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特許7084365コンテンツ配信システムの転送装置及びプログラム
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  • 特許-コンテンツ配信システムの転送装置及びプログラム 図1
  • 特許-コンテンツ配信システムの転送装置及びプログラム 図2
  • 特許-コンテンツ配信システムの転送装置及びプログラム 図3
  • 特許-コンテンツ配信システムの転送装置及びプログラム 図4
  • 特許-コンテンツ配信システムの転送装置及びプログラム 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】コンテンツ配信システムの転送装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/00 20220101AFI20220607BHJP
   H04L 45/74 20220101ALI20220607BHJP
【FI】
H04L67/00
H04L45/74
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019163250
(22)【出願日】2019-09-06
(65)【公開番号】P2021043543
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】植田 一暁
(72)【発明者】
【氏名】田上 敦士
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0317307(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/00
H04L 45/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配信を要求するコンテンツのコンテンツ名を含む要求パケットを、当該コンテンツ名に基づき転送するコンテンツ配信システムの転送装置であって、
他の複数の装置と接続するための複数の通信インタフェースと、
前記複数の通信インタフェースそれぞれの属性を示す属性情報と、コンテンツ名と当該コンテンツ名に関連付けられた1つ以上の属性とを示す制限情報と、を格納する格納手段と、
前記要求パケットを受信すると、前記属性情報に基づき当該要求パケットを受信した通信インタフェースの第1属性を判定し、当該要求パケットに含まれる第1コンテンツ名が前記第1属性に前記制限情報において関連付けられているか否かに応じて受信した前記要求パケットを廃棄するか否かを判定する処理を行う処理手段と、
を備えていることを特徴とする転送装置。
【請求項2】
前記処理手段は、前記制限情報に前記第1コンテンツ名があり、かつ、前記制限情報において前記第1コンテンツ名が前記第1属性に関連付けられている場合、受信した前記要求パケットを廃棄すると判定することを特徴とする請求項1に記載の転送装置。
【請求項3】
前記処理手段は、前記制限情報に前記第1コンテンツ名があるが、前記制限情報において前記第1コンテンツ名が前記第1属性に関連付けられていない場合、受信した前記要求パケットを廃棄すると判定することを特徴とする請求項1に記載の転送装置。
【請求項4】
他の複数の装置と接続するための複数の通信インタフェースを有し、配信を要求するコンテンツのコンテンツ名を含む要求パケットの受信の応答として、前記コンテンツを含むデータ・パケットを、当該要求パケットを受信した通信インタフェースから送信するコンテンツ配信システムの転送装置であって、
前記複数の通信インタフェースそれぞれの属性を示す属性情報と、コンテンツ名と当該コンテンツ名に関連付けられた1つ以上の属性とを示す制限情報と、を格納する格納手段と、
第1コンテンツ名のコンテンツを含むデータ・パケットを第1属性の通信インタフェースから送信できるか否かを、前記第1コンテンツ名が前記第1属性に前記制限情報において関連付けられているか否かにより判定する処理を行う処理手段と、
を備えていることを特徴とする転送装置。
【請求項5】
前記処理手段は、前記制限情報に前記第1コンテンツ名があり、かつ、前記制限情報において前記第1コンテンツ名が前記第1属性に関連付けられている場合、前記データ・パケットを前記第1属性の通信インタフェースから送信できないと判定することを特徴とする請求項4に記載の転送装置。
【請求項6】
