(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】三次元サラウンドビュー・システム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20220607BHJP
B60R 1/27 20220101ALI20220607BHJP
【FI】
H04N7/18 J
B60R1/27
(21)【出願番号】P 2019528113
(86)(22)【出願日】2017-09-14
(86)【国際出願番号】 DE2017200093
(87)【国際公開番号】W WO2018108211
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-07-28
(31)【優先権主張番号】102016224904.5
(32)【優先日】2016-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503355292
【氏名又は名称】コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Conti Temic microelectronic GmbH
【住所又は居所原語表記】Sieboldstrasse 19, D-90411 Nuernberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(72)【発明者】
【氏名】ペッツォールト・ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】フリーベ・マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ジーモン・マルティン
(72)【発明者】
【氏名】シュレプファー・イェルク
(72)【発明者】
【氏名】ダーナ・セカラン・スーダーン
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア・マルケス・ロドリゴ
【審査官】佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-154406(JP,A)
【文献】特開2008-279875(JP,A)
【文献】特開2007-267343(JP,A)
【文献】特開2015-015527(JP,A)
【文献】特表2014-531078(JP,A)
【文献】特開2012-105158(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0085472(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
H04N 5/232
B60R 1/00
B60R 11/00
B60R 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-車両(1)の複数のカメラ(2から5)、
-被牽引車両(6)の複数のカメラ(7から9)、
-一つの画像
処理ユニット(13)、並びに、
-光学的出力ユニット(14)
を包含し:
被牽引車両(6)が、直線的なプルロッド(11)によって、該車両(1)の少なくとも上下軸(z)を軸として該車両(1)に対して回動自在にジョイントされている場合における一台の車両(1)と一台の被牽引車両(6)からなる複合車両(10)用の
、視点変換により平面的な光学的出力ユニット(14)において三次元的な表示を行う三次元サラウンドビュー・システムであって、
-車両(1)のカメラ(2から5)は、車両(1)の座標系(I)を基準にキャリブレーションされており、該車両(1)に、全てのカメラ(2から5)のそれぞれ一枚の画像を合成することによって三次元の車両サラウンド画像が作成され、且つ、該光学的出力ユニット(14)に表示されることができる様に配置されているが、該車両サラウンド画像のプルロッド領域には、該プルロッド(11)が表示されており、
-被牽引車両(6)のカメラ(7から9)は、被牽引車両(6)の座標系(II)を基準にキャリブレーションされており、且つ、該被牽引車両(6)に、全てのカメラ(7から9)のそれぞれ一枚の画像を合成することにより三次元の被牽引車両サラウンド画像が作成される様に取り付けられているが、該被牽引車両サラウンド画像は、該被牽引車両(6)の両サイドの周辺部、並びに、該被牽引車両(6)の後方の周辺部を示すものであり、また、該画像
