(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】強分極分子およびそれを用いて調製された単一分子電界効果トランジスタ
(51)【国際特許分類】
H01L 51/30 20060101AFI20220607BHJP
H01L 51/05 20060101ALI20220607BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20220607BHJP
C07F 15/00 20060101ALI20220607BHJP
C07C 211/30 20060101ALI20220607BHJP
C07C 211/31 20060101ALI20220607BHJP
C07D 487/04 20060101ALI20220607BHJP
C07D 213/36 20060101ALI20220607BHJP
【FI】
H01L29/28 220C
H01L29/28 100A
H01L29/78 618B
H01L29/78 617M
H01L29/78 617T
H01L29/78 616V
H01L29/78 617U
C07F15/00 A
C07C211/30
C07C211/31
C07D487/04 137
C07D213/36
(21)【出願番号】P 2020550619
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(86)【国際出願番号】 CN2019080347
(87)【国際公開番号】W WO2019192395
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-09-18
(31)【優先権主張番号】201810283361.X
(32)【優先日】2018-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】507232478
【氏名又は名称】北京大学
【氏名又は名称原語表記】PEKING UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No.5, Yiheyuan Road, Haidian District, Beijing 100871, China
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】郭 雪峰
(72)【発明者】
【氏名】辛 娜
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲為▼▲寧▼
(72)【発明者】
【氏名】孟 利楠
【審査官】高柳 匡克
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-524641(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102456702(CN,A)
【文献】特開2015-065220(JP,A)
【文献】Santiago Marque's-Gonza'lez et al.,Combined Spectroscopic and Quantum Chemical Study of [trans-Ru(C≡CC6H4R1-4)2(dppe)2]n+ and [trans-Ru(C≡CC6H4R1-4)(C≡CC6H4R2-4)(dppe)2]n+ (n = 0, 1) Complexes: Interpretations beyond the Lowest Energy Conformer Paradigm,Organometallics,Volume 33,米国,ACS Publications,2014年07月03日,pp. 4947-4963,DOI: 10.1021/om500265s
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/30
H01L 51/05
H01L 29/786
C07F 15/00
C07C 211/30
C07C 211/31
C07D 487/04
C07D 213/36
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で表される強分極分子であって、
【化1】
ここで、Aは
下記一般式から選ばれる、分極率が2C・m
2/Vより大きい基を表し;
【化2】
【化3】
R
1、R
2
、R
3
、R
4
、R
5
、R
6
、R
7
、R
8
、R
9
、R
10
、R
11
およびR
12
は、それぞれ、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、C
1~12アルキル、C
1~12アルコキシ基、ハロゲン化C
1~12アルキル基、ハロゲン化C
1~12アルコキシ基、ヒドロキシル基C
1~12アルキル基、ヒドロキシル基C
1~12アルコキシ基またはC
1~12アルキルアミノ基のうちのいずれか一つを表し;
x
1、x
2は、それぞれ0または正整数を表し
、0≦x
1≦3,0≦x
2≦3を表し;
y
1、y
2は、それぞれ0または正整数を表し
、0≦y
1≦2,0≦y
2≦2を表
し;
M
1
、M
2
、M
3
、M
4
、M
5
およびM
6
は、それぞれ、錯体の中心原子または中心イオンを表し、M
1
、M
2
、M
3
、M
4
、M
5
およびM
6
はそれぞれRu、Fe、Zn、Mn、Co、Ni、またはそれらのカチオンからなる群から選ばれ;
n
1
、n
3
、n
4
、n
5
、n
6
、n
7
、n
8
、n
9
、n
10
、n
11
、n
12
、n
13
、n
14
、n
15
、n
16
およびn
17
は、それぞれ、3以下の正整数を表し、n
2
は2または3である、強分極分子。
【請求項2】
前記強分極分子は、下記一般式のうちのいずれか一つを有し、
【化4】
【化5】
【化6】
ここで、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、M
1、M
2、M
3、M
4、M
5、M
6、n
2、n
6、n
7、n
8、n
9、n
10、n
11、n
12、n
13、n
14、n
15、n
16、n
17、x
1、x
2、y
1、y
2は、請求項
1に記載のものと同じである、請求項
1に記載の強分極分子。
【請求項3】
前記強分極分子は、下記構造式のいずれか一つを有する、
【化7】
【化8】
【化9】
、請求項1
または2に記載の強分極分子。
【請求項4】
ナノギャップを有する二次元単層グラフェンのギャップに対して、アミド共有結合を介して連結された
一般式(I)で表される強分極分子を含み
、
【化10】
ここで、Aは分極率が2C・m
2
/Vより大きい基を表し;
R
1
、R
2
は、それぞれ、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、C
1~12
アルキル、C
1~12
アルコキシ基、ハロゲン化C
1~12
アルキル基、ハロゲン化C
1~12
アルコキシ基、ヒドロキシル基C
1~12
アルキル基、ヒドロキシル基C
1~12
アルコキシ基またはC
1~12
アルキルアミノ基のうちのいずれか一つを表し;
x
1
、x
2
は、それぞれ0または正整数を表し、0≦x
1
≦3,0≦x
2
≦3を表し;
y
1
、y
2
は、それぞれ0または正整数を表し、0≦y
1
≦2,0≦y
2
≦2を表す、強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合。
【請求項5】
Aは、下記を表し、
【化11】
【化12】
ここで、R
3
、R
4
、R
5
、R
6
、R
7
、R
8
、R
9
、R
10
、R
11
およびR
12
は、それぞれ、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、C
1~12
アルキル基、C
1~12
アルコキシ基、ハロゲン化C
1~12
アルキル基、ハロゲン化C
1~12
アルコキシ基、ヒドロキシル基C
1~12
アルキル基、ヒドロキシル基C
1~12
アルコキシ基またはC
1~12
アルキルアミノ基のうちのいずれか一つを表し;
M
1
、M
2
、M
3
、M
4
、M
5
およびM
6
は、それぞれ、錯体の中心原子または中心イオンを表し、M
1
、M
2
、M
3
、M
4
、M
5
およびM
6
はそれぞれRu、Fe、Zn、Mn、Co、Ni、またはそれらのカチオンからなる群から選ばれ;
n
1
、n
2
、n
3
、n
4
、n
5
、n
6
、n
7
、n
8
、n
9
、n
10
、n
11
、n
12
、n
13
、n
14
、n
15
、n
16
およびn
17
は、それぞれ、3以下の正整数を表す、請求項4に記載の強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合。
【請求項6】
前記強分極分子は、下記一般式のうちのいずれか一つを有し、
【化13】
【化14】
【化15】
ここで、R
1
、R
2
、R
3
、R
4
、R
5
、R
6
、R
7
、R
8
、R
9
、R
10
、R
11
、R
12
、M
1
、M
2
、M
3
、M
4
、M
5
、M
6
、n
2
、n
6
、n
7
、n
8
、n
9
、n
10
、n
11
、n
12
、n
13
、n
14
、n
15
、n
16
、n
17
、x
1
、x
2
、y
1
、y
2
は、請求項4および請求項5に記載のものと同じである、請求項4または5に記載の強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合。
【請求項7】
前記強分極分子は、下記構造式のいずれか一つを有する、
【化16】
【化17】
【化18】
、請求項4~6のいずれか一項に記載の強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合。
【請求項8】
前述ナノギャップを有する二次元単層グラフェンがナノギャップアレイを有する二次元単層グラフェンである、
請求項4に記載の強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合。
【請求項9】
基板と、ゲート電極と、誘電体層と、請求項
4~8のいずれか一項に記載の強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合とを含み、前述誘電体層が前述ゲート電極と前述強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合の間に位置する、単一分子電界効果トランジスタ。
【請求項10】
前述ゲート電極の材料はグラフェンまたは金属アルミニウムからなる群から選ばれる一つである、請求項
9に記載の単一分子電界効果トランジスタ。
【請求項11】
前述誘電体層の材料は酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アルミニウムからなる群から選ばれる一つまたはそれらの組み合わせである、請求項
9または10に記載の単一分子電界効果トランジスタ。
【請求項12】
前述誘電体層が酸化ハフニウム層で、前述ゲート電極がグラフェン層であり;または
前述誘電体層が酸化ジルコニウム層で、前述ゲート電極がグラフェン層であり;または
前述誘電体層が酸化チタン層で、前述ゲート電極がグラフェン層であり;または
前述誘電体層が酸化アルミニウム層で、前述ゲート電極が金属アルミニウム層であり;または
前述誘電体層が酸化アルミニウムと酸化ハフニウムの複合層で、前述ゲート電極が金属アルミニウム層である、
請求項
9~
11のいずれか一項に記載の単一分子電界効果トランジスタ。
【請求項13】
前述基板が酸化ケイ素層を有するシリコンウエーハーであり;前述酸化ケイ素層の厚さが
、200~400n
mである、請求項
9~
12のいずれか一項に記載の単一分子電界効果トランジスタ。
【請求項14】
誘電体層の厚さが3~10n
mである、請求項
9~
13のいずれか一項に記載の単一分子電界効果トランジスタ。
【請求項15】
誘電体層の厚さが4~7nmである、請求項9~14のいずれか一項に記載の単一分子電界効果トランジスタ。
【請求項16】
前述ゲート電極が前述基板に設置され、前述誘電体層が前述ゲート電極に設置され、前述強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合が前述誘電体層に設置される;または
前述強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合が前述基板に設置され、前述誘電体層が前述強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合に設置され、前述ゲート電極が前述誘電体層に設置される、
請求項
9~
15のいずれか一項に記載の単一分子電界効果トランジスタ。
【請求項17】
請求項
9~
16のいずれか一項に記載の単一分子電界効果トランジスタを含む、分子スイッチ。
【請求項18】
請求項
9~
16のいずれか一項に記載の単一分子電界効果トランジスタを含む、半導体チップ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互引用】
【0001】
本願は、2018年04月02日に中国知的財産権局に出願された、「強分極分子およびそれを用いて調製された単一分子電界効果トランジスタ」と題された、第201810283361.X号の中国特許出願の優先権を主張し、その全内容は引用により本願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本願は単一分子電子デバイス分野に関し、特に強分極分子およびそれを用いて調製された単一分子電界効果トランジスタに関する。
【背景技術】
【0003】
