(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】ポリオレフィンフィルムおよびその使用
(51)【国際特許分類】
C08J 5/18 20060101AFI20220607BHJP
C08L 23/02 20060101ALI20220607BHJP
H01G 4/32 20060101ALI20220607BHJP
【FI】
C08J5/18 CES
C08L23/02
H01G4/32 511L
(21)【出願番号】P 2020509153
(86)(22)【出願日】2018-04-06
(86)【国際出願番号】 EP2018000164
(87)【国際公開番号】W WO2018197034
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2020-12-28
(31)【優先権主張番号】102017004111.3
(32)【優先日】2017-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519382363
【氏名又は名称】トパス・アドバンスド・ポリマーズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ゲルリッツ・ヴォルフラム
【審査官】千葉 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-052932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J5/00-5/02;5/12-5/22
C08K3/00-13/08
C08L1/00-101/14
H01G4/00-4/10; 4/14-4/22; 4/224; 4/255-4/30; 4/32-4/40; 13/00-13/06
B32B1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ガラス転移温度が120~170℃の間のシクロオレフィンポリマー10~45重量%、および
b)結晶子融点が150~170℃の間の部分結晶性α-オレフィンポリマー90~55%重量%
を含み、成分a)のガラス転移温度が成分b)の結晶子融点以下であり、ISO 11501に基づいて測定した130℃における5分後の収縮が2%以下である、二軸延伸
コンデンサーポリオレフィンフィルム。
【請求項2】
DIN EN ISO 4287に基づいて測定した表面粗さR
aが0.02~0.5μm
であることを特徴とする、請求項1に記載のポリオレフィンフィルム。
【請求項3】
DIN EN ISO 4287に基づいて測定した表面粗さR
zが0.1~2μm
であることを特徴とする、請求項2に記載のポリオレフィンフィルム。
【請求項4】
式Iの化合物がノルボルネンまたはテトラシクロドデセンであり、式IIの化合物がエチレンおよび/またはプロピレンを表し、式Iおよび式IIの化合物
が共重合されていることを特徴とする、請求項1に記載のポリオレフィンフィルム。
【請求項5】
部分結晶性α-オレフィンポリマーが、部分結晶性α-オレフィンホモポリマーもしくは-コポリマーで
あることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルム。
【請求項6】
部分結晶性α-オレフィンポリマーが、プロピレンホモポリマー、またはプロピレンと5重量%以下の量の2個もしくは4~8個の炭素原子を有するα-オレフィンとの共重合によって得られるコポリマーであることを特徴とする、請求項5に記載のポリオレフィンフィルム。
【請求項7】
シクロオレフィン
ポリマーのガラス転移温度が、130~170℃の間
であることを特徴とする、請求項1~
6のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルム。
【請求項8】
シクロオレフィン
ポリマーが、230℃の温度で2.16kgの負荷下で測定したメルトフローインデックスが0.3~4g/10分の間であり、および/または部分結晶性α-オレフィンポリマーが、230℃の温度で2.16kgの負荷下で測定したメルトフローインデックスが1~4g/10分の間であることを特徴とする、請求項1~
7のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルム。
【請求項9】
シクロオレフィンポリマーが、部分結晶性α-オレフィンポリマーのマトリクス中で分散していることを特徴とする、請求項1~
8のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルム。
【請求項10】
シクロオレフィンポリマーが、部分結晶性α-オレフィンポリマーのマトリクス中で共連続相を形成していることを特徴とする、請求項
