IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TOWA株式会社の特許一覧

特許7084226樹脂成形装置および樹脂成形品の製造方法
<>
  • 特許-樹脂成形装置および樹脂成形品の製造方法 図1
  • 特許-樹脂成形装置および樹脂成形品の製造方法 図2
  • 特許-樹脂成形装置および樹脂成形品の製造方法 図3
  • 特許-樹脂成形装置および樹脂成形品の製造方法 図4
  • 特許-樹脂成形装置および樹脂成形品の製造方法 図5
  • 特許-樹脂成形装置および樹脂成形品の製造方法 図6
  • 特許-樹脂成形装置および樹脂成形品の製造方法 図7
  • 特許-樹脂成形装置および樹脂成形品の製造方法 図8
  • 特許-樹脂成形装置および樹脂成形品の製造方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】樹脂成形装置および樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/84 20060101AFI20220607BHJP
   B29C 45/02 20060101ALI20220607BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20220607BHJP
   B29C 33/20 20060101ALI20220607BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20220607BHJP
   B29L 31/34 20060101ALN20220607BHJP
【FI】
B29C45/84
B29C45/02
B29C45/14
B29C33/20
H01L21/56 R
B29L31:34
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018117803
(22)【出願日】2018-06-21
(65)【公開番号】P2019217714
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小河 冬彦
(72)【発明者】
【氏名】尾川 敬祐
(72)【発明者】
【氏名】田鍬 直久
(72)【発明者】
【氏名】清水 久勝
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-288895(JP,A)
【文献】特開平03-026515(JP,A)
【文献】国際公開第2013/014747(WO,A1)
【文献】米国特許第05800750(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
B29C 33/00-33/76
H01L 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して配置された第1の型および第2の型を含む成形型を用いて成形対象物を樹脂成形する樹脂成形装置であって、
前記第1の型と前記第2の型との間の距離を変化させる型締め機構と、
前記型締め機構を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記成形対象物を前記成形型に配置した状態で前記第1の型と前記第2の型との間の距離を狭めながら、前記型締め機構により前記成形型に加えられる圧力であるクランプ圧を計測する処理と、
前記計測されるクランプ圧が予め定められた第1の設定圧を超える前記型締め機構の第1の位置を取得する処理と、
補正値により前記第1の位置を補正して得られる第2の位置を、異物検出位置として設定する処理と、
成形動作において、前記異物検出位置で計測されるクランプ圧に基づいて、前記成形型における異物を検出する処理とを実行し、
前記異物を検出する処理は、前記第1の型と前記第2の型との間の距離を前記異物検出位置まで狭める過程において、この処理で計測されるクランプ圧が前記第1の設定圧または前記第1の設定圧を調整した圧力を超えるか否かに基づいて、異物の有無を判断する処理を含む、樹脂成形装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の型と前記第2の型との間の距離を前記異物検出位置まで狭めた状態で、前記異物を検出する処理で計測されるクランプ圧が前記第1の設定圧または前記第1の設定圧を調整した圧力を超えなければ、クランプ圧が予め定められた圧力になるように、前記型締め機構に指令を与える処理をさらに実行する、請求項に記載の樹脂成形装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記異物を検出する処理で計測されるクランプ圧が前記第1の設定圧または前記第1の設定圧を調整した圧力を超えると、前記第1の型と前記第2の型との間の距離を広げる処理をさらに実行する、請求項1または2に記載の樹脂成形装置。
【請求項4】
対向して配置された第1の型および第2の型を含む成形型を用いて成形対象物を樹脂成形する樹脂成形装置であって、
前記第1の型と前記第2の型との間の距離を変化させる型締め機構と、
前記型締め機構を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記成形対象物を前記成形型に配置した状態で前記第1の型と前記第2の型との間の距離を狭めながら、前記型締め機構により前記成形型に加えられる圧力であるクランプ圧を計測する処理と、
前記計測されるクランプ圧が予め定められた第1の設定圧を超える前記型締め機構の第1の位置を取得する処理と、
補正値により前記第1の位置を補正して得られる第2の位置を、異物検出位置として設定する処理と、
成形動作において、前記異物検出位置で計測されるクランプ圧に基づいて、前記成形型における異物を検出する処理とを実行し、
前記制御部は、前記成形型の属性に応じて、前記第1の設定圧および補正値を設定する、樹脂成形装置。
【請求項5】
前記型締め機構は、前記第1の型の重力下方に配置される第2の型を駆動する、請求項1~のいずれか1項に記載の樹脂成形装置。
