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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】紫外線殺菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/20 20060101AFI20220606BHJP
【FI】
A61L9/20
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021105149
(22)【出願日】2021-06-24
【審査請求日】2021-12-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】309008642
【氏名又は名称】株式会社明光商会
(73)【特許権者】
【識別番号】519055629
【氏名又は名称】株式会社エコ革
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】小池 尚男
(72)【発明者】
【氏名】中田 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 高雄
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05612001(US,A)
【文献】特開2000-240991(JP,A)
【文献】特表2007-500055(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0056123(US,A1)
【文献】特開2001-212216(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0152548(US,A1)
【文献】特開2004-313706(JP,A)
【文献】米国特許第06328937(US,B1)
【文献】特許第6915921(JP,B2)
【文献】国際公開第2017/043357(WO,A1)
【文献】特開2000-140086(JP,A)
【文献】特開2015-006220(JP,A)
【文献】国際公開第2016/114059(WO,A1)
【文献】特開2008-149293(JP,A)
【文献】特開2009-142356(JP,A)
【文献】特開2016-032620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00- 9/22
F24F 7/00- 7/10
F24F 8/22
F24F 8/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線殺菌装置において、
内部に空気を吸引する空気吸引口と、外部へ前記空気を排出する空気排出口とを有する筐体と、
前記筐体の内部に設けられ、前記空気吸引口から吸引された前記空気を殺菌する紫外線照射装置が内部に設けられた紫外線殺菌部と、
前記空気排出口から排出された空気を、前記筐体が載置される水平面に対して1°以上75°以下上方へ傾斜する方向へ案内する排出方向調整部とを備え
前記空気排出口は、前記筐体の下面に形成されており、
前記排出方向調整部は、前記筐体の下方に設けられており、
前記排出方向調整部は、前記空気排出口を下方から覆う基部と、前記基部の周縁から上方に延びる側壁部とを有する、紫外線殺菌装置。
【請求項2】
前記筐体内に、前記空気吸引口から吸引された前記空気を攪拌するとともに、前記紫外線殺菌部内における前記空気の流速分布を均一化させるための攪拌板が設けられている、請求項1に記載の紫外線殺菌装置。
【請求項3】
前記筐体内に、前記空気吸引口から吸引された前記空気を攪拌するとともに、前記紫外線殺菌部内の紫外線照射量に応じて、前記紫外線殺菌部内における前記空気の流速分布を調整するための攪拌板が設けられている、請求項1または2に記載の紫外線殺菌装置。
【請求項4】
前記筐体内に、前記紫外線照射装置から照射された紫外線を遮断する遮断部が設けられている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の紫外線殺菌装置。
【請求項5】
前記筐体内に、前記紫外線照射装置から照射された紫外線を反射させる反射部が設けられ、
前記紫外線照射装置から照射された前記紫外線は、前記筐体の内部において2回以上反射する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の紫外線殺菌装置。
【請求項6】
前記反射部は、前記紫外線殺菌部の上方に設けられた上部反射部と、前記紫外線殺菌部の下方に設けられた下部反射部とを有する、請求項5に記載の紫外線殺菌装置。
【請求項7】
前記上部反射部は、複数の上部反射部材を含み、
上下方向から見た場合に、一の前記上部反射部材の少なくとも一部は、他の前記上部反射部材に重なっている、請求項6に記載の紫外線殺菌装置。
【請求項8】
前記下部反射部は、複数の下部反射部材を含み、
