IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レプリゲン・コーポレイションの特許一覧

特許7083902中空糸フィルタのためのプランジャーポンプ圧送装置
<>
  • 特許-中空糸フィルタのためのプランジャーポンプ圧送装置 図1
  • 特許-中空糸フィルタのためのプランジャーポンプ圧送装置 図2
  • 特許-中空糸フィルタのためのプランジャーポンプ圧送装置 図3
  • 特許-中空糸フィルタのためのプランジャーポンプ圧送装置 図4
  • 特許-中空糸フィルタのためのプランジャーポンプ圧送装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】中空糸フィルタのためのプランジャーポンプ圧送装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 35/26 20060101AFI20220606BHJP
   B01D 63/02 20060101ALI20220606BHJP
【FI】
B01D35/26
B01D63/02
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2020536099
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-11
(86)【国際出願番号】 US2018067118
(87)【国際公開番号】W WO2019133489
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-06-26
(31)【優先権主張番号】15/856,210
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/882,385
(32)【優先日】2018-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504232044
【氏名又は名称】レプリゲン・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】REPLIGEN CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100071010
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 行造
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】パヴリク、ルドルフ
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-256101(JP,A)
【文献】特表2013-540577(JP,A)
【文献】特開昭52-155853(JP,A)
【文献】国際公開第2017/082990(WO,A1)
【文献】米国特許第1696367(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0163943(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D27/00-37/04
B01D61/00-71/82
C02F1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体濾過アセンブリであって、
流体貯蔵容器と流体接続するように構成された第1端部を有するフィルタハウジングと、
前記フィルタハウジング内の使い捨て可能なフィルタカートリッジと、
可動プランジャーを含むアクチュエーターと、
前記フィルタハウジングの第2端部で連結されたプランジャーポンプであって、剛性部分と可撓性部分とを有するハウジングを含み、前記可撓性部分が、前記アクチュエーターの前記可動プランジャーに連結するためのプランジャー係合部分を有し、前記可撓性部分が、前記アクチュエーターによる前記可動プランジャーの移動に応じて前記剛性部分に対して移動するように選択的に変形可能であり、前記可撓性部分の変形は、前記プランジャーポンプと前記フィルタハウジングとの間に流体を移動させる真空および圧力を発生させる、プランジャーポンプと、を備える、流体濾過アセンブリ。
【請求項2】
前記ハウジングの前記可撓性部分が、前記アクチュエーターによる前記可動プランジャーの移動に応じて第1位置と第2位置との間で移動可能であり、前記可撓性部分を前記第1位置から前記第2位置まで移動することが、前記プランジャーポンプの前記ハウジング内の流体を前記フィルタハウジングの中へと送り出させる、請求項1に記載の流体濾過アセンブリ。
【請求項3】
前記プランジャーポンプの前記可撓性部分を前記第2位置から前記第1位置まで移動することが、前記フィルタハウジング内の流体を前記プランジャーポンプの前記ハウジングの中へと吸引させる、請求項2に記載の流体濾過アセンブリ。
【請求項4】
前記プランジャー係合部分が、前記アクチュエーターのロッド部分を受けるための凹部を備える、請求項1に記載の流体濾過アセンブリ。
【請求項5】
前記プランジャー係合部分が、前記フィルタハウジングの中心と整列される、請求項4に記載の流体濾過アセンブリ。
【請求項6】
前記可撓性部分が、釣鐘状、アコーディオン状、又は蛇腹形状である、請求項1に記載の流体濾過アセンブリ。
【請求項7】
