(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】ポリオレフィン系樹脂発泡シート、及び粘着テープ
(51)【国際特許分類】
C08J 9/04 20060101AFI20220607BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220607BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20220607BHJP
C09J 7/26 20180101ALI20220607BHJP
【FI】
C08J9/04 101
C08J9/04 CES
B32B27/00 M
B32B27/32 Z
C09J7/26
(21)【出願番号】P 2018070318
(22)【出願日】2018-03-30
【審査請求日】2021-01-05
(31)【優先権主張番号】P 2017192248
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健人
(72)【発明者】
【氏名】矢野 秀明
(72)【発明者】
【氏名】濱田 哲史
【審査官】千葉 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-088083(JP,A)
【文献】国際公開第2009/041116(WO,A1)
【文献】特開2013-213104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J9/00-9/42
B29C44/00-44/60;67/20-67/20
C09J7/00-7/50
B32B1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン樹脂を含む発泡性組成物を発泡させてなるポリオレフィン系樹脂発泡シートであって、JIS Z0208-1976に準拠し、40℃で測定した透湿度が20g/m
2・24h以下であり、厚さが0.05~1.5mmであ
り、架橋度が20~60質量%であり、発泡倍率が2.8~10cm
3
/gである、ポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項2】
前記ポリオレフィン樹脂がポリエチレン樹脂及びシクロオレフィン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項
1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項3】
前記ポリオレフィン樹脂が、ポリエチレン樹脂及びシクロオレフィン樹脂を含有する、請求項1
又は2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項4】
ポリエチレン樹脂及びシクロオレフィン樹脂の合計に対するシクロオレフィン樹脂の割合が20~90質量%である、請求項
3に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項5】
前記透湿度が5g/m
2・24h以下である、請求項1~
4のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項6】
前記発泡シートが電子機器内部のシール材である、請求項1~
5のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート
【請求項7】
前記電子機器が有機ELディスプレイである、請求項
6に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シートと、前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくともいずれか一方の面に設けた粘着剤層とを備える粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂発泡シート、及びポリオレフィン系樹脂発泡シートを有する粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、カメラ、ゲーム機器、電子手帳、及びパーソナルコンピュータ等の電子機器では、発泡シートからなるシール材、衝撃吸収材、及び発泡シートを基材とした粘着テープ等が使用されている。例えば、上記した電子機器で使用される表示装置は、一般的に、液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(以下、“有機ELディスプレイ”という)等の表示パネルの上に保護パネルを設置した構造を有する。そのような構造を有する表示装置では、その保護パネルと表示パネル外側の額縁部分とを貼り合わせるために、発泡シートを基材とした粘着テープが使用される。
従来、電子機器内部に使用される発泡シートとしては、熱分解型発泡剤を含む発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを発泡、かつ架橋させて得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、昨今、電子機器は小型化が進む一方で各種部品の高機能化も進み、電子機器内部のスペースの制約が大きくなってきている。例えば、表示パネル外側の額縁部分は、電子機器の小型化と、表示装置の大型化によりスペースが狭くなってきている。したがって、これらの電子機器に用いられる発泡シートは、比較的厚いもののみならず、薄くした場合でも、高い柔軟性、耐久性を有するものが求められるようになっている。また、前述の電子機器、特に有機ELディスプレイ等の表示パネルは湿気により不具合を起こしやすいため、前記額縁部分に配置する発泡シートは、湿気等の水分を通しにくい性質、すなわち透湿度が低いことも求められている。
