(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/503 20210101AFI20220606BHJP
H01M 50/507 20210101ALI20220606BHJP
H01M 50/509 20210101ALI20220606BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20220606BHJP
H01M 50/516 20210101ALI20220606BHJP
H01M 50/521 20210101ALI20220606BHJP
H01M 50/517 20210101ALI20220606BHJP
H01M 50/562 20210101ALI20220606BHJP
【FI】
H01M50/503
H01M50/507
H01M50/509
H01M50/55 101
H01M50/516
H01M50/521
H01M50/517
H01M50/562
(21)【出願番号】P 2020537366
(86)(22)【出願日】2019-03-08
(86)【国際出願番号】 JP2019009510
(87)【国際公開番号】W WO2020035970
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2020-09-18
(31)【優先権主張番号】P 2018152504
(32)【優先日】2018-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】505083999
【氏名又は名称】ビークルエナジージャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴支
【審査官】松本 陶子
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-515418(JP,A)
【文献】特開2016-115458(JP,A)
【文献】特開2018-206471(JP,A)
【文献】特開2014-132585(JP,A)
【文献】特開2016-054128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池群を備えた電池モジュールであって、
前記電池群は、複数の単電池と、該複数の単電池を並列に接続する第1バスバーおよび第2バスバーとを有し、
前記単電池は、
扁平角形の形状を有し、厚さ方向に沿う一端面の前記厚さ方向に直交する幅方向の一端と他端に、それぞれ、アルミニウムが主体の正極端子と、銅が主体の負極端子とを有し、
前記電池群の前記複数の単電池は、複数の前記正極端子と、複数の前記負極端子とが、それぞれ、前記厚さ方向に沿って一列に並ぶように、向きを揃えて前記厚さ方向に積層させて配置され、
前記第1バスバーは、アルミニウムが主体とされ、前記電池群の前記複数の単電池の各々の前記正極端子に溶接接合部を介して接続され、
前記第2バスバーは、銅が主体とされ、前記電池群の前記複数の単電池の各々の前記負極端子に溶接接合部を介して接続され、
前記複数の電池群は、
複数の前記正極端子と、複数の前記負極端子とが、前記厚さ方向に沿って交互に並ぶように、交互に反転させて前記厚さ方向に積層させて配置されており、互いに隣接する一方の前記電池群の前記第1バスバーと他方の前記電池群の前記第2バスバーとが機械的接合部を介して接続されることで、直列に接続されて
おり、
前記第1バスバーと前記第2バスバーは、前記厚さ方向を長手方向とし、前記幅方向を短手方向とする板状の形状を有し、前記厚さ方向および前記幅方向に直交する前記単電池の高さ方向において、それぞれ、複数の前記正極端子の端面と複数の前記負極端子の端面に前記溶接接合部を介して接合され、前記長手方向の互いに隣接する端部に前記単電池の前記幅方向の内側へ向けて延出した迂回部を有し、該迂回部において前記機械的接合部を介して接続されていることを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
前記第1バスバーの前記迂回部と前記第2バスバーの前記迂回部は、少なくとも一方が前記端部よりも前記長手方向に延出し、前記機械的接合部において前記高さ方向に重なっていることを特徴とする請求項
1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記機械的接合部は、前記第1バスバーと前記第2バスバーを締結して接続するボルトとナットを含むことを特徴とする請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記機械的接合部は、前記第1バスバーと前記第2バスバーを挟持して接続するクリップを含むことを特徴とする請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記機械的接合部は、前記第1バスバーと前記第2バスバーを貫通して塑性変形させられることで前記第1バスバーと前記第2バスバーを接続するリベットを含むことを特徴とする請求項1に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から蓄電モジュールに関する発明が知られている(下記特許文献1を参照。)。特許文献1に記載された発明は、バスバーと電極端子との溶接金属に割れ等の溶接欠陥が生じ、接合強度が低下するおそれがあることを課題とし、その解決手段として以下の構成を開示している(同文献、第0005段落、第0006段落、請求項1等を参照。)。