上下方向から見た場合に、一の前記下部反射部材の少なくとも一部は、他の前記下部反射部材に重なっている、請求項6に記載の紫外線殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、紫外線殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、細菌やウイルスによる感染症を防止することを主な目的として設置される空気殺菌装置として、紫外線を利用した殺菌装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、空気中の細菌、カビ、及びウイルスなどの浮遊微生物等を処理対象物とする紫外線殺菌装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/119152号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような殺菌装置では、殺菌装置が載置された載置面(例えば床面)に落下した飛沫や埃が、排出された空気によって巻き上げられてしまう可能性がある。このため、載置面に落下した飛沫や埃が巻き上げられてしまうことを抑制することができる殺菌装置が求められている。
【0005】
本開示は、このような点を考慮してなされたものであり、載置面に落下した飛沫や埃が巻き上げられてしまうことを抑制することが可能な、紫外線殺菌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態による紫外線殺菌装置は、
内部に空気を吸引する空気吸引口と、外部へ前記空気を排出する空気排出口とを有する筐体と、
前記筐体の内部に設けられ、前記空気吸引口から吸引された前記空気を殺菌する紫外線照射装置が内部に設けられた紫外線殺菌部と、
前記空気排出口から排出された空気を、前記筐体が載置される水平面に対して1°以上75°以下上方へ傾斜する方向へ案内する排出方向調整部とを備える、紫外線殺菌装置である。
【0007】
一実施の形態による紫外線殺菌装置において、
前記筐体内に、前記空気吸引口から吸引された前記空気を攪拌するとともに、前記紫外線殺菌部内における前記空気の流速分布を均一化させるための攪拌板が設けられていてもよい。
【0008】
一実施の形態による紫外線殺菌装置において、
前記筐体内に、前記空気吸引口から吸引された前記空気を攪拌するとともに、前記紫外線殺菌部内の紫外線照射量に応じて、前記紫外線殺菌部内における前記空気の流速分布を調整するための攪拌板が設けられていてもよい。
【0009】
一実施の形態による紫外線殺菌装置において、
前記筐体内に、前記紫外線照射装置から照射された紫外線を遮断する遮断部が設けられていてもよい。
【0010】
一実施の形態による紫外線殺菌装置において、
前記筐体内に、前記紫外線照射装置から照射された紫外線を反射させる反射部が設けられ、
前記紫外線照射装置から照射された前記紫外線は、前記筐体の内部において2回以上反射してもよい。
【0011】
一実施の形態による紫外線殺菌装置において、
前記反射部は、前記紫外線殺菌部の上方に設けられた上部反射部と、前記紫外線殺菌部の下方に設けられた下部反射部とを有していてもよい。
【0012】
一実施の形態による紫外線殺菌装置において、
前記上部反射部は、複数の上部反射部材を含み、
上下方向から見た場合に、一の前記上部反射部材の少なくとも一部は、他の前記上部反射部材に重なっていてもよい。
【0013】
一実施の形態による紫外線殺菌装置において、
前記下部反射部は、複数の下部反射部材を含み、
上下方向から見た場合に、一の前記下部反射部材の少なくとも一部は、他の前記下部反射部材に重なっていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、載置面に落下した飛沫や埃が巻き上げられてしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、一実施の形態による紫外線殺菌装置を示す斜視図である。
図2図2は、一実施の形態による紫外線殺菌装置を示す断面図(図1のII-II線断面図)である。
図3図3は、一実施の形態による紫外線殺菌装置を示す断面図(図2のIII-III線断面図)である。
図4図4は、一実施の形態による紫外線殺菌装置の反射部を示す平面図である。
図5図5は、一実施の形態による紫外線殺菌装置の反射部を示す背面図である。
図6図6は、一実施の形態による紫外線殺菌装置の一部を示す分解斜視図である。
図7図7は、一実施の形態による紫外線殺菌装置の攪拌板を示す平面図である。
図8図8は、一実施の形態による紫外線殺菌装置の攪拌板を示す正面図である。
図9図9は、一実施の形態による紫外線殺菌装置を用いた殺菌方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して一実施の形態について説明する。図1乃至図9は一実施の形態を示す図である。以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
【0017】
紫外線殺菌装置
まず、図1乃至図3により、一実施の形態による紫外線殺菌装置1の概要について説明する。この紫外線殺菌装置1は、細菌やウイルスによる感染症を防止することを主な目的として設置されるものである。
【0018】
図1乃至図3に示すように、紫外線殺菌装置1は、内部に空気を吸引する空気吸引口11と、外部へ空気を排出する空気排出口12とを有する筐体10と、筐体10の内部に設けられ、空気吸引口11から吸引された空気を殺菌する紫外線照射装置31が内部に設けられた紫外線殺菌部30と、空気排出口12から排出された空気を、所定の方向へ案内する排出方向調整部40とを備えている。本実施の形態では、空気排出口12は、空気吸引口11の下方に設けられている。しかしながら、これに限られず、空気排出口12が、空気吸引口11の上方に設けられていてもよい。
