(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】プリフォーム、その製造方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
B29B 15/10 20060101AFI20220607BHJP
C08F 265/00 20060101ALI20220607BHJP
C08F 255/08 20060101ALI20220607BHJP
C08F 283/12 20060101ALI20220607BHJP
C08L 51/00 20060101ALI20220607BHJP
C08K 7/02 20060101ALI20220607BHJP
B29B 11/16 20060101ALI20220607BHJP
B29C 70/06 20060101ALI20220607BHJP
B29K 105/06 20060101ALN20220607BHJP
【FI】
B29B15/10
C08F265/00
C08F255/08
C08F283/12
C08L51/00
C08K7/02
B29B11/16
B29C70/06
B29K105:06
(21)【出願番号】P 2018567298
(86)(22)【出願日】2017-06-23
(86)【国際出願番号】 EP2017065569
(87)【国際公開番号】W WO2017220793
(87)【国際公開日】2017-12-28
【審査請求日】2020-06-15
(32)【優先日】2016-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジェラール, ピエール
(72)【発明者】
【氏名】エスカーレ, ピエール
(72)【発明者】
【氏名】イヌブリ, ラベール
(72)【発明者】
【氏名】ハッジ, フィリップ
【審査官】弘實 由美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-067928(JP,A)
【文献】特表2015-531015(JP,A)
【文献】特表2019-518857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 11/14-11/16;
15/08-15/14
B29C 70/06
C08J 5/04-5/10;5/24
C08F 265/00
C08F 255/08
C08F 283/12
C08L 51/00
C08K 7/02
B29K 105/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 繊維質基材と
b) 多段ポリマー
とを含むプリフォームであって、
多段ポリマーの量が
、2つの化合物a)及びb)の合計に基づいて、プリフォームの
6重量%から
25重量%の間である、プリフォーム。
【請求項2】
多段ポリマーの量が、2つの化合物a)及びb)の合計に基づいて、7重量%から25重量%の間であることを特徴とする、請求項
1に記載のプリフォーム。
【請求項3】
多段ポリマー
が、20nmから800nmの間の重量平均粒径を有する球状ポリマー粒子の形態であることを特徴とする、請求項1
又は2に記載のプリフォーム。
【請求項4】
多段ポリマーが、
a) 0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む1つの段(A)
b) 少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む1つの段(B)
を含むことを特徴とする、請求項1から
3のいずれか一項に記載のプリフォーム。
【請求項5】
ポリマー(A1)及び(B1)がアクリル又はメタクリルポリマーであることを特徴とする、請求項
4に記載のプリフォーム。
【請求項6】
ポリマー(A1)がシリコーンゴム系ポリマーであることを特徴とする、請求項
4に記載のプリフォーム。
【請求項7】
ポリマー(A1)が、イソプレン又はブタジエンに由来する高分子単位を少なくとも50重量%含むことを特徴とする、請求項
4に記載のプリフォーム。
【請求項8】
段(A)が第1の段であり、ポリマー(B1)を含む段(B)が、ポリマー(A1)を含む段(A)にグラフトされていることを特徴とする、請求項
4から
7のいずれか一項に記載のプリフォーム。
【請求項9】
繊維質基材が少なくとも1000のアスペクト比を有する繊維を含むことを特徴とする、請求項1から
8のいずれか一項に記載のプリフォーム。
【請求項10】
繊維質基材が積み重ねられた若しくは折り畳まれた繊維質マット又は不織補強材又は繊維束又はこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から
9のいずれか一項に記載のプリフォーム。
【請求項11】
a)
繊維質基材と、多段ポリマーの水性分散体とを接触させる工程
