(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】遊技用装置
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220607BHJP
【FI】
A63F7/02 352F
A63F7/02 352L
A63F7/02 328
(21)【出願番号】P 2018014939
(22)【出願日】2018-01-31
【審査請求日】2020-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】瀬口 浩之
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 安隆
(72)【発明者】
【氏名】山田 將貴
【審査官】永田 美佐
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-184038(JP,A)
【文献】特開2013-240480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者が所有する遊技価値の大きさを特定可能な情報を記録した記録媒体
であって、会員として登録された遊技者が所持し当該登録の際に使用条件として会員暗証番号が設定される会員記録媒体と、会員として登録されていない遊技者が所持する一般記録媒体と、を記録媒体として受け付け
可能な受付手段と、
前記受付手段が前記会員記録媒体を受け付けた際、前記会員暗証番号が入力されることで前記使用条件が成立した場合に当該会員記録媒体の使用を許可する一方、その使用条件が成立するまで前記会員記録媒体の使用を制限する許可手段と、
遊技者の設定操作に応じて、
前記会員記録媒体及び前記一般記録媒体のそれぞれの記録媒体に対して
、前記会員暗証番号とは別個の暗証番号又は携帯端末の携帯IDを発行条件
として設定する
ことが可能な発行条件設定手段と、
遊技者の発行操作に応じて前記受付手段が受け付けている前記記録媒体を発行するものであり、前記発行条件が設定されている場合、
前記暗証番号又は前記携帯IDが入力されることを条件に前記記録媒体を発行する発行手段と、
前記受付手段が記録媒体を受け付けている状態で、次の記録媒体を前記受付手段が受け付けた場合に、各記録媒体に記録している遊技価値の大きさを合算して一方の記録媒体である合算先記録媒体に記録すると共に、他方の記録媒体である合算元記録媒体を回収する記録媒体処理手段と、
前記合算元記録媒
体に対して前記発行条件が設定され
且つ前記合算先記録媒体に対して前記発行条件が設定されていない場合、
前記合算元記録媒体の前記発行条件を前記合算先記録媒体にて有効化
する一方、前記合算先記録媒体に対して前記発行条件が設定され且つ前記合算元記録媒体に対して前記発行条件が設定されていない場合、前記合算先記録媒体の前記発行条件の設定を維持する有効化手段と、を備えたことを特徴とする遊技用装置。
【請求項2】
前記記録媒体処理手段は、前記会員記録媒体と前記一般記録媒体とに記録している遊技価値の大きさを合算する場合、前記会員記録媒体を前記合算先記録媒体にするものであり、
前記有効化手段は、前記会員記録媒体及び前記一般記
録媒体のうち、前記一般記録媒体に対して前記発行条件が設定されていた場合、当該発行条件を前記会員記録媒体にて有効にすることを特徴とする請求項1に記載した遊技用装置。
【請求項3】
前記記録媒体処理手段は、前記受付手段が前記一般記録媒体を受け付けている状態で、新たな前記一般記録媒体を受け付けた場合に、当該新たな一般記録媒体を前記合算先記録媒体にすることを特徴とする請求項1に記載した遊技用装置。
【請求項4】
前記有効化手段は、前記合算元記録媒体、及び前記合算先記録媒体のうち、両方の記録媒体に対して前記発行条件が設定されていた場合、前記記録媒体処理手段による合算の後、前記合算先記録媒体に対して設定されていた前記発行条件を有効化することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載した遊技用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場では、遊技者が獲得した玉やメダルの数の情報を記録したICカード(記録媒体)を遊技者に配布している。そして、ICカードを遊技機に隣接して設けられた貸出機に挿入することで、ICカードに記録した玉やメダルの数を対価として遊技を可能にしている。ICカードに玉やメダルの数の情報を記録することで、遊技者が玉やメダルを持ち運ぶ手間を減らすことができる。また、特許文献1には、複数のICカードに記録した情報を1枚のICカードに合算して記録することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで遊技場によっては、遊技者が貸出機を操作することで、ICカードを発行するための暗証番号を予め設定(発行条件を設定)できるようになっている。これにより、ICカードの盗難を抑制することができる。しかしながら、暗証番号を設定した後に複数のカードを合算することが想定されていない。このため、遊技者が暗証番号を設定し、かつ複数のICカードを合算可能なシステムが実現できていないのが実情である。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の記録媒体を合算可能であり、且つ遊技者が記録媒体の発行条件を設定可能にする遊技用装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
遊技用装置において、複数の記録媒体を合算した際に、一方の記録媒体に発行条件が設定されていれば、合算後も発行条件の設定が有効になるため、合算した際に発行条件の設定が解除されてしまい記録媒体の盗難リスクが高くなることを抑制できる。つまり、本構成であれば、盗難を抑制する効果を担保しつつ、複数の記録媒体を合算可能であり、かつ遊技者が記録媒体の発行条件を設定可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】遊技場用システムにおける概略的な機能ブロック図
【
図3】一般カードを挿入した場合におけるロック設定開始時の画面遷移図
【
図4】暗証番号又は携帯端末を用いたロック設定の際の画面遷移図
【
図5】会員カードを挿入した場合におけるロック設定開始時の画面遷移図
【
図6】暗証番号又は携帯端末を用いたロック設定の際の画面遷移図
【
図7】暗証番号のみを用いたロック設定の際の画面遷移図
【
図8】ロック設定状態とロック未設定状態を表す説明図
【
図9】ロック設定状態での認証操作によるカード返却時の画面遷移図
【
図10】ロック設定状態の解除操作における画面遷移図
【
図11】一般カード挿入中に会員カードを挿入して合算を行う場合の画面遷移図
【
図12】精算機における会員カード精算時の画面遷移図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、遊技場用システムの全体構成を概略的に示している。遊技場内には多数の遊技機1が設置されており、各遊技機1に対応して貸出機2及び遊技情報表示装置3が設置されている。これら遊技機1、貸出機2及び遊技情報表示装置3は2台ずつ中継装置4と接続されており、中継装置4はLAN5を介して管理装置6と接続されている。
【0009】
また、遊技場にはPOS7や精算機8も設置されており、これらPOS7や精算機8もLAN5を介して管理装置6と接続されている。本実施形態において、
図1に示すように遊技機1に隣接して設けられた貸出機2は第1遊技用装置とされ、遊技機1と離間して設けられた精算機8は第2遊技用装置とされている。尚、
図1では図示を省略したが、実際には例えば数百台の遊技機1が管理装置6の管理対象となっている。また、上記した遊技機1がパチンコ遊技機の場合、その遊技価値はパチンコ玉(遊技媒体としての玉)であり、遊技機がスロットマシンの場合、遊技価値はメダルである。
【0010】
管理装置6は、遊技場内の例えば事務室等に設置されており、遊技場の管理者が操作するキーボード6k、モニタ6m、プリンタ(図示せず)等が接続されている。管理装置6は、遊技機側(遊技機1、貸出機2等)から出力される遊技信号を入力することで、遊技機1毎の遊技データ、会員登録された会員毎の個人データ、遊技機1や貸出機2等の稼動状態等を管理する。
【0011】
遊技機1は、CRパチンコ遊技機であり、盤面11に玉を発射する発射装置を構成する操作ハンドル12、上部受皿13、下部受皿14を有すると共に、盤面11に、液晶表示部15、普図入賞口16、第1始動口17、第2始動口18、大入賞口19を有する。上部受皿13には、貸出ボタン13a及び返却ボタン13b(何れも
図2にのみ図示)が設けられている。
【0012】
遊技機1は以下に示すように動作する。
(1)第1始動口17は入賞率が変動しない入賞口(所謂ヘソ入賞口)であり、第2始動口18は入賞率が変動する入賞口(所謂電チュー)である。各始動口17、18への入賞(始動入賞)に応じて大当たり抽選を行い、抽選結果を液晶表示部15にて行う図柄変動にて報知し、その変動結果に応じて大当たりとなる。
