(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】OLEDパネル、OLED表示装置およびOLEDパネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
H05B 33/04 20060101AFI20220607BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220607BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20220607BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20220607BHJP
【FI】
H05B33/04
H05B33/14 A
H05B33/02
H05B33/10
(21)【出願番号】P 2016185109
(22)【出願日】2016-09-23
【審査請求日】2019-09-19
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チョ ドンウ
【審査官】横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/002746(WO,A1)
【文献】特開2012-123240(JP,A)
【文献】特開2015-030734(JP,A)
【文献】特開2007-012372(JP,A)
【文献】特開2006-032356(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0078269(KR,A)
【文献】特開2016-091793(JP,A)
【文献】特開2006-185658(JP,A)
【文献】特開2010-244698(JP,A)
【文献】国際公開第2013/136697(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/04
H01L 51/50
H05B 33/02
H05B 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板フィルムと、
前記基板フィルム上に設けられた無機膜と、
前記無機膜上に設けられた複数のOLED素子と、
前記OLED素子を包囲する包囲封止体と、
前記包囲封止体を覆うように前記包囲封止体に接合された封止フィルムと、
前記包囲封止体の側部を覆う側部封止体とを
備え、
前記基板フィルムおよび前記封止フィルムは、前記包囲封止体よりも広い面積を有し、前記包囲封止体から突出しており、
前記無機膜は、前記包囲封止体よりも広い面積を有し、前記包囲封止体から突出しており、
前記側部封止体は、前記包囲封止体の側部、前記無機膜および前記封止フィルムで画定された空間内に充填され、前記包囲封止体の側部、前記無機膜および前記封止フィルムに接触し、
前記側部封止体は、高分子材料である母材、他の部品との密着力を向上させる
シランカップリング剤、無機粒子、および残留ガスおよび/または水分を吸収する添加剤を含み、
前記包囲封止体は、感圧接着剤から形成され、
前記封止フィルムは
ステンレス鋼で形成されていて、
前記OLED素子で発生した光は前記基板フィルム側に向けて放出さ
れ、
前記基板フィルムはフレキシブルであり、フロントフィルムが前記基板フィルムに取り付けられている、OLEDパネル。
【請求項2】
前記基板フィルムおよび前記封止フィルムは、同形同大であり、それらの端縁が揃えられている、
請求項1に記載のOLEDパネル。
【請求項3】
前記基板フィルム、前記無機膜および前記封止フィルムは、同形同大であり、それらの端縁が揃えられている、請求項1に記載のOLEDパネル。
【請求項4】
前記無機粒子は、二酸化ケイ素、または酸化チタンである、
請求項1に記載のOLEDパネル。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれか一項に記載のOLEDパネルを製造する製造方法であって、
前記基板フィルム上に前記複数のOLED素子を設けることと、
前記包囲封止体で前記OLED素子を包囲させることと、
前記包囲封止体を覆うように前記包囲封止体に前記封止フィルムを接合することと、
前記側部封止体の
前記シランカップリング剤を含む材料が前記基板フィルムおよび前記封止フィルムの端縁から突出するように、前記包囲封止体の側部、前記無機膜および前記封止フィルムで画定された空間を、前記側部封止体の
前記材料で完全に充填することと、
前記側部封止体の