【0003】
蓄電モジュールは、複数の蓄電素子がバスバーによって電気的に接続されている。バスバーは、第1導電板と、第2導電板とを有している。第1導電板は、第1蓄電素子の電極端子に溶接により接合される第1電極接合部、および、その第1電極接合部から立ち上がる第1当接部を有する。第2導電板は、前記第1蓄電素子の隣に配置される第2蓄電素子の電極端子に溶接により接合される第2電極接合部、および、その第2電極接合部から立ち上がる第2当接部を有する。この蓄電モジュールにおいて、第1導電板の第1当接部および第2導電板の第2当接部は互いに接合されている。
【0004】
特許文献1に記載された発明によれば、上記の構成により、外形公差が大きく、バスバーで接続する電極端子同士において、高さ方向の位置ずれが生じた場合であっても、バスバーと単電池の電極端子との溶接部において、高い接合強度を確保することができる。さらに、電極接合部から立ち上がる当接部を接合する構成としたので、作業性がよい(同文献、第0046段落等を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、異なる材料を溶接する異材溶接は、高度な技術を要する。前記した従来の蓄電モジュールは、第1導電板がアルミニウム系金属からなり、第2導電板が銅系金属とアルミニウム系金属の複合材(クラッド材)からなる場合、第1導電板と第2導電板との異材溶接を回避することができる(同文献、第0030段落等を参照。)。
【0007】
しかし、複数の単電池を並列に接続した電池群を構成し、その複数の電池群を直列に接続する場合、隣接する二つの電池群のすべての単電池を接続可能な、従来よりも長いバスバーが必要になる。このような従来よりも長いバスバーにクラッド材を用いると、製造上およびコスト上の課題が生じるおそれがある。
【0008】
本開示は、複数の単電池を並列に接続した複数の電池群を備え、その複数の電池群がバスバーによって直列に接続された電池モジュールにおいて、クラッド材を使用することなく異材溶接を回避することが可能な電池モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様は、複数の電池群を備えた電池モジュールであって、前記電池群は、複数の単電池と、該複数の単電池を並列に接続する第1バスバーおよび第2バスバーとを有し、前記単電池は、アルミニウムが主体の正極端子と、銅が主体の負極端子とを有し、前記第1バスバーは、アルミニウムが主体とされ、前記電池群の前記複数の単電池の各々の前記正極端子に溶接接合部を介して接続され、前記第2バスバーは、銅が主体とされ、前記電池群の前記複数の単電池の各々の前記負極端子に溶接接合部を介して接続され、前記複数の電池群は、互いに隣接する一方の前記電池群の前記第1バスバーと他方の前記電池群の前記第2バスバーとが機械的接合部を介して接続されることで、直列に接続されていることを特徴とする電池モジュールである。
【発明の効果】
【0010】
本開示の上記一態様によれば、一つの電池群の複数の単電池を、アルミニウムが主体の一つの第1バスバーと、銅が主体の一つの第2バスバーにより、同種金属間の複数の溶接接合部を介して、並列に接続することができる。また、異種金属を主体とする第1バスバーと第2バスバーとを、機械的接合部を介して接続することで、クラッド材を使用することなく、異材溶接を回避して、複数の電池群を直列に接続することができる。すなわち、本開示の上記一態様によれば、複数の単電池を並列に接続した複数の電池群を備え、その複数の電池群がバスバーによって直列に接続された電池モジュールにおいて、クラッド材を使用することなく異材溶接を回避することが可能な電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態に係る電池モジュールの斜視図。
【
図4】
図3に示す電池モジュールを構成する単電池の斜視図。
【
図5】
図1に示す電池モジュールの電池群の間の機械的接合部の近傍の拡大図。
【
図6】
図5に示す機械的接合部が設けられる第1バスバーの斜視図。
【
図7】
図5に示す機械的接合部が設けられる第2バスバーの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本開示に係る電池モジュールの実施形態を説明する。
【0013】
図1は、本開示の一実施形態に係る電池モジュール100の斜視図である。
図2は、
図1に示す電池モジュール100の平面図である。
図3は、
図1に示す電池モジュール100の分解斜視図である。
図4は、
図3に示す電池モジュール100を構成する単電池1の斜視図である。
図5は、
図1に示す電池モジュール100の電池群10の間の機械的接合部Mの近傍の拡大図である。
【0014】
以下では、単電池1の厚さ方向、幅方向および高さ方向にそれぞれ平行な、X軸、Y軸およびZ軸からなるXYZ直交座標系を用いて電池モジュール100の構成を説明する場合がある。また、単電池1の厚さ方向、幅方向および高さ方向を、それぞれ、単に「厚さ方向(X軸方向)」、「幅方向(Y軸方向)」および「高さ方向(Z軸方向)」と表記する場合がある。また、以下の説明における上下、左右、縦横などの方向は、電池モジュール100の構成を説明するための便宜的な方向であり、電池モジュール100の使用時の方向を限定するものではない。
