は正確な分配に適応する改善された液体ディスペンサーの必要性も存在する。反転容器が閉鎖キャップ又はシールをもはや必要としないように、改善された液体ディスペンサーが漏れを大幅に低減又は排除することが望ましい。また、改善された液体ディスペンサーが、特に粘着性又は高粘度の液体のために、残留物が少ない液体の分配を改善することが望ましい。更に、改善された液体ディスペンサーが、様々な形状を有し、様々な材料から構築される反転容器に適応することが望ましい。本出願人は、本明細書で以下に説明するように、改善された液体ディスペンサーを通して、上述の必要性のいくつか又は全てが少なくとも部分的に満たされ得ることを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、本発明は、分配可能な液体を収容する反転容器に解放可能に取り付けるための液体ディスペンサーを提供することによって、これらの必要性に対処する。液体ディスペンサーは、逆さまの状態にある反転容器から分配可能な液体の分配に適応する。液体ディスペンサーは、本体、弁、及び耐衝撃システムを備える。耐衝撃システムは、反転容器が衝撃を受けるとき(すなわち、落下又は倒されるとき)に発生し得る液圧ハンマー圧力などの一時的な液体圧力の上昇の下で弁が開く傾向を実質的に低減又は防止するように機能する。これは、特に衝撃中に、液体が液体ディスペンサーから不注意に漏れる可能性を実質的に低減又は防止する。
【0008】
本発明のこの態様によれば、ディスペンサーの本体は接続スリーブを備える。接続スリーブは、反転容器の開口部に近接する外部面に係合するように適合可能であり、半径方向内方に間隔を空けて、反転容器内に収容された液体との流体連通を確立するための内部排出導管を画定する。
【0009】
弁は、本体内に局在し、内部排出導管を横切って延在する。弁は、反転容器の内部に収容された液体と接触するための内部側と、外部雰囲気に晒されるための外部側とを有する。弁は、弁内部側上の圧力が弁外部側上の圧力を超えるときに反応可能に開くことができる分配オリフィスを画定する。
【0010】
耐衝撃システムは、弁の上流に位置する。本システムは、ハウジングを備え、ハウジングは、その中に空洞を有し、本体から長手方向に、かつスリーブから半径方向内方に延在する。ハウジングは、反転容器からハウジング内への液体の流路を提供する少なくとも1つの入口開口部と、分配オリフィスが開かれるときにハウジングから外部雰囲気への液体の流出経路を提供する少なくとも1つの出口開口部とを備える。空洞は、圧縮性物質によって部分的に占有されるように適合されている。好ましくは、圧縮性物質は、弁内部側と弁外部側との間の圧力平衡化を可能にし、分配オリフィスを反応可能に閉じる/維持することを可能にする。
【0011】
別の態様では、本発明は、反転容器から液体を分配するための特許請求の範囲に記載の液体ディスペンサーを使用する方法に関する。
【0012】
更に別の態様では、本発明は、反転容器からの液体の漏れを低減又は防止するための特許請求の範囲に記載の液体ディスペンサーの使用に関する。特に、反転容器が液圧ハンマー圧力を受けるときの液体漏れの低減又は防止。
【0013】
更に別の態様では、本発明は、特許請求される液体ディスペンサーを備える反転容器に関する。好ましくは、反転容器は、閉鎖キャップ又はシールを備えない。
【0014】
本発明の1つの目的は、反転容器が衝撃を受けるときに、特に落下又は倒されるときに、弁が開く傾向を実質的に低減又は防止することができ、それにより液体が漏出しない、本明細書に記載の液体ディスペンサーを提供することである。このような改善された液体ディスペンサーは、反転容器のより頑丈な取り扱い又は乱用に適応するであろう。
【0015】
本発明の別の目的は、液体の定常状態の漏れを防止する、本明細書に記載の液体ディスペンサーを提供することである。反転容器の貯蔵中に弁が閉じたままであり、それにより液体を分配するために反転容器に力が意図的に加えられない限り、液体が漏れないことが有利である。これにより、液体が分配されることを潜在的に阻止し得る、分配オリフィスの付近に形成される汚い乾燥した液体、又は繊細な表面上に貯蔵されると、最終的に表面の損傷につながる貯蔵領域の汚さが回避される。
【0016】
本発明の更なる目的は、容器をひっくり返す必要なく容易かつ正確な投与を可能にする、本明細書に記載の液体ディスペンサーを提供することである。これは、より迅速かつ改善された人間工学的な投与体験(すなわち、より快適で、手首にかかるストレスが少なく、必要とされる力が少ない、等)に寄与すると考えられる。例えば、閉鎖キャップ又はシールを含み得る従来のトップアップボトルや、逆さまの容器で必要とされる工程が少なくなり、かつボトルを逆さまに反転させて液体を分配するための手の厄介なねじれ運動が必要とされない。
【0017】
更に、本発明の更なる目的は、反転容器内の液体の最後の一滴までアクセスを可能にする、本明細書に記載の液体ディスペンサーを提供することである。このため、無駄を最小限に抑えることが本発明の利点である。
【0018】
本発明はまた、配合者が今や、より大きな粘度範囲を有する液体、特に、漏れに対してより敏感になる傾向があるより低い粘度を有する液体、を含むことができるため、作動可能な粘度のより大きな製剤ウィンドウを可能にするという利点も有する。
【0019】
本発明の別の利点は、より大きいサイズの容器(例えば、450mLより大きい)での使用を可能にすることである。改善された液体ディスペンサーは、弾性弁に対するより高い重量許容量を可能にし、それによって、より大きな反転容器と共に使用されるときに液体漏れを実質的に低減/防止することが期待される。
【0020】
本発明のこれらの並びに他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明から当業者には明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本明細書は、本発明について具体的に示し、明確に特許請求する「特許請求の範囲」で完結するが、本発明は添付の図の以下の説明からより良く理解されると考えられ、図面全体をとおして、同様の数字は同様の部分を指定するために使用される。
