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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】物品振分装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/46 20060101AFI20220607BHJP
【FI】
B65G47/46 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017146674
(22)【出願日】2017-07-28
(65)【公開番号】P2019026418
(43)【公開日】2019-02-21
【審査請求日】2020-06-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中島 雅喜
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-197139(JP,A)
【文献】実開平04-044223(JP,U)
【文献】特開昭58-193824(JP,A)
【文献】米国特許第04730718(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/46
B65G 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラを有する搬送部と、
前記ローラ間を搬送物の搬送方向と直交する第1方向に周回移動する環状部材と、
前記環状部材に設けられ、振分動作時に前記ローラ上の前記搬送物を前記第1方向に押すプッシャーと、
を備え、
前記プッシャーの外端の環状軌跡から外側に少なくとも15mm離れ、かつ前記プッシャーが前記第1方向とは逆に折り返して移動する空間であって、自装置の外側から内側に向けて開口する空間が空けられている、
物品振分装置。
【請求項2】
前記搬送部および前記環状部材を支持する支持部をさらに備え、
前記支持部が前記空間を避けて配置されている、
請求項1に記載の物品振分装置。
【請求項3】
前記空間の両端が、前記プッシャーの進行方向が反転する反転部である、
請求項1又は請求項2に記載の物品振分装置。
【請求項4】
前記ローラを回転させるローラ駆動部をさらに備え、
前記ローラ駆動部は、前記空間の下方に配置されている、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の物品振分装置。
【請求項5】
前記環状部材を周回させるプッシャー駆動部をさらに備え
前記プッシャー駆動部は、前記空間の下方に配置されている、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の物品振分装置。
【請求項6】
前記ローラ駆動部は、前記搬送部の搬送方向端部から動力の伝達を行う、
請求項4に記載の物品振分装置。
【請求項7】
前記ローラ駆動部は、前記ローラに動力を伝達する駆動ベルトを有し、
前記駆動ベルトは、複数の前記ローラの中央に掛けられている、
請求項6に記載の物品振分装置。
【請求項8】
前記駆動ベルトの複数の前記ローラへの掛り方は、
前記駆動ベルトが前記ローラの外周に、中心角にして90°の範囲で接触する掛り方と、
前記駆動ベルトが前記ローラの外周に、中心角にして180°の範囲で接触する掛り方と
が、交互に出現する態様を含む、
請求項7に記載の物品振分装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品振分装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物品振分装置として、搬送中の物品を搬送方向とは異なる方向に押し出して振り分けるものが広く普及している。例えば、特許文献1(実開平06-86331号公報)に記載のコンベア装置では、プッシャーがローラコンベアのローラ間に位置しており、物品を搬送方向とは異なる方向に押し出す際に、プッシャーがローラコンベアの搬送面より突出する構成である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記物品振分装置では、プッシャーに指や異物などが掛かったまま稼働すると、プッシャーとフレームとの間に挟み込みが生じるおそれがある。
【0004】
本発明の課題は、プッシャーとフレームとの間に挟み込みが生じる虞のない、信頼性の高い物品振分装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る物品振分装置は、複数のローラを有する搬送部と、環状部材と、プッシャーとを備えている。環状部材は、ローラ間を搬送物の搬送方向と直交する第1方向に周回移動する。プッシャーは、環状部材に設けられ、振分動作時にローラ上の搬送物を第1方向に押す。そして、プッシャーの外端の環状軌跡から外側に少なくとも15mm離れ、かつプッシャーが第1方向とは逆に折り返して移動する空間であって、自装置の外側から内側に向けて開口する空間が空けられている。