前記剛性部分と前記可撓性部分が各々、径方向に延びるフランジをそれぞれ有し、前記径方向に延びるフランジの対向する面の表面は、互いに接触して、クランプ部分によって共に締結される、請求項1に記載の流体濾過アセンブリ。
【請求項8】
前記可撓性部分が、前記可撓性部分のオーバーモールディングによって、又は機械的接続により、前記剛性部分に接続される、請求項1に記載の流体濾過アセンブリ。
【請求項9】
前記アクチュエーターが、前記プランジャーポンプに連結可能なリニア駆動機構を備える、請求項1に記載の流体濾過アセンブリ。
【請求項10】
前記プランジャーポンプの前記ハウジングの前記剛性部分が、前記フィルタハウジングと一体的に形成される、請求項1に記載の流体濾過アセンブリ。
【請求項11】
前記プランジャーポンプの前記ハウジングの前記剛性部分が、前記フィルタハウジングに締結される、請求項1に記載の流体濾過アセンブリ。
【請求項12】
前記フィルタカートリッジが、中空糸フィルタ又は膜フィルタであって、前記プランジャーポンプが、前記フィルタハウジングと前記プランジャーポンプとの間で流体の交互接線流を生成するように構成される、請求項1に記載の流体濾過アセンブリ。
【請求項13】
流体濾過システムであって、
プロセス容器と、
前記プロセス容器と流体連通する第1端部を有するフィルタハウジングと、
前記フィルタハウジング内の使い捨て可能なフィルタカートリッジと、
可動プランジャーを含むアクチュエーターと、
前記フィルタハウジングの第2端部で連結されたプランジャーポンプであって、剛性部分と可撓性部分とを有するハウジングを含み、前記可撓性部分が前記アクチュエーターの前記可動プランジャーに連結するためのプランジャー係合部分を有し、前記可撓性部分が前記アクチュエーターによる前記可動プランジャーの移動に応じて前記剛性部分に対して移動するように選択的に変形可能であり、前記可撓性部分の変形は、前記プランジャーポンプと前記プロセス容器との間に流体を移動させる真空および圧力を発生させる、プランジャーポンプと、
を備え
前記可撓性部分が、釣鐘状、アコーディオン状、又は蛇腹形状であり、
前記剛性部分と前記可撓性部分が各々、径方向に延びるフランジをそれぞれ有し、前記径方向に延びるフランジの対向する面の表面は、互いに接触して、クランプ部分によって共に締結される、流体濾過システム。
【請求項14】
前記プランジャーポンプの前記ハウジングの前記可撓性部分が、前記アクチュエーターによる前記可動プランジャーの移動に応じて第1位置と第2位置との間で移動可能であり、前記可撓性部分を前記第1位置から前記第2位置まで移動することが、前記プランジャーポンプの前記ハウジング内の流体を、前記フィルタハウジング及び前記プロセス容器の中へと送り出させる、請求項13に記載の流体濾過システム。
【請求項15】
前記可撓性部分を前記第2位置から前記第1位置まで移動することが、前記プロセス容器内の流体を、前記フィルタハウジングの中へと吸引させる、請求項14に記載の流体濾過システム。
【請求項16】
前記プランジャー係合部分が、前記アクチュエーターのロッド部分を受けるための凹部を備え、前記プランジャー係合部分が、前記フィルタハウジングの中心と整列される、請求項13に記載の流体濾過システム。
【請求項17】
前記可動プランジャーの位置を決定するための前記アクチュエーターの前記可動プランジャーに連結されたリニアエンコーダーをさらに含む、請求項13に記載の流体濾過システム。
【請求項18】
前記アクチュエーターに連結された制御装置をさらに備え、前記制御装置が、前記アクチュエーターの前記プランジャーの動きを制御するために、前記ハウジングの前記可撓性部分を制御可能に動かす、請求項1に記載の流体濾過システム。
【請求項19】
前記制御装置が、前記可動プランジャーの行程距離と行程速度を制御するための命令を実行するプロセッサを備える、請求項1に記載の流体濾過システム。
【請求項20】
前記制御装置が、前記プロセッサに関連付けられたメモリを含み、前記メモリが、特定のフィルタとポンプサイズに関連付けられた所定の行程距離及び行程速度の値を含む、請求項19に記載の流体濾過システム。
【請求項21】
前記フィルタカートリッジが、中空糸フィルタ又は膜フィルタであり、かつ前記プランジャーポンプが、前記フィルタハウジングと前記プランジャーポンプとの間で前記流体の交互接線流を生成するように構成される、請求項13に記載の流体濾過システム。
【請求項22】
流体濾過システムであって、
第1プロセス容器及び第2プロセス容器と、
前記第1プロセス容器と流体連通する第1端部を有する第1フィルタハウジングと、
前記第2プロセス容器と流体連通する第1端部を有する第2フィルタハウジングと、
前記第1フィルタハウジングの第2端部に連結された第1プランジャーポンプと、
前記第2フィルタハウジングの第2端部に連結された第2プランジャーポンプと、
第1可動プランジャーを有する第1アクチュエーターと、
第2可動プランジャーを有する第2アクチュエーターと、
前記第1プランジャーポンプ及び第2プランジャーポンプを同時に作動するために前記第1アクチュエーター及び前記第2のアクチュエーターと連通し、前記第1プランジャーポンプと前記第1プロセス容器との間で、そして前記第2プランジャーポンプと前記第2プロセス容器との間で、流体を循環させる制御装置と、
