(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】容器の異物検査装置及び異物検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/90 20060101AFI20220607BHJP
【FI】
G01N21/90 D
(21)【出願番号】P 2016212607
(22)【出願日】2016-10-31
【審査請求日】2019-04-18
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】390014661
【氏名又は名称】キリンテクノシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【氏名又は名称】山本 晃司
(72)【発明者】
【氏名】中村 裕宗
(72)【発明者】
【氏名】高橋 千代子
【合議体】
【審判長】福島 浩司
【審判官】伊藤 幸仙
【審判官】渡戸 正義
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-118546(JP,A)
【文献】国際公開第2009/081706(WO,A1)
【文献】特開2003-315280(JP,A)
【文献】特開2012-137397(JP,A)
【文献】特開2008-268236(JP,A)
【文献】特開2016-38362(JP,A)
【文献】特開2005-257492(JP,A)
【文献】特開2004-219399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - 21/958
G01B 11/00 - 11/30
B07C 5/342
H04N 5/222 - 5/257
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器中の異物の有無を前記容器の画像に基づいて検査する容器の異物検査装置であって、
前記容器に対する透過性を有する第1波長域の照明光束、及び前記第1波長域の照明光束と比較して前記容器の表面における散乱性が高い第2波長域の照明光束を含む照明光により前記容器を照明する照明手段と、
前記照明手段にて照明された容器の前記第1波長域による画像、及び前記第2波長域による画像が含まれるようにして前記容器を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した前記第1波長域の画像と前記第2波長域の画像との差分に基づく画像を、前記異物の有無を検査するための画像として生成する画像処理手段と、
を備えた容器の異物検査装置。
【請求項2】
前記照明手段は、前記第1波長域の照明光束と前記第2波長域の照明光束とが、前記撮像手段にて前記容器が撮像される側と同一の側から照射されるように設けられている請求項1に記載の異物検査装置。
【請求項3】
前記照明手段は前記容器を底部側から照明するように設けられ、
前記撮像手段は前記容器を前記底部と向かい合う側から観察した画像を撮像するように設けられている請求項2に記載の異物検査装置。
【請求項4】
前記照明手段は、前記撮像手段にて前記容器が撮像される側に対して反対側から前記第1波長域の照明光束を照射する第1の照明部と、前記撮像手段にて前記容器が撮像される側と同一の側から前記第2波長域の照明光束を照射する第2の照明部とを含んでいる請求項1に記載の異物検査装置。
【請求項5】
前記照明手段は、前記第1波長域の照明光束を照射する複数の第1の照明部と、前記第2波長域の照明光束を照射する少なくとも一つの第2の照明部とを含み、
前記複数の第1の照明部のうち、少なくとも一つの第1の照明部は前記撮像手段にて前記容器が撮像される側に対して反対側から前記第1波長域の照明光束を照射するように設けられ、他の少なくとも一つの第1の照明部は前記撮像手段にて前記容器が撮像される側と同一の側から前記第1波長域の照明光束を照射するように設けられ、
前記第2の照明部は前記容器が撮像される側と同一の側から前記第2波長域の照明光束を照射するように設けられている請求項1に記載の異物検査装置。
【請求項6】
前記容器が撮像される側に対して反対側から照明光束を照射する第1の照明部と、前記容器が撮像される側と同一の側から照明光束を照射する第1の照明部とは、前記第1波長域を区分して得られる複数の波長範囲のうち、互いに異なる波長範囲の照明光束を照射する請求項5に記載の異物検査装置。
【請求項7】
前記照明手段の前記第1の照明部及び前記第2の照明部のそれぞれは、前記容器を側方から照明するように設けられ、
前記撮像手段は前記容器を前記側方から観察した画像を撮像するように設けられている請求項4~6のいずれか一項に記載の容器の異物検査装置。
【請求項8】
前記容器が可視光の波長域において着色された容器として形成され、
前記第2波長域が前記容器の色とは異なる波長域に設定され、前記第1波長域が前記容器の色と同一の波長域、又は前記第2波長域と比較して前記容器の色に近い波長域に設定されている請求項1~7のいずれか一項に記載の異物検査装置。
【請求項9】
前記容器が茶色系又は緑色系に着色され、前記第1波長域が赤色光又は赤外光の波長域に設定され、前記第2波長域が青色光の波長域に設定されている請求項8に記載の異物検査装置。
