(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】車輪モジュールおよび移動機構
(51)【国際特許分類】
B60K 7/00 20060101AFI20220607BHJP
B60B 33/00 20060101ALI20220607BHJP
F16C 17/02 20060101ALI20220607BHJP
F16H 1/28 20060101ALI20220607BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20220607BHJP
【FI】
B60K7/00
B60B33/00 504Z
F16C17/02 Z
F16H1/28
H02K7/116
(21)【出願番号】P 2018014048
(22)【出願日】2018-01-30
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】古崎 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】土屋 英彦
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-307910(JP,A)
【文献】国際公開第2017/179670(WO,A1)
【文献】特開平9-109696(JP,A)
【文献】特開2013-104532(JP,A)
【文献】特開2016-014423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 7/00
B60B 33/00
F16H 1/28- 1/48
H02K 7/116
F16C 17/02
F16C 35/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ部で発生した回転を減速させる歯車機構と、
前記モータ部が収容される第1収容部と前記歯車機構が収容される第2収容部とを区画する第1壁部と、
前記第1壁部と向かい合うように設けられ、前記第2収容部を形成する第2壁部と、
を備え、
前記歯車機構の歯車の回転軸は、前記回転軸の軸方向に沿って形成された中空部を備え、
前記第1壁部は、前記回転軸を支持し、底部が閉塞された有底状の第1支持部を備え、
前記第2壁部は、前記中空部に連通する孔を備える
車輪モジュール。
【請求項2】
前記第2壁部は、前記回転軸を支持し、前記孔が形成された有底状の第2支持部を備える
請求項1に記載の車輪モジュール。
【請求項3】
前記歯車機構は
、太陽歯車と、複数の遊星歯車と、前記複数の遊星歯車を囲むように配置された内歯車とを有する遊星歯車機構であり、
タイヤが取り付けられるホイールと、
前記ホイールよりも
径方向内側に設けられ、前記遊星歯車機構の
前記内歯車とともに回転する回転部材と、
前記回転部材を回転可能に支持するとともに、前記孔を塞ぐ回転軸受部と、を備える
請求項1または2に記載の車輪モジュール。
【請求項4】
前記回転軸は、焼結含油軸受を介して前記第1支持部および第2支持部によって支持される
請求項1から3のいずれか一つに記載の車輪モジュール。
【請求項5】
タイヤが取り付けられるホイールと、
前記ホイールよりも
径方向内側に設けられ、前記歯車機構の歯車とともに回転する回転部材を備え、
前記回転部材は、
前記第2壁部よりも径方向内側に設けられ、外部から前記第2収容部に油を供給する供給部と、
前記第2壁部よりも径方向外側に設けられ、前記第2収容部に前記油が供給された場合に、前記第2収容部内に存在する空気を外部に排出する排出部と、を備える
請求項1から4のいずれか一つに記載の車輪モジュール。
【請求項6】
前記排出部を開閉する開閉部を備える
請求項5に記載の車輪モジュール。
【請求項7】
前記回転部材は、前記供給部および前記排出部を同一面に備える
請求項5または6に記載の車輪モジュール。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一つに記載の車輪モジュール、を備える移動機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪モジュールおよび移動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、減速機構を有する車輪モジュールにおいて、電動モータと減速機構との間に端板を設け、端板によってモータ収容部と減速機構収容部とを区画することが知られている(例えば、特許文献1参照)。これにより、減速機構収容部からモータ収容部へ潤滑油・グリースが流出することが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記技術では減速機構を組み立てる際に、端板と減速機構との間に存在する空気が抵抗となり、車輪モジュールの組み立てが困難となるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記を課題の一例とするものであり、組み立てを容易にする車輪モジュールおよび移動機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る車輪モジュールは、モータ部で発生した回転を減速させる歯車機構と、前記モータ部が収容される第1収容部と前記歯車機構が収容される第2収容部とを区画する第1壁部と、前記第1壁部と向かい合うように設けられ、前記第2収容部を形成する第2壁部と、を備え、前記歯車機構の歯車の回転軸は、前記回転軸の軸方向に沿って形成された中空部を備え、前記第1壁部は、前記回転軸を支持し、底部が閉塞された有底状の第1支持部を備え、前記第2壁部は、前記中空部に連通する孔を備える。
