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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20220607BHJP
   H01M 50/238 20210101ALI20220607BHJP
   H01M 50/222 20210101ALI20220607BHJP
   H01M 50/227 20210101ALI20220607BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20220607BHJP
   H01M 50/317 20210101ALI20220607BHJP
   H01M 50/213 20210101ALI20220607BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M50/204 101
H01M50/238
H01M50/222
H01M50/227
H01M50/293
H01M50/317 201
H01M50/213
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017144323
(22)【出願日】2017-07-26
(65)【公開番号】P2019029086
(43)【公開日】2019-02-21
【審査請求日】2020-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(72)【発明者】
【氏名】拝野 真己
(72)【発明者】
【氏名】村松 孝一
【審査官】森 透
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-116238(JP,A)
【文献】国際公開第2017/110037(WO,A1)
【文献】特開2016-197572(JP,A)
【文献】中国実用新案第206059543(CN,U)
【文献】国際公開第2010/058587(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/184993(WO,A1)
【文献】特開2005-116374(JP,A)
【文献】特開2008-293863(JP,A)
【文献】特開2005-317459(JP,A)
【文献】特開2008-166208(JP,A)
【文献】特開2013-012441(JP,A)
【文献】国際公開第2015/029619(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/30-50/392
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池が電池ホルダーを介して定位置に配置されてなる電池ブロックと、
前記電池ブロックを収納してなる可撓性シートからなる防水袋と、
前記防水袋に前記電池ブロックが収納されてなる電池組立を内蔵してなる外装ケースとを備える電池パックであって、
前記外装ケースと前記電池ブロックとの間に、前記電池から排出される排出ガスの温度を越える耐熱温度の耐熱シートが配置され、
前記耐熱シートが、前記防水袋の内側又は外側に配置され、
前記耐熱シートが前記防水袋に連結されて、前記電池ブロックと前記外装ケースとの間の定位置に配置され
前記防水袋が前記耐熱シートを収納する収納袋を有し、前記耐熱シートが前記収納袋に収納されて定位置に配置されてなることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
請求項1に記載されるに電池パックであって、
前記耐熱シートが可撓性シートであることを特徴とする電池パック。
【請求項3】
請求項2に記載される電池パックであって、
前記耐熱シートが耐熱繊維を方向性なく集合してなるシートであることを特徴とする電池パック。
【請求項4】
請求項3に記載される電池パックであって、
前記耐熱繊維が無機繊維であることを特徴とする電池パック。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載される電池パックであって、
前記耐熱シートが前記防水袋に接着して定位置に配置されてなることを特徴とする電池パック。
【請求項6】
請求項に記載される電池パックであって、
前記防水袋が逆止弁を有し、前記収納袋が前記逆止弁に対向して前記防水袋の内側に配置されてなることを特徴とする電池パック。
【請求項7】
請求項1ないしのいずれかに記載される電池パックであって、
前記防水袋にポッティング樹脂が充填されて、前記ポッティング樹脂が前記電池ブロックと前記防水袋とを熱結合してなることを特徴とする電池パック。