従来の半導体工業において、トランジスタは電子回路の核心を構成し、現代のデジタル革新の礎となっている。1947年に初めてのトランジスタのモデルが提出された以降、様々なトランジスタは研究者により開発され、その基本原理としては、ゲート電極に適宜な電圧を印加することで誘電体層の静電容量の作用によって絶縁層と半導体層の界面でのキャリア濃度を変化させ、これによりソース電極とドレイン電極の間の電流を制御できるというものである。よって、一方ではスイッチの論理機能を実現することができ;他方では出力パワーが入力パワーより高いため、トランジスタは増幅器としての機能を有する。同様に、単一分子エレクトロニクスの分野では、単一分子電界効果トランジスタも研究者の興味を深く惹かれている。伝統的な電界効果トランジスタとは異なり、単一分子ヘテロ接合において、ゲート電圧を印加することで分子の静電ポテンシャルを制御し、それによって分子のエネルギーレベルを変えられ、分子の伝導特性を制御することができ、一方、分子の振動モード、励起状態および振動に関わる情報を取得することができる。しかし、従来の技術では、単一分子電界効果トランジスタは依然として概念的な段階にあるだけであり、実現されていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施例は、強分極分子およびそれを用いて調製された単一分子電界効果トランジスタを提供することを目的とする。具体的な技術案は次のとおりであり:
まず、本願は一般式(I)で表す強分極分子を提供している。
【化1】
(ここで、Aは分極率が2C・m
2/Vより大きい基を表し;
R
1、R
2は、それぞれ、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、C
1~12アルキル基、C
1~12アルコキシ基、ハロゲン化C
1~12アルキル基、ハロゲン化C
1~12アルコキシ基、ヒドロキシル基C
1~12アルキル基、ヒドロキシル基C
1~12アルコキシ基、または、C
1~12アルキルアミノ基、からなる群から選ばれるいずれか一つを表し;
x
1、x
2は、それぞれ、0または正整数を表し、好ましくは0≦x
1≦3,0≦x
2≦3を表し;より具体的に、x
1、x
2はそれぞれ0、1、2または3を表し;
y
1、y
2は、それぞれ、0または正整数を表し、好ましくは0≦y
1≦2,0≦y
2≦2を表し;より具体的に、y
1、y
2はそれぞれ0、1または2を表す。)
【0005】
本願のある実施形態において、x
1、x
2は同一でも異なっていてもよく;
同様に、本願のある実施形態において、y
1、y
2は同一でも異なっていてもよく;
本願のある実施形態は上述の一般式(I)で表される強分極分子に関し、ここで、Aは下記を表す。
【化2】
【化3】
(R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11およびR
12は、それぞれ、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、C
1~12アルキル基、C
1~12アルコキシ基、ハロゲン化C
1~12アルキル基、ハロゲン化C
1~12アルコキシ基、ヒドロキシル基C
1~12アルキル基、ヒドロキシル基C
1~12アルコキシ基またはC
1~12アルキルアミノ基、からなる群から選ばれるいずれか一つを表し;
M
1、M
2、M
3、M
4、M
5およびM
6は、それぞれ、錯体の中心原子または中心イオンを表し、好ましくは、M
1、M
2、M
3、M
4、M
5およびM
6はそれぞれRu、Fe、Zn、Mn、Co、Ni、または、それらのカチオンから選択され;
n
1、n
2、n
3、n
4、n
5、n
6、n
7、n
8、n
9、n
10、n
11、n
12、n
13、n
14、n
15、n
16およびn
17は、それぞれ正整数を表し、好ましくは、n
1、n
2、n
3、n
4、n
5、n
6、n
7、n
8、n
9、n
10、n
11、n
12、n
13、n
14、n
15、n
16およびn
17は3以下である。)
【0006】
本明細書において、「Ph」という略称はフェニル基を表し;
本明細書において、用語「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素またはヨウ素を指す。
【0007】
本明細書において、用語「C1~12アルキル基」は1~12個の炭素原子を含有する直鎖または分岐の飽和炭化水素基を指し、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、3-エチルヘプタンおよびn-ドデシルを含むが、これらに限定されるものではない。
【0008】
本明細書において、基の構造式における“~~”はその基と分子の他の部分の結合点を表す。
【0009】
本明細書において、「錯体」をキレートと呼んでもよく;Ru、Fe、Zn、Mn、Co、Ni等は錯体を形成するためにカチオン状態になると、当業者は先行技術に基づき、錯体または錯イオンの構造式からその金属の原子価を容易に決定し、例えば錯体の中心イオンはRu2+、Fe2+、Zn2+、Mn2+、Co2+、Ni2+等でありうる。
【0010】
本願のある実施形態は上述の強分極分子に関し、この強分極分子は下記一般式の一つを有する。
【化4】
【化5】
【化6】
(ここで、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、M
1、M
2、M
3、M
4、M
5、M
6、n
2、n
6、n
7、n
8、n
9、n
10、n
11、n
12、n
13、n
14、n
15、n
16、n
17、x
1、x
2、y
1、y
2の定義は上述のとおりである。)
【0011】
本願のある実施形態において、上述一般式(I)~(XVI)で表される強分極分子は下記構造式のうちの一つを有する。
【化7】
【化8】
【0012】
本発明者は鋭意研究した結果、いずれの理論に限定されず、上述の強分極分子は、電圧を印加されるとき、特に-2V~+2Vのゲート制御電圧の範囲内にあるとき、分極しやすくて、分子軌道のエネルギーレベルをゲート制御に適応するように移動させ、そのため、単一分子電界効果トランジスタのゲート制御を効果的に実現できることを見出した。
【0013】
本願はまた、強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合を提供し、この分子ヘテロ接合は、ナノギャップを有する二次元単層グラフェンのギャップに対して、アミド共有結合を介して連結された上述の強分極分子を含む。
【0014】
本願のある実施形態において、上述ナノギャップを有する二次元単層グラフェンは、ナノギャップアレイを有する二次元単層グラフェンである。
【0015】
本願は、
(1)ナノギャップを有する二次元単層グラフェンを調製し、そのナノギャップを有する二次元単層グラフェンは担体上に構築されてもよい、ステップ;
(2)本願で提供される強分極分子、脱水剤(例えば:1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩,EDCI)を有機溶媒(例えば:ピリジン)に溶解し、連結する前の分子溶液を得る、ステップ;
(3)この溶液にナノギャップを有する二次元単層グラフェンを加えて(担体ごと加えてもよい)、光のない条件下で1~4日反応させて、洗浄して、乾燥すればよい、ステップ;
を含む強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合の調製方法を更に提供する。
【0016】
本願において、「ナノギャップを有する二次元単層グラフェン」は文献(参考文献Angew.Chem.Int.Ed.2012,51,12228.)に記載されている方法で調製してもよく、この文献は全内容の引用により、本願に組み込まれるので、ここで余分の記載はしない。
【0017】
本明細書で言及される「ナノギャップを有する二次元単層グラフェン、またはナノギャップアレイを有する二次元単層グラフェン」は先行技術でグラフェンナノギャップ電極またはグラフェンナノ電極とも称する。
【0018】
いわゆる「光のない条件下」は暗い条件と理解してもよく、当業者にとって、光のない条件または暗い条件の意味は明らかである。
【0019】
本願の発明を具体的に実施するための形態では、光のない条件下で反応を終えた後、溶液からナノギャップを有する二次元単層グラフェンを取り出し、大量のアセトンと超純水で洗浄し、N2気流の中で乾燥させる。本願においては、用いる超純水は抵抗率が18MΩ・cmより大きいことが好ましい。
【0020】
本願は基板と、ゲート電極と、誘電体層と、上述の強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合とを含み、上述誘電体層が上述ゲート電極と強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合の間に位置する、単一分子電界効果トランジスタを更に提供する。
【0021】
本願の発明を具体的に実施するための過程において、強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合におけるギャップの両側の二次元単層グラフェンを単一分子電界効果トランジスタのソース電極とドレイン電極としうる。
【0022】
本願のある実施形態において、ゲート電極の材料はグラフェンまたは金属アルミニウムからなる群から選ばれる一つである。
【0023】
本願のある実施形態において、誘電体層の材料は酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アルミニウムからなる群から選ばれる一つ、またはこれらの組み合せである。
【0024】
本願のある実施形態において、本願で提供される単一分子電界効果トランジスタにおける、
誘電体層は酸化ハフニウム層で、ゲート電極はグラフェン層であり;または
誘電体層は酸化ジルコニウム層で、ゲート電極はグラフェン層であり;または
誘電体層は酸化チタン層で、ゲート電極はグラフェン層であり;または
誘電体層は酸化アルミニウム層で、ゲート電極は金属アルミニウム層であり;または
誘電体層は酸化アルミニウムと酸化ハフニウムの複合層で、ゲート電極は金属アルミニウム層である。
【0025】
本発明者は、上述のゲート電極の材料、誘電体層の材料、並びに上述のゲート電極と誘電体層との組み合わせを採用することによれば、得られた単一分子電界効果トランジスタのゲート制御効率がより高く、且つトランジスタの調製がより容易で、より実用される見込みがあることを見出した。
【0026】
本明細書において、「基板」をベースと呼んでもよく;本願のある実施形態において、上述基板は酸化ケイ素層を有する、市販のシリコンウエーハーであってもよく;発明を具体的に実施するための過程において、ゲート電極または強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合は酸化ケイ素層の上に設置され;なお、発明者らは、酸化ケイ素層の厚さが200~400nmで、好ましくは300nmであると、グラフェンの光学コントラストはより良好であることを見出した。当然ながら、当業者は他の基板を採用して本願の技術を実現しうる。
【0027】
本願のある実施形態において、誘電体層の厚さは3~10nmであり、好ましくは4~7nmであり、より好ましくは5nmである。
【0028】
ここで、ゲート電極の厚さについて、トランジスタ自体の性能には実質上の影響がないため、本願では特に限定することしなく、当業者は実際のトランジスタ自体の寸法への要求により選べることができる。本願のある実施形態において、ゲート電極の材料として金属アルミニウムを採用すると、金属アルミニウムの厚さは20~30nmで選んでもよく;ゲート材料としてグラフェンを採用すると、単層グラフェン自体の厚さは1nm未満である。
【0029】
本願のある実施形態において、
図1が示すように、本願で提供される単一分子電界効果トランジスタは、ゲートが基板上に設置され、誘電体層がゲート上に設置され、強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合が誘電体層上に設置されることにより、ボトムゲート構造を形成し;
または
図2が示してあるように、強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合が基板上に設置され、誘電体層が強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合上に設置されることにより、トップゲート構造を形成する。
【0030】
本願のある実施形態において、ボトムゲート構造の単一分子電界効果トランジスタを調製する時は、ゲート電極と誘電体層として、下記表1の5つの組み合わせを採用しうる。
【表1】
【0031】
本願の発明を具体的に実施するための過程において、ボトムゲート構造の単一分子電界効果トランジスタは以下の方法で調製して得られ:
組み合わせ1、組み合わせ2、組み合わせ3について、化学気相蒸着法で成長させた単層グラフェン(参考文献Sci.Rep.2012,2,707.)を基板(例えば、300nmの酸化層を有するシリコンウエーハー)上に移して、ゲート電極(ボトムゲートと称する)とし(参考文献ACS Nano 2011,5,6916.);そして、ボトムゲート上に誘電体層を形成し;三種の誘電体層の厚さはいずれ3~10nmであっても良い。その中、酸化ハフニウムは原子層堆積法とソルゲル法(参考文献Adv.Mater.2015,27,2113.)を採用して調製して得られ、その中、ソルゲル法は相対的に安価であるため、より好ましい。酸化ジルコニウムと酸化チタンはいずれ電子線蒸着法または原子層堆積法により調製して得られる。
【0032】
組み合わせ4について、基板上に電子線により一定の厚さ(例えば35nm)の金属アルミニウム層を蒸着し、その後180℃条件で1時間加熱し、金属アルミニウム層に一定の厚さ(例えば5nm)の酸化アルミニウム層を製造しうる。
【0033】
組み合わせ5について、基板上に電子線により一定の厚さ(例えば35nm)の金属アルミニウム層を蒸着し、大気中で一定の時間(例えば24時間)放置し、自然酸化させて一定の厚さ(例えば3nm)の酸化アルミニウムを得て、更に原子層堆積法により一定の厚さ(例えば2nm)の酸化ハフニウムを得る。
【0034】
