(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】携行型時計をリモートサーバーにセキュアに接続する方法
(51)【国際特許分類】
G06F 21/32 20130101AFI20220607BHJP
G06F 21/62 20130101ALI20220607BHJP
H04L 9/32 20060101ALI20220607BHJP
【FI】
G06F21/32
G06F21/62
H04L9/32 100D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020193064
(22)【出願日】2020-11-20
【審査請求日】2020-11-20
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591260638
【氏名又は名称】チソット・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】エドアルド・フランツィ
【審査官】岸野 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-110368(JP,A)
【文献】特開2019-165422(JP,A)
【文献】特開2019-091334(JP,A)
【文献】特開2017-027594(JP,A)
【文献】特表2010-522379(JP,A)
【文献】国際公開第2018/079852(WO,A1)
【文献】特表2009-544108(JP,A)
【文献】特表2007-519435(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0018501(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0053730(US,A1)
【文献】特表2016-524249(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0278220(US,A1)
【文献】米国特許第9729553(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/32
G06F 21/62
H04L 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携行型時計(100)と、リモートサーバー(200)を有するサービスプロバイダーと、を備えたシステムにおいて、前記サービスプロバイダーの
前記リモートサーバー(200)に携行型時計(100)をセキュアに接続する方法であって、
前記携行型時計(100)が、前記携行型時計(100)の機能を用いるアクセス権限を与えるように前記携行型時計(100)の着用者を認証する認証ステップ(9)と、
前記携行型時計(100)が、前記携行型時計(100)と前記リモートサーバー(200)の間の接続を確立することを意図して、
前記着用者に、前記携行型時計の入力インタフェースから前記機能のうちの1つを選択
させる選択ステップ(11)と、
前記リモートサーバー(200)が、着用者の皮膚の部分に含まれる少なくとも1つのバイオメトリック情報要素から前記携行型時計(100)の着用者を識別する識別ステップ(12)と、
前記携行型時計(100)が、着用者が識別された後に選択された機能に関連する認証要素を前記リモートサーバー(200)へと送信する送信ステップ(22)と、及び
前記携行型時計(100)と前記リモートサーバー(200)の間のデータ交換の権限を与えるように、前記リモートサーバー(200)によって前記認証要素に基づいて着用者の認証を行うステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記送信ステップ(22)は、
前記携行型時計(100)が、前記携行型時計(100)の
処理ユニット(2)の
メモリー要素(6)にアーカイブされた認証要素のうち、前記リモートサーバー(200)への送信を予測して、選択された機能に関連する認証要素を選択する選択サブステップ(23)を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記認証を行うステップ(24)は、
前記リモートサーバー(200)が、前記携行型時計(100)から受信した認証要素と前記リモートサーバー(200)にアーカイブされた基準認証要素(32)とを
