(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】データ配信装置、データ配信方法及びデータ配信プログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 67/61 20220101AFI20220607BHJP
H04L 67/62 20220101ALI20220607BHJP
【FI】
H04L67/61
H04L67/62
(21)【出願番号】P 2018080135
(22)【出願日】2018-04-18
【審査請求日】2021-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】501158538
【氏名又は名称】三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】溝井国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】河野 立志
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-348176(JP,A)
【文献】特開2001-337882(JP,A)
【文献】特開2014-010537(JP,A)
【文献】特開2017-228104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/00-67/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末から配信データの配信要求があると、前記ユーザ端末と通信する場合における通信品質を評価し、前記通信品質が基準値以下の場合には、過去に前記ユーザ端末と通信した場合における通信状況から、前記ユーザ端末と通信する場合における通信品質が高い時間帯を特定する通信評価部と、
前記通信評価部によって特定された前記時間帯における前記通信品質により、優先順位の高い一部の配信データに、配信する配信データを絞り込む配信決定部と、
前記時間帯に、
前記配信決定部によって絞り込まれた配信データ
である限定データだけを前記ユーザ端末に配信するデータ配信部と
を備えるデータ配信装置。
【請求項2】
前記データ配信装置は、さらに、
定期的に前記ユーザ端末との通信を行って、前記ユーザ端末との通信状況を示す状況データを記憶装置に記憶するネットワーク調査部を備え、
前記通信評価部は、前記ネットワーク調査部によって前記記憶装置に記憶された前記状況データが示す通信状況から、通信品質が高い時間帯を特定する
請求項1に記載のデータ配信装置。
【請求項3】
前記データ配信部は、前記通信品質が基準値よりも高い場合には、直ぐに前記配信データを前記ユーザ端末に配信する
請求項1又は2に記載のデータ配信装置。
【請求項4】
前記データ配信装置は、さらに、
前記時間帯を前記ユーザ端末に通知する通知部
を備える請求項1から3までのいずれか1項に記載のデータ配信装置。
【請求項5】
前記配信データは、前記ユーザ端末に導入された複数のソフトウェアそれぞれで使用されるデータであり、
前記配信決定部は、利用頻度が高いソフトウェアで使用される配信データほど優先されるように、前記配信データの
前記優先順位を決定
し、
前記データ配信部は、前記優先順位の順に、前記配信データを配信する
請求項1から4までのいずれか1項に記載のデータ配信装置。
【請求項6】
前記配信決定部は、前記ユーザ端末を使用するユーザのユーザ属性に対応するソフトウェアで使用される配信データほど優先されるように、前記優先順位を決定する
請求項5に記載のデータ配信装置。
【請求項7】
前記配信決定部は、前記ユーザ端末の使用可能な通信量により、前記優先順位の高い一部の配信データに、配信する配信データを絞り込む
請求項
1から6までのいずれか1項に記載のデータ配信装置。
【請求項8】
通信評価部が、ユーザ端末から配信データの配信要求があると、前記ユーザ端末と通信する場合における通信品質を評価し、前記通信品質が基準値以下の場合には、過去に前記ユーザ端末と通信した場合における通信状況から、前記ユーザ端末と通信する場合における通信品質が高い時間帯を特定し、
配信決定部が、前記時間帯における前記通信品質により、優先順位の高い一部の配信データに、配信する配信データを絞り込み、
データ配信部が、
前記時間帯に、
絞り込まれた配信データ
である限定データだけを前記ユーザ端末に配信する
データ配信方法。
【請求項9】
ユーザ端末から配信データの配信要求があると、前記ユーザ端末と通信する場合における通信品質を評価し、前記通信品質が基準値以下の場合には、過去に前記ユーザ端末と通信した場合における通信状況から、前記ユーザ端末と通信する場合における通信品質が高い時間帯を特定する通信評価処理と、
前記通信評価処理によって特定された前記時間帯における前記通信品質により、優先順位の高い一部の配信データに、配信する配信データを絞り込む配信決定処理と、
前記時間帯に、
前記配信決定処理によって絞り込まれた配信データ
である限定データだけを前記ユーザ端末に配信するデータ配信処理と
