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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】流動床冷却器内のバッフル
(51)【国際特許分類】
   C05C 9/00 20060101AFI20220606BHJP
   C05G 5/12 20200101ALI20220606BHJP
   B01J 2/00 20060101ALI20220606BHJP
   B01J 8/24 20060101ALI20220606BHJP
【FI】
C05C9/00 A
C05G5/12
B01J2/00 C
B01J8/24 301
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020537490
(86)(22)【出願日】2019-01-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-08
(86)【国際出願番号】 EP2019050299
(87)【国際公開番号】W WO2019135006
(87)【国際公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-08-18
(31)【優先権主張番号】18150582.7
(32)【優先日】2018-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518211277
【氏名又は名称】ティッセンクルップ フェルティリツァー テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(73)【特許権者】
【識別番号】501186597
【氏名又は名称】ティッセンクルップ アクチェンゲゼルシャフト
【住所又は居所原語表記】ThyssenKrupp Allee 1 45143 Essen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】リークス,ロシツァ・マリアノバ
(72)【発明者】
【氏名】ゲルナー,トマス
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0151646(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C05B1/00-21/00
C05C1/00-13/00
C05D1/00-11/00
C05F1/00-17/993
C05G1/00-5/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品入口開口部(2)、製品出口開口部(3)、冷却器室(1)の内部に配置された多孔板(4)及び多孔板(4)の下に配置された少なくとも1の冷却媒体入口開口部(7)を有する冷却器室(1)を少なくとも含んでいる、尿素含有顆粒状材料を冷却するための流動床冷却器であって、
製品入口開口部(2)が多孔板(4)の上に配置され、及び、バッフル板(5)が製品入口開口部(2)と多孔板(4)の間に配置されており、
分配器板(6)が、バッフル板(5)と多孔板(4)の間に配置されており、
分配器板(6)の面積が、バッフル板(5)の面積よりも、10%~50%大きいことを特徴とする、前記流動床冷却器。
【請求項2】
分配器板(6)の面積が、バッフル板(5)の面積よりも、25%~40%大きいことを特徴とする、請求項1に記載の流動床冷却器。
【請求項3】
バッフル板(5)が、平面形態又は湾曲形態にあることを特徴とする、請求項1または2に記載の流動床冷却器。
【請求項4】
バッフル板(5)が、屋根形状の形態、台形形状の形態、鞍形状の形態、同心形態又は三次元ガウス形態にあることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の流動床冷却器。
【請求項5】
分配器板(6)及び/又はバッフル板(5)が多孔板の形態にあることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の流動床冷却器。
【請求項6】
バッフル板(5)及び/又は分配器板(6)が、金属、合金、複合材料及び/又はプラスチックを含んでいることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の流動床冷却器。
