(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】優れた安定性及び耐久性を有する親水性の多機能性超薄コーティング
(51)【国際特許分類】
C23C 14/12 20060101AFI20220607BHJP
C23C 14/02 20060101ALI20220607BHJP
【FI】
C23C14/12
C23C14/02 Z
(21)【出願番号】P 2019523708
(86)(22)【出願日】2017-11-08
(86)【国際出願番号】 EP2017078676
(87)【国際公開番号】W WO2018087192
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-09-01
(32)【優先日】2016-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518100214
【氏名又は名称】ユーロプラズマ エンヴェー
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100163544
【氏名又は名称】平田 緑
(72)【発明者】
【氏名】レヘイン,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ロゲ,エヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ローリディ,サミール
【審査官】和瀬田 芳正
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/168440(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0069790(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0323291(US,A1)
【文献】特開平09-253074(JP,A)
【文献】特開2003-100738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00- 14/58
C23C 16/00- 16/56
C09D 1/00- 10/00
C09D 101/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に親水性ナノコーティングを堆積させる方法であって
、
該コーティングは、プラズマチャンバー中での連続波の低圧及び低電力のプラズマ重合法により、
CH
2=CR
4-CH
2-O-R
5
(式中、R
4は、H又はアルキル、例えば-CH
3であり、かつR
5は、置換アルキル基又は置換アルケニル基であり、かつR
5は、1個若しくは複数個の親水性官能基又はヒドロキシル基及び/若しくはカルボニル基を含む)によるモノマーを使用して堆積され、
該プラズマ重合法の間に印加される電力は、前記プラズマチャンバーの1リットルの容量当たりに0.02ワットから2.50ワットの間の本質的に一定の値であり、
前記低圧及び低電力のプラズマ重合法は、プラズマグラフト重合ではなく、
前記プラズマ重合法は、フリーラジカル開始剤を使用せずに行われ
、
前記プラズマ重合法の間に適用される圧力は、2.00Pa~26.66Paである、方法。
【請求項2】
低圧プラズマ重合法に先行して低圧プラズマ前処理法が行われ、その際、該低圧プラズマ前処理法は、不活性ガス及び/又は反応性ガスを使用して行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
低圧プラズマ重合法に先行して低圧プラズマ重合工程が行われ、その際、中間ナノコーティングが堆積される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記中間ナノコーティングは、低圧プラズマ前処理法の前に堆積される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記中間ナノコーティングは、低圧プラズマ前処理法の後に堆積される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記中間ナノコーティングの層は、
Y
1-X-Y
2
(式中、Xは、O又はNHであり、Y
1は、-Si(Y
3)(Y
4)Y
5であり、かつY
2は、Si(Y
3’)(Y
4’)Y
5’であり、ここでY
3、Y
4、Y
5、Y
3’、Y
4’、及びY
5’は、それぞれ独立してH、又は炭素数最大10の炭素原子のアルキル基であり、Y
3、Y
4、及びY
5の多くとも1個は、水素であり、Y
3’、Y
4’、及びY
5’の多くとも1個は、水素であり、かつ炭素原子の総数は、20以下である)によるモノマーを使用して堆積される、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
プラズマ重合法において使用される前記1種以上のモノマーは、ガス状態で前記プラズマチャンバー中に導入される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記プラズマチャンバー及び/又は該プラズマチャンバー中に前記モノマーをガス状態で導入するための供給導管は、前記1種以上のモノマーの凝縮を避けるために温度制御される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記基材は、医療用消耗品、生化学用消耗品、電気化学的基材、膜、又は織物である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法により得られる、基材上の親水性コーティングの使用であって、
凝固を低減させるための、
酸媒体に対する耐性を高めるための、
表面張力の増加のための又は流体の輸送の改善のための、及び/又は水性流体の吸収を改善するための又は吸い上げを促進するための、
使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定性及び耐久性に関して優れた性能を有する種々の用途のための基材上に堆積された親水性の多機能性超薄コーティング(ナノコーティング)に関する。本発明はまた、本発明の親水性の多機能性超薄コーティングを堆積させる改善された方法を記載している。上記コーティングは、低圧及び低電力のプラズマ重合により堆積される。本発明はまた、そのような方法で被覆された基材、及び本発明によるそのような方法により得られるコーティングを含む。
【背景技術】
【0002】
本発明は、耐久性、例えば湿気に対する耐久性、及び安定性、例えば熱安定性等の優れた特性を有する親水性の多機能性超薄コーティング(ナノコーティング)を基材上に堆積させる方法に関する。上記ナノコーティングは、低圧及び低電力のプラズマ重合法を使用して、好ましくは低電力で堆積される。
【0003】
本発明のナノコーティングのための対象用途は、医療用途(レンズ、カテーテル、ステント、包帯、血液フィルター)、生化学的用途、例えば培養プレート、電気化学的用途(燃料電池、バッテリー等)、並びに例えば濾過用途、例えば血液濾過及び分離用途、例えばバッテリーセパレーター用織物で使用される膜及び織物上での用途である。親水性の性質は、しばしば有機材料との結合性の減少のために、そして血液凝固の低下において使用される。さらに、親水性の性質は、しばしば生体分子との高い結合性を持たせるために、例えば分析目的のために、又は骨及び組織の成長を刺激するために使用される。水との結合性も改善され、こうして優れた濡れ性がもたらされる。