をコンピュータに実行させるデータ配信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、端末へソフトウェアの更新データといったデータを配信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
BYOD(Bring Your Own Device)と呼ばれる企業の従業員が私物のユーザ端末により業務を行う業務形態が普及してきている。BYODで使用されるユーザ端末は、ユーザに携帯され、ユーザが帰宅する場合には持ち帰られる。そのため、ユーザ端末は、ユーザの移動に応じて接続されるネットワークが変化し、安定したネットワークに接続していない場合がある。
【0003】
特許文献1には、無線リソースに余裕のある時間帯を学習し、この時間帯に非リアルタイム系のデータ通信を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザ端末に導入されたソフトウェアの更新データといったデータを、ユーザから要求があったタイミングに配信してしまうと、データの配信に時間がかかってしまう場合がある。更新データが配信されている間は、更新データによって更新されるソフトウェアが使用できなくなる。そのため、データの配信に時間がかかってしまうと、ソフトウェアを用いた業務を行えない時間が長くなり、業務に支障をもたらす可能性がある。
この発明は、ユーザ端末へのデータ配信を適切に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るデータ配信装置は、
ユーザ端末から配信データの配信要求があると、前記ユーザ端末と通信する場合における通信品質を評価し、前記通信品質が基準値以下の場合には、過去に前記ユーザ端末と通信した場合における通信状況から、前記ユーザ端末と通信する場合における通信品質が高い時間帯を特定する通信評価部と、
前記通信評価部によって特定された時間帯に、配信データを前記ユーザ端末に配信するデータ配信部と
を備える。
【0007】
前記データ配信装置は、さらに、
定期的に前記ユーザ端末との通信を行って、前記ユーザ端末との通信状況を示す状況データを記憶装置に記憶するネットワーク調査部を備え、
前記通信評価部は、前記ネットワーク調査部によって前記記憶装置に記憶された前記状況データが示す通信状況から、通信品質が高い時間帯を特定する。
【0008】
前記データ配信部は、前記通信品質が基準値よりも高い場合には、直ぐに前記配信データを前記ユーザ端末に配信する。
【0009】
前記データ配信装置は、さらに、
前記時間帯を前記ユーザ端末に通知する通知部
を備える。
【0010】
前記配信データは、前記ユーザ端末に導入された複数のソフトウェアそれぞれで使用されるデータであり、
前記データ配信装置は、さらに、
利用頻度が高いソフトウェアで使用される配信データほど優先されるように、前記配信データの優先順位を決定する配信決定部
を備え、
前記データ配信部は、前記優先順位の順に、前記配信データを配信する。
【0011】
前記配信決定部は、前記ユーザ端末を使用するユーザのユーザ属性に対応するソフトウェアで使用される配信データほど優先されるように、前記優先順位を決定する。
【0012】
前記配信決定部は、前記通信品質により、優先順位の高い一部の配信データに、配信する配信データを絞り込み、
前記データ配信部は、前記優先順位の順に、絞り込まれた配信データだけを配信する。
【0013】
前記配信決定部は、前記ユーザ端末の使用可能な通信量により、前記優先順位の高い一部の配信データに、配信する配信データを絞り込む。
【0014】
この発明に係るデータ配信方法は、
通信評価部が、ユーザ端末から配信データの配信要求があると、前記ユーザ端末と通信する場合における通信品質を評価し、前記通信品質が基準値以下の場合には、過去に前記ユーザ端末と通信した場合における通信状況から、前記ユーザ端末と通信する場合における通信品質が高い時間帯を特定し、
データ配信部が、特定された時間帯に、配信データを前記ユーザ端末に配信する。
【0015】
この発明に係るデータ配信プログラムは、
ユーザ端末から配信データの配信要求があると、前記ユーザ端末と通信する場合における通信品質を評価し、前記通信品質が基準値以下の場合には、過去に前記ユーザ端末と通信した場合における通信状況から、前記ユーザ端末と通信する場合における通信品質が高い時間帯を特定する通信評価処理と、
前記通信評価処理によって特定された時間帯に、配信データを前記ユーザ端末に配信するデータ配信処理と
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0016】
この発明では、通信品質が基準値以下の場合には、ユーザ端末と通信する場合における通信品質が高い時間帯を特定し、特定された時間帯に、配信データをユーザ端末に配信する。これにより、配信データの配信にかかる時間を短くでき、ソフトウェアを用いた業務を行えない時間を短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施の形態1に係るデータ配信装置10の構成図。