、比較する比較サブステップ(25)を含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記識別ステップ(12)は、前記携行型時計(100)が備える少なくとも1つのマルチスペクトルバイオメトリック皮膚センサー(33)によって、前記マルチスペクトルバイオメトリック皮膚センサー(33)に近接する着用者の皮膚の部分の複数の画像を取得する取得サブステップ(13)を含み、
前記画像は、前記皮膚の部分に含まれる前記少なくとも1つのバイオメトリック情報要素を含む
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記識別ステップ(12)は、
前記携行型時計(100)が、取得した皮膚の部分の画像に含まれる前記少なくとも1つのバイオメトリック情報要素からデジタル識別要素を生成する生成サブステップ(17)を含む
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記識別ステップ(12)は、
前記携行型時計(100)が、着用者の識別
のために生成されたデジタル識別要素を検証する検証サブステップ(20)を含む
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記バイオメトリック情報要素は、皮膚の血管網又はテクスチャに関連するものである
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
リモートサーバーに携行型時計(100)をセキュアに接続するシステム(1)であって、
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成しており、
前記携行型時計(100)は、処理ユニット(2)、マルチスペクトルバイオメトリック皮膚センサー(33)、入力インタフェース(34)、視覚的情報ブロードキャスト用インタフェース(3)、及び前記リモートサーバー(200)とデータ交換するための無線通信インタフェースを備え、これらは互いに接続されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法を実行するためのプログラムコード命令を含むコンピュータープログラムであって、
前記携行型時計(100)及びリモートサーバー(200)の処理ユニットによって実行される
ことを特徴とするコンピュータープログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携行型時計(例、腕時計、懐中時計)を遠隔サーバーにセキュア(安全)に接続する方法及びこのような方法を実装するシステムに関する。
【0002】
本発明は、さらに、コンピュータープログラムに関する。
【背景技術】
【0003】
携行型時計には、着用者が用いることができる一連の機能がある。このような機能は、バンキング(銀行取引)、商業取引(オンラインショップ、電子商取引会社)、電子メッセージング又はインスタントメッセージングのサービスのようなサービスの提供を実装しているリモートサーバーへのアクセスを可能にする。これに関連して、携行型時計の着用者は、ますます増えている、認証要素である識別子、パスワード及びアクセスコードを管理し記憶しなければならない。このような認証要素は、リモートサーバーへの接続を着用者が開始してサービスの提供を受けることで恩恵を受けなければならないときに着用者によって着用されることが多い。このために、これらのすべての秘密データを記憶することができない着用者は、紙に、あるいはハードディスク、フラッシュメモリー、USBキーのようなデジタルデータの記憶を可能にする媒体上にアーカイブされたスプレッドシート型の標準的なコンピューターファイルに、一緒にグループ化することを好むことが一般的である。この状況には、これらの認証要素を含む文書/ファイルがほとんど又はまったく保護されていない環境に記憶されることがあるという課題がある。このことによって、認証要素の管理において重大なセキュリティ上の欠陥を発生させてしまう。
【0004】
このような状況において、代替的手法、特に、従来技術にある課題がないもの、を見出す必要性があることを理解することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような状況で、本発明は、信頼性があり堅牢性が高いような、リモートサーバーに携行型時計をセキュアに接続する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このために、本発明は、サービスプロバイダーのリモートサーバーに携行型時計をセキュアに接続する方法に関する。この方法は、
- 前記携行型時計の機能を用いるアクセス権限を与えるように前記携行型時計の着用者を認証する認証ステップと、
