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  • 特許-タッチパネル及びタッチデバイス 図1
  • 特許-タッチパネル及びタッチデバイス 図2
  • 特許-タッチパネル及びタッチデバイス 図3A
  • 特許-タッチパネル及びタッチデバイス 図3B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】タッチパネル及びタッチデバイス
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20220606BHJP
【FI】
G06F3/041 430
G06F3/041 420
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021029831
(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2022068085
(43)【公開日】2022-05-09
【審査請求日】2021-02-26
(31)【優先権主張番号】202011129432.4
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519308156
【氏名又は名称】ティーピーケイ アドバンスド ソリューションズ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】TPK ADVANCED SOLUTIONS INC
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ リーフアン
(72)【発明者】
【氏名】ディン ジージュン
(72)【発明者】
【氏名】シュー ユングオ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ジアンフア
(72)【発明者】
【氏名】ルー リーデー
【審査官】円子 英紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-166889(JP,A)
【文献】特開2008-233976(JP,A)
【文献】特開2007-018226(JP,A)
【文献】特開2004-355181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視領域及び前記可視領域を取り囲む境界領域を有する基板と、
前記基板上に配置され、前記境界領域に配置され、少なくとも1つの凹部を有する周辺回路層であって、前記基板とは反対側に面した前記周辺回路層の表面上に配置された前記凹部を有する前記周辺回路層と、
前記可視領域に配置され、少なくとも前記凹部を覆うように一部が前記境界領域に延在する接触検知電極層であって、前記凹部の内部に延在する少なくとも1つの進入部を有する接触検知電極層と、
を備えたタッチパネル。
【請求項2】
前記凹部の垂直方向深さは、前記周辺回路層の垂直方向厚さよりも小さい、
請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記凹部は、底面と、前記底面に隣接して接続され、収容空間を囲む側壁とを含む、
請求項1または2に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記進入部は、前記収容空間に収容され、前記底面及び前記側壁に接触する、
請求項3に記載のタッチパネル。
【請求項5】
前記凹部の垂直方向深さは、前記周辺回路層の垂直方向厚さに等しい、
請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項6】
前記凹部は、収容空間を取り囲む側壁を含み、前記側壁は、前記周辺回路層に面した前記基板の表面に隣接して接続されている、
請求項5に記載のタッチパネル。
【請求項7】
前記進入部は、前記収容空間に収容され、前記周辺回路層及び前記側壁に面した前記基板の表面に接触する、
請求項6に記載のタッチパネル。
【請求項8】
前記接触検知電極層は、マトリックス及び前記マトリックス内に分散された複数の金属ナノ構造を含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載のタッチパネル。
【請求項9】
前記マトリックス中の前記金属ナノ構造の密度は、10%から50%の間である、
請求項8に記載のタッチパネル。
【請求項10】
前記周辺回路層は、金属材料を含み、前記金属材料の反応性は、前記金属ナノ構造の反応性よりも高い、
請求項8または9に記載のタッチパネル。
【請求項11】
