(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】コンデンサブッシングの損失係数を監視する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/12 20200101AFI20220607BHJP
【FI】
G01R31/12 C
(21)【出願番号】P 2019546917
(86)(22)【出願日】2018-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2018054398
(87)【国際公開番号】W WO2018158135
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-02-16
(31)【優先権主張番号】102017104110.9
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035459
【氏名又は名称】マシイネンフアブリーク・ラインハウゼン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(72)【発明者】
【氏名】フィーアエック・カルステン
(72)【発明者】
【氏名】ウー・ユンリャン
(72)【発明者】
【氏名】ズンダーマン・ウルリヒ
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-502455(JP,A)
【文献】特開昭50-096868(JP,A)
【文献】特開2007-333529(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0184325(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電力網用のコンデンサブッシング(2a,2b,2c)を監視するための方法であって、
-前記交流電力網は、第1、第2及び第3の相(A,B,C)を有し、且つ
・前記第1の相(A)と第1のコンデンサブッシング(2a)とが付設されていて、第1の電力網電圧が印加する第1の電力網配線(5a)と、
・前記第2の相(B)と第
2のコンデンサブッシング(2b)とが付設されていて、第2の電力網電圧が印加する第2の電力網配線(5b)と、
・前記第3の相(C)と第3のコンデンサブッシング(2c)とが付設されていて、第3の電力網電圧が印加する第
3の電力網配線(5c)とを含み、
-それぞれのコンデンサブッシング(2a,2b,2c)は、
・当該付設された電力網配線(5a,5b,5c)に接続されている導体(4)と、
・この導体(4)を包囲する導電性の被膜(3)とを含み、
-それぞれの相(A,B,C)に対して既定の第1の時点(t1)に、
・対応する第1の参照電圧指標(Ra(t1),Rb(t1),Rc(t1))が、第1の参照電圧に対して算出され、
・当該それぞれの被覆(3)と接地電位(13)との間に印加する被覆電圧が検出され、対応する第1の被覆電圧指標(Va(t1),Vb(t1),Vc(t1))が算出され、
-それぞれの相(A,B,C)に対して、前記第1の時点(t1)後にある既定の第2の時点(t2)に
・対応する第2の参照電圧指標(Ra(t2),Rb(t2),Rc(t2))が、第2の参照電圧に対して算出され、
・前記被覆電圧が検出され、対応する第2の被覆電圧指標(Va(t2),Vb(t2),Vc(t2))が算出され、
-それぞれのコンデンサブッシング(2a,2b,2c)に対して、
・損失係数変化(ΔDa,ΔDb,ΔDc)が、それぞれの第1及び第2の参照電圧指標及び被覆電圧指標と、それぞれの隣接したコンデンサブッシング(2b,2c,2a)の第1及び第2の参照電圧指標及び被覆電圧指標とに依存して算定され;
・当該損失係数変化が、許容値(DA,DB,DC)と比較され、
-監視信号が、これら損失係数比較の結果に依存して生成される当該方法。
【請求項2】
-それぞれの参照電圧は、それぞれの電力網電圧(Ua(t1),Ua(t2),Ub(t1,)Ub(t2),Uc(t1),Uc(t2))である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
-第1の平行コンデンサブッシング(2a′)が、第1の電力網配線(5a)に付設されていて、
-第2の平行コンデンサブッシング(2b′)が、第2の電力網配線(5b)に付設されていて、
-第3の平行コンデンサブッシング(2c′)が、第3の電力網配線(5c)に付設されていて、
-当該それぞれの平行コンデンサブッシング(2a′,2b′,2c′)が、
・当該付設された電力網配線(5a,5b,5c)に接続されている導体(4)と、
・この導体(4)を包囲する導電性の被膜(3)とを含み、
-当該それぞれの相(A,B,C)に対して、
・前記第1及び第2の参照電圧は、それぞれの前記第1の時点と前記第2の時点とに当該それぞれの平行コンデンサブッシングの前記被覆(3)と接地電位(13)との間に印加する第1及び第2の被覆電圧(Va′(t1),Vb′(t1),Vc′(t1),Va′(t2),Vb′(t2),Vc′(t2))である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
-それぞれの相(A,B,C)に対して、
・前記参照電圧は、定電圧であり、対応する定電圧指標が、この定電圧に対して予め設定される請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
-それぞれの定電圧指標の大きさは、前記交流電力網の定格電圧値に等しく、
-前記第1の相(A)に対しては、前記第1及び第2の定電圧指標(Ra(t1),Ra(t2))の相角は、0°であり、
-前記第2の相(B)に対しては、前記第1及び第2の定電圧指標(Rb(t1),Rb(t2))の相角は、120°であり、
-前記第3の相(C)に対しては、前記第1及び第2の定電圧指標(Rc(t1),Rc(t2))の相角は、240°であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
-前記第1のコンデンサブッシング(2a)の損失係数変化は、以下の式
【数1】
にしたがって算定され、及び/又は
-前記第2のコンデンサブッシング(2b)の損失係数変化は、以下の式
【数2】
にしたがって算定され、及び/又は
-前記第3のコンデンサブッシング(2c)の損失係数変化は、以下の式
【数3】
にしたがって算定され、
-Ra(t1),Rb(t1),Rc(t1)は、第1、第2及び第3の相の第1の参照電圧指標であり、
-Va(t1),Vb(t1),Vc(t1)は、第1、第2及び第3の相の第1の被覆電圧指標であり、
-Ra(t2),Rb(t2),Rc(t2)は、第1、第2及び第3の相の第2の電力網電圧指標であり、
-Va(t2),Vb(t2),Vc(t2)は、第1、第2及び第3の相の第2の被覆電圧指標である請求項1~
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
-許容値DA>0,DB>0,DC>0が、前記損失係数比較に対して決定され、
-前記損失係数比較で、
【数4】
が成立する場合に、前記コンデンサブッシング(2a,2b,2c)が正常な状態にあることを示す監視信号が生成される請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
-許容値DA>0,DB>0,DC>0が、損失係数比較に対して決定され、
-前記損失係数比較で、
【数5】
が成立する場合に、前記第2のコンデンサブッシング(2b)が正常な状態にない
ことを示す監視信号が生成されるか、又は他の2つの前記コンデンサブッシング(2a,2c)が正常な状態になく、
且つ同種のエラーを有することを示す監視信号が生成され、
-前記損失係数比較で、
【数6】
を成立する場合に、前記第3のコンデンサブッシング(2c)が正常な状態にない
ことを示す監視信号が生成されるか、又は他の2つの前記コンデンサブッシング(2b,2a)が正常な状態になく、
且つ同種のエラーを有することを示す監視信号が生成され、
-前記損失係数比較で、
【数7】
が成立する場合に、前記第1のコンデンサブッシング(2a)が正常な状態にない
ことを示す監視信号が生成されるか、又は他の2つの前記コンデンサブッシング(2c,2b)が正常な状態になく、
且つ同種のエラーを有することを示す監視信号が生成される請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
-その他の場合に、全ての3つのコンデンサブッシング(2a,2b,2c)が正常な状態にない
ことを示す監視信号が生成されるか、又は2つのコンデンサブッシングが正常な状態になく、
且つ同種のエラーを有さないことを示す監視信号が生成されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