処理ユニット(13)は、
-車両サラウンド画像のプルロッド領域から、プルロッド(11)が、上下軸(z)を中心に車両(1)に対してどの程度、該車両(1)の前方方向(x)から相対的にずれているのかを示す第一回転角(α)を割り出し、
-該被牽引車両(6)が写っている車両サラウンド画像の被牽引車両領域を、割り出されたプルロッド(11)の該第一回転角(α)に応じて、被牽引車両部分サラウンド画像の対応する画像領域によって、置き換える
ことができる様に構成されている
こと
、及び該画像処理ユニット(13)が、
-車両サラウンド画像のプルロッド領域から、該プルロッド(11)が、その幅方向軸(y)を中心に車両(1)に対してどの程度相対的にずれているのかを示す第二回転角(β)を割り出し、更に、
- 該プルロッド(11)の割り出された第一回転角(α)と第二回転角(β)に応じて、該被牽引車両(6)を示している車両サラウンド画像の被牽引車両領域を、被牽引車両部分サラウンド画像の対応する画像領域に置き換える
ことができる様に構成されている
ことを特徴とする複合車両用の三次元サラウンドビュー・システム。
【請求項2】
該画像
処理ユニット(13)が、車両(1)のカメラ(2から5)によって撮影された画像を
、三次元第一バックプロジェクション面に投影し、被牽引車両(6)のカメラ(7から9)によって撮影された画像を
、三次元第二バックプロジェクション面に投影することができる様に構成されることを特徴とする請求項1に記載の三次元サラウンドビュー・システム。
【請求項3】
該三次元
第一バックプロジェクション面
及び三次元第二バックプロジェクション面が、ボウルの形状を有していることを特徴とする請求項2に記載の三次元サラウンドビュー・システム。
【請求項4】
該画像処理ユニット(13)が、
-車両サラウンド画像のプルロッド領域から、該プルロッド(11)が、その長手方向軸(x)を中心に車両(1)に対してどの程度相対的にずれているのかを示す第三回転角(φ)を割り出し、更に、
-該プルロッド(11)の割り出された第一回転角(α)、第二回転角(β)と第三回転角(φ)に応じて、該被牽引車両(6)を示している車両サラウンド画像の被牽引車両領域を、被牽引車両部分サラウンド画像の対応する画像領域に置き換える
ことができる様に構成されている
ことを特徴とす
る請求項
1~3のうち何れか一項に記載の三次元サラウンドビュー・システム。
【請求項5】
一台の車両(1)と一台の被牽引車両(6)からなる、但し、該被牽引車両(6)が、直線的なプルロッド(11)によって、該車両(1)の少なくとも上下軸(z)を軸として該車両(1)に対して回動自在にジョイントされている、複合車両(10)であって
、
請求項
1~4のうち何れか一項に記載の三次元サラウンドビュー・システムを包含していることを特徴とする複合車両(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被牽引車両が、直線的なプルロッドによって、該車両の少なくとも上下軸を軸として該車両に対して回動自在にジョイントされている場合における、車両と被牽引車両からなる複合車両用の三次元サラウンドビュー・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
US2012/0262580A1からは、車両の異なるポジションに設置されている、例えば、四台のカメラによって該車両のサラウンドビューを提供することができるサラウンドビュー・システムが、既知である。該カメラは、サラウンドビューに対応する画像データを作成し、一つの処理手段が、該画像データを処理し、ディスプレイ上で観察可能なシミュレーションされ予め定められた形のサラウンドビューを作成する。該シミュレーションされ予め定められた形のサラウンドビューは、例えば、ボウル状であることができる。
【0003】
しかし、該車両が被牽引車両を牽引している場合、該被牽引車両は、該車両のカメラの少なくとも一台の視野内にあり、該車両の360°サラウンド画像内のある領域を占有してしまう。これにより、例えば、車両のリヤ領域に設置されているカメラは、該車両後方の大部分において、被牽引車両までの領域のみしか捕捉できず、場合によっては重要となり得る、該被牽引車両の後方、及び、該被牽引車両の側方(左右)の領域は、捕捉できない。この様に、該被牽引車両は、該車両のサラウンド画像内に、死角となる領域を作ってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-105158