【0006】
この物品振分装置では、プッシャーの外端の環状軌跡から外側に少なくとも15mm離れた空間が空けられることによって、プッシャーと装置との間への指や物の挟み込みを防止することができる。
【0007】
本発明の第2観点に係る物品振分装置は、第1観点に係る物品振分装置であって、搬送部および環状部材を支持する支持部をさらに備えている。支持部は上記空間を避けて配置されている。
【0008】
本発明の第3観点に係る物品振分装置は、第1観点又は第2観点に係る物品振分装置であって、上記空間の両端がプッシャーの進行方向が反転する反転部である。それゆえ、プッシャーの双方向の周回移動が可能となる。
【0009】
本発明の第4観点に係る物品振分装置は、第1観点から第3観点のいずれか1つに係る物品振分装置であって、ローラを回転させるローラ駆動部をさらに備えている。ローラ駆動部は、上記空間の下方に配置されている。
【0010】
この物品振分装置では、ローラ駆動部さえも上記空間の下方へ遠ざけて、指や物の挟み込みを防止する。
【0011】
本発明の第5観点に係る物品振分装置は、第1観点から第4観点のいずれか1つに係る物品振分装置であって、環状部材を周回させるプッシャー駆動部をさらに備えている。プッシャー駆動部は、上記空間の下方に配置されている。
【0012】
この物品振分装置では、プッシャー駆動部さえも上記空間の下方へ遠ざけて、指や物の挟み込みを防止する。
【0013】
本発明の第6観点に係る物品振分装置は、第4観点に係る物品振分装置であって、ローラ駆動部が、搬送部の搬送方向端部から動力の伝達を行う。
【0014】
この物品振分装置では、ローラ駆動部が搬送部の搬送方向端部からローラへの動力の伝達を行うことによって、上記空間を侵蝕することなくローラに動力の伝達を行うことができる。
【0015】
本発明の第7観点に係る物品振分装置は、第6観点に係る物品振分装置であって、ローラ駆動部が、ローラに動力を伝達する駆動ベルトを有している。駆動ベルトは、複数のローラの中央に掛けられている。
【0016】
この物品振分装置では、ローラ中央にベルトを掛けることによって、ローラ両端への動力伝達が均等化され、ローラに作用する負荷変動のバラ付きに対しても安定した搬送力を提供することができる。
【0017】
本発明の第8観点に係る物品振分装置は、第7観点に係る物品振分装置であって、駆動ベルトの複数のローラへの掛り方は、駆動ベルトがローラの外周に中心角にして90°の範囲で接触する掛り方と、駆動ベルトがローラの外周に中心角にして180°の範囲で接触する掛り方とが、交互に出現する態様を含んでいる。
【0018】
この物品振分装置では、駆動ベルトがローラを締めるようにくいつくので、緩み難く、伝達効率がよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る物品振分装置では、プッシャーの外端の環状軌跡から外側に少なくとも15mm離れた空間が空けられることによって、プッシャーと装置との間への指や物の挟み込みを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る物品振分装置の外観斜視図。
図2】物品振分装置の正面図。
図3】ローラ群の配置図。
図4】プッシャー及び環状チェーンの周回軌道を示す側面図。
図5】選別した物品を左右に振り分ける物品振分装置の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0022】
(1)物品振分装置10の構成
図1は、本発明の一実施形態に係る物品振分装置10の外観斜視図である。また、図2は、物品振分装置10の正面図である。図1及び図2において、物品振分装置10は、フレーム11、支柱13、ローラ群15、ローラベルト17、プッシャー19、環状チェーン21、動力室23、動力伝達室25及び折り返し空間27を備えている。
【0023】
(1-1)フレーム11
フレーム11は、ローラ群15、ローラベルト17、プッシャー19及び環状チェーン21を支持し、動力室23及び動力伝達室25の外郭を形成している。
【0024】
(1-2)支柱13
フレーム11は、4本の支柱13によって下方から支持されている。各支柱13は、動力室23の底面の4隅に配置されている。支柱13は、筒状ロッド131、高さ調整ネジ133、円板135を有している。
【0025】
筒状ロッド131は、動力室23の底面に片持ち梁状に固定されている。筒状ロッド131には、自由端側から所定深さの雌ネジ穴131aが設けられている。
【0026】
高さ調整ネジ133は、雌ネジ穴131aに螺合する。フレーム11の高さは、高さ調整ネジ133と雌ネジ穴131aとの螺合度合いによって調整される。
【0027】
