(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】高分子系固体電解質を含む電極の製造方法及びこれによって製造された電極
(51)【国際特許分類】
H01M 4/13 20100101AFI20220606BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20220606BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20220606BHJP
H01M 10/0565 20100101ALI20220606BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20220606BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/62 Z
H01M4/139
H01M10/0565
H01M10/052
(21)【出願番号】P 2020551560
(86)(22)【出願日】2019-05-03
(86)【国際出願番号】 KR2019005378
(87)【国際公開番号】W WO2019212315
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】10-2018-0051477
(32)【優先日】2018-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジュン-ピル・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジ-ヒ・アン
(72)【発明者】
【氏名】スン-ジョン・カン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ-ヒュン・イ
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/006480(WO,A1)
【文献】特開平11-067211(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0050228(KR,A)
【文献】特表平09-511615(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0027486(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/13
H01M 4/62
H01M 4/139
H01M 10/0565
H01M 10/052
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全固体電池用電極の製造方法であって、
a)電極活物質粒子、b)高分子系固体電解質、c)導電材、及びd)酸化改善用添加剤及び還元改善用添加剤のうち一つ以上の添加剤を含む電極活物質層製造用スラリーを準備する工程と、
前記スラリーを集電体の少なくとも一面にコーティングして予備電極を製造する工程と、
前記予備電極にソルベントアニーリング工程を行って電極を製造する工程と、を含
み、
前記酸化改善用添加剤が、ニトリル系酸化防止剤、ホウ素系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、メタロセン系酸化防止剤及びキノン系酸化防止剤より選択された一種以上であり、
前記還元改善用添加剤が、カーボネート系化合物、硫黄系化合物、及びリチウム塩系化合物より選択された一種以上である、全固体電池用電極の製造方法。
【請求項2】
前記高分子系固体電解質は、溶媒化したリチウム塩に高分子樹脂が添加されて形成された固体高分子電解質である、請求項
1に記載の全固体電池用電極の製造方法。
【請求項3】
前記ソルベントアニーリング工程は、前記予備電極を密閉空間に入れる段階と、
前記密閉空間が気化した溶媒で充填される段階と、
前記気化した溶媒で充填された密閉空間において、前記予備電極が保持される段階と、を含む、請求項
1または
2に記載の全固体電池用電極の製造方法。
【請求項4】
前記ソルベントアニーリング工程が1~72時間行われる、請求項
1から
3のいずれか一項に記載の全固体電池用電極の製造方法。
【請求項5】
前記溶媒は、N,N’-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド及びN,N-ジメチルホルムアミドより選択された非プロトン性溶媒;及び水、メタノール、エタノール、プロパノール、N-ブタノール、イソプロピルアルコール、デカリン、酢酸及びグリセロールより選択されたプロトン性溶媒;のうち少なくとも一つを含む、請求項
3に記載の全固体電池用電極の製造方法。
【請求項6】
前記高分子系固体電解質は、気化した有機溶媒の浸潤によって体積が膨張する、請求項
1から
5のいずれか一項に記載の全固体電池用電極の製造方法。
【請求項7】
前記気化した溶媒は、温度が15℃~200℃である、請求項
3または
5に記載の全固体電池用電極の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子系固体電解質を含む電極の製造方法及びこれによって製造された電極に関する。
【0002】
本出願は、2018年5月3日出願の韓国特許出願第10-2018-0051477号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
液体電解質を使用するリチウムイオン電池は、分離膜によって負極と正極とが区画される構造であるが、変形や外部衝撃によって分離膜が破損すると、短絡が発生してしまい、これによって発火または爆発などにつながる恐れがある。そこで、リチウムイオン二次電池の分野で安全性を確保できる固体電解質の開発は、非常に重要な課題であると言える。
【0004】
固体電解質を用いたリチウム二次電池は、電池の安全性が増大し、電解液の漏れを防止することができることから電池の信頼性が向上し、薄型の電池製作が容易であるという長所がある。また、負極にリチウム金属を使うことができ、エネルギー密度を向上させることができ、これによって小型二次電池と共に電気自動車用の高容量の二次電池などへの適用が期待され、次世代電池として脚光を浴びている。
【0005】
しかし、固体電解質を用いるリチウム二次電池は、液状電解質を用いる電池に比べてイオン伝導度が低く、特に、低温における出力特性が劣る。また、液状電解質に比べて活物質との接触がよくないことから、抵抗が増加するという問題がある。また、液状電解質を用いる電池用電極に比べて固体電解質を用いる電極は、電極内活物質の含量が低くて高エネルギー密度の達成のために活物質の割合を増加させる必要がある。また、電極活物質と直接接触する固体電解質部分は、電極活物質の酸化還元反応に影響を受け得る。固体電解質の場合、液体電解質に比べて酸化及び還元安定性及び流動性が低く、位置が固定されているため、このような影響が持続的に特定部分に累積して電解質の劣化を加速化し得る。したがって、従来の固体電解質を用いた広電圧(wide voltage)用の電池開発に制約があった。
【0006】
図1は、従来の高分子系固体電解質を含む全固体電池用電極を概略的に示した図である。