を備え、前記第1プランジャーポンプは、剛性部分と可撓性部分とを有するハウジングを含み、前記可撓性部分が前記第1アクチュエーターの前記第1可動プランジャーに連結するためのプランジャー係合部分を有し、前記可撓性部分が前記第1アクチュエーターによる前記第1可動プランジャーの移動に応じて前記剛性部分に対して移動するように選択的に変形可能であり、前記可撓性部分の変形は、前記第1プランジャーポンプと前記第1プロセス容器との間に流体を移動させる真空および圧力を発生させ
前記第2プランジャーポンプは、剛性部分および可撓性部分を有するハウジングを含み、前記剛性部分が前記第2アクチュエーターの前記第2可動プランジャーに連結するためのプランジャー係合部分を有し、前記可撓性部分が前記第2アクチュエーターによる前記第2可動プランジャーの移動に応じて前記剛性部分に対して移動するように選択的に変形可能であり、前記前記可撓性部分の変形は、前記第2プランジャーポンプと前記第2プロセス容器との間に流体を移動させる真空および圧力を発生させる、流体濾過システム。
【請求項23】
前記制御装置が、前記第1プランジャーポンプ及び第2プランジャーポンプの行程距離及び行程速度を制御するための命令を実行するプロセッサを備える、請求項2に記載の流体濾過システム。
【請求項24】
前記制御装置が、前記プロセッサに関連付けられたメモリを含み、前記メモリが、特定のフィルタ及びポンプサイズに関連付けられた所定の行程距離及び行程速度の値を含む、請求項2に記載の流体濾過システム。
【請求項25】
前記第1プランジャーポンプ及び第2プランジャーポンプが、それぞれ、前記第1フィルタハウジング及び第2フィルタハウジングと前記第1プランジャーポンプ及び第2プランジャーポンプとの間で前記流体の交互接線流を生成するように構成されている、請求項2に記載の流体濾過システム。
【請求項26】
前記可撓性部分は、前記剛性部分上にオーバーモールディングされるエラストマーで形成される、請求項1に記載の流体濾過アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年12月28日出願の米国非仮出願第15/856,210(発明の名称:「Plunger Pumping Arrangement For A Hollow Fiber Filter」)に対する優先権とその利益すべてを主張する継続出願であって、この出願のすべての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示の背景
本開示の実施形態は、一般的に、濾過システムに関し、より詳しくは、ハウジングと直接駆動プランジャーポンプとを含む交互接線流濾過ユニットに関する。
【背景技術】
【0003】
濾過は、典型的には、流体溶液、混合液、又は懸濁液を分離し、清澄化し、改変し、かつ/又は濃縮するために行われる。バイオテクノロジー、製薬、及び医療産業において、濾過は、薬剤、診断薬、及び化学物質、ならびに他の多くの製品を順調に製造、加工、及び分析する上で極めて重要である。例として、濾過は、流体を滅菌するため、及び錯体懸濁液を「透明な」濾過部分と未濾過部分へと清澄化するために使用され得る。同様に、懸濁液中の構成成分は、懸濁媒を除去又は「濾別する」ことで濃縮され得る。さらに、フィルタ材料、フィルタ細孔径及び/又は他のフィルタ変数を適切に選択することで、他の多くの特殊化された用途が開発されている。これらの用途は、微生物の培養物、血液、ならびに溶液、混合液、又は懸濁液であり得る他の流体を含む、様々なソースからの構成成分の選択的分離に関与する場合がある。
【0004】
生物製剤の製造プロセスは、多大なプロセス強化により進歩してきた。組換えタンパク質、ウィルス様粒子(VLP)、遺伝子治療粒子、及びワクチンを産生するための真核細胞及び微生物細胞の両方の培養には、現在1ml当たり100e6個以上の細胞数を達成可能な細胞増殖技法が含まれる。これは、代謝廃棄物を除去し、かつ栄養分を追加して培養物を回復させる細胞保持装置を使用して達成される。細胞を保持する最も一般的な手段の1つは、交互接線流(ATF)を使用する中空糸濾過により、バイオリアクタ培養物を灌流させることである。商業的及び開発規模のプロセスは、ダイアフラムポンプを制御して、中空糸フィルタを介するATFを実行する装置を使用する。
【0005】
ダイアフラムポンプは、可撓性内部ダイアフラムにより第1内部チャンバと第2内部チャンバとに分離されたポンプハウジングを含む。ポンプは、ガス注入口を介してポンプの第1チャンバの中へと圧縮空気を供給し、第1チャンバをガスで充填し、そして強制的にダイアフラムを第1チャンバで拡張し、かつ第2チャンバ内の流体を移動することによって作動し、これにより流体はフィルタを通過し、そして、例えば、取付けられたバイオリアクタ容器の中へと入る。ガス注入口を介してガスが、真空源などによって吸引されて戻される場合、ダイアフラムは、ガス注入口に向かって吸引され、これは第1チャンバの容積を減少させ、容器からフィルタを通して、拡張する第2チャンバの中へと流れを吸引する。この作用を繰り返し、容器から、フィルタを通して、そして第2チャンバに流体を前後に吸引することができ、これによってフィルタを通して接線方向に交互流を生じさせることができる。
【0006】
