(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】地下構造物用蓋受枠セット
(51)【国際特許分類】
E02D 29/14 20060101AFI20220607BHJP
【FI】
E02D29/14 D
(21)【出願番号】P 2021071581
(22)【出願日】2021-04-21
(62)【分割の表示】P 2017090535の分割
【原出願日】2017-04-28
【審査請求日】2021-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】508165490
【氏名又は名称】アクアインテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【氏名又は名称】八木 秀幸
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【氏名又は名称】倉澤 直人
(72)【発明者】
【氏名】増田 智也
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴久
(72)【発明者】
【氏名】大波 豊明
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-255301(JP,A)
【文献】特開2010-031484(JP,A)
【文献】特開2016-044517(JP,A)
【文献】特開2012-057435(JP,A)
【文献】特開2003-239311(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1788123(CN,A)
【文献】韓国登録特許第10-0637310(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下構造物につながる開口を画定する受枠と、該受枠に支持されることで該開口を塞ぐ蓋体とを備えた地下構造物用蓋受枠セットにおいて、
前記受枠は、筒状の枠本体を有するものであり、
前記枠本体は、該枠本体の内周に設けられ上方に向けて該枠本体の内径が拡がる方向に一定の角度で傾斜した内周面を有するものであり、
前記蓋体は、天板部と、該天板部を囲む環状壁部と、該天板部の裏面に設けられ、該環状壁部の内周に接続する蓋リブとを有するものであり、
前記環状壁部は、外周に、高さ方向に間隔をあけて設けられた、上側接触部及び下側接触部を有するものであり、
前記上側接触部と前記下側接触部のうちの一方は、閉蓋状態において、前記内周面と面接触するものであり、
前記上側接触部と前記下側接触部のうちの他方は、前記閉蓋状態において、前記内周面と面接触するもの、又は該内周面の周方向において該内周面と線状に接触するものであり、
前記蓋リブは、前記環状壁部に接続する部分の下端が、前記下側接触部よりも上方に位置するものであることを特徴とする地下構造物用蓋受枠セット。
【請求項2】
前記蓋リブは、前記環状壁部に接続する部分の下端が、前記上側接触部よりも下方に位置するものであることを特徴とする請求項1記載の地下構造物用蓋受枠セット。
【請求項3】
前記上側接触部は、前記閉蓋状態において、前記内周面と面接触するものであることを特徴とする請求項1または2記載の地下構造物用蓋受枠セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下構造物につながる開口を画定する受枠と、この受枠に支持されることで開口を塞ぐ蓋体とを備えた地下構造物用蓋受枠セットに関する。
【背景技術】
【0002】
下水道や上水道、あるいは電力、ガス、通信等における地下埋設物や地下施設等の地下構造物が地上につながる箇所には、地下構造物につながる開口を画定する受枠と、この受枠に支持されることで開口を塞ぐ蓋体とを備えた地下構造物用蓋受枠セットが設置される場合がある。本特許出願では、蓋体が受枠に支持され開口が塞がれた状態(蓋体が受枠に嵌め込まれた状態)を、閉蓋状態と称することがある。また、以下の説明では、地下構造物用蓋受枠セットを、蓋受枠セットと略称する場合がある。
【0003】
蓋受枠セットには、受枠の内周に、上方に向けて内径が拡がる方向に一定の角度で傾斜した内周面が設けられ、蓋体の外周に、上方に向けて外側に傾斜したテーパ面が設けられたものが知られている。以下、閉蓋状態において、受枠の上端面に対して水平な蓋体のおもて面に直交する方向を基準にして、この方向に対して傾斜する角度を傾斜角度と称することがある。受枠の内周面と蓋体のテーパ面は、傾斜角度が略同一に設定され、閉蓋状態において、蓋体のテーパ面が受枠の内周面に面接触する。これにより、受枠の内周面と蓋体のテーパ面との接触面積を十分に確保し、受枠への蓋体の過剰な食い込みを防止し、蓋体の開けやすさを確保しようとするものである。
【0004】