【0015】
本実施形態の電池モジュール100は、たとえば、電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)などの車両に搭載される車載用蓄電装置を構成する。詳細については後述するが、本実施形態の電池モジュール100は、たとえば、次の構成を特徴としている。
【0016】
電池モジュール100は、複数の電池群10を備えている。各電池群10は、複数の単電池1と、その複数の単電池1を並列に接続する第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nとを有している。各単電池1は、アルミニウムが主体の正極端子2Pと、銅が主体の負極端子2Nとを有している。第1バスバー20Pは、アルミニウムが主体とされ、電池群10の複数の単電池1の各々の正極端子2Pに溶接接合部W1を介して接続されている。第2バスバー20Nは、銅が主体とされ、電池群10の複数の単電池1の各々の負極端子2Nに溶接接合部W2を介して接続されている。複数の電池群10は、互いに隣接する一方の電池群10の第1バスバー20Pと他方の電池群10の第2バスバー20Nとが機械的接合部Mを介して接続されることで、直列に接続されている。
【0017】
以下、本実施形態の電池モジュール100の各部の構成を詳細に説明する。本実施形態の電池モジュール100は、たとえば、前述の複数の電池群10と、筐体30と、図示を省略する回路基板などを備えている。電池群10は、前述のように、複数の単電池1と、第1バスバー20Pと、第2バスバー20Nとを有している。なお、複数の電池群10のうち、単電池1の積層方向(X軸方向)の一端と他端に配置された電池群10は、それぞれ、第1バスバー20P、第2バスバー20Nの代わりに、端部第1バスバー20PE、端部第2バスバー20NEを有している。
【0018】
単電池1は、たとえば扁平角形の形状を有する角形二次電池であり、より詳細には、たとえば角形リチウムイオン二次電池である。単電池1は、厚さ方向(X軸方向)に沿う一端面において、厚さ方向に直交する幅方向(Y軸方向)の一端と他端に、それぞれ、正極端子2Pと負極端子2Nが配置されている。より詳細には、単電池1は、正極端子2Pおよび負極端子2Nと、電池容器3とを有している。また、図示を省略するが、単電池1は、電池容器3の内部に収容された電極群、集電板、絶縁部材、および電解液などを有している。
【0019】
電池容器3は、有底角筒状の電池缶3aの開口部に、長方形の板状の電池蓋3bを全周にわたって溶接することで密閉されている。電池容器3は、扁平角形の形状、すなわち、厚さ方向(X軸方向)の寸法が、幅方向(Y軸方向)および高さ方向(Z軸方向)の寸法よりも小さい薄型の直方体または六面体の形状を有している。単電池1の電池容器3の各面のうち、単電池1の厚さ方向(X軸方向)を向く一対の広側面の面積が最大であり、単電池1の幅方向(Y軸方向)を向く一対の狭側面の面積が最小である。
【0020】
電池容器3の高さ方向(Z軸方向)を向く一対の狭側面の一方で、厚さ方向(X軸方向)に沿う一端面に、単電池1の外部端子である正極端子2Pと負極端子2Nが配置されている。正極端子2Pと負極端子2Nは、それぞれ、長方形の電池蓋3bの長手方向、すなわち単電池1の幅方向(Y軸方向)の一端と他端に配置されている。正極端子2Pおよび負極端子2Nは、電池蓋3bの上面から高さ方向(Z軸方向)に突出したおおむね直方体の立体的な形状を有している。正極端子2Pおよび負極端子2Nと電池容器3との間、ならびに、電池容器3と集電板および電極群との間は、それぞれ、樹脂製の絶縁部材によって電気的に絶縁されている。
【0021】
正極端子2Pは、たとえば、アルミニウムやアルミニウム合金などのアルミニウムを主体とする材料によって製作され、負極端子2Nは、たとえば、銅や銅合金などの銅を主体とする材料によって製作されている。正極端子2Pおよび負極端子2Nは、それぞれ、電池容器3の内部に収容された正極および負極の集電板に接続され、それぞれ、集電板を介して電極群を構成する正極および負極の電極に接続されている。
【0022】
各々の電池群10を構成する複数の単電池1は、複数の正極端子2Pと、複数の負極端子2Nとが、それぞれ、厚さ方向(X軸方向)に沿って一列に並ぶように、向きを揃えて厚さ方向(X軸方向)に積層させて配置されている。また、電池モジュール100を構成する複数の電池群10は、複数の正極端子2Pと、複数の負極端子2Nとが、厚さ方向(X軸方向)に沿って交互に並ぶように、交互に反転させて厚さ方向(X軸方向)に積層させて配置されている。
【0023】
本実施形態において、各々の電池群10は、三つの単電池1を有している。各々の電池群10の三つの単電池1の三つの正極端子2Pは、単電池1の幅方向(Y軸方向)の一方の端部において、厚さ方向(X軸方向)に一列に並んでいる。また、各々の電池群10の三つの単電池1の三つの負極端子2Nは、単電池1の幅方向(Y軸方向)における正極端子2Pと反対の端部において、厚さ方向(X軸方向)に一列に並んでいる。なお、各々の電池群10が有する単電池1の数は、特に限定されず、二つでも四つ以上でもよい。