【0007】
本発明の一態様によれば、組み立てを容易にする車輪モジュールおよび移動機構を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、車輪モジュールを備えた台車の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、車輪モジュールの外観を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、車輪モジュールの外観を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3の車輪モジュールの一部を分解した分解図である。
【
図5】
図5は、軸方向に沿った車輪モジュールの断面図である。
【
図7】
図7は、ボルトを含む軸方向に沿った車輪モジュールの一部を示す断面図である。
【
図9】
図9は、第2固定部材と軸受部とを手前側から見た斜視図である。
【
図11】
図11は、変形例に係る車輪モジュールの斜視図である。
【
図12】
図12は、変形例に係る車輪モジュールの第2軸受部付近を拡大した断面図である。
【
図13】
図13は、変形例に係る車輪モジュールの第2軸受部付近を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施形態に係る車輪モジュールおよび移動機構について説明する。なお、以下の説明で参照する各図面において、各要素の寸法の関係や比率等は実物と異なる場合がある。また、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、各図面において、同一の役割を果たす構成要素には同一の符号が付されている。
【0010】
台車100は、
図1に示すように、荷台110と、取っ手120と、車輪モジュール200とを有する。
図1は、実施形態に係る車輪モジュール200を備えた台車100の外観を示す斜視図である。荷台110は、機体を構成する。
【0011】
荷台110は、厚板状に形成された部材であり、表面に荷物が載せられる。取っ手120は、利用者が台車100を移動する際に把持するための湾曲した棒状の部材であり、荷台110の上面に取り付けられている。車輪モジュール200は、図示していない電源から供給される駆動電流によって回転する車輪であり、荷台110の裏面に取り付けられている。
【0012】
車輪モジュール200は、台車100の移動機構として用いられる。例えば、車輪モジュール200は、利用者が荷台110に荷物を載せて運搬する際の補助用に駆動されたり、台車100が他の台車100に追従して自走する機能を有する場合に、他の台車100との間の距離に応じて駆動されたりする。なお、車輪モジュール200は、台車100に前輪として備えられてもよいし、中輪として備えられてもよいし、後輪として備えられてもよいし、前輪・中輪・後輪のいずれか2以上の組み合わせとして備えられてもよい。例えば、6輪の台車とした場合、旋回性能が高くなるが、4輪等、備えられる車輪の数は限定されない。
【0013】
また、車輪モジュール200は、例えば、運送・搬送用ロボットや、清掃用ロボット等の所謂サービスロボットの移動機構として用いることもできる。
【0014】
車輪モジュール200は、
図2~
図5に示すように、接続部材210と、車輪部220とを有する。
図2は、車輪モジュール200の外観を示す斜視図である。
図3は、車輪モジュール200の外観を示す斜視図である。
図4は、
図3の車輪モジュール200の一部を分解した分解図である。
図5は、軸方向に沿った車輪モジュール200の断面図である。なお、
図3および
図4では、タイヤ10を省略している。なお、車輪モジュール200は、車輪部220のみで構成されてもよい。
【0015】
本実施形態では、車輪モジュール200は、台車100が有する荷台110の裏面における端部付近に取り付けられ、車輪部220が支持部材41bの外側に配置される場合の例を説明する。このため、以下の説明では、車輪モジュール200の回転軸の軸方向(以下、「軸方向」と称する。)において、台車100の内側に近い側を「奥側」と称し、台車100の外側に近い側を「手前側」と称する。また、鉛直方向を「下方」と称し、鉛直方向とは反対方向を「上方」と称する。また、車輪モジュール200のホイール11における径方向の外側を、「径方向外側」と称し、径方向の内側を「径方向内側」と称する場合がある。
【0016】
接続部材210は、台車100における荷台110の裏面に取り付けられ、車輪部220を支持する。接続部材210は、軸方向から見た場合に略L字状に形成される。接続部材210は、固定部1と、支柱部2と、第1保持部3と、第2保持部4とを有する。固定部1、支柱部2、および第1保持部3は、一体的に形成される。なお、固定部1、支柱部2、および第1保持部3は、別体として形成されてもよい。固定部1は、厚板状に形成され、荷台110の裏面に取り付けられる。支柱部2は、固定部1の奥側の端部から下方に延びている。
【0017】
第1保持部3は、支柱部2の下端に設けられ、軸方向および支柱部2の延伸方向に対して直交する方向に延びている。第1保持部3の下面には、第1挟持部3aと、第1給電線保持部3bとが形成される。
【0018】