ここで、蓋体のテーパ面を受枠の内周面に隙間なく接触させるためには、受枠と蓋体に高い寸法精度が要求される。しかしながら、一般的に鋳物製品である受枠や蓋体の製造誤差等によって、蓋体のテーパ面を受枠の内周面に隙間なく接触させることは難しい。また、閉蓋状態において受枠の内周面と蓋体のテーパ面との間に砂等が入り込むことも多い。これらのため、受枠の内周面と蓋体のテーパ面との間に隙間が生じ、受枠に対する蓋体のガタツキが生じやすい。そこで、蓋体のガタツキを防止しようとする蓋受枠セットが提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
【0005】
特許文献1に記載された蓋受枠セットは、受枠の内周面を、受枠第1面部と、この受枠第1面部よりも傾斜角度が小さい受枠第2面部とによって構成している。また、蓋体の外周面に、蓋第1面部と、この蓋第1面部よりも傾斜角度が小さい蓋第2面部とを設けている。そして、閉蓋状態では、蓋第1面部を受枠第1面部で支持することによって蓋体の食い込みを抑え、蓋第2面部と受枠第2面部とが弾性変形による押圧力により互いに押圧されることによって、蓋体のガタツキを抑えようとするものである。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された蓋受枠セットでは、受枠の内周面を、傾斜角度が異なる、受枠第1面部と受枠第2面部とによって構成している。このため、一定の角度で傾斜した内周面を有する受枠に比べ、製造コストが高くなってしまう。そこで、一定の角度で傾斜した内周面を有する受枠を用い、蓋体のガタツキを抑えようと試みた蓋受枠セットも提案されている(例えば、特許文献2等参照)。
【0007】
特許文献2に記載された蓋受枠セットは、蓋体の外周に、角部を有する複数の突出部が高さ方向に間隔をあけて設けられている。そして、閉蓋状態では、これらの角部を、内周面の周方向において内周面と線状に接触させることで内周面の一部を塑性変形させ、これによって蓋体のガタツキを抑えようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開WO2014/126239号公報
【文献】特開2012-057435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2に記載された蓋受枠セットでは、例えば過大な荷重が絶えず蓋体にかかるような設置環境の場合には、蓋体の角部が受枠に過剰に食い込み、蓋体を開けることが困難になってしまう虞があり、蓋体の食い込みを抑えるという点では改善の余地がある。
【0010】
本発明は前記事情に鑑み、受枠の製造コストを抑え、蓋体のガタツキの抑制と、蓋体の過剰な食い込みの抑制とをバランスよく両立させた地下構造物用蓋受枠セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を解決する本発明の地下構造物用蓋受枠セットは、地下構造物につながる開口を画定する受枠と、該受枠に支持されることで該開口を塞ぐ蓋体とを備えた地下構造物用蓋受枠セットにおいて、
前記受枠は、筒状の枠本体を有するものであり、
前記枠本体は、該枠本体の内周に設けられ上方に向けて該枠本体の内径が拡がる方向に一定の角度で傾斜した内周面を有するものであり、
前記蓋体は、天板部と、該天板部を囲む環状壁部と、該天板部の裏面に設けられ、該環状壁部の内周に接続する蓋リブとを有するものであり、
前記環状壁部は、外周に、高さ方向に間隔をあけて設けられた、上側接触部及び下側接触部を有するものであり、
前記上側接触部と前記下側接触部のうちの一方は、閉蓋状態において、前記内周面と面接触するものであり、
前記上側接触部と前記下側接触部のうちの他方は、前記閉蓋状態において、前記内周面と面接触するもの、又は該内周面の周方向において該内周面と線状に接触するものであり、
前記蓋リブは、前記環状壁部に接続する部分の下端が、前記下側接触部よりも上方に位置するものであることを特徴とする。
【0012】
本発明の地下構造物用蓋受枠セットにおいて、蓋リブは、前記環状壁部に接続する部分の下端が、前記上側接触部よりも下方に位置するものであってもよい。
【0013】
また、本発明の地下構造物用蓋受枠セットにおいて、前記上側接触部は、前記閉蓋状態において、前記内周面と面接触するものであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、受枠の製造コストを抑え、蓋体のガタツキの抑制と、蓋体の過剰な食い込みの抑制とをバランスよく両立した地下構造物用蓋受枠セットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(a)は、蓋受枠セットの一実施形態の断面図であり、(b)は、(a)に 示す地下構造物用蓋受枠セットの平面図である。
【
図2】(a)は、
図1に示すマンホール蓋の裏面図であり、(b)は、(a)に示 すマンホール蓋の変形例を示す図である。
【
図3】(a)は、
図1(a)のA部を拡大して示す拡大図であり、(b)は、(a )の変形例を示す図である。
【
図4】(a)は、第2実施形態の蓋受枠セットにおける、
図3(a)に対応した態 様を示す図であり、(b)は、(a)の変形例を示す図である。
【
図5】(a)は、第3実施形態の蓋受枠セットにおける、