【0024】
また、単電池1の厚さ方向(X軸方向)に積層して配置された複数の電池群10のうち、隣り合う二つの電池群10の間では、単電池1の幅方向(Y軸方向)における単電池1の正極端子2Pと負極端子2Nの配置が逆になっている。本実施形態では、電池モジュール100は、四つの電池群10を有している。そして、四つの電池群10は、三つの正極端子2Pと、三つの負極端子2Nとが、厚さ方向(X軸方向)に沿って交互に並ぶように、交互に反転させて厚さ方向(X軸方向)に積層させて配置されている。なお、電池モジュール100が有する電池群10の数は、特に限定されず、二つまたは三つでもよく、五つ以上でもよい。
【0025】
図6は、
図5に示す機械的接合部Mを介して第2バスバー20Nに接続される第1バスバー20Pの斜視図である。
図7は、
図5に示す機械的接合部Mを介して第1バスバー20Pに接続される第2バスバー20Nの斜視図である。
図8Aは、単電池1の幅方向(Y軸方向)から見た、
図5に示す機械的接合部Mの側面図である。
【0026】
各々の電池群10の第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nは、各々の電池群10の複数の単電池1を並列に接続する導電性を有する金属製の板状の部材である。第1バスバー20Pは、たとえば、アルミニウムやアルミニウム合金などのアルミニウムを主体とする材料によって製作され、第2バスバー20Nは、たとえば、銅や銅合金などの銅を主体とする材料によって製作されている。すなわち、第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nは、それぞれ、単電池1の正極端子2Pおよび負極端子2Nとの溶接性に優れた、正極端子2Pおよび負極端子2Nと同種の金属によって製作されている。
【0027】
第1バスバー20Pは、各々の電池群10を構成する複数の単電池1の各々の正極端子2Pに、溶接接合部W1を介して接続されている。第2バスバー20Nは、各々の電池群10の複数の単電池1の各々の負極端子2Nに溶接接合部W2を介して接続されている。すなわち、第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nは、それぞれ、溶接性に優れた同種金属間の溶接接合部W1,W2を介して、正極端子2Pおよび負極端子2Nに電気的に接続されている。互いに隣接する一方の電池群10の第1バスバー20Pと他方の電池群10の第2バスバー20Nとは、機械的接合部Mを介して接続されている。
【0028】
第1バスバー20Pと第2バスバー20Nは、それぞれ、単電池1の厚さ方向(X軸方向)を長手方向とし、単電池1の幅方向(Y軸方向)を短手方向とする板状の形状を有している。第1バスバー20Pと第2バスバー20Nは、単電池1の厚さ方向(X軸方向)および幅方向(Y軸方向)に直交する高さ方向(Z軸方向)において、それぞれ、複数の正極端子2Pの端面と複数の負極端子2Nの端面に溶接接合部W1,W2を介して接合されている。第1バスバー20Pと第2バスバー20Nは、長手方向(X軸方向)の互いに隣接する端部に、機械的接合部Mを有している。
【0029】
第1バスバー20Pは、電池群10を構成する複数の単電池1のうち、単電池1の積層方向(X軸方向)の一端に配置された単電池1の正極端子2Pから、他端に配置された単電池1の正極端子2Pまで延びる本体部21を有している。同様に、第2バスバー20Nは、電池群10を構成する複数の単電池1のうち、単電池1の積層方向(X軸方向)の一端に配置された単電池1の負極端子2Nから、他端に配置された単電池1の負極端子2Nまで延びる本体部21を有している。
【0030】
本体部21は、単電池1の高さ方向(Z軸方向)から見た平面視で、単電池1の厚さ方向(X軸方向)を長手方向とし、単電池1の幅方向(Y軸方向)を短手方向とする長方形の板状の形状を有している。本体部21は、複数の平坦部22と、複数の湾曲部23とを有している。平坦部22は、単電池1の正極端子2Pまたは負極端子2Nに対向し、単電池1の正極端子2Pまたは負極端子2Nに溶接接合部W1または溶接接合部W2を介して接合される平坦な矩形平板状の部分であり、中央部に貫通孔22aを有している。
【0031】
湾曲部23は、隣り合う平坦部22の間に設けられた湾曲した部分である。湾曲部23は、たとえば、両側の平坦部22から平坦部22の厚さ方向すなわち単電池1の高さ方向(Z軸方向)へ向けて、たとえば約90度の角度で、単電池1から離れる方向に屈曲されている。また、湾曲部23は、両側の平坦部22に対して約90度の角度で屈曲された部分の間に半円筒状に屈曲された部分を有している。これにより、湾曲部23は、本体部21の短手方向すなわち単電池1の幅方向(Y軸方向)から見た側面視でU字型の湾曲形状を有している。
【0032】
また、本実施形態において、第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nは、それぞれ、長手方向(X軸方向)の互いに隣接する端部に、単電池1の幅方向(Y軸方向)の内側へ向けて延出した迂回部24P,24Nを有している。第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nは、迂回部24P,24Nにおいて、機械的接合部Mを介して接続されている。
