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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】回転機
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/50 20060101AFI20220607BHJP
【FI】
H02K3/50 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019003877
(22)【出願日】2019-01-11
(65)【公開番号】P2020114116
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 知香
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 玲二
(72)【発明者】
【氏名】舟山 哲矢
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-115910(JP,A)
【文献】特開2004-336897(JP,A)
【文献】特開2004-104996(JP,A)
【文献】特開昭62-23341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/30- 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心方向に突出したコイルエンドを有する円筒状のステータと、前記コイルエンドの前記軸心方向における外側端面に対向して設けられたバスバーモジュールと、を備える回転機であって、
前記バスバーモジュールの本体における前記軸心方向に対する径方向の端部には、前記軸心方向に貫通する貫通溝が複数設けられ、前記貫通溝における前記軸心方向に対する径方向の端部側の開口を閉じるように前記本体と一体に形成されたブリッジが設けられ、
前記ブリッジを包んだ状態且つ前記ブリッジ及び前記コイルエンドを架橋した状態で硬化した接着剤によって、前記バスバーモジュールと前記コイルエンドとが固定されている
ことを特徴とする回転機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバーモジュールとステータのコイルエンドとが接着剤で固定された回転機に関する。
【背景技術】
【0002】
ステータの端部にあるコイルエンドに対向してバスバーモジュールが設けられた回転機が知られている。例えば、特許文献1に記載の回転機がそれである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-25743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の回転機では、バスバーモジュールは取付ピンによりステータのコア部に取り付けられ、これによりコイルエンドに対向してバスバーモジュールが設けられている。ここで、回転機の作動中のノイズ、振動、又は共振を抑制するため、バスバーモジュールとコイルエンドとを接着剤により固定することが考えられる。しかし、塗布された硬化前の接着剤がコイルエンドの巻線間に浸透してしまい、バスバーモジュールとコイルエンドとが接着剤で固定できないおそれがある。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、バスバーモジュール及びコイルエンドの接着剤による固定の信頼性を向上できる回転機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨とするところは、軸心方向に突出したコイルエンドを有する円筒状のステータと、前記コイルエンドの前記軸心方向における外側端面に対向して設けられたバスバーモジュールと、を備える回転機であって、(a)前記バスバーモジュールの本体における前記軸心方向に対する径方向の端部には、前記軸心方向に貫通する貫通溝が複数設けられ、前記貫通溝における前記軸心方向に対する径方向の端部側の開口を閉じるように前記本体と一体に形成されたブリッジが設けられ、(b)前記ブリッジを包んだ状態且つ前記ブリッジ及び前記コイルエンドを架橋した状態で硬化した接着剤によって、前記バスバーモジュールと前記コイルエンドとが固定されていることにある。
【発明の効果】
【0007】
本発明の回転機によれば、(a)前記バスバーモジュールの本体における前記軸心方向に対する径方向の端部には、前記軸心方向に貫通する貫通溝が複数設けられ、前記貫通溝における前記軸心方向に対する径方向の端部側の開口を閉じるように前記本体と一体に形成されたブリッジが設けられ、(b)前記ブリッジを包んだ状態且つ前記ブリッジ及び前記コイルエンドを架橋した状態で硬化した接着剤によって、前記バスバーモジュールと前記コイルエンドとが固定されている。このように、硬化した接着剤がブリッジを包み且つバスバーモジュール及びコイルエンドを架橋しているため、バスバーモジュール及びコイルエンドの接着剤による固定の信頼性が向上する。
【0008】
