(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】波吸収メタマテリアル
(51)【国際特許分類】
H01Q 17/00 20060101AFI20220606BHJP
【FI】
H01Q17/00
(21)【出願番号】P 2021504347
(86)(22)【出願日】2018-12-29
(86)【国際出願番号】 CN2018125125
(87)【国際公開番号】W WO2020019674
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-01-26
(31)【優先権主張番号】201810843911.9
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201821204494.5
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520233098
【氏名又は名称】クアンチー カッティング エッジ テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】KUANG-CHI CUTTING EDGE TECHNOLOGY LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ルオペン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,ジーヤ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,カンチアン
(72)【発明者】
【氏名】リー,スーチェン
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0235848(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105514619(CN,A)
【文献】特開2000-049487(JP,A)
【文献】Idellyse Martinez, et al.,"Ultra-thin reconfigurable electromagnetic metasurface absorbers",2013 7th European Conference on Antennas and Propagation (EuCAP),2013年,pp.1843-1847
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 17/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的に配列されている複数のメタマテリアルセルを備え、前記メタマテリアルセルは、
第1平面内に設けられている第1ループと、
第2平面内に設けられており、前記第1ループと直交するように、前記第1平面が前記第2平面と垂直である第2ループとを備え、
前記第1ループと前記第2ループとのそれぞれは、
互いに離間して開口が対向している2つの金属半ループと、
各抵抗の両端が前記2つの金属半ループの同一側に位置して対向する2つの端部にそれぞれ接続される2つの抵抗と、を備え、
第1ループにおける一方の抵抗が第2ループにおける対向する2つの金属半ループ間に位置するとともに、第1ループにおける他方の抵抗が第2ループにおける対向する2つの金属半ループの外部に位置する、波吸収メタマテリアル。
【請求項2】
前記メタマテリアルセルは、互いに垂直である第1誘電体板及び第2誘電体板をさらに備え、前記第1ループ及び前記第2ループが前記第1誘電体板及び前記第2誘電体板にそれぞれ設けられている、請求項1に記載の波吸収メタマテリアル。
【請求項3】
各抵抗の両端と対応する金属半ループの端部との間に金属延長部がさらに設けられている、請求項1に記載の波吸収メタマテリアル。
【請求項4】
前記第1ループと前記第2ループとのそれぞれにおいて、前記2つの抵抗の抵抗値が異なる、請求項
1に記載の波吸収メタマテリアル。
【請求項5】
前記第1ループの2つの金属半ループの寸法が、前記第2ループの2つの金属半ループの寸法と同じである、請求項
1に記載の波吸収メタマテリアル。
【請求項6】
隣接する第1誘電体板と隣接する第2誘電体板との間に電解質が充填されている、請求項2に記載の波吸収メタマテリアル。