- 前記携行型時計と前記リモートサーバーの間の接続を確立することを意図して、前記携行型時計の入力インタフェースから前記機能のうちの1つを選択する選択ステップと、
- 着用者の皮膚の部分に含まれる少なくとも1つのバイオメトリック情報要素から前記携行型時計の着用者を識別する識別ステップと、
- 着用者が識別された後に選択された機能に関連する認証要素を前記リモートサーバーへと送信する送信ステップと、及び
- 前記携行型時計と前記リモートサーバーの間のデータ交換の権限を与えるように、前記リモートサーバーによって前記認証要素に基づいて着用者の認証を行うステップと
を含む。
【0007】
他の実施形態においては、以下の特徴がある。
- 前記送信ステップは、前記携行型時計の前記処理ユニットの前記メモリー要素にアーカイブされた認証要素のうち、前記リモートサーバーへの送信を予測して、選択された機能に関連する認証要素を選択する選択サブステップを含む。
- 前記認証を行うステップは、前記携行型時計から受信した認証要素と前記リモートサーバーにアーカイブされた基準認証要素とを比較する比較サブステップを含む。
- 前記識別ステップは、前記携行型時計が備える少なくとも1つのマルチスペクトルバイオメトリック皮膚センサーによって、前記マルチスペクトルバイオメトリック皮膚センサーに近接する着用者の皮膚の部分の複数の画像を取得する取得サブステップを含み、前記画像は、前記皮膚の部分に含まれる前記少なくとも1つのバイオメトリック情報要素を含む。
- 前記識別ステップは、取得した皮膚の部分の画像に含まれる前記少なくとも1つのバイオメトリック情報要素からデジタル識別要素を生成する生成サブステップを含む。
- 前記識別ステップは、着用者の識別を予測して生成されたデジタル識別要素を検証する検証サブステップを含む。
- 前記バイオメトリック情報要素は、皮膚の血管網又はテクスチャに関連するものである。
【0008】
本発明は、さらに、前記方法を実行する、リモートサーバーに携行型時計をセキュアに接続するシステムに関する。このシステムにおいては、前記携行型時計は、処理ユニット、マルチスペクトルバイオメトリック皮膚センサー、入力インタフェース、視覚的情報ブロードキャスト用インタフェース、及び前記リモートサーバーとデータ交換するための無線通信インタフェースを備え、これらは互いに接続されている。
【0009】
本発明は、さらに、この方法におけるステップを実行するためのプログラムコード命令を含むコンピュータープログラムに関し、これは、前記携行型時計及びリモートサーバーの処理ユニットによって実行される。
【0010】
添付の図面を参照しながら例示的な下の説明を読むことによって、他の特徴及び利点が明確になるであろう。なお、これに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る、携行型時計をリモートサーバーにセキュアに接続するシステムの概略図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る、携行型時計をリモートサーバーにセキュアに接続する方法に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、携行型時計をリモートサーバー200にセキュアに接続するシステム1を示している。このシステム1では、携行型時計100は、好ましくは、ハイブリッドディスプレーに接続される機械式携行型時計100である。これに関連して、携行型時計100は、携行型時計ケースのような本体と、この本体を着用者の手首などに固定することを可能にする腕輪のような取り付け要素とを備える。この携行型時計100は、特に、以下を備える。なお、これらに限定されず、他を排除するわけではない。
- ハードウェア及びソフトウェア資源を備える処理ユニット2、特に、メモリー要素6と連係する少なくとも1つのプロセッサー
- 第1のアナログ表示コンポーネント及び第2のデジタル及び/又は英数字表示コンポーネントを備えるハイブリッドディスプレー表盤のような視覚的情報ブロードキャスト用インタフェース3
- スピーカーのような音情報ブロードキャスト用インタフェース4
- 無線通信インタフェース5(例えば、セルラー、無線LAN、Bluetooth)
- キーボードのような入力インタフェース34、又はさらには視覚的情報ブロードキャスト用インタフェース3などにおいて備えられるタッチインタフェース
- 少なくとも1つの画像センサー26と、300~1100nmの波長の光放射を放射することができレーザータイプであることができる少なくとも1つのマルチスペクトル照明源27と、少なくとも1つの熱画像センサー28とを備えるマルチスペクトル皮膚バイオメトリックセンサー33