b) 工程a)の生成物を乾燥させる工程
c)
工程b)の乾燥生成物を加熱する工程
を含む、請求項1から
10のいずれか一項に記載のプリフォームを製造するための方法。
【請求項12】
工程b)が少なくとも45℃に加熱することによって行われることを特徴とする、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
工程c)が100℃から250℃の間の温度の金型の中で行われることを特徴とする、請求項
11に記載の方法。
【請求項14】
高分子複合材料又は高分子複合材料を含む機械的若しくは構造化部品又は物品を製造するための、請求項1から
10のいずれか一項に記載のプリフォームの使用。
【請求項15】
高分子複合材料又は高分子複合材料を含む機械的若しくは構造化部品又は物品を製造するための、請求項
11から
13のいずれか一項に記載の方法によって製造されるプリフォームの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多段ポリマーを含む複合プリフォームに関する。
【0002】
特に、本発明は、繊維状物質と多段ポリマーとを含む複合プリフォームを製造するための方法及び複合品製造におけるその使用に関する。
【0003】
特に、本発明は、繊維状物質と多段ポリマーとを含む複合プリフォームを調製するための方法及び繊維強化耐衝撃性改質コンポジットの製造のためのその使用に関する。
【0004】
[技術的問題]
使用中、高い応力に耐えなければならない機械的部品は、複合材料から広く製造される。複合材料は、2以上の非混和性の材料の巨視的な組み合わせである。複合材料は、マトリックスを形成する少なくとも1つの材料、すなわち構造体の結合を確実にする連続相と、補強材料とから成る。
【0005】
複合材料を使用することの目的は、複合材料の個々の構成要素を単独で使用しても得られない、複合材料の性能を得ることである。したがって、複合材料は、いくつかの産業分野、例えば建築、自動車、航空宇宙、運送、レジャー、エレクトロニクス及びスポーツにおいて、特に、高均質性材料と比較した複合材料のより良い機械的性能(より高い引張強度、より高い引張弾性率、及びより高い破壊靱性)及び低密度のため、広く使用されている。
【0006】
商業的工業的規模における量の見地から最も重要な種類は、有機マトリックスを用いた複合物であり、当該マトリックス材料は、一般にポリマーである。高分子複合材料の主要なマトリックス又は連続相は、熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーのいずれかである。
【0007】
熱硬化性ポリマーは、架橋結合された三次元構造体から成る。架橋結合は、いわゆるプレポリマーの内部で反応性基を硬化させることによって得られる。硬化は、例えば、材料を永久的に架橋結合し、硬化させるために、ポリマー鎖を加熱することにより達成される。
【0008】
高分子複合材料を調製するには、プレポリマーは、例えばガラスビーズ若しくは繊維(補強材料)などの他の成分、又は濡れているか若しくはプレポリマーを含浸させた他の成分と混ぜ合わされ、その後に硬化される。熱硬化性ポリマーのためのプレポリマー又はマトリックス材料の例は、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ又はフェノールのものである。硬化後、熱硬化性複合物は再形成することができず、その所定の形状にとどまる。
【0009】
熱可塑性ポリマーは、直鎖又は分岐ポリマーから成り、それらは架橋結合されない。複合材料を製造するために必要な構成要素を混合するため、及び硬化のために冷却させるために、熱可塑性ポリマーは、加熱される。複合材料の製造のための熱可塑性ポリマーの使用における限界は、例えば繊維質基材に均一に含浸させるために、溶融状態でのその高い粘度である。熱可塑性ポリマーによる繊維の湿潤又は正確な含浸は、熱可塑性樹脂が十分に流動性である場合にのみ達成することができる。
【0010】
繊維質基材に含浸させるための別の方法は、有機溶媒に熱可塑性ポリマーを溶解させることである。
【0011】
熱可塑性複合物を調製するためのさらなる他の方法は、モノマーを含む液体シロップを繊維質基材に含浸させること、及び前記モノマーの重合である。
【0012】
それでも、複合材料の調製に使用されるポリマーの多くは非常に脆いままであり、良好な機械的特性、例えば衝撃強度を有しない。繊維質基材は衝撃によるエネルギーを吸収することによって材料の機械的特性を強化することを可能にするが、熱可塑性ポリマーをベースとするマトリックスは壊れやすいため亀裂伝播を防ぐことはできず、そのため最終複合材料は、非常に脆いままである。
【0013】