前記処理手段は、前記制限情報に前記第1コンテンツ名があるが、前記制限情報において前記第1コンテンツ名が前記第1属性に関連付けられていない場合、前記データ・パケットを前記第1属性の通信インタフェースから送信できないと判定することを特徴とする請求項4に記載の転送装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の転送装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンテンツ名に基づきルーティングを行うコンテンツ配信システムの転送装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンテンツを示すコンテンツ名に基づきコンテンツの要求及び配信を行うコンテンツ配信システムが提案されている。特許文献1は、その様なシステムの1つであるコンテンツ・セントリック・ネットワーク(CCN:Content Centric Networking)を開示している。
【0003】
CCNにおいて、コンテンツを公開するサーバ装置は当該コンテンツを1つ以上のチャンクに分割し、クライアント装置は、この分割されたチャンク単位でコンテンツを取得する。また、CCNにおいて、チャンクの転送を行った通信装置(以下、転送装置と呼ぶ。)は、当該チャンクを保存(キャッシュ)できる。転送装置は、自装置がキャッシュしているチャンクを要求するインタレスト・パケット(要求パケット)をクライアント装置から受信すると、当該インタレスト・パケットをサーバ装置に向けて転送することなく、自装置がキャッシュしているチャンクを、当該インタレスト・パケットの送信元のクライアント装置に向けて送信できる。
【0004】
以下に、転送装置の動作の一例を説明する。転送装置は、CS(Contents Store)と、FIB(Forward Information Base)と、PIT(PIT:Pending Interest Table)を管理する。CSは、自装置がキャッシュしているチャンクを示す情報である。FIBは、インタレスト・パケットが要求するチャンクと、当該インタレスト・パケットを転送すべきインタフェースとの関係を示す情報である。PITは、転送したインタレスト・パケットが要求するチャンクと、当該転送したインタレスト・パケットを受信したインタフェースとの関係を示す情報である。
【0005】
転送装置は、インタレスト・パケットを受信すると、CSを検索し、当該インタレスト・パケットが要求するチャンク(以下、要求チャンク)をキャッシュしているか否かを判定する。要求チャンクをキャッシュしている場合には、自装置がキャッシュしている要求チャンクを含むデータ・パケットを、当該インタレスト・パケットの送信元のクライアント装置に向けて送信する。なお、当該データ・パケットを送信するインタフェースは、当該インタレスト・パケットを受信したインタフェースである。一方、要求チャンクをキャッシュしていない場合、転送装置は、PITを検索して、要求チャンクを要求する別のインタレスト・パケットを既に転送し、要求チャンクの受信待ち状態であるかを判定する。受信待ち状態であると、転送装置は、受信したインタレスト・パケットを転送せず、PITの当該要求チャンクのエントリに当該インタレスト・パケットの受信インタフェースを追加する。一方、要求チャンクの受信待ち状態ではない場合、転送装置は、FIBに基づき判定したインタフェースから当該インタレスト・パケットを転送し、PITに要求チャンクのエントリを追加する。このエントリは、要求チャンクを示す情報と、当該インタレスト・パケットを受信したインタフェースを示す情報を示す。また、転送装置は、チャンクを含むデータ・パケットを受信すると、当該チャンクの転送先インタフェースをPITに基づき判定して転送し、当該チャンクのエントリをPITから削除する。なお、転送先インタフェースは、当該チャンクを要求するインタレスト・パケットを受信したインタフェースである。また、転送装置は、受信して転送したチャンクをキャッシュするとCSを更新する。
【0006】
この様に、CCNにおいて、チャンクを含むデータ・パケットは、当該チャンクを要求するインタレスト・パケットを受信したインタフェースに送信される。よって、チャンクは、当該チャンクを要求するインタレスト・パケットと同じ経路を逆向きに転送されて、当該チャンクを要求したクライアント装置に配信される。インタレスト・パケットには、要求チャンクを示す情報(チャンク名)が含まれるが、インタレスト・パケットの送信元のクライアント装置を特定するための情報は含まれない。したがって、保存しているチャンクを配信するサーバ装置や転送装置は、チャンクを要求したクライアント装置がどの地域又はネットワークに配置されているかを認識できない。つまり、サーバ装置や転送装置は、コンテンツの配信先の地域又はネットワークを制限することができない。
【0007】
特許文献1は、所定の地域又はネットワークへの所定のコンテンツの配信を制限する構成を開示している。特許文献1によると、当該所定の地域又はネットワークに配置される転送装置のFIBには、当該所定のコンテンツのチャンクを要求するインタレスト・パケットに対するエントリを設けないこととしている。この構成により、当該所定の地域又はネットワークに配置される転送装置は、当該所定のコンテンツのチャンクを要求するインタレスト・パケットを廃棄するため、当該所定のコンテンツは、当該所定の地域又はネットワークに配信されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2018-49474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
