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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】運搬車両の管理システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20220607BHJP
【FI】
G05D1/02 P
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020022879
(22)【出願日】2020-02-13
(62)【分割の表示】P 2016186326の分割
【原出願日】2016-09-23
(65)【公開番号】P2020074248
(43)【公開日】2020-05-14
【審査請求日】2020-03-13
【審判番号】
【審判請求日】2021-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹田 幸司
(72)【発明者】
【氏名】西嶋 章治
【合議体】
【審判長】見目 省二
【審判官】久保田 信也
【審判官】田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/051526(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/129013(WO,A1)
【文献】特開昭63-155307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理装置からの指令信号に基づいて走行する無人の運搬車両の前部から、スイッチバックが省略された搬送路から積込場の入口に進入させ、前記積込場の入口から前記積込場の積込機械により積込作業が実施される位置を示す積込点に前記運搬車両の前部から進入させ、前記積込点において前記積込機械により前記運搬車両のダンプボディに対して積込作業が実施された後、前記積込点から前記積込場の出口まで前記運搬車両の後部から退去させ、前記運搬車両の後部から、スイッチバックが省略された前記搬送路から排土場の入口に進入させ、前記排土場の入口から前記排土場の排土点に前記運搬車両の後部から進入させ、前記排土点から前記排土場の出口まで前記運搬車両の前部から退去させる走行条件データを生成する走行条件データ生成部と、
前記走行条件データを前記運搬車両に出力する出力部と、を備える、
運搬車両の管理システム。
【請求項2】
前記運搬車両は、前記ダンプボディの前部が上昇するようにダンプ動作することにより、前記ダンプボディに積載されている積荷が前記ダンプボディの後部から排出可能である、
請求項1に記載の運搬車両の管理システム。
【請求項3】
前記運搬車両は、前部及び後部のそれぞれに障害物センサを有する、
請求項1又は請求項に記載の運搬車両の管理システム。
【請求項4】
前部の障害物センサは、前記積込点への進入時において前部の障害物を検出する、
請求項に記載の運搬車両の管理システム。
【請求項5】
後部の障害物センサは、前記積込点からの退去時において後部の障害物を検出する、
請求項に記載の運搬車両の管理システム。
【請求項6】
進入時における前記運搬車両の走行性能と退去時における前記運搬車両の走行性能とは実質的に同一である、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の運搬車両の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両の管理システム及び作業車両の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉱山のような広域の作業現場においては、無人で走行する作業車両が運搬作業に使用される。作業車両は、積込場において積荷を積載された後、搬送路を走行して排土場まで移動し、排土場において積荷を排出する。特許文献1には、作業車両が積込場のスイッチバック点でスイッチバック動作して積込点に移動する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-113429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業車両のスイッチバック動作を省略することができれば、作業車両のサイクルタイムが短縮され、作業現場の生産性が向上する。そのため、作業車両のスイッチバック動作を省略できる技術が要望される。
【0005】
本発明の態様は、作業現場の生産性を向上できる作業車両の管理システム及び作業車両の管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に従えば、作業車両を作業場の入口から前記作業場の作業点に前進で進入させ、前記作業点から前記作業場の出口に後進で退去させる走行条件データを生成する走行条件データ生成部と、前記走行条件データを前記作業車両に出力する出力部と、を備える作業車両の管理システムが提供される。
【0007】
本発明の第2の態様に従えば、作業車両を作業場の入口から前記作業場の作業点に前進で進入させ、前記作業点から前記作業場の出口に後進で退去させる走行条件データを生成することと、前記走行条件データを前記作業車両に出力することと、を含む作業車両の管理方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、作業現場の生産性を向上できる作業車両の管理システム及び作業車両の管理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る作業車両の管理システムの一例を模式的に示す図である。