図1は、電極活物質粒子121、導電材123、高分子系固体電解質122、添加剤124の含まれたスラリーが集電体110にコーティングされた後に加圧された電極活物質層120を構成した電極100を示し、電極活物質粒子と高分子電解質との界面接触が不良で、このような電極を用いて製造された電池は制限的な容量を発現することになる。もし、活物質粒子と高分子電解質との接触面積を増加させるためにひどく加圧する場合には、活物質粒子の割れが発生するようになる。このような理由で、高分子電解質が適用された場合、液体電解液の下での電極の容量ほど充分に発現できず、設計または理論容量に比べて低い水準となる。また、液体電解液が用いられないため、電極活物質層内に含まれた酸化/還元改善用添加剤の解離度及び移動度が低いという問題点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、電極発現容量及び出力特性が向上し、かつエネルギー密度が改善した電極及びこれを含む電池を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、電極活物質や固体電解質の酸化及び/または還元反応による劣化が防止され、電気化学的安定性が改善した電極及びこれを含む電池を提供することを他の目的とする。
【0009】
また、本発明は、このような技術的特性を有する電極の製造方法を提供することをさらに他の目的とする。
【0010】
本発明の他の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、全固体電池用電極、これを含む全固体電池及び前記電極の製造方法に関する。
【0012】
本発明の第1面は、前記電極に関し、前記電極は、複数の電極活物質粒子、高分子系固体電解質及び導電材を含む電極活物質層を含み、電極活物質粒子同士の間に前記高分子系固体電解質が充填されており、前記高分子系固体電解質は膨潤性高分子電解質を含み、前記高分子系固体電解質は溶媒の浸潤によって膨潤した状態のものであり、前記電極活物質層は、気孔度が0%~18%であり、前記電極活物質層は、酸化改善用添加剤及び還元改善用添加剤のいずれか一つ以上をさらに含む。
【0013】
本発明の第2面は、前記第1において、前記高分子系固体電解質は、気化した有機溶媒の浸潤によって体積が膨張する。
【0014】
本発明の第3面は、前記第1面または第2面において、前記全固体電池用電極は、前記電極の製造時、ソルベントアニーリング工程が行われ、前記ソルベントアニーリングによって電極の気孔度が減少しており、ソルベントアニーリング工程前と工程後の気孔度の差が0.5%以上である。
【0015】
本発明の第4面は、前記第1面から第3面のいずれか一面において、前記気孔度の減少は、ソルベントアニーリング工程による高分子系固体電解質の膨潤によることである。
【0016】
本発明の第5面は、前記第1面から第4面のいずれか一面において、酸化改善用添加剤が、ニトリル系酸化防止剤、ホウ素系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、メタロセン系酸化防止剤及びキノン系酸化防止剤より選択された一種以上である。
【0017】
本発明の第6面は、前記第1面から第5面のいずれか一面において、還元改善用添加剤が、カーボネート系化合物、硫黄系化合物、及びリチウム塩系化合物より選択された一種以上である。
【0018】
また、本発明の第7面は、前記第1面から第6面のいずれか一面において、前記高分子系固体電解質は、溶媒化したリチウム塩に高分子樹脂が添加されて形成された固体高分子電解質である。
【0019】
本発明の第8面は、全固体電池に関し、前記電極は、正極、負極及び前記正極と負極との間に挟まれた固体電解質層を含み、前記正極及び負極の少なくとも一つは、第1面から第7面のいずれか一面による全固体電池用電極である。
【0020】
本発明の第9面は、全固体電池用電極の製造方法であって、前記方法は、電極活物質粒子、高分子系固体電解質及び導電材を含む電極活物質層製造用スラリーを準備する工程と、前記スラリーを集電体の少なくとも一面にコーティングして予備電極を製造する工程と、前記予備電極にソルベントアニーリング工程を行って電極を製造する工程と、を含み、前記電極活物質層は、酸化改善用添加剤及び還元改善用添加剤のいずれか一つ以上をさらに含む。
【0021】
本発明の第10面は、前記第9面において、前記高分子系固体電解質は、溶媒化したリチウム塩に高分子樹脂が添加されて形成された固体高分子電解質である。
【0022】
本発明の第11面は、前記第9面または第10面において、前記ソルベントアニーリング工程は、前記予備電極を密閉空間に入れる段階と、前記密閉空間が気化した溶媒で充填される段階と、前記気化した溶媒で充填された密閉空間において、前記予備電極が保持される段階と、を含む。
【0023】
本発明の第12面は、前記第9面から第11面のいずれか一面において、ソルベントアニーリング工程が、1~72時間行われることである。
【0024】
本発明の第13面において、前記第9面から第12面のいずれか一面において、前記溶媒は、N,N’-ジメチルアセトアミド(N,N-dimethylacetamide,DMAc)、N-メチルピロリドン(N-methyl pyrrolidone,NMP)、ジメチルスルホキシド (dimethyl sulfoxide,DMSO)及びN,N-ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide,DMF)より選択された非プロトン性溶媒;及び水、メタノール(Methanol)、エタノール(Ethanol)、プロパノール(Propanol)、N-ブタノール(n-butanol)、イソプロピルアルコール(Isopropyl alcohol)、デカリン(Decalin)、酢酸(acetic acid)及びグリセロール(Glycerol)より選択されたプロトン性溶媒;のうち少なくとも一つを含む。
【0025】
本発明の第14面は、前記第9面から第13面のいずれか一面において、前記高分子系固体電解質は、気化した有機溶媒の浸潤によって体積が膨張するものである。
【0026】
本発明の第15面は、前記第9面から第14面のいずれか一面において、気化した溶媒は、温度が15℃~200℃である。
【発明の効果】
【0027】
本発明による全固体電池用電極においては、ソルベントアニーリングによって気化した溶媒の蒸気が電極の内部まで充分浸透可能となるので、活物質層に含まれた高分子系固体電解質が膨潤するようになり、その結果、高分子系固体電解質と電極活物質粒子との接触面積が増加する。これによって、電極の発現容量が向上し、出力特性及びエネルギー密度が改善する。また、ソルベントアニーリング工程によって高分子系固体電解質内に浸潤した溶媒成分によって電解質中における酸化/還元改善用添加剤の解離度及び移動度が増加し、酸化/還元改善用添加剤の反応効率を高めることができる。その結果、電極活物質の表面に均一かつ安定的な被膜の形成が可能となり、電極活物質と電解質との副反応及び副反応による電極材料の劣化が防止され、全固体電池の寿命特性が改善される効果を奏する。