【0013】
(2)図柄変動中に始動入賞した場合には所定の保留上限値(例えば各4つ)まで図柄変動を累積的に保留し、図柄変動終了後に保留している図柄変動を開始する。尚、保留している図柄変動数(保留数)が上限値である状態で始動入賞した場合、図柄変動は保留されない。
【0014】
(3)大当たり抽選の当選確率(大当たり確率)は1/360であり、大当たりがその後確変状態(確変)となる大当たり(確変大当たり)となる割合である確変率は(通常状態、確変状態共に)66.6%である。大当たりが発生すると15ラウンド(R)分だけ大入賞口19を開放する。尚、1Rの上限入賞数は10個であり、上限開放時間は30秒であり、上限入賞数又は上限開放時間の何れかが満たされた場合に1Rを終了する。
【0015】
(4)確変中は大当たり確率が1/36に向上すると共に、各始動口17、18への入賞率が高くなる時短状態(時短)になる。尚、確変は次回大当たりまで継続するので、大当たり後に大当たりでも確変でもない状態である通常遊技状態(通常状態)となる大当たり(通常大当たり)が発生するまで継続し、その後は所定数(例えば100回)の図柄変動を行うまで時短状態となり、その後に通常状態となる。
【0016】
(5)第2始動口18は普図入賞口16への入賞に応じて変動する普通図柄(普図)が当たりとなった場合に入賞率の高い開放状態となる。この場合、普
図1回の変動時間は通常状態では30秒であり時短状態では3秒となる。また、開放時間は通常状態では0.3秒であり時短状態では5秒となる。即ち、時短状態では通常状態と比較して普図変動時間が短くなる一方、開放時間は長くなることで第2始動口18の入賞率が高くなる。
【0017】
遊技機1及び当該遊技機1に付設された周辺機器は、遊技者による玉の打ち込みや各始動口17、18への始動入賞等の遊技の進行に伴って、以下に示す遊技信号を出力する。
アウト信号=消費玉を回収するアウトBOXから出力される消費価値(アウト)を特定可能な信号である。消費(使用、打込、回収)玉10玉に対して1パルスが出力されるので、「アウト信号数×10」をアウトとして特定する。尚、遊技機1から出力される信号でもよい。
【0018】
セーフ信号=遊技機1から出力される入賞付与価値(セーフ)を特定可能な信号である。払出10玉に対して1パルスが出力されるので、「セーフ信号数×10」をセーフとして特定する。尚、補給装置から出力される補給信号をセーフ信号としてもよい。
【0019】
始動信号=遊技機1から出力される始動入賞により変動(作動)する液晶表示部15におけるスタート処理(図柄変動)を特定可能な信号である。図柄変動確定時に出力されるので、始動信号の入力に応じてスタート処理を特定し、「始動信号×1」をスタート回数として特定する。尚、第1始動口17又は第2始動口18への入賞を示す信号としてもよい。
【0020】
大当たり信号=遊技機1から出力される大当たり期間を特定可能な信号である。大当たり中にレベル出力される状態信号であるので、大当たり信号の入力中を大当たり中として特定する。
【0021】
特別状態信号=遊技機1から出力される特別状態(甘中)を特定可能な信号である。第2始動口18の入賞率が向上する特別状態中(時短中)にレベル出力される状態信号であるので、特別状態信号の入力中を特別状態中として特定する。また、大当たり信号と特別状態信号の何れも入力していない期間を通常状態として特定する。
【0022】
貸出機2は、所謂各台計数機能付のものであり、遊技機1の遊技状態を示す状態表示部20、貨幣が投入される貨幣投入口21、遊技者からの操作入力を受け付けると共に前記図柄変動回数等の各種遊技情報や後述する暗証番号を入力するためのテンキー等を表示するタッチパネル式の液晶表示部22、持玉や貯玉を払出すための払出ボタン23、払出された玉が通過する払出ノズル24、後述する一般カード9や会員カード10が挿入されるカード挿入口25、遊技機1の下部受皿14の下方に位置する着脱可能な計数受皿26等を有する。
【0023】
また、貸出機2は、フェリカ(登録商標)携帯(以下「携帯端末30」と称す)に記録されている携帯IDの読み取りが可能な非接触式の携帯端末用リーダ30aを有する。携帯IDとは、携帯端末30に内蔵されたICチップに付与されているIDmで、携帯端末30を識別するための固有のIDである。
【0024】
貸出機2は、
図2のブロック図で示すように、CPU2a、ROM2bやRAM2c等の記録部2M、I/O2dを有するマイクロコンピュータにより構成される制御部2A(発行条件設定手段、記録媒体処理手段、有効化手段、許可手段、受付手段(第1受付手段)、発行手段(第1発行手段)、第1書換手段、解除手段、使用条件特定手段、第2書換手段)、当該制御部2Aと接続された周辺部を備えて構成されている。
【0025】
係る周辺部としては、管理装置6等との間で各種信号や各種情報を送受信するためのI/F部27、状態表示部20、貨幣投入口21に投入された紙幣の真贋を判定する紙幣管理部21a、液晶表示部22、当該表示部22上に設けられたタッチパネル22a、カード挿入口25に挿入されたカード9,10に記録されている各種情報を読み取ったり、書き込んだりするカードRW(リーダライタ)25a、払出ボタン23、当該払出ボタン23が操作されたときに、玉を払出ノズル24から払出すための払出部23a、計数受皿26から流入する玉数を計数する計数部28、携帯端末用リーダ30aを有する。また、図示は省略するが、貸出機2は、その内部に例えば最大10枚の一般カード9をストック可能なカードストック部等を有する。
【0026】
ここで、遊技者が所有する遊技価値の大きさを特定可能な情報を記録可能な記録媒体には、会員として登録された会員遊技者が所持し、当該会員登録の際に会員遊技者から申告された例えば4桁の暗証番号を設定した(使用条件を設定した)会員カード10(会員記録媒体)と、会員として登録していない遊技者が所持する一般カード9(一般記録媒体)とがある。
【0027】
このうち、一般カード9は、当日限り有効なICカードであり、図示しないICチップが内蔵されている。このICチップの記録部には、カードを識別するための識別情報として一般IDが記録されると共に、貸出機2に入金された入金残高や持玉数が記録される。この一般カード9の持玉数は当日のみ有効で、入金残高は翌日以降も利用可能とされている。
【0028】
これに対し、会員カード10は、予め設定されている有効期限(例えば3年間)まで有効なICカードであり、図示しないICチップが内蔵されている。このICチップの記録部には、識別情報として会員遊技者を特定可能な会員IDや、入金残高、暗証番号が記録される。会員カード10に対応する持玉数や貯玉数、暗証番号は、何れも管理装置6において、会員IDと対応付けた会員口座或いは会員データテーブル上で管理される。会員カード10の持玉数(当日貯玉)、貯玉数(前日貯玉)、並びに入金残高は、翌日以降も利用可能とされている。また、会員カード10の持玉数は、管理装置6により遊技場の営業終了後に貯玉数に合算して記録する。
【0029】
尚、会員カード10の記録領域のうち、暗証番号を記録する記録領域は特別記録領域とされている。また、何れのカード9,10も遊技者が携帯可能であり、入金残高や持玉数或いは会員IDは、遊技価値の大きさを特定可能な情報として把握される。
【0030】
貸出機2は、以下に示す機能を備えている。
(a)カード9,10の未挿入状態で貨幣が投入口21に投入されると、前記カードストック部に収納している一般カード9をカードRW25aへ繰り出して、その入金金額(1000円単位)を記録するとともに、当該入金金額(入金残高)を液晶表示部22に表示する。
【0031】
(b)遊技機1の貸出ボタン13aが操作されると、その貸出操作に応じて入金残高の範囲内で1度数(500円)に相当する玉数の玉を遊技機1内部の払出機構から貸し出す貸出処理を行う。
【0032】
(c)遊技機1の下部受皿14から落下して計数受皿26で受けられた玉が計数部28に流入することで玉を計数し、その計数した玉数である計数玉数を液晶表示部22に表示する。
【0033】
(d)払出ボタン23の操作(払出操作)に応じて計数玉数(持玉数)又は貯玉数(会員遊技者の場合)の範囲内で1度数ずつ遊技機1内部の払出機構から払出す。尚、後述するように、持玉等の払出しは、タッチパネル22aのタッチ操作によっても可能である(
図3の持玉払出ボタン31e参照)。
【0034】
(e)遊技機1の返却ボタン13bの操作に応じて(遊技者の発行操作に応じて)入金残高及び持玉数をカード挿入口25に挿入されている一般カード9に記録して発行する(カード9を返却する)。会員カード10が挿入されている場合は、入金残高を会員カード10に記録して発行する(カード10を返却する)。カード挿入口25に何れのカード9,10も挿入されていない場合は、前記カードストック部にストックしている一般カード9を図示しない記録媒体移動手段によりカードRW25aに繰出して、そのカード9に入金残高及び持玉数を記録して発行する。このように、制御部2A、カードRW25a、記録媒体移動手段は、自装置2で受け付けている記録媒体を発行する発行手段に相当する。つまり、記録媒体の発行には、記録媒体に情報を記録して新たに発行する構成や、受け付けていた記録媒体を遊技者に返却する構成が含まれる。尚、入金残高及び持玉数が何れも「0」となった場合は、カードRW25aにセットされた一般カード9を記録媒体移動手段によりカードストック部に回収する。