【
図2】実施の形態1に係る定期調査処理のフローチャート。
【
図3】実施の形態1に係るネットワーク情報記憶部31に記憶される情報を示す図。
【
図4】実施の形態1に係るデータ配信処理のフローチャート。
【
図5】実施の形態1に係る通信品質の評価処理のフローチャート。
【
図6】実施の形態1に係る通信品質の評価方法の説明図。
【
図7】実施の形態1に係る通信品質が高い時間帯の特定処理のフローチャート。
【
図8】実施の形態1に係る通信品質が高い時間帯の特定の具体例を示す図。
【
図9】変形例1に係るデータ配信装置10の構成図。
【
図10】実施の形態2に係るデータ配信装置10の構成図。
【
図11】実施の形態2に係る配信処理のフローチャート。
【
図12】実施の形態2に係る優先順位の決定処理のフローチャート。
【
図13】実施の形態2に係るソフトウェアの利用頻度の特定方法の説明図。
【
図14】実施の形態2に係るユーザ情報記憶部32に記憶される情報を示す図。
【
図15】実施の形態2に係るデータ情報記憶部33に記憶される情報を示す図。
【
図16】実施の形態2に係る優先順位の決定の具体例を示す図。
【
図17】実施の形態3に係る配信処理のフローチャート。
【
図18】実施の形態3に係る配信データの絞り込みの具体例を示す図。
【
図19】実施の形態4に係る配信データの絞り込みの具体例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1を参照して、実施の形態1に係るデータ配信装置10の構成を説明する。
データ配信装置10は、配信データをユーザ端末40に配信するコンピュータである。配信データは、ユーザ端末40に導入された複数のソフトウェアそれぞれで使用されるデータである。具体例としては、配信データは、ユーザ端末40に導入されたソフトウェアを更新するための更新データと、ユーザ端末40に導入されたソフトウェアで使用されるコンテンツデータといったデータである。ユーザ端末40は、スマートフォンとタブレット端末とPCといったコンピュータである。ユーザ端末40及びデータ配信装置10は、インターネットといったネットワークに接続されている。
【0019】
データ配信装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信インタフェース14とのハードウェアを備える。プロセッサ11は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0020】
プロセッサ11は、プロセッシングを行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ11は、具体例としては、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
【0021】
メモリ12は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ12は、具体例としては、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)である。
【0022】
ストレージ13は、データを保管する記憶装置である。ストレージ13は、具体例としては、HDD(Hard Disk Drive)である。また、ストレージ13は、SD(登録商標,Secure Digital)メモリカード、CF(CompactFlash,登録商標)、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVD(Digital Versatile Disk)といった可搬記録媒体であってもよい。
【0023】
通信インタフェース14は、外部の装置と通信するためのインタフェースである。通信インタフェース14は、具体例としては、Ethernet(登録商標)、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標,High-Definition Multimedia Interface)のポートである。
【0024】
データ配信装置10は、機能構成要素として、要求受付部21と、ネットワーク調査部22と、通信評価部23と、配信決定部24と、データ配信部25と、通知部26とを備える。データ配信装置10の各機能構成要素の機能はソフトウェアにより実現される。
ストレージ13には、データ配信装置10の各機能構成要素の機能を実現するプログラムが格納されている。このプログラムは、プロセッサ11によりメモリ12に読み込まれ、プロセッサ11によって実行される。これにより、データ配信装置10の各機能構成要素の機能が実現される。
また、ストレージ13は、ネットワーク情報記憶部31を実現する。
【0025】
図1では、プロセッサ11は、1つだけ示されていた。しかし、プロセッサ11は、複数であってもよく、複数のプロセッサ11が、各機能を実現するプログラムを連携して実行してもよい。
【0026】
また、