【0028】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。なお、本明細書に添付の図面における要素の形状、大きさ、縮尺または比率などは、より明確な説明を強調するために誇張され得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】電極活物質粒子、高分子系固体電解質、酸化/還元改善用添加剤及び導電材を含む従来の電極構成を概略的に示した図である。
【
図2】本発明の一実施様態によるソルベントアニーリング工程を含む方法によって製造された、電極活物質粒子、高分子系固体電解質、酸化/還元改善用の添加剤及び導電材を含む電極の構成を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0031】
なお、明細書の全体にかけて、ある部分が、ある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0032】
本明細書の全体にかけて使われる用語、「約」、「実質的に」などは、言及された意味に、固有の製造及び物質許容誤差が提示されるとき、その数値またはその数値に近接した意味として使われ、本願の理解を助けるために正確または絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に用いることを防止するために使われる。
【0033】
本明細書の全体において、「A及び/またはB」の記載は、「AまたはB、もしくはこれら全部」を意味する。
【0034】
本発明は、リチウムイオン二次電池用電極の製造方法及びその方法によって製造された電極に関する。本発明において、前記リチウムイオン二次電池は、電解質として高分子系固体電解質を用いる全固体電池(all solid-state battery)である。本発明において、前記全固体電池は、リチウムポリマー二次電池またはリチウムイオンポリマー二次電池などに称することがある。
【0035】
本発明の一実施様態において、前記電極は、複数の電極活物質粒子、高分子系固体電解質、導電材及び酸化/還元改善用の添加剤を含む電極活物質層を含み、電極活物質粒子同士の間に高分子系固体電解質が充填されており、前記高分子系固体電解質は、溶媒の浸潤によって膨潤した状態であり、これによって、リチウムイオンの移動度を増加させるように構成されており、導電材及び酸化/還元改善用の添加剤が電極活物質粒子同士の間に位置し、電極や電解質の酸化及び/または還元による劣化が防止されるように構成されている。本発明の具体的な一実施様態において、前記導電材及び酸化/還元改善用の添加剤は、高分子系固体電解質中に分散していることがある。または、高分子系固体電解質、導電材及び酸化/還元改善用の添加剤は、相互混合した混合相であり得る。
【0036】
即ち、本発明の具体的な一実施様態において、前記電極活物質層は、電極活物質粒子が主に高分子系固体電解質を介して点結着及び/または面結着して一体化している。また、導電材及び/または酸化/還元改善用の添加剤が電極活物質粒子及び高分子系固体電解質を介して点結着及び/または面結着して電極を構成している。
【0037】
また、後述するように、ソルベントアニーリングによって高分子系固体電解質の内部に溶媒成分が流入し、高分子材料が構造的に安定化して柔軟性が高くなり、これによって、電解質に含まれた酸化/還元改善用の添加剤の解離度及び移動度が増加する。このようにソルベントアニーリングによって柔軟性が増加した電解質内で前記酸化/還元添加剤は、電解質のある一部に固着または孤立せずに移動性を有し、これによって前記添加剤と電極活物質との接触頻度が増加し、添加剤の反応効率を極大化することができる。その結果、電極内で過度な酸化/還元反応が抑制されて電極材料の劣化が防止され、これによって全固体電池の寿命特性が向上する。電極活物質が持続的な充放電によって劣化して表面欠陷が発生する場合、特に、このような欠陥部分は、酸化/還元反応にさらに弱くて活物質の劣化が加速化し得る。これに対して、電極の製造時、酸化/安定改善添加剤を投入してこのような劣化を抑制することができる。しかし、固体電解質を用いる全固体電池用電極においては、添加剤が投入されても添加剤が固相の電解質内に孤立する量が多く、電極活物質の接触量が十分でないという問題があった。しかし、本発明による電極は、溶媒浸潤による電解質の膨潤及び柔軟性の増加によって添加剤の解離度及び移動度が高くなり、前述の問題を効果的に解決することができる。
【0038】
また、添加剤の活性効率が高くて電極活物質の表面で酸化及び/または還元反応が安定的に制御されるので、電極活物質の表面に安定的かつ均一な被膜が形成される。前記被膜は、電気化学反応によって電極活物質の表面に形成される不働態被膜を意味し、例えば、負極活物質の表面には、電解質の還元反応副産物であるSEI被膜(Solid Electrolyte Interphase layer)が形成され得、正極活物質の表面には電解質の酸化反応による保護膜が形成され得る。
【0039】
本発明の一実施様態において、前記高分子系固体電解質は、膨潤性高分子電解質を含み得、例えば、前記高分子系固体電解質は、この少なくとも50体積%以上、70体積%以上、80体積%以上、90体積%以上または95体積%以上が膨潤性高分子電解質であり得、または、この全部が膨潤性高分子電解質であり得る。本明細書において、前記膨潤性高分子電解質は、高分子素材を含み、有機溶媒の浸潤によって体積が膨張する特性を有するものを意味する。したがって、本発明による電極において、前記高分子系固体電解質は、溶媒の浸潤によって所定の割合で膨張(膨潤)している状態であり得る。このように活物質粒子同士の間の空間が膨潤した高分子(高分子電解質)で充填されることによって、電極活物質層の気孔度が減少し、電極活物質層内で高分子電解質と活物質粒子とが接触する面積が増加して、抵抗減少及び容量増大などの電池特性の改善効果が発揮される。
【0040】
このために、本発明による高分子系固体電解質は、ソルベントアニーリングによって膨潤される特性を有することが望ましい。また、前記高分子系固体電解質は、電極活物質粒子の表面を被覆、及び/または電極活物質粒子同士の間を充填するものであって、電位窓が広いものを用い得る。例えば、正極の場合、前記高分子系固体電解質は、酸化安定性に優れた高分子系固体電解質を用い得、負極の場合には、高分子系固体電解質として還元安定性に優れた高分子系固体電解質を用い得る。例えば、酸化安定性の面では、ポリカーボネート系高分子電解質、ポリシロキサン系高分子電解質、ホスファゼン系高分子電解質などが電解質として含まれ得、還元安定性の面では、ポリエーテル系高分子電解質が含まれ得る。
【0041】
本発明の具体的な一実施様態において、より具体的に、前記高分子系固体電解質は、ソルベントアニーリング工程によって1%超過1,000%の割合で膨潤し得、前記範囲内で、50%以上、100%以上、200%以上、300%以上、400%以上、500%以上、600%以上、700%以上または800%以上膨潤し得る。使用される高分子系固体電解質の膨潤度が前記範囲に及ばない場合には、活物質と電解質との界面接触の改善効果が低く、前記範囲よりも過度に高く膨潤する場合には、電極厚さが厚すぎて電極のエネルギー密度が低下する恐れがある。前記高分子系固体電解質の膨潤度は、高分子材料の分子量及び/または架橋度によって影響され、分子量が小さいほど、また、架橋度が低いかまたは無いほどよく膨潤する。
【0042】
