(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】FCCガソリンの改質方法
(51)【国際特許分類】
C10G 65/00 20060101AFI20220606BHJP
C01B 39/38 20060101ALI20220606BHJP
B01J 29/78 20060101ALI20220606BHJP
B01J 29/80 20060101ALI20220606BHJP
C10G 45/32 20060101ALI20220606BHJP
C10G 45/02 20060101ALI20220606BHJP
C10G 45/58 20060101ALI20220606BHJP
【FI】
C10G65/00
C01B39/38
B01J29/78 M
B01J29/80 M
C10G45/32
C10G45/02
C10G45/58
(21)【出願番号】P 2021524084
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(86)【国際出願番号】 CN2018122105
(87)【国際公開番号】W WO2020052145
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-01-08
(31)【優先権主張番号】201811057464.0
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521012913
【氏名又は名称】福州大学
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】▲パァォ▼ ▲シィアォ▼▲ヂィン▼
(72)【発明者】
【氏名】王 廷▲ハァィ▼
(72)【発明者】
【氏名】岳 源源
(72)【発明者】
【氏名】王 学▲リィー▼
(72)【発明者】
【氏名】▲リウ▼ 杰
(72)【発明者】
【氏名】袁 珮
(72)【発明者】
【氏名】朱 ▲ハァィ▼波
(72)【発明者】
【氏名】白 正▲シゥアィ▼
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101885985(CN,A)
【文献】特開平09-137172(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101845322(CN,A)
【文献】特表平06-509830(JP,A)
【文献】特開平10-102070(JP,A)
【文献】特表2004-513214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
FCCガソリンの改質方法であって、FCCガソリンは、予備水素化触媒の作用において、予備水素化反応器を通過してメルカプタンエーテル化、二重結合の異性化反応を行い、予備水素化反応流出物を軽質・重質ガソリン留分にカットし、軽質ガソリン留分が異性化触媒の作用において異性化反応を起こり、重質ガソリン留分が水素化脱硫-異性化触媒の作用において選択的に水素化脱硫され、同時に直鎖オレフィンが単分岐オレフィン又は単分岐アルカンに異性化される工程と、
反応後の重質ガソリン留分は、更にオクタン価回復ユニットに入ってオクタン価回復触媒と接触して、2分岐異性化反応を行わせる工程と、
最後に軽質・重質ガソリン留分をブレンドしてクリーンガソリンを得る工程と、
前記予備水素化触媒は、担体及び活性成分を含み、担体が75~95wt%のマクロ孔構造を持つアルミナ複合担体及び5~25wt%のZSM-5、ZSM-11、ZSM-12、ZSM-35、モルデナイト、アモルファスシリカアルミナ、SAPO-11、MCM-22、Y分子ふるい又はbeta分子ふるいから選択される1種又は複数種を含み、マクロ孔構造を持つアルミナ複合担体が0.1~12wt%のタングステンドープランタンフェライトを含有し、アルミナ複合担体のメソ孔が全細孔の1~85%占め、アルミナ複合担体のマクロ孔が全細孔の1~70%を占め、担体表面に活性成分としてコバルト、モリブデン、ニッケル、タングステンの1種又は複数種が担持され、酸化物として計算して活性成分の含有量が0.1~15.5%であることを特徴とする、
FCCガソリンの改質方法。
【請求項2】
前記マクロ孔構造を持つアルミナ複合担体は、0.1~12wt%の酸化ケイ素、0.1~10wt%のタングステンドープランタンフェライトを含み、メソ孔が全細孔の1~80%,マクロ孔が全細孔の1~40%を占め、担体内のミクロ孔、メソ孔、マクロ孔が不均一に分布することを特徴とする、請求項
1に記載のFCCガソリンの改質方法。
【請求項3】
前記予備水素化反応条件は、反応温度80~160℃、反応圧力1~5MPa、液空間速度1~10h
-1、水素と油との体積比3~8:1であることを特徴とする、請求項
1に記載のFCCガソリンの改質方法。
【請求項4】
前記マクロ孔構造を持つアルミナ複合担体の調製方法は、アルミニウム源とセバニア粉末をニーダー内に加えて均一に混合させ、無機酸溶液又は有機酸溶液と、有機ポリマーと、を加えてから均一に捏ね上げ、次にタングステンドープランタンフェライトを加えて均一に混合してアルミナ前駆体を得て用意しておく工程と、
有機ポリマーの酸性溶液にシリコン源を加えて均一に混合した後で、アルミナ前駆体と混合し、アルミナ前駆体中の有機ポリマーの単位含有量がシリコン源中の有機ポリマーの含有量よりも1.5倍以上高く、押出し、成形、乾燥、焼成により、アルミナ担体を得る工程と、
を含むことを特徴とする、請求項
2に記載のFCCガソリンの改質方法。
【請求項5】
前記タングステンドープランタンフェライトは、ミクロメソ孔を有するタングステンドープランタンフェライトであり、その調製方法はクエン酸を脱イオン水に溶かし、撹拌して溶解させ、次に硝酸ランタンと硝酸鉄をクエン酸内に加え、撹拌して溶解させ、ポリアクリル酸ナトリウム又はポリアクリル酸を加え、ポリアクリル酸ナトリウム又はポリアクリル酸の添加量はタングステンドープランタンフェライトの0.1~9wt%であり、更にタングステン含有化合物を加え、酸化物として計算してタングステンがタングステンドープランタンフェライトの0.1~8wt%を占め、撹拌、反応させた後、乾燥、焼成、研磨により最終製品を得ることを特徴とする、請求項