【0005】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、シートを薄くした場合であっても高い柔軟性を有し、かつ透湿度が低い発泡シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、次の[1]~[10]を提供するものである。
[1]ポリオレフィン樹脂を含む発泡性組成物を発泡させてなるポリオレフィン系樹脂発泡シートであって、JIS Z0208-1976に準拠し、40℃で測定した透湿度が20g/m2・24h以下であり、厚さが0.05~1.5mmであるポリオレフィン系樹脂発泡シート。
[2]前記発泡シートの発泡倍率が1.5~10cm3/gである、上記[1]に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
[3]前記発泡シートの架橋度が20~60質量%である、上記[1]又は[2]に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【0007】
[4]前記ポリオレフィン樹脂がポリエチレン樹脂及びシクロオレフィン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
[5]前記ポリオレフィン樹脂が、ポリエチレン樹脂及びシクロオレフィン樹脂を含有する、上記[1]~[4]のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
[6]ポリエチレン樹脂及びシクロオレフィン樹脂の合計に対するシクロオレフィン樹脂の割合が20~90質量%である、上記[5]に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
[7]前記透湿度が5g/m2・24h以下である、上記[1]~[6]のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
[8]前記発泡シートが電子機器内部のシール材である、上記[1]~[7]のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
[9]前記電子機器が有機ELディスプレイである、上記[8]に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
[10]上記[1]~[9]のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シートと、前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくともいずれか一方の面に設けた粘着剤層とを備える粘着テープ。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シートを薄くした場合であっても高い柔軟性を有し、かつ透湿度が低い発泡シートを提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について実施形態を用いて詳細に説明する。
[ポリオレフィン系樹脂発泡シート]
本発明に係るポリオレフィン系樹脂発泡シート(以下、単に“発泡シート”ともいう)は、ポリオレフィン樹脂を含む発泡性組成物を発泡させてなるポリオレフィン系樹脂発泡シートであって、JIS Z0208-1976に準拠し、40℃で測定した透湿度が20g/m2・24h以下であり、厚さが0.05~1.5mmであるものである。
なお、本発明における透湿度は、温度40℃において発泡シートを境界面とし、一方の空気を相対湿度90%、他の側の空気を吸湿剤によって乾燥状態に保ち、24時間にこの境界面を通過する水蒸気の質量(g)を、発泡シート1m2当たりに換算した値をいう。
【0010】
発泡シートの透湿度が20g/m2・24hを超えると、少量の湿気でも不具合を起こしやすい有機ELディスプレイ等の電子機器の内部で使用することが困難になる。よって、本発明の発泡シートの透湿度は、有機ELディスプレイ等の電子機器の内部でも好適に使用する観点から、19g/m2・24h以下が好ましく、15g/m2・24h以下がより好ましく、12g/m2・24h以下が更に好ましく、5g/m2・24h以下が更に好ましい。なお、発泡シートの透湿度は低ければ低いほうがよいが、通常は、0.1g/m2・24h以上である。
前記透湿度を満たす発泡シートは、後述するポリオレフィン樹脂の種類、発泡シートの架橋度、及び密度等を調整することにより得ることができる。一般的に、発泡シートに十分な柔軟性を付与するために密度を低くすると湿気等の水分を透過しやすくなるが、本発明においては、後述するポリオレフィン樹脂を用い、かつ架橋度、密度を調整することにより、柔軟性を維持したまま透湿度が低い発泡シートを得ることが可能になる。
【0011】
<ポリオレフィン樹脂>
発泡シートに使用されるポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シクロオレフィン樹脂、及びエチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらの中では、発泡シートの透湿度を低くする観点からシクロオレフィン樹脂が好ましく、発泡シートの製造の容易さの観点からはポリエチレン樹脂が好ましい。
【0012】
〔ポリエチレン樹脂〕
ポリエチレン樹脂としては、チーグラー・ナッタ化合物、メタロセン化合物、酸化クロム化合物等の重合触媒で重合されたポリエチレン樹脂が挙げられ、好ましくは、メタロセン化合物の重合触媒で重合されたポリエチレン樹脂が用いられる。
【0013】
