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▶ コリア アドヴァンスド インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】半導体素子及び半導体論理素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/82 20060101AFI20220607BHJP
   H01L 43/08 20060101ALI20220607BHJP
   H01L 21/8239 20060101ALI20220607BHJP
   H01L 27/105 20060101ALI20220607BHJP
   H03K 19/20 20060101ALI20220607BHJP
【FI】
H01L29/82 Z
H01L43/08 Z
H01L27/105 447
H03K19/20
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2017203154
(22)【出願日】2017-10-20
(65)【公開番号】P2018067713
(43)【公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-10-20
(31)【優先権主張番号】10-2016-0137412
(32)【優先日】2016-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515238703
【氏名又は名称】コリア アドヴァンスド インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パーク,ビョン グク
(72)【発明者】
【氏名】ベーク,スン ヘオン
(72)【発明者】
【氏名】パーク,キュン ウーン
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-534272(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0200003(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0267961(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/82
H01L 43/08
H01L 21/8239
H03K 19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1位置と第2位置を含む第1電極に電流が印加される入力回路と、自由磁性層の磁化方向が書込み電流回路によって印加される書込み電流によって変化する、前記第1位置と前記第2位置の間に配置された磁気トンネル接合(MTJ)を含むセルと、前記自由磁性層と絶縁層の間に配置された、前記自由磁性層と固定磁性層の間に電圧を印加する書込み電圧回路とを含むスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子を制御する方法であって、
前記書込み電圧回路を動作させて、前記固定磁性層と前記自由磁性層の間に電圧を印加して、前記セルの臨界電流値を変化させるステップと、
前記書込み電流回路を動作させることによって前記第1電極に電流を印加し、それにより前記自由磁性層の磁化方向を変化させることによって、前記セルに情報を記憶するステップとを含む、スピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子を制御する方法。
【請求項2】
スピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子であって、
第1電極と、
自由磁性層及び固定磁性層が絶縁層と制御層が近接する構造で配置された磁気トンネル接合(MTJ)を含むセルと、
前記自由磁性層と前記固定磁性層の間に電圧を印加する制御電圧ゲートとを含み、前記制御層が、前記制御電圧ゲートに印加される電圧によって前記自由磁性層と前記絶縁層の間の界面の電気的レベルを制御し、前記制御層が前記電気的レベルを制御するときに、前記セルの臨界電流値が制御される、スピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子。
【請求項3】
スピン軌道トルク(SOT)効果に基づく論理半導体素子であって、
第1位置及び第2位置を含む第1電極に電流を印加する第1入力端子と、
前記第1電極の前記第1位置と前記第2位置の間に配置され、絶縁層及び制御層の近接構造をそれらの間に置いて配置された自由磁性層及び固定磁性層を有する、磁気トンネル接合(MTJ)を含む第1セル及び第2セルと、
前記第1入力端子及び前記第1セルを通過する電流によって生成される値と前記第1入力端子及び前記第2セルを通過する電流によって生成される値とを加算することによって得られる出力値を出力する出力端子と、
前記第1セル及び前記第2セルの前記自由磁性層と前記固定磁性層の間に電圧を印加する第2入力端子とを含み、前記出力端子から得られる前記出力値が、前記第1入力端子及び前記第2入力端子が受け取る入力値のレベルに応じて数値0又は数値1に分類される、スピン軌道トルク(SOT)効果に基づく論理半導体素子。
【請求項4】
前記第1セルの前記制御層によって制御される前記自由磁性層と前記絶縁層の間の界面の電気的レベルが、前記第2入力端子に印加される電圧を使用することにより前記第2セルの前記制御層によって制御される前記自由磁性層と前記絶縁層の間の界面の電気的レベルと異なり、前記第1セル及び前記第2セルの臨界電流値が、前記異なる電気的レベルが各制御層によって異なって制御されることによって互いに異なり、前記出力端子から出力される出力値のレベルが、前記第1セル及び前記第2セルの各自由磁性層の磁化方向に応じて制御される、請求項に記載のスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく論理半導体素子。
【請求項5】
前記第1入力端子に電流が印加され、前記第2入力端子に電圧が印加されたときに、
(a)前記第1セル及び前記第2セルの前記自由磁性層の磁化方向が第1方向である場合には、第1レベルが出力され、(b)前記第1セルの前記自由磁性層の磁化方向が前記第1方向であり、前記第2セルの前記自由磁性層の磁化方向が第2方向である場合には、第2レベルが出力され、(c)前記第1セルの前記自由磁性層の磁化方向が前記第2方向であり、前記第2セルの前記自由磁性層の磁化方向が前記第1方向である場合には、前記第2レベルが出力され、
(d)前記第1セル及び前記第2セルの前記自由磁性層の磁化方向が前記第2方向である場合には、第3レベルが出力されるよう、
前記出力端子から出力値レベルが出力される、請求項に記載のスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく論理半導体素子。
【請求項6】
スピン軌道トルク(SOT)効果に基づく論理半導体素子であって、
第1位置及び第2位置を含む第1電極に電流を印加する入力回路と、
前記第1電極の第1位置と第2位置の間に配置され、絶縁層及び制御層の近接構造をそれらの間に置いて配置された自由磁性層及び固定磁性層を有する、磁気トンネル接合(MTJ)を含む第1セル及び第2セルと、
前記第1セルの前記自由磁性層と前記固定磁性層の間に電圧を印加する第1入力端子と、
前記第2セルの前記自由磁性層と前記固定磁性層の間に電圧を印加する第2入力端子と、
前記第1入力位置及び前記第1セルを通過する電流によって生成される値と前記第1入力位置及び前記第2セルを通過する電流によって生成される値とを加算することによって得られる出力値を出力する出力端子とを含み、前記入力回路が前記第1電極に電流を印加したときに、前記出力端子から出力される出力値が、前記第1入力端子及び前記第2入力端子に入力される入力値のレベルに応じて数値0又は数値1に分類される、スピン軌道トルク(SOT)効果に基づく論理半導体素子。
【請求項7】
前記第1セル及び前記第2セルの前記制御層によって制御される前記自由磁性層と前記絶縁層の間の界面の電気的レベルが、前記第1入力端子及び前記第2入力端子に印加される電圧によって調整され、前記第1セル及び前記第2セルの臨界電流値が、前記制御層によって制御される前記電気的レベルによって調整される、請求項に記載のスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく論理半導体素子。
【請求項8】
前記第1セル及び前記第2セルの前記自由磁性層の磁化方向が第1方向であり、前記入力回路に電流が印加され、前記第1入力端子及び前記第2入力端子に電圧が印加されたときに、
(a)前記第1入力端子及び前記第2入力端子に印加される電圧が第1レベルであるときには、前記第1セル及び前記第2セルの前記自由磁性層の磁化方向が前記第1方向のままであり、前記出力端子から第1レベル出力値が出力され、(b)前記第1入力端子に印加される電圧が前記第1レベルであり、前記第2入力端子に印加される電圧が第2レベルであるときには、前記第1セルの前記自由磁性層の磁化方向が前記第1方向のままであるが、前記第2セルの前記自由磁性層の磁化方向が第2方向に変化し、前記出力端子から第2レベル出力値が出力され、(c)前記第1入力端子に印加される電圧が前記第2レベルであり、前記第2入力端子に印加される電圧が前記第1レベルであるときには、前記第1セルの前記自由磁性層の磁化方向は前記第2方向に変化するが、前記第2セルの前記自由磁性層の磁化方向は前記第1方向のままであり、前記出力端子から前記第2レベル出力値が出力され、(d)前記第1入力端子及び前記第2入力端子に印加される電圧が前記第2レベルであるときには、前記第1セル及び前記第2セルの前記自由磁性層の磁化方向が前記第2方向に変化し、前記出力端子から第3レベル出力値が出力されるよう、ANDゲート又はORゲートとして作用する前記出力端子から出力値レベルが出力される、請求項に記載のスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく論理半導体素子。
【請求項9】
前記第1セル及び前記第2セルの前記自由磁性層の磁化方向が第2方向であり、前記入力回路に電流が印加され、前記第1入力端子及び前記第2入力端子に電圧が印加されたときに、
(a)前記第1入力端子及び前記第2入力端子に印加される電圧が第1レベルであるときには、前記第1セル及び前記第2セルの前記自由磁性層の磁化方向が第1方向に変化し、前記出力端子から第1レベル出力値が出力され、(b)前記第1入力端子に印加される電圧が前記第1レベルであり、前記第2入力端子に印加される電圧が第2レベルであるときには、前記第1セルの前記自由磁性層の磁化方向は前記第1方向に変化するが、前記第2セルの前記自由磁性層の磁化方向は第2方向のままであり、前記出力端子から第2レベル出力値が出力され、(c)前記第1入力端子に印加される電圧が前記第2レベルであり、前記第2入力端子に印加される電圧が前記第1レベルであるときには、前記第1セルの前記自由磁性層の磁化方向は前記第2方向のままであるが、前記第2セルの前記自由磁性層の磁化方向は前記第1方向に変化し、前記出力端子から前記第2レベル出力値が出力され、(d)前記第1入力端子及び前記第2入力端子に印加される電圧が前記第2レベルであるときには、前記第1セル及び前記第2セルの前記自由磁性層の磁化方向が前記第2方向のままであり、前記出力端子から第3レベル出力値が出力されるよう、NANDゲート又はNORゲートとして作用する前記出力端子から出力値レベルが出力される、請求項に記載のスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく論理半導体素子。
【請求項10】
スピン軌道トルク(SOT)効果に基づく論理半導体素子であって、
第1位置及び第2位置を含む第1電極に電流を印加する第1入力端子と、
前記第1電極の前記第1位置と前記第2位置の間に配置され、前記第1電極に配置された自由磁性層、前記自由磁性層に配置された制御層及び絶縁層、前記絶縁層に配置された固定磁性層を有する、磁気トンネル接合(MTJ)を含むセルと、
前記セルの前記自由磁性層と前記固定磁性層の間に電圧を印加する第2入力端子と、
前記第1電極及び前記セルを通過する電流によって生成される出力値を出力する出力端子とを含み、前記出力端子から得られる前記出力値が、前記第1入力端子及び前記第2入力端子が受け取る入力値のレベルに応じて数値0又は数値1に分類される、スピン軌道トルク(SOT)効果に基づく論理半導体素子。
【請求項11】
スピン軌道トルク(SOT)効果に基づく論理半導体素子であって、
第1位置及び第2位置を含む第1電極に電流を印加する第1入力端子と、
前記第1電極の前記第1位置と前記第2位置の間に配置され、前記第1電極に配置された自由磁性層、前記自由磁性層に配置された絶縁層、前記絶縁層に配置された固定磁性層を有する、磁気トンネル接合(MTJ)を含むセルと、
前記セルの前記自由磁性層と前記固定磁性層の間に電圧を印加する第2入力端子と、
前記第1電極及び前記セルを通過する電流によって生成される出力値を出力する出力端子とを含み、前記出力端子から得られる前記出力値が、前記第1入力端子及び前記第2入力端子が受け取る入力値のレベルに応じて数値0又は数値1に分類され、
(a)第1レベル電流が前記第1入力端子に印加され、第1レベル電圧が第2入力端子に印加されるときには、前記セルの前記自由磁性層の磁化方向が、第1方向のままであるか、又は第1方向に変化し、第1レベル出力値が前記出力端子から出力され、(b)前記第1レベル電流が前記第1入力端子に印加され、第2レベル電圧が前記第2入力端子に印加されるときには、前記セルの前記自由磁性層の磁化方向は、前記第1方向のままであるか、又は前記第1方向に変化し、前記第1レベル出力値が前記出力端子から出力され、(c)第2レベル電流が前記第1入力端子に印加され、前記第1レベル電圧が前記第2入力端子に印加されるときには、前記セルの前記自由磁性層の磁化方向は、前記第1方向のままであるか、又は前記第1方向に変化させることができ、前記第1レベル出力値が出力端子から出力され、(d) 前記第2レベル電流が前記第1入力端子に印加され、前記第2レベル電圧が前記第2入力端子に印加されるときには、前記セルの前記自由磁性層の磁化方向は、第2方向のままであるか、又は前記第2方向に変化させることができ、第2レベル出力値が出力端子から出力されるよう、
前記第1入力端子及び前記第2入力端子に入力される入力値のレベルに応じて、ORゲートとして作用する出力端子から出力値レベルが出力される、スピン軌道トルク(SOT)効果に基づく論理半導体素子。
【請求項12】
スピン軌道トルク(SOT)効果に基づく論理半導体素子であって、
第1電極に電流を印加する第1入力端子と、
前記第1電極の第1位置と第2位置の間に配置され、絶縁層及び制御層の近接構造をそれらの間に置いて配置された自由磁性層及び固定磁性層を有する、磁気トンネル接合(MTJ)を含む第1セルと、
前記第1セルの前記自由磁性層と前記固定磁性層の間に電圧を印加する第1電圧ゲートと、
前記第1セルから電流を受け取る第2電極上に配置され、絶縁層及び制御層の近接構造をそれらの間に置いて配置された自由磁性層及び固定磁性層を有する、磁気トンネル接合(MTJ)を含む第2セルと、
前記第2セルの前記自由磁性層と前記固定磁性層の間に電圧を印加する第2電圧ゲートと、
前記第2セルを通して出力される出力値を出力する出力端子と、
前記第1入力端子から印加される電流が前記第1電極、前記第1セル、及び前記第2電極に沿って流れる入力回路と、
前記第1入力端子から印加される電流が前記第1電極、前記第1セル、及び前記第2セルに沿って流れる出力回路とを含む、スピン軌道トルク(SOT)効果に基づく論理半導体素子。
【請求項13】
前記第1セルが、前記第1電圧ゲートによって印加される電圧により、前記入力回路を通して前記第2電極に印加される電流のレベルを制御する、請求項12に記載の半導体素子。
【請求項14】
前記第2セルの前記自由磁性層の磁化方向が、前記第1セルの前記自由磁性層の磁化方向及び前記第2電圧ゲートによって印加される電圧によって制御される前記第2電極上の面内電流によって制御される、請求項12に記載の半導体素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子及び半導体論理素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子についての研究の近年の対象は、磁気メモリ素子及び相変化素子である。これらの中で、磁気メモリ素子は、不揮発性であることに加えて高速及び低動作電圧を特徴とするので、これはメモリ素子として理想的である。一般に、このような磁気メモリ素子は、米国特許第5,699,293号に記載されるように、一つの磁気抵抗センサ及び一つのトランジスタを含むユニットセルで構成される。
【0003】
磁気メモリ素子の基本構造は、絶縁層をその間に置いた二つの強磁性材料を有する磁気トンネル接合(第1磁性電極/絶縁体/第2磁性電極)を含む。これは、二つの異なる磁性材料の相対磁化方向に応じて変化する素子の磁気抵抗を通して情報を提供する。これら二つの磁性層の磁化方向は、電子が有する角運動量が磁気モーメントに移ってトルクを生じる、「スピントランスファートルク(spin transfer torque)」と呼ばれるスピン偏極電流によって調整することができる。
【0004】
スピントランスファートルクを使用して磁化方向を制御するためには、スピン偏極電流が磁性材料の内部を通過する必要がある。しかし、磁性材料に近接してスピン電流を誘導する重金属を配置することによって面内電流の供給によって磁性材料の磁化切替えを引き起こす、スピン軌道トルク技術と呼ばれる新規の技術が提案されている(米国特許第8,416,618号「書込み可能磁気メモリ要素」、米国特許第2014-0169088号「スピンホール磁性装置、方法、及び応用」、並びに韓国特許第1266791号「面内電流及び電場を使用した磁性メモリ素子」)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第5,699,293号
【文献】米国特許第5,986,925号
【文献】米国特許第8,416,618号
【文献】米国特許第2014-0169088号
【文献】韓国特許第10-1266791号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高い情報保存速度、情報認識速度、及び情報転送速度、並びに低いエネルギー消費を特徴とする半導体素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この本発明の素子は、高い集積度を得るのに有利であり、このことは、半導体素子の性能が改善され、その製造コストが低下することを示している。