【請求項6】
対向して配置された第1の型および第2の型を含む成形型を用いて成形対象物を樹脂成形する樹脂成形品の製造方法であって、
前記成形対象物を前記成形型に配置した状態で型締め機構により前記第1の型と前記第2の型との間の距離を狭めながら、前記型締め機構により前記成形型に加えられる圧力であるクランプ圧を計測するステップと、
前記計測されるクランプ圧が予め定められた第1の設定圧を超える前記型締め機構の第1の位置を取得するステップと、
補正値により前記第1の位置を補正して得られる第2の位置を、異物検出位置として設定するステップと、
成形動作において、前記異物検出位置で計測されるクランプ圧に基づいて、前記成形型
における異物を検出するステップとを備え
前記異物を検出するステップは、前記第1の型と前記第2の型との間の距離を前記異物検出位置まで狭める過程において、この処理で計測されるクランプ圧が前記第1の設定圧または前記第1の設定圧を調整した圧力を超えるか否かに基づいて、異物の有無を判断するステップを含む、樹脂成形品の製造方法。
【請求項7】
前記第1の型と前記第2の型との間の距離を前記異物検出位置まで狭めた状態で、前記異物を検出する処理で計測されるクランプ圧が前記第1の設定圧または前記第1の設定圧を調整した圧力を超えなければ、クランプ圧が予め定められた圧力になるように、前記型締め機構に指令を与えるステップをさらに備える、請求項に記載の樹脂成形品の製造方法。
【請求項8】
前記異物を検出する処理で計測されるクランプ圧が前記第1の設定圧または前記第1の設定圧を調整した圧力を超えると、前記第1の型と前記第2の型との間の距離を広げるステップをさらに備える、請求項6または7に記載の樹脂成形品の製造方法。
【請求項9】
対向して配置された第1の型および第2の型を含む成形型を用いて成形対象物を樹脂成形する樹脂成形品の製造方法であって、
前記成形対象物を前記成形型に配置した状態で型締め機構により前記第1の型と前記第2の型との間の距離を狭めながら、前記型締め機構により前記成形型に加えられる圧力であるクランプ圧を計測するステップと、
前記計測されるクランプ圧が予め定められた第1の設定圧を超える前記型締め機構の第1の位置を取得するステップと、
補正値により前記第1の位置を補正して得られる第2の位置を、異物検出位置として設定するステップと、
成形動作において、前記異物検出位置で計測されるクランプ圧に基づいて、前記成形型における異物を検出するステップと
前記成形型の属性に応じて、前記第1の設定圧および補正値を設定するステップとを備える、樹脂成形品の製造方法。
【請求項10】
前記型締め機構は、前記第1の型の重力下方に配置される第2の型を駆動する、請求項のいずれか1項に記載の樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形装置および樹脂成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IC(Integrated Circuit)などの半導体チップを光、熱、湿気等の環境から保護するために、半導体チップは一般的に樹脂によって封止される。このような樹脂封止は、上型と下型とからなる成形型の間に半導体チップが装着された支持体を配置し、成形型により構成されるキャビティ内に溶融樹脂を充填することで実現される。あるいは、下型に顆粒状の樹脂材料を予め供給しておき、加熱しながら両者を型締めする方法も知られている。
【0003】
このような樹脂封止を行なうためには、上型と下型との間に半導体チップが装着された支持体を配置する必要があるが、何らかの理由によって、樹脂封止の対象となる半導体チップが装着された支持体に加えて、樹脂封止の対象とすべきではない物(以下、「異物」と称する。)が混入することがある。上型と下型とに圧力を掛ける前に、このような異物を検出する必要がある。
【0004】
例えば、特開平06-151489号公報(特許文献1)は、「半導体樹脂封止装置において、リードフレーム3を上型1と下型2で型締めする時、リードフレーム3が2枚重ねであったり、上型1と下型2の間に樹脂粉の異物が混入したりする場合がある。この時、通常樹脂封止する場合の型締圧をかけると、異物による型締圧のアンバランスにより金型を破損する場合がある。従来のトグル機構5のみで移動プラテン4を上下動させる方式においては、上型1を下型2とが接触する位置でかなりの型締力になり、低圧型締め状態で異物検出による全型保護を行うことができなかった。」という課題に対して、「トグル機構を用いて移動プラテン4を上下動させるプレス機構において、低圧型締め状態で上型と下型の間に異物が混入したかどうかを検出することができる半導体樹脂封止装置」を開示する(特許文献1の[0004],[0005]など参照)。
【0005】
より具体的には、上述の特許文献1に開示される半導体樹脂封止装置においては、位置検出装置9により得られる現在位置(型タッチ位置)が設定位置と同じであるか否かに基づいて、上型1と下型2の間の異物の有無を判断する(特許文献1の[0011],[0012]など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平06-151489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の特許文献1に開示される半導体樹脂封止装置において異物の有無を判断するために用いる設定位置をどのように設定するのかについては言及がない。そのため、精度の高い異物検出を実現することは難しい。
【0008】
本発明は、このような課題の解決を目的としたものであり、成形型の間に混入し得る異物を精度よく検出できる装置および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある局面に従えば、対向して配置された第1の型および第2の型を含む成形型を用いて成形対象物を樹脂成形する樹脂成形装置が提供される。樹脂成形装置は、第1の型と第2の型との間の距離を変化させる型締め機構と、型締め機構を制御する制御部とを含む。制御部は、成形対象物を成形型に配置した状態で第1の型と第2の型との間の距離を狭めながら、型締め機構により成形型に加えられる圧力であるクランプ圧を計測する処理と、計測されるクランプ圧が予め定められた第1の設定圧を超える型締め機構の第1の位置を取得する処理と、補正値により第1の位置を補正して得られる第2の位置を、異物検出位置として設定する処理と、成形動作において、異物検出位置で計測されるクランプ圧に基づいて、成形型における異物を検出する処理とを実行する。