FIBにおいてはエントリ数を削減するためにチャンク名のプレフィクスを使用する。例えば、20000個のチャンクに分割されたコンテンツ名"/Tokyo/olympic/soccer"のコンテンツがあり、そのチャンク名を"/Tokyo/olympic/soccer/1"~"/Tokyo/olympic/soccer/20000"とする。この20000個のチャンクの転送先インタフェースが総て同じ場合、それぞれが同じ転送先インタフェースを示す20000個のエントリをFIBに設けるのではなく、"/Tokyo/olympic/soccer"の1つのエントリのみをFIBに設ける構成とすることができる。
【0010】
さらに、10000個のチャンクに分割されたコンテンツ名"/Tokyo/olympic/basketball"のコンテンツがあり、そのチャンク名を"/Tokyo/olympic/basketball/1"~"/Tokyo/olympic/basketball/10000"とする。この10000個のチャンクの転送先インタフェースが総て、コンテンツ名"/Tokyo/olympic/soccer"の20000個のチャンクと同じ場合、合計30000個のチャンクそれぞれのエントリをFIBに設けるのではなく、"/Tokyo/olympic"の1つのエントリのみをFIBに設ける構成とすることもできる。
【0011】
ここで、例えば、図1に示す様に、コンテンツ"/Tokyo/olympic/soccer"については配信可能であるが、コンテンツ"/Tokyo/olympic/basketball"の配信が不可のネットワークがあるものとする。このネットワークの転送装置が、"/Tokyo/olympic/soccer"のエントリをFIBに設け、"/Tokyo/olympic/basketball"のエントリをFIBに設けないことで、コンテンツ"/Tokyo/olympic/basketball"のチャンクが当該ネットワークに配信されることを防ぐことができる。しかしながら、当該ネットワークの転送装置が、図1に示す様に"/Tokyo/olympic"のエントリをFIBに設けた場合、"/Tokyo/olympic/basketball"のチャンクを要求するパケットもサーバ装置に向けて転送され、よって、配信を制限できなくなる。
【0012】
本発明は、コンテンツ名に基づきコンテンツのルーティングを行うコンテンツ配信システムにおいて、コンテンツの配信先を制御できる仕組みを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様によると、配信を要求するコンテンツのコンテンツ名を含む要求パケットを、当該コンテンツ名に基づき転送するコンテンツ配信システムの転送装置は、他の複数の装置と接続するための複数の通信インタフェースと、前記複数の通信インタフェースそれぞれの属性を示す属性情報と、コンテンツ名と当該コンテンツ名に関連付けられた1つ以上の属性とを示す制限情報と、を格納する格納手段と、前記要求パケットを受信すると、前記属性情報に基づき当該要求パケットを受信した通信インタフェースの第1属性を判定し、当該要求パケットに含まれる第1コンテンツ名が前記第1属性に前記制限情報において関連付けられているか否かに応じて受信した前記要求パケットを廃棄するか否かを判定する処理を行う処理手段と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、コンテンツ名に基づきコンテンツのルーティングを行うコンテンツ配信システムにおいて、コンテンツの配信先を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】課題の説明図。
図2】一実施形態の説明図。
図3】一実施形態による転送装置が保持する情報を示す図。
図4】一実施形態による転送装置がインタレスト・パケットを受信した際に行う処理のフローチャート。
図5】一実施形態による転送装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0017】
以下では、コンテンツ配信ネットワークが、CCNであるものとして本実施形態の説明を行う。しかしながら、コンテンツ名に基づきルーティングを行う任意のコンテンツ配信ネットワークに対して本発明を適用することができる。特に、以下ではCCNによるコンテンツの配信に従い、チャンクと呼ばれるコンテンツの断片を単位としてコンテンツを配信する形態で本実施形態の説明を行うが、コンテンツを分割することなく配信するネットワークに対しても本発明を適用することができる。したがって、以下の説明におけるチャンク及びチャンク名は、コンテンツ及びコンテンツ名に置換可能である。
【0018】