また、ポリエチレン樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンを用いることにより、得られる発泡シートに高い柔軟性が得られるとともに、発泡シートの薄肉化が可能になる。この直鎖状低密度ポリエチレンは、メタロセン化合物等の重合触媒を用いて得たものがより好ましい。また、直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレン(例えば、全モノマー量に対して75質量%以上、好ましくは90質量%以上)と必要に応じて少量のα-オレフィンとを共重合することにより得られる直鎖状低密度ポリエチレンがより好ましい。
なお、共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、ランダムブロック共重合体のいずれであってもよいが、ランダム共重合体であることが好ましい。
【0014】
α-オレフィンとして、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、及び1-オクテン等が挙げられる。なかでも、炭素数4~10のα-オレフィンが好ましい。
【0015】
ポリエチレン樹脂、例えば上記した直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、0.870~0.930g/cm3が好ましく、0.875~0.925g/cm3がより好ましく、0.880~0.921g/cm3が更に好ましく、0.850~0.910g/cm3が更に好ましい。ポリエチレン樹脂としては、複数のポリエチレン樹脂を用いることもでき、また、上記した密度範囲以外のポリエチレン樹脂を加えてもよい。
本発明では、メタロセン化合物の重合触媒で重合されたポリエチレン樹脂、特に直鎖状低密度ポリエチレンを後述する架橋度で架橋した場合に、透湿度を上記した範囲に調整しやすくなる。
【0016】
(メタロセン化合物)
メタロセン化合物としては、遷移金属をπ電子系の不飽和化合物で挟んだ構造を有するビス(シクロペンタジエニル)金属錯体等の化合物を挙げることができる。より具体的には、チタン、ジルコニウム、ニッケル、パラジウム、ハフニウム、及び白金等の四価の遷移金属に、1又は2以上のシクロペンタジエニル環又はその類縁体がリガンド(配位子)として存在する化合物を挙げることができる。
メタロセン化合物は、活性点の性質が均一であり各活性点が同じ活性度を備えている。メタロセン化合物を用いて合成した重合体は、分子量、分子量分布、組成、組成分布等の均一性が高いため、メタロセン化合物を用いて合成した重合体を含むシートを架橋した場合には、架橋が均一に進行する。均一に架橋されたシートは、均一に発泡されるため、気泡径の大きさも均一にしやすくなる。また、均一に延伸できるため、発泡シートの厚さを均一にできる。
【0017】
リガンドとしては、例えば、シクロペンタジエニル環、インデニル環等を挙げることができる。これらの環式化合物は、炭化水素基、置換炭化水素基又は炭化水素-置換メタロイド基により置換されていてもよい。炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種アミル基、各種ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種セチル基、フェニル基等が挙げられる。なお、「各種」とは、n-、sec-、tert-、iso-を含む各種異性体を意味する。
また、環式化合物をオリゴマーとして重合したものをリガンドとして用いてもよい。
更に、π電子系の不飽和化合物以外にも、塩素や臭素等の一価のアニオンリガンド又は二価のアニオンキレートリガンド、炭化水素、アルコキシド、アリールアミド、アリールオキシド、アミド、アリールアミド、ホスフィド、アリールホスフィド等を用いてもよい。
【0018】
四価の遷移金属やリガンドを含むメタロセン化合物としては、例えば、シクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、メチルシクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル-t-ブチルアミドジルコニウムジクロリド等が挙げられる。
メタロセン化合物は、特定の共触媒(助触媒)と組み合わせることにより、各種オレフィンの重合の際に触媒としての作用を発揮する。具体的な共触媒としては、メチルアルミノキサン(MAO)、ホウ素系化合物等が挙げられる。なお、メタロセン化合物に対する共触媒の使用割合は、10~100万モル倍が好ましく、50~5,000モル倍がより好ましい。
【0019】
〔ポリプロピレン樹脂〕
ポリプロピレン樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体が挙げられる。プロピレン(例えば、全モノマー量に対して75質量%以上、好ましくは90質量%以上)と他のオレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、ランダムブロック共重合体のいずれであってもよいが、ランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)であることが好ましい。
【0020】
プロピレンと共重合される他のオレフィンとしては、例えば、エチレンや、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、及び1-オクテン等のα-オレフィンが挙げられる。これらの中でも、これらの中では、炭素数6~12のα-オレフィンが好ましい。
これらのポリプロピレン樹脂は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
〔シクロオレフィン樹脂〕
本発明においては、シクロオレフィン樹脂を用いてもよい。
本発明において用いるシクロオレフィン樹脂としては、シクロオレフィンをモノマーとして重合した樹脂であれば特に制限はない。