上記の方法でボトムゲートと誘電体層を調製した後、誘電体層上にナノギャップを有する二次元単層グラフェン(参考文献Angew.Chem.Int.Ed.2012,51,12228.)を構築し、その後化学自己組織化方法で、具体的にアシル化反応で、上述一般式(I)~(XVI)で表される強分極分子をグラフェンのナノギャップに対して、連結し、強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合を形成する。
【0035】
なお、本明細書でいう「電子線蒸着法」と「原子層堆積法」はいずれ通常のマイクロナノ加工技術であり、当業者にとって、本願の技術を実現するために、電子線で一定の厚さの金属層または金属酸化物層を蒸着すること、原子層で一定の厚さの金属層または金属酸化物層を堆積することを実現するのは容易であるから、ここで余分の記載はしない。
【0036】
本願のある実施形態において、トップゲート構造の単一分子電界効果トランジスタを調製するときに、ゲート電極と誘電体層は表1の5つの組み合わせを採用してもよいが、調製プロセスが簡単である点から、前の三つを採用することが好ましい。発明を具体的に実施するための過程において、組み合わせ1、組み合わせ2、組み合わせ3について、まず、基板上にナノギャップアレイを有する二次元単層グラフェンを構築し、化学自己組織化の方法で強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合を形成した後、サポートとしてPMMA(ポリメチルメタクレート)を使用して誘電体層とゲート電極を単一分子ヘテロ接合の上に移す。具体的に、誘電体層とゲート電極とを移す過程は下記のプロセスを含みうる。まず、上記ボトムゲート構造の調製方法における誘電体層の調製方法でシリコンウエーハーの上に誘電体層を調製し、次に、その上に化学気相蒸着法で成長させたグラフェンを移し、このグラフェンの上にPMMAを更にスピンコートし、最後に、フッ化水素酸でシリコンウエーハーをエッチングし、誘電体層/グラフェン/PMMAフィルムを脱イオン水とイソプロパノールでそれぞれ三回リンスした後、分子ヘテロ接合の上に設置する(ACS Nano 2011,5,6916.参照)。本明細書において、「サポート」はグラフェンゲート電極を移すためのキャリアを指す。
【0037】
本願はまた、上述の単一分子電界効果トランジスタを含む、分子スイッチを提供する。
【0038】
本願はまた、上述の単一分子電界効果トランジスタを含む半導体チップを提供する。
【0039】
本願は一般式(I)で表される強分極分子を提供し、且つこれらの分子により、初めて単一分子電界効果トランジスタを画期的に調製した。ソース電極とドレイン電極として、分子に適合する寸法を有するグラフェンを使用するため、分子とゲート電極のカップリング効率を大きく向上させ、強分極性の分子構造に合わせたため、効率なゲート制御を実現できる。
【0040】
そして、本願で提供される単一分子電界効果トランジスタは、その大きさは分子スケールの範囲内で、電界効果トランジスタの微小化進展を有力的に進めたため、本願で提供される単一分子電界効果トランジスタを応用して調製された半導体チップは集積度を極めて大きく向上しうる。更に、本願で提供される単一分子電界効果トランジスタは性能再現性がよく、単一分子電界効果トランジスタの応用に対してより有利である。
【0041】
なお、強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合はバッチ調製を実現しうるから、本願で提供される強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合に基づいて構築した単一分子電界効果トランジスタデバイスもバッチ生産を実現しうる。
【0042】
要約すれば、本願で提供される単一分子電界効果トランジスタは半導体分野では時代を超えた技術の意味がある。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本願の実施例と従来技術の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例と従来技術において必要な図面を簡単に説明するが、以下に説明する図面は本願の実施例の一部に関するものに過ぎないことは明らかであり、当業者は、独創的な試みをせずに、これらの図面から他の図面を得ることできる。
【0044】
図1はボトム構造の単一分子電界効果トランジスタの構造模式図であリ;
図2はトップ構造の単一分子電界効果トランジスタの構造模式図であリ;
図3は実施例1で調製した化合物1に基づく単一分子電界効果トランジスタのI-V特性曲線であリ;
図4は実施例2で調製した化合物2に基づく単一分子電界効果トランジスタのゲート電圧-2V~+2V範囲内のI-V特性曲線であリ;
図5は実施例3で調製した化合物3に基づく単一分子電界効果トランジスタのゲート電圧-2V~+2V範囲内のI-V特性曲線であリ;
図6は実施例4で調製した化合物4に基づく単一分子電界効果トランジスタのゲート電圧-2V~+2V範囲内のI-V特性曲線であリ;
図7は実施例5で調製した化合物5に基づく単一分子電界効果トランジスタのゲート電圧-2V~+2V範囲内のI-V特性曲線であリ;
図8は実施例6で調製した化合物6に基づく単一分子電界効果トランジスタのゲート電圧-2V~+2V範囲内のI-V特性曲線であリ;
図9は実施例7で調製した化合物7に基づく単一分子電界効果トランジスタのゲート電圧-2V~+2V範囲内のI-V特性曲線である。
【実施例】
【0045】
以下は本願の実施例の図面を使って、本願実施例における技術案を明確に、完全に説明するが、説明される実施例は本願の一部の実施例にすぎなくて、全ての実施例ではないことは明らかである。当業者が本願の実施例に基づいて独創的な試みをしないで得られた他の実施例は、全て本願の保護の範囲内にある。
【0046】
下記の実施例において、説明の実験方法は、特に断りがない限り、常法であり;説明の試料と材料は、特に断りがない限り、市販なものである。
【0047】
単一分子電界効果トランジスタの調製実施例
実施例1:化合物1に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
(1)化合物1の合成:
合成経路は以下のとおりである。
【化9】
【0048】
文献に記載された方法(J.Am.Chem.Soc.,2010,132(44),pp 15547-15549)で化合物Aを合成する。
【0049】
100mLのシュレンク瓶に化合物A(857mg,1.23mmol)、N-Boc-4-アミノフェニルボロン酸ピナコールエステル(865mg,2.71mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(22.6mg,24.6μmol)、トリス(o-トリル)ホスフィン(30.1mg,98.6μmol)、および無水炭酸カリウム(1.60g,11.6mmol)をこの順に加え、2滴のaliquat 336(塩化メチルトリオクチルアンモニウム)を加えた後、トルエン24mLと蒸留水6mLを注入し、凍結脱気法(freeze-pump-thaw Cycling)を使用して3サイクル繰り返して酸素を除去し、その後アルゴンガス雰囲気で反応物を90℃で加熱し、撹拌しながら24h反応させた。冷却した後、反応混合物を水(50mL)に注いで、ジクロロメタン(3×30mL)で抽出した。有機相を合わせ、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより解析して精製し、紫色の固体である化合物Bを得た。1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ7.87(d,J=8.5Hz,2H),7.65(ddd,J=8.7,1.3,0.4Hz,4H),7.39(m,6H),4.10(d,J=7.0Hz,4H),1.64(m,2H),1.45(s,18H),1.15-1.38(m,14H),0.76-0.91(m,16H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K):δ172.83,153.93,148.85,145.64,138.76,133.63,127.67,127.38,123.40,121.45,119.57,100.02,80.43,46.33,38.65,32.60,32.11,30.79,29.64,28.61,28.16,25.09,23.56,22.79,14.09,14.06,11.51.HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C53H68N4O6S2計算値は:921.47[M+H+]であり;実験値は:921.49であった。
【0050】
化合物B(0.120g,0.13mmol)を含むジクロロメタン(10mL)に、トリフルオロ酢酸(1.0mL,0.34g,3.73mmol)を滴下し、室温で2時間撹拌した後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)に滴下した。ジクロロメタン(50mL)で抽出し、有機層は飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30mL)と飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。真空で溶媒を蒸発させ、標的化合物1を得て、化合物1が暗い紫色の固体であった。1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ7.80(d,J=8.5Hz,2H),7.38(ddd,J=8.2,1.6,0.4Hz,4H),7.26(d,J=8.5Hz,2H),7.02(ddd,J=8.7,1.2,0.4Hz,4H),4.12(d,J=7.0Hz,4H),1.64(m,2H),1.15-1.38(m,14H),0.76-0.91(m,16H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K):δ172.83,150.10,148.85,145.64,133.63,128.09,127.67,122.80,121.45,114.80,100.02,46.33,38.65,32.60,32.11,30.79,29.64,28.61,25.09,23.56,22.79,14.09,14.06,11.51.HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C43H52N4O2S2計算値は:721.36[M+H+]であり;実験値は:721.35である。
【0051】
(2)化合物1に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
グラフェンをゲート電極とし、厚さ5nmの酸化ハフニウムを誘電体層とし、ボトムゲート構造の電界効果トランジスタを構築し:
まず、ボトムゲートとして、化学気相蒸着法で成長させた単層グラフェンを300nmの酸化層を有するシリコンウエーハーに移し;
ソルゲル法を採用してボトムゲート上に5nmの酸化ハフニウム層を蒸着させ;
誘電体層上にナノギャップを有する二次元単層グラフェンを構築し、アセンブルする前の分子デバイスを得て;
アセンブルする前の分子デバイス上に強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合を構築し、単一分子電界効果トランジスタを得て、具体的な過程は下記のとおりであり:
まず、化合物1とカルボジイミド脱水剤-活性化剤である1-エチル-3-(3-ジメチルアミノポロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI)を、濃度がそれぞれ10-4mol/Lと3×10-3mol/Lであるようにピリジンに溶かし、;次に、上述溶液にアセンブルする前の分子デバイスを加えた。暗い条件下、アルゴンガス雰囲気で48h反応させた。その後、溶液からデバイスを取り出し、アセトンと超純水でそれぞれ三回洗浄し、窒素ガス気流で乾燥させた。化合物1に基づく単一分子電界効果トランジスタデバイスを調製した。
【0052】
なお、前記アセンブルする前の分子デバイスの調製過程の具体的な方法、条件、パラメータ等は、本明細書の上に記載される文献の中の方法で実現することができ、ここで余分の記載はしない。
【0053】
実施例2:化合物2に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
(1)化合物2の合成:
合成経路は以下のとおり:
【化10】
実施例1の方法に従って化合物Aを合成し;
100mLのシュレンク瓶に化合物A(697mg,1.00mmol)、4-(N-Boc-アミノメチル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(734mg,2.20mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(18.4mg,20μmol)、トリス(o-トリル)ホスフィン(24.5mg,80.2μmol)、および無水炭酸カリウム(1.30g,9.43mmol)をこの順に加え、2滴のaliquat 336を加えた後、トルエン24mLと蒸留水6mLを注ぎ、凍結脱気法を使用して3サイクル繰り返して酸素を除去し、その後アルゴンガス雰囲気で反応物を90℃に加熱しながら、24h反応させた。冷却した後、反応混合物を水(50mL)に注いで、ジクロロメタン(3×30mL)で抽出した。有機相を合わせ、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより解析して精製し、紫色の固体である化合物Cを得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3,298K):δ7.70(d,J=8.6Hz,2H),7.60-7.67(m,4H),7.40(ddd,J=8.5,1.5,0.5Hz,6H),4.32(s,4H),4.12(d,J=7.0Hz,4H),1.54-1.76(m,2H),1.44(s,18H),1.15-1.38(m,14H),0.76-0.91(m,16H).
