(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】有機分を含むスラリーを処理するための装置、およびこのようなスラリーを処理する方法
(51)【国際特許分類】
C02F 11/08 20060101AFI20220607BHJP
B01J 3/02 20060101ALI20220607BHJP
B09B 3/70 20220101ALI20220607BHJP
【FI】
C02F11/08
B01J3/02 C ZAB
B01J3/02 E
B09B3/00 304Z
(21)【出願番号】P 2017555765
(86)(22)【出願日】2016-04-28
(86)【国際出願番号】 EP2016059546
(87)【国際公開番号】W WO2016174163
(87)【国際公開日】2016-11-03
【審査請求日】2019-03-13
(32)【優先日】2015-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517331745
【氏名又は名称】エスシーダブリュー・システムズ・ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘラルドゥス・コルネリス・オットー・ベルナルト・エッシング
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・スコット・ヘンドリー
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第02810312(FR,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0115955(US,A1)
【文献】特開2005-246153(JP,A)
【文献】特開2004-160333(JP,A)
【文献】特開2007-198614(JP,A)
【文献】特開2008-013377(JP,A)
【文献】特開2001-046854(JP,A)
【文献】特開平11-138198(JP,A)
【文献】特開2004-313936(JP,A)
【文献】米国特許第05461648(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/08
B01J 3/02
B09B 3/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも50%の含水量を有する有機分を含むスラリーを処理するための装置(1)であって、前記スラリー内の水を超臨界状態にするための高圧ポンプ(6)および熱交換器(7)と、前記スラリー内の前記有機分の少なくとも一部を変換するための反応器(8)と、を備え、前記熱交換器(7)と前記反応器(8)との少なくとも一方が
1つの管または複数の連続して接続された管(7A;8A)を備えた、装置(1)において、
少なくとも1つの搬送スクリュー(15)が、
前記管(7A;8A)を通じて前記スラリーから沈降する固形物を搬送するために前記管(7A;8A)にまたは前記管(7A;8A)のうちの少なくとも1つに収容され、
前記スクリュー(15)は開放した中心を有しており、そのため前記スラリーまたは前記スラリー内の水の流速が変化することを可能にすることを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
前記熱交換器(7)および前記反応器(8)は、各々が1つ以上の管(7A;8A)を備え、搬送スクリュー(15)が、前記熱交換器(7)の少なくとも1つの管(7A)内と、前記反応器(8)の少なくとも1つの管(8A) 内と、に収容される、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
搬送スクリュー(15)が、前記熱交換器(7)および前記反応器(8)のすべての前記管(7A;8A) 内に収容される、請求項2に記載の装置(1)。
【請求項4】
いくつかのまたは全部のスクリュー(15)は、開放した中心を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記スクリューまたは少なくとも1つのスクリュー、好ましくはいくつかのまたは全部のスクリューは、螺旋要素(15)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記スクリューまたは少なくとも1つのスクリュー、好ましくはいくつかのまたは全部のスクリューは、スクリューリボン(15)を備える、請求項5に記載の装置(1)。
【請求項7】
少なくとも1つのスクリュー(15)、好ましくはいくつかのまたは全部のスクリュー(15)は、前記スラリー内の前記有機分の前記変換と相互作用する物質を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記搬送スクリューまたは複数の搬送スクリュー(15)を駆動するための少なくとも1つのモータ(16)を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