1~4のいずれか一項に記載のFCCガソリンの改質方法。
【請求項6】
前記水素化脱硫-異性化触媒は、担体及び活性成分を含み、担体がマクロ孔構造を持つアルミナ複合担体を含み、アルミナ複合担体が0.1~12wt%のタングステンドープランタンフェライトを含有し、アルミナ複合担体のメソ孔が全細孔の1~85%占め、アルミナ複合担体のマクロ孔が全細孔の1~70%を占め、担体表面にリンモリブデン酸、リンタングステン酸又はリンモリブデン酸が担持され、重量%で計算すると触媒中のリンモリブデン酸、リンタングステン酸又はリンモリブデン酸が酸化物として計算して含有量が0.1~16.5%であることを特徴とする、請求項1に記載のFCCガソリンの改質方法。
【請求項7】
水素化脱硫-異性化反応プロセス条件は、反応温度190~330℃、反応圧力1.2~3.5MPa、体積空間速度2.5-5h
-1、水素と油との体積比160~460:1であることを特徴とする、請求項1に記載のFCCガソリンの改質方法。
【請求項8】
前記予備水素化反応流出物のカット温度は、50~70℃であることを特徴とする、請求項1に記載のFCCガソリンの改質方法。
【請求項9】
軽質ガソリン留分の異性化触媒は、予備水素化触媒のマクロ孔構造を持つアルミナ複合担体とSAPO-11分子ふるいを質量比80~90:10~20で得られた複合材料を担体とし、質量含有率が5~18%のMo、Co及びNiを活性成分として担持して製造されることを特徴とする、請求項1に記載のFCCガソリンの改質方法。
【請求項10】
前記オクタン価回復ユニット内の前記オクタン価回復触媒は、重量%で計算すると32~88%の弱酸性メソ孔H型Zn-ZSM-5分子ふるい又は改善された弱酸性メソ孔H型Zn-ZSM-5分子ふるいを含み、0~66%の疑似ベーマイト、マクロ孔アルミナ又は亜鉛-アルミニウムハイドロタルサイトバインダーを担体とし、0.5~16%の金属活性成分を含浸し、前記金属活性成分がFe、Co、Ni、Mo及びWのうちの1種又は複数種であることを特徴とする、請求項1に記載のFCCガソリンの改質方法。
【請求項11】
前記オクタン価回復ユニットの2分岐異性化反応条件は、反応温度180~450℃、反応圧力0.6~4.8MPa、空間速度0.5~8h
-1、水素と油との体積比50~450:1であることを特徴とする、請求項1に記載のFCCガソリンの改質方法。
【請求項12】
前記改善された弱酸性メソ孔H型Zn-ZSM-5分子ふるいの調製方法は、次の工程(1)~(4)を含むことを特徴とする、請求項
10に記載のFCCガソリンの改質方法。
(1) 一定温度で、脱イオン水、アルミニウム源、亜鉛源、酸源、テンプレート剤及びシリコン源を撹拌条件下で均一に混合してゲルを調製し、材料のモル比を(0.003~0.07)A
l2O
3:(0.03-0.3)Na
2O:1SiO
2:(8~45)H
2O:(0.05~0.2)SDA:(0.001~0.15)ZnOに調整する工程、
(2) 工程(1)で得られたゲルをエージングさせた後でポリテトラフルオロエチレンライニング付きステンレス鋼反応器に移して密封・結晶化させ、結晶化が完了した後、結晶化物を冷却し、母液をろ過除去し、濾過ケークを脱イオン水で中性になるまで洗浄し、乾燥させることでZn-ZSM-5分子ふるいを得る工程、
(3) 工程(2)で得られた前記Zn-ZSM-5分子ふるいは、交換、ろ過、乾燥、焼成の処理を経て、H型Zn-ZSM-5分子ふるいを得る工程、
(4)前記H型Zn-ZSM-5分子ふるいの表面に亜鉛含有化合物を含浸して修飾させ、分子ふるいの表面の亜鉛含有量を分子ふるい内部の亜鉛含有量よりも高くさせ、改善された弱酸性メソ孔H型Zn-ZSM-5分子ふるいを得る工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動接触分解(Fluidized Catalytic Cracking、FCC)ガソリンの改質方法に関する。
【背景技術】
【0002】
FCCガソリンは、C4~C12炭化水素及び微量の硫化物、酸化物及び金属ヒ素などで構成された混合物である。各製油所の原油の性状及び加工ルートの違いによると、FCCガソリンは18~55v%のオレフィン、12~20v%の芳香族炭化水素及びアルカンの混合物であり、各成分のオクタン価の特性が芳香族炭化水>オレフィン=イソパラフィン>アルカンとなる。中国の高硫黄、高オレフィン含有量及び低オクタン価のFCCガソリンは約、70%を占め、低硫黄含有量、低オレフィン含有量、高オクタン価のアルキル化油、異性化油及び改質油の割合が低く、これにより中国のFCCガソリンの清浄化は、脱硫、オレフィン減少、オクタン価の保持という3つのミッション目標を達成する必要があった。
【0003】
特許文献1では、超低硫黄かつオクタン価の高いガソリンの製造方法を提案している。この製造方法は、劣質な全留分ガソリン原料を反応蒸留塔内に入り、チオエーテル化触媒と接触させ、チオエーテル化反応を起こさせて留分をカットし、低沸点メルカプタン及びチオフェン等の硫化物を高沸点チオエーテルに変換させることで重質留分ガソリン内に移し、軽質留分ガソリンと重質留分ガソリンのカットや分留切割温度が50~90℃である工程と、軽質留分ガソリンを炭化水素多分岐異性化触媒に接触させる工程と、重質留分ガソリンを選択的水素化脱硫触媒及び脱硫補充-炭化水素異性化/芳香族化触媒と接触させる工程と、処理後の軽質留分ガソリンを重質留分ガソリンと混合させることで、超低硫黄かつオクタン価の高いガソリンを得た工程と、を含む。この発明は、劣質なガソリンの改質に適し、特に、超高硫黄及び高オレフィンの劣質な接触分解ガソリンにとってより良好な脱硫、オレフィン減少効果を得さることができ、反応後も製品のオクタン価を保持又は増加させる共により高い製品収率を保つことができる。
【0004】