図2図2は、本実施形態に係る作業車両を前方から見た斜視図である。
図3図3は、本実施形態に係る作業車両を後方から見た斜視図である。
図4図4は、本実施形態に係る作業車両を示す側面図である。
図5図5は、本実施形態に係る管理装置及び制御装置の一例を示す機能ブロック図である。
図6図6は、本実施形態に係る走行条件データを模式的に示す図である。
図7図7は、本実施形態に係る作業車両の管理方法の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、本実施形態に係る作業車両の管理方法を説明するための模式図である。
図9図9は、本実施形態に係る作業車両の管理方法を説明するための模式図である。
図10図10は、本実施形態に係る作業車両の管理方法を説明するための模式図である。
図11図11は、従来例に係る作業車両の管理方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0011】
[管理システム]
図1は、本実施形態に係る作業車両2の管理システム1の一例を模式的に示す図である。管理システム1は、作業車両2の運行管理を実施する。本実施形態において、作業車両2は、鉱山を走行可能な運搬車両であるダンプトラック2である。
【0012】
図1に示すように、ダンプトラック2は、鉱山の作業場PA及び作業場PAに通じる搬送路HLの少なくとも一部を走行する。作業場PAは、積込場LPA及び排土場DPAの少なくとも一方を含む。搬送路HLは、交差点ISを含む。ダンプトラック2は、搬送路HL及び作業場PAに設定された目標走行経路に従って走行する。
【0013】
積込場LPAは、ダンプトラック2に積荷を積み込む積込作業が実施されるエリアである。積込場LPAにおいて、油圧ショベルのような積込機械3が稼働する。排土場DPAは、ダンプトラック2から積荷が排出される排出作業が実施されるエリアである。排土場DPAには、例えば破砕機CRが設けられる。
【0014】
管理システム1は、管理装置10と、通信システム9とを備える。管理装置10は、コンピュータシステムを含み、鉱山に設けられる管制施設7に設置される。通信システム9は、管理装置10とダンプトラック2との間でデータ通信及び信号通信を実施する。通信システム9は、データ及び信号を中継する中継器6を複数有する。管理装置10とダンプトラック2とは、通信システム9を介して無線通信する。
【0015】
本実施形態において、ダンプトラック2は、管理装置10からの指令信号に基づいて鉱山を走行する無人ダンプトラックである。ダンプトラック2は、運転者の操作によらずに管理装置10からの指令信号に基づいて鉱山を走行する。
【0016】
本実施形態において、ダンプトラック2の位置が、GNSS(Global Navigation Satellite System:全地球航法衛星システム)を利用して検出される。全地球航法衛星システムは、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)を含む。GNSSは、複数の測位衛星5を有する。GNSSは、緯度、経度、及び高度の座標データで規定される位置を検出する。GNSSにより検出される位置は、グローバル座標系において規定される絶対位置である。GNSSにより、鉱山におけるダンプトラック2の絶対位置が検出される。
【0017】
[ダンプトラック]
次に、本実施形態に係るダンプトラック2について説明する。図2は、本実施形態に係るダンプトラック2を前方から見た斜視図である。図3は、本実施形態に係るダンプトラック2を後方から見た斜視図である。図4は、本実施形態に係るダンプトラック2を示す側面図である。図2図3、及び図4を用いる説明においては、XYZ直交座標系を設定し、XYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。
【0018】
図2図3、及び図4を用いる説明においては、Y軸方向をダンプトラック2の走行方向とし、+Y方向をダンプトラック2の前進方向とし、-Y方向をダンプトラック2の後進方向とする。また、走行方向において、ダンプトラック2の+Y側の部位又は方向を適宜、前部又は前方、と称し、ダンプトラック2の-Y側の部位又は方向を適宜、後部又は後方、と称する。また、X軸方向をダンプトラック2の車幅方向とし、車幅方向において、ダンプトラック2の+X側の部位又は方向を適宜、右部又は右方、と称し、ダンプトラック2の-X側の部位又は方向を適宜、左部又は左方、と称する。また、Z軸方向をダンプトラック2の上下方向とし、上下方向において、ダンプトラック2の+Z側の部位又は方向を適宜、上部又は上方、と称し、ダンプトラック2の-Z側の部位又は方向を適宜、下部又は下方、と称する。
【0019】
ダンプトラック2は、シャーシ20と、シャーシ20に支持されるダンプボディ21と、シャーシ20を支持する走行装置22と、走行装置22を作動するための動力を発生する駆動装置23と、ラジエータ24と、ダンプボディ21を駆動するホイストシリンダ25と、制御装置40とを備える。
【0020】
本実施形態において、ダンプトラック2は、キャブ(運転室)を有しないキャブレスダンプトラックである。ダンプトラック2は、運転者の操作によらずに無人で走行する。なお、ダンプトラック2は、キャブを有し、無人で走行するダンプトラックでもよい。
【0021】