前記接触検知電極層は、前記周辺回路層の縁部を形成する側壁と接触している、
請求項1~10のいずれか1項に記載のタッチパネル。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のタッチパネルを含むタッチデバイス。
【請求項13】
前記タッチデバイスは、ディスプレイ、携帯電話、ノートブック、タブレット、ウェアラブル機器、自動車機器または偏光子を含む、
請求項12に記載のタッチデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タッチパネル及びタッチデバイスに関するものであり、特に、オーバーラップ構造を有するタッチパネル及びタッチデバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネルは、携帯電話、ノートブックコンピュータ、衛星ナビゲーションシステム及びデジタル視聴覚プレーヤーなどの携帯型電子製品において、ユーザと電子デバイスとの間の情報通信チャネルとして機能するために広く使用されている。
【0003】
タッチパネルは、接触電極と周辺回路を含み、接触電極と周辺回路とは、通常、周辺領域で互いに接触して、導電経路またはループを形成し、接触インピーダンスがタッチパネルの信号伝送及び応答速度に影響を及ぼす。接触インピーダンスは、接触電極と周辺回路との間で重なり合う重なり面積に依存する。一般に、重なり面積が大きくなると、接触インピーダンスは低くなる。ただし、重なり面積は、タッチパネルの周辺領域の大きさに直接影響する。狭幅ベゼル製品の需要が徐々に高まる中で、周辺領域のサイズ要件を満たすだけでなく、接触インピーダンスの要件も満たすことができるタッチパネルが検討されている。
【発明の概要】
【0004】
本開示のいくつかの実施形態によれば、タッチパネルは、基板、周辺回路層、及び接触検知電極層を備える。基板は、可視領域と、可視領域を囲む境界領域とを有する。周辺回路層は、基板上に配置され、境界領域に配置され、少なくとも1つの凹部を有し、凹部は、基板とは反対側に面した周辺回路層の表面上に配置される。接触検知電極層は、可視領域に配置され、少なくとも凹部を覆うように、一部が境界領域まで延在する。接触検知電極層は、凹部の内部に延在する少なくとも1つの進入部を有する。
【0005】
いくつかの実施形態では、凹部の垂直方向深さは、周辺回路層の垂直方向厚さよりも小さい。
【0006】
いくつかの実施形態では、凹部は、底面と、底面に隣接して接続され、収容空間を囲む側壁とを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、進入部は、収容空間に収容され、底面及び側壁に接触する。
【0008】
いくつかの実施形態では、凹部の垂直方向の深さは、周辺回路層の垂直方向の厚さに等しい。
【0009】
いくつかの実施形態では、凹部は、収容空間を取り囲む側壁を含み、側壁は、周辺回路層に面した基板の表面に隣接して接続される。
【0010】
いくつかの実施形態では、進入部は、収容空間に収容され、周辺回路層及び側壁に面した基板の表面に接触する。
【0011】
いくつかの実施形態では、接触検知電極層は、マトリックス及びマトリックス内に分散された複数の金属ナノ構造を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、マトリックス中の金属ナノ構造の密度は、10%から50%の間である。
【0013】
いくつかの実施形態では、周辺回路層は、金属材料を含み、金属材料の反応性は、金属ナノ構造の反応性よりも高い。
【0014】
いくつかの実施形態では、接触検知電極層は、周辺回路層の側壁と接触している。
【0015】
本開示のいくつかの他の実施形態によれば、タッチデバイスは、前述のタッチパネルを含む。
【0016】
本開示のいくつかの実施形態では、タッチデバイスは、ディスプレイ、携帯電話、ノートブック、タブレット、ウェアラブル機器、自動車機器、または偏光子を含む。
【0017】
本開示の前述の実施形態によれば、タッチパネルは、凹部を有する周辺回路層と、進入部を有する接触検知電極層とを備える。接触検知電極層は、周辺回路層の一部を覆うように延びており、進入部が凹部(進入部は凸部とみなすことができる)内に延びており、進入部の形状と、凹部の形状とは、相補的で互いに整合しており、周辺回路層と接触検知電極層との重なり面積を大きくすることができ、周辺回路層と接触検知電極層との間の電気的重なり安定性を向上させる。また、周辺回路層と接触検知電極層との材料の組み合わせにより、周辺回路層と接触検知電極層との間の電気的重なり安定性も向上させることができる。その結果、タッチパネルの境界領域の横幅を狭くして、狭幅ベゼル製品に対するユーザのニーズを満たすことができます。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本開示は、以下の添付の図面を参照しながら、実施形態の以下の詳細な説明を読むことによって、より完全に理解することができる。
