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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】衣類
(51)【国際特許分類】
   A41C 1/02 20060101AFI20220607BHJP
   A41C 1/00 20060101ALI20220607BHJP
【FI】
A41C1/02 B
A41C1/00 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019184604
(22)【出願日】2019-10-07
(65)【公開番号】P2021059810
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2019-10-07
【審判番号】
【審判請求日】2020-11-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000131555
【氏名又は名称】株式会社シャルレ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】須磨 碧
【合議体】
【審判長】久保 克彦
【審判官】柳本 幸雄
【審判官】井上 茂夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-207056(JP,A)
【文献】特開2013-87384(JP,A)
【文献】特許第5859192(JP,B2)
【文献】国際公開第2013/153624(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41C1/00
A41C1/02
A41D13/05
A41B11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向が縫工筋に沿うように配置され、前記縫工筋の外転作用をサポートする第1強緊締力部と、大腿筋膜張筋に沿って配置される第2強緊締力部と、を備え、
前記第1強緊締力部の緊締力は、均一であり、
前記第1強緊締力部は、縫工筋起始と対応する部分を含み、
前記第1強緊締力部は、前記第2強緊締力部よりも緊締力が強い、衣類。
【請求項2】
股布と隣り合う、または、股と対応する部分および股の周辺にわたって配置される第1部分と、を備え、
前記第1強緊締力部は、前記第1部分よりも緊締力が強い、請求項1に記載の衣類。
【請求項3】
長手方向が縫工筋に沿うように配置され、前記縫工筋の外転作用をサポートする第1強緊締力部と、
大腿筋膜張筋に沿って配置される第2強緊締力部と、
股布と隣り合う、または、股と対応する部分および股の周辺にわたって配置される第1部分と、を備え、
前記第1強緊締力部の緊締力は、均一であり、
前記第1強緊締力部は、前記第1部分よりも緊締力が強く、
前記第1強緊締力部は、前記第2強緊締力部よりも緊締力が強い、衣類。
【請求項4】
前記第1強緊締力部と隣り合い、かつ、前記第1強緊締力部よりも内側に配置される第2部分を備え、
前記第2部分は、前記第1強緊締力部よりも緊締力が弱い、請求項1から3のいずれか一項に記載の衣類。
【請求項5】
長手方向が縫工筋に沿うように配置され、前記縫工筋の外転作用をサポートする第1強緊締力部と、
大腿筋膜張筋に沿って配置される第2強緊締力部と、
前記第1強緊締力部と隣り合い、かつ、前記第1強緊締力部よりも内側に配置される第2部分と、を備え、
前記第1強緊締力部の緊締力は、均一であり、
前記第2部分は、前記第1強緊締力部よりも緊締力が弱く、
前記第1強緊締力部は、前記第2強緊締力部よりも緊締力が強い、衣類。
【請求項6】
前記第1強緊締力部は、大腿外側面と対応する部分を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の衣類。
【請求項7】
前記第1強緊締力部は、大腿内側面と対応する部分を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の衣類。
【請求項8】
前記第2強緊締力部の上端部は、前記第1強緊締力部と連続する、請求項1から7のいずれか一項に記載の衣類。