フィルタを通る流れを制御するためにダイアフラムポンプを使用することの1つの問題は、ポンプ作動するために、圧縮ガスの供給源及び真空の供給設備を、関連するホースや発生器を含めて要することがある。さらに、動作用ガス(例えば、空気)が圧縮可能であるため、第1チャンバ内の圧力が十分高まって、ダイアフラムを上向きに押して、流体を第2チャンバの外に、そしてフィルタを通して動かすまでに、望ましくない動作遅延が生じる可能性がある。この動作遅延は、全体的なプロセス効率に悪影響を及ぼす場合がある。したがって、ダイアフラムポンプシステムの欠点を取り除いた単純化されたポンプ装置を提供することが望ましいことになる。
【発明の概要】
【0007】
流体貯蔵容器と流体接続するための第1端部を有するフィルタハウジングと、フィルタハウジング内の使い捨て可能なフィルタカートリッジと、フィルタハウジングの第2端部で連結されたプランジャーポンプと、を含む、流体濾過アセンブリが開示される。プランジャーポンプは、剛性部分と可撓性部分とを有するハウジングを含む。可撓性部分は、アクチュエーターのプランジャーに連結するためのプランジャー係合部分を有し、かつアクチュエーターを介して剛性部分に対して選択的に移動可能である。ハウジングの可撓性部分は、アクチュエーターを介して第1位置と第2位置との間で移動可能であり、ここで可撓性部分を第1位置から第2位置まで移動することは、ハウジング内の流体を、フィルタハウジングの中へと送り出させる。可撓性部分を第2位置から第1位置まで移動することは、フィルタハウジング内の流体を、ハウジングの中へと吸引させる。
【0008】
いくつかの実施形態において、プランジャー係合部分は、アクチュエーター部分のロッド部分を受けるための凹部を有する。プランジャー係合部分は、フィルタハウジングの中心に整列される。可撓性部分は、釣鐘状、アコーディオン状、又は蛇腹形状とすることができる。剛性部分と可撓性部分は各々、径方向に延びるフランジをそれぞれ有することができ、径方向に延びるフランジの対向する面の表面は、互いに接触して、クランプ部分を介して共に締結される。可撓性部分は、いくつかの実施形態において、可撓性部分のオーバーモールドディングを介して、又は機械的接続によって、剛性部分に接続することができる。アクチュエーターは、プランジャーポンプに連結可能なリニア駆動機構を備える。ハウジングの剛性部分は、フィルタハウジングと一体的に形成することができ、又はフィルタハウジングに締結することができる。フィルタカートリッジは、中空糸フィルタ又は膜フィルタとすることができる。プランジャーポンプは、フィルタハウジングとプランジャーポンプとの間で流体の交互接線流を生成するように構成することができる。
【0009】
プロセス容器と、プロセス容器と流体連通する第1端部を有するフィルタハウジングと、フィルタハウジング内の使い捨て可能なフィルタカートリッジと、フィルタハウジングの第2端部で連結されたプランジャーポンプと、を含む、流体濾過システムが開示される。プランジャーポンプは、剛性部分及び可撓性部分を有するハウジングを含む。可撓性部分は、アクチュエーターのプランジャーに連結するためのプランジャー係合部分を有する。可撓性部分は、アクチュエーターを介して剛性部分に対して選択的に移動可能である。ハウジングの可撓性部分は、アクチュエーターを介して第1位置と第2位置との間で移動可能であり、ここで可撓性部分が第1位置から第2位置まで移動することは、ハウジング内の流体を、フィルタハウジング及びプロセス容器の中へと送り出させる。可撓性部分を第2位置から第1位置まで移動することは、プロセス容器内の流体を、フィルタハウジングの中へと吸引させる。
【0010】
いくつかの実施形態において、プランジャー係合部分は、アクチュエーター部分のロッド部分を受けるための凹部を含み、プランジャー係合部分は、フィルタハウジングの中心に整列される。可撓性部分は、釣鐘状、アコーディオン状、又は蛇腹形状とすることができる。リニアエンコーダー又は他の移動測定装置が、プランジャーの位置を決定するためのアクチュエーターのプランジャーに連結されてもよい。制御装置は、アクチュエーターに連結されてもよく、またハウジングの可撓性部分を制御可能に動かすためにアクチュエーターのプランジャーの動きを制御してもよい。制御装置は、プランジャーの行程距離及び行程速度を制御するための命令を実行するプロセッサを備える。制御装置は、プロセッサに関連付けられたメモリをさらに含むことができ、メモリは、特定のフィルタ及びポンプサイズに関連付けられた所定の行程距離及び行程速度の値を含む。フィルタカートリッジは、中空糸フィルタ又は膜フィルタとすることができる。プランジャーポンプは、フィルタハウジングとプランジャーポンプとの間で流体の交互接線流を生成するように構成することができる。
【0011】
流体濾過システムは、第1プロセス容器及び第2プロセス容器と、第1プロセス容器と流体連通している第1端部を有する第1フィルタハウジングと、第2プロセス容器と流体連通している第1端部を有する第2フィルタハウジングと、第1フィルタハウジングの第2端部に連結された第1プランジャーポンプ及び第2フィルタハウジングの第2端部に連結された第2プランジャーポンプであって、第1プランジャーポンプ及び第2プランジャーポンプの各々が、剛性部分及び可撓性部分を有するハウジングを含み、可撓性部分が、アクチュエーターのプランジャーに連結するためのプランジャー係合部分を有し、可撓性部分が、アクチュエーターを介して剛性部分に対して選択的に移動可能である、プランジャーポンプと、第1プランジャーポンプ及び第2プランジャーポンプを同時に作動するためにアクチュエーターと連通して、第1プランジャーポンプ及び第2プランジャーポンプと第1プロセス容器及び第2プロセス容器との間で流体を循環させる制御装置と、を備える。
