(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20220607BHJP
A63F 7/02 20060101ALI20220607BHJP
【FI】
A63F5/04 603E
A63F7/02 304D
(21)【出願番号】P 2020026619
(22)【出願日】2020-02-19
【審査請求日】2021-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀雄
【審査官】西岡 貴央
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-034439(JP,A)
【文献】特開2003-087888(JP,A)
【文献】特開2005-073783(JP,A)
【文献】特開2001-062028(JP,A)
【文献】特開2018-175566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
演出音を出力可能な第1スピーカと、
前記第1スピーカよりも下方に設置され、演出音を出力可能な第2スピーカと、
スピーカから出力する演出音に関する処理を実行する演出音制御部と、を備え、
前記第1スピーカと前記第2スピーカとは
、
再生周波数帯域が同一のスピーカであるか、
再生周波数帯域の下限周波数の差異が10Hz以下であって再生周波数帯域の上限周波数の差異が2kHz以下のスピーカであるか、または、
少なくとも300Hz~8kHzの帯域が再生周波数帯域に含まれるスピーカであり、
前記演出音制御部は、
前記第1スピーカに出力させる演出音の方が、前記第2スピーカに出力させる演出音に比べ、所定の周波数帯の成分の減衰量が大きくなるように、第1スピーカに出力させる演出音についての周波数応答と、第2スピーカに出力させる演出音についての周波数応答とを異ならせた状態で、演出音の出力に係る処理を実行することを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンやパチンコ遊技機等の遊技機では、スピーカから演出音を出力して遊技を盛り上げたりする。この種の遊技機として、複数のスピーカが設けられた遊技機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、これまでは複数のスピーカが設けられた遊技機について音質を改善しようとすると、遊技機の構成が複雑になってしまうという問題があった
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で音質の優れた遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の遊技機は、演出音を出力可能な第1スピーカと、
前記第1スピーカよりも下方に設置され、演出音を出力可能な第2スピーカと、
スピーカから出力する演出音に関する処理を実行する演出音制御部と、を備え、
前記第1スピーカと前記第2スピーカとは、同様のスピーカであり、
前記演出音制御部は、
前記第1スピーカに出力させる演出音の方が、前記第2スピーカに出力させる演出音に比べ、所定の周波数帯の成分の減衰量が大きくなるように、第1スピーカに出力させる演出音についての周波数応答と、第2スピーカに出力させる演出音についての周波数応答とを異ならせた状態で、演出音の出力に係る処理を実行することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、第1スピーカと第2スピーカとを同様のスピーカとし、遊技機の構成を簡易にすることができる。また、これにより、部材管理や在庫管理のコストが低減できる。また、第1スピーカと第2スピーカとで演出音制御部の周波数応答を異ならせたことで、同様のスピーカを用いているにも関わらず、第1スピーカと第2スピーカとで音の住み分けをして演出音をクリアに聞こえるようにすることができる。また、音の住み分けをして各スピーカの負荷を軽減することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の遊技機によれば、簡易な構成で音質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る遊技機の一例を示す斜視図である。
【
図3】同、遊技機の概略的な構成を示すブロック図である。
【
図4】同、演出音制御部の概略的な構成を示すブロック図である。
【
図5】同、周波数応答不同状態における演出音制御部の周波数応答を説明するための図である。
【
図7】本発明の第2の実施の形態に係る遊技機の一例を示す正面図である。
【
図8】同、上部スピーカについての演出音制御部の周波数応答を説明するための図である。
【
図9】同、上部スピーカについての演出音制御部の周波数応答を説明するための図である。
【
図10】同、上部スピーカについての演出音制御部の周波数応答を説明するための図である。
【
図11】本発明の第3の実施の形態に係る遊技機の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施の形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施の形態について説明する。本実施の形態は本発明を遊技機の一つであるスロットマシンに適用した場合を例にとって説明するが、本発明は、スロットマシンに限ることなく、パチンコ遊技機等のその他の遊技機に適用されてもよい。また、以下の説明において、基本的に、「前後」とは、スロットマシンの前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、スロットマシン側が「後」を意味し、「上下」とはスロットマシンの上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とはスロットマシンを遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
【0011】
まず、発明が適用されるスロットマシンXの概略構成について説明する。
図1はスロットマシンXを示す斜視図である。このスロットマシンXは、筐体10を備えており、この筐体10は、底板、左右の側板、天板および背板を備え、当該筐体10の正面側に開口する正面開口部を有する箱形に形成されている。また、筐体10の正面には、筐体10の正面開口部を開閉可能に閉塞する前扉12が設けられており、この前扉12は、前記開口部の上部を開閉可能に閉塞する上扉30と、前記開口部の下部を開閉可能に閉塞する下扉40とを備えている。なお、前扉12を上扉30と下扉40とに分けない一体の構造としてもよい。
【0012】
筐体10内の下部には、
図2に示すように、各部品に電力を供給するための電源装置を内蔵した電源ユニット14、メダルを貯留するとともにメダルを払い出す払い出し装置としてのホッパーユニット16、ホッパーユニット16内のメダルの量が所定量以上となるとホッパーユニット16からメダルが送り出されるキャッシュボックス18等が設けられている。また、電源ユニット14は、電源スイッチを備えており、電源スイッチがON状態になると、電源ユニット14から各部品に電力が供給されるようになっている。なお、一部の部品には、電源ユニット14がOFF状態でも電力が供給されるようになっていてもよい。
【0013】
また、筐体10内には、リールユニット20や主制御基板70(主制御装置)、副制御基板72(副制御装置)等が設けられている。リールユニット20は、周囲に複数の図柄を表示した3個の回転リール(第1リール20a、第2リール20b、第3リール20c)と、リール20a~20cを回転させるための駆動モータ(ステッピングモータ)と、各リール20a~20cに対応して設けられたインデックスセンサと、を有している。各インデックスセンサは、各リール20a~20cの内側に取り付けられた半円帯状のインデックスのエッジを検知するようになっている。そして、このインデックスセンサによる検知情報に基づいて、リール20a~20cの停止制御等が行われる。
【0014】
図1に示すように、上扉30の下部中央には、表示窓31が設けられ、この表示窓31の奥には、3個のリール20a~20cが横一列に設けられている。各リール20a~20cの外周面には複数種類の図柄が配列されており、リール20a~20cが停止すると表示窓31を通して1リール当たり3個の図柄が表示される。表示窓31には、各リール20a~20cの図柄を視認するための表示位置として、上段、中段、下段が設けられており、各リール20a~20cの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。また、本実施形態の遊技機では、1回の遊技に関して必要なメダルの数(規定枚数)が、3枚に設定されており、規定枚数のメダルが投入されると、各リール20a~20cの中段によって構成される有効ラインが有効化される。また、遊技開始に伴って各リール20a~20cが回転を開始するとともに当選役抽選が実行されて当選役のいずれかの当選またはハズレ(不当選)が決定される。次いで、リール20a~20cが停止したときに、当選役抽選で当選した当選役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると、この当選役が入賞となり、入賞した当選役に対応する処理(入賞処理)が実行される。すなわち、リール20a~20cが停止したときに表示窓31を通して表示される図柄の組み合わせによって当選役が入賞したか否かが表示される。
【0015】
また、上扉30の上部中央には、表示窓31の上方に表示窓32が設けられている。この表示窓32の奥には、液晶ディスプレイ34(画像表示装置)が設けられている。液晶ディスプレイ34には、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の映像(画像)が表示される。また、上扉30や下扉40には、スピーカ100が複数設けられている。スピーカ100からは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の演出音(音楽、効果音、音声等)が出力される。また、前扉12には、報知や演出などを行うための照明装置38が複数設けられている。
【0016】
また、表示窓31の左右両側には報知や演出などを行なうための演出用パネル61が設けられ、右側の演出用パネル61には演出ボタン(演出操作部)62が設けられている。演出ボタン62は、遊技者によって押下操作されるものであり、押下されることで例えば表示窓32を通して見える液晶ディスプレイ34に表示される演出画像の態様を変化させ、遊技者に対して遊技への参加意識を高めるとともに、興趣を高めるようにしたものである。例えば、演出ボタン62の操作に連動して液晶ディスプレイ34に表示される演出画像を選択することができる。なお、演出ボタン62の配置は、これに限定されるものではなく、遊技者が押下操作可能な位置に設けられていればよい。