【0010】
本発明の別の局面に従えば、対向して配置された第1の型および第2の型を含む成形型を用いて成形対象物を樹脂成形する樹脂成形品の製造方法が提供される。製造方法は、成形対象物を成形型に配置した状態で型締め機構により第1の型と第2の型との間の距離を狭めながら、型締め機構により成形型に加えられる圧力であるクランプ圧を計測するステップと、計測されるクランプ圧が予め定められた第1の設定圧を超える型締め機構の第1の位置を取得するステップと、補正値により第1の位置を補正して得られる第2の位置を、異物検出位置として設定するステップと、成形動作において、異物検出位置で計測されるクランプ圧に基づいて、成形型における異物を検出するステップとを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、成形型の間に混入し得る異物を精度よく検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態に従う樹脂成形装置の全体構成の一例を示す模式図である。
図2】本実施の形態に従う樹脂成形装置を構成するプレスユニットの構成例(型締め前状態)を示す模式図である。
図3】本実施の形態に従う樹脂成形装置を構成するプレスユニットの構成例(型締め状態)を示す模式図である。
図4】本実施の形態に従う樹脂成形装置を構成する制御部のハードウェア構成例を示す模式図である。
図5】本実施の形態に従う樹脂成形装置のプレスユニットにおいて検出される異物混入の一例を示す模式図である。
図6】本実施の形態に従う樹脂成形装置のプレスユニットにおける異物検出の処理を説明するための図である。
図7】本実施の形態に従う樹脂成形装置における異物検出位置の設定方法を説明するための模式図である。
図8】本実施の形態に従う樹脂成形装置における異物検出位置の設定手順を示すフローチャートである。
図9】本実施の形態に従う樹脂成形装置において用いられる異物検出圧および補正値の設定例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0014】
<A.樹脂成形装置1の構成例>
まず、本実施の形態に従う樹脂成形装置1の構成例について説明する。本実施の形態に従う樹脂成形装置1は、典型的には、チップが配置されたリードフレームなどの成形対象物のチップ配置面に樹脂を成形することで、成形対象物を樹脂封止する装置として利用される。樹脂成形装置1は、電子部品の製造装置の一部として構成されてもよい。以下の説明においては、成形対象物の典型例としてリードフレームを示すが、これに限られることなく、基板などの他の支持体であってもよい。
【0015】
電子部品のチップとしては、例えば、集積回路(IC:integrated circuit)や大規模集積回路(LSI:large-scale integrated circuit)、発光ダイオード(LED:light emitting diode)、レーザダイオード(LD:laser diode)、光センサなどの半導体チップ、トランジスタ、抵抗、コンデンサ、インダクタなどの電子デバイスチップなどが想定される。支持体としては、例えば、金属系材料からなるリードフレーム、ガラスエポキシ基板等のプリント基板、セラミックス系材料を基材とするセラミックス基板、金属系材料を基材とするメタルベース基板、ポリイミド等の樹脂フィルムを基材とするフレキシブル基板などが想定される。
【0016】
図1は、本実施の形態に従う樹脂成形装置1の全体構成の一例を示す模式図である。図1を参照して、樹脂成形装置1は、受入・払出モジュール2と、1または複数の成形モジュール3A,3B,3C(以下、「成形モジュール3」と総称することもある。)とを含む。
【0017】
受入・払出モジュール2は、リードフレーム供給ユニット4と、リードフレーム整列ユニット5と、樹脂タブレット供給ユニット6と、材料搬出ユニット7と、リードフレーム収容ユニット8と、制御部100とを含む。
【0018】
成形モジュール3の各々は、プレスユニット10を含む。プレスユニット10の各々は、昇降可能な下型11と、下型11の上方に相対向して固定配置された上型(図2および図3に示す上型18に対応)とを含む。対向して配置された上型18および下型11により成形型が構成される。また、下型11には、複数のポット14が設けられている。
【0019】
樹脂成形装置1は、受入・払出モジュール2と各プレスユニット10との間を移動することができるように構成された、ローダー12およびアンローダー13をさらに含む。
【0020】
ここで、樹脂成形装置1における動作について説明する。まず、リードフレーム供給ユニット4は、樹脂成形装置1の外部から受け取った、樹脂成形の対象(成形対象物)となる封止前リードフレーム15をリードフレーム整列ユニット5に送り出す。続いて、リードフレーム整列ユニット5は、受け取った封止前リードフレーム15を所定の方向へ整列させて、整列させた封止前リードフレーム15を材料搬出ユニット7に送り出す。並行して、樹脂タブレット供給ユニット6は、樹脂成形装置1の外部から受け取った樹脂材料である樹脂タブレット16を必要な個数(図1では4個)だけ材料搬出ユニット7に送り出す。
【0021】
次に、材料搬出ユニット7は、整列させた所定枚数(図1では2枚)の封止前リードフレーム15と、4個の樹脂タブレット16とを、ローダー12に引き渡す。ローダー12は、材料搬出ユニット7から受け取った、2枚の封止前リードフレーム15および4個の樹脂タブレット16を、プレスユニット10へ同時に搬送する。その後、ローダー12は、封止前リードフレーム15を下型11の所定位置に配置し、樹脂タブレット16を下型11に設けられたポット14の内部に供給する。