【0012】
制御装置は、第1プランジャーポンプ及び第2プランジャーポンプの行程距離及び行程速度を制御するための命令を実行するプロセッサを含むことができる。制御装置は、プロセッサに関連付けられたメモリをさらに含んでもよく、メモリは、特定のフィルタとポンプサイズに関連付けられた所定の行程距離及び行程速度の値を含む。第1プランジャーポンプ及び第2プランジャーポンプは、それぞれ、第1フィルタハウジング及び第2フィルタハウジングと第1プランジャーポンプ及び第2プランジャーポンプとの間で流体の交互接線流を生成するように構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
添付図面は、その原理の実用性を図るために、これまで考案された開示された方法の好ましい実施形態を図示する。
【0014】
図1】本開示に係る交互接線流濾過システムの概略図である。
【0015】
図2図1のシステムで使用するためのポンプ及びフィルタセンブリの側面図である。
【0016】
図3図2の線3-3に沿った図2のポンプ及びフィルタセンブリの断面図である。
【0017】
図4図3に示すポンプ及びフィルタセンブリの部分詳細図である。
【0018】
図5図1のシステムで使用するためのポンプ及びフィルタセンブリの代替の実施形態の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
流体濾過システムは、流体貯蔵容器と、流体を容器からフィルタを通して方向付けるための接続配管と、フィルタを通して交互の方向で流体を移動するプランジャーポンプとを含んで開示される。このシステムを、いくつかの実施形態では中空糸フィルタであるフィルタを通した、高速で低剪断の、流体の交互接線流(ATF)を実施するために使用することができる。このようなシステムは、培養動物細胞を灌流する用途ならびに他の様々な濾過用途を有する。
【0020】
いくつかの実施形態において、単回使用のフィルタハウジングは、フィルタ及びプランジャーポンプを、容器内に貯蔵された流体を濾過するための一体型アセンブリとして含む。アセンブリ全体は、無菌接続部を有する滅菌可能材料で作成され、単回使用とすることができる。単回使用のアセンブリは、ガンマ線照射滅菌、エチレンオキシド滅菌、及びこれに類するものを含む、任意の様々な適切な技術を使用して滅菌することができる。プランジャー動作システムは、制御装置と、サーボモータ、カム、空気圧式又は電動アクチュエーターなどの2方向移動装置と、を含むことができる。当然のことながら、サーボモータ、カム、空気圧式又は電動アクチュエーターなどのプランジャー動作システムは、接続/分離継手を介してプランジャーポンプに接続され、使用時に適用される。それ故に、プランジャー動作システムは、滅菌されない。
【0021】
プランジャーポンプは、フィルタハウジング半球体に封止される液側と、プランジャーの中心で対称に位置する機械式接続継手を有する外側とを有する。プランジャー材料は、ゴム状材料、医療グレードの熱可塑性材料、シリコーン又は他の適切なエラストマー材料とすることができる。「引張」サイクルでのプランジャーの移動は、吸引を生じ(すなわち、液体をポンプに向かって又はポンプの中へと引き込む)、また「押出」サイクルでは、液体を抜き出す又は押し出す(すなわち、液体をポンプから離れるように又はポンプの外に押す)。プランジャーポンプの引張モード及び押出モードでの行程距離は、フィルタアセンブリの特定のサイズに適合するように、適切に事前決定及び/又は調整することができる。いくつかの実施形態において、行程距離は、リニアエンコーダーなどの装置によって自動制御することができる。
【0022】
作動システム及びプランジャーは、すべての利用可能なサイズのフィルタアセンブリに対して共通なものとすることができる。いくつかの実施形態において、ポンプサイズを確認すると、特定のフィルタアセンブリのサイズに適切となるように、行程距離を自動的にリセットすることができる。移動距離は各ポンプサイズに対して異なるため、作動用の移動は、最長行程を要する最大ポンプサイズ用に設定される。任意の他のポンプサイズは、これより短い行程を有することになり、それ故に、移動は特定のポンプ行程要件に基づいて調整されることになる。より小型のフィルタアセンブリに対するポンプ行程は、端の「押出」位置から始まり、「吸引」の移動距離は、特定のフィルタサイズによって要求される適切な容積に対応する。
【0023】
移動速度は、ユーザが制御モジュールに直接入力する別の設定の部分とすることができ、又は選択可能なレシピにより指令されることがある。プランジャーの「押出」及び「引張」の1回の動きは、ポンプサイクルを表す。1分当たりのサイクル数は、プランジャーポンプ流れを表し、典型的に1分当たりのリットル数で測定される。より多い又はより少ない1分当たりのサイクル数は、より高い又はより低いポンプ流量を提供することになる。所望のポンプ流量は、手動入力することができ、又はプロセスレシピの一部とすることができる。
【0024】