ポリマーの衝撃強度を改善するために、エラストマー相又はゴムを含む、衝撃強度を改良する衝撃添加剤を添加することが知られている。このようなゴムは、ゴム又はエラストマー相である1つの段を有する、コアシェル粒子の形態の多段ポリマーの一部でありうる。これらの粒子は、乳化重合により調製されて分散体を形成し、例えば粉末形態で回収することができる。それらは一般に、一連の「硬い」層と「柔らかい」層を含む。したがって、二層(柔-硬)又は三層(硬-柔-硬)の粒子が見出されうる。粒径は、一般に1μm未満、より具体的には50nmから500nmの間である。
【0014】
コアシェル粒子の形態の多段ポリマーは、凝集乾燥粉末として入手可能であり、後者は、初期コアシェル粒子の均一な分布を得るためにマトリックス中に分散されている。特定の熱硬化性ポリマー又は樹脂、特にエポキシ樹脂、及び熱可塑性ポリマーについて、これらの多段ポリマー粒子を正確に分散させることは非常に困難又はほとんど不可能である。
【0015】
繊維強化材に含浸させるために、これらの通常弱く架橋されている分離コアシェル粒子を液体シロップ又はプレポリマーに分散させることは、含浸工程中に問題を引き起こす。実際、粒子はシロップ中で膨張し、それがシロップのゲル化をもたらす。その場合粘度が高すぎ、欠陥が現れることなく繊維質基材に含浸することはもはや不可能である。このゲル化現象を回避するためには、樹脂中のこれらの粒子の含有量を非常に低い含有量に制限しなければならない。しかし、そのような含有量は低すぎ、特に衝撃強度に関しては、期待される機械的性質を発揮しない。
【0016】
本発明の目的は、繊維質基材と多段ポリマーとを含む安定なプリフォームを得ることである。
【0017】
本発明の目的はまた、耐衝撃性改良高分子複合物を製造するために使用できる、繊維質基材と多段ポリマーとを含む安定なプリフォームを得ることでもある。
【0018】
本発明の別の目的は、高分子複合材料又は高分子複合材料を含む機械的若しくは構造化部品又は物品に多段ポリマーを導入する方法を見出すことである。
【0019】
本発明のさらなる別の目的は、繊維質基材と多段ポリマーとを含む安定なプリフォームを得る方法である。
【0020】
本発明のさらなる別の目的は、繊維質基材と多段ポリマーとを含む安定なプリフォームを短時間で得る方法である。
【0021】
本発明のさらなる別の目的は、可能な限りあまり有機溶媒を使用せずに、又は好ましくは有機溶媒を使用することなく、繊維質基材と多段ポリマーとを含む安定なプリフォームを得る方法である。
【0022】
さらなる別の目的は、耐衝撃性改良高分子複合材料又は耐衝撃性改良高分子複合材料を含む機械的若しくは構造化部品又は物品を製造するための方法を有することである。
【背景技術】
【0023】
先行技術
文献 EP第1312453号は、プリプレグ、プリフォーム、ラミネート及びサンドイッチ成形品を含む複合品並びにそれらの製造方法を開示している。特に、平均粒径5μm未満のポリマー粒子でコーティングされた複数の繊維のストランドが開示されている。ポリマー粒子は、熱可塑性ポリマー又は架橋熱可塑性ポリマーである。少なくとも10000g/molの高分子量を有する0.1μmから0.25μmの間の小粒径ポリマー粒子について記載されている。
【0024】
これらの先行技術文献のいずれも、本発明によるプリフォーム又はその調製方法を開示していない。
【発明の概要】
【0025】
驚くべきことに、
a) 繊維質基材と
b) 多段ポリマー
とを含むプリフォームであって、
プリフォーム中の多段ポリマーの量が3重量%から50重量%の間であるプリフォームが、その形状を維持することが見出された。
【0026】
驚くべきことに、
a) 繊維質基材と
b) 多段ポリマー
とを含むプリフォームであって、
プリフォーム中の多段ポリマーの量が3重量%から50重量%の間であるプリフォームが、高分子複合材料又は高分子複合材料を含む機械的若しくは構造化部品又は物品を製造するために使用されうることが見出された。
【0027】
また、驚くべきことに、
a)繊維質基材と多段ポリマーの水性分散体とを接触させる工程
b) 工程a)の生成物を乾燥させる工程
c) b)の乾燥生成物を加熱する工程
を含むプリフォームであって、
プリフォーム中の多段ポリマーの量が3重量%から50重量%の間であるプリフォームが、その形状を維持するプリフォームを生じさせることも見出された。
【発明を実施するための形態】
【0028】
第1の態様によれば、本発明は、
a) 繊維質基材と
b) 多段ポリマー
とを含むプリフォームであって、
プリフォーム中の多段ポリマーの量が3重量%から50重量%の間であるプリフォームに関する。
【0029】
本発明の第2の態様によれば、本発明は、
a) 繊維質基材と多段ポリマーの水性分散体とを接触させる工程
b) 工程a)の生成物を乾燥させる工程
c) b)の乾燥生成物を加熱する工程
を含むプリフォームであって、
プリフォーム中の多段ポリマーの量が3重量%から50重量%の間であるプリフォームを製造するための方法に関する。
【0030】
第3の態様において、本発明は、
a) 繊維質基材と