【0013】
この携行型時計100では、処理ユニット2は、とりわけ、視覚的情報及び音情報ブロードキャスト用インタフェース3、4、入力インタフェース34、そして、無線通信インタフェース5及びマルチスペクトルバイオメトリックセンサー33に接続される。また、マルチスペクトルバイオメトリックセンサー33は、電子デバイス100の本体内及び/又は取り付け要素内に配置されることにも留意すべきである。
【0014】
このシステム1では、サーバー200は、処理ユニット210と通信インタフェース220とを備える。このサーバー200は、サービスプロバイダーのリモートサーバーであり、例えば、バンキング又は商業サービスプロバイダー(オンラインショップ、電子商取引会社)、電子メッセージング又はインスタントメッセージングのサービスを提供するサーバーである。これに関連して、このサーバー200の処理ユニット210は、基準認証要素32を備えるメモリー要素を備える。この基準認証要素32は、リモートサーバー200と前記携行型時計100の間のセキュアな接続の作成に関与することができ、キー、証明(certificate)、認証コード、パスワード及び個人コードなどによって構成することができる。
【0015】
この携行型時計100は、離散的に、すなわち、この携行型時計100に対する着用者の直接的な介入/やりとりなしに、認証された着用者のアイデンティティー制御を確実にすることができ、これによって、着用者は携行型時計100を装着するときに常にリモートサーバー200に接続することができる。そして、着用者の識別は、この着用者の皮膚に含まれる少なくとも1つのバイオメトリック情報要素、例えば、皮膚の血管網又は皮膚のテクスチャ、に基づいて透過性が高く離散的な形態で行われる。着用者の身体を覆う着用者のこの皮膚には、通常当業者には考慮に入れられない特殊性がある。なぜなら、人間の眼には自然には視認できず、異なる深さに位置する皮膚の構成要素において異なる波長(スペクトル)で吸収したり反射したりする特徴に関連するためである。簡略化されたモデルでは、皮膚には、「表皮」と呼ばれる層がある。この「表皮」は、半透明性であり、表面上に位置する。「表皮」の下には、「真皮」と呼ばれる層がある。この「真皮」にはとりわけ、血管(又は血管網)があり、血管においては、ヘモグロビンが赤色に近い高波長、例えば、760~930nm、において反射性が高く、このことによって、着用者の皮膚の血管網を出現させ又は示すことを可能にする。言い換えれば、皮膚を構成している表皮と真皮の構成要素の光吸収スペクトルは、電磁波長に応じて均一ではなく、皮膚の外観と色は、このような現象の複雑な組み合わせに起因する。このように、この着用者の皮膚のテクスチャは、本質的に亀裂や凹みによって形成され、このようなバイオメトリック情報要素を示したり出現させたりする場合、赤色の付近の波長に制限され、このことによって、亀裂の底部から影現象を消失させる傾向のある、照明源によって皮膚の照明を確実にすることができる。実際に、赤色の付近の波長が表皮を通って真皮で反射することによって逆投影効果が発生し、他方では、赤色から遠い色、典型的には紫色(400nm)と黄橙色(600nm)の間の波長帯、の色スペクトルの光源による皮膚の照明が、これらの亀裂の底部における影の出現によって、皮膚におけるこれらの亀裂を強く対比させることを可能にする。なお、皮膚に含まれるバイオメトリック情報要素の識別を、好ましくは照明なしで、熱画像センサー28を用いることによって向上させることができる。例えば、特に着用者の関心事の皮膚の部分に毛がある場合に、皮膚のテクスチャを示すために、熱的画像センサー28を用いることによって、周囲の皮膚、そして、それよりも冷たい髪、よりも一般的には温かい皮膚のテクスチャの亀裂を見えるようにすることが可能になる。したがって、この構成では、毛は皮膚のテクスチャにおける亀裂と熱的に区別することができる。それらの間の温度差のためである。
【0016】
なお、示されるべき又は明らかにされるべきバイオメトリック情報要素に応じた所定の波長の照射の下で、熱画像の捕捉を行うことができる。
【0017】
したがって、本発明の原理によると、着用者の識別が着用者の皮膚の部分の画像に含まれる少なくとも1つのバイオメトリック情報要素に基づいて行われ、この皮膚の部分は、所望のバイオメトリック情報要素を含む画像を捕捉するために、必要に応じて、異なる波長にて照らすことができることを理解することができる。このように、異なる波長で実施される照明によって、又は熱画像を捕捉する場合などに照明なしで、これらの画像に含まれるこのバイオメトリック情報要素を示すことができる。