ここで図1を参照すると、流体濾過システムは、流体コネクタを介してポンプ及びフィルタアセンブリ4に接続されるプロセス容器2を含む。容器2は、濾過される流体を収容するための任意の好適な容器でもよい。容器2は、例えば、バイオリアクタ、発酵槽又は任意の他の容器でもよく、液体を入れることができるバット、樽、タンク、ボトル、フラスコ、容器、及びこれに類するものを含むが、これらに限定されない。プロセス容器2は、プラスチック、ステンレス鋼などの金属、ガラス、又はこれに類するものなどの任意の好適な材料から作成されてもよい。流体コネクタは、プロセス容器2をポンプ及びフィルタアセンブリ4に流体的に連結するように機能する。
【0025】
流体コネクタは、プロセス容器2に連結された容器ポート6と、その後ポンプ及びフィルタアセンブリ4の入口端に接続される配管8の適切な区間とを成す場合がある。容器ポート6は、圧縮継手、標準インゴールド継手、又は衛生タイプの継手などの、当該分野で公知の任意の適切な衛生的で漏れのない継手とすることができる。配管8は、管、ホース、中空ジョイントアセンブリ、及びこれに類するものを代替として含むことができる。さらに、配管8は、容器2とポンプ及びフィルタアセンブリ4との間の流れを選択的に分離又は許容するための適切なバルブ10及び12を含むことができる。
【0026】
図示した実施形態において、容器ポート6は、プロセス容器2の上部プレート90を通して与えられる。浸漬管91は、プロセス容器2内の液体を配管8に接続するために使用される。当然のことながら、配管8は、剛性である必要はなく、また可撓性接続部95は、容器2とフィルタアセンブリ4との間の接続及び分離を容易にする場合がある。いくつかの実施形態において、濾過して採取された液体は、フィルタアセンブリ4からライン50を通して収集することができる。採取された液体は、追加ポンプ47を動作して、液体をライン51を通して容器の中へと送る液面制御機構によって回収されてもよい。
【0027】
ポンプ及びフィルタアセンブリ4は、フィルタ素子カートリッジ18を保持するフィルタハウジング16を含む。ハウジング16は、濾過された流体をハウジングから除去するために好適な流体採取ポート44を含むことができる。採取ライン50は、流体採取ポート44に連結することができ、かつシステムからの濾過された流体の除去を制御するためのバルブ62及び濾過水ポンプ46を含むことができる。ハウジング16内の圧力は、監視ポート45を介してハウジングに連結された圧力弁又は変換器52によって監視されてもよい。
【0028】
ポンプ及びフィルタアセンブリ4は、フィルタハウジング16及びそれに連結されたプランジャーポンプ24を含むことができる。フィルタハウジングは、入口端20と出口端22を有することができる。入口端20は、例えば、バルブ10及びアダプター13を介して、配管ライン8に取り付けることができる。出口端22は、以下により詳細に記載するように、プランジャーポンプ24に接続することができる。
【0029】
フィルタハウジング16は、プラスチック、ステンレス鋼などの金属、ガラス、及びこれに類するもので作成することができる。好適な取外し可能なフィルタ素子カートリッジ18(再使用可能なフィルタハウジング用の)又は完全な、恒久的なハウジング(単回使用システム用の)は、中空糸フィルタ、スクリーンフィルタ、及びこれに類するものを含む。1つの非限定的な例示的実施形態において、フィルタ素子カートリッジ18は、中空糸フィルタである。本開示によれば、ポンプ及びフィルタアセンブリ4は、一体型アセンブリとして一緒に提供されるフィルタハウジング16、フィルタカートリッジ18、及びプランジャーポンプ24を用いて、単回使用(すなわち、使い捨て可能)用に構成することができる。
【0030】
ポンプ及びフィルタアセンブリ4を、単回使用(使い捨て可能)アセンブリとして提供することには、様々な利点が存在する。例えば、アセンブリは、最小限の取り扱いで設置することができ、また構成要素は滅菌済みで、かつ最小限の準備と組立で使用するように用意ができている形式で提供されるため、ユーザが洗浄や消毒をする必要はない。これにより、長時間のオートクレーブサイクルの削除に加え、ユーザの労力及び取り扱いが減るため、経費削減がもたらされる。さらに、使用終了時に、アセンブリは、洗浄せずに容易に処分することができる。使い捨て可能なアセンブリは、汚染リスクと作業員による組立作業を減らし、また作業/滅菌に対する長期の検証手続きが不要である。アセンブリの構成要素は、ステンレス鋼又はガラス製のユニットと比べ、より軽量に、かつ運搬をより容易にすることもでき、またより安価であり、かつ必要な貯蔵スペースがより少なく済む。
【0031】
図2は、フィルタ(図示せず)を包囲するフィルタハウジング16とプランジャーポンプ24とを含む例示的なポンプ及びフィルタアセンブリ4を図示する。1つの非限定的な例示的実施形態において、ポンプ及びフィルタアセンブリ4は、プロセス容器2内に貯蔵された流体を濾過するための単回使用の一体型アセンブリである。ポンプ及びフィルタアセンブリ4は、入口端20と、出口端22と、流体採取ポート44と、上記に記載したような圧力弁又は変換器を連結するための監視ポート45とを含むことができる。試料ポート49を、サンプラーバルブ(図示せず)をフィルタハウジング16に連結するために提供することができる。
【0032】
サンプラーバルブは、プランジャーポンプ24内の流体の品質をサンプリングすること、液体又はガスをポンプの中へと注入又はポンプの外に送り出すこと、及び滅菌蒸気をシステムの中へと注入し、かつ/又は生じた蒸気凝縮液をシステムから取り除くことを含む、様々な目的のために使用されてもよい。例えば、サンプラーバルブは、空気をシステムの中へと注入して、プロセス容器からフィルタシステムを取り外す前に、液体をシステムからプロセス容器の中へと送り出すために好適である場合があり、反対に、サンプラーバルブは、交互接線流が開始する前に、システムから空気抜きを行うために使用されてもよい。