【請求項8】
請求項1ないしのいずれかに記載される電池パックであって、
前記防水袋が船底形状であることを特徴とする電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出弁のある複数の電池を外装ケースに収納している電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
電池は、充放電の条件が厳しく、あるいは温度などの外的環境が厳しい状態で使用されると、温度が上昇し、内圧が異常に上昇することがある。内圧の異常な上昇は電池ケースを破裂させるので、この弊害を防止するために排出弁を備えた電池が開発されている。排出弁は内圧が設定圧力よりも高くなると開弁して電池ケースの破裂を防止する。排出弁のある多数の電池を電池ケースに収納する電池パックは開発されている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-79547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この電池パックは、何れかの電池の内圧が設定圧力よりも高くなると排出弁が開弁して、電池ケースの破裂を防止できる。排出弁は、電池の充放電や外的環境が異常な状態で開弁するので排出ガスの温度は相当に高く、高温の排出ガスが電池ケースを破損して安全性を低下させる原因となる。この弊害は電池ケースを厚くて強固な金属製として解消できるが、この構造によると電池パックは重くなり、また部品コストも高くなる欠点がある。
【0005】
本発明は、以上の欠点を解決することを目的に開発されたもので、本発明の目的の一つは、全体を軽量化しながら、排出弁から排出される高温に排出ガスによる損傷を防止して高い安全性を保障できる電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
本発明のある態様にかかる電池パックは、複数の電池1が電池ホルダー2を介して定位置に配置されてなる電池ブロック4と、電池ブロック4を収納してなる可撓性シートからなる防水袋5と、防水袋5に電池ブロック4が収納されてなる電池組立10を内蔵してなる外装ケース9とを備えている。外装ケース9と電池ブロック4との間には、電池1から排出される排出ガスの温度を越える耐熱温度の耐熱シート6を配置している。さらに、耐熱シート6が、防水袋5の内側又は外側に配置され、さらに、電池パックは、耐熱シート6を防水袋5に連結して、電池ブロック4と外装ケース9との間の定位置に配置され
防水袋5は耐熱シート6を収納する収納袋を有し、耐熱シート6が収納袋に収納されて定位置に配置されている。
【0007】
以上の電池パックは、全体を軽量化しながら、排出弁から排出される高温の排出ガスによる損傷を防止して高い安全性を保障できる特徴がある。それは、以上の電池パックが、電池ホルダーで電池を定位置に配置する電池ブロックを防水袋に収納し、さらに防水袋の定位置に、開弁する排出弁から排出される高温の排出ガスの温度を超える耐熱温度の耐熱シートを連結して、耐熱シートを防水袋を介して外装ケースと電池ブロックとの間の定位置に配置するからである。耐熱シートでもって、高温の排出ガスから外装ケースを保護する構造は、外装ケースを厚い金属製とする構造に比較して全体を著しく軽量化し、またコンパクトにできる特徴がある。さらに、以上の電池パックは、耐熱シートを防水袋に連結して定位置に配置するので、耐熱シートを必要な位置に正確に配置しながら、組み立てを著しく簡単にして能率よく多量生産できる特徴も実現する。防水袋の内側又は外側に耐熱シートを配置するため、耐熱シートは電池ブロックの表面に連結し、あるいは外装ケースの内面に連結することもでき、耐熱シートを防水袋の内側に配置して耐熱シートでもって防水袋と外装ケースの両方を保護でき、また、耐熱シートを防水袋の外側に配置して耐熱シートを最も簡単に防水袋の定位置に連結できるが、電池ブロックの表面や外装ケースの内面は、ランダムな凹凸形状で耐熱シートを位置ずれしないように定位置に配置することが難しく、また、組み立て工程で定位置に配置しても、経時的に位置ずれしやすい欠点がある。これに対して可撓性シートの防水袋は、平面状として耐熱シートを定位置に連結できるので、極めて簡単に防水袋の定位置に連結できる特徴がある。さらに、防水袋は、電池ブロックを移動しない状態で収納して防水構造とするので、防水袋の定位置に連結され
た耐熱シートは、経時的に位置ずれすることがなく、長期間にわたって外装ケースを保護して高い安全性を確保できる特徴も実現する。
【0008】