走行装置22は、ダンプトラック2の前部に設けられ、タイヤ26Tを支持するホイール26と、ダンプトラック2の後部に設けられ、タイヤ27Tを支持するホイール27と、ホイール26及びホイール27を制動するブレーキ装置と、ホイール26及びホイール27を操舵する操舵装置とを有する。ホイール26及びタイヤ26Tは、シャーシ20の右部及び左部のそれぞれに1つずつ設けられる。ホイール27及びタイヤ27Tは、シャーシ20の右部及び左部のそれぞれに1つずつ設けられる。
【0022】
ホイール26及びホイール27は、懸架装置を介してシャーシ20に支持される。ホイール26及びホイール27が回転することによって、ダンプトラック2は走行する。
【0023】
駆動装置23は、ホイール26及びホイール27を回転させるための動力を発生する。本実施形態において、駆動装置23は、内燃機関と、内燃機関の作動により電力を発生する発電機と、発電機で発生した電力に基づいて作動する電動モータとを含む。ラジエータ24は、内燃機関の冷却液を放熱する。
【0024】
ホイール26及びホイール27は、電動モータが発生する動力によって回転する。電動モータは、インホイールモータであり、ホイール26及びホイール27のそれぞれに設けられる。内燃機関が駆動することにより、発電機が作動して電力を発生する。発電機が発生する電力によって、電動モータが駆動する。電動モータは、2つのホイール26のそれぞれに設けられる。また、電動モータは、2つのホイール27のそれぞれに設けられる。すなわち、本実施形態において、走行装置22は、4輪駆動方式の走行装置である。
【0025】
ホイール26は、第1の操舵装置によって操舵される。ホイール27は、第2の操舵装置によって操舵される。すなわち、本実施形態において、走行装置22は、4輪操舵方式の走行装置である。
【0026】
ダンプトラック2は、前進可能及び後進可能である。前進時におけるダンプトラック2の走行性能と後進時におけるダンプトラック2の走行性能とは実質的に同一であることが好ましい。すなわち、前進時における走行装置22の駆動性能、制動性能、及び旋回性能の少なくとも一つと、後進時における走行装置22の駆動性能、制動性能、及び旋回性能の少なくとも一つとは、実質的に同一である。例えば、前進時におけるダンプトラック2の最高走行速度と後進時におけるダンプトラック2の最高走行速度とは実質的に同一である。前進時におけるダンプトラック2の最高加速度と後進時におけるダンプトラック2の最高加速度とは実質的に同一である。
【0027】
なお、本実施形態において、前進とは、ダンプトラック2の前部が進行方向を向いている状態で走行することをいう。なお、本実施形態において、後進とは、ダンプトラック2の後部が進行方向を向いている状態で走行することをいう。
【0028】
ダンプボディ21は、積荷を収容する。ダンプボディ21は、シャーシ2の後部にヒンジ機構28を介して回動可能に支持される。ダンプボディ21は、前部に突出部29を有し、後部に傾斜面30を有する。
【0029】
ホイストシリンダ25は、ダンプボディ21を駆動する。ホイストシリンダ25は、車幅方向に2つ設けられる。ホイストシリンダ25の上端部は、ダンプボディ21の前部に回転可能に連結される。ホイストシリンダ25の下端部は、シャーシ20に回転可能に連結される。
【0030】
ダンプボディ21は、ホイストシリンダ25の作動によりダンプ動作する。ホイストシリンダ25が伸長することにより、ダンプボディ21の前部が上昇するように、ヒンジ機構25を中心にダンプボディ21が回動する。ダンプボディ21がダンプ動作することにより、ダンプボディ21に積載されている積荷は、ダンプボディ21の後部から排出される。
【0031】
制御装置40は、コンピュータシステムを含む。制御装置40は、管理装置10から供給される走行条件データを含む指令信号に基づいて、ダンプトラック2を制御する。
【0032】
ダンプトラック2は、ダンプトラック2の絶対位置を検出する位置検出器31と、前部に設けられた照明灯32と、後部に設けられた照明灯33と、前部に設けられた障害物センサ36と、後部に設けられた障害物センサ37とを有する。
【0033】
位置検出器31は、GPS衛星5からのGPS信号を受信するGPSアンテナと、GPSアンテナで受信されたGPS信号に基づいてダンプトラック2の絶対位置を算出するGPS演算器とを含む。位置検出器31のGPSアンテナは、ダンプボディ21の後部に設けられる。
【0034】
照明灯32は、ダンプトラック2の前方の物体を照明する。照明灯33は、ダンプトラック2の後方の物体を照明する。
【0035】
障害物センサ36は、ダンプトラック2の前進時において、ダンプトラック2の前方の障害物を検出する。障害物センサ37は、ダンプトラック2の後進時において、ダンプトラック2の後方の障害物を検出する。障害物センサ36及び障害物センサ37は、例えばレーダ装置を含む。なお、障害物センサ36及び障害物センサ37は、レーザスキャナ装置を含んでもよいし、カメラを含んでもよい。ダンプトラック2の前進時において、障害物センサ36が障害物を検出したとき、制御装置40は、障害物センサ36の検出データに基づいて、ダンプトラック2と障害物との衝突を回避するための処理を実施する。ダンプトラック2の後進時において、障害物センサ37が障害物を検出したとき、制御装置40は、障害物センサ37の検出データに基づいて、ダンプトラック2と障害物との衝突を回避するための処理を実施する。ダンプトラック2と障害物との衝突を回避するための処理は、例えば、走行しているダンプトラック2を減速させる処理、又は停止させる処理である。
【0036】