【0004】
幾つかの親水性処理及び方法は既に存在している。親水性コーティングを堆積させる1つの方法は湿式化学的方法を使用するものであり、その方法は一般的にモノマー及び添加剤の複合配合物を使用し、より厚いコーティング(マイクロメートル範囲の厚さ)をもたらし、かなりの量の水、化学物質、及びエネルギーを必要とし、したがって高い環境フットプリントを有する。
【0005】
特許文献1は、ウレタン化合物、エポキシ化合物、及び(メタ)アクリル酸を含む化学物質の配合物を使用した湿式化学的方法により防曇性コーティングを形成するための光硬化性組成物を記載している。
【0006】
特許文献2は、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルを使用した湿式化学的被覆法により得られる防曇性フィルムを記載している。
【0007】
したがって、湿式化学的方法は、良好なエマルジョン、分散液、又は溶液を作製するために、種々の化学製品からなる複合配合物を必要とすることが明らかである。本発明は、低圧及び低電力のプラズマ重合を使用することによりこれらの要求を克服し、その際、モノマーはその純粋形で使用され、それにより添加剤は必要とされない。そのプラズマ重合法の消費電力は、高められた温度での乾燥又は硬化が必要とされないので、上記の湿式化学的方法と比べて低く保つことができる。
【0008】
親水性コーティングを堆積させるもう1つの方法は、プラズマグラフト重合によるものである。これらの方法は、あらゆるプラズマ法と同様に水を必要とせず、より少量の化学物質が使用される。しかしながら、グラフト重合においては、一般的に液状のモノマーが基材上に吹き付けられるか、又は水溶液の形で適用され、次いで硬化させることで、重合及び架橋が誘導される。この重合は、硬化により重合及び架橋を誘導するために、少なくとも2段階法及び高電力、したがって高いエネルギー消費量を必要とする。幾つかの従来技術文献においては、逆の工程順序も使用されている。
【0009】
特許文献3は、グラフト重合によりポリテトラフルオロエチレン(PTFE)上に親水性処理をする方法を記載している。第1工程において、グラフト重合の誘導のために低圧プラズマ前処理がモノマーの不存在下で行われる。第2工程において、そのプラズマ前処理された基材を液状のモノマーと接触させることにより、その重合が実現される。
【0010】
特許文献4は同様に、アクリル酸のプラズマグラフト重合により、PMMA基材上にポリアクリル酸コーティングを得ることを記載している。その方法は、液体のアクリル酸モノマーの吹き付け、硬化のためのアルゴンプラズマ、液体のアクリル酸モノマーの再度の吹き付け、及び硬化のための再度のアルゴンプラズマの4つの工程を含む。
【0011】
特許文献5は、コロナ(空気)前処理を行い、引き続きノズルを通してアクリル酸モノマーを基材上に吹き付け、引き続き重合及び架橋のためにUV硬化させる3工程法を記載している。
【0012】
特許文献6、特許文献7、特許文献8、及び特許文献9は4つとも全て、医療用装置の表面上に10°未満の水接触角を有する親水性コーティングを堆積させる3工程法を記載している。その3工程法は、例えば基材の微細粗面化のためのプラズマ前処理、引き続いてのアクリル酸のPECVD(プラズマ励起化学気相堆積)、引き続いてのアクリル酸のプラズマの不存在下でのCVD法(化学気相堆積)からなる。記載されるこれらの方法は全て、許容可能な性能を有する親水性コーティングを得るために追加の工程、つまりCVD工程を必要とする。これは方法をより複雑にし、高められたモノマー消費量を必要とすることが明らかである。
【0013】
特許文献10は、ステント、カテーテル、及び眼内レンズ等の生物医学的装置上への防曇性コーティングの堆積方法であって、低圧プラズマ重合によりコーティングが堆積される方法を記載しており、その際、そのポリマー性コーティングは基材表面に強力にグラフトされる。該ポリマーは、タンパク質、細胞、及び脂質の接着を防ぐために親水性特性を有する。
【0014】
特許文献11は、装置材料と周囲組織との反応を増大させるために表面エネルギーが高められた十分な接着性のコーティングを、積層法を行うことで得る方法が記載される。所望の機能性が得られるまで2工程の周期が数回繰り返される。その2工程の周期は、第1工程として不活性ガスプラズマ処理を含み、第2工程として低圧プラズマグラフト重合工程を含む。
【0015】
特許文献12は、バッテリーセパレーター膜上に親水性コーティングを得る方法であって、上記膜をモノマーと接触させ、該モノマーを後続工程で放射線への曝露により重合させる方法を記載している。
【0016】
従来技術に記載される親水性コーティングを堆積させる第3の方法は、大気圧プラズマによるものであり、その際、アクリル酸モノマーは、キャリヤーガス、例えばヘリウム等の不活性ガスによって堆積領域中に運ばれる。大気の影響を排除するために、電極は平坦であり、それらは互いに近く(mmの範囲~cmの範囲)に配置されることから、その方法のスキー用メガネ及び車のヘッドライト等の複雑な3D形状の基材のための使用は制限される。電極間で使用される電力は、一般的に平坦な電極間の距離がmmの範囲にある場合に、kWの範囲内、例えば1 kW~2 kW(1000 W~2000 W)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】国際公開第2006019175号
【文献】日本国特許第4698529号
【文献】中国特許出願公開第101890314号
【文献】国際公開第2012133154号
【文献】中国特許第102432905号
【文献】米国特許出願公開第2014336758号
【文献】欧州特許第2705859号
【文献】欧州特許第2792380号
【文献】国際公開第2015096876号
【文献】欧州特許出願公開第0995762号
【文献】米国特許出願公開第2009069790号
【文献】国際公開第03012893号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、優れた安定性及び耐久性を有する親水性の多機能性超薄コーティングを、平坦(2D)又は複雑な形状(3D)であり得る基材、例えば完成製品上に堆積させる方法を提供することにより従来技術を改善し、その際、本方法は、
乾式かつ清浄な方法、つまり水を消費しないこと、
超薄で目に見えないコーティング、
モノマーを使用するが、化合物及び添加剤を必要としないこと、
低電力であり、したがってエネルギー消費量が低いこと、
処理工程の複雑さの低下、
コーティングの優れた安定性及び耐久性、
によって従来技術を改善する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、安定性及び耐久性に関して優れた性能を有する、種々の対象用途のための基材上に堆積された親水性の多機能性超薄コーティングに関する。本発明はまた、本発明の親水性の多機能性超薄コーティングを堆積させる改善された方法を記載している。上記ナノコーティングは、低圧及び低電力のプラズマ重合により堆積される。本発明はまた、本発明に記載される方法で被覆された基材、及び本発明に記載されるコーティングを含む。
【0020】
本発明は、特に請求項1に記載される親水性の多機能性超薄コーティングを基材上に堆積させる方法に関する。
【0021】