図3(a)に対応した態 様を示す図であり、(b)は、(a)の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1(a)は、蓋受枠セット10の一実施形態の断面図であり、同図(b)は、同図(a)に示す蓋受枠セット10の平面図である。なお、
図1(a)に示す断面図は、同図(b)のB-B線断面図である。また、
図1(a)では、地面Gを示し、同図(b)では、地面Gを省略している。
【0018】
図1には、蓋体の一実施形態に相当するマンホール蓋2と、そのマンホール蓋2を支持する受枠3とを備えた蓋受枠セット10が示されている。地下埋設物である下水道用排水管は地表から所定の深さの位置に埋設されており、その下水道用排水管の途中に、地下施設として、マンホールが設けられている。下水道用排水管もマンホールも地下構造物に相当する。マンホールは、既製のコンクリート成型品を積み上げた躯体によって、下水道用排水管から地表へ向かう縦穴として形成されている。受枠3はその躯体の上に設けられたものであり、地下構造物であるマンホールにつながる開口Hを画定している。
【0019】
マンホール蓋2は、地下構造物であるマンホールにつながる開口Hを開閉自在に塞ぐ平面視で円形のものであり、
図1に示すマンホール蓋2は、開口Hを塞いでいる。
図1に示すマンホール蓋2は、鋳造によって成形された、例えば材質がFCD700からなる鋳鉄製のものである。なお、マンホール蓋2は、鋳鉄以外の鉄製であってもよく、鉄以外の金属製であってもよい。マンホール蓋2は、円盤状の天板部21と、その天板部21の外周部分に設けられ天板部21を囲む環状壁部22と、天板部21の裏面21bから下方に突出した蓋リブ23とを備えている。
【0020】
図2(a)は、
図1に示すマンホール蓋2の裏面図であり、
図2(b)は、同図(a)に示すマンホール蓋2の変形例を示す図である。
【0021】
図2(a)に示すように、天板部21の裏面21bに設けられた蓋リブ23は、井桁状に形成され、それぞれの端部が環状壁部22の内周222に接続するものである。また、
図1(a)に示すように、蓋リブ23は、中央部分の高さは一定であるが、外周部分は、環状壁部22の内周222に向かうにつれて高さが低くなり、環状壁部22の内周222に接続する部分の高さが最も低くなるように形成されている。この蓋リブ23は、マンホール蓋2の強度を高める目的で、マンホール蓋2の鋳造時に天板部21および環状壁部22と一体に成形される。
【0022】
蓋リブ23の構成は、環状壁部22の内周222に接続するものであれば特に限定されるものではない。例えば
図2(b)に示すように、天板部21の裏面21bにおける中央に円形の凸部24を設け、この凸部24から放射状に延在して環状壁部22の内周222に接続する蓋リブ23を採用することもできる。なお、
図1および
図2では、マンホール蓋2を受枠3に回動自在に連結する蝶番部材や、マンホール蓋2が開口Hを塞いだ状態を維持するロック部材等は省略している。環状壁部22については、後に詳述する。
【0023】
図1に示すように、受枠3は、平面視で環状に形成された筒状の枠本体31と、枠本体31の下端部分から外側に張り出した下側フランジ部32と、下側フランジ部32の上面に設けられた枠リブ33とを有している。本実施形態では、従来の一般的な受枠3を採用しており、枠本体31の内周部311は、上方に向けて枠本体31の内径が拡がる方向に一定の角度で傾斜した内周面3111(
図3(a)参照)を有している。この内周面3111の詳細は後述する。
【0024】
受枠3もマンホール蓋2と同じく、鋳造によって成形された鋳鉄製のものであるが、受枠3と材質を相違させており、FCD700からなるマンホール蓋2に対して、受枠3は、例えばFCD600で構成している。その理由は、受枠3は、マンホール蓋2と異なり直接荷重が加わる部分が少なく、引張強さよりも伸びを重視して衝撃性を高めるためである。
【0025】
図1(b)に示すように、枠リブ33は、下側フランジ部32の周方向に所定の間隔をあけて複数(図では12個)設けられ、それぞれの枠リブ33は、接続した外周面313から放射状に延在している。また、
図1(a)に示すように、枠リブ33は、枠本体31の外周面313に接続する部分が最も高く、外側に向かうにつれて高さが低くなる形状に形成されている。
【0026】
図1(a)では、図の上方が地上側になり、図の下方が地下側になる。本実施形態では、水平な地面Gに受枠3を設置する態様を例に挙げて説明している。枠本体31の上端面312は無端状のものであり、この上端面312を地面Gと段差なく連続させている。すなわち、枠本体31の上端面312は、受枠3が地面Gに設置されると地面Gと同じ高さ位置に合わされている。また、
図1(a)では、蓋受枠セット10を設置した当初の閉蓋状態を示しており、受枠3に支持されたマンホール蓋2が、受枠3に対して水平であり、かつ、枠本体31の上端面312の高さ位置に、マンホール蓋2における天板部21のおもて面21aの高さ位置が一致した状態を示している。本実施形態では、前述したように、受枠3が水平に設置されているため、天板部21のおもて面21aも水平になる。