【請求項9】
前記第2強緊締力部の上端部は、大腿筋膜張筋の上端部と対応する部分よりも下方になるように配置される、請求項8に記載の衣類。
【請求項10】
前記第2強緊締力部は、大腿筋膜張筋から腸脛靭帯に沿って下方に延びる、請求項1から9のいずれか一項に記載の衣類。
【請求項11】
大臀筋の上部線維と対応する部分に配置される第3強緊締力部を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されている衣類は、骨盤底筋群のトレーニングができる。特許文献1の衣類は、内転筋群に含まれる恥骨筋を覆うことによって骨盤底筋群の収縮を促すようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5859192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献では、内転筋群に直接的に負荷をかけているが、他の筋肉については着目されていない。
本発明の目的は、効果的に骨盤底筋群をトレーニングできる衣類を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明に従う衣類の一形態は、縫工筋に沿って配置される第1強緊締力部と、大腿筋膜張筋に沿って配置される第2強緊締力部と、を備え、前記第1強緊締力部は、縫工筋起始と対応する部分を含む。
【0006】
上記衣類によれば、第1強緊締力部が縫工筋の収縮をサポートし、第2強緊締力部が大腿筋膜張筋の収縮をサポートする。このため、縫工筋および大腿筋膜張筋による股関節の外転が促され、内転筋群に負荷がかかる。このため、効果的に骨盤底筋群をトレーニングできる。また、第1強緊締力部が縫工筋起始と対応する部分を含むため、好適に縫工筋の収縮をサポートできる。
【0007】
(2)前記衣類の一例では、股布と隣り合う、または、股と対応する部分および股の周辺にわたって配置される第1部分と、を備え、前記第1強緊締力部は、前記第1部分よりも緊締力が強い。上記衣類によれば、股布と隣り合う、または、股と対応する部分および股の周辺の第1部分の緊締力が弱いため、着用者がきつさを感じにくい。
【0008】
(3)本発明に従う衣類の一形態は、縫工筋に沿って配置される第1強緊締力部と、大腿筋膜張筋に沿って配置される第2強緊締力部と、股布と隣り合う、または、股と対応する部分および股の周辺にわたって配置される第1部分と、を備え、前記第1強緊締力部は、前記第1部分よりも緊締力が強い。上記衣類によれば、第1強緊締力部が縫工筋の収縮をサポートし、第2強緊締力部が大腿筋膜張筋の収縮をサポートするため、効果的に骨盤底筋群をトレーニングできる。
【0009】
(4)前記衣類の一例では、前記第1強緊締力部と隣り合い、かつ、前記第1強緊締力部よりも内側に配置される第2部分を備え、前記第2部分は、第1強緊締力部よりも緊締力が弱い。上記衣類によれば、第1強緊締力部よりも内側の第2部分の緊締力が弱いため、着用者が下腹部においてきつさを感じにくい。
【0010】
(5)本発明に従う衣類の一形態は、縫工筋に沿って配置される第1強緊締力部と、大腿筋膜張筋に沿って配置される第2強緊締力部と、前記第1強緊締力部と隣り合い、かつ、前記第1強緊締力部よりも内側に配置される第2部分と、を備え、前記第2部分は、第1強緊締力部よりも緊締力が弱い。上記衣類によれば、第1強緊締力部が縫工筋の収縮をサポートし、第2強緊締力部が大腿筋膜張筋の収縮をサポートするため、効果的に骨盤底筋群をトレーニングできる。
【0011】
(6)前記衣類の一例では、前記第1強緊締力部は、大腿外側面と対応する部分を含む。上記衣類によれば、第1強緊締力部を大腿外側面と対応する部分まで延ばせるため、縫工筋を覆う部分を大きくでき、より好適に縫工筋の収縮をサポートできる。
【0012】
(7)前記衣類の一例では、前記第1強緊締力部は、大腿内側面と対応する部分を含む。上記衣類によれば、第1強緊締力部を大腿内側面と対応する部分まで延ばせるため、縫工筋を覆う部分を大きくでき、より好適に縫工筋の収縮をサポートできる。
【0013】
(8)前記衣類の一例では、前記第2強緊締力部の上端部は、前記第1強緊締力部と連続する。上記衣類によれば、第1強緊締力部と第2強緊締力部とを効果的に作用させることができる。