【0033】
第1バスバー20Pの迂回部24Pは、本体部21の第2バスバー20Nに隣接する端部の単電池1の幅方向(Y軸方向)において、平坦部22の内側の端部から内側へ向けて延びている。また、第1バスバー20Pの迂回部24Pは、本体部21の第2バスバー20Nに隣接する端部よりも、第2バスバー20Nへ向けて単電池1の積層方向(X軸方向)に延びている。第2バスバー20Nの迂回部24Nは、本体部21の第1バスバー20Pに隣接する端部の単電池1の幅方向(Y軸方向)において、平坦部22の内側の端部から内側へ向けて延びている。
【0034】
このように、第1バスバー20Pの迂回部24Pは、たとえば、本体部21の第2バスバー20Nに隣接する端部よりも長手方向(X軸方向)に延出し、第2バスバー20Nの迂回部24Nは、単電池1の幅方向(Y軸方向)の内側へ延びている。これにより、第1バスバー20Pの迂回部24Pと、第2バスバー20Nの迂回部24Nは、機械的接合部Mにおいて単電池1の高さ方向(Z軸方向)に重なって互いに接している。なお、第1バスバー20Pの迂回部24Pと、第2バスバー20Nの迂回部24Nは、少なくとも一方が本体部21の互いに隣接する端部よりも長手方向に延出し、機械的接合部Mにおいて単電池1の高さ方向(Z軸方向)に重なっていればよい。
【0035】
機械的接合部Mは、たとえば、第1バスバー20Pと第2バスバー20Nを締結して接続するボルトm1とナットm3を含んでいる。また、機械的接合部Mは、ボルトm1およびナットm3と、迂回部24P,24Nとの間に配置されるワッシャm2を含んでもよい。第1バスバー20Pの迂回部24Pと、それぞれ、第2バスバー20Nの迂回部24Nは、単電池1の高さ方向(Z軸方向)に重なる位置に、それぞれ、機械的接合部Mのボルトm1を挿通させる貫通孔24aを有している。ナットm3は、たとえば、第2バスバー20Nの迂回部24Nの単電池1に対向する面に配置されている。
【0036】
機械的接合部Mは、たとえば、迂回部24P,24Nの貫通孔24aに挿通させたボルトm1にナットm3を螺合させ、迂回部24P,24Nをボルトm1とナットm3によって締結することで、第1バスバー20Pと第2バスバー20Nを接続する。これにより、積層方向に互いに隣接する一方の電池群10の第1バスバー20Pと他方の電池群10の第2バスバー20Nとが機械的接合部Mを介して電気的に接続される。また、電池群10の積層方向の一端から他端まで、順次、互いに隣接する一方の電池群10の第1バスバー20Pと他方の電池群10の第2バスバー20Nとを機械的接合部Mを介して接続することで、すべての電池群10が直列に接続される。
【0037】
第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nは、それぞれの迂回部24P,24Nと平坦部22との間に、屈曲部25を有している。屈曲部25は、単電池1の幅方向(Y軸方向)における平坦部22の内側の端部から、たとえば約90度の角度で、平坦部22の厚さ方向すなわち単電池1の高さ方向(Z軸方向)に、単電池1とは反対方向へ屈曲されている。また、屈曲部25は、単電池1の幅方向(Y軸方向)における迂回部24P,24Nの外側の端部から、迂回部24P,24Nの厚さ方向すなわち単電池1の高さ方向(Z軸方向)に、たとえば約90度の角度で、単電池1へ向けて屈曲されている。
【0038】
なお、積層方向(X軸方向)の一端と他端に配置された電池群10の端部第1バスバー20PEおよび端部第2バスバー20NEは、それぞれ、迂回部24P,24Nを有しない以外は、第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nと同様の構成を有している。また、端部第1バスバー20PEおよび端部第2バスバー20NEは、それぞれ、電池モジュール100の正極および負極のモジュール端子101P,101Nの一部を構成する延出部を有していてもよい。
【0039】
図1に示すように、筐体30は、単電池1の厚さ方向(X軸方向)を長手方向とするおおむね直方体の形状を有し、電池群10を構成する複数の単電池1を保持している。より具体的には、筐体30は、たとえば、複数のセルホルダ31と、一対のエンドプレート32と、一対のサイドフレーム33と、インシュレーションカバー34と、図示を省略するモジュールカバーと、を有している。
【0040】
セルホルダ31は、たとえばポリブチレンテレフタレート(PBT:Polybutylene terephthalate)等の樹脂材料によって構成されている。セルホルダ31は、たとえば厚さ方向(X軸方向)に積層された複数の単電池1の互いに隣接する単電池1の間に介在され、個々の単電池1を厚さ方向(X軸方向)の両側から挟み込むように保持している。電池群10を構成する複数の単電池1の積層方向(X軸方向)において、電池群10の両側に配置された一対のセルホルダ31に、たとえば電池モジュール100の外部端子であるモジュール端子101P,101Nが設けられている。
【0041】
一対のエンドプレート32は、たとえば金属製の板状の部材である。一対のエンドプレート32は、電池群10を構成する複数の単電池1の積層方向(X軸方向)において、電池群10の両側に配置された一対のセルホルダ31を介して、両端に配置されている。一対のエンドプレート32は、一方の面がセルホルダ31に保持された複数の単電池1を挟み込むように対向している。