本発明の他の態様にかかる電池パックは、耐熱シート6を可撓性シートとすることができる。この電池パックは、防水袋と耐熱シートの両方を可撓性シートとするので、防水袋に電池ブロックを収納する状態で、防水袋と耐熱シートの両方が電池ブロックと電池ケースとの間で両者に挟まれて理想的な形状に変形する。このため、耐熱シートを電池ブロックと外装ケースとの間の狭い隙間に配置できるので、外装ケースをコンパクトにしながら、高温の排出ガスから外装ケースを保護できる特徴が実現できる。
【0009】
本発明の他の態様にかかる電池パックは、耐熱シート6を、耐熱繊維を方向性なく集合してなるシートとすることができ、さらに、耐熱繊維を無機繊維とすることができる。この電池パックは、耐熱繊維を集合する厚さを調整して耐熱特性を最適値にコントロールしながら、電池ブロックと外装ケースとの狭い隙間に配置できる最適な厚さにも調整できる特徴がある。さらに、耐熱繊維の材質を選択し、あるいは複数の耐熱繊維を混合して耐熱シートとすることで、理想的な耐熱特性を実現できる特徴も実現する。
【0010】
本発明の他の態様にかかる電池パックは、耐熱シート6を防水袋に接着して定位置に配置することきができる。この電池パックは、防水袋に簡単かつ容易に耐熱シートを連結して、能率よく多量生産できる特徴も実現する。
【0011】
本発明の電池パックは、防水袋5に耐熱シート6を収納する収納袋7を設けて、耐熱シート6を収納袋7に収納して、定位置に配置することができる。この電池パックは、とくに簡単に耐熱シートを防水袋の定位置に連結できる特徴がある。
【0013】
さらに、本発明の他の態様にかかる電池パックは、防水袋5に逆止弁15を設けて、収納袋7を逆止弁15に対向して防水袋5の内側に配置することができる。この電池パックは、防水袋に配置される逆止弁の内側に収納袋を配置することにより、逆止弁の内側を保護できる。この電池パックは、例えば、防水袋に注入されるポッティング樹脂による逆止弁の閉塞を防止できる。すなわち、収納袋に耐熱シートを配置することにより、逆止弁を保護しながらポッティング樹脂を注入する保護シートに併用できる特徴を実現する。
【0014】
さらに、本発明の他の態様にかかる電池パックは、防水袋5にポッティング樹脂13を充填して、ポッティング樹脂13を電池ブロック4と防水袋5とに熱結合することができる。この電池パックは、電池ブロックと防水袋とをポッティング樹脂で熱結合するので、発熱する電池の熱エネルギーを効率よく分散して、電池の熱暴走の誘発を効果的に防止できる特徴がある。また、ポッティング樹脂を介して防水袋が電池ブロックの定位置に配置されるので、防水袋に連結している耐熱シートの位置も電池ブロックの最適位置に位置ずれしないように配置できる特徴がある。
【0015】
さらにまた、本発明の他の態様にかかる電池パックは、防水袋5を船底形状とすることができる。この電池パックは、電池ブロックを簡単かつ容易に防水袋の定位置に収納できる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態にかかる電池パックの斜視図である。
図2図1に示す電池パックの分解斜視図である。
図3】電池ブロックの斜視図である。
図4図3に示す電池ブロックの分解斜視図である。
図5】防水袋に電池ブロックを収納する状態を示す斜視図である。
図6】防水袋の他の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、以下のものに特定しない。なお、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。さらにまた、明細書において上下方向は図面において特定するものとする。
【0018】
図1ないし図4に示す電池パックは、複数の電池1を電池ホルダー2で定位置に配置している電池ブロック4と、電池ブロック4を収納している可撓性シートの防水袋5と、防水袋5に電池ブロック4を収納している電池組立10を内蔵している外装ケース9とを備え、外装ケース9と電池ブロック4との間に耐熱シート6を配置している。
【0019】
(電池1)
電池1は、図4に示すように、両端に正負の電極を設けており、一方の電極を封口板の凸部電極11とし、他方の端部を外装缶の底面の平面電極12としている。電池1は、凸部電極11に排出口を設けているリチウムイオン二次電池の円筒形電池である。リチウムイオン二次電池は、大きさや重量に対する容量が大きく、電池パックのトータル容量を大きくできる。ただし、本発明の電池パックは、電池1をリチウムイオン二次電池には特定しない。電池1には、現在使用され、さらにこれから開発される全ての二次電池、たとえば他の非水系電解液二次電池やニッケル水素電池等も使用できる。また、図の電池パックは、電池1を円筒形電池とするが、電池には角形電池も使用できる。各々の電池1は、その両端の電極にリード板3をスポット溶接などの方法で溶接して、隣接する電池1を直列又は並列に接続している。
【0020】