【文献】US2014/0085472
【文献】WO2016/026870
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、本発明の課題は、冒頭に述べた種に属する、但し、死角となる領域を、少なくとも削減できる、三次元サラウンドビュー・システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、上記課題は、独立請求項に記載されている対象によって達成される。尚、有利な実施形態は、従属請求項、以下の明細書、並びに、図の対象である。
【0007】
本発明の第一アスペクトによれば、車両と被牽引車両からなる複合車両用の三次元サラウンドビュー・システムが、提供される、但し、該被牽引車両は、直線的なプルロッドによって、該車両の少なくとも上下軸を軸として該車両に対して回動自在にジョイントされている。
【0008】
該サラウンドビュー・システムは、複数台の、特に好ましくは、四台の車両のカメラ、複数の、特に好ましくは、三台の被牽引車両のカメラ、一つの画像処理ユニット、並びに、光学的出力ユニット、例えば、該車両のインストルメントパネル内、乃至、上に設けられるディスプレイを包含している。該車両としては、例えば、乗用車、バス、貨物自動車などの動力車両、更には、二輪自動車や自転車なども挙げることができる。カメラとしては、該車両乃至被牽引車両の周辺領域の画像撮影、乃至、動画撮影を実施でき、且つ、該画像撮影、乃至、動画撮影を司る画像データを保存、出力、伝達することができるデジタルカメラが好ましい。該画像処理ユニットは、カメラの画像データにアクセスでき、本発明に係る主旨に沿って、これを処理できる。
【0009】
特に好ましくは四台の車両のカメラは、車両の座標系を基準にキャリブレーションされており、該車両に、全四台のカメラのそれぞれ一枚の(特に好ましくは同時に撮影された)画像を合成することにより三次元の車両サラウンド画像が作成され、且つ、該光学的出力ユニットに表示されることができる様に配置されているが、車両サラウンド画像のプルロッド領域には、該プルロッドが表示される。車両の座標系は、特に好ましくは、デカルト座標系であるが、その際、それぞれ、x軸が、車両の長手方向、y軸が、幅方向、z軸が、高さ方向を定義している。特に好ましくは、x軸とy軸は、該車両が走行している道路表面の車線表面と平行なレベル面であることができる。その際、z軸は、路面基準である。
【0010】
更に、特に好ましくは三台の被牽引車両のカメラは、被牽引車両の座標系を基準にキャリブレーションされており、且つ、該被牽引車両に、全三台のカメラのそれぞれ一枚の(特に好ましくは同時に撮影された)画像を合成することにより三次元の被牽引車両サラウンド画像が作成される様に取り付けられているが、該被牽引車両サラウンド画像は、該被牽引車両の両サイドの周辺部、並びに、該被牽引車両の後方の周辺部を示すものである。
【0011】
また、該画像処理ユニットは、車両サラウンド画像のプルロッド領域から、プルロッドが、上下軸を中心に車両に対してどの程度、該車両の前方方向から相対的にずれているのかを示す第一回転角αを割り出すことができる様に構成されている。該車両の上下軸は、その際、該車両座標系の上下軸である。
【0012】
更に、該画像処理ユニットは、被牽引車両が写っている車両サラウンド画像の被牽引車両領域を、割り出されたプルロッドの該第一回転角に応じて、被牽引車両部分サラウンド画像の対応する画像領域によって、置き換えることができる様に構成されている。
【0013】
車両サラウンド画像の被牽引車両領域は、車両の後ろから被牽引車両までは示すものの、車両サラウンド画像内において、該被牽引車両の後ろ、乃至、双方の側方にあり、そのため該被牽引車両によって隠されたオブジェクトは描写できない死角である。しかし、該隠されたオブジェクトは、被牽引車両のカメラによって捕捉され、被牽引車両サラウンド画像の一つの画像領域内に描写されることができる。車両サラウンド画像内の(隠されたオブジェクトを含まない)被牽引車両領域は、被牽引車両サラウンド画像の対応する領域によって置き換えることができ、該画像領域は、該被牽引車両によって隠された画像領域、乃至、その領域内にある隠されたオブジェクトを包含している。