ここで、好適には本発明において、前記軸心方向において、前記ブリッジの外側端面と前記コイルエンドの外側端面との間の距離は、前記本体の外側端面と前記コイルエンドの外側端面との間の距離よりも短い。このようにブリッジの外側端面の方が、本体の外側端面よりもコイルエンドの外側端面に近い。そのため、貫通溝においてブリッジの外側端面側から塗布された硬化前の接着剤は、ブリッジの外側端面側からブリッジの径方向内側端面及び径方向外側端面(貫通溝側の端面)を包みながら下側にあるコイルエンド側にわたって垂れることとなり、ブリッジを包んだ状態且つブリッジ及びコイルエンドを架橋した状態で硬化した接着剤が容易に形成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例に係る電動機の概略構成を説明する断面図である。
図2図1に示すバスバーモジュールの一部についての斜視図及び平面図であって、(a)はバスバーモジュールの斜視図であり、(b)はコイルエンドとは反対側から見たバスバーモジュールの平面図である。
図3図1に示すバスバーモジュールを周方向に展開して矢印A方向から見た模式図であって、(a)は接着剤を塗布する前の状態であり、(b)は塗布した接着剤が硬化した後であってバスバーモジュールとコイルエンドとが固定された状態である。
図4図3(b)に示すバスバーモジュールを矢印B方向から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比及び形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例
【0011】
図1は、本発明の実施例に係る電動機10の概略構成を説明する断面図である。電動機10は、例えばハイブリッドカーや電気自動車(EV)等の車両駆動用の電動機であり、ステータ20、ロータ30、シャフト40、バスバーモジュール50、及びハウジング80を備える。なお、電動機10は、本発明における「回転機」に相当する。
【0012】
ステータ20は軸心Cを中心とする円筒状であり、ステータコア部22、ステータ歯部24、スロット26、及び巻線28を備える。ステータコア部22及びステータ歯部24は、高透磁率の磁性材料である。ステータコア部22は環状の部材である。ステータコア部22の内周面から径方向の内方側に、ステータ歯部24が複数個突出している。ステータ歯部24は、軸心C方向に伸びている。周方向に互いに隣接するステータ歯部24の間には、溝状の空間であるスロット26が形成されている。それぞれのスロット26には、それらスロット26間のステータ歯部24を電磁石とするためにリボン状銅板などの長手状導体板が絶縁被覆された巻線28が巻装されてコイルが形成されている。ステータ20に形成されたスロット26から巻線28が軸心C方向に突出している部分が、コイルエンド28aである。コイルエンド28aは、スロット26から巻線28が軸心C方向に外側端面28sまで突出している。軸心C方向において、コイルエンド28aはステータ20の一端部側及び他端部側にある。
【0013】
ロータ30は、ステータ20の径方向の内方側に空隙を介してステータ20の軸心Cと同心に配置されている。
【0014】
シャフト40は、ロータ30の径方向中心部を貫通し、ロータ30の両端から軸心C方向にそれぞれ伸びている。
【0015】
電動機10では、例えばステータ20の巻線28が巻装されたコイルに位相の異なる交流が印加されることで回転磁界が生成され、この回転磁界に対してロータ30が吸引・反発させられることによってロータ30が回転させられる。シャフト40は、ロータ30と一体的に回転させられる。
【0016】
非回転部材であるハウジング80は、ステータ20、ロータ30、シャフト40、及びバスバーモジュール50をその内部に収容し、ステータ20を連結して固定している。ハウジング80は、軸受を介してシャフト40を支持している。シャフト40の両端部は、ハウジング80の外部にも伸びている。
【0017】
図2は、図1に示すバスバーモジュール50の一部についての斜視図及び平面図であって、(a)はバスバーモジュール50の斜視図であり、(b)はコイルエンド28aとは反対側から見たバスバーモジュール50の平面図である。図2(a)は、軸心C方向に対する径方向内側、且つ、軸心C方向においてコイルエンド28a側から見た斜視図であり、図2(b)は、軸心C方向においてコイルエンド28aとは反対側から見た平面図である。
【0018】
バスバーモジュール50は、樹脂製の本体52がその内部に巻線28に電流を流す複数本の導体板(バスバー)を内蔵して成形されている。軸心C方向におけるコイルエンド28aとは反対側から見た平面図(図1に示す矢印A方向から見た平面図)では、本体52がコイルエンド28aの外側端面28sに対向するように軸心Cを中心として円弧状又は円環状の形状とされている。例えば、バスバーモジュール50内の導体板は、U相バスバー、V相バスバー、及びW相バスバーや中性線バスバーである。バスバーモジュール50は、バスバーモジュール50内の各導体板の端部であって本体52から露出しているそれぞれの電極端子58を有する。これら電極端子58は、図1に示すようにコイルエンド28aの端子70に溶接される。また、バスバーモジュール50内の各導体板は、本体52から露出している不図示の三相端子をそれぞれ有する。ステータ20に巻線28が巻装されたコイルには、バスバーモジュール50内の各導体板(三相端子及び電極端子58を含む)を介して電流が流され、ステータ20には回転磁界が生成される。