【請求項7】
バッフル板(5)及び/又は分配器板(6)が、鋼、ステンレス鋼、鉄、クロム、アルミニウム、バナジウム、ニッケル及び/又はポリマーを含んでいることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の流動床冷却器。
【請求項8】
分配器板(6)及び/又はバッフル板(5)が、10mm~50mmの平均直径を有する開口部(8)を有していることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の流動床冷却器。
【請求項9】
分配器板(6)及び/又はバッフル板(5)が、15mm~30mmの平均直径を有する開口部(8)を有していることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の流動床冷却器。
【請求項10】
分配器板(6)が縁を有していることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の流動床冷却器。
【請求項11】
分配器板(6)及び/又はバッフル板(5)が、製品入口開口部(2)を有する補強材を有していることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の流動床冷却器。
【請求項12】
バッフル板(5)が、多孔板(4)の面積の、10%未満の面積を有していることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の流動床冷却器。
【請求項13】
バッフル板(5)が、多孔板(4)の面積の、5%未満の面積を有していることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の流動床冷却器。
【請求項14】
バッフル板(5)が、多孔板(4)の面積の、2%未満の面積を有していることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の流動床冷却器。
【請求項15】
バッフル板(5)が、多孔板(4)に平行に配置されていることを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の流動床冷却器。
【請求項16】
少なくとも、
・ 多孔造粒機プレート、種粒子入口、流動化ガス入口及び噴霧化ガス入口を備えた少なくとも1の溶融ノズルを有する流動床造粒機;
・ 第1の流動床冷却器;
・ 造粒プロモーター;
・ 篩、破砕機;及び、
・ 製品冷却器;
を含んでいる、顆粒状肥料を製造するための流動床造粒プラントであって、該第1の流動床冷却器及び/又は該製品冷却器が請求項1~15のいずれか1項に記載されている構成を有していることを特徴とする、前記流動床造粒プラント。
【請求項17】
前記流動床造粒機、製品冷却器及び/又は流動床冷却器が、廃気処理ユニットに接続されていることを特徴とする、請求項16に記載の流動床造粒プラント。
【請求項18】
前記廃気処理ユニットが、以下の要素:
スクラバー及び/又は酸性スクラバ
のうちの少なくとも1又は2以上を含んでいることを特徴とする、請求項17に記載の流動床造粒プラント。
【請求項19】
前記廃気処理ユニットが、以下の要素:
中和ユニットを有するスクラバー及び/又は酸性スクラバー
のうちの少なくとも1又は2以上を含んでいることを特徴とする、請求項17に記載の流動床造粒プラント。
【請求項20】
アンモニウム化合物、硝酸塩、リン酸塩、尿素、元素硫黄、硫酸アンモニウム、UAS(尿素硫酸アンモニウム)及び/又はそれらの混合物を含んでいる顆粒状肥料を製造するための、請求項16~19のいずれかに記載されている流動床造粒プラントの使用。
【請求項21】
尿素含有顆粒状肥料を製造するための、請求項20に記載の流動床造粒プラントの使用。
【請求項22】