【0014】
(9)前記衣類の一例では、前記第2強緊締力部の上端部は、大腿筋膜張筋の上端部と対応する部分よりも下方になるように配置される。上記衣類によれば、第2強緊締力部が大腿筋膜張筋の上端部と対応する部分よりも下方において、大腿筋膜張筋の収縮をサポートできる。
【0015】
(10)前記衣類の一例では、前記第2強緊締力部は、大腿筋膜張筋から腸脛靭帯に沿って下方に延びる。上記衣類によれば、第2強緊締力部を腸脛靭帯に沿って下方に延ばせるため、より好適に大腿筋膜張筋の収縮をサポートできる。
【0016】
(11)前記衣類の一例では、大臀筋の上部線維と対応する部分に配置される第3強緊締力部を備える。上記衣類によれば、第3強緊締力部によって大臀筋の上部線維に緊締力を付与できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の衣類は、効果的に骨盤底筋群をトレーニングできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態の衣類の正面図。
図2図1の衣類の背面図。
図3図1の衣類の側面図。
図4図1の衣類を開脚した状態の底面図。
図5図1の衣類と、人体の正面構造との対応関係を示す模式図。
図6図1の衣類と、人体の背面構造との対応関係を示す模式図。
図7図1の衣類と、人体の側面構造との対応関係を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
図1から図7を参照して、実施形態の衣類10について説明する。
図1図4に示されるように、衣類10は、身生地11、ウエスト部12、股布13、裾14、および、強緊締力部30を備える。衣類10は、人体のウエストから下肢の少なくとも一部を覆うものであることが好ましい。本実施形態の衣類10は、ウエストから膝付近までを覆う。衣類10は、強緊締力部30よりも緊締力の弱い弱緊締力部20を備える。ウエスト部12は、弱緊締力生地によって構成されていてもよく、伸縮性を有する材料から構成されていてもよい。
【0020】
弱緊締力部20の緊締力は、強緊締力部30の緊締力よりも弱い。弱緊締力部20は、身生地11によって構成される。弱緊締力部20は、第1弱緊締力部22、第2弱緊締力部23、および、第3弱緊締力部24を備える。
【0021】
第1弱緊締力部22は、左右の大腿の前面の一部および大腿の背面の一部を覆うように構成される。第2弱緊締力部23は、腰の一部を覆うように構成され、ウエスト部12の下端部と接続される。第3弱緊締力部24は、臀部の一部を覆うように構成される。
【0022】
強緊締力部30は、第1強緊締力部40、第2強緊締力部50、第3強緊締力部60、第4強緊締力部70、および、第5強緊締力部80を備える。好ましくは、強緊締力部30は、身生地11に強緊締力部30を形成する材料が付加されることによって構成される。衣類10は、例えば、身生地11に強緊締力部30を形成するための材料が付加されている部分と付加されていない部分とを形成する加工によって部分ごとの緊締力を異ならせる。強緊締力部30を形成するための材料は、例えばポリエステルである。加工は、例えば、樹脂加工、プリント加工、および、オパール加工の少なくとも1つを含む。加工の一例は、ビスコマジック(登録商標)である。強緊締力部30が身生地11に強緊締力部30を形成する材料が付加されていることによって構成される場合、弱緊締力部20は、身生地11のうちの強緊締力部30を形成するための材料が付加されていない部分に相当する。強緊締力部40,50,60,70,80の領域において、強緊締力部30を形成するための材料が付加されている部分と、付加されていない部分とが含まれていてもよい。各強緊締力部40,50,60,70,80は、それぞれ所望の緊締力になるように、各強緊締力部40,50,60,70,80の領域における強緊締力部30を形成するための材料が付加される部分の面積と、付加されない部分の面積との比率が設定される。強緊締力部30は、生地の編み組織を弱緊締力部20と異ならせることによって構成されていてもよい。
【0023】