図2は、本実施形態を説明するためのコンテンツ配信ネットワークの部分を示している。転送装置20は、IF#2により転送装置23に接続し、IF#3により転送装置22に接続し、IF#4により転送装置21に接続している。本実施形態においては、各転送装置に属性情報を与える。属性情報は、例えば、転送装置が配置される地域やネットワークを示す。図2において、転送装置20、21及び22には、属性情報"Tokyo"が付与され、転送装置23には、属性情報"Osaka"が付与されている。
【0019】
図3(A)は、転送装置20のFIBを示している。なお、各図におけるFIBや制限情報のチャンク名フィールドは、チャンク名そのもの以外にも、チャンク名の共通するプレフィクスを示すものとすることができる。図3(A)によると、"/Tokyo/Olympic"をプレフィクスとする任意のチャンク名のチャンクを要求するインタレスト・パケットは、IF#4に、つまり、転送装置21に転送される。図3(B)は、転送装置20に格納されるインタフェース属性情報を示している。インタフェース属性情報は、転送装置20の各インタフェースの属性を示し、インタフェースの属性は、図2に示す様に、当該インタフェースにより接続される接続先の転送装置の属性情報と同じである。各転送装置は、インタフェースにより接続される転送装置から当該転送装置の属性情報を受信し、これを当該インタフェースの属性情報として格納する。図3(C)は、転送装置20に格納される制限情報を示している。図3(C)においては、"/Tokyo/Olympic/basketball"をプレフィクスとする任意のチャンク名のチャンクに関するインタレスト・パケット、或いは、データ・パケットは、属性情報"Tokyo"が付与されている転送装置のみに転送できることが示されている。言い換えると、"/Tokyo/Olympic/basketball"をプレフィクスとする任意のチャンク名のチャンクに関するインタレスト・パケット及びデータ・パケットは、属性情報"Osaka"が付与されている転送装置に転送できないことが示されている。
【0020】
図4は、インタレスト・パケットを受信した際に転送装置20が実行する処理のフローチャートである。S10で、受信したインタレスト・パケットが要求するチャンク(以下、要求チャンク)のエントリが制限情報にあるかを判定する。図3(C)の制限情報の場合、要求チャンクのチャンク名が、"/Tokyo/olympic/basketball"をプレフィクスとする場合、S10の処理はYesとなる。一方、要求チャンクのチャンク名が、"/Tokyo/olympic/soccer"をプレフィクスとする場合、S10の処理はNoとなる。S10がYesの場合、転送装置20は、S11で、インタレスト・パケットを受信したインタフェースの属性が、S10で判定したエントリに含まれているかを判定する。図3(C)の制限情報の場合、"/Tokyo/olympic/basketball"のエントリには、属性情報"Tokyo"が示されているため、インタレスト・パケットを受信したインタフェースがIF#3である場合、S11はYesとなり、IF#2である場合、S11はNoとなる。S11がNoであると、転送装置20は、S12で、受信したインタレスト・パケットを廃棄して処理を終了する。
【0021】
一方、S10でNo、或いは、S11でYesの場合、転送装置20は、受信したインタレスト・パケットを廃棄せず、要求チャンクをインタレスト・パケットの送信元に送信するために必要な通常の処理を行う。つまり、要求チャンクをキャッシュしているかを判定し、キャッシュしている場合、キャッシュしている要求チャンクを、インタレスト・パケットの受信インタフェースから送信する。要求チャンクをキャッシュしていない場合、PITを検索して要求チャンクの受信待ち状態であるかを判定する。要求チャンクの受信待ち状態であると、PITの要求チャンクのエントリにインタレスト・パケットの受信インタフェースを追加する。したがって、要求チャンクを受信した際、要求チャンクは、インタレスト・パケットの受信インタフェースから送信される。また、要求チャンクの受信待ち状態ではないと、FIBに基づきインタレスト・パケットを転送すると共に、PITに要求チャンクのエントリを追加する。したがって、要求チャンクを受信した際、要求チャンクは、インタレスト・パケットの受信インタフェースから送信される。
【0022】
例えば、受信したインタレスト・パケットの要求チャンクが"/Tokyo/olympic/soccer/1"である場合、S10でNoとなるため、当該インタレスト・パケットを、どの転送装置から受信したかに拘わらず、要求チャンクは、インタレスト・パケットを送信した転送装置に送信される。一方、要求チャンクが"/Tokyo/olympic/basketball/1"であるが、当該インタレスト・パケットの受信インタフェースがIF#3である場合、S11でYesとなるため、要求チャンクは、インタレスト・パケットを送信した転送装置22に送信される。しかしながら、要求チャンクが"/Tokyo/olympic/basketball/1"であり、かつ、当該インタレスト・パケットの受信インタフェースがIF#2である場合、S11はNoとなるため、要求チャンクは転送装置23に送信されない。