【0019】
図1】本開示のいくつかの実施形態によるタッチパネルを示す概略上面図である。
【0020】
図2図1のタッチパネルの領域R1を示す概略部分拡大図である。
【0021】
図3A】本開示のいくつかの実施形態による、図2のタッチパネルを線a~a‘に沿って示す概略断面図である。
【0022】
図3B】本開示のいくつかの実施形態による、図2のタッチパネルを線a~a‘に沿って示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本開示の本実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。可能な限り、同じまたは類似の部品を参照するために、図面及び説明で同じ参照番号が使用される。
【0024】
さらに、図に示すように、「下」または「底」及び「上」または「頂上」などの相対的な用語を使用して、ある要素と別の要素との間の関係を説明することができる。相対的な用語は、図に示されているもの以外のデバイスの異なる方向を含むことを意図していることを理解されたい。例えば、ある図のデバイスをひっくり返した場合、他の要素の「下」側にあると説明されている要素は、他の要素の「上」側に向けられる。したがって、例示的な用語「下」は、図面の特定の向きに応じて、「下」及び「上」の向きを含み得る。同様に、1つの図のデバイスをひっくり返すと、他の要素の「下」にある要素は、他の要素の「上」に配置される。したがって、例示的な用語「下」は、「上」及び「下」の向きを含むことができる。
【0025】
本開示は、タッチパネルの周辺回路層が凹部を有し、タッチパネルの接触検知電極層が進入部を有するタッチパネルを提供する。接触検知電極層は、周辺回路層の一部を延在して覆い、進入部が凹部に延在し、進入部の形状と凹部の形状とが相補的で一致しているため、周辺回路層と接触検知電極層とが重なり合う重なり面積を大きくすることで、周辺回路層と接触検知電極層との電気的重なり安定性を向上させることができる。その結果、タッチパネルの境界領域の横幅を狭くして、狭いベゼル製品に対するユーザのニーズを満たすことができます。
【0026】
図1は、本開示のいくつかの実施形態によるタッチパネル100を示す概略上面図である。図2は、図1のタッチパネル100の領域R1を示す概略部分拡大図である。図1及び図2を参照する。タッチパネル100は、基板110、周辺回路層120及び接触検知電極層130を備える。基板110は、水平面(例えば、X軸とY軸によって形成される平面)に沿って延び、可視領域VR及び可視領域VRを取り囲む境界領域BRとを有する。本実施形態における接触検知電極層130は、X軸に延びる電極を含むように示されているが、接触検知電極層130は、また、実際の設計において、Y軸に延びる電極を含み得る。さらに、接触検知電極層130の電極パターンは、本開示に限定されない。
【0027】
いくつかの実施形態では、基板110は、例えば、剛性の透明な基板または可撓性の透明な基板であり得る。いくつかの実施形態では、基板110の材料は、ガラス、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、無色ポリイミドなどの透明材料またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、前処理ステップは、基板110の表面上で実行され得る。例えば、表面改質プロセスが実行されるか、または接着層または樹脂層が、基板110と他の層(例えば、基板110上の周辺回路層120及び接触検知電極層130)との間の接着を強化するために基板110の表面上方に追加的にコーティングされる。
【0028】
周辺回路層120は、基板110上に配置され、境界領域BRに配置される。接触検知電極層130は、基板110上の可視領域VRに配置され、周辺回路層120の一部を覆うように部分的に境界領域BRまで延びる。いくつかの実施形態では、周辺回路層120及び接触検知電極層130は、基板110上に順次積み重ねられて、境界領域BRに位置するオーバーラップ構造200を形成する。
【0029】