【
図1】反転容器(2)に接続された、本発明の一態様による液体ディスペンサー(1)の斜視図を示す。
【
図2】本発明の一態様による液体ディスペンサー(1)の斜視図を示す。
【
図3】本発明による液体ディスペンサー(1)の本体(10)の斜視図を示す。
【
図4】本発明による液体ディスペンサー(1)の弁(20)の内部側(21)の平面上面図を示す。
【
図5】本発明による開状態にある液体ディスペンサー(1)の弁(20)の外部側(22)の斜視図である。
【
図6】本発明による液体ディスペンサー(1)の耐衝撃システム(30)の斜視図を示す。
【
図7A】「衝撃」前に、圧縮性物質が圧縮されていない状態の、本発明による液体ディスペンサー(1)の耐衝撃システム(30)の断面図を示す。
【
図7B】「衝撃」中、圧縮性物質が圧縮された状態の、本発明による液体ディスペンサー(1)の耐衝撃システム(30)の断面図を示す。
【
図7C】「衝撃」前に、圧縮性物質が圧縮されていない状態の、可動ピストン(34)を備える、本発明による液体ディスペンサー(1)の耐衝撃システム(30)の断面図を示す。
【
図7D】「衝撃」中、圧縮性物質が圧縮された状態の、可動ピストン(34)を備える、本発明による液体ディスペンサー(1)の耐衝撃システム(30)の断面図を示す。
【
図7E】「衝撃」前に、圧縮性物質が圧縮されていない状態の、ばね仕掛けの可動ピストン(34)を備える、本発明による液体ディスペンサー(1)の耐衝撃システム(30)の断面図を示す。
【
図7F】「衝撃」前及び「衝撃」中の両方の、可撓性ベロードームを備える、本発明による液体ディスペンサー(1)の耐衝撃システム(30)の断面図を示す。
【
図7G】「衝撃」前及び「衝撃」中の両方の、気体充填バルーン(50)を備える、本発明による液体ディスペンサー(1)の耐衝撃システム(30)の断面図を示す。
【
図7H】「衝撃」中の、可撓性膜(51)及び閉鎖空洞(52)を備える、本発明による液体ディスペンサー(1)の耐衝撃システム(30)の断面図を示す。
【
図8】バッフル(40)を備えた、本発明による液体ディスペンサー(1)の斜視図を示す。
【
図9】切断線9-9に沿った
図1の液体ディスペンサー(1)の断面図を示す。
【
図10】落下試験装置及び耐漏液試験における手順を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
特許請求の範囲は本明細書に記載及び/又は示される具体的なデバイス、装置、方法、条件又はパラメータに限定されるものではなく、本明細書で使用される用語は例としてのみ本発明の特定の態様を記載する目的で使用され、特許請求された本発明を限定することを意図するものではないことを理解すべきである。
【0023】
本明細書で使用するとき、特許請求項において使用される「a」及び「an」などの冠詞は、特許請求される又は記載されるものの1つ以上を意味すると理解される。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「備える(comprising)」、「有する(having)」、「収容する(containing)」、及び「含む(including)」のいずれも、最終結果に悪影響を与えない他の工程、成分、要素等を加えることができることを意味する。これらの用語の各々は、「からなる」及び「から本質的になる」という用語を包含する。特に明記されない限り、本明細書における要素及び/又は機器は、世界中の多くの供給業者及び供給源から入手可能であると考えられる。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「圧縮性」は、圧力の上昇の影響下で容積を減少させる物質の能力を意味し、容積減少は少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、最も好ましくは少なくとも10%である。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「消費者」は、製品を購入する顧客、並びに製品を使用する人を含むことを意味する。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「液圧ハンマー圧力」は、典型的には、反転容器への衝撃の結果として、反転容器内の液体が急に停止又は方向を変化させる(即ち、運動量の変化)ように強制されるときに引き起こされる一時的な圧力上昇を意味する。液圧ハンマー圧力はまた、「衝撃力」と呼ぶこともできる。液圧ハンマー圧力が液体ディスペンサーによってなんらかの形で吸収されない場合、力が(瞬間的に)弁を開き、液体の漏れを引き起こす可能性がある。
【0028】
用語「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含む(including)」とは、非限定的であることを意味する。
【0029】
本明細書で使用するとき、用語「液体」は、高粘性材料(例えば、ローション及びクリーム)、懸濁液、混合物などを含む任意の液体を意味する。例えば、「液体」は、パーソナルケア製品、食品製品(例えば、ケチャップ、マヨネーズ、マスタード、ハチミツ、等)、工業用又は家庭用洗浄製品(例えば、洗濯洗剤、食器洗浄洗剤、等)、又は他の物資の組成物(例えば、製造、商業的若しくは家庭用メンテナンス、パーソナル/美容ケア、ベビーケア、医療処置、等を含む活動に使用するための組成物)を形成し得る。主要な標的とする液体は、食器洗い用液体洗剤である。液体製品、好ましくは液体洗剤製品、より好ましくは液体食器手洗い用製品は、任意の密度を有し得るが、液体は、好ましくは0.5g/mL~2g/mL、より好ましくは0.8g/mL~1.5g/mL、最も好ましくは1g/mL~1.2g/mLの密度を有する。
【0030】