【0008】
本発明の半導体素子は、各セルの磁化特徴を変化させることによって、様々な分野に応用することができる。
【0009】
さらに、AND、OR、NAND、及びNORなどの論理ゲートを実現することもできる。
【0010】
本発明の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果基盤の半導体素子(1000)は、第1電極と、第1電極に接続された第1セル及び第2セルであり、第1電極上に分離して配置され、絶縁層をそれらの間に置いて自由磁性層及び固定磁性層を有する磁気トンネル接合(MTJ)を含む第1セル及び第2セルとを含み、自由磁性層の磁化方向は、第1電極の表面に印加される電流が各セルの臨界電流値を超えるときに変化し、第1セルの臨界電流値は、第2セルの臨界電流値と異なる。
【0011】
第1電極上に、第1セルと第2セルの間に配置された第1位置と第2位置の間に電流が印加される入力回路と、第1電極の第1位置から第1セルを通って電流が流れる第1出力回路と、第1電極の第1位置から第2セルを通って電流が流れる第2出力回路とが含まれる。情報は、入力回路に沿って印加される電流によって第1セル又は第2セルに記憶され、この情報は、第1出力回路及び第2出力回路の電気的特徴を測定することによって読み取ることができる。
【0012】
本発明の実施例による、第1セルと第2セルの間に配置された第1位置と第2位置の間に電流が印加される入力回路と、第1電極の第1位置から第1セルを通って電流が流れる第1出力回路と、第1電極の第1位置から第2セルを通って電流が流れる第2出力回路とを含むスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子を制御する方法では、入力回路を動作させて、第1セルの自由磁性層の磁化方向を変化させるのに十分な臨界電流より大きな電流を第1電極に印加して第1セルに情報を記憶し、次いで、入力回路を動作させて、第2セルの自由磁性層の磁化方向を変化させるのに十分な臨界電流より大きな電流を第1電極に入力して第2セルに情報を記憶する。
【0013】
第1セル及び第2セルに記憶した情報は、第1出力回路及び第2出力回路に電流を印加することによって読み取ることができる。
【0014】
本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子は、第1電極と、第1電極上に配置され、絶縁層が間に挿置された自由磁性層及び固定磁性層を有する、磁気トンネル接合(MTJ)を含むセルと、セルに電気的に接続された、自由磁性層と固定磁性層の間に電圧を印加する電圧回路とを含み、電圧回路によって印加される電圧が、セルの臨界電流値を制御する。
【0015】
第1電極上に、セルの両端間に配置された第1位置と第2位置の間に電流が印加される入力回路と、自由磁性層と固定磁性層の間に電圧を印加する出力回路とをさらに含むことができる。
【0016】
第1位置と第2位置を含む第1電極に電流が印加される入力回路と、自由磁性層の磁化方向が書込み電流回路によって印加される書込み電流によって変化する、第1位置と第2位置の間に配置された磁気トンネル接合(MTJ)を含むセルと、自由磁性層と絶縁層の間に配置された、自由磁性層と固定磁性層の間に電圧を印加する書込み電圧回路とを含むスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子を制御する方法には、書込み電圧回路を動作させて、固定磁性層と自由磁性層の間に電圧を印加して、セルの臨界電流値を変化させるステップと、書込み電流回路を動作させることによって第1電極に電流を印加し、それにより自由磁性層の磁化方向を変化させることによって、セルに情報を記憶するステップとが含まれる。
【0017】
本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子は、第1電極と、自由磁性層及び固定磁性層が絶縁層と制御層が近接する構造で配置された磁気トンネル接合(MTJ)を含むセルと、自由磁性層と固定磁性層の間に電圧を印加する制御電圧ゲートとを含み、制御層が、制御電圧ゲートに印加される電圧によって自由磁性層と絶縁層の間の界面の電気的レベルを制御し、制御層が電気的レベルを制御するときに、セルの臨界電流値が制御される。
【0018】
本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく論理半導体素子は、第1位置及び第2位置を含む第1電極に電流を印加する第1入力端子と、第1電極の第1位置と第2位置の間に配置され、絶縁層及び制御層の近接構造をそれらの間に置いて配置された自由磁性層及び固定磁性層を有する、磁気トンネル接合(MTJ)を含む第1セル及び第2セルと、第1入力端子及び第1セルを通過する電流によって生成される値と第1入力端子及び第2セルを通過する電流によって生成される値とを加算することによって得られる出力値を出力する出力端子と、記第1セル及び第2セルの自由磁性層と固定磁性層の間に電圧を印加する第2入力端子とを含み、出力端子から得られる出力値は、第1入力端子及び第2入力端子が受け取る入力値のレベルに応じて数値0又は数値1に分類される。
【0019】
本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく論理半導体素子は、第1位置及び第2位置を含む第1電極に電流を印加する入力回路と、第1電極の第1位置と第2位置の間に配置され、絶縁層及び制御層の近接構造をそれらの間に置いて配置された自由磁性層及び固定磁性層を有する、磁気トンネル接合(MTJ)を含む第1セル及び第2セルと、第1セルの自由磁性層と固定磁性層の間に電圧を印加する第1入力端子と、第2セルの自由磁性層と固定磁性層の間に電圧を印加する第2入力端子と、第1入力端子及び第1セルを通過する電流によって生成される値と第1入力端子及び第2セルを通過する電流によって生成される値とを加算することによって得られる出力値を出力する出力端子とを含む。このとき、入力回路が第1電極に電流を印加したときに、出力端子から出力される出力値は、第1入力端子及び第2入力端子に入力される入力値のレベルに応じて数値0又は数値1に分類される。
【0020】
本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく論理半導体素子は、第1位置及び第2位置を含む第1電極に電流を印加する第1入力端子と、第1電極の第1位置と第2位置の間に配置され、第1電極上に配置された自由磁性層、自由磁性層上に配置された絶縁層、絶縁層上に配置された固定磁性層を有する、磁気トンネル接合(MTJ)を含むセルと、セルの自由磁性層と固定磁性層の間に電圧を印加する第2入力端子と、第1電極及びセルを通過する電流によって生成される値を出力する出力端子とを含み、出力端子から得られる出力値は、第1入力端子及び第2入力端子が受け取る入力値のレベルに応じて数値0又は数値1に分類される。
【0021】
本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく論理半導体素子は、第1電極に電流を印加する第1入力端子と、第1電極の第1位置と第2位置の間に配置され、絶縁層及び制御層の近接構造をそれらの間に置いて配置された自由磁性層及び固定磁性層を有する、磁気トンネル接合(MTJ)を含む第1セルと、第1セルの自由磁性層と固定磁性層の間に電圧を印加する第1電圧ゲートと、第1セルから電流を受け取る第2電極上に配置され、絶縁層及び制御層の近接構造をそれらの間に置いて配置された自由磁性層及び固定磁性層を有する、磁気トンネル接合(MTJ)を含む第2セルと、第2セルの自由磁性層と固定磁性層の間に電圧を印加する第2電圧ゲートと、第2セルを通して出力される出力値を出力する出力端子と、第1入力端子から印加される電流が第1電極、第1セル、及び第2電極に沿って流れる入力回路と、第1入力端子から印加される電流が第1電極、第1セル、及び第2セルに沿って流れる出力回路とを含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施例による半導体素子は、低いエネルギー消費に加えて高い情報保存速度、情報認識速度、及び情報転送速度を特徴とする。
【0023】
本発明の半導体素子は、高い集積度を容易にし、それにより半導体素子の性能を改善し、製造コストを低下させるという効果をもたらす。
【0024】
この半導体素子は、最終製品の各セルの磁化特徴を変化させることによって、様々な分野に応用することができる。
【0025】
本発明の半導体素子は、また、AND、OR、NAND、及びNORなどの論理ゲートを実現することもできる。
【0026】
本発明の好ましい実施形態の応用は、添付の図面を参照すると最もよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子を示す図である。
図2】自由磁性層及び固定磁性層の磁化方向の挙動を示す図である。
図3】入力回路、第1出力回路、及び第2出力回路を含むスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子を示す図である。
図4】本発明の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子におけるAHE(異常ホール効果)の測定を示す図である。
図5】磁場に応じた第1セル及び第2セルの状態変化を示すグラフである。
図6】電流に応じた第1セル及び第2セルの状態変化を示すグラフである。
図7】磁場に応じた全セルの磁化方向の変化を示すグラフである。
図8】電流に応じた全セルの磁化方向の変化を示すグラフのセットである。
図9】本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子を示す図である。
図10】本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子を示す図である。
図11】無磁場環境内で第1電極に印加される電流による図10の半導体素子の自由磁性層の磁化方向の変化を示すグラフである。
図12】本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子を示す図である。
図13】入力回路及び電圧回路を含むスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子を示す図である。
図14図12の半導体素子の異常ホール抵抗を測定する実験を説明する概略図である。
図15図14に従って測定した異常ホール抵抗を示すグラフである。
図16図14に従って測定した異常ホール抵抗を示すグラフである。
図17図14に従って測定した異常ホール抵抗を示すグラフである。
図18】本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子を示す図である。
図19】実験用セルを示す概略図である。
図20】本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子を示す図である。
図21】本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子を示す図である。
図22】本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子を示す図である。
図23】本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子におけるAHE(異常ホール効果)電圧の測定を説明する図である。
図24図23の半導体素子における、制御層の酸化時間に応じた磁場に対する異常ホール効果の変化を示すグラフである。
図25図23の半導体素子における、制御層の酸化時間に応じた磁場に対する異常ホール効果の変化を示すグラフである。
図26図23の半導体素子における、制御層の酸化時間に応じた磁場に対する異常ホール効果の変化を示すグラフである。
図27図23の半導体素子の制御層の酸化時間に応じた直交異方場(perpendicular anisotropy field)変動(ΔHk)及び臨界電流変動(ΔIc)の変化を示すグラフである。
図28図23の半導体素子の制御層の酸化時間に応じた異常ホール効果及び磁化切替えを示すグラフである。
図29図23の半導体素子の制御層の酸化時間に応じた異常ホール効果及び磁化切替えを示すグラフである。
図30図23の半導体素子の制御層の酸化時間に応じた異常ホール効果及び磁化切替えを示すグラフである。
図31】本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子を示す図である。
図32】本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子におけるAHE(異常ホール効果)電圧の測定を説明する図である。
図33図32の半導体素子の第1入力端子及び第2入力端子の入力値と、それにより得られる第1セル及び第2セルの出力端子で測定される出力値とを示すグラフのセットである。
図34】本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子を示す図である。
図35】本発明の別の実施例による入力回路を含むスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子を示す図である。
図36】本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子におけるAHE(異常ホール効果)電圧の測定を説明する図である。
図37図36の半導体素子の第1セル及び第2セルの異常ホール効果及び磁化切替えを説明するグラフである。
図38図36の半導体素子の第1セル及び第2セルの異常ホール効果及び磁化切替えを説明するグラフである。
図39図36の半導体素子の第1入力端子及び第2入力端子の入力値と、それにより得られる第1セル及び第2セルの出力端子で測定される出力値とを示すグラフのセットである。
図40】本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子におけるAHE(異常ホール効果)電圧の測定を説明する図である。
図41】本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子を示す図である。
図42】本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子におけるAHE(異常ホール効果)電圧の測定を説明する図である。
図43図42の半導体素子のセルの異常ホール効果及び磁化切替えを説明するグラフである。
図44図42の半導体素子の第1入力端子及び第2入力端子の入力値に応じた、出力端子で測定される値を示すグラフのセットである。
図45】本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子を示す図である。
図46】本発明の別の実施例による入力回路及び出力回路を含むスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付の図面を用いて説明する。ただし、本発明のこれらの実施形態は、様々に修正及び改変することができ、本発明は、以下の例示に限定されない。本分野についての平均的な知識を有する当業者には、本発明のこれらの実施形態が、本発明をより厳密に説明するために与えられたものであることは十分に理解される。したがって、図中の要素の形状及び大きさは、図示を明確にするために強調されていることもあり、また、図中で同じ符号で示されている要素は同じ要素である。同様の機能又は活動を呈する因子も、全ての図面において同じ符号で示してある。さらに、本明細書を通じてある要素が含まれていても、そのことが他の要素を排除することはなく、特に指定がない限り、他の要素を含む可能性がある。
【0029】
図1は、本発明の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子(1000)を示す図であり、図2は、自由磁性層(1211、1221)及び固定磁性層(1213、1223)の磁化方向の挙動を示す図である。
【0030】
図1及び図2に示すように、本発明の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子(1000)は、第1電極と、第1電極に接続された第1セル及び第2セルとを含み、第1セル及び第2セルは、第1電極上に分離して配置され、絶縁層を間に置いて自由磁性層及び固定磁性層を有する磁気トンネル接合(MTJ)を含み、自由磁性層の磁化方向は、第1電極の表面に印加された電流が各セルの臨界電流値を超える場合に変化し、第1セルの臨界電流値は第2セルの臨界電流値と異なる。
【0031】
第1電極(1100)は、第1セル(1210)及び第2セル(1220)に電流を供給することができる。特に、この電流は、磁性材料の磁化方向を制御するスピン偏極電流とすることができる。第1セル(1210)及び第2セル(1220)の電気的又は磁気的特徴は、第1電極(1100)を流れる電流によって変化させることができる。第1電極(1100)は、各セルの特徴を変化させることができるので、第1電極は、半導体素子(1000)において書込み線としての役割を果たす。また、第1電極に印加される電流を制御する電流制御スイッチが含まれることもある。
【0032】
このとき、自由磁性層(1211、1221)は、磁化方向が積層方向に対して直交するように配置される場合には、直交異方特性を有することができる。自由磁性層(1211、1221)の電気的又は磁気的特徴、特に磁化方向は、第1電極(1100)に流れる面内電流によって変化させることができ、この面内電流は、第1セル及び第2セルとともに第1電極中に配置される第1位置と第2位置の間に電流が印加される入力回路によって制御することができる。
【0033】
第1電極(1100)は、導電性材料を含むことができる。より好ましくは、第1電極(1100)は、重金属を含むことができる。第1電極(1100)が重金属を含む場合には、第1セル(1210)及び第2セル(1220)の自由磁性層(1211、1221)の磁化方向などの磁気的特徴を変化させることができる。スピン軌道トルクにより、本発明の実施例による半導体素子(1000)は、高い情報保存速度、情報認識速度、及び情報転送速度を有し、また低いエネルギー消費率を有する。
【0034】
自由磁性層(1211、1221)は、磁化方向などの磁気的特徴の変化を可能にする磁性層である。自由磁性層(1211、1221)の磁気的特徴は、周囲の電気的及び磁気的特性によって改変することができる。さらに、直交異方性を、第1電極(1100)と自由磁性層(1211、1221)の間の積層面に適用することができる。
【0035】