図1では、ストレージ13がネットワーク情報記憶部31を実現した。しかし、通信インタフェース14を介してデータ配信装置10と接続された外部の記憶装置がネットワーク情報記憶部31を実現してもよい。
【0027】
***動作の説明***
図2から
図7を参照して、実施の形態1に係るデータ配信装置10の動作を説明する。
実施の形態1に係るデータ配信装置10の動作は、実施の形態1に係るデータ配信方法に相当する。また、実施の形態1に係るデータ配信装置10の動作は、実施の形態1に係るデータ配信プログラムの処理に相当する。
実施の形態1に係るデータ配信装置10の動作は、定期調査処理と、配信処理との2つの処理に分けられる。
【0028】
図2を参照して、実施の形態1に係る定期調査処理を説明する。
定期調査処理は、定期的にユーザ端末40との通信を行って、ユーザ端末40との通信状況を示す状況データを記憶装置に記憶する処理である。
【0029】
ステップS11では、ネットワーク調査部22は、定期調査処理を前回実行してから指定時間経過したか否かを判定する。
ネットワーク調査部22は、指定時間経過した場合には、処理をステップS12に進める。一方、ネットワーク調査部22は、指定時間経過していない場合には、一定時間後に再びステップS11を実行する。
【0030】
ステップS12では、ネットワーク調査部22は、ユーザ端末40に対して調査要求を送信して、ユーザ端末40の応答時間と、データ配信装置10からユーザ端末40までの通信経路とを特定する。ネットワーク調査部22は、特定された応答時間及び通信経路を状況データとしてネットワーク情報記憶部31に記憶する。
具体例としては、
図3に示すように、ネットワーク調査部22は、調査日時毎に、応答時間と、ホップ数と、通信経路とをネットワーク情報記憶部31に記憶する。
図3では、通信経路は、ルート1からルート30が示すように、中継した装置のIP(Internet Protocol)アドレスによって特定されている。
【0031】
ステップS13では、通信評価部23は、ステップS12で特定された応答時間及び通信経路と、ネットワーク情報記憶部31に記憶された応答時間及び通信経路とから、ユーザ端末40と通信する場合における通信品質を評価する。
図3に示すように、通信評価部23は、評価結果をネットワーク情報記憶部31におけるステップS12で状況データを記憶したレコードに書き込む。
ここでは、通信品質を高い順に優と、良と、可と、不可との4つに分類する。通信品質の評価方法については後述する。
【0032】
図4を参照して、実施の形態1に係るデータ配信処理を説明する。
データ配信処理は、ユーザ端末40からデータ配信要求を受け、ユーザ端末40にデータ配信する処理である。
【0033】
ステップS21では、要求受付部21は、ユーザ端末40から通信インタフェース14を介して、データ配信要求を受け付ける。
具体的には、ユーザによってユーザ端末40が操作され、ソフトウェアの更新といった操作がされる。すると、データ配信要求がユーザ端末40からネットワークを介してデータ配信装置10に送信される。要求受付部21は、ユーザ端末40から送信されたデータ配信要求を受信する。
【0034】
ステップS22では、ネットワーク調査部22は、
図2のステップS12と同様に、ユーザ端末40の応答時間と、データ配信装置10からユーザ端末40までの通信経路とを特定する。ネットワーク調査部22は、特定された応答時間及び通信経路を状況データとしてネットワーク情報記憶部31に記憶する。
【0035】
ステップS23では、通信評価部23は、
図2のステップS13と同様に、ステップS22で特定された応答時間及び通信経路と、ネットワーク情報記憶部31に記憶された応答時間及び通信経路とから、ユーザ端末40と通信する場合における通信品質を評価する。通信評価部23は、評価結果をネットワーク情報記憶部31におけるステップS22で状況データを記憶したレコードに書き込む。
【0036】
ステップS24では、配信決定部24は、ステップS23で評価された通信品質が不可であるか否かを判定する。
配信決定部24は、通信品質が不可でない場合には、処理をステップS25に進める。一方、配信決定部24は、通信品質が不可である場合には、処理をステップS26に進める。
【0037】
ステップS25では、データ配信部25は、通信インタフェース14を介して、配信データをユーザ端末40に配信する。この際、通知部26は、直ぐに配信データを配信することをユーザ端末40に通知してもよい。
【0038】
ステップS26では、通信評価部23は、過去にユーザ端末40と通信した場合における通信状況から、ユーザ端末40と通信する場合における通信品質が高い時間帯を特定する。通信品質が高い時間帯の特定方法については後述する。
【0039】
ステップS27では、通知部26は、ステップS26で特定された時間帯をユーザ端末40に通知する。通知部26は、何時間後に配信データが配信されるかを通知してもよい。
【0040】
その後、ステップS26で特定された時間帯になると、データ配信部25は、配信データをユーザ端末40に配信する。
【0041】
図5を参照して、実施の形態1に係る通信品質の評価方法を説明する。