【0042】
一対のサイドフレーム33は、電池群10を構成する複数の単電池1の幅方向(Y軸方向)の両側に、セルホルダ31を介して配置されている。一対のサイドフレーム33は、たとえば、おおむね矩形枠状の金属製の部材であり、単電池1の幅方向(Y軸方向)の両側に互いに対向するように配置されている。一対のサイドフレーム33は、たとえば、おおむね長方形の枠状であり、電池群10を構成する複数の単電池1の積層方向(X軸方向)が長辺方向すなわち長手方向とされ、電池群10を構成する複数の単電池1の高さ方向(Z軸方向)が短辺方向すなわち短手方向とされている。一対のサイドフレーム33は、長手方向の両端部が、たとえばリベットやボルトなどの締結部材によって一対のエンドプレート32に締結され、内側に複数のセルホルダ31に設けられた凸部が係合している。
【0043】
インシュレーションカバー34は、たとえばPBT等の電気絶縁性を有する樹脂製の板状の部材であり、単電池1の正極端子2Pおよび負極端子2Nが設けられた電池容器3の狭側面である上端面に対向して配置されている。インシュレーションカバー34は、複数の単電池1の正極端子2Pおよび負極端子2Nの上端面を露出させる開口部と、互いに隣接する単電池1の正極端子2Pまたは負極端子2Nの間や、互いに隣接する第1バスバー20Pと第2バスバー20Nの間を絶縁する隔壁と、を有している。インシュレーションカバー34の隔壁は、たとえば、単電池1の正極端子2Pおよび負極端子2Nならびに第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nの周囲を囲むように設けられている。また、インシュレーションカバー34には、単電池1および回路基板に接続される各種の電気配線が配置される。
【0044】
図示を省略する回路基板は、たとえば、インシュレーションカバー34と図示を省略するモジュールカバーとの間、すなわち筐体30の高さ方向において、インシュレーションカバー34の単電池1とは反対側に配置され、電気配線を介して第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nに接続されている。図示を省略するモジュールカバーは、たとえばPBT等の電気絶縁性を有する樹脂製の板状の部材である。モジュールカバーは、筐体30の高さ方向(Z軸方向)において、単電池1と反対側の筐体30の上端に、インシュレーションカバー34および回路基板を覆うように配置される。
【0045】
以下、本実施形態の電池モジュール100の作用について説明する。
【0046】
前述のように、電池モジュール100は、複数の電池群10を備えている。各電池群10は、複数の単電池1と、その複数の単電池1を並列に接続する第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nとを有している。各単電池1は、アルミニウムが主体の正極端子2Pと、銅が主体の負極端子2Nとを有している。第1バスバー20Pは、アルミニウムが主体とされ、電池群10の複数の単電池1の各々の正極端子2Pに溶接接合部W1を介して接続されている。第2バスバー20Nは、銅が主体とされ、電池群10の複数の単電池1の各々の負極端子2Nに溶接接合部W2を介して接続されている。複数の電池群10は、互いに隣接する一方の電池群10の第1バスバー20Pと他方の電池群10の第2バスバー20Nとが機械的接合部Mを介して接続されることで、直列に接続されている。
【0047】
この構成により、発電機等の外部装置から、電池モジュール100を構成する複数の単電池1に、たとえばモジュール端子101P,101N、端部第1バスバー20PEおよび端部第2バスバー20NE、ならびに第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nを介して電力を供給し、各々の電池群10を構成する複数の単電池1を充電することができる。また、各々の電池群10を構成する複数の単電池1に充電された電力を、第1バスバー20Pおよび第2バスバー20N、端部第1バスバー20PEおよび端部第2バスバー20NE、およびモジュール端子101P,101Nを介して、モータ等の外部装置に供給することができる。
【0048】
また、上記の構成により、一つの電池群10の複数の単電池1を、アルミニウムが主体の一つの第1バスバー20Pまたは端部第1バスバー20PEと、銅が主体の一つの第2バスバー20Nまたは端部第2バスバー20NEにより、同種金属間の複数の溶接接合部W1,W2を介して、並列に接続することができる。また、異種金属を主体とする第1バスバー20Pと第2バスバー20Nとを、機械的接合部Mを介して接続することで、クラッド材を使用することなく、異材溶接を回避して、複数の電池群10を直列に接続することができる。
【0049】
すなわち、本実施形態によれば、複数の単電池1を並列に接続した複数の電池群10を備えた電池モジュール100において、その複数の電池群10が第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nによって直列に接続され、クラッド材を使用することなく異材溶接を回避することが可能な電池モジュール100を提供することができる。また、本実施形態の電池モジュール100によれば、機械的接合部Mによる接合を解除することで、電池群10単位の交換が可能になるだけでなく、機械的接合部Mに電圧検出用の配線などを接続することができる。