モノマーとしては、多環式の環状オレフィン、単環式の環状オレフィンが挙げられ、多環式の環状オレフィンとしては、例えば、ノルボルネン(ビシクロ[2,2,1]ヘプタ-2-エン)や、その置換体等のノルボルネン系モノマーを挙げることができる。ノルボルネンの置換体としては、例えば、ノルボルネンの二重結合位置を1,2-位として、メチル基、エチル基、ブチル基、フェニル基等の置換基で置換された3-置換体、4-置換体、及び4,5-ジ置換体、並びに5-エチリデン-2-ノルボルネン等を挙げることができる。
【0022】
他の多環式の環状オレフィンとしては、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、メチルテトラシクロドデセン、ジメチルシクロテトラドデセン、トリシクロペンタジエン、テトラシクロペンタジエン、及びオクタヒドロナフタレン等が挙げられる。
単環式の環状オレフィンとしては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、及びシクロドデカトリエン等が挙げられる。
【0023】
シクロオレフィン樹脂は、例えば、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、4-メチルノルボルネン、4-フェニルノルボルネン等の開環により5員環となるモノマーを、グラブス触媒等の存在下、開環メタセシス重合により製造することができる。
また、ノルボルネン環中に存在する二重結合に対して、例えば、メタロセン触媒を利用して付加重合させることにより、構成単位にノルボルナン環を有するシクロオレフィン樹脂を合成することもできる。
本発明においては、特に開環メタセシス重合により製造した5員環を構成単位として有するシクロオレフィン樹脂を用いると、透湿度がより低い発泡シートを得ることができる。
【0024】
シクロオレフィン樹脂のより具体的な例としては、例えば、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマー(例えば、全モノマー量に対して75質量%以上、好ましくは90質量%以上)とその他モノマーとの開環共重合体等が挙げられる。また、別のシクロオレフィン樹脂の例としては、前記開環重合体にマレイン酸及び/又はシクロペンタジエン等を付加した変性重合体、前記重合体又は共重合体に水素添加した重合体又は共重合体等が挙げられる。
【0025】
前記共重合体とする場合におけるその他モノマーとしては、例えば、エチレンや、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、及び1-オクテン等のα-オレフィンが挙げられる。
シクロオレフィン樹脂が共重合体である場合、ブロック共重合体、ランダム共重合体、ランダムブロック共重合体のいずれであってもよいが、ランダム共重合体であることが好ましい。
これらのシクロオレフィン樹脂は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
シクロオレフィン樹脂としては、ノルボルネン系モノマーの開環メタセシス重合体に水素添加した重合体を用いることが好ましい。このような重合体を用いると、透湿度が特に低い発泡シートを得ることができる。ノルボルネン系モノマーの開環メタセシス重合体に水素添加した重合体としては、日本ゼオン株式会社製の「ZEONEX(ゼオネックス)」、「ZEONOR(ゼオネア)1060」、「ZEONOR(ゼオネア)1020」、JSR社製の「ARTON(アートン)」などが挙げられる。流動性が高く、かつ得られる発泡シートの反り、変形等を抑制しやすい観点、及び良成型性の観点から、日本ゼオン株式会社製の「ZEONOR(ゼオネア)1060」が好ましい。なお、上記良成型性とは、流れ性がよく、種々の範囲の厚さ(例えば、数μm程度の薄いものから、通常のシートのような厚いものまで)のものを押出し加工が可能であり、例えばキャストフィルム等も製膜可能であることを意味する。
【0027】
シクロオレフィン樹脂はメルトフローレート(MFR)が、10~80g/10分であることが好ましい。このようなMFRのシクロオレフィン樹脂を用いると発泡シートの透湿度が低下しやすい。シクロオレフィン樹脂のMFRは、20~80g/10分であることがより好ましく、30~70g/10分であることが更に好ましい。
なお、本発明におけるメルトフローレート(MFR)は、280℃、荷重21.18Nにおいて測定した値である。
【0028】
〔エチレン-酢酸ビニル共重合体〕
本発明においては、エチレン-酢酸ビニル共重合体を用いてもよい。エチレン-酢酸ビニル共重合体としては、例えば、エチレンを50質量%以上含有するエチレン-酢酸ビニル共重合体が挙げられる。
これらのエチレン-酢酸ビニル共重合体は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
〔樹脂の使用態様〕
発泡シートに含まれるポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン樹脂、及びシクロオレフィン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
ポリエチレン樹脂として前記直鎖状低密度ポリエチレンを使用する場合、直鎖状低密度ポリエチレンを単独で使用してもよいが、他のポリオレフィン樹脂と併用してもよく、例えば、シクロオレフィン樹脂と併用することが好ましい。
ポリオレフィン樹脂が、直鎖状低密度ポリエチレン及びシクロオレフィン樹脂を含有する場合、直鎖状低密度ポリエチレン及びシクロオレフィン樹脂の合計に対するシクロオレフィン樹脂の割合は、20~90質量%であることが好ましく、40~90質量%であることがより好ましく、60~85質量%であることがさらに好ましい。
【0030】
〔ポリオレフィン以外の樹脂〕