顆粒状肥料を冷却する方法であって、顆粒状材料を流動床造粒機又は造粒プロモーターから請求項1~15のいずれか1項に記載されている流動床冷却器に導入することを含んでいる、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿素含有顆粒状材料を冷却するための流動床冷却器、顆粒状肥料を製造するための流動床造粒プラント、流動床造粒プラントの使用及び顆粒状肥料を冷却する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世界的な人口の増加を考慮すると、適応性が高く効率的な肥料の開発は、極めて重要であり、そして、その重要性は増大している。ここで重要な要素は、肥料自体(即ち、化学組成)のみではなく、可搬型容器内での加工作業及び圃場における施用(deployment)である。ここで最も重要なことは、確実に造粒にして、同じサイズ及び同じ特性を有する均一な粒子をもたらすことである。ここでの重要なパラメーターは、粉塵の形成が少ないこと、強度、低い凝集傾向、均一なサイズ、貯蔵性及び安定性である。確立された造粒技術は、流動床造粒であり、この流動床造粒では、例えば、小球化技術及びペレット化技術と比較して、粒子特性が改善されている。
【0003】
流動床造粒を用いた尿素含有顆粒状肥料の製造の一例は、WO2010/060535A1(例えば、段落[0025]-[0035]、図1)、又は、US4,701,353A、DE3116778A1及びUS4,219,589Aの中に見いだすことができる。
【0004】
世界の肥料生産のうちの極めて高い割合は、尿素含有肥料によって占められている。この水溶性肥料は、土壌中で崩壊してアンモニウム塩又は硝酸塩を与え、そして、重要な元肥である。この尿素含有肥料は、カリウム、リン酸塩、微量元素又は硫黄化合物などの別の元素と組み合わせることができる。
【0005】
農業における尿素硫黄肥料の使用は、既に長い間知られている。そのような肥料混合物では、植物は窒素と硫黄の2種類の元素を同時に提供され、追加の肥料を施用(deployment)するための段階とコストを省くことができる。これは、尿素と組み合わせることで、例えば、播種された植物に、初期段階では尿素を介して窒素を供給し、その後の成長段階では硫黄を供給することが可能である。
【0006】
そのような理由で、尿素と硫黄の分布が均一な尿素硫黄肥料がますます重要になっている。その例は、例えば、US4,330,319Aの中に見いだすことができる。
【0007】
土壌中における窒素含有塩の良好な溶解性又は元素硫黄の良好な生分解性を確実なものとするために、最小サイズの粒子が必要である。より大きな粒子と比較すると、これらの小さな粒子はより大きな表面積対体積比を有している。このより大きな表面積、特に、より大きな比表面積(例えば、BET法によって確認することが可能である、例えば、DIN ISO 9277)は、植物又は土壌中に存在する微生物にとって窒素含有塩又は元素硫黄の利用可能性を向上させる。
【0008】
当該プロセスの結果として流動床造粒機で得られた粒子は、多くの場合90~100℃の範囲内の比較的高い温度を有する。この温度範囲内に存在している粒子は、一般に、非常に柔らかく、さらなる処理に付す前に冷却する必要がある。この目的のために、まだ熱い粒子は製品冷却器に移される。これは、多くの場合、その構成において流動床造粒機に類似している。この冷却器は、例えば、上部と下部で構成されている。顆粒状材料は、該冷却器の上部を通って流れ、そして、下部に流れ込む空気によって冷却される。例えば、多孔板とその多孔板の下に配置された冷却媒体入口開口部によって、顆粒状材料は、例えば、空気流又は(不活性)ガス流によって冷却され、そして、流体媒体として、冷却器の入口領域から出口領域へと運ばれる。小規模なプラントでは、上流の冷却ゾーンを造粒機の一部として設計することも可能である。しかしながら、約2500mtpd(1日当たりのメガトン)の尿素を毎日製造することに加えて、該冷却ゾーンは、必要な寸法のために、一般に、流動床造粒機の横に別個のユニットとして構成される。
【0009】
造粒機で製造された顆粒状材料が冷却器に移動する過程で、多くの場合、顆粒状材料が多孔板の下に堆積する。流動床冷却器内におけるこれらの堆積が増大し続けた場合、これらは、一般に、冷却器の運転を停止させることによってのみ、従って、造粒機の運転も停止させることによってのみ、複雑な方法でパージ及び除去することができる。運転停止には、必然的に、製造停止及び費用のかかるプラントの再起動を伴う。
【0010】
WO94/03267A1には、ホルムアルデヒド含有添加剤を用いた流動床造粒の方法が開示されている。
【0011】
WO2005/007619A1には、顆粒状尿素を製造する方法が開示されている。流動化空気は、微細な液滴を含んでいる。
