(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】野球またはソフトボール用捕球具
(51)【国際特許分類】
A63B 71/14 20060101AFI20220607BHJP
【FI】
A63B71/14 F
(21)【出願番号】P 2019152547
(22)【出願日】2019-08-23
【審査請求日】2021-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】粂 和弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 充
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-198749(JP,A)
【文献】特開2002-301182(JP,A)
【文献】特開2007-228996(JP,A)
【文献】特開昭59-88177(JP,A)
【文献】実開平6-26951(JP,U)
【文献】実開昭57-197982(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 71/14
A63B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の手に装着される野球またはソフトボール用捕球具であって、
前記装着者の前記手を挿入可能な手口と、
前記装着者の前記手の各指を受け入れ可能な指部と、
前記指部に接続され、かつ前記装着者の前記手の手の甲に沿う手甲部とを備え、
前記手甲部は、樹脂により構成されており、
前記手甲部には、第1切込みが設けられており、
前記第1切込みは、前記手口から前記指部に向けて延びている、野球またはソフトボール用捕球具。
【請求項2】
前記指部は、前記装着者の前記手の人差し指を受け入れ可能な人差し指部を含み、
前記第1切込みは、前記人差し指部が延びる方向に沿って延びている、請求項1に記載の野球またはソフトボール用捕球具。
【請求項3】
前記第1切込みは、前記手口から前記人差し指部に達するように設けられている、請求項2に記載の野球またはソフトボール用捕球具。
【請求項4】
前記指部には、第2切込みが設けられており、
前記第2切込みは、前記人差し指部の指先から前記手口に向けて延びている、請求項2または3に記載の野球またはソフトボール用捕球具。
【請求項5】
前記指部は、前記装着者の前記手の親指を受け入れ可能な親指部を含み、
前記手甲部には、第3切込みが設けられており、
前記第3切込みは、前記第1切込みに接続されており、かつ前記第1切込みから前記人差し指部と前記親指部との間の領域に向けて延びている、請求項2~4のいずれか1項に記載の野球またはソフトボール用捕球具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野球またはソフトボール用捕球具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
野球またはソフトボール用捕球具に装着者の手が挿入された際、装着者の手の各指が指部に固定され、装着者の手の甲が手甲部に固定される。野球またはソフトボール用捕球具と装着者の手との一体感を増すためには、装着者の手の甲が手甲部にしっかりと固定されていることが求められる。
【0003】
特開2018-198749号公報(特許文献1)には、装着者の手の各指を受け入れ可能な指部と、装着者の手の手掌を受け入れ可能な本体部とは、樹脂を用いて一体的に作製されている野球またはソフトボール用捕球具が記載されている。この公報に記載された野球またはソフトボール用捕球具では、装着者の手の甲を手甲部にしっかりと固定することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記公報に記載された野球またはソフトボール用捕球具では、手甲部の剛性が高いため、野球またはソフトボール用捕球具をスムーズに開閉し難い。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は装着者の手の甲を手甲部にしっかりと固定しつつスムーズに開閉することできる野球またはソフトボール用捕球具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の野球またはソフトボール用捕球具は、装着者の手に装着されるものである。野球またはソフトボール用捕球具は、手口と、指部と、手甲部とを備えている。手口は、装着者の手を挿入可能に構成されている。指部は、装着者の手の各指を受け入れ可能に構成されている。手甲部は、指部に接続され、かつ装着者の手の甲に沿う。手甲部は、樹脂により構成されている。手甲部には、第1切込みが設けられている。