b) 多段ポリマー
とを含むプリフォームの使用であって、
プリフォオーム中の多段ポリマーの量が高分子複合材料又は高分子複合材料を含む機械的若しくは構造化部品又は物品を製造するために3重量%から50重量%の間である、プリフォームの使用に関する。
【0031】
使用されている用語「ポリマー粉末」は、ナノメートル範囲の粒子を含む一次ポリマー又はポリマー又はオリゴマーの凝集により得られる、少なくとも1マイクロメートル(μm)の範囲の粉末粒子を含むポリマーを意味する。
【0032】
使用されている用語「一次粒子」は、ナノメートル範囲の粒子を含む球状ポリマーを表す。一次粒子は、好ましくは20nmから800nmの間の重量平均粒径を有する。
【0033】
使用されている用語「粒径」は、球状とみなされる粒子の体積平均直径を表す。
【0034】
使用されている用語「コポリマー」は、少なくとも2種の異なるモノマーからなるポリマーを表す。
【0035】
使用されている「多段ポリマー」は、多段重合法によって順次形成されるポリマーを表す。好ましいのは、第1のポリマーが第1段のポリマーであり、第2のポリマーが第2段のポリマーである、すなわち第2のポリマーが第1のエマルションポリマーの存在下で乳化重合により形成される、多段乳化重合法である。
【0036】
使用されている用語「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルモノマーのすべての種類を表す。
【0037】
使用されている用語「(メタ)アクリルポリマー」は、(メタ)アクリルポリマーの50重量%以上を構成する(メタ)アクリルモノマーを含むポリマーを本質的に含む(メタ)アクリルポリマーを表す。
【0038】
使用されている「耐衝撃性改良剤」という用語は、一旦高分子材料に組み込まれると、ゴム状材料又はゴムポリマーの相マイクロドメインによってその高分子材料の耐衝撃性及び靭性を増大させる材料と理解される。
【0039】
使用されている用語「ゴム」は、ポリマーの、そのガラス転移を超えた熱力学的状態を表す。
【0040】
使用されている用語「ゴムポリマー」は、0℃未満のガラス転移温度(Tg)を有するポリマーを表す。
【0041】
使用されている用語「プリフォーム」は、複合材製造においてよく知られている、予備成形した繊維強化材を表す。例えば、繊維強化材としての繊維質マットの初期の面は、それは柔軟であり、例えばポリマーによってある一定の既に固定された形状に保たれている。より複雑なプリフォームの形状は、個々の繊維配向が適切な結合剤によって層内に固定されている、後の部品形状に対応する。それは、必要な外側輪郭を本質的に既に有する繊維半製品、すなわちプリフォームであり、完全に自動化され、正確に配置されるには十分剛性である。プリフォームは、例えば樹脂を添加するか、又はプリフォームに樹脂を含浸させることによって完成され、完成した複合又は構造化物品を得るために重合される。
【0042】
本発明においてxからyの範囲とは、この範囲の上限及び下限が含まれることを意味し、少なくともxからyまでと等しい。
【0043】
本発明においてxからyの間の範囲とは、この範囲の上限及び下限が除外されることを意味し、x超y未満と等しい。
【0044】
本発明によるプリフォームは、繊維質基材と多段ポリマーとを含み、プリフォーム中の多段ポリマーの量は、3重量%から50重量%の間である。
【0045】
プリフォーム中の多段ポリマーの量は、2つの化合物a)及びb)の合計に基づいて、好ましくは少なくとも4重量%、より好ましくは少なくとも5重量%、有利には少なくとも6重量%、最も有利には少なくとも7重量%である。
【0046】
プリフォーム中の多段ポリマーの量は、2つの化合物a)及びb)の合計に基づいて、好ましくは最大で40重量%、より好ましくは最大で30重量%、有利には最大で25重量%である。
【0047】
プリフォーム中の多段ポリマーの量は、2つの化合物a)及びb)の合計に基づいて、好ましくは4重量%から40重量%の間、より好ましくは5重量%から30重量%の間、有利には6重量%から25重量%の間、有利には7重量%から25重量%の間である。
【0048】
本発明による多段ポリマーは、そのポリマー組成が異なる少なくとも2の段を有する。
【0049】
多段ポリマーは、好ましくは球状のポリマー粒子の形態である。このような粒子は、コアシェル粒子とも呼ばれる。第1の段はコアを、第2の又はそれに続くすべての段は各シェルを形成する。
【0050】
球状のポリマー粒子に関しては、20nmから800nmの間の重量平均粒径を有する。ポリマーの重量平均粒径は、好ましくは25nmから600nmの間、より好ましくは30nmから550nmの間、さらにより好ましくは35nmから500nmの間、有利には40nmから400nmの間、より有利には50nmから400nmの間、さらにより有利には75nmから350nmの間、最も有利には80nmから300nmの間である。