【0014】
割り出された該車両の上下軸を中心とした車両の前方方向に対する回転角αに基づいて、該画像処理ユニットは、これにより死角を最低限にできる、或いは、排除できる、且つ、該被牽引車両によって隠され、車両のカメラが捕捉できない画像領域、乃至、該車両サラウンド画像内の隠されたオブジェクトを描写することができる被牽引車両サラウンド画像の画像領域を選択できる。言い換えれば、本発明に係るサラウンドビュー・システムによれば、複合車両全体の三次元サラウンド画像を表示ユニット上に示すことができ、特に、被牽引車両の側方の周辺領域、並びに、該被牽引車両の後方の領域を、サラウンドビュー・システムのユーザー、乃至、該サラウンドビュー・システムを備えた車両のユーザーに表示することができる。
【0015】
そのため、画像処理ユニットによって、被牽引車両サラウンド画像の画像領域内のオブジェクトの座標(被牽引車両座標系基準の座標)は、車両座標系の対応する座標に換算、乃至、転換されることができる。言い換えれば、この車両サラウンド画像は、割り出されたプルロッド角度を基に修正され、第一画像領域と第二画像領域から構成されている。該第一画像領域は、車両の四台のカメラから得られ、一方の第二画像領域は、被牽引車両の三台のカメラから得られ、これが、車両のカメラの死角領域の代わりに用いられる。
【0016】
ある実施形態では、該画像処理ユニットは、車両のカメラによって撮影された画像が、(仮想の)可動な三次元第一バックプロジェクション面に投影され、被牽引車両のカメラによって撮影された画像は、可動な三次元第二バックプロジェクション面に投影されることができる様に構成されることが想定されている。第一ボウルのある領域は-かなり以前に既に記した様に-車両サラウンド画像内の車両の特に好ましくは四台のカメラによっては捕捉できない画像領域、乃至、その中に存在し隠されているオブジェクトを描写できる対応する第二ボウルの第二領域に、置き換えられる。
【0017】
この三次元バックプロジェクション面は、特に、車両と被牽引車両を取り巻く車両と被牽引車両の間隔を、表示ユニットに高い精度で表示することを可能にする。その際、特に、表示ユニット上のオブジェクトが、実際よりも、車両乃至被牽引車両から離れて表示されないことを確保できる。尚、該三次元バックプロジェクション面は、深皿乃至ボウルの形状を有していることが特に好ましい。該深皿乃至ボウルは、例えば、平坦な、例えば、正方形の底面と放物線状の側面を有していることができる。
【0018】
更なる実施形態では、該画像処理ユニットが、車両サラウンド画像のプルロッド領域から、該プルロッドが、その幅方向軸を中心に車両に対してどの程度相対的にずれているのかを示す第二回転角を割り出し、該プルロッドの割り出された第一回転角と第二回転角に応じて車両サラウンド画像の被牽引車両領域を、被牽引車両部分サラウンド画像の対応する画像領域に置き換えることができる様に構成されていることが想定されている。この実施形態は、該被牽引車両が、直線的なプルロッドを用いて、車両の幅方向軸に対しても回動自在にジョイントされている限り、例えば、該車両が、平坦ではない路面や、丘や山などを走行中に、ピッチングが起こった際は、車両と被牽引車両間の鉛直方向の角度のずれに応じた車両サラウンド画像の死角領域を、被牽引車両サラウンド画像の対応する画像領域によって置き換えることを可能にする。
【0019】
更に該画像処理ユニットは、車両サラウンド画像のプルロッド領域から、該プルロッドが、その長手方向軸を中心に車両に対してどの程度相対的にずれているのかを示す第三回転角を割り出し、該プルロッドの割り出された第一回転角、第二回転角と第三回転角に応じて車両サラウンド画像の被牽引車両領域を、被牽引車両部分サラウンド画像の対応する画像領域に置き換えることができる様に構成されていることも可能である。実施形態は、該被牽引車両が、直線的なプルロッドを用いて、車両の長手方向軸に対しても回動自在にジョイントされている限り、付加的に、車両、及び/或いは、被牽引車両のローリングに起因する車両サラウンド画像の死角範囲も、被牽引車両サラウンド画像の対応する画像領域によって置き換えることを可能にする。
【0020】
本発明の第二アスペクトによれば、車両と被牽引車両からなる複合車両が提供される、但し、該被牽引車両は、直線的なプルロッドによって、該車両の少なくとも上下軸を軸として該車両に対して回動自在にジョイントされている。更に、該被牽引車両は、車両の幅方向軸及び長手方向軸に対しても、該車両に対して回動自在にジョイントされていることもできる。該複合車両は、更に、本発明の第一アスペクトに係る三次元サラウンドビュー・システムも包含している。