【0050】
また、電池モジュール100において、単電池1は、扁平角形の形状を有し、厚さ方向(X軸方向)に沿う一端面の厚さ方向に直交する幅方向(Y軸方向)の一端と他端に、それぞれ、正極端子2Pと負極端子2Nが配置されている。また、電池群10の複数の単電池1は、複数の正極端子2Pと、複数の負極端子2Nとが、それぞれ、厚さ方向(X軸方向)に沿って一列に並ぶように、向きを揃えて厚さ方向(X軸方向)に積層させて配置されている。また、複数の電池群10は、複数の正極端子2Pと、複数の負極端子2Nとが、厚さ方向(X軸方向)に沿って交互に並ぶように、交互に反転させて厚さ方向(X軸方向)に積層させて配置されている。
【0051】
この構成により、一つの第1バスバー20Pと一つの第2バスバー20Nによって複数の単電池1を並列に接続することができ、電池モジュール100の生産性を向上させることができる。また、互いに隣接する電池群10のうち、一方の電池群10の第1バスバー20Pと、他方の第1バスバー20Pの第2バスバー20Nとを、機械的接合部Mを介して順次接続していくことで、複数の電池群10を直列に接続することができる。すなわち、機械的接合部Mを介して従来よりも長い異種材料の第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nを接続することで、これらを一つの細長いクラッド材として構成する必要がない。そのため、従来よりも長い特殊なクラッド材を用いることによる製造上およびコスト上の課題を回避することができる。
【0052】
また、電池モジュール100において、第1バスバー20Pと第2バスバー20Nは、単電池1の厚さ方向(X軸方向)を長手方向とし、単電池1の幅方向(Y軸方向)を短手方向とする板状の形状を有している。また、第1バスバー20Pと第2バスバー20Nは、単電池1の厚さ方向(X軸方向)および幅方向(Y軸方向)に直交する高さ方向(Z軸方向)において、それぞれ、複数の正極端子2Pの端面と複数の負極端子2Nの端面に溶接接合部W1,W2を介して接合され、長手方向の互いに隣接する端部に機械的接合部Mを有している。
【0053】
この構成により、複数の単電池1の複数の正極端子2Pの上に一つの第1バスバー20Pを配置し、複数の単電池1の複数の負極端子2Nの上に一つの第2バスバー20Nを配置して、たとえばレーザ溶接により、溶接接合部W1,W2を一括して容易に形成することが可能になる。また、第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nと単電池1の正極端子2Pおよび負極端子2Nとの間の接触面積を確保することができる。さらに、電池群を構成する個々の単電池の外部端子に接続された個々のバスバーを一つずつ接続していく場合と比較して、互いに隣接する電池群10の間を機械的接合部Mによって接続するだけでよく、部品点数および接合箇所を減少させることができる。したがって、電池モジュール100の生産性を向上させることができる。
【0054】
また、第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nが湾曲部23を有することで、第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nの単電池1の高さ方向(Z軸方向)における弾性を向上させることができる。これにより、第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nを、それぞれ、複数の単電池1の正極端子2Pおよび負極端子2Nに対して押し付けることで、第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nを単電池1の高さ方向(Z軸方向)に弾性変形させることができる。したがって、第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nを、それぞれ、複数の単電池1の正極端子2Pおよび負極端子2Nに対してより確実に接触させ、複数の単電池1の接続信頼性を向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態の電池モジュール100において、第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nは、長手方向(X軸方向)の互いに隣接する端部に、単電池1の幅方向(Y軸方向)の内側へ向けて延出した迂回部24P,24Nを有している。そして、第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nは、迂回部24P,24Nにおいて機械的接合部Mを介して接続されている。
【0056】