通常、「膨潤」とは、物質が溶媒を吸収して体積が膨張する現象を意味する。本願の明細書において、「膨潤度」とは、高分子系固体電解質のソルベントアニーリング前(最初体積)及び後の体積を測定し、これより体積増加率を計算したものであって、下記の数式1のように表すことができる。例えば、高分子系固体電解質が100%の膨潤度を有する場合、ソルベントアニーリングされる前の体積の二倍の体積に膨張したことを意味する。本発明において、前記ソルベントアニーリングは、高分子系固体電解質が気化した有機溶媒に所定時間露出し、これによって気化した有機溶媒が電解質内に浸潤することを意味し、前記露出は、前記有機溶媒の蒸気で飽和した密閉空間で行われ、露出時間は1~72時間に制御され、温度条件は15℃~200℃の範囲内に制御され得る。本発明の一実施様態において、前記温度は前述の範囲内で30℃以上、50℃以上、80℃以上、100℃以上、120℃以上、150℃以上または170℃以上であり得、140℃以下、130℃以下、120℃以下、100℃以下または80℃以下であり得る。
【0043】
[数式1]
膨潤度(%)={(最初の高分子系固体電解質の体積-ソルベントアニーリング後の高分子系固体電解質の体積)/最初の高分子系固体電解質の体積}×100
【0044】
例えば、高分子系固体電解質においては、飽和したNMP蒸気雰囲気で、30℃の温度条件で、24時間露出したとき、数式1による膨潤度が前述の範囲内となるものを選択し得る。または、前記数式1は、既に選択された高分子系固体電解質に対して、前述の範囲の膨潤度を付与できるソルベントアニーリング条件(溶媒、温度及び/または露出時間など)を設定するためにも使用可能である。
【0045】
後述するように、本発明による全固体電池用電極は、予備電極を製造した後、ソルベントアニーリング工程が行われる。この際、高分子系固体電解質が気化した溶媒の浸潤によって膨潤し、これによって、最終的に得られる電極は予備電極に比べて気孔度が減少する。本発明の具体的な一実施様態において、最終収得された全固体電池用電極と予備電極との気孔度の差は、0.5%以上、1%以上、5%以上または10%以上であり得る。また、前記膨潤によって予備電極に比べて最終収得された全固体電池用電極の高さがより高くなり得る。
【0046】
本発明の一実施様態において、前記高分子系固体電解質としては、電極において主にリチウムイオンの伝達の役割を果たすのに望ましいイオン伝導度を示すものを用い得、例えば、イオン伝導度は10-7S/cmまたは10-4S/cm以上であり得る。
【0047】
本発明の具体的な一実施様態において、電極特性の補完及び電極活物質粒子の特性の発現のために、一種または二種以上の高分子系固体電解質を適切に使用することができる。
【0048】
本発明の一実施様態において、前記イオン伝導度は、VMP3(Bio logic science instrument)のような測定機器などを用いて電解質材料の電気化学的インピーダンス測定し、その測定結果にナイキスト線図(nyquist plot)判定法を適用する方式で確認することができる。
【0049】
本発明において、前述の高分子系固体電解質は、溶媒化したリチウム塩に高分子樹脂が添加されて形成された高分子電解質であり得る。
【0050】
前記高分子電解質は、例えば、ポリエーテル系高分子、ポリカーボネート系高分子、アクリレート系高分子、ポリシロキサン系高分子、ホスファゼン系高分子、ポリエチレン誘導体、アルキレンオキサイド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリアジテーションリシン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合体からなる群より選択された一種または二種以上の混合物を含み得るが、これらに限定されない。
【0051】
本発明の具体的な一実施様態において、前記固体高分子電解質は、高分子樹脂として、ポリエチレンオキシド(poly ethylene oxide,PEO)、ポリエチレンオキシドの主鎖に、PMMA、ポリカーボネート、ポリシロキサン(pdms)及び/またはホスファゼンのような無定形高分子を共単量体で共重合した分枝状共重合体、くし型高分子樹脂(comb-like polymer)及び架橋樹脂からなる群より選択された一種または二種以上の混合物を含み得る。
【0052】
本発明の電解質において、前述のリチウム塩は、イオン化可能なリチウム塩としてLi+X-で表すことができる。このようなリチウム塩の陰イオン(X-)としては、特に制限されないが、F-、Cl-、Br-、I-、NO3
-、N(CN)2
-、BF4
-、ClO4
-、PF6
-、(CF3)2PF4
-、(CF3)3PF3
-、(CF3)4PF2
-、(CF3)5PF-、(CF3)6P-、CF3SO3
-、CF3CF2SO3
-、(CF3SO2)2N-、(FSO2)2N-、CF3CF2(CF3)2CO-、(CF3SO2)2CH-、(SF5)3C-、(CF3SO2)3C-、CF3(CF2)7SO3
-、CF3CO2
-、CH3CO2
-、SCN-、(CF3CF2SO2)2N-などが挙げられる。
【0053】
本発明の一実施様態によれば、電極活物質層は、電極活物質粒子100重量部を基準にして、高分子系固体電解質1~100重量部を含み得る。高分子系固体電解質は、前記範囲内で、2重量部以上、10重量部以上、20重量部以上、30重量部以上、50重量部以上または70重量部以上であり、前記範囲内で、95重量部以下、90重量部以下、80重量部以下、70重量部以下、60重量部以下、50重量部以下、40重量部以下または30重量部以下で含まれ得る。前記高分子系固体電解質が前記上限値よりも多く含まれる場合には、電極内の活物質の割合が低くてエネルギー密度が低下することがある一方、前記下限値よりも少なく含まれる場合には、電極内のイオン伝導度が低下して容量発現率が低くなる。
【0054】
本発明において、前記酸化改善用添加剤(酸化防止剤または酸化安定剤)は、高分子系固体電解質の酸化を防止するか、または酸化速度を遅延する成分であれば、制限なく使用可能である。本発明の具体的な一実施様態において、前記酸化改善用添加剤は、ニトリル系酸化防止剤、ホウ素系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、メタロセン系酸化防止剤及びキノン系酸化防止剤より選択された一種以上であり得る。この非制限的な例には、プロパンスルトン(Propane sultone,PS)、プロペンスルトン(Propene sultone,PRS)、エチレンスルファート(Ethylene sulfate,ES)、コハク酸ニトリル(Succinonitrile,SN)、エチレングリコールビス(プロピオニトリル)エーテル(Ethylene Glycol Bis(propionitrile)ether)、アジポニトリル(Adiponitrile)、トリス(トリメチルシリル)ボレート(Tris(trimethylsilyl)borate,TMSB)、トリス(トリメチルシリル)ホスフェート(Tris(trimethylsilyl)phosphate)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Tris(pentafluorophenyl)borate,TPFPB)、n-ブチルフェロセン(n-butylferrocene)、リチウムビス(オキサレート)ボレート(Lithium Bis(oxalate)borate,LiBOB)などが挙げられ、こららのうち一種以上を含み得る。本発明において、前記酸化改善用添加剤は特に正極に使用可能である。