自由磁性層(1211、1221)は、Fe、Co、Ni、B、Si、Pt、Pd及びそれらの合金からなる一群から選択される材料のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0036】
第1電極(1100)に電流が流れているときでも、その流れている電流が自由磁性層(1211、1221)の磁気的特徴を変化させるのに十分でないときには、自由磁性層(1211、1221)の磁気的特徴は変化しない。十分な電流が第1電極(1100)に流れているときにのみ、自由磁性層(1211、1221)の磁気的特徴を変化させることができる。このときの電流値を、自由磁性層(1211、1221)の臨界電流と呼ぶ。すなわち、自由磁性層(1211、1221)の電気的及び磁気的特徴は、臨界電流を超える電流を第1電極(1100)に流すことによって変化させることができる。
【0037】
第1セル及び第2セルの自由磁性層(1211、1221)の磁気的特徴は、第1セル及び第2セルのそれぞれの自由磁性層(1211、1221)の臨界電流を異なる値に設定することによって、選択的に変化させることができる。例えば、第1セル(1210)の自由磁性層(1211)の臨界電流値が第2セル(1220)の自由磁性層(1221)の臨界電流値より大きい場合、第1セル(1210)の自由磁性層(1211)の臨界電流値及び第2セル(1220)の自由磁性層(1221)の臨界電流値の両方より小さい電流が第1電極(1100)に流れていても、第1セル(1210)及び第2セル(1220)の両方の磁気的特徴が変化しない。これに対して、第1セル(1210)の自由磁性層(1211)の臨界電流値及び第2セル(1220)の自由磁性層(1221)の臨界電流値の両方より多き電流が第1電極(1100)に流れている場合には、第1セル(1210)及び第2セル(1220)の両方の磁気的特徴が変化する。第1セル(1210)の自由磁性層(1211)の臨界電流値より小さいが第2セル(1220)の自由磁性層(1221)の臨界電流値よりは大きい電流が第1電極(1100)に流れているときには、第1セル(1210)の磁気的特徴は変化しないが、第2セル(1220)の磁気的特徴は変化する。
【0038】
上述のように、第1セル(1210)及び第2セル(1220)の各セルの磁気的特徴は、第1電極(1100)に流れている電流の大きさを制御することによって、同時に、又は選択的に、変化させることができる。
【0039】
上記の第1セル(1210)及び第2セル(1220)は、自由磁性層(1211、1221)と固定磁性層(1213、1223)とが絶縁層(1212、1222)によってそれぞれ分離される、磁気トンネル接合構造を含むことができる。さらに詳細には、第1セル(1210)及び第2セル(1220)は、自由磁性層(1211、1221)上に絶縁層(1212、1222)を有し、絶縁層(1212、1222)上に固定磁性層(1213、1223)を有することができ、このことは、自由磁性層(1211、1221)と固定磁性層(1213、1223)とが絶縁層(1212、1222)を間に挟んで互いに対向していることを示している。
【0040】
固定磁性層(1213、1223)は、固定された磁化方向を有する磁性層とすることができ、積層面に対して直交する磁化方向を有する材料、すなわち直交異方性を有する材料を含むことができる。さらに詳細には、固定磁性層(1213、1223)は、Fe、Co、Ni、B、Si、Zr、Pt、Pd及びそれらの合金からなる一群から選択される材料のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0041】
固定磁性層(1213、1223)は、磁性層及び反強磁性層を含むこともできる。上記の固定磁性層(1213、1223)は、人工反強磁性層とすることができる。さらに詳細には、固定磁性層(1213、1223)は、磁性層/導電性層/磁性層で構成された三層人工反強磁性構造を有することができ、この反強磁性層は、Ir、Pt、Fe、Mn及びそれらの合金、又はNi、Co、Feの酸化物及びそれらの合金などの材料で構成される。人工反強磁性構造は、Fe、Co、Ni、B、Si、Zr、Pt、Pb及びそれらの合金を含む磁性層と、Ru、Cu、Pt、Ta、Ti及びWを含む導電性層とで構成される。
【0042】
絶縁層(1222)は、固定磁性層(1213、1223)と自由磁性層(1211、1221)の間に配置することができる。絶縁層(1222)は、固定磁性層(1213、1223)と自由磁性層(1211、1221)の間に流れる電流を制御する際に役割を果たす。
【0043】
絶縁層(1222)は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化タンタル及び酸化ジルコニウムからなる一群から選択される一種以上の化合物を含むことができるが、必ずしもこれらに限定されるわけではない。
【0044】
自由磁性層(1211、1221)、絶縁層(1222)及び固定磁性層(1213、1223)は、原子層堆積(ALD)、化学蒸着(CVD)及び物理蒸着(PVD)など、一般的な薄膜堆積プロセスで形成することができる。各層の厚さは、数nmから数十nmとすることができるが、必ずしもこれに限定されるわけではない。
【0045】
第1セル及び第2セルの固定磁性層(1213、1223)は、第2電極(1300)に接続することができる。各セルの電気的及び磁気的特徴は、第2電極(1300)によって決定することができる。したがって、第2電極(1300)は、半導体素子(1000)において読取り線としての役割を果たす。
【0046】
第2電極(1300)は、導電性材料を含むことができる。第2電極(1300)は、Ni、W、Cu及びそれらの合金からなる一群から選択される少なくとも一種以上の材料を含むことができるが、必ずしもこれらに限定されるわけではない。
【0047】
本明細書の上記に述べたように、第1セル(1210)及び第2セル(1220)の電気的又は磁気的特徴は、第1電極(1100)に印加される電流の大きさによって変化させることができる。このとき、各セルの自由磁性層(1211、1221)の磁化方向を含む磁気的特徴を変化させることができる。自由磁性層(1211、1221)の磁化方向の変化は、第1電極(1100)に流れる電流の大きさ、又は周囲の磁場の大きさによって決まる。
【0048】
このとき、第2電極(1300)を流れる電流は、各セルの電気的又は磁気的特徴を決定するのに十分でないので、自由磁性層(1211、1221)及び固定磁性層(1213、1223)の磁気的特徴を変化させない。
【0049】
図2に示すように、自由磁性層(1211)の磁化方向は、上下に向く矢印によって示すように、二つの異なる方向に変化させることができる。一方、固定磁性層(1213)の磁化方向は、上向きの矢印によって示すように、変化しないこともある。
【0050】
本発明の実施例による半導体素子は、第1電極の第1セルと第2セルの間に配置された第1位置と第2位置の間に電流が印加される入力回路と、第1電極の第1位置から第1セルを通って電流が流れる第1出力回路と、第1電極の第1位置から第2セルを通って電流が流れる第2出力回路とを含み、情報は、入力回路に沿って印加される電流によって第1セル又は第2セルに記憶され、この情報は、第1出力回路及び第2出力回路の電気的特徴を測定することによって読み取ることができる。
【0051】
入力回路により第1位置及び第2位置を含む第1電極に電流が印加されても、この電流が自由磁性層の磁気的特徴を変化させるのに十分でない場合には、自由磁性層の磁気的特徴は変化しない。入力回路により第1位置及び第2位置を含む第1電極に十分な電流が流れているときのみ、自由磁性層の磁気的特徴を変化させることができる。このときの電流値を、自由磁性層の臨界電流と呼ぶ。すなわち、自由磁性層の電気的及び磁気的特徴は、第1位置及び第2位置を含む第1電極に臨界電流を超える電流を流すことによって変化させることができる。
【0052】
図3は、入力回路、第1出力回路及び第2出力回路を含む本発明の実施例による半導体素子を示す回路図である。
【0053】
図3に示すように、入力回路は、第1電極上でそれらの間に第1セル及び第2セルを置いて配置される第1位置と第2位置の間に電流を提供し、書込みブロック、ソース線、第1電極を流れる電流を制御するトランジスタ、第1セル、第2セル及び書込み線を通って書込みブロックに戻る経路を有することができる。
【0054】
第1出力回路では、電流は、第1電極の第1位置から第1セルを通って流れる。第1出力回路は、第1セルに接続されたソース線、第1電極に流れる電流を制御するトランジスタ、第1セルに接続された読取り線、及び増幅器(SA)を通る経路を有することができる。
【0055】
第2出力回路では、電流は、第1電極の第1位置から第2セルを通って流れる。第2出力回路は、第1セルに接続されたソース線、第1電極に流れる電流を制御するトランジスタ、第2セルに接続された読取り線、及び増幅器(SA)を通る経路を有することができる。
【0056】
図3に示すように、第1出力回路は、電流を、第1セルに接続されたソース線を通して、次いで第1セルに接続された出力回路を通して送出する。第1セルに記憶された情報は、電流が第1電極の第1位置から第1セルを通って流れている間に第1セルの電気的特徴を測定することによって読み取ることができる。
【0057】
図3に示すように、第2出力回路は、電流を、第2セルに接続されたソース線を通して、次いで第2セルに接続された出力回路を通して送出する。第2セルに記憶された情報は、電流が第1電極の第1位置から第2セルを通って流れている間に第1セルの電気的特徴を測定することによって読み取ることができる。
【0058】
本明細書の上記に述べたように、第1セル(1210)及び第2セル(1220)は、ソース電流又は磁場によって変化させることができる磁気的特徴を有する自由磁性層(1211、1221)を含むことができる。これらのセルは、自由磁性層(1211、1221)上に配置された絶縁層(1212、1222)と、絶縁層(1212、1222)上に配置された固定磁性層(1213、1223)と、固定磁性層(1213、1223)に接続された第2電極1300とを含むことができる。自由磁性層(1211、1221)、絶縁層(1212、1222)、固定磁性層(1213、1223)、第1電極(1100)及び第2電極(1300)についての説明は、上記で与えたものと同じである。
【0059】
第1電極(1100)に印加される電流は、電流制御スイッチによって制御される。電流制御スイッチがオンであるときに、電流は第1電極(1100)に流れ始め、第1セル(1210)及び第2セル(1220)の自由磁性層(1211、1221)は、第1電極(1100)に流れる電流の影響を受ける。また、第1電極に提供される電流によって、第1セル(1210)及び第2セル(1220)の磁化方向を変化させることができる。
【0060】
電流制御スイッチは、半導体素子(1000)の電流又は電圧を制御するために使用することができる種類とすることができ、その材料、形状及び機能は、特に限定されない。特に、電流制御スイッチは、DRAMなど、書込み線に提供される電流を制御するために使用される種類とすることができる。図9が、電流制御スイッチ(2400)の例を示している。
【0061】
電流制御スイッチがオンであり、したがって第1セル(1210)及び第2セル(1220)の自由磁性層(1211、1221)の磁化方向を含む電気的特徴を変化させるのに十分な電流が第1電極(1100)に流れているときには、第1セル(1210)及び第2セル(1220)の電気的特徴が変化する。
【0062】
電流制御スイッチがオンであり、第1セル(1210)及び第2セル(1220)の自由磁性層(1211、1221)のうちの一方のみの磁気的特徴を変化させるのに十分な電流が第1電極(1100)に流れているときには、第1セル(1210)及び第2セル(1220)のうちのいずれかの磁気的特徴を選択的に変化させることができる。
【0063】
電流制御スイッチがオフであるときには、第1セル(1210)及び第2セル(1220)の磁気的特徴は、変化した状態のままとなり、情報をセルに保存することができる。
【0064】
第2電極(1300)に電圧を印加し、次いで各セルの電気的又は磁気的特徴値を読み取ると、各セルに記憶された情報を知ることができる。
【0065】
本発明の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子(1000)では、本明細書の上記に述べたように、第1セル(1210)及び第2セル(1220)の磁気的特徴を変化させるのに十分な電流の大きさが異らせることができる。すなわち、各セルの臨界電流値を異らせることができる。本明細書の以下では、図4から図6を参照して、異なる臨界電流値を有するセルの挙動について説明する。
【0066】
図4は、本発明の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子(1000)におけるAHE(異常ホール効果)電圧の測定を示す図である。図5は、図4の測定に基づく磁場に応じた第1セル(1210)及び第2セル(1220)の状態変化を示すグラフである。図6は、図4の測定に基づく電流に応じた第1セル(1210)及び第2セル(1220)の状態変化を示すグラフである。特に、図5及び図6は、各セルの自由磁性層(1211、1221)の状態変化を示している。
【0067】
図5に示すように、第1セル(1210)及び第2セル(1220)の磁化方向は、磁場の大きさに応じて別々に上又は下に変化し、このことは、第1セル(1210)と第2セル(1220)の間で磁気的特徴が異なることを示唆している。
【0068】
図6に示すように、第1セル(1210)及び第2セル(1220)の磁化方向は、第1電極(1100)に印加される電流に応じて上又は下に変化する。図6に示すように、電流が第1電極(1100)に印加され、外部磁場が存在するときには、第1セル(1210)及び第2セル(1220)の異常ホール抵抗(RH)の変化は、異なる臨界電流値を有する第1セル(1210)及び第2セル(1220)を配置することによって測定することができる。磁化方向を上から下に変化させる可能性がある第1セル(1210)の臨界電流は、-11.5mAであり、磁化方向を下から上に変化させる可能性がある臨界電流は、+9.5mAであった。磁化方向を上から下に変化させる可能性がある第2セル(1220)の臨界電流は、-13.5mAであり、磁化方向を下から上に変化させる可能性がある臨界電流は、+11.5mAであった。また、10mTの面内磁場を、電流方向と同じ方向に印加する。
【0069】
図9は、本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子(2000)を示す図である。図9には、第1電極(2100)上により多数のセル(2210、2220、2230、2240、2250及び2260)を有する半導体素子(2000)が示してある。
【0070】
図9に示すように、上記の六つのセル(2210、2220、2230、2240、2250及び2260)は、第1電極(2100)に接続される。第1電極(2100)に印加される電流は、第1電極(2100)に接続された一つの入力回路(2400)によって制御される。上記の六つのセル(2210、2220、2230、2240、2250及び2260)は、磁気的特徴に応じて異なる臨界電流値を有することがある。六つのセル(2210、2220、2230、2240、2250及び2260)の臨海電流値のいずれよりも小さい電流値を有する電流が第1電極(2100)に印加されたときには、これら六つのセル(2210、2220、2230、2240、2250、2260)の磁気的特徴は変化しない。第1電極(2100)に印加される電流が六つのセル(2210、2220、2230、2240、2250、2260)の臨界電流値のいずれよりも高いときには、これら六つのセル(2210、2220、2230、2240、2250、2260)の磁気的特徴は全て変化する。第1電極(2100)に印加される電流が六つのセル(2210、2220、2230、2240、2250、2260)の臨界電流値の中で最高の臨界電流値と最低の臨界電流値の間の範囲内であるときには、これら六つのセル(2210、2220、2230、2240、2250、2260)のうちの一部のみの磁気的特徴が選択的に変化する。
【0071】
このとき、上記の六つのセル(2210、2220、2230、2240、2250、2260)(例えばRH:異常ホール抵抗)によって実現することができる情報は、以下の通りである。六つのセルの磁化方向が、データの方向を半導体素子の書込み線上で上向きに初期化することができる電流を印加することによって上向きに初期化されるときには、情報実現の可能性は、上/上/上/上/上/上、上/上/上/上/上/下、上/上/上/上/下/下、上/上/上/下/下/下、上/上/下/下/下/下、上/下/下/下/下/下、及び下/下/下/下/下/下の七通りである可能性がある。六つのセルの磁化方向が、データの方向を半導体素子の書込み線上で下向きに初期化することができる電流を印加することによって下向きに初期化されるときには、情報実現の可能性は、下/下/下/下/下/下、下/下/下/下/下/上、下/下/下/下/上/上、下/下/下/上/上/上、下/下/上/上/上/上、下/上/上/上/上/上、及び上/上/上/上/上/上の七通りである可能性がある。したがって、上記の六つのセルによって実現することができる情報は、上/上/上/上/上/上、上/上/上/上/上/下、上/上/上/上/下/下、上/上/上/下/下/下、上/上/下/下/下/下、上/下/下/下/下/下、下/下/下/下/下/下、下/下/下/下/下/上、下/下/下/下/上/上、下/下/下/上/上/上、下/下/上/上/上/上、及び下/上/上/上/上/上など、十二通りとすることができ、このことは、n個のセルは2n個の情報を実現することができることを示している。
【0072】
各セルに一つのスイッチが接続されてそのセルを制御する場合には、そのスイッチは、二種類の情報を制御することができる。本発明の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子(2000)は、図9に示すように、六つのセルを制御するために一つのスイッチを有するので、このスイッチは、十二種類の情報を制御することができる。したがって、本発明の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子(2000)は、各セルごとにスイッチを有する従来の半導体素子よりも高い各セルにおける情報集積度を有する。そのため、本発明の実施例による半導体素子(2000)は、高度に集積することができ、それにより半導体素子(2000)の性能を向上させ、製造コストを削減する効果を有する。
【0073】