いくつかの実施形態では、接触検知電極層130は、周辺回路層120とオーバーラップしてオーバーラップ領域を画定し、オーバーラップ領域は、重なり合う面積を有する。本実施形態では、オーバーラップ領域は、上面図(すなわち、図2の視野角)における四辺形領域である。より具体的には、この実施形態におけるオーバーラップ領域は、上面図において長さL1及び幅W1によって形成される四辺形領域である。
【0030】
タッチパネル100の動作時には、可視領域VRに位置する接触検知電極層130は、ユーザのタッチ運動を検知して接触検知信号を生成することができ、境界領域BRに位置する周辺回路層120に、オーバーラップ構造200における接触検知電極層130と周辺回路層120との間の重なり合う接触を介して、接触検知信号をさらに送信して、後続の信号処理を行うことができる。以下の説明において、本開示のオーバーラップ構造200をより詳しく説明する。
【0031】
図3Aは、本開示のいくつかの実施形態による、図2のタッチパネル100を線a~a‘に沿って示す概略断面図である。図3Aの線a~a‘に沿った断面は、本開示のオーバーラップ構造200の断面であることを理解されたい。すなわち、図3Aは、図2のタッチパネル100のオーバーラップ構造200を示す概略断面図である。図2及び図3Aを参照する。オーバーラップ構造200は、基板110の境界領域BRに位置し、周辺回路層120及び接触検知電極層130を含む。周辺回路層120は、基板110上に配置され、基板110に接触する。接触検知電極層130は、基板110上に配置され、周辺回路層120の一部を覆って接触し、周辺回路層120と電気的に接続されている。
【0032】
いくつかの実施形態では、周辺回路層120は、少なくとも1つの凹部122を有することができ、凹部122は、基板110とは反対側に面した周辺回路層120の表面121上に配置される。凹部122は、周辺回路層120の縁部に影響を与えることなく、基板110に垂直な投影方向(Z軸方向)から見て、周辺回路層120内に完全に配置されている。より具体的には、周辺回路層120は、周辺回路層120の縁部を形成する側壁125を有し、凹部122は、底面123と、底面123に隣接して接続され、収容空間Aを取り囲む側壁124とを含む。凹部122の側壁124及び周辺回路層120の側壁125は、厚みを構成する。すなわち、凹部122の側壁124と周辺回路層120の側壁125とは、互いに離間している。いくつかの実施形態では、長方形の凹部122に関して、凹部122の側壁124は、第1側壁124b、第2側壁124d、第3側壁124c及び第4側壁124eを含んでもよい。第1側壁124b及び第2側壁124dは互いに対向し、第3側壁124c及び第4側壁124eは、第1側壁124b及び第2側壁124dに隣接し、互いに対向している。
【0033】
いくつかの実施形態では、接触検知電極層130は、少なくとも1つの進入部132を有してもよく、接触検知電極層130は、周辺回路層120を部分的に覆うので、進入部132は、周辺回路層120の凹部122の内部に延びることができる。進入部132の形状と凹部122の形状とは相補的であり、接触検知電極層130と周辺回路層120との間の電気的重なりを安定するように互いに整合している。したがって、タッチパネル100の境界領域BRの横幅W2を小さくすることができる。換言すれば、凹部122の側壁124は、進入部132を完全に取り囲み、進入部132と密着している。また、進入部132の形状と凹部122の形状とは相補的で一致しているので、進入部132の形状及び数は、凹部122の形状及び数に依存してもよい。すなわち、進入部132の形状及び数は、凹部122の形状及び数と実質的に同一であってもよい。さらに、接触検知電極層130は、周辺回路層120と接触検知電極層130との間の重なり合う品質をより良く改善するために、周辺回路層120の側壁125とさらに接触してもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、Z軸方向の上面図における凹部122の形状(すなわち、図2の視野角)は、タッチパネル100の製造プロセスにおいて利便性を提供するために、長方形であってもよい。他のいくつかの実施形態では、上面図における凹部122の形状は、例えば、円、楕円、三角形、多角形、他の適切な形状、またはそれらの組み合わせででもよい。いくつかの実施形態では、Z軸に沿った凹部122の深さD1(垂直方向深さD1とも呼ばれる)は、Z軸に沿った周辺回路層120の厚さT1(垂直方向厚さT1とも呼ばれる)よりも小さくてもよい。より具体的には、進入部132は、収容空間Aに収容され、凹部122の底面123及び側壁124に接触する。したがって、凹部122の形状が長方形の場合には、接触検知電極層130と周辺回路層120との間の接触面の数は、元々重なっていた1つの接触面から少なくとも5つの重なり合う接触面に増加する。