ステップS31では、通信評価部23は、ネットワーク調査部22によって特定された通信経路と同じ通信経路のレコードをネットワーク情報記憶部31から読み出す。通信評価部23は、読み出されたレコードの応答時間の平均値を計算する。
【0042】
ステップS32では、通信評価部23は、ネットワーク調査部22によって特定された応答時間が4つの分類のうちどの分類に含まれるかを判定する。また、通信評価部23は、ステップS31で計算された平均値が4つの分類のうちどの分類に含まれるかを判定する。
そして、通信評価部23は、
図6に示すように、応答時間が含まれる分類と、平均値が含まれる分類との組合せによって、通信品質を優と良と可と不可とのいずれであるかを判定する。
【0043】
図7を参照して、実施の形態1に係る通信品質が高い時間帯の特定方法を説明する。
ステップS41では、通信評価部23は、配信データのデータサイズを、基準サイズで除して、配信データを配信するのに必要な必要時間を計算する。
配信データのデータサイズは、ユーザ端末40に配信する必要がある全ての配信データの合計サイズである。基準サイズは、通信回線の通信速度から計算される値である。例えば、通信回線が携帯電話回線であり、下りの実行速度が66Mbps(Mega Bit Per Second)であるとする。この場合、1秒当たり約8MB(Mega Byte)送信することが可能である。そこで、8MBよりも小さい、4MB又は2MB等が基準サイズとなる。
【0044】
ステップS42では、通信評価部23は、ネットワーク情報記憶部31を参照して、ステップS41で計算された必要時間以上、通信品質が優又は良である状態が継続している時間帯のうち、現在時刻に最も近い時間帯を特定する。
具体例としては、通信評価部23は、ネットワーク情報記憶部31から直近1週間分のデータを読み出す。通信評価部23は、ステップS41で計算された必要時間以上、通信品質が優又は良である状態が継続している曜日及び時間帯を特定する。
なお、ここでは、通信品質が優又は良である状態が継続している時間帯を特定したが、通信品質が優又は良又は可である状態が継続している、あるいは、通信品質が優である状態が継続している時間帯を特定してもよい。
【0045】
図8を参照して、通信品質が高い時間帯の特定方法の具体例を説明する。
図8に示すように、ネットワーク情報記憶部31には直近1週間分のデータが記憶されているとする。ここでは、判定日時は2018年3月22日(木)の8:00であるとする。また、必要時間は、15分であるとする。この場合には、2018年3月15日(木)の9:10から15分以上、通信品質が優又は良が状態が継続していることが特定される。そこで、2018年3月15日と同じ木曜日である2018年3月22日の9:10から15分間が再配信するための時間帯として特定される。
【0046】
***実施の形態1の効果***
以上のように、実施の形態1に係るデータ配信装置10は、通信品質が基準値よりも高い場合には、直ぐに配信データをユーザ端末40に配信する。一方、データ配信装置10は、通信品質が基準値以下の場合には、ユーザ端末40と通信する場合における通信品質が高い時間帯を特定し、特定された時間帯に、配信データをユーザ端末40に配信する。これにより、配信データの配信にかかる時間を短くでき、ソフトウェアを用いた業務を行えない時間を短くできる。
【0047】
また、実施の形態1に係るデータ配信装置10は、通信品質が基準値以下の場合には、特定された時間帯をユーザ端末40に通知する。これにより、ユーザ端末40のユーザは、いつソフトウェアが使用できなくなるかを知ることができる。そのため、ソフトウェアを使用できない時間帯を考慮した上で、計画的に業務を進めることができる。
【0048】
***他の構成***
<変形例1>
実施の形態1では、各機能構成要素がソフトウェアで実現された。しかし、変形例1として、各機能構成要素はハードウェアで実現されてもよい。この変形例1について、実施の形態1と異なる点を説明する。
【0049】
図9を参照して、変形例1に係るデータ配信装置10の構成を説明する。
各機能構成要素がハードウェアで実現される場合には、データ配信装置10は、プロセッサ11とメモリ12とストレージ13とに代えて、電子回路15を備える。電子回路15は、各機能構成要素と、メモリ12と、ストレージ13との機能とを実現する専用の回路である。
【0050】
電子回路15としては、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA(Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)が想定される。
各機能構成要素を1つの電子回路15で実現してもよいし、各機能構成要素を複数の電子回路15に分散させて実現してもよい。
【0051】
<変形例2>
変形例2として、一部の各機能構成要素がハードウェアで実現され、他の各機能構成要素がソフトウェアで実現されてもよい。
【0052】
プロセッサ11とメモリ12とストレージ13と電子回路15とを処理回路という。つまり、各機能構成要素の機能は、処理回路により実現される。
【0053】
実施の形態2.