現在、中国国内の製油所は、一般的に選択されているガソリン品質向上技術の中で、Prime-G技術を代表とする高選択性脱硫プロセスは、予備水素化-軽質・重質ガソリンのカット-重質ガソリンの選択的水素化脱硫-重質ガソリン脱硫補充プロセス原理を用いていたが、具体的なガソリン原料の成分と含有量、及びガソリン製品の標準が異なるため、ガソリンの改質プロセス及び使用される触媒の差も比較的大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】中国特許番号第CN201010224554.1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、FCCガソリンの改質方法、具体的に接触分解ガソリンが予備水素化を経て、軽質・重質ガソリン留分にカットされ、軽質ガソリン留分への異性化反応を起こさせ、重質ガソリン留分を水素化脱硫-異性化させることで、更に2分岐異性化等の過程によりオレフィンの少なく、硫黄含有量も非常に低く、高オクタン価のクリーンガソリン(Clean Gasoline)を製造する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
FCCガソリンの改質方法であって、FCCガソリンは予備水素化触媒の作用において、予備水素化反応器を通過してメルカプタンエーテル化、二重結合の異性化反応を行い、予備水素化反応流出物を軽質・重質ガソリン留分にカットし、軽質ガソリン留分が異性化触媒の作用において異性化反応を起こり、重質ガソリン留分が水素化脱硫-異性化触媒の作用において選択的に水素化脱硫され、同時に直鎖オレフィンが単分岐オレフィン又は単分岐アルカンに異性化され;反応後の重質ガソリン留分は、更にオクタン価回復ユニットに入ってオクタン価回復触媒と接触して、2分岐異性化反応を行わせ;最後に軽質・重質ガソリン留分をブレンドしてクリーンガソリンを得る。
【0008】
上記FCCガソリンは、予備水素化反応器を通過してメルカプタンエーテル化、二重結合の異性化反応を行い、反応条件は反応温度80~160℃、反応圧力1~5MPa、液空間速度1~10h-1、水素と油との体積比3~8:1であり;予備水素化触媒は、担体及び活性成分を含み、担体が75~95wt%のマクロ孔構造を持つアルミナ複合担体及び5~25wt%のZSM-5、ZSM-11、ZSM-12、ZSM-35、モルデナイト、アモルファスシリカアルミナ、SAPO-11、MCM-22、Y分子ふるい又はbeta分子ふるいから選択される1種又は複数種を含み、アルミナ複合担体が0.1~12wt%のタングステンドープランタンフェライトを含有し、アルミナ複合担体のメソ孔が全細孔の1~85%占め、マクロ孔が全細孔の1~70%を占める。好ましくは、メソ孔は、全細孔の5~70%を占め、好ましくはマクロ孔が全細孔の5~45%を占める。担体表面に活性成分としてコバルト、モリブデン、ニッケル、タングステンの1種又は複数種が担持され、酸化物として計算して含有量は0.1~15.5%である。
【0009】
より好ましくは、反応条件は、反応温度90~145℃、反応圧力1~4MPa、液空間速度1~8h-1、水素と油との体積比3~6:1であり;
本発明の予備水素化反応は、主に小分子メルカプタン、チオエーテルが予備水素化触媒の作用において、ジオレフィとチオエーテル化反応を起こさせ、同時に二重結合が異性化(すなわち、末端オレフィンを内部オレフィンへと変換する)し、また残りのジオレフィを飽和させる。メルカプタンエーテル化、二重結合の異性化反応と同時にオレフィン重合、過度な分解等の副反応を抑制させることで、触媒活性及び選択性を向上させ、液収率を高める。
【0010】
前記マクロ孔構造を持つアルミナ複合担体内には0.1~12wt%のタングステンドープランタンフェライトが含有し、担体のメソ孔は全細孔の1~85%を占め、マクロ孔が全細孔の1~70%を占める。好ましくは、メソ孔は、全細孔の5~70%を占め、好ましくはマクロ孔が全細孔の5~45%を占める。
【0011】
マクロ孔構造を持つアルミナ複合担体の調製方法であって、アルミニウム源とセバニア粉末(Sesbania powder)をニーダー内に加えて均一に混合させ、無機酸溶液と有機ポリマーを加えてから均一に捏ね上げ、次にタングステンドープランタンフェライトを加えてから均一に捏ね上げた後、押出し、成形、乾燥、焼成によりアルミナ担体を得る。
【0012】
上記マクロ孔構造を持つアルミナ複合担体粉末とZSM-5、ZSM-11、ZSM-12、ZSM-35、モルデナイト、SAPO-11、MCM-22、Y分子ふるい又はbeta分子ふるい粉末のうちの1種又は複数種を均一に混合させてからセバニア粉末や脱イオン水を加えて混合させ、無機酸を加え、撹拌、乾燥、焼成処理して混合担体を得る。次に活性成分としてコバルト、モリブデン、ニッケル、タングステンを担持し、触媒内のコバルト、モリブデン、ニッケル、タングステンは、酸化物として計算して含有量が0.1~15.5%である。
【0013】
上記アルミナ担体を調製するための前記アルミニウム源は、疑似ベーマイト、アルミナ、硫酸アルミニウムのうちの1種又は複数種である。アルミニウム源は、カオリン、レクトライト、パーライト、モンモリロナイトのうちの1種又は複数種であってもよい。
【0014】
担体のさらなる改善策として、改善されたアルミナ担体であって、担体内には0.1~12wt%の酸化ケイ素、0.1~10wt%のタングステンドープランタンフェライトを含有し、担体のメソ孔は全細孔の1~80%を占め、マクロ孔が全細孔の1~55%占める。好ましくは、メソ孔は、全細孔の1~65%、より好ましくは5~55%を占め、好ましくはマクロ孔が全細孔の5~45%、より好ましくは10~35%を占め、担体内のミクロ孔、メソ孔、マクロ孔が不均一に分布する。
【0015】
好ましくは、上記アルミナ担体内のタングステンドープランタンフェライトは、0.3~9wt%、より好ましくは0.3~5wt%であり、タングステンドープランタンフェライト内のタングステンがタングステンドープランタンフェライトの0.1~8wt%を占める。
【0016】
前記有機ポリマーは、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリアクリレートのうちの1種又は複数種であり、好ましくはポリアクリル酸又はポリアクリル酸ナトリウムである。
【0017】