本明細書で使用するとき、用語「定常状態」は、容器が静止しているときの容器内部の液体の一定圧力特性を意味する。
【0031】
本明細書において開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。代わりに、特に指示がない限り、このような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「1.2cm」として開示される寸法は、「約1.2cm」を意味することを意図する。
【0032】
本明細書に述べられ、かつ特許請求される、出願人らによる発明のパラメータのそれぞれの値を決定するには、本出願の試験方法の項に開示される試験方法が使用されなければならない点は理解されよう。
【0033】
本発明の全ての実施形態では、特にそうでない旨が具体的に述べられない限り、文脈から明らかであるように、全ての割合は、組成物全体の重量によるものである。特にそうでない旨が具体的に述べられない限り、全ての比は重量比であり、全ての測定は、特に指定しない限り25℃で行われる。
【0034】
液体ディスペンサー
説明を容易にするために、本発明の液体ディスペンサー(1)は、
図1に示す状態を参照して、上部/頂部、下部/底部、水平、等の用語で説明される。
図1及び
図9を引き続き参照すると、しかしながら、本発明の液体ディスペンサー(1)は、反転容器(2)と共に使用され、ここで液体は反転容器(2)の底部から分配されることが理解されるであろう。反転容器(2)は、記載されている限りにおいて、逆さまの状態に静置され得る限り、任意の好適な形状又は設計であってもよく、その詳細は、液体ディスペンサー(1)を対象とする本発明の一部を形成しない。反転容器(2)は、熱可塑性ポリマーなどの任意の可撓性プラスチック材料で作製することができる。可撓性材料は、反転容器(2)を変形させるのに十分に圧縮可能であり、液体の投与を可能にし、更に、投与後の変形から比較的速い形状回復を可能にするのに十分な可撓性を有する。好ましくは、可撓性プラスチック材料は、ポリカーボネート、ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、ポリ塩化ビニル(polyvinylchloride、PVC)、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleentereftalaat、PET)など、又はこれらのブレンド若しくは多層構造である。可撓性プラスチック材料はまた、エチレンビニルアルコール(ethylene vinyl alcohol、EVOH)などのような特定の水分又は酸素バリア層を含んでもよい。可撓性プラスチック材料はまた、ボトル、他の容器などからの消費後リサイクル材料を部分的に含んでもよい。反転容器(2)は、液体が反転容器(2)から液体ディスペンサー(1)へと通過することを可能にするように、開口部(5)(図示せず)を含む。
図1を参照すると、開口部(5)(図示せず)は、反転容器(2)の底部に位置している。換言すれば、反転容器(2)は底部から投与される。
【0035】
液体ディスペンサー(1)、又はディスペンサー(1)の少なくとも特定の構成要素は、成形又は形成され得る任意の材料から作製することができるが、一方、輸送に耐えて、かつ液体への一定の露出による決まった摩耗及び断裂に対して十分な耐久性を有する。ディスペンサー(1)の構成要素は、別個に成形されてもよく、異なる材料から成形されてもよい。異なる構成要素のための材料は、具体的に指定されない限り、美観のために、同じ又は異なる色及び質感を有してもよい。好ましくは、構成要素は、硬質プラスチック、より好ましくは、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)などのような熱可塑性材料から成形される。
図2に示されるように、液体ディスペンサー(1)は、本体(10)、弁(20)(図示せず)、及び耐衝撃システム(30)の3つの基本構成要素を備える。好ましくは、液体ディスペンサー(1)は、閉鎖キャップ又はシールがない。典型的には、シールは輸送のために含まれ、液体ディスペンサー(1)の最初の使用後に除去され、廃棄される。
【0036】
本体
図3に示されるように、液体ディスペンサー(1)は本体(10)を備える。本体(10)は、頂部端(A)に、反転容器(2)の開口部(5)に近接する外部面に解放可能に係合するように適合された接続スリーブ(11)を含む。好ましくは、この配置は、液体ディスペンサー(1)と反転容器(2)との間に漏れのない接触を提供し、液体ディスペンサー(1)を漏れに対してしっかりと封止されるようにする。あるいは、接続スリーブ(10)は、反転容器(2)の開口部(5)に近接する内部面に解放可能に係合するように適合されてもよい。換言すれば、反転容器(2)は、液体ディスペンサーの本体(10)の水平外部に位置する接続スリーブ(11)に取り付けられる。しかしながら、この代替的な配置は、ディスペンサー(1)と反転容器(2)との間の接触部を通過する液体の漏れリスクがより高いため、あまり好ましくない。
【0037】
本体(10)は、非限定的な例として協働ねじ山、圧着、圧着手段、留め金手段、スナップ嵌め手段、溝配置、差込嵌合、又は永久溶接を含む、当業者に一般的に知られている好適な取り付け手段によって、反転容器(2)の開口部(5)に解放可能に係合され得る。好ましくは、反転容器(2)の開口部(5)の外部面上の雄ねじ山が、接続スリーブ(11)上に成形された雌ねじ山にねじ込まれる(
図3に示すように)。
【0038】
本体(10)は、長手方向軸(L)に沿って軸方向に配設された中央部分(15)を含む。接続スリーブ(11)は、中央部分(15)に向かって半径方向内方に間隔を空けられ、内部排出導管(12)を画定する。排出導管(12)は、反転容器(2)に収容された液体と外部雰囲気との流体連通を確立するための流路として機能する。使用中、接続スリーブ(11)は、液体ディスペンサー(1)と反転容器(2)との間に流体シールを形成し、それにより液体が漏れることなく液体ディスペンサー(1)に入ることができることが理解されるであろう。