この構成により、電池モジュール100の小型化を妨げることなく、機械的接合部Mを設置するためのスペースを確保することができる。そのため、ボルトm1やナットm3などの締結部材を配置することができるだけでなく、たとえば、溶接接合部W1,W2の形成に必要な冶具やプローブを配置するためのスペースを確保することができる。また、第1バスバー20Pと第2バスバー20Nとの接触面積を十分に確保することができる。さらに、第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nが迂回部24P,24Nを有することで、電池モジュール100の各部に作用する応力を緩和することができる。
【0057】
より具体的には、たとえば、電池モジュール100の各部の寸法公差による段差や、電池モジュール100に作用する衝撃や振動によって、第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nに力が作用する。また、第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nが跨ぐ単電池1の数が多くなり、第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nの長さが長くなるほど、第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nに作用する力は大きくなる。
【0058】
しかし、第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nが迂回部24P,24Nを有することで、電池モジュール100の各部に作用する応力を緩和することができる。ここで、迂回部24P,24Nによる応力の緩和は、電池モジュール100の各部に対する応力集中箇所の分散、第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nを弾性範囲で変形させることによる各部の応力の緩和を含む。
【0059】
また、本実施形態の電池モジュール100において、第1バスバー20Pの迂回部24Pと第2バスバー20Nの迂回部24Nは、少なくとも一方が第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nの長手方向の端部よりも長手方向に延出している。そして、第1バスバー20Pの迂回部24Pと第2バスバー20Nの迂回部24Nとが、機械的接合部Mにおいて単電池1の高さ方向(Z軸方向)に重なっている。
【0060】
この構成により、第1バスバー20Pの迂回部24Pと第2バスバー20Nの迂回部24Nとの接触面積を十分に確保して、機械的接合部Mによる第1バスバー20Pと第2バスバー20Nの接続信頼性を向上させることができる。また、単電池1の高さ方向(Z軸方向)における電池モジュール100の寸法が増加するのを抑制し、電池モジュール100の小型化を実現することができる。
【0061】
また、本実施形態の電池モジュール100において、機械的接合部Mは、第1バスバー20Pと第2バスバー20Nを締結して接続するボルトm1とナットm3を含んでいる。これにより、ボルトm1を第1バスバー20Pと第2バスバー20Nに貫通させてナットm3に螺合させ、ボルトm1とナットm3とを締結することで、第1バスバー20Pと第2バスバー20Nとの間に機械的接合部Mを形成することができる。なお、機械的接合部Mは、ボルトm1とナットm3を含む構成に限定されない。
【0062】
図8Bおよび
図8Cは、
図8Aに示す機械的接合部Mの変形例を示す側面図である。
図8Bに示すように、電池モジュール100の機械的接合部Mは、第1バスバー20Pと第2バスバー20Nを挟持して接続するクリップm4を含んでもよい。また、
図8Cに示すように、機械的接合部Mは、第1バスバー20Pと第2バスバー20Nを貫通して塑性変形させられることで第1バスバー20Pと第2バスバー20Nを接続するリベットm5を含んでもよい。これらの変形例によっても、
図8Aに示す機械的接合部Mと同様の効果を奏することができる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態によれば、一つの電池群10の複数の単電池1を、アルミニウムが主体の一つの第1バスバー20Pと、銅が主体の一つの第2バスバー20Nにより、同種金属間の複数の溶接接合部W1,W2を介して、並列に接続することができる。また、異種金属を主体とする第1バスバー20Pと第2バスバー20Nとを、機械的接合部Mを介して接続することで、クラッド材を使用することなく、異材溶接を回避して、複数の電池群10を直列に接続することができる。すなわち、本実施形態によれば、複数の単電池1を並列に接続した複数の電池群10を備え、その複数の電池群10が第1バスバー20Pおよび第2バスバー20Nによって直列に接続された電池モジュール100において、クラッド材を使用することなく異材溶接を回避することが可能な電池モジュール100を提供することができる。
【0064】
以上、図面を用いて本開示の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本開示に含まれるものである。
【符号の説明】
【0065】
1 単電池
2P 正極端子
2N 負極端子
10 電池群
20P 第1バスバー
20N 第2バスバー
24P 迂回部
24N 迂回部
100 電池モジュール
M 機械的接合部
m1 ボルト
m3 ナット
m4 クリップ
m5 リベット
W1 溶接接合部
W2 溶接接合部