【0055】
また、本発明において、前記還元改善用添加剤(還元安定剤または還元防止剤)は、高分子系固体電解質の還元を防止するか、または還元速度を遅延する成分であれば、制限なく使用可能である。本発明の具体的な一実施様態において、前記還元改善用添加剤は、カーボネート系化合物、硫黄系化合物、リチウム塩系化合物などより選択された一種以上であり得る。この非制限的な例には、ビニレンカーボネート(VC)、カテコールカーボネート(Catechol carbonate,CC)、フルオロエチレンカーボネート(Fluoro ethylene carbonate,FEC)、ビニルエチレンカーボネート(Vinyl ethylene carbonate,VEC)、プロパンスルトン(Propane sultone,PS)、グリコールサルファイト(Glycol sulfite,GS)、エチレングリコールビス(2-シアノエチル)エーテル(Ethylene glycol bis(2-cyanoethyl)ether,LiBF4)、リチウムビス(オキサレート)ボレート(Lithium Bis(oxalate)borate,LiBOB)、リチウムオキサリルジフルオロボレート(Lithium Oxalyldifluoroborate,LiODFB)などが挙げられ、これらのうち一種以上を含み得る。また、本発明において、前記還元改善用添加剤は、特に負極に使用可能である。
【0056】
本発明の一実施様態によれば、電極活物質層は、電極活物質粒子100重量部を基準で酸化改善用添加剤及び還元改善用添加剤を各々独立的に0.1~5重量部で含み得る。前記添加剤の量が前記範囲から超過しすぎる場合には、抵抗の増加によってかえってイオン伝導度が低下し、電極内の電極活物質の含量が減少してエネルギー密度の減少をもたらし得る。もし、前記添加剤の量が前記範囲に及ばない場合には、所望の酸化及び/または還元安定性の改善効果が微々たることがある。
【0057】
前記酸化/還元改善用添加剤は、ソルベントアニーリングによって解離度及び移動度が増加するようになり、これによって、電極活物質との接触面積が増大して活物質表面の欠陥において固体電解質との副反応が抑制され、添加剤との反応によって安定した被膜を形成するようになり、電極における酸化または還元をより効果的に防止することができる。これに対して、全固体電池用電極を製造する過程で溶媒を投入する場合には、電極の接着力が低くて電極の脱離が起こり、既存のように何の処理もしない場合には、添加剤の解離度及び移動度が低くて反応量が少ないため、ソルベントアニーリングに比べてセル性能の改善効果が大きくない。
【0058】
固体である状態に比べて、溶媒に露出する場合、液状で存在することで解離度が大きくなり、これによって移動度も高くなる。
【0059】
本発明において、導電材は、当該電池に化学的変化を誘発せず、かつ導電性を有するものであれば、特に制限されない。例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;気相成長炭素繊維(VGCF:Vapor grown carbon fiber)のような炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウイスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの伝導性素材より選択された一種または二種以上の混合物を含み得る。
【0060】
本発明の一実施様態によれば、電極活物質層は、電極活物質層100重量%を基準で、導電材を0~30重量%の範囲内で含み得る。本発明の具体的な実施様態によれば、導電材は、前記範囲内で、0.5重量%以上、1重量%以上、または3重量%以上、または5重量%以上の範囲で含まれ、また、15重量%以下、10重量%以下、7重量%以下または5重量%以下で含まれ得る。例えば、導電材は、電極活物質層100重量%に対し、0.5~5重量%の範囲で含まれ得る。導電材が前記上限値よりも多く含まれる場合には、活物質の割合が低くてエネルギー密度が減少し、前記下限値よりも少なく含まれる場合には、所望する水準の電子伝導度に及ばず、容量発現率が低下する。
【0061】
本発明において、前記電極は、負極及び正極のいずれか一つであり得る。前記電極が負極である場合、電極活物質は、リチウムイオン二次電池の負極活物質として使用可能な物質であれば、いずれも使用可能である。例えば、前記負極活物質は、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素;LixFe2O3(0≦x≦1)、LixWO2(0≦x≦1)、SnxMe1-xMe’yOz(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si、周期表の1族、2族、3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;ケイ素系合金;スズ系合金;SnO、SnO2、PbO、PbO2、Pb2O3、Pb3O4、Sb2O3、Sb2O4、Sb2O5、GeO、GeO2、Bi2O3、Bi2O4及びBi2O5などの金属酸化物;ポリアセチレンなどの導電性高分子;Li-Co-Ni系材料;チタン酸化物;リチウムチタン酸化物などより選択された一種または二種以上を用い得る。具体的な一実施様態において、前記負極活物質は、炭素系物質及び/またはSiを含み得る。
【0062】
前記電極が正極である場合、前記電極活物質は、リチウムイオン二次電池の正極活物質に使用可能なものであれば、制限なく使用できる。この非制限的な例で、前記正極活物質は、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)などの層状化合物や一つまたはそれ以上の転移金属に置き換えられた化合物(Li1+a[NixMnyCo(1-x-y)]MzO2、前記式で、0≦a≦0.2であり、0.4≦x≦0.9であり、0<x+y<1であり、Mは、Co、Mn、Ni、Al、Fe、V、Cr、Ti、Ta、Mg、Mo、Zr、W、Sn、Hf、Nd及びGdからなる群より選択される一つ以上の元素であり、0≦z≦0.1である。);化学式Li1+xMn2-xO4(ここで、xは、0~0.33である。)、LiMnO3、LiMn2O3、LiMnO2などのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(Li2CuO2);LiV3O8、LiV3O4、V2O5、Cu2V2O7などのバナジウム酸化物;化学式LiNi1-xMxO2(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、x=0.01~0.3である。)で表されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn1-xMxO2(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、x=0.01~0.1である。)、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2またはLi2Mn3MO8(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZnである。)で表されるリチウムマンガン複合酸化物;LiNixMn2-xO4で表されるスピンネル構造のリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土類金属イオンに置き換えられたLiMn2O4;ジスルフィド化合物;Fe2(MoO4)3などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