なお、障害物センサ36は、ダンプトラック2の前進時において、ダンプトラック2の前方の障害物のみならず、ダンプトラック2の前方の地形データを検出することができる。障害物センサ37は、ダンプトラック2の後進時において、ダンプトラック2の後方の障害物のみならず、ダンプトラック2の後方の地形データを検出することができる。なお、ダンプトラック2の前進時において、ダンプトラック2の後部に設けられている障害物センサ37の検出データを用いて、ダンプトラック2とそのダンプトラック2の後方の他のダンプトラック2との衝突を回避するための処理が実施されてもよい。ダンプトラック2の後進時において、ダンプトラック2の前部に設けられている障害物センサ36の検出データを用いて、ダンプトラック2とそのダンプトラック2の前方の他のダンプトラック2との衝突を回避するための処理が実施されてもよい。
【0037】
[管理装置及び制御装置]
次に、本実施形態に係る管理装置10及び制御装置40について説明する。図5は、本実施形態に係る管理装置10及び制御装置40の一例を示す機能ブロック図である。上述のように、管理装置10は、管制施設7に設置される。制御装置40は、ダンプトラック2に搭載される。管理装置10と制御装置40とは、通信システム9を介して無線通信する。
【0038】
管理装置10は、コンピュータシステムを含む。管理装置10は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサを含む演算処理装置11と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリ及びストレージを含む記憶装置12と、入出力インターフェース13とを有する。
【0039】
管理装置10は、無線通信装置14と接続される。管理装置10は、無線通信装置14及び通信システム9を介して、ダンプトラック2とデータ通信する。
【0040】
管理装置10は、入力装置15及び出力装置16と接続される。入力装置15及び出力装置16は、管制施設7に設置される。入力装置15は、例えばコンピュータ用のキーボード、マウス、及びタッチパネルの少なくとも一つを含む。入力装置15が操作されることにより生成された入力データは、管理装置10に出力される。出力装置16は、表示装置を含む。表示装置は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)又は有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display:OELD)のようなフラットパネルディスプレイを含む。出力装置16は、管理装置10から出力される表示データに基づいて作動する。なお、出力装置16は、例えば印刷装置でもよい。
【0041】
演算処理装置11は、走行条件データ生成部111と、進入走行エリア算出部112と、退去走行エリア算出部113と、重複エリア算出部114と、走行条件データ補正部115とを有する。
【0042】
走行条件データ生成部111は、鉱山を走行するダンプトラック2の走行条件データを生成する。ダンプトラック2の走行条件データは、ダンプトラック2の走行経路、走行速度、加速度、減速度、及び進行方向の少なくとも一つを含む。また、ダンプトラック2の走行条件データは、ダンプトラック2の停車位置及び発車位置の少なくとも一方を含んでもよい。
【0043】
本実施形態において、走行条件データ生成部111は、少なくとも、ダンプトラック2を作業場PAの入口から作業場PAの作業点に前進で進入させ、作業場PAの作業点から作業場PAの出口に後進で退去させる走行条件データを生成する。本実施形態において、ダンプトラック2の走行条件データは、作業場PAの入口から作業場PAの作業点までのダンプトラック2の進入経路を示す進入経路データと、作業場PAの作業点から作業場PAの出口までのダンプトラック2の退去経路を示す退去経路データとを含む。
【0044】
走行条件データ生成部111は、作業場PAにおいて進入経路と退去経路とが重複しないように走行条件データを生成する。
【0045】
進入走行エリア算出部112は、進入経路データとダンプトラック2の外形データとに基づいて、進入経路を走行するダンプトラック2が通過するエリアを示す進入走行エリアを算出する。ダンプトラック2の外形データは、ダンプトラック2の外形及び寸法を含む。ダンプトラック2の外形データは、既知データであり、記憶装置12に記憶されている。進入走行エリア算出部112は、走行条件データ生成部11で生成された進入経路データと記憶装置12に記憶されているダンプトラック2の外形データとに基づいて、進入走行エリアを算出する。
【0046】
退去走行エリア算出部113は、退去経路データとダンプトラック2の外形データとに基づいて、退去経路を走行するダンプトラック2が通過するエリアを示す退去走行エリアを算出する。退去走行エリア算出部113は、走行条件データ生成部11で生成された退去経路データと記憶装置12に記憶されているダンプトラック2の外形データとに基づいて、退去走行エリアを算出する。
【0047】
重複エリア算出部114は、進入走行エリアと退去走行エリアとの重複エリアを算出する。進入走行エリア及び退去エリアはそれぞれ、グローバル座標系で規定される。重複エリア算出部114は、進入走行エリア算出部112で算出された進入走行エリアと、退去走行エリア算出部113で算出された退去走行エリアとに基づいて、グローバル座標系で規定される重複エリアを算出する。
【0048】