【0019】
筐体10は、略直方体形状をもっている。上述した空気吸引口11は、筐体10の上面に形成され、上述した空気排出口12は、筐体10の下面に形成されている。筐体10は、例えば金属からなる複数の部材を、例えばネジ等によって取り外し可能に組み合わされることによって構成されていてもよい。そして、複数の部材を分解することにより、内部に設けられた紫外線殺菌部30のメンテナンス等が行えるように構成されていてもよい。この筐体10は、排出方向調整部40を介して、載置面(水平面S(図2および図3参照))上に載置されている。
【0020】
上述したように、筐体10の上面には、空気吸引口11が形成されている。このように、空気吸引口11が筐体10の上面に形成されていることにより、空間に浮遊する飛沫が、紫外線殺菌装置1を使用するユーザーに付着してしまう前に、空気吸引口11から吸引され得る。また、空間に浮遊する飛沫が、ユーザーによって吸引されてしまう前に、空気吸引口11から吸引され得る。
【0021】
空気吸引口11は、筐体10の上面の幅方向(X方向)中央部および厚み方向(Y方向)中央部に形成されている。図示された例においては、筐体10の上面に単一の空気吸引口11が形成されている。空気吸引口11は、筐体10の上面から上方に突出する筒状部13によって囲まれている。なお、筐体10の上面に、複数の空気吸引口11が形成されていてもよい。
【0022】
また、上述したように、筐体10の下面には、空気排出口12が形成されている。空気排出口12は、筐体10の下面の厚み方向(Y方向)中央部に形成されている。図示された例においては、筐体10の下面の幅方向(X方向)に沿って互いに離間した2つの空気排出口12が形成されている。各々の空気排出口12は、筐体10の下面の幅方向中央部からずれた位置に形成されている。各々の空気排出口12は、筐体10の下面から下方に突出する筒状部14によって囲まれている。なお、筐体10の下面に、単一の空気排出口12が形成されていてもよく、3つ以上の空気排出口12が形成されていてもよい。
【0023】
このような筐体10の上方には、天面部15が設けられている。天面部15は、平面視略矩形状の板状の部材であってもよい。この天面部15は、空気吸引口11を覆っている。これにより、空気吸引口11から漏れた紫外線が、紫外線殺菌装置1の外部に漏れにくくなっている。この天面部15は、例えばカラー等の支持体16を介して筐体10に取り付けられており、筐体10の上面と天面部15との間には隙間が形成されている。また、天面部15には、紫外線殺菌装置1の電源スイッチ17(図1参照)が設けられており、ユーザーは、電源スイッチ17を操作することにより、紫外線殺菌装置1の運転/停止の切り換えを行うことができるように構成されている。
【0024】
次に、筐体10の内部に設けられた紫外線殺菌部30について説明する。
【0025】
上述したように、紫外線殺菌部30は、空気吸引口11から吸引された空気を殺菌するものである。すなわち、紫外線殺菌部30は、空気吸引口11から筐体10の内部に吸引された空気に含まれるウイルスを不活性化し、雑菌を殺菌するものである。この紫外線殺菌部30は、吸引された空気に対して一定時間紫外線を照射することにより、ウイルスを不活性化し、雑菌を殺菌するように構成されている。
【0026】
紫外線殺菌部30は、紫外線を照射する紫外線照射装置31を有している。紫外線照射装置31は、発振波長が200nm以上300nm以下の深紫外線を照射するように構成されていることが好ましい。これにより、紫外線殺菌部30における不活性化効果または殺菌効果を高めることができる。本実施の形態では、紫外線殺菌部30は、4つの紫外線照射装置31を有している。各々の紫外線照射装置31は、それぞれ、上方および下方に設けられた支持体32によって、支持されている。また、紫外線照射装置31は、例えば金属からなる板状の部材33と、支持体32とによって囲まれた空間内に配置されている。これにより、紫外線照射装置31から照射された紫外線が、筐体10の外部に容易に照射されないように構成されている。なお、支持体32には開口部32a(図6参照)が形成されており、紫外線殺菌部30内を空気が通過できるようになっている。また、板状の部材33は、紫外線を反射する反射面を有していることが好ましい。これにより、紫外線を多重反射させることが可能となり、紫外線殺菌部30内における紫外線照射量を可能な範囲で均一化させることができる。反射面を構成する素材は、深紫外領域の光の反射率が高いアルミニウムなどが望ましい。この反射面は、板状の部材33と一体に形成されていてもよく、板状の部材33とは別体の部材によって構成されていてもよい。
【0027】
また、紫外線照射装置31が照射する紫外線の照射量は、積算照射量J(mJ/cm)が3(mJ/cm)以上となるように構成されていることが好ましい。これにより、ウイルスを効果的に不活性化し、雑菌を効果的に殺菌することができる。ここで、積算照射量J(mJ/cm)は、以下の式(1)によって求められる。
J=dt×I=(L/U)×I・・・式(1)
上記式(1)において、dtは、紫外線照射時間であり、I(mW/cm)は、紫外線照射量であり、L(m)は、紫外線殺菌部30の長さ(上下方向距離)であり、U(m/s)は、空気の速度である。
【0028】
次に、排出方向調整部40について説明する。
【0029】