【請求項10】
前記容器が青色系に着色され、前記第1波長域が青色光の波長域に設定され、前記第2波長域が赤色光又は赤外光の波長域に設定されている請求項8に記載の異物検査装置。
【請求項11】
前記容器が可視光の波長域において着色されていない容器として形成され、
前記第1波長域が赤色光又は赤外光の波長域に設定され、前記第2波長域が青色光の波長域に設定されている請求項1~7のいずれか一項に記載の異物検査装置。
【請求項12】
容器中の異物の有無を前記容器の画像に基づいて検査する容器の異物検査方法であって、
前記容器に対する透過性を有する第1波長域の照明光束、及び前記第1波長域の照明光束と比較して前記容器の表面における散乱性が高い第2波長域の照明光束を含む照明光により前記容器を照明する手順と、
前記照明光にて照明された容器の前記第1波長域による画像、及び前記第2波長域による画像が含まれるようにして前記容器を撮像する手順と、
前記撮像する手順で得られた前記第1波長域の画像と前記第2波長域の画像との差分に基づく画像を、前記異物の有無を検査するための画像として生成する手順と、
を備えた容器の異物検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理技術を用いて容器内における異物の混入の有無を検査する検査装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
容器中の異物の有無を検査する装置として、波長域が異なる複数の照明光で容器を照明し、各波長域の画像を取得して異物を検出する装置が知られている。例えば、液体が充填されたガラス容器に赤色光と青色光を照射し、ガラス容器を透過した赤色光とガラス容器の内部液体で反射した青色光とを色分離ミラーで分離して互いに異なるカメラに導いて各色による容器の画像を取得し、赤色光による画像を用いて黒色系の異物を、青色光による画像を用いて白濁系の異物をそれぞれ検出する装置が提案されている(特許文献1参照)。ペタロイドのような凹凸が付された容器の底部又はその近傍における異物の有無を検査するため、容器の底部に可視光と近赤外光とを照射してそれらの光束に基づく底部の画像を分けて取得し、近赤外光による画像を用いて容器の底部の凹凸部分を検出し、その凹凸部分を可視光による画像中の検査対象領域から除外することにより、凹凸部分に影響されない異物検査を実現しようとした検査装置も提案されている(特許文献2参照)。青色光と赤色光とを用いる例ではあるが、同様の手法により容器の凹凸部を検査領域から除外して容器表面の傷等を検査する装置も提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-267613号公報
【文献】特開2004-219399号公報
【文献】特開2012-242148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1の装置は容器の表面における凹凸、傷、汚れといった検査対象外の外乱要素が画像中にノイズ成分として含まれることに対して格別の解決策を提供していない。特許文献2及び3の装置はノイズ成分の排除に相応の効果が期待できるものの、検査対象から排除されるべき領域を、凹凸部等が明瞭に映し出される反射光の画像から特定しているため、必要以上に大きな範囲が検査対象領域から除外されるといったように検査対象領域の設定に不備が生じ、それにより検査精度が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は波長域が異なる複数の照明光束を含んだ照明光を用いつつ従来とは異なる手法により容器表面の凹凸等の外乱要素の影響を除外して異物の有無に関する検査精度を高めることが可能な異物検査装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る容器の異物検査装置は、容器(2)中の異物の有無を前記容器の画像に基づいて検査する容器の異物検査装置(1A、1B、1C)であって、前記容器に対する透過性を有する第1波長域の照明光束(A;A1、A2)、及び前記第1波長域の照明光束と比較して前記容器の表面における散乱性が高い第2波長域の照明光束(B)を含む照明光により前記容器を照明する照明手段(5;20;30)と、前記照明手段にて照明された容器の前記第1波長域による画像(一例として
図3の画像Pa)、及び前記第2波長域による画像(一例として
図3の画像Pb)が含まれるようにして前記容器を撮像する撮像手段(6)と、前記撮像手段が撮像した前記第1波長域の画像と前記第2波長域の画像との差分に基づく画像(一例として
図3の画像Pd)を、前記異物の有無を検査するための画像として生成する画像処理手段(11;35)と、を備えたものである。
【0007】
本発明の一態様に係る容器の異物検査方法は、容器(2)中の異物の有無を前記容器の画像に基づいて検査する容器の異物検査方法であって、前記容器に対する透過性を有する第1波長域の照明光束(A;A1、A2)、及び前記第1波長域の照明光束と比較して前記容器の表面における散乱性が高い第2波長域の照明光束(B)を含む照明光により前記容器を照明する手順と、前記照明光にて照明された容器の前記第1波長域による画像(一例として