【0035】
(f)一般カード9がカード挿入口25に挿入された場合は、一般カード9に記録されている入金残高及び持玉数をカードRW25aにより読出して液晶表示部22に表示する。会員カード10が挿入された場合は、会員カード10に記録されている入金残高を読出して液晶表示部22に表示すると共に持玉数を管理装置6から受信して表示し、又、暗証番号の入力を条件として貯玉数を管理装置6から受信して表示する。
【0036】
詳しくは後述するが、貸出機2において、会員カード10を受け付けて貯玉を払出す場合に、液晶表示部22でのタッチ操作により会員登録時の暗証番号を入力する操作がなされると、その入力された暗証番号を管理装置6へ送信する。管理装置6は、受信した暗証番号について会員データテーブル上のデータと照合し、当該暗証番号が適正であると判断した場合、貸出機2に当該会員遊技者の貯玉数に係る情報(適正信号)を送信する。こうして、貸出機2は、管理装置6からの適正信号を受信したことを条件に(予め定められた使用条件が成立した場合に)当該カード10に関連付けて記録されている貯玉数(遊技価値の大きさ)を表示して遊技機1での遊技への使用を許可する一方、適正な暗証番号が入力されるまで(使用条件が成立するまで)貯玉の使用を許可せずに禁止する(その会員カード10の使用を制限する)。尚、貸出機2において、会員カード10に係る持玉や残高を使用する際、暗証番号の入力を要することなく、その使用が許可される。
【0037】
貸出機の制御部2A(以下、適宜「貸出機2」と略す)は、上記した機能並びに後述する合算機能の他、以下の信号を管理装置6側へ送信する機能を有する。
・売上信号:玉の貸出しに伴い使用された金額(使用金額)を示す信号。
・貯玉払出信号:会員カード10で貯玉を使用する場合に、払出された貯玉数を示す信号。
・カード発行信号:上記したカード9,10の発行処理(返却処理)を行う場合に、該当するカード9,10に記録される入金残高や持玉数を示す信号。
【0038】
管理装置6側では、こうした信号を受信することで、一般IDや会員IDに対応付けて、持玉、貯玉、及び入金残高を管理している。
図1に示す精算機8は、カード9,10が挿入されるカード挿入口35、カード9,10に対応付けられた入金残高をその払出しにより精算する返却口36、暗証番号を入力するためのテンキー等の各種情報を表示するタッチパネル式の液晶表示部37、前記携帯IDの読み取りが可能な携帯端末用リーダ30b等を有する。
【0039】
精算機8は、
図2のブロック図で示すように、CPU8a、ROM8bやRAM8c等の記録部8M、I/O8dを有するマイクロコンピュータにより構成される制御部8A(第2受付手段、特別処理実行手段、第2発行手段、同一判定手段、異常時処理実行手段)を備える。制御部8Aには、中継装置4を介して管理装置6等との間で各種情報を送受信するためのI/F部38、カード挿入口35に挿入されたカード9,10に記録されている各種情報を読み取ったり、書き込んだりするカードRW35a、液晶表示部37、当該表示部37上に設けられたタッチパネル37a、携帯端末用リーダ30b等が接続されている。
【0040】
精算機8における、カードRW35a及び制御部8Aは、記録媒体を受け付ける第2受付手段に相当する。また、精算機8で会員カード10の入金残高を精算するとき、制御部8A(以下、適宜「精算機8」と略す)は、液晶表示部37でのタッチ操作により適正な暗証番号が入力されたこと(使用条件が成立したこと)を条件に、当該カード10から特定可能な遊技価値の大きさの精算である特別処理(貨幣の払出しにより入金残高を精算する精算処理)を実行する特別処理実行手段に相当する。係る精算処理について詳しくは後述する。
【0041】
管理装置6は、CPU6a、ROM6bやRAM6c等の記録部6M、I/O6dを有するマイクロコンピュータにより構成される制御部6Aを備える。また、管理装置6は、遊技場内における遊技機1、貸出機2、遊技情報表示装置3、精算機8等といった各種装置とは個別に設けられ、それら装置との間で各種情報の送受信を行うためのI/F部36を備える。制御部6Aには、モニタ6mやキーボード6k等が接続される。
【0042】
さて、使用条件として予め会員登録時に設定した暗証番号とは別に、会員カード10を発行するための発行条件としての暗証番号を、遊技者が貸出機2を操作することで設定可能にしたとする。この場合、セキュリティを強化することができるが、係る暗証番号を複数設定することに伴い遊技者の設定作業が煩雑化することも想定される。
【0043】
また、一般カード9についても、発行条件としての暗証番号を設定可能としておけば、何れのカード9,10も盗難を抑制することができるが、係る暗証番号を設定した後に、複数のカードを1つのカードにまとめる合算可能なシステムが実現できていないのが実情である。
【0044】
そこで、本実施形態の遊技場用システムでは、会員カード10の暗証番号のような発行条件等を複数設定可能な状況において、遊技者の作業を煩雑化することなくセキュリティを高めることができ、又、複数のカード9,10を合算可能で且つ両カード9,10のそれぞれに対して発行条件を設定することが可能な構成としている。係る遊技場用システムの構成について、「1.安心ロックによる発行条件の設定」「2.ロック設定状態の表示と認証操作」「3.ロック設定状態の解除」「4.発行条件と使用条件」「5.カードの合算」「6.精算機での精算」の順に、
図3以降の図面も参照しながら説明する。また、本実施形態では、カード9,10を発行するために遊技者が貸出機2を操作することで設定する暗証番号等を発行条件とし、前記使用条件として会員登録時に設定される暗証番号(以下「会員暗証番号」とする)と区別する。
【0045】
<1.安心ロックによる発行条件の設定>
貸出機2において、制御部2AやカードRW25aは、カード9,10を受け付ける受付手段、及び遊技者の設定操作に応じてカード9,10に対して発行条件を設定する発行条件設定手段として構成されており、遊技者により、カード挿入口25に挿入された一般カード9又は会員カード10に、発行条件としての暗証番号或いは前記携帯IDの対応付けが可能である。ここで、
図3及び
図4は一般カード9を挿入口25に挿入したときの液晶表示部22での画面遷移、
図5~
図7は、会員カード10を挿入口25に挿入したときの液晶表示部22での画面遷移を示している。尚、
図3以降で用いる符号「S」は、画面遷移のステップS(遷移画面S)を表すものとし、各遷移画面Sにおいて実質的に同一の表示部分には同一の符号を付す等して説明を簡単化する。
【0046】
具体的には、貸出機2は、一般カード9が挿入口25に挿入されると、
図3に示す待機画面S31を表示する。待機画面S31には、貸出レートや貸出1単位分の玉数を表す欄31a、来場者に対する案内表示を表す欄31b、挿入されているカード9,10の種別を表す欄31c(同図では一般カードを表す)、入金残高や持玉を表す欄31d、持玉を払出すための持玉払出ボタン31eが設けられている。このうち、カード9,10の種別を表す欄31cでは、以下に説明する安心ロックの設定の有無(同図では解錠マークm´)も表される。
【0047】
貸出機2は、待機画面S31における持玉払出ボタン31e以外の領域がタッチ操作されるとメニュー画面S32に遷移する。メニュー画面S32には、安心ロックボタン32a、詳細情報ボタン32b、合算ボタン32cの他、次ボタン32d、終了ボタン32e等が設けられている。貸出機2は、次ボタン32dがタッチ操作されると、図示しない次のメニュー画面に遷移し、終了ボタン32eがタッチ操作されると待機画面S31に戻る。また、メニュー画面S32がタッチ操作されることなく所定期間継すると、待機画面S31に戻る。
【0048】
そして、貸出機2は、メニュー画面S32における安心ロックボタン32aがタッチ操作されると、安心ロック画面S33に遷移する。安心ロック画面S33には、携帯端末30としての「スマホをタッチして下さい または 暗証入力ボタンを押して暗証番号を入力して下さい」と表示する欄33a、暗証入力ボタン33b、中止ボタン33cが設けられている。貸出機2は、中止ボタン33cがタッチ操作されると待機画面S31に戻る一方、遊技者が携帯端末30を翳す操作、或いは暗証入力ボタン33bのタッチ操作に応じて、
図4の画面S40,S41に遷移する(丸で囲んだA1或いはB1参照)。
【0049】
即ち、遊技者が自身の携帯端末30を貸出機2の携帯端末用リーダ30aに翳した場合い(設定操作した場合、同