図10は、本発明の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子(3000)を示す図である。図10に示すように、第1電極(3100)は、上側電極(3110)と下側電極(3120)に分割することができる。第1電極の上側電極は、重金属、特にタンタル(Ta)を含む可能性があり、第1電極の下側電極は、下側電極上に配置され、イリジウムマンガン(IrMn)などの反強磁性材料を含む可能性がある。
【0074】
図11は、無磁場環境内で第1電極(3100)に印加される電流による図10の半導体素子(3000)の自由磁性層(3211)の磁化方向の変化を示すグラフである。図10に示す半導体素子では、第1電極3100の上側電極はタンタル(Ta)を含み、下側電極は、イリジウムマンガン(IrMn)を含む。自由磁性層(3211)は、CoFeBを含み、絶縁層(3212)は、MgOを含む。
【0075】
異常ホール抵抗(RH)は、半導体素子(3000)の第1電極(3100)に電流を印加した後で測定した。図11に示すように、反強磁性材料を含む下側電極上に磁性材料を含む第1強磁性層を配置することにより、自由磁性層(3211)の磁気的特徴は、外部磁場を印加することなく、より容易に変化させることができる。
【0076】
本発明の実施例による、第1電極の第1位置と第2位置の間に電流が印加される入力回路と、第1電極上に配置された磁気トンネル接合(MTJ)を含む、絶縁層が間に配置された自由磁性層及び固定磁性層を有する第1セル及び第2セルと、第1電極の第1位置から第1セルを通って電流が流れる第1出力回路と、第1電極の第1位置から第2セルを通って電流が流れる第2出力回路と、を含むスピン軌道トルク(SOT)基板の半導体素子を制御する方法は、入力回路を動作させることによって第1電極に電流を印加することによって第1セルに情報を記憶するステップと、入力回路を動作させることによって第1電極に電流を流すことによって第2セルに情報を記憶するステップと、を含む。
【0077】
入力回路を動作させることによって第1電極に電流を印加することによって第1セルに情報を記憶するステップでは、電流は、磁性材料の磁化方向を制御するスピン偏極電流とすることができ、第1セルの電気的又は磁気的特徴は、第1電極に印加される電流によって変化させることができる。
【0078】
入力回路を動作させることによって第1電極に電流を印加することによって第2セルに情報を記憶するステップでは、電流は、磁性材料の磁化方向を制御するスピン偏極電流とすることができ、第2セルの電気的又は磁気的特徴は、第1電極に印加される電流によって変化させることができる。
【0079】
上記の第1セル及び第2セルは、情報を記憶するために必要な異なる臨界電流値を有することができる。
【0080】
本発明の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子を制御する方法は、第1出力回路及び第2出力回路に電流を印加することによって第1セル及び第2セルに記憶された情報を読み取る追加のステップを含むことができる。
【0081】
第1出力回路及び第2出力回路に電流を印加することによって第1セル及び第2セルに記憶された情報を読み取るステップでは、第1セル(1210)及び第2セル(1220)の固定磁性層(1213、1223)は、第2電極(1300)に接続することができ、各セルの電気的及び磁気的特徴は、第2電極(1300)によって決定することができる。
【0082】
図7及び図8は、電流制御スイッチによって図4のスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子(1000)に含まれる複数のセルを制御する方法を説明する図である。
【0083】
図7及び図8は、図4のスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子(1000)の磁化方向の変化を示している。図7は、磁場に応じた全てのセルの磁化方向の変化を示している。図8は、全てのセルの磁化方向の変化を示しているが、第1電極に流れる電流を変化させることによって異常ホール抵抗が変化した。また、10mTの面内磁場を、電流方向と同じ方向に印加する。特に、図7及び図8は、自由磁性層の磁化方向の変化を示している。
【0084】
図8に示すように、スピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子(1000)の第1電極(1100)に-13.5mAの電流が印加されたときに、第1セル(1210)及び第2セル(1220)の磁化方向が、下向きに変化した。これは、印加された電流すなわち-13.5mAが、方向が上向きから下向きに変化した第1セル(1210)及び第2セル(1220)の臨界電流値と同じか、又はそれより大きかったからである。次に、第1電極(1100)に+9.5mAの電流が印加されたときに、第1セル(1210)の磁化方向のみが下向きから上向きに変化した。これは、印加された電流すなわち+9.5mAが、方向が上向きから下向きに変化した第1セル(1210)の臨界電流値と同様であったが、方向が下向きから上向きに変化した第2セル1220の臨界電流値よりは小さかったからである。第1電極(1100)に+11.5mAの電流が印加されたときに、第2セル(1220)の磁化方向が、下向きから上向きに変化した。これは、印加された電流すなわち+11.5mAが、方向が下向きから上向きに変化した第1セル(1210)及び第2セル(1220)の臨界電流値と同じか、又はそれより大きかったからである。第1電極(1100)に-11.5mAの電流が印加されたときに、第1セル(1210)の磁化方向のみが上向きから下向きに変化した。これは、印加された電流すなわち-11.5mAが、方向が上向きから下向きに変化した第1セル(1210)の臨界電流に対応していたが、方向が上向きから下向きに変化した第2セルの臨界電流値よりは小さかったからである。第1電極(1100)に-13.5mAの電流が印加されたときに、第1セル(1210)及び第2セル(1220)の両方の磁化方向が、上向きから下向きに変化した。第1電極(1100)に+9.5mAの電流が印加されたときに、第1セル(1210)の磁化方向のみが下向きから上向きに変化した。したがって、各セルの磁化方向を制御することにより、半導体素子(1000)の異常ホール抵抗(RH)の値を多値にすることができる。また、10mTの面内磁場を、電流方向と同じ方向に印加する。
【0085】
本明細書の上記に述べたように、図7及び図8に示すように、第1電極(1100)に接続された複数のセルを含む半導体素子(1000)において第1電極(1100)に流れる電流を制御することにより、多値の異常ホール抵抗(RH)を実現することができる。
【0086】
図12は、本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子(6000)を示す図である。図12に示すように、本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子(6000)は、第1電極と、第1電極上に配置され、絶縁層が間に配置された自由磁性層及び固定磁性層を有する、磁気トンネル接合(MTJ)を含むセルと、セルに電気的に接続された自由磁性層と固定磁性層の間に電圧を印加するセル制御電極とを含み、セルの臨界電流値は、セル制御電極によって印加される電圧によって制御される。
【0087】
第1電極、絶縁層、自由磁性層及び固定磁性層は、上記の第1電極、絶縁層、自由磁性層及び固定磁性層と同じとすることができる。
【0088】
このとき、セル制御電極(6510、6520)とセル(6210、6220)の間に、ゲート絶縁層(6610、6620)をさらに含めることができる。
【0089】
セル制御電極(6510、6520)によって印加される電圧が特定のレベルを超えるときに、セル(6210、6220)の電気的又は磁気的特徴を変化させることができる。
【0090】
セル(6210、6220)は、セル制御電極(6510、6520)によって印加される電圧によって電気的又は磁気的特徴を変化させることができる材料及び組成を含むことができる。本明細書における電気的又は磁気的特徴は、セル(6210、6220)の磁化方向を変化させる臨界電流の大きさとすることができる。
【0091】
セル(6210、6220)に情報を記憶するために必要な条件は、セル制御電極(6510、6520)によって印加される電圧によって変化させるセル(6210、6220)の性質によって変化させることができる。例えば、セル(6210、6220)の磁化方向を変化させる臨界電流値は、セル(6210、6220)に電圧を印加することによって変化させることができる。このとき、特定のレベルの電流が書込み線に印加されても、セル(6210、6220)の磁化方向が変化しないことがある。すなわち、セル(6210、6220)に書き込むための条件を修正することができ、それにより、半導体素子の書込み線に印加される電流の値及び量を変化させることができる。
【0092】
上記のセルは、それらのうちの少なくとも二つであり、各セル(6210、6220)の電気的特徴は、各セル(6210、6220)に接続されたセル制御電極(6510、6520)によって印加される電圧によって制御することができる。電流値を、各セルで異なる値に設定し、セル制御電極(6510、6520)を介して異なるレベルの電圧を各セル(6210、6220)に印加することによって、セル(6210、6220)に情報を入力することができる。
【0093】
セル(6210、6220)は、自由磁性層(6211、6221)を含む。セル制御電極(6510、6520)に印加される電圧は、自由磁性層(6211、6221)の電気的又は磁気的特徴を調整することができる。図12に示すように、本発明の実施例による半導体素子(6000)は、第1電極(6100)と、第1電極(6100)に電気的に接続された自由磁性層(6211、6221)を含むセル(6210、6220)と、自由磁性層(6211、6221)上に配置された絶縁層(6610、6620)と、絶縁層(6610、6620)上に配置されたセル制御電極(6510、6520)とを含む。
【0094】
自由磁性層(6211、6221)の電気的又は磁気的特徴は、セル制御電極(6510、6520)に印加される電圧によって変化させることができる。各セル(6210、6220)の特徴は、各セル制御電極(6510、6520)によって変化させることができる。
【0095】
本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子(6000)は、第1電極中でそれらの間にセルを置いて配置される第1位置と第2位置の間に電流が印加される入力回路と、自由磁性層と固定磁性層の間に電圧を印加する電圧回路とをさらに含むことができる。
【0096】
図13は、本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子の入力回路及び電圧回路を示す図である。
【0097】
入力回路は、第1位置及び第2位置を含む第1電極に電流を印加することができ、第1電極に印加される電流の大きさを制御することができる。
【0098】
図13に示すように、入力回路は、第1電極上にそれらの間にセルを置いて配置された第1位置と第2位置の間に電流を提供し、書込みブロック、ソース線、第1電極に流れる電流を制御するトランジスタ、第1セル、及び書込み線を通って書込みブロックに戻る経路を有することができる。
【0099】
第1位置及び第2位置を含む第1電極に電流を印加しても、流れている電流が自由磁性層の磁気的特徴を変化させるのに十分でないときには、自由磁性層の磁気的特徴は変化しない。十分な電流が第1電極に流れているときにのみ、自由磁性層の磁気的特徴を変化させることができる。このときの電流値を、自由磁性層の臨界電流と呼ぶ。すなわち、自由磁性層の電気的又は磁気的特徴は、第1位置及び第2位置を含む第1電極に臨界電流を超える電流を流すことによって変化させることができる。
【0100】
入力回路に印加される電流を制御するために、電流制御スイッチをさらに含めることもできる。
【0101】
電圧回路は、セルの自由磁性層と固定磁性層の間に電圧を印加することができ、各セルの臨界電流値は、各セルの電気的レベルを調整することによって制御することができる。
【0102】
図13に示すように、電圧回路は、第1ビット線を介してセルの第2電極に接続されたトランジスタをオンにして、そのセルの自由磁性層と固定磁性層の間に電圧を印加することができる。このとき、電圧回路は、書込みブロック、ソース線、第1電極、セル、及び読取り線で構成される。
【0103】
図14は、図12の半導体素子の異常ホール抵抗を測定する実験を説明する概略図である。図15から図17は、図14に従って測定した異常ホール抵抗を示すグラフである。
【0104】
図14では、第1電極(6100)は、Taを用いて5nmの厚さで形成した。自由磁性層を含む第1セル及び第2セル(6610、6620)は、CoFeBを用いて厚さ1nmで形成した。絶縁層は、第1セル及び第2セル(6610、6620)上にMgO、AlO、及びZrOをそれぞれ厚さ1.6nm、1.5nm、及び40nmの厚さで形成した。第1セル制御電極及び第2セル制御電極(6510、6520)は、Ruを用いて形成した。図14では、VG1及びVG2を各セル(6210、6220)上に配置されたセル制御電極(6510、6520)に印加し、次いで、第1電極(6100)に電流を印加した。VG1及びVG2は、-数十Vから+数十Vの範囲で印加した。また、10mTの面内磁場を、電流方向と同じ方向に印加する。
【0105】
図15から図17に示すように、第1セル制御電極及び第2セル制御電極(6510、6520)に正電圧を印加したときには、保磁度(H)及び臨界電流(J)は低下したが、負電圧を印加したときには、保磁度(H)及び臨界電流(J)は増加した。VG1及びVG2によって変化した保磁度(H)及び臨界電流(J)は、V1及びVG2が除去されても維持される不揮発性特徴を有していた。
【0106】
図18は、本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子を示す図である。図18に示すように、本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子(7000)は、第1電極(7100)と、第1電極(7100)に電気的に接続された、自由磁性層(7211、7221)、自由磁性層(7211、7221)上に配置された絶縁層(7212、7222)、及び絶縁層(7212、7222)上に配置された固定磁性層(7213、7223)を含むセルと、固定磁性層(7213、7223)上に配置されたセル制御電極(7510、7520)とを含む。このとき、固定磁性層(7213、7223)の下に配置される絶縁層(7212、7222)は、ゲート絶縁層として作用する。セル制御電極(7510、7520)が、固定磁性層(7213、7223)に電流を提供すると、固定磁性層(7213、7223)に印加される電圧によって、自由磁性層(7211、7221)の電気的又は磁気的特徴を変化させることができる。すなわち、各セル(7210、7220)の特徴は、セル制御電極(7510、7520)によって変化させることができる。
【0107】
図18の構造を有する半導体素子の固定磁性層(7213、7223)に印加される電圧による自由磁性層(7211、7221)の電気的又は磁気的特徴の変化は、Wei-Gang Wang他によって行われた以前の研究(「磁気トンネル接合の電場援用切替え」、Nature Materials、第11巻、64~68ページ、発行年:2012年)によって実証されている。彼らによる研究論文によれば、彼らは、図19に示す構造を有する実験用セルを構築した。この実験では、実験用セル(8000)は、自由磁性層(8100)と、自由磁性層(8100)上に配置された絶縁層(8200)と、絶縁層(8200)上に配置された固定磁性層(8300)とで構成された。自由磁性層(8100)は、CoFeBによって厚さ1.3nmで形成され、絶縁層(8200)は、MgOによって厚さ1.4nmで形成された。固定磁性層(8300)は、CoFeBによって厚さ1.6nmで形成された。電極を、自由磁性層(8100)及び固定磁性層(8300)のそれぞれに接続し、次いで、電圧を固定磁性層(8300)に印加した。このとき、固定磁性層(8300)は、ゲート電極として作用し、絶縁層(8200)は、自由磁性層(8100)の電気的及び磁気的特徴を変化させるためのゲート酸化膜として作用した。
【0108】
図12及び図18によれば、第1電極は、導電性材料を含むことができる。さらに好ましくは、第1電極は、重金属を含むことができる。第1電極が重金属を含むときには、セルの自由磁性層の磁化方向などの磁気的特徴を変化させることができる。スピン軌道トルクにより、本発明の実施例による半導体素子は、高い情報保存速度、情報認識速度、及び情報転送速度を有し、また低いエネルギー消費率を有する。
【0109】
自由磁性層は、磁化方向などの磁気的特徴の変化を可能にする磁性層とすることができる。自由磁性層の磁気的特徴は、周囲の電気的及び磁気的特性によって改変することができる。さらに、直交異方性を、第1電極と自由磁性層の間の積層面に適用することができる。
【0110】
自由磁性層は、Fe、Co、Ni、B、Si、Pt、Pd及びそれらの合金からなる一群から選択される材料のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0111】
このとき、自由磁性層は、磁化方向が積層方向に対して直交して配置されている場合には、直交異方特性を有することができる。自由磁性層の電気的又は磁気的特徴、特に磁化方向は、第1電極に流れる面内電流によって変化させることができる。
【0112】
第1電極に電流が流れているときでも、その流れている電流が自由磁性層の磁気的特徴を変化させるのに十分でないときには、自由磁性層の磁気的特徴は変化しない。十分な電流が第1電極に流れているときにのみ、自由磁性層の磁気的特徴を変化させることができる。このときの電流値を、自由磁性層の臨界電流と呼ぶ。すなわち、自由磁性層の電気的及び磁気的特徴は、臨界電流を超える電流を第1電極に流すことによって変化させることができる。
【0113】
図18に示すように、これらのセルのうちの少なくとも二つは、自由磁性層(7211、7221)と固定磁性層(7213、7223)とが絶縁層(7212、7222)によってそれぞれ分離される、磁気トンネル接合構造を含むことができる。さらに詳細には、これらのセルのうちの少なくとも二つは、自由磁性層上に絶縁層(7212、7222)を含み、絶縁層上に固定磁性層を含むことができ、このことは、自由磁性層と固定磁性層とが絶縁層を間に挟んで互いに対向していることを示している。
【0114】