【0051】
ポリマー粒子は、0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む少なくとも1つの層(A)と、30℃以上のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含むもう1つの層(B)とを含む多層構造を有する。好ましくは、30℃以上のガラス転移温度を有するポリマー(B1)は、多層構造を有するポリマー粒子の外層である。好ましくは、段(A)は第1の段であり、ポリマー(B1)を含む段(B)は、ポリマー(A1)を含む段(A)にグラフトされている。
【0052】
該ポリマー粒子は、2、3又はそれ以上の段を含む多段工程により得られる。層(A)中で0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)は、多段工程の最終段中には決して作られない。これは、ポリマー(A1)が多層構造を有する粒子の外層には決して存在しないことを意味する。層(A)中の0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)は、ポリマー粒子のコア内にあるか、又は内層の1つである。
【0053】
好ましくは、層(A)中の0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)は、多段工程の第一の段で作製され、多層構造を有するポリマー粒子のコアを形成する。ポリマー(A1)は、好ましくは-5℃未満、より好ましくは-15℃未満、有利には-25℃未満のガラス転移温度を有する。
【0054】
30℃以上のガラス転移温度を有するポリマー(B1)は、多段工程の最終段で好ましくは作製され、多層構造を有するポリマー粒子の外層を形成する。
【0055】
1つ又は複数の中間段により得られる追加の中間層(複数可)があってもよい。
【0056】
好ましくは、層(B)のポリマー(B1)の少なくとも一部は、前の層で作られたポリマーにグラフトされている。それぞれポリマー(A1)と(B1)を含む2つの段(A)及び(B)しかない場合、ポリマー(B1)の一部はポリマー(A1)にグラフトされている。より好ましくは、ポリマー(B1)の少なくとも50重量%は、グラフトされている。グラフト率は、ポリマー(B1)のための溶媒での抽出と、抽出前後の重量測定で非グラフト量を決定することとにより、決定することができる。
【0057】
多段ポリマーの各ポリマーのガラス転移温度Tgは、例えば熱機械分析などの力学的方法により推定することができる。
【0058】
各ポリマー(A1)及び(B1)の試料を得るには、各段の各ポリマーの個々のガラス転移温度Tgをより容易に推定及び測定するために、多段工程ではなく、ポリマー(A1)及び(B1)をそれぞれ単独で調製することができる。
【0059】
ポリマー(A1)に関しては、第1の実施態様においてそれは、アルキルアクリレートからのモノマーを少なくとも50重量%含む(メタ)アクリルポリマーである。
【0060】
より好ましくは、ポリマー(A1)は、それが0℃未満のガラス転移温度を有する限り、アルキルアクリレートと共重合可能なコモノマー(複数可)を含む。
【0061】
ポリマー(A1)中のコモノマー(複数可)は、好ましくは(メタ)アクリルモノマー及び/又はビニルモノマーから選択される。
【0062】
ポリマー(A1)中の(メタ)アクリルコモノマーは、C1‐C12アルキル(メタ)アクリレートから選択されるモノマーを含む。ポリマー(A1)中の(メタ)アクリルコモノマーは、さらに好ましくはC1‐C4アルキルメタクリレート及び/又はC1‐C8アルキルアクリレートモノマーを含む。
【0063】
最も好ましくは、ポリマー(A1)のアクリル又はメタクリルコモノマーは、ポリマー(A1)が0℃未満のガラス転移温度を有する限り、メチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びこれらの混合物から選択される。
【0064】
好ましくは、ポリマー(A1)は架橋されている。これは、架橋剤がその他のモノマー(複数可)に添加されることを意味する。架橋剤は、重合されうる少なくとも2つの基を含む。
【0065】
ある特定の実施態様において、ポリマー(A1)は、ブチルアクリレートのホモポリマーである。
【0066】
別の特定の実施態様において、ポリマー(A1)は、ブチルアクリレートと少なくとも1の架橋剤とのコポリマーである。架橋剤は、このコポリマーの5重量%未満である。
【0067】
第1の実施態様のポリマー(A1)のガラス転移温度Tgは、より好ましくは-100℃から0℃の間、さらにいっそう好ましくは-100℃から-5℃の間、有利には-90℃から-15℃の間、より有利には-90℃から-25℃の間である。
【0068】