【0017】
また、上扉30は、筐体10にヒンジを介して回動可能に連結されることで、筐体10の開口上部を開閉するようになっている。また、下扉40は筐体10にヒンジを介して回動可能に連結されることで、筐体10の開口下部を開閉するようになっている。
なお、このスロットマシンXは、分離型筐体タイプの構造を有するものであり、機種の交換時に筐体10、下扉40および筐体10内の電源ユニット14やホッパーユニット16等が遊技店の島設備に取り付けられたままで、上扉30およびリールユニット20等を交換可能となっている。また、スロットマシンXは、分離型筐体タイプに限られるものではなく、機種交換時にスロットマシン全体を交換するものであってもよい。
【0018】
また、上扉30の下端部には、下扉40の前面より後方側で下扉40の上端より下側に突出する係合部が設けられ、下扉40が閉じた状態で、上扉30を開放することができない構造になっている。
【0019】
また、下扉40の下部には、スロットマシンXの内部よりメダルを排出するためのメダル払い出し口と、メダル払い出し口から排出されたメダルを溜めておくためのメダル受け皿43とが形成されている。また、下扉40の上部にはスロットマシンXを操作するための操作部50が設けられており、この操作部50とメダル受け皿43との間には液晶表示パネル45が取り付けられている。
【0020】
操作部50には、クレジットされたメダルを払い出すための精算ボタン52、遊技を開始させるためのスタートレバー53、3個のリール20a~20cそれぞれの回転を停止させるための3個のストップボタン54、メダルを投入するためのメダル投入口42、メダル投入口42の下方のメダル通路内で発生したメダル詰まりを解消するリジェクトボタン55、最大数の3枚のメダルをベットするときに操作されるMAXベットボタン56(ベットボタン)等が設けられる他、遊技の演出等を選択するための演出操作部57や、表示ユニット58も設けられている。演出操作部57は操作部50の幅方向(左右方向)の略中央部に配置され、メダル投入口42およびリジェクトボタン55を挟んで、右側に表示ユニット58が配置されている。なお、演出操作部57は、演出等の選択用の十字キー、決定ボタン、キャンセルボタン等を有している。
【0021】
ここで、本実施の形態の遊技機における基本的な遊技の流れを説明する。遊技者がMAXベットボタン56を押下すると、クレジットされたメダルが投入(ベット)され、遊技を開始することが可能な状態となる。そして、遊技者が遊技を開始する操作としてスタートレバー53を押下する操作を行なうと、リール20a~20cが回転を始め、リール20a~20cの回転速度が所定の速度まで上昇するとストップボタン54の押下操作が有効な状態となる。その後、遊技者が任意のタイミングでストップボタン54を押下していくと、各リール20a~20cが停止する。そして、すべてのリール20a~20cが停止すると、遊技の結果に応じて、メダルを払い出す処理や、メダルを新たに消費することなく再度遊技を開始可能な状態とする処理等が行なわれ、1回の遊技が終了する。
【0022】
また、演出ボタン62は、例えば、ボーナスに当たったことや、遊技者にとって有利な状態に移行することが決定したこと等の、遊技者にとって喜ばしいことを遊技者に報知する場合や、遊技者にとっての勝負所等の所定のタイミングで、演出の態様を変化させるための押下操作が有効な状態となる。そして、当該押下操作が有効な状態で、演出ボタン62が押下されると、液晶ディスプレイ34に表示される演出画像の態様が変化したり、可動役物が動いたりして、演出の態様が変化する。
【0023】
スロットマシンXは主制御基板(主制御装置)70と副制御基板(副制御装置)72とによって制御される。主制御基板70は、
図3に示すように、MAXベットボタンを含むベットボタン56、スタートレバー53、ストップボタン54、メダル投入口42から投入されるメダルの通過を検知するメダルセンサ89、精算ボタン52等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行ない、演算結果に基づいてリール20a,20b,20cや、ホッパーユニット16等の出力手段の制御を行なう。また、副制御基板72は、主制御基板70から送られてくる信号(コマンド)を受けて、演出を実行するための各種の演算を行ない、演算結果に基づいて液晶ディスプレイ34、スピーカ100および照明装置38等の演出用の装置の制御を行なう。また、副制御基板72は、演出ボタン62や演出操作部57等の入力手段からの入力信号を受けて、演出に係る各種の演算を行い、演出を進行させたり、演出に係る設定を変更したりする。すなわち、副制御基板72は、演出を制御する。
【0024】
主制御基板70と副制御基板72とは電気的に接続されており、主制御基板70から副制御基板72へは遊技状態を示す情報など各種情報(コマンド)の送信が可能となっているが、副制御基板72から主制御基板70へは情報を送信できないようになっている。
また、主制御基板70や副制御基板72等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSP等)、IC、あるいはROMやRAM等の情報記憶媒体等のハードウェアや、ROM等に予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0025】
副制御基板72は、主に遊技中や待機中等の各演出を制御する。副制御基板72は、演出制御部74と、演出音制御部76と、記憶部78と、アンプ群112と、を備えている。本実施形態では演出制御部74および演出音制御部76は、1つの回路で構成(例えば1パッケージ化または1チップ化)され、この回路の機能ブロックとして構成されてもいる。
【0026】
本実施形態の遊技機は、
図1に示すように、上扉30に設けられた2つのスピーカ(上部スピーカ100a,100b)と、下扉40に設けられた2つのスピーカ(下部スピーカ100c,100d)とを有している。すなわち、前扉12には、上部スピーカ100a,100bと、上部スピーカ100a,100bよりも下方に配置された下部スピーカ100c,100dとが設けられている。また、2つの上部スピーカ100a,100bは、左右に離間して配置されているとともに、上下方向において互いに略同一の位置(高さ)に配置されている。また、2つの下部スピーカ100c,100dは、左右に離間して配置されているとともに、上下方向において互いに略同一の位置(高さ)に配置されている。なお、本明細書において略同一(略一致)とは、同一(一致)の場合を含むものとする。また、互いに同様のスピーカについて略同一の位置とは、所定の方向における中心の位置が略一致していることをいう。すなわち、本実施形態の遊技機は、4つのスピーカ間における相対的な位置が左上となるスピーカ100aと、右上となるスピーカ100bと、左下となるスピーカ100cと、右下となるスピーカ100dとの4つのスピーカを有している。換言すると、遊技をするときの遊技者から見て、左上に位置するスピーカ100aと、右上に位置するスピーカ100bと、左下に位置するスピーカ100cと、右下に位置する100dとの4つのスピーカを有している。また、
図2に示すように、筐体10の内側には、スピーカ100eが設けられている。また、スピーカ100eは、ウーファーとなっている。
【0027】
2つの上部スピーカ100a,100bおよび2つの下部スピーカ100c,100dは、全て同一仕様のスピーカ(型番が同一のスピーカ)となっている。換言すると、4つのスピーカ100a,100b,100c,100dは、再生可能な周波数帯域(再生周波数帯域:周波数特性)が同一となっている。さらに換言すると、4つのスピーカ100a,100b,100c,100dは、出力音圧レベルの周波数特性が同一となっている。また、スピーカ100a,100b,100c,100dは、フルレンジスピーカとなっている。また、スピーカ100a,100b,100c,100dの再生周波数帯域は、210Hz~20kHzとなっている。なお、スピーカ100a,100b,100c,100dは、300Hz~8kHzの帯域が再生周波数帯域に含まれ、当該帯域の音を再生可能であることが好ましく、300Hz~16kHzの帯域が再生周波数帯域に含まれ、当該帯域の音を再生可能であることがさらに好ましい。
なお、スピーカ100a,100b,100c,100d(例えば、上部スピーカ100a,100bと下部スピーカ100c,100d)は、互いに同様のスピーカであってもよい。ここで、同様とは、型番の異なるスピーカであるが、スペックが同一(完全に一致(スペックシート(データシート)に記載された許容誤差範囲も完全に一致していることが望ましい))あるいはほぼ同一(再生周波数帯域が同一あるいは略同一(例えば、再生周波数帯域の下限周波数の差異が10Hz以下、より好ましくは5Hz以下で、再生周波数帯域の上限周波数の差異が2kHz以下、より好ましくは1kHz以下))である場合と、型番が同一のスピーカである場合との両方を含む。また、スペックが同一(型番が同一である場合と異なる場合との両方を含む)とは、同一仕様あるいは共通仕様ともいえる。
【0028】
また、スピーカ100eの再生周波数帯域は、128Hz~5kHzとなっている。なお、スピーカ100eの再生周波数帯域は、例えば55Hz~1kHzとなっていてもよい。なお、スピーカ100eは、200Hz~800Hzの帯域が再生周波数帯域に含まれ、当該帯域の音を再生可能であることが好ましい。
【0029】
演出音制御部76は、アンプ群112を構成するアンプ113,114,115を介してスピーカ100a,100b,100c,100d,100eを制御可能となっている。また、アンプ113,114,115は、演出音制御部76から出力された信号をデジタル信号からアナログ信号に変換するとともに、このアナログ信号を増幅してスピーカ100a,100b,100c,100d,100eを駆動することが可能となっている。換言すると、アンプ113,114,115は、DAC(デジタル-アナログ変換部)として機能するとともに、増幅器(例えばD級アンプ)として機能するようになっている。また、アンプ113,114,115はそれぞれ、1つの回路で構成(例えば1パッケージ化または1チップ化)されている。このため、複数のアンプ113,114,115および演出音制御部76は、互いに異なる部品(広義には集積回路などの電子部品、狭義には集積回路に設けられたチップ部品)で構成されている。具体的には、本実施形態の遊技機では、演出制御部74および演出音制御部76は、副制御基板72のメインIC(演出制御用IC)によって構成されている一方、アンプ113,114,115は、それぞれ演出制御用ICとは別体のアンプICによって構成されており、複数のアンプ113,114,115および演出音制御部76は、互いに異なるICとなっている。また、アンプ113,114,115は、全て同一仕様のIC(型番が同一のIC)となっている。