本発明はまた、親水性の多機能性超薄コーティングを基材上に堆積させる方法であって、
任意に、基材上に第1の前処理を実施する工程と、引き続き、
任意に、上記基材を第1の前駆体モノマーによる低圧プラズマ重合法にかけることにより基材上に中間ナノコーティングを設ける工程と、
任意に、引き続き任意の中間ナノコーティングが設けられた上記基材上に第2の前処理を実施する工程と、引き続き、
任意の中間ナノコーティングを有する上記基材を、上記第1のモノマーとは異なる式(I):
CH2=CR4-CH2-O-R5(I)
(式中、R4は、H又はアルキル、例えば-CH3であり、かつR5は、H、アルキル基又はアルケニル基、置換アルキル基又は置換アルケニル基である)の第2の前駆体モノマーによる低圧及び低電力のプラズマ重合法にかけることにより、任意の中間ナノコーティングを有する上記基材上に親水性の多機能性超薄コーティングを設ける工程と、
を含む、方法に関する。R5のアルキル基又はアルケニル基、置換アルキル基又は置換アルケニル基は、1個から10個までの炭素原子を含み得て、直鎖状又は分枝鎖状であり得る。R5は、好ましくは1個又は複数個の親水性官能基、例えばヒドロキシル基及び/又はカルボニル基を含む。これにより本発明の最も好ましい実施の形態においては、R5は、好ましくは1個から10個までの炭素原子を含む、置換アルキル基又は置換アルケニル基であり、かつ直鎖状又は分枝鎖状であり得る。
【0022】
本明細書では、プラズマ重合法とは、基材が配置されているプラズマチャンバー中に第1のモノマー又は第2のモノマーを導入し、該プラズマチャンバー内に設置された高周波電極と接地電極とにわたる電気的放電又は電磁的放電によりプラズマを点火し、それにより上記モノマーからプラズマ状態となるモノマーである反応性の第1の前駆体又は第2の前駆体が生成される方法を指す。次いでその前駆体は基材の曝露された表面上で重合し、それによりポリマーコーティングが形成される。モノマーの再活性化工程、そして引き続いての重合は全て、被覆されるべき基材が配置されている同じプラズマチャンバー中で行われる。これに関して、フリーラジカル開始剤を使用する必要がないことを理解することが重要である。それというのも、本発明者らは、上記モノマー、特に第2の前駆体モノマーが、フリーラジカル開始剤及び/又は不活性キャリヤーガスによる一切の補助なくプラズマ化されるほど十分に反応性であることを見出したからである。したがって、好ましい実施の形態においては、本発明においてフリーラジカル開始剤は使用されない。電気的放電又は電磁的放電は、プラズマチャンバー中に連続波(cw)高周波(RF)場を、例えば該チャンバー内に設置された高周波電極と接地電極との組を介して発生させることにより得られる。cw-RF場を発生させる電力入力は、連続的にゼロではなく、第2の前駆体の場合には、好ましくは50 l以上のプラズマチャンバーについて0.02 W/lから2.50 W/lの間のプリセット値で一定に保持される。それというのも、本出願人は、特に式Iによる、更により具体的にはR5が置換アルキル基又は置換アルケニル基であるモノマーが使用される場合に、そのような低電力により結合及び官能基に関して最良の質及び最適な組成を有するポリマーコーティングが得られることを見出したからである。
【0023】
本方法により、親水性であると共に基材に十分な接着性のコーティングを、多くの基材及び用途に関して得ることができる。これは、設備コスト及び生産コストの大幅な削減をもたらす。それというのも、該方法は、基材の種類とはほとんど無関係に、単一のプラズマチャンバー中で適用され得るものであり、好ましくは適用されるからである。
【0024】
本出願人は、本発明のコーティングが、モノマーとしてアクリル酸から堆積された低圧プラズマコーティング等の従来技術のコーティングよりも、例えば熱時効に関して大幅に良好な安定性及び耐久性を有することを見出した。何ら特定の理論に縛られるものではないが、上記改善は、モノマー中に存在する3つの官能性の組み合わせによりもたらされると考えられる:
より高い極性を可能にする、モノマー及び得られたコーティング中のより良好な又はより高い親水性の官能基;
ポリマー構造中の分子間に水素結合を形成し、コーティングに更なる強度を付加し得る、モノマー及び得られたコーティング中のエーテル官能基(R-O-R')の存在。さらに、これらの結合は共有結合ではないので、該結合が高温及び/又は湿度等の条件の間に破断される場合に、条件が安定化すると該結合の再形成の準備が整い、こうしてその優れた親水性特性が維持され、様々な条件において優れた安定性及び耐久性が保証される。さらに、エーテル官能基の存在、及び水等の液体による水素結合の形成の可能性は、得られたコーティングの親水性を高めると考えられる;
低電力条件、好ましくは連続波条件の使用により、フリーラジカル開始剤又は不活性キャリヤーガス等の補助分子を要さずにプラズマ化されることを可能にする、モノマー中の炭素-炭素二重結合(C=C)。これは、正しい処理条件が使用される場合に、容易な重合を可能にし、こうして基材又は任意に中間ナノコーティングとの強力な共有結合がもたらされると共に、コーティング分子間に強力な結合がもたらされて、強力に連結された3Dネットワークが得られる(基材表面に分子をグラフトさせることに着目するグラフト重合とは異なる)。
【0025】
これに関して、本出願人は、第2の前駆体について低電力、すなわち2.5 W/l未満での連続波プラズマ重合法の使用により、コーティングの親水性特性、様々な条件(温度、湿度)下でのその安定性及び耐久性、並びにプロセス速度に関して、その他の方法、特にパルスプラズマ重合法又は高電力重合法よりも予想外に良い結果が示されることを見出した。改めて、理論により縛られることを望むものではないが、本出願人は、これを、構造中のエーテル官能基及び親水性官能基の殆どをそのままに保ちながらコーティング層の成長を可能にすると共に、共有結合による最適な架橋がなされる低電力の連続波プラズマ重合法によるものと考えており、その一方で、高電力のcw法は、コーティング層の成長の間に、エーテル官能基の間に形成される水素結合を破壊し、親水性官能基を除去する場合があり、そしてパルス法では、プラズマの点火に最大200 W/lのピークが必要とされ得て、それらのピークは、エネルギーがモノマーへと一切届けられない期間により隔たっており、架橋を形成するのに十分なエネルギーが与えられない場合がある。
【0026】
本出願人はさらに、本発明による方法には、モノマーの選択と連続波プラズマ重合工程との組み合わせにより、従来技術の方法よりも拡張性があることを見出した。したがって、本発明の方法は、好ましくは、50 l以上、より好ましくは100 l以上、更により好ましくは200 l以上、なおもより好ましくは300 l以上、一層より好ましくは400 l以上、なおも一層より好ましくは500 l以上、例えば500 l、600 l、700 l、800 l、900 l、1000 l、若しくはそれらの間の任意の値、又は更に1000 lより大きなプラズマチャンバーを使用して行われる。
【0027】
本発明はまた、本発明の方法によりコーティングが設けられた基材に関する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】低圧プラズマ重合により同様に堆積された基準コーティングと比較した、本発明によるコーティングの熱安定性を示す図である。
【
図2】実施例2において使用される熱的サイクルプロファイルを示す図である。
【