電池1は封口板の内部に排出弁(図示せず)を内蔵している。排出弁は、電池1の内圧が設定圧力よりも高くなると開弁して電池ケースが破裂するのを防止する。開弁する排出弁は、排出ガスを外部に排出して内圧の上昇を防止する。開弁した排出弁から排出ガスを排出するために、封口板は、凸部電極11の周囲に排出口を設けている。電池1は、内圧が設定圧力よりも高くなると、排出弁を開弁し、凸部電極11の周囲に設けた排出口から排出ガスを外部に排出して、内圧の上昇による破裂が防止される。
【0021】
(電池ホルダー2)
電池ホルダー2は、電池1を平行姿勢とし、凸部電極11及び平面電極12のある端面を同一平面に配置して定位置に配置している。電池ホルダー2は、プラスチック等の絶縁材を成形して制作される。図3図4に示す電池ホルダー2は、両端面を同一平面に配置している各々の電池1の両端面部をカバーする電極カバー部21と、各々の電池1を挿入して定位置に配置する挿入部22とを一体的に成形して設けている。電池ホルダー2は、すべての電池1を平行な姿勢で定位置に配置して、電池1の両端にリード板3を溶接して接続するが、各々の電池1の端面に平面状のリード板3を接続するために、電池ホルダー2は、各々の電池1をその両端部がほぼ同一面に位置するように、挿入部22に入れて特定の位置に配置している。
【0022】
図4の分解斜視図に示す電池ホルダー2は、電池1の両側に2分割して(図4において上下に2分割して)プラスチックで成形している。さらに、図3及び図4に示す電池ホルダー2は、電池1の端部をカバーする端面カバー部21の表面にポッティング樹脂13を充填する充填室23を設けている。ポッティング樹脂13は、隣接する電池1の端部を熱結合して、電池1の発熱を隣の電池1に熱伝導して電池1の熱暴走の誘発を防止する。
【0023】
電池ホルダー2は、電池1を挿入して定位置に配置する挿入部22を設けている。図の電池パックは、電池1を円筒形電池とするので、挿入部22を円筒状としている。円筒状の挿入部22は、その内径を電池1の外径よりもわずかに大きくして、スムーズに電池1を挿入できるようにしている。また、挿入する状態で、電池1の表面と挿入部22の内面との間にわずかな隙間を設けている。電池ホルダー2は、プラスチックを筒状に成形して内側に挿入部22を設けることができ、また、プラスチックをブロック状に成形してその内部に円筒状の貫通孔を設けて挿入部22を設けることができる。プラスチックを筒状に成形する電池ホルダー2は、各々の電池1を筒状の挿入部22に入れて定位置に配置する。この電池ホルダー2は、隣接する電池1を分離して成形される挿入部22に挿入するので、熱暴走をより効果的に阻止できる。また、貫通孔の挿入部22に電池1を挿入する電池ホルダー2は、熱容量が大きく、電池1の熱を吸収して電池1の温度上昇を防止できると共に、隣接する電池1の温度差をより小さくできる。
【0024】
電池ホルダー2は、電池1の端部を露出してリード板3に接続する電極窓24のある端面カバー部21を、挿入部22の両端に設けている。電極窓24は、電池1の端面を挿入部22から外部に、すなわち充填室23の底部に露出させる。電極窓24から充填室23に露出する電池端面は、充填室23の底部に配置されるリード板3に溶接して接続される。
【0025】
充填室23は、ここに未硬化でペースト状のポッティング樹脂13を充填するために、ポッティング樹脂13を充填する領域の外周に沿って周壁25を設けて、周壁25の内側を充填室23としている。充填室23に充填されるポッティング樹脂13の厚さは、周壁25の高さでコントロールできる。周壁25を高くして、多量のポッティング樹脂13を充填室23に深く充填できる。充填室23の深さは、ここに充填するポッティング樹脂13でもって、隣接する電池1の熱伝導を良くして、温度差を少なくする厚さ、たとえば約1mmないし10mmとしている。
【0026】
(リード板3)
リード板3は、導電性の金属板で、隣接する電池1の端面に接続されて、電池1を直列又は並列に接続する。リード板3は、電池1の正負の電極である凸部電極11と平面電極12に接続されて、電池1を直列又は並列に接続する。リード板3は、平面部31に接続凹部32を設けている。平面部31は、電池ホルダー2の充填室23の底面、すなわち、電池ホルダー2に設けた端面カバー部21の外面に配置され、接続凹部32は、端面カバー部21の電極窓24に案内されて、電池1の電極に向かって突出して突出面33を電池1に接続している。
【0027】
(防水袋5)