第2の実施態様において、ポリマー(A1)は、シリコーンゴム系ポリマーである。シリコーンゴムは、例えばポリジメチルシロキサンである。第2の実施態様のポリマー(A1)のガラス転移温度Tgは、より好ましくは-150℃から0℃の間、さらにいっそう好ましくは-145℃から-5℃の間、有利には-140℃からら-15℃の間、より有利には-135℃から-25℃の間である。
【0069】
第3の実施態様において、0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)は、イソプレン又はブタジエン由来の高分子単位を少なくとも50重量%含み、段(A)は、多層構造を有するポリマー粒子の最も内側の層である。言い換えれば、ポリマー(A1)を含む段(A)は、ポリマー粒子のコアである。
【0070】
第2の実施態様のコアのポリマー(A1)の例としては、イソプレンホモポリマー又はブタジエンホモポリマー、イソプレン-ブタジエンコポリマー、最大で98重量%のビニルモノマーとイソプレンとのコポリマー、及び最大で98重量%のビニルモノマーとブタジエンとのコポリマーが挙げられる。ビニルモノマーは、スチレン、アルキルスチレン、アクリロニトリル、アルキル(メタ)アクリレート、又はブタジエン又はイソプレンとすることができる。一実施態様において、コアは、ブタジエンホモポリマーである。
【0071】
イソプレン又はブタジエン由来の高分子単位を少なくとも50重量%含む、第3の実施態様のポリマー(A1)のガラス転移温度Tgは、より好ましくは-100℃から0℃の間、さらにいっそう好ましくは-100℃から-5℃の間、有利には-90℃から-15℃の間、さらにいっそう有利には-90℃から-25℃の間である。
【0072】
ポリマー(B1)に関しては、ホモポリマーと、二重結合を有するモノマー及び/又はビニルモノマーを含むコポリマーとが挙げられる。ポリマー(B1)は、好ましくは(メタ)アクリルポリマーである。
【0073】
好ましくは、ポリマー(B1)は、C1‐C12アルキル(メタ)アクリレートから選択される、少なくとも70重量%のモノマーを含む。さらにより好ましくは、ポリマー(B1)は、少なくとも80重量%の、C1‐C4アルキルメタクリレート及び/又はC1‐C8アルキルアクリレートモノマーを含む。
【0074】
ポリマー(B1)のアクリル又はメタクリルモノマーは、ポリマー(B1)が少なくとも30℃のガラス転移温度を有する限り、最も好ましくは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びこれらの混合物から選択される。
【0075】
有利には、ポリマー(B1)は、メチルメタクリレート由来の、少なくとも70重量%のモノマー単位を含む。
【0076】
ポリマー(B1)のガラス転移温度Tgは、好ましくは30℃から150℃の間である。ポリマー(B1)のガラス転移温度は、より好ましくは60℃から150℃の間、さらにより好ましくは80℃から150℃の間、有利には90℃から150℃の間、より有利には100℃から150℃の間である。
【0077】
本発明による多段ポリマーを製造するための方法に関しては、それは、以下の工程:
a) モノマー又はモノマー混合物(Am)を乳化重合により重合し、0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む1つの層(A)を得る工程
b) モノマー又はモノマー混合物(Bm)の乳化重合により重合し、少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む層(B)を得る工程
を含み、
モノマー又はモノマー混合物(Am)及びモノマー又はモノマー混合物(Bm)はそれぞれ、ポリマー(A1)及びポリマー(B1)の組成に従って前述のモノマーから選択される。
【0078】
好ましくは、工程a)は、工程b)の前に行われる。さらに好ましくは、工程b)は、工程a)で得られたポリマー(A1)の存在下で実施される。
【0079】
さらにより好ましくは、工程b)のポリマー(B1)の少なくとも一部を工程a)のポリマー(A1)にグラフトするために、グラフト結合化合物が使用される。
【0080】
有利には、本発明による多段ポリマー組成物を製造するための方法は、多工程の方法であり、
a) モノマー又はモノマー混合物(Am)を乳化重合により重合し、0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む1つの層(A)を得る工程
b) モノマー又はモノマー混合物(Bm)の乳化重合により重合し、少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む層(B)を得る工程
を順に含む。
【0081】
ポリマー(A1)、(B1)をそれぞれ含む層(A)、(B)を形成するための各モノマー又はモノマー混合物(Am)、(Bm)、及び各ポリマー(A1)及び(B1)の特徴は、前述の通りである。
【0082】