図4参照)、貸出機2は、そのリーダ30aにて当該携帯端末30の携帯IDを読み取って(発行条件を記録して)、安心ロック画面S33からロック済画面S40に遷移する。ロック済画面S40には、カード挿入口25に挿入されている一般カード9について「安心ロックをかけました」とのメッセージが、その旨を表す施錠マークmと共に表示される。
【0050】
一方、携帯端末30の所持の有無にかかわらず、貸出機2において、安心ロック画面S33の暗証入力ボタン33bがタッチ操作されると、
図4の暗証番号入力画面S41に遷移する。暗証番号入力画面S41には、テンキー41aが設けられている。暗証番号入力画面S41において、遊技者がテンキー41aのタッチ操作(設定操作)により4桁の暗証番号を入力すると、貸出機2は、次の画面S42に遷移する。この画面S42は、確認のため再度の暗証番号の入力を求めるものであり、当該画面S42の表示後、再度テンキー43aを表示する暗証番号入力画面S43へ遷移する。尚、暗証番号入力画面S41,S43に設けられた中止ボタン41b,43bがタッチ操作されると待機画面S31に戻り、戻るボタン41cがタッチ操作されると、1つ前の画面S33に戻る。
【0051】
貸出機2は、暗証番号入力画面S43で入力された暗証番号と先の暗証番号入力画面S41で入力された暗証番号とが一致すると判定すると、その暗証番号を発行条件として記録し、暗証番号入力画面S43からロック済画面S44に遷移する。
【0052】
こうして、貸出機2において、発行条件として携帯ID又は暗証番号が遊技者の設定操作に応じて入力されることにより、ロック済画面S40又はS44が表示されると共に、一般カード9に対し発行条件が設定されて当該カード9に安心ロックをかけていないロック未設定状態からロック設定状態へと切り換わる。
【0053】
これに対し、貸出機2において、会員カード10が挿入口25に挿入されると、
図5に示す待機画面S51を表示する。
図5の待機画面S51は、カード9,10の種別を表す欄31cで「会員カード」を表し、入金残高や持玉を表す欄31dで当該カード10に対応付けられた値を表す点で、
図3の待機画面S31と相違する。
【0054】
貸出機2は、待機画面S51から遷移したメニュー画面S52において、安心ロックボタン32aがタッチ操作されると、
図6の安心ロック画面S61に遷移する。これにより、会員カード10についても、遊技者が携帯端末30を貸出機2のリーダ30aに翳すことで、当該貸出機2において、当該携帯端末30の携帯IDを読み取って(発行条件を記録して)、安心ロック画面S61からロック済画面S62に遷移する。
【0055】
一方、
図6の安心ロック画面S61において、暗証入力ボタン33bがタッチ操作されると、同画面S61から暗証番号入力画面S63に遷移する。これにより、会員カード10についても、暗証番号入力画面S63において、テンキー41aのタッチ操作により4桁の暗証番号を入力し、次の画面S64を経て遷移した暗証番号入力画面S65において、同暗証番号を入力することができる。
【0056】
貸出機2において、両暗証番号入力画面S63,S65で入力された暗証番号が一致すると判定すると、その暗証番号を発行条件として記録し、暗証番号入力画面S65からロック済画面S66に遷移する。
こうして、貸出機2において、発行条件として携帯ID又は暗証番号が入力されることにより、ロック済画面S62又はS66が表示されると共に、会員カード10に対し発行条件が設定されて当該カード10をロック未設定状態からロック設定状態へと切り換える。
【0057】
尚、貸出機2において、携帯IDと暗証番号とのうち何れか一方のみを発行条件として入力可能としてよいことは勿論である。例えば、暗証番号のみを入力可能な貸出機2にあっては、
図5のメニュー画面S52で、安心ロックボタン32aがタッチ操作されると、
図7の安心ロック画面S71に遷移する(丸で囲んだB2参照)。この画面S71では「安心ロック中です 暗証番号を入力して下さい」と表示して、当該画面S71の表示後、暗証番号入力画面S72へ遷移する。それ故、この場合でも、4桁の暗証番号を2回順次入力し、これに合わせて
図7に示す画面S73、S74、S75も順次遷移し、会員カード10(一般カード9も同様)をロック未設定状態からロック設定状態へと切り換えることができる。
【0058】
貸出機2において、一般カード9或いは会員カード10に対して発行条件が設定された後、
図3の待機画面S31或いは
図5の待機画面S51に戻ると、同画面S31或いはS51における中段の欄31cの解錠マークm´に代えて、
図8右側の画面S82に示す施錠マークmを表示する。
【0059】
即ち、
図8左側の拡大画面S81で表すように、貸出機2は、カード9,10がロック未設定状態のとき、待機画面S31、S51の中段の欄31cに解錠マークm´を表示させる。また、
図8右側の拡大画面82で表すように、貸出機2は、ロック設定状態のとき当該中段の欄31aに施錠マークmを表示させるため、待機画面S31、S51で発行条件が設定されているか否かを直ぐに把握することができる。
【0060】
<2.ロック設定状態の表示と認証操作>
図9は、貸出機2においてカード9,10がロック設定状態にあるときに、そのカード9,10を発行する(返却する)ために必要な認証操作の手順を示している。この認証操作については、両カード9,10で実質的に同じであるため、一般カード9を中心に説明する。
【0061】
具体的には、貸出機2において、遊技者の前記発行操作に応じて現に受け付けている一般カード9を発行するとき、当該一般カード9に発行条件として暗証番号が設定されている場合には、液晶表示部22に、
図9の画面S91を表示させる。この画面S91では「安心ロック中です 暗証番号を入力して下さい」と表示して、当該一般カード9について安心ロックをかけたときと同じ暗証番号を入力する認証操作を求め、当該画面91の表示後、暗証番号入力画面S92へ遷移する。
【0062】
一方、当該一般カード9に発行条件として携帯IDが設定されている場合には、液晶表示部22に、
図9で下側の画面S93を表示させる。この画面S93では「安心ロック中です スマホをタッチして下さい」と表示して、当該一般カード9について安心ロックをかけたときと同じ携帯端末30をリーダ30aに翳す認証操作を求める。
【0063】
こうして、貸出機2は、認証操作により入力された暗証番号又は携帯IDと、発行条件として設定されている暗証番号又は携帯IDとを照合して、両者(各々の暗証番号又は携帯ID)が一致することを条件に(発行条件が成立したことを条件に)一般カード9を発行する。この場合、貸出機2は、入金残高及び持玉数と併せて暗証番号又は携帯IDを一般カード9に記録して発行することで、一般カード9に発行条件を対応付ける(ロック設定状態を維持する)。
【0064】
<3.ロック設定状態の解除>
図10は、一般カード9のロック設定状態を解除してロック未設定状態へと切り替えるための解除操作の手順を示しており、係る手順も一般カード9を中心に説明する。
【0065】
図10上側の画面S101~S105は、一般カード9に発行条件として暗証番号が設定されている場合にロック設定状態を解除するときの画面遷移、
図10下側の画面S106~S109は、一般カード9に発行条件として携帯IDが設定されている場合にロック設定状態を解除するときの画面遷移を示している。
【0066】
即ち先ず、貸出機2において、一般カード9がロック設定状態のとき、
図10上側の待機画面S101から遷移したメニュー画面S102には、安心ロックボタン32aに代えて安心ロック解除ボタン32a´が表示される。このロック設定状態の解除に際して、安心ロック解除ボタン32a´がタッチ操作されると、安心ロック解除画面S103に遷移する。安心ロック解除画面S103では、発行条件として暗証番号が設定されている場合に「安心ロック中です 暗証番号を入力して下さい」と表示し、その後、暗証番号入力画面S104へ遷移する。
【0067】
これにより、貸出機2において、暗証番号入力画面S104で暗証番号が入力されると(解除操作が行われると)、その入力された暗証番号と、発行条件として設定されている暗証番号とを照合して、両者が一致することを条件に、ロック解除画面S105を表示すると共に一般カード9をロック設定状態からロック未設定状態へと切り換える。ロック解除画面S105には、カード挿入口25に挿入されている一般カード9について「安心ロックを解除しました」とのメッセージが、その旨を表す解錠マークm´と共に表示される。尚、遊技者が暗証番号を失念した場合、遊技場の管理者等により貸出機2に対して一般カード9を強制的に発行させる操作入力を行うことにより、暗証番号を入力することなくロック設定状態の解除が可能である。
【0068】
一方、発行条件として携帯IDが設定されている場合も、