排出方向調整部40は、筐体の下方に設けられている。この排出方向調整部40は、空気排出口12を覆っている。これにより、空気排出口12から紫外線が漏れにくくなっている。この排出方向調整部40は、例えばカラー等の支持体16を介して筐体10に取り付けられており、筐体10の下面と排出方向調整部40との間には隙間が形成されている。
【0030】
本実施の形態では、排出方向調整部40は、基部41と、基部41の周縁から上方に延びる側壁部42と、基部41から下方に延び、基部41を支持する脚部43とを有している。このうち基部41は、平面視略矩形状の板状の部材であってもよい。
【0031】
側壁部42は、基部41の全周にわたって設けられている。基部41の周縁に上方に延びる側壁部42が設けられていることにより、後述するように、空気排出口12から排出された空気が、水平面Sに落下した飛沫や埃に吹き付けられることを抑制できるようになっている。
【0032】
このような基部41、側壁部42および脚部43を構成する材料としては、例えば金属や合成樹脂を用いてもよい。
【0033】
ここで、排出方向調整部40は、空気排出口12から排出された空気を、筐体10が載置される水平面Sに対して1°以上75°以下上方へ傾斜する方向へ案内する。このように、排出方向調整部40が、空気を水平面Sに対して上方へ傾斜する方向へ案内することにより、空気排出口12から排出された空気が、水平面Sに落下した飛沫や埃に吹き付けられることを抑制できる。これにより、筐体10が載置される水平面Sに落下した飛沫や埃が巻き上げられてしまうことを抑制できるようになっている。本実施の形態では、空気排出口12から排出された空気は、後述するように、基部41に対して吹き付けられることにより、空気の排出方向が変化するように構成されている。
【0034】
ここで、図2および図3に示すように、垂直断面において、空気排出口12の外縁のうち、外側の外縁から下方に延びる仮想線をILとする。また、当該仮想線ILと、排出方向調整部40の基部41との交点をPとする。さらに、交点Pから外側に延びる直線のうち、側壁部42の任意の位置を通る直線をX1とする。この場合、直線X1が水平面Sに対してなす最大角度θ1を大きくすることにより、空気排出口12から排出された空気の排出方向と水平面Sとがなす角度が、大きくなる。このため、θ1は、1°以上10°以下であることが好ましい。θ1が1°以上であることにより、水平面Sに落下した飛沫や埃が巻き上げられてしまうことを効果的に抑制できる。また、θ1が10°以下であることにより、排出される空気の流路が狭くなってしまうことを抑制できる。これにより、空気を効率よく排出できる。このため、空間の空気清浄効率を向上させることができ、省エネルギー化を図ることができる。ここで、「外側」とは、筐体10の幅方向の中心線および厚み方向の中心線から遠ざかる側である。
【0035】
また、図2および図3に示すように、垂直断面において、交点Pから外側に延びる直線のうち、筐体10の任意の位置を通る直線をX2とする。この場合、直線X2が水平面Sに対してなす最小角度θ2を大きくすることにより、排出される空気の流路が広くなる。このため、θ2は、20°以上75°以下であることが好ましい。θ2が20°以上であることにより、排出される空気の流路を広くできる。また、θ2が75°以下であることにより、紫外線が筐体10の外部に漏れてしまうことを効果的に抑制できる。
【0036】
次に、筐体10の内部構造について、詳細に説明する。
【0037】
図2および図3に示すように、筐体10内に、紫外線殺菌部30の紫外線照射装置31から照射された紫外線を反射させる反射部60が設けられていてもよい。そして、紫外線照射装置31から照射された紫外線が、筐体10の内部において2回以上反射するように構成されていてもよい。これにより、紫外線が筐体10の外部に漏れてしまうことを抑制でき、紫外線殺菌装置1の安全性を向上させることができる。また、紫外線が筐体10の外部に漏れてしまった場合であっても、紫外線を2回以上反射させることにより、紫外線の照度を十分に低下させた状態で、筐体10の外部に出射させることができる。これにより、紫外線殺菌装置1の安全性を向上させることができる。
【0038】
反射部60は、紫外線殺菌部30の上方に設けられた上部反射部61と、紫外線殺菌部30の下方に設けられた下部反射部71とを有していてもよい。本実施の形態では、上部反射部61は、筐体10の内部のうち、空気吸引口11の下方に設けられている。
【0039】
図3に示すように、上部反射部61は、複数の上部反射部材62、63、64を含んでいる。具体的には、上部反射部61は、筐体10内に設けられた支持体18に取り付けられた第1反射部材62と、第1反射部材62に取り付けられた第2反射部材63と、第1反射部材62から離間するように設けられた第3反射部材64とを含んでいる。
【0040】
また、図4に示すように、上下方向(Z方向)から見た場合に、一の上部反射部材62、63、64の一部は、他の上部反射部材62、63、64に重なっている。これにより、紫外線照射装置31から照射された紫外線を効果的に反射させることができる。このため、紫外線が、空気吸引口11から筐体10の外部に漏れてしまうことを更に効果的に抑制できるようになっている。また、紫外線が筐体10の外部に漏れてしまった場合であっても、紫外線を複数回反射させることにより、紫外線の照度を更に低下させた状態で、筐体10の外部に出射させることができるようになっている。例えば、図4に示す例では、第1反射部材62の後述する第3部分62cの一部が、第3反射部材64に重なっている。また、第2反射部材63の一部が、第1反射部材62の後述する第1部分62aおよび第2部分62bに重なっている。なお、上下方向から見た場合に、一の上部反射部材62、63、64の全体が、他の上部反射部材62、63、64に重なっていてもよい。