実施の形態2は、配信データを配信する優先順位を決定する点が実施の形態1と異なる。実施の形態2では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
【0054】
***構成の説明***
図10を参照して、実施の形態2に係るデータ配信装置10の構成を説明する。
データ配信装置10は、利用状況特定部27を備える点が
図1に示すデータ配信装置10と異なる。利用状況特定部27は、他の機能構成要素と同様に、ソフトウェアで実現される。利用状況特定部27は、変形例1で説明したように、ハードウェアで実現されてもよい。
また、データ配信装置10は、ストレージ13がユーザ情報記憶部32及びデータ情報記憶部33を実現する点が
図1に示すデータ配信装置10と異なる。ユーザ情報記憶部32及びデータ情報記憶部33は、ネットワーク情報記憶部31と同様に、通信インタフェース14を介してデータ配信装置10と接続された外部の記憶装置によって実現されてもよい。
【0055】
***動作の説明***
図11から
図16を参照して、実施の形態2に係るデータ配信装置10の動作を説明する。
実施の形態2に係るデータ配信装置10の動作は、実施の形態2に係るデータ配信方法に相当する。また、実施の形態2に係るデータ配信装置10の動作は、実施の形態2に係るデータ配信プログラムの処理に相当する。
【0056】
図11を参照して、実施の形態2に係る配信処理を説明する。
ステップS51からステップS53の処理は、
図4のステップS21からステップS23の処理と同じである。また、ステップS55の処理は、
図4のステップS24の処理と同じである。また、ステップS57からステップS58の処理は、
図4のステップS26からステップS27の処理と同じである。
【0057】
ステップS54では、配信決定部24は、配信データを配信する優先順位を決定する。ここでは、配信決定部24は、配信データを使用するソフトウェアの利用頻度と、ユーザ端末40のユーザのユーザ属性とに基づき、優先順位を決定する。優先順位の決定方法については後述する。
【0058】
ステップS56では、データ配信部25は、ステップS54で決定された優先順位の順に、配信データをユーザ端末40に配信する。
なお、ステップS55で通信品質が不可であると判定された場合には、ステップS57で特定された時間帯になると、データ配信部25は、ステップS54で決定された優先順位の順に、配信データをユーザ端末40に配信する。
【0059】
図12を参照して、実施の形態2に係る優先順位の決定方法を説明する。
ステップS61では、利用状況特定部27は、ユーザ端末40に導入された複数のソフトウェアそれぞれの利用頻度を特定する。
具体的には、利用状況特定部27は、各ソフトウェアについて、そのソフトウェアのバッテリーの使用割合を、そのソフトウェアの利用頻度として扱う。つまり、
図13に示すように、利用状況特定部27は、バッテリーを多く使用しているソフトウェアほど、よく利用されているソフトウェアであると特定する。
【0060】
ステップS62では、配信決定部24は、ユーザ端末40に配信する配信データを特定する。
【0061】
ステップS63では、配信決定部24は、ステップS21で特定された配信データを、ステップS61で特定された利用頻度が高い順に並び替えする。
【0062】
ステップS64では、配信決定部24は、ユーザ端末40のユーザのユーザ属性に基づき、ステップS63で並び替えされた配信データを、さらに並び替えする。
具体的には、配信決定部24は、ユーザ端末40のユーザのユーザ属性を、ユーザ情報記憶部32から取得する。
図14に示すように、ユーザ情報記憶部32は、ユーザ毎に、部署コードと役職コードといったユーザ属性を記憶している。配信決定部24は、取得されたユーザ属性をキーワードとして、データ情報記憶部33から対応する配信データを検索する。
図15に示すように、データ情報記憶部33は、部署コードと役職コードといったユーザ属性毎に、対応する配信データと、緊急か否かを示す緊急フラグとを記憶している。配信決定部24は、対応する配信データが検索された場合には、検索された配信データの順位を上げる。また、配信決定部24は、対応する配信データの緊急フラグが緊急であることを示す場合には、配信データの順位をさらに上げる。
【0063】
図16を参照して、実施の形態2に係る優先順位の決定の具体例を説明する。
ステップS21で、配信データとして、更新データA~Fと、コンテンツデータ1~4が特定されたとする。ステップS22では、利用頻度が高い順に、更新データA、コンテンツデータ1、更新データB、更新データC、コンテンツデータ2、更新データD、コンテンツデータ3、更新データE、更新データF、コンテンツデータ4と並び替えされる。そして、ここでは、更新データB及びコンテンツデータ1がユーザ属性に対応した配信データであり、更新データBの緊急フラグが緊急を示しているので、ステップS23で、更新データB及びコンテンツデータ1の順位が1つ上げられ、さらに更新データBの順位が1つ上げられる。その結果、更新データB、コンテンツデータ1、更新データA、更新データC、コンテンツデータ2、更新データD、コンテンツデータ3、更新データE、更新データF、コンテンツデータ4と並び替えされる。
【0064】
***実施の形態2の効果***
以上のように、実施の形態2に係るデータ配信装置10は、ソフトウェアの利用頻度と、ユーザ端末40のユーザのユーザ属性とに応じて、配信データを配信する優先順位を決定し、優先順位に従い配信データを配信する。これにより、必要度合いの高い配信データが優先的に配信されるため、ユーザ端末40を用いた業務を円滑に進めることが可能になる。
【0065】
実施の形態3.