9に記載のポリオレフィンフィルム。
【請求項11】
鉄、コバルト、ニッケル、チタン、モリブデン、バナジウム、クロム、銅およびアルミニウムの総含有率が、0.25ppm未満であることを特徴とする、請求項1~
10のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルム。
【請求項12】
フィルムが、DIN 53370に基づいて測定した厚さが0.5~15μmの間
であることを特徴とする、請求項1~
11のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルム。
【請求項13】
DIN EN 60243-2に基づいて直流電圧下で測定した絶縁耐力が500~750V/μmであり、および/または1kHz~1GHzの範囲の周波数で25℃の温度で測定した誘電損率が0.002以下であることを特徴とする、請求項1~
12のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルム。
【請求項14】
DIN ISO 11501に基づいて測定した機械方向での130℃における5分後の収縮が2%以下であり、DIN ISO 11501に基づいて測定した機械方向に対して横向きの130℃における5分後の収縮が0.5%以下であることを特徴とする、請求項1~
13のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルム。
【請求項15】
多層フィルムであることを特徴とする、請求項1~
14のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルムであって、
前記多層フィルムは、
以下:
a)ガラス転移温度が120~170℃の間のシクロオレフィンポリマー10~45重量%、および
b)結晶子融点が150~170℃の間の部分結晶性α-オレフィンポリマー90~55%重量%
を含む少なくとも1つのコア層であって、成分a)のガラス転移温度が成分b)の結晶子融点以下である少なくとも1つのコア層を有し、そして、1種または複数の部分結晶性α-オレフィンポリマーでできた1つまたは2つのカバー層を有し、DIN ISO 11501に基づいて測定した130℃における5分後の収縮が2%以下で
あり、ただし、前記多層フィルムは、
以下:
a)ガラス転移温度が120~170℃の間のシクロオレフィンポリマー10~45重量%、および
b)結晶子融点が150~170℃の間の部分結晶性α-オレフィンポリマー90~55%重量%
をそれぞれ含む2つ以上の層であって、成分a)のガラス転移温度が成分b)の結晶子融点以下である2つ以上の層でできた少なくとも1つのコア層を有し、DIN ISO 11501に基づいて測定した130℃における5分後の収縮が2%以下である、
前記のポリオレフィンフィルム。
【請求項16】
ポリマーブレンドにおける成分a)およびb)の割合が100重量%であることを特徴とする、請求項1~15のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルム。
【請求項17】
i)請求項1に記載の成分a)のシクロオレフィンポリマー10~45重量%および請求項1に記載の成分b)のα-オレフィンポリマー90~55重量%を含むフィルムを製造するステップ、ならびに
ii)ステップi)からのフィルムを逐次延伸によりまたは同時延伸により二軸延伸するステップ
を含む、請求項1~
16のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルムの製造方法。
【請求項18】
請求項1~
16のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルムを含む、コンデンサー。
【請求項19】
コンデンサーを製造するための誘電体としての、請求項1~
16のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルムの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気絶縁体としてまたは誘電体として用い得るポリオレフィンフィルムに関する。このポリオレフィンフィルムは、低い誘電損率、少ない収縮、および低い摩擦係数を特徴とする。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂を含む絶縁体は、例えば、モータのグランド絶縁、積層絶縁、および導線絶縁のために、変圧器の絶縁のために、ならびにコンデンサーの誘電体として用いられている。これと共に紙、テキスタイル、その含浸処理された製品、および雲母の使用も一般的である。これらの絶縁体内で使用される熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)が最も広く普及している。コンデンサー内の誘電体として使用するための二軸延伸PPフィルム(BOPPフィルム)は、複数の特許文献に記載されており、例えばWO2015/091829A1(特許文献1)、US5,724,222A(特許文献2)、およびEP2481767A2(特許文献3)に記載されている。