【0027】
図3(a)は、
図1(a)のA部を拡大して示す拡大図である。
【0028】
図3(a)に示すように、受枠3の内周部311には、上方に向けて枠本体31の内径が拡がる方向に一定の角度で傾斜し上端面312に接続した内周面3111が設けられている。このように、一定の角度で傾斜した内周面3111を採用することで、傾斜角度が異なる複数の面から構成される受枠を用いた前述の特許文献1の蓋受枠セットと比べ、製造コストを抑えることができる。なお、この内周面3111の傾斜角度は、5度~12度程度に設定されている。また、内周面3111の下側には、受枠3の内側にリング状に突出した停止部3112が設けられている。この停止部3112は、マンホール蓋2に対して荷重がかかる状態が繰り返され、マンホール蓋2のずり下がりが進んだ際に環状壁部22の下端部分に当接して、マンホール蓋2のずり下がりを停止させるものである。
【0029】
マンホール蓋2の環状壁部22における外周部分221には、上側接触部2211と、この上側接触部2211よりも下方に設けられた下側接触部2212とが設けられている。これら上側接触部2211と下側接触部2212は、高さ方向に間隔をあけて設けられ、これら上側接触部2211と下側接触部2212との間には、中間部分2213が形成されている。
【0030】
上側接触部2211は、上方に向かうにつれて外側に傾斜し、おもて面21aに接続したテーパ状の面であり、その傾斜角度は、内周面3111と略同じに設定されている。これにより、上側接触部2211は、閉蓋状態において内周面3111と面接触する。なお、一点鎖線で示すように、上側接触部2211の下端部分をR形状としてもよい。
【0031】
中間部分2213は、上側接触部2211の下端から内側に入り込み、そこから下方に垂下して形成されており、環状壁部22の下端部分の角部によって下側接触部2212が構成されている。すなわち、本実施形態の外周部分221は、3つの面で構成されている。これにより、外周部分221が多くの面で構成されるマンホール蓋2に比べ、加工処理等の簡略化を図っている。
【0032】
下側接触部2212は、閉蓋状態では、内周面3111の周方向において内周面3111と線状に接触する部分である。なお、一点鎖線で示すように、環状壁部22の下端部分をR形状とし、このR形状の部分の一部を下側接触部2212としてもよい。
【0033】
すなわち、閉蓋状態では、上側接触部2211は、内周面3111と面接触する一方、下側接触部2212は、上側接触部2211と高さ方向に間隔をあけて内周面3111の周方向において内周面3111と線状に接触し、上側接触部2211と下側接触部2212との間には空間が形成される。これにより、内周面3111に接触する部分の全てが線状に接触する態様に比べ接触面積を確保しやすく、マンホール蓋2の食い込みを抑えやすい。
【0034】
また、マンホール蓋2は、高さ方向に間隔をあけて設けられた、上側接触部2211と下側接触部2212が内周面3111に接触するため、マンホール蓋のテーパ面全体を内周面3111に接触させる従来の態様に比べ、上側接触部2211および下側接触部2212を内周面3111に隙間なく接触させやすい。さらに、受枠3とマンホール蓋2との間に入り込んだ砂等を、上側接触部2211と下側接触部2212との間に形成される空間(受枠3の内周面3111と、マンホール蓋2の中間部分2213とによって画定される空間)に逃がすことができる。これらにより、上側接触部2211および下側接触部2212と、内周面3111との間に隙間が生じにくくなり、マンホール蓋2のガタツキを抑えることができる。
【0035】
さらに、本実施形態では、内周面3111と面接触する上側接触部2211と、内周面3111の周方向において内周面3111と線状に接触する下側接触部2212とでは、接触面積が大きく相違する。これにより、上側接触部2211と下側接触部2212それぞれの内周面3111との接触部分に生じる応力(ベクトル)が分散し、マンホール蓋2のガタツキをより一層抑えることができる。
【0036】
また、蓋リブ23が、環状壁部22の内周222に接続する部分の下端部分は、下側接触部2212よりも上方に位置しており、本実施形態では、下側接触部2212よりも上側接触部2211に近い位置となっている。これにより、閉蓋状態において、環状壁部22における、下側接触部2212を有する部分が弾性変形しやすくなり、マンホール蓋2の食い込みがより緩和され、マンホール蓋2がより開けやすくなる。以下、蓋リブ23が、環状壁部22の内周222に接続する部分の下端部分を、接続下端部と称し、図では23Lの符号を付して説明する。なお、二点鎖線で示す蓋リブ23’’のように、接続下端部23Lを、上側接触部2211の下端と同じ高さ位置又は略同じ高さ位置に設定してもよい。
【0037】