【0039】
好ましくは、本体(10)は、底部端(B)において、反転容器(2)がその底部の平坦な表面上に安定して載ることを可能にするように適合された外部部分(14)を備える(
図1に示すように)。外部部分(14)は、本体(10)と一体的に形成されてもよい。例えば、外部部分(14)は、
図3に示されるように、底部(B)に向かって軸方向下方に、かつ半径方向外方に延在する環状フランジ構造(例えば、スカート)を備える。
図3は、円錐台形状を有するものとして本体(10)の外部部分(14)を示しているが、必ずしもこの形状に限定されない。反転容器(2)がその底部に安定して静置されたままであることを可能にする限り、円筒形、角錐形、ディスク形状、複数の脚部、等のような他の形状を使用することができる。
【0040】
本体(10)が本明細書に示され、説明されているが、特定の要件に応じて望ましくあり得る多くの変形例が存在することを理解されたい。例えば、接続スリーブ(11)及び外部部分(14)は、均一な材料厚さを有するものとして示されているが、いくつかの用途では、材料厚さが変化することが望ましい場合がある。更なる例として、いくつかの表面が、特定の形状(例えば、円錐台形、平面、等)を有するものとして本明細書で説明されているが、特定の用途に応じて、それらの表面に対して他の特定の形状が望ましい場合がある。
【0041】
弁
液体ディスペンサー(1)は、内部排出導管(12)を横切って延在する本体(10)内に局在する弁(20)を更に備える。
図4に示すように、弁(20)は、反転容器(2)の内部に収容された液体と接触するための内部側(21)と、外部雰囲気に晒されるための外部側(22)(
図5に示すように)とを有する。弁(20)は、弁内部側(21)上の圧力が弁外部側(22)上の圧力を超えるときに反応可能に開くことができる分配オリフィス(23)を画定する。
【0042】
弁(20)は、好ましくは、本体(10)内に実装された、可撓性、エラストマーの、弾力的、2ウェイ双方向性、自動閉鎖、スリット型の弁である。弁(20)は、分配オリフィス(23)を画定する1つ又は複数のスリット(25)を有する。例えば、分配オリフィス(23)は、1つのスリット(25)又は2つ以上の交差するスリット(25)から形成され得、オリフィスは、例えば、反転容器(2)が圧搾された場合など、反転容器(2)内の圧力の上昇に応じてそこを通して液体の分配を可能にするように開くことができる。弁(20)は、典型的には、弁(20)を横切る圧力差が減少すると、分配オリフィス(23)を反応可能に閉じて、そこを通る液体の流れを止めるように設計される。弁(20)を閉状態に保つために必要とされる圧力の量は、弁(20)の内部抵抗力に部分的に依存する。「内部抵抗力」(すなわち、クラッキング圧力)は、弁(20)の変形/開口に対する所定の抵抗閾値を指す。換言すれば、弁(20)は、変形/開口に抵抗する傾向がなく、それにより弁(20)の内部側(21)に対する定常状態の液体軸受の圧力下で閉じたままである。弁を変形させる/開くために必要とされる圧力の量は、この内部抵抗力に打ち勝たなければならない。この内部抵抗力は、液体漏れを引き起こすほど低すぎてはならず、又は液体の投与を困難にするほど高すぎてはならない。したがって、弁(20)は、好ましくは、少なくとも10mbar、好ましくは少なくとも25mbar、より好ましくは250mbar未満、更により好ましくは150mbar未満、最も好ましくは75mbar未満である弁(20)の内部抵抗力を有する。好ましくは、分配オリフィス(23)は、少なくとも10mbar、好ましくは少なくとも25mbarの圧力差(Δ)が、外部側(22)上の弁に対して弁内部側(21)の間に存在するとき、開放状態にあるように設計される。好ましくは、分配オリフィス(23)を開くために必要とされる弁内部側(21)にかかる力は、少なくとも10mbar、好ましくは少なくとも25mbarである。好ましくは、弁(20)は、0.1cm2~10cm2、より好ましくは0.3cm2~5cm2、最も好ましくは0.5cm2~2cm2の表面積を有する。好ましくは、弁(20)は、1mm~10mm、より好ましくは2mm~5mmの高さを有する。静止時に分配オリフィス(23)が完全に閉じた状態のままであることを可能にする限りは、他の寸法を使用することができる。
【0043】
図4に示されるように、弁(20)は、好ましくは、遠位端(26)に向かって半径方向外方に延在する、平坦な、自己封止の、スリット(25)の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、好ましくは複数(すなわち、3つ以上)を有する可撓性中央部分(24)を含む。スリット弁は、1つ以上のスリットが、弁が液体ディスペンサー(1)内に形成及び/又は設置された後にのみ完全に完成するような弁を含めて、その最終機能形態に1つ以上のスリットを有する任意の弁を指すことを意図していることを理解されたい。各スリット(25)は、好ましくは、弁(20)内の遠位端(26)に到達する直前に終端する。好ましくは、スリット(25)は真っ直ぐであり(
図4に示されるように)、又は様々な異なる形状、サイズ、及び/又は構成を有してもよい(図示せず)。好ましくは、交差するスリット(25)は、互いに等間隔であり、長さが等しい。
【0044】
引き続いて
図5を参照すると、交差するスリット(25)は、弁(20)内に4つの略扇形の同等のサイズのフラップ(27)を画定する。フラップ(27)は、圧力差に反応して、閉じた静止状態(
図4に示すような)と開いた状態(