13C NMR(100MHz,CDCl
3,298K):δ172.83,156.03,148.85,145.64,143.21,133.63,133.12,128.11,127.67,126.29,121.45,100.02,79.66,46.33,43.70,38.65,32.60,32.11,30.79,29.64,28.61,28.30,25.09,23.56,22.79,14.09,14.06,11.51.HRMS(TOF-ESI
+)(m/z):C
55H
72N
4O
6S
2計算値は:949.50[M+H
+]であり;実験値は:949.50であった。
【0054】
化合物Bの代わりに化合物C(0.120g,0.13mmol)を使って実施例1の方法で反応させ、標的化合物2を得て、化合物2が暗い紫色の固体であった。1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ7.70(d,J=8.6Hz,2H),7.63(dd,J=6.5,1.3Hz,4H),7.38(ddd,J=6.5,1.3,0.5Hz,6H),4.10(d,J=7.0Hz,4H),3.67(s,4H),1.54-1.76(m,2H),1.15-1.38(m,14H),0.76-0.91(m,16H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K):δ172.83,148.85,145.64,141.15,133.63,133.34,128.28,127.67,126.74,121.45,100.02,46.33,45.58,38.65,32.60,32.11,30.79,29.64,28.61,25.09,23.56,22.79,14.09,14.06,11.51.HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C45H56N4O2S2計算値は:749.39[M+H+]であり;実験値は:749.35であった。
【0055】
(2)化合物2に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
実施例1におけるトランジスタの調製方法を参照し、グラフェンをゲート電極とし、厚さ5nmの酸化ハフニウムを誘電体層とし、化合物1の代わりに化合物2を使って強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合を構築し、ボトムゲート構造の化合物2に基づく電界効果トランジスタを調製した。
【0056】
実施例3:化合物3に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
(1)化合物3の合成:
合成経路は以下のとおり:
【化11】
実施例1の方法に従って化合物Aを合成し;
100mLのシュレンク瓶に化合物A(843mg,1.21mmol)、4-(N-Boc-アミノメチル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(924mg,2.66mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(22.3mg,24μmol)、トリス(o-トリル)ホスフィン(29.6mg,97.0μmol)、無水炭酸カリウム(1.57g,11.41mmol)をこの順に加え、2滴のaliquat 336を加えた後、トルエン24mLと蒸留水6mLを注ぎ、凍結脱気法を使用して3サイクル繰り返して酸素を除去し、その後アルゴンガス雰囲気で反応物を90℃に加熱し、撹拌しながら24h反応させた。冷却した後、反応混合物を水(50mL)に注いで、ジクロロメタン(3×30mL)で抽出した。有機相を合わせ、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより解析して精製し、紫色の固体である化合物Dを得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3,298K):δ7.72(d,J=8.6Hz,2H),7.64(ddd,J=8.5,1.5,0.5Hz,4H),7.39(d,J=8.6Hz,2H),7.19(ddd,J=8.2,1.5,0.5Hz,4H),4.13(d,J=7.0Hz,4H),3.50(t,J=5.3Hz,4H),2.55(t,J=5.3Hz,4H),1.54-1.76(m,2H),1.43(s,18H),1.15-1.38(m,14H),0.76-0.91(m,16H).
13C NMR(100MHz,CDCl
3,298K):δ172.83,156.24,148.85,145.64,136.73,133.63,132.41,128.18,127.67,126.64,121.45,100.02,79.52,46.33,42.33,38.65,35.31,32.60,32.11,30.79,29.64,28.61,28.30,25.09,23.56,22.79,14.09,14.06,11.51.HRMS(TOF-ESI
+)(m/z):C
57H
76N
4O
6S
2計算値は:977.53[M+H
+]であり;実験値は:977.50であった。
【0057】
化合物Bの代わりに、化合物D(0.127g,0.13mmol)を使って実施例1の方法で反応させ、標的化合物3を得て、化合物3が暗い紫色の固体であった。1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ7.72(d,J=8.6Hz,2H),7.63(ddd,J=8.5,1.5,0.5Hz,4H),7.38(d,J=8.6Hz,2H),7.17(ddd,J=8.1,1.5,0.5Hz,4H),4.10(d,J=7.0Hz,4H),2.76(t,J=6.6Hz,4H),2.49(t,J=6.6Hz,4H),1.54-1.76(m,2H),1.15-1.38(m,14H),0.76-0.91(m,16H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K):δ172.83,148.85,145.64,136.83,133.63,132.36,127.92,127.67,126.58,121.45,100.02,46.33,42.84,38.87,38.65,32.60,32.11,30.79,29.64,28.61,25.09,23.56,22.79,14.09,14.06,11.51.HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C47H60N4O2S2計算値は:777.42[M+H+]であり;実験値は:777.42であった。
【0058】
(2)化合物3に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
実施例1におけるトランジスタの調製方法を参照し、グラフェンをゲート電極とし、厚さ5nmの酸化ハフニウムを誘電体層とし、化合物1の代わりに化合物3を使って強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合を構築し、ボトムゲート構造の化合物3に基づく電界効果トランジスタを調製した。
【0059】
実施例4:化合物4に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
(1)化合物4の合成:
合成経路は以下のとおり:
【化12】
アルゴンガス雰囲気で50mLの反応フラスコにジクロロメタン(15mL)と、p-ブロモアンフェタミン(1.293g,6.04mmol)と、トリエチルアミン(944mg,1.3mL,9.33mmol)とを加え、反応フラスコを氷水浴に入れ、撹拌しながらジ-tert-ブチルジカーボネート(1.61g,1.7mL,7.40mmol)を滴下し、自然昇温で4時間反応させた後、反応液をジクロロメタン(30mL)に注ぎ、水洗浄(2×20mL)と飽和塩化ナトリウム溶液洗浄(20mL)をこの順にして、その後無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより解析して精製し、無色の油状液体である化合物Eを得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3,298K):δ7.45-7.39(m,2H),7.12-7.06(m,2H),3.24(t,J=5.0Hz,2H),2.61-2.53(m,2H),1.77(tt,J=8.0,5.0Hz,2H),1.44(s,9H).
13C NMR(100MHz,CDCl
3,298K):δ156.19,140.06,131.22,129.96,119.50,79.52,40.56,33.48,30.67,28.30.HRMS(TOF-ESI
+)(m/z):C
14H
20BrNO
2計算値は:314.07[M+H
+]であり;実験値は:314.01であった。
【0060】
100mLのシュレンク瓶に化合物E(1.02g,3.26mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(993mg,3.91mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(151mg,0.13mmol)、酢酸カリウム(1.60g,16.30mmol)をこの順で加えて、その後N,N-ジメチルホルムアミド50mLを注入し、凍結脱気法を使用して3サイクル繰り返して酸素を除去した後、アルゴンガス雰囲気で反応物を90℃に加熱し、撹拌しながら10時間反応させた。冷却した後、反応混合物を水(50mL)に注ぎ、ジクロロメタン(3×30mL)で抽出し、有機相に対して水洗浄(3×30mL)と飽和塩化ナトリウム溶液洗浄(30mL)をこの順にして、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下で溶媒を除去し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより解析して精製し、無色の油状の液体である化合物Fを得た。1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ7.57-7.51(m,2H),7.08(dt,J=7.4,1.0Hz,2H),5.94(t,J=6.4Hz,2H),3.17(td,J=7.1,6.4Hz,2H),2.66(tt,J=7.1,1.0Hz,2H),1.83(p,J=7.1Hz,2H),1.42(s,9H),1.24(s,9H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K):δ156.63,143.39,134.66,134,61,126.72,84.02,79.63,39.62,33.32,29.09,29.05,24.82.HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C20H32BNO4計算値は:362.25[M+H+]であり;実験値は:362.29であった。
【0061】
100mLのシュレンク瓶に化合物A(843mg,1.21mmol)、化合物F(965mg,2.66mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(22.3mg,24μmol)、トリス(o-トリル)ホスフィン(29.6mg,97.0μmol)、無水炭酸カリウム(1.57g,11.41mmol)をこの順に加え、2滴のaliquat 336を加えた後、トルエン24mLと蒸留水6mLを注入し、凍結脱気法を使用して3サイクル繰り返して酸素を除去し、その後アルゴンガス雰囲気で反応物を90℃に加熱し、撹拌しながら24h反応させた。冷却した後、反応混合物を水(50mL)に注いで、ジクロロメタン(3×30mL)で抽出した。有機相を合わせ、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより解析して精製し、紫色の固体である化合物Gを得た。1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ7.76(d,J=8.6Hz,2H),7.59-7.66(m,4H),7.39(dd,J=24.6,7.5Hz,2H),7.16(ddd,J=8.2,1.5,0.5Hz,4H),4.11(d,J=6.9Hz,4H),3.19(t,J=6.4Hz,4H),2.39(t,J=6.8Hz,4H),1.84-2.03(m,4H),1.54-1.76(m,2H),1.43(s,18H),1.15-1.38(m,14H),0.76-0.91(m,16H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K):δ172.83,156.19,148.85,145.64,141.66,133.63,132.81,128.37,127.67,126.29,121.45,100.02,79.52,46.33,40.56,38.65,33.48,32.60,32.11,30.79,30.67,29.64,28.61,28.30,25.09,23.56,22.79,14.09,14.06,11.51.HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C59H80N4O6S2計算値は:1005.55[M+H+]であり;実験値は:1005.55であった。
【0062】
化合物Bの代わりに、化合物G(0.131g,0.13mmol)を使って実施例1の方法で反応させ、標的化合物4を得て、化合物4が暗い紫色の固体であった。1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ7.72(d,J=8.6Hz,2H),7.63(ddd,J=J=8.5,1.5,0.5Hz,4H),7.40(d,J=8.6,2H),7.12-7.19(m,4H),4.07-4.15(m,4H),2.60-2.68(m,4H),2.29-2.37(t,J=6.6Hz,4H),1.54-1.94(m,6H),1.15-1.38(m,14H),0.76-0.91(m,16H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K):δ172.83,148.85,145.64,141.66,133.63,132.81,128.37,127.67,126.29,121.45,100.02,46.33,41.70,38.65,33.53,33.05,32.60,32.11,30.79,29.64,28.61,25.09,23.56,22.79,14.09,14.06,11.51.HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C49H64N4O2S2計算値は:805.45[M+H+]であり;実験値は:805.42であった。
【0063】
(2)化合物4に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
実施例1におけるトランジスタの調製方法を参照し、グラフェンをゲート電極とし、厚さ5nmの酸化ハフニウムを誘電体層とし、化合物1の代わりに化合物4を使って強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合を構築し、ボトムゲート構造の化合物4に基づく電界効果トランジスタを調製した。
【0064】
実施例5:化合物5に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
(1)化合物5の合成:
合成経路は以下のとおり:
【化13】
50mLのシュレンク瓶にビス[1,2-ビス(ジフェニルホスフィン)エタン]二塩化ルテニウム(223mg,0.23mmol)、N-Boc-4-エチニルアニリン(150mg,0.69mmol)、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム(154mg,0.92mmol)を加えた後、乾燥されたジクロロメタン(15mL)で溶かし、アルゴンガス雰囲気で上述反応液にトリエチルアミン(0.190mL)を滴下し、35℃で撹拌しながら24h反応させた。反応を停止した後ろ過し、ろ液は減圧で溶媒を除去し、得られた固体をn-ペンタン(25mL)で洗浄し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより解析して精製し、黄色の固体である化合物Hを得た。
31P NMR(162MHz,CDCl
3,298K):δ53.4.
1H NMR(400MHz,CDCl
3,298K):δ6.98-7.55(m,48H),2.45(m,8H),1.50(s,18H).