走行条件データ補正部115は、第1のダンプトラック2Aが重複エリアに存在するときに作業場PAの入口から進入した第2のダンプトラック2Bが重複エリアの外側の待機点で待機し、第1のダンプトラック2Aが重複エリアから出たときに待機点に待機している第2のダンプトラック2Bが移動を開始するように、走行条件データ生成部11で生成された走行条件データを補正する。
【0049】
本実施形態において、走行条件データ補正部115は、例えば第1のダンプトラック2Aが作業場PAの作業点における作業を終了してから重複エリアを出るまでの時間と、第2のダンプトラック2Bが作業場PAの待機点から作業場PAの作業点に移動するまでの時間との和が小さくなるように、第1のダンプトラック2の走行条件データ及び第2のダンプトラック2の走行条件データを補正する。
【0050】
本実施形態において、走行条件データ補正部115は、重複エリアが小さくなるように、進入経路データ及び退去経路データを補正する。
【0051】
入出力インターフェース13は、走行条件データ生成部111で生成された走行条件データをダンプトラック2に出力する。また、入出力インターフェース13は、走行条件データ補正部115で補正された走行条件データをダンプトラック2に出力する、本実施形態において、入出力インターフェース13は、走行条件データをダンプトラック2に出力する出力部として機能する。演算処理装置11で生成された走行条件データは、入出力インターフェース13及び通信システム9を介して、ダンプトラック2に出力される。
【0052】
制御装置40は、コンピュータシステムを含む。制御装置40は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサを含む演算処理装置41と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリ及びストレージを含む記憶装置42と、入出力インターフェース43とを有する。
【0053】
制御装置40は、無線通信装置44と接続される。制御装置40は、無線通信装置44及び通信システム9を介して、管理装置10とデータ通信する。
【0054】
制御装置40は、位置検出器31、駆動装置23、ブレーキ装置34、及び操舵装置35と接続される。位置検出器31、駆動装置23、ブレーキ装置34、及び操舵装置35は、ダンプトラック2に搭載される。
【0055】
上述のように、位置検出器31は、ダンプトラック2の絶対位置を検出する。駆動装置23は、ダンプトラック2の走行装置22を駆動するために作動する。ブレーキ装置34は、ダンプトラック2の走行装置22を制動するために作動する。操舵装置35は、ダンプトラック2の走行装置22を操舵するために作動する。
【0056】
演算処理装置41は、運転制御部411と、絶対位置データ取得部412とを有する。
【0057】
運転制御部411は、管理装置10から供給された走行条件データに基づいて、ダンプトラック2の駆動装置23、ブレーキ装置34、及び操舵装置35の少なくとも一つを制御する運転制御信号を出力する。運転制御信号は、駆動装置23に出力されるアクセル信号、ブレーキ装置34に出力されるブレーキ指令信号、及び操舵装置35に出力されるステアリング指令信号を含む。
【0058】
絶対位置データ取得部412は、位置検出器31の検出データからダンプトラック2の絶対位置データを取得する。
【0059】
[走行条件データ]
次に、本実施形態に係る走行条件データについて説明する。図6は、本実施形態に係る走行条件データを模式的に示す図である。図6は、搬送路HLに規定された走行条件データの一例を示す。
【0060】
図6に示すように、走行条件データは、一定の間隔Wで設定される複数のコース点PIの集合体を含む。
【0061】
複数のコース点PIのそれぞれは、ダンプトラック2の目標絶対位置データと、コース点PIが設定された位置におけるダンプトラック2の目標走行速度データと、コース点PIが設定された位置におけるダンプトラック2の目標進行方向データとを含む。
【0062】
複数のコース点PIを通過する軌跡によって、ダンプトラック2の目標走行経路RPが規定される。目標走行速度データに基づいて、そのコース点PIが設定された位置におけるダンプトラック2の目標走行速度が規定される。目標進行方向データに基づいて、そのコース点PIが設定された位置におけるダンプトラック2の目標進行方向が規定される。
【0063】
図6は、搬送路HLに設定された走行条件データの一例を示す。作業場PAにおいても、ダンプトラック2の走行条件データが設定される。
【0064】
[管理方法]
次に、本実施形態に係るダンプトラック2の管理方法について説明する。図7は、本実施形態に係るダンプトラック2の管理方法の一例を示すフローチャートである。図8図9、及び図10は、本実施形態に係るダンプトラック2の管理方法を説明するための模式図である。
【0065】
以下の説明においては、作業場PAのうち積込場LPAにおけるダンプトラック2の管理方法について説明する。積込場LPAの作業点は、積込機械3によって積込作業が実施される位置を示す積込点LPである。積込機械3が上部旋回体及び上部旋回体に支持される作業機を有する油圧ショベルである場合、積込点LPは、作業機の旋回範囲に規定される。
【0066】
走行条件データ生成部111は、積込場LPAにおけるダンプトラック2の走行条件データを生成する(ステップS10)。
【0067】