【0021】
以下、本発明の実施例を、模式的な図面を用いて詳細に説明する。図の説明:
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、一台の被牽引車両を備えた車両の側面図、
【
図2】
図2は、
図1の車両と被牽引車両の非常に概略化された上視図、
【
図4】
図4は、本発明に係るサラウンドビュー・システムの一つの実施例の構成を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1から3では、車両は、動力車両1として示されている。該動力車両1は、
図2に示されている四台のカメラ2から5を有している。カメラ2から5は、動力車両1のデカルト的第一座標系Iに対してキャリブレーションされている。車両1の座標系Iは、該車両1の前方方向に伸びる長手方向軸x、車両1の前方方向に対して横方向を向いている幅方向軸y、並びに、該車両1が走行している道路表面に対して直交している、乃至、それを基準としている車両1の上下軸zを包含している。車両1の長手方向軸xを中心とする回転運動は、ローリング、y軸を中心とする車両1の回転運動は、ピッチング、そして、z軸を中心とする車両1の回転運動は、ヨーイングと呼ばれる。
【0024】
動力車両1は、更に三台の、これらも
図2に示されているカメラ7から9を備えた被牽引車両6を牽引している。動力車両1と被牽引車両6がともに一つの複合車両10を構成している。カメラ7から9は、被牽引車両6のデカルト的第二座標系IIに対してキャリブレーションされている。被牽引車両6の座標系IIは、被牽引車両6の長手方向軸x’、幅方向軸y’並びに上下軸z’を包含している。該被牽引車両6は、直線的プルロッド11によって、車両1のトレーラカップリング12にジョイントされているが、該被牽引車両6は、車両1の三本の軸x,y,z全てを中心軸として回転乃至回動自在に支承されている。
【0025】
図2は、車両1の四台のカメラ2から5と被牽引車両6の三台のカメラ7から9が、どのように配置できるのかを例示している。車両1は、第一カメラ2、第二カメラ3、第三カメラ4並びに第四カメラ5を包含している。被牽引車両6は、第五カメラ7、第六カメラ8並びに第七カメラ9を包含している。更には、該カメラ2から5並びに7から9の視野の例も示されている。また、車両1の内部には画像処理ユニット13と、ここではモニタ14として実施されている光学的出力ユニットが配置されているが、該モニタ14は、車両1のドライバーの視野内に配置されている。
【0026】
図2に示されている実施例では、該第一カメラ2は、車両1の前方領域に配置されており、車両1近辺の周辺部において、本質的に前方の視野15を捕捉している。該第二カメラ3と第三カメラ4は、それぞれ、車両1の側方外部配置されており、車両1近辺の周辺部において、本質的に側方の視野16乃至17を捕捉している。該第三カメラ5は、車両1の後方領域に配置されており、車両1近辺の周辺部において、本質的に後方の視野18を捕捉している。四台のカメラ2から5の四つの視野15から18は、共同して、車両1の全周(360°)をカバーしている。
【0027】
車両1の4台のカメラ2から5は、同時に画像撮影を実施でき、これらから三次元の車両サラウンド画像が合成され、モニタ14上に表示されることができる。被牽引車両6のプルロッド11は、車両1の第四カメラ5の後方視野18内にある。即ち、該プルロッド11は、車両1の第四カメラ5が撮影した画像内にある。プルロッド11を含む第四カメラの画像の画像領域を、以下、「プルロッド領域」と定義する。画像処理ユニット13は、該プルロッド11が、車両1の上下軸zを中心として相対的にどの程度ずれているのかを示す第一回転角αを、プルロッド領域から割り出す。
【0028】
更に該プルロッド領域から該画像処理ユニット13は、該プルロッド11が、幅方向軸yを中心として車両1に対してどの程度ずれているのかを示す第二回転角βも割り出す。プルロッド11の相対的ずれは、
図1に示されている例では、車両1が、被牽引車両6がある第二道路区域23に対して傾いている第一道路区域22にあることに起因している(
図1)。
【0029】