第1挟持部3aは、上方に向けて窪んだ半円弧状に形成され、軸方向に沿って形成される。第1挟持部3aは、車輪部220の支持部材41bを挟持するように形成される。第1給電線保持部3bは、上方に向けて窪んだ半円弧状に形成され、軸方向に沿って形成される。第1給電線保持部3bは、車輪部220に駆動電流を供給する給電線221を保持するように形成される。なお、第1挟持部3aは、支持部材41bを挟持できればよく、上記形状に限定されない。また、第1給電線保持部3bは、給電線221を保持できればよく、上記形状に限定されない。
【0019】
第2保持部4は、第1保持部3の下方に配置される。第2保持部4は、第1保持部3と同様に、軸方向および支柱部2の延伸方向に対して直交する方向に延びている。第2保持部4の上面には、第2挟持部4aと、第2給電線保持部4bとが形成される。
【0020】
第2挟持部4aは、下方に向けて窪んだ半円弧状に形成され、軸方向に沿って形成される。第2挟持部4aは、支持部材41bを挟持するように形成される。第2給電線保持部4bは、下方に向けて窪んだ半円弧状に形成され、軸方向に沿って形成される。第2給電線保持部4bは、給電線221を保持するように形成される。なお、第2挟持部4aは、支持部材41bを挟持できればよく、上記形状に限定されない。また、第2給電線保持部4bは、給電線221を保持できればよく、上記形状に限定されない。
【0021】
第2保持部4は、第1挟持部3aおよび第2挟持部4aによって支持部材41bを挟んだ状態で、例えば、ネジ80などにより、第1保持部3に取り付けられる。これにより、支持部材41bが、接続部材210によって挟持され、車輪部220が荷台110に取り付けられ、固定される。
【0022】
なお、接続部材210は、例えば、3つ以上の保持部によって支持部材41bを挟持して車輪モジュール200を荷台110に取り付けてもよい。
【0023】
車輪部220は、図示していない電源から給電線221によって駆動電流が供給されることで、車輪部220が回転軸を中心に回転する。
【0024】
車輪部220は、タイヤ10と、ホイール11と、駆動部12と、制動部13とを有する。
【0025】
タイヤ10は、ゴム等で形成された弾力性を有する円筒状の部材である。ここで、例えば、タイヤ10の直径は100~300mmである。ホイール11は、円筒状に形成され、外周側にタイヤ10が取り付けられる。
【0026】
駆動部12は、ホイール11の内側、具体的には、ホイール11よりも径方向内側に配置されており、給電線221を介して供給される電流によって駆動されて、回転軸を中心にホイール11を回転させる。駆動部12は、ステータ15と、ロータ16と、回転シャフト17と、遊星歯車機構18と、筐体19とを有する。
【0027】
ステータ15とロータ16とはインナーロータ型のモータを構成しており、駆動電流によって、回転軸を中心にロータ16が回転する。ロータ16の回転によって発生した回転力は、回転シャフト17及び遊星歯車機構18を介してホイール11に伝達される。これにより、ホイール11とともにタイヤ10が回転する。
【0028】
ステータ15は、駆動電流によって、回転軸を中心にロータ16を回転させる。具体的には、ステータ15は、中空の円筒状に形成されたステータ基部の内周面に複数の突極が周方向に並べて配置された構成を有しており、各突極にコイルが巻回されている。
【0029】
ロータ16は、ステータ15よりも径方向内側に配置されており、ステータ15に対して回転軸を中心に回転することで、ホイール11を回転させる。具体的には、ロータ16は、円柱状に形成された基部の外周面に沿って複数の磁石が周方向に並べて配置された構成を有しており、各磁石が、ステータ15の各コイルと対向するように配置されている。これにより、ロータ16は、ステータ15のコイルに駆動電流が流れた際にコイルに発生する電磁力によって、回転軸を中心に回転する。
【0030】
回転シャフト17は、軸心が回転軸と一致するように配置され、ロータ16の中心を貫通した状態で、ロータ16に固定されている。ここで、回転シャフト17は、ロータ16よりも奥側に配置されたベアリング60と、ロータ16よりも手前側に配置されたベアリング61とを介して、筐体19の第2固定部材42によって回転自在に支持されている。これにより、回転シャフト17は、ロータ16の回転に応じて、回転軸を中心に回転する。
【0031】
遊星歯車機構18は、
図6に示すように、太陽歯車18aと、3つの遊星歯車18bと、3つの遊星歯車18bを囲むように配置された内歯車18cとを有する。
図6は、
図5におけるVI-VI断面図である。
【0032】
遊星歯車18bは、回転軸18dと結合し、一体化している。また、遊星歯車18bは、太陽歯車18aに噛合し、回転軸18dとともに、回転軸18dを中心に回転する。また、内歯車18cは、3つの遊星歯車18bに噛合する。
図5に戻り、太陽歯車18aは、回転シャフト17における手前側の端部に形成される。遊星歯車18bの一方の端部は、第1軸受部20aの端部を介して筐体19の第2固定部材42に回転自在に支持される。また、遊星歯車機構18の他方の端部は、第2軸受部20bの端部を介して筐体19の第3固定部材43に回転自在に支持される。なお、遊星歯車18bの回転軸18d、および回転軸18dの支持機構の詳細については、後述する。軸受部20a、20bは、焼結含油軸受である。
【0033】
内歯車18cは、筐体19の第1回転部材31に、ネジ(不図示)などによって固定されている。
【0034】