【0030】
演出音制御部76は、
図4に示すように、デコーダ部150と、第1音量制御部151と、第2音量制御部153と、イコライザ部(周波数特性制御部)155と、第3音量制御部157と、オーディオ出力部159と、を有している。また、演出音制御部76は、複数(例えば、トラック1~トラック40の合計40個)のトラックと、複数(例えば、チャンネルCH1~チャンネルCH8の合計8個(CH7,CH8は図示せず))のチャンネルとを有している。ここで、トラックは、記憶部78の演出音記憶部(ROM)160に記憶された各演出音(フレーズデータ)の再生の実行単位であり、チャンネルは、演出音制御部76の演出音データの出力単位となっている。演出音制御部76は、各トラックで再生される演出音(各トラックの出力)を各チャンネルにおいて合成して出力するようになっている。
なお、演出音記憶部160には、例えば、一連の背景音楽(BGM)や、予告音、効果音、キャラクタのセリフ音等の演出音が記憶されている。
【0031】
なお、以下では、音量の設定値を「0」~「255」の256段階とし、音量「0」が無音、音量「255」が最大音量として説明するが、各設定値や段階数について特に限定するものではない。
【0032】
デコーダ部150は、トラック毎に独立してデコード処理をすることが可能となっている。これにより、演出音制御部76は、最大で40個の演出音(演出音記憶部160から読み出した演出音)を同時に再生することが可能となっている。デコーダ部150でデコード処理された各トラックの演出音は、第1音量制御部151に入力される。
【0033】
第1音量制御部151は、トラック毎に音量(ボリューム)を調整することが可能となっている。また、第1音量制御部151は、各トラックについて、出力先のチャンネル毎に音量を調整することが可能となっている。すなわち、例えば、トラック1においてBGMが再生され、トラック2においてキャラクタのセリフ音が再生される場合に、トラック1で再生されるBGMの音量を「100」とし、トラック2で再生されるキャラクタのセリフ音の音量を「150」とするなど、トラック毎に音量設定を異ならせることが可能となっている。また、例えば、トラック1で再生されるBGMをチャンネルCH1に対しては音量「100」として出力し、チャンネルCH2に対しては音量「50」として出力するなど、出力先のチャンネル毎に音量設定を異ならせることが可能となっている。
【0034】
各トラックでの再生音は、第1音量制御部151の設定に応じた音量で各チャンネルに出力され、各チャンネルにおいて合成される(重ね合わされる)。すなわち、各チャンネルでは、各トラックの演出音を合成した演出音(合成演出音)が扱われる。そして、第1音量制御部151の出力を合成した各チャンネルの演出音(合成演出音)は、第2音量制御部153に入力される。
【0035】
第2音量制御部153は、チャンネル毎に音量を調整することが可能となっている。そして、第2音量制御部153で音量調整された各チャンネルの合成演出音は、イコライザ部155に入力される。
【0036】
イコライザ部155は、チャンネル毎に所望の周波数特性を実現可能となっている。具体的には、イコライザ部155は、設定に応じて、合成演出音の所定の周波数帯域を強めたり弱めたりすることが可能となっている。換言すると、イコライザ部155は、合成演出音について、周波数帯毎に音量(音圧レベル)を大きくしたり、小さくしたりすることが可能となっている。さらに換言すると、イコライザ部155は、合成演出音の各周波数帯について入出力のゲインをいくらにするか設定可能となっている。また、イコライザ部155は、フィルタ回路(デジタルフィルタ)として機能するともいえる。すなわち、第1音量制御部151、第2音量制御部153および第3音量制御部157は、各トラックあるいは各チャンネルの演出音について、全周波数帯域(少なくとも可聴帯域あるいは対応するスピーカ100の再生周波数帯域全体)の音量(ゲイン)を一律に大きくあるいは小さくするのに対し、イコライザ部155は、可聴帯域(スピーカ100の再生周波数帯域)に含まれる所定帯域の音量(ゲイン)を大きくあるいは小さくすることが可能となっている。
【0037】
イコライザ部155を通過した各チャンネルの合成演出音は、第3音量制御部157に入力される。第3音量制御部157は、全チャンネルについて一律に音量調整することが可能となっている。すなわち、第3音量制御部157の設定に応じて、全チャンネルの音量が一律に大きくされたり小さくされたりするようになっている。
【0038】
オーディオ出力部159は、例えばI2S(Inter-IC Sound)の規格に
準拠するビットクロック信号BCLK、ワードクロック信号LRCLKおよびシリアルデータ信号SDATAを出力可能に構成されている。オーディオ出力部159は、第3音量制御部157から出力される各チャンネルの合成演出音を、I2Sの規格に準拠した方式で出力するようになっている。本実施形態の遊技機では、第1シリアルデータ信号SDATA1、第2シリアルデータ信号SDATA2および第3シリアルデータ信号SDATA3を含む複数のシリアルデータ信号SDATAを出力可能となっている。そして、第1シリアルデータ信号SDATA1には、チャンネルCH1およびチャンネルCH2の合成演出音のデータが含まれ、第2シリアルデータ信号SDATA2には、チャンネルCH3およびチャンネルCH4の合成演出音のデータが含まれ、第3シリアルデータ信号SDATA3には、チャンネルCH5およびチャンネルCH6の合成演出音のデータが含まれるようになっている。
【0039】
オーディオ出力部159から出力されるビットクロック信号BCLK、ワードクロック信号LRCLKおよびシリアルデータ信号SDATAは、
図3に示すように、アンプ群112に入力される。具体的には、ビットクロック信号BCLK、ワードクロック信号LRCLKおよび第1シリアルデータ信号SDATA1が、アンプ113に入力され、ビットクロック信号BCLK、ワードクロック信号LRCLKおよび第2シリアルデータ信号SDATA2が、アンプ114に入力され、ビットクロック信号BCLK、ワードクロック信号LRCLKおよび第3シリアルデータ信号SDATA3が、アンプ115に入力される。
【0040】
アンプ113は、演出音制御部76から送られる第1シリアルデータ信号SDATA1に基づいて、スピーカ100aおよびスピーカ100bを駆動し、音を出力させる。ワードクロック信号LRCLKと、第1シリアルデータ信号SDATA1とは同期しており、ワードクロック信号LRCLKがLowレベルのときに、チャンネルCH1の合成演出音のデータを含む第1シリアルデータ信号SDATA1が送信され、ワードクロック信号LRCLKがHighレベルのときに、チャンネルCH2の合成演出音のデータを含む第1シリアルデータ信号SDATA1が送信される。アンプ113は、ワードクロック信号LRCLKがLowレベルのときに入力される第1シリアルデータ信号SDATA1に基づいて、スピーカ100aに演出音を出力させる。また、アンプ113は、ワードクロック信号LRCLKがHighレベルのときに入力される第1シリアルデータ信号SDATA1に基づいて、スピーカ100bに演出音を出力させる。したがって、スピーカ100aからはチャンネルCH1の合成演出音が出力され、スピーカ100bからはチャンネルCH2の合成演出音が出力されるようになっている。
【0041】
アンプ114は、演出音制御部76から送られる第2シリアルデータ信号SDATA2に基づいて、スピーカ100cおよびスピーカ100dを駆動し、音を出力させる。ワードクロック信号LRCLKと、第2シリアルデータ信号SDATA2とは同期しており、ワードクロック信号LRCLKがLowレベルのときに、チャンネルCH3の合成演出音のデータを含む第2シリアルデータ信号SDATA2が送信され、ワードクロック信号LRCLKがHighレベルのときに、チャンネルCH4の合成演出音のデータを含む第2シリアルデータ信号SDATA2が送信される。アンプ114は、ワードクロック信号LRCLKがLowレベルのときに入力される第2シリアルデータ信号SDATA2に基づいて、スピーカ100cに演出音を出力させる。また、アンプ114は、ワードクロック信号LRCLKがHighレベルのときに入力される第2シリアルデータ信号SDATA2に基づいて、スピーカ100dに演出音を出力させる。したがって、スピーカ100cからはチャンネルCH3の合成演出音が出力され、スピーカ100dからはチャンネルCH4の合成演出音が出力されるようになっている。
【0042】
アンプ115は、演出音制御部76から送られる第3シリアルデータ信号SDATA3に基づいて、スピーカ100eを駆動し、音を出力させる。ワードクロック信号LRCLKと、第3シリアルデータ信号SDATA3とは同期しており、ワードクロック信号LRCLKがLowレベルのときに、チャンネルCH5の合成演出音のデータを含む第3シリアルデータ信号SDATA3が送信され、ワードクロック信号LRCLKがHighレベルのときに、チャンネルCH6の合成演出音のデータを含む第3シリアルデータ信号SDATA3が送信される。本実施形態の遊技機では、チャンネルCH5とチャンネルCH6とでは、同一の合成演出音が生成されるようになっており、ワードクロック信号LRCLKがLowレベルのときとワードクロック信号LRCLKがHighレベルのときとで、第3シリアルデータ信号SDATA3は同一の合成演出音のデータを含むようになっている。また、アンプ115は、チャンネルCH5の合成演出音を出力可能な出力端子OUT1と、チャンネルCH6の合成演出音を出力可能な出力端子OUT2とを有しており、出力端子OUT1と出力端子OUT2とが結合され、スピーカ100eに接続されている。すなわち、本実施形態の遊技機では、ワードクロック信号LRCLKがLowレベルのときに送られる第3シリアルデータ信号SDATA3とワードクロック信号LRCLKがHighレベルのときに送られる第3シリアルデータ信号SDATA3とに基づいてスピーカ100eが駆動されるようになっている。換言すると、チャンネルCH5の合成演出音とチャンネルCH6の合成演出音とがスピーカ100eから出力されるようになっている。
【0043】
本実施形態の遊技機では、周波数特性制御部としてのイコライザ部155によって、演出音制御部76の周波数応答(伝達関数)が制御されている。すなわち、デコーダ部150の入力からオーディオ出力部159の出力(あるいはアンプ113,114,115のDAC入力)に至るまでのシステム(演出音制御部76)における周波数応答はイコライザ部155の設定によって決まり、イコライザ部155の設定を変更することで、各トラックに入力されオーディオ出力部159から出力される演出音についての周波数応答を変化させることが可能となっている。