図5に示すような)との間で構成を変化させる弁(20)の開閉可能部分として特徴付けられ得る。弁(20)は、外部雰囲気の内方通気に適応するのに十分な可撓性を有するように設計されている。例えば、弁(20)が閉じるとき、閉鎖フラップ(27)又は開閉可能部分が、閉じた状態を越えて内方に移動し続けて、弁外部側(22)上の圧力が弁内部側(21)上の圧力を所定の大きさだけ超えるときに、弁フラップ(27)が内方に開くことを可能にすることができる。外部雰囲気のこのような内方通気能力は、反転容器(2)内側の内部圧力を外部雰囲気の圧力と等しくするのに役立つ。弁(20)は、使用中に反転容器(2)のパネリングを避けるために、反転容器(2)に空気を戻すための開口圧力が十分に低くなるように設計されていることが理解される。換言すれば、使用後に最初の形状に戻るための反転容器(2)の弾力性(すなわち、圧搾力)は、通気開口圧力よりも高い。
【0045】
好ましくは、弁(20)は、静止時に反転容器(2)が立っている表面に接触しておらず、投与時に洗浄される表面にも接触してしない。これまで、弁(20)は、本体(10)内に拡張され、好ましくは静止表面から少なくとも1mm、より好ましくは少なくとも5mm、更により好ましくは少なくとも1cmに位置付けられている。弁(20)を表面と接触するのではなく上方に位置付けることにより、弁(20)を通って毛管が滲出して反転容器(2)の保管時に表面汚染及び潜在的に表面損傷をもたらすリスクが少なくなる。
【0046】
弁(20)は、好ましくは、可撓性で、しなやかで、弾力があり、かつ回復力に富む材料から一体構造として成形される。好適な材料としては、例えば、シリコンゴム(米国Dow Corning Corp.製のD.C.99-595-HC、Wacker Silicone Co.製の WACKER 3003-40シリコンゴム材料として入手可能)を含む熱硬化性ポリマーなどが挙げられ、好ましくは、40ショアAの硬度比、直鎖状低密度ポリエチレン(linear low-density polyethylene、LLDPE)、低密度ポリエチレン(low density polyethylene、LDPE)、LLDPE/LDPEブレンド、アセテート、アセタール、超高分子量ポリエチレン(ultra-high-molecular weight polyethylene、UHMW)、ポリエステル、ウレタン、エチレン酢酸ビニル(ethylene-vinyl-acetate、EVA)、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、又は熱可塑性エラストマー(thermoplastic elastomer、TPE)を有する。弁(20)はまた、熱可塑性プロピレン、エチレン及びスチレンなどの他の材料から形成することもでき、それらのハロゲン化対応物を含む。好適な弁は、SimpliSqueeze(登録商標)弁ラインアップを含めてAPTAR Companyなどから市販されている。
【0047】
弁(20)は通常閉じた状態にあり、反転容器(2)が圧搾されない限り、液体が漏出しないように、反転容器(2)内の液体の圧力に耐えることができる。残念ながら、弁(20)の設計は、あらゆる状況下で、特に反転容器(2)が衝撃を受けて実質的な一時的な液体圧力の上昇を引き起こす場合、反転容器(2)の内部からの液体漏れを防止する効果を制限する。結果的に、本発明者らは、驚くべきことに、耐衝撃システム(30)を液体ディスペンサー(1)に組み込むことによって、衝撃後の一時的な液体圧力の上昇を吸収し、液体ディスペンサー(1)からの液体漏れを実質的に低減又は防止するのを助けることができることを発見した。
【0048】
耐衝撃システム
本発明によれば、液体ディスペンサー(1)は、弁(20)の上流に局在する(
図6に示すような)耐衝撃システム(30)を更に備える。システム(30)は、ハウジング(31)を備え、ハウジング(31)内に空洞(32)を有する。ハウジング(31)は、本体(10)から長手方向に、スリーブ(11)から半径方向内方に延在する。ハウジング(31)は、実質的に剛性の構造であり、プラスチック材料、好ましくは熱可塑性材料、より好ましくはポリプロピレンから成形され得る。
図6に示すように、ハウジング(31)は、好ましくは、頂部端(C)に向かってドームを備えた実質的に円筒形状であり、長手方向軸(L)に沿って10mm~200mm、好ましくは15mm~150mm、より好ましくは20mm~100mmの長さを有する。円筒形状のハウジング(31)は、好ましくは、5mm~40mm、好ましくは10mm~30mmの直径を有する。しかしながら、ハウジング(31)は、例えば楕円形、角錐形、矩形、等などの任意の所望のサイズ及び形状を有してもよいことを理解されたい。しかしながら、ハウジング(31)のサイズ及び形状は、必然的に、圧縮性物質に必要な内部容積の関数となる。例えば、より大きな容積の圧縮性物質が必要とされる場合、より広い直径のハウジングが好ましい場合がある。好ましくは、ハウジング(31)は、200mm
3~250,000mm
3、好ましくは1,500mm
3~75,000mm
3の内部容積を有する。好ましくは、圧縮性物質は、1,000mm
3~最大20,000mm
3、好ましくは1,500mm
3~最大15,000mm
3、最も好ましくは2,000mm
3~最大10,000mm
3の容積を有する。
【0049】
更に、ハウジング(31)は、反転容器(2)からハウジング(31)内への液体の流路を提供する少なくとも1つの入口開口部(33a)を備える。好ましくは、入口開口部(33a)は、排出導管(12)と弁(20)との間の開口部である。「少なくとも1つの」入口開口部(33a)という語句は、ハウジング(31)上に位置する1つ以上の入口開口部(33a)を意味する。例えば、1つのより大きい入口開口部(33a)又は複数のより小さい入口開口部(33a)を有することが望ましい場合がある。反転容器(2)の内部に収容される液体の粘度及び密度は、入口開口部(33a)のサイズ、形状、及び数の設計要因となることが予想されるであろう。入口開口部(33a)は、反転容器(2)及びハウジング(31)の内部に収容された液体との流体連通を確立するための液体流路を提供するための開口部として機能する。
図6及び