-それぞれの相(A,B,C)に対して、前記第2の時点(t2)後にある既定の第3の時点(t3)に、
・対応する第3の参照電圧指標(Ra(t3),Rb(t3),Rc(t3))が、参照電圧に対して算出され、
・前記被覆電圧が検出され、対応する第3の被覆電圧指標(Va(t3),Vb(t3),Vc(t3))が算出され、
・前記第2の参照電圧指標が、前記第3の参照電圧指標と置換され、前記第2の被覆電圧指標が、前記第3の被覆電圧指標と置換され、
-それぞれのコンデンサブッシング(2a,2b,2c)に対して、
・前記損失係数変化(ΔDa,ΔDb,ΔDc)の算定及び比較が繰り返され、
-監視信号が、これらの損失係数比較の結果に依存して生成される請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
-前記第2の参照電圧指標と前記被覆電圧指標とのそれぞれの置換の前に、
・前記第1の参照電圧指標が、前記第2の参照電圧指標と置換され、前記第1の被覆電圧指標が、前記第2の被覆電圧指標と置換される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
-前記第2の時点(t2)後にある既定の少なくとも1つのより後の時点(tn)で、それぞれの相(A,B,C)に対して、
・対応するより後の参照電圧指標(Ra(tn),Rb(tn),Rc(tn))が、参照電圧に対して算出され、
・前記被覆電圧が検出され、対応するより後の被覆電圧指標(Va(tn),Vb(tn),Vc(tn))が算出され、
-当該それぞれのコンデンサブッシング(2a,2b,2c)に対して、
・前記損失係数変化(ΔDa,ΔDb,ΔDc)の算定が、それぞれのより後の電力網電圧指標と被覆電圧指標とにさらに依存することを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
-前記第2の時点(t2)後にある既定の少なくとも1つのより後の時点(tn)で、それぞれの相(A,B,C)に対して、
・より後の参照電圧指標(Ra(tn),Rb(tn),Rc(tn))が算出され、
・前記被覆電圧が検出され、対応するより後の被覆電圧指標(Va(tn),Vb(tn),Vc(tn))が算出され、
-当該それぞれのコンデンサブッシング(2a,2b,2c)に対して、
・損失係数変化(ΔDa,ΔDb,ΔDc)が、それぞれの第1、第2及びより後の参照電圧指標及び被覆電圧指標と、隣接したそれぞれのコンデンサブッシング(2b,2c,2a)の第1、第2及びより後の参照電圧指標及び被覆電圧指標とに依存して算定され、・前記損失係数変化が、許容値(DA,DB,DC)と比較され、
-監視信号が、これら損失係数比較の結果に依存して生成される請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
-前記第1のコンデンサブッシング(2a)の損失係数変化が、以下の式
【数8】
にしたがって算定され、及び/又は
-前記第2のコンデンサブッシング(2b)の損失係数変化が、以下の式
【数9】
にしたがって算定され、及び/又は
-前記第3のコンデンサブッシング(2c)の損失係数変化が、以下の式
【数10】
にしたがって算定され、
-n>2は、時点の総数であり、
-t1,t2は、第1及び第2の時点であり、t3,…,tnは、より後の時点であり、-gai,gbi,gciは、第1、第2及び第3のコンデンサブッシングに対するi番目の重み係数である請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
-それぞれの重み係数が、当該それぞれの時点の古い順に非単調に依存し、及び/又は
-重み係数に対して、
g
(ai-1)≦g
ai及び/又はg
(bi-1)≦g
bi及び/又はg
(ci-1)≦g
ci、ここで、i=2,…,n
が成立する請求項14に記載の方法。
【請求項16】
-複数の前記第1の参照電圧指標の算出と複数の前記第1の被覆電圧指標の算出との間に、
・これらの第1の参照電圧指標の大きさが、相互に比較され、
・これらの大きさの比較で、これらの大きさが、既定の範囲内で相互に相違するときに、これらの第1の被覆電圧指標が算出され、
及び/又は
-複数の第2の参照電圧指標の算出と複数の第2の被覆電圧指標の算出との間に、
・これらの第2の参照電圧指標の大きさが、相互に比較され、
・これらの大きさの比較で、これらの大きさが、既定の範囲内で相互に相違するときに、これらの第2の被覆電圧指標が算出される請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
-複数の第1の参照電圧指標の算出と複数の第1の被覆電圧指標の算出との間に、
・これらの第1の参照電圧指標の相角が、相互に比較され、
・これらの相角の比較で、これらの相角が、既定の範囲内で相互に相違するときに、これらの第1の被覆電圧指標が算出され、
-複数の第2の参照電圧指標の算出と複数の第2の被覆電圧指標の算出との間に、
・これらの第2の参照電圧指標の相角が、相互に比較され、
・これらの相角の比較で、これらの相角が、既定の範囲内で相互に相違するときに、これらの第2の被覆電圧指標が算出されることを特徴とする請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
交流電力網用のコンデンサブッシング(2a,2b,2c)を監視するための装置(1)であって、
-前記交流電力網は、第1、第2及び第3の相(A,B,C)を有し、且つ
・前記第1の相(A)と第1のコンデンサブッシング(2a)とが付設されていて、第1の電力網電圧が印加する第1の電力網配線(5a)と、
・前記第2の相(B)と第
2のコンデンサブッシング(2b)とが付設されていて、第2の電力網電圧が印加する第2の電力網配線(5b)と、
・前記第3の相(C)と第3のコンデンサブッシング(2c)とが付設されていて、第3の電力網電圧が印加する第
3の電力網配線(5c)とを含み、
-それぞれのコンデンサブッシング(2a,2b,2c)は、
・当該付設された電力網配線(5a,5b,5c)に接続されている導体(4)と、
・この導体(4)を包囲する導電性の被膜(3)とを含み、
前記装置は、
・前記第1の電力網配線(5a)に接続され得る第1の電圧コンバータ(9a)と、
・前記第2の電力網配線(5b)に接続され得る第2の電圧コンバータ(9b)と、
・前記第3の電力網配線(5c)に接続され得る第3の電圧コンバータ(9c)と、
・前記第1のコンデンサブッシング(2a)の被覆(3)に接続され得る第1の測定アダプタ(6a)と、
・前記第2のコンデンサブッシング(2b)の被覆(3)に接続され得る第2の測定アダプタ(6b)と、
・前記第3のコンデンサブッシング(2c)の被覆(3)に接続され得る第3の測定アダプタ(6c)と、
・前記測定アダプタ(6a,6b,6c)に連接されている測定装置(7)と、
・前記電圧コンバータ(9a,9b,9c)と前記測定装置(7)とに連接されている評価装置(8)とを含み、
-それぞれの相(A,B,C)に対するそれぞれの電圧コンバータ(9a,9b,9c)が、電力網電圧を検出し得て、
-当該それぞれの相(A,B,C)に対する測定装置(7)が、当該それぞれの測定アダプタ(6a,6b,6c)によって当該それぞれの被覆(3)と接地電位(13)との間に印加する被覆電圧を検出し得て、
-前記評価装置(8)が、既定の第1の時点(t1)にそれぞれの相(A,B,C)に対して、
・当該それぞれの電圧コンバータ(9a,9b,9c)によって前記電力網電圧を検出し、対応する第1の電力網電圧指標(Ua(t1),Ub(t1),Uc(t1))を算出し得て、
・前記測定装置(7)によって前記被覆電圧を検出し、対応する第1の被覆電圧指標(Va(t1),Vb(t1),Vc(t1))を算出し得るように、前記評価装置(8)は構成されていて、
-前記評価装置(8)が、前記第1の時点(t1)後にある既定の第2の時点(t2)にそれぞれの相(A,B,C)に対して、
・当該それぞれの電圧コンバータ(9a,9b,9c)によって前記電力網電圧を検出し、対応する第2の電力網電圧指標(Ua(t2),Ub(t2),Uc(t2))を算出し得て、
・前記測定装置(7)によって前記被覆電圧を検出し、対応する第2の被覆電圧指標(Va(t2),Vb(t2),Vc(t2))を算出し得るように、前記評価装置(8)は構成されていて、
-前記評価装置(8)が、当該それぞれのコンデンサブッシング(2a,2b,2c)に対して、
・損失係数変化(ΔDa,ΔDb,ΔDc)を、それぞれの第1及び第2の電力網電圧指標及び被覆電圧指標と、それぞれの隣接したコンデンサブッシング(2b,2c,2a)の第1及び第2の電力網電圧指標及び被覆電圧指標とに依存して算定し得て、
・当該損失係数変化を、許容値(DA,DB,DC)と比較し得るように、前記評価装置(8)は構成されていて、