【0033】
プランジャーポンプ24は、ハウジング部分100とアクチュエーター部分102とを含むことができる。図3及び図4により詳細に示す通り、ハウジング部分100は、共に連結された剛性部分104と可撓性部分106とを含む場合がある。可撓性部分106はまた、アクチュエーター部分102にも連結される場合があるため、可撓性部分106は、アクチュエーター部分の動作に応答して、剛性部分104に対して移動可能である。アクチュエーター部分102は、シリンダハウジング103と、シリンダハウジング内で選択的に移動可能である従動ロッド部分138とを含んでもよい。以下により詳細に示す通り、サーボモータ、カム、空気圧式又は電動アクチュエーターを、矢印「A」及び「B」の方向にロッド部分138を選択的に移動して、所望の方式でプランジャーポンプ24にフィルタハウジング16を通して流体を移動させるために使用することができる。
【0034】
図3及び図4に示す通り、ハウジング部分100の剛性部分104の上端部108は、流体がそれらの間を自由に流れることができる方式で、フィルタハウジング16の下端部110に連結される。図示した実施形態において、剛性部分の上端部108は、フィルタハウジング16の下端部110の雌ネジ114と嵌合するようなサイズにされかつ構成された雄ネジ112を含む。Oリング116は、剛性部分104の上端面118とフィルタハウジング16の下端面120との間に配置されて、2つの間に流体密封係合を提供する。当然のことながら、螺合接続が開示されているものの、本開示の趣旨から逸脱することなく、他の連結及び封止装置を使用することができる。さらに、ハウジング部分100の剛性部分104を、フィルタハウジング16の一体部品として形成することができることが企図される。
【0035】
図4に最良に示す通り、剛性部分と可撓性部分とのそれぞれの内面で画定される内部容積132を有する球形状をハウジング部分に与えるために、ハウジング部分100の剛性部分104及び可撓性部分106は各々、共に連結することができる釣鐘状の部材とすることができる。剛性部分104及び可撓性部分106は、径方向に延びるフランジ122、124をそれぞれ有する。フランジ122及び124、対応するプランジャーの可撓性部分106の「O」リング様特徴部、ならびに可撓性部分の硬度の組み合わせは、締め具(「ナット」と見なされる)130によって固定された一体型接続を保証する。いくつかの実施形態において、可撓性部分106は、剛性部分104上にオーバーモールディングされるエラストマーで形成することができる、それ故に締め具部分の必要はなくなる。
【0036】
可撓性部分106は、釣鐘状、アコーディオン状、又は蛇腹形状を有する場合がある。理解されるように、可撓性部分106の拡張又は収縮は、プランジャーポンプ24とプロセス容器2との間の流体の移動を開始するために必要とされる真空及び圧力を発生させることができる。プランジャー内面(液体接触域)間の摩擦は、プランジャー形状の設計により軽減することができる。例えば、可撓性部分106が行程の各端位置(すなわち、下記で説明される下端位置「BEP」と上端位置「TEP」)に移動する場合、プランジャーの内面同士は接触しない。
【0037】
可撓性部分106は、その底面内又は底面上に配置されるプランジャー係合部分134を含んでもよい。プランジャー係合部分134は、アクチュエーター部分102のロッド部分138を受けるための凹部136を含んでもよい。図示した実施形態において、プランジャー係合部分134は、フィルタハウジング16の中心と整列されている。このような配置により、アクチュエーター部分102の矢印「A」方向での移動は、剛性部分104に対して可撓性部分106の均等な変形を生じさせる。
【0038】
アクチュエーター部分102がロッド部分138を矢印「A」の方向に(すなわち、剛性部分104に向かって)駆動すると、可撓性部分106は変形し、そして剛性部分に向かって移動する。1つの実施形態において、ロッド部分138は、可撓性部分106を下端位置「BEP」から上端位置「TEP」まで移動するように駆動される。理解されるように、可撓性部分106がBEPにあるとき、ハウジング部分100の内部容積132は第1値であり、可撓性部分がTEPにあるとき、ハウジング部分100の内部容積は第2値であり、第2値は第1値未満である。それ故に、ロッド部分138が可撓性部分106をBEPからTEPまで(すなわち、矢印「A」の方向に)移動すると、可撓性部分は、ハウジング部分100内に収容される液体をフィルタハウジング16の中へと強制的に押し上げ、そして容器2の中へと戻す。反対に、ロッド部分138が可撓性部分106をTEPからBEPまで(すなわち、矢印「B」の方向に)移動する場合、液体は、容器2からフィルタハウジング16内のフィルタカートリッジ18を介して、ハウジング部分100の中へと吸引される。
【0039】