本発明の一実施様態において、前記正極及び/または負極活物質は、粒径が約0.01μm~50μmであり、複数の粒子が凝集した二次粒子の形態を有し得る。
【0064】
前記電極活物質層は、集電体の少なくとも一面上に形成され得る。また、前記電極は、必要に応じてバインダー樹脂をさらに含み得る。
【0065】
本発明において、前記バインダー樹脂は、活物質と導電材などとの結合と、集電体に対する結合に助かる成分であれば、特に制限されない。例えば、ポリフッ化ビニリデンポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、でん粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体などが挙げられる。前記バインダー樹脂は通常、電極活物質層100重量%に対し、1~30重量%または1~10重量%の範囲で含まれ得る。
【0066】
本発明の一実施様態において、前記電極は、電極の物理化学的特性の補完や改善の目的で多様な添加剤をさらに含み得る。前記添加剤は特に限定されないが、難燃剤、熱安定剤、かぶり防止剤(antifogging agent)などのような添加剤を一種以上含み得る。
【0067】
本発明において、前記集電体は、金属板など電気伝導性を有するものであって、二次電池分野における公知の集電体電極の極性に応じて適切に使用することができる。また、集電体の厚さは、約1μm~50μmの範囲内で適切に調節できる。
【0068】
本発明の具体的な一実施様態において、最終的に得られた電極活物質層の気孔度は、0~18%の範囲で適切に選択し得る。本発明の一実施様態において、前記気孔度は、1%以上、3%以上、5%以上、7%以上、10%以上、15%以上または17%以上であり得、18%以下、15%以下、10%以下、7%以下または5%以下であり得、例えば、1~15%または5~18%である。全固体電池は、電解質が液相でなく固相であるため、気孔度が低いほど電極活物質と固体電解質材料との接触面積が増加し、相互密に接触するようになり、所望する水準のイオン伝導度を発揮できる。本発明の一実施様態において、前記全固体電池用電極の気孔度は、所望するイオン伝導度を発揮できながら、小さいほど望ましい。
【0069】
用語「気孔度(porosity)」は、ある構造体において全体体積に対して気孔が占める体積の割合を意味し、その単位として%を使い、空隙率、多孔度などの用語と相互交換的に使用し得る。本発明において、前記気孔度の測定は特に限定されず、例えば、窒素気体を用いたBET(Brunauer-Emmett-Teller)測定法または水銀浸透法(Hg porosimeter)によって測定することができる。または、本発明の一実施様態において、収得された電極(電極活物質層)の密度(見掛け密度)、電極(電極活物質層)に含まれた材料の組成比及び各成分の密度から電極活物質層の真密度を計算し、見掛け密度(apparent density)と真密度(true density)との差から電極活物質層の気孔度を計算することができる。
【0070】
続いて、前述の特徴を有する電極の製造方法について説明する。以下に説明される製造方法は、本発明による電極の製造時に採用可能な多様な方法の一つであって、これに限定されない。
【0071】
まず、電極活物質粒子、高分子系固体電解質、導電材及び前記添加剤を含む電極活物質層製造用スラリーを準備する(S1)。
【0072】
このために、高分子系固体電解質、酸化/還元改善用添加剤及び導電材を含む混合物を準備する。前記高分子系固体電解質は、まず、高分子樹脂及びリチウム塩を高温溶融して準備した溶融ブレンド物の形態で提供されるか、または高分子樹脂及びリチウム塩が有機溶媒に均一に分散した溶液の形態で提供され得る。その後、前記ブレンド物や溶液に、酸化/還元改善用添加剤及び導電材を添加して混合することで、混合物を準備することができる。前記混合物は、必要に応じてバインダー樹脂をさらに含み得る。これに、電極活物質粒子を追加及び混合して電極活物質層製造用スラリーを準備する。前記スラリーにおいて、電極活物質、高分子系固体電解質、導電材及び添加剤の含量は、前述の内容を参照できる。
【0073】
但し、前述のスラリーの準備方法は例示的な方法であって、前述した内容に限定されない。特に、スラリー構成成分の投入または混合順序は、投入される成分の物理化学的性質及び収得しようとする電極や電池の特性などを考慮して変わり得る。例えば、高分子系固体電解質、酸化/還元改善用添加剤、導電材及び電極活物質が溶媒のような分散媒に異時投入されるか、または他の実施様態においては同時投入され得る。
【0074】
次に、前記スラリーを集電体の少なくとも一面にコーティングして予備電極を製造する(S2)。本明細書において、前記予備電極は、ソルベントアニーリングが適用されていない状態の電極を意味する。
【0075】
前記コーティングは、前記スラリーを集電体の少なくとも一面に塗布し、乾燥した後、必要に応じて加圧する方式で行われ得る。前記塗布は、ドクターブレードやスロットダイコーティングなど、通常のスラリー塗布方法を用いることができる。その後、塗布された前記スラリーを乾燥した後、必要に応じて加圧工程を行う。前記加圧工程は、電極活物質層が適切な気孔度を有するように構成物質をパッキング(packing)することであって、特定の方法に限定されない。例えば、ホットプレスや圧延などの公知の加圧方法を適切に選択して行うことができ、必要に応じて加熱または冷却などをして、適切な温度条件に制御することができる。
【0076】
続いて、得られた予備電極に対してソルベントアニーリング工程が行われる(S3)。
【0077】
前記ソルベントアニーリングにおいて、高分子系固体電解質が気化した有機溶媒に露出し、前記気化した溶媒が固体電解質内に浸潤して電解質の体積が膨張する。前記ソルベントアニーリング工程は、電極を密閉空間(例えば、チャンバ(chamber))に入れる段階と、前記密閉空間が気化した溶媒で充填される段階と、気化した溶媒で充填された密閉空間で、前記電極が所定時間保持される段階と、を含み得る。
【0078】
前記保持段階において、気化した溶媒は、電極の高分子系固体電解質内に浸透して高分子系固体電解質が膨潤する。本発明の具体的な一実施様態において、前記密閉した空間の充填は、前記チャンバと管を介して連結された別の空間で溶媒を気化させ、気化した溶媒をチャンバに注入する方法で行われ得る。または、別に準備した容器に液状溶媒を入れて、これをチャンバに入れて加熱することで、前記溶媒をチャンバ内で直接気化させる方法で行われ得る。この際、液状の溶媒と電極とが直接接触しないように所定間隔で離隔することが望ましい。