【0022】
続いて、成形モジュール3による型締め、樹脂成形、型開きが行なわれることで、封止前リードフレーム15が樹脂封止され、封止済リードフレームが成果物として生成される。最終的に、アンローダー13がプレスユニット10において樹脂封止された封止済リードフレームをリードフレーム収容ユニット8に収容する。
【0023】
なお、図1に示した構成では受入モジュールと払出モジュールとを一体化した受入・払出モジュール2としているが、払出モジュールを独立させて図1の成形モジュール3Cの成形モジュール3Bとは反対側に配置することもできる。
【0024】
<B.プレスユニット10の構成例>
次に、樹脂成形装置1の成形モジュール3に含まれるプレスユニット10の構成例について説明する。
【0025】
図2は、本実施の形態に従う樹脂成形装置1を構成するプレスユニット10の構成例(型締め前状態)を示す模式図である。図3は、本実施の形態に従う樹脂成形装置1を構成するプレスユニット10の構成例(型締め状態)を示す模式図である。
【0026】
図2および図3を参照して、プレスユニット10は、上部固定盤17および可動盤19を含む。上部固定盤17の下面には上型18が固定配置されており、可動盤19の上面には下型11が固定配置されている。上型18および下型11には、加熱機構としてのヒータ20が内蔵されている。上型18および下型11はヒータ20によって、所定温度(例えば、180℃程度)に加熱されている。
【0027】
下型11の所定領域には、封止前リードフレーム15が配置される。封止前リードフレーム15は、リードフレーム本体と当該リードフレーム本体に装着されたチップ21とを有している。チップ21の端子とリードフレームの端子とは、ワイヤ22によって電気的に接続される。
【0028】
プレスユニット10は、可動盤19を紙面上下方向に沿って昇降させるための型締め機構23とを含む。型締め機構23は、可動盤19を昇降させることで、上型18と下型11(第1の型と第2の型に相当)との間の距離を変化させ、これによって上型18と下型11との間で型締め(図3参照)および型開きを実現する。すなわち、型締め機構23は、上型18と下型11との間の距離を変化させる。
【0029】
型締め機構23による昇降動作は、制御部100によって制御される。このように、制御部100は、型締め機構23を制御するが、樹脂成形装置1を構成する他の機構についても制御するようにしてもよい。プレスユニット10の制御に関して、制御部100は、型締め機構23の支持軸に設けられたひずみゲージ152により検出されたひずみ量を取得して、型締め時に型締め機構23により成形型に加えられる圧力(以下、「クランプ圧」とも称す。)を計測する。制御部100は、型締め機構23を駆動するドライバ150に対して制御指令を与えるとともに、型締め機構23から可動盤19の昇降位置を取得する。後述するように、制御部100は、成形型に与えられるクランプ圧および昇降位置などの入力に基づいて型締め機構23を制御する。
【0030】
型締め機構23は、任意の機構を用いて実現できるが、例えば、シリンダあるいはトグル機構などを用いることができる。型締め機構23は、ドライバ150によって駆動され、昇降位置をフィードバックとして出力する。
【0031】
本実施の形態に従う樹脂成形装置1においては、型締め機構23が上型18の重力下方に配置される下型11を駆動する構成を採用するが、下型11を固定して上型18を駆動するようにしてもよいし、上型18および下型11の両方を駆動するようにしてもよい。
【0032】
プレスユニット10による型締め動作時において、制御部100はドライバ150に指令を与える。制御部100からの指令に従って、型締め機構23が駆動して可動盤19の上面に固定された下型11を上動させる。型締め機構23による上動に連動して、各ポット14内に供給された樹脂タブレット16がプランジャ24によって押圧される。この押圧中において、樹脂タブレット16が加熱されることで、樹脂タブレット16が溶融して流動性樹脂が生じる。図3に示すように、プランジャ24が引き続き押圧されることで、溶融により生じた流動性樹脂が樹脂通路25を通してキャビティ26の内部に流入する。
【0033】
その後、キャビティ26の内部に流入した流動性樹脂を、硬化に必要な所要時間だけ加熱することによって硬化樹脂が形成される。硬化に必要な所要時間の経過後において、上型18と下型11とを型開きして、樹脂封止された封止済リードフレームを離型する。
【0034】
<C.制御部100の構成例>
次に、樹脂成形装置1を構成する制御部100の構成例について説明する。制御部100は、少なくともプレスユニット10での樹脂成形に係る制御を実行する。制御部100は、さらに、樹脂成形装置1に含まれる任意の機構に係る制御を実行するようにしてもよい。
【0035】
制御部100は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)などの制御装置を用いて実装してもよいし、産業用パーソナルコンピュータを用いて実装してもよい。
【0036】
図4は、本実施の形態に従う樹脂成形装置1を構成する制御部100のハードウェア構成例を示す模式図である。図4には、典型例として、汎用的なアーキテクチャに従う産業用パーソナルコンピュータを採用した制御部100の構成例を示す。制御部100では、汎用OS(Operating System)およびリアルタイムOSがそれぞれ実行されることで、HMI(Human-Machine Interface)機能および通信機能と、リアルタイム性が要求される制御機能とを両立する。
【0037】
制御部100は、主たるコンポーネントとして、入力部102と、出力部104と、メインメモリ106と、光学ドライブ108と、プロセッサ110と、ハードディスクドライブ(HDD)120と、ネットワークインターフェイス112と、クランプ圧計測インターフェイス114と、型締め機構インターフェイス116とを含む。これらのコンポーネントは、内部バス118を介して互いにデータを遣り取りできるように接続されている。
【0038】