防水袋5は、図2に示すように、密閉されて電池ブロック4を防水構造にカバーし、あるいは完全に密閉することなく閉鎖構造として、電池ブロック4を耐水構造とする。図5に示す防水袋5は、可撓性シートを直方体として、底部を船底形状としている。この防水袋5は、上方を開口して底面51を平面状の船底形状としている。船底形状の底面51の周囲には、角筒の周壁52を連結する形状として底面51との対向面である上方を開口して開口部53とし、電池ブロック4を上から下に挿入できる形状としている。船底形状の防水袋5は、図5の矢印で示すように、電池ブロック4を水平姿勢として上から下に挿入して、電池ブロック4の底面と全周とを防水袋5の内面に接近する位置に配置する。この防水袋5は、電池ブロック4と防水袋5との隙間を均一にしてスムーズに挿入でき、また防水袋5を自立させる状態で電池ブロック4を簡単に挿入して電池組立10とし、電池組立10をも自立できる。この防水袋5は、電池ブロック4の挿入をスムーズに、また簡単にして、電池ブロック4を挿入する状態では、電池ブロック4から突出する部分を折り畳んで電池ブロック4に表面に沿わせる必要がない。とくにこの防水袋5は、電池ブロック4の電池1の端面との対向面のほぼ全面に均一に防水袋5を接近して沿わせることができるので、この部分に配置する後述の耐熱シート6を電池1の端面に接近して配置できる特徴がある。
【0028】
防水袋5は、可撓性のプラスチックシートである。プラスチックシートには、ポリイミド(PI)、ポリエチレンイミド(PEI)、ペット(PET)等が使用できる。これらのプラスチックシートは、可撓性と耐熱性に優れている特長がある。ただ、可撓性シートには、他のプラスチックシートも使用できる。さらに、防水袋5は、好ましくは、透光性を有する可撓性シートを使用する。この防水袋5は、内側に配置される耐熱シート6の状態や、電池ブロック4の充填室23にされるポッティング樹脂13の充填状態と硬化状態などを外側から確認できる特長がある。
【0029】
図5に示す防水袋5は、内部の空気を排気する逆止弁15を設けている。逆止弁15は、空気を排気方向に通過させて、逆方向の通過を阻止する。逆止弁15は、内部から外側に空気を排気するので、防水袋5の内部に未硬化のポッティング樹脂13が注入されると、このポッティング樹脂13が逆止弁15に流入する。逆止弁15に流入するポッティング樹脂13は、逆止弁15の内部で硬化して逆止弁15の正常な動作を阻害する。充填されるポッティング樹脂13の逆止弁15への流入を阻止するために、図5の防水袋5は、内側に配置する収納袋7を、逆止弁15に対向する位置に配置している。この収納袋7は、防水袋5の内部の定位置に耐熱シート6を配置するために防水袋5の内側に設けられる袋体である。ここに配置される収納袋7は、逆止弁15の流入側の開口部を閉塞して、未硬化のポッティング樹脂13が逆止弁15に流入するのを阻止できる。
【0030】
(耐熱シート6)
防水袋5は、内面又は外面の定位置に耐熱シート6を連結している。耐熱シート6は、電池1の排出弁から排出される排出ガス温度を越える耐熱温度のシートで、高温の排出ガスから外装ケース9を内側から保護する。耐熱シート6は、可撓性のあるシート、または可撓性のない薄板である。耐熱シート6は、表面をセラミック被覆して耐熱温度を高くできる。
【0031】
可撓性のあるシートは、耐熱繊維を方向性なく集合してなるシートである。耐熱繊維にはカーボン繊維やアルミナ繊維などの無機繊維である。この耐熱シート6は、薄板の耐熱シート6よりも優れた断熱特性があるので、より効果的に外装ケース9を熱による障害から保護できる。電池1の発熱から外装ケース9を断熱しながら、排出ガスによる弊害を防止するからである。さらに、耐熱繊維を集合している耐熱シート6は、耐熱繊維を集合する厚さを調整して耐熱特性を最適値に調整できる。耐熱繊維は集合した状態で繊維の交点をバインダーで結合し、あるいはバインダーを使用することなくシート状に集合される。バインダーで繊維を結合している耐熱シート6は、耐熱繊維の分散を防止できる。バインダーは、排出ガスで溶融し、あるいは消失しても、方向性なく立体的に集合している耐熱繊維は互いに絡まり合ってシート状を保持するので、排出ガスの温度よりも低い耐熱温度のバインダーで繊維を結合することもできる。耐熱繊維はバインダーを使用することなく所定の厚さに集合してシート状に加工できるので、耐熱シート6は必ずしも繊維をバインダーで結合する必要はない。耐熱シート6には薄い金属板も使用でき、金属板の耐熱シート6は、融点の高い金属、たとえばニッケルや、特殊ステンレス鋼などで製作される。
【0032】