さらにより有利には、工程b)のポリマー(B1)の少なくとも一部を工程a)のポリマー(A1)にグラフトするために、グラフト結合化合物が使用される。
【0083】
多段ポリマーを製造するための方法は、工程a)とb)の間に、追加の段のための追加の工程を含みうる。
【0084】
多段ポリマーを製造するための方法はまた、工程a)とb)の前に、追加の段のための追加の工程を含みうる。モノマー又はモノマー混合物((Am)を乳化重合によって重合して、0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む層(A)を得るために、シードが使用されうる。このシードは好ましくは、少なくとも20℃のガラス転移温度を有する熱可塑性ポリマーである。
【0085】
多段ポリマーは、ポリマー粒子の水性分散体として得られる。この分散体の固形分は、10重量%から65重量%の間である。
【0086】
「繊維質基材」に関しては、ストリップ、ラップ、組紐、房又は小片の形態である織物、フェルト又は不織布を挙げることができる。繊維状物質は、一次元、二次元又は三次元のいずれかの様々な形状及び寸法を有しうる。繊維質基材は、1以上の繊維の集合体を含む。繊維が連続的である場合、これらの集合体は、織物を形成する。
【0087】
一次元形状は、糸状の長繊維である。繊維は、不連続又は連続でありうる。繊維は、ランダムに配置されても、互いに平行な連続フィラメントとして配置されてもよい。繊維は、繊維の長さと直径との比である、そのアスペクト比により定義される。本発明で用いられる繊維は、長繊維又は連続繊維である。繊維は、少なくとも1000、好ましくは少なくとも1500、より好ましくは少なくとも2000、有利には少なくとも3000、最も有利には少なくとも5000のアスペペクト比を有する。
【0088】
二次元形状は、繊維質マット又は不織補強材又はロービング織物又は繊維束であり、これらは編組であってもよい。
【0089】
三次元形状は例えば、積み重ねられた若しくは折り畳まれた繊維質マット又は不織補強材又は繊維束又はこれらの混合物、三次元における二次元形状の集合体である。
【0090】
繊維状物質の素材は、天然のものでも合成のものでもよい。天然の素材として、植物繊維、木質繊維、動物繊維又は鉱物繊維を挙げることができる。
【0091】
天然繊維は例えば、サイザル麻、ジュート、麻、亜麻、木綿、ココナッツ繊維、及びバナナ繊維である。動物繊維は例えば、羊毛又は毛髪である。
【0092】
合成素材として、熱硬化性ポリマーの繊維、熱可塑性ポリマー又はこれらの混合物から選択される高分子繊維を挙げることができる。
【0093】
高分子繊維は、ポリアミド(脂肪族又は芳香族)、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、及びビニルエステルから作ることができる。
【0094】
また、鉱物繊維は、特にタイプE、R、又はS2のガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維、又はケイ素繊維から選ぶことができる。
【0095】
本発明の繊維質基材は、植物繊維、木質繊維、動物繊維、鉱物繊維、合成高分子繊維、ガラス繊維、炭素繊維、又はこれらの混合物から選択される。
【0096】
繊維質基材は、好ましくは二又は三次元である。
【0097】
本発明によるプリフォームを製造するための方法に関しては、それは、
a) 繊維質基材と、多段ポリマーの水性分散体とを接触させる工程
b) 工程a)の生成物を乾燥させる工程
c) b)の乾燥生成物を加熱する工程
を含み、
プリフォーム中の多段ポリマーの量が3重量%から50重量%の間である。
【0098】
前記方法の工程a)は、多段ポリマーを含む水性分散体を繊維質基材に浸漬、注入又は含浸することによって行うことができる。
【0099】
工程b)は、水相を蒸発させることによって、又はわずかに加熱することによって行われる。好ましくは、工程b)は、少なくとも45℃に加熱することにより行われる。
【0100】
工程c)は、100℃から250℃の間の温度の金型の中で行われる。好ましくは125℃から225℃の間。金型に圧力を加えてもよい。
【0101】
プリフォームを製造するための方法はまた、プリフォームを変形する工程を含みうる。これは、工程c)中に、加熱が特定の形状を有する金型内で行われること、又はプリフォームが工程c)の後に再度加熱下で別の形状に変換されることのいずれかで行われうる。
【0102】
本発明のプリフォームは、高分子複合材料又は高分子複合材料を含む機械的若しくは構造化部品又は物品を製造するために使用することができる。
【0103】
本発明のプリフォームは、注入、減圧バッグ成形、加圧バッグ成形、オートクレーブ成形、樹脂トランスファ成形(RTM)、反応射出成形(RIM)、強化反応射出成形(R-RIM)及びこれらの変形、プレス成形又は圧縮成形等の方法において使用される。
【0104】