さらに、本実施形態では、枠リブ33が、枠本体31の外周面313に接続する部分の上端部分は、閉蓋状態における、下側接触部2212が接触する部分よりも上方であって、上側接触部2211が面接触する部分と同じ高さに位置している。こうすることで、マンホール蓋2の環状壁部22における、下側接触部2212を有する部分の剛性が低くなるのに対し、枠本体31における、下側接触部2212が接触する部分の剛性が高くなる。この結果、閉蓋状態において、マンホール蓋2の環状壁部22における、下側接触部2212を有する部分がより弾性変形しやすくなる。以下、枠リブ33が、枠本体31の外周面313に接続する部分の上端部分を、接続上端部と称し、図では33Hの符号を付して説明する。
【0038】
すなわち、本実施形態では、上側接触部2211と内周面3111、および下側接触部2212と内周面3111は、閉蓋状態において、環状壁部22の弾性変形による押圧力によって互いに押圧される態様となる。これにより、受枠3に対するマンホール蓋2の沈み込みが大きくなった場合でも、マンホール蓋2の開けにくさを軽減することもできる。
【0039】
ここで、一点鎖線で示す蓋リブ23’のように、接続下端部23Lの位置を、上側接触部2211よりも下側接触部2212に近い位置に設け、一点鎖線で示す枠リブ33’のように、接続上端部33Hの位置を、閉蓋状態において下側接触部2212が接触する部分よりも下方又は同じ高さに設ける態様としてもよい。この態様によれば、マンホール蓋2の環状壁部22における、下側接触部2212を有する部分の剛性が高くなる一方、閉蓋状態において、枠本体31における、下側接触部2212が接触する部分の剛性が低くなる。この結果、閉蓋状態において、枠本体31における、下側接触部2212が接触する部分が弾性変形しやすくなり、マンホール蓋2が開けやすくなる。すなわち、上側接触部2211と内周面3111、および下側接触部2212と内周面3111は、閉蓋状態において、枠本体31の弾性変形による押圧力によって互いに押圧される態様となる。
【0040】
【0041】
以下の変形例の説明、およびその後の他の実施形態の説明では、
図1、
図2および
図3(a)に示す、第1実施形態の蓋受枠セット10との相違点を中心に説明し、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号を付して説明し、重複する説明は省略することがある。
【0042】
図3(b)に示すように、本変形例では、環状壁部22の外周部分221における、下端よりも上方の部分に角部を設け、この角部を下側接触部2212としている。この変形例において、一点鎖線で示す蓋リブ23’のように、接続下端部23Lの位置を、上側接触部2211よりも下方に設け、一点鎖線で示す枠リブ33’のように、接続上端部33Hの位置を、閉蓋状態において、下側接触部2212が接触する部分よりも下方に設ける態様としてもよい。この態様によっても、閉蓋状態において、枠本体31における、下側接触部2212が接触する部分が弾性変形しやすくなる。なお、一点鎖線で示すように、外周部分221の下側部分をR形状とし、このR形状の部分の一部を下側接触部2212としてもよい。
【0043】
図4(a)は、第2実施形態の蓋受枠セットにおける、
図3(a)に対応した態様を示す図である。
【0044】
図4(a)に示すように、第2実施形態の蓋受枠セット10は、上側接触部2211を、環状壁部22の外周部分221における上端の角部で構成し、下側接触部2212を環状壁部22の外周部分221における下側部分に形成されたテーパ面で構成している。なお、一点鎖線で示す上側接触部2211’のように、角部ではなくR形状の一部を内周面3111に接触させる態様としてもよい。
【0045】
これにより、閉蓋状態において、上側接触部2211が、内周面3111の周方向において内周面3111に線状に接触し、下側接触部2212が、内周面3111に面接触する。この実施形態においても、内周面3111の周方向において内周面3111に線状に接触する上側接触部2211と、内周面3111と面接触する下側接触部2212とでは、接触面積が大きく相違する。これにより、上側接触部2211と下側接触部2212それぞれの内周面3111との接触部分に生じる応力(ベクトル)が分散し、マンホール蓋2のガタツキを抑えることができる。
【0046】
さらに、本実施形態では、内周面3111と上側接触部2211とが接触している部分から砂等が入り込んで、入り込んだ砂等が上側接触部2211と下側接触部2212との間の空間に詰まりやすく、これにより、マンホール蓋2のガタツキをより一層抑えることができる。またさらに、本実施形態でも、中間部分2213は2つの面で構成され、外周部分221全体は、3つの面で構成されている。これにより、加工処理等の簡略化が図られている。
【0047】
またさらに、本実施形態では、蓋リブ23の接続下端部23Lの位置は、下側接触部2212の上端と同じ高さ又は略同じ高さに設定され、枠リブ33の接続上端部33Hの高さ位置は、閉蓋状態における、上側接触部2211と下側接触部2212との間に設定されている。これにより、閉蓋状態において、マンホール蓋2の環状壁部22における、下側接触部2212を有する部分が弾性変形しやすくなる。
【0048】