図3の画像Pa)、及び前記第2波長域による画像(一例として
図3の画像Pb)が含まれるようにして前記容器を撮像する手順と、前記撮像する手順で得られた前記第1波長域の画像と前記第2波長域の画像との差分に基づく画像(一例として
図3の画像Pd)を、前記異物の有無を検査するための画像として生成する手順と、を備えたものである。
【0008】
上記態様の装置及び方法において、第1波長域の照明光束は容器の表面を透過して容器内に導かれるが、一部の照明光束は容器の表面で反射し、あるいは容器の凹凸等の外乱要素を透過する際に散乱する。そのため、容器内に異物が存在する場合、第1波長域の照明光束による画像には、異物上での反射光による像と、容器表面の凹凸、傷、汚れといった外乱要素に起因するノイズ成分とが混在するようになる。一方、第2波長域の照明光束は容器の表面で概ね反射し、容器の内部までは到達しないか、到達しても僅かであるため、第2波長域の照明光束による画像には上述したノイズ成分が主として含まれ、かつ異物上の反射光による像が含まれない。したがって、第1波長域の照明光束による画像と第2波長域の照明光束による画像との差分を求めることにより、両画像のいずれにも含まれるノイズ成分は除去され、第1波長域の照明光束による画像に限って出現している異物の像は差分画像上に残る。そのため、差分に基づく画像を異物検査用の画像として生成すれば、ノイズ成分の影響を排除して異物の有無を高精度に検査することができる。第2波長域の照明光束による画像のみに基づいて検査対象領域から除外すべき範囲を特定する従来技術と比較して、ノイズ成分を過不足なく除去することが可能であり、検査対象領域の設定の不備で検査精度が低下するおそれを排除することができる。
【0009】
上記態様において、前記照明手段は、前記第1波長域の照明光束と前記第2波長域の照明光束とが、前記撮像手段にて前記容器が撮像される側と同一の側から照射されるように設けられてもよい。これによれば、第1波長域の照明光束が容器内に入射し、異物上の反射光が撮像手段の側に戻ってくる一方、第2波長域の照明光束は容器表面で反射して撮影手段の側に進む。これにより、第1波長域の照明光束に対する異物の反射を利用して異物を精度よく検出することができる。
【0010】
さらに、前記照明手段は前記容器を底部(2c)側から照明するように設けられ、前記撮像手段は前記容器を前記底部と向かい合う側から観察した画像を撮像するように設けられてもよい。これによれば、第1波長域の照明光束に対して反射性を有する異物が容器の底部付近に滞留している場合、その異物上での反射光による像を確実に検出することができる。
【0011】
上記態様において、前記照明手段(20;30)は、前記撮像手段にて前記容器が撮像される側に対して反対側から前記第1波長域の照明光束(A;A1)を照射する第1の照明部(21;31)と、前記撮像手段にて前記容器が撮像される側と同一の側から前記第2波長域の照明光束(B)を照射する第2の照明部(22;32)とを含むようにしてもよい。これによれば、第1波長域の照明光束が容器を透過して撮像手段の側に射出する一方、第2波長域の照明光束は容器表面で反射して撮影手段の側に進む。第1波長域の照明光束に対して遮光性を有する異物が存在している場合、その異物により第1波長域の照明光束の一部が遮られ、その影響で第1波長域の照明光束による画像に異物の像が含まれるようになる。また、第1波長域の照明光束が容器表面の凹凸等の外乱要因を通過する際に散乱し、その影響によるノイズ成分が第1波長域の照明光束による画像に含まれるようになる。したがって、第1波長域の照明光束による画像と第2波長域の照明光束による画像との差分を求めることにより、両画像のいずれにも含まれるノイズ成分を除去し、第1波長域の照明光束を遮った異物の像が残った画像を検査用の画像として生成することができる。
【0012】
上記態様において、前記照明手段(30)は、前記第1波長域の照明光束を照射する複数の第1の照明部(31、33)と、前記第2波長域の照明光束を照射する少なくとも一つの第2の照明部(32)とを含み、前記複数の第1の照明部のうち、少なくとも一つの第1の照明部(31)は前記撮像手段にて前記容器が撮像される側に対して反対側から前記第1波長域の照明光束(A1)を照射するように設けられ、他の少なくとも一つの第1の照明部(33)は前記撮像手段にて前記容器が撮像される側と同一の側から前記第1波長域の照明光束(A2)を照射するように設けられ、前記第2の照明部は前記容器が撮像される側と同一の側から前記第2波長域の照明光束を照射するように設けられてもよい。これによれば、第1波長域の照明光束を、撮像手段の撮像方向から見て反対側からも同一の側からも照射することができる。そのため、第1波長域の照明光束に対して遮光性が高い異物、反射性が高い異物のいずれであっても検出することができる。
【0013】