【0019】
バスバーモジュール50の本体52の軸心C方向に対する径方向内側端部には、軸心C方向に貫通する貫通溝56が複数設けられている。後述するように貫通溝56の開口には、硬化後の接着剤90中においてアンカーとして機能するブリッジ54が、貫通溝56の開口の一部を閉じるように本体52と一体に形成されている。貫通溝56はバスバーモジュール50の本体52における軸心C方向に対する径方向の内側端部に設けられ、ブリッジ54は本体52のその径方向の内側端部側に設けられている。すなわち、貫通溝56は、バスバーモジュール50の本体52の前記径方向内側の端部においてその径方向の内方側に開口され、その開口の一部がブリッジ54によって閉じられている。
【0020】
図1に示すように、バスバーモジュール50は、軸心C方向においてコイルエンド28aの外側端面28sに対向して固設されている。コイルエンド28aを構成する巻線28は前述のように長手状導体板が絶縁被覆されたものであるため、コイルエンド28aは比較的粗く構成されており、コイルエンド28aの外側端面28sには平坦面が少なく、後述の図4に示すように、バスバーモジュール50と外側端面28sとの間に隙間がある。
【0021】
図3は、図1に示すバスバーモジュール50を周方向に展開して矢印A方向から見た模式図であって、(a)は接着剤90を塗布する前の状態であり、(b)は塗布した接着剤90が硬化した後であってバスバーモジュール50とコイルエンド28aとが固定された状態である。図4は、図3(b)に示すバスバーモジュール50を矢印B方向から見た模式図である。矢印Bは、軸心C方向に対する径方向内方側から径方向外方側に向かう方向である。
【0022】
前述したように、バスバーモジュール50の本体52には、軸心C方向に貫通する貫通溝56が複数設けられ、貫通溝56の開口には、硬化後の接着剤90中においてアンカーとして機能するブリッジ54が貫通溝56の開口の一部を閉じるように本体52と一体に形成されている。ブリッジ54は、貫通溝56の開口の一部を閉じるように貫通溝56の相対向する内壁面の前記開口側を周方向に接続する1本の柱状の構造である。軸心C方向において、ブリッジ54の外側端面54sとコイルエンド28aの外側端面28sとの間の距離R2は、本体52の外側端面52sとコイルエンド28aの外側端面28sとの間の距離R1よりも短い。すなわち、貫通溝56の開口には、ブリッジ54が貫通溝56の相対向する一対の側壁面のうちコイルエンド28a側に架け渡されるように本体52と一体に形成されている。なお、外側端面52sは、本体52において軸心C方向におけるコイルエンド28aとは反対側の面であり、外側端面54sは、ブリッジ54において軸心C方向におけるコイルエンド28aとは反対側の面である。なお、図3及び図4では、比較のためにブリッジ54が無い貫通溝66も合わせて図示している。
【0023】
バスバーモジュール50を鉛直線上側とし、コイルエンド28aを鉛直線下側とした状態(軸心C方向が鉛直線方向と同じである状態)で、貫通溝56の上側(ブリッジ54の外側端面54s側)から塗布された硬化前の接着剤90は、ブリッジ54の外側端面54s側からブリッジ54の軸心C方向に対する径方向の内側端面及び外側端面(貫通溝56側の端面)を包みながら下側にあるコイルエンド28a側に垂れる。そして硬化前の接着剤90の一部は、接着剤90aとしてコイルエンド28aの巻線28間に浸透する。このように塗布された硬化前の接着剤90は、ブリッジ54に絡まって保持されるため、硬化した接着剤90は、ブリッジ54を包んだ状態且つブリッジ54及びコイルエンド28aを架橋した状態(ブリッジ54及びコイルエンド28aにわたった状態)となる。すなわち、ブリッジ54を包んだ状態且つブリッジ54及びコイルエンド28aを架橋した状態で硬化した接着剤90によって、バスバーモジュール50とコイルエンド28aとが固定されている。接着剤90は、例えば高粘度ワニスである。
【0024】
一方、バスバーモジュール50を鉛直線上側とし、コイルエンド28aを鉛直線下側とした状態で、貫通溝66の上側から塗布された硬化前の接着剤92は、その接着剤92が絡まって保持されるブリッジ54が無いため、硬化前の接着剤92は貫通溝56に比較してコイルエンド28a側に垂れやすくコイルエンド28aの巻線28間に接着剤92aとして浸透してしまう。そのため、バスバーモジュール50とコイルエンド28aとは硬化した接着剤92によっては固定されていない状態となってしまう。特に、巻線28が前述した長手状導体板のような太い所謂平角線の場合には、細い所謂丸線の場合に比べてコイルエンド28aの巻線28間の隙間が大きくなりやすく、塗布された硬化前の接着剤92はコイルエンド28aの巻線28間に浸透しやすい。
【0025】