なお、一点鎖線で示す蓋リブ23’のように、接続下端部23Lの位置を、下側接触部2212と同じ高さに設定し、一点鎖線で示す枠リブ33’のように、接続上端部33Hの高さ位置を、閉蓋状態における下側接触部2212が接触する部分よりも下方に設定してもよい。こうすることで、閉蓋状態において、枠本体31における、下側接触部2212が接触する部分を弾性変形しやすくしてもよい。
【0049】
【0050】
図4(b)に示すように、上側接触部2211を、マンホール蓋2の外周部分221における、おもて面21aよりも所定寸法下方に設けた角部によって構成してもよい。なお、一点鎖線で示すように、外周部分221の上側部分をR形状とし、このR形状の部分の一部を上側接触部2211とする態様としてもよい。
【0051】
図5(a)は、第3実施形態の蓋受枠セットにおける、
図3(a)に対応した態様を示す図である。
【0052】
図5(a)に示すように、第3実施形態の蓋受枠セット10は、上側接触部2211と下側接触部2212とを共にテーパ面で構成し、上側接触部2211も下側接触部2212も、内周面3111に面接触する態様を採用している。また、上側接触部2211の上下方向の寸法を、下側接触部2212の上下方向の寸法よりも大きく設定し、内周面3111と接触する接触面積を相違させている。なお、上側接触部2211の上下方向の寸法を、下側接触部2212の上下方向の寸法よりも小さくしてもよい。
【0053】
また、本実施形態では、マンホール蓋2の外周部分221における中間部分2213を、折曲した2面によって構成している。なお、一点鎖線で示すように、断面視矩形の凹部(溝)からなる中間部分2213’としてもよいし、二点鎖線で示すように、円弧面からなる中間部分2213’’としてもよい。
【0054】
さらに、本実施形態では、蓋リブ23の接続下端部23Lの位置は、中間部分2213における折曲する位置と同じ高さ又は略同じ高さに設定され、枠リブ33の接続上端部33Hの位置は、閉蓋状態における、上側接触部2211が接触する部分の下端と同じ高さ又は略同じ高さ位置に設定されている。これにより、閉蓋状態において、マンホール蓋2の環状壁部22における、下側接触部2212を有する部分が弾性変形しやすくなる。
【0055】
なお、一点鎖線で示す蓋リブ23’のように、接続下端部23Lの位置を、下側接触部2212と同じ高さに設定し、一点鎖線で示す枠リブ33’のように、接続上端部33Hの高さ位置を、閉蓋状態における下側接触部2212よりも下方に設定してもよい。こうすることで、閉蓋状態において、枠本体31における、下側接触部2212が接触する部分を弾性変形しやすくしてもよい。
【0056】
【0057】
図5(b)に示すように、第3実施形態の変形例では、上側接触部2211を、マンホール蓋2の外周部分221における、おもて面21aよりも所定寸法下方に設け、下側接触部2212を、マンホール蓋2の外周部分221における下端部分よりも所定寸法上方に設けている。
【0058】
この変形例においては、一点鎖線で示す蓋リブ23’のように、接続下端部23Lの位置を、下側接触部2212よりも下方に設定し、一点鎖線で示す枠リブ33’のように、接続上端部33Hの高さ位置を、閉蓋状態における下側接触部2212が接触する部分よりも下方に設定してもよい。
【0059】
以上説明した蓋受枠セット10によれば、受枠3の製造コストを抑え、マンホール蓋2のガタツキの抑制と、マンホール蓋2の過剰な食い込みの抑制とをバランスよく両立させることができる。
【0060】
本発明は前述の実施の形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。例えば、前記実施形態では、上側接触部2211と下側接触部2212の2つの接触部を内周面3111に接触させる態様を例にあげて説明したが、上側接触部2211と下側接触部2212以外の接触部を設け、3つ以上の接触部を内周面3111に接触させる態様としていもよい。また、前記実施形態では、蓋リブ23の接続下端部23Lの高さ位置を高くする、すなわち蓋リブ23における、内周222に接続する部分の高さを低くすることで、環状壁部22を弾性変形させやすくしたが、
図2(a)において一点鎖線の円で囲んで拡大して示すように、蓋リブ23における、内周222に接続する部分の厚さを薄くすることで、環状壁部22を弾性変形させやすくしてもよい。
【0061】
なお、以上説明した各実施形態や各変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、他の実施形態や他の変形例に適用してもよい。
【0062】
また、これまで説明してきた第1の地下構造物用蓋受枠セットは、地下構造物につながる開口を画定する受枠と、該受枠に支持されることで該開口を塞ぐ蓋体とを備えた地下構造物用蓋受枠セットにおいて、
前記受枠は、筒状の枠本体と、該枠本体の下端部分から外側に張り出した下側フランジ部と、該下側フランジ部の上面に設けられ該枠本体の外周に接続する枠リブとを有するものであり、
前記枠本体は、該枠本体の内周に設けられ上方に向けて該枠本体の内径が拡がる方向に一定の角度で傾斜した内周面を有するものであり、