実施の形態3は、通信品質により配信対象のデータを絞り込む点が実施の形態1と異なる。実施の形態3では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
実施の形態3では、実施の形態2に機能を追加した場合を説明する。しかし、実施の形態1に機能を追加することも可能である。
【0066】
***動作の説明***
図17及び
図18を参照して、実施の形態3に係るデータ配信装置10の動作を説明する。
実施の形態3に係るデータ配信装置10の動作は、実施の形態3に係るデータ配信方法に相当する。また、実施の形態3に係るデータ配信装置10の動作は、実施の形態3に係るデータ配信プログラムの処理に相当する。
【0067】
図17を参照して、実施の形態3に係る配信処理を説明する。
ステップS71からステップS74の処理は、
図11のステップS51からステップS54の処理と同じである。また、ステップS76の処理は、
図11のステップS55の処理と同じである。また、ステップS78からステップS79の処理は、
図11のステップS57からステップS58の処理と同じである。
【0068】
ステップS75では、配信決定部24は、ステップS73で評価された通信品質により優先順位の高い一部の配信データに、配信する配信データを絞り込む。
具体的には、配信決定部24は、通信品質が優の場合には、
図12のステップS62で特定された全ての配信データを配信対象とする。配信決定部24は、通信品質が良の場合には、
図12のステップS62で特定された配信データのうち、優先順位の高い70%の配信データを配信対象とする。配信決定部24は、通信品質が可の場合には、
図12のステップS62で特定された配信データのうち、優先順位の高い30%の配信データを配信対象とする。配信決定部24は、通信品質が不可の場合には、
図12のステップS62で特定された配信データのうち、優先順位の高い70%の配信データを配信対象とする。通信品質が不可の場合に、通信品質が良の場合と同様に優先順位の高い70%の配信データを配信対象とするのは、ステップS78で通信品質が良以上の場合にデータ配信が行われるためである。
ここで、
図12のステップS62で特定された配信データのうち、優先順位の高いXX%の配信データを配信対象とするとは、配信データの個数のうち、XX%の個数の配信データを配信対象とするという意味である。あるいは、
図12のステップS62で特定された全ての配信データのデータサイズのXX%のデータサイズ以内の配信データを配信対象とするという意味である。
【0069】
ステップS77では、データ配信部25は、ステップS74で決定された優先順位の順に、ステップS75で絞り込まれ配信対象とされた配信データだけをユーザ端末40に配信する。
なお、ステップS75で通信品質が不可であると判定された場合には、ステップS78で特定された時間帯になると、データ配信部25は、ステップS74で決定された優先順位の順に、ステップS75で絞り込まれ配信対象とされた配信データだけをユーザ端末40に配信する。
【0070】
図18を参照して、実施の形態3に係る配信データの絞り込みの具体例を説明する。
ステップS74では、
図16に示すように優先順位が決定されたとする。そして、ステップS73では、通信品質が良と評価されたとする。この場合には、配信決定部24は、
図12のステップS62で特定された配信データのうち、優先順位の高い70%の配信データを配信対象とする。そのため、例えば、10個の配信データのうち、優先順位の高い7個の配信データが配信対象になる。したがって、
図18に示すように、更新データBと、コンテンツデータ1と、更新データAと、更新データCと、コンテンツデータ2と、更新データDと、コンテンツデータ3とが配信対象になる。
【0071】
***実施の形態3の効果***
以上のように、実施の形態3に係るデータ配信装置10は、通信品質により配信対象のデータを絞り込む。これにより、通信品質が高くない場合には、必要度合いの高い配信データだけが配信される。そのため、通信品質が高くない場合に多くの配信データを配信することがなくなり、ソフトウェアを用いた業務を行えない時間を短くできる。
【0072】
実施の形態4.