第1切込みは、手口から指部に向けて延びている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の野球またはソフトボール用捕球具によれば、手甲部は樹脂により構成されている。このため、装着者の手の甲を手甲部にしっかりと固定することができる。手甲部には第1切込みが設けられており、第1切込みは手口から指部に向けて延びている。このため、野球またはソフトボール用捕球具をスムーズに開閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る野球またはソフトボール用捕球具の受球面側から見た構成を概略的に示す正面図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係る野球またはソフトボール用捕球具の背面側から見た構成を概略的に示す背面図である。
【
図3】本発明の実施の形態1に係る野球またはソフトボール用捕球具の親指部側から見た構成を概略的に示す左側面図である。
【
図4】本発明の実施の形態1に係る野球またはソフトボール用捕球具の指先側から見た構成を概略的に示す上面図である。
【
図5】本発明の実施の形態2に係る野球またはソフトボール用捕球具の背面側から見た構成を概略的に示す背面図である。
【
図6】本発明の実施の形態2に係る野球またはソフトボール用捕球具の指先側から見た構成を概略的に示す上面図である。
【
図7】本発明の実施の形態3に係る野球またはソフトボール用捕球具の背面側から見た構成を概略的に示す背面図である。
【
図8】本発明の実施の形態3に係る野球またはソフトボール用捕球具の親指部側から見た構成を概略的に示す左側面図である。
【
図9】本発明の実施の形態4に係る野球またはソフトボール用捕球具の背面側から見た構成を概略的に示す背面図である。
【
図10】本発明の実施の形態4に係る野球またはソフトボール用捕球具の親指部側から見た構成を概略的に示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、特に言及しない限り、以下の図面において同一または対応する部分には同一の参照符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0011】
(実施の形態1)
図1~
図4を参照して、本発明の実施の形態1に係る野球またはソフトボール用捕球具1の構成について説明する。本発明の実施の形態1では、野球またはソフトボール用捕球具1として野球またはソフトボール用グラブを例示しているが、本発明の実施の形態1に係る野球またはソフトボール用捕球具1は、キャッチャーミット、ファーストミットなどであってもよい。
【0012】
図1および
図2に示されるように、本発明の実施の形態1に係る野球またはソフトボール用捕球具1は、装着者(使用者)の手100に装着されるものである。本発明の実施の形態1に係る野球またはソフトボール用捕球具1は、指部2と、本体部3と、ウェブ部4と、複数の紐部5と、手口6とを主に備えている。
【0013】
指部2は、装着者の手100の各指を受け入れ可能に構成されている。つまり、指部2は、装着者の手100の親指101、人差し指102、中指103、薬指104および小指105を受け入れ可能に構成されている。指部2は、親指部21、人差し指部22、中指部23、薬指部24および小指部25を含んでいる。
【0014】
親指部21は、装着者の手100の親指101を受け入れ可能に構成されている。人差し指部22は、装着者の手100の人差し指102を受け入れ可能に構成されている。中指部23は、装着者の手100の中指103を受け入れ可能に構成されている。薬指部24は、装着者の手100の薬指104を受け入れ可能に構成されている。小指部25は、装着者の手100の小指105を受け入れ可能に構成されている。
【0015】
親指部21、人差し指部22、中指部23、薬指部24および小指部25の各々は、装着者の手100の親指101、人差し指102、中指103、薬指104および小指105の各々をそれぞれ受け入れるように袋状に構成されている。
【0016】
本体部3は、装着者の手100を受け入れ可能に構成されている。本体部3は、装着者の手100を受け入れるように袋状に構成されている。本体部3は、親指部21、人差し指部22、中指部23、薬指部24および小指部25にそれぞれ接続されている。
【0017】
本体部3は、装着者の手100の手掌106側に配置された手掌部31と、装着者の手100の手の甲107側に配置された手甲部32とを含んでいる。
【0018】
手掌部31は、指部2に接続されている。つまり、手掌部31は、親指部21、人差し指部22、中指部23、薬指部24および小指部25にそれぞれ接続されている。手掌部31は装着者の手掌106を覆うように構成されている。