本実施例によれば、(a)バスバーモジュール50の本体52の軸心C方向に対する径方向の内側端部には、軸心C方向に貫通する貫通溝56が複数設けられ、貫通溝56における軸心C方向に対する径方向の内側端部側の開口の一部を閉じるようにバスバーモジュール50の本体52と一体に形成されたブリッジ54が設けられ、(b)ブリッジ54を包んだ状態且つブリッジ54及びコイルエンド28aを架橋した状態で硬化した接着剤90によって、バスバーモジュール50とコイルエンド28aとが固定されている。このように、硬化した接着剤90がブリッジ54を包み且つバスバーモジュール50及びコイルエンド28aにわたっているため、ブリッジ54がアンカーとして機能してバスバーモジュール50及びコイルエンド28aの接着剤90による固定の信頼性が向上する。また、バスバーモジュール50の前記径方向の内方側からバスバーモジュール50の本体52の前記径方向の内側端部に設けられたブリッジ54が硬化した接着剤90で包まれていることを軸心C側からカメラによって画像検査することによって、バスバーモジュール50及びコイルエンド28aが硬化した接着剤90により固定されていることが容易に確認できる。好適には、接着剤90が着色されていると、上述の画像検査の検出精度が向上する。
【0026】
本実施例によれば、軸心C方向において、ブリッジ54の外側端面54sとコイルエンド28aの外側端面28sとの間の距離R2は、本体52の外側端面52sとコイルエンド28aの外側端面28sとの間の距離R1よりも短い。このようにブリッジ54の外側端面54sの方が、本体52の外側端面52sよりもコイルエンド28aの外側端面28sに近い。そのため、貫通溝56の上側(ブリッジ54の外側端面54s側)から塗布された硬化前の接着剤90は、ブリッジ54の外側端面54s側からブリッジ54における軸心C方向に対する径方向の内側端面及び外側端面(貫通溝56側の端面)を包みながら下側にあるコイルエンド28aまで架橋して垂れることとなり、ブリッジ54を包んだ状態且つブリッジ54及びコイルエンド28aを架橋した状態で硬化した接着剤90が容易に形成される。
【0027】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0028】
前述の実施例では、バスバーモジュール50及びコイルエンド28aが硬化した接着剤90で固定されるのは電動機10であったが、これに限らない。本発明の適用対象は、電動機、発電機、又は電動機機能と発電機機能とを併せ持つ所謂モータジェネレータなどの回転機であれば良い。
【0029】
前述の実施例では、図1に示す矢印A方向から見た平面図では、バスバーモジュール50の本体52は、コイルエンド28aの外側端面28sに対向するように軸心Cを中心として円弧状又は円環状の形状とされていたが、これに限らない。例えば、バスバーモジュール50の本体52は、バスバーモジュール50のブリッジ54がコイルエンド28aの外側端面28sに対向していれば、図1に示す矢印A方向から見た平面図において長方形など他の形状であっても良い。長方形のような形状であっても、ブリッジ54を包んだ状態且つブリッジ54及びコイルエンド28aを架橋した状態で硬化した接着剤90によって、バスバーモジュール50とコイルエンド28aとが固定されれば、バスバーモジュール50及びコイルエンド28aの接着剤90による固定の信頼性が向上するなど前述の実施例1と同様の効果を奏する。
【0030】
前述の実施例では、貫通溝56はバスバーモジュール50の本体52の軸心C方向に対する径方向の内側端部に設けられ、ブリッジ54は本体52の前記径方向の内側端部側に設けられていたが、これに限らない。例えば、貫通溝56がバスバーモジュール50の本体52の前記径方向の外側端部に設けられ、ブリッジ54が本体52の前記径方向の外側端部側に設けられても良い。このように貫通溝56が本体52の前記径方向の内側端部及び前記径方向の外側端部のいずれかの前記径方向の端部に設けられれば、前述の実施例と同様の効果を奏する。
【0031】
前述の実施例では、軸心C方向において、ブリッジ54の外側端面54sとコイルエンド28aの外側端面28sとの間の距離R2は、本体52の外側端面52sとコイルエンド28aの外側端面28sとの間の距離R1よりも短かったが、これに限らない。例えば、距離R2が距離R1と同じであっても良い。距離R2が距離R1と同じである場合、ブリッジ54は貫通溝56の開口を全て閉じるように本体52と一体に形成された形状となる。距離R2が距離R1と同じあっても、塗布された硬化前の接着剤90がブリッジ54に絡まって保持され、ブリッジ54を包んだ状態且つブリッジ54及びコイルエンド28aを架橋した状態で硬化した接着剤90によってバスバーモジュール50とコイルエンド28aとが固定されれば、ブリッジ54がアンカーとして機能して接着剤90による固定の信頼性が向上する。
【0032】
前述の実施例では、ブリッジ54は、本体52に形成された貫通溝56の開口の一部を閉じるように貫通溝56の相対向する内壁面の前記開口側を周方向に接続する1本の柱状の構造であったが、これに限らない。例えば、ブリッジ54は、その中間部が開放された一対の突起のように前記相対向する内壁面を接続していない構造であっても良いし、格子状など他の形状であっても良い。要するに、ブリッジ54は、アンカーとしての機能を発揮する形状であれば良い。
【0033】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0034】
10:電動機(回転機)
20:ステータ
26:スロット
28:巻線
28a:コイルエンド
50:バスバーモジュール
52:本体
54:ブリッジ
56:貫通溝
90:接着剤
C:軸心
図1
図2
図3
図4