前記蓋体は、天板部と、該天板部を囲む環状壁部を有するものであり、
前記環状壁部は、外周に、高さ方向に間隔をあけて設けられた、上側接触部及び下側接触部を有するものであり、
前記上側接触部と前記下側接触部のうちの一方は、閉蓋状態において、前記内周面と面接触するものであり、
前記上側接触部と前記下側接触部のうちの他方は、前記閉蓋状態において、前記内周面と面接触するもの、又は該内周面の周方向において該内周面と線状に接触するものであり、
前記枠リブは、前記枠本体に接続する部分の上端が、前記閉蓋状態において、前記下側接触部が接触する部分よりも下方に位置するものであることを特徴とする。
【0063】
また、これまで説明してきた第2の地下構造物用蓋受枠セットは、地下構造物につながる開口を画定する受枠と、該受枠に支持されることで該開口を塞ぐ蓋体とを備えた地下構造物用蓋受枠セットにおいて、
前記受枠は、筒状の枠本体と、前記枠本体の下端部分から外側に張り出した下側フランジ部と、該下側フランジ部の上面に設けられ該枠本体の外周に接続する枠リブとを有するものであり、
前記枠本体は、該枠本体の内周に設けられ上方に向けて該枠本体の内径が拡がる方向に一定の角度で傾斜した内周面を有するものであり、
前記蓋体は、天板部と、該天板部を囲む環状壁部と、該天板部の裏面に設けられ、該環状壁部の内周に接続する蓋リブとを有するものであり、
前記環状壁部は、外周に、高さ方向に間隔をあけて設けられた、上側接触部及び下側接触部を有するものであり、
前記上側接触部と前記下側接触部のうちの一方は、閉蓋状態において、前記内周面と面接触するものであり、
前記上側接触部と前記下側接触部のうちの他方は、前記閉蓋状態において、前記内周面と面接触するもの、又は該内周面の周方向において該内周面と線状に接触するものであり、
前記上側接触部と前記内周面、および前記下側接触部と該内周面は、前記閉蓋状態において、前記枠本体および前記環状壁部の何れか一方の弾性変形による押圧力によって互いに押圧され、
前記蓋リブは、前記環状壁部に接続する部分の下端が、前記下側接触部の上端よりも下方に位置するものであり、
前記枠リブは、前記枠本体に接続する部分の上端が、前記閉蓋状態において、前記下側接触部が接触する部分よりも下方に位置するものであることを特徴とする。
【0064】
また、地下構造物につながる開口を画定する受枠と、該受枠に支持されることで該開口を塞ぐ蓋体とを備えた地下構造物用蓋受枠セットにおいて、
前記受枠は、筒状の枠本体を有するものであり、
前記枠本体は、該枠本体の内周に設けられ上方に向けて該枠本体の内径が拡がる方向に一定の角度で傾斜した内周面を有するものであり、
前記蓋体は、天板部と、該天板部を囲む環状壁部を有するものであり、
前記環状壁部は、外周に、高さ方向に間隔をあけて設けられた、上側接触部及び下側接触部を有するものであり、
前記上側接触部と前記下側接触部のうちの一方は、閉蓋状態において、前記内周面と面接触するものであり、
前記上側接触部と前記下側接触部のうちの他方は、前記閉蓋状態において、前記内周面と面接触するもの、又は該内周面の周方向において該内周面と線状に接触するものであることを特徴とする地下構造物用蓋受枠セットであってもよい。
【0065】
ここで、前記上側接触部および前記下側接触部は、前記環状壁部の外周の全周に設けられたものであってもよいし、該外周の一部に設けられたものであってもよい。例えば、前記上側接触部や前記下側接触部は、前記環状壁部の外周における周方向に所定間隔ごとに設けられたものであってもよい。さらに、前記上側接触部および前記下側接触部とは別に、前記内周面と面接触する接触部、又は該内周面の周方向において該内周面と線状に接触する接触部を有していてもよい。すなわち、前記閉蓋状態において、前記蓋体の、前記内周面に接触する部分は3つ以上でもよい。
【0066】
この地下構造物用蓋受枠セットによれば、前記上側接触部および前記下側接触部のうちの少なくともいずれか一方が前記内周面に面接触するため、該内周面に接触する部分の全てが該内周面に線状に接触する態様に比べ接触面積を確保しやすく、前記蓋体の過剰な食い込みを抑えやすい。
【0067】
また、前記蓋体は、高さ方向に間隔をあけて設けられた、前記上側接触部と前記下側接触部が前記内周面に接触する。このため、前述した、蓋体のテーパ面全体を内周面に接触させる態様に比べ、前記上側接触部および前記下側接触部を前記内周面に隙間なく接触させやすい。さらに、前記受枠と前記蓋体の間に入り込んだ砂等を、前記上側接触部と前記下側接触部との間に形成される空間に逃がすことができる。これらにより、前記閉蓋状態において、前記上側接触部および前記下側接触部と、前記内周面との間に隙間が生じにくくなり、前記蓋体のガタツキを抑えることができる。特に、前記上側接触部が、前記内周面の周方向において該内周面と線状に接触し、前記下側接触部が該内周面と面接触する態様の場合には、該上側接触部と該内周面との間から砂等が入り込んで該上側接触部と該下側接触部との間に形成される空間に詰まりやすく、前記蓋体のガタツキをより一層抑えることができる。