実施の形態4は、ユーザ端末40が使用可能な通信量により配信対象のデータを絞り込む点が実施の形態1~3と異なる。実施の形態4では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
実施の形態4では、実施の形態3に機能を追加した場合を説明する。しかし、実施の形態1,2に機能を追加することも可能である。
【0073】
***動作の説明***
図17及び
図19を参照して、実施の形態4に係るデータ配信装置10の動作を説明する。
実施の形態4に係るデータ配信装置10の動作は、実施の形態4に係るデータ配信方法に相当する。また、実施の形態4に係るデータ配信装置10の動作は、実施の形態4に係るデータ配信プログラムの処理に相当する。
【0074】
前提として、要求受付部21は、事前に、ユーザ端末40がデータ配信で使用可能な通信量を示す通信量情報をユーザ端末40から取得しておく。
ユーザ端末40は、携帯電話会社との契約により1月当たり数GB(Giga Byte)以上通信した場合には、通信速度が抑えられるといった契約になっている場合がある。ユーザ端末40が、BYODで使用される端末である場合には、この数GBが、ユーザの個人的な使用と、業務での使用とに共用される。そのため、データ配信で使用可能な通信量は、この数GBのうちの一部である。例えば、この数GBが7GBであり、4GBをユーザが個人的に使用する場合には、3GBがデータ配信で使用可能な通信量になる。
【0075】
図17を参照して、実施の形態4に係る配信処理を説明する。
ステップS75以外の処理は、実施の形態3と同じである。
【0076】
ステップS75では、配信決定部24は、通信品質により絞り込まれた配信データを、通信量情報が示す使用可能な通信量により、優先順位の高い一部の配信データに絞り込む。
具体的には、配信決定部24は、配信データを配信した後に、通信量情報が示す使用可能な通信量の30%が残るように、配信データを絞り込む。つまり、配信決定部24は、通信量情報が示す使用可能な通信量の70%のデータサイズ以内の配信データを配信対象とする。
【0077】
なお、データ配信部25は、配信データを配信すると、配信した配信データのデータサイズ分だけ、通信量情報が示す通信量を減らす。また、通信量情報は、通信経路に応じて個別に設定されてもよい。例えば、携帯電話回線で通信される場合と、無線LAN経由で通信される場合とで別々に設定されてもよい。
【0078】
図19を参照して、実施の形態4に係る配信データの絞り込みの具体例を説明する。
ステップS75では、
図18に示すように、通信品質により配信データが絞り込まれたとする。また、配信対象になっている各配信データのデータサイズは200MBであり、通信量情報が示す使用可能な通信量は、1GBであるとする。この場合、1GBの70%は700MBであるため、配信対象となる配信データのデータサイズは700MB以内にする必要がある。1つの配信データは200MBであるため、優先順位の高い3つの配信データが配信対象になる。したがって、
図19に示すように、更新データBと、コンテンツデータ1と、更新データAとが配信対象になる。
【0079】
***実施の形態4の効果***
以上のように、実施の形態4に係るデータ配信装置10は、ユーザ端末40が使用可能な通信量により配信対象のデータを絞り込む。これにより、ユーザ端末40が使用可能な通信量を使い切ってしまうことを防止できる。
【0080】
以上、この発明の実施の形態及び変形例について説明した。これらの実施の形態及び変形例のうち、いくつかを組み合わせて実施してもよい。また、いずれか1つ又はいくつかを部分的に実施してもよい。なお、この発明は、以上の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0081】
10 データ配信装置、11 プロセッサ、12 メモリ、13 ストレージ、14 通信インタフェース、15 電子回路、21 要求受付部、22 ネットワーク調査部、23 通信評価部、24 配信決定部、25 データ配信部、26 通知部、27 利用状況特定部、31 ネットワーク情報記憶部、32 ユーザ情報記憶部、33 データ情報記憶部、40 ユーザ端末。