少なくとも前記反応器(8)と前記熱交換器(7)とを包囲する高圧領域を備え、前記少なくとも1つのモータ(16)は前記高圧領域の外部に位置付けられる、請求項8に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記高圧領域は封止され、前記少なくとも1つのモータ(16)は前記搬送スクリューまたは複数の搬送スクリュー(15)に磁気的に連結される、請求項9に記載の装置(1)。
【請求項11】
逆の螺旋構造を有する2つの搬送スクリュー(15)を備える、請求項1から10のいずれか一
項に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記搬送スクリュー(15)または少なくとも1つの搬送スクリュー(15)、好ましくはいくつかのまたは全部のスクリュー(15)の外径が、それが収容される前記管(7A;8A)の内径より0%~15%小さい範囲にある、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項13】
固形物トラップ(9)を備え、前記スクリュー(15)または少なくとも1つのスクリュー(15)は、前記固形物トラップ(9)内、または前記固形物トラップ(9)の上を延びる、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項14】
少なくとも50%の含水量を有する
有機分を含むスラリーを処理する方法であって、
前記スラリー内の水を超臨界状態にするために、前記スラリーの圧力および温度を上昇させるステップと、
前記スラリー内の前記有機分の少なくとも一部を変換するステップと、
を含み、
圧力および温度を上昇させる前記ステップと、前記スラリー内の前記有機分の少なくとも一部を変換する前記ステップと、の少なくとも一方が、管(7A;8A)において実行される、方法において、
前記方法は、請求項1に記載の装置で実施され、前記装置は前記管(7A;8A)を備えており、
前記スラリーから沈降する固形物は、前記管(7A;8A)に収容される
前記スクリュー(15)を用いて、前記管(7A;8A)を通じて
搬送されるステップを特徴とする、方法。
【請求項15】
圧力および温度を上昇させる前記ステップ、および前記スラリーにおける前記有機分の少なくとも一部を変換する前記ステップ、の両方は、管(7A;8A)において実行され、前記スラリーは、前記管(7A;8A)に収容される1つ以上のスクリュー(15)を用いて、前記管(7A;8A)を通じて搬送される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%の含水量を有する、バイオマスなどの有機分を含むスラリーを処理するための装置、およびこのようなスラリーを処理する方法に関する。装置は、スラリーを加熱するためであって、好ましくは、スラリーにおける例えば水といった液体を、超臨界状態(水については、超臨界の圧力および温度はそれぞれ221barおよび374℃である)にするための熱交換器と、スラリーにおける有機分の少なくとも一部を、例えば水素および/またはメタンなどの永久的な蒸気へと、例えばそれ自体における流れをさらに加熱することで変換するための反応器とを備え、熱交換器と反応器との少なくとも一方は、1つまたは複数の管を備える。
【背景技術】
【0002】
有機分を含む原料は、特に、廃棄バイオマスが豊富である農業分野、および/または、専用のエネルギー作物が安価に効率よく生産できる農業分野において、再生可能エネルギーおよび付加価値製品を提供するための極めて潜在能力のある資源である。
【0003】
非特許文献1に説明されているように、超臨界の水は、益々増加する多数の用途について研究されているユニークな媒体である。熱力学的な臨界点(374℃、221bar)を超えると、すべての超臨界流体のように、水が、気体に匹敵する輸送特性と、液体に匹敵する溶媒特性と、を伴う単一の濃密相として存在する。しかしながら、他の超臨界流体と異なり、水は周囲条件と超臨界条件との間で、その溶媒の性質において大幅な変化を受ける。水は、加圧下において加熱されるにつれて、その十分な量の水素結合を失って高極性溶媒から無極性溶媒へと遷移する。結果として、超臨界水は無極性物質にとって非常に良好な溶媒となる。
【0004】
非特許文献2は、超臨界水酸化(SCWO:Supercritical Water Oxidation)過程のための反応器の種類を含む、SCWO技術の態様を詳述している。「その簡潔さのため、管状の反応器は、特に新たなSCWO用途の実行可能性を試すために、または反応の力学的パラメータもしくは熱を決定するために専用とされているものなど、小形の実験室施設において、最も幅広く使用されているSCWO反応器である。・・・しかしながら、管状の反応器は重大な欠点も提起する。第1に、管状の反応器は、塩の沈殿の結果として詰まる傾向がある。別の重大な不都合は、速い発熱反応が反応器の内部に制御されないホットスポットを生成し得ることである。」