【0041】
図3乃至図5に示すように、第1反射部材62は、支持体18から上方へ延びる第1部分62aと、第1部分62aの上端から水平面Sに対して傾斜するように上方へ延びる第2部分62bと、第2部分62bの上端から水平方向へ延びる第3部分62cとを含んでいる。このうち第2部分62bには、空気の流路を確保するための開口部62dが形成されている。
【0042】
第2反射部材63は、第1反射部材62の第2部分62bから水平方向へ延びている。この第2反射部材63は、開口部62dの上方に取り付けられており、平面視において、開口部62dを覆っている。これにより、開口部62dを通過した紫外線を、第2反射部材63によって反射させることができるようになっている。
【0043】
第3反射部材64は、筐体10に取り付けられており、筐体10から水平方向へ延びている。この第3反射部材64は、第1反射部材62の第3部分62cの下方に設けられている。また、第3反射部材64には、空気の流路を確保するための開口部64a、64bが形成されている。
【0044】
なお、第1反射部材62、第2反射部材63および第3反射部材64を構成する材料としては、例えば金属を用いてもよい。また、第1反射部材62、第2反射部材63および第3反射部材64の形状および取り付け位置等は、これに限られず、第1反射部材62、第2反射部材63および第3反射部材64の形状等は、適宜変更することができる。例えば、第3反射部材64は、筐体10に直接取り付けられていてもよく、図示しない取付部材を介して筐体10に取り付けられていてもよい。あるいは、第3反射部材64は、上述した支持体18に取り付けられていてもよい。
【0045】
図2および図3に示すように、下部反射部71は、複数の下部反射部材72、73、74(図3参照)を含んでいる。具体的には、下部反射部71は、紫外線殺菌部30の紫外線照射装置31を支持する支持体32に取り付けられた第4反射部材72と、第4反射部材72に取り付けられた第5反射部材73と、第5反射部材73に取り付けられた第6反射部材74とを含んでいる。
【0046】
また、図6に示すように、上下方向から見た場合に、一の下部反射部材72、73、74の一部は、他の下部反射部材72、73、74に重なっている。これにより、紫外線照射装置31から照射された紫外線を効果的に反射させることができる。このため、紫外線が、空気排出口12から筐体10の外部に漏れてしまうことを更に効果的に抑制できるようになっている。なお、上下方向から見た場合に、一の下部反射部材72、73、74の全体が、他の下部反射部材72、73、74に重なっていてもよい。
【0047】
図2図3および図6に示すように、第4反射部材72は、平面視コの字形状の第1部分72aと、第1部分72aから上方へ延び、支持体32の側面に取り付けられる一対の第2部分72bと、第1部分72aから下方に延びる一対の第3部分72cとを含んでいる。このうち第2部分72b間には、空気の流路を確保するための切り欠き部72dが形成されている。また、図示された例においては、一対の第3部分72cの先端(図6における右側の端部)は、側面視三角形状をもっている。これにより、第6反射部材74との間に隙間が形成されることを抑制できるようになっている。
【0048】
第5反射部材73は、第4反射部材72に取り付けられる第1部分73aと、第1部分73aの先端から上方へ延びる第2部分73bとを含んでいる。このうち第2部分73bは、例えば紫外線照射装置31を支持する支持体32に取り付けられるようになっていてもよい。また、第5反射部材73には、第1部分73aと第2部分73bとを跨ぐように、空気の流路を確保するための開口部73cが複数(4つ)形成されている。
【0049】
第6反射部材74は、第5反射部材73の第2部分73bおよび筐体10に取り付けられており、側面視三角形状をもっている。これにより、第6反射部材74と第5反射部材73の第2部分73bとの間に隙間を形成することができ、第5反射部材73の開口部73cを通過した空気の流れが阻害されないようになっている。
【0050】
このような下部反射部71では、紫外線照射装置31を支持する支持体32の開口部32aを通過した空気Aは、例えば、第4反射部材72の切り欠き部72dを通過する。次に、切り欠き部72dを通過した空気Aは、第5反射部材73の開口部73cを通過する。その後、開口部73cを通過した空気Aは、第5反射部材73と第6反射部材74との間から、空気排出口12へ向かって流れる。
【0051】
なお、第4反射部材72、第5反射部材73および第6反射部材74を構成する材料としては、例えば金属を用いてもよい。また、第4反射部材72、第5反射部材73および第6反射部材74の形状および取り付け位置等は、これに限られず、第4反射部材72、第5反射部材73および第6反射部材74の形状等は、適宜変更することができる。
【0052】
再度図2および図3を参照すると、支持体18上には、空気吸引口11から空気を吸引するための吸引ファン19が設けられている。本実施の形態では、2つの吸引ファン19が支持体18上に設けられている。この吸引ファン19を作動させることにより、筐体10の外部の空気が、空気吸引口11を介して、筐体10内に吸引されるようになっている。なお、支持体18のうち、吸引ファン19の下方には、吸引ファン19によって吸引された空気の流路を確保するための開口部18aが形成されている。そして、吸引ファン19によって吸引された空気は、開口部18aおよび紫外線殺菌部30等を通過し、空気排出口12から筐体10の外部に排出されるように構成されている。