図3】低圧プラズマ重合により同様に堆積された基準コーティングと比較した、本発明によるコーティングの熱的サイクル試験時の安定性を示す図である。
【
図4】低圧プラズマ重合により同様に堆積された基準コーティングと比較した、本発明によるコーティングの耐久性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書で使用される以下の用語は、以下の意味を有する。
【0030】
本明細書で使用される数量を特定していない単数形("A","an", and "the")は、別途文脈により明確に指示されない限り、単数及び複数の両方の指示物を意味する。例えば、「区画(a compartment)」は1又は2以上の区画を意味する。
【0031】
本明細書においてパラメーター、量、期間等の計測可能な値に対する言及で使用される「約(About)」は、規定値の±20%以下、好ましくは±10%以下、より好ましくは±5%以下、更に好ましくは±1%以下、そして更に好ましくは±0.1%以下の変動を包含することを意味し、そのような変動は、開示される本発明を実施するのに適切である範囲にある。また、修飾語句「約」が言及する値そのものが具体的に開示されることも理解される。
【0032】
本明細書で使用される「含む、備える("Comprise,""comprising," and "comprises" and "comprised of")」は、「包含する、含有する("include", "including", "includes" or"contain", "containing", "contains")」と同義であり、その前に列挙される語、例えば構成要素の存在を明示するとともに、当該技術分野において既知であるか又はそこで開示される追加の特定されていない構成要素、特徴、要素、部材、又は工程の存在を排除又は除外するものではない、総称又は無制限の用語である。
【0033】
本明細書でコーティングの特性を示すために使用される用語「親水性」は、90°未満の水接触角が達成されることを示す。本開示から明らかになるように、非常に小さな水接触角、例えば大きくても20°又は更に大きくても10°、例えば9°、8°、7°、6°、5°、4°、3°、2°、1°、0°又はその間の任意の値を有するコーティングが本発明により達成され得る。本発明の方法を使用して、ほぼ無視することができる水接触角を有する被覆された表面、すなわち水で完全に濡らされ得る被覆された表面が達成され得る。
【0034】
本明細書でコーティングの特性を示すために使用される用語「多機能性」は、そのコーティングが親水性特性以外の他の特性を有し得ることを示す。該コーティングは、機械的摩耗及び機械的摩擦に対する保護、又は環境因子に対する保護も基材に与え得る。本発明者らはまた、驚くべきことに該コーティングが本書において更に開示されるその他の非自明の特性も有し得ることを見出した。
【0035】
終点による数値範囲の記述は、その範囲内に含まれる全ての数及び端数を包含し、同様に記述された終点も包含される。
【0036】
本発明は、優れた安定性及び耐久性を有する親水性の多機能性超薄コーティングを平坦(2D)又は複雑な形状(3D)であり得る基材上に堆積させる、低圧及び低電力のプラズマ重合である方法を提供することにより従来技術を改善する。
【0037】
本発明の第1の態様は、親水性の多機能性超薄コーティングを基材上に堆積させる方法であって、そのナノコーティングを低圧及び低電力のプラズマ重合により堆積させる方法を提供することである。
【0038】
本発明の第2の態様は、親水性の多機能性超薄コーティングを織物上に得る方法であって、そのナノコーティングが優れた安定性及び耐久性を有する方法を提供することである。
【0039】
第1の実施形態においては、上記低圧及び低電力のプラズマ重合は、ガス状態でプラズマチャンバー中に導入される式(I):
CH2=CR4-CH2-O-R5(I)
(式中、R4は、H又はアルキル、例えば-CH3であり、かつR5は、H、アルキル基、アルケニル基、置換アルキル基、又は置換アルケニル基である)の前駆体モノマーの、好ましくはフリーラジカル開始剤を一切用いない低圧及び低電力のプラズマ重合である。好ましくは、R5は、置換アルキル基又は置換アルケニル基である。R5の置換アルキル基又は置換アルケニル基は、1個から10個までの炭素原子を含み得て、直鎖状又は分枝鎖状であり得る。R5は、好ましくは1個又は複数個の親水性官能基、例えばヒドロキシル基及び/又はカルボニル基を含む。
【0040】
特に好ましい実施形態においては、R4は、Hであり、かつR5は、-CH2-CH(OH)2であることから、3-アリルオキシ-1,2-プロパンジオールが示される。
【0041】
本出願人は、驚くべきことに、本発明のコーティングが、モノマーとしてアクリル酸から堆積された低圧プラズマコーティング等の従来技術のコーティングよりも、例えば熱時効に関して大幅に良好な安定性及び耐久性を有することを見出した。何ら特定の理論に縛られるものではないが、上記改善は、モノマー中に存在する3つの官能性の組み合わせによりもたらされると考えられる:
より高い極性を可能にする、モノマー及び得られたコーティング中のより良好な又はより高い親水性の官能基;
ポリマー構造中の分子間に水素結合を形成し、コーティングに更なる強度を付加し得る、モノマー及び得られたコーティング中のエーテル官能基(R-O-R')の存在。さらに、これらの結合は共有結合ではないので、該結合が高温及び/又は湿度等の条件の間に破断される場合に、条件が安定化すると該結合の再形成の準備が整い、こうしてその優れた親水性特性が維持され、様々な条件において優れた安定性及び耐久性が保証される。さらに、エーテル官能基の存在、及び水等の液体による水素結合の形成の可能性は、得られたコーティングの親水性を高めると考えられる;
低電力条件、好ましくは連続波の使用により、フリーラジカル開始剤又は不活性キャリヤーガス等の補助分子を要さずにプラズマ化されることを可能にする、モノマー中の炭素-炭素二重結合(C=C)。これは、正しい処理条件が使用される場合に、容易な重合を可能にし、こうして基材又は任意に中間ナノコーティングとの強力な共有結合がもたらされると共に、コーティング分子間に強力な結合がもたらされて、強力に連結された3Dネットワークが得られる(基材表面に分子をグラフトさせることに着目するグラフト重合とは異なる)。
【0042】
好ましくは、3D物品(例えば、完成製品)のコーティングのためには、電極層に電力が印加される時間で表現されるプラズマ重合時間は、約1分~約20分、より好ましくは約2分~約15分、例えば約5分~約10分、例えば10分、9分、8分、7分、6分、又は5分である。
【0043】