また、前記容器が撮像される側に対して反対側から照明光束(A1)を照射する第1の照明部(31)と、前記容器が撮像される側と同一の側から照明光束(A2)を照射する第1の照明部(33)とは、前記第1波長域を区分して得られる複数の波長範囲のうち、互いに異なる波長範囲の照明光束を照射するものとしてもよい。これによれば、第1波長域の照明光束に対する遮光性を利用して異物を検出する場合にはその照明光束を容器の透過に適した波長範囲に設定し、第1波長域の照明光束に対する反射性を利用して異物を検出する場合にはその照明光束を容器内における反射に適した波長範囲に設定するといったように、第1波長域の波長範囲を目的に応じてより適切に使い分け、それにより検査精度のさらなる向上を図ることができる。
【0014】
上記態様において、前記照明手段の前記第1の照明部及び前記第2の照明部のそれぞれは、前記容器を側方から照明するように設けられ、前記撮像手段は前記容器を前記側方から観察した画像を撮像するように設けられてもよい。この場合には、容器をその高さ方向に関して広範囲に照明して撮像することができる。そのため、例えば容器に内容物が充填され、その内容物中にて異物が浮遊しているといったように、容器内の比較的広い範囲に異物が存在し得る場合に適した異物検査装置を提供することができる。
【0015】
前記容器が可視光の波長域において着色された容器として形成され、前記第2波長域が前記容器の色とは異なる波長域に設定され、前記第1波長域が前記容器の色と同一の波長域、又は前記第2波長域と比較して前記容器の色に近い波長域に設定されてもよい。着色された容器では、その色と近似する波長域ほど透過性が高まり、その色から離れた波長域ほど反射性が高まる。したがって、上記の通りに第1波長域及び第2波長域を設定することにより、第1波長域の照明光束を容器内に入射させる一方で、第2波長域の照明光束を容器表面で反射させるといった波長域の使い分けを確実に実現することができる。
【0016】
さらに、前記容器が茶色系又は緑色系に着色され、前記第1波長域が赤色光又は赤外光の波長域に設定され、前記第2波長域が青色光の波長域に設定されてもよい。茶色系又は緑色系の容器に関しては、赤色光又はそれよりも波長が長い赤外光が容器の表面を透過し易いので第1波長域の照明光束として好適であり、青色光は容器表面で反射し易いために第2波長域の照明光束として好適である。
【0017】
一方、前記容器が青色系に着色され、前記第1波長域が青色光の波長域に設定され、前記第2波長域が赤色光又は赤外光の波長域に設定されてもよい。青色系の容器に関しては、青色光が容器の表面を透過し易いので第1波長域の照明光束として好適であり、赤色光又は赤外光は容器表面で反射し易いために第2波長域の照明光束として好適である。
【0018】
また、前記容器が可視光の波長域において着色されていない容器として形成され、前記第1波長域が赤色光又は赤外光の波長域に設定され、前記第2波長域が青色光の波長域に設定されてもよい。可視光の波長域にて透明な容器に関しては、赤色光又はそれよりも波長が長い赤外光が容器の表面を透過し易いので第1波長域の照明光束として好適であり、青色光は容器表面で反射し易いために第2波長域の照明光束として好適である。
【0019】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の形態に係る異物検査装置の要部を示す図。
【
図3】第1の形態の異物検査装置にて取得された画像の一例を示す図。
【
図4】本発明の第2の形態に係る異物検査装置の要部を示す図。
【
図6】本発明の第3の形態に係る異物検査装置の要部を示す図。
【
図8】
図6の画像処理部の構成を示す機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の形態)
図1は本発明の第1の形態に係る異物検査装置の要部を示している。本形態の異物検査装置1Aは、容器の一例としての壜2の内部における異物の有無を検査するものである。壜2は例えばガラス製であり、透明又は適度に着色された半透明のボトル型の容器として形成されている。壜2の内部には飲料等の内容物が充填され、壜2の口部2aは密封されている。壜2は搬送装置3により直立状態で所定の搬送方向Fに搬送され、異物検査装置1Aは壜2の搬送経路上に配置される。搬送装置3は、一例として壜2の胴部2bを挟み込むように配置された一対のベルト3aを搬送方向に走行させて壜2を搬送する。
【0022】
異物検査装置1Aは、壜2に対して底部2cの側から照明光を照射する照明手段の一例としての照明装置5と、照明装置5にて照明された壜2を底部2cと向かい合う側から観察した画像を取得する撮像手段の一例としてのカメラ6とを備えている。照明装置5は、第1の照明部の一例としての第1の照明ユニット7と、第2の照明部の一例としての第2の照明ユニット8とを含んでいる。第1の照明ユニット7は、壜2の表面に対する透過性が比較的高い第1波長域の照明光束Aを壜2の底部2cに照射する。第2の照明ユニット8は、第1の照明ユニット7の照明光束よりも壜2の表面における散乱性が高い第2波長域の照明光束Bを壜2の底部2cに照射する。このように底部2cに向けて照明光を照射し、かつ壜2を底部2c側から撮像する場合には、底部2cの付近に沈んでいる異物を効率的に検出することができる。
【0023】