入力部102は、作業者からの操作を受付けるコンポーネントであり、典型的には、キーボード、タッチパネル、マウス、トラックボールなどを含む。出力部104は、制御部100での処理結果などを外部へ出力するコンポーネントであり、典型的には、ディスプレイ、プリンタ、各種インジケータなどを含む。メインメモリ106は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などで構成され、プロセッサ110で実行されるプログラムのコードやプログラムの実行に必要な各種ワークデータを保持する。
【0039】
プロセッサ110は、HDD120に格納されたプログラムを読出して、入力されたデータに対して処理を実行する処理主体である。プロセッサ110は、汎用OSおよび当該汎用OS上で動作する各種アプリケーション、ならびに、リアルタイムOSおよび当該リアルタイムOS上で動作する各種アプリケーションをそれぞれ並列的に実行できるように構成される。一例として、プロセッサ110は、複数のプロセッサからなる構成(いわゆる「マルチプロセッサ」)、単一のプロセッサ内に複数のコアを含む構成(いわゆる「マルチコア」)、および、マルチプロセッサとマルチコアとの両方の特徴を有する構成、のいずれで実現されてもよい。
【0040】
HDD120は、記憶部であり、典型的には、汎用OS122と、リアルタイムOS124と、HMIプログラム126と、制御プログラム128とを格納する。HMIプログラム126は、汎用OS122の実行環境下で動作し、主として、作業者との遣り取りに係る処理を実現する。制御プログラム128は、リアルタイムOS124の実行環境下で動作し、樹脂成形装置1を構成するそれぞれのコンポーネントを制御する。
【0041】
制御部100において実行される各種プログラムは、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)などの記録媒体108Aに格納されて流通可能である。記録媒体108Aは、光学ドライブ108でその内容が読取られてHDD120にインストールされる。すなわち、本発明のある局面は、制御部100を実現するためのプログラムおよび当該プログラムを格納する何らかの記録媒体を含む。これらの記録媒体としては、光学記録媒体の他、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、半導体記録媒体などを用いてもよい。
【0042】
図4には、HDD120に複数種類のプログラムがインストールされている形態を例示するが、これらのプログラムを一つのプログラムとして一体化してもよいし、さらに別のプログラムの一部として組み入れてもよい。
【0043】
ネットワークインターフェイス112は、外部装置との間でネットワークを介してデータを遣り取りする。
【0044】
HDD120にインストールされるプログラムは、ネットワークインターフェイス112を介してサーバから取得するようにしてもよい。つまり、本実施の形態に従う制御部100を実現するプログラムは、任意の方法でダウンロードしてHDD120にインストールするようにしてもよい。
【0045】
クランプ圧計測インターフェイス114には、ひずみゲージ152からの計測値(ひずみ量)が入力される。型締め機構インターフェイス116には、型締め機構23からの昇降位置が入力される。また、型締め機構インターフェイス116からは、ドライバ150に対して、可動盤19を昇降させるための指令が与えられる。
【0046】
図4には、プロセッサ110がプログラムを実行することで、本実施の形態に従う制御部100を実現する構成例について説明したが、これに限られることなく、本発明に従う粉粒体供給装置または粉粒体供給方法が現実に実装される時代の技術水準に応じた構成を適宜採用することができる。例えば、汎用的なコンピュータに代えて、産業用のコントローラであるPLCを用いてもよい。あるいは、制御部100が提供する機能の全部または一部をLSIまたはASIC(application specific integrated circuit)などの集積回路を用いて実装してもよいし、FPGA(field-programmable gate array)などの再プログラム可能な回路素子を用いて実装してもよい。さらにあるいは、図4に示す制御部100が提供する機能を複数の処理主体が互いに協働することで実現してもよい。例えば、制御部100が提供する機能を複数のコンピュータを連係させて実現してもよい。
【0047】
また、図4に示した構成要素のすべてが必要なわけではなく、光学ドライブ108、入力部102の一例であるマウス、出力部104の一例であるプリンタなどの、実際の制御には用いない構成については適宜省略することができる。
【0048】
<D.異物検出の概要>
次に、本実施の形態に従う樹脂成形装置1のプレスユニット10における異物検出の概要について説明する。
【0049】
図5は、本実施の形態に従う樹脂成形装置1のプレスユニット10において検出される異物混入の一例を示す模式図である。図5に示すように、異物混入の一例としては、上型18と下型11との間に、複数の封止前リードフレーム15が搬送されて配置されるような状態が想定される。複数の封止前リードフレーム15が配置された状態で、上型18と下型11との型締めが行なわれると、上型18および下型11に過大なクランプ圧が生じて、成形型の損傷などに至る可能性がある。また、不良品の発生による生産性の低下なども想定される。
【0050】
本実施の形態においては、型締め機構23により下型11を予め定められた位置(以下、「異物検出位置」)まで上昇させるまでに、クランプ圧が予め定められた設定圧(以下、「異物検出圧」とも称す。)を超えるか否かに基づいて、異物を検出する。すなわち、樹脂成形装置1は、成形動作において、異物検出位置で計測されるクランプ圧に基づいて、成形型における異物を検出する。
【0051】
図6は、本実施の形態に従う樹脂成形装置1のプレスユニット10における異物検出の処理を説明するための図である。図6を参照して、プレスユニット10による成形型の型締め動作は、位置制御を行なう第1フェーズP1と、圧力制御を行なう第2フェーズP2とを含む。