【0053】
また、筐体10内に、空気吸引口11から吸引された空気を攪拌するとともに、紫外線殺菌部30内における空気の流速分布を均一化させるための攪拌板80が設けられていてもよい。この攪拌板80は、空気吸引口11から吸引された空気を攪拌するとともに、紫外線殺菌部30内の紫外線照射量に応じて、紫外線殺菌部30内における空気の流速分布を調整するために設けられていてもよい。図示された例においては、攪拌板80は、支持体32上に設けられた、例えば金属からなる一対の板状の部材85に取り付けられている。この攪拌板80は、紫外線殺菌部30に流入する空気の流速のバラツキや、積算照射量Jのバラツキを低減する役割を果たす。
【0054】
ところで、紫外線殺菌部30を通過する空気の殺菌性能および不活性化性能は、上述した積算照射量Jが多いほど高くなる。また、積算照射量Jが予め目標とする照射量を下回ると、十分な殺菌性能および不活性化性能を得られなくなる可能性がある。したがって、局所的に積算照射量が小さくなる領域を減らすために、紫外線殺菌部30内における積算照射量Jを可能な限り均一化させることは、殺菌性能および不活性化性を維持する上で重要である。
【0055】
ここで、積算照射量Jは、紫外線殺菌部30の長さ(L)と、空気の速度(U)と、紫外線照射量(I)とによって表される(式(1)参照)。このうち、紫外線照射量は、紫外線照射装置31からの距離が遠くなると急激に低下する特性を有する。一方、上述したように、板状の部材33が、深紫外線を反射する反射面を含んでいることにより、紫外線を多重反射させることが可能となる。これにより、紫外線殺菌部30内における紫外線照射量が、可能な範囲で均一化されている。
【0056】
したがって、積算照射量Jを可能な限り均一化させるためには、紫外線殺菌部30を通過する空気の流速分布を可能な限り均一化することが求められる。ここで、本実施の形態では、図2に示すように、吸引ファン19が筐体10の幅方向(X方向)に沿って2つ設けられ、吸引ファン19によって吸引された空気は、2つの開口部18aを介して、紫外線殺菌部30に流入する。この際、2つの開口部18aから下方に流出する空気の流速分布は、不均一になり得る。具体的には、例えば、吸引ファン19から排出される空気が拡散されること、開口部18aの端縁での回折効果により空気が拡散されること、または、空気が、開口部18aのような狭い空間から、紫外線殺菌部30のような広い空間に流出することにより拡散されること等により、空気の複数の流れが発生する。そして、複数の流れが混じり合う領域では、空気の流速が速くなり得て、複数の流れが混じり合わない領域では、空気の流速は遅くなり得る。
【0057】
これに対して本実施の形態では、攪拌板80が、吸引ファン19と紫外線殺菌部30との間に設けられている。これにより、流速分布を均一化させることができ、積算照射量Jを均一化させることができる。このため、雑菌の殺菌やウイルスの不活性化能力を大幅に向上させることができる。例えば、この場合、空気の流速が速い領域では、後述する貫通孔81、82の開口面積を小さくすることにより、圧力損失を大きくしてもよい。これにより、当該領域における空気の流速を遅くすることができ、全体として、空気の流速分布を均一化させることができる。あるいは、後述する傾斜板83によって、空気の流れの方向を変化させることにより、流速分布を均一化させてもよい。
【0058】
なお、上述した板状の部材33が、深紫外線を反射する反射面を含んでいない場合や、紫外線殺菌部30内における紫外線照射量のバラツキが大きい場合、攪拌板80は、紫外線殺菌部30内の紫外線照射量に応じて、紫外線殺菌部30内における空気の流速分布を調整してもよい。これにより、積算照射量Jを均一化させることができる。例えば、この場合、紫外線殺菌部30内における紫外線照射量が小さくなる領域では、当該領域を通過する空気の流速が遅くなるように、後述する貫通孔81、82の開口面積を大きくしてもよい。一方、紫外線殺菌部30内における紫外線照射量が大きくなる領域では、当該領域を通過する空気の流速が速くなるように、後述する貫通孔81、82の開口面積を小さくしてもよい。空気の流速分布は、後述する傾斜板83によって、空気の流れ方向を変化させることにより調整されてもよい。
【0059】
図7および図8に示すように、攪拌板80は、複数の貫通孔81、82を含んでいてもよい。本実施の形態では、攪拌板80は、攪拌板80の長手方向(X方向)に沿って延びる第1貫通孔81と、攪拌板80の幅方向(Y方向)に沿って延びる第2貫通孔82とを含んでいる。
【0060】
図示された例においては、攪拌板80には、第1貫通孔81の3つのグループ81aが形成されている。各グループ81aにおいて、第1貫通孔81は、攪拌板80の長手方向に沿って、4つ配列されている。また、この4つの第1貫通孔81をもつ列が、攪拌板80の幅方向に沿って、2列配列されている。このようにして、各グループ81aには、8つの第1貫通孔81が配列されている。
【0061】