【請求項7】
前記波吸収メタマテリアルはさらに、
前記第1平面と垂直であって前記第2平面と垂直である金属バックシートを備え、
前記複数のメタマテリアルセルが前記金属バックシートの一側面に周期的に配列されている、請求項1に記載の波吸収メタマテリアル。
【請求項8】
前記波吸収メタマテリアルはさらに、
前記複数のメタマテリアルセルが一側面に周期的に配列されているスキンを備える、請求項1に記載の波吸収メタマテリアル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタマテリアル技術分野に関し、具体的には、波吸収メタマテリアルに関する。
【背景技術】
【0002】
現代通信技術の継続的な発展に伴い、電磁スペクトル資源は日増しに不足している。それと同時に、氾濫している電磁波は、人間の生存を危うくする第4の公害、即ち電磁汚染をも形成している。電磁的両立及び電磁波公害の抑制を実現するために、波吸収材料の使用が効果的な手段である。波吸収材を用いて特定の周波数帯域の電磁波を吸収することにより、外部電磁波が無線機の正常な動作を妨害することを防止可能であるとともに、自由空間に存在する電磁波を低減可能である。
【0003】
現在、よく知られている広帯域化波吸収材料構造は、複数層の2次元構造が縦続接続されることにより、広帯域の波吸収を実現している。このような構造は広帯域の波吸収を実現することができるが、その構造が複雑であるとともに、多層構造間のインピーダンス整合が困難であるため、入射角が変化するとその波吸収効果が大きく変化してしまう。また、複数層の2次元構造の重畳を採用しているため、この構造の波透過能力が悪く、極めて狭い周波数帯域でしか波高透過を実現できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、関連技術における前記問題点に鑑み、広帯域の波吸収を保証する前提で、広い角度範囲内の波吸収を実現することができる波吸収メタマテリアルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の技術的手段は、以下のように達成される。
【0006】
本発明の一態様によれば、周期的に配列されている複数のメタマテリアルセルを備える波吸収メタマテリアルを提供し、メタマテリアルセルは、
第1平面内に設けられている第1ループと、
第2平面内に設けられており、第1ループと直交するように、第1平面が第2平面と垂直である第2ループとを備える。
【0007】
本発明の実施例によれば、メタマテリアルセルは、互いに垂直である第1誘電体板及び第2誘電体板をさらに備え、第1ループ及び第2ループが第1誘電体板及び第2誘電体板にそれぞれ設けられている。
【0008】
本発明の実施例によれば、第1ループと第2ループとのそれぞれは、互いに離間して開口が対向している2つの金属半ループと、各抵抗の両端が2つの金属半ループの同一側に位置して対向する2つの端部にそれぞれ接続される2つの抵抗と、を備える。
【0009】
本発明の実施例によれば、各抵抗の両端と対応する金属半ループの端部との間に金属延長部がさらに設けられている。
【0010】
本発明の実施例によれば、第1ループにおける一方の抵抗が第2ループにおける対向する2つの金属半ループ間に位置するとともに、第1ループにおける他方の抵抗が第2ループにおける対向する2つの金属半ループの外部に位置する。
【0011】
本発明の実施例によれば、第1ループと第2ループとのそれぞれにおいて、2つの抵抗の抵抗値が異なる。
【0012】
本発明の実施例によれば、第1ループの2つの金属半ループの寸法が、第2ループの2つの金属半ループの寸法と同じである。
【0013】
本発明の実施例によれば、隣接する第1誘電体板と隣接する第2誘電体板との間に電解質が充填されている。
【0014】
本発明の実施例によれば、波吸収メタマテリアルはさらに、第1平面と垂直であって第2平面と垂直である金属バックシートを備え、複数のメタマテリアルセルが金属バックシートの一側面に周期的に配列されている。
【0015】