なお、厳密には、第1音量制御部151、第2音量制御部153または第3音量制御部157の音量設定に応じて演出音制御部76の周波数応答におけるゲイン(音圧レベル:音量)が変わる他、演出音制御部76においては各トラックあるいは各チャンネルの演出音の位相を変化させることを可能としてもよいため、演出音制御部76の周波数応答は、イコライザ部155の設定のみによって決まるわけではない。しかし、本明細書においては、演出音制御部76の周波数応答(周波数特性)といった場合には、基本的に、イコライザ部155によって設定される周波数応答(周波数特性)を意味することとする。換言すると、演出音制御部76の周波数応答(周波数特性)とは、第1音量制御部151、第2音量制御部153および第3音量制御部157の設定値(音量設定)を所定値に固定した状態、すなわち周波数応答(周波数特性)のゲインの基準値を所定値に設定した場合における、デコーダ部150に入力されオーディオ出力部159から出力される演出音についての周波数応答(周波数特性)、より具体的には周波数とゲインとの関係を意味する。そして、本実施形態の遊技機では、演出音制御部76の周波数応答(周波数特性)に応じて、演出音の周波数特性が変化するようになっている。
【0044】
なお、イコライザ部155の設定(周波数応答の設定)ならびに第1音量制御部151、第2音量制御部153および第3音量制御部157の設定(音量の設定)は、演出音制御部76が演出音制御部76の有するレジスタ(演出制御用ICの内部レジスタ)の設定を書き換えることにより変更することが可能となっている。また、演出音制御部76は、演出制御部74が主制御基板70からのコマンドに基づいて決定する演出に応じて各スピーカ100から出力する演出音と、イコライザ部155の設定(周波数応答の設定)ならびに第1音量制御部151、第2音量制御部153および第3音量制御部157の設定とを決定し、演出音の出力を制御するようになっている。なお、第3音量制御部157の設定を、副制御基板72に設けられた音量変更スイッチ(図示せず)の状態に応じて決定することとしてもよい。また、第1音量制御部151、第2音量制御部153または第3音量制御部157の設定を、演出操作部57に対する操作に基づいて変更可能としてもよい。
【0045】
なお、演出音制御部76の一部あるいは全部がアンプ113,114,115に設けられていてもよく、アンプ113,114,115の一部あるいは全部が演出音制御部76に設けられていてもよい。換言すると、演出音制御部76の一部あるいは全部がアンプICによって構成されていてもよく、アンプ113,114,115の一部あるいは全部が演出制御用ICによって構成されていてもよい。例えば、アンプICが、演出音についての周波数特性を制御する機能(イコライザ部155等)を有していてもよく、演出音についての音量を制御する機能(第1音量制御部151、第2音量制御部153、第3音量制御部157等)を有していてもよい。換言すると、演出音制御部76は、複数のICによって構成されていてもよい。
【0046】
本実施形態の遊技機では、基本的に演出音制御部76は、チャンネルCH1,CH2と、チャンネルCH3,CH4とで周波数応答の設定(イコライザの設定)を異ならせており、上部スピーカ100a,100bから出力される演出音(チャンネルCH1,CH2の演出音)と、下部スピーカ100c,100dから出力される演出音(チャンネルCH3,CH4の演出音)とで、周波数特性の変化の仕方が異なるように、各チャンネルについての周波数応答を設定している。また、本実施形態の遊技機では、特定の演出の実行時には、演出音制御部76は、チャンネルCH1,CH2と、チャンネルCH3,CH4とで周波数応答の設定(イコライザの設定)を同一としており、上部スピーカ100a,100bから出力される演出音(チャンネルCH1,CH2の演出音)と、下部スピーカ100c,100dから出力される演出音(チャンネルCH3,CH4の演出音)とで、周波数特性の変化の仕方が同一となるように、各チャンネルについての周波数応答を設定している。すなわち、演出音制御部76は、出力先のスピーカ100a,100b,100c,100dに応じて周波数応答を異ならせた周波数応答不同状態と、出力先のスピーカ100a,100b,100c,100dに関らず周波数応答を同一とした周波数応答同一状態とが設定可能となっている。
【0047】
具体的には、本実施形態の遊技機では、主制御基板70は演出状態制御部(図示せず)を有し、演出状態制御部は、通常演出状態、チャンス演出状態、AT演出状態(アシストタイム演出状態:指示演出状態)を含む複数種類の演出状態の間で演出状態を移行させる演出状態移行処理を行う。なお、演出状態移行処理は、演出制御部74が実行することとしてもよい。そして、演出音制御部76は、通常演出状態およびAT演出状態においては、チャンネルCH1,CH2と、チャンネルCH3,CH4とで周波数応答の設定を異ならせた状態でスピーカ100a,100b,100c,100dを用いた演出音の出力を行い、チャンス演出状態における特定の演出時においては、チャンネルCH1,CH2と、チャンネルCH3,CH4とで周波数応答の設定を同一とした状態でスピーカ100a,100b,100c,100dを用いた演出音の出力を行う。換言すると、演出音制御部76は、特定の演出時においては、スピーカ100a,100b,100c,100dに応じて周波数応答を異ならせ、特定の演出時以外においては、スピーカ100a,100b,100c,100dに関らず周波数応答を同一とするようになっている。ここで、特定の演出とは、本実施形態の遊技機においては、音像定位を変化させる演出であるが、詳しくは後述する。
【0048】
なお、通常演出状態は、複数種類の演出状態の中で初期状態に相当する演出状態である。通常演出状態においては、特定の役を入賞させるための打順を報知して特定の役の入賞を補助するナビ演出(指示演出)が実行されないか、あるいはナビ演出が実行される確率が他の演出状態に比べ低く設定されている。通常演出状態においては、チャンス演出状態への移行の可否を決定する抽選(CZ抽選)が所定契機で行われ、CZ抽選に基づいてチャンス演出状態への移行が決定されると、演出状態制御部は、演出状態をチャンス演出状態へ移行させる。また、チャンス演出状態は、AT演出状態への移行確率が通常演出状態よりも高く設定された演出状態である。チャンス演出状態は、通常演出状態よりも、遊技者に有利な演出状態となっている。チャンス演出状態においては、AT演出状態への移行の可否を決定する抽選(AT抽選)が所定契機で行われ、AT抽選に基づいてAT演出状態への移行が決定されると演出状態制御部は演出状態をAT演出状態へ移行させる。また、AT演出状態は、ナビ演出が実行される演出状態で、ナビ演出が実行される確率が、通常演出状態およびチャンス演出状態よりも高く設定された演出状態である。AT演出状態は、チャンス演出状態よりも、遊技者に有利な演出状態となっている。AT演出状態において所定の終了条件が満たされると(例えば、所定回数の遊技が実行されると)、演出状態制御部は演出状態を通常演出状態へ移行させる。
なお、演出状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうち1の条件が成立したことによって演出状態を移行させてもよく、複数の予め定められた条件の複数あるいは全てが成立したことに基づいて、演出状態を移行させてもよい。
【0049】
周波数応答不同状態においては、上部スピーカ100a,100bと下部スピーカ100c,100dとで、出力する音の周波数帯域を異ならせるようになっている。具体的には、比較的高い周波数の音については、上部スピーカ100a,100bから出力させ、比較的低い周波数の音については、下部スピーカ100c,100dから出力させるようになっている。周波数応答不同状態における演出音制御部76の周波数応答の例を
図5に示す。
図5に示すように、演出音制御部76は、上部スピーカ100a,100bについては低周波数側のゲイン設定が高周波数側のゲイン設定よりも小さくなっており、上部スピーカ100a,100bから出力する演出音について低周波数側の成分(例えば2kHz以下(または未満)の音)を高周波数側の成分(例えば2kHzを超える(または以上の)音)に比べて減衰させるようになっている。また、演出音制御部76は、下部スピーカ100c,100dについては、高周波数側のゲイン設定が低周波数側のゲイン設定よりも小さくなっており、下部スピーカ100c,100dから出力する演出音について高周波数側の成分(例えば2kHzを超える(または以上の)音)を低周波数側の成分(例えば2kHz以下(または未満)の音)に比べて減衰させるようになっている。また、上部スピーカ100a,100bから出力する演出音についてのゲイン設定は、下部スピーカ100c,100dから出力する演出音についてのゲイン設定に比べ、比較的低周波数側の所定周波数帯域(第1周波数帯域:例えば1kHz~2kHzの帯域)のゲインが低く設定されている。また、下部スピーカ100c,100dから出力する演出音についてのゲイン設定は、上部スピーカ100a,100bから出力する演出音についてのゲイン設定に比べ、比較的高周波数側の所定周波数帯域(第2周波数帯域:例えば2kHz~4kHzの帯域)のゲインが低く設定されている。また、演出音制御部76は、上部スピーカ100a,100bから出力する演出音については、低周波数側の成分をカットし高周波数側の成分を通過させるハイパスフィルタ処理を行い、下部スピーカ100c,100dから出力する演出音については、高周波数側の成分をカットし低周波数側の成分を通過させるローパスフィルタ処理を行っているともいえる。
【0050】
すなわち、上部スピーカ100a,100bからは、比較的高周波数(例えば2kHz以上)の音が、比較的低周波数(例えば2kHz以下)の音に比べて大きく出力され、下部スピーカ100c,100dからは、比較的低周波数(例えば2kHz以下)の音が、比較的高周波数(例えば2kHz以上)の音に比べて大きく出力されるようになっている。換言すると、上部スピーカ100a,100bは比較的高周波数の音の再生を担当し、下部スピーカ100c,100dは比較的低周波数の音の再生を担当するようになっている。
【0051】
なお、クロスオーバー周波数、換言すると上部スピーカ100a,100bの担当と下部スピーカ100c,100dの担当とが切り替わる周波数、さらに換言すると上部スピーカ100a,100bについての周波数応答のゲインと下部スピーカ100c,100dについての周波数とのゲインとが一致する周波数(周波数特性が交差する周波数)は、800Hz~5kHzの範囲内で設定するとよく、さらに好ましくは、1kHz~3kHzの範囲で設定するとよい。