いくつかの実施形態において、アクチュエーター部分102、ひいてはプランジャーポンプ24の操作は、制御装置140を介して自動化することができる。制御装置は、適切なプロセッサ及び関連するメモリ(図示せず)を含んでもよい。プロセッサは、所望の一連のサイクルパラメータ(例:行程距離、行程速度)にしたがって、プランジャーポンプ24を作動するための命令を実行してもよい。アクチュエーター部分102は、ロッド部分138の位置を監視し、かつプロセッサ及び/又は制御装置140の他の要素に関連する位置情報を提供することができるリニアエンコーダー(図示せず)を含む。ロッド部分138の場所は、プランジャーポンプ24の作動サイクル全体を通して監視することができる。それ故に、制御装置140は、可撓性部分106の端位置(BEP及びTEP)を監視することができ、かつこの情報を使用して、流体容積変位を特定期間にわたって決定及び/又は制御することができる。ポンプ24のロッド部分138と可撓性部分106との間の機械的係合のために、行程距離を、作動プロセスの任意の点において、比較的高い信頼性で知ることができる。
【0040】
いくつかの実施形態において、行程距離(すなわち、ロッド部分138及び可撓性部分106が所与の方向で移動する距離)は、制御装置によって事前に設定することができ、使用する特定のポンプ及びフィルタアセンブリ4のサイズに依存する。アクチュエーター部分102のリニアエンコーダーを使用し、制御装置140によって行程距離を適切に制御し、かつ所定値に限定することができる。このようにして、制御装置140及びアクチュエーター部分102を、すべての利用可能なサイズのポンプ及びフィルタアセンブリ4に対して共通に使用することができる。各フィルタに対して事前設定される自動行程距離の使用は、プランジャーの短い行程又は過度な行程を防ぐ便利なやり方である。
【0041】
制御装置140による特定のポンプ及びフィルタアセンブリ4のサイズの確認は、行程距離の自動的なリセットをもたらす場合がある。行程速度は入力することができ、又は別の方法で、直接的に又はレシピもしくは適切なプログラムによって指令され、のいずれかで、制御装置140において設定することができる。
【0042】
アクチュエーター部分102と制御装置140との間の接続は、配線接続として図示されているが、当然のことながら、両者はワイヤレスで接続されてもよい。制御装置は、行程距離、行程移動プロファイル、プランジャーポンプ24の流れ、及びフィルタアセンブリ4の機能に関する任意の補助装置の制御を、ユーザが制御することができるようにする相互作用インターフェースを有することができる。
【0043】
プランジャーポンプ24は使用時、可撓性部分106がアクチュエーター部分102を介して駆動される場合、フィルタカートリッジ18を通る交互接線流を生成することができる。プランジャーポンプ24は、培養懸濁液等の液体の可逆的流れを、プロセス容器2とプランジャーポンプ24との間で前後に発生させることができる。例えば、ハウジング部分100の内部容積132からフィルタカートリッジ18を通してプロセス容器2までの流れは、ポンプの可撓性部分106を矢印「A」の方向に(すなわち、BEPからTEPまで)動かすことによって発生する。可撓性部分106の移動は、液体をハウジング部分100の内部容積132から送り出し、液体をプロセス容器2に向かって動かし、そして接線流を1方向に生成する。最終的な濾過された生成物は、ポート44を通して、例えば、蠕動ポンプによって取り出される。逆では、ポンプの可撓性部分106が矢印「B」の方向に(すなわち、TEPからBEPまで)移動されるとき、ハウジング部分100の内部容積132内の圧力は、容器2内の圧力に対して減少する。それ故に、流路は逆転され、そしてプロセス容器2からの液体流れは、ハウジング部分100の内部容積132に戻り、接線流を反対方向に生成する。最終的な濾過された生成物は、ポート44を通して、例えば、蠕動ポンプによって取り出される。ポンプ24からプロセス容器2までの流れと、プロセス容器2からポンプ24までの戻りとで、1サイクルが完了する。
【0044】
サイクル速度及びプランジャーポンプ24とプロセス容器2との間の流量は、サイクルを調節するために使用されるポンプの構成及び制御機構に主に依存する。
【0045】
図5は、ポンプ24a、24b、フィルタハウジング16a、16b、及びそれぞれのフィルタ18a、18bを含む、1対のポンプ及びフィルタアセンブリ4a、4bを同時に作動するために使用される単一のアクチュエーター部分102を示す。図示された実施形態は2つのポンプ及びフィルタアセンブリ4a、4bを作動するための単一のアクチュエーター部分102を示すが、当然のことながら、単一の制御装置によりこれも制御することができる、単一のアクチュエーター部分102によって、より多数のポンプ及びフィルタアセンブリの台数を制御することができる。本装置において、単一のアクチュエーター部分102は、上記記載の方式での接続継手を介して、ポンプ24a、24bの可撓性部分106a、106bに接続される剛性リンク装置103a、103bに接続される。本装置のポンプの作動は、図1~4に関して記載された作動と同一である。
【0046】
本装置は特定の実施形態を参照して開示されたが、添付の請求項に規定の通り、開示された装置の趣旨及び範囲を逸脱することなく、記載の実施形態に対する数多くの修正、変更、及び変化が可能である。従って、本装置は、記載の実施形態には限定されないものの、以下の請求項の文言で規定される全範囲、及びその均等物を有することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5