円板135は、高さ調整ネジ133の終端に固定されている。使用者は、円板135を回転させることによって、高さ調整ネジ133も回転し、高さ調整ネジ133と雌ネジ穴131aとの螺合量が変化する。
【0028】
床側から視て、円板135を時計方向に回転させれば、高さ調整ネジ133が筒状ロッド131内に進入し支柱13の高さが低くなる。また、床側から視て、円板135を反時計方向に回転させれば、高さ調整ネジ133が筒状ロッド131から出てくるので支柱13の高さが低くなる。
【0029】
(1-3)ローラ群15
図3は、ローラ群15の配置図である。図3において、ローラ群15の各ローラは、フレーム11に回転自在に支持されている。ローラ群15は、駆動ローラ群15a、補助ローラ群15b、及び中継ローラ群15cからなる。
【0030】
(1-3-1)駆動ローラ群15a
駆動ローラ群15aは、実際に物品の搬送に使用され、いわゆる搬送コンベアを構成している。図3に示すように、駆動ローラ群15aでは、ほぼ等間隔で10個のローラが並列配置されている。
【0031】
説明の便宜上、駆動ローラ群15aの各ローラを、図3の正面視右側から第1駆動ローラ151、第2駆動ローラ152、第3駆動ローラ153、第4駆動ローラ154、第5駆動ローラ155、第6駆動ローラ156、第7駆動ローラ157、第8駆動ローラ158、第9駆動ローラ159、第10駆動ローラ160という。
【0032】
(1-3-2)補助ローラ群15b
補助ローラ群15bは、4つのローラを含み、駆動ローラ群15aの各ローラ間の隙間のうち端から偶数番目の隙間の鉛直下方に位置してローラベルト17の引き回しに使用される。説明の便宜上、補助ローラ群15bの4つのローラを、図3の正面視右側から第1補助ローラ171、第2補助ローラ172、第3補助ローラ173、第4補助ローラ174という。
【0033】
(1-3-3)中継ローラ群15c
中継ローラ群15cは、ローラベルト17が所定の経路で周回するように適宜配置されている。具体的には、往き中継ローラ176、第1戻り中継ローラ177及び第2戻り中継ローラ178とで構成されている。
【0034】
往き中継ローラ176は、第1モータ231から駆動ローラ群15aの先頭のローラに向かって延びるローラベルト17の一部が動力伝達室25において掛かるローラである。
【0035】
第1戻り中継ローラ177は、駆動ローラ群15aの最後尾の第10駆動ローラ160から戻ってくるローラベルト17の一部が掛かるローラである。また、第2戻り中継ローラ178は、第1戻り中継ローラ177と第1モータ231との間でローラベルト17の一部が掛かるローラである。
【0036】
(1-4)ローラベルト17
ローラベルト17は、ローラ群15群の各ローラの中央に掛けられている。それゆえ、ローラ両端への動力伝達が均等化され、ローラに作用する負荷変動のバラ付きに対しても安定した搬送力を提供することができる。
【0037】
図3に示すように、ローラベルト17は、第1モータ231の出力軸から上方に延び、往き中継ローラ176を経由して駆動ローラ群15aの第1駆動ローラ151及び第2駆動ローラ152に掛かると下方に延びて補助ローラ群15bの第1補助ローラ171に掛かって、再び上方に延びる。
【0038】
次に、ローラベルト17は、第3駆動ローラ153及び第4駆動ローラ154に掛かると下方に延びて補助ローラ群15bの第2補助ローラ172に掛かって、再び上方に延びる。
【0039】
次に、ローラベルト17は、第5駆動ローラ155及び第6駆動ローラ156に掛かると下方に延びて補助ローラ群15bの第3補助ローラ173に掛かって、再び上方に延びる。
【0040】
次に、ローラベルト17は、第7駆動ローラ157及び第8駆動ローラ158に掛かると下方に延びて補助ローラ群15bの第4補助ローラ174に掛かって、再び上方に延びる。
【0041】
次に、ローラベルト17は、第9駆動ローラ159及び第10駆動ローラ160に掛かると下方に延びて中継ローラ群15cの戻り中継ローラ177掛かり、図3正面視水平右方向に方向転換する。
【0042】
そして、ローラベルト17は第2戻り中継ローラ178で鉛直下方に方向転換し、第1モータ231の出力軸に戻る。
【0043】
ローラベルト17の駆動ローラ群15aの各ローラへの掛り方は、各ローラの外周に、中心角にして90°の範囲で接触する掛り方である。また、ローラベルト17の補助ローラ群15bの各ローラへの掛り方は、各ローラの外周に、中心角にして180°の範囲で接触する掛り方である。それゆえ、ローラベルト17が各ローラを締めるようにくいつくようになる。
【0044】
(1-5)プッシャー19
プッシャー19は、駆動ローラ群15aのローラ間に配置されている。プッシャー19は、駆動ローラ群15aの各ローラ間の隙間のうち端から偶数番目の隙間から突出するように配置されている。すなわち、4つのプッシャー19が存在する。
【0045】