【0019】
手甲部32は、指部2に接続されている。つまり、手甲部32は、親指部21、人差し指部22、中指部23、薬指部24および小指部25にそれぞれ接続されている。手甲部32は装着者の手100の手の甲107に沿うように構成されている。
【0020】
ウェブ部4は、親指部21と人差し指部22との間に配置されている。ウェブ部4は、親指部21と人差し指部22との間の領域の少なくとも一部を覆うように構成されている。本発明の一実施の形態における野球またはソフトボール用捕球具1では、ウェブ部4には網目は設けられていない。なお、ウェブ部4の構成はこれに限定されず、ウェブ部4には網目が設けられていてもよい。
【0021】
複数の紐部5のうち一部の紐部5は、親指部21および人差し指部22の各々とウェブ部4とにまたがって配置されている。また、複数の紐部5のうち他の紐部5は、人差し指部22から小指部25にわたって隣り合う指部同士にまたがって配置されている。本発明の実施の形態1に係る野球またはソフトボール用捕球具1では、複数の紐部5の各々は1本の紐状に構成されている。なお、複数の紐部5の各々の構成はこれに限定されず、2本の交差する紐状に構成されていてもよい。また、紐部5は無くてもよい。この場合、指部2が一体として構成されていてもよい。
【0022】
手口6は、野球またはソフトボール用捕球具1に装着者の手100を挿入するための挿入口である。手口6は、装着者の手100を挿入可能に構成されている。手口6は、本体部3の端部に設けられている。具体的には、手口6は、手掌部31および手甲部32の各々の指部2と反対側の端部に設けられている。手口6は、装着者の手100の手首108に沿うように設けられている。
【0023】
受球面7は、装着者の手100の手掌106側に配置されている。受球面7はボールを受けるためのものである。受球面7は、指部2、本体部3、ウェブ部4、および紐部5の各部の装着者の手100の手掌106側に配置された部分により構成されている。本体部3の手掌部31は受球面7の一部を構成している。
【0024】
背面8は、装着者の手の甲107側に配置されている。背面8は、指部2、本体部3、ウェブ部4および紐部5の各部の装着者の手の甲107側に配置された部分により構成されている。本体部3の手甲部32は背面8の一部を構成している。
【0025】
本発明の実施の形態1では、指部2と、本体部3と、ウェブ部4と、紐部5とは、樹脂により構成されている。具体的には、指部2と、本体部3と、ウェブ部4と、紐部5とは、樹脂を用いて一体的に作製されている。ここで一体的に作製されているとは、1つの部材で作製されていることを意味している。
【0026】
本発明の実施の形態1では、本体部3の手甲部32が樹脂により構成されていればよい。なお、本体部3の手掌部31が樹脂により構成されていてもよい。また、指部2と、本体部3とが樹脂により構成されていてもよい。さらに、指部2と、本体部3と、ウェブ部4とが樹脂により構成されていてもよい。
【0027】
樹脂は、単一の材料からなっていてもよい。また、樹脂は、複数の材料からなっていてもよい。
【0028】
樹脂は、JISK6251の引張試験の条件を参考に引張り試験を実施した場合に、100%以上伸長可能なエラストマーからなっていてもよい。ここで100%以上伸長可能とは、引張り試験において樹脂(試料)が破断するまでに100%以上伸長可能であることを意味している。また、樹脂は、初期弾性率が1.3MPa以下のエラストマーからなっていてもよい。樹脂は、初期弾性率が0.01MPa以上のエラストマーからなっていてもよい。樹脂は、革よりも高い剛性を有している。
【0029】
樹脂は、具体的には、たとえば、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリブタジエン系エラストマー、シリコンゴム等である。また、樹脂は、たとえば、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン等の熱可塑性合成樹脂の発泡体、ポリウレタン(PU)等の熱硬化性樹脂の発泡体、または天然ゴム、合成ゴム等のラバー素材の発泡体でもよい。合成ゴムとしては、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、ポリクロロプレン、イソブチレン-イソプレン共重合体等を用いることができる。
【0030】
なお、本発明の実施の形態1では、指部2と、本体部3と、ウェブ部4と、紐部5とが樹脂を用いて一体的に作製されているため、指部2、本体部3、ウェブ部4および紐部5の各々を縫着する縫い目がない。
【0031】