【0005】
特許文献1は、中空の円筒として形成されたスクレーパを含む熱水処理を実施するためのシステムおよび方法に関する。スクレーパは、反応器の容器において、スクレーパ軸が円筒形の反応器の容器の長手方向軸と実質的に同一線上にある状態で位置決めされる。スクレーパを反応器の容器の長手方向軸を中心として回転するために、機構が設けられる。1つまたは複数の細長いスクレーパ棒材が、スクレーパと、反応器の容器の長手方向軸と、の間で反応器の容器内に位置決めされる。各々のスクレーパ棒材は、反応器の容器に対して静止して保持され得るか、またはスクレーパまたはスクレーパ棒材に堆積した任意の固形物を除去するために、スクレーパ棒材を通る軸に対して回転され得る。
【0006】
特許文献2は、「超臨界水または臨界未満水を使用する」反応装置に関する。特許文献2の請求項1のように、装置は、「グリセリン、セルロース、およびリグニンから成る群から選択される少なくとも1つの原材料流体を、超臨界水および臨界未満水の少なくとも一方と混合するための円筒形の混合流路と、・・・、前記混合流路の中心シャフトに設置される回転シャフトを有する攪拌翼と、」を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2003/075514号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0338382号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0115955号明細書
【文献】独国特許出願公開第29913370号明細書
【文献】特許第5600203号明細書
【文献】欧州特許出願公開第1829920号明細書
【非特許文献】
【0008】
【文献】Marrone, Ph. A.、「Supercritical water oxidation - Current status of full-scale commercial activity for waste destruction」、Journal of Supercritical Fluids 79 (2013)、283~288ページ
【文献】Bermejo, M.D.ら「Supercritical Water Oxidation: A Technical Review」、AIChE Journal、November 2006, Vol. 52、No. 11、3933~3951ページ
【文献】Boukis, N.ら「Gasification of wet biomass in supercritical water. Results of pilot plant experiments.」、14th European Biomass Conference、Paris、France 2005
【文献】Boukis, N.ら「Biomass gasification in supercritical water. Experimental progress achieved with the VERENA pilot plant.」15th European Biomass Conference & Exhibition 2007
【文献】Kruse, A.、「Supercritical water gasification」、Society of Chemical Industry and John Wiley & Sons, Ltd、2008、415~437ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
バイオマスなど、有機分を含むスラリーを処理するための改善された装置、およびこのようなスラリーを処理する方法を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明による装置は、請求項1に定義される通りのことを特徴とする。実施形態では、熱交換器および反応器は1つまたは複数の管を各々備え、搬送スクリューが、熱交換器の少なくとも1つの管と、反応器の少なくとも1つの管とに収容される。さらなる実施形態では、搬送スクリューは、熱交換器および反応器のすべての管に収容される。
【0011】
1つまたは複数のスクリューの使用は、固形物の効果的な連続しての搬送を提供することが見出されており、そうでない場合、固形物は、例えば管の壁に付着することで、または管の底に沈降することで、システムに堆積する傾向がある。固形物は、好ましくは固形物トラップに向かって固形物トラップへと搬送され、そこから、システムから除去される。したがって、本発明は、比較的大きい含有量の有機分および/または固形物を有する原料の連続的な処理を容易にし、熱交換を向上し、目詰まりの危険性を低減し、ならびに/または、熱交換器および/もしくは反応器の管を洗浄するための保守間隔を延ばす。
【0012】