これにより、ロータ16の回転に応じて回転シャフト17が回転すると、回転シャフト17に形成されている太陽歯車18aと噛合している3つの遊星歯車18bがそれぞれ回転する。そして、内歯車18cは第1回転部材31にネジなどにて固定されていることから、3つの遊星歯車18bが回転することで、各遊星歯車18bに噛合している内歯車18cが回転する。そして、内歯車18cの回転とともに、ホイール11およびタイヤ10が回転する。この結果、ロータ16の回転によって発生した回転出力は、減速比に反比例し、回転速度を減じ、減速比に比例して増加されたトルクをホイール11およびタイヤ10に伝達することになる。
【0035】
筐体19は、回転部材30と、固定部材40とを有する。筐体19は、ホイール11の内側に配置され、制動部13、ステータ15、ロータ16、回転シャフト17および遊星歯車機構18を収容する。
【0036】
回転部材30は、第1回転部材31と、第2回転部材32とを有する。第1回転部材31は、手前側に底部31aを有し、奥側に開口を有する有底円筒状に形成される。第1回転部材31は、ネジ81などによって、ホイール11に取り付けられる。第1回転部材31は、ベアリング62を介して第3固定部材43に回転自在に支持される。
【0037】
第1回転部材31の底部31aには、奥側へ向けて突出する凸部31bが形成される。凸部31bは、回転シャフト17と向かい合うように形成される。凸部31bは、第3固定部材43に形成される孔43cに挿入される。凸部31bには、遊星歯車機構18に潤滑油・グリースを供給するための供給孔31cが形成される。供給孔31cには、グリースニップル33が設けられる。供給孔31cおよびグリースニップル33は、供給部を構成する。
【0038】
また、第1回転部材31の底部31aには、
図7に示すように、供給孔31cよりも径方向外側に、排出孔31dが形成される。排出孔31dには、排出孔31dを開閉するボルト34が設けられる。ボルト34は、排出孔31dに脱着可能である。
図7は、ボルト34を含む軸方向に沿った車輪モジュール200の一部を示す断面図である。排出孔31dおよびボルト34は、排出部を構成する。また、ボルト34は、排出孔31dを封止する。
【0039】
ボルト34は、劣化した潤滑油・グリースを排出する場合、および潤滑油・グリースをグリースニップル33から供給する場合を除いて、排出孔31dに取り付けられ、排出孔31dを塞いでいる。グリースニップル33を用いて潤滑油・グリースを遊星歯車機構18に供給する場合には、ボルト34が排出孔31dから外された状態で、グリースニップル33から潤滑油・グリースが供給される。これにより、後述する第2収容部45に存在する空気、および劣化した潤滑油・グリースを排出孔31dから排出しつつ、潤滑油・グリースが遊星歯車機構18に供給される。
【0040】
図5に戻り、第2回転部材32は、円筒状に形成される。第2回転部材32は、軸方向に沿って第1回転部材31と隣接するように配置され、第1回転部材31よりも奥側に配置される。第2回転部材32は、ネジ82などによって、第1回転部材31に取り付けられる。第2回転部材32は、ベアリング63を介して第1固定部材41に回転自在に支持される。
【0041】
固定部材40は、回転部材30よりも径方向内側に配置される。固定部材40は、第1固定部材41と、第2固定部材42と、第3固定部材43とを有する。
【0042】
第1固定部材41、第2固定部材42および第3固定部材43は、軸方向に沿って奥側から手前側にかけて第1固定部材41、第2固定部材42および第3固定部材43の順で配置される。固定部材40は、第1固定部材41と第2固定部材42とによって駆動部12を収容する第1収容部44を形成する。また、固定部材40は、第2回転部材32の一部と第2固定部材42と第3固定部材43とによって遊星歯車機構18を収容する第2収容部45を形成する。すなわち、第2固定部材42は、第1収容部44と第2収容部45とを区画する。第2固定部材42は、第1壁部を構成する。第3固定部材43は、第2壁部を構成する。
【0043】
第1固定部材41は、奥側に底部41aを有し、手前側に開口を有する有底円筒状に形成される。第1固定部材41の底部41aには、軸方向に沿って延びる支持部材41bが形成される。支持部材41bは、底部41aから奥側に向けて延びる。なお、支持部材41bは、第1固定部材41とは別体として設けられてもよい。第1固定部材41は、固定側部材を構成する。
【0044】
支持部材41bは、円筒状に形成される。奥側の支持部材41bの端部には、キャップ41cが取り付けられる。キャップ41cは奥側に底部を有し、手前側に開口を有する有底円筒状に形成される。支持部材41bにキャップ41cを取り付けることで、支持部材41bの奥側には、制動部13を収容する第3収容部46が形成される。
【0045】
また、支持部材41bには、肉厚部41dが形成される。肉厚部41dは、第3収容部46よりも第1固定部材41の底部41a側、すなわち手前側に形成され、第3収容部46を形成する箇所よりも肉厚に形成される。肉厚部41dは、上記した接続部材210によって挟持される箇所に形成される。なお、支持部材41bは、接続部材210によって挟持される箇所の少なくとも一部に肉厚部41dが形成されればよい。支持部材41bは、肉厚部41dを有することで、強度を高くすることができる。
【0046】
肉厚部41dには、回転シャフト17が挿入される孔41eが形成される。肉厚部41dは、ベアリング60を介して回転シャフト17を回転自在に支持する。
【0047】
第2固定部材42は、略円形状に形成される。第2固定部材42は、軸方向に沿って第1固定部材41に隣接して配置され、第1固定部材41よりも手前側に配置される。第2固定部材42は、ネジ83などによって第1固定部材41に取り付けられる。