手甲部32には、第1切込みC1が設けられている。第1切込みC1は、手甲部32を貫通している。第1切込みC1は、手口6から指部2に向けて延びている。第1切込みC1は、手口6から指部2に向けて直線上に延びている。第1切込みC1は、第1切込みC1が延びる方向と交差する方向に幅を有している。第1切込みC1は、手口6から指部2に向けて幅が狭くなるように構成されている。つまり、第1切込みC1は、第1切込みC1の根元から先端に向けて幅が狭くなるように構成されている。
【0032】
第1切込みC1は、人差し指部22が延びる方向に沿って延びている。つまり、第1切込みC1は、人差し指部22の根元から先端に向かう方向に沿って延びている。人差し指部22を含む各指部の根元は、各指部の本体部3に接続された部分である。第1切込みC1は、人差し指部22が延びる方向に沿って人差し指部22と重なるように配置されている。第1切込みC1は、手口6から人差し指部22に達するように設けられている。つまり、第1切込みC1は、手口6から人差し指部22の根元を超えて先端側まで延びている。なお、第1切込みC1は、人差し指部22の根元から先端に向けて人差し指部22の全長の3分の1以下の長さで延びていてもよい。
【0033】
図2および
図3に示されるように、野球またはソフトボール用捕球具1が装着者の手100に装着されていない状態において、指部2および本体部3は、装着者の手首側から指先側にわたって手掌106側から手の甲107側に突出するように湾曲している。つまり、野球またはソフトボール用捕球具1が装着者の手100に装着されていない状態で、
図3において両矢印で示すように、装着者の手首側から指先側にわたって背面側に膨らむように背面8のアーチ形状が維持されている。樹脂の厚さ、硬さなどを適宜選択することにより、装着者の手首側から指先側にわたって背面側に膨らむように背面8のアーチ形状を維持することが可能である。
【0034】
図2および
図4に示されるように、野球またはソフトボール用捕球具1が装着者の手100に装着されていない状態において、指部2および本体部3は、装着者の親指101側から小指105側にわたって手掌106側から手の甲107側に突出するように湾曲している。つまり、野球またはソフトボール用捕球具1が装着者の手100に装着されていない状態で、
図4において両矢印で示すように、装着者の親指101側から小指105側にわたって背面側に膨らむように背面8のアーチ形状が維持されている。樹脂の厚さ、硬さなどを適宜選択することにより、装着者の親指101側から小指105側にわたって背面側に膨らむように背面8のアーチ形状を維持することが可能である。
【0035】
次に、本発明の実施の形態1に係る野球またはソフトボール用捕球具1の製造方法について説明する。
【0036】
本発明の実施の形態1に係る野球またはソフトボール用捕球具1は、3Dプリンタ(三次元造形装置)により製造される。3Dプリンタの造形方法は限定されない。3Dプリンタの造形方法として、たとえば、材料押出法、材料噴射法、粉末床溶融結合法、結合剤噴射法、液槽光重合法などがある。
【0037】
材料押出法(material extrusion)は、フィラメント化した熱可塑性樹脂(造形材料)をノズル内で溶融し、溶融した該造形材料をノズルから射出し、積層する方法である。材料押出法の通称は、熱溶解積層方式(FDM:Fused Deposition ModelingまたはFFF:Fused Filament Fabrication)である。
【0038】
材料噴射法(material jetting)は、光硬化性樹脂をヘッドから吹き付け、紫外線で硬化させながら積層する方法である。材料噴射法の通称は、インクジェット式、マテリアルジェッティングまたはMJP(MultiJet Printing)である。
【0039】
粉末床溶融結合法(powder bed fusion)は、敷き詰められた粉末にレーザ光を当てて焼結させ積層する方法である。粉末床溶融結合法の通称は、粉末焼結、SLS(Selective Laser Sintering)、DMLS(Direct Metal Laser Sintering)、EBM(Electron Beam Melting)またはSLM(Selective Laser Melting)である。
【0040】
結合剤噴射法(binder jetting)は、敷き詰められた粉末にバインダ(接着剤)を吹き付けて固定させ積層する方法である。結合剤噴射法の通称は、インクジェット式、バインダージェットまたはCJP(Color Jet Printing)である。
【0041】
液槽光重合法(vat photopolymerization)は、液体の光硬化性樹脂を入れたプールにレーザ光を当て、硬化させて積層する方法である。液槽光重合法の通称は、光造形またはSLA(Stereolithography)である。