【0052】
第1フェーズP1においては、制御部100は、昇降位置が予め定められた異物検出位置となるように、型締め機構23に上昇指令を与える。すなわち、型締め機構23の昇降位置に基づく昇降制御が実行される。第2フェーズP2においては、制御部100は、クランプ圧が予め定められた圧力となるように、型締め機構23に上昇指令を与える。すなわち、型締め機構23のクランプ圧に基づく昇降制御が実行される。図6には、型締めにおいて、下型を上昇させて成形対象物が上型に接触し、下型の停止位置までクランプ圧が増大する例を示す。
【0053】
異物検出は、第1フェーズP1において、この処理で計測されるクランプ圧が異物検出圧を超えるか否かに基づいて行なわれる。後述するように、異物検出位置は、正常状態と異物混入状態とを区別できるように適切に設定されるので、正常状態においては、異物検出位置に到達するまでに、クランプ圧が異物検出圧を超えることはない。一方、異物混入状態においては、異物検出位置に到達するまでに、クランプ圧が異物検出圧を超えることになる。
【0054】
このように、制御部100による異物を検出する処理は、上型18と下型11との間の距離を異物検出位置まで狭める過程において、この処理で計測されるクランプ圧が異物検出圧を超えるか否かに基づいて、異物の有無を判断する処理を含む。本実施の形態においては、このようなクランプ圧の相違に基づいて、異物の混入有無を判断する。
【0055】
また、制御部100は、上型18と下型11との間の距離を異物検出位置まで狭めた状態で、異物を検出する処理で計測されるクランプ圧が異物検出圧を超えなければ、第2フェーズP2に移行して、クランプ圧が予め定められた圧力になるように、型締め機構23に指令を与える。
【0056】
このような第1フェーズP1および第2フェーズP2の処理によって、成形型を規定のクランプ圧で型締めできる。
【0057】
<E.異物検出位置の設定方法>
次に、異物検出位置の設定方法について説明する。異物検出位置は、成形型毎に設定される。
【0058】
図7は、本実施の形態に従う樹脂成形装置1における異物検出位置の設定方法を説明するための模式図である。図7を参照して、封止前リードフレーム15を成形型(上型18および下型11)に配置した状態で、可動盤19を上昇させることで、上型18と下型11との間の距離を狭めながら、計測されるクランプ圧を監視する。クランプ圧が異物検出圧を超えると、可動盤19の上昇を停止させる。可動盤19の停止位置から予め定められた補正値(補正値がゼロの場合も含み得る)を引いた位置を異物検出位置として設定する。通常の成形動作では、設定された異物検出位置に到達するまでに計測されるクランプ圧に基づいて、異物検出が実行される。異物検出位置の設定処理は、成形型の交換時に実施されるようにしてもよい。
【0059】
図8は、本実施の形態に従う樹脂成形装置1における異物検出位置の設定手順を示すフローチャートである。図8に示すフローチャートの各ステップは、典型的には、制御部100のプロセッサ110がHMIプログラム126および制御プログラム128を実行することで実現される。
【0060】
図8を参照して、制御部100は、成形型の交換モードへの移行が指示されたか否かを判断する(ステップS100)。成形型の交換モードへの移行の指示は、作業者が制御部100の入力部102を介して与えることになる。成形型の交換モードへの移行が指示されていなければ(ステップS100においてNO)、ステップS100の処理が繰返される。
【0061】
成形型の交換モードへの移行が指示されると(ステップS100においてYES)、制御部100は、出力部104などから、成形型の交換モード中であることを通知する(ステップS102)。この状態において、作業者は成形型を交換する。成形型の交換が完了すると、作業者は、成形型の交換モードの終了を指示する。
【0062】
制御部100は、成形型の交換モードの終了が指示されたか否かを判断する(ステップS104)。成形型の交換モードの終了が指示されていなければ(ステップS104においてNO)、ステップS104の処理が繰返される。
【0063】
成形型の交換モードの終了が指示されると(ステップS104においてYES)、制御部100は、成形型の交換モード中であることの通知を終了する(ステップS106)。
【0064】
続いて、異物検出位置の設定処理が開始される。異物検出位置の設定処理の開始に先立って、制御部100は、出力部104などから、異物検出位置の設定が必要であることを通知する(ステップS108)。この状態において、作業者は、装着した成形型に封止前リードフレーム15を配置する。封止前リードフレーム15の配置が完了すると、作業者は、異物検出位置の設定処理の開始を指示する。成形対象物は、ステップS108の通知から、後述するステップS112の上昇の指示があるまでに配置されればよい。
【0065】
制御部100は、異物検出位置の設定処理の開始が指示されたか否かを判断する(ステップS110)。異物検出位置の設定処理の開始が指示されていなければ(ステップS110においてNO)、ステップS110の処理が繰返される。
【0066】
異物検出位置の設定処理の開始が指示されると(ステップS110においてYES)、制御部100は、型締め機構23の上昇が指示されたか否かを判断する(ステップS112)。型締め機構23の上昇が指示されていなければ(ステップS112においてNO)、ステップS112の処理が繰返される。
【0067】
型締め機構23の上昇が指示されると(ステップS112においてYES)、制御部100は、封止前リードフレーム15を成形型に配置した状態で上型18と下型11との間の距離を狭めながらクランプ圧を計測する。より具体的には、制御部100は、型締め機構23に上昇指令を与え(ステップS114)、型締め機構23に生じるクランプ圧の監視を開始する(ステップS116)。そして、制御部100は、計測されたクランプ圧が異物検出圧を超えるか否かを判断する(ステップS118)。異物検出圧は予め設定しておくことができる。この処理で計測されたクランプ圧が異物検出圧を超えていなければ(ステップS118においてNO)、ステップS118の処理が繰返される。