13C NMR(100MHz,CDCl
3,298K):δ195.14,138.85,132.99,131.93,131.20,131.08,128.13,121.56,119.15,116.90,79.54,30.23,25.43,HRMS(TOF-ESI
+)(m/z):C
78H
76N
2O
4P
4Ru計算値は:1331.44[M+H
+]であり;実験値は:1331.39であった。
【0065】
ジクロロメタン(10mL)における化合物H(0.173g,0.13mmol)に、トリフルオロ酢酸(1.0mL,0.34g,3.73mmol)を滴下し、室温で20時間撹拌した後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)に滴下した。ジクロロメタン(50mL)で抽出し、有機層は飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30mL)と飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。真空で溶媒を蒸発させ、標的化合物5を得て、化合物5が黄色の固体であった。31P NMR(162MHz,CDCl3,298K):d=53.41H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ6.98-7.55(m,48H),2.45(m,8H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K):δ148.85,132.99,131.93,131.20,131.08,128.13,121.56,119.15,116.90,24.96.HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C68H60N2P4Ru計算値は:1131.28[M+H+]であり;実験値は:1131.29であった。
【0066】
(2)化合物5に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
実施例1におけるトランジスタの調製方法を参照し、グラフェンをゲート電極とし、厚さ5nmの酸化ハフニウムを誘電体層とし、化合物1の代わりに化合物5を使って強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合を構築し、ボトムゲート構造の化合物5に基づく電界効果トランジスタを調製した。
【0067】
実施例6:化合物6に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
(1)化合物6の合成:
合成経路は以下のとおり:
【化14】
文献に述べられた方法(New J.Chem.,2011,35,2105-2113)で化合物Iを合成した。
【0068】
50mLのシュレンク瓶に化合物I(527mg,0.23mmol)、N-Boc-4-エチニルアニリン(150mg,0.69mmol)、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム(154mg,0.92mmol)を加えた後、乾燥されたジクロロメタン(15mL)で溶かし、アルゴンガス雰囲気で上述反応液にトリエチルアミン(0.190mL)を滴下し、35℃で撹拌しながら48h反応させた。反応を停止した後ろ過し、ろ液は減圧で溶媒を除去し、得られた固体をn-ペンタン(25mL)で洗浄し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより解析して精製し、黄色の固体である化合物Jを得た。31P NMR(162MHz,CDCl3,298K):δ54.9.1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ6.98-7.55(m,92H),2.45(m,16H),1.50(s,18H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K):δ195.14,138.85,137.24,132.99,131.93,131.20,131.08,128.13,125.60,121.56,119.15,116.90,79.54,30.23,25.43,HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C140H128N2O4P8Ru2計算値は:2353.59[M+H+]であり;実験値は:2353.50であった。
【0069】
化合物Hの代わりに、化合物J(0.306g,0.13mmol)を使って、実施例5の方法で反応させ、標的化合物6を得て、化合物6が黄色の固体であった。31P NMR(162MHz,CDCl3,298K):d=55.41H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ6.98-7.55(m,92H),2.45(m,16H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K):δ150.20,137.39,137.23,132.46,132.41,123.20,122.20,117.38,113.78,103.62,133.05,132.92,128.47,128.42,24.96;HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C130H112N2P8Ru2計算値は:2153.48[M+H+]であり;実験値は:2153.49であった。
【0070】
(2)化合物6に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
実施例1におけるトランジスタの調製方法を参照し、グラフェンをゲート電極とし、厚さ5nmの酸化ハフニウムを誘電体層とし、化合物1の代わりに化合物6を使って強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合を構築し、ボトムゲート構造の化合物6に基づく電界効果トランジスタを調製した。
【0071】
実施例7:化合物7に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
(1)化合物7の合成:
合成経路は以下のとおり:
【化15】
100mLのシュレンク瓶にビス[1,2-ビス(ジフェニルホスフィン)エタン]塩化ルテニウムトリフレート(825mg,0.75mmol)とN-Boc-4-エチニルアニリン(330mg,1.52mmol)を加えた後、ジクロロメタン40mLで溶かし、アルゴンガス雰囲気で室温で6h反応させた後、ろ過し、ろ液は減圧で溶媒を除去した後、得られた沈澱物をジエチルエーテル(4×30mL)で洗浄し、暗い緑色の固体である化合物Kを得た。
31P NMR(162MHz,CDCl
3,298K):δ38.2.
1H NMR(400MHz,CDCl
3,298K):δ7.51-7.05(m,40H),6.55(d,J=7.8Hz,2H),5.64(d,J=8.0Hz,2H),4.10(s,1H),2.92(m,8H),1.50(s,18H).
13C NMR(100MHz,CDCl
3,298K):δ354.27,194.75,137.24,132.99,131.93,131.20,131.08,128.13,125.60,124.93,120.4,108.98,79.54,30.23,28.68.HRMS(TOF-ESI
+)(m/z):C
66H
63ClF
3NO
5P
4RuS計算値は:1300.21[M+H
+]であり;実験値は:1300.20であった。
【0072】
文献に述べられた方法(New J.Chem.,2011,35,2105-2113)で化合物Lを合成した。
【0073】
50mLのシュレンク瓶に化合物K(338mg,0.26mmol)、化合物L(149mg,0.13mmol)、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム(88mg,0.2mmol)を加えた後、乾燥されたジクロロメタン(30mL)で溶かし、アルゴンガス雰囲気で上述反応液にトリエチルアミン(0.150mL)を滴下し、35℃で撹拌しながら96h反応させた。反応を停止した後ろ過し、ろ液は減圧で溶媒を除去し、得られた固体をn-ペンタン(25mL)で洗浄し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより解析して精製し、黄色の固体である化合物Mを得た、。31P NMR(162MHz,CDCl3,298K):δ54.89.1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ6.98-7.55(m,136H),2.45(m,24H),1.50(s,18H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K):δ195.14,137.95-126.92,119.15,118,42,116.90,79.54,30.23,25.43,HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C202H180N2O4P12Ru3計算値は:3375.79[M+H+]であり;実験値は:3375.70であった。
【0074】
化合物Hの代わりに、化合物M(0.439g,0.13mmol)を使って実施例5の方法で反応させ、標的化合物7を得て、化合物7が黄色の固体であった。31P NMR(162MHz,CDCl3,298K):d=55.00,1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ6.98-7.55(m,136H),2.45(m,24H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K):δ195.14,137.95-126.92,119.15,118,42,116.90,25.43;HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C192H164N2P12Ru3計算値は:3175.68[M+H+]であり;実験値は:3175.68であった。
【0075】
(2)化合物7に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
実施例1におけるトランジスタの調製方法を参照し、グラフェンをゲート電極とし、厚さ5nmの酸化ハフニウムを誘電体層とし、化合物1の代わりに化合物7を使って強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合を構築し、ボトムゲート構造の化合物7に基づく電界効果トランジスタを調製した。
【0076】
実施例8:化合物8に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
(1)化合物8の合成:
合成経路は以下のとおり:
【化16】
アルゴンガス雰囲気で50mLの反応フラスコにジクロロメタン(15mL)と、3-ブロモ-4’-アミノビフェニル(1.499g,6.04mmol)と、トリエチルアミン(944mg,1.3mL,9.33mmol)とを加え、反応フラスコを氷水浴に入れ、撹拌しながらジ-tert-ブチルジカーボネート(1.61g,1.7mL,7.40mmol)を滴下し、自然昇温で4時間反応させた後、反応液をジクロロメタン(30mL)に注ぎ、水洗浄(2×20mL)と飽和塩化ナトリウム溶液洗浄(20mL)をこの順にして、その後無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより解析して精製し、白色の固体である化合物Nを得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3,298K):δ7.78(t,J=2.0Hz,1H),7.72-7.65(m,2H),7.62(dt,J=7.5,2.0Hz,1H),7.53(dq,J=8.2,2.1Hz,3H),7.31(t,J=7.5Hz,1H),6.57(s,1H),1.50(s,9H).
13C NMR(100MHz,CDCl
3,298K):δ153.93,143.43,137.44,136.75,131.50,130.90,130.48,127.82,126.46,126.38,123.40,80.43,28.16.HRMS(TOF-ESI
+)(m/z):C
17H
18BrNO
2計算値は:348.06[M+H
+]であり;実験値は:348.06であった。
【0077】
文献に述べられた方法(J.Am.Chem.Soc.2014,136,8165-8168)で化合物Oを合成した。
【0078】
100mLのシュレンク瓶に化合物N(428mg,1.23mmol)、化合物O(477mg,1.35mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(14.6mg,12.3μmol)、無水炭酸カリウム(1.60g,11.6mmol)をこの順に加え、テトラヒドロフラン25mLと蒸留水5mLを注入し、凍結脱気法を使用して3サイクル繰り返して酸素を除去し、その後アルゴンガス雰囲気で反応物を90℃に加熱し、撹拌しながら24h反応させた。冷却した後、反応混合物を水(50mL)に注いで、ジクロロメタン(3×30mL)で抽出した。有機相を合わせ、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより解析して精製し、白色の固体である化合物Pを得た。1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ8.58(dd,J=10.2,1.1Hz,2H),8.55-8.48(m,4H),8.08(t,J=2.0Hz,1H),8.01(t,J=2.0Hz,1H),7.80-7.55(m,10H),7.48(td,J=7.9,1.2Hz,2H),6.93(ddd,J=8.0,5.1,1.1Hz,2H),6.59(s,1H),1.50(s,9H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K):δ156.38,155.79,153.93,149.14,147.56,142.54,140.08,139.77,138.84,137.44,136.75,136.59,129.45,129.37,129.27,128.17,128.05,127.82,127.76,126.46,125.60,124.02,121.39,120.06,80.43,28.16.HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C38H32N4O2計算値は:577.26[M+H+]であり;実験値は:577.26であった。
【0079】
50mLの反応フラスコにメタノール(10mL)を加えて化合物P(182mg,0.316mmol)を溶かし、塩化第一鉄(21mg,0.158mmol)のメタノール溶液(10mL)を滴下し、アルゴンガス雰囲気で撹拌し、還流で4h反応させた。そして室温まで冷却し、沈殿物が完全に析出するまで過剰の飽和のヘキサフルオロリン酸アンモニウムのメタノール溶液を滴下してろ過し、得られた固体は蒸留水(2×10mL)とジエチルエーテル(2×10mL)でこの順にリンスした。粗生成物はアセトニトリルとアセトンの混合溶媒で再結晶し、紫色の固体である化合物Qを得た。1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ8.85(dd,J=7.5,1.4Hz,4H),8.69(d,J=8.0Hz,8H),8.04(t,J=2.0Hz,4H),7.76(dd,J=8.1,6.7Hz,4H),7.71-7.49(m,20H),7.00(td,J=7.4,1.6Hz,4H),1.50(s,18H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K):δ195.12,155.16,153.93,152.39,150.10,149.69,142.54,140.08,139.77,138.84,138.67,137.44,136.75,129.45,129.37,129.27,128.17,128.05,127.82,127.76,126.46,125.60,125.08,122.82,80.43,28.16.HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C76H64FeN8O4計算値は:1029.44[M-2PF6
-+H+]であり;実験値は:1029.44であった。
【0080】
ジクロロメタン(10mL)に溶けた化合物Q(0.135g,0.13mmol)に、トリフルオロ酢酸(1.0mL,0.34g,3.73mmol)を滴下し、室温で20時間撹拌した後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)に滴下した。ジクロロメタン(50mL)で抽出し、有機層は飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30mL)と飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。真空で溶媒を蒸発させ、標的化合物8を得て、化合物8が紫色の固体であった。1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ8.43-8.52(m,12H),8.05(t,J=2.0Hz,2H),7.97(t,J=2.0Hz,2H),7.79-7.58(m,12H),7.48(td,J=8.0,1.3Hz,4H),7.31-7.25(m,4H),6.93(ddd,J=8.0,5.1,1.1Hz,4H),6.79-6.73(m,4H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K)δ156.38,155.79,149.14,148.03,147.56,142.54,140.08,139.77,138.84,136.59,134.36,129.45,129.37,129.27,128.17,128.15,128.05,127.76,125.60,124.02,121.39,120.06,115.37.HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C66H48FeN8計算値は:1009.34[M-2PF6
-+H+]であり;実験値は:1009.34であった。
【0081】
(2)化合物8に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
実施例1におけるトランジスタの調製方法を参照し、グラフェンをゲート電極とし、厚さ5nmの酸化ハフニウムを誘電体層とし、化合物1の代わりに化合物8を使って強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合を構築し、ボトムゲート構造の化合物8に基づく電界効果トランジスタを調製した。
【0082】
実施例9:化合物9に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
(1)化合物9の合成:
合成経路は以下のとおり:
【化17】
50mLの反応フラスコにメタノール(10mL)を加えて化合物P(182mg,0.316mmol)を溶かし、塩化亜鉛(26mg,0.158mmol)のメタノール溶液(10mL)を滴下し、アルゴンガス雰囲気で撹拌し、還流で4h反応させた。そして室温まで冷却し、沈殿物が完全に析出するまで過剰の飽和のヘキサフルオロリン酸アンモニウムのメタノール溶液を滴下してろ過し、得られた固体は蒸留水(2×10mL)とジエチルエーテル(2×10mL)でこの順にリンスした。粗生成物はアセトニトリルとアセトンの混合溶媒で再結晶し、化合物Rを得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3,298K):δ8.75(dd,J=7.5,1.4Hz,4H),8.59(d,J=8.0Hz,8H),7.94(t,J=2.0Hz,4H),7.66(dd,J=8.1,6.7Hz,4H),7.61-7.39(m,20H),7.00(td,J=7.4,1.6Hz,4H),1.50(s,18H).