また、発泡性組成物に含有される樹脂としては、ポリオレフィン樹脂を単独で使用してもよいが、本発明の効果を損なわない限り、ポリオレフィン樹脂以外の樹脂を含んでもよい。発泡シートにおいて、ポリオレフィン樹脂の樹脂全量に対する割合は、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。
ポリオレフィン樹脂以外の樹脂としては、ポリ塩化ビニリデン樹脂(サラン樹脂)、スチレン系熱可塑性エラストマー、EPDM等のエチレンプロピレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらの中でもポリ塩化ビニリデン樹脂が好ましい。
【0031】
〔ポリ塩化ビニリデン樹脂(サラン樹脂)〕
ポリ塩化ビニリデン樹脂としては、塩化ビニルを主モノマーとする種々のポリマーであって、塩化ビニルの単独重合体、及び塩化ビニルとその他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
塩化ビニルとその他のモノマーとの共重合体としては、ウレタン-塩化ビニル共重合体、エチレン-塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体等の共重合体が挙げられる。
これらのポリ塩化ビニリデン樹脂は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
<架橋度>
発泡シートは架橋されたものであることが好ましく、その場合の架橋度は、20~60質量%であることが好ましい。架橋度をこのような範囲内とすると、湿気等の水分を通しにくい密な構造とすることができると共に、優れた柔軟性を確保することができる。そのような観点から、架橋度は、25~55質量%がより好ましく、28~50質量%が更に好ましく、30~45質量%がより更に好ましい。
【0033】
<発泡倍率>
発泡シートの発泡倍率は、1.5~10cm3/gが好ましい。本発明では、発泡倍率を前記範囲内とすることで、柔軟性を確保しながら透湿度を低くすることが可能になる。
また、発泡シートは、上記した範囲内でも発泡倍率を低くすることで、機械強度が高くなり耐久性をより向上させやすくなるとともに、発泡シートの気泡を微細化しやすくなり、後述する平均気泡径を小さくしやすくなる。そのような観点から発泡シートの発泡倍率は、より好ましくは1.6~8cm3/g、更に好ましくは1.7~6cm3/g、より更に好ましくは1.8~3cm3/gである。なお、本発明では、JIS K7222に従い発泡シートの密度を求め、その逆数を発泡倍率とする。
【0034】
<独立気泡率>
本発明に用いる発泡シートは、気泡が独立気泡であることが好ましい。気泡が独立気泡であるとは、全気泡に対する独立気泡の割合(独立気泡率という)が70%以上となることを意味する。独立気泡率は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。
独立気泡率は、ASTM D2856(1998)に準拠して求めることができる。市販の測定器では、乾式自動密度計アキュピック1330等が挙げられる。
【0035】
独立気泡率は、より具体的には下記の要領で測定される。発泡シートから一辺が5cmの平面正方形状で、かつ一定厚さの試験片を切り出す。試験片の厚さを測定し、試験片の見掛け体積V1を算出するとともに試験片の重量W1を測定する。次に、気泡の占める見掛け体積V2を下記式に基づいて算出する。なお、試験片を構成している樹脂の密度は、1g/cm3とする。
気泡の占める見掛け体積V2=V1-W1
続いて、試験片を23℃の蒸留水中に水面から100mmの深さに沈めて、試験片に15kPaの圧力を3分間に亘って加える。水中で圧力を解放後、試験片を水中から取り出して試験片の表面に付着した水分を除去し、試験片の重量W2を測定し、下記式に基づいて連続気泡率F1及び独立気泡率F2を算出する。
連続気泡率F1(%)=100×(W2-W1)/V2
独立気泡率F2(%)=100-F1
【0036】
<発泡シートの寸法>
発泡シートの厚さは0.05~1.5mmである。発泡シートの厚さが前記下限値未満であると水分が透過しやすくなり透湿度が高くなってしまうと共に、柔軟性が低下する。一方、発泡シートの厚さが前記上限値を超えると、小型の電子機器内部に利用することが困難になる。このような観点から、発泡シートの厚さは、0.08~1.0mmであることがより好ましく、0.10~0.50mmであることが更に好ましい。
【0037】
発泡シートは、特に限定されないが、細線状に加工したものでもよく、例えば発泡シートの幅を10mm以下にして使用してもよい。また、例えば5mm以下、更には1mm以下であってもよい。発泡シートの幅を狭くすると、小型化された電子機器内部において好適に使用することが可能である。また、本発明の発泡シートは、幅を狭くしても、耐久性が良好に維持される。発泡シートの幅の下限値は特に限定されないが、例えば0.1mm以上のものであってもよいし、0.2mm以上のものであってもよい。
なお、発泡シートの平面形状は、特に限定されないが、細長矩形状、枠状、L字状、コの字状等としてもよいし、これらの形状以外でも、通常の四角形、円形等の他のいかなる形状であってもよい。
【0038】
<機械的特性>
発泡シートの25%圧縮強度は、30~1000kPaが好ましく、40~900kPaがより好ましく、50~800kPaがより更に好ましく、50~600kPaがより更に好ましい。25%圧縮強度を1000kPa以下とすることで、発泡シートに衝撃吸収性、シール性を持たせ、緩衝吸収材及びシール材として好適に使用可能になる。また、圧縮強度を高くすることで機械強度を良好にしやすくなる。なお、25%圧縮強度は、発泡シートをJISK6767に準拠して測定したものをいう。
【0039】
<平均気泡径>