本出願人はさらに、式(I)の前駆体モノマーが低い電力、すなわちプラズマチャンバーの1リットルの容量当たり2.5ワット未満で連続波プラズマ重合法を使用してプラズマ重合される場合に、これらの効果が特に顕著であることに注目した。そのような低電力の連続波により、コーティングの親水性特性、様々な条件(温度、湿度)下でのその安定性及び耐久性、並びにプロセス速度(堆積速度)に関して、他の方法よりも予想外に良い結果が示される。本出願人らは、驚くべきことに、プラズマ重合を連続波プラズマ重合として、0 Wより厳密に高い一定の電力をプラズマ重合時間の間に印加して実施することが有益であることを見出した。最適な低い非ゼロの電力値を印加することにより、プラズマ重合により良質なコーティングが得られ、その際、モノマーのフラグメンテーションは十分に抑制されるため、不活性キャリヤーガス及び/又はフリーラジカル開始剤の使用は不必要となり、親水性特性を与える官能基が維持される一方で、ポリマーの良好な架橋及び基材との良好な結合が実現されることで、性能の改善がもたらされる。そして0 Wより厳密に高い一定の電力を印加して連続波プラズマ重合を使用する更なる利点は、堆積速度がパルスプラズマ重合を用いるよりも高いことが判明したことであり、こうしてより短いコーティング時間及びより短い全サイクル時間、したがってコスト削減がもたらされる。本方法の1つの重要な態様は、規定された連続波の電力値が、大幅なモノマーのフラグメンテーションを生ずることなく、式(I)のモノマーからなるプラズマの連続的な生成を保証することである。これにより、堆積されたコーティング層の全厚さにわたって、架橋されたコーティング構造の堆積が可能となる。実際に、本出願人は、大幅なモノマーのフラグメンテーションを生ずることなく、プラズマ重合のために十分なモノマーをプラズマ状態にするのに十分なエネルギーを保証するために最小の電力値は、プラズマチャンバーの1リットルの容量当たりに約0.02ワットであることを見出した。
【0044】
好ましくは、プラズマチャンバーは、電磁場を生成するために、高周波電極層又は接地電極層であり得る1つ以上の電極層を備えている。
【0045】
好ましくは、上記の1つ以上の高周波電極層は、20 kHz~2.45 GHz、より好ましくは40 kHz~13.56 MHzの周波数で高周波電界を生じ、その際、13.56 MHzが好ましい。
【0046】
好ましくは、被覆されるべき製品を収容するための4つのトレイを有し、それぞれのトレイがチャンバー全体にわたる最適な均一性のために上方及び下方に設置された電極層を有する280リットルのプラズマチャンバー中で使用される場合に、被覆法のために印加される電力は、連続波方式で印加される場合に、約5 W~600 W、より好ましくは約10W~250 W、一層より好ましくは15 W~100 W、例えば100 W、90 W、80 W、75 W、70 W、60 W、50 W、45 W、40 W、35 W、30 W、25 W、20 W、又は15 Wである。その他の容量のプラズマチャンバーにおいては、280リットルのプラズマチャンバーについて上記の範囲に相当する電力密度が、好ましくは使用される。
【0047】
好ましくは、被覆工程のための運転圧力(いわゆる作業圧力)は、約1.33Pa~66.66 Pa(10 mTorr~500 mTorr)、好ましくは約2.00 Pa~26.66 Pa(15 mTorr~200mTorr)、より好ましくは約2.67 Pa~20.00 Pa(20 mTorr~150 mTorr)、例えば3.33 Pa~13.33 Pa(25mTorr~100 mTorr)、例えば13.33 Pa(100 mTorr)未満、12.00 Pa(90 mTorr)未満、10.67 Pa(80 mTorr)未満、9.33 Pa(70 mTorr)未満、8.00 Pa(60 mTorr)未満、6.67 Pa(50mTorr)未満、5.33 Pa(40 mTorr)未満、4.00 Pa(30 mTorr)未満、又は3.33 Pa(25 mTorr)未満である。例えば、280リットルのプラズマチャンバーにおいては、そのような圧力範囲が特に好ましい。
【0048】
好ましくは、親水性の多機能性ナノコーティングの厚さは、約50 nm~約1000 nm、より好ましくは約75 nm~約750 nm、例えば約100 nm~約500nm、例えば500 nm、475 nm、450 nm、425 nm、400 nm、375 nm、350 nm、325 nm、300 nm、275 nm、250 nm、225 nm、200 nm、175 nm、150 nm、125 nm、100 nm、95 nm、90 nm、85 nm、80 nm、又は75 nmである。
【0049】
前処理は、低圧及び低電力のプラズマ重合工程の前に行われ得る。好ましくは、前処理は、低圧プラズマ法である。低圧プラズマ前処理が行われるかどうかは、被覆されるべき基材の清浄度だけでなく、低圧プラズマ重合法において使用されるモノマーにも依存する。
【0050】
本出願人らは、驚くべきことに、幾つかのモノマーに関して、親水性の多機能性超薄コーティングの性能及び質は、前処理が行われない場合により良いことを見出した。その他のモノマーに関しては、低圧プラズマ清浄化及び/又は活性化及び/又はエッチングの形の前処理が有利であり得る。
【0051】
1つの実施形態においては、活性化工程及び/又は清浄化工程及び/又はエッチング工程の形の前処理工程が、プラズマ重合法の前に行われる。活性化工程及び/又は清浄化工程及び/又はエッチング工程の形の前処理工程は、ポリマーコーティングの付着性及び架橋性を改善するために有利である場合がある。
【0052】
低圧プラズマ前処理が行われる場合に、この前処理は、好ましくは反応性ガス、例えばH2、O2、CO2、及び/又はエッチング試薬、例えばCF4を使用して行われるが、Ar、N2、又はHe等の不活性ガスも使用され得る。上記ガスの混合物も同様に使用され得る。
【0053】
好ましくは、上記前処理は、O2、Ar、又はO2及びArの混合物を用いて行われる。
【0054】
好ましくは、複雑な3D形状の製品を被覆するために回分法において適用される場合に、上記前処理は、15秒間~15分間、例えば30秒間~10分間、好ましくは45秒間~5分間、例えば5分間、4分間、3分間、2分間、又は1分間行われる。前処理の期間は、使用される前駆体モノマー、被覆されるべき基材のデザイン及び材料、被覆されるべき基材上の汚染の度合い、並びに低圧プラズマ装置に依存する。
【0055】
好ましくは、前処理の電力は、連続波モードで印加される。好ましくは、280リットルのプラズマチャンバーの場合に、上記前処理は、10 W~1000 W、より好ましくは25W~750 W、一層より好ましくは50 W~600 W、例えば75 W~500 W、例えば500 W、450 W、400 W、350 W、300 W、250 W、200 W、150 W、125 W、100 W、又は75 Wの電力で行われる。その他の容量のプラズマチャンバーにおいては、280リットルのプラズマチャンバーについて上記の範囲に相当する電力密度が、好ましくは使用される。
【0056】
好ましくは、上記の1つ以上の高周波電極層は、20 kHz~2.45 GHz、より好ましくは40 kHz~13.56 MHzの周波数で高周波電界を生じ、その際、13.56 MHzが好ましい。
【0057】
好ましくは、前処理工程のための運転圧力(いわゆる作業圧力)は、約1.33Pa~66.66 Pa(10 mTorr~500 mTorr)、好ましくは約2.67 Pa~33.33 Pa(20 mTorr~250mTorr)、より好ましくは約3.33 Pa~26.66 Pa(25 mTorr~200 mTorr)、例えば6.67 Pa~20.00 Pa(50mTorr~150 mTorr)、例えば20.00 Pa(150 mTorr)未満、18.67 Pa(140 mTorr)未満、17.33 Pa(130 mTorr)未満、16.67 Pa(125 mTorr)未満、16.00 Pa(120 mTorr)未満、14.67 Pa(110 mTorr)未満、13.33 Pa(100 mTorr)未満、12.00 Pa(90 mTorr)未満、10.67 Pa(80 mTorr)未満、9.33 Pa(70 mTorr)未満、8.00 Pa(60 mTorr)未満、又は6.67 Pa(50 mTorr)未満である。
