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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】粒状加工食品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 29/206 20160101AFI20220607BHJP
   A23L 29/244 20160101ALI20220607BHJP
   A23L 29/238 20160101ALI20220607BHJP
   A23G 3/34 20060101ALN20220607BHJP
   A23L 21/15 20160101ALN20220607BHJP
   A23L 23/00 20160101ALN20220607BHJP
   A23L 19/00 20160101ALN20220607BHJP
【FI】
A23L29/206
A23L29/244
A23L29/238
A23G3/34 106
A23L21/15
A23L23/00
A23L19/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017243432
(22)【出願日】2017-12-20
(65)【公開番号】P2019106963
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000118615
【氏名又は名称】伊那食品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴 克宏
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 暢宏
【審査官】澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-154526(JP,A)
【文献】特開平09-154480(JP,A)
【文献】国際公開第2011/033807(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G,A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グアーガムを酸により分解して得られた重量平均分子量20000~1200000のグアーガム分解物、タラガムを酸により分解して得られた重量平均分子量15000~800000のタラガム分解物、コンニャクマンナンを酸により分解して得られた重量平均分子量20000~1200000のコンニャクマンナン分解物、ローカストビーンガムを酸により分解して得られた重量平均分子量20000~1200000のローカストビーンガム分解物、フェヌグリークガムを酸により分解して得られた重量平均分子量20000~1100000のフェヌグリークガム分解物、及びカシアガムを酸により分解して得られた重量平均分子量20000~1100000のカシアガム分解物のいずれか1以上の多糖類分解物(A)の水溶液であって、糖度が50未満である水溶液の糖度を55以上に上昇させることによって得られることを特徴とする粒状加工食品。
【請求項2】
前記多糖類分解物(A)の配合量と、糖の総配合量との比は、1:5~1:100であることを特徴とする請求項1記載の粒状加工食品。
【請求項3】
グアーガムを酸により分解して得られた重量平均分子量20000~1200000のグアーガム分解物、タラガムを酸により分解して得られた重量平均分子量15000~800000のタラガム分解物、コンニャクマンナンを酸により分解して得られた重量平均分子量20000~1200000のコンニャクマンナン分解物、ローカストビーンガムを酸により分解して得られた重量平均分子量20000~1200000のローカストビーンガム分解物、フェヌグリークガムを酸により分解して得られた重量平均分子量20000~1100000のフェヌグリークガム分解物、及びカシアガムを酸により分解して得られた重量平均分子量20000~1100000のカシアガム分解物のいずれか1以上の多糖類分解物(A)の水溶液であって、糖度が50未満である水溶液を得る第1工程と、
前記水溶液の糖度を55以上に上昇させる第2工程と、を備えることを特徴とする粒状加工食品の製造方法。
【請求項4】
前記多糖類分解物(A)の配合量と、糖の総配合量との比は、1:5~1:100であることを特徴とする請求項3記載の粒状加工食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果肉や、小豆を原料とする餡などのイミテーション食品として有用な粒状加工食品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然産物であるフルーツの果肉は、気候の影響に左右され、品質や収穫量が変動する。そのため、フルーツを安定した品質、価格、数量で使用することは困難である。また、果肉に含まれる種や茎などの異物は、選別によって全て取り除くことが容易でない上に、混入していると食感にも悪影響を及ぼす。