図9に示されるように、入口開口部(33a)は、好ましくはハウジング(31)の底部付近に位置付けられ、1mm~25mm、好ましくは5mm~20mmの長さ、及び1mm~10mm、好ましくは3~7mmの高さ、を有する矩形形状であることが好ましい。あるいは、反転容器(2)からハウジング(31)内への液体の十分な流れを依然として提供することができる限り、他の形状及びサイズの入口開口部(33a)も動作可能であり得る。他の非限定的な例では、ハウジング(31)は、底部近くに等距離で配設された3つの小さな円形の入口開口部(33a)、又はハウジング(31)の半分を囲む1つの半円を含むことができる。好ましくは、入口開口部(33a)は、1mm
2~250mm
2、好ましくは15mm
2~150cm
2の総表面積を有する。また、入口開口部(33a)は、ハウジング(31)の底部に向かって位置付けられることが好ましい。
【0050】
ハウジング(31)は、分配オリフィス(23)が開かれるときに、ハウジング(31)から外部雰囲気への液体の流出経路を提供する少なくとも1つの出口開口部(33b)を更に備える。
【0051】
図7Aに示されるように、ハウジング(31)は、空洞(32)を更に備える。空洞(32)は、ハウジング(31)内部の中空の開放空間である。空洞(32)は、圧縮性物質によって部分的に占有されるように適合されている。好ましくは、圧縮性物質は、弁内部側(21)と弁外部側(22)との間の圧力平衡を可能にし、分配オリフィス(23)を反応可能に閉じる/維持することを可能にする。換言すれば、圧縮性物質は、反転容器(2)の「衝撃」前に、弁(20)を閉じたままにし、かつ反転容器(2)内部に液体を保持するのを可能にする十分な圧力で、圧縮されないままである。空洞(32)はまた、「衝撃」前に液体によって部分的に占有されている。
【0052】
好ましくは、圧縮性物質は、気体、発泡体、例えばスポンジ又はバルーンなどの軟質物質、他の粘弾性物質(例えば、ポリシロキサン)、又はピストンから選択され、好ましくは気体、より好ましくは空気である。
図7C及び
図7Dを参照すると、圧縮性物質は、ハウジング(31)の空洞(32)内で移動可能なピストン(34)を備えてもよく、ピストン(34)は、ハウジング(31)の遠位端に取り付けられた引張部材に連結され、空洞(32)を第1のセクション(36)及び第2のセクション(37)に封止的に分割する。
図7Dに示すように、液圧ハンマーが反転容器(2)にかかると、液体は、反転容器(2)から入口開口部(33a)を通ってハウジング(31)内へ流れる。液体はピストン(34)を空洞(32)の中に押し上げ、それに応じてピストン(34)と空洞の頂部との間で圧縮性物質を圧縮し、それにより、弁(20)上の下向き圧力を低下させる。液圧圧力曝露が過ぎた後、圧縮性物質は減圧し、ピストン(34)を下向きに戻し、液体がハウジング(31)から入口開口部(33a)を通って反転容器(2)内へ戻る。
【0053】
あるいは、圧縮性物質は、
図7Eに示されるように、ばね仕掛けのピストン(34)を備えてもよい。ここで、ばね(53)は、圧縮性物質として機能する。例えば、ピストン(34)の上方の容積は液体で満たされ、衝撃時に、一時的な液圧ハンマー力がピストン(34)に接続されたばね(53)を圧縮し、ピストン(34)の上方の容積内の液体を、小さな開口部(54)を介して反転容器(2)内に脱出させる(
図7Eに示すように)。正味の結果は、弁(20)上の下向きの圧力の結果として生じる正味の減少であり、衝撃中に弁を閉じたままにすることを可能にする。液圧圧力曝露が過ぎた後、ばね(53)は圧縮解除され、ピストン(34)を下向きに戻し、液体は、反転容器(2)から、小さい開口部(54)を通ってピストン(34)の上方の容積内に戻る。
【0054】
あるいは、圧縮性物質は、
図7Fに示されるように、可撓性ベロードーム(55)を備えてもよい。ここで、一時的な液圧ハンマー力が、ベロードーム(55)を拡張させて、耐衝撃システム(30)の空洞(32)を液体で充填させ、それにより、弁(20)上の下向き圧力を低下させる。液圧圧力曝露が過ぎた後、可撓性ベロードーム(55)は収縮し、可撓性ベロードーム(55)をその開始形状に戻し、液体がハウジング(31)から入口開口部(33a)を通って反転容器(2)内に戻る。可撓性ベロードーム(55)は、当業者に既知の任意の可撓性材料で作製され得ることが理解されるであろう。
【0055】
あるいは、圧縮性物質は、
図7Gに示されるように、気体充填バルーン(50)を備えてもよい。ここで、一時的な液圧ハンマー力が、バルーン(50)を圧縮して、耐衝撃システム(30)の空洞(32)が液体で充填されることを可能にし、それにより、弁(20)上の下向き圧力を低下させる。液圧圧力曝露が過ぎた後、バルーン(50)は再び拡張してその開始形状に戻り、液体がハウジング(31)から入口開口部(33a)を通って反転容器(2)内へと戻る。
【0056】
あるいは、圧縮性物質は、
図7Hに示されるように、可撓性膜(51)及び閉じた空洞(52)を備えてもよい。ここで、一時的な液圧ハンマー力は、可撓性膜(51)を押し上げ、閉じた空洞(52)内の空気を圧縮し、耐衝撃システム(30)の空洞(32)を液体で充填することを可能にし、それにより、弁(20)上の下向き圧力を低下させる。液圧圧力曝露が過ぎた後、可撓性膜(51)はその開始位置に戻り、液体がハウジング(31)から入口開口部(33a)を通って反転容器(2)内へと戻る。
【0057】
反転容器(2)が衝撃を受けたり、落下したり、倒れたりすると、反転容器(2)内の液体の移動により、一時的な液体圧力の上昇(すなわち、液圧圧力ハンマー)を引き起こす。この上昇した一時的液体圧力は、反転容器(2)の内側から、入口開口部(33a)を通ってハウジング(31)及び弁内部側(21)へと進行する。上昇した一時的液体圧力は、本明細書で上述したような弁(20)の内部抵抗力と弁外部側(22)上に作用する反対側の外部雰囲気圧力の合成力を超えるのに十分な大きさである。これは、弁(20)を偶発的に瞬間的に開かせ、そのような条件下で液体ディスペンサー(1)から液体を漏出させる。