-前記評価装置(8)が、監視信号をこれら損失係数比較の結果に依存して生成し得るように、前記評価装置(8)は構成されている当該装置(1)。
【請求項19】
請求項1~17のいずれか1項にしたがう方法を実行するために構成されてい
るように構成されている請求項18に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3つの相の交流電力網のためのコンデンサブッシングを監視するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電力変換装置とスロットバルブといった交流電力網のための電気機器は、通常、コンデンサブッシングの補助によって、交流電力網の電力網配線に接続されている。これらコンデンサブッシングの不全又は故障は、例えば電気機器の破損又は破壊及び、それにより発生するエネルギ供給の故障といった重大な結果に結びついていることがあり得るので、例えば稼働における容量及び損失係数といった関係するコンデンサブッシングのパラメータを監視することが公知である。損失係数監視のための公知の方法において、例えば稼働中におけるコンデンサブッシングに当接する高電圧、又は温度変動といった様々な影響要素は、捉えられる特性値に明らかに影響し得及び、そうして確実な監視を困難にし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第102004027349号
【文献】独国特許出願公開第10037432号
【0004】
独国特許出願公開第102004027349号は、高電圧ブッシングの絶縁の損失係数を算出するための方法を解説する。高電圧ブッシングは、電場の減少制御のための中敷きを使って、外側端子が、第1の中敷きの電位において設けられていて、及び少なくとも1つの内側端子が設けられていて、この内側端子は、第1の中敷きに関して、その横断面において、さらに内側に配置された中敷きと接続されている。さらに、外側端子は、操作可能な参照コンデンサを介してアース電位に接続される。内側端子と外側端子の間で降下する試験電圧、参照コンデンサにおいて降下する設定電圧、及び試験電圧と設定電圧間の相シフトが、算出される。相シフトの考慮下で、試験電圧と設定電圧間で差異を形成することによって、生起する電圧が算定される。ここで、参照コンデンサは、生起する電圧と試験電圧の間における相シフトが、又は生起する電圧と設定電圧の間における相シフトが、ゼロに等しいように調節される。参照コンデンサの設定は、こうして、老朽化状態に関する指摘として評価され得、又は絶縁の質が評価され得る。
【0005】
独国特許出願公開第10037432号は、電気稼働電圧によって衝撃を与えられたコンデンサブッシングの監視のための方法を解説し、このコンデンサブッシングにおいて、導通する中敷きと伴に、分圧器が形成されいて、この中敷きに接続された測定タップによって、及びアース電位によって、少なくとも1つの電気測定大きさの測定値が検出され、及び記憶される。少なくとも1つの測定値を検出した後、測定タップとアース電位の間のインピーダンスが変更され、及び測定タップとアース電位によって、その時、形成される測定信号の少なくとも1つの信号値が捉えられ、且つ記憶され、この1つの測定値の検出の時点と信号値の検出の時点の間の時間的間隔は、場合によって、両方の時点間で起こった稼働電圧の変化が、無視可能であるように測定されている。
【0006】
これらを背景として、本発明は、独立請求項の対象を提案する。有利な発展形態は、従属請求項に解説されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、コンデンサブッシングのより良い監視を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1の観点にしたがって、交流電力網のためのコンデンサブッシングの監視のための方法を提案し、この交流電力網は、第1の相、第2の相、及び第3の相を有する。さらに交流電力網は、第1の相、及び第1のコンデンサブッシングが付設されている第1の電力網配線を含み及び、この第1の電力網配線に第1の電力網電圧が当接し、さらに交流電力網は、第2の相、及び第2のコンデンサブッシングが付設されている第2の電力網配線を含み及び、この二の電力網配線に第2の電力網電圧に当接し、さらに交流電力網は、第3の相及び第3のコンデンサブッシングが付設されている第3の電力網配線を含み及び、この第3の電力網配線に第3の電力網電圧が当接する。これら各コンデンサブッシングが、付設された電力網配線に接続されている導体を含み、及び導電性の被膜を含み、この被覆が、この導体を包囲する。
【0009】
提案される方法の範囲内において、
-既定の第1の時点で、これら各相のために
・第1の参照電圧のために、対応する第1の参照電圧指標、又は複雑な参照電圧値が、算出され、
・それぞれの被覆と接地電位の間に設けられた被覆電圧が、捉えられ、及び対応する第1の被覆電圧指標又は複雑な被覆電圧値が算出される。
-第1の時点の後にある予設定され第2の時点で、これら各相のために
・第2の参照電圧のために、対応する第2の参照電圧指標、又は複雑な参照電圧値が、算出され、
・被覆電圧が捉えられ、且つ対応する第2の被覆電圧指標、又は複雑な被覆電圧値が算出され、
-これら各コンデンサブッシングのために
・損失係数変化が、それぞれの第1の及び第2の参照電圧指標及び被覆電圧指標及び、それぞれに隣接されたコンデンサブッシングの第1の、及び第2の参照電圧指標及び被覆電圧指標に依存して算定され、
・損失係数変化が、許容値と比較される。
-この損失係数比較の結果に依存して、監視信号が生成される。
【0010】
提案される方法は、同一の電力変換装置の隣接されたコンデンサブッシングのパラメータ及び測定量を本来の監視のために使用する。この際、例えば温度変化といった外部の影響は、コンデンサブッシングの損失係数変化に均一化される。その上、自明にも付設された電力網配線に接続されているコンデンサブッシングの監視の際、電力網配線に当接する電力網電圧の変動は、それぞれの電力網配線に接続されたコンデンサブッシングを介して測定電圧に伝導されることが回避される。そうして、測定公差は、被覆電圧の検出に際し、少なくとも部分的に補償され得、及びコンデンサブッシングの状態について、より良い通報が行われ得る。
【0011】
各コンデンサブッシングのための損失係数は、例えば複雑な指標大きさの無消失の虚数成分に対する、及び/又は複雑な大きさと、その虚数成分間の消失Δの正接に対する、消失を伴う実数成分の比率として、必要に応じて、任意の手段で導き出される。通常、コンデンサブッシングのための損失係数は、高電圧領域にあり、この際、0,005%と1%の間の領域にある。
各コンデンサブッシングは、必要に応じて、任意の手段で形成されていることが可能で、及び例えば上位容量及び下位容量を使用し得る。上位容量は、例えばコンデンサの容量として形成されていることが可能で、このコンデンサは、それぞれの被覆、及びそれぞれの導体から形成される。上位容量のための普通の値は、200と600pFの間の領域にある。
【0012】
不足容量は、例えば並列回路の容量として形成され得、測定装置とコンデンサを含み、この測定装置によって例えば被覆電圧が、捉えられ得、及び/又は測定され得る。上記のコンデンサは、この際、それぞれの最も外側の被覆及び接地電位又はそれぞれの最も外側の被覆及び導通するフランジによって形成され、このフランジは、それぞれのコンデンサブッシングの外面に固定されていて、及び接地電位に当接している。通常、不足容量は、1と5μFの間にあるが、この不足容量は、必要に応じて別の値も有し得、及び例えば0,1μFと50μFの間、又は0,2μFと20μFの間、又は0,5μFと10μFの間にあり得る。
【0013】
下記において、電力網電圧として、交流電力網の相と接地電位間に設けられている電圧が記されている。電力網電圧の測定と電力網電圧指標の形成は、任意の手段で、例えば容量性分圧器によって行われ得る。
【0014】
被覆電圧として、下記において、不足容量において、測定装置によって捉えられた電圧が記され、この電圧は、コンデンサブッシングの最も外側の被覆と接地電位の間に設けられている。被覆電圧指標/複雑な被覆電圧値の算出は、電気工学の公知の方法によって行われる。
3つの相の交流電力網において、≫隣接された≪という概念は、対応する指標システムの既定の回転方向(Drehsinn)に関連して定義されていて、例えば第2の相Bは、第1の相Aに隣接し、第3の相Cは、第2の相Bに、及び第1の相Aは、第3の相Cに隣接するように定義されている。
【0015】
許容値は、必要に応じて、任意の手段で形成されていることが可能で、及び例えばコンデンサブッシングのデータシートからの対応するパラメータの百分率による割合を示し、又は経験値に基づいて導き出される。許容値は、必要に応じて、全てのコンデンサブッシングのため一様に、又は個々に各コンデンサブッシングのために様々に選択され得る。