固定磁性層は、固定された磁化方向を有する磁性層とすることができ、積層面に対して直交する磁化方向を有する材料、すなわち直交異方性を有する材料を含むことができる。さらに詳細には、固定磁性層は、Fe、Co、Ni、B、Si、Zr、Pt、Pd及びそれらの合金からなる一群から選択される材料のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0115】
固定磁性層は、磁性層及び反強磁性層を含むこともできる。上記の固定磁性層は、人工反強磁性層とすることができる。さらに詳細には、固定磁性層は、磁性層/導電性層/磁性層で構成された三層人工反強磁性構造を有することができ、この反強磁性層は、Ir、Pt、Fe、Mn及びそれらの合金、又はNiO、CoO、FeOなどの材料で構成される。人工反強磁性構造は、Fe、Co、Ni、B、Si、Zr、Pt、Pb及びそれらの合金を含む磁性層と、Ru、Cu、Pt、Ta、Ti及びWを含む導電性層とで構成される。
【0116】
図18に示すように、絶縁層は、固定磁性層と自由磁性層の間に配置することができる。絶縁層は、固定磁性層と自由磁性層の間に流れる電流を制御する際に役割を果たす。
【0117】
絶縁層は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化タンタル及び酸化ジルコニウムからなる一群から選択される一種以上の化合物を含むことができるが、必ずしもこれらに限定されるわけではない。
【0118】
図12及び図18に示すように、これらのセルのうちの少なくとも二つの固定磁性層は、第2電極に接続することができる。各セルの電気的及び磁気的特徴は、第2電極によって決定することができる。したがって、第2電極は、半導体素子において読取り線としての役割を果たす。
【0119】
第2電極は、導電性材料を含むことができる。第2電極は、Ni、W、Cu、Ru、及びそれらの合金からなる一群から選択される少なくとも一種以上の材料を含むことができるが、必ずしもこれらに限定されるわけではない。
【0120】
図21は、本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子(5000)を示す図である。図21に示すように、六つのセルが、第1電極(5100)に接続され、第1電極(5100)に印加される電流は、第1電極(5100)に接続された一つの電流制御スイッチ(5400)よって制御される。上記の六つのセルは、異なる臨界電流値を有して、各セルに接続されたセル制御電極(5510、5520、5530、5540、5550、及び5560)を介して印加される電圧によって磁気的特徴を変化させることがある。第1電極(5100)に印加される電流が六つのセル(5210、5220、5230、5240、5250、5260)の臨界電流値のいずれよりも低いときには、これら六つのセル(5210、5220、5230、5240、5250、5260)の磁気的特徴は変化しない。第1電極(5100)に印加される電流が六つのセルの臨界電流値のいずれよりも高いときには(六つのセル(5210、5220、5230、5240、5250、5260)の臨界電流値の中で最大の臨界電流値より、第1電極(5100)に印加される)、これら六つのセル(5210、5220、5230、5240、5250、5260)の磁気的特徴は全て変化する。六つのセル(5210、5220、5230、5240、5250、5260)の臨界電流値の中で最高の臨界電流値と最低の臨界電流値の間の範囲内の電流が第1電極(5100)に印加されるときには、これら六つのセル(5210、5220、5230、5240、5250、5260)のうちの一部のみの磁気的特徴が選択的に変化する。
【0121】
このとき、上記の六つのセル(5210、5220、5230、5240、5250、5260)によって実現される情報(例えばR:異常ホール抵抗)の数は、総数で64(2)とすることができる。図9に示す場合と異なり、各セルの電気的又は磁気的特徴は、セル制御電極(5510、5520、5530、5540、5550、及び5560)を介して印加される電圧を使用して制御することができるので、情報集積度は高い。
【0122】
図20は、本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子(4000)を示す図である。図20に示すように、本発明の別の実施例による半導体素子(4000)は、第1電極(4100)と、第1電極(4100)に接続されたセル(4210、4220)と、セル(4210、4220)に接続されてセル(4210、4220)の電気的又は磁気的特徴を制御するセル制御電極(4510、4520)とを含む。このとき、セル制御電極(4510、4520)に印加される電圧を制御するために、セル制御回路をさらに含めることもできる。セル制御電極(4510、4520)とセル(4210、4220)の間に、絶縁層(4610、4620)をさらに含めることもできる。
【0123】
セル(4210、4220)は、自由磁性層(4211、4221)を含み、セル制御電極(4510、4520)は、自由磁性層(4211、4221)の電気的又は磁気的特徴を調整することができる。セル(4210、4220)の磁化方向も、第1電極(4100)に流れる電流によって制御することができる。第1電極(4100)に流れる電流を制御する入力回路も含めることができる。
【0124】
セル制御電極(4510、4520)は、各セル(4210、4220)の電気的又は磁気的特徴を変化させることができる。上記のセル制御電極(4510、4520)は、各セル(4210、4220)に電圧を印加することができる。セル制御電極(4510、4520)に提供される電圧が特定のレベルを超えるときには、セル(4210、4220)の電気的又は磁気的特徴を変化させることができる。
【0125】
セル(4210、4220)は、セル制御電極(4510、4520)によって印加される電圧によって電気的又は磁気的特徴を変化させることができる材料及び組成を含むことができる。セル制御電極(4510、4520)によって変化させることができるセル(4210、4220)の特徴は、各セル(4210、4220)の磁化方向を変化させる臨界電流の大きさとすることができる。
【0126】
セル(4210、4220)に情報を入力するために必要な条件は、セル制御電極(4510、4520)によって変化させるセル(4210、4220)の特徴によって変化させることができる。例えば、セル制御電極(4510、4520)を介してセル(4210、4220)に電圧を印加することによって、セル(4210、4220)の磁化方向を変化させる臨界電流値を変化させることができる。このとき、特定のレベルの電流が書込み線に印加されても、セル(4210、4220)の磁化方向が変化しないこともある。セル(4210、4220)に書き込むための条件は変化させることができ、それにより、半導体素子(4000)の書込み線に適用される容量を変化させることができる。
【0127】
上記のセル(4210、4220)は、それらのうちの少なくとも二つであり、各セル(4210、4220)の電気的特徴は、各セル(4210、4220)に接続されたセル制御電極(4510、4520)によって印加される電圧によって制御することができる。電流値を、各セルで異なる値に設定し、セル制御電極(4510、4520)を介して異なるレベルの電圧を各セル(4210、4220)に印加することによって、セル(4210、4220)に情報を入力することができる。
【0128】
第1電極(4100)は、導電性材料を含むことができる。さらに詳細には、第1電極(4100)は、重金属を含むことができる。第1電極(4100)が重金属を含むときには、セル(4210、4220)の自由磁性層(4211、4221)の磁化方向などの磁気的特徴を変化させることができる。スピン軌道トルクにより、本発明の実施例による半導体素子(4000)は、高い情報保存速度、情報認識速度、及び情報転送速度を有し、また低いエネルギー消費率を有する。
【0129】
自由磁性層(4211、4221)は、磁化方向などの磁気的特徴の変化を可能にする磁性層である。自由磁性層(4211、4221)の磁気的特徴は、周囲の電気的及び磁気的特性によって改変することができる。さらに、直交異方性を、第1電極(4100)と自由磁性層(4211、4221)の間の積層面に適用することができる。
【0130】
自由磁性層(4211、4221)は、Fe、Co、Ni、B、Si、Pt、Pd及びそれらの合金からなる一群から選択される材料のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0131】
このとき、自由磁性層(4211、4221)は、磁化方向が積層方向に対して直交して配置されている場合には、直交異方特性を有することができる。自由磁性層(4211、4221)の電気的又は磁気的特徴、特に磁化方向は、第1電極(4100)に流れる面内電流によって変化させることができる。
【0132】
第1電極(4100)に電流が流れているときでも、その流れている電流が自由磁性層(4211、4221)の磁気的特徴を変化させるのに十分でないときには、自由磁性層(4211、4221)の磁気的特徴は変化しない。十分な電流が第1電極(4100)に流れているときにのみ、自由磁性層(4211、4221)の磁気的特徴を変化させることができる。このときの電流値を、自由磁性層(4211、4221)の臨界電流と呼ぶ。すなわち、自由磁性層(4211、4221)の電気的及び磁気的特徴は、臨界電流を超える電流を第1電極(4100)に流すことによって変化させることができる。
【0133】
これらの二つ以上のセル(4210、4220)の自由磁性層(4211、4221)の磁気的特徴は、セル制御電極(4510、4520)を使用してこれらの二つ以上のセル(4210、4220)の各自由磁性層(4211、4221)の臨界電流を異なる値に設定することによって、選択的に変化させることができる。
【0134】
これらの二つ以上のセル(4210、4220)は、自由磁性層(4211、4221)と固定磁性層(4213、4223)とが絶縁層(4212、4222)によってそれぞれ分離される、磁気トンネル接合構造を含むことができる。さらに詳細には、これらの二つ以上のセル(4210、4220)は、自由磁性層(4211、4221)上に絶縁層(4212、4222)を有し、絶縁層(4212、4222)上に固定磁性層(4213、4223)を有することができ、このことは、自由磁性層(4211、4221)と固定磁性層(4213、4223)とが絶縁層(4212、4222)を間に挟んで互いに対向していることを示している。
【0135】
固定磁性層(4213、4223)は、固定された磁化方向を有する磁性層とすることができ、積層面に対して直交する磁化方向を有する材料、すなわち直交異方性を有する材料を含むことができる。さらに詳細には、固定磁性層(4213、4223)は、Fe、Co、Ni、B、Si、Zr、Pt、Pd及びそれらの合金からなる一群から選択される材料のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0136】
固定磁性層(4213、4223)は、磁性層及び反強磁性層を含むこともできる。上記の固定磁性層(4213、4223)は、人工反強磁性層とすることができる。さらに詳細には、固定磁性層(4213、4223)は、磁性層/導電性層/磁性層で構成された三層人工反強磁性構造を有することができ、この反強磁性層は、Ir、Pt、Fe、Mn及びそれらの合金、又はNi、Co、Feの酸化物及びそれらの合金などの材料で構成される。人工反強磁性構造は、Fe、Co、Ni、B、Si、Zr、Pt、Pb及びそれらの合金を含む磁性層と、Ru、Cu、Pt、Ta、Ti及びWを含む導電性層とで構成される。
【0137】
絶縁層(4212、4222)は、固定磁性層(4213、4223)と自由磁性層(4211、4221)の間に配置することができる。絶縁層(4212、4222)は、固定磁性層(4213、4223)と自由磁性層(4211、4221)の間に流れる電流を制御する際に役割を果たす。
【0138】
絶縁層(4212、4222)は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化タンタル及び酸化ジルコニウムからなる一群から選択される一種以上の化合物を含むことができるが、必ずしもこれらに限定されるわけではない。
【0139】
第1位置及び第2位置を含む第1電極に電流が印加される入力回路、自由磁性層の磁化方向が書込み電流回路によって印加される書込み電流によって変化する、第1位置と第2位置の間に配置される磁気トンネル接合(MTJ)を含むセル、並びに自由磁性層と、自由磁性層と絶縁層の間に配置された固定磁性層との間に電圧を印加する書込み電圧回路を含むスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子を制御する方法には、書込み電圧回路を動作させて固定磁性層と自由磁性層の間に電圧を印加してセルの臨界電流値を変化させるステップと、入力回路を動作させて第1電極に電流を印加し、それにより自由磁性層の磁化方向を変化させることによってセルに情報を記憶するステップと、が含まれる。
【0140】
書込み電圧回路を動作させて固定磁性層と自由磁性層の間に電圧を印加してセルの臨界電流値を変化させるステップでは、各セルに接続された電圧回路によって印加される電圧によって磁気的特徴を変化させるための各セルの臨界電流値を、異なる値に設定することができる。
【0141】
入力回路を動作させることによって第1電極に電流を印加することによってセルに情報を記憶するステップでは、異なる臨界電流値が設定された入力回路を介して電流を印加して、各セルに接続された電圧回路によって印加される電圧によって磁気的特徴を変化させ、それに応じて情報を各セルに記憶することができる。
【0142】
したがって、本発明による半導体素子(5000)では、電圧回路を動作させることによって電気的又は磁気的特徴を変化させることができ、それにより、半導体素子の特徴も、ユーザが望み通りに制御することができる。
【0143】
図22は、本発明の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子を示す図である。
【0144】
図22に示すように、本発明の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子(9000)は、第1電極(9100)と、自由磁性層(9211)及び固定磁性層(9214)が、絶縁層(9212)と制御層(9213)が隣接する構造で配置された磁気トンネル接合(MTJ)を含むセル(9210)と、自由磁性層と固定磁性層の間に電圧を印加する制御電圧ゲートとを含み、制御層は、制御電圧ゲートに印加される電圧によって自由磁性層と絶縁層の界面の電気的レベルを制御し、制御層が電気的レベルを制御するときに、セルの臨界電流値が制御される。
【0145】
第1電極(9100)は、磁気トンネル接合(MTJ:Magnetic Tunneling Junction)を含むセル(9210)に電流を供給することができる。特に、この電流は、磁性材料の磁化方向を制御するスピン偏極電流とすることができる。セル(9210)の電気的又は磁気的特徴は、第1電極(9100)を流れる電流によって変化させることができる。第1電極(9100)は、各セルの特徴を変化させることができるので、第1電極は、半導体素子において書込み線としての役割を果たす。
【0146】
このとき、自由磁性層(9211)は、磁化方向が積層方向に対して直交するように配置される場合には、直交異方特性を有することができる。自由磁性層の電気的又は磁気的特徴、特に磁化方向は、第1電極に流れる面内電流によって変化させることができる。
【0147】
第1電極(9100)は、導電性材料を含むことができる。より好ましくは、第1電極は、重金属を含むことができる。第1電極が重金属を含む場合には、磁気トンネル接合(MTJ)を含むセルの自由磁性層の磁化方向などの磁気的特徴を変化させることができる。スピン軌道トルクにより、本発明の実施例による半導体素子は、高い情報保存速度、情報認識速度、及び情報転送速度を有し、また低いエネルギー消費率を有する。
【0148】
自由磁性層(9211)は、磁化方向などの磁気的特徴の変化を可能にする磁性層である。自由磁性層の磁気的特徴は、周囲の電気的及び磁気的特性によって改変することができる。さらに、直交異方性を、第1電極(9100)と自由磁性層(9211)の間の積層面に適用することができる。
【0149】
自由磁性層(9211)は、Fe、Co、Ni、B、Si、Pt、Pd及びそれらの合金からなる一群から選択される材料のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0150】
第1電極(9100)に電流が流れているときでも、その流れている電流が自由磁性層(9211)の磁気的特徴を変化させるのに十分でないときには、自由磁性層の磁気的特徴は変化しない。十分な電流が第1電極に流れているときにのみ、自由磁性層の磁気的特徴を変化させることができる。このときの電流値を、自由磁性層の臨界電流と呼ぶ。すなわち、自由磁性層の電気的及び磁気的特徴は、臨界電流を超える電流を第1電極に流すことによって変化させることができる。
【0151】
固定磁性層(9214)は、積層面に対して直交する磁化方向を有する材料、すなわち直交異方性を有する材料を含むことができる。さらに詳細には、固定磁性層は、Fe、Co、Ni、B、Si、Zr、Pt、Pd及びそれらの合金からなる一群から選択される材料のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0152】
固定磁性層(9214)は、磁性層及び反強磁性層を含むこともできる。上記の固定磁性層は、人工反強磁性層とすることができる。さらに詳細には、固定磁性層は、磁性層/導電性層/磁性層で構成された三層人工反強磁性構造を有することができ、この反強磁性層は、Ir、Pt、Fe、Mn及びそれらの合金、又はNi、Co、Feの酸化物及びそれらの合金などの材料で構成される。人工反強磁性構造は、Fe、Co、Ni、B、Si、Zr、Pt、Pb及びそれらの合金を含む磁性層と、Ru、Cu、Pt、Ta、Ti及びWを含む導電性層とで構成される。
【0153】
絶縁層(9212)は、固定磁性層(9214)と自由磁性層(9211)の間に配置することができる。絶縁層(9212)は、固定磁性層と自由磁性層の間に流れる電流を制御する際に役割を果たす。
【0154】
絶縁層(9212)は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化タンタル及び酸化ジルコニウムからなる一群から選択される一種以上の化合物を含むことができるが、必ずしもこれらに限定されるわけではない。
【0155】