ランタンフェライト(LaFeO3)の添加と比較し、アルミナ担体内にタングステンドープランタンフェライトを加え、次にZSM-5、ZSM-11、ZSM-12、ZSM-35、モルデナイト、アモルファスシリカアルミナ、SAPO-11、MCM-22、Y分子ふるい又はbeta分子ふるいから選択される1種又は複数種を導入して複合担体を調製し、活性成分としてコバルト、モリブデン、ニッケル、タングステンを担持し、触媒がチオエーテル化反応を効果的に促進させ、同時に二重結合が異性化(すなわち、末端オレフィンを内部オレフィンへと変換する)し、また残りのジオレフィを飽和させ、特に、二重結合異性化の選択性が比較的高い。
【0018】
担体のさらなる改善策として、アルミナ担体内に酸化ケイ素を添加するが好ましく、改善されたアルミナ担体の調製方法としては、疑似ベーマイト及びセバニア粉末をニーダー内に加えて均一に混合させ、無機酸又は有機酸溶液と、有機ポリマーと、を加えて均一に捏ね上げ、次にタングステンドープランタンフェライトを加えて均一に混合してアルミナ前駆体を得て用意しておき;有機ポリマーの酸性溶液にシリコン源を加え、アルミナ前駆体中の有機ポリマーの単位含有量がシリコン源中の有機ポリマーの含有量よりも1.5倍以上高い。均一に混合した後で、アルミナ前駆体と混合し、押出し、成形、乾燥、焼成により、アルミナ担体を得る。前記シリコン源は、ケイ酸ナトリウム又はマイクロシリコン粉末であり得、タングステン含有化合物としてはタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸アンモニウム、パラタングステン酸アンモニウム等が挙げられる。前記無機酸は、硝酸、塩酸、硫酸であり、有機酸がシュウ酸、クエン酸、ニトリロトリ酢酸、酒石酸、酢酸又はリンゴ酸である。
【0019】
上記アルミナ担体のさらなる改善策として、前記シリコン源は、ケイ酸ナトリウム又はマイクロシリコン粉末であり得、珪藻土、オパールのうちの1種又は2種であってもよく、アルミニウム源はカオリン、レクトライト、パーライト、モンモリロナイトのうちの1種又は複数種であり得る。
【0020】
カオリン、レクトライト、パーライト、モンモリロナイト粉末の活性化過程のサブ溶融塩媒体は、NaOH-H2Oであり、ボーキサイト粉末とサブ溶融塩媒体を質量比1:0.2~2で均一に混合し、100~400℃の温度において、0.5~4時間活性化する。珪藻土、オパールの活性化過程は、珪藻土を500~1000℃の温度において、1~10時間焼成する。上記アルミナ担体中のタングステンドープランタンフェライトは、好ましくはミミクロメソ孔を有し、ミミクロメソ孔を有するタングステンドープランタンフェライトを導入して、調製された触媒が炭化水素分解等の副反応を効果的に抑制し、標的生成物の選択性を高めるのに有益である。
【0021】
ミクロメソ孔を有するタングステンドープランタンフェライトの調製方法であって、クエン酸を脱イオン水に溶かし、撹拌して溶解させ、次に硝酸ランタンと硝酸鉄をクエン酸内に加え、撹拌して溶解させ、ポリアクリル酸ナトリウム又はポリアクリル酸を加え、ポリアクリル酸ナトリウム又はポリアクリル酸の添加量はタングステンドープランタンフェライトの0.1~9wt%、好ましくは0.1~6.0wt%である。更にタングステン含有化合物を加え、酸化物として計算してタングステンがタングステンドープランタンフェライトの0.1~8wt%を占め、撹拌、反応させた後、乾燥、焼成、研磨により最終製品を得る。
【0022】
本発明の前記アルミナ担体は、マクロ孔構造を持つアルミナ複合担体である。
【0023】
改善されたアルミナ担体において、アルミナ前駆体中の有機ポリマーの単位含有量は、シリコン源中の有機ポリマーの含有量よりも1.5倍以上高く、担体の孔構造を効果的に改善できる。一方で担体のミクロ孔、メソ孔、マクロ孔を不均一に分布させ、オレフィン重合し、過度な分解等の副反応を減らし、選択性を高め、ガソリンの収率が高くなることで、装置の長期運転に役立ち;他方で担体表面により多くの活性部位担持中心を生成させて、触媒の活性を向上するのに有益である。
【0024】
本発明の前記予備水素化触媒の担体は、マクロ孔構造を持つアルミナ複合担体及びZSM-5、ZSM-11、ZSM-12、ZSM-35、モルデナイト、アモルファスシリカアルミナ、SAPO-11、MCM-22、Y分子ふるい又はbeta分子ふるいから選択される1種又は複数種を含み、ガソリンからジオレフィ、メルカプタン及びチオエーテルを除去するためのコバルト、モリブデン、ニッケル、タングステンのうちの1種又は複数種を担持し、同時に二重結合が異性化(すなわち、末端オレフィンを内部オレフィンへと変換する)し、また残りのジオレフィを飽和させる。触媒は、末端オレフィンを内部オレフィンへと変換するのを効果的に促進させ、オクタン価を高めるだけではなく、低炭素な異性化炭化水素の再分解反応を減少し、オレフィン重合や過度な分解等の副反応を減らし、活性の選択性を高め、ガソリン収率を高める。
【0025】
上記活性成分のコバルト、モリブデン、ニッケル、タングステンは、これらの各種塩類又はこれらのそれぞれ酸化物、硫化物、窒化物、リン化物のうちの1種又は複数種であり得る。
【0026】
予備水素化触媒の調製方法は、次の工程を含む。すなわち、コバルト、モリブデン、ニッケル、タングステンを含む活性成分物質を含浸溶液として調製し、担体を含浸して120~180℃で4~8時間乾燥させ、450~800℃で3~9時間焼成することで、予備水素化触媒を得る。
【0027】
触媒のさらなる改善策として、前記触媒は、ZSM-5、ZSM-11、ZSM-12、ZSM-35、マーセライズ、SAPO-11、MCM-22、Y分子ふるい又はbeta分子ふるいから選択される1種又は複数種をさらに含む。
【0028】
予備水素化反応流出物のカット・分留温度は、50~70℃であり、軽質ガソリン留分が異性化触媒の作用において異性化反応を起こさせ、異性化触媒は上記予備水素化触媒のマクロ孔構造を持つアルミナ複合担体とSAPO-11分子ふるいを質量比80~90:10~20で得られた複合材料を担体とし、質量含有率が5~18%のMo、Co及びNiを活性成分として担持して製造される。
【0029】