【0016】
監視信号は、例えば聴覚的信号、及び/又は視覚的信号、及び/又は電気的信号として、必要に応じて、任意の手段で形成されていることが可能である。
【0017】
各参照電圧は、随時の電力網電圧であるように設けられていることが可能である。
【0018】
以下のように、
-第1の電力網配線に、第1の平行コンデンサブッシングが、付設されていて、
-第2の電力網配線に、第2の平行コンデンサブッシングが、付設されていて、
-第3の電力網配線に、第3の平行コンデンサブッシングが、付設されていて、
-この各平行コンデンサブッシングは、この際、導体を含み、この導体は、付設された電力網配線に接続されていて、及び、この導体の導電性の被膜を包囲し、
-この各平行コンデンサブッシングは、この際、導体を含み、この導体は、付設された電力網配線に接続されていて、及び、この導体の導電性の被膜を包囲するように設計されていることが、可能である。
【0019】
この平行コンデンサブッシングは、例えば3つのコンデンサブッシングを介して、3つの相に接続されている第1の電気機器に加えて、ここではパラレル機器としても記される第2の電気機器を、第1の機器に平行に、3つの相に接続するためにある。パラレル被覆電圧値が、最初の参照電圧値を形成するので、電力網電圧を検出することが断念され得る。この事は、比較的少ない測定機器が、使用される必要があるので、監視方法の正確性に、マイナスの影響を与えることなく、費用の節約、及び簡易化された維持管理、及び保全に繋がる。
【0020】
各相のため、参照電圧は、定電圧であり、この電圧のために、対応する定電圧指標が予設定されているように設計されていることが可能である。
【0021】
各定電圧指標の大きさは、交流電力網の定格電圧値に等しく、及び第1の相のために、第1の、及び第2の定電圧指標の相角が0°の値を有し、第2の相のために、第1の、及び第2の定電圧指標の相角が、120°の値を有し、及び第3の相のために、第1の及び第2の定電圧指標の相角が、240°の値を有することように設けられていることが可能である。
【0022】
以下のように、
-下記の式にしたがう
第1の
コンデンサブッシングの
損失係数変化
【数1】
算定され、及び/又は
-下記の式にしたがう
第2の
コンデンサブッシングの
損失係数変化
【数2】
算定され、及び/又は
-下記の式にしたがう
第3の
コンデンサブッシングの
損失係数変化
【数3】
算定され、
-
Ra(t1),
Rb(t1),
Rc(t1)が、
第1の参照電圧
指標が、
第1の、
第2の、及び
第3の
相であり、
-及び
Va(t1),
Vb(t1),
Vc(t1)が、
第1の
第2の及び
第3の
相の
第1の
被覆電圧
指標であり、
-及び
Ra(t2),
Rb(t2),
Rc(t2)は、
第1の、
第2の、及び
第3の
相の
第2の参照電圧
指標であり、
-及び
Va(t2),
Vb(t2),
Vc(t2)は、
第1の、
第2の、及び
第3の
相の
第2の
被覆電圧
指標である。
【0023】
許容値DA>0,DB>0,DC>0は、
損失係数比較のために定められるよう設計されていることが可能であり、及び
【数4】
が該当すると
損失係数比較が結論づけた場合、監視信号が生成され、この監視信号は、
コンデンサブッシングが、正常な状態にあることを表示し及び、その他の場合、監視信号が生成され、この監視信号は、少なくとも1つの
コンデンサブッシングが、正常な状態にないことを表示する。
【0024】
許容値DA>0,DB>0,DC>0は、
損失係数比較のために定められるように設けられ得、及び
-
損失係数比較が、
【数5】
が該当すると結論付ける場合、
監視信号が生成され、この監視信号は、
第2の
コンデンサブッシングが、正常な状態になく、又は他の両
コンデンサブッシングが、正常な状態になく、且つ同種のエラーを有することを表示し、
-
損失係数比較が、
【数6】
が該当すると結論付ける場合、
監視信号が生成され、この監視信号は、
第3の
コンデンサブッシングが、正常な状態になく、又は他の両
コンデンサブッシングが、正常な状態になく、且つ同種のエラーを有することを表示し、
-
損失係数比較が、
【数7】
が該当すると結論付ける場合、
監視信号が生成され、この監視信号は、
第1の
コンデンサブッシングが、正常な状態になく、又は他の両
コンデンサブッシングが、正常な状態になく、且つ同種のエラーを有することを表示する;
【0025】
これら各許容値DA,DB,DCは、必要に応じて、任意の手段において定められ得、及び例えば0,0001,又は0,0002,又は0,0005,又は0,001,又は0,002,又は0,005,又は0,01又は0,02又は0,05の値に定められ得る。これら各許容値、及び他の許容値の少なくとも1つは、同等、又は不等であり得る。
【0026】
他の場合に、監視信号が生成されるように設計されていることが可能で、この監視信号は、全3つのコンデンサブッシングが、正常な状態にない、又は、2つのコンデンサブッシングが、正常な状態にない、及び同種のエラーを有さないことを表示する。
【0027】
各許容値が、随時のコンデンサブッシングの順番にアンチトン(antiton)で依存するように設けられていることが可能である。
【0028】
第2の時点の後にある
既定の第3の時点で、この参照電圧のための各
相のために、
・及び
対応する第3の参照電圧
指標、又は複雑な参照電圧値が算出されることは、さらに提案され得、
・
被覆電圧が捉えられ、及び
対応する第3の
被覆電圧
指標、又は複雑な
被覆電圧値が、算出され、
・
第2の参照電圧
指標が、
第3の参照電圧
指標によって、及び
第2の
被覆電圧
指標が、
第3の
被覆電圧
指標によって置換され、
-これら各
コンデンサブッシングのために
・
損失係数変化の算定及び比較が、繰り返され、
-監視信号が、これら
損失係数比較の結果に依存して生成される。
第2の参照電圧
指標の及び
被覆電圧
指標の各置換の前に、
第1の参照電圧
指標が、
第2の参照電圧
指標によって、及び
第1の
被覆電圧
指標が、
第2の
被覆電圧
指標によって置換されるようにさらに設計されていることが可能である。
第2の時点の後にある少なくとも1つの
既定の、より後の時点に、これら各
相のために、
・参照電圧のために、
対応する、より後の参照電圧
指標、又は複雑な
電力網電圧値が算出されるようにさらに設計されていることが可能であり、
・
被覆電圧が、捉えられ、及び
対応する、より後の
被覆電圧
指標、又は複雑な
被覆電圧値が算出され、
・これら各
コンデンサブッシングのため、
損失係数変化の算定は、より後の
それぞれの参照電圧
指標及び
被覆電圧
指標に依存する。
第2の時点の後にある少なくとも1つの
既定の、より後の時点で、これら各
相のために、
・参照電圧のために、
対応するより後の参照電圧
指標又は複雑な参照電圧値が算出され、
・
被覆電圧が、捉えられ、及び
対応する、より後の
被覆電圧
指標、又は複雑な
被覆電圧値が算出され、
-これら各
コンデンサブッシングのために
・
損失係数変化が、各
第1の、
第2の、及び、より後の参照電圧
指標、及び
被覆電圧
指標及び、
それぞれに隣接された
コンデンサブッシングの
第1の、
第2の及び、より後の参照電圧
指標及び
被覆電圧
指標に依存して算定され、
・
損失係数変化が、
許容値と比較され、
-監視信号が、これら
損失係数比較の結果に依存して生成される。
下記の式にしたがう
第1の
コンデンサブッシングの
損失係数変化
【数8】
算定され、及び/又は
-下記の式にしたがう
第2の
コンデンサブッシングの
損失係数変化
【数9】
算定され、及び/又は
-下記の式にしたがう
第3の
コンデンサブッシングの
損失係数変化
【数10】
算定され、
-n>2が、時点の総数であり、
-t1,t2
第1の及び
第2の時点及びt3,…,tnが、より後の時点であり、
-gai,gbi,gciは、
第1の、
第2の及び、
第3の
コンデンサブッシングのためのi-番目の重み係数である。
【0029】
各重み係数は、それぞれの時点の順番にアンチトン(antiton)に依存するようにさらに設計されていて、及び/又は重み係数に
g(ai-1)≦gai及び/又はg(bi-1)≦gbi及び/又はg(ci-1)≦gci次を伴うi=2,…,n
が当てはまる。
【0030】
さらに設計されていることが、可能である。
-第1の参照電圧指標の算出と第1の被覆電圧指標の算出の間で、
・第1の参照電圧指標の大きさが、相互に比較され、
・第1の被覆電圧指標の算出は、これら大きさが、予設定され寸法より大きく相互に偏倚することを結論付ける場合に行われる。
及び/又は
-第2の参照電圧指標の算出と第2の被覆電圧指標の算出の間で、
・第2の参照電圧指標の大きさが、相互において比較され、
・第2の被覆電圧指標の算出は、これら大きさが、予設定され寸法より大きく相互に偏倚することを結論付ける場合に行われる。