【0058】
前処理が使用される場合に、親水性の多機能性超薄ポリマーコーティングは後続工程で適用され、それらは同じ装置中で実施され得る。
【0059】
好ましくは、前処理工程及び被覆工程は、前処理工程と被覆工程との間に大気からの更なる汚染の付着を避けるために、同じチャンバー中で該チャンバーを工程間に開放せずに行われる。
【0060】
本出願人らはまた、本発明の実際の親水性の多機能性超薄コーティングを適用する前に超薄の中間ナノコーティングを適用することが有利であり得ることも見出した。前処理が行われる場合に、超薄の中間ナノコーティングは、好ましくは、上記前処理の後で、かつ本発明の実際の親水性の多機能性ナノコーティングの低圧プラズマ重合の前に堆積されるが、前処理の前に堆積されてもよい。任意に、2つの前処理、すなわち中間ナノコーティングの適用前の第1の前処理、及び中間ナノコーティングの適用の後で、かつ親水性コーティングの適用前の第2の前処理が基材上に行われ得る。
【0061】
好ましくは、上記超薄の中間ナノコーティングは、低圧プラズマ重合法によって堆積される。1つの実施形態においては、該低圧プラズマ重合は、プラズマチャンバー中に導入される式(II):
Y1-X-Y2 (II)
(式中、Xは、O又はNHであり、Y1は、-Si(Y3)(Y4)Y5であり、かつY2は、Si(Y3’)(Y4’)Y5’であり、ここでY3、Y4、Y5、Y3’、Y4’、及びY5’は、それぞれ独立してH、又は炭素数最大10のアルキル基であり、Y3、Y4、及びY5の多くとも1個は、水素であり、Y3’、Y4’、及びY5’の多くとも1個は、水素であり、かつ炭素原子の総数は、20以下である)であるオルガノシラン前駆体モノマーの低圧プラズマ重合である。
【0062】
上記オルガノシランモノマーは、好ましくはガス状態でプラズマチャンバー中に導入される。
【0063】
幾つかの基材、特にガラス基材及びガラス様基材の場合に、超薄の中間ナノコーティングを適用することが特に好ましい。ガラス基材及びガラス様基材の場合に、一層より好ましい実施形態においては、中間ナノコーティングのために使用される前駆体モノマーは、式(II)によるオルガノシラン前駆体である。理論により縛られることを望むものではないが、オルガノシラン前駆体モノマーを基礎とする中間ナノコーティングを、親水性コーティングの適用前にガラス基材又はガラス様基材上に適用することによる優れた結果は、上記オルガノシランモノマーの半有機-半無機的性質によるものであり得る。このモノマーは、非常に様々な基材、特にガラス表面及びガラス様表面へと十分に接着し得る種類の結合等の化学的特性を有する一方で、同時に基材と親水性の多機能性コーティング層との対応する特性の中間にある原子間距離、弾性、及び特に熱膨張係数等の物理化学的特性を有する層を生ずる。
【0064】
本発明はまた、親水性の多機能性超薄コーティングを基材上に堆積させる方法であって、
任意に、基材上に第1の前処理を実施する工程と、引き続き、
任意に、上記基材を第1の前駆体モノマーによる低圧プラズマ重合法にかけることにより基材上に中間ナノコーティングを設ける工程と、
任意に、引き続き任意の中間ナノコーティングが設けられた上記基材上に第2の前処理を実施する工程と、引き続き、
任意の中間ナノコーティングを有する上記基材を、好ましくはプラズマ化させるためにフリーラジカル開始剤及び/又は不活性キャリヤーガスを使用することなく、上記第1の前駆体モノマーとは異なる第2の前駆体モノマーによる低圧及び低電力のプラズマ重合法にかけることにより、任意の中間ナノコーティングを有する上記基材上に親水性の多機能性超薄コーティングを設ける工程と、
を含む、方法に関する。
【0065】
好ましい実施形態においては、第2の前駆体モノマーは、式(I):
CH2=CR4-CH2-O-R5(I)
(式中、R4は、H又はアルキル、例えば-CH3であり、かつR5は、H、アルキル基又はアルケニル基、置換アルキル基又は置換アルケニル基である)のモノマーである。好ましくは、R5は、置換アルキル基又は置換アルケニル基である。R5の置換アルキル基又は置換アルケニル基は、1個から10個までの炭素原子を含み得て、直鎖状又は分枝鎖状であり得る。R5は、好ましくは1個又は複数個の親水性官能基、例えばヒドロキシル基及び/又はカルボニル基を含む。
【0066】
1つの実施形態においては、R4は、Hであり、かつR5は、-CH2-CH(OH)2であることから、3-アリルオキシ-1,2-プロパンジオールが示される。
【0067】
1つの実施形態においては、第1の前駆体モノマーは、基材中に存在する1個以上の原子と同じ1個以上の原子を含む。好ましい実施形態においては、第1の前駆体モノマーは、基材中に存在する原子基と同じ原子基を含む。本明細書における用語「原子基」とは、少なくとも2個の原子の結合された基を指す。
【0068】
上記モノマーは、好ましくはガス状態でプラズマチャンバー中に導入される。
【0069】
好ましい実施形態においては、第1の前駆体モノマーは、式(II):
Y1-X-Y2(II)
(式中、Xは、O又はNHであり、Y1は、-Si(Y3)(Y4)Y5であり、かつY2は、Si(Y3’)(Y4’)Y5’であり、ここでY3、Y4、Y5、Y3’、Y4’、及びY5’は、それぞれ独立してH、又は炭素数最大10のアルキル基であり、Y3、Y4、及びY5の多くとも1個は、水素であり、Y3’、Y4’、及びY5’の多くとも1個は、水素であり、かつ炭素原子の総数は、20以下である)のオルガノシランである。
【0070】
幾つかの実施形態においては、上記方法は、追加のガスを中間ナノコーティング工程のために使用される前駆体モノマーと組み合わせてプラズマチャンバーへと導入する工程を含み得る。その追加のガスは、プラズマ化してプラズマを点火することに関して、又はより良い性能を有するコーティング及び/又はより高い堆積速度を実現するために低圧プラズマ重合反応に影響を及ぼすことに関して、低圧プラズマ重合反応に寄与する機能性ガスとみなされるべきである。
【0071】
上記追加のガスは、H2、N2、O2、N2O、CO2、CH4、He、若しくはAr、又はそれらの混合物、最も好ましくはO2又はCO2であり得る。
【0072】
好ましくは、中間ナノコーティング工程の間に追加のガスが使用される場合に、チャンバーへと導入される追加のガスの流量は、モノマー流量の約1%~約75%である。より好ましくは、チャンバーへと導入される追加のガスの流量は、上記モノマー流量の約5%~約50%、例えば上記モノマーの約10%~20%である。
【0073】
好ましくは、中間ナノコーティングの厚さは、約5 nm~約250 nm、より好ましくは約10 nm~約200 nm、例えば約15 nm~約150nm、例えば約20 nm~約100 nm、例えば100 nm、95 nm、90 nm、85 nm、80 nm、75 nm、70 nm、65 nm、60 nm、55 nm、50 nm、45 nm、40 nm、35 nm、30 nm、25 nm、又は20 nmである。
【0074】
好ましくは、中間ナノコーティングのプラズマ重合は、連続波プラズマ重合である。
【0075】