【0079】
一方、電極を密閉空間(例えば、チャンバ)に入れる段階と、前記密閉空間が、気化した溶媒で充填される段階の順序は必要に応じて変わり得る。例えば、電極をチャンバに入れる前、気化した溶媒で予めチャンバを充填して準備できる。即ち、本発明の一実施様態において、前記気化は、溶媒の蒸気圧や沸点を考慮して約15℃~200℃の温度範囲で行われ得る。例えば、約20℃~30℃の常温条件で行われるか、または、加温してこれよりも高い温度条件、例えば、約200℃以下の温度条件で行われ得る。即ち、本発明の一実施様態において、前記気化した溶媒の温度は約15℃~200℃であり得、前記温度範囲に気化した溶媒で充填したチャンバで所定時間ソルベントアニーリングが行われ得る。
【0080】
本発明の一実施様態において、チャンバなどソルベントアニーリングが行われる前記密閉空間は、気化した溶媒で飽和すべきである。このために、密閉空間が溶媒蒸気圧以上になるように維持する。本発明の一実施様態において、気化溶媒をソルベントアニーリングが終わるまで注入し続けるか、または液状溶媒をチャンバに共に入れて加熱する場合には、ソルベントアニーリング工程が完了するまで全ての溶媒が気化せずに残量の溶媒が残るように過量の溶媒を投入する。使用される溶媒の量は、電極に使用された高分子系固体電解質の量(体積または重量)及び/またはチャンバの大きさなどを考慮して決定し得る。例えば、溶媒としてNMPを用いる場合、チャンバの大きさが約300mlであり、130℃で24時間ソルベントアニーリングが行われる場合には、NMPが約300μlが投入され得る。
【0081】
本発明の具体的な一実施様態において、ソルベントアニーリングに使われる溶媒は、電極に適用されたときに電極の劣化をもたらさないなど、化学的に安定したものであれば、特に制限なく使用可能である。例えば、電気化学素子用電解液として使用可能な溶媒より選択して使用することができ、例えば、線状または分枝状カーボネート、線状エステル、エーテルなどより選択された一種以上を含み得る。この非制限的な例として、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーネート(DPC)、メチルプロピオネート(MP)、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ビニレンカーボネート(VC)、γ-ブチロラクトン(GBL)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ペンチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、などが挙げられる。また、N,N’-ジメチルアセトアミド(N,N-dimethylacetamide,DMAc)、N-メチルピロリドン(N-methyl pyrrolidone,NMP)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide,DMSO)及びN,N-ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide,DMF)、TFH、アセトニトリル(acetonitrile)、ベンゼン(benzene)、ブチルアセテート(butyl acetate)、クロロホルム(chloroform)、シクロヘキサン(cyclo hexane)、1,2-ジクロロエタン(1,2-dichloroethane)、エチルアセテート(ethyle acetate)、ジエチルエーテル(Di-ethyl ether)、ヘキサン(hexane)、ヘプタン(heptane)、ペンタン(pentane)、キシレン(xylene)、トルエン(toluene)より選択された非プロトン性溶媒;及び水、メタノール(Methanol)、エタノール(Ethanol)、プロパノール(Propanol)、N-ブタノール(n-butanol)、イソプロピルアルコール(Isopropyl alcohol)、デカリン(Decalin)、酢酸(acetic acid)及びグリセロール(Glycerol)より選択されたプロトン性溶媒;のうち少なくとも一つを含み得る。
【0082】
また、ソルベントアニーリング時間は、1~72時間の範囲であり、前記時間は、適切な範囲に制御することができる。例えば、前記時間は、前記範囲内で、2時間以上、10時間以上、20時間以上、30時間以上もしくは50時間以上であり得、または、前記範囲内で、65時間以下、60時間以下、50時間以下、40時間以下または30時間以下であり得る。
【0083】
アニーリング温度及び圧力が前記範囲内である場合、溶媒揮発によるソルベントアニーリングが効率的に行われる。また、アニーリング時間が前記提示された時間よりも長く行われる場合には、電極工程時間が長くなって生産性が低下し、前記提示された時間よりも短く行われる場合には、電極を構成する高分子系固体電解質が均一に膨潤しない恐れがある。
【0084】
一方、本発明の一実施様態において、ソルベントアニーリングが完了した後、気孔度の調節のために追加的に加圧工程が行われ得る。
【0085】
前記方法によって得られた電極においては、高分子系固体電解質が溶媒の浸潤によって膨潤して電極活物質層内に充填されており、これによって、活物質粒子が高分子系固体電解質、酸化/還元改善用添加剤及び導電材と密に面結着及び点結着しており、一体化した電極構造を示す。
【0086】
前述の方法によって得られた電極は、全固体電池用電極組立体及び/または全固体電池の製造工程に提供でき、この際、固体電解質がアニーリングによって膨潤した状態を維持しながら後続工程に投入されることが望ましい。
【0087】
図1は、従来の電極製造方法によって製造された電極の構成を概略的に示した図である。従来の電極の製造方法は、活物質、酸化/還元改善用添加剤、高分子系固体電解質及び導電材を一緒に混合して電極スラリーを製造した後、これを集電体にコーティングする方式で製造された。
【0088】
この場合、電極活物質と固体電解質とが密着せず、接触面積が小さくて、電極活物質と固体電解質との電気化学反応サイトを充分確保できず、これによって、容量低下、出力特性の低下、イオン伝導度の低下、界面抵抗の増加など、電池性能が充分発現されないという問題がある。このような問題を解消するために、電極をコーティングした後、高い圧力条件下で電極表面を圧延して電極活物質と高分子系固体電解質との接触面積を増加させる圧延工程が必要となった。しかし、加圧工程時に印加された高い圧力によって活物質が壊れ、電池容量が低下するか、または寿命特性が低下するという問題があった。
【0089】
図2は、本発明の一実施様態による電極を概略的に示した図である。これを参照すれば、集電体210の一面に電極活物質層220が形成されており、ソルベントアニーリング工程で浸透したソルベント蒸気によって、電極活物質層220内の高分子電解質222が全体的に均一に膨潤し、電極活物質と電解質とがさらに密着して電気化学反応サイトの面積が増加する。また、これによって、導電材223と酸化/還元改善用添加剤224とが、電極活物質粒子221の表面の近くに位置して、電気化学的反応に関与する割合が高くなるので、その結果、酸化/還元改善用添加剤の解離度及び移動度が増加し、導電材の使用量が低減する。また、電極圧延時、苛酷な圧力を印加しなくても固体電解質と電極活物質とがよく密着して反応サイトを充分確保することができるため、加圧による電極の劣化を防止することができる。そして、リチウムイオン移動度を増加させて活物質の容量発現を高めることができる。