【0031】
この参照電圧指標の大きさの比較は、1つの時点が定められ、この時点において本来の監視、つまりコンデンサブッシングの損失係数変化の比較、及び監視信号の生成、特に有利で、又は好適であり、何故なら、この監視は、既定の寸法を越えて、相互に偏倚する参照電圧によって困難にされず、阻止され又は不可能にさえされることを実現するからである。交流電力網における電圧の変動から独立して、及び被覆電圧の検出に際する測定公差から独立して、コンデンサブッシングの状態についてのより良い通報がなされ得ることが、実現される。
【0032】
交流電力網における電圧の変動から独立して、及び被覆電圧の検出に際する測定公差から独立して、コンデンサブッシングの状態についてのより良い通報がなされ得ることが、実現される。こうして、コンデンサブッシングの確実な監視が、交流電力網における偏倚と電圧の支障の考慮及び評価の下で保証される。
【0033】
参照電圧
指標の大きさの比較のために、必要に応じて、参照電圧
指標の額及び/又は効果値及び/又は波高値及び/又は振幅が、使用され得る。
さらに設計されていることが、可能である。
-各大きさ比較は、次の
・
許容値RAB>0,RBC>0,RCA>0が、随時の寸法として定められ、
【数11】
が該当するかどうか試験され、
-Raeは、
第1の
相の随時の参照電圧
指標の額、又は効果値であり、
-Rbeは、
第2の
相の随時の参照電圧
指標の額、又は効果値であり、
-Rceは、
第3の
相の随時の参照電圧
指標の額、又は効果値である。
これら各
許容値RAB,RBC,RCAは、必要に応じて、任意の手段において定められ得、及び例えば或る値に定められ、この値は随時の参照電圧Rae,Rbe,Rceの額面の0,1%又は0,2%又は0,5%又は1%又は2%又は3%又は4%又は5%又は7%又は10%又は15%又は20%又は25%又は30%又は40%又は50%に
対応するように行われる。これら各
許容値DA,DB,DCは、必要に応じて、任意の手段において定められ得、及び例えば0,0001,又は0,0002,又は0,0005,又は0,001,又は0,002,又は0,005,又は0,01又は0,02,又は0,05の値に定められ得る。
【0034】
さらに設計されていることが、可能である。
-第1の参照電圧指標の算出と第1の被覆電圧指標の算出の間で
・第1の参照電圧指標の相角が、相互に比較され、
・第1の被覆電圧指標の算出は、これら角比較が、これら相角が、既定の寸法より大きく相互に偏倚することを結論付ける場合に行われ、
-第2の参照電圧指標の算出と第2の被覆電圧指標の算出の間で、
・第2の参照電圧指標の相角が、相互において比較され
・第2の被覆電圧指標の算出は、これら相角が、予設定され寸法より大きく相互に偏倚することを結論付ける場合に行われる。
【0035】
この参照電圧指標の相角の大きさの比較は、1つの時点が定められ、この時点において本来の監視、つまりコンデンサブッシングの損失係数変化の比較、及び監視信号の生成、特に有利で、又は好適であり、何故なら、この監視は、既定の寸法を越えて、相互に偏倚する相位置によって困難にされず、阻止され又は不可能にさえされることを実現するからである。これによって、交流電力網の電圧の相位置の変動から独立して、及び被覆電圧を検出する際における測定公差から独立して、コンデンサブッシングの状態についてより良い通報がなされ得ることが、実現される。
【0036】
さらに設計されていることが、可能である。
-各角比較は、
・
許容値PAB>0,PBC>0,PCA>0が、随時の寸法として定められるように行われ、
【数12】
が該当するかどうか試験され、
-φaが、
第1の
相の随時の参照電圧
指標の
相角であり、
-φbは、
第2の
相の
それぞれの参照電圧
指標の
相角であり、
-φcは、
第3の
相の
それぞれの参照電圧
指標の
相角である。
【0037】
これら各許容値PAB,PBC,PCAは、必要に応じて、任意の手段で定められ得、及び例えば1つの値に定められ得、この値は、それぞれの相オフセットの基準値の0,1%又は0,2%又は0,5%又は1%又は2%又は3%又は4%又は5%は7%又は10%又は15%又は20%に対応する。これら各許容値DA,DB,DCは、必要に応じて、任意の手段において定められ得、及び例えば0,0001,又は0,0002,又は0,0005,又は0,001,又は0,002,又は0,005,又は0,01又は0,02,又は0,05の値に定められ得る。
【0038】
さらに、各被覆電圧指標は、それぞれの被覆電圧が少なくとも2回捉えられ且つ、この捉えられた被覆電圧が、平均化され、及び/又は濾過されることによって、算出されるように設計され得る。
【0039】
さらに平均化のためにスライドする平均値が形成され、及び/又は平均化のために、重み付けがされた平均値が形成され、特に各測定値のために、重み係数が定められ、この重み係数は、この測定値の順番にアンチトン(antiton)で依存するように設計されていることが可能である。
【0040】
本発明は、第2の観点にしたがって、交流電力網のためのコンデンサブッシングを監視するための装置を提案し、交流電力網が、第1の、第2の及び第3の相を有し、及び第1の電力網配線を含み、この第1の電力網配線に、第1の相及び第1のコンデンサブッシングが付設されていて及び、この第1の電力網配線に、第1の電力網電圧が設けられていて、第2の電力網配線を含み、この第2の電力網配線に、第2の相及び第2のコンデンサブッシングが付設されていて、及びこの第2の電力網配線に第2の電力網電圧が設けられていて、及び第3の電力網配線を含み、この第3の電力網配線に第3の相及び第3のコンデンサブッシングが付設されていて、及びこの第3の電力網配線に第3の電力網電圧が設けられている。これら各コンデンサブッシングが、付設された電力網配線に接続されている導体を含み、及び導電性の被膜を含み、この被覆が、この導体を包囲する。この装置は以下を含む:
・第1の電力網配線に接続され得る第1の電圧コンバータ、
・第2の電力網配線に接続され得る第2の電圧コンバータ、
・第3の電力網配線に接続され得る第3の電圧コンバータ、
・第1のコンデンサブッシングの被覆に接続され得る第1の測定アダプタ、
・第2のコンデンサブッシングの被覆に接続され得る第2の測定アダプタ、
・第3のコンデンサブッシングの被覆に接続され得る第3の測定アダプタ、
・測定アダプタに連接している測定装置、
・電圧コンバータと測定装置に連接している評価装置
【0041】
それぞれの相のためのこれら各電圧コンバータが、電力網電圧を検出し得、
-これら各相のための測定装置が、それぞれの測定アダプタの補助によって、それぞれの被覆と接地電位の間に設置されている被覆電圧を検出し得る。
-評価装置は、予設定され第1の時点で、これら各相のために、
・それぞれの電圧コンバータの補助で、電力網電圧を、検出し得、及び対応する第1の電力網電圧指標を算出し得、
・測定装置の補助で、被覆電圧を検出し得、及び対応する第1の被覆電圧指標を算出し得、
-評価装置は、第1の時点の後にある予設定され第2の時点で、これら各相のために
・それぞれの電圧コンバータの補助で、電力網電圧を検出し得、及び対応する第2の電力網電圧指標を算出し得るように形成されていて、
・測定装置の助力で、被覆電圧を検出し得、及び対応する第2の被覆電圧指標を算出し得、
-評価装置は、これら各コンデンサブッシングために、
・損失係数変化が、それぞれの第1の及び第2の電力網電圧指標及び被覆電圧指標、及びそれぞれに隣接されたコンデンサブッシングの第1の及び第2の電力網電圧指標、及び被覆電圧指標に依存して算定され得るように形成されていて、
・損失係数変化を許容値と比較し得る、
-評価装置は、監視信号を、この損失係数比較の結果に依存して生成し得るように形成されている。
【0042】
さらに、この電圧コンバータは、容量性電圧コンバータ又は誘導電圧コンバータ又は抵抗電圧コンバータとして、形成されているように設計されていることが可能である。
さらに、測定装置は、少なくとも1つの測定コンデンサ又は測定シャントを含むように設計されていることが可能である。
【0043】
本発明の観点の1つに関する実行及び説明は、この観点の特に個々の特徴に関して、本発明の別の観点に相応して、相似しても該当する。
【0044】
下記において、本発明の実行形態は、例えば添付された図面によって、より詳細に解説される。但し、そこから生起する個々の特徴は、個々の実行形態に限定されず、さらに上で解説された個々の特徴と、及び/又は他の実行形態の個々の特徴と接続され及び/又は組み合わせられ得る。図面における細部は、解説的にのみに解釈されるべきで、限定的に解釈されるべきではない。請求項に含まれる参照符号は、本発明の保護領域を限定してはならず、単に図面に示された実行形態を指し示している。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】