前記材料を硬化させて前記側部封止体を形成することとを備える、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OLEDパネル、OLED表示装置およびOLEDパネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光デバイスとして、OLEDパネルが使用されている。近年では、OLEDパネルの薄型化が進んでおり、曲げることが可能な、フレキシブルな薄型OLEDパネルが開発されている。薄型OLEDパネルには、側面封止の性能を向上させるため、特許文献1に記載のように、側面封止層が設けられているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
OLEDパネルについては、耐久性を向上させて寿命を延ばすために、さらに封止性能を高めることが望まれている。また、薄型のOLEDパネルの側部に封止体を設けるには、その封止体の材料を硬化させるのが一般的であるが、その材料を確実に側部の所定箇所に保持することが困難なことがある。
【0005】
そこで、本発明は、さらに封止性能を高めることが可能であるとともに、側部を封止する封止体の材料を側部の所定箇所に保持することが容易なOLEDパネル、これを用いたOLED表示装置およびOLEDパネルの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るOLEDパネルは、基板フィルムと、前記基板フィルム上に設けられた複数のOLED素子と、前記OLED素子を包囲する包囲封止体と、前記包囲封止体を覆うように前記包囲封止体に接合された封止フィルムと、前記包囲封止体の側部を覆う側部封止体とを備え、前記基板フィルムおよび前記封止フィルムは、前記包囲封止体よりも広い面積を有し、前記包囲封止体から突出しており、前記側部封止体は、前記包囲封止体の側部、前記基板フィルムおよび前記封止フィルムで画定された空間内に充填されている。
【0007】
前記基板フィルムおよび前記封止フィルムは、同形同大であり、それらの端縁が揃えられていると好ましい。
【0008】
前記基板フィルムには無機膜が形成されており、前記OLED素子は、前記無機膜上に設けられており、前記無機膜は、前記包囲封止体よりも広い面積を有し、前記包囲封止体から突出しており、前記側部封止体は、前記包囲封止体の側部、前記無機膜および前記封止フィルムで画定された空間内に充填され、前記包囲封止体の側部、前記無機膜および前記封止フィルムに接触すると好ましい。
【0009】
前記基板フィルム、前記無機膜および前記封止フィルムは、同形同大であり、それらの端縁が揃えられていると好ましい。
【0010】
前記側部封止体は、高分子材料である母材と、他の部品との密着力を向上させる添加剤を含有する材料から形成されていると好ましい。
【0011】
前記封止フィルムがガラスまたはステンレス鋼で形成されていると好ましい。
【0012】
本発明に係るOLED表示装置は、上記のOLEDパネルを備える。
【0013】
本発明に係るOLEDパネルの製造方法は、上記のOLEDパネルを製造する製造方法であって、前記基板フィルム上に複数のOLED素子を設けることと、前記包囲封止体で前記OLED素子を包囲させることと、前記包囲封止体を覆うように前記包囲封止体に前記封止フィルムを接合することと、前記包囲封止体の側部、前記基板フィルムおよび前記封止フィルムで画定された空間内に、前記側部封止体の材料を充填することと、前記側部封止体の材料を硬化させて前記側部封止体を形成することとを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、側部封止体が包囲封止体の側部、基板フィルムおよび封止フィルムで画定された空間内に充填されている。したがって、OLEDパネルの製造において、側部を封止する封止体の材料を側部の所定箇所に保持することが容易である。別の観点でいえば、本発明においては、側部封止体が包囲封止体の側部に接触し、封止フィルムの包囲封止体から突出した部分に接触し、その部分に対向する部分にも接触する。このように接触領域が大きいことから、OLEDパネルの封止性能をさらに高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係るOLEDパネルの一例を概略的に示す断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るOLEDパネルの製造方法の概略を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の実施形態に係るOLEDパネルの製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図4】比較例のOLEDパネルを概略的に示す断面図である。