【0090】
また、本発明は、前記電極を少なくとも一つ以上含むリチウムイオン二次電池を提供する。前記電池は、正極、負極及び前記正極と負極との間に挟まれた固体電解質膜を備え、前記負極及び正極の少なくとも一つは、本発明によるものであって、前述した特徴を有する。
【0091】
本発明において、前記固体電解質膜は、負極と正極との間に挟まれ、負極と正極とを電気的に絶縁すると共に、リチウムイオンを通過させる役割を果たす。前記固体電解質膜は、通常、全固体電池分野において使用される固体電解質膜に使われるものであれば、いずれも使用可能であり、特に限定されない。本発明の具体的な一実施様態において、前記固体電解質膜は、フィルムや膜の形状で設けられたものであって、電極の間に介在されるもの(free-standing type)や電極の上に膜やフィルムの状態でコーティングされた形態のものであり得る。
【0092】
本発明の一実施様態において、前記固体電解質膜は、本発明による電極で使われた固体電解質成分の少なくとも一つ以上を含み得る。また、前記固体電解質膜は、前述の高分子固体電解質成分とは独立的に、またはこれと共に無機系固体電解質成分を含み得る。前記無機固体電解質は、硫化物系固体電解質及び酸化物系固体電解質より選択された一種以上のものであって、全固体電池用固体電解質として通常使用されるものであれば、その成分は特に限定されない。
【0093】
また、本発明は、前記二次電池を単位電池として含む電池モジュール、前記電池モジュールを含む電池パック、及び前記電池パックを電源として含むデバイスを提供する。
【0094】
この際、前記デバイスの具体的な例としては、電気モーターによって動力を受けて動くパワーツール(power tool);電気自動車(Electric Vehicle,EV)、ハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle,HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle,PHEV)などを含む電気車;電気自転車(E-bike)、電気スクーター(E-scooter)を含む電気二輪車;電気ゴルフカート(electric golf cart);電力貯蔵用システムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
以下、実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記の実施例は本発明を例示するだけで、本発明の範疇がこれによって限定されることではない。
【0096】
実施例:電極及び電池の製造
実施例1
(1)電極の製造
スラリーの製作のために、電極活物質としてNCM811(LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2)、導電材として気相成長炭素繊維(VGCF:Vapor grown carbon fiber)、高分子固体電解質(PEOとLiFSI((LiCF3SO2)2N)の混合物、PEO:LiFSIのモル比[EO]:[Li+]=20:1)及び酸化改善用添加剤としてコハク酸ニトリル(SN)を、80:3:16:1の重量比で混合し、アセトニトリルに投入して撹拌することで電極スラリーを製造した。厚さが20μmであるアルミニウム集電体を準備した。前記スラリーをドクターブレードを用いて前記集電体に塗布し、その結果物を120℃で4時間真空乾燥した。ロールプレス装置を用いて圧延工程を行い、2mAh/cm2の電極ローディング、電極活物質層の厚さが48μm、気孔度が22%である電極を得た。
【0097】
続いて、前記電極をチャンバ(300ml)に入れ、NMP 300μlを前記電極に接触しないようにして前記チャンバに共に入れた。前記チャンバを密閉し、60℃で24時間保持してソルベントアニーリングした。これによって、最終電極の電極活物質層の気孔度が10%である電極を製造した。前記気孔度とは、全体積に対して気孔が占める体積(気孔体積)の割合を意味し、各電極活物質層の体積及び質量から計算された見掛け密度と投入成分の組成比及び各成分の密度から計算された真密度を算出し、これらより得られた気孔体積などを用いて計算された。
(2)電池の製造
前記(1)で製造された電極を1.4875cm2の円形に打ち抜けて準備した。1.7671cm2の円形に切断したリチウム金属薄膜を対向電極として準備した。この二つの電極の間に50μm厚さの個体電解質膜(PEOとLiFSIとの混合物、PEO:LiFSIのモル比[EO]:[Li+]=20:1)を介在してコイン型ハーフセル(coin type half-cell)を製造した。
【0098】
実施例2
スラリーの製作のために、電極活物質としてNCM811(LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2)、導電材としてVGCF、高分子固体電解質(PEOとLiFSI((LiCF3SO2)2N)の混合物、PEO:LiFSIのモル比[EO]:[Li+]=20:1)及び酸化改善用添加剤としてコハク酸ニトリル(SN)を、80:3:15:2の重量比にしたことを除いては、実施例1と同様にして電極及びセルを製作した。
【0099】
実施例3
実施例2で製作された電極を、100℃で6時間ソルベントアニーリングを行ったことを除いては、実施例1と同様にして電極及びセルを製作した。
【0100】
比較例1
電極活物質としてNCM811(LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2)、導電材としてVGCF及び高分子固体電解質を80:3:17の重量比で混合し、アセトニトリルに投入し撹拌することで電極スラリーを製造したことを除いては、実施例1と同様の方法で電極及び電池を製作した。ソルベントアニーリング前に得られた電極活物質層の気孔度は22%であり、ソルベントアニーリング後に得られた電極活物質層の気孔度は12%であった。
【0101】
比較例2
ソルベントアニーリング工程を行わなかったことを除いては、実施例1と同様の方法で電極及び電池を製作した。収得した電極活物質層の気孔度は22%であった。
【0102】
実験1.初期放電容量及び寿命特性の評価
実施例1~3、並びに比較例1及び2の電池に対し、持続的な充電(Continuous Charge)を行い、電極内の副反応時間を評価した。評価は、60℃で0.05Cで4.25VまでCC充電し、その後、CV条件で持続的に電流を印加して評価した。製作された電池内の副反応による電流向上時間を確認し、下記の表1に示した。
【0103】
【0104】
使用された固体電解質膜は、PEO系であって4V以上の高電圧で安定性が劣るが、実験条件による有意味な差を確認することはできた。添加剤が含まれた電極の場合、含まれていない電極に比べて約10%以上の改善が、ソルベントアニーリング工程が加えられた場合、約30%の改善が確認された。このことから、添加剤がソルベントアニーリングによって十分効果を発現するといえる。