本発明の実施例によれば、波吸収メタマテリアルはさらに、複数のメタマテリアルセルが一側面に周期的に配列されているスキンを備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明の上記技術的解決手段は、3次元構造のメタマテリアルをベースとし、構造がシンプルで明瞭であり、インピーダンス整合が実現しやすく、第1ループ及び第2ループのパラメータ及び位置を合理的に調整することにより、広帯域の波吸収を保証する前提で、広い角度範囲内の波吸収を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下、本発明の実施例又は従来技術における技術的手段をより明確に説明するために、実施例において使用する必要がある図面を簡単に紹介し、以下に説明する図面は、本発明の幾つかの実施例に過ぎず、当業者にとっては創造的努力なしにこれらの図面から他の図面を導き出すこともできることは明らかである。
【
図1】
図1は本発明の実施例に係る波吸収メタマテリアルの直交ループを示す図である。
【
図2】
図2は本発明の実施例に係る波吸収メタマテリアルを示す図である。
【
図3】
図3は本発明の実施例に係る波吸収メタマテリアルの1ループを示す図である。
【
図4】
図4Aは本発明の実施例に係る波吸収メタマテリアルの誘電体板の正面概略図、
図4Bは本発明の実施例に係る波吸収メタマテリアルの誘電体板の側面概略図である。
【
図5】
図5は本発明の具体的な実施例に係る波吸収メタマテリアルの平行偏波吸収曲線を示す図である。
【
図6】
図6は本発明の具体的な実施例に係る波吸収メタマテリアルの平行偏波反射曲線を示す図である。
【
図7】
図7は本発明の具体的な実施例に係る波吸収メタマテリアルの垂直偏波吸収曲線を示す図である。
【
図8】
図8は本発明の具体的な実施例に係る波吸収メタマテリアルの垂直偏波反射曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的手段を明確かつ完全に説明するが、説明した実施例は本発明の実施例のすべてではなく、単に実施例の一部であることは明らかである。本発明の実施例に基づいて、当業者が取得したすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属している。
【0019】
なお、示される方位又は位置関係は、図面に基づいて示される方位又は位置関係である。これらの用語は、本発明の説明を容易にするため、及び説明を簡略化するためのものに過ぎず、言及される装置又は要素が特定の方位を有し、特定の方位で構成及び動作しなければならないと指示又は暗示するためではなく、したがって、本発明を限定するものとして理解されるべきではない。また、「第一」、「第二」によって限定されている特徴は、1つ又は複数の当該特徴を含むことを明示又は暗示することができる。本発明の説明において、別途説明がない限り、「複数」とは2つ以上を意味する。
【0020】
図1及び
図2に示すように、本発明は、周期的に配列されている複数のメタマテリアルセル100を備え、メタマテリアルセル100が、第1平面内に設けられている第1ループ10と、第2平面内に設けられている第2ループ20とを備える波吸収メタマテリアルを提供する。第1ループ10と第2ループ20とが互いに直交するように、第1平面が第2平面と垂直である。
【0021】
なお、
図1において、第1平面はXY平面であり、第2平面はYZ平面である。さらに、
図1及び
図2には、1つのメタマテリアルセル100のみが示されているが、これは、本発明の波吸収メタマテリアルが1つのメタマテリアルセルのみを備えることを示すものではなく、メタマテリアルセルの具体的な数が具体的な応用シナリオに応じて決定されてもよい。
【0022】
本発明の上記技術的解決手段は、3次元構造のメタマテリアルをベースとし、構造がシンプルで明瞭であり、インピーダンス整合が実現しやすく、第1ループ10及び第2ループ20のパラメータ及び位置を合理的に調整することにより、広帯域の波吸収を保証する前提で、広い角度範囲内の波吸収を実現することができる。
【0023】
図1に示すように、第1ループ10は、2つの金属半ループ12、14及び2つの抵抗16、18を備え、2つの金属半ループ12、14が互いに離間して開口が対向している。抵抗16、18が、開口が対向している2つの金属半ループ12、14に接続され、具体的には、抵抗16の両端が2つの金属半ループ12、14の同一側に位置して対向している2つの端部にそれぞれ接続され、抵抗18の両端が2つの金属半ループ12、14の他側に位置して対向している2つの端部にそれぞれ接続され、2つの金属半ループ12、14を合わせて運動場のレーストラック形状に形成し、即ち2本の平行線の同一側の先端が半円形にそれぞれ結んでおり、各金属半ループ(12又は14)がそれぞれ1つの半円形及び2本の平行線の半分を備える。