自由磁性層(9211)及び固定磁性層(9214)は、原子層堆積(ALD)、化学蒸着(CVD)及び物理蒸着(PVD)など、一般的な薄膜堆積プロセスで形成することができる。各層の厚さは、数nmから数十nmとすることができるが、必ずしもこれに限定されるわけではない。
【0156】
制御層(9213)は、絶縁層に接合された構造であることが好ましいことがある。制御層は、絶縁層又は自由磁性層に近接して配置することができる。
【0157】
絶縁層(9212)は、酸化マグネシウム、酸化タンタル及び酸化ジルコニウムからなる一群から選択される一種以上の化合物を含むことができるが、必ずしもこれらに限定されるわけではない。
【0158】
制御層(9213)は、酸化アルミニウム(AlO)、酸化チタン(TiO)、及び酸化タンタル(TaO)からなる一群から好ましくは選択される酸化物とすることができるが、必ずしもこれらに限定されるわけではない。
【0159】
制御層(9213)の酸化時間は、25~125秒である。
【0160】
制御層(9213)は、金属層を用いて、その金属層を酸化させることによって準備することができる。酸化時間は、25~125秒である。制御層の酸化レベルは、制御層を準備する過程で酸化時間を調節することによって調整することができる。自由磁性層の磁気異方性は、酸化レベルに応じて変化させることができる。
【0161】
制御電圧ゲートは、自由磁性層と固定磁性層の間に電圧を印加することができる。制御層は、制御電圧ゲートに印加される電圧によって、自由磁性層と絶縁層の間の界面の電気的レベルを制御し、各セルの臨界電流値は、制御層の電気的レベルを調整することによって制御される。
【0162】
制御電圧ゲートに印加される電圧を調整するために、制御電圧ゲートスイッチをさらに含めることができる。制御電圧ゲートスイッチは、半導体中の電圧の流れを制御するために使用される従来のスイッチの構成を有することができる。
【0163】
電圧ゲートは、自由磁性層(9211)と固定磁性層(9214)の間に電圧を印加する構成要素であり、これは、固定磁性層(9214)とすることができ、また固定磁性層(9214)に接続された第2電極(9300)とすることができる。
【0164】
制御電圧ゲートによって印加される電圧が特定のレベルを超える場合に、磁気トンネル接合を含むセルの電気的又は磁気的特徴を変化させることができる。
【0165】
磁気トンネル接合(MTJ)を含むセル(9210)は、制御電圧ゲートによって印加される電圧によって電気的又は磁気的特徴を変化させることができる材料及び組成を含むことができる。セル(9210)の電気的又は磁気的特徴を、臨界電流の大きさによって変化させて、磁気トンネル接合を含むセルの磁化方向を変化させることができる。
【0166】
磁気トンネル接合を含むセル(9210)の磁化方向を変化させる臨界電流値は、磁気トンネル接合を含むセルに電圧を印加することによって変化させることができる。
【0167】
一例として、自由磁性層(9211)と絶縁層(9212)の界面の電気的レベルは、制御電圧ゲートに印加される電圧によって制御することができる。このとき、制御層(9213)は、制御電圧ゲートに印加される電圧によって、自由磁性層と絶縁層の間の界面の電気的レベルを制御し、各セルの臨界電流値は、制御層(9213)によって電気レベルを調整することによって制御される。
【0168】
図23は、本発明の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子におけるAHE(異常ホール効果)電圧の測定を説明する図である。
【0169】
図23に示すように、この半導体素子は、基板(酸化ケイ素)-第1電極(Ta(5nm))/自由磁性層(Co32Fe4820(CoFeB、1nm))/絶縁層(MgO、1.6nm)/制御層(AlO(1.8nm))という構造で構成し、ルテニウム(Ru)を、第2電極として制御層上に堆積させた。
【0170】
金属層は、0.4Pa(3mTorr)の動作圧力下で直流スパッタリングによって成長させ、MgO層は、1.33Pa(10mTorr)の圧力下でRFスパッタリング(150W)によって堆積させた。AlOは、1.5nmの金属Al層を堆積させることによって形成し、次いで、4Pa(30mTorr)の圧力下で30ワットの電力で様々な酸化時間(tox)にわたってOプラズマに曝した。
【0171】
直交磁気異方性を高めるために、約40分間、真空下で250℃で熱処理を行った。
【0172】
制御層(9213)の酸化時間は、25~125秒に調節し、電圧の極性による制御層の磁気異方性依存性を、制御層(9213)の酸化時間に応じて測定した。
【0173】
図24から図26は、図23の半導体素子における、制御層(9213)の酸化時間に応じた磁場に対する異常ホール効果の変化を示すグラフである。
【0174】
図24に示すように、制御層(酸化アルミニウム)の酸化時間が25秒であったときには、面内磁場(B)に応じて減少する異常ホール効果の傾きは、制御電圧ゲートによって印加される電圧が-(20V)であったときより制御電圧ゲートによって印加される電圧が+(22V)であったときの方が大きかった。図25に示すように、制御層(酸化アルミニウム)の酸化時間が75秒であったときには、大きな差はなかった。図26に示すように、図24に示す結果と異なり、制御層(酸化アルミニウム)の酸化時間が125秒であったときには、面内磁場(B)に応じて減少する異常ホール効果の傾きは、制御電圧ゲートによって印加される電圧が+(22V)であったときより制御電圧ゲートによって印加される電圧が(-20V)であったときの方が大きかった。
【0175】
上記の結果により、異常ホール効果の極性は、制御層(9213)の酸化状態を調整することによって、制御電圧ゲートを介して印加される電圧によって逆転させることもできることが確認された。
【0176】
図27は、図23の半導体素子の制御層(9213)の酸化時間に応じた直交異方場(perpendicular anisotropy field)変動(ΔH)及び臨界電流変動(ΔI)の変化を示すグラフである。
【0177】
図25に示すように、酸化時間(tox)が75秒を超えたときには、直交異方場(H)は、制御電圧ゲートによって印加される電圧が+(22V)であったときに増大した。これに対して、酸化時間が75秒未満であったときには、直交異方場(H)は、制御電圧ゲートによって印加される電圧が+(22V)であったときに低下した。また、酸化時間(tox)が75秒を超えたときには、自由磁性層の磁化を切り替える臨界電流は、制御電圧ゲートによって印加される電圧が+(22V)であったときに増大したが、酸化時間が75秒未満であったときには、自由磁性層の磁化を切り替える臨界電流は、制御電圧ゲートによって印加される電圧が+(22V)であったときに減少した。以上の変化は、酸化時間の間の直交磁気異方性の変化によるものとされる、すなわち、CoFeB/MgOの界面における酸化アルミニウム膜すなわち制御層の酸化状態の変化によるものとされた。
【0178】
図28から図30は、図23の半導体素子の制御層(9213)の酸化時間に応じた異常ホール効果及び磁化切替えを示すグラフである。
【0179】
図28に示すように、制御層(9213)の酸化時間が25秒であったときには、24Vの電圧を制御電圧ゲートに印加したときに、臨界電流は6.5mAであった。-24Vの電圧を印加したときには、臨界電流はそれより大きく、8.8mAであった。図29に示すように、制御層(9213)の酸化時間が75秒であったときには、制御電圧ゲートに印加される電圧の極性についての臨界電流は変化しなかった。図30に示すように、制御層(9213)の酸化時間が125秒であったときには、図28の結果と異なり、-24Vの電圧を印加したときに、臨界電流の絶対値(|I|)は+24Vの電圧を印加したときより小さかった。
【0180】
図28から図30に示すように、制御層(9213)の酸化時間が75秒であったときには、外部電圧への依存性はほとんどなかった。したがって、制御電圧ゲートによって印加される電圧の極性の変化に応じた臨界電流値の差が大きくないときには、制御層は、通常酸化制御層(normal oxidized control layer)と呼ぶことができる。
【0181】
制御層(9213)の酸化時間が25秒であったときには、制御電圧ゲートに印加される電圧の極性が正であったときに、制御電圧ゲートに印加される電圧の極性が負であったときと比較して臨界電流を減少させることができた。この状態の制御層は、酸化不足制御層(under-oxidized control layer)と呼ぶことができる。
【0182】
制御層(9213)の酸化時間が125秒であったときには、制御電圧ゲートに印加される電圧の極性が負であったときに、制御電圧ゲートに印加される電圧の極性が正であったときと比較して臨界電流を減少させることができた。この状態の制御層は、過酸化制御層(over-oxidized control layer)と呼ぶことができる。
【0183】
図28から図30に示すように、本発明の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子の臨界電流は、制御電圧ゲートによって効率的に制御することができ、制御層(9213)の酸化状態によってより精密に制御することができる。
【0184】
図31は、本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子(10000)を示す図である。
【0185】
図31に示すように、本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく論理半導体素子(10000)は、第1位置及び第2位置を含む第1電極(10100)に電流を印加する第1入力端子と、第1電極の第1位置と第2位置の間に配置され、絶縁層及び制御層の近接構造をそれらの間に置いて配置された自由磁性層及び固定磁性層を有する、磁気トンネル接合(MTJ)を含む第1セル(10210)及び第2セル(10220)と、第1入力端子及び第1セルを通過する電流によって生成される値と第1入力端子及び第2セルを通過する電流によって生成される値を加算することによって得られる出力値を出力する出力端子と、第1セル及び第2セルの自由磁性層と固定磁性層の間に電圧を印加する第2入力端子とを含み、出力端子から生じる出力値は、第1入力端子及び第2入力端子が受け取る入力値のレベルに応じて数値0又は数値1に分類される。
【0186】
この実施例における第1電極、絶縁層、制御層、自由磁性層、及び固定磁性層の説明は、それらについての上記の説明と同じである。
【0187】
上記の出力値は、論理半導体素子の特定の位置で、又は特定の位置の間で測定した、電流値、抵抗値、及び電圧値のうちの一つとすることができる。出力値が上記で設定した参照値より大きいときに、出力値は、数値1と指定され、出力値が上記で設定した参照値より小さいときに、出力値は数値0と指定される。或いは、出力値が上記で設定した参照値より大きいときに、出力値は、数値0と指定され、出力値が上記で設定した参照値より小さいときに、出力値は数値1と指定される。上述のように、本発明の実施例による論理半導体素子は、二進表記法によって情報を記憶し、読み取ることができる。
【0188】
本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく論理半導体素子は、CMOS AND/ORゲート、CMOS NAND/NORゲート、CMOSインバータ、CMOS SRAM、及びCMOS Op-AMPのうちの少なくとも一つとして使用することができる。
【0189】
第1入力端子は、第1位置及び第2位置を含む第1電極に電流を印加することができ、第1電極に印加される電流の大きさを制御することができる。
【0190】
第1入力端子によって第1位置及び第2位置を含む第1電極に電流が印加されても、その流れている電流が自由磁性層の磁気的特徴を変化させるのに十分でないときには、自由磁性層の磁気的特徴を変化させることはできない。自由磁性層の磁気的特徴を変化させるのに十分に大きな電流が第1入力端子によって第1位置及び第2位置を含む第1電極に流れているときにのみ、自由磁性層の磁気的特徴を変化させることができる。このときの電流値を、自由磁性層の臨界電流と呼ぶ。すなわち、第1入力端子は、臨界電流より大きな電流を第1位置及び第2位置を含む第1電極に流すことによって、自由磁性層の電気的又は磁気的特徴を変化させることができる。
【0191】
第1入力端子に印加される電流を制御するために、電流制御スイッチをさらに含めることもできる。上記の第1入力端子は、第1電極の一つの端部に接続された電極とすることができ、電流制御スイッチは、半導体内の電流の流れを制御するために一般に使用される構造を有することができる。
【0192】
磁気トンネル接合を含む第1セル及び第2セルの自由磁性層の磁化方向は、第1入力端子に印加される電流の大きさによって変化させることができる。このとき、磁気トンネル接合を含む第1セル及び第2セルは、磁化方向を変化させる異なる臨界電流値を有することができる。
【0193】
磁気トンネル接合を含む第1セルの制御層(10213)及び磁気トンネル接合を含む第2セルの制御層(10223)は、通常酸化制御層、酸化不足制御層、又は過酸化制御層とすることができる。
【0194】
例えば、磁気トンネル接合を含む第1セルは、通常酸化制御層を含むこともできるし、或いは過酸化制御層を含むこともできる。磁気トンネル接合を有する第1セルは、酸化不足制御層を含むこともできるし、或いは過酸化制御層を含むこともできる。
【0195】
第2入力端子は、第1セル及び第2セルの自由磁性層と固定磁性層の間に電圧を印加することができる。制御層は、第2入力端子に印加される電圧によって、自由磁性層と絶縁層の間の界面の電気的レベルを制御し、セルの臨界電流値は、制御層の電気的レベルを調整することによって制御される。
【0196】
第2入力端子に印加される電圧を調整するために、電圧制御スイッチをさらに含めることもできる。第2入力端子は、第2電極の一方の側に接続された電極とすることができる。電圧制御スイッチは、半導体内の電圧の流れを制御するために一般に使用される構造を有することができる。
【0197】
上記の第2入力端子は、第1セル及び第2セルの自由磁性層と固定磁性層の間に電圧を印加する構造を有することができ、これは、固定磁性層とすることができ、また固定磁性層に接続された電極にすることもできる。
【0198】
磁気トンネル接合を含む第1セル(10210)及び第2セル(10220)は、第2入力端子によって印加される電圧によって電気的又は磁気的特徴を変化させることができる材料及び組成を有することができる。本明細書の電気的又は磁気的特徴を臨界電流の大きさによって変化させて、磁気トンネル接合を含むセルの磁化方向を変化させることができる。
【0199】
磁化方向を変化させるための磁気トンネル接合を含む各セルの臨界電流値は、磁気トンネル接合を含む第1セル(10210)及び第2セル(10220)に印加される電圧によって変化させることができる。
【0200】
第2入力端子に印加される電圧を使用して第1セルの制御層(10213)によって制御される自由磁性層(10211)と絶縁層(10212)の間の界面の電気的レベルは、第2セルの制御層(10223)によって制御される自由磁性層(10221)と絶縁層(10222)の間の界面の電気的レベルと異なる可能性がある。異なる電気的レベルが各制御層によって異なって制御されることにより、第1セルの臨界電流値と第2セルの臨界電流値とは互いに異なる。出力端子から出力される出力値のレベルは、第1セル及び第2セルの各自由磁性層の磁化方向に応じて制御することができる。
【0201】
磁気トンネル接合を含む第1セルの制御層(10213)を過酸化制御層とし、磁気トンネル接合を含む第2セルの制御層(10223)を酸化不足制御層とすることができると好ましい。或いは、磁気トンネル接合を含む第1セルの制御層(10213)を酸化不足制御層とし、磁気トンネル接合を含む第2セルの制御層(10223)を過酸化制御層とすることもできる。このとき、磁気トンネル接合を含む第1セル及び第2セルの挙動は、第2入力端子に正電圧が印加されるか負電圧が印加されるかによって異なる形で制御することができる。
【0202】
第1入力端子及び第1セルを通過する電流によって生成される値と第1入力端子及び第2セルを通過する電流によって生成される値とを加算することによって得られる出力値を、出力端子から出力することができる。出力端子は、固定磁性層に接続された電極とすることができ、上記の出力値は、読取り線を通して送出することができる。
【0203】
第1入力端子及び第1セルを通過する電流によって生成される値と第1入力端子及び第2セルを通過する電流によって生成される値とを加算することによって得られる出力値は、トンネル磁気抵抗(Tunnel Mangetoresistance)又は異常ホール効果(AHE)電圧とすることができる。
【0204】
電流が第1入力端子及び第1セルを通過しているときに、第1セルの自由磁性層及び固定磁性層の磁化方向が平行である場合には、第1レベル出力値を出力することができ、このとき、第1レベル出力値は、高電流値又は低抵抗値とすることができる。電流が第1入力端子及び第1セルを通過しているときに、第1セルの自由磁性層及び固定磁性層の磁化方向が反平行である場合には、第2レベル出力値を出力することができ、このとき、第2レベル出力値は、低電流値又は高抵抗値とすることができる。
【0205】
出力端子から出力される出力値は、第1入力端子及び第2入力端子に入力される入力値のレベルに応じて数値0又は数値1に分類することができる。
【0206】
本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく論理半導体素子は、電圧に応じた磁化切替えの異なる極性により、従来のCMOS(相補形金属酸化膜半導体)と同様に機能する素子として使用することができる。
【0207】
本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく論理半導体素子では、第2入力端子に印加される電圧が正であるときには、磁化切替えは第1セルにおいてのみ可能である。第2入力端子に印加される電圧が負であるときには、磁化切替えは、第2セルにおいてのみ可能である。上記の第2入力端子は、第1セル及び第2セル上の共通の電極を介して電圧を印加することができ、これを介して、第1セル及び第2セルのうちの一方は、自由磁性層の磁化方向を第1方向として有することができ、これらのセルのうちの少なくとも一つの磁化方向を、第1方向とすることができる。
【0208】
第1セル又は第2セルの磁化方向を初期化するためには、第1セル又は第2セルの臨界電流より大きな電流を印加する必要がある。
【0209】