第1波長域及び第2波長域は、壜2の色によってその選択が異なる。例えば、壜2が茶色系又は緑色系に着色され、あるいは透明な場合には、赤色光の波長域を第1波長域として選択し、青色光の波長域を第2波長域として選択することができる。一方、壜2が青色系に着色されている場合には、青色光の波長域を第1波長域として選択し、赤色光の波長域を第2波長域として選択することができる。つまり、壜2が可視光域に関して着色されている場合には、その壜2の色になるべく近いか又は壜2の色と同一の波長域を第1波長域として選択するとよい。第2波長域は、第1波長域と比較して壜2の色よりも波長が相対的に離れた波長域を選択することができる。言い換えれば、第2波長域は壜2の色とは異なる波長域に設定され、第1波長域は壜2の色と同一の波長域又は第2波長域と比較して壜2の色に近い波長域に設定される。第2波長域には第1波長域と比較して壜2の色よりも波長がなるべく大きく離れた波長域を選択するとよい。第1波長域及び第2波長域は可視域に限定されなくてもよい。例えば、壜2が茶色系の場合、第1波長域を赤外光の波長域に設定し、第2波長域を青色光の波長域に設定するといった選択も可能である。
【0024】
第1及び第2の照明ユニット7、8のそれぞれは、一例として壜2と同軸的に配置されたリング状の照明ユニットである。照明ユニット7、8の光源にはLEDその他の各種の発光体が適宜に利用されてよい。第1及び第2の照明ユニット7、8は、上下方向、すなわち壜2の中心軸線の方向に位置をずらして配置されている。第1の照明ユニット7は第2の照明ユニット8よりも上方、すなわち壜2の底部2cに接近するように配置されている。第1の照明ユニット7の発光面7aは、上方に向かうほど徐々に拡径するテーパ面状である。第1の照明ユニット7は、その発光面7aから射出される第1波長域の照明光束Aが底部2cの外周縁に付されたアール部2dから壜2に入射するように設けられている。これにより、壜2の底部2cの内側領域をその外周縁から第1波長域の照明光束Aにて満遍なく照明することができる。
【0025】
一方、第2の照明ユニット8は、その発光面8aから射出する第2波長域の照明光束Bが、壜2の底部2cのアール部2dから底部2cの全域に入射するように設けられている。発光面8aも、上方に向かうほど徐々に拡径するテーパ面状である。第2の照明ユニット8の発光面8aの最小内径(下端の内径をいう。)は、底部2cにおける反射光が壜2の中心軸線側に向かうように、壜2の外径よりも大きく設定されている。また、第2の照明ユニット8の照明光束Bが第1の照明ユニット7にて遮られる不都合を回避するため、第1の照明ユニット7の発光面7aの下端の最小内径は第2の照明ユニット8の発光面8aの最大内径と同等かそれよりも大きく設定されている。
【0026】
カメラ6は、CCDあるいはCMOSのような固体撮像素子の受光面に結像した光学画像を電子画像に変換して出力する電子スチルカメラである。カメラ6の撮影波長域は第1波長域及び第2波長域を含むように設定されている。カメラ6はその撮影光軸を壜2の中心軸線と一致させるように配置されている。カメラ6の視野Vは壜2のアール部2dから底部2cの全域を撮影できるように設定されている。なお、カメラ6は底部2cを見上げた画像が撮影できればよい。ミラー、プリズムその他の光学素子を用いて撮影光路を曲げることにより、カメラ6が壜2の中心軸線上とは異なる方向に向けて配置されてもよい。
【0027】
カメラ6にて取得された画像に基づいて壜2内の異物の有無を判別するため、異物検査装置には画像処理部11及び検査判定部12が設けられている。画像処理部11は、カメラ6にて取得された画像に所定の処理を適用して異物検査用の画像を生成することにより、画像処理手段の一例として機能する。検査判定部12は、画像処理部11にて生成された画像を用いて異物の有無を判定する。なお、画像処理部11及び検査判定部12は、コンピュータハードウエア資源とコンピュータソフトウエアとの組み合わせによって実現される論理的装置であってもよいし、LSI等のハードウエア資源を組み合わせて所定の処理を実現する物理的装置であってもよい。
【0028】
図2は画像処理部11の構成を示している。画像処理部11には、画像分割部14、第1及び第2調整部15、16及び差分画像生成部17が設けられている。画像分割部14は、カメラ6から出力される画像から、第1波長域の照明光束Aによる第1画像と、第2波長域の照明光束Bによる第2画像とを抽出し、第1画像を第1調整部15に、第2画像を第2調整部16にそれぞれ分割して出力する。第1調整部15は第1波長域の照明光束Aによる画像に明度補正、レベル補正等といった適宜の補正処理を適用して当該画像を差分画像生成部17における処理に適した画像へと調整する。第2調整部16は第2波長域の照明光束Bによる画像に明度補正、レベル補正等といった適宜の補正処理を適用して当該画像を差分画像生成部17における処理に適した画像へと調整する。なお、第1及び第2調整部15、16のそれぞれは、例えば異物検査装置1Aのオペレータ等からの指示によりその補正処理の内容を適宜に設定可能とされてよい。差分画像生成部17は、第1調整部15及び第2調整部16のそれぞれから提供される画像の差分画像を求めることにより、検査判定部12による検査判定処理の対象となる画像を生成する。具体的には、第1調整部15から提供される画像中の各画素の明度から第2調整部16から提供される画像中の各画素の明度を減算し、得られた各画素の明度に基づく明暗分布を有する画像を差分画像として生成する。なお、差分画像生成部17は差分画像に明度補正、エッジ強調、二値化といった各種の画像処理を適用した上で、処理後の画像を検査判定部12に提供してもよい。