【0052】
なお、下部スピーカ100c,100dから出力される比較的低周波数(例えば1kHz以下)の音(下部スピーカ100c,100dが担当する音)の音量は、上部スピーカ100a,100bから出力される比較的高周波数(例えば3kHz以上)の音(上部スピーカ100a,100bが担当する音)の音量と同一あるいは近似となるようにするとよい。なお、上部スピーカ100a,100bが比較的低周波数の音の再生を担当し、下部スピーカ100c,100dが比較的高周波数の音の再生を担当するようにしてもよいが、上部スピーカ100a,100bが比較的高周波数の音の再生を担当し、下部スピーカ100c,100dが比較的低周波数の音の再生を担当するようにした方が、遊技者が違和感を抱きにくく好ましい。
【0053】
周波数応答同一状態においては、演出音制御部76は、各スピーカ100a,100b,100c,100dから出力される演出音の音量を制御することで、遊技機から出力される音の音像定位(音が出ていると遊技者が感じる位置)を変化させるようになっている。換言すると、演出音制御部76は、音像定位を変化させる演出を実行する際に、各スピーカ100a,100b,100c,100dについてのイコライザ部155の設定を同一とした上で、各スピーカ100a,100b,100c,100dから出力される演出音の音量を変化させ、音像定位を変化させるようになっている。
【0054】
本実施形態の遊技機では、演出音制御部76は、遊技者にとって有利な状態(例えば、AT演出状態(アシストタイム演出状態)、あるいは、いわゆるボーナス状態)に移行するか否かを報知する際に、音像定位を変化させる処理を実行する。具体的には、本実施形態の遊技機では、有利な状態に移行するか否かを報知する遊技において、演出制御部74が有利な状態に移行するか否かを遊技者に対して確定的に報知する直前に、特定の演出音(特定音)をスピーカ100a,100b,100c,100dに出力させる。すなわち、特定音は、特典(遊技者に有利な特典)の付与に関する報知を盛り上げる演出音ともいえる。本実施形態の遊技機では、この特定音を、音像定位を変化させながら出力する。例えば、特定音が「パキーン」という何かが割れるような音(効果音)であった場合、この「パキーン」という音の出所が移動しているように感じられるように、音像定位を変化させる。
なお、特定音の出力は、例えば、有利な状態に移行するか否かを報知する遊技において、演出制御部74が、演出ボタン62の押下を指示する画像を液晶ディスプレイ34に表示させる際に行うこととしてもよく、当該表示後、演出ボタン62が押下されたことを契機として行うこととしてもよい。
【0055】
音像定位を変化させる際、すなわち、特定の演出を実行する際に、演出音制御部76は、記憶部78の音量設定テーブル記憶部(ROM)162に記憶された音量設定テーブルに基づいて各スピーカ100a,100b,100c,100dについて演出音の音量を設定し、当該設定に応じた音量で各スピーカ100a,100b,100c,100dから演出音を出力させる。
【0056】
図6に示すように、音量設定テーブルでは、フレーム毎の各スピーカ100a,100b,100c,100dに関する音量が設定されている。本実施形態の遊技機では、演出音制御部76は、特定音を再生するトラックについて、第1音量制御部151の音量設定を音量設定テーブルに基づいて変化させるようになっている。
【0057】
特定音の再生についてより詳細に説明する。演出音制御部76は、有利な状態に移行するか否かを報知する遊技において、特定音を所定のトラック(例えばトラック3)で再生する。また、演出音制御部76は、各スピーカ100a,100b,100c,100dの出力音量が、音量設定テーブルに規定された通りになるように、トラック3について、チャンネルCN1への出力音量と、チャンネルCN2への出力音量と、チャンネルCN3への出力音量と、チャンネルCN4への出力音量とのうち、少なくとも1つの音量値が他の音量値と異なるものとなるように第1音量制御部151の音量設定を決定する。具体的には、演出音制御部76は、フレーム0においては、トラック3について、チャンネルCN1への出力音量が「255」となり、チャンネルCN2への出力音量が「200」となり、チャンネルCN4への出力音量が「150」となり、チャンネルCN3への出力音量が「100」となるように、第1音量制御部151の設定をする。また、フレーム1においては、トラック3について、チャンネルCN1への出力音量が「200」となり、チャンネルCN2への出力音量が「255」となり、チャンネルCN4への出力音量が「200」となり、チャンネルCN3への出力音量が「150」となるように、第1音量制御部151の設定をする。また、フレーム2においては、トラック3について、チャンネルCN1への出力音量が「150」となり、チャンネルCN2への出力音量が「200」となり、チャンネルCN4への出力音量が「255」となり、チャンネルCN3への出力音量が「200」となるように、第1音量制御部151の設定をする。その後も、演出音制御部76は、各フレームについて、
図6の音量設定テーブルに規定された通りに第1音量制御部151の設定を行う。
【0058】
このように第1音量制御部151の音量設定を変化させることで、トラック3で再生される特定音の音像定位が変化する。具体的には、遊技者は、音量の大きいスピーカの方向から演出音が出ているように感じるため、フレーム0では、左上のスピーカ100aの方向から特定音が出ているように感じ、フレーム1では、右上のスピーカ100bの方向から特定音が出ているように感じ、フレーム2では、右下のスピーカ100dの方向から特定音が出ているように感じ、フレーム3では、右下のスピーカ100cの方向から特定音が出ているように感じる。したがって、
図6の音量設定テーブルに従って音量の設定を変更することで、「パキーン」という特定音が右回転で1周しているように感じることとなる。また、この音量設定テーブルのフレーム0~フレーム10を繰り返すことで、特定音を右回転で周回させることが可能となる。
【0059】
また、
図6の音量設定テーブルでは、各スピーカ100a,100b,100c,100dについて音量を上昇させるときには、音量が徐々に上昇するように設定されており、音量を低下させるときには、音量が徐々に低下するように設定されている。すなわち、音像定位が近付いてくるスピーカ100a,100b,100c,100dについてはフェードイン処理を行い、音像定位が遠ざかるスピーカ100a,100b,100c,100dについてはフェードアウト処理を行うようになっている。
【0060】
なお、ここで説明したフレーム0~フレーム10とは、各スピーカについての音量設定を変更する順番を説明するために便宜上設定したものであり、各数字によって経時的な順序を示しているに過ぎない。換言すると、ここで示した各フレーム間の時間間隔をいくつに設定するかは、実現したい演出に応じて適宜決定すればよい。
【0061】
また、ここでは第1音量制御部151の音量設定を調整することで、各スピーカ100a,100b,100c,100dの出力音量を異ならせることとしたが、第2音量制御部153の音量設定やイコライザ部155のゲイン設定を調整して、各スピーカ100a,100b,100c,100dの出力音量を異ならせてもよい。また、第1音量制御部151と、第2音量制御部153と、イコライザ部155とのうち、複数の設定を調整して各スピーカ100a,100b,100c,100dの出力音量を異ならせてもよい。例えば、フレーム0におけるチャンネルCN1の音量が「255」となり、チャンネルCN2の音量が「200」となり、チャンネルCN4への音量が「150」となり、チャンネルCN3への音量が「100」となり、フレーム1におけるチャンネルCN1への出力音量が「200」となり、チャンネルCN2への出力音量が「255」となり、チャンネルCN4への出力音量が「200」となり、チャンネルCN3への出力音量が「150」となるように、第2音量制御部153において各チャンネルについての音量設定を変化させることとしてもよい。すなわち、演出音制御部76は、音像定位を変化させる演出音について、各スピーカ100a,100b,100c,100dの出力音量が音量設定テーブルの設定値に応じたものとなるように処理を行うものであればよい。
【0062】
また、音像定位は、トラック単位で変化させてもよく、チャンネル単位で変化させてもよい。すなわち、例えば、トラック1でBGMが再生され、トラック3で効果音が再生され、このBGMと効果音とが、チャンネルCN1~チャンネルCN4において合成されて、各スピーカ100a,100b,100c,100dから効果音とBGMとが出力される場合に、効果音のみ音像定位が変化するようにしてもよく、BGMと効果音との両方の音像定位が変化するようにしてもよい。また、BGMと効果音との音像定位の変化の態様を異ならせてもよい。換言すると、トラック毎に音量設定の変化の態様を異ならせてもよい。
【0063】
なお、本実施形態の遊技機では、所定の演出音(特定音)の音像定位を変化させている間は、音像定位を変化させる演出音以外の演出音については、スピーカ100a,100b,100c,100dから出力しないようになっている。また、所定の演出音(特定音)の音像定位を変化させている間は、スピーカ100e(ウーファー(低音用スピーカ))から音を出力しないようになっている。また、本実施形態の遊技機は、所定の演出音(特定音)の音像定位を変化させている間、この音像定位を変化させている演出音以外の演出音はいずれのスピーカからも出力しないようになっている。なお、本実施形態の遊技機に、ツイーター(例えば、再生周波数帯域が2kHz~20kHz等の高音用スピーカ100f,100g(
図7参照))を別途設けることとしてもよいが、この場合であっても、所定の演出音(特定音)の音像定位を変化させている間は、ツイーターから音を出力しないようにすることが好ましい。このように、音像定位を変化させる演出音以外の演出音を極力出力しないようにすることで、音像定位の変化による演出効果を高めることができる。ただし、所定の演出音(特定音)の音像定位を変化させている間に、音像定位を変化させる演出音以外の演出音についても、スピーカ100a,100b,100c,100d、100eあるいはツイーター等から出力することとしてもよい。
【0064】