また、攪拌板80には、第2貫通孔82の2つのグループ82aが形成されている。各グループ82aにおいて、第2貫通孔82は、攪拌板80の長手方向に沿って、2つ配列されている。また、この2つの第2貫通孔82をもつ列が、攪拌板80の幅方向に沿って、7列配列されている。このようにして、各グループ82aには、14個の第2貫通孔82が配列されている。
【0062】
第1貫通孔81のグループ81aおよび第2貫通孔82のグループ82aは、それぞれ攪拌板80の長手方向に沿って、交互に配置されている。しかしながら、これに限られず、例えば、第1貫通孔81の複数のグループ81aが、攪拌板80の長手方向に沿って、連続して配置されていてもよい。
【0063】
第1貫通孔81および第2貫通孔82は、それぞれ平面視略矩形状(少なくとも一部の角部が丸められた長方形状)をもっている。なお、第1貫通孔81および第2貫通孔82は、任意の形状および大きさを有していてもよい。また、複数の第1貫通孔81の形状および大きさは、互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。同様に、複数の第2貫通孔82の形状および大きさは、互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。
【0064】
また、第1貫通孔81および一部の第2貫通孔82の下方には、水平面Sに対して傾斜するように下方に延びる傾斜板83が設けられている。これにより、紫外線殺菌部30に流入する空気の流速のバラツキを更に低減でき、積算照射量Jのバラツキを更に低減することができる。なお、傾斜板83の傾斜方向は任意であり、互いに隣り合う傾斜板83は、同一方向に傾斜していてもよく、異なる方向に傾斜していてもよい。
【0065】
この攪拌板80を構成する材料としては、例えば金属を用いてもよい。
【0066】
さらに、図2および図3に示すように、筐体10内に、紫外線殺菌部30の紫外線照射装置31から照射された紫外線を遮断する遮断部90が設けられていてもよい。この遮断部90は、筐体10の内部に設けられた配線等を保護する役割を果たす。
【0067】
本実施の形態では、遮断部90は、紫外線殺菌部30の紫外線照射装置31の上端および下端にそれぞれ設けられており、紫外線照射装置31に連結された配線を、支持体32と共に覆っている(図6参照)。これにより、紫外線照射装置31に連結された配線が、紫外線によって劣化してしまうことを抑制できる。このため、紫外線殺菌装置1の長寿命化を図ることができる。
【0068】
この遮断部90を構成する材料としては、例えば金属を用いてもよい。
【0069】
殺菌方法
次に、図9により、一実施の形態による紫外線殺菌装置1を用いた殺菌方法について説明する。
【0070】
まず、図9に示すように、紫外線殺菌装置1の吸引ファン19を作動させることにより、筐体10の外部の空気A1が、空気吸引口11から筐体10内に流入する。
【0071】
次に、筐体10内に流入した空気A2は、上部反射部61、吸引ファン19および攪拌板80を通過する。この際、攪拌板80によって、紫外線殺菌部30に流入する空気A2の流速のバラツキが低減される。
【0072】
次いで、攪拌板80を通過した空気A2は、紫外線殺菌部30に流入し、紫外線殺菌部30に流入した空気A3は、紫外線殺菌部30によって殺菌される。ここで、上述したように、攪拌板80によって、紫外線殺菌部30に流入する空気A2の流速のバラツキが低減されている。これにより、紫外線殺菌部30を通過する空気A3の流速のバラツキが低減され、積算照射量Jのバラツキが低減される。このため、紫外線殺菌部30により、紫外線殺菌部30を通過する空気A3をムラなく殺菌することができるようになっている。
【0073】
次に、紫外線殺菌部30によって殺菌された空気A4は、下部反射部71を通過し、空気排出口12から排出される。この際、空気排出口12から排出された空気A51、A52は、排出方向調整部40によって、水平面Sに対して1°以上75°以下上方へ傾斜する方向へ案内される。
【0074】
具体的には、まず、空気排出口12から排出された空気A51、A52は、基部41に対して吹き付けられる。これにより、空気A51、A52の進行方向が変化し、空気A51、A52は、基部41に沿って外側へ進行する。この際、例えば、基部41に対して吹き付けられることにより、例えば斜め上方に進行する空気A51の一部は、側壁部42と筐体10との間から、紫外線殺菌装置1の外部へ排出される。また、基部41に沿って水平方向に進行する空気A52は、側壁部42に対して吹き付けられる。これにより、空気A52の進行方向が再度変化し、空気A52は、側壁部42に沿って上方へ進行する。そして、空気A52は、紫外線殺菌装置1の外部へ排出される。
【0075】
このようにして、紫外線殺菌装置1によって空気が殺菌され、殺菌された空気が、水平面Sに落下した飛沫や埃を巻き上げることなく、紫外線殺菌装置1の外部に排出される。
【0076】
以上のように本実施の形態によれば、紫外線殺菌装置1が、内部に空気を吸引する空気吸引口11と、外部へ空気を排出する空気排出口12とを有する筐体10と、筐体10の内部に設けられ、空気吸引口11から吸引された空気を殺菌する紫外線照射装置31が内部に設けられた紫外線殺菌部30と、空気排出口12から排出された空気を、筐体10が載置される水平面Sに対して1°以上75°以下上方へ傾斜する方向へ案内する排出方向調整部40とを備えている。これにより、空気排出口12から排出された空気が、水平面Sに落下した飛沫や埃に吹き付けられることを抑制できる。これにより、筐体10が載置される水平面Sに落下した飛沫や埃が巻き上げられてしまうことを抑制できる。