本発明の前記重質ガソリン留分反応流出物は、水素化脱硫-異性化触媒の作用において選択的に水素化脱硫され、同時に直鎖オレフィンが単分岐オレフィン又は単分岐アルカンに異性化される反応プロセス条件は反応温度190~330℃、反応圧力1.2~3.5MPa、体積空間速度2.5-5h-1、水素と油との体積比160~460:1である。
【0030】
接触分解ガソリン選択的水素化脱硫-異性化触媒は、担体及び活性成分を含み、担体が予備水素化触媒に使用される担体であり、担体表面にリンモリブデン酸、リンタングステン酸又はリンモリブデン酸が担持され、触媒中のリンモリブデン酸、リンタングステン酸又はリンモリブデン酸は酸化物として計算して含有量が0.1~16.5%である。
【0031】
さらなる改善策として、上記触媒表面に活性成分を含浸させて改善された触媒が得られ、重量%で計算すると触媒が0.1~14.5%の金属活性成分を含み、活性成分がコバルト、モリブデン、ニッケル、タングステンから選択される1種又は複数種である。
【0032】
本発明の前記水素化脱硫-異性化触媒は、タングステンドープランタンフェライトを含むマクロ孔アルミナを担体として、リンモリブデン酸タングステン、リンタングステン酸又はリンモリブデン酸及び/又はコバルト、モリブデン、ニッケル、タングステンのうちの1種又は複数種を担持し、ガソリン水素化の選択的脱硫-異性化に用いられ、単分岐異性化を効果的に促進し、オクタン価を高めるだけではなく、低炭素な異性化炭化水素の再分解反応を減少し、オレフィン重合や過度な分解等の副反応を減らし、活性の選択性を高め、ガソリン収率も高める。この触媒は、国5、国6の基準を満たすクリーンガソリンを製造するための接触分解ガソリンに用いられる。
【0033】
反応流出物は、再びオクタン価回復ユニットに入り、オクタン価回復触媒の作用において、2分岐異性化が行われ、反応条件は反応温度180~450℃、反応圧力0.6~4.8MPa、空間速度0.5~8h-1、水素と油との体積比50~450:1である。
【0034】
前記2分岐異性化は、単分岐オレフィン又は単分岐アルカンを2分岐アルカンに異性化することを含む。
【0035】
前記オクタン価回復触媒は、ZSM-5分子ふるいを含み;重量%で計算すると前記オクタン価回復触媒は、32~88%の弱酸性メソ孔H型Zn-ZSM-5分子ふるい又は改善された弱酸性メソ孔H型Zn-ZSM-5分子ふるいを含み、好ましくは42~83%であり;0~66%の疑似ベーマイト、マクロ孔アルミナ又は亜鉛-アルミニウムハイドロタルサイトバインダーを担体とし、好ましくは8~55%であり;0.5~16%の金属活性成分を含浸し、好ましくは1~12%であり;前記金属活性成分は、Fe、Co、Ni、Mo及びWのうちの1種又は複数種であり、担持方法が含浸法であり、好ましくは等量含浸法又は複数回繰り返し含浸法である。
【0036】
本発明において、前記弱酸性メソ孔H型Zn-ZSM-5分子ふるいのメソ孔孔径は、4.5~36nmに集中し、比表面積が320~650m2/gであり;酸化亜鉛含有量は、分子ふるい総重量の0.15~12%である。
【0037】
本発明において、改善された弱酸性メソ孔Zn-ZSM-5分子ふるいのメソ孔孔径は、4.5~36nmに集中し、比表面積が320~650m2/gであり;酸化亜鉛含有量は、分子ふるい総重量の0.15~12%であり、分子ふるい表面の亜鉛含有量が分子ふるい内部の亜鉛含有量よりも高く、好ましくは0.2~2倍高い。
【0038】
本発明は、次の工程(1)~(3)を含むメソ孔Zn-ZSM-5分子ふるいの調製方法を更に提供する。すなわち、
(1)一定温度で、脱イオン水、アルミニウム源、亜鉛源、酸源、テンプレート剤(SDA)及びシリコン源を撹拌条件下で均一に混合してゲルを調製し、材料のモル比を(0.003~0.07)Al2O3:(0.03-0.3)Na2O:1SiO2:(8~45)H2O:(0.05~0.2)SDA:(0.001~0.15)ZnOに調整する工程、
(2)工程(1)で得られたゲルをエージングさせた後でポリテトラフルオロエチレンライニング付きステンレス鋼反応器に移して密封・結晶化させ、結晶化が完了した後、結晶化物を冷却し、母液をろ過除去し、濾過ケークを脱イオン水で中性になるまで洗浄し、乾燥させることでZn-ZSM-5分子ふるいを得る工程、
(3)工程(2)で得られたZn-ZSM-5分子ふるいは、交換、ろ過、乾燥、焼成等の一連の処理を経て、H型Zn-ZSM-5分子ふるいを得る工程。
【0039】
本発明は、メソ孔Zn-ZSM-5分子ふるいをさらに改善し、H型Zn-ZSM-5分子ふるいを得た後、含浸法を通じてH型Zn-ZSM-5分子ふるいの表面に亜鉛含有化合物を含浸して修飾させ、分子ふるいの表面の亜鉛含有量を分子ふるい内部の亜鉛含有量よりも高くさせ、好ましくは等量含浸によりZnで修飾・改善されたH型Zn-ZSM-5分子ふるい、すなわち、改善されたZn-ZSM-5分子ふるいを得る。前記亜鉛含有化合物は、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化亜鉛及び硫酸亜鉛のうちの1種又は複数種であり、好ましくは酢酸亜鉛である。
【0040】
工程(1)内の前記シリコン源は、従来の市販のシリコン源であり得、珪藻土、オパールのうちの1種又は2種であってもよく、アルミニウム源が従来の市販のアルミニウム源であり得、カオリン、レクトライト、パーライト、モンモリロナイトのうちの1種又は複数種であってもよく、亜鉛源がスミスソナイト、ジンカイトのうちの1種又は2種であり得る。
【0041】
工程(1)内の前記SDAは、トリメチルアミン(TMA)、メチルエチルアミン、ピロール、モルフィンのうちの1種又は複数種であり、一般的に使用される水酸化テトラプロピルアンモニウム(TPAOH)、臭化テトラプロピルアンモニウム(TPABr)、1,6-ヘキサンジアミン、n-ブチルアミン、1,2-ヘキサンジオールのうちの1種又は複数種であってもよく、好ましくはトリメチルアミン(TMA)、メチルエチルアミン、ピロール、モルフィンのうちの1種又は複数種である。
【0042】
工程(2)内の前記エージング温度は、30~85℃、好ましくは40~80℃であり;エージング時間は、1~24時間、好ましくは2~16時間である。