本実施形態の遊技機は、演出音を出力可能な第1スピーカ(上部スピーカ100a,100b)と、第1スピーカよりも下方に設置され、演出音を出力可能な第2スピーカ(下部スピーカ100c,100d)と、スピーカ100から出力する演出音に関する処理を実行する演出音制御部76と、を備え、第1スピーカと第2スピーカとは、同一仕様のスピーカであり、演出音制御部76は、第1スピーカに出力させる演出音の方が、第2スピーカに出力させる演出音に比べ、所定の周波数帯(例えば2kHz以下)の成分の減衰量が大きくなるように、第1スピーカに出力させる演出音についての周波数応答と、第2スピーカに出力させる演出音についての周波数応答とを異ならせた状態で、演出音の出力に係る処理を実行する。このように、第1スピーカと第2スピーカとを同一仕様のスピーカとすることで、遊技機の構成を簡易にすることができる。また、これにより、部材管理や在庫管理のコストが低減できる。また、第1スピーカと第2スピーカとで演出音制御部76の周波数応答を異ならせたことで、同様のスピーカを用いているにも関わらず、第1スピーカと第2スピーカとで音の住み分けをして演出音をクリアに聞こえるようにすることができる。また、音の住み分けをして各スピーカの負荷を軽減することができる。
【0065】
また、通常時においては周波数応答不同状態として音をクリアにするとともに、特定演出時においては周波数応答同一状態として音像定位を変化させる演出を行うことが可能となる。また、音像定位を変化させる演出を行う際には、周波数応答同一状態となっていることにより、各スピーカの出力音量を調整するだけで音像定位を変化させることが可能となる。
【0066】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態の遊技機が、第1の実施の形態の遊技機と主に異なる点は、上部スピーカ100a,100bおよび下部スピーカ100c,100dの構成と、演出音制御部76の周波数応答なので、以下ではこの点について説明し、第1の実施の形態と同様の構成については、同様の符号を付す等して、その説明を省略ないし簡略化する。
【0067】
本実施の形態の液晶ディスプレイ34は、その表示領域(表示面)200に各種演出用の画像が表示されるようになっている。また、表示領域200は、第1表示領域200aと第2表示領域200bとを有している。第1表示領域200aは、液晶ディスプレイ34の正面視において、略下半分に横長の矩形状に形成されている。液晶ディスプレイ34は、透過型の液晶ディスプレイとなっており、第1表示領域200aの後方にある部材を視認可能な状態とすることができるようになっている。
【0068】
第1表示領域200aの後方には、リールユニット20が、その一部が第1表示領域200aを介して視認可能となるように配置されている。そして、リール20a~20cが停止すると、第1表示領域200aを介して1リール当たり3個の連続する図柄が表示される。また、第1表示領域200aには、各リール20a~20cの図柄を視認するための表示位置として、上段、中段、下段が設けられており、各リール20a~20cの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。
【0069】
第1表示領域200aは、透明な状態と演出画像を表示した状態とを含む複数の状態を有している。そして、第1表示領域200aが透明な状態においては、リール20a~20cの図柄が視認可能な状態となる。また、第1表示領域200aが演出画像を表示した状態においては、リール20a~20cの前方に演出画像が表示される。なお、第1表示領域200aが演出画像を表示した状態において、リール20a~20cの図柄は視認可能(視認容易)となっていてもよく、視認不可能(視認困難)となっていてもよい。このように第1表示領域200aは、リール20a~20cの図柄が視認可能で、かつ演出用の画像を表示可能な領域となっている。
【0070】
第2表示領域200bは、液晶ディスプレイ34の表示領域200のうち、第1表示領域200aを除いた部分であり、本実施形態の遊技機では、第1表示領域200aより上側の広い横長矩形の領域、第1表示領域200aより下側の狭い横長矩形の領域および第1表示領域200aより左右側の縦長矩形の狭い領域によって構成されている。つまり、第2表示領域200bは、第1表示領域200aを囲むように配置されている。第2表示領域200bは、演出用の画像を表示可能となっており、第2表示領域200bと第1表示領域200aとにわたって一つのまとまりのある画像を表示することもできるようになっている。また、第2表示領域200bは、透明な状態を有さず、後方にある部材を透過させて視認可能とすることはできないようになっている。ただし、第2表示領域200bも透明な状態を有していてもよい。換言すると、表示領域200全体が第1表示領域200aとなっていてもよい。
【0071】
本実施形態の遊技機では、2つの上部スピーカ100a,100bと2つの下部スピーカ100c,100dとは、互いに異なる仕様のスピーカ(型番が異なるスピーカ)となっている。換言すると、上部スピーカ100a,100bと下部スピーカ100c,100dとでは、再生周波数帯域(周波数特性)が異なるものとなっている。さらに換言すると、4つのスピーカ100a,100b,100c,100dは、出力音圧レベルの周波数特性が異なるものとなっている。また、スピーカ100a,100b,100c,100dは、フルレンジスピーカとなっている。
【0072】
また、本実施形態の遊技機は、上扉30に設けられた2つのツイーター100f,100gを有している。また、ツイーター100f,100gは、上部スピーカ100a,100bよりも上方に配置されている。また、2つのツイーター100f,100gは、左右に離間して配置されているとともに、上下方向において互いに略同一の位置(高さ)に配置されている。
【0073】
また、左右方向において同じ側に配置されているツイーターと上部スピーカ(具体的には、ツイーター100fと上部スピーカ100a、または、ツイーター100gと上部スピーカ100b)とは、垂直方向において同一直線状に配置されている。換言すると、ツイーター100fと上部スピーカ100aまたはツイーター100gと上部スピーカ100bとは、(少なくともその一部の)左右方向における位置が共通している。また、ツイーター100fと上部スピーカ100aまたはツイーター100gと上部スピーカ100bとは、(少なくともその一部の)前後方向における位置が共通している。さらに換言すると、ツイーター100fと上部スピーカ100aまたはツイーター100gと上部スピーカ100bとは、左右方向における中心の位置が略一致している。また、ツイーター100fと上部スピーカ100aまたはツイーター100gと上部スピーカ100bとは、スピーカ前面の前後方向における位置が略一致している(スピーカ前面が面一となっている)。これにより、ツイーター100f,100gから出力される音と、上部スピーカ100a,100bから出力される音とが遊技者の聴感上分離しにくく(一体として聴こえやすく)、違和感の少ないサウンドが実現できる。また、ツイーター100fと上部スピーカ100aまたはツイーター100gと上部スピーカ100bとは、上下方向における距離がなるべく近くなるように配置することが好ましい。具体的には、ツイーター100fと上部スピーカ100aまたはツイーター100gと上部スピーカ100bとの距離は、いずれか一方のスピーカの口径(直径あるいは長手方向の長さ(例えば上部スピーカ100a,100bの長手方向の長さ)よりも短くなるようにしてもよく、また、スピーカ同士が当接していてもよい。
なお、左右方向において同じ側に配置されるツイーターと上部スピーカとは、前後方向において異なる位置に配置されていてもよい。すなわち、2つの上部スピーカ100a,100bを上下方向において互いに略同一の位置に配置し、2つのツイーター100f,100gを上下方向において互いに略同一の位置に配置し、ツイーター100fと上部スピーカ100aとの左右方向における中心の位置を略同一とし、ツイーター100gと上部スピーカ100bとの左右方向における中心の位置を略同一とし、ツイーター100fと上部スピーカ100aとの前後方向の位置(スピーカ前面の前後方向における位置)を異ならせ、ツイーター100gと上部スピーカ100bとの前後方向の位置(スピーカ前面の前後方向における位置)を異ならせてもよい。このように、ツイーター100f,100gと上部スピーカ100a,100bとの前後方向における位置を異ならせる場合、ツイーター100fと上部スピーカ100aまたはツイーター100gと上部スピーカ100bとは、前後方向における距離がなるべく近くなるように配置することが好ましい。具体的には、ツイーター100fと上部スピーカ100aまたはツイーター100gと上部スピーカ100bとの距離は、いずれか一方のスピーカの前後方向の長さよりも短くなるようにしてもよく、また、スピーカ同士が当接していてもよい。
【0074】
上部スピーカ100a,100bの再生周波数帯域は、240Hz~10kHzとなっている。また、下部スピーカ100c,100dの再生周波数帯域は、100Hz~8kHzとなっている。また、ツイーター100f,100gの再生周波数帯域は、2kHz~20kHzとなっている。すなわち、下部スピーカ100c,100dの方が、上部スピーカ100a,100bに比べ、より低い周波数の音まで再生可能となっている。また、上部スピーカ100a,100bの方が、下部スピーカ100c,100dに比べ、より高い周波数の音まで再生可能となっている。また、ツイーター100f,100gの方が、上部スピーカ100a,100bおよび下部スピーカ100c,100dに比べ、より高い周波数の音まで再生可能となっている。
【0075】
本実施形態の遊技機では、上部スピーカ100a,100bと下部スピーカ100c,100dとで、出力する音の周波数帯域を異ならせるようになっている。具体的には、比較的高い周波数の音については、上部スピーカ100a,100bから出力させ、比較的低い周波数の音については、下部スピーカ100c,100dから出力させるようになっている。本実施形態の遊技機における、上部スピーカ100a,100bから出力する演出音についての演出音制御部76の周波数応答の例を
図8に示す。
図8に示すように、演出音制御部76は、上部スピーカ100a,100bについては、低周波数側のゲイン設定が高周波数側のゲイン設定よりも小さくなっており、低周波数側の成分(例えば800kHz以下の成分)を高周波数側(例えば800kHz以上の成分)に比べて減衰させるようになっている。すなわち、演出音制御部76は、上部スピーカ100a,100bから出力する演出音については、低周波数側の成分をカットし高周波数側の成分を通過させるハイパスフィルタ処理を行っている。換言すると、演出音制御部76(イコライザ部155)は、フィルタ回路、具体的にはハイパスフィルタと機能する。
図8の例では、ハイパスフィルタのカットオフ周波数は、800Hz(1kHz以下)に設定されている。また、このフィルタ回路(ハイパスフィルタ)では、ピーキングが設定されている。具体的には、本実施形態の遊技機では、上部スピーカ100a,100bから出力する演出音について、2kHz~10kHzの帯域における所定周波数を中心としてピーキング処理を施し、高周波数成分の一部(当該所定周波数の成分)をカット(減衰)するようにしている。