図8は、本実施形態に係る積込場LPAに設定された走行条件データの一例を示す。図8に示すように、入口Gi及び出口Goが積込場LPAに規定される。搬送路HLを走行したダンプトラック2は、入口Giから積込場LPAに進入する。入口Giから積込場LPAに進入したダンプトラック2Bは、作業点である積込点LPに向かって移動し、積込点LPにおいて停止する。積込点LPにおいて積荷を積み込まれたダンプトラック2Aは、出口Goに向かって移動し、出口Goから搬送路HLに退去する。
【0068】
上述したように、本実施形態において、前進時におけるダンプトラック2の走行性能と後進時におけるダンプトラック2の走行性能とは実質的に同一である。本実施形態においては、走行条件データ生成部111は、ダンプトラック2を積込場LPAの入口Giから積込場LPAの積込点LPに前進で進入させ、積込点LPから積込場LPAの出口Goに後進で退去させる走行条件データを生成する。図8に示すように、ダンプトラック2は、走行条件データに基づいて、入口Giから積込点LPに前進で進入する。積込点LPにおいて積込作業が終了した後、ダンプトラック2は、走行条件データに基づいて、積込点LPから出口Goに後進で退去する。
【0069】
積込場LPAに設定される目標走行経路RPは、入口Giから積込点LPまでのダンプトラック2の進入経路RPiと、積込点LPから出口Goまでのダンプトラック2の退去経路RPoとを含む。図8に示すように、本実施形態において、走行条件データ生成部111は、積込場LPAにおいて進入経路RPiと退去経路RPoとが重複しないように、走行条件データを生成する。
【0070】
次に、進行走行エリア算出部112は、進入経路RPiを示す進入経路データとダンプトラック2の外形データとに基づいて、進入経路RPiを走行するダンプトラック2が通過するエリアを示す進入走行エリアRPAiを算出する。また、退去走行エリア算出部113は、退去経路RPoを示す退去経路データとダンプトラック2の外形データとに基づいて、退去経路RPoを走行するダンプトラック2が通過するエリアを示す退去走行エリアRPAoを算出する(ステップS20)。
【0071】
図9は、本実施形態に係る進入走行エリアRPAi及び退去走行エリアRPAoの一例を示す。進入走行エリアRPAiの幅の寸法及び退去走行エリアRPAoの幅の寸法は、例えばダンプトラック2の車幅の寸法と実質的に同一である。進行走行エリア算出部112は、進入経路RPiを示す進入経路データとダンプトラック2の車幅の寸法を含む外形データとに基づいて、進入走行エリアRPAiを算出する。退去走行エリア算出部113は、退去経路RPoを示す退去経路データとダンプトラック2の車幅の寸法を含む外形データとに基づいて、退去走行エリアRPAoを算出する。なお、進入走行エリアRPAiの幅の寸法及び退去走行エリアRPAoの幅の寸法は、ダンプトラック2の車幅の寸法と同一でなくてもよく、ダンプトラック2の車幅の寸法よりも大きくてもよい。
【0072】
次に、重複エリア算出部114は、進入走行エリアRPAiと退去走行エリアRPAoとの重複エリアVAを算出する(ステップS30)。
【0073】
進入走行エリアRPAi及び退去エリアRPAoはそれぞれ、グローバル座標系で規定されている。重複エリア算出部114は、進入走行エリアRPAiと退去走行エリアRPAoとに基づいて、グローバル座標系で規定される重複エリアVAを算出する。
【0074】
図9に示すように、重複エリアVAは、積込点LPを含む。重複エリアVAの大きさは、進入経路RPiと退去経路RPoとの相対位置に基づいて変化する。
【0075】
次に、走行条件データ補正部115は、重複エリアVAに基づいて、走行条件データを補正する(ステップS40)。
【0076】
積込場LPAにおいては、複数のダンプトラック2が積込点LPに順次配置され、積込点LPに配置されたダンプトラック2についての積込作業が順次実施される。例えば、積込点LPに先のダンプトラック2Aが存在する状態で、次のダンプトラック2Bが重複エリアVAに進入してしまうと、それらダンプトラック2Aとダンプトラック2Bとが接触してしまう。すなわち、重複エリアVAに複数のダンプトラック2が存在する場合、それらダンプトラック2は接触してしまう。そのため、走行条件データ補正部115は、重複エリアVAに1台のダンプトラック2のみが存在するように、換言すれば、重複エリアVAに複数のダンプトラック2が存在しないように、複数のダンプトラック2のそれぞれの走行条件データを補正する。
【0077】
本実施形態において、走行条件データ補正部115は、先のダンプトラック2Aが重複エリアVAに存在するときに、入口Giから積込場LPAに進入した次のダンプトラック2Bが重複エリアVAの外側の待機点WPで待機し、先のダンプトラック2Aが重複エリアVAから出たときに、待機点WPに待機している次のダンプトラック2Bが積込点LPへの移動を開始するように、ダンプトラック2の走行条件データを補正する。
【0078】
鉱山の生産性を向上するためには、積込機械3の非稼働時間を短縮する必要がある。そのため、積込点LPにおいて積込作業を終了した先のダンプトラック2Aが重複エリアVAから速やかに退去し、次のダンプトラック2Bが待機点WPから積込点LPに速やかに移動することが好ましい。
【0079】
すなわち、鉱山の生産性を向上するためには、先のダンプトラック2Aが積込点LPにおける積込作業を終了してから重複エリアVAを出るまでの時間Toと、次のダンプトラック2Bが待機点WPから積込点LPに移動するまでの時間Tiとの和が小さくなるように、先のダンプトラック2Aの走行条件データ及び次のダンプトラック2Bの走行条件データが設定されることが好ましい。
【0080】