【0003】
また、小豆や隠元豆を原料とした練り餡は、餡粒子のザラつきが食感として好ましくないことがある。また、配糖率の高い練り餡は、日持ちはするが糖の影響で離水を起こしたり、焼成時や蒸し工程時にだれてしまい、饅頭などの製品の外観を損ねたりすることがある。
【0004】
このような問題から、食感及び外観に優れた果肉や餡の代替品が種々開発されている。例えば特許文献1には、フルーツソース状物質の製造方法として、糖度60以上の液糖にグアーガムを分散混合しておいた液部を充填し、加熱、冷却することによって、型くずれがなく果肉の丸ごと入ったフルーツソース状物質を得ることが記載されている。
【0005】
特許文献2の実験例2には、水にエステル化度5~46%のLMペクチンと砂糖との混合物を添加して加熱混合し、果汁、お湯に溶かした乳酸カルシウム及び香料を添加して、撹拌混合して得られるゲル状物含有液状組成物を使用したスイートソースが開示されている。
【0006】
特許文献3の実施例5には、餡の代替品として、着色した磨砕こんにゃくを脱水、脱アルカリ化したものを主原料とし、砂糖、あんこフレーバー、希少糖含有シロップと共に鍋で加熱・撹拌し、水にキサンタンガム及びワキシーコーンスターチを溶いたものと混合して得られるあんこ様加工食品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第4342130号
【文献】特開2004-194661号公報
【文献】特開2016-116509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のフルーツソースの製造方法においては、グアーガムを直接糖度60以上の液糖に分散混合しており、膨潤が不十分となるため、得られるフルーツソースの粒度が小さく食感が硬くなり、外観も優れないという問題がある。
【0009】
また、特許文献2に記載のゲル状物含有液状組成物は、ペクチンのカルシウム塩からなるゲルを用いているため、食感が柔らかすぎてしまうという問題がある。
【0010】
また、特許文献3に記載のあんこ様加工食品は、磨砕したアルカリ処理こんにゃくを使用しているため、食感が硬くなってしまうという問題がある。
【0011】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、食感及び外観に優れた粒状加工食品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の重量平均分子量を有するグアーガム分解物、タラガム分解物、コンニャクマンナン分解物、ローカストビーンガム分解物、フェヌグリークガム分解物及びカシアガム分解物の水溶液の糖度を50未満とし、当該水溶液を加熱し、又は当該水溶液へ糖を添加することにより糖度を55以上に上昇させることによって、糖との相互作用により好ましい大きさの粒が形成され、果肉や餡のような食感が得られ、外観にも優れる粒状加工食品が容易に製造できることを見出し、本発明に至った。
【0013】
すなわち、本発明の粒状加工食品は、重量平均分子量20000~120000のグアーガム分解物、重量平均分子量15000~800000のタラガム分解物、重量平均分子量20000~120000のコンニャクマンナン分解物、重量平均分子量20000~1200000のローカストビーンガム分解物、重量平均分子量20000~1100000のフェヌグリークガム分解物及び重量平均分子量20000~1100000のカシアガム分解物のいずれか1以上の多糖類分解物(A)の水溶液であって、糖度が50未満である水溶液の糖度を55以上に上昇させることによって得られることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る粒状加工食品の製造方法は、重量平均分子量20000~1200000のグアーガム分解物、重量平均分子量15000~800000のタラガム分解物、重量平均分子量20000~1200000のコンニャクマンナン分解物、重量平均分子量20000~1200000のローカストビーンガム分解物、重量平均分子量20000~1100000のフェヌグリークガム分解物及び重量平均分子量20000~1100000のカシアガム分解物のいずれか1以上の多糖類分解物(A)の水溶液であって、糖度が50未満である水溶液を得る第1工程と、前記水溶液の糖度を55以上に上昇させる第2工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、食感及び外観に優れた粒状加工食品及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の粒状加工食品は、上記の重量平均分子量のグアーガム分解物、タラガム分解物、コンニャクマンナン分解物、ローカストビーンガム分解物、フェヌグリークガム分解物及びカシアガム分解物のいずれか1以上の多糖類分解物(A)の水溶液であって、糖度が50未満の水溶液を得て、当該水溶液の糖度を55以上に上昇させることによって得られる。
【0017】