【0048】
第2固定部材42には、回転シャフト17が挿入される孔42aが形成される。孔42aの周囲には、軸方向に沿って奥側に向けて突出する円筒状のベアリング支持部42bが形成される。ベアリング支持部42bの内周壁と、回転シャフト17の外周壁との間には、ベアリング61が配置される。
【0049】
第2固定部材42の手前側の面、すなわち、遊星歯車18bと向かい合う面には、軸方向に沿って奥側に窪んだ第1支持部42cが形成される。第1支持部42cは、底部42gが閉塞された有底状に形成される。第1支持部42cには、第1軸受部20aを介して遊星歯車18bと一体の回転軸18dが挿入される。第1支持部42cは、第1軸受部20aを介して遊星歯車18bの回転軸18dを支持する。第1支持部42cは、遊星歯車18bに合わせて、3箇所形成される。なお、本実施形態において、遊星歯車18bは3か所形成されているが、車輪モジュール200は、1以上の遊星歯車を備えていればよい。第2固定部材42は、遊星歯車18bを回転自在に支持する。なお、第1支持部42cの詳細については、後述する。
【0050】
第3固定部材43は、ベースプレート43aと、連結部43bとを有する。第3固定部材43は、第2固定部材42と向かい合うように配置される。具体的には、第3固定部材43は、ベースプレート43aが、遊星歯車機構18の遊星歯車18bを挟んで第2固定部材42と向かい合うように配置される。
【0051】
ベースプレート43aには、第1回転部材31の凸部31bが挿入される孔43cが形成される。孔43cの周囲には、軸方向に沿って手前側に突出する円筒状のベアリング支持部43dが形成される。ベアリング支持部43dの外周壁と、第1回転部材31の底部31aの内周壁との間には、ベアリング62が配置される。
【0052】
また、ベースプレート43aには、奥側の面、すなわち、遊星歯車18bと向かい合う面に、軸方向に沿って手前側に窪んだ第2支持部43eが形成される。第2支持部43eは、有底状に形成される。第2支持部43eには、第2軸受部20bを介して遊星歯車18bの回転軸18dが挿入される。第2支持部43eは、遊星歯車18bに合わせて、3箇所形成される。第2支持部43eの底部43fには、軸方向に沿って貫通する孔43gが形成される。なお、第2支持部43eの詳細については、後述する。
【0053】
連結部43bは、隣り合う遊星歯車18bの間を、ベースプレート43aから奥側に向けて突出する。連結部43bは、ネジ84(
図7参照)などによって第2固定部材42に取り付けられる。なお、連結部43bは、遊星歯車機構18の内歯車18cよりも径方向内側に配置され、内歯車18cとは接触しない。第3固定部材43は、遊星歯車18bを回転自在に支持する。
【0054】
制動部13は、第3収容部46に収容され、回転シャフト17を減速させるための制動力を発生させる。
【0055】
ここで、遊星歯車機構18の遊星歯車18bの支持構造、第2固定部材42の第1支持部42cおよび第3固定部材43の第2支持部43eについて、
図8を参照し詳しく説明する。
図8は、
図5における遊星歯車付近を拡大した図である。
【0056】
上記したように、遊星歯車18bの一方の端部は、第1軸受部20aを介して第2固定部材42によって回転自在に支持され、もう一方の端部は、第2軸受部20bを介して第3固定部材43によって回転自在に支持される。遊星歯車18bの回転軸18dは、軸方向に沿って空洞部18eが形成される。すなわち、遊星歯車18bの回転軸18dは、中空状に形成される。空洞部18eは、中空部を構成する。
【0057】
遊星歯車18bの端面にはワッシャ52、53を備え、遊星歯車18bはワッシャ52、53を介して第1軸受部20a、および第2軸受部20bの端面と接触保持され、回転軸18dと、第2固定部材42、および第3固定部材43との間には隙間が空いている。このような構成により、遊星歯車18bは回転自在に支持される。
【0058】
第1軸受部20aは、円筒状に形成され、手前側、すなわち遊星歯車18b側の端部から第1軸受部20aにおける径方向外側に向けて突出する回転防止部20cを有する。回転防止部20cは、
図9、
図10に示すように、小判状に形成される。すなわち、回転防止部20cは、2つの直線状の外壁20c1と、2つの外壁20c1間を接続する円弧状の外壁20c2とを有する。
図9は、第2固定部材42と第1軸受部20aとを手前側から見た斜視図である。
図10は、
図9における分解図である。
【0059】
第2固定部材42の第1支持部42cは、奥側に向けて段階的に窪むように形成される。これにより、第2固定部材42には、奥側から順に、第1凹部42d、第2凹部42eおよび第3凹部42fが形成される。すなわち、第1支持部42cは、第1凹部42d、第2凹部42eおよび第3凹部42fによって形成される。軸方向に垂直な断面における第1凹部42dの形状は、円形状である。
【0060】
軸方向に垂直な断面における第2凹部42eの形状は、円形状である。第2凹部42eを形成する第1支持部42cの内周壁42e1の径は、第1凹部42dを形成する第1支持部42cの内周壁42d1の径よりも大きい。第1支持部42cは、第2凹部42eに、Oリング50を収容する。第2凹部42eは、凹部を構成する。
【0061】