実施形態では、上記スクリューまたは少なくとも1つのスクリューは、それぞれの管の中心を通じて、スラリーまたは少なくともスラリーにおける液体の邪魔のない流れを提供し、したがって、例えば流速における大きな変化を可能にする。
【0013】
実施形態では、上記スクリューまたは少なくとも1つのスクリュー、好ましくは一部または全部のスクリューは、螺旋要素、好ましくはスクリューリボンを備える。
【0014】
別の実施形態では、少なくとも1つのスクリュー、好ましくは一部または全部のスクリューは、スラリーにおける有機分の変換と相互作用する例えば触媒といった作用物質を備え、例えばそのような作用物質で被覆される、またはそのような作用物質を含む。このような作用物質は、例えば変換を促進するために、および/またはより低い温度でより多くのメタンを産出するために、採用され得る。一例は、例えば銅またはニッケルといった、金属の被覆を含む。
【0015】
さらなる実施形態は、上記搬送スクリューまたは複数の搬送スクリューを駆動するための少なくとも1つのモータを備える。改良では、装置は、少なくとも反応器と熱交換器とを包囲する高圧領域を備え、少なくとも1つのモータは、例えば大気圧にある反応器の周囲にといった、高圧領域の外部に位置付けられる。さらなる改良では、高圧領域は封止され、少なくとも1つのモータは上記搬送スクリューまたは複数の搬送スクリューに磁気的に結合される。一例では、スクリューは、封止された領域の一部である突出する延在部を備え、モータは、高圧領域におけるスクリュー(の延在部)と、高圧領域の外部のモータとの間の十分に強力な磁気結合を確立するために、これらの延在部の近くまたは周りに位置決めされる。
【0016】
別の改良では、モータは、高圧領域に位置付けられた伝達装置を介して、2つ以上の搬送スクリュー、好ましくはすべての搬送スクリューに連結される。したがって、原理上は、単一のモータだけ、延いては単一の高圧シールだけが、必要とされる。
【0017】
実施形態では、上記搬送スクリューまたは少なくとも1つの搬送スクリュー、好ましくは一部または全部のスクリューの外径が、それが収容される管の内径より0%~15%小さい範囲にあり、好ましくは温度または回転における変化から生じるスクリューの膨張を許容するだけの遊びを取り入れる。
【0018】
本発明は、少なくとも50%の含水量を有するバイオマスなどの有機分を含むスラリーを処理する方法であって、スラリーにおける水を超臨界状態にするために、スラリーの圧力および温度を上昇させるステップと、スラリーにおける有機分の少なくとも一部を変換するステップとを含み、圧力および温度を上昇させるステップと、スラリーにおける有機分の少なくとも一部を変換するステップとの少なくとも一方が、管において実行され、開放した中心を有し、管に収容される1つまたは複数のスクリューを用いて、管を通じてスラリーから沈降する固形物を搬送することを特徴とする、方法にさらに関する。
【0019】
実施形態では、圧力および温度を上昇させるステップと、スラリーにおける有機分の少なくとも一部を変換するステップとの両方は、管において実行され、スラリーから沈降する固形物は、管に収容されるスクリューを用いて、管を通じて搬送される。
【0020】
非特許文献3では、濡れたバイオマスが超臨界条件において水と反応して、水素の濃いガスを形成することが言及されている。
【0021】
非特許文献4では、水溶性の塩が超臨界条件において固形物を形成することになることが言及されている。
【0022】
非特許文献5は、水素製造に注目したバイオマスの超臨界水ガス化に関する研究を検討している。
【0023】
特許文献3は、炭化水素合成のための装置に関する。一部の実施形態では、炭原料が押出法を受ける可能性がある。
図2は、その図における符号200によって指示されている押出反応器の概略的な図を示している。反応器200は、入力ポート216と出力ポート218とを定める押出反応器筐体206を備えている。原料は、押出スクリュー208によって運ばれて混合される。
【0024】
特許文献4は、超臨界水における固形物の処理のための工場に関する。
図2は搬送スクリュー2を示している。
【0025】
特許文献5は、連続的な反応器におけるセルロースバイオマススラリーの連続的な高温水処理に関する。スラリーは、連続的な反応器の前の段階において強く攪拌され、後の段階において弱い駆動力を有する撹拌機で攪拌され、そのため栓流が維持される。
【0026】
特許文献6は、熱硬化性樹脂の分解処理のための分解反応装置に関する。
図1に示した例では、供給ユニット3は、樹脂組成物と溶媒とを混合するための混合装置31と、混合装置31から主反応体21へと混合物を強制的に送り込むための加圧装置32と、を備えている。
【0027】
ここで、本発明は、本発明による実施形態を概略的に示している図を参照して、より詳細に説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明による、例えば超臨界水ガス化といった、熱水変換のための装置/方法の実施形態の流れ図である。
【