発泡シートの気泡は、MD及びTDの平均気泡径それぞれが好ましくは350μm以下、より好ましくは250μm以下、更に好ましくは150μm以下、ZDの平均気泡径が100μm以下、好ましくは80m以下、より好ましくは60μm以下の所謂「マイクロセル」である。本発明では、このように気泡径を小さくすることで、単位長さあたりの気泡壁の数が大きくなる。そのため、発泡シートは、例えば、幅を狭くしたような場合でも、その幅狭の間に気泡壁が多数存在することになり、湿気等の水分を通しにくくなるため透湿度が低下し、また、耐衝撃性等を高めやすくなる。なお、本発明では、架橋度、発泡倍率を上記した好適な範囲とすることで、マイクロセルを形成しやすくなる。
また、MD及びTDの平均気泡径それぞれは、製造容易性の観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、更に好ましくは20μm以上である。また、ZDの平均気泡径は、好ましくは5μm以上、より好ましくは10m以上、更に好ましくは15μm以上である。
また、気泡のZDの平均気泡径に対するMDの平均気泡径の比(以下、“MD/ZD”ともいう)が1~8であるとともに、ZDの平均気泡径に対するTDの平均気泡径の比(以下、“TD/ZD”ともいう)が1~8であることが好ましい。更には、MD/ZDが2~7、TD/ZDが2~7であることがより好ましい。
【0040】
平均気泡径は下記の要領で測定したものをいう。
発泡シートを50mm四方にカットしたものを測定用の発泡体サンプルとして用意した。これを液体窒素に1分間浸した後にカミソリ刃でMD方向、TD方向及びZD方向に沿ってそれぞれ厚さ方向に切断した。この断面をデジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製「VHX-900」)を用いて200倍の拡大写真を撮り、MD方向、TD方向及びZD方向のそれぞれにおける長さ2mm分の切断面に存在する全ての気泡について気泡径を測定し、その操作を5回繰り返した。そして、全ての気泡の平均値をMD方向、TD方向及びZD方向の平均気泡径とした。
なお、MD方向は、Machine directionを意味し、押出方向等と一致する方向であるとともに、TD方向は、Transverse directionを意味し、MD方向に直交する方向であり、シート状の発泡体(発泡シート)においてはシート面に平行な方向である。また、ZD方向は、発泡体の厚さ方向であり、MD方向及びTD方向のいずれにも垂直な方向である。
【0041】
<熱分解型発泡剤>
本発明の発泡シートは、上記樹脂に加えて、熱分解型発泡剤を含む発泡性組成物を発泡してなることが好ましい。
熱分解型発泡剤としては、有機発泡剤、無機発泡剤が使用可能である。有機系発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸金属塩(アゾジカルボン酸バリウム等)、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、ヒドラゾジカルボンアミド、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジン誘導体、トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物等が挙げられる。
なお、熱分解型発泡剤としては、メジアン径が25μm未満のものを使用することが好ましい。メジアン径が25μm未満のものを使用すると気泡径の分布を制御することができるため、発泡シート中の気泡壁の数を調整することが可能になり、その結果、透湿度を低く抑えることができる。そのような観点から、熱分解型発泡剤のメジアン径は、2~23μmが好ましく、5~20μmがより好ましい。
なお、熱分解型発泡剤の粒径は、レーザー回折法により測定した値であって、累積頻度50%に相当する粒径(D50)を意味する。
【0042】
無機系発泡剤としては、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、無水クエン酸モノソーダ等が挙げられる。
【0043】
これらの中では、微細な気泡を得る観点、及び経済性、安全面の観点から、アゾ化合物が好ましく、アゾジカルボンアミドが特に好ましい。これらの熱分解型発泡剤は、単独で又は2以上を組み合わせて使用することができる。
発泡性組成物における熱分解型発泡剤の配合量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは1~20質量部、より好ましくは1~16質量部、更に好ましくは1.5~14質量部である。
【0044】
また、発泡性組成物は、上記樹脂と熱分解型発泡剤に加えて、気泡核調整剤を含有することが好ましい。気泡核調整剤としては、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛等の亜鉛化合物、クエン酸、尿素の有機化合物等が挙げられるが、これらの中では、酸化亜鉛がより好ましい。上記した発泡剤に加えて気泡核調整剤を使用することで、気泡径をより小さくしやすくなる。気泡核調整剤の配合量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.4~8質量部、より好ましくは0.5~5質量部、更に好ましくは0.8~3質量部である。
発泡性組成物は、必要に応じて、上記以外にも、酸化防止剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、充填材等の発泡体に一般的に使用する添加剤を含有していてもよい。
【0045】
[発泡シートの製造方法]
発泡シートの製造方法は、特に制限はないが、例えば、ポリオレフィン樹脂及び熱分解型発泡剤を含み、かつ架橋された発泡性組成物を加熱し、熱分解型発泡剤を発泡させることで製造する。その製造方法は、より具体的には、以下の工程(1)~(4)を含む。
工程(1):ポリオレフィン樹脂、及び熱分解型発泡剤を含む添加剤を混合して、シート状の発泡性組成物(樹脂シート)に成形する工程