軸方向に垂直な断面における第3凹部42fの形状は、小判状である。すなわち、第3凹部42fは、向かい合う2つの直線状の内壁42f1と、2つの内壁42f1間を接続する2つの円弧状の内壁42f2とによって形成される。なお、円弧状の内壁42f2の径は、第2凹部42eを形成する内周壁42e1の径よりも大きい。また、2つの直線状の内壁42f1間の距離は、第2凹部42eを形成する内周壁42e1の直径よりも大きい。
【0062】
図8に戻り、第2軸受部20bは、第1軸受部20aと同様の構成であり、詳しい説明は省略する。第2軸受部20bは、円筒状に形成され、回転防止部20dを有する。
【0063】
第3固定部材43のベースプレート43aに形成される第2支持部43eは、手前側に向けて段階的に窪むように形成される。これにより、第3固定部材43には、手前側から順に、第1凹部43h、第2凹部43iおよび第3凹部43jが形成される。すなわち、第2支持部43eは、第1凹部43h、第2凹部43iおよび第3凹部43jによって形成される。各凹部43h~43jの形状については、第2固定部材42の各凹部42d~42fと同様の形状であり、詳しい説明は省略する。第2支持部43eは、第2凹部43iに、Oリング51を収容する。第2凹部43iは、凹部を構成する。
【0064】
第3固定部材43の第2支持部43eの底部43fに形成される孔43gは、遊星歯車18bの回転軸18dの空洞部18eと向かい合うように形成される。孔43gは、空洞部18eと連通する。孔43gの径は、空洞部18eの径よりも小さい。手前側の孔43gの開口は、ベアリング62によって塞がれている。ベアリング62は、回転軸受部を構成する。
【0065】
Oリング50、51は、弾性部材である。Oリング50は、第1支持部42cの第2凹部42eを形成する内周壁42e1と、第1軸受部20aの外周壁20a1との間に形成される隙間に配置され、内周壁42e1と外周壁20a1とに当接する。
【0066】
これにより、第1支持部42cの第1凹部42dを形成する内周壁42d1と、第1軸受部20aの外周壁20a1との間に隙間が形成される。また、第1支持部42cの第3凹部42fを形成する内壁42f1(
図9参照)、42f2と、第1軸受部20aの回転防止部20cの外壁20c1(
図9参照)、20c2との間に隙間が形成される。
【0067】
すなわち、Oリング50は、第1支持部42cと第1軸受部20aとの間に隙間を生じさせた状態で、内周壁42e1と外周壁20a1とに当接する。
【0068】
Oリング51は、第2支持部43eの第2凹部43iを形成する内周壁43i1と、第2軸受部20bの外周壁20b1との間に形成される隙間に配置され、内周壁43i1と外周壁20b1とに当接する。
【0069】
これにより、第2支持部43eの第1凹部43hを形成する内周壁43h1と、第2軸受部20bの外周壁20b1との間に隙間が形成される。また、第2支持部43eの第3凹部43jを形成する内壁43j1と、第2軸受部20bの回転防止部20dの外壁20d1との間に隙間が形成される。
【0070】
すなわち、Oリング51は、第2支持部43eと第2軸受部20bとの間に隙間を生じさせた状態で、内周壁43i1と外壁20d1とに当接する。
【0071】
車輪モジュール200では、Oリング50、51が弾性変形することで、遊星歯車18bは、径方向に変位することができる。そのため、車輪モジュール200は、遊星歯車18bが太陽歯車18aおよび内歯車18cに噛み合うことで生じた振動を、Oリング50、51によって吸収することができる。また、遊星歯車機構18を組み立てる際に、Oリング50、51を変形させながら遊星歯車機構18を組み立てることができるため、組み立ての際の固定部材42と固定部材43との間の穴位置精度を高めなくてもよい。
【0072】
次に、遊星歯車機構18の遊星歯車18bの組み立て手順について説明する。
【0073】
遊星歯車18bを組み立てる場合には、まず、Oリング50を第1軸受部20aの外周壁20a1に取り付け、Oリング50を取り付けた第1軸受部20aを、第2固定部材42の第1支持部42cに挿入する。これにより、Oリング50は、第2凹部42eに収容される。
【0074】
次に、Oリング51を第2軸受部20bの外周壁20b1に取り付け、Oリング51を取り付けた第2軸受部20bを第2支持部43eに挿入する。これにより、Oリング51は、第2凹部43iに収容される。
【0075】
次に、遊星歯車18bに回転軸18dを圧入する。これにより、遊星歯車18bと回転軸18dとが一体化される。そして、第2固定部材42の第1支持部42cに挿入された第1軸受部20aに、回転軸18dを挿入する。このとき、第1凹部42d内の空気、および潤滑油・グリース等の残留物は、回転軸18dの空洞部18eを通って第1凹部42dから排出される。そのため、第1凹部42d内で空気、および潤滑油・グリース等の残留物が圧縮されることが抑制され、第1凹部42d内の空気および潤滑油・グリース等の残留物が圧縮されることによる回転軸18dの挿入抵抗が排除され、遊星歯車18bの組み立てが可能となる。
【0076】
次に、回転軸18dに第2軸受部20bを挿入し、遊星歯車18bを第3固定部材43に取り付ける。このとき、第1凹部43h内の空気、および潤滑油・グリース等の残留物は、第2支持部43eの底部43fに形成した孔43gから排出される。そのため、第1凹部43h内で空気、および潤滑油・グリース等の残留物が圧縮されることが抑制され、第1凹部43h内の空気、および潤滑油・グリース等の残留物が圧縮されることによる回転軸18dの挿入抵抗が排除され、遊星歯車18bの組み立てが可能となる。
【0077】