本発明に係る粒状加工食品が得られるメカニズムは、以下の通りであると考えられる。特定の重量平均分子量を有する多糖類分解物(A)は、糖度50未満の水溶液に添加することにより、不溶化することなく溶解させることができる。これを加熱して水分を蒸発させて糖度55以上に上昇させることにより、又は糖を添加して糖度55以上に上昇させることにより、多糖類分解物(A)が不溶化し始めて凝集し、粒子状となる。該粒子は、果肉や餡に近く、優れた食感を有する。重量平均分子量が特定の範囲より小さい多糖類分解物を使用すると、加熱時に凝集物となっても粒子が小さく、十分な食感を得ることができない。また、重量平均分子量が特定の範囲より大きい多糖類分解物や、低分子化していない多糖類を使用すると、粒状の凝集物ではなく大きな塊として凝集してしまうため、良い食感の粒子を得ることはできない。
【0018】
多糖類分解物(A)の水溶液を糖度50未満とする理由について説明する。天然多糖類は親水性が高く、溶解するには多量の水が必要になる。このため、糖度50(水分値約50%)未満の系においては水の含有量が多く、多糖類分解物(A)を問題なく水に溶解させることができる。しかし、糖度が50以上になると、多糖類分解物(A)を水和させるための水分が不十分となるため、一部不溶してくる。糖度が高くなるに従って、多糖類分解物(A)の不溶化が激しくなる。多糖類分解物(A)の不溶化が生じると、粒が形成されにくくなったり、好ましい食感が得られなかったりしてしまう。
【0019】
本発明において、糖度とは、糖度計によって測定される糖度をいう。糖度計としては公知のものを使用することができる。
【0020】
グアーガムは、1年生のマメ科植物であるグアー豆の種子の胚乳部分から得られる多糖類である。グアーガムは、マンノースを主鎖とし、平均でマンノース2分子に対しガラクトースが1分子結合した構造を有する。グアーガムは水溶性多糖類であり、冷水に溶解して粘稠な溶液となる。
【0021】
タラガムは、グアーガム同様にマンノースを主鎖とし、平均でマンノース3分子に対しガラクトースが1分子結合した構造を有する。タラガムは水溶性多糖類であり、冷水に溶解して粘稠な溶液となる。
【0022】
ローカストビーンガムは、グアーガム同様にマンノースを主鎖とし、平均でマンノース4分子に対しガラクトースが1分子結合した構造を有する。ローカストビーンガムは水溶性多糖類であり、温水に溶解して粘稠な溶液となる。
【0023】
コンニャクマンナン(こんにゃく粉)は、グルコースを主鎖とし、ガラクトースが結合した構造を有する。コンニャクマンナンは水溶性多糖類であり、冷水に膨潤して粘稠な溶液となる。コンニャクマンナンを精製したものをグルコマンナンと呼ぶこともあるが、本発明においてはいずれも用いることができる。
【0024】
フェヌグリークガムやカシアガムは、マンノースを主鎖とする多糖類であり、グアーガム、タラガム及びローカストビーンガムと同様にガラクトマンナンを側鎖に有している。フェヌグリークガムのガラクトースとマンノースの割合は、1:1であるのに対して、グアーガムは、1:2、タラガムは1:3、ローカストビーンガムは1:4、カシアガムは1:5であり、この順にガラクトースの割合が少なくなる。
【0025】
グアーガム分解物は、重量平均分子量が20000~1200000であり、50000~600000であることが好ましい。
【0026】
タラガム分解物は、重量平均分子量が15000~800000であり、50000~600000であることが好ましい。
【0027】
コンニャクマンナン分解物は、重量平均分子量が20000~1200000であり、50000~600000であることが好ましい。
【0028】
ローカストビーンガム分解物は、重量平均分子量が20000~1200000であり、50000~600000であることが好ましい。
【0029】
フェヌグリークガム分解物は、重量平均分子量が20000~1100000であり、50000~600000であることが好ましい。
【0030】
カシアガム分解物は、重量平均分子量が20000~1100000であり、50000~600000であることが好ましい。
【0031】
それぞれの多糖類分解物(A)の重量平均分子量が上記範囲の下限未満となると、加熱して糖度を上げても増粘するのみであり、粒状加工食品を形成することができない。一方、多糖類分解物(A)の重量平均分子量が上記範囲の上限より大きくなると、加熱により極めて粘度が大きくなり、製造が困難となるため、好ましくない。
【0032】
グアーガム分解物、タラガム分解物、コンニャクマンナン分解物、ローカストビーンガム分解物、フェヌグリークガム分解物及びカシアガム分解物は、それぞれ、グアーガム、タラガム、コンニャクマンナン(グルコマンナン)、ローカストビーンガム、フェヌグリークガム、カシアガムを熱や酸、酵素等により分解することにより、上記の重量平均分子量を有する分解物を製造することができる。
【0033】
分解に用いられる酸として特に限定はないが、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸などの一般的な酸を使用することができる。また、分解に用いられる酵素として特に限定はないが、ガラクトシダーゼ等が挙げられる。