【0018】
この携行型時計では、携行型時計100の処理ユニット2のメモリー要素6は、携行型時計100が接続されている各リモートサーバー200に固有の認証要素31に関するデータを備える。すなわち、これらの認証要素は、着用者及び/又は携行型時計100に固有であり、したがって、携行型時計100の機能を選択することによって所望のサーバー200に着用者が接続することを可能にする。また、これらのメモリー要素6は、デジタル画像処理アルゴリズム29を含み、これは、着用者の皮膚に関連しその着用者の皮膚の部分に関連する画像に含まれる少なくとも1つのバイオメトリック情報要素を特徴づけることを可能にする。また、これらのメモリー要素6は、基準デジタル識別要素だけでなくデジタル識別要素を生成するための生成アルゴリズム30を含む。
【0019】
図2に示しているように、システム1は、サービスプロバイダーのリモートサーバー200にセキュアに接続する方法を実装することができる。このようなサービスプロバイダーのサーバー200は、例えば、バンキング又は商業サービスプロバイダー(オンラインショップ、電子商取引会社)、電子メッセージング又はインスタントメッセージングのサービスを提供するサーバーであることができる。
【0020】
この方法は、携行型時計100の機能を用いるアクセスの権限を与える携行型時計100の着用者を認証する認証ステップ9を含む。したがって、この認証ステップ9は、携行型時計の着用者を確実に識別することを可能にし、これによって、この着用者が携行型時計100のすべての機能を用いることができるようにする。言い換えれば、この認証ステップ9は、着用者と入力インタフェース34の間のやりとりを用いて認証コード又は秘密コードの入力を提供することによって、着用者のアイデンティティーの証拠を着用者が提供することを可能にする。
【0021】
また、着用者とこの携行型時計100の入力インタフェース34の間のやりとりの後にコンピュータープログラムがアクティブ化/選択されるとすぐに、携行型時計100の処理ユニット2によって実行されるコンピュータープログラムによって機能を実装することができることを理解することができる。このようにして実行されるこれらのコンピュータープログラムは、例えば、バンキング、商業的タイプ、又は他の瞬時的又は電子的メッセージングの、サービス提供から、着用者が利益を得ることを可能にする。
【0022】
この認証ステップ9の後に、本方法は、前記携行型時計100とリモートサーバー200の間の接続を確立することを意図して、前記携行型時計100の入力インタフェース34から前記機能のうちの1つを選択する選択ステップ11を含む。これらの機能を携行型時計100の処理ユニット2によって実行されるコンピュータープログラムによって実装することができることを理解することができ、これは、着用者と携行型時計100の入力インタフェース34の間のやりとりの後に視覚的情報ブロードキャスト用インタフェース3上に/内に表示されたこれらの機能がアクティブ化/選択された後にすぐに行われる。このようにして実行されるこれらのコンピュータープログラムは、例えば、バンキング、商業的、又は他の瞬時的又は電子的メッセージングの、サービス提供から、着用者が利益を得ることを可能にする。
【0023】
そして、本方法は、着用者の皮膚の部分に含まれる少なくとも1つのバイオメトリック情報要素から携行型時計100の着用者を識別する識別ステップ12を含む。このようなステップ12は、機能を選択した後に順に系統的に行われ、これによって、特に、処理ユニット2が、携行型時計100の着用者が携行型時計100をまだ所持しており、着用者が実際に機能の選択の起点にあることを制御することを可能にする。このステップ12は、前記センサー33に近接して配置された着用者の皮膚の部分の複数の画像をセンサー33によって取得する取得サブステップ13を含み、前記画像は、前記皮膚部分に含まれる前記少なくとも1つのバイオメトリック情報要素を含む。このサブステップ13は、皮膚部分に対して異なる波長を用いて照射する照射段階14を含む。具体的には、この段階14の間に、処理ユニット2は、マルチスペクトルバイオメトリックセンサー33、そして特に、照明源27を駆動し、これによって、照明源27は、関心事の皮膚に固有な前記少なくとも1つのバイオメトリック情報要素を示したり明らかにしたりするように適合される正確な波長を用いて皮膚部分の方向に光放射を発する。照明の構成が終わった後に、取得サブステップ13は、前記少なくとも1つのバイオメトリック情報要素を示したり明らかにしたりすることができる少なくとも1つの波長を用いて照られたこの皮膚部分の画像を捕捉する捕捉段階15を含む。この段階15の間に、処理ユニット2は、マルチスペクトルバイオメトリック皮膚センサー33、そして特に、画像センサー26を、所定の波長で照射源27のアクティブ化/非アクティブ化と同期させて駆動し、これによって、少なくとも1つの波長にて照られた皮膚部分に関連する少なくとも1つの画像を捕捉する。