【0029】
以上の構成の異物検査装置1Aによれば、壜2を照明装置5の照明ユニット7、8にて照明し、照明された壜2を照明光束Aによる画像及び照明光束Bによる画像が含まれるようにしてカメラ6にて撮像し、カメラ6から出力される画像信号を画像処理部11に提供して差分画像を生成することにより、検査判定部12に異物の有無を検査するための画像が提供される。これにより、壜2の表面のナーリング等の凹凸、傷、汚れといった外乱要素に起因するノイズ成分を検査判定部12に導かれる検査対象の画像から効果的に除去し、それにより異物の有無に関する検査精度を向上させることができる。例えば、壜2が茶色系に着色され、第1波長域として赤色光の波長域が選択され、第2波長域として青色光の波長域が選択されている場合には、次のようにして異物の検出に適した画像が生成される。赤色光は壜2の内部まで深く浸透し、ガラス片のような異物上で反射する。赤色光による画像にはその異物の反射による影響が明確に出現する。しかし、たとえ赤色光が壜2に対して透過性を有していても、壜2の表面に凹凸、傷、汚れといった外乱要素が存在していれば、それらの外乱要素上でも赤色光は少なからず反射し、赤色光の画像には、外乱要素の反射に起因するノイズ成分が混ざる。つまり、赤色光による画像は、検出対象である異物の像とノイズ成分による像とが混在した画像となる。
【0030】
一方、青色光は壜2の表面で反射し易く、その青色光の画像には外乱要因によるノイズ成分がより明確に含まれる。一方、青色光は壜2を透過する際に比較的減衰し易く、特に壜2が茶色系で着色されているときにはその減衰も大きい。そのため、青色光は壜2内部に到達し難く、壜2内の異物上で青色光が反射してその影響が青色光の画像内に出現するおそれはないか、あっても無視できる程度である。したがって、青色光の画像は概ね壜2の表面上の外乱要素に起因するノイズ成分を含み、異物の像を含まない画像となる。
【0031】
したがって、赤色光による画像から青色光の画像を差し引いて得られる画像は、壜2内の異物からの反射光による像が含まれ、壜2の表面上の外乱要素に起因するノイズ成分を含まない画像となる。
図2の差分画像生成部17ではそのような差分の画像が生成される。そのため、検査判定部12では、壜2の表面の凹凸、傷、汚れといった外乱要素に起因するノイズ成分が除去された画像を用いて異物の有無を判定することができる。ちなみに、青色光による画像にはノイズ成分が明瞭に含まれるため、従来のように、ノイズ成分が出現している範囲を赤色光の画像中の検査対象領域から除外した場合には、その除外範囲が必要以上に大きくなって検査の見逃しが生じるおそれがある。これに対して、上記のように差分の画像を取得して異物の検査に用いる場合には、例えば第1調整部15又は第2調整部16にて適宜に画像を調整して、ノイズ成分が過不足なく除去されるように差分画像を生成することができる。それにより、壜2内の異物の有無を高精度に検査することが可能である。なお、第1又は第2調整部15、16による調整に代えて、又は加えて第1照明ユニット7又は第2照明ユニット8の照明光の強度を適宜に調整することにより、検査対象画像中のノイズ成分を適切に除去することも可能である。
【0032】
図3は、上記の異物検査装置1Aを用いて取得した壜2の画像の一例を示している。壜2は緑色系に着色されたガラス壜であり、第1波長域として赤色光の波長域を、第2波長域として青色光の波長域を選択した。
図3の上段の画像Paは赤色光による画像を、中段の画像Pbは青色光による画像を、下段の画像Pdは赤色光による画像から青色光による画像を差し引いた差分の画像をそれぞれ示している。赤色光による画像Pa及び青色光による画像Pbには、壜2のアール部2dに存在するナーリング、及び底部2cのほぼ中央に意図的に付着させた汚れの像がノイズ成分として出現しているが、それらの画像Pa、Pbの差分(Pa-Pb)に相当する画像Pdでは、それらのノイズ成分が概ね除去されている。そして、画像Pd中に破線の丸印C1、C2で示したように、差分の画像Pdには、底部2cの外周付近に存在している異物(この例ではガラス片)の像がノイズ成分に紛れることなく、比較的明瞭に出現している。その差分の画像Pdに基づいて検査判定部12で異物の有無を判定すれば、異物の有無を高精度に検査することが可能である。なお、壜2が茶色系に着色されている場合でも、
図3の例と同様にナーリング等の外乱要素によるノイズ成分を除去して異物を明瞭に出現させることができることが確認されている。
【0033】
(第2の形態)
図4及び
図5は第2の形態に係る異物検査装置1Bを示している。異物検査装置1Bは、
図1に示した異物検査装置1Aに対して照明手段を変更したものである。
図4及び
図5において、
図1と共通する部分には同一符号を付し、以下では相違点を中心に説明する。本形態の異物検査装置1Bは、壜2の内容物中に浮遊する異物を検出することを目的として構成されている。そのため、照明手段の一例としての照明装置20は壜2を側方から照明するように設けられ、かつカメラ6は照明された壜2を側方から観察した画像を取得するように配置されている。カメラ6の視野Vは壜2をほぼ全長に亘って撮影できるように設定されている。