図10下側の待機画面S106から遷移したメニュー画面S107に安心ロック解除ボタン32a´が表示される。この安心ロック解除ボタン32a´がタッチ操作されると、安心ロック解除画面S108に遷移する。安心ロック解除画面S108では「スマホをタッチして下さい」と表示して、安心ロックをかけたときと同じ携帯端末30をリーダ30aに翳す解除操作を求める。これにより、貸出機2において、携帯端末30をリーダ30aに翳すことに伴い(解除操作が行われることに伴い)、入力された携帯IDと、発行条件として設定されている携帯IDとを照合して、両者が一致することを条件に、ロック解除画面S109を表示すると共に一般カード9をロック設定状態からロック未設定状態へと切り換える。
【0069】
こうして、貸出機2では、暗証番号や携帯端末30を用いた解除操作により一般カード9がロック未設定状態になると、前記認証操作を行うことなく、又、当該カード9に発行条件を対応付けることなく、発行操作に応じて発行することができる。尚、ロック設定状態の会員カード10についての解除操作や認証操作では、上記の一般カード9と同様、発行条件を成立させるために暗証番号又は携帯端末30が用いられることとなる。
【0070】
<4.発行条件と使用条件>
本遊技場用システムにおける会員暗証番号は、管理装置6により会員カード10を識別するための会員IDに対応付けて管理されている。係る使用条件としての会員暗証番号や、発行条件としての暗証番号或いは携帯IDに関する、各カード9,10の記録内容乃至取扱いについて説明しておく。
【0071】
先ず、貸出機2では、ロック設定状態の一般カード9を発行操作に応じて発行する際、認証操作が行われると、そのカード9に発行条件としての暗証番号又は携帯IDを記録させる。つまり、一般カード9については、暗証番号又は携帯IDが書き込まれることにより、ロック設定状態が維持される。
【0072】
これに対し、貸出機2において、ロック設定状態の会員カード10を発行操作に応じて発行する際、認証操作が行われると、その会員カード10に発行条件としての暗証番号又は携帯IDを記録させる。つまり、貸出機2は、会員カード10に対し発行条件として暗証番号又は携帯IDを設定した場合に、当該カード10の前記特別記録領域に記録している情報を会員暗証番号から暗証番号又は携帯IDに書き換える(上書き更新する)ことにより、当該カード10についてロック設定状態が維持される。
【0073】
また、貸出機2は、遊技者の解除操作に応じて、暗証番号や携帯IDといった発行条件を解除する場合、管理装置6が管理する会員カード10の使用条件(会員データテーブル上の会員暗証番号)を要求する信号を送信する。管理装置6は、その要求に応じて会員データテーブル上の会員暗証番号を照合し、貸出機2に対して該当する会員暗証番号を送信する。こうして、貸出機2は、会員カード10の会員暗証番号を特定すると、その特定結果に応じて、当該カード10の特別記録領域に記録している情報が暗証番号又は携帯IDであれば、その発行条件を会員暗証番号に書き換える。それ故、発行条件を解除することにより或いは未だ発行条件が設定されていないロック未設定状態の会員カード10については、その特別記録領域に会員暗証番号のみが記録されることとなる。
【0074】
このように会員カード10については、当該カード10に会員暗証番号と暗証番号又は携帯IDとの何れか1つを記録させ、併せて管理装置6で会員暗証番号を管理することで、当該カード10(特別記録領域)の記録容量を増大させることなく、発行条件と使用条件とを適宜設定することができる。それ故、ロック設定状態の会員カード10については、貸出機2での持玉の払出し等に関し、発行条件と使用条件とを分けて用いることができる。
【0075】
例えば遊技場では、持玉(当日貯玉)の払出数を累計した累計払出数の上限値が管理装置6にて予め設定されており、管理装置6は、ロック設定状態の会員カード10が受け付けられている貸出機2において、持玉の累計払出数が上限値に達したとき、その旨のメッセージを液晶表示部22に表示させると共に、認証操作に係る
図9の画面S91,S92又はS93を表示させる。このときの画面S92又はS93表示に応じて、発行条件として設定したときの暗証番号又は携帯端末30を使用することで、以降の持玉の払出しが許可される。
【0076】
一方、貸出機2において、貯玉の払出し(再プレイ)を行うには、会員カード10がロック設定状態にあるか否かにかかわらず、会員暗証番号の入力により、貯玉数を管理装置6から受信して表示させる必要がある。この会員暗証番号を入力する際、
図5のメニュー画面S52で詳細情報ボタン32bをタッチ操作して、「会員登録時の暗証番号を入力してください」と表示する画面(図示略)と、認証操作時の
図9の画面S92と同様の画面(図示略)とを順次表示させて、会員暗証番号を入力することができる。こうした会員暗証番号を入力するための画面は、当該貯玉について前記払出操作をしたときにも表示させ、当該貯玉を払出させるための使用条件として、会員暗証番号が入力されることを条件に、その払出しを許可するようにしてもよい。このように、会員カード10に対応付けられた持玉の払出し(当日貯玉の上限値に係る払出しの許可)には暗証番号を使用する一方、貯玉の払出し(前日貯玉の払出しの許可)については会員暗証番号を使用する。
【0077】
<5.カードの合算>
貸出機2は、2枚のカードのうち一方のカードを合算先記録媒体、他方のカードを合算元記録媒体として、各カードに記録している遊技価値の大きさを合算して合算先記録媒体に対応付けるものとして記録することで、1枚のカードにまとめる合算機能を備える。この合算の具体例について、
図11の遷移画面S111~S115を参照しながら説明する。この例では、貸出機2に対して先に挿入される一般カード9を合算元とし、次に挿入される会員カード10を合算先とする。また、何れのカード9,10もロック未設定状態で、合算元の一般カード9には入金残高1000円と持玉20000玉、合算先の会員カード10には入金残高1000円と持玉500玉がそれぞれ対応付けられているものとする。
【0078】
即ち、貸出機2は、先ず一般カード9が挿入口25に挿入されると、当該カード9を受け付けている状態で液晶表示部22に
図11の画面S111を表示する。このとき、会員遊技者はタッチ操作により、メニュー画面S112に遷移させて合算ボタン32cを選択することにより、合算案内画面S113に遷移させる。また、合算案内画面S113でのOKボタン113bのタッチ操作により、「カードを挿入して下さい」と表示する画面S114に遷移させる。これにより、会員遊技者は、貸出機2の挿入口25に会員カード10を挿入して合算させ、或いは画面S113,S114の中止ボタン113b,114bのタッチ操作により待機画面S31に戻すこともできる。
【0079】
こうして、貸出機2では、次の会員カード10が挿入口25に挿入されて当該カード10を受け付けた場合に、一般カード9に記録されている入金残高及び持玉数を会員カード10の入金残高及び持玉数にそれぞれ合算し、これを会員カード10に対応付ける遊技価値(画面S115に示す入金残高2000円と持玉20500玉)として記録する。これに伴い、合算元の一般カード9の入金残高及び持玉数をゼロリセットして初期化し、その初期化した一般カード9を記録媒体移動手段によりカードストック部に回収する。
【0080】
尚、会員カード10が挿入口25に挿入されている状態で、一般カード9が挿入口25に挿入されても、会員カード10に対応する持玉数を一般カード9に合算しないものとする。即ち、貸出機2では、先に挿入していたカードを回収する構成にあるため、一般カード9を合算元、会員カード10を合算先として合算する行為は許可されるが、会員カード10を合算元、一般カード9を合算先として合算する行為は禁止される。これにより、貸出機2は、会員カード10と一般カード9とに対応付けて記録している遊技価値の大きさを合算する場合、会員カード10を合算先記録媒体にするものとしている。また、2枚の一般カード9にそれぞれ対応付けて記録している遊技価値の大きさを合算する場合も、先に挿入された一般カード9を合算元記録媒体として初期化し回収する一方、次に挿入された一般カード9(新たな一般記録媒体)を合算先記録媒体にするものとしている。
【0081】
以上を前提として、本実施形態の貸出機2には、両カード9,10のロック設定状態とロック未設定状態とを想定した、以下の(1)~(4)に大別されるパターンについて合算可能としている。また、説明の便宜上、複数の一般カード9の合算を想定して、合算元の一般カード9に符号「A」を、合算先の一般カード9に符号「B」を付して区別する。
【0082】
(1)ロック未設定状態の一般カード9Aを合算元、ロック未設定状態の会員カード10(又は一般カード9B)を合算先として合算する、上記した
図11のパターン
このパターン(1)の場合、貸出機2は、回収する一般カード9A、並びに合算先の会員カード10(又は一般カード9B)の何れも、発行条件が設定されていないため、暗証番号又は携帯IDに関する新たな書込みを行わず、合算先の会員カード10(又は一般カード9B)のロック未設定状態を維持するように構成されている。
【0083】
(2)ロック設定状態の一般カード9Aを合算元、ロック未設定状態の会員カード10(又は一般カード9B)を合算先として合算するパターン