(1-6)環状チェーン21
環状チェーン21は、プッシャー19を周回動作させる。駆動ローラ群15aのローラ間に配置されている。環状チェーン21は、駆動ローラ群15aの各ローラ間の隙間のうち端から偶数番目の隙間に配置されている。すなわち、4つの環状チェーン21が存在する。プッシャー19は、この環状チェーン21に取り付けられている。
【0046】
図4は、プッシャー19及び環状チェーン21の周回軌道を示す側面図である。図4において、環状チェーン21は、小判型(オーバル形状、トラック形状)を成すように、且つ当該形状で周回可能に支持されている。
【0047】
環状チェーン21には、2つのプッシャー19が取り付けられている。2つのプッシャー19は、環状チェーン21の周回軌道の半分の距離を隔てて配置されている。したがって、一方のプッシャー19が周回軌道の上半分に位置するときは、他方のプッシャー19は周回軌道の下半分に位置している。
【0048】
環状チェーン21の進行方向を切り換えることによって、プッシャー19は双方向の周回移動が可能となる。環状チェーン21を駆動するのは、動力室23に配置されている第2モータ232である。第2モータ232と環状チェーン21の回転軸211とは、ベルト213とで連結されている。
【0049】
(1-7)動力室23
動力室23は、プッシャー19は周回することによって形成されるプッシャー19の外端が描く環状軌跡のうち下側の軌跡から鉛直下方に離れた位置にあって、フレーム11の底部を形成している。
【0050】
動力室23は、ローラベルト17を駆動する第1モータ231、及び環状チェーン21を駆動する第2モータ232を収容する。
【0051】
(1-8)動力伝達室25
動力伝達室25は、駆動ローラ群15aの第1駆動ローラ151の側方に位置し、フレーム11の一側部を形成している。
【0052】
動力伝達室25は、第1モータ231から往き中継ローラ176に向かって延びるローラベルト17の一部、及び第2モータ232から環状チェーン21の回転軸211に向かって延びるベルト213の一部を収容する。
【0053】
(1-9)折り返し空間27及び反転空間28
図4に示すように、プッシャー19の外端の環状軌跡から外側に少なくとも15mm離れた範囲内に在る環状空間30に、プッシャー19が折りかえして進行する折り返し空間27(図4の斜線領域)が空けられている。なお、環状空間30は、プッシャー19の外端の環状軌跡から外側に20mm離れた範囲内が好ましい。
【0054】
プッシャー19は双方向の周回移動が可能であるので、環状空間30の両端は、プッシャー19の進行方向が反転する反転空間28となる。図4正面視で左側の反転空間を左側反転空間28A、右側の反転空間を右側反転空間28Bという。
【0055】
プッシャー19は、駆動ローラ群15aのローラ間を移動して物品を排出した後、反転空間28で180°回って方向転換し、その後、折り返し空間27を進行する。
【0056】
プッシャー19は、搬送面から物品を排出するという機能を確保するため、駆動ローラ群15aよりも突出して物品を押しながら物品と共に移動する。
【0057】
物品排出後はプッシャー19だけが移動するので、プッシャー19の進行方向前方に物品の内容物、或いは作業者の工具など進行の障害となる物が落下した場合、プッシャー19とフレーム11との間で噛み込みなどが発生し、機械的拘束力が作用し、駆動源である第2モータ232にダメージを与える。
【0058】
しかし、所定の折り返し空間27を設けたことにより、プッシャー19に押される物、又はプッシャー19に引っ張られる物であっても、折り返し空間27でプッシャー19との接触を解かれ、又はプッシャー19との接触が解かれやすくなるので、噛み込みなどの事象も発生せず、駆動源である第2モータ232にダメージを与えることもない。
【0059】
動力室23は折り返し空間27の下方に配置され、動力伝達室25は折り返し空間27の側方に配置されることによって、折り返し空間27が動力室23及び動力伝達室25の機器によって侵蝕されないようにしている。
【0060】
また、図1及び図2に示すように、環状チェーン21は、両側からガイドプレート113に挟まれており、反転空間28の上半分のうち、フレーム11の右側板111とガイドプレート113との間、環状チェーン21を挟まないガイドプレート113同士の間、及びフレーム11の左側板112とガイドプレート113との間は、滑らかな曲面に成形された保護カバー114で覆われている。
【0061】
保護カバー114の曲面は、進行するプッシャー19が徐々に反転空間28に沈んでいくような下方に傾斜する曲面である。
【0062】
(2)物品振分装置10の動作
図5は、選別した物品Gを左右に振り分ける物品振分装置10の斜視図である。ここでは、図1及び図5を参照しながら、物品振分装置10の動作について説明する。
【0063】