【0024】
同様に、第2ループ20は、2つの金属半ループ22、24及び2つの抵抗26、28を備え、2つの金属半ループ22、24が互いに離間して開口が対向している。抵抗26、28が、開口が対向している2つの金属半ループ22、24に接続され、具体的には、抵抗26の両端が2つの金属半ループ22、24の同一側に位置して対向している2つの端部にそれぞれ接続され、抵抗28の両端が2つの金属半ループ22、24の他側に位置して対向している2つの端部にそれぞれ接続され、2つの金属半ループ22、24を合わせて運動場のレーストラック形状に形成し、即ち2本の平行線の同一側の先端が半円形にそれぞれ結んでおり、各金属半ループ(22又は24)がそれぞれ1つの半円形及び2本の平行線の半分を備える。
【0025】
このように、2つの抵抗を用いて同一平面内の2つの金属半ループを直列に接続することにより、第1ループ及び第2ループをそれぞれ形成する。かつ、互いに直交している第1ループ10及び第2ループ20により、本発明の波吸収メタマテリアルに、両偏波でも優れた波吸収性能を持たせることができる。
【0026】
また、このような3次元構造を用いるため、電磁波の入射方向Din(
図2に示すように)における金属デューティ比が低くなり、インピーダンス整合がより容易に実現される。
【0027】
引き続き
図1を参照すると、第1ループ10において、抵抗16、18の両端と対応する金属半ループ12、14の端部との間には、2組の平行線を構成するための金属延長部15がさらに設けられている。第2ループ20において、抵抗26、28の両端と対応する金属半ループ22、24の端部との間には、2組の平行線を構成するための金属延長部25がさらに設けられている。
【0028】
第1ループ10における一方の抵抗16が第2ループ20における対向する2つの金属半ループ22、24間に位置するとともに、第1ループ10における他方の抵抗18が第2ループ20における対向する2つの金属半ループ22、24の外部に位置する。即ち、第1ループ10における抵抗16が、金属半ループ22、24及び2つの抵抗26、28が直列接続されてなる第2ループ20の内部に位置し、第1ループ10における抵抗18が第2ループの外部に位置し、このような設計により同様にインピーダンス整合が容易に実現される。
【0029】
本実施例において、第1ループ10の2つの金属半ループ12、14の寸法が、第2ループ20の2つの金属半ループ22、24の寸法と同じである。
【0030】
一実施例において、第1ループ10において、2つの抵抗16、18の抵抗値が異なってもよい。第2ループ20において、2つの抵抗26、28の抵抗値が異なってもよい。一実施例において、第1ループ10において、2つの抵抗16、18の抵抗値が同じであってもよい。一実施例において、第2ループ20において、2つの抵抗26、28の抵抗値が同じであってもよい。
【0031】
他の実施例において、第1ループ10における一方の抵抗16が第2ループ20における対向する2つの金属半ループ22、24間に位置するとともに、第1ループ10における他方の抵抗18が第2ループ20における対向する2つの金属半ループ22、24の間に位置する。即ち、第1ループ10における抵抗16が、金属半ループ22、24及び2つの抵抗26、28が直列接続されてなる第2ループ20の内部に位置し、第1ループ10における抵抗18も第2ループ20の内部に位置し、そして、第1ループ10が第1ループ10と第2ループ20との互いに直交する直交線を回転軸として反時計回りに90度回転して第2ループと重なり、このような設計により同様にインピーダンス整合が実現できる。
【0032】
図2に示すように、それぞれのメタマテリアルセル100は、互いに垂直である第1誘電体板11及び第2誘電体板21をさらに備え、第1ループ10及び第2ループ20が第1誘電体板11及び第2誘電体板21にそれぞれ設けられている。第1ループ10及び第2ループ20における金属半ループ12、14、22、24の半径、及び第1誘電体板11、第2誘電体板21の入射方向Dinにおける厚さ(即ち
図4Bにおける厚さD2)を調整することにより吸収される帯域を調整することができ、これにより本発明の波吸収メタマテリアルが単に特定の周波数帯域に対応するのではなく、パラメータの設定により吸収帯域を調整することができる。