【0043】
工程(2)内の前記結晶化温度は、120~210℃、好ましくは130~185℃であり;1~5段階に分けて昇温させ、好ましくは1~3段階であり;不等温段階昇温、非等温段階昇温処理を行う方が良いであり、昇温速度が最初に速く、次に遅く、100℃の前に6~8℃/minの昇温速度で昇温させ、20~30℃を1つの昇温段階とし、温度域の処理時間が0.5~5時間であり;100~200℃の間を3~5℃/minの昇温速度で昇温させ、10~20℃が1つの昇温段階であり、温度域の処理時間が0.5~8時間である。本発明は、非等温段階昇温処理を用いているため、Zn-ZSM-5分子ふるい結晶化過程の核生成速度及び成長速度の制御に有益であり、メソ孔のサイズ及び数を制御できることで、触媒の活性及び標的生成物の選択性を向上できる。結晶化時間は、10~96時間、好ましくは24~72時間である。
【0044】
工程(3)内の前記焼成温度は、420~780℃、好ましくは450~650℃であり;焼成時間は、1~8時間であり;交換試薬は、塩酸、硝酸、硫酸、塩化アンモニウム又は硝酸アンモニウムのうちの1種であり;
工程(3)内の前記分子ふるいの表面修飾は、亜鉛含有化合物の等量含浸を用い、ここで、ZnOの質量分率が0.5~15%、好ましくは0.5~10%である。
【0045】
本発明のオクタン価回復触媒は、1段法で合成された骨格にZnを含むZn-ZSM-5分子ふるいを備え、分子ふるい合成方法が簡単で、Znが分子ふるい骨格に入ることで結晶構造が変化し、メソ孔が生じ、同時にZnの分散性を向上させ、これは反応物の拡散抵抗を減らし、耐炭素析出性を向上させることができる。
【0046】
Zn-ZSM-5分子ふるいの表面の亜鉛含有量は、分子ふるい内部の亜鉛含有量よりも高く、表面のZn原子とAlヒドロキシル基との相互作用により、強酸の強度を中強度に弱め、分子ふるいの酸強度を低下させ、発生源から炭化水素分解等の副反応を減らし、2分岐異性化炭化水素の選択性を高める。
【発明の効果】
【0047】
本発明は、低オレフィン、超低硫黄含有量、高オクタン価のクリーンガソリンの製造方法を提供し、具体的に接触分解ガソリンが予備水素化を経て、軽質・重質ガソリン留分にカットし、軽質ガソリン留分が異性化され、重質ガソリン留分が水素化脱硫-異性化され、更に2分岐異性化等のプロセスを行って低オレフィン、超低硫黄含有量、高オクタン価のクリーンガソリンを製造する方法である。本発明の方法は、FCCガソリンの超深度脱硫を実現すると同時に、ガソリンのオレフィン含有量をさらに低減し、ガソリンのオクタン価を保持することで、国6基準を満たすクリーンガソリンを得て、それにより製油所の経済的利益を明らかにアップする。本発明の分子ふるい及び触媒はまた、国5のガソリンを製造するための接触分解ガソリンに用いられることができる。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下に、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものと見なされるべきではない。本発明で用いられる原料試薬は、市販の製品である。
【0049】
一、調製予備水素化触媒
(1)予備水素化触媒1の調製
1、ミクロメソ孔を有するタングステンドープランタンフェライトの調製
撹拌条件下で、2.2molLa(NO3)3を100mLの水に溶かし、クエン酸を加え、撹拌して溶解させ;次に4.2mol Fe(NO3)3を加え、そして160gのポリアクリル酸ナトリウムを加え、さらに10gのメタタングステン酸アンモニウム含有水溶液を加え、30分間撹拌し続け、乾燥、焼成、研磨によりミクロメソ孔タングステンドープランタンフェライトを得た。
2、アルミナ担体の調製
2.2gのミクロメソ孔タングステンドープランタンフェライト内にクエン酸を加えて用意しておき、300gの疑似ベーマイト粉子と20.0gのセバニア粉末をニーダー内に加え、均一に混合させ、次に硝酸、8gのポリアクリル酸ナトリウムを加えて均一に捏ねてからミクロメソ孔タングステンドープランタンフェライトを加えて均一に混合し、捏ね上げ-押出を経てクローバーの形に成形した。120℃で8時間乾燥させ、700℃で4時間焼成させて、ミクロメソ孔タングステンドープランタンフェライトを含むアルミナ担体1を得た。担体の細孔構造を表1に示す。
3、予備水素化触媒1の調製
アルミナ担体1をセバニア粉末、酸化アモルファスシリカアルミナ、脱イオン水と練り合わせ、乾燥・焼成により複合担体1-1を得た。ヘプタモリブデン酸アンモニウムと硝酸ニッケルを蒸留水に加えて含浸液を調製し、前記複合担体1-1を含浸し、得られた触媒前駆体を140℃で乾燥した後、500℃で6時間焼成して、触媒1を得た。触媒1の主成分:ミクロメソ孔タングステンドープランタンフェライトを含むアルミナ担体は73.2wt%、アルミナの含有量が4.8wt%、酸化ケイ素の含有量が5.2wt%、酸化ニッケルの含有量が7.7wt%、酸化モリブデンの含有量が9.1wt%であった。
【0050】
(2)予備水素化触媒2の調製
1、タングステンドープランタンフェライトの調製
撹拌条件下で、2.2molLa(NO3)3を100mLの水に溶かし、クエン酸を加え、撹拌して溶解させ;次に4.2mol Fe(NO3)3を加え、さらに10gのメタタングステン酸アンモニウム含有水溶液を加え、30分間撹拌し続け、乾燥、焼成、研磨によりタングステンドープランタンフェライトを得た。
2、アルミナ担体の調製
2.2gのタングステンドープランタンフェライト内にクエン酸を加えて用意しておき、300gの疑似ベーマイト粉子と20.0gのセバニア粉末をニーダー内に加え、均一に混合させ、次に硝酸、8gのポリアクリル酸ナトリウムを加えて均一に捏ねてからタングステンドープランタンフェライトを加えて均一に混合し、捏ね上げ-押出を経てクローバーの形に成形した。120℃で8時間乾燥させ、700℃で4時間焼成させて、タングステンドープランタンフェライトを含むアルミナ担体2を得た。担体の細孔構造を表1に示す。
3、予備水素化触媒2の調製