好ましくは、280リットルのプラズマチャンバー中で使用される場合に、連続波方式で印加される被覆法のために印加される電力は、約5 W~1000 W、より好ましくは約25W~750 W、一層より好ましくは50 W~500 W、例えば500 W、475 W、450 W、425 W、400 W、375 W、350 W、325 W、300 W、275 W、250 W、225 W、200 W、175 W、150 W、125 W、100 W、90 W、80 W、75 W、70 W、60 W、又は50 Wである。その他の容量のプラズマチャンバーにおいては、280リットルのプラズマチャンバーについて上記の範囲に相当する電力密度が、好ましくは使用される。
【0076】
被覆法のために印加される電力は、プラズマチャンバーの1リットルの容量当たりに0.02ワットから2.50ワットの間、好ましくは0.09 W/lから2.68 W/lの間、より好ましくは0.12 W/lから1.80 W/lの間、例えば1.70 W/l、1.60 W/l、1.50W/l、1.40 W/l、1.30 W/l、1.20 W/l、1.10 W/l、1.00W/l、0.90 W/l、0.80 W/l、0.70 W/l、0.60 W/l、0.50W/l、0.40 W/l、0.30 W/l、0.20 W/l、若しくは0.15 W/l、又はそれらの間の任意の値である。
【0077】
好ましくは、プラズマチャンバーは、電磁場を生成するために、高周波電極層又は接地電極層であり得る1つ以上の電極層を備えている。
【0078】
好ましくは、上記の1つ以上の高周波電極層は、20 kHz~2.45 GHz、より好ましくは40 kHz~13.56 MHzの周波数で高周波電界を生成し、その際、13.56 MHzが好ましい。
【0079】
好ましくは、中間ナノコーティング工程のための運転圧力(いわゆる作業圧力)は、約1.33 Pa~66.66 Pa(10mTorr~500 mTorr)、好ましくは約2.00 Pa~26.66 Pa(15 mTorr~200mTorr)、より好ましくは約2.67 Pa~20.00 Pa(20 mTorr~150 mTorr)、例えば3.33 Pa~13.33 Pa(25mTorr~100 mTorr)、例えば13.33 Pa(100 mTorr)未満、12.00 Pa(90 mTorr)未満、10.67 Pa(80 mTorr)未満、9.33 Pa(70 mTorr)未満、8.00 Pa(60 mTorr)未満、6.67 Pa(50mTorr)未満、5.33 Pa(40 mTorr)未満、4.00 Pa(30 mTorr)未満、又は3.33 Pa(25 mTorr)未満である。例えば、280リットルのプラズマチャンバーにおいては、そのような圧力範囲が特に好ましい。
【0080】
特に好ましい実施形態においては、上記プラズマチャンバーは、例えばチャンバー内の温度差を避けるために、そしてプロセスガス、すなわちモノマー蒸気又はモノマーガス、及び任意に追加のガスが凝縮し得るコールドスポットを避けるために温度制御される。例えば、真空チャンバーの扉、及び(複数であり得る)壁の一部又はそれぞれに、少なくとも1つの温度制御手段が備えられ得る。その代わりに又はそれに加えて、プラズマ化するために使用されるプラズマチャンバー中の1つ以上の電極は、制御された温度にある液体が貫流し得る内腔等の温度制御手段を備え得る。プラズマチャンバーは、前駆体モノマーの凝縮を避けるために、好ましくは、超薄の親水性の多機能性コーティングが設けられる、及び/又は超薄の中間ナノコーティングが設けられるプラズマ重合工程の間に温度制御される。プラズマチャンバーはまた、好ましくは、超薄の親水性の多機能性ナノコーティングが設けられる、及び/又は超薄の中間ナノコーティングが設けられるプラズマ重合工程の前の前処理工程の間に温度制御される。
【0081】
前駆体モノマーをガス状態でプラズマチャンバー中に導入すると共に、該プラズマチャンバーの温度をモノマーの凝縮が避けられるように制御することによって、得られるコーティングの質は相応して高められ得る。モノマーの凝縮は、重合の減少をもたらし得て、そして粘着性の生成物の生成をもたらし得る。さらに、プラズマチャンバー、特に壁又は電極の部分的に重合されている場合がある凝縮されたモノマーによる汚染も回避され得る。
【0082】
好ましくは、温度制御手段は、室温から90℃までの温度、より好ましくは40℃から60℃の間の温度を維持する。
【0083】
好ましくは、電極層が高周波電極層である場合に、それらの電極は同様に、プラズマチャンバー内の温度の一層の更なる均一性を保証するために温度制御される。
【0084】
好ましくは、1種以上のプロセスガスが凝縮し得るコールドスポットを避けるために、ポンプ、液体モノマー供給装置、並びにそれらの部品とプラズマチャンバーとの間の全ての連結部も同様に温度制御される。
【0085】
好ましくは、上記方法は、ポリマー基材を被覆することで、ASTMD5946により測定される接触角を低下させて、ASTM D2578-04により測定される表面エネルギーを高めることを含む。
【0086】
コーティングの性能は、ASTM D5946による基材上での水接触角の試験を実施することにより測定される。
【0087】
上記の方法により堆積される本発明のコーティングは、処理後に30°以下の水接触角、更に20°以下の水接触角、より好ましくは約15°以下、例えば15°、14°、13°、12°、11°、10°、9°、8°、7°、6°、5°、4°、3°、2°、1°、又は0°の水接触角をもたらす。
【0088】
本発明のコーティングの性能は、同様に安定性及び耐久性に関して評価され得る。
【0089】
安定性は、試料を高められた温度に長時間にわたり、例えば150℃で4時間にわたり曝すエージング試験を実施することにより測定され得る。
【0090】
さらに、安定性は同様に、温度及び相対湿度を定められたスケジュールに従って変化させる熱的サイクル試験において試験され得る。
【0091】
コーティングの耐久性は、被覆された基材の同じ箇所で水接触角の測定を繰り返すことにより試験され得る。
【0092】
本発明の親水性の多機能性超薄コーティングを堆積させることにより、親水性特性が得られるだけでなく、以下の特性も大幅に改善することができる:
凝固の低減、例えば血液中の成分の凝固の低減、
酸媒体に対する耐性、
表面張力の増加:
流体の輸送の改善、
水性流体の吸収の改善、例えば吸い上げ効果の改善。
【0093】
したがって、本発明はまた、本開示による方法により得られるコーティングの、以下:
凝固を低減させるための、
酸媒体に対する耐性を高めるための、
表面張力の増加のための、好ましくは流体の輸送の改善のための、及び/又は水性流体の吸収を改善するための、例えば吸い上げを促進するための、
いずれか又は任意の組み合わせのための使用に関する。
【実施例】
【0094】
ここで、本発明をより容易に理解し得るために、本発明を以下の非限定的な実施例によって説明することとする。
【0095】
例えば、生化学的分析のために使用されるガラス基材(培養増殖プレート)を、本発明による種々の方法で処理した。
【0096】
被覆方法及び種々のパラメーターの影響の評価は、試験の前及び後に、ASTMD5946に従って水接触角を測定することにより行われた。未処理の未被覆の基材は、41.9°の水接触角を有する。
【0097】
使用される被覆装置は、被覆されるべき製品を収容するために4つのトレイを有し、それぞれのトレイがそのトレイの上方に設置された電極とそのトレイの下方に設置された電極とを備える280リットルのチャンバーであった。
【0098】