図1は、3つの
相の
交流電力網のための
コンデンサブッシングを監視するための装置の
実行形態である。
【
図3】
図3は、下位電圧コンデンサと上位電圧コンデンサから成る等価回路;
【
図4】
図4は、3つの
相の
交流電力網のための
コンデンサブッシングを監視するための方法の
実行形態のフローチャートである。
【
図5】
図5は、3つの
相の
交流電力網のための
コンデンサブッシングを監視するための装置の別の
実行形態である。
【0046】
下記の
図1~
図4について解説された
実行は、
それぞれの参照電圧
指標Ra(tj),
Rb(tj),
Rc(tj)が、
それぞれの
電力網電圧Ua(tj),Ub(tj),Uc(tj)にしたがって算出される
実行形態に関連する。そうして、
図1~
図4についての
実行において、
それぞれの
電力網電圧指標Ua(tj),
Ub(tj),
Uc(tj)が、参照電圧
指標として使用される。
【0047】
さらに、下記の実行のための十分に小さな角は、損失係数変化を算出するために、微小角近似(Kleinwinkelnaerung)が、採用され得ることから出発される。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1において、3つの
相の
交流電力網のための
コンデンサブッシング2a,2b,2cの監視のための装置1の
実行形態が、概略的に示されている。
コンデンサブッシング2a,2b,2cは、この
実行形態において、ここでは不図示の変圧器に属し、この変圧器は、ここでは例えば高電圧変圧器である。このような
コンデンサブッシング2a,2b,2cは、例えば僅かな数kV~数千kVの領域における高電圧において使用される。
交流電力網は、ここでは例えば高電圧電流網である。各
コンデンサブッシング2a,2b,2cは、
交流電力網の3つの
相のA,B,Cに付設されていて、及び導体4を有し、この導体は、
交流電力網の
それぞれの
電力網配線5a,5b,5cに
接続されていて、及び数個の
導電性の被膜を有し、これら
被覆は、数個の層又は膜における導体4を包囲し及び、それらの内の最も外の
被覆3だけが表示されている。
【0049】
装置1は、評価装置8、及び各相A,B,Cのために、測定装置7及び測定アダプタ6を有し、この測定アダプタは、それぞれの相に属するコンデンサブッシング2a,2b,2cの被覆3に接続されている。評価装置8は、相A,B,Cのための被覆電圧指標Va,Vb,Vcを算出するために各測定装置7に接続されていて及び、そうして、全測定装置7のための共通の評価装置8を形成する。
【0050】
被覆電圧
指標Va,
Vb,
Vcは、ここでは、電気電圧
指標であり、この電気電圧
指標は、
それぞれに、さらに下で解説されていて、及び
図3に示されている随時の
相A,B,Cの下位電圧コンデンサKU1,KU2,KU3において算出される。この
実行形態において、装置1は、加えて各
相A,B,Cのために、電圧コンバータ9a,9b,9cを有し、この電圧コンバータは、
それぞれの
相A,B,Cのための
第2の電気測定大きさを検出するために、
それぞれの
電力網配線5a,5b,5cに
接続されている。この
第2の測定量は、ここでは、電気電圧
指標であり、
それぞれに随時の
電力網配線5a,5b,5cと
接地電位13の間で算出され、及びここでは、
電力網電圧指標Ua,
Ub,
Ucとしても記される。評価装置8は、
電力網電圧指標Ua,
Ub,
Ucを算出するために、各電圧コンバータ9a,9b,9cと
接続されていて、及びそうして全ての電圧コンバータ9a,9b,9cのための共通の評価装置8を形成する。
【0051】
評価装置8は、電力網電圧指標Ua,Ub,Ucを算出するために、各電圧コンバータ9a,9b,9cと接続されていて、及びそうして全ての電圧コンバータ9a,9b,9cのための共通の評価装置8を形成する。
【0052】
図2において、装置1の
第1の部分が、より詳細に示されていて、この部分は、
第1の
相Aに付設されている。この
第1の部分に、
第2の
相Bに付設された
第2の及び
第3の
相Cに付設された装置1の
第3の部分が、相似して相応し、結果として、
第1の部分に関する
実行及び説明が、相応して、この両方の他の部分にも相似して該当する。
【0053】
第1の相Aに付設された第1のコンデンサブッシング2aは、絶縁体11を有し、この絶縁体の内部を導体4が、貫通している。この導体が、上の端部において、コンデンサブッシング2aに付設された電力網配線5aに接触し、及び下の端部において、ここで不図示の高電圧変圧器の巻線に接触する。絶縁体11に、導電性の被膜が埋設されていて、これら被覆は、ここで最も外側の被覆3によってのみ素描されていて、及び電気的に見てコンデンサの直列回路を形成する。この直列回路は、コンデンサを示し、これらコンデンサは、それぞれに2つの隣接された被覆によって形成され、及びコンデンサを有し、このコンデンサは、ここでは不図示の最も内側の被覆と導体4によって形成される。最も外側の被覆3と導体4の間のコンデンサのこの直列回路は、各コンデンサブッシング2a,2b,2cのための等価回路として、対応する上位電圧コンデンサKO1,KO2,KO3を形成する。
【0054】
コンデンサブッシング2aに、導通するフランジ12が配置されていて、このフランジは、アース電位又は接地電位13に当接する。このフランジ12は、コンデンサブッシング2aの固定及び/又は保持に役立つ。最も外側の被覆3が、各コンデンサブッシング2a,2b,2cのための等価回路としてのフランジ12と接地電位13によって対応する外側コンデンサKA1,KA2,KA3を形成する。
【0055】
測定アダプタ6が、絶縁体11に貫入し、及び最も外側の被覆3への導通する接続を行う。この実行形態において、各測定装置7が、測定コンデンサKM1,KM2,KM3を有し、この測定コンデンサは、接地電位13で接続されている。各測定装置は、必要時に、加えて、不図示のスパークギャップを有し、このスパークギャップは、それぞれの測定コンデンサKM1,KM2,KM3に平行して接続されていて、及び/又は過電圧保護7′を有し、この過電圧保護は、それぞれの測定コンデンサKM1,KM2,KM3に平行に接続されている。
【0056】
評価装置8は、電圧コンバータ9aを介して、電力網配線5aに導通して接続されている。この実行形態において、電圧コンバータ9aは、容量性の電圧コンバータとして形成されていて、及び容量性分圧器を有し、この容量性分圧器は、2つの直列に接続されたコンデンサK1,K2を有し、及び2つのコイル又は巻線W1,W2を有し、これらコイル又は巻き線は、変圧器として、誘導ガルバニック分離(induktive galvanische Trennung)に接続されている。
【0057】
図3において、
第1の
相Aのために、
それぞれの下位電圧コンデンサKU1と
それぞれの上位電圧コンデンサKO1から成る等価回路が、概略的に示されている。並列回路が、不足容量C1を有する下位電圧コンデンサKU1を形成し、この並列回路は、
それぞれの測定コンデンサKM1と外側コンデンサKA1を有する。この不足容量C1aは、故に、コンデンサの直列回路のための既知の式によって、測定コンデンサKM1の容量CM1と外側コンデンサKA1の容量CA1から容易に算定され得る。必要時に、並列回路が、測定コンデンサKM1の代わりに
それぞれの全測定装置7、及び/又は追加的に、評価装置8を有し得、結果として、その時不足容量C1aは、容量CM1に依存する測定装置7のインピーダンスから、容量CA1から、及び評価装置8のインピーダンスから算定されなくてはならない。
【0058】
被覆電圧V1aが、下位電圧コンデンサKU1に設置されていて、及び下位電圧コンデンサKU1と上位電圧コンデンサKO1の間の接続導体又は継手において、出力され及び、接地電位13に関連付けられる。電力網電圧Uaが、上位電圧コンデンサKO1と下位電圧コンデンサKU1から成る直列回路を経て低下する。
【0059】
図4において、
コンデンサブッシング2a,2b,2cの監視のための方法の
実行形態のフローチャートが、3つの
相の
交流電力網のために概略的に示されている。この方法は、例えば
図1の装置1によって、及び/又は
図1の装置1の補助で実行され得る。
この
実行形態において、この方法は、以下のステップを有し、これらステップは、装置1、と
図1~
図3との関係において説明される。
【0060】
ステップ101:方法のスタート。
【0061】
ステップ102:第1の電力網電圧Ua(t1),Ub(t1),Uc(t1)の検出と各相A,B,Cのための時点t1のための第1の被覆電圧Va(t1),Vb(t1),Vc(t1)の検出。
【0062】
ステップ103:捉えられた電力網電圧Ua(t1),Ub(t1),Uc(t1)したがう第1の電力網電圧指標Ua(t1),Ub(t1),Uc(t1)の算出、及び時点t1における電力網電圧指標Ua(t1),Ub(t1),Uc(t1)の相互の比較。