該方法は、好ましくは樹脂トランスファ成形である。
【0105】
このプロセス中に、マトリックス又は連続相がプリフォームに添加され、耐衝撃性改良高分子複合材料又は高分子複合材料を含む機械的若しくは構造化部品又は物品が得られる。
【0106】
高分子複合材料のマトリックス又は連続相は、熱硬化性ポリマー又は熱可塑性ポリマーである。
【0107】
一例として、耐衝撃性改良高分子複合材料を製造するための方法は、成形工程によって行われる。この方法は一般に、金型の輪郭に合うようにプリフォームを成形する工程、成形したプリフォームを金型に入れる工程、未硬化若しくは溶融成形樹脂又は重合シロップを金型に注入する工程、及びその後成形樹脂を硬化又は冷却又は必要に応じて重合して、立体成形ポリマー複合物を形成する工程を必要とする。
【0108】
[評価方法]
【0109】
粒径分析
多段重合後の一次粒子の粒径は、MALVERN社のZetasizer Nano S90で測定される。ポリマー粉末の粒径は、MALVERN社のMalvern Mastersizer 3000で測定される。体積メジアン粒径D50の推定のため、0,5~880μmの範囲を測定する、300mmレンズを備えたMalvern Mastersizer 3000装置が使用される。
【0110】
ガラス転移温度
多段ポリマーのガラス転移点(Tg)は、熱機械分析を実行することができる機器で測定される。Rheometrics社により提案されたRDAII 「RHEOMETRICS DYNAMIC ANALYSER」が使用されている。この熱機械分析は、適用される温度、ひずみ又は変形の関数として試料の粘弾性変化を正確に測定する。この装置は、温度変化の制御プログラムの間中、ひずみを固定したまま、試料の変形を継続的に記録する。結果は、温度、弾性率(G’)、損失弾性率、及びタン・デルタの関数として、図面により得られる。Tgは、タン・デルタの導関数がゼロに等しい場合、タン・デルタ曲線で読み取られる、比較的高い温度値である。
【0111】
[実施例]
【0112】
以下の材料を使用又は調製した。
【0113】
ガラス繊維織物の形態の繊維質基材が使用される。
【0114】
多段ポリマーとして、米国特許第4278576号に記載の、標準的な乳化重合技術を用いる技術に従って高分子耐衝撃性改良剤を調製する。
【0115】
高分子耐衝撃性改良剤(IM1)として、89.2部のブチルアクリレート、0.4部のブチレングリコールジアクリレート、及び0.4部のジアリルマレエートをエラストマーコアとして用いる多段工程により、続いて10部のメチルメタクリレートの重合によって、コア/シェル型アクリル系ポリマー耐衝撃性改良剤を調製する。固形分は、(IM1)の水性分散体の40%である。
【0116】
ガラス繊維織物を浸すために、(IM1)の水性分散体に織物を数回漬ける。織物上の分散液から異なる量の多段ポリマー(IM1)を得るために、浸漬工程の数は、変えられる。
【0117】
50℃のオーブン内で織物を乾燥させる。
【0118】
織物中の多段ポリマーの量は、浸漬前及び乾燥後に織物を秤量することによって計算される。
【0119】
以下の生成物が得られる。
【0120】
実施例1:多段ポリマー(IM1)は、織物中に7重量%である。
【0121】
実施例2:多段ポリマー(IM1)は、織物中に12重量%である。
【0122】
比較実施例1:多段ポリマー(IM1)は、織物中に3重量%である。
【0123】
約1mmの厚さを得るために、各織物又はプライの3層を積み重ねる。スタックを圧力下で金型に入れ、10分間で20℃から200℃まで温度を上昇させる。200℃を15分間保持し、その後金型を25分間で70℃に冷却し、プリフォームを金型から取り出す。
【0124】
プライ間の結合は、プリフォームを製造するのに十分である。実施例1及び2で製造されたプリフォームは、数週間その形状を維持してから、プリフォームとして使用することができる。
【0125】
比較実施例2:(IM1)の水性分散体を回収し、ポリマー組成物を噴霧乾燥により乾燥させた。得られたポリマー組成物を、攪拌しながら20℃でメチルエチルケトン(MEK)と混合して、MEKに対して40重量%のIM1が多段ポリマーIM1を含む組成物中に存在するようにする。得られた混合物は、多段ポリマーIM1の膨潤が原因で液体なのではない。
【0126】
比較実施例3:(IM1)の水性分散体を回収し、ポリマー組成物を噴霧乾燥により乾燥させた。得られたポリマー組成物を、攪拌しながら20℃でメチルエチルケトン(MEK)と混合して、MEKに対して5重量%のIM1が多段ポリマーIM1を含む組成物中に存在するようにする。得られた混合物は、多段ポリマーIM1の膨潤が原因で粘性なのではない。ガラス繊維織物を浸すために、混合物に織物を数回漬ける。同数の浸漬工程の後、繊維上の多段ポリマー(IM1)の量は、(IM1)の水性分散体の場合よりも重要性が低い。さらに、溶媒が蒸発して臭いがする。