図2】本発明による搬送スクリューを備える装置の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、少なくとも50%の含水量を有するバイオマスなどの有機分を含むスラリーを処理するためのシステム1を示しており、そのシステム1は、送り込まれるスラリーを脱水するための、スクリュープレス、フィルタプレス、遠心分離機、または乾燥機などの固体液体分離機2と、脱水されたスラリーを保持するためのタンク3と、を備える。タンクはポンプ4に接続されており、ポンプ4は、余熱をスラリーに加えるための熱交換器5にさらに接続されるか、または熱交換器5と一体化される。熱交換器5から下流には、スラリーにおける水を超臨界条件または超臨界近傍条件まで加圧および加熱するために、高圧ポンプ6および熱交換器7がある。
【0030】
この例では、熱交換器は、水平に互いと並列に延び、直列で接続される、例えば2つ、4つ、またはより多くの二重管熱交換器部分といった、1つまたは複数の対向流二重管熱交換器部分7Aを備える。ポンプ6および熱交換器7から下流には、反応器8として作用するさらなる熱交換器がある。本例では、反応器は、外部で加熱される、例えば2つの管8Aといった1つまたは複数の管8Aを備える。
【0031】
反応器の下流の端と、任意選択でさらに熱交換器7の下流の端と、は無機物ならびに/または沈殿した鉱物および塩などの固形物をシステムから除去するために、固形物トラップ9に接続されている。
【0032】
図1において実線10によって指示されているように、反応器8の下流の端は、(比較的高温の)変換されたスラリーと、(比較的低温の)変換前のスラリーとの間で対向流の熱交換を提供するために、熱交換器7の外側管に接続されている。熱交換器7の外側管は、気体の生成物を液体から分離するために、気液分離機12に接続されている。
【0033】
図2でより詳細に示しているように、この例ではスクリューリボン15である搬送スクリューは、熱交換器7および反応器8のすべての管7A、8Aに収容されている。
【0034】
システムは、少なくとも反応器8と熱交換器7とを包囲する高圧領域をさらに含み、モータ16が高圧領域の外部に位置付けられている。モータは、すべての搬送スクリューリボン15を同じ回転の方向で駆動するために、高圧領域または低圧領域に位置付けられる伝達装置17を介して、すべての搬送スクリューリボン15に接続されている。スラリーの流れ方向(矢印によって指示されている)における固形物の搬送を確保するために、この例では、スクリューの螺旋構造があるスクリューと隣のスクリューとで異なっている。
【0035】
動作中、例では、90%の含水量を有する濡れたバイオマス(肥料)が、スクリュープレス2を用いて脱水されて70%の含水量(全固形物が30%)とされ、濃縮された粘性のあるスラリーがタンク3へと送り込まれる。そこから、スラリーは熱交換器5へと汲み出され(1000リットル/時間で)、水と混合されて75%の含水量と2000nL/hの量とされる。次に、スラリーは加圧および加熱され(240~250barおよび370~390℃)、反応器に送り込まれ、反応器においてスラリーはさらに加熱されて(550~600℃まで)、スラリーにおける有機分の少なくとも一部を、例えば水素およびメタンといった気体の生成物へと変換する。加熱および変換の間、臨界未満状態と超臨界状態との両方において、スラリーから沈降する固形物は、例えば5~10rpmにおいて回転するスクリュー15を用いて管7A、8Aを通じて、固形物トラップ9へと連続的に搬送される。水は、高温の熱を回収するために、つまりより低温の上流のスラリーを加熱するために、熱交換器7へと送り込まれる。熱交換器を出た後(2000nL/h、240~250bar、および250~300℃において)、液体は気体の生成物を放出し、回収を可能にするために、気液分離機へと送り込まれる。固形物トラップは、定期的な間隔で空にされる。
【0036】
本発明による方法およびシステムは、比較的大きい含有量の有機分および/または固形物を有する原料の連続的な処理を可能にする一方、目詰まりの危険性を低減し、熱交換器および/もしくは反応器の管を洗浄するための保守間隔を延ばし、ならびに/または内側管における粘性のある高度に固形物のある比較的低温のスラリーと、外側管における比較的高温の流体と、の間での熱交換を向上する。
【0037】
本発明は、前述の実施形態に限定されず、請求項の範囲内で数多くの方法で変更され得る。例えば、スクリューは、壁に一連の開口を有すると共に、例えばワイヤといった螺旋要素が巻き付けられ、例えば溶接によって付着された管を備えてもよい。スクリューは、金属から、または、例えば、エンジニアリングポリマなどの合成材料から、作られ得る。
【符号の説明】
【0038】
1 システム
2 固体液体分離機、スクリュープレス
3 タンク
4 ポンプ
5 熱交換器
6 高圧ポンプ
7 熱交換器
7A 二重管熱交換器部分
8 反応器
8A 管
9 固形物トラップ
12 気液分離機
15 スクリューリボン
16 モータ