【0033】
隣接する第1誘電体板11と隣接する第2誘電体板21との間に電解質が充填されてもよい。第1ループ10及び第2ループ20が異なる誘電体板に搭載されるため、複数のメタマテリアルセル100が周期的に配列された後、隣接する第1誘電体板11と隣接する第2誘電体板21との間に大きな空隙が生じ、これらの空隙に誘電率が低い(例えば、誘電率が4未満)電解質で充填されてもよい。
【0034】
引き続き
図2を参照すると、本発明に係る波吸収メタマテリアルは、前記第1平面と垂直であって第2平面と垂直である金属バックシート200をさらに備え、つまり、金属バックシート200が第1誘電体板11及び第2誘電体板21と垂直である。複数のメタマテリアルセル100が金属バックシート200の一側面に周期的に配列されている。金属バックシート200は銅、銀、金などの金属のいずれかを用いてもよい。
【0035】
幾つかの実施例において、本発明に係る波吸収メタマテリアルはさらに、複数のメタマテリアルセル100が一側面に周期的に配列されているスキン(図示せず)を備えてもよい。例えば、スキンが金属バックシート200と対向して設けられてもよく、複数のメタマテリアルセル100がスキンの金属バックシート200に近い側面に周期的に配列され、即ち複数のメタマテリアルセル100がスキンと金属バックシート200との間に位置する。周期的に配列されている複数のメタマテリアルセル100の一側にスキンを添加して保護することにより、広帯域で波を吸収するとともに低周波数でも高い波透過率を有することを保証することができる。
【0036】
さらに
図1及び
図2に示すように、一実施例において、金属半ループは、厚さが20μmである銅ループであってもよく、第1、第2誘電体板の誘電率がいずれも3.1であり、損失正接が0.6%である。一実施例において、金属半ループが金、銀などの金属のいずれかを用いてもよい。
【0037】
図3、
図4A及び
図4Bに示すように、一具体的な実施例において、第1ループ10、第2ループ20における各金属半ループの寸法が同じであり、具体的には、金属半ループの内径Φ1=2.6mmであり、金属半ループの幅D1=0.6mmであり、同一平面内(即ち同一ループ内)の両金属半ループと金属延長部との距離L1=2mmであり、金属延長部の長さL2=0.9mmである。第1誘電体板11、第2誘電体板21の長さはいずれもL3=8mmであり、厚さはいずれもD2=0.8mmであり、幅はいずれもH1=7mmである。第1ループ10、第2ループ20における一方の抵抗(例えば抵抗16、26)の抵抗値はR1=500Ωであり、他方の抵抗(例えば抵抗18、28)の抵抗値はR2=150Ωである。
【0038】
図5~
図8は、
図3、
図4A及び
図4Bに示す実施例のシミュレーション結果を示している。シミュレーション結果から分かるように、
図5及び
図6に示すように、TE偏波では、0~60°範囲内X帯域(8GHz~12GHz)からKu帯域(12GHz~18GHz)までは、ほぼ吸収率が70以上達し、Ku帯域が90%以上達している。
【0039】
図7及び
図8に示すように、TM偏波では、X-Ku帯域吸収率は0~40°の範囲でほぼ70%以上達し、Ku帯域0~60°の範囲でほぼ70%以上の吸収率に達している。なお、本実施例は1つの例示に過ぎず、金属半ループの寸法、誘電体板の厚さや幅、抵抗の抵抗値などのパラメータを調整することにより、波吸収範囲を自由に調整することができ、このような波吸収範囲は現在常用の電磁波周波数帯域をカバーすることができる。
【0040】
本発明に係る波吸収メタマテリアルは、レドームに適用することができ、レドームにより保護されるアンテナが動作周波数帯域内に性能が基本的に影響を受けずに帯域外電磁波がレドームに入らないことを保証することができる。本発明に係る波吸収メタマテリアルは、通信分野にも適用でき、アンテナアレイの単一アレイを実現するために独立チャネルなどの機能を使用する新たな手段を提供することができる。
【0041】
以上の説明は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するためのものではなく、本発明の精神及び原則内で行われるあらゆる修正、同等置換及び改良などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。