【0068】
またさらに、前記受枠が、一定の角度で傾斜した前記内周面を有するものであるため、該受枠の製造コストを抑えることができるとともに、従来一般的に使用されている受枠を採用することもできる。
【0069】
また、この地下構造物用蓋受枠セットにおいて、前記上側接触部と前記下側接触部は、前記閉蓋状態において、前記内周面との接触面積が異なるものであってもよい。
【0070】
前記上側接触部と前記下側接触部とにおいて、前記内周面との接触面積を異ならせることで、前記蓋体と前記受枠との接触部分に生じる応力(ベクトル)が散乱し、該蓋体のガタツキをより抑えることができる。
【0071】
ここで、前記閉蓋状態において、前記上側接触部と前記下側接触部が、共に前記内周面に面接触する態様の場合には、該上側接触部と該下側接触部の高さ方向の寸法を異ならせてもよい。
【0072】
さらに、この地下構造物用蓋受枠セットにおいて、前記蓋体は、前記天板部の裏面に設けられ、前記環状壁部の内周に接続する蓋リブを有するものであり、
前記蓋リブは、前記環状壁部に接続する部分の下端が、前記下側接触部よりも上方に位置するものであってもよい。
【0073】
こうすることで、前記閉蓋状態において、前記環状壁部における、前記下側接触部を有する部分が弾性変形しやすくなる。このため、前記蓋体の食い込みが緩和され、該蓋体が開けやすくなる。
【0074】
また、この地下構造物用蓋受枠セットにおいて、前記受枠は、前記枠本体の下端部分から外側に張り出した下側フランジ部と、該下側フランジ部の上面に設けられ該枠本体の外周に接続する枠リブを有するものであり、
前記枠リブは、前記枠本体に接続する部分の上端が、前記閉蓋状態において、前記下側接触部が接触する部分よりも下方に位置するものであってもよい。
【0075】
こうすることで、前記閉蓋状態において、前記枠本体における、前記上側接触部と前記下側接触部が接触する部分が弾性変形しやすくなる。このため、前記蓋体の食い込みが緩和され、該蓋体が開けやすくなる。
【0076】
さらに、この地下構造物用蓋受枠セットにおいて、前記上側接触部と前記内周面、および前記下側接触部と該内周面は、前記閉蓋状態において、前記枠本体および前記環状壁部の何れか一方の弾性変形による押圧力によって互いに押圧されてもよい。
【0077】
例えば、前記枠本体と前記環状壁部の剛性を異ならせる等により該枠本体および該環状壁部の何れか一方を弾性変形させることで、該受枠に対する該蓋体の沈み込みが大きくなった場合でも、該蓋体の開けにくさを軽減することができる。なお、前記閉蓋状態において、前記枠本体や前記環状壁部を塑性変形させる態様の場合には、該閉蓋状態から一旦前記蓋体を開け、再び閉蓋状態にした場合に、該枠本体や該環状壁部が塑性変形した部分に合致せず、該蓋体にガタツキが生じる虞がある。
【0078】
また、この地下構造物用蓋受枠セットにおいて、前記蓋体は、前記天板部の裏面に設けられ、前記環状壁部の内周に接続する蓋リブを有するものであり、
前記受枠は、前記枠本体の下端部分から外側に張り出した下側フランジ部と、該下側フランジ部の上面に設けられ該枠本体の外周に接続する枠リブを有するものであり、
前記蓋リブは、前記環状壁部に接続する部分の下端が、前記下側接触部よりも上方に位置するものであり、
前記枠リブは、前記枠本体に接続する部分の上端が、前記閉蓋状態において、前記下側接触部が接触する部分よりも上方に位置するものであってもよい。
【0079】
こうすることで、前記蓋体の前記環状壁部における、前記下側接触部を有する部分の剛性が低くなり、前記閉蓋状態において、前記枠本体における、該下側接触部が接触する部分の剛性が高くなる。これにより、前記蓋体の前記環状壁部における、前記下側接触部を有する部分が弾性変形しやすくなり、該蓋体が開けやすくなる。
【0080】
さらに、この地下構造物用蓋受枠セットにおいて、前記蓋体は、前記天板部の裏面に設けられ、前記環状壁部の内周に接続する蓋リブを有するものであり、
前記受枠は、前記枠本体の下端部分から外側に張り出した下側フランジ部と、該下側フランジ部の上面に設けられ該枠本体の外周に接続する枠リブを有するものであり、
前記蓋リブは、前記環状壁部に接続する部分の下端が、前記下側接触部の上端よりも下方に位置するものであり、
前記枠リブは、前記枠本体に接続する部分の上端が、前記閉蓋状態において、前記下側接触部が接触する部分よりも下方に位置するものであってもよい。
【0081】
こうすることで、前記蓋体の前記環状壁部における、前記下側接触部を有する部分の剛性が高くなり、前記閉蓋状態において、前記枠本体における、該下側接触部が接触する部分の剛性が低くなる。このため、前記枠本体における、前記下側接触部が接触する部分が弾性変形しやすくなり、前記蓋体が開けやすくなる。
【符号の説明】
【0082】
10 蓋受枠セット
2 マンホール蓋
21 天板部
22 環状壁部
2211 上側接触部
2212 下側接触部
23 蓋リブ
23L 接続下端部
3 受枠
31 枠本体
3111 内周面
32 下側フランジ部
33 枠リブ
33H 接続上端部
H 開口