図5正面視において、物品振分装置10の奥側に検査済みの物品Gを搬送する第1コンベア101が配置されている。そして、物品振分装置10の手前側に良品判定された物品Gのみを搬送する第2コンベア102が配置されている。
【0064】
また、物品振分装置10の左右には検査不良となった物品Gを排出した際に受け止める左コンテナ103及び右コンテナ104が配置されている。例えば、検査工程を終えた袋詰された物品Gが第1コンベア101上を搬送され、重量不良品を左コンテナ103に排出し、シール不良品を右コンテナ104に排出する場合を想定する。
【0065】
検査工程で重量不良と判定された物品Gは第1コンベア101を搬送され駆動ローラ群15a上に到達する。かかる場合、コントローラ(図示せず)は検査工程で当該物品Gが重量不良であると判定しているので、環状チェーン21を駆動してプッシャー19を図5正面視右側から左側に移動させて当該物品Gを左コンテナ103に排出する。
【0066】
また、検査工程でシール不良と判定された物品Gは、第1コンベア101を搬送され駆動ローラ群15a上に到達すると、コントローラは予め検査工程で当該物品Gがシール不良であると判定しているので、環状チェーン21を駆動してプッシャー19を図5正面視左側から右側に移動させて当該物品Gを右コンテナ104に排出する。
【0067】
万が一、物品Gの袋が破れ、プッシャー19とその袋とが絡まったまま反転空間28に進行し、第2モータ232が過負荷になっても、反転空間28の後半から折り返し空間27を通過する間に、絡みが解消され、第2モータ232への過負荷も解消される。
【0068】
上記の通り、本実施形態に係る物品振分装置10は、プッシャー19とフレーム11との間の異物等の噛み込みを防止する上に、仮に噛み込みが発生して第2モータ232が過負荷となっても、プッシャー19が折り返し空間27を通過する間に過負荷を解消することができる。
【0069】
(3)物品振分装置10の特徴
(3-1)
物品振分装置10では、プッシャー19の外端の環状軌跡から外側に少なくとも15mm離れた折り返し空間27が空けられているので、プッシャー19と物品振分装置10との間への指や物の挟み込み、噛み込みを防止することができる。
【0070】
(3-2)
物品振分装置10では、駆動ローラ群15aおよび環状チェーン21を支持するフレーム11が折り返し空間27を避けて配置されている。
【0071】
(3-3)
物品振分装置10では、折り返し空間27の両端がプッシャー19の進行方向が反転する反転空間28を成しているので、プッシャー19の双方向の周回移動が可能となる。
【0072】
(3-4)
物品振分装置10では、駆動ローラ群15aの各ローラを回転させる第1モータ231が、折り返し空間27より下方の動力室23に配置されている。折り返し空間27から動力室23を遠ざけることによって、指や物の挟み込み、噛み込みが防止される。
【0073】
(3-5)
物品振分装置10では、環状チェーン21を周回させる第2モータ232が、折り返し空間27よりも下方に配置されている。折り返し空間27から第2モータ232を遠ざけることによって、指や物の挟み込み、噛み込みが防止される。
【0074】
(3-6)
物品振分装置10では、第1モータ231が、駆動ローラ群15aの搬送方向端部から動力の伝達を行うので、第1モータ231が折り返し空間27を侵蝕することなくローラに動力の伝達を行うことができる。
【0075】
(3-7)
物品振分装置10では、ローラベルト17が、駆動ローラ群15aの各ローラの中央に掛けられているので、各ローラ両端への動力伝達が均等化され、各ローラに作用する負荷変動のバラ付きに対しても安定した搬送力を提供することができる。
【0076】
(3-8)
ローラベルト17の駆動ローラ群15aの各ローラへの掛り方は、各ローラの外周に、中心角にして90°の範囲で接触する掛り方である。また、ローラベルト17の補助ローラ群15bの各ローラへの掛り方は、各ローラの外周に、中心角にして180°の範囲で接触する掛り方である。それゆえ、ローラベルト17が各ローラを締めるようにくいつくようになる。それゆえ、ローラベルト17が緩み難く、伝達効率がよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の物品振分装置は、重量チェッカ、X線検査装置、金属検出器の下流側に配置され、不良品を搬送コンベア上から排出する装置として有用である。
【符号の説明】
【0078】
10 物品振分装置
11 フレーム(支持部)
15a 駆動ローラ群(ローラ、搬送部)
17 ローラベルト(駆動ベルト)
19 プッシャー
21 環状チェーン(環状部材)
231 第1モータ(ローラ駆動部)
232 第2モータ(プッシャー駆動部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】
【文献】実開平06-86331号公報
図1
図2
図3
図4
図5