【0012】
DE4416666C1には、脱水開口部を備えたパイプを用いる、固形物(特に、水中でペレット化された固形物)を脱水及び乾燥するための装置が開示されている。そのパイプは、全長アキシャルの本質的に直径に沿って垂直の透水性のバッフル板によって平らになっている。
【0013】
GB1,340,302Aには、統合されたバッフル板を有する顆粒状材料用のドラムクーラーが開示されている。
【0014】
DE602004002961T2には、例えば尿素を造粒するための、流動床造粒プロセスが開示されている。
【0015】
CN204388653Uには、流動床造粒からの顆粒を冷却するための冷却装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】WO2010/060535A1
【文献】US4,701,353A
【文献】DE3116778A1
【文献】US4,219,589A
【文献】US4,330,319A
【文献】WO94/03267A1
【文献】WO2005/007619A1
【文献】DE4416666C1
【文献】GB1,340,302A
【文献】DE602004002961T2
【文献】CN204388653U
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、顆粒状材料の堆積物の形成、特に、多孔板の下における顆粒状材料の堆積物の形成が、回避又は低減されている、流動床冷却器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の目的は、驚くべきことに、請求項1に記載されている尿素含有顆粒状材料を冷却するための流動床冷却器によって達成される。さらに有利な構成は、従属請求項において見いだすことができる。
【0019】
本発明は、さらに、顆粒状肥料を製造するための流動床造粒プラント、顆粒状肥料を製造するための流動床造粒プラントの使用、及び、顆粒状肥料を冷却する方法も包含する。さらなる有利な構成は、従属請求項の中に見出すことができる。
【0020】
尿素含有顆粒状材料を冷却するための本発明の流動床冷却器は、製品入口開口部、製品出口開口部及び冷却器室内に配置された多孔板を備えた少なくとも1の冷却器室を含んでいる。該多孔板は、好ましくは、冷却器室を多孔板の下の下部冷却器室と多孔板の上の上部冷却器室に分割している。多孔板の下には、少なくとも1又は2以上の冷却媒体入口開口部が配置されている。その冷却媒体入口開口部を介して、冷却媒体(例えば、空気又は不活性ガス)が、多孔板の下の下部冷却器室に導入される。多孔板は、流動床内の顆粒状材料の内部に冷却媒体を分配する。製品入口開口部は、多孔板の上に配置されている。さらに、製品入口開口部と多孔板との間にバッフル板が配置されている。バッフル板は、驚くべきことに、顆粒状材料粒子の有意な変形をもたらすことなく、製品入口開口部を介して冷却器室に入る顆粒状材料粒子の速度の減衰を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】従来技術による流動床冷却器の概略断面図である。
図2】本発明の流動床冷却器の概略断面図である。
図3】製品入口の領域における本発明の流動床冷却器の拡大された概略断面図である。
図4】製品入口の領域における本発明の流動床冷却器の好ましい実施形態の拡大された概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
好ましくは、バッフル板は、製品入口開口部から多孔板に向かって進む距離の30%~80%の範囲で配置される。
【0023】
本発明の流動床冷却器におけるバッフル板の使用は、驚くべきことに、多孔板の上及び下の顆粒の塊の形成を最大90%減少させる。
【0024】
好ましい構成では、バッフル板と多孔板の間に分配器板が配置される。分配器板は、顆粒状材料粒子の運動エネルギーをさらに低減させ、多孔板が存在する流動顆粒状材料粒子の上の流動床冷却器の冷却領域への顆粒状材料粒子のより均一な移動をもたらす。
【0025】
好ましくは、分配器板の面積は、バッフル板の面積よりも、10%~50%大きく、さらに好ましくは、25%~40%大きい。分配器板のより大きな面積は、より大きな範囲にわたって、従って、さらに均一な方法で、多孔板の上の流動床冷却器の冷却領域への顆粒状材料粒子の移動を可能にする。