強緊締力部30は、身生地11に緊締力の強い生地が結合させられることによって構成されてもよい。強緊締力部30は、身生地11に緊締力の強い生地が結合させられることによって構成される場合、強緊締力部30は、緊締力の強い生地と身生地11が重ねられることによって構成されてもよく、緊締力の強い生地のみによって構成されていてもよい。強緊締力部30が生地が重ねられることによって構成される場合、生地同士は縫い合わせられてもよく、接着剤等によって接着されてもよい。強緊締力部30が緊締力の強い生地のみによって構成される場合、例えば、緊締力の強い生地と身生地11とが縫い合わせられることによって結合される。
【0024】
図1および図5に示されるように、第1強緊締力部40は、縫工筋100に沿って配置される。第1強緊締力部40は、縫工筋100の伸縮方向に沿う方向が長手方向となるように延びる。第1強緊締力部40は、上端部40Aおよび下端部40Bを有する。上端部40Aは、第1強緊締力部40の長手方向の一方の端部と対応する。下端部40Bは、第1強緊締力部40の長手方向の他方の端部と対応する。
【0025】
第1強緊締力部40は、縫工筋起始101と対応する部分41を含む。縫工筋起始101は、上前腸骨棘102の近傍に配置される。好ましくは、縫工筋起始101と対応する部分41は、縫工筋起始101および上前腸骨棘102を覆うように構成される。さらに好ましくは、縫工筋起始101と対応する部分41は、縫工筋起始101の全体および上前腸骨棘102の全体を覆うように構成される。縫工筋起始101と対応する部分41は、上端部40A付近に設けられる。好ましくは、第1強緊締力部40の上端部40Aは、大腿筋膜張筋105の上端部と対応するように配置される。
【0026】
好ましくは、第1強緊締力部40は、大腿外側面103と対応する部分42を含む。大腿外側面103と対応する部分42は、上端部40A付近に設けられる。好ましくは、第1強緊締力部40は、大腿内側面104と対応する部分43を含む。大腿内側面104と対応する部分43は、下端部40B付近に設けられる。好ましくは、第1強緊締力部40は、縫工筋100の半分以上を覆うように構成される。より好ましくは、第1強緊締力部40は、縫工筋100の3分の2以上を覆うように構成される。第1強緊締力部40は、縫工筋100に沿って、衣類10の裾14まで延びる。第1強緊締力部40の幅は、縫工筋100の幅以上であることが好ましい。
【0027】
第5強緊締力部80は、下腹部の一部を覆うように構成される。好ましくは、第5強緊締力部80は、下腹部の実質的に全体を覆うように構成される。第5強緊締力部80の上端部にウエスト部12が接続され、下端部に股布13が接続される。第5強緊締力部80は、上方から下方に向かうにつれて横方向の大きさが小さくなるように構成される。第5強緊締力部80は、第2部分80Aを含む。第2部分80Aは、身体の側面側の両端部にそれぞれ配置される。
【0028】
図3および図7に示されるように、第2強緊締力部50は、大腿筋膜張筋105に沿って配置される。第2強緊締力部50は、大腿筋膜張筋105の伸縮方向に沿う方向が長手方向となるように延びる。第2強緊締力部50は、上端部50Aおよび下端部50Bを有する。上端部50Aは、第2強緊締力部50の長手方向の一方の端部と対応する。下端部50Bは、第2強緊締力部50の長手方向の他方の端部と対応する。
【0029】
第2強緊締力部50は、大腿筋膜張筋105と対応する部分51を含む。好ましくは、第2強緊締力部50の上端部50Aは、大腿筋膜張筋105の上端部と対応する部分よりも下方になるように配置される。好ましくは、第1強緊締力部40の上端部40Aおよび第2強緊締力部50の上端部50Aによって大腿筋膜張筋105の全体が覆われる。好ましくは、大腿筋膜張筋105と対応する部分51は、大腿筋膜張筋105の一部を覆うように構成される。大腿筋膜張筋105と対応する部分51は、上端部50A付近に設けられる。第2強緊締力部50は、大腿筋膜張筋105から腸脛靭帯106に沿って下方に延びる。第2強緊締力部50は、腸脛靭帯106と対応する部分52を含む。腸脛靭帯106と対応する部分52は、下端部50B付近に設けられる。好ましくは、第2強緊締力部50は、腸脛靭帯106の半分以上を覆うように構成される。より好ましくは、第2強緊締力部50は、腸脛靭帯106の3分の2以上を覆うように構成される。第2強緊締力部50は、腸脛靭帯106に沿って、衣類10の裾14まで延びる。第2強緊締力部50の幅は、腸脛靭帯106の幅以上であることが好ましい。第2強緊締力部50は、身体の側面から見て大転子109と対応する部分を覆う。