【
図5】
図4のOLEDパネルの製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図6】側部封止体の材料に含まれる他の部品との密着力を向上させる添加剤の効果を確認するための実験結果を示すグラフである。
【
図8】電圧増加率および密着力の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本願発明の目的、長所および新規な特徴は、添付の図面と関連する以下の詳細な説明からより明白になる。異なる図面において、同一または機能的に類似の要素を示すために、同一の参照符号が使用される。図面は概略を示しており、図面の縮尺は正確でないことを理解されたい。
【0017】
実施形態に係るOLEDパネルは、表示装置に使用される表示パネルであるが、このOLEDパネル10は照明装置に使用される照明パネルであってもよい。表示パネルはフレキシブルな表示パネルであるが、そうでなくてもよい。照明パネルもフレキシブルな照明パネルであるが、そうでなくてもよい。
【0018】
図1に示すように、本発明の実施形態に係るOLEDパネル10は、基板フィルム(フレキシブル基板、フレキシブルフィルム)12と、その上に形成されたバリア層である無機膜14とを備える。基板フィルム12は、高分子材料、例えばポリイミドから形成されている。無機膜14は、無機材料、例えば窒化ケイ素から形成されている。
【0019】
無機膜14の上には、OLED層16が形成されている。詳細な図示はしないが、OLED層16は陽極、陰極、発光層などの層を有しており、複数のOLED素子を有する。したがって、複数のOLED素子は、無機膜14上、ひいては基板フィルム12上に設けられている。図示しないが、OLED素子を発光させるためのTFT(thin film transistor)層、OLED素子から発せられた光に色を与えるカラーフィルタ層などの他の層もOLEDパネル10に設けてもよい。
【0020】
無機膜14には、高分子材料を主成分とする材料から形成された包囲封止体18が接合されており、包囲封止体18はOLED層16を包囲して、OLED素子を外部の水分および空気から保護する。さらに包囲封止体18の上には、包囲封止体18全体を覆うように封止フィルム20が接合されている。封止フィルム20は、例えばガラスまたは金属から形成されている。包囲封止体18を例えば感圧接着剤(pressure sensitive adhesive、PSA)から形成すれば、無機膜14上に包囲封止体18と封止フィルム20を容易に設けることができる。封止性能を向上させるため、包囲封止体18の材料には、残留ガスおよび/または水分を吸収する添加剤を混合することが好ましい。
【0021】
このOLEDパネル10は、OLED層16で発生した光を基板フィルム12側(すなわち図の下方)に向けて放出するボトムエミッションタイプである。基板フィルム12には、OLEDパネル10の強度を向上させるため、フロントフィルム(補強フィルム)を接合してもよい。
【0022】
包囲封止体18は、基板フィルム12および無機膜14の全面積(図の上から下に見たときの全面積)の一部に設けられている。封止フィルム20は包囲封止体18よりも広い面積(図の上から下に見たときの面積)を有している。したがって、基板フィルム12、無機膜14および封止フィルム20は、包囲封止体18よりも広い面積を有し、包囲封止体18から突出している。
【0023】
OLEDパネル10には、包囲封止体18の側部、より具体的には包囲封止体18の全周を覆う側部封止体22が設けられている。側部封止体22は、包囲封止体18の側部、無機膜14および封止フィルム20で画定された空間内に充填され、包囲封止体18の側部、無機膜14および封止フィルム20に接触する。
【0024】
側部封止体22は、高分子材料(例えば、アクリル、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアミド等)である母材と、無機粒子(例えば、二酸化ケイ素、酸化チタン等)と、残留ガスおよび/または水分を吸収する添加剤とを含有する材料から形成されている。無機粒子および残留ガスおよび/または水分を吸収する添加剤により、側部封止体22の封止性能が向上させられている。
【0025】