【0034】
多糖類分解物(A)の水溶液に用いられる水として特に限定はなく、水道水、蒸留水、純水、イオン交換水などを使用することができる。
【0035】
多糖類分解物(A)の水溶液中の濃度は、水と多糖類分解物(A)との合計100重量%に対し、0.2~10重量%であることが好ましく、0.6~3重量%であることがより好ましく、1~2重量%であることがさらに好ましい。多糖類分解物(A)の濃度が0.2重量%未満となると、水溶液の糖度が55以上になるまで加熱したり糖を添加したりしても粒が形成されず、10重量%より大きくなると、水溶液を加熱する際に増粘してしまい、製造が困難となるため好ましくない。
【0036】
多糖類分解物(A)の水溶液は、水に多糖類分解物(A)のみを溶解させた水溶液であってもよいし、糖(B)を含有していてもよい。多糖類分解物(A)の水溶液を糖度55以上まで上昇させやすいという観点から、糖(B)を含有することが好ましい。また、糖(B)を含有することで、粒子が十分に形成されやすくなる。
【0037】
糖(B)として、多糖類分解物(A)の水溶液を糖度55以上にしても結晶化しないものであれば特に限定はなく、例えば砂糖、麦芽糖、トレハロース、異性化液糖、水飴、ソルビトール、マルチトール、還元でん粉糖化物、オリゴ糖、はちみつなどを用いることができる。これらの糖(B)のうち、1種を単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0038】
多糖類分解物(A)の水溶液における糖(B)の濃度は、糖度を50未満とする観点から、水と糖(B)との合計100重量%に対して50重量%未満であることが好ましく、45重量%未満であることがより好ましい。また、糖度55以上まで上昇させやすいという観点から、糖(B)の濃度が10重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であることがより好ましく、30重量%以上であることがさらに好ましい。糖(B)の濃度が50重量%以上となると、多糖類分解物(A)が不溶化したり、糖度が55以上になるまで加熱した際、糖(B)により膨潤が妨げられて出来上がった粒子の食感が硬くなったりしてしまうため好ましくない。
【0039】
多糖類分解物(A)の水溶液を得る方法は特に限定されず、例えば、多糖類分解物(A)を水に溶解する方法、糖(B)を水に溶解した後に多糖類分解物(A)を添加する方法、予め多糖類分解物(A)及び糖(B)を混合したものを水に添加する方法、多糖類分解物(A)と、一部の量の糖(B)とを予め混合したものを水に添加して撹拌し、その後残りの糖(B)を添加する方法などが挙げられる。
【0040】
多糖類分解物(A)の水溶液を得る際に、加熱を行ってもよい。多糖類分解物(A)の溶解時に加熱を行う方法として、例えば、水に多糖類分解物(A)を溶解させたものを加熱する方法、水に多糖類分解物(A)及び糖(B)を溶解させたものを加熱する方法、水に多糖類分解物(A)を溶解させたものを加熱して沸騰させ、その後糖(B)を添加する方法、水に糖(B)を溶解させたものを加熱して沸騰させ、その後多糖類分解物(A)を添加する方法、水に多糖類分解物(A)又は糖(B)のうち一部を溶解させたものを加熱して沸騰させ、残りの多糖類分解物(A)又は糖(B)を添加する方法などが挙げられる。
【0041】
糖度が50未満である多糖類分解物(A)の水溶液の糖度を55以上に上昇させる方法としては、該水溶液を加熱して水分を蒸発させる方法、及び該水溶液に糖(C)を添加する方法が挙げられる。これらの方法のうち1つを単独で行ってもよいし、両方行ってもよい。加熱して水分を蒸発させる方法は、糖(C)の添加のみの場合と比較して、よりしっかりした存在感のある粒子を得ることができる。また、糖(C)を添加して糖度55以上にしたものを加熱することにより、糖度をさらに上昇させることもできる。この場合は、糖(C)の添加のみの場合と比較して、よりしっかりした存在感のある粒子を得ることができる。これは、加熱により多糖類分解物(A)の不溶化が進むためである。
【0042】
多糖類分解物(A)の水溶液を糖度55以上に上昇させる際に添加される糖(C)として、前記糖(B)と同様のものを用いることができる。糖(C)のうち、1種を単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。また、糖(B)及び糖(C)は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0043】
加熱の時間や温度などの条件として、糖度50未満である多糖類分解物(A)の水溶液を糖度55以上にすることができれば特に限定はなく、使用する原料等に応じて任意に変更することができる。多糖類分解物(A)の水溶液は、糖度が60以上となるまで加熱することがより好ましく、65以上となるまで加熱することがさらに好ましい。糖度が55以上になるまで加熱することで、溶解した多糖類分解物が不溶化して凝集し、果肉のようなつぶつぶとした食感を有する粒状加工食品が形成される。糖度が55未満となると、溶解した多糖類分解物(A)が十分に不溶化しないため粒子が形成されにくくなり、食感の弱いものになるため好ましくない。