【0077】
また、本実施の形態によれば、筐体10内に、空気吸引口11から吸引された空気を攪拌するとともに、紫外線殺菌部30内における空気の流速分布を均一化させるための攪拌板80が設けられている。これにより、紫外線殺菌部30を通過する空気の流速のバラツキを低減することができる。このため、紫外線殺菌部30を通過する空気をムラなく殺菌することができ、紫外線殺菌部30における不活性化効果または殺菌効果を高めることができる。さらに、本実施の形態では、板状の部材33等により、紫外線殺菌部30内における紫外線照射量が、可能な範囲で均一化されている。このため、紫外線殺菌部30内における空気の流速分布を均一化させることにより、紫外線殺菌部30における不活性化効果または殺菌効果を更に高めることができる。
【0078】
また、本実施の形態によれば、筐体10内に、空気吸引口11から吸引された空気を攪拌するとともに、紫外線殺菌部30内の紫外線照射量に応じて、紫外線殺菌部30内における空気の流速分布を調整するための攪拌板80が設けられている。これにより、積算照射量Jのバラツキを低減することができる。このため、紫外線殺菌部30を通過する空気をムラなく殺菌することができ、紫外線殺菌部30における不活性化効果または殺菌効果を高めることができる。
【0079】
また、本実施の形態によれば、筐体10内に、紫外線照射装置31から照射された紫外線を遮断する遮断部90が設けられている。これにより、例えば、紫外線照射装置31に連結された配線が、紫外線によって劣化してしまうことを抑制できる。このため、紫外線殺菌装置1の長寿命化を図ることができる。
【0080】
また、本実施の形態によれば、筐体10内に、紫外線照射装置31から照射された紫外線を反射させる反射部60が設けられている。また、紫外線照射装置31から照射された紫外線が、筐体10の内部において2回以上反射する。これにより、紫外線が筐体10の外部に漏れてしまうことを抑制できる。また、紫外線が筐体10の外部に漏れてしまった場合であっても、紫外線を2回以上反射させることにより、紫外線の照度を十分に低下させた状態で、筐体10の外部に出射させることができる。このため、紫外線殺菌装置1の安全性を向上させることができる。
【0081】
また、本実施の形態によれば、反射部60が、紫外線殺菌部30の上方に設けられた上部反射部61と、紫外線殺菌部30の下方に設けられた下部反射部71とを有している。これにより、紫外線が、空気吸引口11から筐体10の外部に漏れてしまうことを効果的に抑制できるとともに、空気排出口12から筐体10の外部に漏れてしまうことを効果的に抑制できる。このため、紫外線殺菌装置1の安全性をより向上させることができる。
【0082】
また、本実施の形態によれば、上部反射部61が、複数の上部反射部材62、63、64を含んでいる。また、上下方向から見た場合に、一の上部反射部材62、63、64の少なくとも一部が、他の上部反射部材62、63、64に重なっている。これにより、紫外線が、空気吸引口11から筐体10の外部に漏れてしまうことを更に効果的に抑制できる。このため、紫外線殺菌装置1の安全性を更に向上させることができる。
【0083】
さらに、本実施の形態によれば、下部反射部71が、複数の下部反射部材72、73、74を含んでいる。また、上下方向から見た場合に、一の下部反射部材72、72、74の少なくとも一部が、他の下部反射部材72、73、74に重なっている、これにより、紫外線が、空気排出口12から筐体10の外部に漏れてしまうことを更に効果的に抑制できる。このため、紫外線殺菌装置1の安全性を更に向上させることができる。
【0084】
なお、上述した本実施の形態では、空気吸引口11が、筐体10の上面に形成されている例について説明したが、これに限られない。例えば、図示はしないが、空気吸引口11が筐体10の側面に形成されていてもよい。また、空気吸引口11に図示しないダクト等の吸引管が連結されていてもよい。また、吸引管の先端に、空間の空気を採取するための空気採取装置が取り付けられていてもよい。この場合、空気採取装置を例えばテーブル上に設置して、テーブル上の空気を紫外線殺菌装置1まで吸引してもよい。これにより、例えばテーブルに新たな配管を設置することなく、空間の空気を浄化することもできる。
【0085】
上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 紫外線殺菌装置
10 筐体
11 空気吸引口
12 空気排出口
30 紫外線殺菌部
31 紫外線照射装置
40 排出方向調整部
60 反射部
61 上部反射部
62 第1反射部材
63 第2反射部材
64 第3反射部材
71 下部反射部
72 第4反射部材
73 第5反射部材
74 第6反射部材
80 攪拌板
90 遮断部
【要約】
【課題】載置面に落下した飛沫や埃が巻き上げられてしまうことを抑制することが可能な、紫外線殺菌装置を提供する。
【解決手段】紫外線殺菌装置1は、内部に空気を吸引する空気吸引口11と、外部へ空気を排出する空気排出口12とを有する筐体10と、筐体10の内部に設けられ、空気吸引口11から吸引された空気を殺菌する紫外線殺菌部30と、空気排出口12から排出された空気を、筐体10が載置される水平面Sに対して1°以上75°以下上方へ傾斜する方向へ案内する排出方向調整部40とを備えている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9