また、該画像処理ユニット13は、該プルロッド11が、車両1の長手方向軸xを中心として相対的にどの程度ずれているのかを示す第三回転角φも、該プルロッド領域から割り出す。
図3は、第一道路区域22上にあり、長手方向軸xを軸としてローリングしている
図1の車両を、これに関して-明確にするために非常に誇張して-示しているが、該ロール角φは、示されている例では、第三回転角φに相当している。
【0030】
該第五カメラ7と第六カメラ8は、それぞれ、被牽引車両6の側方外部配置されており、該被牽引車両6近辺の周辺部において、本質的に側方及び前方の視野19乃至20を捕捉している。該第七カメラ9は、被牽引車両6の後方領域に配置されており、被牽引車両6近辺の周辺部において、本質的に後方の視野21を捕捉している。視野15から18と19から21の横方向の境界は、それぞれ、
図2に破線を用いて示唆されている。被牽引車両6の三台のカメラ7から9は、三次元の被牽引車両サラウンド画像に合成できる画像を同時に撮影できるが、該被牽引車両サラウンド画像は、該被牽引車両6の側方領域並びに該被牽引車両6の後方領域を示している。
【0031】
三次元車両サラウンド画像は、画像処理ユニット13が、車両1の四台のカメラ2から5によってそれぞれ同時に撮影された画像を、深皿乃至ボウル状の可動な三次元バックプロジェクション面に投影することによって作成される。同様に、三次元の被牽引車両サラウンド画像も、該画像処理ユニット13が、被牽引車両6の三台のカメラ7から9によってそれぞれ同時に撮影された画像を、深皿乃至ボウル状の可動な三次元バックプロジェクション面に投影することによって作成される。
【0032】
被牽引車両のプルロッド11だけが第四カメラ5によって撮影された画像内にあるのではなく、被牽引車両6全体が写っている。第四カメラ5の画像の被牽引車両6を含んでいる画像領域を、以下「被牽引車両領域」と定義する。
【0033】
該被牽引車両領域は、車両の後ろから被牽引車両6までは示すものの、車両サラウンド画像内において、該被牽引車両6の後ろ、乃至、双方の側方にあり、そのため該被牽引車両6によって隠されたオブジェクトは描写できない死角である。しかし、該隠されたオブジェクトは、被牽引車両6の三つカメラ7から9によって捕捉され、被牽引車両サラウンド画像の一つの画像領域内に描写されることができる。画像処理ユニット13は、車両サラウンド画像内の被牽引車両領域を、被牽引車両サラウンド画像の対応する画像領域に置き換えるが、被牽引車両サラウンド画像の該画像領域は、被牽引車両6によって隠されている画像領域乃至その中にある隠されたオブジェクトを包含している。
【0034】
割り出された回転角度α,β,φに基づき、該画像処理ユニット13は、該被牽引車両によって隠され、車両1の四台のカメラ2から5によっては捕捉できない画像領域を含む被牽引車両サラウンド画像の対応する画像領域を選択する。そのために、画像処理手段13は、被牽引車両サラウンド画像の画像領域内のオブジェクトの座標(被牽引車両座標系II基準の座標)を、車両座標系Iの対応する座標に換算、乃至、転換する。
【0035】
図4は、三次元サラウンドビュー・システムが、どのように機能する、乃至、作動されるのかを示している。車両1の4台のカメラ2から5の画像24から-
図1から
図3に関連してかなり以前に既に記した様に-被牽引車両6のプルロッド11の車両1に対する角度αと(オプション的に)角度βとβが、算出される(ブロック25によって示唆した)。更に車両1の4台のカメラ2から5のそれぞれ四枚の画像24は、被牽引車両6の3台のカメラ7から9のそれぞれ三枚の画像26と、画像
処理ユニット13を用いて、組み合わせられる(「+」の符号によって示唆した)ことができる。
【0036】
それぞれ全七枚の画像(車両1の四台のカメラ2から5の四枚の画像と被牽引車両6の三台のカメラ7から9の三枚の画像)、並びに、割り出された角度α(オプションとして付加的に割り出された角度β、及び/或いは、割り出された角度φ)から、該画像
処理ユニット13が、三次元の車両サラウンド画像を、
図1から
図3に関連してかなり以前に既に記した様にレンダリングする(ブロック27によって示唆した)。その際、三次元の車両サラウンド画像は、これを介して望まれる(これに依存してレンダリングが実施される)三次元の車両サラウンド画像用のバーチャル視点を選択することも可能な人間・機械インタフェース28の一部であることができるモニタ14上に表示される。