【0044】
糖度が50未満である多糖類分解物(A)及び前記糖(B)の水溶液を加熱により糖度を55以上まで上昇させる場合、多糖類分解物(A)及び糖(B)の配合比は、1:5~1:100であることが好ましく、1:10~1:50であることがより好ましく、1:15~1:45であることが特に好ましい。
【0045】
また、糖(C)の配合量は、糖度が55以上になる量であることが好ましく、糖度60以上になる量であることがより好ましく、糖度60以上になる量であることがさらに好ましい。糖(C)の添加及び加熱を行う場合は、水溶液の糖度が55未満となる量の糖(C)を添加し、その後加熱により糖度を55以上としてもよい。
【0046】
水に多糖類分解物(A)を溶解した水溶液に糖(C)を添加することにより糖度を55以上まで上昇させる場合、多糖類分解物(A)及び糖(C)の配合比は、1:5~1:100であることが好ましく、1:10~1:50であることがより好ましく、1:15~1:45であることが特に好ましい。
【0047】
また、糖度が50未満である多糖類分解物(A)及び糖(B)の水溶液に糖(C)を添加することにより糖度を55以上まで上昇させる場合、多糖類分解物(A)と、糖(B)及び糖(C)の合計との配合比は、1:5~1:100であることが好ましく、1:10~1:50であることがより好ましく、1:15~1:45であることが特に好ましい。
【0048】
すなわち、本発明に係る粒状加工食品は、多糖類分解物(A)の配合量と、糖の総配合量との比が、1:5~1:100であることが好ましく、1:10~1:50であることがより好ましく、1:15~1:45であることが特に好ましい。
【0049】
本発明の粒状加工食品は、本発明の効果を阻害しない程度に、製造時の任意のタイミングにおいて、果汁、香料、着色料、保存料、酸味料、調味料、酸化防止剤、増粘剤、塩類などを添加することができる。例えば、本発明の粒状加工食品を果肉の代替として用いる場合は、果汁や着色料を添加することで、果肉様食品を得ることができる。また、本発明の粒状加工食品を餡の代替として用いる場合は、あんこフレーバーや着色料を使用することで、餡様食品を得ることができる。
【0050】
本発明の粒状加工食品は、良好な食感及び外観が得られるという観点から、粒の粒度が30μm~10mmであり、100μm~3mmであることが好ましく、1mm~2mmであることがより好ましい。粒状加工食品の粒度が30μm未満となると、つぶつぶとした食感が感じられず、外観が粒状とならないため、好ましくない。また、粒度が10mmより大きくなると、食感や外観が果肉と異なるため好ましくない。
【0051】
粒状加工食品の粒度は、多糖類分解物(A)の重量平均分子量、加熱後の糖度によって調節することができる。また、粒状加工食品の粒度は、顕微鏡法により測定した平均粒子径である。
【0052】
また、本発明の粒状加工食品における粒の含有量は、粒状加工食品全体を100重量%として、0.05~20重量%であることが好ましく、0.2~10重量%であることがより好ましく、0.3~5重量%であることが特に好ましい。
【0053】
以上のように、本発明の粒状加工食品は、食感及び外観に優れ、粒の大きさや食感が果肉や餡に類似したものであり、硬さも好ましいものであるため、果肉や餡などのイミテーション食品として用いることができる。また、本発明に係る粒状加工食品は、飲料やゼリーに添加することで、果肉の食感を有する飲料、ゼリーとすることもできる。
【0054】
本発明に係る粒状加工食品の製造方法は、重量平均分子量20000~1200000のグアーガム分解物、重量平均分子量15000~800000のタラガム分解物、重量平均分子量20000~1200000のコンニャクマンナン分解物、重量平均分子量20000~1200000のローカストビーンガム分解物、重量平均分子量20000~1100000のフェヌグリークガム分解物及び重量平均分子量20000~1100000のカシアガム分解物のいずれか1以上の多糖類分解物(A)の水溶液であって、糖度が50未満である水溶液を得る第1工程と、前記水溶液の糖度を55以上に上昇させる第2工程と、を備える。
【0055】
本発明に係る粒状加工食品の製造方法は、上記と同様であるので、説明を省略する。第1工程は、糖(B)をさらに添加する工程を備えることができる。第2工程は、多糖類分解物(A)の水溶液に糖(C)を添加する工程を備えることができる。第2工程は、多糖類分解物(A)の水溶液を加熱する工程を備えることができる。多糖類分解物(A)、糖(B)及び糖(C)として、上記と同様のものを使用することができる。
【0056】
本発明に係る粒状加工食品の製造方法は、粒の大きさや食感が果肉や餡に類似し、食感及び外観に優れた粒状加工食品を容易に得ることができる。
【実施例
【0057】
次に、本発明の実施例を説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0058】
実施例及び比較例で使用した多糖類分解物、多糖類はそれぞれ以下の通りである。