13C NMR(100MHz,CDCl
3,298K):δ195.12,156.16,153.93,152.39,151.10,149.69,142.64,140.08,139.77,138.88,138.77,137.44,136.75,129.45,129.37,129.27,128.17,128.15,127.82,127.76,126.46,125.60,125.08,122.82,80.43,28.16.HRMS(TOF-ESI
+)(m/z):C
76H
64ZnN
8O
4計算値は:1017.45[M-2PF
6
-+H
+]であり;実験値は:1017.45であった。
【0083】
化合物Qの代わりに、化合物R(0.158g,0.13mmol)を使って実施例8の方法で反応させ、標的化合物9を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ8.43-8.52(m,12H),8.05(t,J=2.0Hz,2H),7.97(t,J=2.0Hz,2H),7.79-7.58(m,12H),7.48(td,J=8.0,1.3Hz,4H),7.31-7.25(m,4H),6.93(ddd,J=8.0,5.1,1.1Hz,4H),6.79-6.73(m,4H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K)δ156.38,155.79,149.14,148.03,147.56,142.54,140.08,139.77,138.84,136.59,134.36,129.45,129.37,129.27,128.17,128.15,128.05,127.76,125.60,124.02,121.39,120.06,115.37.HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C66H48ZnN8計算値は:1017.33[M-2PF6
-+H+]であり;実験値は:1017.34であった。
【0084】
(2)化合物9に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
実施例1におけるトランジスタの調製方法を参照し、グラフェンをゲート電極とし、厚さ5nmの酸化ハフニウムを誘電体層とし、化合物1の代わりに化合物9を使って強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合を構築し、ボトムゲート構造の化合物9に基づく電界効果トランジスタを調製した。
【0085】
実施例10:化合物10に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
(1)化合物10の合成:
合成経路は以下のとおり:
【化18】
50mLの反応フラスコにメタノール(10mL)を加えて化合物P(182mg,0.316mmol)を溶かし、塩化ルテニウム(33mg,0.158mmol)のメタノール溶液(10mL)を滴下し、アルゴンガス雰囲気で撹拌し、還流で4h反応させた。そして室温まで冷却し、沈殿物が完全に析出するまで過剰の飽和のヘキサフルオロリン酸アンモニウムのメタノール溶液を滴下してろ過し、得られた固体は蒸留水(2×10mL)とジエチルエーテル(2×10mL)でこの順にリンスした。粗生成物はアセトニトリルとアセトンの混合溶媒で再結晶し、赤色の固体である化合物Sを得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3,298K):δ9.05(dd,J=7.5,1.4Hz,4H),8.79(d,J=8.0Hz,8H),8.14(t,J=2.0Hz,4H),7.76(dd,J=8.1,6.7Hz,4H),7.71-7.49(m,20H),7.10(td,J=7.4,1.6Hz,4H),1.50(s,18H).
13C NMR(100MHz,CDCl
3,298K):δ195.12,155.16,153.93,152.39,150.10,149.69,142.54,141.08,139.77,138.94,138.67,137.44,136.75,129.45,129.37,129.27,128.17,128.15,127.82,127.76,126.46,125.60,125.08,122.82,80.43,28.16.HRMS(TOF-ESI
+)(m/z):C
76H
64RuN
8O
4計算値は:1255.40[M-2PF
6
-+H
+]であり;実験値は:1255.40であった。
【0086】
化合物Qの代わりに、化合物S(0.164g,0.13mmol)を使って実施例8の方法で反応させ、標的化合物10を得て、化合物10が赤色の固体であった。1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ8.63-8.72(m,12H),8.25(t,J=2.0Hz,2H),8.17(t,J=2.0Hz,2H),7.89-7.68(m,12H),7.68(td,J=8.0,1.3Hz,4H),7.31-7.25(m,4H),6.93(ddd,J=8.0,5.1,1.1Hz,4H),6.79-6.73(m,4H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K)δ156.38,155.79,149.14,148.03,147.56,142.54,140.08,139.77,138.84,136.59,134.36,129.45,129.37,129.27,128.17,128.15,128.05,127.76,125.60,124.02,121.39,120.06,115.37.HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C66H48RuN8計算値は:1055.31[M- 2PF6
-+H+]であり;実験値は:1055.31であった。
【0087】
(2)化合物10に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
実施例1におけるトランジスタの調製方法を参照し、グラフェンをゲート電極とし、厚さ5nmの酸化ハフニウムを誘電体層とし、化合物1の代わりに化合物10を使って強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合を構築し、ボトムゲート構造の化合物10に基づく電界効果トランジスタを調製した。
【0088】
実施例11:化合物11に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
(1)化合物11の合成:
合成経路は以下のとおり:
【化19】
アルゴンガス雰囲気で反応フラスコに4-(Boc-アミノ)ベンズアルデヒド(2.212g,10mmol)とアセトフェノン(2.403g,20mmol)を加え、撹拌しながら三フッ化ホウ素エチルエーテル(4.258g,30mmol)を滴下し、100℃で3h反応させた後、反応液を室温まで冷却し、エチルエーテル(200mL)に注ぎ、析出した固体をろ過し、無水エタノールで再結晶した後、化合物Tを得て、黄色の固体であった。
1H NMR(400MHz,CDCl
3,298K):δ8.91-8.85(m,6H),7.80-7.72(m,4H),7.47-7.41(m,2H),7.23(tt,J=7.4,2.0Hz,2H),6.56-6.50(m,2H),1.50(s,9H).
13C NMR(100MHz,CDCl
3,298K)δ168.71,166.14,153.93,137.71,133.99,132.58,131.06,130.95,129.13,127.95,126.42,115.21,80.43,28.16.HRMS(TOF-ESI
+)(m/z):C28H26NO3計算値は:425.19[M-BF4
-+H+]であり;実験値は:425.19であった。
【0089】
アルゴンガス雰囲気で反応フラスコに化合物T(511mg,1mmol)を加え、テトラヒドロフラン(5mL)で溶かした後、p-ブロモアンフェタミン(172mg,1mmol)を加え、還流で4h反応させた後、室温まで冷却し、エタノールで再結晶し、化合物Uを得た。1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ7.89-7.81(m,4H),7.59-7.53(m,2H),7.52-7.46(m,6H),7.41(qd,J=3.8,1.5Hz,6H),7.19-7.13(m,2H),1.50(s,9H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K)δ156.07,153.93,140.59,137.71,136.23,134.01,132.14,130.72,129.94,129.48,128.57,128.09,127.95,126.43,126.40,120.79,80.43,28.16.HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C34H30BrN2O2計算値は:578.16[M-BF4
-+H+]であり;実験値は:578.16であった。
【0090】
文献に述べられた方法(J.Am.Chem.Soc.2012,134,7672-7675)で化合物Vを合成した。
【0091】
100mLのシュレンク瓶に化合物U(710mg,1.23mmol)、化合物V(477mg,1.35mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(14.6mg,12.3μmol)、無水炭酸カリウム(1.60g,11.6mmol)をこの順に加え、テトラヒドロフラン25mLと蒸留水5mLを注入し、凍結脱気法を使用して3サイクル繰り返して酸素を除去し、その後アルゴンガス雰囲気で反応物を90℃に加熱し、撹拌しながら24h反応させた。冷却した後、反応混合物を水(50mL)に注いで、ジクロロメタン(3×30mL)で抽出した。有機相を合わせ、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより解析して精製し、化合物Wを得た。1H NMR(400MHz,CDCl3,298K)δ8.81(dd,J=8.0,1.0Hz,2H),8.58(s,2H),8.52(dd,J=5.0,1.3Hz,2H),7.90-7.81(m,10H),7.59-7.52(m,4H),7.52-7.45(m,6H),7.41(qd,J=3.8,1.5Hz,6H),6.93(ddd,J=8.0,5.1,1.1Hz,2H),1.50(s,9H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K)δ156.72,156.07,155.79,153.93,149.49,149.14,142.53,141.53,138.74,137.71,136.59,136.23,135.65,134.01,131.13,130.72,129.94,129.48,128.90, 128.09,127.95,127.79,127.28,126.43,126.40,124.02,121.39,118.36,80.43,28.16.HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C55H44N5O2計算値は:807.34[M-BF4
-+H+]であり;実験値は:807.34であった。
【0092】
50mLの反応フラスコにメタノール(10mL)を加えて化合物W(282mg,0.316mmol)を溶かし、塩化ルテニウム(33mg,0.158mmol)のメタノール溶液(10mL)を滴下し、アルゴンガス雰囲気で撹拌し、還流で4h反応させた。そして室温まで冷却し、沈殿物が完全に析出するまで過剰の飽和のヘキサフルオロリン酸アンモニウムのメタノール溶液を滴下してろ過し、得られた固体は蒸留水(2×10mL)とジエチルエーテル(2×10mL)でこの順にリンスした。粗生成物はアセトニトリルとアセトンの混合溶媒で再結晶し、赤色の固体である化合物Xを得た。1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ8.75(dd,J=7.5,1.4Hz,4H),8.59(d,J=8.0Hz,8H),7.90-7.81(m,20H),7.59-7.52(m,8H),7.51-7.37(m,25H),7.00(td,J=7.4,1.6Hz,4H),1.50(s,18H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K):δ156.07,154.69,153.93,151.96,150.33,149.96,142.53,141.53,138.80,138.75,137.71,136.23,135.65,134.01,131.13,130.72,129.94,129.67,129.48,128.90,128.09,127.95,127.79,127.28,126.43,126.40,125.48,124.07,80.43,28.16.HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C110H88N10O4Ru計算値は:1715.61[M-2BF4
--2PF6
-+H+]であり;実験値は:1715.61であった。
【0093】
化合物Qの代わりに、化合物X(0.283g,0.13mmol)を使って実施例8の方法で反応させ、標的化合物11を得て、化合物11が赤色の固体であった。1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ8.75(dd,J=7.5,1.6Hz,4H),8.60-8.56(m,8H),7.90-7.81(m,20H),7.58-7.52(m,4H),7.48(s,4H),7.46-7.37(m,16H),7.21-7.15(m,4H),7.00(td,J=7.4,1.6Hz,4H),6.81-6.75(m,4H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K)δ156.07,154.69,151.96,150.33,149.96,148.03,142.53,141.53,138.80,138.74,136.23,135.65,134.01,131.13,130.72,129.94,129.67,129.48,128.90,128.22,128.09,127.79,127.28,125.48,125.32,124.07,115.05.HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C100H72N10Ru計算値は:1515.50[M-2BF4
--2PF6
-+H+]であり;実験値は:1515.50であった。
【0094】
(2)化合物11に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
実施例1におけるトランジスタの調製方法を参照し、グラフェンをゲート電極とし、厚さ5nmの酸化ハフニウムを誘電体層とし、化合物1の代わりに化合物11を使って強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合を構築し、ボトムゲート構造の化合物11に基づく電界効果トランジスタを調製した。
【0095】
実施例12:化合物12に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
(1)化合物12の合成:
合成経路は以下のとおり:
【化20】
250mLのシュレンク瓶に1,3-ジブロモ-5-ヨードベンゼン(1.092g,3.02mmol)、4-(Boc-4-アミノ)フェニルボロン酸(455mg,3.32mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(34.9mg,30.3μmol)、無水炭酸カリウム(3.93g,28.5mmol)をこの順に加え、テトラヒドロフラン60mLと蒸留水15mLを注入し、凍結脱気法を使用して3サイクル繰り返して酸素を除去し、その後アルゴンガス雰囲気で反応物を90℃に加熱し、撹拌しながら24h反応させた。冷却した後、反応混合物を水(200mL)に注いで、ジクロロメタン(3×60mL)で抽出した。有機相を合わせ、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより解析して精製し、化合物Yを得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3,298K):δ7.76(q,J=1.4Hz,3H),7.72-7.65(m,2H),7.56-7.50(m,2H),6.57(s, 1H),1.50(s,9H).