耐熱シート6は、電池ブロック4と外装ケース9との間にあって、排出弁から排出される高温の排出ガスから外装ケース9を保護する。耐熱シート6は、電池ブロック4と外装ケース9の間であって、排出ガスの通路を遮断する位置に配置される。電池ブロック4は、電池ホルダー2の端面カバー部21の内側に、排出弁を設けている電池1の端部を配置するので、排出ガスは電池ホルダー2の端面カバー部21から排出される。図2の電池ブロック4は、電池ホルダー2の端面カバー部21と外装ケース9との間、すなわち端面カバー部21との対向位置に耐熱シート6を配置している。耐熱シート6は、電池ホルダー2から排出される排出ガスから外装ケース9を保護して、外装ケース9の熱による変形や溶融を防止する。耐熱シート6が端面カバー部21から排出される排出ガスを熱遮断するからである。本発明の電池パックは、耐熱シート6を配置する位置を電池ホルダー2の端面カバー部21と外装ケース9との間には特定しない。電池ブロックに排出ダクト(図示せず)を設けて、各々の電池から排出される排出ガスを排出ダクトに集めて特定の部位から排出する構造とし、あるいは排出ガスの通路に配置されるリード板が、排出ガスを端面カバー部以外の部分に案内して排出する構造とすることもできるからである。
【0033】
図5の防水袋5は、防水袋5に耐熱シート6を収納する収納袋7を設けて、この収納袋7に耐熱シート6を収納して特定位置に配置する。図5の防水袋5は、内側に収納袋7を設けて、耐熱シート6を防水袋5の内側に配置している。防水袋5の内側に配置する耐熱シート6は、排出ガスによる防水袋5の損傷を防止できる。また、耐熱シート6が防水袋5と電池ブロック4との間に挟まれて位置ずれしないように定位置に配置できる。図6に示す防水袋5は、外側に収納袋7を設けて、耐熱シート6を防水袋5の外側に配置する。この構造は、防水袋5に簡単に耐熱シート6を挿入できる。
【0034】
耐熱シート6は、接着剤で接着し、あるいは両面テープで付着し、あるいはテープで貼り付けして、防水袋5の内面又は外面の定位置に配置することもできる。防水袋5の定位置に連結された耐熱シート6は、電池組立10を外装ケース9に収納して組み立てられた状態で、電池ブロック4と外装ケース9に挟まれて定位置に配置される。電池ブロック4の表面と外装ケース9の内面は凹凸がある。組み立てられた状態で、凹凸のある電池ブロック4と外装ケース9との間に配置される耐熱シート6は、凹凸によって位置ずれが防止される。したがって、防水袋5は、電池パックを収納する工程では耐熱シート6を位置ずれしないように定位置に連結し、また、電池ブロック4を防水袋5に収納して電池組立10として、外装ケース9に配置する工程で耐熱シート6を位置ずれしないように定位置に連結する。
【0035】
電池パックは、電池ブロック4を収納する状態で、防水袋5の開口部53から未硬化でペースト状のポッティング樹脂を注入して、電池ホルダー2の充填室23にポッティング樹脂を充填する。ポッティング樹脂は、電池ブロック4と防水袋5との間に流入されて、電池ホルダー2の充填室23に充填される。充填室23に注入されたポッティング樹脂は、リード板3に熱結合状態に密着する。電池ブロック4に回路基板(図示せず)を配置する電池パックは、防水袋5に注入されるポッティング樹脂が回路基板にも密着して熱結合する。さらに、リード板3の内側にポッティング樹脂を注入する隙間(図示せず)を設けた電池パックは、リード板3と電池端部にも密着してポッティング樹脂が熱結合する。リード板3に密着して熱結合するポッティング樹脂13は、リード板3を介して発熱した電池1の熱エネルギーを隣の電池1に放熱し、リード板3と電池1とに密着して熱結合するポッティング樹脂13は、発熱した電池1の熱エネルギーを隣の電池1に放熱し、さらに、回路基板を埋設するポッティング樹脂13は、回路基板に実装しているパワーMOSFET等の半導体発熱素子を防水し、さらに放熱する。
【0036】
図5に示す防水袋5は、防水袋5に設けた逆止弁15の内側に、収納袋7を配置している。ここに配置される収納袋7は、逆止弁15の流入側を閉塞して、ペースト状のポッティング樹脂13が逆止弁15に流入するのを阻止する。この防水袋5は、収納袋7を逆止弁15の流入側がポッティング樹脂13で詰まるのを防止する遮蔽シートに併用するので、収納袋7で未硬化でペースト状のポッティング樹脂13を防水袋5に注入しながら、逆止弁15がポッティング樹脂13で詰まって動作不良を起こすのを収納袋7で防止される。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の電池パックは、軽量化しながら高い安全性が要求される用途に最適に利用される。
【符号の説明】
【0038】
1…電池
2…電池ホルダー
3…リード板
4…電池ブロック
5…防水袋
6…耐熱シート
7…収納袋
9…外装ケース
10…電池組立
11…凸部電極
12…平面電極
13…ポッティング樹脂
15…逆止弁
21…端面カバー部
22…挿入部
23…充填室
24…電極窓
25…周壁
31…平面部
32…接続凹部
33…突出面
51…底面
52…周壁
53…開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6