【0023】
以上の構成により所定のコンテンツの所定の地域又はネットワークへの配信を制限することができる。
【0024】
なお、図4では、インタレスト・パケットを受信時、制限情報に基づき当該インタレスト・パケットを廃棄することで、所定のコンテンツの所定の地域又はネットワークへの配信を制限していた。しかしながら、インタレスト・パケットの受信時には、通常の処理を行い、要求チャンクを含むデータ・パケットの送信時に制限する構成とすることができる。つまり、チャンクを、あるインタフェースから送信する前に、制限情報に基づき、当該チャンクを当該インタフェースから送信できるかを判定し、送信できると判定した場合にのみ当該チャンクを当該インタフェースから送信する構成とすることもできる。
【0025】
例えば、送信するチャンクが"/Tokyo/olympic/soccer/1"である場合、制限情報には、当該チャンクのエントリがないため、転送装置20は、いずれのインタフェースであっても送信することができる。一方、送信するチャンクが"/Tokyo/olympic/basketball/1"である場合、属性情報に示されたTokyoを属性とするIF#3から送信はできるが、属性情報に示されないOsakaを属性とするIF#2からは送信できない。
【0026】
また、本実施形態の制限情報は、制限されない属性を示していたが、制限する属性を示すものとすることができる。例えば、"/Tokyo/olympic/basketball"の転送装置23への配信を制限する場合、図3(C)の属性情報にOsakaを設定する構成とすることもできる。この場合、図4のS11でYesの場合、S12の処理が行われる。なお、制限情報が示す属性が、制限する属性であるか制限しない属性であるかに拘わらず、制限情報の1つのエントリには複数の属性を設定することができる。
【0027】
図5は、本実施形態による転送装置の構成図である。通信部30は、複数の通信インタフェースを有し、インタレスト・パケットや要求パケットの送受信を行う。格納部32は、FIB、PIT、CSに加えて、インタフェース属性情報及び制限情報を格納する。なお、インタフェース情報は、例えば、各通信インタフェースを介して、接続先の転送情報から取得することができる。また、制限情報は、例えば、コンテンツ配信ネットワークのオペレータが設定する。
【0028】
要求パケットを廃棄することでコンテンツの配信先を制限する場合、処理部31は、制限情報において、受信したインタレスト・パケットに含まれる第1コンテンツ名(第1チャンク名)が、当該インタレスト・パケットを受信した通信インタフェースの第1属性に関連付けられているか否かに応じてインタレスト・パケットを廃棄するか否かを判定する。例えば、属性情報が配信できない属性を示す場合、処理部31は、制限情報に第1コンテンツ名があり、かつ、制限情報において第1コンテンツ名が第1属性に関連付けられている場合、当該インタレスト・パケットを廃棄すると判定する。一方、属性情報が配信できる属性を示す場合、処理部31は、制限情報に第1コンテンツ名があるが、制限情報において第1コンテンツ名が第1属性に関連付けられていない場合、当該インタレスト・パケットを廃棄すると判定する。それ以外の場合、処理部31は、コンテンツを配信するのに必要な通常の処理を行う。
【0029】
一方、データ・パケットを廃棄することでコンテンツの配信先を制限する場合、処理部31は、第1コンテンツ名のコンテンツ(又はその断片)を含むデータ・パケットを第1属性の通信インタフェースから送信するか廃棄するかを、制限情報において、第1コンテンツ名が第1属性に関連付けられているか否かにより判定する。例えば、属性情報が配信できない属性を示す場合、処理部31は、制限情報に第1コンテンツ名があり、かつ、制限情報において第1コンテンツ名が第1属性に関連付けられている場合、データ・パケットを送信できず廃棄すると判定する。一方、属性情報が配信できる属性を示す場合、処理部31は、制限情報に第1コンテンツ名があるが、制限情報において第1コンテンツ名が第1属性に関連付けられていない場合、データ・パケットを送信できず廃棄すると判定する。それ以外の場合、処理部31は、データ・パケットを当該通信インタフェースから送信する。
【0030】
なお、本発明による転送装置は、コンピュータを上記転送装置として動作させるプログラムにより実現することができる。これらコンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶されて、又は、ネットワーク経由で配布が可能なものである。
【0031】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0032】
32:格納部、31:処理部
図1
図2
図3
図4
図5