車輪モジュール200は、第1固定部材41から延びる支持部材41bが接続部材210によって挟持され、荷台110に固定される。これにより、例えば、荷台110の寸法や、荷台110への取り付け方法が異なる場合に、車輪モジュール200の車輪部220を変更せずに、接続部材210を変更することで車輪モジュール200を荷台110に取り付けることができ、車輪モジュール200の汎用性を向上させることができる。
【0078】
車輪モジュール200は、接続部材210によって挟持される支持部材41bに制動部13を収容する。これにより、車輪モジュール200を小型化することができる。また、制動部13が収容された支持部材41bを接続部材210で挟持することで、車輪モジュール200を、荷台110に取り付けることができるので、組み立て性を向上させることができる。
【0079】
車輪モジュール200は、接続部材210によって挟持される箇所に肉厚部41dを有する。これにより、接続部材210によって挟持される支持部材41bの強度を高くすることができ、支持部材41bの変形を抑制することができる。そのため、車輪モジュール200を荷台110に固定することができる。
【0080】
車輪モジュール200は、第1保持部3および第2保持部4によって支持部材41bを挟持する。これにより、車輪モジュール200を荷台110に容易に取り付けることができ、組み立て性を向上させることができる。
【0081】
車輪モジュール200は、駆動部12に電力を供給する給電線221を接続部材210によって保持する。これにより、給電線221がタイヤ10や、ホイール11に接触することを抑制することができる。
【0082】
車輪モジュール200は、駆動部12を収容する第1収容部44と、遊星歯車機構18を収容する第2収容部45とを第2固定部材42によって区画する。また、遊星歯車18bの回転軸18dには、軸方向に空洞部18eが形成される。また、第2固定部材42には、遊星歯車18bの回転軸18dを支持し、底部42gが閉塞された有底状の第1支持部42cが形成される。また、第1固定部材41と向かい合い、第2収容部45を形成する第3固定部材43には、空洞部18eに連通する孔43gが形成される。
【0083】
これにより、潤滑油・グリースが第2収容部45から第1収容部44に流出することを抑制することができ、遊星歯車機構18で潤滑油切れの発生を遅延することができる。そのため、遊星歯車機構18における動力の初期伝達効率をより長時間維持することができる。また、遊星歯車機構18で騒音が発生することを抑制することができる。また、遊星歯車18bを組み立てる際に、第2固定部材42の第1凹部42d内で空気、および潤滑油・グリース等の残留物が圧縮されることを抑制することができ、回転軸18dを第1支持部42cに容易に挿入することができる。また、第3固定部材43の第1凹部43h内で空気、および潤滑油・グリース等の残留物が圧縮されることを抑制することができ、回転軸18dを第2支持部43eに容易に取り付けることができる。従って、車輪モジュール200の組み立て性を向上させることができる。
【0084】
孔43gは、第2支持部43eの底部43fに形成される。これにより、遊星歯車18bを組み立てる際に、回転軸18dと向かい合う底部43fの孔43gから空気、および潤滑油・グリース等の残留物を排出することができる。そのため、第3固定部材43の第1凹部43h内で空気、および潤滑油・グリース等の残留物が圧縮されることを抑制することができ、回転軸18dを第2支持部43eに容易に取り付けることができる。従って、車輪モジュール200の組み立て性を向上させることができる。
【0085】
車輪モジュール200は、孔43gをベアリング62によって塞ぐ。これにより、孔43gを介して第2収容部45から潤滑油・グリースが流出することを抑制することができる。これにより、遊星歯車機構18の油切れを抑制し、遊星歯車機構18における動力の伝達効率を向上させることができる。また、遊星歯車機構18で騒音が発生することを抑制することができる。
【0086】
車輪モジュール200は、焼結含油軸受である軸受部20a、20bを介して遊星歯車18bの回転軸18dを第2固定部材42および第3固定部材43によって回転自在に支持する。これにより、部品点数を少なくし、遊星歯車機構18を小さくすることができる。すなわち、車輪モジュール200を小型化することができる。
【0087】
第1固定部材41には、外部から第2収容部45に潤滑油・グリースを供給する供給孔31cと、第2収容部45に潤滑油・グリースが供給された場合に第2収容部45内に存在する空気、および劣化した潤滑油・グリースを外部に排出する排出孔31dとが形成される。これにより、第2収容部45に存在する空気を外部に容易に排出することができ、第2収容部45への潤滑油・グリースの供給を容易に行うことができる。
【0088】
車輪モジュール200は、排出孔31dを開閉可能なボルト34を有する。これにより、排出孔31dの開閉を容易に行うことができる。
【0089】
供給孔31cおよび排出孔31dは、第1回転部材31の底部31aに形成される。すなわち、供給孔31cおよび排出孔31dは、同一面に形成される。そのため、手前側から、ボルト34による排出孔31dの開閉、および潤滑油・グリースの供給を行うことができ、潤滑油・グリースを供給する際の作業を容易に行うことができる。
【0090】
車輪モジュール200は、遊星歯車18bの回転軸18dを軸受部20a、20bを介して回転自在に支持し、例えば、第1軸受部20aの外周壁20a1と、第2固定部材42の第2凹部42eを形成する内周壁42e1との間に形成される隙間に、弾性部材であるOリング50を設ける。そして、Oリング50は、第1軸受部20aの外周壁20a1と、第2固定部材42の内周壁42e1とに当接する。