グアーガム分解物1 重量平均分子量10000
グアーガム分解物2 重量平均分子量20000
グアーガム分解物3 重量平均分子量300000
グアーガム分解物4 重量平均分子量1200000
グアーガム分解物5 重量平均分子量1500000
グアーガム 重量平均分子量1600000 (イナゲル(登録商標)GR-10、伊那食品工業社製)
タラガム分解物1 重量平均分子量8000
タラガム分解物2 重量平均分子量15000
タラガム分解物3 重量平均分子量200000
タラガム分解物4 重量平均分子量600000
タラガム分解物5 重量平均分子量1000000
タラガム 重量平均分子量1200000 (イナゲル タラガムA、伊那食品工業社製)
コンニャクマンナン分解物1 重量平均分子量10000
コンニャクマンナン分解物2 重量平均分子量20000
コンニャクマンナン分解物3 重量平均分子量300000
コンニャクマンナン分解物4 重量平均分子量1200000
コンニャクマンナン分解物5 重量平均分子量1500000
コンニャクマンナン 重量平均分子量3700000 (イナゲル ファインマンナン、伊那食品工業社製)
ローカストビーンガム分解物1 重量平均分子量 10000
ローカストビーンガム分解物2 重量平均分子量 20000
ローカストビーンガム分解物3 重量平均分子量 300000
ローカストビーンガム分解物4 重量平均分子量 1200000
ローカストビーンガム分解物5 重量平均分子量 1500000
ローカストビーンガム 重量平均分子量 1650000 (イナゲルL-15、伊那食品工業社製)
フェヌグリークガム分解物1 重量平均分子量8000
フェヌグリークガム分解物2 重量平均分子量20000
フェヌグリークガム分解物3 重量平均分子量300000
フェヌグリークガム分解物4 重量平均分子量1100000
フェヌグリークガム分解物5 重量平均分子量1400000
フェヌグリークガム 重量平均分子量1500000 (イナゲルFG-10、伊那食品工業社製)
カシアガム分解物1 重量平均分子量70000
カシアガム分解物2 重量平均分子量20000
カシアガム分解物3 重量平均分子量280000
カシアガム分解物4 重量平均分子量1100000
カシアガム分解物5 重量平均分子量1300000
カシアガム 重量平均分子量1400000 (イナゲルKR-10、伊那食品工業社製)
【0059】
上記多糖類分解物及び多糖類の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(GPC法)により測定した。カラムは東ソー株式会社製のTSK-GEL(登録商標) ALPHA-Mを使用した。インジェクション前に0.45μmのメンブレンフィルターによりろ過を行った。測定条件は以下の通りである。
分子量マーカー:プルラン標準品
移動相:0.1mol/Lの硝酸ナトリウム
流速:1.0mL/分
【0060】
グアーガム分解物1~5は、上記グアーガムの1重量%水溶液を作製し、塩酸を添加した後に80℃に加熱して加水分解した後、分子量を確認し、水酸化ナトリウムで中和してフリーズドライにより乾燥して製造した。
【0061】
タラガム分解物1~5は、上記タラガムの1重量%水溶液を作製し、塩酸を添加した後に80℃に加熱して加水分解した後、分子量を確認し、水酸化ナトリウムで中和してフリーズドライにより乾燥して製造した。
【0062】
コンニャクマンナン分解物1~5は、上記コンニャクマンナンの1重量%水溶液を作製し、塩酸を添加した後に80℃に加熱して加水分解した後、分子量を確認し、水酸化ナトリウムで中和してフリーズドライにより乾燥して製造した。
【0063】
ローカストビーンガム分解物1~5は、上記ローカストビーンガムの1重量%水溶液を作製し、塩酸を添加した後に80℃に加熱して加水分解した後、分子量を確認し、水酸化ナトリウムで中和してフリーズドライにより乾燥して製造した。
【0064】
フェヌグリークガム分解物1~5は、上記フェヌグリークガムの1重量%水溶液を作製し、塩酸を添加した後に80℃に加熱して加水分解した後、分子量を確認し、水酸化ナトリウムで中和してフリーズドライにより乾燥して製造した。
【0065】
カシアガム分解物1~5は、上記カシアガムの1重量%水溶液を作製し、塩酸を添加した後に80℃に加熱して加水分解した後、分子量を確認し、水酸化ナトリウムで中和してフリーズドライにより乾燥して製造した。
【0066】
[実験例1:粒状加工食品(糖度70)の作製]
(実施例1~3及び比較例1、2:グアーガム分解物を使用)
表1に示す配合にて、グアーガム分解物1~5をそれぞれ使用して、実施例1~3及び比較例1、2に係る粒状加工食品を作製した。具体的には、まず、砂糖100gとグアーガム分解物を混合して、水に該混合物を投入してよく混ぜ合わせた。次に、加熱により砂糖及びグアーガム分解物を水に溶解させた。このときの水溶液の糖度は25であった。加熱を続け、沸騰したら水飴を加えて軽く沸騰させた。次に、残りの砂糖100gを加えた。この水溶液の糖度は54であった。該水溶液を糖度70まで煮詰めることにより、実施例1~3及び比較例1、2に係る粒状加工食品を作製した。