このパターン(2)の場合、貸出機2は、合算先の会員カード10(又は一般カード9B)に対して、合算元の暗証番号又は携帯IDを書き込むことで、合算先の会員カード10(又は一般カード9B)をロック設定状態とするように構成されている。
【0084】
(3)ロック未設定状態の一般カード9Aを合算元、ロック設定状態の会員カード10(又は一般カードB)を合算先として合算するパターン
このパターン(3)の場合、貸出機2は、合算先の会員カード10(又は一般カード9B)に対して、暗証番号又は携帯IDに関する新たな書込みを行わず、合算先の会員カード10(又は一般カード9B)のロック設定状態を維持するように構成されている。
【0085】
(4)ロック設定状態の一般カード9Aを合算元、ロック設定状態の会員カード(又は一般カードB)を合算先として合算するパターン
このパターン(4)の場合、貸出機2は、合算先の会員カード10(又は一般カード9B)に対して、暗証番号又は携帯IDに関する新たな書込みを行わず、合算先の会員カード10(又は一般カード9B)のロック設定状態を維持するように構成されている。
【0086】
以上の各パターン(1)~(4)において、貸出機2は、一般カード9Aを受け付けている状態で、新たな一般カード9Bを受け付けた場合に、当該新たな一般カード9Bを合算先記録媒体にするものといえる。
【0087】
また、上記パターン(1)~(4)全体を考察すれば、貸出機2は、合算元のカード9A及び合算先のカード10又は9Bのうち、一方のカードに対して暗証番号又は携帯IDが設定されていた場合、当該暗証番号又は携帯IDを合算先のカード10又は9Bにて有効化するものといえる。更に、貸出機2は、上記パターン(2)において、会員カード10及び一般カード9のうち、一般カード9に対して暗証番号又は携帯IDが設定されていた場合、当該暗証番号又は携帯IDを会員カード10に書き込んで有効にするものといえる。
【0088】
また、貸出機2は、上記パターン(4)において、合算元のカード9A及び合算先のカード10又は9Bのうち、両方のカードに対して暗証番号又は携帯IDが設定されていた場合、それらカードの遊技価値に係る合算の後、合算先のカード10又は9Bに対して設定されていた暗証番号又は携帯IDを維持することにより有効化するものといえる。
【0089】
尚、何れのカード9A,9B,10も自身の記録領域内に、ロック設定状態か否かを判定するためのフラグを設けており、貸出機2は、上記した暗証番号又は携帯IDに関する新たな書込みや、初期化、前記解除操作等により、ロック設定状態とロック未設定状態との間でその設定状態が切り換わる際には、当該ロック設定に応じてフラグを「1」に設定し、或いは当該解除操作等に応じてフラグを「0」に設定するように構成されている。
【0090】
<6.精算機での精算>
図12は、精算機8の液晶表示部37における会員カード10精算時の画面遷移を表している。ここで、会員遊技者は、自身の会員カード10を精算機8の挿入口35(
図1参照)へ挿入して、貨幣の払出しにより入金残高(例えば1100円)を精算するものとする。また、本実施形態の精算機8にあっては、カード挿入口35に挿入されて受け付けられた当該カード10がロック設定状態でなければ、適正な会員暗証番号が入力されたことを条件に、当該カード10から特定可能な入金残高の大きさについて精算する精算処理を実行する一方、ロック設定状態であれば、適正な会員暗証番号の入力に加えて暗証番号又は携帯IDが入力されたことを条件に、精算処理を実行する。
【0091】
即ち先ず、精算機8は、カード挿入口35に挿入された会員カード10の情報を読取ることにより、ロック設定状態か否かを判定する。精算機8は、当該カード10に対して、前記フラグが「0」に設定されていれば(発行条件としての暗証番号又は携帯IDが設定されていなければ)、ロック未設定状態と判定し、
図12上段のステップS121~S123の画面表示を省略して、中段の会員暗証番号入力画面S124を表示する。会員暗証番号入力画面S124では、「会員登録時の(会員)暗証番号を入力して下さい」とのメッセージを、テンキー124a及び取消ボタン124bと共に表示する。尚、精算機8は、ロック設定状態か否かの判定を、会員カード10のフラグの情報に基づき行うものとし、フラグが「1」に設定されていればロック設定状態と判定する。
【0092】
精算機8は、会員遊技者のテンキー124aのタッチ操作により会員暗証番号が入力されると、その入力された会員暗証番号を管理装置6へ送信する。管理装置6は、受信した会員暗証番号について会員データテーブル上のデータと照合し、当該会員暗証番号が適正であると判断した場合、当該精算機8に適正信号を送信する。こうして、精算機8は、正常に管理装置6と通信可能な場合に(オンライン状態の場合に)、その管理装置6から適正信号を受信したことを条件に(使用条件が成立したことを条件に)、精算処理を実行して、その精算結果を表す精算画面S125に遷移する。
【0093】
ここで、精算機8と管理装置6との間の通信については、その通信経路の断線やノイズの影響、装置6側における電源遮断による通信不能状態等、精算機8と管理装置6との間での何らかの原因により正常に通信できない状況(オフライン状態)が生じうる。それ故、オフライン状態において、精算機8は、上記した管理装置6との通信を行うことなく、会員カード10の特別記録領域に記録している会員暗証番号と、会員暗証番号入力画面S124で入力された会員暗証番号との比較により、両者が一致したことを条件に(使用条件が成立したことを条件に)、精算処理を実行して精算画面S125に遷移する。
【0094】
精算画面S125には、会員カード10に対応付けられていた入金「残高」が精算金額として表示され、その精算処理を実行した後の入金残高0円に上書き更新された会員カード10を、遊技者が挿入口35から引き抜けるようにして発行する。これにより、遊技者が挿入口35から会員カード10を引き抜くと、精算機8は、返却口36から入金残高を払い出し、「精算金のお取り忘れにご注意下さい」とのメッセージを表示する最終画面S126に遷移する(精算処理を終了する)。
【0095】
これに対し、精算機8は、発行条件としての暗証番号又は携帯IDが設定された会員カード10が挿入口35に挿入されると、ロック設定状態と判定して、
図12上段の待機画面S121を表示する。また、このとき、精算機8は、当該カード10の会員暗証番号を管理装置6から取得する(オンライン状態で受信しておく)。
【0096】
待機画面S121では、「精算を行うには携帯をタッチか暗証番号を入力して下さい」とのメッセージを、テンキー124a及び取消ボタン124bと共に表示する。尚、会員カード10に携帯IDが設定されていることにより、ロック設定状態と判定される場合、「精算を行うには携帯をタッチして下さい」とのメッセージを表す右側の画面S122を表示してもよい。
【0097】
精算機8において、待機画面S121でのテンキー124aのタッチ操作により暗証番号が入力されると、その入力された暗証番号と、会員カード10に設定されている暗証番号とを比較すると共に、これに合わせて確認画面S123を表示する。このとき、精算機8は、両暗証番号が一致した(発行条件が成立した)と判定した場合、更に、その暗証番号と管理装置6から取得した会員暗証番号とが同一であるか否かを判定する。
【0098】
暗証番号と会員暗証番号は、それぞれ4桁で且つ同一の会員遊技者により設定されるため、それぞれの4桁の数字が相互に同じであることも想定される。それ故、精算機8において、発行条件としての暗証番号と使用条件としての会員暗証番号とが同一であると判定した場合、先の発行条件が一度成立していれば、発行条件に加えて使用条件が成立したものとみなして精算処理を実行する。この場合、精算機8は、会員暗証番号入力画面を表示するステップS124を省略して、精算画面S125に遷移し、その精算処理の実行に伴い更新された会員カード10を挿入口35から発行する(最終画面S126に遷移する)。換言すれば、精算機8は、会員カード10に暗証番号に係る発行条件が設定されていれば、使用条件が成立することなく発行条件が成立した場合に、精算処理を実行して、会員カード10を発行するものといえる。
【0099】
尚、上記の例とは異なり、会員暗証番号入力画面を表示するステップS124を、暗証番号を入力する待機画面を表示するステップS121よりも先に実行してもよい。この場合でも、精算機8において、当該先の会員暗証番号入力画面S124で入力された会員暗証番号について、前記使用条件が成立し、且つ管理装置6から取得した会員暗証番号と同一であると判定した場合、先の使用条件に加えて発行条件が成立したものとみなして(待機画面S121を表示することなく)精算処理を実行して精算画面S125に遷移する。
【0100】
上記した待機画面S121又はS122において、携帯端末30をリーダ30b(
図1参照)に翳した場合、或いは前記待機画面S121で入力した暗証番号と会員暗証番号とが一致しない場合、確認画面S123と会員暗証番号入力画面S124とが順次表示される。このとき、精算機8は、会員暗証番号入力画面S124で入力した会員暗証番号と、管理装置6から取得した会員暗証番号とが一致することを条件に、精算処理を実行して精算画面S125に遷移する。