触媒1と同じで、担体内にzsm-5を導入して複合担体2-1を得た。モリブデン、コバルトを含む含浸液に複合担体2-1を含浸させ、得られた触媒前駆体を140℃で乾燥した後、530℃で5時間焼成して、触媒2を得た。触媒2の主成分:タングステンドープランタンフェライトを含むアルミナ担体は、71.5wt%、zsm-5の含有量が7wt%、モリブデン酸化物が10.8wt%、コバルト酸化物が10.7wt%であった。
【0051】
(3)予備水素化触媒3の調製
ミクロメソ孔タングステンドープランタンフェライトを含むアルミナ担体3の調製は、触媒1と同じで、相違点としてミクロメソ孔タングステンドープランタンフェライトが担体の6wt%を占めることである。触媒の調製は、触媒1と同じで、アルミニウム源として活性化されたモンモリロナイトを使用した。相違点として活性成分がモリブデン、タングステンである。触媒3の主成分:ミクロメソ孔タングステンドープランタンフェライトを含むアルミナ担体は、75.6wt%、アルミナの含有量が4.0wt%、酸化ケイ素の含有量が4.0wt%、モリブデン酸化物が10.1wt%、タングステン酸化物が6.3wt%であった。
【0052】
(4)予備水素化触媒4の調製。
改善型アルミナ担体の調製
2gのポリアクリル酸ナトリウムを硝酸内に溶かし、次に28gのマイクロシリコン粉末を加えて均一に撹拌して、マイクロシリコン粉末-ポリアクリル酸ナトリウム混合物を得、1/10の量を取って用意しておき、2.0gのミクロメソ孔タングステンドープランタンフェライトにクエン酸を加えて用意しておく。310gの疑似ベーマイト粉子と22.0gのセバニア粉末をニーダー内に加え、硝酸を加え、次に28gのポリアクリル酸ナトリウム硝酸溶液を加えて均一に混合し、さらに前記マイクロシリコン粉末-ポリアクリル酸ナトリウム混合物を加えて均一に捏ねてからミクロメソ孔タングステンドープランタンフェライトを加えて均一に混合し、捏ね上げ-押出を経てクローバーの形に成形した。130℃で7時間乾燥させ、650℃で5時間焼成して、ミクロメソ孔タングステンドープランタンフェライト及び酸化ケイ素のアルミナ担体4を得た。
触媒の調製は、触媒2と同じで、相違点としては活性成分がタングステン、ニッケル、モリブデンである。触媒4の主成分:ミクロメソ孔タングステンドープランタンフェライトを含むアルミナ担体は、71.7wt%、zsm-5の含有量が5wt%、タングステン酸化物が7.8wt%、ニッケル酸化物が3.2wt%、モリブデン酸化物が12.3wt%であった。
【0053】
(5)予備水素化触媒5の調製
撹拌条件下で、2.0molLa(NO3)3を100mLの水に溶かし、クエン酸を加え、撹拌して溶解させ;次に4.0mol Fe(NO3)3を加え、さらに12gのメタタングステン酸アンモニウム含有水溶液を加え、30分間撹拌し続け、乾燥、焼成、研磨によりタングステンドープランタンフェライトを得た。
タングステンドープランタンフェライトを含むアルミナ担体5の調製は、触媒4と同じで、相違点としてタングステンドープランタンフェライトが担体の3wt%を占め、シリコン源アルミニウム源として活性化された珪藻土及びカオリンを使用することである。触媒5の主成分:タングステンドープランタンフェライト及び酸化ケイ素を含むアルミナ担体は、74.0wt%、zsm-5の含有量が4wt%、モリブデン酸化物が12.9wt%、タングステン酸化物が9.1wt%であった。
【0054】
(6)予備水素化触媒6の調製
触媒の調製は、触媒4と同じで、相違点として触媒内にモルデナイトを加えることである。触媒6の主成分:ミクロメソ孔タングステンドープランタンフェライト及び酸化ケイ素を含むアルミナ担体4の含有量は80.1wt%、モルデナイトの含有量が6.8wt%、モリブデン酸化物が10.4wt%、タングステン酸化物が2.7wt%であった。シリコン源やアルミニウム源として活性化された珪藻土及びカオリンを使用した。
【0055】
(7)予備水素化触媒7の調製
触媒の調製は、触媒6と同じで、相違点として触媒内にbeta分子ふるいを加えることである。触媒7の主成分:ミクロメソ孔タングステンドープランタンフェライト及び酸化ケイ素を含むアルミナ担体4の含有量は、72.8wt%、beta分子ふるいの含有量が6.7wt%、モリブデン酸化物が10.4wt%、ニッケル酸化物が10.1wt%であった。シリコン源やアルミニウム源として活性化された珪藻土とカオリンを使用した。
【0056】
(8)予備水素化對比触媒1の調製
担体の調製は、ランタンフェライトを添加することを除いて、触媒4と同じである。触媒の調製は、触媒4と同じであり、反応条件が触媒4と同じであり、反応結果を表2に示す。
【0057】
二、水素化脱硫-異性化触媒の調製
(1)水素化脱硫-異性化触媒1の調製
予備水素化触媒1の担体を担体とし、リンモリブデン酸を含浸させ、得られた触媒前駆体を140℃で乾燥した後、600℃で7時間焼成して、水素化脱硫-異性化触媒1を得た。触媒1の主成分:ミクロメソ孔タングステンドープランタンフェライトを含むアルミナ担体は、90.2wt%で、リンモリブデン酸化物が9.8wt%であった。
【0058】
(2)水素化脱硫-異性化触媒2の調製
予備水素化触媒3の担体を担体とし、リンモリブデン酸を含浸させ、得られた触媒前駆体を140℃で乾燥した後、630℃で5時間焼成して、触媒2を得た。水素化脱硫-異性化触媒2の主成分:タングステンドープランタンフェライトを含むアルミナ担体は、85.2wt%、リンモリブデン酸化物が14.8wt%であった。
【0059】
(3)水素化脱硫-異性化触媒3の調製
予備水素化触媒4の担体を担体とし、リンタングステン酸及びモリブデン酸アンモニウム(酸化モリブデンの重量が触媒の4.1%を占める)を含浸させた。触媒4の主成分:ミクロメソ孔タングステンドープランタンフェライトを含むアルミナ担体は、88.9wt%、リンタングステン酸化物が7.0wt%であった。
【0060】
(4)水素化脱硫-異性化触媒4の調製
予備水素化触媒4の担体及びモルデナイトを担体とし、リンモリブデン酸及び硝酸コバルト(酸化コバルトの重量が触媒の3.6%を占める)を含浸させ、シリコン源やアルミニウム源として活性化された珪藻土とカオリンを使用した。
触媒4の主成分:タングステンドープランタンフェライト及び酸化ケイ素を含むアルミナ担体は、86.8wt%、リンモリブデン酸化物が9.6wt%であった。