【0068】
計測されたクランプ圧が異物検出圧を超えると(ステップS118においてYES)、制御部100は、型締め機構23に停止指令を与え(ステップS120)、型締め機構23が停止した状態における昇降位置を格納するとともに、格納した昇降位置を出力部104などから作業者に提示する(ステップS122)。すなわち、制御部100は、計測されるクランプ圧が予め定められた異物検出圧(第1の設定圧に相当)を超える型締め機構23の昇降位置(第1の位置に相当)を取得する。
【0069】
そして、制御部100は、計測されるクランプ圧が異常検出圧を超えると、上型18と下型11との間の距離を広げる処理を実行する。より具体的には、制御部100は、型締め機構23に下降指令を与え(ステップS124)、型締め機構23が初期位置(最低位置)に到達すると、型締め機構23の昇降動作を停止する(ステップS126)。
【0070】
続いて、制御部100は、作業者による補正操作がなされたか否かを判断する(ステップS128)。作業者による補正操作がなされなければ(ステップS128においてNO)、ステップS128の処理が繰返される。
【0071】
作業者による補正操作がなされると(ステップS128においてYES)、制御部100は、ステップS122において格納された昇降位置からステップS128において設定された補正値を減じて、異物検出位置を算出する(ステップS130)。補正値は、予めデフォルト値が設定されていてもよいし、作業者が手動で設定するようにしてもよい。さらに、作業者は、予め設定されているデフォルト値を任意に変更することもできる。
【0072】
すなわち、ステップS122において格納された昇降位置H0と、補正値ΔHとを用いて、異物検出位置Hd=昇降位置H0-補正値ΔHと表すことができる。補正値ΔHは、正常状態と異物混入状態とを区別するための一種のマージンに相当する。
【0073】
そして、制御部100は、作業者による異物検出位置の設定確定操作がなされたか否かを判断する(ステップS132)。作業者による異物検出位置の設定確定操作がなされなければ(ステップS132においてNO)、ステップS132の処理が繰返される。作業者による異物検出位置の設定確定操作がなされると(ステップS132においてYES)、制御部100は、ステップS130において算出された異物検出位置を現在装着されている成形型に関連付けて設定する(ステップS134)。
【0074】
なお、ステップS134については、後述の図9を用いて説明するような設定を行なわない場合など、必要がなければ算出された異物検出位置を現在装着されている成形型に関連付けなくてもよい。
【0075】
このように、制御部100は、上型18と下型11との間の距離を広げる方向の補正値ΔHにより取得された型締め機構23の昇降位置H0(第1の位置に相当)を補正して得られる位置(昇降位置H0-補正値ΔH)を、異物検出位置Hdとして設定する。そして、制御部100は、異物検出位置の設定が必要であることの通知を終了する(ステップS136)。
【0076】
以上の手順により、異物検出位置の設定処理が完了する。このように設定された異物検出位置に基づいて、通常の成形動作においては異物検出位置で計測されるクランプ圧に基づく異物検出が実行される。
【0077】
具体的には、成形対象物が配置された下型を上昇させ、上述のように設定した異物検出位置に達したら、その位置で計測されたクランプ圧を取得する。予め設定した異物検出圧と異物検出位置でのクランプ圧とを比較し、クランプ圧が異物検出圧を超えた場合は、成形動作を停止し、下型を下降させる。クランプ圧が異物検出圧未満の場合は、さらに下型を上昇させ、成形対象物を樹脂成形する。クランプ圧と異物検出圧が等しい場合は、クランプ圧が異物検出圧を超えた場合と同様、成形動作を停止し下型を下降させてもよいし、クランプ圧が異物検出圧未満の場合と同様、さらに下型を上昇させ、成形対象物を樹脂成形してもよい。
【0078】
<F.異物検出圧および補正値>
上述の説明においては、異物検出位置を設定する際に使用する異物検出圧および補正値については、予め設定されている例を示した。異物検出位置は成形型毎に設定されるため、異物検出圧および補正値についても、成形型に応じた設定値を採用してもよい。
【0079】
図9は、本実施の形態に従う樹脂成形装置1において用いられる異物検出圧および補正値の設定例を示す図である。図9に示す設定値テーブル200には、成形型種別201として、3種類(大型パッケージ、中型パッケージ、小型パッケージ)が規定されており、各種別に対応付けて、異物検出圧202および補正値203が設定されている。
【0080】
図9に示す設定値テーブル200においては、封止前リードフレーム15が樹脂封止された後に個片化されることで生成されるパッケージの大きさに依存させて、異物検出圧および補正値が設定されている。
【0081】
制御部100は、図9に示す設定値テーブル200を参照して、成形型の属性に応じて、設定圧および補正値を設定するようにしてもよい。あるいは、制御部100は、設定値テーブル200に設定されている異物検出圧および補正値の各組を作業者に提示するとともに、作業者からの選択を受付けるようにしてもよい。
【0082】
このような異物検出圧および補正値を封止前リードフレーム15の属性などに依存させることで、より適切な異物検出位置を設定できる。
【0083】
上記実施の形態においては、異物検出位置の設定で昇降位置(第1の位置に相当)を取得する際に使用する異物検出圧(設定圧)と異物の有無を判断する際に使用する異物検出圧とを同じ圧力にした例に説明した。すなわち、異物の有無を判断する際に使用する異物検出圧を、昇降位置を取得する際に使用する異物検出圧と同じ値に設定されている例について説明した。
【0084】
しかし、昇降位置を取得する際に使用する異物検出圧を「第1の設定圧」とし、異物の有無を判断する際に使用する異物検出圧を「第2の設定圧」とした場合、第2の設定圧として第1の設定圧を調整した圧力にするなど、第1の設定圧と第2の設定圧とを異なる圧力とすることができる。
【0085】
<G.付記>