【0024】
この取得サブステップ13は、さらに、皮膚部分の少なくとも1つの熱的画像を捕捉する捕捉段階16を含むことができる。このような段階16は、照明なしで実行することが好ましいが、この部分を照らす他の代替形態では、少なくとも1つの所定の波長を用いて行うことができ、これは、当然、示されるべき又は明らかにされるべきバイオメトリック情報要素に依存する。この段階16は、照明段階14及び画像捕捉段階15の前や後に行うことができる。
【0025】
そして、識別ステップ12は、取得された皮膚部分の画像に含まれる前記少なくとも1つのバイオメトリック情報要素からデジタル識別要素を生成する生成サブステップ17を含む。このようなサブステップ17は、前記皮膚部分に関連する画像に含まれる前記バイオメトリック情報要素を特徴づける特徴づけ段階18を含む。この段階18の間に、処理ユニット2は、取得された画像を処理するためのアルゴリズム29を実装する。これは、これらの画像それぞれが含む前記少なくとも1つのバイオメトリック情報要素を識別/検出することを目的とする。すでに述べたように、前記バイオメトリック情報要素は、着用者の皮膚のテクスチャ、着用者の皮膚のこの部分に含まれる血管網などに関連する情報要素であることができる。処理ユニット2によるこれらのアルゴリズム29、30の実装は、例えば、これらの画像をいくつかのセグメントに切断するプロセスを提供することができる。ここで、各取得画像は、着用者の皮膚の部分の概観を与え、そして、前記少なくとも1つのバイオメトリック情報要素の識別のための関連性が変動する領域を含む。このような切断プロセスは、処理されるセグメントを抽出し、これらの画像において処理しない部分を除去することに関与する。そして、これらのアルゴリズム29は、皮膚部分の局所化領域によって、識別される前記少なくとも1つの特定のバイオメトリック情報要素に関連する特徴を含むこれらの画像セグメントのインデクシングを提供することができ、これによって、皮膚部分のこの測地的領域の特徴の形態学的タイポロジーに関する適切な処理を各領域に割り当てることができるようにする。これに関連して、これらのアルゴリズム29は、処理、変換及び検出のタイプの画像解析操作を行うことによって、各画像の画素によって担持される情報を示すことによって、当該画像の各セグメントを処理する。その後に、これらのアルゴリズム29は、特徴フィルタリング及び抽出又はベクトル化操作を実行し、これによって、識別され抽出された前記少なくとも1つのバイオメトリック情報要素に関連する画像データをパラメーター的データ、典型的には、インデックス、百分率などとして表される相対的数値、に変換する。
【0026】
ここで、異なる照明下又は照明なしで、同じ皮膚部分を表すいくつかの画像を取得することによって、この特徴づけ段階18の精度と効率を向上させることに役立つ。
【0027】
その後に、生成サブステップ17は、前記少なくとも1つのバイオメトリック情報要素の特徴づけからデジタル識別要素を設計する設計段階19を含む。この段階19の間に、処理ユニット2は、特徴づけ段階18の間に得られたパラメーター的データの処理のために特に設けられるようなデジタル識別要素30を生成するためのアルゴリズムを実装する。このパラメーター的データは、前記少なくとも1つのバイオメトリック情報要素に関連する。
【0028】
そして、識別ステップ12は、着用者のアイデンティティーの制御を予測して生成されるデジタル識別要素を検証する検証サブステップ20を含む。この検証サブステップ20は、処理ユニット2によって実装される、生成されたデジタル識別要素と基準デジタル識別要素とを比較する比較段階21を含む。この方法では、この基準デジタル識別要素を定めるステップ11の間に、着用者が正当に認証され、そのアイデンティティーが確実であるならば、基準デジタル識別要素を作ることができ、このステップ11は、識別ステップ12の間に実行される取得サブステップ13及び生成サブステップ17と同様のサブステップを与える。この方法では、携行型時計100の着用者が認証されると、処理ユニット2は、この定義ステップ11を実行し、そして、処理ユニット2のメモリー要素6において得られる基準デジタル識別要素のアーカイブを行う。したがって、この基準デジタル識別要素は、処理ユニット2によって自動的に決めることができ、又はこの基準デジタル識別要素を定めるように着用者をガイドするように意図された調整プロセス中に着用者によって構成することができる。