時間Toと時間Tiとの和を小さくする方策として、重複エリアVAを小さくすることが挙げられる。重複エリアVAが小さくなることにより、先のダンプトラック2Aが重複エリアVAを出るまでの移動距離が短縮され、時間Toが短縮される。また、重複エリアVAが小さくなることにより、待機点WPと積込点LPとの距離が短縮され、次のダンプトラック2Bの移動距離が短縮され、時間Tiが短縮される。
【0081】
また、時間Toと時間Tiとの和を小さくする方策として、先のダンプトラック2Aの走行速度及び次のダンプトラック2Bの走行速度の少なくとも一方を高めることが挙げられる。積込点LPから退去する先のダンプトラック2Aの走行速度が高くなることにより、先のダンプトラック2Aが重複エリアVAを出るまでの時間Toが短縮される。積込点LPに進入する次のダンプトラック2Bの走行速度が高くなることにより、時間Tiが短縮される。本実施形態においては、前進時におけるダンプトラック2の走行性能と後進時におけるダンプトラック2の走行性能とが実質的に同一であるため、先のダンプトラック2Aが積込点LPから退去するときの走行速度、及び次のダンプトラック2が積込点LPに進入するときの走行速度の両方を高めることができる。したがって、管理システム100は、時間To及び時間Tiを短縮することができる。
【0082】
入出力インターフェース13は、走行条件データ補正部115で補正された走行条件データをダンプトラック2に出力する(ステップS50)。ダンプトラック2は、走行条件データ補正部115から出力された走行条件データに基づいて走行する。
【0083】
図10は、本実施形態に係る走行条件データに基づいて走行するダンプトラック2の一例を示す。図10に示すように、積込場LPAにおいて、積込点LPと待機点WPとが設定される。積込場LPAにおいて進入経路RPiと退去経路RPoとが交差しないように、進入経路データ及び退去経路データが設定される。待機点WPは、重複エリアVAの外側に設定される。
【0084】
また、重複エリアVAが小さくなるように、進入経路データ及び退去経路データが設定される。図10に示す例では、図8及び図9に示した例に比べて、積込点LPの近傍で進入経路RPiが退去経路RPoから迂回するように、進入経路データが設定される。
【0085】
次のダンプトラック2Bは、入口Giから待機点WPに前進で進入する。積込場LPにおいて積込作業を終了した先のダンプトラック2Aは、積込点LPから出口Goに後進で退去する。待機点WPに待機していた次のダンプトラック2Bは、先のダンプトラック2Aが重複エリアVAから出た時点で、積込点LPへの移動を開始する。次のダンプトラック2Bは、待機点WPから積込点LPに前進で進入する。積込場LPにおいて積込作業を終了した次のダンプトラック2Bは、積込点LPから出口Goに後進で退去する。
【0086】
なお、本実施形態においては、走行条件データ補正部115は、重複エリアVAを小さくすることによって、時間Toと時間Tiとの和を小さくすることとした。走行条件データ補正部115は、重複エリアVAが小さくなるように進入経路データ及び退去経路データを補正しなくてもよい。例えば、走行条件データ補正部115は、先のダンプトラック2Aの走行速度及び次のダンプトラック2Bの走行速度を高めることによって、時間Toと時間Tiとの和を小さくしてもよい。なお、ダンプトラック2の走行速度を高める場合、進入経路RPi及び退去経路RPoのカーブの曲率を小さくすることが好ましい。カーブの曲率を小さくすると、重複エリアVAが大きくなる可能性があるものの、ダンプトラック2の走行速度が高くなることにより、時間Toと時間Tiとの和は小さくなる。
【0087】
なお、本実施形態においては、作業場PAにおけるダンプトラック2の管理方法の一例として積込場LPAにおけるダンプトラック2の管理方法について説明した。上述の管理方法は、排土場DPAにおけるダンプトラック2についても適用可能である。排土場DPAにおいては、作業点である排土点DPに複数のダンプトラック2が順次走行され、排出作業が順次行われる。排土場DPAにおいては、ダンプトラック2は、排土場DPAの入口Giから排土場DPAの排土点DPに後進で進入し、排土点DPから排土場DPAの出口Goに前進で退去する。排土場DPAにおいても、進入経路RPiと退去経路RPoとが重複しないように走行条件データが生成される。また、排土場DPAにおいても、進入経路データとダンプトラック2の外形データとに基づいて進入走行エリアRPAiが算出され、退去経路データとダンプトラック2の外形データとに基づいて退去走行エリアRPAoが算出され、進入走行エリアRPAiと退去走行エリアRPAoとの重複エリアVAが算出される。また、排土場DPAにおいても、次のダンプトラック2Bが重複エリアVAの外側の待機点WPで待機し、先のダンプトラック2Aが重複エリアVAから出た時点で待機点WPに待機している次のダンプトラック2Bが排土点DPへの移動を開始する。先のダンプトラック2Aが排土点DPにおける作業を終了してから重複エリアVAを出るまでの時間Toと次のダンプトラック2Bが待機点WPから排土点DPに移動するまでの時間Tiとの和が小さくなるように、先のダンプトラック2Aの走行条件データ及び次のダンプトラック2Bの走行条件データが設定される。
【0088】