【0076】
また、上部スピーカ100a,100bから出力する演出音についての演出音制御部76の周波数応答の他の例を
図9および
図10に示す。周波数応答の設定はこれら(a)~(e)の各例のようにしてもよい。
図9、
図10に示す各例においても、演出音制御部76(イコライザ部155)は、フィルタ回路、具体的にはハイパスフィルタと機能している。
図9、
図10に示す各例のように、ピーキングは1つだけでなく複数設けてもよい。また、高周波数側におけるピーキング部分以外の周波数特性(ゲイン)は、フラットでなくてもよい。
【0077】
また、下部スピーカ100c,100dから出力する演出音についてのゲイン設定は、上部スピーカ100a,100bから出力する演出音についてのゲイン設定に比べ、比較的低周波数側の所定周波数帯域(例えば800Hz以下の帯域)のゲインが高く設定されている。すなわち、演出音制御部76(イコライザ部155)は、上部スピーカ100a,100bから出力する演出音についての周波数応答の方が、下部スピーカ100c,100dから出力する演出音についての周波数応答よりも出力可能な周波数の下限値(最低周波数)が高く設定されている。換言すると、演出音制御部76は、上部スピーカ100a,100bに出力させる演出音の周波数の下限値が、下部スピーカ100cに出力させる演出音の周波数の下限値よりも高い数値となるように、演出音の周波数特性を変化させる。さらに換言すると、下部スピーカ100c,100dの方が、上部スピーカ100a,100bよりも低い周波数の音まで出力するようにされている。また、演出音制御部76(イコライザ部155)は、上部スピーカ100a,100bから出力する演出音についての周波数応答の方が、下部スピーカ100c,100dから出力する演出音についての周波数応答よりも出力可能な周波数の上限値(最高周波数)が高くあるいは同等に設定されている。換言すると、演出音制御部76は、下部スピーカ100c,100dに出力させる演出音の周波数の上限値が、上部スピーカ100a,100bに出力させる演出音の周波数の上限値以下となるように、演出音の周波数特性を変化させる。さらに換言すると、上部スピーカ100a,100bの方が、下部スピーカ100c,100dよりも高い周波数の音まで出力するようにされている。
なお、下部スピーカ100c,100dから出力する演出音については、ピーキング処理を施さないこととしてもよく、上部スピーカ100a,100bから出力する演出音よりもピーキング箇所を少なくしてもよい。また、下部スピーカ100c,100dについての出力可能な周波数の上限値を比較的高く(例えば2kHz以上に)設定する場合等に、下部スピーカ100c,100dから出力する演出音について、2kHz~10kHzの帯域における所定周波数を中心としてピーキング処理を施し、高周波数成分の一部(当該所定周波数の成分)をカット(減衰)することとしてもよい。
【0078】
本実施形態の遊技機は、演出音を出力可能な第1スピーカ(上部スピーカ100a,100b)と、第1スピーカよりも下方に設置され、演出音を出力可能な第2スピーカ(下部スピーカ100c,100d)と、スピーカから出力する演出音に関する処理を実行する演出音制御部76と、を備え、第1スピーカと第2スピーカとは、再生可能な周波数帯域が異なるスピーカであり、演出音制御部76は、第1スピーカに出力させる演出音の周波数の下限値が、第2スピーカに出力させる演出音の周波数の下限値よりも高い数値となるように、演出音の周波数特性を変化させる処理と、第2スピーカに出力させる演出音の周波数の上限値が、第1スピーカに出力させる演出音の周波数の上限値以下となるように、演出音の周波数特性を変化させる処理と、を実行する。このように、第1スピーカと第2スピーカとで演出音制御部76の周波数応答を異ならせたことで、第1スピーカと第2スピーカとで音の住み分けをして各スピーカの負荷を軽減することができる。すなわち、一つのスピーカについて、広範な帯域の音を出力しようとすると、スピーカの負荷が高くなりすぎてしまい、スピーカの温度が上昇しすぎてしまうなどの問題があるところ、これを解消することができる。また、本実施形態の遊技機においては、第1スピーカから出力する演出音について、ピーキング処理を施して一部をカットしているので、中域から高域を担当する第1スピーカの負荷をさらに軽減することができる。なお、これらのスピーカの発熱を抑える効果は、特に、モータ等により駆動する可動役物(モータ等により動く演出部材)、あるいは透過型液晶等を有する発熱が多い遊技機において特に有効であり、スピーカの故障等を効果的に防止することができる。また、音の住み分けをすることで演出音をクリアに聞こえるようにすることができる。
【0079】
なお、演出音制御部76は、第1スピーカに出力させる演出音の周波数の下限値が、第2スピーカに出力させる演出音の周波数の下限値以上となるように、演出音の周波数特性を変化させる処理と、第2スピーカに出力させる演出音の周波数の上限値が、第1スピーカに出力させる演出音の周波数の上限値未満となるように、演出音の周波数特性を変化させる処理と、を実行することとしてもよい。このような構成でも、第1スピーカと第2スピーカとで音の住み分けをして各スピーカの負荷を軽減することができるとともに、演出音をクリアに聞こえるようにすることができる。
【0080】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態では遊技機の一つであるパチンコ遊技機について説明するが、その他の遊技機であってもよい。本実施の形態の遊技機も、演出音の出力に係る構成は基本的に第1、第2の実施の形態の遊技機と同様であるため、第1、第2の実施の形態と同様の構成については、同様の符号を付す等して、その説明を省略ないし簡略化する。
【0081】
図11は、本実施形態に係るパチンコ遊技機Yの外観構成を示す斜視図である。本実施形態の遊技機は、遊技場から貸し出された遊技球(遊技媒体)を用いて遊技を行うものであり、遊技機の外側面を形成する外枠502と、遊技機の内部に設けられ、遊技球が移動する遊技領域504を形成する遊技盤506と、遊技盤506を遊技者が視認可能かつ接触不可能にするガラスユニット508と、ガラスユニット508が取り付けられている前枠(前扉)510を備えている。
【0082】
前枠510のうちガラスユニット508を取り囲む部分は、光を透過する半透明の素材により構成されており、半透明の素材により構成されている部分の内部には、遊技を盛り上げるための演出光などを出力する複数の照明装置512が設けられている。
【0083】
前枠510の上部には、左右方向に長尺な略方形箱状の意匠部材511が設けられている。また、意匠部材511は、左右方向の長さが前枠510の左右方向の長さの半分以上となっている。また、意匠部材511は、その前面が、遊技領域504およびガラスユニット508よりも前方に位置するよう、前方に突出して配置されている。
【0084】
意匠部材511は、その内部に設けられた照明用のLED基板(図示せず)と、これを覆う外装部材とを備えており、外装部材の内側に、LED基板を収納するスペースが確保されている。また、外装部材の意匠部材511前面を構成する部分には機種名等を表わすロゴが付されており、内部に設けられたLED基板によってロゴが光るようになっている。すなわち、意匠部材511は、照明装置となっている。
【0085】
また、前枠510には、遊技を盛り上げるための演出音などを出力するスピーカ100が複数設けられている。
【0086】
前枠510の下部中央には、遊技球を貯留するための上皿516が設けられており、上皿516の内側側面の左部には、遊技機から遊技者に遊技球を払い出すための払出口が設けられている。前枠510の下部右側には、グリップユニット520が設けられており、遊技者がグリップユニット520を遊技機に向かって右回りに回転させる操作を行うと、遊技機の内部に設けられた図示しない発射装置が作動して、遊技領域504内に遊技球が発射されるようになっている。なお、本実施の形態の発射装置は、1分間に99個(1秒間に1.65個)の遊技球を発射することができる。
【0087】
上皿516の内側側面の右部には、上皿516から遊技球を発射装置に供給するための供給口が設けられている。また、上皿516の下方には、上皿516に遊技球を貯留しきれなくなった場合に余剰の遊技球を貯留しておく下皿524が設けられている。
【0088】
上皿516の縁部の手前側には、演出操作部62が設けられており、遊技者が演出操作部62を操作すると、遊技機で行われる演出が変化する。詳細には演出操作部62は、押しボタンスイッチおよび回転レバーを有しており、演出操作部62を押下する操作と、演出操作部62を回転させる操作とを検出することができるようになっている。
【0089】
図12は、
図11で示した遊技盤506の外観構成を示す正面図である。
図12に示すように遊技盤506には、円形状に外レール528が設けられており、外レール528に囲まれた領域が、遊技球が移動する遊技領域504となっている。また、遊技領域504の左端部には、外レール528に沿うように円弧状に内レール530が設けられており、外レール528と内レール530は、遊技盤506の下方に設けられた図示しない発射装置から発射された遊技球を遊技領域504に誘導する。
【0090】
遊技盤506の中央部には、遊技を盛り上げるための演出画像等を表示する液晶ディスプレイ34と、液晶ディスプレイ34を取り囲むように形成されたディスプレイ枠534を備える演出ユニット536が設けられている。このディスプレイ枠534には意匠部材538が設けられている。
【0091】
本実施の形態では、液晶ディスプレイ34の手前側を遊技球が通過できないようになっており、発射装置から発射された遊技球は、液晶ディスプレイ34の左側の遊技領域504か右側の遊技領域504を落下するようになっている。そして遊技領域504には、遊技盤506の表面に交差するように図示しない多数の遊技釘が打ち付けられており、遊技領域504を移動する遊技球の移動方向がランダムに変化するようになっている。
【0092】
ディスプレイ枠534の左部には、液晶ディスプレイ34の左側の遊技領域504を落下する遊技球が通過できる開口540が形成されており、この開口540を通過した遊技球はディスプレイ枠534に設けられている通路542を通過して、液晶ディスプレイ34の下方に設けられたステージ544に落下するようになっている。このステージ544の上面は滑らかな曲面となっているとともに、ステージ544とガラスユニット508との間に遊技球がステージ544から下方に落下できる隙間が形成されており、通路542からステージ544上に落下した遊技球がステージ544上を左右に往復移動した後にステージ544の中央部付近から下方に落下するようになっている。
【0093】