【0026】
さらに好ましい構成では、バッフル板は、平面の形態又は三次元的に湾曲した形態にある。バッフル板の湾曲は、例えば、凸形、凹形、鞍形状であってよいか、又は、凹形要素と凸形要素の複雑な混合形態の形態であってもよい。特に好ましいのは、バッフル板の屋根形状、台形形状、鞍形状、同心構成又は三次元ガウス構成である。バッフル板の縁は、湾曲していてもよいか、又は、直線定規の形態にあってもよく、及び、混合された形態にあってもよい。
【0027】
好ましくは、分配器板及び/又はバッフル板は、多孔板の形態にある。多孔板の形態では、流動床冷却器内の顆粒状材料の分布がさらに改善される。
【0028】
バッフル板及び/又は分配器板は、好ましくは、金属、合金、複合材料及び/又はプラスチックを含んでおり、さらに好ましくは、鋼、ステンレス鋼、鉄、クロム、アルミニウム、バナジウム、ニッケル及び/又はポリマーを含んでいる。
【0029】
好ましい構成では、分配器板及び/又はバッフル板は、10mm~50mm(好ましくは、15mm~30mm)の平均直径を有する開口部を有している。対応するような寸法の開口部を形成させることによって、流動床冷却器内の顆粒状材料の分布がさらに改善される。
【0030】
分配器板は、好ましくは、縁を有する。この縁は、分配器板の安定性を増大させる。
【0031】
好ましいさらなる実施形態では、分配器板及び/又はバッフル板は、製品入口開口部(2)を有する補強材を有している。この補強材は、分配器板及び/又はバッフル板の安定性を向上させる。それは、分配器板及び/又はバッフル板が、高い運動エネルギーで流動床冷却器に到達する顆粒状材料による継続的な応力を受けるからである。補強材によって、位置が固定され、顆粒状材料粒子の最適な分布が可能になる。
【0032】
バッフル板は、好ましくは、多孔板の面積の、10%未満(さらに好ましくは、5%未満、特に好ましくは、2%未満)の面積を有する。記載されている面積比は、流動床冷却器内に導入される顆粒状材料の速度における必要な低減を保証するのに充分であり、従って、運動エネルギーにおける必要な低減を保証するのに充分である。
【0033】
さらに好ましくは、バッフル板は、多孔板に平行に配置される。本発明に関連して、表現「多孔板に平行」は、好ましくは、理想的な平行配置からプラス/マイナス10度未満の角度の変動も包含する。示されている配置によって、流動床冷却器内に導入される顆粒状材料の速度における必要な低減が可能となり、従って、運動エネルギーにおける必要な低減が可能となる。
【0034】
本発明は、さらに、顆粒状肥料を製造するための流動床造粒プラントにも関する。該流動床造粒プラントは、多孔造粒機プレート、種粒子入口、流動化ガス入口及び噴霧化ガス入口を備えた少なくとも1の溶融ノズルを有する少なくとも1の流動床造粒機を含んでいる。流動床造粒機は、一般に、造粒機室、造粒機室内に配置された多孔板、及び、多孔板の中/上に配置された本発明のスプレーノズルを有している。本発明のスプレーノズルは、好ましくは、溶融物(例えば、尿素又は尿素/硫黄混合物で構成される溶融物)用の供給路及び噴霧ガス用の供給路に接続されている。造粒機内に存在している流動床は、流動化ガス流(好ましくは、空気)に接続されている。流動床内に存在する種粒子は、噴霧化媒体において生成された溶融物液滴との接触を通して成長する。完成した粒子は、その後、例えば造粒機出口を介して、第1の流動床冷却器に移される。さらに、流動床造粒プラントは、造粒プロモーター、篩、破砕機及び製品冷却器も有している。本発明の流動床造粒プラントは、該第1の流動床冷却器及び/又は該製品冷却器が上記で記載した本発明の構成を有することを特徴とする。流動床冷却器は、製品入口開口部、製品出口開口部、冷却器室内に配置された多孔板及び多孔板の下に配置された少なくとも1の冷却媒体入口開口部を有する少なくとも1の冷却器室を有している。上記で記載したように、本発明の流動床冷却器は、製品入口開口部が多孔板の上方に配置されていること、及び、製品入口開口部と多孔板の間にバッフル板が配置されていることを特徴とする。好ましくは、バッフル板と多孔板の間に分配器板が配置されている。
【0035】