ここで、5つの重なり合う接触面は、底面123及び側壁124を含む(例えば、凹部122を構成する第1側壁124b、第2側壁124d、第3側壁124c及び第4側壁124eを含む)。このように、接触検知電極層130と周辺回路層120との間の重なり合う領域を増やすことができる。いくつかの実施形態では、凹部122の数は、例えば、タッチパネル100の製造プロセスにおいて便宜を提供するために、1つであってもよい。他のいくつかの実施形態では、凹部122の数は、例えば、複数であり、凹部122は、上面図において異なる形状及び異なる垂直方向深さD1を有してもよい。凹部122の数が複数の場合には、周辺回路層120と接触検知電極層130との重なり面積をさらに大きくすることで、周辺回路層120と接触検知電極層130との電気的重なり安定性を向上させることができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、接触検知電極層130は、マトリックス134と、マトリックス134内に分散された複数の金属ナノワイヤ(金属ナノ構造とも呼ばれる)136とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、マトリックス134は、ポリマーまたはそれらの混合物を含み得る。これにより、接触検知電極層130に特定の化学的、機械的、及び、光学的特性を与える。例えば、マトリックス134は、接触検知電極層130と周辺回路層120との間、及び、接触検知電極層130と基板110との間に、良好な接着を提供することができる。別の例として、マトリックス134は、接触検知電極層130に良好な機械的強度を提供することができる。いくつかの実施形態では、マトリックス134は、接触検知電極層130が引っかき傷及び摩耗に対するさらなる表面保護を有し、それによって、接触検知電極層130の表面強度を高めるように、特定のポリマー、例えば、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリ(シリコン-アクリル酸)、ポリシロキサン、ポリシラン、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、マトリックス134は、架橋剤、重合阻害剤、安定剤(例えば、抗酸化剤または紫外線安定剤を含むがこれらに限定されない)、界面活性剤、またはそれらの組み合わせをさらに含んでもよく、それにより、接触検知電極層130の抗紫外線特性を改善し、耐用年数を延長させる。
【0036】
金属ナノワイヤ136は、銀ナノワイヤ、金ナノワイヤ、銅ナノワイヤ、ニッケルナノワイヤ、またはそれらの組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。より具体的には、本明細書で使用される「金属ナノワイヤ136」という用語は、集合名詞であり、これは、複数の金属元素、金属合金、または金属化合物(金属酸化物を含む)を含む金属ワイヤの集合を指す。いくつかの実施形態では、単一の金属ナノワイヤの断面サイズ(例えば、断面の直径)は、500nm未満、好ましくは、100nm未満、より好ましくは50nm未満でもよい。いくつかの実施形態では、単一の金属ナノワイヤ136は、大きなアスペクト比(すなわち、長さ:断面の直径)を有する。具体的には、単一の金属ナノワイヤのアスペクト比は、10から100,000の間でもよい。より詳細には、単一の金属ナノワイヤのアスペクト比は、10より大きく、好ましくは、50より大きく、より好ましくは、100より大きくてもよい。さらに、絹、繊維、または管のような他の用語も、同様に本開示の範囲内に入る上記の断面寸法及びアスペクト比を有する。
【0037】
いくつかの実施形態では、周辺回路層120と接触検知電極層130との間の電気的重なり安定性は、周辺回路層120の化学的特性(例えば、材料)にさらに依存してもよい。周辺回路層120の化学的特性を調整することにより、周辺回路層120と接触検知電極層130との間の電気的重なり安定性をさらに改善することができる。より具体的には、金属ナノワイヤ136の反応性よりも高い反応性(化学反応性)を有する金属材料を選択して、周辺回路層120を形成し、金属ナノワイヤ136が、周辺回路層120(すなわち、接触検知電極層130の周辺回路層120と重なる部分)に隣接する接触検知電極層130内に、より容易に集まるようにすることができる。したがって、オーバーラップ構造200の接触検知電極層130内の金属ナノワイヤ136の密度は、増加され、周辺回路層120と接触検知電極層130との間の電気的重なり安定性は改善される。例えば、銀ナノワイヤが金属ナノワイヤ136として使用するために選択された場合には、銀の反応性よりも高い反応性を有する金属(例えば、銅)を、周辺回路層120の材料として選択することができる。他のいくつかの実施態様において、周辺回路層120は、銀、銅-銀合金、又は他の適切な導電材料を含んでもよい。