本出願人らは、アクリル酸を前駆体モノマーとして使用する低圧プラズマ重合により堆積された親水性コーティングが、アクリル酸の反応性のため産業環境において問題を引き起こすことを見出した。一般的に、液体のアクリル酸は、禁止剤が使用され、約20%~25%の酸素を含む雰囲気が存在するボトル中で貯蔵される。アクリル酸はそれ自体で容易にラジカルを生成する傾向があり、そのラジカルが今度はアクリル酸と反応することで、迅速な重合が引き起こされる。禁止剤及び酸素含有雰囲気は、ラジカルの生成速度を低下させ、形成されたラジカルを中和する。しかしながら、低圧プラズマ処理においては、酸素含有雰囲気はもはや存在せず、低圧重合法のためにチャンバー中にモノマー蒸気を制御して導入するためにモノマーを蒸発させることにより、上記禁止剤はその蒸気中にはもはや存在しない。その蒸気がコールドスポットに到達すると、その蒸気は凝縮し、酸素雰囲気及び禁止剤が存在しないためそれ自体と重合し、こうしてプラズマ装置の管の閉塞が容易に引き起こされる。
【0099】
本発明のモノマーによれば、該モノマーの反応性がはるかに低く、それ自体と重合しないため上記問題は解決される。産業上の利用可能性及び規模拡大の可能性に関して、本発明のモノマーは、例えばアクリル酸により発生する問題を解決することができる。
【0100】
さらに、アクリル酸は危険なモノマーであり、その蒸気は、ヒトの皮膚に触れた場合に重度の熱傷を引き起こし得て、その臭いは刺激性である。本発明のモノマーはヒトの皮膚と触れた場合に熱傷を引き起こさないが、全ての化学物質について皮膚との直接的な接触は、適切な個人用防護具を使用することにより避けるべきであり、その臭いはずっと中性的である。
【0101】
比較試験を行うために、既存のアクリル酸コーティングが本発明のコーティングのための基準として使用される。未処理の表面も参照のために試験された。両方のコーティングは130リットルの容量のプラズマチャンバー中で堆積される。
【0102】
実施例1:エージング試験(熱安定性)
上記コーティングを、エージング試験の実施により熱安定性について評価した。試料を周囲相対湿度で炉内に入れて、4時間にわたり150℃の温度にした。その後にそれらを冷却させた。
【0103】
1.1. 基準コーティングとの比較
本発明のコーティングを、未処理の基材及び基準コーティングと比較する。基準コーティングは、モノマーとしてアクリル酸を使用して同様に低圧プラズマ重合により堆積された親水性コーティングである。基準となるコーティングは、表1におけるパラメーターに従って堆積され、本発明のコーティングは、表2におけるパラメーターに従って堆積される。
【0104】
表1:基準の低圧プラズマコーティングのためのプロセスパラメーター
【表1】
【0105】
表2:第2の前駆体モノマーのためのプロセスパラメーター
【表2】
【0106】
表1及び表2から、本発明のコーティングが、基準コーティングよりも低い電力で堆積されることは既に明らかである:95 Wの代わりに20 W、又は0.73W/Lの代わりに0.15 W/L。
【0107】
図1は、未処理の基材、並びに基準コーティング及び本発明のコーティングで被覆された同じ基材についての水接触角の値を示す。エージング試験の前の水接触角の値を見ると、基準コーティング及び本発明のコーティングは同様の値を有しており、それらの値は未処理の試料よりも大幅に低い。エージング試験の後に、本発明によるコーティングに最良の結果が得られることは明らかである。本発明のコーティングは、水接触角の大幅な増加が測定された基準コーティングよりもずっと安定である。
【0108】
さらに、試験後に基準コーティングは亀裂を示し、黄色化することに気づいた。それらは分解及び不所望な反応の明らかな徴候である。そのような亀裂及び黄変は、本発明のコーティングには見られなかったことから、本発明のコーティングについて得られたデータは、分解又は損傷の明らかな徴候を示さないことを裏付けている。
【0109】
実施例2:熱的サイクル試験(熱安定性)
上記コーティングを、
図2によるプロファイルで熱的サイクル試験を実施することにより熱安定性について評価した。このサイクルは5回繰り返した。
【0110】
2.1. 基準コーティングとの比較
本発明のコーティングを、未処理の基材及び基準コーティングと比較する。基準コーティングは、モノマーとしてアクリル酸を使用して同様に低圧プラズマ重合により堆積された親水性コーティングである。両方のコーティングは130リットルの容量のプラズマチャンバー中で堆積される。基準となるコーティングは、表1におけるパラメーターに従って堆積され、本発明のコーティングは、表2におけるパラメーターに従って堆積される。
【0111】
図3は、熱的サイクル試験の前及び後の、未処理の基材、並びに基準コーティング及び本発明のコーティングで被覆されたその基材の水接触角を示す。熱的サイクル試験の前の水接触角の値を見ると、基準コーティング及び本発明のコーティングは同様の値を有しており、それらの値は未処理の試料よりも大幅に低い。その試験の後に、本発明によるコーティングに最良の結果が得られることは明らかである。本発明のコーティングは、水接触角の大幅な増加が測定された基準コーティングよりもずっと安定である。
【0112】
さらに、試験後に基準コーティングは亀裂を示し、黄色化することに気づいた。それらは分解及び不所望な反応の明らかな徴候である。そのような亀裂及び黄変は、本発明のコーティングには見られなかったことから、本発明のコーティングについて得られたデータは、分解又は損傷の明らかな徴候を示さないことを裏付けている。
【0113】
実施例3:耐久性試験
上記コーティングを、表面を濡らすために水滴を使用し、その後にソフトティッシュで水を吸い取ることにより水を除去する前及びその後に、ASTM D5946に従って水接触角を測定することにより耐久性について評価した。
【0114】
3.1. 基準コーティングとの比較
本発明のコーティングを、未処理の基材及び基準コーティングと比較する。基準コーティングは、モノマーとしてアクリル酸を使用して同様に低圧プラズマ重合により堆積された親水性コーティングである。両方のコーティングは130リットルの容量のプラズマチャンバー中で堆積される。基準となるコーティングは、表1におけるパラメーターに従って堆積され、本発明のコーティングは、表2におけるパラメーターに従って堆積される。
【0115】
図4は、耐久性試験の前及び後の、未処理の基材、並びに基準コーティング及び本発明のコーティングで被覆されたその基材の水接触角を示す。
【0116】
耐久性試験の前の水接触角の値を見ると、基準コーティング及び本発明のコーティングは同様の値を有しており、それらの値は未処理の試料よりも大幅に低い。その試験の後に、本発明によるコーティングに最良の結果が得られることは明らかである。本発明のコーティングは、水接触角のより低い増加をもたらし、基準コーティングよりもずっと安定である。
【符号の説明】
【0117】
図1
Water contact angle 水接触角
Untreated 未処理
Benchmark 基準
Present invention 本発明
Before 前
After 後
図2
Temp 温度
min 分
One cycle 1サイクル
Time 時間
図3
Water contact angle 水接触角
Untreated 未処理
Benchmark 基準
Present invention 本発明
Before 前
After 後
図4
Water contact angle 水接触角
Untreated 未処理
Benchmark 基準
Present invention 本発明
Before 前
After 後