ステージ544の中央部の下方には、第1始動入賞口546が設けられている。
また、液晶ディスプレイ34の右側の遊技領域504には、通過ゲート548が設けられている。また、通過ゲート548の下方に、第2始動入賞口550が設けられている。この第2始動入賞口550には、第2始動入賞口550に遊技球が進入しにくい縮小状態(進入を補助しない状態・非補助状態)と遊技球が進入しやすい拡大状態(進入を補助する状態・補助状態)との間で動作可能な補助部材を備える普通役物552が設けられている。
【0094】
液晶ディスプレイ34の右側の遊技領域504には、第2始動入賞口550の下方に、大入賞口554が設けられている。この大入賞口554には、大入賞口554を塞ぐ可動部材を備える特別役物556が設けられている。特別役物556は、大入賞口554に遊技球が進入不可能な閉状態と、大入賞口554に遊技球が進入可能な開状態との間で動作可能に構成されている(
図12は閉状態を示している)。特別役物556は、大当たりが当選すると開始される特別遊技状態において、所定条件下で開状態となるように制御される。
【0095】
大入賞口554の下方には、大入賞通路558が下方に向かって設けられている。大入賞通路558の下端には、通常進入口562が設けられている。また、大入賞通路558の下方には、大入賞通路558の途中から下方に向かって分岐するように特定通路565が設けられている。この特定通路565には、特定通路565を塞ぐ可動部材を備える特定役物566が設けられている。特定役物566は、特定通路565に遊技球が進入不可能な閉状態と、特定通路565に遊技球が進入可能な開状態との間で動作可能に構成されている(
図12は閉状態を示している)。特定役物566は、特別遊技状態において所定条件下で開状態となるように制御される。特定通路565の下端には、特定進入口568が設けられている。また、遊技領域504の最下部には、いずれの入賞口にも進入せずに遊技領域504を落下した遊技球を遊技機の内部に回収するアウト口569が設けられている。
【0096】
遊技球の発射装置は、
図11で示したグリップユニット520の回転量を調整することにより遊技球の射出力が変化するように構成されており、グリップユニット520の回転量が少ない場合には液晶ディスプレイ34の左側の遊技領域504を遊技球が落下するように遊技球が発射され、グリップユニット520の回転量が多い場合には液晶ディスプレイ34の右側の遊技領域504を遊技球が落下するように遊技球が発射される。
【0097】
遊技者は、遊技状況に応じてグリップユニット520の回転量を調整し、遊技球が左側の遊技領域504を落下して、あるいは開口540と通路542とステージ544を通過して第1始動入賞口546に進入するように遊技球を発射させたり(左打ち)、遊技球が右側の遊技領域504を落下して、通過ゲート548を遊技球が通過するように、あるいは第2始動入賞口550に遊技球が進入するように、あるいは大入賞口554に遊技球が進入するように遊技球を発射させたりする(右打ち)。
【0098】
遊技盤506の右下部であって、遊技領域504の外側には、遊技機の各種状態をランプ等の点灯および消灯により示す状態表示部570が設けられている。本実施形態の遊技機は、主制御基板70および副制御基板72を含む制御基板によって制御される。また、主制御基板70や副制御基板72等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSPなど)、ASIC(ゲートアレイなど)、ROM(情報記憶媒体の一例)、あるいはRAMなどのハードウェアや、ROMなどに予め記憶されている所与のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0099】
主制御基板70は、入力手段(第1始動入賞口センサ、通過ゲートセンサ、第2始動入賞口センサ、大入賞口センサ、通常進入口センサ、特定通路センサ、払出センサ等)からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて、出力手段(状態表示駆動装置、普通役物駆動装置、特別役物駆動装置、特定役物駆動装置、払出装置等)の動作制御を行う。
【0100】
副制御基板72は、主制御基板70から送られてくる信号(コマンド)や、演出操作部62等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技の進行状況に合わせた演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて、演出装置(液晶ディスプレイ34、スピーカ100等)の制御を行なう。
【0101】
本実施形態の遊技機は、
図11に示すように、前枠510の上部に設けられた2つのスピーカ(上部スピーカ100a,100b)と、前枠510の下部に設けられた2つのスピーカ(下部スピーカ100c,100d)とを有している。すなわち、前枠510には、上部スピーカ100a,100bと、上部スピーカ100a,100bよりも下方に配置された下部スピーカ100c,100dとが設けられている。なお、上部スピーカ100a,100bは、下部スピーカ100c,100dに比べ左右方向内側に配置されている。また、前枠510の下方外側(いわゆる幕板部分)には、スピーカ100eが設けられている。また、スピーカ100eは、ウーファーとなっている。また、スピーカ100eよりも上方であって、下部スピーカ100c,100dよりも下方の位置には、スピーカ100hが設けられている。
なお、
図11においては、上部スピーカ100a,100bは、意匠部材511の前面の裏側に隠れた状態となっている。なお、上部スピーカ100a,100bは意匠部材511の内部に設けられていてもよい
【0102】
本実施形態の遊技機では、第1の実施の形態の遊技機と同様に、2つの上部スピーカ100a,100bおよび2つの下部スピーカ100c,100dは、全て同一機種のスピーカ(型番が同一のスピーカ)となっている。換言すると、4つのスピーカ100a,100b,100c,100dは、再生周波数帯域(周波数特性)が同一となっている。さらに換言すると、4つのスピーカ100a,100b,100c,100dは、出力音圧レベルの周波数特性が同一となっている。また、スピーカ100a,100b,100c,100dは、フルレンジスピーカとなっている。また、スピーカ100a,100b,100c,100dの再生周波数帯域は、210Hz~20kHzとなっている。また、スピーカ100eの再生周波数帯域は、100Hz~4kHzとなっている。また、スピーカ100hの再生周波数帯域は、160Hz~20kHzとなっている。
【0103】
なお、2つの上部スピーカ100a,100bと2つの下部スピーカ100c,100dとを、互いに異なる仕様のスピーカ(型番が異なるスピーカ)としてもよい。例えば、上部スピーカ100eの再生周波数帯域を90Hz~16kHzとし、下部スピーカ100eの再生周波数帯域を200Hz~20kHzとしてもよく、この逆としてもよい。
【0104】
スピーカ100a,100b,100c,100d,100eからの演出音出力に関する制御(演出音制御部76およびアンプ113,114,115による制御)は、第1の実施の形態の遊技機または第2の実施の形態の遊技機と同様に行えばよい。なお、スピーカ100iからの演出音の出力は、演出音制御部76の余っているチャンネル(例えばチャンネルCN7,CN8)を用いるとともにアンプICを別途設けるなどして行えばよい。また、スピーカ100iから出力する演出音についての周波数応答(演出音制御部76(イコライザ部155)の設定)は、スピーカ100a,100b,100c,100d,100eのいずれかと同一となるように設定してもよく、いずれとも異なるように設定してもよい。
【0105】
(可動式スピーカ)
第1~第3の実施の形態の遊技機において、スピーカ100として、特定の演出の実行時に(特定の演出状態において)、スピーカの角度あるいは位置が変化するように動く(物理的に動く)可動式スピーカを採用してもよい。具体的には、可動式スピーカは、特定演出時にスピーカの向く方向が変化して(水平面または垂直面に対するスピーカの角度が変化して)例えば遊技者側を向くようなものであってもよく、特定演出時に上下、左右、前後方向等に移動するものであってもよい。演出音制御部76は、特定時に可動式スピーカを動かす制御を行う。
【0106】
可動式スピーカは、例えば、上部スピーカ100a,100bよりも上方(上扉30や前枠510の上部)に、左右に離間して2個設けることとしてもよい。また、スピーカ100a,100b,100c,100d,100eのうちの1つまたは複数(例えば、上部スピーカ100a,100b)を可動式スピーカとしてもよい。
【0107】
また、可動式スピーカからの演出音出力に関する制御(演出音制御部76およびアンプ113,114,115による制御)は、第1の実施の形態の遊技機、第2の実施の形態の遊技機または第3の実施の形態の遊技機における、各スピーカ100a,100b,100c,100d,100eのいずれかについての制御と同様に行えばよい。換言すると、可動式スピーカから出力する演出音についての周波数応答(演出音制御部76(イコライザ部155)の設定)は、例えば、第1~第3の実施の形態の遊技機における上部スピーカ100aから出力する演出音についての周波数応答と同様に設定してもよく、下部スピーカ100bから出力する演出音についての周波数応答と同様に設定してもよい。また、演出音制御部76(イコライザ部155)の設定を、可動式スピーカから出力される演出音の周波数が、下部スピーカ100c,100dから出力される演出音の周波数の下限値~上部スピーカ100a,100bから出力される演出音の周波数の上限値までの範囲となるようにしてもよい。換言すると、可動式スピーカは、上部スピーカ100a,100bと同様の周波数帯の音を再生することとしてもよく、下部スピーカ100c,100dと同様の周波数帯の音を再生することとしてもよく、下部スピーカ100c,100dが再生する周波数帯の下限から上部スピーカ100a,100bが再生する周波数帯の上限までの音を再生することとしてもよい。
【0108】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、前述した制御動作は、メダルレス遊技機等の他の遊技機にも適用できる。本発明は、遊技機に適用でき、遊技機には、スロットマシン、パチンコ遊技機、メダルレス遊技機等が含まれる。
【0109】
なお、本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0110】
72 副制御基板
74 演出制御部
76 演出音制御部
100a,100b 上部スピーカ(第1スピーカ)
100c,100d 下部スピーカ(第2スピーカ)
100e,100f,100g,100i スピーカ