【0038】
接触検知電極層130内の金属ナノワイヤ136は、周辺回路層120の化学的特性を受けて、周辺回路層120に隣接する接触検知電極層130に沈降して集まるので、オーバーラップ構造200の接触検知電極層130内におけるマトリックス134中の金属ナノワイヤ136の密度は、10%から50%の間であってもよい。したがって、接触検知電極層130は、良好な導電性を確保することができ、周辺回路層120及び接触検知電極層130の電気的重なり安定性を良好にすることができる。具体的には、前述の密度は、接触検知電極層130の表面抵抗及びタッチパネル100の全体的な光学的外観に影響を与えるであろう。密度が低すぎる場合、すなわち、金属ナノワイヤ136がマトリックス134内にまばらに分布している場合には、過度の表面抵抗が発生する可能性がある。密度が高すぎる場合、すなわち、金属ナノワイヤ136がマトリックス134内に密に分布している場合には、光透過率が低下し、光学特性に影響を与える可能性がある。前述の光学特性は、可視領域VRの光学特性を指し、可視領域VRに位置する接触検知電極層130と、境界領域BRに延びる接触検知電極層130とは、タッチパネル100の製造工程中に、表面全体にコーティングされるため、境界領域BRに位置する接触検知電極層130内の金属ナノワイヤ136の密度は、可視領域VRに配置された接触検知電極層130内の金属ナノワイヤ136の密度と実質的に同様である。したがって、前述の接触検知電極層130全体を全面にコーティングする設計では、境界領域BRに位置する接触検知電極層130内の金属ナノワイヤ136の密度を考慮すると、タッチパネル100の可視領域VRの光学特性を考慮することも必要である。本明細書における「密度」という用語は、単位面積あたりの接触検知電極層130に含まれる金属ナノワイヤ136の数を指すことを理解されたい。
【0039】
より詳細には、接触検知電極層130は、金属ナノワイヤ136を含む分散液のコーティング、硬化、及び乾燥のステップを通じて形成することができる。いくつかの実施形態では、分散液は、金属ナノワイヤ136が溶媒中に均一に分散している溶液を含む。具体的には、溶媒は、例えば、水、アルコール、ケトン、エーテル、炭化水素、芳香族溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、分散液は、金属ナノワイヤ136と溶媒との間の適合性及び溶媒中の金属ナノワイヤ136の安定性を改善するために、添加剤、界面活性剤、及び/または結合剤をさらに含み得る。具体的には、添加剤、界面活性剤、及び/または結合剤は、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒプロメロース、フルオロ界面活性剤、スルホコハク酸スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ジスルホン酸塩、またはそれらの組み合わせでもよい。
【0040】
第1に、コーティング工程は、スクリーン印刷、ノズルコーティング、またはローラーコーティングを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ロールツーロールプロセスを実行して、基板110の上面111及び周辺回路層120の表面121に金属ナノワイヤ136を含む分散液を均一にコーティングしてもよい。周辺回路層120は、周辺回路層120の表面121上に凹部122を有するので、まだ乾燥されていない分散液中の金属ナノワイヤ136は、凹部122に充填される。同時に、周辺回路層120の材料の反応性が、金属ナノワイヤ136の反応性よりも高い場合には、分散液中の金属ナノワイヤ136は、わずかに移動し、周辺回路層120の表面121及び側壁125と接触する位置に部分的に集まるので、金属ナノワイヤ136の密度が増加する。その後、金属ナノワイヤ136を、基板110の上面111、周辺回路層120の表面121及び側壁125、凹部122の底面123及び側壁124に固定して、本開示の接触検知電極層130を形成するように、硬化・乾燥工程を行う。
【0041】