【0030】
図2および図6に示されるように、第3強緊締力部60は、大臀筋107の上部線維107Aと対応する部分に配置される。第3強緊締力部60は、大臀筋107に沿って配置される。好ましくは、第3強緊締力部60は、大臀筋107の上部線維107Aのうちの3分の1以上を覆うように構成される。より好ましくは、第3強緊締力部60は、大臀筋107の上部線維107Aのうちの半分以上を覆うように構成される。第3強緊締力部60は上後腸骨棘108と対応する部分を含む。第3強緊締力部60の上端部は、衣類10の幅方向に延びる。第3強緊締力部60の下端部は、背面中心CBから外側面に向かうにつれて下方に傾斜するように延びる。
【0031】
第4強緊締力部70は、臀部と隣り合い、かつ、臀部よりも下方と対応する部分に配置される。第4強緊締力部70は、大腿の背面の一部を覆うように構成される。第4強緊締力部70は、大腿の背面の上部を覆うように構成される。第4強緊締力部70は、身体の背面から見て坐骨110と対応する部分を含む。第4強緊締力部70の上端部は、臀部の下端に沿うように延びる。第4強緊締力部70の下端部は、背面中心CBから外側面に向かうにつれて上方に傾斜するように延びる。第4強緊締力部70は、第1部分70Aを含む。第1部分70Aは、第4強緊締力部70のうちの股間と対応する部分に配置される。
【0032】
第4強緊締力部70は、幅方向の伸縮性が高さ方向の伸縮性よりも低いことが好ましい。第4強緊締力部70は、臀部を下方から支えるように構成される。第4強緊締力部70によって、左右の臀部が背面中心CBに向かって寄せられる。
【0033】
図1図4に示されるように、ウエスト部12は、腹部と対応する部分において第5強緊締力部80と連続し、腰部と対応する部分において第2弱緊締力部23と連続する。このため、ウエスト部12と隣り合い、かつ、ウエスト部12の下方において弱緊締力部20が着用者の身体の下腹部と対応する部分以外を囲うように全周に配置される。
【0034】
第2弱緊締力部23の下端部は、身体の側面と対応する部分において第1強緊締力部40と連続する。第2弱緊締力部23の下端部は、身体の背面と対応する部分において、第3強緊締力部60と連続する。
【0035】
第1強緊締力部40の身体の前面と対応する部分における前面中心CF側の端部は、第5強緊締力部80および第2弱緊締力部23の下端部と連続する。第1強緊締力部40の身体の前面と対応する部分における前面中心CFから遠い側の端部は、第1弱緊締力部22および第2強緊締力部50の上端部50Aと連続する。第1強緊締力部40の大腿内側面104と対応する部分43は、第4強緊締力部70の大腿内側面104と対応する部分と連続する。
【0036】
第2強緊締力部50の上端部50Aは、第1強緊締力部40と連続する。第2強緊締力部50の身体の前面側の端部は、第1弱緊締力部22と連続する。第2強緊締力部50の身体の背面側の端部は、第3強緊締力部60、第4強緊締力部70、および、第1弱緊締力部22と連続する。
【0037】
第3強緊締力部60の身体の外側面側の端部は、第1強緊締力部40の上端部40Aおよび第2強緊締力部50と連続する。第3強緊締力部60の下端部は、第3弱緊締力部24と連続する。
【0038】
第4強緊締力部70の大腿の外側の端部は、第2強緊締力部50と連続する。第4強緊締力部70の大腿の内側の端部は、第1強緊締力部40と連続する。第4強緊締力部70の下端部は、第1弱緊締力部22と連続する。第4強緊締力部70の上端部は、第3弱緊締力部24の下端部と連続する。第4強緊締力部70の大腿内側面104と対応する部分は、股布13と接続される。
【0039】