好ましくは、側部封止体22の材料は、他の部品との密着力を向上させる添加剤をさらに含有する。他の部品との密着力を向上させる添加剤を含有するため、側部封止体22は、包囲封止体18の側部、無機膜14および封止フィルム20との密着力が高い。このため、側部封止体22の封止性能がさらに向上させられている。特に、無機粒子および残留ガスおよび/または水分を吸収する添加剤の添加は、側部封止体22の柔軟性を低下させるが、密着力を向上させる添加剤によって、側部封止体22は、包囲封止体18の側部、無機膜14および封止フィルム20との密着を確保することができる。
【0026】
他の部品との密着力を向上させる添加剤としては、表面改質剤、界面活性剤、分散剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、接着付与剤などを挙げることができる。好ましい添加剤としては、表面改質剤および界面活性剤を挙げることができる。表面改質剤は、反応性であっても、非反応性であってもよく、フッ素系およびシリコーン系の物質が例示できる。界面活性材としては、イオン性、ノニオン性の物質が例示できる。具体的な添加剤としては、シランカップリング剤を挙げることができる。
【0027】
基板フィルム12、無機膜14および封止フィルム20は、同形同大であり、それらの端縁が揃えられている。したがって、OLEDパネル10の製造が容易である。但し、封止フィルム20は、包囲封止体18よりも広い面積を有し、包囲封止体18から突出していれば、無機膜14および封止フィルム20と同形同大でなくてもよい。
【0028】
図2は、OLEDパネル10の製造方法の概略を示すフローチャートである。OLEDパネル10を製造するには、まず、基板フィルム12上に複数のOLED素子を含むOLED層16を公知の手法で設ける(ステップS1)。ステップS1は、基板フィルム12上に無機膜14を形成することも含む。ステップS1は、上記のTFT層、カラーフィルタ層などの他の層を設けることを含んでもよい。
【0029】
次に、公知の手法で、包囲封止体18でOLED層16を包囲させる(ステップS2)。さらに、公知の手法で、包囲封止体18を覆うように包囲封止体18に封止フィルム20を接合する(ステップS3)。
【0030】
次に、包囲封止体18の側部、無機膜14および封止フィルム20で画定された空間内に、側部封止体22の材料を充填する(ステップS4)。ステップS4で、充填された側部封止体22の材料22Aを
図3に示す。ステップS4では、包囲封止体18の側部、無機膜14および封止フィルム20で画定された空間内に、側部封止体22の材料を充填するので、側部を封止する側部封止体22の材料22Aを側部の所定箇所に保持することが容易である。このとき、
図3に示すように、基板フィルム12を下、封止フィルム20を上にして、構造体を床またはその他の面に配置してもよいし、上下を反転させて、基板フィルム12を上、封止フィルム20を下にして、構造体を床またはその他の面に配置してもよい。
【0031】
次に、側部封止体22の材料22Aを硬化させて側部封止体22を形成する(ステップS5)。例えば、材料22Aが紫外線硬化性樹脂である場合には、
図3の矢印に示すように、材料22Aに紫外線を照射する。
【0032】
図4は比較例のOLEDパネル50を概略的に示す断面図である。
図4において、
図1と共通する構成要素には同一の符号を付けて、その説明を省略する。このOLEDパネル50の一つの側部では、基板フィルム12、無機膜14、OLED層16および封止フィルム20が面一に揃えられている。このため、側部封止体52は、この部分では、基板フィルム12、無機膜14、包囲封止体18および封止フィルム20の側端部に接合されているが、上下方向では、側部封止体52に接触するものは何もない。
【0033】
OLEDパネル50の他の側部では、基板フィルム12および無機膜14が包囲封止体18よりも突出しているが、封止フィルム20は包囲封止体18と面一である。このため、側部封止体52は、この部分では、無機膜14の表面に接合されており、包囲封止体18および封止フィルム20の側端部に接合されている。側部封止体52の上方法には、側部封止体52に接触するものは何もない。
【0034】
このOLEDパネル50を製造する方法は、
図2のフローチャートに示す方法のステップS1~S3を使用する。但し、ステップS4の代わりに、
図5に示すように、上下を反転させて、基板フィルム12を上、封止フィルム20を下にして、構造体を床またはその他の面54に配置し、側部に側部封止体52の材料52Aを特殊な塗布装置で塗布する。
【0035】
次に、側部封止体52の材料52Aを硬化させて側部封止体52を形成する。例えば、材料52Aが紫外線硬化性樹脂である場合には、
図5の矢印に示すように、材料52Aに紫外線を照射する。
【0036】