第1セル又は第2セルの自由磁性層の磁化方向が第1方向又は上向き方向(Up)である場合には、第1セル又は第2セルの固定磁性層の磁化方向は、第1方向である自由磁性層の磁化方向と反平行にすることができ、これにより、高抵抗値又は高トンネル磁気抵抗(TMR)を呈することができる。第1セル又は第2セルの自由磁性層の磁化方向が第2方向又は下向き方向(Down)である場合には、第1セル又は第2セルの固定磁性層の磁化方向は、第2方向である自由磁性層の磁化方向と同じにすることができ、このとき、自由磁性層の磁化方向は、固定磁性層の磁化方向と平行である。したがって、低抵抗値又は低トンネル磁気抵抗(TMR)を呈することができる。
【0210】
図32は、本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子(10000)におけるAHE(異常ホール効果)電圧の測定を説明する図である。
【0211】
図32に示すように、この半導体素子は、基板(酸化ケイ素)-第1電極(Ta(5nm))/自由磁性層(Co32Fe4820(CoFeB、1nm))/絶縁層(MgO、1.6nm)/制御層(AlO)/ゲート酸化物層(ZrO、40nm)という構造で構成し、ルテニウム(Ru)を、第2電極として制御層上に堆積させた。このとき、第1セルの制御層は、酸化時間を25秒に設定することによってn型擬似セルとして準備し、第2セルの制御層は、酸化時間を125秒に設定することによってp型擬似セルとして準備した。
【0212】
図33は、図32の半導体素子の第1入力端子及び第2入力端子の入力値と、それにより得られる第1セル及び第2セルの出力端子で測定される出力値とを示すグラフのセットである。
【0213】
図33に示すように、初期磁化状態は、上向き方向(Up)に設定した。したがって、第1セル及び第2セルの異常ホール抵抗は、それぞれ+2Ωとして測定された。次に、+24Vの電圧を第2入力端子に印加し、次いで+12mAの電流を第1入力端子に段階的に印加した。また、10mTの面内電流を、電流方向と同じ方向に印加する。このとき、n型擬似セルは、下向き(Down)から上向き(Up)への磁化切替えを示したが、p型擬似セルは、いかなる変化も示さなかった。これに対して、-24Vの電圧を第2入力端子に印加したときには、第1入力端子に印加される電流によって、p型擬似セルの磁化方向が選択的に変化した。
【0214】
14mAより大きな電流が第1入力端子に印加されたときには、第1入力端子に印加される電圧に関わらず、第1セル及び第2セルを同時に制御することができる。
【0215】
したがって、本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子は、第2入力端子に正電圧を印加することによってn型擬似セルを選択的に制御することができ、第2入力端子に負電圧を印加することによってp型擬似セルを選択的に制御することができることが確認された。
【0216】
第1入力端子に電流が印加され、第2入力端子に電圧が印加されるときに、以下の出力値レベルを出力端子から出力することができる。
(a)第1セル及び第2セルの自由磁性層の磁化方向が第1方向である場合には、第1レベルが出力され、
(b)第1セルの自由磁性層の磁化方向が第1方向で、第2セルの自由磁性層の磁化方向が第2方向である場合には、第2レベルが出力され、
(c)第1セルの自由磁性層の磁化方向が第2方向で、第2セルの自由磁性層の磁化方向が第1方向である場合には、第2レベルが出力され、
(d)第1セル及び第2セルの自由磁性層の磁化方向が第2方向である場合には、第3レベルが出力される。
【0217】
図33に示すように、第1セル及び第2セルの自由磁性層の磁化方向が、第1方向であったときには、これは磁化切替え上向き(Up)であるが、第1レベルが出力端子から出力された。第1セル及び第2セルの自由磁性層のうちの少なくとも一つの磁化方向が第1方向であり、他方が第2方向であったときには、第2レベルが出力端子から出力された。第1セル及び第2セルの自由磁性層の磁化方向が第2方向であったときには、これは磁化切替え下向き(Down)であるが、第3レベルが出力端子から出力された。
【0218】
図34は、本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子(11000)を示す図である。
【0219】
図34に示すように、本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく論理半導体素子(11000)は、第1位置及び第2位置を含む第1電極(11100)に電流を印加する入力回路と、第1電極(11100)の第1位置と第2位置の間に配置され、絶縁層及び制御層の近接構造をそれらの間に置いて配置された自由磁性層及び固定磁性層を有する、磁気トンネル接合(MTJ)を含む第1セル(11210)及び第2セル(11220)と、第1セルの自由磁性層(11211)と固定磁性層(11214)の間に電圧を印加する第1入力端子と、第2セルの自由磁性層(11221)と固定磁性層(11224)の間に電圧を印加する第2入力端子と、第1電極(11100)及び第1セル(11210)を通過する電流によって生成される値と第1電極(11100)及び第2セル(11220)を通過する電流によって生成される値を加算することによって得られる出力値を出力する出力端子とを含む。このとき、入力回路が第1電極に電流を印加したときに、出力端子から出力される出力値は、第1入力端子及び第2入力端子に入力される入力値のレベルに応じて数値0又は数値1に分類される。
【0220】
この実施例における第1電極、絶縁層、制御層、自由磁性層、及び固定磁性層の説明は、それらについての上記の説明と同じである。
【0221】
入力回路は、第1位置及び第2位置を含む第1電極(11100)に電流を印加することができ、第1電極に印加される電流の大きさを制御することができる。
【0222】
第1位置及び第2位置を含む第1電極(11100)に電流が印加されていても、その流れている電流が自由磁性層の磁気的特徴を変化させるのに十分でないときには、自由磁性層の磁気的特徴は変化しない。十分な電流が第1電極に流れているときにのみ、自由磁性層の磁気的特徴を変化させることができる。このときの電流値を、自由磁性層の臨界電流と呼ぶ。すなわち、自由磁性層の電気的又は磁気的特徴は、臨界電流より大きな電流を第1位置及び第2位置を含む第1電極に流すことによって変化させることができる。
【0223】
入力回路に印加される電流を制御するために、電流制御スイッチをさらに含めることもできる。電流制御スイッチは、半導体内の電流の流れを制御するために一般に使用されるスイッチ構造を有することができる。
【0224】
図35は、本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子を示す図である。
【0225】
図35に示すように、入力回路は、第1電極(11100)上にそれらの間に第1セル(11210)及び第2セル(11120)を間に置いて配置された第1位置と第2位置の間に電流を提供し、書込みブロック(11610)、ソース線(11510)、第1電極に流れる電流を制御するトランジスタ、第1セル(11210)、第2セル(11220)、及び書込み線(11520)を通って書込みブロック(11610)に戻る経路を有することができる。
【0226】
書込みブロック(11610)は、ソース線(11510)及び書込み線(11520)を制御することができる。上記のスイッチ(11620)は、第1ビット線(11531)、第2ビット線(11532)、及び第3ビット線(11533)を制御することができる。上記の第1ビット線(11531)は、第1電極に流れる電流を調整するトランジスタを制御することができる。上記の第2ビット線(11532)は、第1セル内の電圧を調整するトランジスタを制御することができる。第3ビット線(11533)は、第2セル内の電圧を調整するトランジスタを制御することができる。
【0227】
ソース増幅器(11630)は、リード線(11541、11542)から出力される第1セル及び第2セルの出力値を増幅し、認識することができる。
【0228】
磁気トンネル接合を含む第1セル及び第2セルの自由磁性層の磁化方向は、入力回路に印加される電流の大きさによって変化させることができる。このとき、磁気トンネル接合を含む第1セル及び第2セルは、磁化方向を変化させるための異なる臨界電流値を有することができる。
【0229】
第1入力端子は、第1セル(11210)の自由磁性層(11211)と固定磁性層(11214)の間に電圧を印加することができる。制御層(11213)は、第1入力端子に印加される電圧によって、自由磁性層(11211)と絶縁層(11212)の間の界面の電気的レベルを制御し、第1セル(11210)の臨界電流値は、制御層(11213)の電気的レベルを調整することによって制御される。
【0230】
第1入力端子に印加される電圧を調整するために、本発明の別の実施例による論理半導体素子(11000)に、電圧制御スイッチをさらに含めることもできる。電圧制御スイッチは、半導体内の電圧を制御するための一般的なスイッチ構造を含むことができるが、必ずしもこれに限定されるわけではない。
【0231】
上記の第1入力端子は、第1セル(11210)の自由磁性層(11211)と固定磁性層(11214)の間に電圧を印加する構造を有することができ、これは、固定磁性層(11214)とすることができ、また固定磁性層に接続された第2電極(11300)にすることもできる。
【0232】
磁気トンネル接合を含む第1セルは、第1入力端子によって印加される電圧によって電気的又は磁気的特徴を変化させることができる材料及び組成を含むことができる。本明細書における電気的又は磁気的特徴は、磁気トンネル接合を含むセルの磁化方向を変化させる臨界電流の大きさによって変化させることができる。
【0233】
磁化方向を変化させるための磁気トンネル接合を含む各セルの臨界電流値は、磁気トンネル接合を含むセルに印加される電圧によって変化させることができる。
【0234】
第1入力端子に印加される電圧を使用して第1セルの制御層によって制御される自由磁性層と絶縁層の間の界面の電気的レベルは、第2セルの制御層によって制御される自由磁性層と絶縁層の間の界面の電気的レベルと異なる可能性がある。異なる電気的レベルが各制御層によって異なって制御されることにより、第1セルの臨界電流値と第2セルの臨界電流値とは互いに異なる。出力端子から出力される出力値のレベルは、第1セルの自由磁性層の磁化方向に応じて制御することができる。
【0235】
磁気トンネル接合を含む第1セルの制御層は、通常酸化制御層、酸化不足制御層、又は過酸化制御層とすることができる。
【0236】
第2入力端子は、第2セル(11220)の自由磁性層(11211)と固定磁性層(11214)の間に電圧を印加することができる。制御層(11223)は、第2入力端子に印加される電圧によって、自由磁性層(11211)と絶縁層(11212)の間の界面の電気的レベルを制御し、第2セル(11220)の臨界電流値は、制御層(11223)の電気的レベルを調整することによって制御される。
【0237】
第2入力端子に印加される電圧を調整するために、本発明の別の実施例による論理半導体素子に、電圧制御スイッチをさらに含めることもできる。電圧制御スイッチは、半導体内の電圧を制御するための一般的なスイッチ構造を含むことができるが、必ずしもこれに限定されるわけではない。
【0238】
上記の第2入力端子は、第2セル(11220)の自由磁性層(11221)と固定磁性層(11224)の間に電圧を印加する構造を有することができ、これは、固定磁性層(11224)とすることができ、また固定磁性層に接続された第2電極(11300)にすることもできる。
【0239】
この磁気トンネル接合を含むセルは、第2入力端子によって印加される電圧によって電気的又は磁気的特徴を変化させることができる材料及び組成を含むことができる。本明細書における電気的又は磁気的特徴は、磁気トンネル接合を含むセルの磁化方向を変化させる臨界電流の大きさによって変化させることができる。
【0240】
磁化方向を変化させるための磁気トンネル接合を含む各セルの臨界電流値は、磁気トンネル接合を含むセルに印加される電圧によって変化させることができる。
【0241】
第2入力端子に印加される電圧を使用して第2セルの制御層によって制御される自由磁性層と絶縁層の間の界面の電気的レベルは、第1セルの制御層によって制御される自由磁性層と絶縁層の間の界面の電気的レベルと異なる可能性がある。異なる電気的レベルが各制御層によって異なって制御されることにより、第1セルの臨界電流値と第2セルの臨界電流値とは互いに異なる。出力端子から出力される出力値のレベルは、第2セルの自由磁性層の磁化方向に応じて制御することができる。
【0242】
磁気トンネル接合を含む第2セルの制御層は、通常酸化制御層、酸化不足制御層、又は過酸化制御層とすることができる。
【0243】
第1電極及び第1セルを通過する電流によって生成される値と第1電極及び第2セルを通過する電流によって生成される値とを加算することによって得られる出力値を、出力端子から出力することができる。
【0244】
自由磁性層と絶縁層の間の界面の電気的レベルは、第1入力端子及び第2入力端子に印加される電圧を使用して、第1セル及び第2セルの制御層によって制御することができる。第1セル及び第2セルの臨界電流値は、制御層によって制御される電気的レベルに応じて制御することができる。
【0245】
図36は、本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子におけるAHE(異常ホール効果)電圧の測定を説明する図である。
【0246】
図36に示すように、この半導体素子は、基板(酸化ケイ素)-第1電極(Ta(5nm))/自由磁性層(Co32Fe4820(CoFeB、1nm))/絶縁層(MgO、1.6nm)/制御層(AlO)/ゲート酸化物層(ZrO、40nm)という構造で構成し、ルテニウム(Ru)を、第2電極として制御層上に堆積させた。このとき、第1セル及び第2セルの制御層は、酸化時間を125秒に設定することによって、p型擬似セルとして準備した。
【0247】
図37及び図38は、図36の半導体素子の第1セル及び第2セルの異常ホール効果及び磁化切替えを説明するためのグラフである。
【0248】
図37及び図38に示すように、+24Vを、第1入力端子及び第2入力端子に印加した。14.5±0.5mAの電流を入力回路に印加したときに、磁化切替えが観察された。+24Vの電圧を第1入力端子及び第2入力端子に印加した後で12.5±0.5mAの電流を入力回路に印加したときにも、磁化切替えが観察された。図36に示すように、第1セル及び第2セルはp型擬似セルであり、臨界電流の絶対値は、第1入力端子及び第2入力端子に印加される電圧が負(-)であるときには、より小さかった。また、10mTの面内磁場を、電流方向と同じ方向に印加する。
【0249】
第1セル及び第2セルの自由磁性層の磁化方向が第1方向であり、入力回路に電流が印加され、第1入力端子及び第2入力端子に電圧が印加される場合には、以下の出力値レベルが、ANDゲート又はORゲートとして作用する出力端子から出力される。
(a)第1入力端子及び第2入力端子に印加される電圧が第1レベルであるときには、第1セル及び第2セルの自由磁性層の磁化方向は、第1方向のままであり、第1レベル出力値が出力端子から出力され、
(b)第1入力端子に印加される電圧が第1レベルであり、第2入力端子に印加される電圧が第2レベルであるときには、第1セルの自由磁性層の磁化方向は、第1方向のままであるが、第2セルの自由磁性層の磁化方向は、第2方向に変化し、第2レベル出力値が出力端子から出力され、
(c)第1入力端子に印加される電圧が第2レベルであり、第2入力端子に印加される電圧が第1レベルであるときには、第1セルの自由磁性層の磁化方向は、第2方向に変化するが、第2セルの自由磁性層の磁化方向は、第1方向のままであり、第2レベル出力値が出力端子から出力され、
(d)第1入力端子及び第2入力端子に印加される電圧が第2レベルであるときには、第1セル及び第2セルの自由磁性層の磁化方向は、第2方向に変化し、第3レベル出力値が出力端子から出力される。
【0250】
図39は、図36の半導体素子の第1入力端子及び第2入力端子の入力値と、それにより得られる第1セル及び第2セルの出力端子で測定される出力値とを示すグラフのセットである。また、10mTの面内磁場を、電流方向と同じ方向に印加する。
【0251】
図39に示すように、初期磁化方向が上向き方向(Up)であったときには、第1セル又は第2セルの正規化異常ホール抵抗は、第1入力端子又は第2入力端子に印加される電圧が-24Vであるときにのみ変化させることができる。これは、第1セル又は第2セルはp型擬似セルであるからである。
【0252】
ANDゲート又はORゲートの論理動作を説明するために、以下のように基準値を規定した。
ref,UP=(Rxy,1st+Rxy,2nd)/2=+2Ω
ref,DOWN=(Rxy,1st+Rxy,2nd)/2=-2Ω
【0253】
図39及び上記に規定したRref値を参照すると、第1入力端子及び第2入力端子の入力値によって出力値が決定される表1に示す真理値表が得られる。表1の真理値表は、第1セル及び第2セルの磁化方向が初期化されるとき、並びに入力回路に印加される電流が-12mAであるときのみに限定される。
【0254】
【表1】
【0255】
表1に示すように、Rref,UPを基準と考えると、+24Vの電圧(第2レベル)を第1入力端子及び第2入力端子に印加したときにのみ、出力値(Routput又はRxy,1st+Rxy,2nd)は、Rref,UPより大きい。Rref,DOWNを基準と考えると、-24Vの電圧(第1レベル)を第1入力端子及び第2入力端子に印加したときにのみ、出力値(Routput又はRxy,1st+Rxy,2nd)は、Rref,DOWNより小さい。
【0256】
したがって、Rref,UPを基準値とするときには、ANDゲートが動作し、第1レベル値又は第2レベル値が出力端子から出力されるときに、出力値を数値0に分類することができる。第3レベル値が出力端子から出力されるときに、出力値は、数値1に分類することができる。すなわち、第1入力端子及び第2入力端子の入力値が第2レベルであるときには、値は数値1に分類することができる。
【0257】
ref,DOWNを基準値とするときには、ORゲートが動作し、第1レベル値が出力端子から出力されるときに、出力値を数値0に分類することができる。第2レベル値又は第3レベル値が出力端子から出力されるときに、出力値は、数値1に分類することができる。すなわち、第1入力端子及び第2入力端子の入力値のうちの少なくとも一つが第2レベルであるときには、値は数値1に分類することができる。
【0258】
第1セル及び第2セルの自由磁性層の磁化方向が第2方向であり、入力回路に電流が印加され、第1入力端子及び第2入力端子に電圧が印加される場合には、以下の出力値レベルが、NANDゲート又はNORゲートとして作用する出力端子から出力される。