第1強緊締力部40の緊締力は、第4強緊締力部70の第1部分70Aよりも緊締力が強い。第2部分80Aは、第1強緊締力部40と隣り合い、かつ、第1強緊締力部40よりも内側に配置される。第5強緊締力部80の第2部分80Aは、第1強緊締力部40よりも緊締力が弱い。好ましくは、第1強緊締力部40の緊締力は、第2強緊締力部50、第3強緊締力部60、第4強緊締力部70、および、第5強緊締力部80の緊締力よりも強い。好ましくは、第2強緊締力部50の緊締力は、第3強緊締力部60と等しい。好ましくは、第2強緊締力部50の緊締力は、第4強緊締力部70および第5強緊締力部80よりも強い。好ましくは、第3強緊締力部60の緊締力は、第4強緊締力部70および第5強緊締力部80よりも強い。好ましくは、第5強緊締力部80の緊締力は、第4強緊締力部70と等しい。第1強緊締力部40、第2強緊締力部50、第3強緊締力部60、第4強緊締力部70、および、第5強緊締力部80のそれぞれにおいて、緊締力は均一ではなくてもよい。各強緊締力部40,50,60,70,80が加工によって構成される場合、緊締力の強い部分と弱い部分との比率を異ならせることによって、各強緊締力部40,50,60,70,80の全体の緊締力を設定することができる。
【0040】
衣類10の作用および効果について説明する。
骨盤底筋群111は、加齢および出産により衰え、尿もれ(腹圧性尿失禁)の原因になることが知られている。骨盤底筋群111は、股関節の内転作用をする内転筋群の上部と連動して収縮する。縫工筋100、大腿筋膜張筋105、大臀筋107の上部線維107Aは、内転筋群と反対方向に働き、股関節の外転作用をする。衣類10は、第1強緊締力部40が縫工筋100の収縮をサポートし、第2強緊締力部50が大腿筋膜張筋105をサポートし、第3強緊締力部60が大臀筋107の上部線維107Aをサポートする。第1強緊締力部40、第2強緊締力部50、および、第3強緊締力部60は、日常の立ち座りや歩行動作、椅子に座っている場合に、股関節が外転しようとするため、着用者が股関節を内転させようとすると、内転筋群の上部に負荷がかかる。このため、衣類10を着用している場合、衣類10を着用していない場合よりも、内転筋群と連動した骨盤底筋群111の収縮が行われるようになる。このため、衣類10を着用して日常の動作を行うことによって、骨盤底筋群111のトレーニングを行える。このため、衣類10の着用によって尿もれ(腹圧性尿失禁)の予防および改善効果が期待できる。
【0041】
例えば、恥骨筋を覆うように股下部に強緊締力部を配置した衣類の場合、内転筋群の上部(短内転筋近傍や恥骨筋近傍)と対応する部分の着圧が局所的に高まることによって、着用者がヒップや太もも周りに圧迫感を感じやすくなる。このため、着用感がきつくなる。また、着用者が衣類を着用する場合に、衣類を引き上げるための力が大きくなり、着脱しにくくなる。衣類10は、縫工筋100、および、大腿筋膜張筋105の収縮をサポートすることによって、間接的に内転筋群に負荷を与えるようにしているため、内転筋群が配置される部分の着圧が局所的に高くなることを抑制できる。
【0042】
衣類10によれば、第1強緊締力部40が縫工筋起始101と対応する部分を含むため、好適に縫工筋100の収縮をサポートできる。
衣類10によれば、股布13と隣り合う部分および股の周辺の第1部分70Aの緊締力が弱いため、着用者がきつさを感じにくい。
【0043】
衣類10によれば、第1強緊締力部40よりも内側の第2部分80Aの緊締力が弱いため、着用者が下腹部においてきつさを感じにくい。
衣類10によれば、第1強緊締力部40は、大腿外側面103と対応する部分を含む。このため、第1強緊締力部40を大腿外側面103と対応する部分まで延ばせるため、縫工筋100を覆う部分を大きくでき、より好適に縫工筋100の収縮をサポートできる。
【0044】
衣類10によれば、第1強緊締力部40は、大腿内側面104と対応する部分を含む。このため、第1強緊締力部40を大腿内側面104と対応する部分まで延ばせるため、縫工筋100を覆う部分を大きくでき、より好適に縫工筋の収縮をサポートできる。
【0045】
衣類10によれば、第2強緊締力部50の上端部50Aは、第1強緊締力部40と連続するため、第1強緊締力部40と第2強緊締力部50とを効果的に作用させることができる。
【0046】