【0058】
耐衝撃システム(30)の目的は、衝撃によって引き起こされる液体の動き(すなわち、上昇した一時的液体圧力)を弁内部側(21)から迂回させ、それを圧縮性物質に向けることである。
図7Bに示されるように、上昇した一時的な液体圧力は、空洞(32)内の圧縮性物質を圧縮して、圧力上昇を吸収し、弁内部側(21)と弁外部側(22)との間の圧力平衡化を可能にする。結果として、分配オリフィス(23)は、このような条件下で反応可能に閉じたままであることが可能になり、それによって、衝撃中に弁(20)が開く傾向を実質的に低減又は防止する。本発明者らは、分配オリフィス(23)の反応可能に閉じた状態を維持するために、反転容器の容積に対する、定常状態のハウジング(31)内部の気体、好ましくは空気、の容積の好ましい比率は、0.001よりも高く、好ましくは0.005~0.05、より好ましくは0.01~0.02であることを発見した。理論に束縛されることを望むものではないが、輸送又は使用中の予期される曝露条件下で漏れのリスクを実質的に低減又は防止するために最小圧縮閾値が望ましいと考えられる。この最小圧縮閾値は、反転容器(2)の内部に保管され得る液体の容積と直接相関する。
【0059】
例えば、より大きいサイズの反転容器(2)は、より大きな液体容積を保持することができる。これらのより大きなサイズの反転容器(2)が衝撃を受けると、より高い質量の液体が液圧ハンマーで移動し、そのため、増加した一時的な液体力(F=m*aーニュートンの第2の法則、「F」は力であり、「m」は移動液の質量であり、「a」は移動液の加速速度である)がより高くなり、したがって圧力がハウジング(31)内に生成される。圧縮性物質の単位容積あたりどれだけ一時的圧力を吸収できるかには限界があるので、その閾値を超えると、残りの一時的圧力が弁(20)上に移され、それに応じて漏れを引き起こす。このため、反転容器(2)内へのより大量の液体が、結局の液圧ハンマー曝露時に漏れを防止するのに十分な耐衝撃バッファを有するためには、より大量の圧縮性物質が必要である。
【0060】
いくつかの用途では、オプションのバッフル(40)を備えた液体ディスペンサー(1)を使用することが好ましい。好ましくは、バッフル(40)は、存在する場合、弁(20)の内部側(21)と耐衝撃システム(30)との間に位置付けられる。
図8に示されるように、バッフル(40)は、好ましくは、バッフル(40)が上流の液圧ハンマー圧力を受けるときに、排出導管(12)の少なくとも一部分への液体流を閉塞する閉鎖位置の間で閉塞部材(41)の移動に適応する、少なくとも1つの支持部材(42)によって支持される閉塞部材(41)を含む。理論に束縛されることを望むものではないが、バッフル(40)は、液圧ハンマーに対して追加の反力として作用すると考えられ、それにより潜在的な漏れのリスクを更に低減する。換言すれば、バッフル(40)は、液圧ハンマーの乱流運動エネルギーから弁(20)を保護するための波よけ堤として機能する。好適なカスタムメイドのバッフル(40)は、APTAR Groupから得ることができる。
【0061】
反転容器
本発明が、任意のタイプの容器で使用することができることは明らかであろう。好ましくは、液体ディスペンサー(1)は、
図1に示されるように、反転容器(2)のタイプで使用される。好ましくは、液体ディスペンサー(1)は、分配オリフィス(23)を閉じるのに好適な閉鎖キャップ又はシールを備えない。キャップを開ける追加の工程に煩わされることなく、消費者が反転容器(2)の内部から液体をより容易かつ迅速に投与し得るように、閉鎖キャップ又はシールを含まないことが有利である。加えて、閉鎖キャップが、誤って容器(2)から取り外される場合があり、あるいは消費者が、反転容器(2)上のキャップを再閉することを忘れる、又は適切に再閉し損ない、液体漏れを防ぐことができない場合がある。
【0062】
反転容器(2)は、好ましくは、圧搾可能な反転容器(2)であり、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの弾性的に変形可能な側壁又は側壁(3)を有する。好ましくは、反転容器(2)は、5N~30N@15mmの側壁偏向、好ましくは10N~25N@15mmの側壁偏向、より好ましくは18N、@15mmの側壁(3)偏向を有することを特徴とする。反転容器(2)は、消費者が握ることができ、弾性的に変形可能な側壁又は側壁(3)を圧搾又は圧縮して圧力を加え(「印加力」とも呼ばれる)、空間(32)内で圧縮性物質を圧縮し得る。結果として、内部圧力の上昇が、反転容器(2)と弁(20)との間の液体を、分配オリフィス(23)を通じて外部雰囲気に分配させる。圧搾力又は圧縮力が取り除かれると、弾性的に変形可能な側壁又は側壁(3)が解放されて、空気を外部雰囲気から空間(32)に通気して、空間(32)内の圧縮性物質を減圧し、弾性的に変形可能な側壁又は側壁(3)をその元の形状に戻す。加えて、通気はまた、ハウジング(31)の空洞(32)を外部雰囲気からの空気で再び満たす。通気された空気は、入口開口部(33a)を介して反転容器(2)に戻されて、分配された液体の容積を補填する。
【0063】
試験方法
本明細書に記載され、特許請求される発明がより完全に理解され得るためには、以下に記載するアッセイを用いなければならない。
【0064】
試験法1:耐漏液試験
耐漏液試験の目的は、「衝撃」中に反転容器からの液体の漏れを防止する液体ディスペンサーの能力を評価することである。衝撃は、液体ディスペンサー側を下にして、一定の高さから平坦な表面上に反転容器が落下したときに生じる。落下は、反転容器内の衝撃で生じる一時的な液体圧力の増加を模擬することを想定している。液体ディスペンサーの耐漏液能力は、落下時に液体の容積/重量が漏れ出ないまでの落下高さの測定によって評価される。より高い漏れのない落下高さは、液体ディスペンサーのより良好な耐漏液能力と相関する。方法の工程は、以下のとおりである。
1.