【0091】
これにより、遊星歯車18bと、太陽歯車18aおよび内歯車18cとの噛み合いによって生じた振動をOリング50によって吸収し、振動が筐体19などの他の部材に伝播されることを抑制することができる。そのため、騒音を低減することができる。また、Oリング50によって遊星歯車機構18の寸法誤差を吸収することができ、遊星歯車機構18を容易に組み立てることができる。また、Oリング50によって遊星歯車機構18の寸法誤差を吸収することができ、遊星歯車機構18を構成する各部品の寸法精度の許容値を大きくすることができ、各部品の製造、すなわち遊星歯車機構18の製造を容易に行うことができる。また、Oリング50、51を用いることで、汎用性を向上させることができる。
【0092】
車輪モジュール200は、Oリング50、51を第2凹部42e、43iに収容する。これにより、遊星歯車機構18の組み立て性を向上させることができる。
【0093】
車輪モジュール200は、例えば、第1軸受部20aに、第2固定部材42に対する回転を防止する回転防止部20cを有する。これにより、第1軸受部20aが第2固定部材42に対して回転することを防止することができる。
【0094】
変形例に係る車輪モジュール200は、
図11に示すように、支持部材41bを挟持する接続部材210として、切欠211を有する円弧状の挟持孔212に支持部材41bを挿入し、ネジ213などによって締めることで、支持部材41bを挟持してもよい。
図11は、変形例に係る車輪モジュール200の斜視図である。ネジ213などによって締め付ける箇所は、複数箇所、例えば、2箇所であることが望ましく、そのうちの少なくとも1つは、肉厚部41d(
図5参照)が形成された箇所である。なお、ネジ213などによって締め付ける箇所は、1箇所であってもよい。これにより、簡易な接続部材210の構成により、支持部材41bを挟持し、車輪モジュール200を荷台110(
図1参照)に固定することができる。
【0095】
変形例に係る車輪モジュール200は、
図12に示すように、例えば、第2軸受部20bの外周壁20b1に凹部20eが形成され、凹部20eにOリング51を収容してもよい。
図12は、変形例に係る車輪モジュール200の第2軸受部20b付近を拡大した断面図である。凹部20eは、第2軸受部20bの外周壁20b1の全周に渡り形成される。なお、Oリング51を収容する凹部20eは、例えば、第3固定部材43に形成されてもよく、また、第2軸受部20bおよび第3固定部材43に形成されてもよい。なお、凹部20eは第1軸受部20aに形成されてもよい。
【0096】
また、変形例に係る車輪モジュール200は、例えば、支持部材41bを軸方向に垂直な面で切断した支持部材41bの断面形状を略D形状とし、第1挟持部3aおよび第2挟持部4aの形状を支持部材41bに合わせて略D形状としてもよい。これにより、接続部材210に対する車輪部220の取り付け位置を所定位置に合わせることができ、組み立て性を向上させることができる。
【0097】
また、変形例に係る車輪モジュール200は、例えば、制動部13の部品などを支持部材41bの外周側、例えば、側方からネジによって固定してもよい。このような場合であっても、変形例に係る車輪モジュール200は、第1保持部3と第2保持部4とによって支持部材41bを上下方向から挟み込むことで、ネジとの接触を回避しつつ支持部材41bを挟持することができる。
【0098】
また、上記実施形態では、歯車機構として遊星歯車機構をあげているが、遊星歯車機構に限らず、歯車がかみ合いながら回転力を伝達する歯車機構であれば、同様に効果を得ることができる。特に、遊星歯車機構を使用した場合、一つの歯車に対して噛み合う歯車の数が多いため、より振動の伝播を低減する効果を得やすい。
【0099】
また、上記実施形態では、弾性部材としてOリング50、51を用いているが、金属より弾性係数の小さい樹脂やゴム等を弾性部材として用いてもよい。なお、弾性部材は、シール機能を有してもよい。弾性部材としてOリング50、51を用いた場合には、歯車機構のシール部材として、潤滑油・グリースの封止性や水等が外部から流入することを防ぐことが可能となる。
【0100】
変形例に係る車輪モジュール200は、
図13に示すように、第1軸受部20aと第2固定部材42との間、および第2軸受部20bと第3固定部材43との間に、上記実施形態のOリング50、51(
図8参照)を備えない構成であってもよい。
図13は、変形例に係る車輪モジュール200の第2軸受部20b付近を拡大した断面図である。
【0101】
また、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0102】
3 第1保持部、4 第2保持部,10 タイヤ、11 ホイール、12 駆動部、13 制動部、18 遊星歯車機構、18b 遊星歯車、18d 回転軸、18e 空洞部、19 筐体、20a 第1軸受部、20b 第2軸受部、20c 回転防止部、30 回転部材、31c 供給孔、31d 排出孔、33 グリースニップル、34 ボルト、40 固定部材、41b 支持部材、41d 肉厚部、42 第2固定部材、42c 第1支持部、42e 第2凹部、43 第3固定部材、43e 第2支持部、43f 底部、43g 孔、43i 第2凹部、44 第1収容部、45 第2収容部、50 Oリング、51 Oリング、62 ベアリング、100 台車、110 荷台、200 車輪モジュール、210 接続部材、220 車輪部