工程(2):シート状の発泡性組成物に電離性放射線を照射して発泡性組成物を架橋させる工程
工程(3):架橋させた発泡性組成物を加熱し、熱分解型発泡剤を発泡させて、微細気泡を形成する工程
工程(4):微細気泡を形成後に、MD方向又はTD方向のいずれか一方又は双方の方向に延伸して、微細気泡を延伸し、発泡シートを得る工程
【0046】
工程(1)において、樹脂シートを成形する方法は、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂及び添加剤を押出機に供給して溶融混練し、押出機から発泡性組成物をシート状に押出すことによって樹脂シートを成形すればよい。
工程(2)において発泡性組成物を架橋する方法としては、樹脂シートに電子線、α線、β線、γ線等の電離性放射線を照射する方法を用いる。上記電離放射線の照射量は、得られる発泡シートの架橋度が上記した所望の範囲となるように調整すればよいが、5~15Mradであることが好ましく、6~13Mradであることがより好ましい。
工程(3)において、発泡性組成物を加熱し熱分解型発泡剤を発泡させるときの加熱温度は、熱分解型発泡剤の発泡温度以上であればよいが、好ましくは200~300℃、より好ましくは220~280℃である。
【0047】
工程(4)における発泡シートの延伸は、樹脂シートを発泡させて発泡シートを得た後に行ってもよいし、樹脂シートを発泡させつつ行ってもよい。なお、樹脂シートを発泡させて発泡シートを得た後、発泡シートを延伸する場合には、発泡シートを冷却することなく発泡時の溶融状態を維持したまま続けて発泡シートを延伸してもよく、発泡シートを冷却した後、再度、発泡シートを加熱して溶融又は軟化状態とした上で発泡シートを延伸してもよい。
工程(4)において、発泡シートのMD方向及びTD方向の一方又は両方への延伸倍率は、1.1~5.0倍が好ましく、1.5~4.0倍がより好ましい。
延伸倍率を上記下限値以上とすると、発泡シートの柔軟性及び引張強度が良好になりやすくなる。一方、上限値以下とすると、発泡シートが延伸中に破断したり、発泡中の発泡シートから発泡ガスが抜けて発泡倍率が著しく低下したりすることが防止され、発泡シートの柔軟性や引張強度が良好になり、品質も均一なものとしやすくなる。
また、延伸時に発泡シートは、例えば100~280℃、好ましくは150~260℃に加熱すればよい。
【0048】
ただし、本製造方法は、上記に限定されずに、上記以外の方法により、発泡シートを得てもよい。例えば、電離性放射線を照射する代わりに、発泡性組成物に予め有機過酸化物を配合しておき、発泡性組成物を加熱して有機過酸化物を分解させる方法等により架橋を行ってもよい。また、工程(4)、すなわち発泡シートの延伸を省略してもよい。
【0049】
発泡シートの用途は、特に限定されないが、例えば電子機器内部のシール材として使用することが好ましい。本発明の発泡シートは、薄くしても高い耐久性、シール性を有するので、特に、発泡シートを配置するスペースが小さい各種の携帯機器内部で好適に使用できる。携帯機器としては、携帯電話、カメラ、ゲーム機器、電子手帳、パーソナルコンピュータ等が挙げられる。また、電子機器としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等も挙げられる。
中でも、携帯機器に設けられる液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置に使用されることが好ましく、有機ELディスプレイに使用されることがより好ましい。携帯機器に使用される表示装置において、例えば、表示パネル外側の額縁部分に設けられる発泡シートは、上述したように、薄くかつシート幅も狭くなるが、本発明では、そのような場合でも、透湿度が低いことから、良好なシール性を確保できる。
なお、発泡シートは、電子機器内部において、衝撃吸収材として使用してもよい。
【0050】
[粘着テープ]
また、本発明では、発泡シートを基材とする粘着テープに使用してもよい。粘着テープは、例えば、発泡シートと、発泡シートの少なくともいずれか一方の面に設けた粘着剤層とを備えるものであるが、両面に粘着剤層を設けた両面粘着テープが好ましい。
粘着テープを構成する粘着剤層の厚さは、5~200μmであることが好ましい。粘着剤層の厚さは、より好ましくは7~150μmであり、更に好ましくは10~100μmである。粘着剤層の厚さが5~200μmの範囲であると、粘着テープを用いて固定した構成体の厚さを薄くできる。
【0051】
粘着剤層に使用する粘着剤としては、特に制限はなく、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等を用いることができる。
また、粘着剤層の上には、更に離型紙等の剥離シートが貼り合わされてもよい。
発泡シートの少なくとも一面に粘着剤層を形成する方法は、特に限定されない。例えば、発泡シートの少なくとも一面にコーター等の塗工機を用いて粘着剤を塗布する方法、発泡シートの少なくとも一面にスプレーを用いて粘着剤を噴霧、塗布する方法、発泡シートの少なくとも一面に刷毛を用いて粘着剤を塗布する方法、剥離シート上に形成した粘着剤層を発泡シートの少なくとも一面に転写する方法等が挙げられる。
【実施例】
【0052】
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0053】
[測定方法]
各物性の測定方法及び評価方法は、次の通りである。
<見かけ密度及び発泡倍率>
発泡シートについてJIS K7222に準拠して見かけ密度を測定し、その逆数を発泡倍率とした。
【0054】
<架橋度>
発泡シートから約100mgの試験片を採取し、試験片の重量A(mg)を精秤する。次に、この試験片を120℃のキシレン30cm3中に浸漬して24時間放置した後、200メッシュの金網で濾過して金網上の不溶解分を採取、真空乾燥し、不溶解分の重量B(mg)を精秤する。得られた値から、下記式により架橋度(質量%)を算出した。