【0034】
照明装置20は、カメラ6から見て壜2の背面側(壜2がカメラ6にて撮像される側に対する反対側である。)に配置された第1の照明ユニット21と、壜2に対してカメラ6と同一の側に配置された一対の第2の照明ユニット22とを含んでいる。第1の照明ユニット21は第1の照明部の一例として設けられ、壜2に対して第1波長域の照明光束Aを照射する。第1の照明ユニット21の発光面21aは、カメラ6の撮影光軸とほぼ直交する平面状であり、その発光面21aの上下方向の寸法は壜2の全長とほぼ等しい。第2の照明ユニット22のそれぞれは、第2の照明部の一例として設けられている。第2の照明ユニット22は、カメラ6の視野Vを避けるように配置され、かつカメラ6の撮影光軸の方向(
図5において左右方向)に対して斜めに傾いた方向から壜2に第2波長域の照明光束Bを照射する。第2の照明ユニット22の発光面22aも平面状であり、その発光面22aの上下方向の寸法は壜2の全長とほぼ等しい。
【0035】
カメラ6が撮影した画像は、画像処理部11により異物の検査に適した画像へと調整されて検査判定部12に導かれる。画像処理部11及び検査判定部12は第1の形態と同様でよく、画像処理部11の具体的構成は
図2と同一でよい。壜2を側方から撮影するため、壜2の搬送装置25は、壜2の底部2cをベルト25aにて支持しつつそのベルト25aを搬送方向Fに走行させて壜2を搬送するように変更されている。
【0036】
以上の異物検査装置1Bによれば、第1波長域及び第2波長域を第1の形態と同様に選択することにより、第1の照明ユニット21から照射される第1波長域の照明光束Aが壜2を通過してカメラ6に入射し、第2の照明ユニット22から照射される第2波長域の照明光束Bは壜2の表面で反射してカメラ6に入射する。カメラ6では、第1波長域及び第2波長域のそれぞれを含む画像が取得され、その画像が画像処理部で第1波長域の照明光束Aによる画像と第2波長域の照明光束Bによる画像とに分割され、それらの画像の差分の画像が生成されて検査判定部12に提供される。
【0037】
第1波長域の照明光束Aは壜2内に遮光性の異物が存在すると、その異物によって遮光される。したがって、第1波長域の照明光束Aは、そのような遮光性の異物を検出する役割を担う。しかしながら、壜2の表面に凹凸、傷、汚れといった外乱要素が存在すれば、第1波長域の照明光束Aがそれらの外乱要素によって相応に遮光され、その遮光部分はノイズ成分となる。つまり、照明光束Aによる画像は、異物による遮光部分と外乱要素によるノイズ成分とが混在した画像である。一方、第2波長域の照明光束Bによる画像は、第1の形態と同様に壜2の表面上の外乱要素に起因するノイズ成分を含み、異物の像を含まない画像となる。したがって、照明光束Aによる画像から照明光束Bによる画像を差し引いて得られる差分の画像は、壜2内の異物の遮光に起因する像が含まれ、壜2の表面上の外乱要素に起因するノイズ成分を含まない画像となり、当該画像に基づいて異物の有無を精度よく検査することができる。
【0038】
(第3の形態)
図6~
図8は第3の形態に係る異物検査装置1Cを示している。異物検査装置1Cは、
図4及び
図5に示した異物検査装置1Bに対して照明手段を変更したものである。すなわち、本形態の異物検査装置1Cにおいて、照明手段の一例としての照明装置30は、第2の形態の異物検査装置1Bと同様に壜2を側方から照明するように設けられている点で共通するが、その照明装置30は、カメラ6から見て壜2の背面側に配置された第1の照明ユニット31と、壜2に対してカメラ6と同一の側に配置された一対の第2の照明ユニット32と、第2の照明ユニット32と同一の側に配置された一対の第3の照明ユニット33とを含んでいる。第1の照明ユニット31及び第2の照明ユニット32は第2の形態における第1及び第2の照明ユニット21、22と同様である。第3の照明ユニット33は、第2の照明ユニット32と同様にカメラ6と同一の側から壜2に照明光束を照射するように設けられている。各照明ユニット31~33の発光面31a、32a、33aは何れも平面状であり、それらの上下方向の寸法は壜2の全長と略等しい。第1の照明ユニット31は、壜2がカメラ6にて撮像される側に対する反対側から照明光束A1を照射する第1の照明部の一例であり、第3の照明ユニット33は、壜2がカメラ6にて撮像される側と同一の側から照明光束A2を照射する第1の照明部の一例である。第2の照明ユニット32は、カメラ6にて壜2が撮像される側と同一の側から第2波長域の照明光束Bを照射する第2の照明部の一例である。
【0039】
第1の照明ユニット31及び第3の照明ユニット33はいずれも第1波長域の照明光束A1、A2を壜2に照射し、第2の照明ユニット32は第2波長域の照明光束Bを壜2に照射する。照明光束A1、A2の波長域は互いに等しく設定されてもよいが、第1波長域をさらに複数の波長範囲に区分し、照明光束A1、A2を互いに異なる波長範囲に振り分けてもよい。例えば、壜2が茶色系、緑色系あるいは透明な場合には、第1の照明ユニット31の照明光束A1が赤外光に設定され、第3の照明ユニット33の照明光束A2が赤色光に設定されてもよい。これによれば、第1の照明ユニット31が照射する赤外光の優れた透過性を利用して壜2内の遮光性の異物を効率よく検出する一方、第3の照明ユニット33が照射する赤色光の透過性を利用して壜2内の反射性の異物を効率よく検出する、といった役割分担を実現することができる。