電力網電圧指標Ua(t1),Ub(t1),Uc(t1)の相互の比較のために、この実行形態において、電力網電圧Uae,Ube,Uceの効果値が使用される。さらに電力網電圧指標の額及び/又は波高値及び/又は振幅も比較のために援用され得る。
【0063】
さらに、許容値RAB>0,RBC>0,RCA>0は、比較のために定められるように設計されていて、及び、この比較は、|Uae-Ube|≦RAB及び|Ube-Uce|≦RBC及び|Uce-Uae|≦RCAが該当するかどうかが試験されるように行われる。
【0064】
これが該当する場合、電力網電圧指標Ua(t1),Ub(t1),Uc(t1)の相互の比較が、電力網電圧指標が、既定の寸法RAB,RBC,RCAを上回っては相互に偏倚しないという結果を生むことを意味する。この場合において、ステップ105が、実行される。
【0065】
該当しない場合、第1の電力網電圧指標Ua(t1),Ub(t1),Uc(t1)の相互の比較が、第1の電力網電圧指標が、既定の寸法RAB,RBC,RCAを上回って偏倚するという結果を生むことを意味する。この場合において、ステップ104が、実行される。
【0066】
ステップ104:警告信号が、生成され、この警告信号は、電流網内の短絡及び/又は、電力網電圧Ua,Ub,Ucの強すぎる、又は過剰な非対称性を表示する。引き続いて、ステップ102へのジャンプが行われる。
【0067】
ステップ105:第1の電力網電圧指標Ua(t1),Ub(t1),Uc(t1)の相角φa,φb,φcの時点t1における算出であって、φaは、電力網電圧指標Ua(t1)の相角であり、φbは、電力網電圧指標Ub(t1)の相角であり、及びφcは、電力網電圧指標Uc(t1)の相角であることが該当する。
【0068】
ステップ106:第1の電力網電圧指標Ua(t1),Ub(t1),Uc(t1)の相角φa,φb,φcの相互における比較。第1の電力網電圧指標の相角の相互の比較のために、許容値PAB>0,PBC>0,PCA>0が、角比較のための寸法として定められるように設計されている。この時、大きさ比較は、|φa-φb|≦PAB及び|φb-φc|≦PBC及び|φc-φa|≦PCAが該当するかどうかが試験されるように行われる。
【0069】
該当する場合、相角比較は、第1の電力網電圧指標φa,φb,φcの相角が、既定の寸法PAB,PBC,PCAを上回っては相互に偏倚しないという結論を生むことを意味する。この場合において、ステップ107が、実行される。
【0070】
該当しない場合、相角比較は、第1の電力網電圧φa,φb,φcの相角が、既定の寸法PAB,PBC,PCAを上回って相互に偏倚するという結論を生むことを意味する。この場合において、ステップ104aへのジャンプが行われる。
【0071】
ステップ107:ステップ102中で測定された被覆電圧Va(t1)Vb(t1),Vc(t1)による時点t1のための第1の被覆電圧指標Va(t1),Vb(t1),Vc(t1)の算出であって、この第1の被覆電圧指標は、それぞれの被覆3と接地電位13の間で、時点t1に設けられている。
【0072】
ステップ108:次の式にしたがって、
被覆電圧
指標Va(t1),
Vb(t1),
Vc(t1)の間の
相オフセットθab,θbc,θacを算定し、及び保管する。
【数13】
この際、
-
Ua(tj),
Ub(tj),
Uc(tj)は、時点jにおける、
第1の,
第2の及び
第3の
相の
第1の
電力網電圧指標であり、
-
Va(tj),
Vb(tj),
Vc(tj)は、時点jにおける、
第1の,
第2の及び
第3の
相の
第1の
被覆電圧
指標である。
【0073】
ステップ109:第2の電力網電圧Ua(t2),Ub(t2),Uc(t2)の検出、及び第2の被覆電圧Va(t2),Vb(t2),Vc(t2)の検出、及び各相A,B,Cのための時点t2において捉えられた電力網電圧Ua(t2),Ub(t2),Uc(t2)にしたがう時点t1の後にある時点t2のための第2の電力網電圧指標Ua(t2),Ub(t2),Uc(t2)の算出。
【0074】
ステップ110:時点t2における電力網電圧指標Ua(t2),Ub(t2)Uc(t2)の相互の比較。
【0075】
時点t2における電力網電圧指標の比較は、ステップ103からの時点t1において、第1の電力網電圧指標の比較に相似して行われる。電力網電圧指標Ua(t2),Ub(t2),Uc(t2)が、既定の寸法RAB,RBC,RCAを上回って相互に偏倚する場合、ステップ104が、実行され、他の場合は、ステップ111で継続される。
【0076】
ステップ111:第2の電力網電圧指標Ua(t2),Ub(t2),Uc(t2)の相角φa,φb,φc時点t2における算出であって、φaは、電力網電圧指標Ua(t2)の相角であり、φbは、電力網電圧指標Ub(t2)の相角であり、及びφcは、電力網電圧指標Uc(t2)の相角であることが該当する。
【0077】
ステップ112:時点t2における、第2の電力網電圧指標Ua(t2),Ub(t2),Uc(t2)の相角φa(t2),φb(t2),φc(t2)の比較であって、ステップ106に相似する。
【0078】
第2の電力網電圧指標の相角が、既定の寸法PAB,PBC,PCAを上回って相互に偏倚する場合、ステップ104bが、実行され、他の場合は、ステップ113によって継続される。
【0079】
ステップ104b:警告信号が、生成され、この警告信号は、電流網内の短絡及び/又は、電力網電圧Ua,Ub,Ucの強すぎる、又は過剰な非対称性を表示する。引き続いて、必要に応じて、ステップ109へのジャンプが行われる。
【0080】
ステップ113:時点t2ための
第2の
被覆電圧
指標Va(t2),
Vb(t2),
Vc(t2)は、測定される
被覆電圧にしたがって算出され、この
被覆電圧は、
それぞれの
被覆3と
接地電位13の間で、時点t2において設けられている。さらに時点t2のために、
それぞれの
相オフセットθab(t2),θbc(t2),θac(t2)が、
被覆電圧
指標Va(t2),
Vb(t2),
Vc(t2)から成る隣接された
コンデンサブッシングの間で、次の式にしたがって算出され及び保管される。
【数14】
時点t1と時点t2の間で採取された可能な前の方法過程からの数個の測定値は、この
実行形態において考慮されない。
【0081】
ステップ114a:この
実行形態において、各
コンデンサブッシング2a,2b,2cのために、
損失係数変化ΔDa,ΔDb,ΔDcが、隣接された
コンデンサブッシングの間の事前に様々な時点で算出された
相オフセットθab(tj),θbc(tj),θac(tj)に依存して、次の式にしたがって算定される。
【数15】
ΔDa(t2)は、こうして、時点t2における
コンデンサブッシング2aの
損失係数変化を、時点t1との比較において解説する。ΔDb(t2)は、こうして、時点t2における
コンデンサブッシング2bの
損失係数変化を、時点t1との比較において解説する。ΔDc(t2)は、こうして、時点t2における
コンデンサブッシング2cの
損失係数変化を、時点t1との比較において解説する。
【0082】
この実行形態にしたがって、コンデンサブッシングen2a,2b,2cの損失係数変化の算出は、第1の時点t1との関連下において、時点t2の後にある、より後の時点t3,t4,…tnのために行われる。
【0083】
ステップ115:各
コンデンサブッシングのために、
コンデンサブッシング2a,2b,2cのステップ114aにおいて識別された
損失係数変化は比較される。この
実行形態において、
許容値DA>0,DB>0,DC>0が、
それぞれの
コンデンサブッシングの
損失係数変化のために定められ、及び比較が、以下が該当するか試験されることが行われるように設計されている。
【数16】
が該当するかどうか。これが、該当する場合、ステップ116が
実行される。これが、該当しない場合、ステップ117が
実行される。
【0084】
ステップ116:監視信号が、生成され、この監視信号は、コンデンサブッシング2a,2b,2cが、正常な状態にあることを表示する。引き続いて、ステップ109へのジャンプが行われる。
【0085】
ステップ117:
損失係数比較は、その上、
第1の場合において、
【数17】
が該当するかどうかが試験されるように行われ、
又は、
第2の場合において、
【数18】
又は、
第3の場合において、
【数19】
上記の3つの場合のうちの1つが、起こると、ステップ118へのジャンプが行われる。これが、該当する場合、ステップ119が
実行される。
【0086】
ステップ118:ステップ117からの消失比較から独立して、監視信号が生成される。
【0087】
ステップ117において、第1の場合が、発生した時、監視信号が、第2のコンデンサブッシング2bが、正常な状態にないこと、又は他の両コンデンサブッシング2a,2cが、正常な状態にないこと、及び同種のエラーを有することを示す。