衣類10によれば、第2強緊締力部50の上端部50Aは、大腿筋膜張筋105の上端部と対応する部分よりも下方になるように配置されるため、第2強緊締力部50が大腿筋膜張筋の上端部と対応する部分よりも下方において、大腿筋膜張筋105の収縮をサポートできる。大腿筋膜張筋105の上端部と対応する部分には、第2強緊締力部50よりも緊締力の強い第1強緊締力部40が配置されるため、第1強緊締力部40によって大腿筋膜張筋105の収縮をサポートできる。
【0047】
衣類10によれば、第2強緊締力部50を腸脛靭帯106に沿って下方に延ばせるため、より好適に大腿筋膜張筋105の収縮をサポートできる。
衣類10によれば、第3強緊締力部60によって大臀筋107の上部線維107Aに緊締力を付与できる。
【0048】
<変形例>
実施形態に関する説明は、本発明に従う衣類が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う衣類は、例えば以下に示される実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0049】
・第1強緊締力部40の長さは適宜変更することができる。第1強緊締力部40の上方を短くする場合、第1強緊締力部40の上端部40Aと第2強緊締力部50の上端部50Aとの間に弱緊締力部20が配置されるように構成されていてもよい。
【0050】
・第2強緊締力部50の長さは適宜変更することができる。第1強緊締力部40が大腿筋膜張筋105の上端部と対応する部分を含まないように構成される場合、第2強緊締力部50が大腿筋膜張筋105の上端部と対応する部分を含むようにしてもよい。
【0051】
・第1強緊締力部40、第2強緊締力部50、第3強緊締力部60、第4強緊締力部70、および、第5強緊締力部80の緊締力の強さは適宜変更することができる。例えば、第1強緊締力部40、第2強緊締力部50、第3強緊締力部60、第4強緊締力部70、および、第5強緊締力部80の全ての緊締力を同じにしてもよい。第2強緊締力部50、第3強緊締力部60、第4強緊締力部70、および、第5強緊締力部80の少なくとも1つの緊締力を、第1強緊締力部40よりも強くしてもよい。第5強緊締力部80の緊締力が第1強緊締力部40よりも強くする場合であっても、第1強緊締力部40が縫工筋起始101と対応する部分を含むため、効果的に骨盤底筋群111をトレーニングできる。第5強緊締力部80の緊締力が第1強緊締力部40よりも強くする場合、第1部分70Aおよび第2部分80Aの少なくとも一方と対応する部分の緊締力が、第1強緊締力部40の緊締力よりも弱くなるようにしてもよい。
【0052】
・第3強緊締力部60を省略してもよい。この場合、第3強緊締力部60と対応する部分は、弱緊締力部20と同じ緊締力になるようにするようにしてもよい。
・第4強緊締力部70を省略してもよい。この場合、第4強緊締力部70と対応する部分は、弱緊締力部20と同じ緊締力になるようにするようにしてもよい。
【0053】
・第5強緊締力部80を省略してもよい。この場合、第5強緊締力部80と対応する部分は、弱緊締力部20と同じ緊締力になるようにするようにしてもよい。
・股布13を省略してもよい。この場合、第4強緊締力部70の第1部分70Aは、股布13と対応する部分に延長されてもよい。
【0054】
・衣類10は、ボトム、ショーツ、ガードル、タイツ、ストッキング、および、ボディスーツのいずれとして構成されていてもよい。要するに、第1強緊締力部40と第2強緊締力部50を備えるように構成される衣類10であれば、衣類10の種類は適宜変更できる。
【符号の説明】
【0055】
10…衣類、11…身生地、12…ウエスト部、13…股布、14…裾、20…弱緊締力部、22…第2弱緊締力部、23…第3弱緊締力部、24…第4弱緊締力部、30…強緊締力部、40…第1強緊締力部、40A…上端部、40B…下端部、41…縫工筋起始と対応する部分、42…大腿外側面と対応する部分、43…大腿内側面と対応する部分、50…第2強緊締力部、50A…上端部、50B…下端部、51…大腿筋膜張筋と対応する部分、52…腸脛靭帯と対応する部分、60…第3強緊締力部、70…第4強緊締力部、70A…第1部分、80…第5強緊締力部、80A…第2部分。
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図7