架橋度(質量%)=(B/A)×100
【0055】
<透湿度>
JIS Z0208-1976に準拠し、40℃で測定した。具体的には、温度40℃において発泡シートを境界面とし、一方の空気を相対湿度90%、他の側の空気を吸湿剤によって乾燥状態に保ち、24時間にこの境界面を通過する水蒸気の質量(g)を、発泡シート1m2当たりに換算した値を透湿度とした。
【0056】
<25%圧縮強度>
発泡シートについてJIS K6767に準拠して25%圧縮強度を測定した。
【0057】
<発泡性の評価>
発泡倍率が1.5cm3/g以上である場合を「G」、発泡倍率が1.5cm3/g未満である場合を「B」と評価した。なお、本発明において発泡倍率が1.5cm3/g以上である場合を柔軟性が良好であるものとする。
【0058】
[実施例1]
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂87.6質量部と、熱分解型発泡剤として粒径10~20μmのアゾジカルボンアミド8.5質量部と、酸化亜鉛(堺化学工業社製、商品名「OW-212-F」)2.0質量部と、酸化防止剤0.6質量部とを押出機に供給して130℃で溶融混練し、発泡性組成物を得た。そして、厚さが約310μmの長尺状の樹脂シートに押出した。
前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂としては、日本ポリエチレン社製、商品名「カーネルKF283」(密度0.921g/cm3)を用いた。該直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、メタロセン化合物の重合触媒によって得られたものである。また、酸化亜鉛は気泡核調整剤である。
次に、上記長尺状の樹脂シートの両面に加速電圧500kVの電子線を7.4Mrad照射して樹脂シートを架橋した後、架橋した樹脂シートを熱風及び赤外線ヒーターにより250℃に保持された発泡炉内に連続的に送り込んで加熱して発泡させて、厚さ350μmの発泡シートを得た。
【0059】
次いで、架橋したシートを熱風及び赤外線ヒーターにより250℃に保持された発泡炉内に連続的に送り込んで加熱して発泡させて、発泡シートを得た。その後、表1の厚さとなるように、100~130℃でMD及びTDに延伸した。延伸後の発泡シートを上記評価方法に従って評価した。その結果を表1に示す。
透湿度が20g/cm2・24h以下であり、かつ発泡性の評価が「G」の場合を合格「G(good)」、それ以外の場合を不合格「B(bad)」として総合評価した。結果を表1に示す。
【0060】
[実施例2~3、比較例1~2]
発泡性組成物の配合を表1に記載のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様に実施した。得られた発泡シートの評価結果を表1に示す。
【0061】
【0062】
表1の結果より明らかなように、本発明のポリオレフィン系樹脂発泡シートであれば、シートを薄くした場合であっても高い柔軟性を有し、かつ透湿度が低い発泡シートを得ることが可能である。
【0063】
[実施例4]
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂66.9質量部と、シクロオレフィン樹脂22.3質量部と、熱分解型発泡剤として粒径10~20μmのアゾジカルボンアミド2.3質量部と、酸化亜鉛(堺化学工業社製、商品名「OW-212-F」)2.0質量部と、酸化防止剤0.6質量部とを押出機に供給して130℃で溶融混練し、発泡性組成物を得た。そして、厚さが約250μmの長尺状の樹脂シートに押出した。
前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、ダウケミカル製、商品名「アフィニティーPL1850」(密度0.902g/cm3)である。該直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、メタロセン化合物の重合触媒によって得られたものである。前記シクロオレフィン樹脂は、日本ゼオン株式会社製、商品名「ZEONOR1060」である。前記酸化亜鉛は気泡核調整剤である。
次に、上記長尺状の樹脂シートの両面に加速電圧500kVの電子線を7Mrad照射して樹脂シートを架橋した後、架橋した樹脂シートを熱風及び赤外線ヒーターにより250℃に保持された発泡炉内に連続的に送り込んで加熱して発泡させて、厚さ約400μmの発泡シートを得た。
【0064】
次いで、架橋したシートを熱風及び赤外線ヒーターにより250℃に保持された発泡炉内に連続的に送り込んで加熱して発泡させて、発泡シートを得た。その後、表1の厚さとなるように、100~130℃でMD及びTDに延伸した。延伸後の発泡シートを上記評価方法に従って評価した。その結果を表2に示す。
透湿度が20g/cm2・24h以下であり、かつ発泡性の評価が「G」の場合を合格「G(good)」、それ以外の場合を不合格「B(bad)」として総合評価した。結果を表1に示す。
【0065】
[実施例5~8]
発泡性組成物の配合を表1に記載のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様に実施した。得られた発泡シートの評価結果を表1に示す。
【0066】
【0067】
表2の結果より明らかなように、本発明のポリオレフィン系樹脂発泡シートであれば、シートを薄くした場合であっても高い柔軟性を有し、かつ透湿度が低い発泡シートを得ることが可能である。また、ポリエチレンとシクロオレフィン樹脂とを併用したポリオレフィン系樹脂発泡シートは、ポリエチレンを単独で用いた場合と比較し、透湿度がより低く、かつ発泡性が良好になることにより柔軟性に優れることが分かった。