【0067】
(比較例3:グアーガムを使用)
グアーガム分解物2の代わりにグアーガムを使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例3に係る粒状加工食品を作製した。
【0068】
(実施例4~6及び比較例4及び5:タラガム分解物を使用)
グアーガム分解物1~5の代わりにタラガム分解物1~5をそれぞれ使用したこと以外は実施例1~3及び比較例1、2と同様にして、実施例4~6及び比較例4、5に係る粒状加工食品を作製した。
【0069】
(比較例6:タラガムを使用)
グアーガムの代わりにタラガムを使用したこと以外は比較例3と同様にして、比較例6に係る粒状加工食品を作製した。
【0070】
(実施例7~9及び比較例7、8:コンニャクマンナン分解物を使用)
グアーガム分解物1~5の代わりにコンニャクマンナン分解物1~5をそれぞれ使用したこと以外は実施例1~3及び比較例1、2と同様にして、実施例7~9及び比較例7、8に係る粒状加工食品を作製した。
【0071】
(比較例9:コンニャクマンナンを使用)
グアーガムの代わりにコンニャクマンナンを使用したこと以外は比較例3と同様にして、比較例9に係る粒状加工食品を作製した。
【0072】
(実施例10~12及び比較例10、11:ローカストビーンガム分解物を使用)
グアーガム分解物1~5の代わりにローカストビーンガム分解物1~5をそれぞれ使用したこと以外は実施例1~3及び比較例1及び2と同様にして、実施例10~12及び比較例10、11に係る粒状加工食品を作製した。
【0073】
(比較例12:ローカストビーンガムを使用)
グアーガムの代わりにローカストビーンガムを使用したこと以外は比較例3と同様にして、比較例12に係る粒状加工食品を作製した。
【0074】
(実施例13~15及び比較例13、14:フェヌグリークガム分解物を使用)
グアーガム分解物1~5の代わりにフェヌグリークガム分解物1~5をそれぞれ使用したこと以外は実施例1~3及び比較例1及び2と同様にして、実施例13~15及び比較例13、14に係る粒状加工食品を作製した。
【0075】
(比較例15:フェヌグリークガムを使用)
グアーガムの代わりにフェヌグリークガムを使用したこと以外は比較例3と同様にして、比較例15に係る粒状加工食品を作製した。
【0076】
(実施例16~18及び比較例16、17:カシアガム分解物を使用)
グアーガム分解物1~5の代わりにカシアガム分解物1~5をそれぞれ使用したこと以外は実施例1~3及び比較例1及び2と同様にして、実施例16~18及び比較例16、17に係る粒状加工食品を作製した。
【0077】
(比較例18:カシアガムを使用)
グアーガムの代わりにカシアガムを使用したこと以外は比較例3と同様にして、比較例18に係る粒状加工食品を作製した。
【0078】
【表1】
【0079】
(粒状加工食品の状態の評価)
以下の4段階にて、得られた粒状加工食品の状態を評価し、結果を表2~7に示した。
◎ 大きさ、硬さともに良好で食感のよい粒
○ 粒度は小さいが、食感は良好な粒
△ 粒は形成されたが粒子の大きさが小さく食感や外観が悪い
× 煮詰めても粒が形成されず
×× 粘度が高く煮詰められない
【0080】
(作業性の評価)
粒状加工食品の製造時における作業性を評価し、結果を表2~5に示した。
【0081】
【表2】
【0082】
【表3】
【0083】
【表4】
【0084】
【表5】
【0085】
【表6】
【0086】
【表7】
【0087】
表2~7に示したように、グアーガム分解物2~4、タラガム分解物2~4、コンニャクマンナン分解物2~4、ローカストビーンガム分解物2~4、フェヌグリークガム分解物2~4、カシアガム2~4を使用した実施例1~18に係る粒状加工食品は、良好な粒が形成され、且つ作業性も良好であったことがわかる。一方、重量平均分子量が低いグアーガム分解物1、タラガム分解物1、コンニャクマンナン分解物1、ローカストビーンガム分解物1、フェヌグリークガム分解物1、カシアガム分解物1を使用した比較例1、4、7、10、13、16に係る粒状加工食品は、煮詰める際に粒が形成されなかった。また、重量平均分子量が高いグアーガム分解物5、タラガム分解物5、コンニャクマンナン分解物5、ローカストビーンガム分解物5、フェヌグリークガム分解物5、カシアガム分解物5を使用した比較例2、5、8、11、14、17に係る粒状加工食品は、製造時に粘度が高くなり、食感、外観ともに悪かった。さらに、重量平均分子量の大きい通常のグアーガム、タラガム、コンニャクマンナン、ローカストビーンガム、フェヌグリークガム、カシアガムを使用した比較例3、6、9、12、15、18に係る粒状加工食品は、製造時に粘度が高くなり、食感、外観ともに悪かった。
【0088】
[実験例2:多糖類分解物の水溶液及び粒状加工食品の糖度を変更]
(実施例19~24及び比較例19~27:グアーガム分解物の使用)