OLEDパネル50の製造においては、側部封止体52の材料52Aの上または下に、材料52Aを支持するものがないため、材料52Aの塗布には特殊な塗布装置が必要であり、また材料52Aを側部の所定箇所に保持することが困難である。また、側部封止体52の材料52Aが完全に硬化するまでは、材料52Aがべとついて面54に付着するおそれがあるため、OLEDパネル50を面54から搬送することができない。特に、酸素の存在のために、材料52Aが硬化しにくい環境では、例えば、エポキシ樹脂のような硬化しやすい材料を材料52Aとして使用することができるが、他の材料を材料52Aとして使用することができない。
【0037】
他方、本発明の実施形態によれば、包囲封止体18の側部、無機膜14および封止フィルム20で画定された空間内に、側部封止体22の材料を充填するので、側部を封止する側部封止体22の材料22Aを側部の所定箇所に保持することが容易である。また、側部封止体22の材料22Aが完全に硬化する前に、OLEDパネル10を搬送することができる。酸素の存在のために、材料22Aが硬化しにくい環境であっても、OLEDパネル10を搬送することができるので、材料22Aの選択肢が幅広い。安価な材料を選択することにより、OLEDパネル10の製造コストを低減することができる。
【0038】
別の観点でいえば、本発明の実施形態においては、側部封止体22が包囲封止体18の側部に接触し、封止フィルム20の包囲封止体18から突出した部分に接触し、その部分に対向する無機膜14の部分にも接触する。このように接触領域が大きいことから、OLEDパネル10の封止性能をさらに高めることが可能である。そして、側部封止体22の材料が他の部品との密着力を向上させる添加剤を含有するため、側部封止体22は、包囲封止体18の側部、無機膜14および封止フィルム20との密着力が高い。
【0039】
図6は、OLEDパネル10の側部封止体22の材料に含まれる他の部品との密着力を向上させる添加剤の効果を確認するための実験結果を示すグラフであり、
図7は同実験結果を示す表である。
図6のグラフは
図7に示す数値を表示する。
【0040】
略号Gは、封止フィルム20がガラスで製造されていることを示す。Sは、封止フィルム20がステンレス鋼で製造されていることを示す。S4は、封止フィルム20が別の種類のステンレス鋼で製造されていることを示す。Refは、封止フィルム20がないことを示す。
【0041】
Aは、側部封止体22の材料に界面活性剤(具体的にはシランカップリング剤)が含有されていることを示す。Aがなければ、側部封止体22の材料に界面活性剤が含有されていないことを示す。つまり、例えば、
図6および
図7のGAは、封止フィルム20がガラスで製造されており、側部封止体22の材料に界面活性剤が含有されていることを示す。
図6および
図7のSは、封止フィルム20がステンレス鋼で製造されており、側部封止体22の材料に界面活性剤が含有されていないことを示す。
【0042】
この実験では、温度60℃、湿度90%の環境下で、0.9mAの電流をOLED素子に流し、経過時間とOLED素子の陽極陰極間の電圧の関係を調べた。一定電流の下、電圧が増加するということは、水分がOLED素子の発光層に侵入してその抵抗が高くなるということを示す。つまり、一定電流の下、電圧の増加率が高いということは、封止性能が弱いということを示す。
【0043】
また、この実験では、OLEDパネル10の側部封止体22と封止フィルム20との間の密着性を判断する指標として、側部封止体22と封止フィルム20の間のせん断強さを測定した。
【0044】
図6および
図7の結果から明らかなように、GAの封止性能が最も高く、S4Aがその次、SAがその次、Sがその次であり、Refの性能が当然ながら最も低い。SAとSの比較から明らかなように、上記添加剤による密着力向上の効果は明らかである。
【0045】
封止性能が電圧増加率および密着力と関係することは、
図8に示すグラフからも明らかである。
図8のグラフは、
図6および
図7の実験における448時間経過後の電圧増加率と、側部封止体22と封止フィルム20の間のせん断強さの関係を示す。
図8から明らかなように、電圧増加率と密着力(せん断強さ)はおおむね反比例関係にあり、これらは水分浸透と密接な関係にある。
【0046】
以上、本発明の様々な実施形態を説明したが、上記の説明は本発明を限定するものではなく、本発明の技術的範囲において、構成要素の削除、追加、置換を含む様々な変形例が考えられる。
【符号の説明】
【0047】
10 OLEDパネル
12 基板フィルム
14 無機膜
16 OLED層
18 包囲封止体
20 封止フィルム
22 側部封止体
22A 側部封止体22の材料