13C NMR(100MHz,CDCl
3,298K)δ153.93,143.19,137.71,134.00,128.66,127.95,126.42,123.44,80.43,28.16.HRMS(TOF-ESI
+)(m/z):C
17H
17Br
2NO
2計算値は:425.97[M+H
+]であり;実験値は:425.97であった。
【0096】
100mLのシュレンク瓶に化合物Y(522mg,1.23mmol)、化合物O(477mg,1.35mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(14.6mg,12.3μmol)、無水炭酸カリウム(1.60g,11.6mmol)をこの順に加え、テトラヒドロフラン25mLと蒸留水5mLを注入し、凍結脱気法を使用して3サイクル繰り返して酸素を除去し、その後アルゴンガス雰囲気で反応物を90℃に加熱し、撹拌しながら24h反応させた。冷却した後、反応混合物を水(50mL)に注いで、ジクロロメタン(3×30mL)で抽出した。有機相を合わせ、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより解析して精製し、化合物Zを得た。1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ8.70-8.44(m,12H),8.31(dt,J=3.5,2.0Hz,2H),8.23(t,J=2.0Hz,1H),8.17(t,J=2.0Hz,1H),8.12(t,J=1.9Hz,1H),7.83-7.59(m,11H),7.48(td,J=8.0,1.3Hz,4H),6.93(ddd,J=8.0,5.1,1.1Hz,4H),1.50(s,9H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K)δ156.38,155.79,153.93,149.14,147.56,141.72,141.37,138.86,137.71,136.59,133.99,129.37,129.27,129.18,128.16,127.95,126.42,124.02,121.39,120.06,80.43,28.16.HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C59H45N7O2計算値は:884.35[M+H+]であり;実験値は:884.35であった。
【0097】
50mLの反応フラスコにメタノール(10mL)を加えて化合物Z(280mg,0.316mmol)を溶かし、塩化第一鉄(21mg,0.158mmol)のメタノール溶液(10mL)を滴下し、アルゴンガス雰囲気で撹拌し、還流で4h反応させた。そして室温まで冷却し、沈殿物が完全に析出するまで過剰の飽和のヘキサフルオロリン酸アンモニウムのメタノール溶液を滴下してろ過し、得られた固体は蒸留水(2×10mL)とジエチルエーテル(2×10mL)でこの順にリンスした。粗生成物はアセトニトリルとアセトンの混合溶媒で再結晶し、化合物Z2を得て、紫色の固体であった。1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ8.75(dd,J=7.5,1.4Hz,8H),8.59(d,J=8.0Hz,15H),8.04(s,6H),7.94(t,J=2.0Hz,4H),7.66-7.42(m,28H),1.50(s,18H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K):δ155.16,153.93,152.39,150.10,149.69,141.72,141.37,138.86,138.67,137.71,133.99,129.45,129.37,129.27,129.18,128.16,127.95,126.42,125.08,122.82,80.43,28.16.HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C118H90Fe2N14O4計算値は:1879.58[M-2PF6
-+H+]であり;実験値は:1879.58であった。
【0098】
化合物Qの代わりに、化合物Z2(0.282g,0.13mmol)を使って実施例8の方法で反応させ、標的化合物12を得て、化合物12が紫色の固体であった。1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ8.75(dd,J=7.5,1.6Hz,8H),8.60-8.56(m,15H),8.04(s,6H),7.94(t,J=2.0Hz,4H),7.66(dd,J=8.0,6.7Hz,4H),7.58(dd,J=7.2,2.0Hz,8H),7.43(td,J=7.4,1.6Hz,8H),7.21-7.15(m,4H),7.00(td,J=7.4,1.6Hz,8H),6.81-6.75(m,4H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K)δ155.16,152.39,150.10,149.69,148.03,141.72,141.37,138.86,138.67,131.31,129.45,129.37,129.27,129.18,128.27,128.16,125.08,122.82,115.05.HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C108H74Fe2N14計算値は:1679.50[M-2PF6
-+H+]であり;実験値は:1679.50であった。
【0099】
(2)化合物12に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
実施例1におけるトランジスタの調製方法を参照し、グラフェンをゲート電極とし、厚さ5nmの酸化ハフニウムを誘電体層とし、化合物1の代わりに化合物12を使って強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合を構築し、ボトムゲート構造の化合物12に基づく電界効果トランジスタを調製した。
【0100】
実施例13:化合物13に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
(1)化合物13の合成:
合成経路は以下のとおり:
【化21】
文献に記載される経路(European Journal of Medicinal Chemistry,102,277-287;2015)で化合物Z3を合成した。
【0101】
文献に記載される経路(Journal of the American Chemical Society,136(10),3972-3980;2014)で化合物Z4を合成した。
【0102】
100mLのシュレンク瓶に化合物Z3(0.279g,1mmol)と、化合物Z4(0.878g,2.4mmol)と、Pd(PPh3)4(83mg,0.072mmol)と、K2CO3(1.0g,7.2mmol)とを加え、THF/H2O(20mL/4mL)を注入し、凍結脱気法を使用して3サイクル繰り返して酸素を除去した後、アルゴンガス雰囲気で反応物を90℃に加熱し、撹拌しながら24h反応させた。冷却した後、反応混合物を水(50mL)に注いで、ジクロロメタン(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層はNa2SO4で乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより解析して精製し、黄色の固体である化合物Z5を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ8.11-7.96(m,6H),7.92-7.80(m,6H),7.80-7.61(m,6H),3.92(s,4H),3.75(s,6H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K):δ172.68,137.95,133.76,132.68,131.30,129.89,129.08,128.51,128.06,127.35,127.06,125.89,123.71,123.64,51.97,40.77.HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C36H28O4計算値は:525.21[M+H+]であり;実験値は:525.21であった。
【0103】
化合物Z5(0.488g,0.93mmol)を5mLの濃度28%アンモニア水溶液に加え、室温で撹拌しながら24h反応させた。その後、ジクロロメタン(3×10mL)を使って抽出し、合わせた有機層は無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより解析して精製し、黄色の固体である化合物Z6を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ8.12-7.96(m,6H),7.92-7.67(m,12H),3.63(s,4H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K):δ172.58,137.95,135.09,133.06,131.30,130.40,128.51,128.35,128.06,127.67,125.89,125.49,123.71,123.64,41.07.HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C34H26N2O2計算値は:495.21[M+H+]であり;実験値は:495.21であった。
【0104】
反応フラスコにLiAlH4(0.152g,4mmol)と無水THF(5mL)を加えた後、化合物Z6(0.198g,0.4mmol)の無水THF(1mL)溶液を滴下し、そして還流で24h反応させた。その後、水を加えてクエンチし、ジクロロメタン(3×10mL)を使って抽出し、合わせた有機層は無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより解析して精製し、黄色の固体である化合物13を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ8.11-7.96(m,6H),7.92-7.80(m,6H),7.80-7.61(m,6H),2.53(s,4H),1.24(s,4H).13C NMR(100MHz,CDCl3,298K):δ137.95,133.79,131.30,130.12,128.64,128.51,128.06,126.36,125.89,125.43,123.71,123.64,43.70,39.10.HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C34H30N2計算値は:467.25[M+H+]であり;実験値は:467.25であった。
【0105】
(2)化合物13に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
実施例1におけるトランジスタの調製方法を参照し、グラフェンをゲート電極とし、厚さ5nmの酸化ハフニウムを誘電体層とし、化合物1の代わりに化合物13を使って強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合を構築し、ボトムゲート構造の化合物13に基づく電界効果トランジスタを調製した。
【0106】
実施例14:化合物14に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
(1)化合物14の合成:
合成経路は以下のとおり:
【化22】
文献に記載される経路(Chemistry-a European Journal,2001,7(22):4894-4901)で化合物Z7を合成した。
【0107】
250mLのシュレンク瓶に化合物Z7(1.00g,0.69mmol)と、ヨウ化銅(0.572g,0.30mmol)と、テトラトリフェニルホスフィンパラジウム(0.182g,0.16mmol)と、プロピオン酸メチル(0.060g,0.71mmol)と、ピペリジン(60mL)とを加えて、凍結脱気法を使用して3サイクル繰り返して酸素を除去した後、アルゴンガス雰囲気で反応物を80℃に加熱し、撹拌しながら24時間反応させた。冷却した後、反応混合物を水(50mL)に注いで、ジクロロメタン(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層はNa2SO4で乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより解析して精製し、黄色の固体である化合物Z8を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ8.40(s,2H),8.13(s,2H),8.02(s,2H),7.99(s,2H),7.98(s,2H),7.86(s,2H),3.75(s,3H),1.26(m,88H),0.92-0.86(m,12H)13C NMR(100MHz,CDCl3,298K):δ173.44,139.29,139.13,139.10,129.83,129.02,128.96,128.81,128.45,123.60,123.21,122.48,122.29,120.92,120.65,120.53,120.45,119.08,118.94,118.68,118.17,89.82,82.48,51.06,37.29,37.20,34.02,32.45,32.39,32.05,31.98,30.31,30.27,30.10,30.04,29.96,29.88,29.54,29.45,29.41,25.09,22.88,20.15,14.19.