【0042】
次に、本発明の実施の形態1に係る野球またはソフトボール用捕球具1の作用効果について説明する。
【0043】
本発明の実施の形態1に係る野球またはソフトボール用捕球具1によれば、手甲部32は樹脂により構成されている。したがって、革よりも高い剛性を有する樹脂によって手甲部32の形状を維持することができる。このため、装着者の手の甲107を手甲部32にしっかりと固定することができる。手甲部32には第1切込みC1が設けられており、第1切込みC1は手口6から指部2に向けて延びている。したがって、第1切込みC1によって局所的に手甲部32の剛性を下げることができる。このため、野球またはソフトボール用捕球具1をスムーズに開閉することができる。
【0044】
本発明の実施の形態1に係る野球またはソフトボール用捕球具1によれば、第1切込みC1は、人差し指部22が延びる方向に沿って延びている。人差し指部22は、野球またはソフトボール用捕球具1が開閉するときに軸として機能する。したがって、野球またはソフトボール用捕球具1が開閉するときに軸として機能する人差し指部22が延びる方向に沿って第1切込みC1によって手甲部32の剛性を下げることができる。このため、野球またはソフトボール用捕球具1をスムーズに開閉することができる。
【0045】
本発明の実施の形態1に係る野球またはソフトボール用捕球具1によれば、第1切込みC1は、手口6から人差し指部22に達するように設けられている。このため、第1切込みC1によって手甲部32の剛性を確実に下げることができる。このため、野球またはソフトボール用捕球具1をスムーズに開閉することができる。
【0046】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る野球またはソフトボール用捕球具1では、特に説明しない限り、実施の形態1に係る野球またはソフトボール用捕球具1と同様の構成および作用効果を有している。
【0047】
図5および
図6を参照して、本発明の実施の形態2に係る野球またはソフトボール用捕球具1は、指部2の形状が実施の形態1に係る野球またはソフトボール用捕球具1と主に異なっている。
【0048】
本発明の実施の形態2に係る野球またはソフトボール用捕球具1では、指部2に第2切込みC2が設けられている。第2切込みC2は、指部2を貫通している。第2切込みC2は、人差し指部22の指先から手口6に向けて延びている。第2切込みC2は、人差し指部22の指先から根元に向けて直線上に延びている。第2切込みC2は、第2切込みC2が延びる方向と交差する方向に幅を有している。第2切込みC2は、人差し指部22の先端から根元に向けて幅が狭くなるように構成されている。つまり、第2切込みC2は、第2切込みC2の根元から先端に向けて幅が狭くなるように構成されている。
【0049】
第2切込みC2は、人差し指部22の指先から手口6に向けて延びる方向において、第1切込みC1と重なるように配置されている。つまり、第2切込みC2は、第1切込みC1が延びる方向において第1切込みC1の延長上に配置されている。
【0050】
本発明の実施の形態2に係る野球またはソフトボール用捕球具1によれば、第2切込みC2は、人差し指部22の指先から手口6に向けて延びている。したがって、野球またはソフトボール用捕球具1が開閉するときに軸として機能する人差し指部22が延びる方向に沿って第2切込みC2によって人差し指部22の剛性を下げることができる。このため、野球またはソフトボール用捕球具1をスムーズに開閉することができる。
【0051】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る野球またはソフトボール用捕球具1では、特に説明しない限り、実施の形態2に係る野球またはソフトボール用捕球具1と同様の構成および作用効果を有している。
【0052】
図7および
図8を参照して、本発明の実施の形態3に係る野球またはソフトボール用捕球具1は、手甲部32の形状が実施の形態2に係る野球またはソフトボール用捕球具1と主に異なっている。
【0053】
本発明の実施の形態3に係る野球またはソフトボール用捕球具1では、手甲部32には、第3切込みC3が設けられている。第3切込みC3は、手甲部32を貫通している。第3切込みC3は、第1切込みC1の中央もしくは中央付近に接続されている。つまり、第3切込みC3は、手口6と指部2との間において手口6から離れた位置で第1切込みC1に接続されている。第3切込みC3は、第1切込みC1の中央から人差し指部22と親指部21との間の領域に向けて延びている。第3切込みC3は、人差し指部22と親指部21との間の領域の中央に重なるように配置されていることが好ましい。
【0054】