【0088】
第2の場合が、ステップ117中に発生した時、監視信号は、第3のコンデンサブッシング2cが、正常な状態にない、又は他の両コンデンサブッシング2b,2aが、正常な状態にない、及び同種のエラーを有する。
【0089】
第3の場合が、ステップ117に発生した時、監視信号が、第1のコンデンサブッシング2aが、正常な状態にない、又は他の両コンデンサブッシング2c,2bが、正常な状態にない、及び同種のエラーを有する。
【0090】
ステップ119:3つの上に言及された場合の1つも発生しない場合、監視信号が、生成され、全部で3つのコンデンサブッシング2a,2b,2cが、正常な状態にない、又は、2つのコンデンサブッシングが、正常な状態ではなく、及び同種のエラーを有さないことを表示する。引き続いて、この方法は終了(ステップ120)され、又は必要に応じて、ステップ109へのジャンプが行われる。
【0091】
下記に、ステップ114aの代替的実行形態114b,114cが、より詳細に説明される。
【0092】
ステップ114aにおける措置とは反対に、ステップ114bにおいて、随時の
コンデンサブッシングの
損失係数変化の算出が、時点t2の後にある時点t3,t4,…tnにおける測定値のために、先行する測定値に関しても行われ得る。これは、例えば時点t3のためであり、この時点t3は、時点t2の後にあって、次の式によって描写されている:
【数20】
別の代替的
実行形態において、ステップ114cで、
第1の点t1とより後の時点tnの間にある多数の測定値も随時の
コンデンサブッシングの
損失係数変化の算出のために準用され得る。有利にも、各々の測定値t1,…,tnは、重み係数でも実装され得る。このステップ114cの
実行形態は、例えば下記の式によって描写されている。
【0093】
そうして、
第1の
コンデンサブッシング2aの
損失係数変化を算出するために該当するのは、
【数21】
第2の
コンデンサブッシング2bの
損失係数変化の算出に該当するのは、
【数22】
第3の
コンデンサブッシング2cの
損失係数変化の算出に該当するのは、
【数23】
この際、
n>2が、時点の総数であり、
gai,gbi,gciは、
第1の、
第2の及び、
第3の
コンデンサブッシングのためのi-番目の重み係数である。
【0094】
重み係数は、この際、非単調にそれぞれのコンデンサブッシングの順番、又は組み込み位置又は統計的又は確率的手段、又は別の経験値に依存し得る。
【0095】
ステップ102,109は、例えば電圧コンバータ9a,9b,9cと測定アダプタ6と測定装置7と評価装置8とによって実行され得る。したがって、電圧コンバータ9a,9b,9c、測定アダプタ6、測定装置7及び評価装置8は、手段を構成する。当該手段が、異なる時点Ua(tj),Ub(tj),Uc(tj),Va(tj),Vb(tj),Vc(tj)の電力網電圧と被覆電圧とを検出するように、当該手段は構成されている。
【0096】
ステップ103,105,106,110,111,112は、例えば電圧コンバータ9a,9b,9cと評価装置8とによって実行され得る。したがって、電圧コンバータ9a,9b,9c及び評価装置8は、手段を構成する。当該手段が、異なる時点の電力網電圧指標を算出し、相互に比較するように、当該手段は構成されている。
【0097】
ステップ104a,104b,116,118,119は、例えば評価装置8によって実行され得る。したがって、評価装置8は、手段を構成する。当該手段が、電力網電圧の比較結果、位相位置及び損失係数変化に依存する監視信号を生成するように、当該手段は構成されている。
【0098】
ステップ107、108、113、114a、114b、114cは、例えば評価装置8と測定アダプタ6と測定装置7とによって実行され得る。したがって、評価装置8、測定アダプタ6及び測定装置7は、手段を構成する。当該手段が、被覆電圧指標を異なる時点に対して算出し、相互に比較し得るように、当該手段は構成されている。
【0099】
ステップ115,117は、例えば評価装置8によって実行され得る。したがって、評価装置8は、手段を構成する。当該手段が、それぞれのコンデンサブッシングの損失係数の変化を相互に比較するように、当該手段は構成されている。
【0100】
好ましくは、ステップ103/105及び/又はステップ110/112は、相互に平行して実行される。
【0101】
図5において、3つの
相の
交流電力網のための
コンデンサブッシングを監視するための装置の別の
実行形態が示されている。従来の
実行におけるのと異なり、ここでは、参照電圧
指標Ra(tj),
Rb(tj),
Rc(tj)が、
損失係数変化の比較のために、
それぞれの
電力網配線5a,5b,5cにおける分圧器9a,9b,9cによって算出されず、平行に接続された
コンデンサブッシング2a
′,2b
′,2c
′の組にしたがって、(不図示の)
第2の高電圧変圧器において算出される。平行
コンデンサブッシング2a
′,2b
′,2c
′は、この際、同一の
電力網配線5a,5b,5cに、
コンデンサブッシング2a,2b,2cと同様に接続されている。
【0102】
図2の
実行形態に相似して、各平行
コンデンサブッシング2a
′,2b
′,2c
′に、測定アダプタ6と測定装置7から成る測定装置が付設されている。評価装置8は、
それぞれの測定装置7と
それぞれの測定アダプタ6を介して、導通して平行
コンデンサブッシング2a
′,2b
′,2c
′と
接続されている。この
接続によって、平行
コンデンサブッシングの
被覆電圧
指標Va
′,
Vb
′,
Vc
′が算出される。
【0103】
この方法の経過にとって、この代替的実行形態において、被覆電圧指標Va′(tj),Vb′(tj),Vc′(tj)が、参照電圧指標Ra(tj),Rb(tj),Rc(tj)として利用される。
【0104】
相角φa,φb,φcが、
図5において紹介された方法の経過の中で、
被覆電圧
指標Va
′,
Vb
′Vc
′の
相角φa
′,φb
′,φc
′によって置換される。
【0105】
これに相似して、相比較PAB,PBC,PCAのための許容値も、及び電圧比較RAB,RBC,RCAのための許容値が、必要に応じて、被覆電圧指標Va′,Vb′,Vc′の相比較PAB′,PBC′,PCA′のための代替的な許容値によって、及び電圧比較のための代替的な許容値RAB′,RBC′,RCA′によって、平行な被覆電圧指標Va′,Vb′,Vc′にしたがって置換される。
【0106】
別の実行形態において、参照電圧として定電圧も使用され得、これら定電圧のために対応する定電圧指標が予設定される。
【0107】
各定電圧指標の大きさが、この場合において、好適には交流電力網の定格電圧値に対応する。
【0108】
図5に関する
実行における解説される方法の経過にしたがう
相角φa,φb,φcは、この
実行形態において、不変に0°,120°,240°に固定される。
【符号の説明】
【0109】
1 装置
2a,2b,2c コンデンサブッシング
2a′,2b′,2c′ 平行コンデンサブッシング
3 被覆
4 導体
5a,5b,5c 電力網配線
6 測定アダプタ
7 測定装置
7′ 過電圧保護
8 評価装置
9a,9b,9c 電圧コンバータ
11 絶縁体
12 フランジ
13 接地電位
K1,K2 コンデンサ
W1,W2 巻線
A,B,C 第1の、第2の、第3の相
Ra,Rb,Rc 参照電圧
Ra(tj),Rb(tj),Rc(tj) 時点tjにおける参照電圧指標
Ua,Ub,Uc 電力網電圧
Ua(tj),Ub(tj),Uc(tj) 時点tjにおける電力網電圧指標Va,Vb,Vc 被覆電圧
Va(tj),Vb(tj),Vc(tj) 時点tjにおける被覆電圧指標
Va′,Vb′,Vc′ 平行コンデンサブッシングにおける被覆電圧
Va′(tj),Vb′(tj),Vc′(tj) 平行コンデンサブッシングにおける被覆電圧指標
Uae,Ube,Uce 電力網電圧の効果値
KO1,KO2,KO3 第1の、第2の、第3の上位電圧コンデンサ
KU1,KU2,KU3 第1の、第2の、第3の下位電圧コンデンサ
KA1,KA2,KA3 第1の、第2の、第3の外側コンデンサ
KM1,KM2,KM3 第1の,第2の,第3の測定コンデンサ
C0a,C0b,C0c KO1,KO2,KO3の上位容量
C1a,C1b,C1c KU1,KU2,KU3の不足容量
CA1,CA2,CA3 KA1,KA2,KA3の容量
CM1,CM2,CM3 KM1,KM2,KM3の容量
θab,θbc,θac 被覆電圧指標Va,Vb,Vc間における相オフセット
ΔDa,ΔDb,ΔDc コンデンサブッシングの損失係数変化
DA,DB,DC 損失係数変化のための許容値
PAB,PBC,PCA 相比較のための許容値
RAB,RBC,RCA 電圧比較のための許容値
φa,φb,φc 参照電圧指標の相角
gai,gbi,gci 重み係数