【0061】
三、軽質ガソリン留分の異性化触媒の調製
(1)軽質ガソリン留分の異性化触媒1の調製
予備水素化触媒1内のマクロ孔構造を持つアルミナ複合担体とSAPO-11分子ふるいを質量比85:15でセバニア粉末と混合させ、捏ね上げ、成形、乾燥、焼成によって担体を得た後、質量含有率が12%のMo、6%のCo及び9%のNiを活性成分として担持する。
【0062】
(2)軽質ガソリン留分の異性化触媒2の調製
予備水素化触媒4内のマクロ孔構造を持つアルミナ複合担体とSAPO-11分子ふるいを質量比80:20でセバニア粉末と混合させ、捏ね上げ、成形、乾燥、焼成によって担体を得た後、質量含有率が15%のMo、5%のCo及び9%のNiを活性成分として担持する。
【0063】
四、オクタン価回復触媒の調製
1、メソ孔Zn-ZSM-5分子ふるいの調製
(1) 0.44gのNaAlO2と2.14gのZn(NO3)2・6H2Oを49.55gの脱イオン水に溶かしてから2.00gの硫酸(3mol/L)を滴下し、5分間撹拌した後0.93gのTMAを加え、1時間撹拌してから14.20gの水ガラス(27.6wt%のSiO2、7.1wt%のNa2O及び65.3wt%のH2Oを含む)を加え、室温で2時間撹拌混合し、混合物のモル組成が0.003Al2O3:0.25Na2O:1SiO2:50H2O:0.24SDA:0.11ZnOであった。
(2) 工程(1)で得られた混合物を75℃まで昇温させて6時間エージングさせた後、この溶液をポリテトラフルオロエチレンライニング付きのステンレス鋼製結晶化ケトルに注ぎ、130℃まで昇温させて12時間結晶化させ、そして180℃まで昇温させ24時間静止状態で結晶化させる。結晶化が完了した後、冷却させ、母液をろ過除去し、中性になるまで洗浄し、120℃で乾燥させて、結晶化物Zn-ZSM-5分子ふるいを得た。
(3) Zn-ZSM-5分子ふるいを固液比1:10で濃度1mol/Lの塩化アンモニウム溶液に加え、60℃で4時間撹拌混合させ、吸引ろ過し、乾燥させて、同じ方法でもう一度交換し、マッフル炉に入れて550℃で6時間高温焼成してH型Zn-ZSM-5分子ふるいを得た後、更に質量分率が5%のZnOを含浸させた。
【0064】
2、Ni-Mo/Zn-ZSM-5-Y分子ふるい触媒の調製
上記で処理した30gのZn-ZSM-5分子ふるいと11gのY分子ふるいを30gの脱イオン水と均一に混合させてから押し出して成形し、120℃で4時間乾燥させ、550℃で5時間焼成して、分子ふるいの担体を得、その後複数回繰り返し含浸法で7.0wt%のNiO及び6.0wt%のMoO
3を含浸させることによって、Ni-Mo/Zn-ZSM-5触媒を得た。
【表1】
【表2】
【0065】
FCCガソリンは、予備水素化触媒の作用において予備水素化反応器によって処理され、ジオレフィン、メルカプタン及びチオエーテルが除去され、同時に二重結合が異性化(すなわち、末端オレフィンを内部オレフィンへと変換する)し、残りのジオレフィを飽和させる。反応温度は115℃、反応圧力が1.8MPa、液空間速度が5h-1、水素と油との体積比が4:1であり、反応結果を表2に示した。予備水素化触媒2、3、4、7反応流出物は、42℃条件下で軽質・重質ガソリン留分にカットされ、軽質ガソリン留分が異性化触媒の作用において異性化反応を起こし、予備水素化触媒2、3が軽質ガソリン留分の異性化触媒1を用いて異性化反応を行い、予備水素化触媒4、7が軽質ガソリン留分の異性化触媒2を用いて異性化反応を行った。反応温度は、240℃、反応圧力が1.2MPa、空間速度が0.5h-1、イソペンタン増分が10%以上であった。重質ガソリン留分は、水素化脱硫-異性化触媒1~4の作用において選択的に水素化脱硫され、同時に直鎖オレフィンが単分岐オレフィン又は単分岐アルカンに異性化され、その反応プロセス条件が反応器の温度255℃、反応圧力1.6MPa、体積空間速度2.0h-1、水素と油との体積比260であった。100時間程度の反応後、試料を採取して分析し、結果を表3に示す。触媒2、3、4の反応流出物を再びオクタン価回復ユニットに入り、オクタン価回復触媒の作用において2分岐異性化反応を行い、反応温度365℃、反応圧力1.6MPa、空間速度0.8h-1、水素と油との体積比270:1であった。反応後2分岐アルカン増分が4.6%以上で、軽質・重質ガソリン留分をブレンドした後、硫黄含有量は各々6mg/kg、5mg/kg、8mg/kg、オレフィン含有量が各々11v%、13v%、10v%、オクタン価損失が各々0.3、0.3、0.2で、国6基準を満たすクリーンガソリンを得た。
【0066】
表2から分かるように、予備水素化触媒1~7のオクタン価損失が少なく、ガソリン収率が高く、メルカプタン除去率が高く、活性も良好であり、触媒はオレフィン重合や過度な分解等の副反応を効果的に抑制でき、低炭素な炭化水素の分解反応も抑制し、ガソリン収率が高く、装置の長期運転に役立ち;担体表面により多くの活性部位担持中心を生成させて、ジオレフィ、メルカプタン及びチオエーテルの除去、二重結合異性化における触媒の活性を効果的に高め、かつ触媒が良好な活性及び選択性を持っている。反応を600時間行った後、予備水素化触媒4と7の製品メルカプタン除去率は、98.2%、98.6%、オクタン価損失が0.2単位、0.3単位、炭素析出率が0.3、0.2、液収率が99.6%、99.0%であった。内部オレフィン増分が0.37%、0.42%、ジオレフィ含有量除去率が100%、98.2%であり、触媒反応性能が安定している。水素化脱硫-異性化触媒1~4の脱硫率が高く、活性が良好であり、触媒はオレフィン重合や過度な分解等の副反応を効果的に抑制し、低炭素な異性化炭化水素の再分解反応を減少でき、触媒の担体表面により多くの活性部位担持中心を生成させ、触媒の脱硫-異性化活性を効果的に向上し、かつ触媒が良好な水素化脱硫-異性化活性及び選択性を持っている。
【表3】
【0067】
もちろん、本発明はまた、様々な他の実施例を有することができる。本発明の精神及び本質から逸脱することなく、当業者は、本発明に基づいて様々な変更と変形を実施できるが、かかる変更と変形は本発明の保護範囲に属するべきである。