(a)第1入力端子及び第2入力端子に印加される電圧が第1レベルであるときには、第1セル及び第2セルの自由磁性層の磁化方向は、第1方向に変化し、第1レベル出力値が出力端子から出力され、
(b)第1入力端子に印加される電圧が第1レベルであり、第2入力端子に印加される電圧が第2レベルであるときには、第1セルの自由磁性層の磁化方向は、第1方向に変化するが、第2セルの自由磁性層の磁化方向は、第2方向のままであり、第2レベル出力値が出力端子から出力され、
(c)第1入力端子に印加される電圧が第2レベルであり、第2入力端子に印加される電圧が第1レベルであるときには、第1セルの自由磁性層の磁化方向は、第2方向のままであるが、第2セルの自由磁性層の磁化方向は、第1方向に変化し、第2レベル出力値が出力端子から出力され、
(d)第1入力端子及び第2入力端子に印加される電圧が第2レベルであるときには、第1セル及び第2セルの自由磁性層の磁化方向は、第2方向のままであり、第3レベル出力値が出力端子から出力される。
【0259】
図40は、本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子におけるAHE(異常ホール効果)電圧の測定を説明する図である。
【0260】
図40に示すように、この半導体素子は、基板(酸化ケイ素)-第1電極(Ta(5nm))/自由磁性層(Co32Fe4820(CoFeB、1nm))/絶縁層(MgO、1.6nm)/制御層(AlO)/ゲート酸化物層(ZrO、40nm)という構造で構成し、ルテニウム(Ru)を、第2電極として制御層上に堆積させた。このとき、第1セル及び第2セルの制御層は、酸化時間を25秒に設定することによってn型擬似セルとして準備した。
【0261】
図40で、第1セル及び第2セルが両方ともn型擬似セルであるときには、電圧極性に対する磁化方向は、上記と反対であり、したがって、表2に示す真理値表を得ることができる。
【0262】
【表2】
【0263】
表2に示すように、Rref,UPを基準と考えると、負電圧(第1レベル)を第1入力端子及び第2入力端子に印加したときにのみ、出力値(Routput又はRxy,1st+Rxy,2nd)は、Rref,UPより大きい。Rref,DOWNを基準と考えると、正電圧(第2レベル)を第1入力端子及び第2入力端子に印加したときにのみ、出力値(Routput又はRxy,1st+Rxy,2nd)は、Rref,DOWNより小さい。
【0264】
したがって、Rref,UPを基準値とするときには、NANDゲートが動作し、第2レベル値又は第3レベル値が出力端子から出力されるときに、出力値を数値0に分類することができる。第1レベル値が出力端子から出力されるときに、出力値は、数値1に分類することができる。すなわち、第1入力端子及び第2入力端子に印加される電圧が第1レベルであるときには、値は数値1に分類することができる。
【0265】
ref,DOWNを基準値とするときには、NORゲートが動作し、第1レベル値又は第2レベル値が出力端子から出力されるときに、出力値を数値1に分類することができる。第3レベル値が出力端子から出力されるときに、出力値は、数値1に分類することができる。すなわち、第1入力端子及び第2入力端子に印加される電圧が第2レベルであるときにのみ、値は数値0に分類することができる。
【0266】
図41は、本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子(12000)を示す図である。
【0267】
図41に示すように、本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく論理半導体素子(12000)は、第1位置及び第2位置を含む第1電極(12100)に電流を印加する第1入力端子と、第1電極(12100)の第1位置と第2位置の間に配置され、第1電極(12100)上に配置された自由磁性層(12211)、自由磁性層(12211)上に配置された絶縁層(12212)、絶縁層(12212)上に配置された制御層(12213)、及び制御層(12213)上に配置された固定磁性層(12214)を有する、磁気トンネル接合(MTJ)を含むセル(12210)と、セル(12210)の自由磁性層(12211)と固定磁性層(12214)の間に電圧を印加する第2入力端子と、第1電極(12100)及びセル(12210)を通過する電流によって生成される値を出力する出力端子とを含み、出力端子から生じる出力値は、第1入力端子及び第2入力端子が受け取る入力値のレベルに応じて数値0又は数値1に分類される。
【0268】
この実施例における第1電極、絶縁層、制御層、自由磁性層、及び固定磁性層の説明は、それらについての上記の説明と同じである。
【0269】
第1入力端子は、第1位置及び第2位置を含む第1電極に電流を印加することができ、第1電極に印加される電流の大きさを制御することができる。
【0270】
第1位置及び第2位置を含む第1電極に電流が印加されていても、その流れている電流が自由磁性層の磁気的特徴を変化させるのに十分でないときには、自由磁性層の磁気的特徴は変化しない。十分な電流が第1位置及び第2位置を含む第1電極に流れているときにのみ、自由磁性層の磁気的特徴を変化させることができる。このときの電流値を、自由磁性層の臨界電流と呼ぶ。すなわち、自由磁性層の電気的又は磁気的特徴は、臨界電流より大きな電流を第1位置及び第2位置を含む第1電極に流すことによって変化させることができる。
【0271】
第1入力端子に印加される電流を制御するために、電流制御スイッチをさらに含めることもできる。電流制御スイッチは、半導体内の電流の流れを制御するために一般に使用されるスイッチ構造を有することができる。
【0272】
磁気トンネル接合を含むセル(12210)の自由磁性層の磁化方向は、第1入力端子に印加される電流の大きさによって変化させることができる。
【0273】
第2入力端子は、第1セル(12210)の自由磁性層(12211)と固定磁性層(12214)の間に電圧を印加することができる。制御層(12213)は、第2入力端子に印加される電圧によって、自由磁性層(12211)と絶縁層(12212)の間の界面の電気的レベルを制御し、セルの臨界電流値は、制御層の電気的レベルを調整することによって制御される。
【0274】
第1電極及びセルを通過する電流によって生成される値を、出力端子から出力することができる。
【0275】
出力端子から出力される出力値は、第1入力端子及び第2入力端子に入力される入力値のレベルに応じて数値0又は数値1に分類することができる。
【0276】
図42は、本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子(12000)におけるAHE(異常ホール効果)電圧の測定を説明する図である。
【0277】
図42に示すように、この半導体素子は、基板(酸化ケイ素)-第1電極(Ta(5nm))/自由磁性層(Co32Fe4820(CoFeB、1nm))/絶縁層(MgO、1.6nm)/制御層(AlO)/ゲート酸化物層(ZrO、40nm)という構造で構成し、ルテニウム(Ru)を、第2電極として制御層上に堆積させた。このとき、セルの制御層は、酸化時間を125秒に設定することによってp型擬似セルとして準備した。
【0278】
図43は、図42の半導体素子のセルの異常ホール効果及び磁化切替えを説明するグラフである。
【0279】
図43に示すように、この実施例のセルは、p型擬似セルであり、したがって、正電圧を第2入力端子に印加したときに、臨界電流の絶対値はより大きかった。
【0280】
第1入力端子及び第2入力端子に入力される入力値のレベルに応じて、以下の出力値レベルが、ORゲートとして作用する出力端子から出力される。
(a)第1レベル電流が第1入力端子に印加され、第1レベル電圧が第2入力端子に印加されるときには、セルの自由磁性層の磁化方向は、第1方向のままであるか、又は第1方向に変化し、第1レベル出力値が出力端子から出力され、
(b)第1レベル電流が第1入力端子に印加され、第2レベル電圧が第2入力端子に印加されるときには、セルの自由磁性層の磁化方向は、第1方向のままであるか、又は第1方向に変化し、第1レベル出力値が出力端子から出力され、
(c)第2レベル電流が第1入力端子に印加され、第1レベル電圧が第2入力端子に印加されるときには、セルの自由磁性層の磁化方向は、第1方向のままであるか、又は第1方向に変化させることができ、第1レベル出力値が出力端子から出力され、
(d)第2レベル電流が第1入力端子に印加され、第2レベル電圧が第2入力端子に印加されるときには、セルの自由磁性層の磁化方向は、第2方向のままであるか、又は第2方向に変化させることができ、第2レベル出力値が出力端子から出力される。
【0281】
図44は、図42の半導体素子の第1入力端子及び第2入力端子の入力値に応じた、出力端子で測定される値を示すグラフのセットである。
【0282】
図44に示すように、±24Vが第2入力端子に印加され、±13mAが第1入力端子に印加されたときには、負電圧が第2入力端子に印加されるときにのみ、セルの磁化状態又は異常ホール抵抗が反転する。また、10mTの面内磁場を、電流方向と同じ方向に印加する。
【0283】
図44に基づいて、表3の真理値表が得られる。
【0284】
【表3】
【0285】
第1入力端子及び第2入力端子に入力される入力値のレベルに応じて、以下のレベルの出力値を出力端子から出力し、出力端子はORゲートとして作用することができる。また、第1レベル電流が第1入力端子に印加され、第1レベル電圧が第2入力端子に印加されるときにのみ、出力値は、数値0に分類することができる。第1レベル電流が第1入力端子に印加される、又は第1レベル電圧が第2入力端子に印加されるときには、出力値は、数値1に分類することができる。
【0286】
図45は、本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子(13000)を示す図である。
【0287】
図45に示すように、本発明の別の実施例によるスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく論理半導体素子は、第1電極(13100)に電流を印加する第1入力端子と、第1電極(13100)の第1位置と第2位置の間に配置され、絶縁層(13212)及び制御層(13213)の近接構造をそれらの間に置いて配置された自由磁性層(13211)及び固定磁性層(13214)を有する、磁気トンネル接合(MTJ)を含む第1セル(13210)と、第1セル(13210)の自由磁性層(13211)と固定磁性層(13214)の間に電圧を印加する第1電圧ゲートと、第1セルから電流を受け取る第2電極(13300)上に配置され、絶縁層及び制御層の近接構造をそれらの間に置いて配置された自由磁性層及び固定磁性層を有する、磁気トンネル接合(MTJ)を含む第2セル(13220)と、第2セルの自由磁性層(13221)と固定磁性層(13224)の間に電圧を印加する第2電圧ゲートと、第2セルを介して出力される出力値を出力する出力端子と、第1入力端子から印加される電流が第1電極(13220)、第1セル、及び第2電極(13300)に沿って流れる入力回路と、第1入力端子から印加される電流が第1電極、第1セル、及び第2セルに沿って流れる出力回路とを含む。
【0288】
この実施例における第1電極、絶縁層、制御層、自由磁性層、及び固定磁性層の説明は、それらについての上記の説明と同じである。
【0289】
第1入力端子は、第1位置及び第2位置を含む第1電極に電流を印加することができ、第1電極に印加される電流の大きさを制御することができる。
【0290】
第1位置及び第2位置を含む第1電極に電流が印加されていても、その流れている電流が自由磁性層の磁気的特徴を変化させるのに十分でないときには、自由磁性層の磁気的特徴は変化しない。十分な電流が第1位置及び第2位置を含む第1電極に流れているときにのみ、自由磁性層の磁気的特徴を変化させることができる。このときの電流値を、自由磁性層の臨界電流と呼ぶ。すなわち、自由磁性層の電気的又は磁気的特徴は、臨界電流より大きな電流を第1位置及び第2位置を含む第1電極に流すことによって変化させることができる。
【0291】
第1入力端子に印加される電流を制御するために、電流制御スイッチをさらに含めることもできる。電流制御スイッチは、半導体内の電流の流れを制御するために一般に使用されるスイッチ構造を含むことができる。
【0292】
第1電圧ゲートは、第1セル(13210)の自由磁性層(13211)と固定磁性層(13214)の間に電圧を印加することができる。
【0293】
第2電圧ゲートは、第2セル(13220)の自由磁性層(13221)と固定磁性層(13224)の間に電圧を印加することができる。
【0294】
出力端子は、第2セルを通して出力値を出力することができる。
【0295】
図46は、本発明の別の実施例による入力回路及び出力回路を含むスピン軌道トルク(SOT)効果に基づく半導体素子を示す図である。
【0296】
図46に示すように、入力回路は、電流が第1入力端子から第1電極(11300)、第1セル(13210)、及び第2セル(13220)を通って流れるところである。入力回路は、書込みブロック(13610)、ソース線(13510)、第1電極(13100)に流れる電流を制御するトランジスタ、第1セル(13210)、書込み線(13520)、第2電極(13400)、及び第1セル(13210)を制御するトランジスタを通る経路を有することができる。
【0297】
図46に示すように、出力回路は、第1入力端子から提供される電流が第1電極(13100)、第1セル(13200)、及び第2電極(13400)を通って流れているところである。出力回路は、書込みブロック(13610)、ソース線(13510)、第1電極(13100)、第1セル(13200)、第2電極(13400)、第2セル(13220)、読取り線(13540)、及びソース増幅器(SA、13630)を通る経路を有することができる。
【0298】
書込みブロック(13610)は、ソース線(13510)及び書込み線(13520)を制御することができる。上記のスイッチ(13620)は、第1ビット線(13531)、第2ビット線(13532)、及び第3ビット線(13533)を制御することができる。上記の第1ビット線(13531)は、第1電極に流れる電流を調整するトランジスタを制御することができる。上記の第2ビット線(13532)は、第1セル内の電圧を調整するトランジスタを制御することができる。第3ビット線(13533)は、第2セル内の電圧を調整するトランジスタを制御することができる。
【0299】
ソース増幅器(13630)は、リード線(13540)から出力される第1セル及び第2セルの出力値を増幅し、認識することができる。
【0300】
第1電圧ゲートに印加される電圧によって第1セルから第2電極に入力回路を通って流れる電流のレベルは、第1セルの磁化方向によって変化させることができる。
【0301】
第2セルの自由磁性層の磁化方向は、第1セルの自由磁性層の磁化方向及び第2電圧ゲートによって印加される電圧によって制御される第2電極の面内電流によって制御することができる。
【符号の説明】
【0302】
1000、2000、3000、4000、8000 半導体素子
1100、2100、3100、4100、7100 第1電極
1210、3210、4210、6210 第1セル
1220、3220、4220、6220 第2セル
2210、2220、2230、2240、2250、2260、5210、5220、5230、5240、5250、5260 セル
1211、1221、3211、32221、4211、4221、6211、6221、7211、7221、8100 自由磁性層
1212、12222、3212、32222、4212、4222、7212、7222、8200 絶縁層
1213、1223、3213、32223、4213、4223、7213、7223、8300 固定磁性層
1300、2300、3300、5300 第2電極
4610、4620、6610、6620 ゲート絶縁層
4510、4520、5510、5520、5530、5540、5550、5560、6510、6520、7510、7520 電圧回路
2400、5400 電流制御スイッチ
9000、10000、11000、12000、13000 半導体素子
9100、10100、11100、12100、13100 第1電極
9210、10210、11210、12210、13210 第1セル
9211、10211、11211、12211、13211 第1セルの自由磁性層
9212、10212、11212、12212、13212 第1セルの絶縁層
9213、10213、11213、12213、13213 第1セルの制御層
9214、10214、11214、12214、13214 第1セルの固定磁性層
9220、10220、11220、12220、13220 第2セル
9221、10221、11221、12221、13221 第2セルの自由磁性層
9222、10222、11222、12222、13222 第2セルの絶縁層
9223、10223、11223、12223、13223 第2セルの制御層
9224、10224、11224、12224、13224 第2セルの固定磁性層
9300、10300、11300、12300、13300 第1セルの第2電極
10400、11400、13400 第2セルの第2電極
11510、13510 ソース線
11520、13520 書込み線
11530、13530 ビット線
11531、13531 第1ビット線
11532、13532 第2ビット線
11533、13533 第3ビット線
11540、13540 読取り線
11610、13610 書込みブロック
11620、13620 スイッチ
11630、13630 ソース増幅器
【0303】
当業者なら、以上の説明に開示した概念及び具体的な実施形態を、本発明の同じ目的を実行するための他の実施形態を修正又は設計するための基礎として容易に利用することができることを理解するであろう。また、当業者なら、このような等価な実施形態が、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の趣旨及び範囲から逸脱しないことも理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
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図38
図39
図40
図41
図42
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図44
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図46