【0108】
HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C94H115BrO2計算値は:1355.81[M+H+]であり;実験値は:1355.81であった。
【0109】
250mLのシュレンク瓶に化合物Z8(1.10g,0.81mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(0.124g,0.49mmol)、テトラトリフェニルホスフィンパラジウム(0.038g,0.03mmol)、酢酸カリウム(0.40g,4.07mmol)をこの順で加えて、その後N,N-ジメチルホルムアミド50mLを注入し、凍結脱気法を使用して3サイクル繰り返して酸素を除去した後、アルゴンガス雰囲気で反応物を90℃に加熱し、撹拌しながら10時間反応させた。冷却した後、反応混合物を水(50mL)に注ぎ、ジクロロメタン(3×30mL)で抽出し、有機相に対して水洗浄(3×30mL)と飽和塩化ナトリウム溶液洗浄(30mL)をこの順にして、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下で溶媒を除去し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより解析して精製し、黄色の固体である化合物Z9を得た。
【0110】
1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ8.50(s,4H),8.23(s,4H),8.18(s,4H),8.09(s,4H),7.98(s,4H),7.88(s,4H),3.75(s,6H),1.26(m,176H),0.92-0.86(m,24H).
【0111】
13C NMR(100MHz,CDCl3,298K):δ175.49,149.45,139.93,138.10,129.81,129.02,128.96,128.81,128.45,124.60,124.21,124.48,123.39,121.92,121.65,121.53,120.45,119.28,118.94,118.68,118.27,89.87,82.58,51.06,37.29,37.20,34.02,32.45,32.39,32.05,31.98,30.31,30.27,30.10,30.04,29.96,29.88,29.54,29.45,29.41,25.09,22.88,20.15,14.19.
【0112】
HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C188H230O4計算値は:2552.78[M+H+]であり;実験値は:2552.78であった。
【0113】
化合物Z9(663mg,0.26mmol)をTHF(200mL)に溶かした後、Pd/C(10%,285mg)を加え、室温でH2(1bar)を供給し、撹拌しながら16h反応させた。触媒をろ過した後、減圧で溶媒を除去し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより解析して精製し、黄色の固体である化合物Z10を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ8.50(s,4H),8.23(s,4H),8.18(s,4H),8.09(s,4H),7.98(s,4H),7.88(s,4H),3.75(s,6H),1.26(m,180H),2.28(t,J=7.5Hz,4H),0.92-0.86(m,24H).
【0114】
13C NMR(100MHz,CDCl3,298K):δ173.53,139.42,129.36,122.91,120.78,119.15,52.15,37.29,33.99,32.51,32.37,32.04,30.21,30.05,30.01,29.93,29.85,29.76,29.53,29.48,29.31,25.02,22.86,14.18.
【0115】
HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C188H238O4計算値は:2560.84[M+H+]であり;実験値は:2560.84であった。
【0116】
化合物Z10(0.589g,0.23mmol)を5mLの濃度28%アンモニア水溶液に加え、室温で撹拌しながら24h反応させた。その後、ジクロロメタン(3×10mL)を使って抽出し、合わせた有機層は無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより解析して精製し、黄色の固体である化合物Z11を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ8.50(s,4H),8.23(s,4H),8.18(s,4H),8.07(s,4H),7.96(s,4H),7.86(s,4H),1.26(m,180H),2.28(t,J=7.5Hz,4H),0.92-0.86(m,24H)13C NMR(100MHz,CDCl3,298K):δ173.53,139.42,129.36,122.91,120.78,119.15,51.05,37.29,33.99,32.51,32.37,32.04,30.21,30.05,30.01,29.93,29.85,29.76,29.53,29.48,29.31,25.02,22.86,14.18.
【0117】
HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C186H236N2O2計算値は:2530.85[M+H+]であり;実験値は:2530.85であった。
【0118】
反応フラスコにLiAlH4(0.152g,4mmol)と無水THF(50mL)を加えた後、化合物Z11(0.506g,0.20mmol)の無水THF(50mL)溶液を滴下し、そして還流で24h反応させた。その後、水を加えてクエンチし、ジクロロメタン(3×30mL)を使って抽出し、合わせた有機層は無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより解析して精製し、黄色の固体である化合物14を得た。
【0119】
1H NMR(400MHz,CDCl3,298K):δ8.50(s,4H),8.23(s,4H),8.18(s,4H),8.07(s,4H),7.96(s,4H),7.86(s,4H),1.26(m,192H),0.92-0.86(m,24H)13C NMR(100MHz,CDCl3,298K):δ173.53,139.42,129.36,122.91,120.78,119.15,54.05,48.67,38.29,33.89,32.51,32.35,31.84,30.61,30.05,30.01,29.93,29.85,29.76,29.53,29.48,29.31,25.01,22.84,14.19.HRMS(TOF-ESI+)(m/z):C186H240N2計算値は:2502.89[M+H+]であり;実験値は:2502.89であった。
【0120】
(2)化合物14に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
実施例1におけるトランジスタの調製方法を参照し、グラフェンをゲート電極とし、厚さ5nmの酸化ハフニウムを誘電体層とし、化合物1の代わりに化合物14を使って強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合を構築し、ボトムゲート構造の化合物14に基づく電界効果トランジスタを調製した。
【0121】
実施例15化合物1に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
グラフェンをゲート電極とし、厚さ5nmの酸化ジルコニウムを誘電体層とし、ボトムゲート構造の電界効果トランジスタを構築し:
まず、実施例1で記載された方法でシリコンウエーハー上にボトムゲートを形成し;
電子線蒸着の方法を採用してボトムゲート上に5nmの酸化ジルコニウム層を蒸着し;
実施例1で記載された方法で誘電体層上に強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合を構築し、単一分子電界効果トランジスタデバイスを得た。
【0122】
実施例16化合物1に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
グラフェンをゲート電極とし、厚さ5nmの酸化チタンを誘電体層とし、ボトムゲート構造の電界効果トランジスタを構築し:
まず、実施例1で記載された方法でシリコンウエーハー上にボトムゲートを形成し;
電子線蒸着の方法を採用してボトムゲート上に5nmの酸化チタン層を蒸着し;
実施例1で記載された方法で誘電体層上に強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合を構築し、単一分子電界効果トランジスタデバイスを得た。
【0123】
実施例17化合物1に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
アルミニウムをゲート電極とし、厚さ5nmの酸化アルミニウムを誘電体層とし、ボトムゲート構造の電界効果トランジスタを構築し:
まず、電子線蒸着の方法によりシリコンウエーハー上に35nmのアルミニウム層を蒸着し;そして180℃で1時間加熱し、5nmの酸化アルミニウム層を調製した。
【0124】
実施例1で記載された方法で誘電体層上に強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合を構築し、単一分子電界効果トランジスタデバイスを得た。
【0125】
実施例18化合物1に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
アルミニウムをゲート電極とし、厚さ3nmの酸化アルミニウムと2nmの酸化ハフニウムを誘電体層とし、ボトムゲート構造の電界効果トランジスタを構築し:
まず、電子線蒸着の方法によりシリコンウエーハー上に35nmのアルミニウム層を蒸着し;そして大気中で24時間放置し、自然酸化により3nmの酸化アルミニウム層を得て、更に原子層で2nmの酸化ハフニウム層を成長させた。
【0126】
実施例1で記載された方法で酸化ハフニウム層上に強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合を構築し、単一分子電界効果トランジスタデバイスを得た。
【0127】
実施例19化合物1に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
実施例19と実施例15の違いは、酸化ジルコニウムの厚さが3nmであることであった。
【0128】
実施例20化合物1に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
実施例20と実施例15の違いは、酸化ジルコニウムの厚さが10nmであることであった。
【0129】
実施例21化合物2に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
グラフェンをゲート電極とし、厚さ5nmの酸化ハフニウムを誘電体層とし、トップゲート構造の電界効果トランジスタを構築し:
実施例1で記載された方法を参照して、300nmの酸化層を有するシリコンウエーハー上に強分極分子-グラフェン分子ヘテロ接合を構築し;
別のシリコンウエーハー上にソルゲル法で厚さ5nmの酸化ハフニウム層を調製し、次に上に化学気相蒸着法で成長させたグラフェンを移し、更に上にPMMAをスピンコートし、最後にフッ化水素酸を使ってシリコンウエーハーをエッチングし、酸化ハフニウム/グラフェン/PMMAフィルムを脱イオン水とイソプロパノールでそれぞれ三回リンスした後、分子ヘテロ接合に設置し、化合物2に基づくトップゲート構造の単一分子電界効果トランジスタデバイスを得た。
【0130】
実施例22化合物2に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
実施例22と実施例21の違い:電子線蒸着の方法で調製した5nmの酸化ジルコニウム層を誘電体層とした。
【0131】
実施例23化合物2に基づく単一分子電界効果トランジスタの調製
実施例23と実施例21の違い:電子線蒸着の方法で調製した5nmの酸化チタン層を誘電体層とした。
【0132】
単一分子電界効果トランジスタの性能試験実施例
実施例24
Agilent 4155C半導体試験機とKarl Suss(PM5)マニュアルプローブステーションを使って、実施例1~7で調製した単一分子電界効果トランジスタに対して性能試験をした。
【0133】
室温、大気条件で、ゲート電圧は、-2V~+2Vの範囲内で変化した。固定のあるゲート電圧で、ソース-ドレインバイアス電圧(-1V~+1V)を印加し、上述単一分子電界効果トランジスタのゲート電圧によってコントロールされたI-V特性曲線(
図3~9に示すとおり)を測定した、
図3~9から実施例1~7で調製された単一分子電界効果トランジスタはゲート電圧に伴って変化する伝導特性を示したことが分かり;具体的には、ゲート電圧が異なる場合のI-V曲線も明らかに違い、ゲート電圧が負から正に変化すると、伝導特性は徐々に低下することによって大幅に変化し;これは実施例1~7で調製された単一分子電界効果トランジスタが効率的なゲート制御特性を有することを示し;同時に、本願で提供される単一分子電界効果トランジスタは工業用トランジスタの特性を確実に実現し、幅広い用途の見込みを有することが十分に証明した。
【0134】
なお、上述試験のゲート電圧の範囲は-2V~+2Vであるが、-4V~+4Vのゲート電圧範囲内で同様に
図3~9に類似したI-V特性曲線を得られ、同様にゲート電圧の変化に伴って変化する伝導特性を示したことは実験により証明された。
【0135】
なお、実施例8~23で調製された単一分子電界効果トランジスタも実施例1~7で調製された単一分子電界効果トランジスタと類似したI-V特性曲線を得られるため、実施例1~7で調製された単一分子電界効果トランジスタと同じの効果を有する。
【0136】
性能試験実験の分析から、分極率が2C・m2/Vより大きい基を含有する強分極分子は、分子の電子雲が豊かであり、電圧を印加すると分極しやすくて、更に分子軌道のエネルギーレベルを比較的に大きく移動させるため、単一分子電界効果トランジスタのゲート制御をより容易に効果的に実現する。
【0137】
なお、本明細書に引用された文献について、その全内容は引用により、本願に組み込まれるため、本明細書は余分な記載はしない。
【0138】
上述実施例は本願の実質的な内容を説明することを意図したものであり、本願の保護の範囲はそれらにより限定するものではない。当業者は、本願の技術案の実質と保護範囲を脱離しないように本願の技術案を修正または同等に変更できることを理解するべきである。