本実施の形態は、以下のような技術思想を含む。
【0086】
ある実施の形態に従えば、対向して配置された第1の型および第2の型を含む成形型を用いて成形対象物を樹脂成形する樹脂成形装置が提供される。樹脂成形装置は、第1の型と第2の型との間の距離を変化させる型締め機構と、型締め機構を制御する制御部とを含む。制御部は、成形対象物を成形型に配置した状態で第1の型と第2の型との間の距離を狭めながら、型締め機構により成形型に加えられる圧力であるクランプ圧を計測する処理と、計測されるクランプ圧が予め定められた第1の設定圧を超える型締め機構の第1の位置を取得する処理と、補正値により第1の位置を補正して得られる第2の位置を、異物検出位置として設定する処理と、成形動作において、異物検出位置で計測されるクランプ圧に基づいて、成形型における異物を検出する処理とを実行する。
【0087】
異物を検出する処理は、第1の型と第2の型との間の距離を異物検出位置まで狭める過程において、この処理で計測されるクランプ圧が予め定められた第2の設定圧を超えるか否かに基づいて、異物の有無を判断する処理を含んでいてもよい。
【0088】
制御部は、第1の型と第2の型との間の距離を異物検出位置まで狭めた状態で、異物を検出する処理で計測されるクランプ圧が第2の設定圧を超えなければ、クランプ圧が予め定められた圧力になるように、型締め機構に指令を与える処理をさらに実行するようにしてもよい。
【0089】
第2の設定圧は、前記第1の設定圧と同じ値に設定されていてもよい。
制御部は、異物を検出する処理で計測されるクランプ圧が第2の設定圧を超えると、第1の型と第2の型との間の距離を広げる処理をさらに実行するようにしてもよい。
【0090】
型締め機構は、第1の型の重力下方に配置される第2の型を駆動するようにしてもよい。
【0091】
制御部は、成形型の属性に応じて、第1の設定圧および補正値を設定するようにしてもよい。
【0092】
別の実施の形態に従えば、対向して配置された第1の型および第2の型を含む成形型を用いて成形対象物を樹脂成形する樹脂成形品の製造方法が提供される。製造方法は、成形対象物を成形型に配置した状態で型締め機構により第1の型と第2の型との間の距離を狭めながら、型締め機構により成形型に加えられる圧力であるクランプ圧を計測するステップと、計測されるクランプ圧が予め定められた第1の設定圧を超える型締め機構の第1の位置を取得するステップと、補正値により第1の位置を補正して得られる第2の位置を、異物検出位置として設定するステップと、成形動作において、異物検出位置で計測されるクランプ圧に基づいて、成形型における異物を検出するステップとを含む。
【0093】
異物を検出するステップは、第1の型と第2の型との間の距離を異物検出位置まで狭める過程において、この処理で計測されるクランプ圧が予め定められた第2の設定圧を超えるか否かに基づいて、異物の有無を判断するステップを含むようにしてもよい。
【0094】
製造方法は、第1の型と第2の型との間の距離を異物検出位置まで狭めた状態で、異物を検出する処理で計測されるクランプ圧が第2の設定圧を超えなければ、クランプ圧が予め定められた圧力になるように、型締め機構に指令を与えるステップをさらに含むようにしてもよい。
【0095】
第2の設定圧は、第1の設定圧と同じ値に設定されていてもよい。
製造方法は、異物を検出する処理で計測されるクランプ圧が第2の設定圧を超えると、第1の型と第2の型との間の距離を広げるステップをさらに含んでいてもよい。
【0096】
型締め機構は、第1の型の重力下方に配置される第2の型を駆動するようにしてもよい。
【0097】
製造方法は、成形型の属性に応じて、第1の設定圧および補正値を設定するステップをさらに含んでいてもよい。
【0098】
<H.利点>
異物検出位置を設定する典型的な方法としては、1つの封止前リードフレーム15を成形型に配置して、手動操作で所定状態になる位置を取得するとともに、2つの封止前リードフレーム15を成形型に配置して、手動操作で所定状態になる位置を取得する。このようにして得られた2つの位置の中間値などを異物検出位置として設定することができる。このような設定方法では、作業者のスキルによって設定値にバラツキが生じ得るという課題があり、また、手動操作であるので手間がかかるという課題がある。
【0099】
これに対して、本実施の形態によれば、異物検出位置を自動で設定することができる。これにより、手動操作で異物検出位置を設定する場合に比較して、異物検出位置を精度よく設定できるので、高精度な異物検出を実現できる。また、手動操作で異物検出位置を設定する場合に比較して、異物検出位置の設定に要する時間を短縮でき、生産性を向上できる。
【0100】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0101】
1 樹脂成形装置、2 払出モジュール、3,3A,3B,3C 成形モジュール、4 リードフレーム供給ユニット、5 リードフレーム整列ユニット、6 樹脂タブレット供給ユニット、7 材料搬出ユニット、8 リードフレーム収容ユニット、9 位置検出装置、10 プレスユニット、11 下型、12 ローダー、13 アンローダー、14 ポット、15 封止前リードフレーム、16 樹脂タブレット、17 上部固定盤、18 上型、19 可動盤、20 ヒータ、21 チップ、22 ワイヤ、23 型締め機構、24 プランジャ、25 樹脂通路、26 キャビティ、100 制御部、102 入力部、104 出力部、106 メインメモリ、108 光学ドライブ、108A 記録媒体、110 プロセッサ、112 ネットワークインターフェイス、114 クランプ圧計測インターフェイス、116 型締め機構インターフェイス、118 内部バス、120 HDD、122 汎用OS、124 リアルタイムOS、126 HMIプログラム、128 制御プログラム、150 ドライバ、152 ひずみゲージ、200 設定値テーブル、201 成形型種別、202 異物検出圧、203 補正値、P1 第1フェーズ、P2 第2フェーズ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9