【0040】
異物検査装置1Cのカメラ6にて撮像された壜2の画像は、画像処理手段の一例としての画像処理部35にて処理された上で検査判定部12に提供される。
図8に示すように、画像処理部35には、画像分割部36、第1調整部15、第2調整部16、第3調整部37及び差分画像生成部38が設けられている。画像分割部36は、カメラ6から出力される画像から、第1波長域の照明光束A1による第1画像と、第2波長域の照明光束Bによる第2画像と、第1波長域の照明光束A2による第3画像とを抽出し、第1画像を第1調整部15に、第2画像を第2調整部16に、第3画像を第3調整部37にそれぞれ分割して出力する。第1調整部15及び第2調整部16は
図2の例と同様である。第3調整部37は第3画像に明度補正、レベル補正等といった適宜の補正処理を適用して当該画像を差分画像生成部38における処理に適した画像へと調整する。
【0041】
差分画像生成部38は、第1調整部15及び第3調整部37のそれぞれから提供される画像のうち、少なくともいずれか一方の画像と、第2調整部16から出力される画像との差分を演算することにより、検査判定部12による検査判定処理の対象となる画像を生成する。例えば、第1調整部15の出力画像から第2調整部16の出力画像を差し引いて差分画像を生成した場合には、照明光束A1が壜2内の異物にて遮光されたことに起因する異物の像を含み、壜2の凹凸、傷又は汚れ等の外乱要素に起因するノイズ成分を含まない画像を検査判定部12に提供することができる。第3調整部37の出力画像から第2調整部16の出力画像を差し引いて差分画像を生成した場合には、照明光束A2が壜2内の異物にて反射したことに起因する異物の像を含み、壜2の凹凸、傷又は汚れ等の外乱要素に起因するノイズ成分を含まない画像を検査判定部12に提供することができる。ただし、第1調整部15の出力画像と第3調整部37の出力画像とを加算し(合成し)、得られた画像から第2調整部16の画像を差し引くことにより差分画像が生成されてもよい。この場合には、照明光束A1を遮った異物、及び照明光束A2を反射した異物のそれぞれの像を含み、壜2の凹凸等の外乱要素によるノイズ成分を含まない画像を検査判定部12に提供することができる。
【0042】
本発明は上述した形態に限らず、適宜の変形又は変更が施された形態にて実施されてよい。例えば、上記の形態では、互い異なる波長域の照明光束を照射可能な複数の照明ユニットを組み合わせて照明手段を構成したが、照明手段は第1波長域の照明光束と第2波長域の照明光束とを含んだ照明光を検査対象の容器に照射することが可能であれば足りる。例えば赤色光及び青色光を含んだ比較的広い照明光を照射可能な単一の照明ユニット、照明器具等が照明手段として用いられてもよい。あるいは赤外光と可視光とを照射可能な照明ユニットが照明手段として用いられてもよい。
【0043】
上記の形態では、単一のカメラ6により第1波長域及び第2波長域のそれぞれの照明光束による画像を一括して取得し、その後に画像分割部14、36にて波長域ごとの画像を得ているが、本発明はこのような形態に限定されず、第1波長域の画像と、第2波長域の画像とを互いに異なるカメラにて取得するようにしてもよい。例えば、壜2からカメラに至る光路中にハーフミラーを配置して撮影光束を二分割し、分割後の一方の光路上には第1波長域の光束のみを透過させるフィルタを、他方の光路上には第2波長域の光束のみを透過させるフィルタをそれぞれ配置することにより、第1波長域の画像と第2波長域の画像とを光学的に分離して互いに異なるカメラで撮像してもよい。ただし、画像の差分を取得するためには各カメラの撮影条件を一致させることが画像処理の手間を軽減する観点から望ましい。そのためには、ミラーで分割した後の光路及びカメラといった光学要素の構成を互いに等価に設定することが好ましい。
【0044】
上記の形態では、内容物が充填された容器中の異物の有無を検査するものとしたが、本発明の異物検査装置は内容物が充填されていない空の容器を対象としてその内部における異物の有無を検査する用途にも適用可能である。容器はガラス製のボトル型容器に限定されることなく、特定の波長域に関して透過性を有する各種の容器を検査対象として設定することができる。
【符号の説明】
【0045】
1A、1B、1C 異物検査装置
2 壜
2c 底部
5 照明装置(照明手段)
6 カメラ(撮像手段)
7 第1の照明ユニット
8 第2の照明ユニット
11 画像処理部(画像処理手段)
12 検査判定部
14 画像分割部
17 差分画像生成部
20 照明装置(照明手段)
21 第1の照明ユニット(第1の照明部)
22 第2の照明ユニット(第2の照明部)
30 照明装置(照明手段)
31 第1の照明ユニット(第1の照射部)
32 第2の照明ユニット(第2の照射部)
33 第3の照明ユニット(第1の照射部)
35 画像処理部
36 画像分割部
38 差分画像生成部