表8に示す配合にて、グアーガム分解物1~5を使用して糖度が50、60、70の粒状加工食品をそれぞれ作製した。具体的には、まず、砂糖100gと、表9に示すグアーガム分解物を混合し、水に、当該混合物を投入してよく混ぜ合わせる。次に、加熱によりこれらを溶解させた。このときの水溶液の糖度は、それぞれ、糖度50の粒状加工食品の作製においては20であり、糖度60の粒状加工食品の作製においては25であり、糖度70の粒状加工食品の作製においては33であった。水溶液の加熱を続け、沸騰したら水飴を加えて軽く沸騰させ、残りの砂糖を加えて、水溶液の総重量が1kgとなるまで煮詰めることによって、実施例19~24及び比較例19~27に係る粒状加工食品を作製した。
【0089】
(比較例28~30:グアーガムの使用)
グアーガム分解物1の代わりにグアーガムを用いたこと以外は比較例19~21と同様にして、比較例28~30に係る粒状加工食品を作製した。
【0090】
【表8】
【0091】
(評価)
上記実験例1と同様に、粒状加工食品の状態を評価した。また、粒状加工食品の粒度を測定した。結果を表9に示す。
【0092】
【表9】
【0093】
表9に示したように、糖度が50である粒状加工食品は、いずれにおいても煮詰めた際に粒が形成されず、食感や外見が悪かった。また、糖度が60又は70の粒状加工食品は、粒の大きさ、硬さともに良好で食感が良かった。
【0094】
[実験例3:糖度50以上のショ糖水溶液を使用]
(比較例31~42:ショ糖水溶液の糖度を変更)
グアーガム分解物2~4、タラガム分解物2~4、コンニャクマンナン分解物2~4、ローカストビーンガム分解物2~4のそれぞれにつき、3gを糖度50、60、70のショ糖溶液100gに加えた水溶液を調製した。次に、該水溶液の糖度が55以上となるまで(糖度50の水溶液は糖度60まで、糖度60の水溶液は糖度70まで、糖度70の水溶液は糖度75まで)加熱処理し、比較例31~42に係る粒状加工食品を作製した。粒状加工食品の状態を実験例1と同様に評価し、結果を表10に示した。
【0095】
【表10】
【0096】
以上のように、糖度50、60、70のショ糖水溶液に多糖類分解物を添加して加熱した場合、粒は形成されたものの、粒子の大きさが小さく、食感や外観が悪いものが得られた。
【0097】
[実験例4:ラ・フランスジャムの作製]
(実施例25)
表11に示した配合にて、ラ・フランスのジャムを作製した。具体的には、水(糖度0)にグアーガム分解物3を加え加熱溶解した。該グアーガム分解物3の水溶液の糖度は2であった。これにグラニュー糖、水あめを少量ずつ加えた。このときの糖度は53であった。次に、糖度70まで煮詰めた。さらにラ・フランス果汁を加え、糖度を62とした後、糖度65まで煮詰めたところで加熱をやめて、クエン酸と香料を加え冷却することにより、実施例25に係るラ・フランスジャムを作製した。
【0098】
(評価)
実験例1と同様にして、ラ・フランスジャムの状態を評価し、結果を表12に示した。
【0099】
【表11】
【0100】
【表12】
【0101】
以上のように、実施例25に係るラ・フランスジャムは、グアーガム分解物3が適度な硬さを有する粒子を形成し、食感や外観に優れたジャムであった。
【0102】
[実験例5:オレンジのフルーツソースの作製]
(実施例26)
表13に示した配合にて、オレンジのフルーツソースを作製した。具体的には、水(糖度0)にグアーガム分解物4を加え加熱溶解した。該グアーガム分解物4の水溶液の糖度は2であった。これにグラニュー糖、水あめを少量ずつ加えた。このときの糖度は54であった。次に、糖度65まで煮詰めた。加熱をやめて、クエン酸と香料、色素を加え冷却することにより、実施例26に係るオレンジのフルーツソースを作製した。
【0103】
(評価)
実験例1と同様にして、オレンジのフルーツソースの状態を評価し、結果を表14に示した。
【0104】
【表13】
【0105】
【表14】
【0106】
以上のように、実施例26に係るオレンジのフルーツソースは、グアーガム分解物4が適度な硬さを有する粒子を形成し、食感や外観に優れたフルーツソースであった。
【0107】
[実験例6:オレンジのフルーツソースの作製]
(実施例27及び28)
表15に示した配合にて、オレンジのフルーツソースを作製した。具体的には、水(糖度0)にグアーガム分解物4を加え加熱溶解した。該グアーガム分解物4の水溶液の糖度は2であった。これにグラニュー糖、水あめ、クエン酸、香料、色素を加え糖度62とし、実施例27に係るオレンジのフルーツソースを作製した。実施例27に係るオレンジのフルーツソースは、糖度が62であった。更に、該オレンジのフルーツソースを加熱して煮詰め、糖度を65に上昇させることにより、実施例28に係るフルーツソースを作製した。
【0108】
(評価)
実験例1と同様にして、オレンジのフルーツソースの状態を評価し、結果を表16に示した。
【0109】
【表15】
【0110】
【表16】
【0111】
以上のように、実施例27に係るオレンジのフルーツソースは、グアーガム分解物4が適度な硬さを有する粒子を形成し、食感や外観に優れたフルーツソースであった。実施例28に係るオレンジソースは、実施例27と比較して粒子の存在感があり、より優れた食感を有していた。