【0101】
また、精算機8は、オフライン状態において、上記したロック設定状態の会員カード10を精算する際、管理装置6から会員暗証番号を取得できないため、待機画面S121のテンキー124aのタッチ操作により入力された暗証番号(又は携帯端末30を翳すことにより入力された携帯ID)と会員カード10に記録している暗証番号(又は携帯ID)との比較により、両者が一致したことを条件に(発行条件が成立したことを条件に)、精算処理を実行して精算画面S125に遷移する。従って、この場合、会員暗証番号入力画面を表示するステップS124が省略され、暗証番号(又は携帯ID)に係る認証操作のみを行うことで足りる。
【0102】
尚、待機画面S121,S122や会員暗証番号入力画面S124には、取消ボタン124bが設けられており、取消ボタン124bのタッチ操作により、該当画面S121,S122,S124での入力操作を取消して(途中で止めて)、会員カード10を挿入口35から排出させることができる。
【0103】
以上説明した本実施形態によれば、「カード9,19の合算」に関して次の効果を奏する。
貸出機2において、複数のカードを合算した際に、一方のカードに暗証番号又は携帯IDが発行条件として設定されていれば、合算後も発行条件の設定が有効になるため、合算した際に発行条件の設定が解除されてしまいカードの盗難リスクが高くなることを抑制できる。つまり、本構成であれば、盗難を抑制する効果を担保しつつ、複数のカードを合算可能であり、かつ遊技者がカードの発行条件を設定可能にすることができる。
【0104】
貸出機2において、会員カード10と一般カード9とを合算する際に、一般カード9に発行条件を設定していれば会員カード10に引き継ぐことができるため、会員カード10の受け付けを忘れていた会員遊技者や、多くの遊技価値を得るまでは一般カード9で遊技を行い、遊技価値を得てから会員カード10に合算して遊技を行いたいと考えている遊技者にも対応することが可能になる。
【0105】
貸出機2において、一の一般カード9と他の一般カード9とを合算する際に、その何れかの一般カード9に発行条件を設定していれば発行条件を引き継ぐことができるため、合算した際に発行条件の設定が解除されてしまうことを抑制できる。
【0106】
両方のカードに発行条件が設定されている場合、合算先となるカードの発行条件が有効になるため、遊技者にしてみれば使用し続けているカードの設定を維持していることになり、違和感なく合算先のカードを使用することが可能になる。
【0107】
また、本実施形態によれば、「精算機8での精算」に関して次の効果を奏する。
貸出機2で会員カード10に暗証番号又は携帯IDを発行条件として設定する遊技者であれば、セキュリティに対して過敏な遊技者であることが考えられる。この点、貸出機2で発行条件を設定すると、精算機8では使用条件だけでなく発行条件が成立した場合に精算処理が可能になるので、貸出機2で発行条件を設定するだけで精算処理の実行に対してもセキュリティを高めた設定にすることが可能になり、遊技者の設定作業が煩雑化することを抑制できる。これにより、会員カード10の発行条件を複数設定可能な状況において、遊技者の作業を煩雑化することなくセキュリティを高めることができる。
【0108】
上記したように発行条件としての暗証番号と使用条件としての会員暗証番号とが同一である場合、単に貸出機2での発行条件を高めたいだけの遊技者であることが考えられる。この点、本構成において、暗証番号と会員暗証番号とが同一であれば、精算機8において係る発行条件と使用条件とを別個にそれぞれ成立させる必要がなくなる。つまり、発行条件と使用条件とを異ならせるか否かによって、遊技者のセキュリティへの過敏度合を判断し、精算機8でも適切な処理を実行し易くすることが可能になる。
【0109】
管理装置6と正常に通信できない状況においては会員カード10の特別記録領域に過去込まれている条件成立に応じて精算処理を実行するので、最低限のセキュリティを担保できる。また、会員カード10に使用条件及び発行条件の一方のみを書込むだけでよくなるため、会員カード10の記録領域が必要以上に大きくなることを抑制できる。
【0110】
貸出機2での発行条件の設定に応じて、精算機8での精算処理の実行条件を変化させることができる。これにより、精算処理の実行条件を多様化させることが可能になり、記録媒体が盗難に会った際に不正に使用される危険度を低減することが可能になる。
【0111】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張したり、各変形例を上記した実施形態と組み合せたり、各変形例を組み合わせたりしてもよい。
【0112】
遊技機は、例示した遊技機1に限らず、例えば、玉が封入されており、遊技者が所有する得点を消費して玉を発射する封入式パチンコ遊技機や、メダルを使用することなくクレジットのみを使用して遊技が進行する完全クレジット式スロットマシンに対応することも可能である。これらの構成の場合、得点やクレジットが遊技価値に対応する。つまり、遊技価値を任意に変更してもよい。
【0113】
発行条件として、暗証番号や携帯IDに基づく認証例を示したが、暗証番号及び携帯IDの少なくとも一方に加え又は替えて、遊技者の指紋による生体認証や顔画像に基づく画像認証を発行条件として取込む等、どのような発行条件を設定してもよい。
【0114】
また、使用条件として会員暗証番号に基づく認証例を示したが、係る使用条件についても追加又は変更してもよく、携帯IDに基づく認証や、指紋による生体認証、顔画像に基づく画像認証を使用条件として取込む等、どのような使用条件を設定してもよい。尚、顔画像に基づく画像認証については、各貸出機2に周知のCMOSセンサ等の撮像素子を含むカメラを配設し、各貸出機2において、会員カード10挿入の際に遊技者の顔画像を自動的に取込む構成にすれば、使用条件を成立させるための、遊技者の操作負担の増加を抑制できる。
【0115】
遊技者の発行操作を、遊技機1の返却ボタン13bの操作(つまり貸出機2とは別の装置1に対する操作)により行うものとしたが、貸出機2の液晶表示部22に発行ボタンを設けて、その貸出機2に対する発行ボタンのタッチ操作により発行操作を行うようにしてもよい。
【0116】
記録媒体として例示したカード9,10はICカードであるが、コイン型の記録媒体やスティック型の記録媒体を採用することも可能である。
ICカードへ記録する内容を変更してもよく、一般IDや会員IDをICカードに記録し、ロック設定に係る暗証番号や会員暗証番号を管理装置6で記録し、貸出機2或いは精算機8において、入力された暗証番号の当否を管理装置6と通信を行うことで判定する構成にしてもよい。また、暗証番号や会員暗証番号をICカードに記録する構成にしてもよい。つまり、ICカードには、発行条件及び使用条件の少なくとも一方を直接的に特定する情報を記録させるようにしてもよいし、発行条件や使用条件を特定可能な情報(カードID)を記録させるようにしてもよく、後者のカードIDは、これを用いて管理装置6で発行条件や使用条件を照合させるための情報であって、発行条件や使用条件を間接的に特定する情報ということができる。
【0117】
同様に、入金残高や持玉数の情報もICカードに記録するのではなく、カードIDに対応付けて管理装置6側でのみ管理し、貸出機2における、管理装置6との通信によってカードIDに対応付けられた入金残高や持玉数を特定する構成にしてもよい。
【0118】
2枚のICカードを1枚に合算する構成を例示したが、3枚以上のICカードを1枚に合算可能に構成してもよい。例えば、合算元のICカードを2枚以上読み込み、合算先のICカードに合算元のICカードのデータをそれぞれ加算する構成が考えられる。
【0119】
ICカードを合算した際、両方のICカードがロック設定状態であれば(上記パターン(4))、合算先のICカードのロック設定状態を有効にする(合算先の暗証番号又は携帯IDを維持する)構成にしたが、合算元のICカードのロック設定状態を合算先のICカードにて有効化する(合算元の暗証番号又は携帯IDを合算先に引き継ぐ)構成にしてもよい。
【0120】
また、ICカードを合算した場合、一方のICカードのみがロック設定状態であれば(パターン(2)(3))、そのロック設定状態を合算先のICカードにて有効にする構成にしたが、係る構成に限定されるものではなく、上記の各パターン(1)~(4)を想定し、合算元のICカードのロック設定状態の有無に応じて、その合算元の設定状態を合算先に引き継ぎ、或いは合算先のICカードのロック設定状態の有無に応じて、その合算先の設定状態を維持する構成とする等、適宜変更してもよい。
【0121】
上記パターン(4)のように、両方のICカードがロック設定状態の場合、無条件に合算可能な構成を例示したが、それぞれの暗証番号が同じで又は携帯IDが同じであることを条件に、合算を許容する構成にしてもよい。これは、同一の遊技者であれば、ロック設定状態を複数のカードで同じ設定にしている確率が高いため、発行条件が違っていれば盗難したICカードを合算しようとしている確率が高くなることに着眼し、不正な合算が行われることを抑制するための工夫である。