図10に示すような、落下試験装置を使用する。本装置は、およそ12cmの直径を有する2つの頂部及び底部開放端円筒管からなり、すなわち、外側管は、外側管の中へ垂直方向に移動可能な内側管をきつく取り囲み、外側管は、外側管上に適用された評価尺度によって外側管内の内側管の相対的高さの視覚的評価を可能にするカットアウトセクションを有する。取り外し可能なレバーを内側管の底部に適用し、内側管内で反転容器(2)をその開口部を下向きに位置付けてレバー上に載るようにする。レバーが手動で取り外されると、反転容器が落下し、曝露後の漏れた液体の量が計量される。そのため、漏れた液体を捕らえるために、紙片が開放端外側容器の底部の硬質表面上に位置付けられる。落下試験の前後に秤で紙の重量を測定して、漏れた液体の量を画定する。手動による取り外しの前にレバーが位置付けられた高さは、落下高さとして測定される。
2.回転速度12RPMのスピンドル31を備えたBrookfieldタイプDV-IIで測定した場合、密度が1.03g/mLで、ニュートン粘度が20℃で1000cpsの標準的な液体食器洗浄用洗剤で、定義された容積(例えば、400mL又は650mL)を有する反転容器(2)を、反転容器内の定義された充填レベルまで充填する。例えば、400mLの反転容器を400mLの液体食器洗い洗剤で充填し、650mLの反転容器を650mLの液体食器洗い洗剤で充填した。液体充填レベル、反転容器の容積、及び液体組成物は、異なる閉鎖システムをクロス比較する際に一定に保たれている。
3.
図4に示すように、弁(Aptar Group、Inc.から入手可能なSimplicity 21-200「Simplisqueeze(登録商標)」弁)を備える液体ディスペンサーを反転容器(2)と組み立てる。液体ディスペンサーは、平坦面上に静置するための円錐台形状の外部部分(例えば、底部直径65mm、頂部直径34mm、及び高さ30mm)を有し、任意選択的に、内部に展開されたバッフル(例えば、直径7mm、4mmの中央ボールから外側に出ている5つのリブ)、本発明による耐衝撃システム(30)、又はその両方を装備している。
4.落下試験機の落下の高さ(2cm~15cm)を設定する。
5.外側管の下端部の開口部に合わせて、約7cm×7cmの紙片を切り取る。
6.Mettler Toledo PR1203天秤を使用して紙片を秤量し、その重量を記録する。
7.紙片を外側管の下部端の開口部の下に置く。
8.組み立てられた液体ディスペンサー及び反転容器(2)を、液体ディスペンサー側を下にして、落下試験機の内側管内に置く。
9.迅速かつ滑らかな動きで、落下試験機内のレバーを引き戻す。
10.管並びに組み立てられた液体ディスペンサー及び反転容器を落下試験機から取り出す。
11.紙片をもう一度秤量し、重量を記録する。紙の重量差を計算し、デルタは液体ディスペンサーから漏れた液体の量に対応する。
12.各試験条件について合計5回繰り返すために、工程5~11を更に4回繰り返す。
13.液体が漏れない平均最大落下高さを計算する。
【実施例】
【0065】
以下の実施例は、本発明を更に例証するために与えられるものであり、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明の多くの変更が可能であることから、本発明を制限するものとして解釈すべきではない。
【0066】
実施例1:耐漏液データ
液体漏れを実質的に低減又は防止するための本発明による耐衝撃システム(実施例1及び実施例2)を含む液体ディスペンサーの能力が、先行開示のシリコン弁(比較例1)及び組み合わせたシリコン弁-バッフル(比較例2)システムに対して評価及びクロス比較されている。
【0067】
表1は、上記の耐漏液試験を実施することによる、異なる閉鎖実行の最大落下高さを要約する。本結果から、シリコン弁(20)及び10mLの気泡を含むハウジング(31)を備える(実施例1)本発明による耐衝撃システム(30)を備える液体ディスペンサー(1)は、シリコン弁単独(比較例1)又は以前に開示されたシリコン弁-バッフルの組み合わせ(比較例2)と比較して、液圧ハンマー衝撃作用に対して高い堅牢性を有することを見ることができる。本発明による耐衝撃システム(30)とバッフルシステム(40)との組み合わせ(実施例2)は、衝撃のような液圧ハンマー時の漏れを防止するために必要とされる圧縮性物質(例えば、空気)の容積を更に低減することを可能にする。
【0068】
【0069】
本明細書における全ての割合及び比率は、特に指示しない限り、重量で計算される。全ての百分率及び比率は、別途記載のない限り、全組成に基づいて計算される。
【0070】
本明細書の全体をとおして与えられる全ての最大数値限定は、それよりも小さい全ての数値限定を、かかるより小さい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含むものと理解すべきである。本明細書の全体をとおして与えられる全ての最小数値限定は、それよりも高い全ての数値限定を、かかるより高い数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書の全体をとおして与えられる全ての数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に含まれる全てのより狭い数値範囲を、そのようなより狭い数値範囲の全てがあたかも本明細書に明示的に記載されているかごとく、包含するものである。
【0071】
本明細書において開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。代わりに、特に指示がない限り、このような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。