第3切込みC3は、第1切込みC1の中央から人差し指部22と親指部21との間の領域に向けて直線状に延びている。第3切込みC3は、ウェブ部4に達しないように設けられている。つまり、第3切込みC3は、ウェブ部4の手前まで設けられている。
【0055】
第3切込みC3は、第3切込みC3が延びる方向と交差する方向に幅を有している。第3切込みC3は、第3切込みC3の根元から先端に向けて幅が狭くなるように構成されている。
【0056】
手甲部32には、第4切込みC4が設けられている。第4切込みC4は、手甲部32を貫通している。第4切込みC4は、第1切込みC1の中央または中央付近に接続されている。つまり、第4切込みC4は、手口6と指部2との間で第1切込みC1に接続されている。第4切込みC4は第1切込みC1の中央または中央付近から中指部23と手口6との間の領域に向けて延びている。
【0057】
第4切込みC4は、第1切込みC1の中央または中央付近から中指部23と手口6との間の領域に向けて直線状に延びている。第4切込みC4は、薬指部24と手口6との間の領域に達しないように設けられている。
【0058】
第4切込みC4は、第1切込みC1に対して第3切込みC3と反対側に延びている。第4切込みC4は、第1切込みC1に対して第3切込みC3と反対側に直線状に延びている。第4切込みC4は第1切込みC1を挟んで第3切込みC3と直線状に配置されている。
【0059】
第4切込みC4は、第4切込みC4が延びる方向と交差する方向に幅を有している。第4切込みC4は、第4切込みC4の根元から先端に向けて幅が狭くなるように構成されている。
【0060】
本発明の実施の形態3に係る野球またはソフトボール用捕球具1によれば、第3切込みC3は、第1切込みC1の中央から人差し指部22と親指部21との間の領域に向けて延びている。このため、第3切込みC3によって人差し指部22と親指部21との間で手甲部32の剛性を下げることができる。このため、野球またはソフトボール用捕球具1をスムーズに開閉することができる。
【0061】
本発明の実施の形態3に係る野球またはソフトボール用捕球具1によれば、第4切込みC4は、第1切込みC1の中央から中指部23と手口6との間の領域に向けて延びている。このため、第4切込みC4によって中指部23と手口6との間で手甲部32の剛性を下げることができる。このため、野球またはソフトボール用捕球具1をスムーズに開閉することができる。
【0062】
また、第4切込みC4は、第1切込みC1に対して第3切込みC3と反対側に直線状に延びている。このため、第3切込みC3および第4切込みC4によって野球またはソフトボール用捕球具1をスムーズに開閉する機能を高めることができる。
【0063】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る野球またはソフトボール用捕球具1では、特に説明しない限り、実施の形態1に係る野球またはソフトボール用捕球具1と同様の構成および作用効果を有している。
【0064】
図9および
図10を参照して、本発明の実施の形態4に係る野球またはソフトボール用捕球具1は、指部2および本体部3の形状が実施の形態1に係る野球またはソフトボール用捕球具1と主に異なっている。
【0065】
本発明の実施の形態4に係る野球またはソフトボール用捕球具1では、指部2および本体部3は、受球面7側が革により構成されており、背面8側が樹脂により構成されている。受球面7側の革と背面8側の樹脂とは紐により接続されている。また、受球面7側の革と背面8側の樹脂とは縫製により接続されていてもよい。
【0066】
本発明の実施の形態4では、受球面7側の革は、一般的な革製の野球またはソフトボール用捕球具1と同様に製造されている。背面8は、上述の3Dプリンティング技術により製造されている。また、背面8は、射出成形(インジェクション)、プレス成形により製造されてもよい。
【0067】
本発明の実施の形態4に係る野球またはソフトボール用捕球具1によれば、受球面7側が革により構成されており、背面8側が樹脂により構成されている。このため、野球またはソフトボール用捕球具1の設計の自由度を向上させることができる。
【0068】
上記の各実施の形態は適宜組み合わせることができる。
【0069】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0070】
1 野球またはソフトボール用捕球具、2 指部、3 本体部、4 ウェブ部、5 紐部、6 手口、7 受球面、8 背面、21 親指部、22 人差し指部、23 中指部、24 薬指部、25 小指部、31 手掌部、32 手甲部、100 手、101 親指、102 人差し指、103 中指、104 薬指、105 小指、106 手掌、107 手の甲、108 手首、C1 第1切込み、C2 第2切込み、C3 第3切込み、C4 第4切込み。