[作用及び効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、前進時における走行性能と後進時における走行性能とが実質的に同一であるダンプトラック2は、作業場PAの入口Giから作業場PAの作業点に前進で進入し、作業点から作業場PAの出口Goに後進で退去することができる。管理装置10は、ダンプトラック2を作業場PAの入口Giから作業場PAの作業点に前進で進入させ、作業点から作業場PAの出口Goに後進で退去させる走行条件データを生成し、ダンプトラック2に出力する。これにより、作業場PAにおけるダンプトラック2のスイッチバック動作は省略される。したがって、ダンプトラック2のサイクルタイムが短縮され、鉱山の生産性が向上する。また、スイッチバック動作が省略されることにより、タイヤ26T及びタイヤ27Tにおける偏摩耗の発生が抑制され、タイヤ26T及びタイヤ27Tの寿命が向上する。
【0089】
また、本実施形態によれば、走行条件データ生成部111は、作業場PAにおいて進入経路RPiと退去経路RPoとが重複しないように走行条件データを生成する。これにより、作業点から出口Goに向かって走行する先のダンプトラック2Aと、入口Giから作業点に向かって走行する次のダンプトラック2Bとの干渉が抑制され、ダンプトラック2は円滑に走行することができる。
【0090】
図11は、従来例に係るダンプトラック2Jの管理方法を説明するための模式図である。図11に示すように、従来例においては、作業場PAにおいてダンプトラック2Jのスイッチバック動作が実施される。図11に示すように、従来例において、スイッチバック動作とは、前進するダンプトラック2が進行方向を転換して、後進を開始する動作をいう。例えば積込場LPAが狭い場合において、ダンプトラック2Jにスイッチバック動作を実施させるためには、進入経路RPiと退去経路RPoとが交差するように走行条件データを設定する必要がある。この場合、作業点から出口Goに向かって走行する先のダンプトラック2Jと、入口Giから作業点に向かって走行する次のダンプトラック2Jとが干渉する可能性があり、ダンプトラック2Jは円滑に走行することが困難となる。
【0091】
本実施形態においては、走行条件データ生成部111は、作業場PAにおいて進入経路RPiと退去経路RPoとが交差しないように走行条件データを生成する。これにより、作業点から出口Goに向かって走行する先のダンプトラック2Aと、入口Giから作業点に向かって走行する次のダンプトラック2Bとの干渉が抑制され、ダンプトラック2は円滑に走行することができる。
【0092】
また、本実施形態においては、進入走行エリアRPAi及び退去走行エリアRPAoが算出され、進入走行エリアRPAiと退去走行エリアRPAoとの重複エリアVAが算出される。管理装置10は、重複エリアVAに基づいて、先のダンプトラック2Aが重複エリアVAに存在するときに次のダンプトラック2Bが重複エリアVAの外側の待機点WPで待機し、先のダンプトラック2Aが重複エリアVAから出た時点で待機点WPに待機している次のダンプトラック2Bが作業点への移動を開始するように走行条件データを設定する。これにより、先のダンプトラック2Aと次のダンプトラック2Bとの接触が回避されつつ、積込機械3の非稼働時間が短縮される。したがって、鉱山の生産性は飛躍的に向上する。
【0093】
また、本実施形態においては、先のダンプトラック2Aが作業点における作業を終了してから重複エリアVAを出るまでの時間Toと、次のダンプトラック2Bが待機点WPから作業点に移動するまでの時間Tiとの和が小さくなるように、ダンプトラック2の走行条件データが設定される。これにより、積込機械3の非稼働時間は効果的に短縮され、鉱山の生産性は飛躍的に向上する。
【0094】
なお、上述の実施形態においては、走行条件データ生成部111、進入走行エリア算出部112、退去走行エリア算出部113、重複エリア算出部114、及び走行条件データ補正部115の機能が管理装置10に含まれることとした。走行条件データ生成部111、進入走行エリア算出部112、退去走行エリア算出部113、重複エリア算出部114、及び走行条件データ補正部115の一部又は全部の機能が、ダンプトラック2に搭載されている制御装置40に含まれてもよい。
【0095】
なお、上述の実施形態においては、作業車両が鉱山で稼働するダンプトラック2であることとした。作業車両は、鉱山とは別の広域の作業現場で稼働してもよい。
【符号の説明】
【0096】
1…管理システム、2…ダンプトラック(作業車両)、3…積込機械、5…測位衛星、6…中継器、7…管制施設、9…通信システム、10…管理装置、11…演算処理装置、12…記憶装置、13…入出力インターフェース、14…無線通信装置、15…入力装置、16…出力装置、18…無線通信装置、20…シャーシ、21…ダンプボディ、22…走行装置、23…駆動装置、24…ラジエータ、25…ホイストシリンダ、26…ホイール、26T…タイヤ、27…ホイール、27T…タイヤ、28…ヒンジ機構、29…突出部、30…傾斜面、31…位置検出器、32…照明灯、33…照明灯、34…ブレーキ装置、35…操舵装置、36…障害物センサ、37…障害物センサ、40…制御装置、41…演算処理装置、42…記憶装置、43…入出力インターフェース、44…無線通信装置、111…走行条件データ生成部、112…進入走行エリア算出部、113…退去走行エリア算出部、114…重複エリア算出部、115…走行条件データ補正部、411…運転制御部、412…絶対位置データ取得部、CR…破砕機、DPA…排土場、Gi…入口、Go…出口、HL…搬送路、IS…交差点、LPA…積込場、PA…作業場、RP…目標走行経路、RPi…進入経路、RPAi…進入走行エリア、RPo…退去経路、RPAo…退去走行エリア、VA…重複エリア。
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