好ましい構成では、流動床造粒機及び/又は流動床冷却器は、廃気処理ユニットに接続されている。廃気処理ユニットは、好ましくは、以下の要素のうちの少なくとも1又は2以上を含んでいる:スクラバー及び/又は酸性スクラバー、好ましくは、酸性スクラビングに接続された中和ユニットを有するスクラバー及び/又は酸性スクラバー。中和は、例えば、アンモニアを添加することによって実施することができる。例示的な構成は、WO2010/060535A1の中に見いだすことができる。
【0036】
本発明は、さらに、アンモニウム化合物、硝酸塩、リン酸塩、尿素、元素硫黄、硫酸アンモニウム、UAS(尿素硫酸アンモニウム)及び/又はそれらの混合物を含んでいる顆粒状肥料を製造するための、本発明の上記流動床造粒プラントの使用を包含する。さらに好ましくは、本発明の上記流動床造粒プラントは、尿素含有顆粒状肥料の製造に使用する。
【0037】
本発明は、さらに、顆粒状肥料を冷却する方法に関し、ここで、該方法は、顆粒状材料を流動床造粒機又は造粒プロモーターから上記で記載した本発明の流動床冷却器に導入することを含んでいる。
【0038】
本発明について、さらに、以下の図によって詳細に説明する。これらの図は、本発明の保護の範囲を制限するものではなく、単に例示的な説明のために役立つものである。この図は、正確な縮尺ではない。
【0039】
図は、下記を示している。
【0040】
図1は、従来技術による流動床冷却器の概略断面図を示している。該流動床冷却器は、製品(22)が製品入口開口部(2)を介して導入される冷却器室(1)を含んでいる。製品(22)、例えば、尿素含有顆粒状材料は、多孔板上に既に存在している流動化製品(22)の中に減衰されない方法で到着する。多孔板(4)の下には、黒い矢印で示されているガス流(II)を生成する冷却媒体入口開口部(7)が配置されている。使用されるガス流(II)は、一般に空気であり;あるいは、造粒される物質に応じて、不活性ガスを導入することも可能である。流動化媒体として、冷却器室(1)内の多孔板上に存在している製品(22)は、製品流(I)内を製品出口開口部(3)の方向に移動する。冷却器室からの空気の除去は、空気除去開口部(21)を介して可能である。
【0041】
図2は、本発明の流動床冷却器の概略断面図を示している。流動床冷却器の基本的な構成は、図1に関して上記で説明した構成に対応する。図1に記載されている従来技術による流動床冷却器とは対照的に、バッフル板(5)及び分配器板(6)が、製品入口開口部(2)と多孔板(4)の間に配置されている。バッフル板(5)によって、製品(22)の顆粒状形態を著しく破壊又は変形したりすることなく、流入する製品(22)を減衰させることが可能になる。分配器板(6)によって、方向(I)に流れる製品(22)のさらなる減衰及びより均一な導入を可能になる。バッフル板(5)の本発明による配置、及び、好ましくは、分配器板(6)の本発明による配置は、多孔板の下の製品の堆積を低減させ、従って、流動床冷却器の耐用年数を延ばす。同時に、製品冷却器の洗浄に関する費用及びそれに伴う流動床造粒プラントの停止時間も低減する。
【0042】
図3は、製品入口の領域における本発明の流動床冷却器の拡大された概略断面図を示している。バッフル板(5)及び分配器板(6)が、製品入口開口部(2)と多孔板(4)の間に配置されている。分配器板は、オプション構成では、開口部(8)を有している。バッフル板(5)は、上記で記載されているように、流入する製品(22)の速度を低減させ、従って、運動エネルギーを低減させる。分配器板(6)は、流体顆粒粒子で構成される流動床(23)へのより広い領域にわたる製品(22)の均一な導入をもたらす。
【0043】
図4は、製品入口の領域における本発明の流動床冷却器の好ましい実施形態の拡大された概略断面図を示している。バッフル板(5)は別として、構成は図3に記載されている構成に対応している。バッフル板(5)は、好ましくは、湾曲しており、そして、この例では、屋根形状の形態にある。湾曲した基本形状は、驚くべきことに、製品流(I)内のバッフル板(5)の安定性及び耐久性を増大させ、分配器板(6)の上に製品(22)をより均一に分配する。
【0044】
参照数字のリスト:
(1) 冷却器室
(2) 製品入口開口部
(3) 製品出口開口部
(4) 多孔板
(5) バッフル板
(6) 分配器板
(7) 冷却媒体入口開口部
(8) 開口部
(21) 空気除去開口部
(22) 製品(顆粒状材料)
(23) 流動床
(I) 造粒製品/製品流の流れ方向
(II) ガス流。
図1
図2
図3
図4