【0122】
一般カード9と会員カード10とを合算する場合、一般カード9を合算元にする構成にしたが、一般カード9を合算先にすることも可能である。この場合、会員カード10に対応付けられた入金残高や持玉の情報を一般カード9に移行することが可能になる。この場合、一般カード9への移行後に、会員カードを挿入口25から返却することになる。
【0123】
また、一般カード9と会員カード10との合算、及び一般カード9と一般カード9との合算をそれぞれ許容する構成にしたが一方を許容しない構成にすることも可能である。
第2遊技用装置として精算機8を例示したが、例えばカード9,10に対応付けられている遊技価値(計数結果)の値を対価として消費することで景品交換を行うPOS7(景品交換装置)を、第2遊技用装置として構成してもよい。この場合、POS7は、カード9,10用のRW7a(
図1参照)を備えており、特別処理実行手段としてカード9,10から特定可能な遊技価値の大きさを景品交換により消費する特別処理を実行する。
【0124】
精算機8で精算処理を実行する際、その精算に係る会員カード10について、ロック設定に係る暗証番号と会員暗証番号とが共通であれば、当該暗証番号の入力により精算処理を実行する構成にしたが、両番号が共通であっても、当該暗証番号を2回入力しないと使用条件に加えて発行条件が成立したと判定しない(精算処理を実行しない)構成にしてもよい。
【0125】
精算機8において、管理装置6とオフライン状態にある場合、ロック設定状態にあるか否かに関わらず、会員カード10内に記録している会員暗証番号又は暗証番号若しくは携帯IDについて、その使用条件又は使用条件が成立したことを条件に、精算処理を実行する構成にしたが、係る構成に限定されるものではない。例えば、精算機8において、管理装置6とオフライン状態にある場合に精算処理を実行しない構成や、ロック設定状態にある場合にのみ会員暗証番号を入力することで精算処理を実行する構成としてもよい。
【0126】
精算機8において、ロック設定状態でなければ会員暗証番号の入力に基づいて精算処理を実行する一方、ロック設定状態であれば、暗証番号及び会員暗証番号の入力に基づいて精算処理を実行する構成にしたが、かかる構成に限定されるものではない。例えば、ロック設定状態でなければ会員暗証番号の入力に基づいて精算処理を実行する一方、ロック設定状態で会員暗証番号を入力することのなくロック設定に基づく暗証番号の入力に基づいて精算処理を実行する構成にしてもよい。つまり、記録媒体に対して発行条件を設定していなければ、使用条件が成立した場合に特別処理を実行する一方、発行条件を設定していれば、使用条件が成立することなく当該発行条件が成立した場合に特別処理を実行する構成にしてもよい。
【0127】
貸出機2において、会員暗証番号を入力するまで貯玉の使用を禁止する構成にしたが、これに限らず例えば会員暗証番号を入力するまで入金残高の使用を禁止する等して、当該貸出機2の機能の一部又は全部を制限すれば会員カード10の使用を制限することにあたる。
【0128】
上記した各数値は例示であり、どのような数値を採用してもよいことは勿論である。また、上記した記載中における「記録」及び「登録」について、例えば会員カード10の特別記録領域への「記録」を「記憶」(或いは登録)と称する等、それらの意味を同じくするものとして把握することができる。
【0129】
尚、以上に例示した実施形態からは以下の特徴を抽出することも可能である。
遊技機に隣接して設けられた第1遊技用装置と、遊技機と離間して設けられた第2遊技用装置とを設置した遊技場に対応した遊技場用システムにおいて、
前記第1遊技用装置は、遊技者が携帯可能であり、当該遊技者が所有する遊技価値の大きさを特定可能な情報を記録した記録媒体を受け付ける第1受付手段と、前記第1受付手段が前記記録媒体を受け付けた場合、予め定められた使用条件が成立したときに当該記録媒体が記録する遊技価値の大きさを遊技機での遊技への使用を許可する許可手段と、遊技者の設定操作に応じて、前記記録媒体に対して発行条件を設定する発行条件設定手段と、遊技者の発行操作に応じて前記第1受付手段が受け付けている前記記録媒体を発行するものであり、前記発行条件が設定されている場合には当該発行条件が成立したことを条件に前記記録媒体を発行する第1発行手段と、を備え、
前記第2遊技用装置は、前記記録媒体を受け付ける第2受付手段と、前記第2受付手段が前記記録媒体を受け付けた場合に、当該記録媒体に対して前記発行条件設定手段が前記発行条件を設定していなければ、前記使用条件が成立したことを条件に、当該記録媒体から特定可能な遊技価値の大きさの消費又は精算である特別処理を実行する一方、前記発行条件設定手段が前記発行条件を設定していれば、前記使用条件に加えて当該発行条件が成立したことを条件に、前記特別処理を実行する特別処理実行手段と、前記特別処理実行手段が前記特別処理を実行した後に前記記録媒体を遊技者に発行する第2発行手段と、を備えたことを特徴とする。
【0130】
前記第2受付手段が受け付けた前記記録媒体に対して、前記発行条件設定手段が前記発行条件を設定している場合に、当該発行条件と前記使用条件とが同一であるか否かを判定する同一判定手段を備え、前記特別処理実行手段は、前記同一判定手段が前記発行条件と前記使用条件とが同一であると判定した場合、前記発行条件又は前記使用条件が一度成立すれば、前記使用条件に加えて前記発行条件が成立したものとして前記特別処理を実行することを特徴とする。
【0131】
前記記録媒体には、前記使用条件を記録する特別記録領域が設けられており、前記第2遊技装置とは個別に設けられ、前記記録媒体を識別するための識別情報に対応付けて前記記録媒体の使用条件を管理する管理装置を備え、前記第1遊技用装置は、前記発行条件設定手段が前記記録媒体に対して前記発行条件を設定した場合に、当該記録媒体の前記特別記録領域に記録している情報を前記使用条件から前記発行条件に書き換える第1書換手段と、遊技者の解除操作に応じて、前記発行条件設定手段が設定した前記発行条件を解除する解除手段と、前記解除操作に応じて、前記管理装置が管理する前記記録媒体の前記使用条件を特定する使用条件特定手段と、前記使用条件特定手段の特定結果に応じて、前記記録媒体の前記特別記録領域に記録している情報を前記発行条件から前記使用条件に書き換える第2書換手段と、を備え、前記特別処理実行手段は、前記第2遊技用装置が正常に前記管理装置と通信可能な場合に前記特別処理を実行するものであり、前記第2遊技用装置は、前記管理装置と正常に通信できない状況において、前記記録媒体の前記特別記録領域に記録している前記発行条件又は前記使用条件が成立したことを条件に、前記特別処理を実行する異常時処理実行手段を備えたことを特徴とする。
【0132】
遊技機に隣接して設けられた第1遊技用装置と、遊技機と離間して設けられた第2遊技用装置とを設置した遊技場に対応した遊技場用システムにおいて、
前記第1遊技用装置は、遊技者が携帯可能であり、当該遊技者が所有する遊技価値の大きさを特定可能な情報を記録した記録媒体を受け付ける第1受付手段と、前記第1受付手段が前記記録媒体を受け付けた場合、予め定められた使用条件が成立した場合に当該記録媒体が記録する遊技価値の大きさを遊技機での遊技への使用を許可する許可手段と、遊技者の設定操作に応じて、前記記録媒体に対して発行条件を設定する発行条件設定手段と、遊技者の発行操作に応じて前記第1受付手段が受け付けている前記記録媒体を発行するものであり、前記発行条件が設定されている場合には当該発行条件が成立したことを条件に前記記録媒体を発行する第1発行手段と、を備え、
前記第2遊技用装置は、前記記録媒体を受け付ける第2受付手段と、前記第2受付手段が前記記録媒体を受け付けた場合に、当該記録媒体に対して前記発行条件設定手段が前記発行条件を設定していなければ、前記使用条件が成立した場合に、当該記録媒体から特定可能な遊技価値の大きさの消費又は精算である特別処理を実行する一方、前記発行条件設定手段が前記発行条件を設定していれば、前記使用条件が成立することなく当該発行条件が成立した場合に、前記特別処理を実行する特別処理実行手段と、前記特別処理実行手段が前記特別処理を実行した後に、前記記録媒体を遊技者に発行する第2発行手段と、を備えたことを特徴とする。
【0133】
前記記録媒体は、会員として登録された遊技者が所持し、会員登録の際に前記使用条件を設定した会員記録媒体であることを特徴とする。
【符号の説明】
【0134】
図面中、1は遊技機、2は貸出機(遊技用装置(第1遊技用装置))、2Aは制御部(受付手段(第1受付手段)、発行条件設定手段、記録媒体処理手段、有効化手段、許可手段、発行手段(第1発行手段)、第1書換手段、解除手段、使用条件特定手段、第2書換手段)、6は管理装置、8は精算機(第2遊技用装置)、8Aは制御部(第2受付手段、特別処理実行手段、第2発行手段、同一判定手段、異常時処理実行手段)である。