具体的には、前述のコーティング工程において、分散液中の金属ナノワイヤ136は、周辺回路層120の物理的特性(例えば、凹部122の形状)及び化学的特性(例えば、材料)の影響を受けて、特定の位置に集まる。硬化及び乾燥工程が実行された後、金属ナノワイヤ136を、オーバーラップ構造200に配置された接触検知電極層130に密に分布させることができる。したがって、周辺回路層120と接触検知電極層130との間の接触インピーダンスを低減することができ、周辺回路層120と接触検知電極層130との間の電気的重なり安定性を向上させることができる。
【0042】
図3Bは、本開示のいくつかの実施形態による、図2のタッチパネル100を線a~a‘に沿って示す概略断面図である。図3Bの線a~a‘に沿って示された断面は、本開示の他のいくつかの実施形態による、オーバーラップ構造200aの断面であることを理解されたい。すなわち、図3Bは、本開示の他のいくつかの実施形態による、図2のタッチパネル100のオーバーラップ構造200aを示す概略断面図である。図3Bのオーバーラップ構造200aの要素、接続関係、材料、特性(例えば、密度)、及び有効性は、図3Aのオーバーラップ構造200のものと実質的に同一であり、これ以降は繰り返さない。以下の説明では、オーバーラップ構造200aとオーバーラップ構造200との間の相違点のみをさらに詳細に説明する。
【0043】
図3Bのオーバーラップ構造200aと図3Aのオーバーラップ構造200との間の少なくとも1つの違いは、オーバーラップ構造200aにおいて、周辺回路層120aの凹部122aの垂直方向深さD1aが、周辺回路層120aの垂直方向厚さT1aと等しいことである。より具体的には、凹部122aは貫通穴であり、収容空間Aaを取り囲む側壁124aを含む。側壁124aは、周辺回路層120aに面した基板110aの表面111aに隣接して接続されている。換言すれば、図3Bのオーバーラップ構造200aにおいて、周辺回路層120aの凹部122aの底面は、基板110aの周辺回路層120aに面した表面111aによって形成されている。いくつかの実施形態では、接触検知電極層130aの進入部132aは、収容空間Aaにさらに収容され、基板110aの表面111aにしっかりと接触することができる。周辺回路層120aの凹部122aの垂直方向深さD1aは、周辺回路層120aの垂直方向厚さT1aに等しいので、リソグラフィエッチングにより周辺回路層120aの凹部122aを形成する場合に、基板110aエッチング停止層として用いることができ、エッチングの深さやエッチングに必要な時間を計算する必要がないため、タッチパネル100の製造プロセスにおける利便性を向上させることができる。
【0044】
本開示のタッチパネル100は、タッチ機能を備えたディスプレイなどの他の電子デバイスと組み立てることができる。例えば、タッチパネル100は、表示装置(例えば、液晶表示装置または有機発光ダイオード表示装置)に結合することができ、光学接着剤または他の接着剤を使用して、タッチパネル100とディスプレイデバイスとの間を結合することができる。本開示のタッチパネル100は、携帯電話、タブレット、ノートブックなどの電子機器にさらに適用することができ、フレキシブル製品にも適用することができる。本開示のタッチパネル100は、偏光子にも適用できる。本開示のタッチパネル100は、ウェアラブル機器(例えば、時計、眼鏡、スマート衣類、及びスマートシューズ)及び自動車機器(例えば、ダッシュボード、ドライビングレコーダー、バックミラー、及びウィンドウ)に適用することができる。
【0045】
本開示の前述の実施形態によれば、タッチパネルは、凹部を有する周辺回路層と、進入部を有する接触検知電極層とを含む。接触検知電極層は、周辺回路層の一部を覆うように延在し、進入部が凹部の内部に延在し、進入部と凹部の形状が相補的で一致しているため、周辺回路層と接触検知電極層との電気的な重なり安定性を向上させることができる。さらに、周辺回路層と接触検知電極層との材料の組み合わせにより、周辺回路層と接触検知電極層との間の電気的重なり安定性を向上させることができる。よって、タッチパネルの境界領域の横幅を狭くして、狭幅ベゼル製品に対するユーザのニーズを満たすことができる。
【0046】
本開示は、その特定の実施形態を参照してかなり詳細に説明されてきたが、他の実施形態が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の主旨及び範囲は、本明細書に含まれる実施形態の説明に限定されるべきではない。
【0047】
本開示の範囲または主旨から逸脱することなく、本開示の構造に対して様々な修正及び変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。以上のことを考慮して、本開示は、以下の特許請求の範囲の範囲内にあることを条件として、本開示の修正及び変形をカバーすることが意図される。
図1
図2
図3A
図3B