【0029】
この比較段階21は、生成されたデジタル識別要素が基準デジタル識別要素と実質的に異なる又は異なる場合に着用者22の識別を拒否する拒否サブ段階を含む。この場合、リモートサーバーへの接続の確立は一時停止又はさらには除去される。また、携行型時計100へのアクセスも除去され、特に、この携行型時計100の機能へのアクセスも除去される。これに関連して、携行型時計の着用者は、再び自己を認証するように求められ、これによって、着用者のアイデンティティーの証拠を提供させる。これは、着用者と入力インタフェース34の間のやりとりによって、認証コード又は秘密コードを入力させることによって行われる。実際に、携行型時計100の着用者及び所有者がその携行型時計100を所有しなくなっている可能性がある。
【0030】
また、比較段階21は、さらに、生成されたデジタル識別要素が基準デジタル識別要素と実質的に類似している又は類似している場合に着用者を識別することに成功させる成功化サブ段階を含む。この場合、本方法は、着用者が識別された後に、選択された機能に関連する認証要素を前記リモートサーバー200に送信する送信ステップ22を実装する。このステップ22は、リモートサーバー200への送信を予測して前記選択された機能に関連する認証要素を選択する選択サブステップ23を含む。このサブステップ23の間に、選択された機能が識別され、この識別に基づいて、携行型時計100の処理ユニット2のメモリー要素6にアーカイブされた認証要素から認証要素の選択が行われる。前述したように、認証要素31は、キー、証明、認証コード、パスワード及び個人コードであることができ、これらはそれぞれ、対応するサービスプロバイダーに対する、したがって、このサービスプロバイダーの技術的プラットフォームを構成しているリモートサーバーに対する、携行型時計200の着用者の認証のために専用である。なお、ここでは、認証要素は、所定のサービスプロバイダーのリモートサーバーに対して着用者を認証させるためのものであることを理解することができる。また、認証要素は、携行型時計100の処理ユニット2のメモリー要素6にアーカイブされ、これらのメモリー要素6のそれぞれは、対応する機能のデジタル識別要素に関連づけられる。
【0031】
そして、本方法は、前記認証要素からリモートサーバー200によって着用者の認証24を行うステップを含み、これによって、携行型時計100とこのリモートサーバー200の間のデータ交換を認証する。このようなステップ24は、サーバー200の処理ユニット210によって実行され、携行型時計から受信した認証要素と、サーバー200にアーカイブされた基準認証要素32とを比較する比較サブステップ25を含む。この比較サブステップ25は、認証要素が基準認証要素32と著しく異なる又は異なる場合に着用者22の識別を拒否する拒否段階を含む。この場合、リモートサーバー200への接続の確立は、一時停止されたり、又はさらには除去されたりする。
【0032】
また、比較サブステップ25は、さらに、認証要素が基準認証要素32と実質的に類似している又は類似している場合に着用者の識別を成功させる段階を含む。これに関連して、サービス提供に関連する、携行型時計100とこのリモートサーバー200の間のデータの交換が可能になる。
【0033】
このようにして、本発明は、携行型時計200の着用者及び所有者が、皮膚の部分に含まれる少なくとも1つのバイオメトリック情報要素に基づく識別のみに基づいて、サーバー200のそれぞれに固有の認証要素を直接入力することなく、サービスプロバイダーのすべてのリモートサーバーに対して認証することを可能にし、これによって、対応するサービスプロバイダーに対して自己を認証させることができるようにする。したがって、この自動的であり非侵襲的な識別によって、サービス提供に関連する携行型時計の機能に関連して、着用者がそれらの携行型時計を各リモートサーバーに接続することができるようになることを理解することができる。
【0034】
本発明は、さらに、本方法のステップ10~25を実行するためのプログラムコード命令を含むコンピュータープログラムに関し、このプログラムは、携行型時計100の処理ユニット2によって実行される。
【符号の説明】
【0035】
1 システム
2 処理ユニット
3 視覚的情報
4 音情報
5 無線通信インタフェース
6 メモリー要素
32 基準認証要素
33 マルチスペクトルバイオメトリック皮膚センサー
34 入力インタフェース
100 携行型時計
200 リモートサーバー