【0003】
BOPPフィルムは、抜群の電気的特性および機械的特性を有する。ただし温度上昇時の耐性は不十分である。これは収縮の増大という形で現れ、一般的には100℃超の温度で収縮が生じ、これは結果として、このフィルムから製造されたコンデンサーを変形させる。フィルム表面に施された金属被覆もその被害を受け、それは、このフィルムから製造されたコンデンサーの機能不全を生じさせ得る。
【0004】
シクロオレフィンポリマーは、公知の非晶性ポリマーであり、例えばTOPAS(登録商標)、APEL(登録商標)、ZEONOR(登録商標)、またはZEONEX(登録商標)の商品名で入手可能である。シクロオレフィンポリマーは、調整可能な熱寸法安定性HDT/B、高い光学的透明度、高い剛性、および並外れた純度を特徴とし、したがってこの材料は、食品および医療品を包装するために用いることができ、作用物質と直接接触する一次包装材としても用いることができる。
【0005】
シクロオレフィンポリマーは、なかでもその抜群の透明度に基づいて、長年にわたってすべての種類のフィルム、光学部品、および容器の製造に用いられている。
【0006】
シクロオレフィンポリマーをベースとするコンデンサーフィルムも長らく公知であり、例えばEP0992531A1(特許文献4)、WO00/63013A2(特許文献5)、またはCA2115196C(特許文献6)から公知である。このフィルムはその高いガラス転移温度に基づき、一般的には特殊な機械でしか加工できない。そのうえこのフィルムの延伸性は十分ではない。高い延伸性は、とりわけ薄いフィルムを製造する際に望ましい。
【0007】
シクロオレフィンポリマーおよびPPの混合物からなるフィルムも公知である。JPH05-262,989A(特許文献7)は、結晶性ポリオレフィン40~98重量%と、エチレンおよび環状オレフィンに由来するコポリマー2~60重量%とからなる二軸延伸フィルムを開示している。用いられたシクロオレフィンポリマーのガラス転移温度として、50~190℃、好ましくは80~170℃が提示されている。用いられたPPの晶子融点としては120~180℃が提示されている。シクロオレフィンポリマーおよびPPが、ガラス転移温度および結晶子融点の特殊な選択を必要とするという指摘は見つからない。このフィルムは包装材料として用いられている。
【0008】
DE102010034643A1(特許文献8)は、ガラス転移温度が低くとも140℃の少なくとも1種のシクロオレフィンポリマーと、α-オレフィンに由来する少なくとも1種のポリマーと、これらの成分の相溶性を改善する成分としての少なくとも1種の選択されたコポリマーとを含有する組成を開示している。この文献は、この組成からなるフィルムのコンデンサーフィルムとしての使用可能性も記載しているが、これについてさらなる詳細は示していない。
【0009】
DE19536043A1(特許文献9)からは、ポリオレフィンおよびシクロオレフィンポリマーを含むポリオレフィンフィルムが公知であり、シクロオレフィンポリマーは非晶性であり、平均分子量Mwは200~100000の範囲内にあり、この平均分子量はポリオレフィンのMwの高くとも50%であり、シクロオレフィンポリマーはホモポリマーであるかまたは多くとも20重量%のコモノマー割合を有する。この低いコモノマー割合に基づき、このシクロオレフィンポリマーは高いガラス転移温度を有する。他方でこの文献は、最高で0℃の非常に低いガラス転移温度をもつシクロオレフィンポリマーの使用も開示している。明細書中には、これらの組成からなるフィルムの製造についての一般的な提示がある。二軸延伸も開示されている。ただしこの文献は、収縮の少ない二軸延伸フィルムの製造には言及していない。この組成は、包装フィルムの製造に適している。
【0010】
シクロオレフィンポリマーフィルムの電気的特性は、確かにコンデンサー用途に対する興味をそそるが、しかしその商品化は、従来のフィルム技術では製造が困難なためこれまではうまくいかなかった。そのうえ価格においてはシクロオレフィンポリマーよりPPが明らかに勝っている。
【0011】
現在、より高い耐温度性をもつコンデンサーへの関心が高まっている。多数の適用分野のために、例えばインバータ技術において、シリコンカーバイド半導体において、およびエレクトロモビリティにおいて、より高い使用温度に適したコンデンサーが求められている。
【0012】
本発明を用い、標準的なフィルム延伸設備で、または少し改変した標準的なフィルム延伸設備で製造可能な、より高い耐温度性をもつフィルムが提供される。意外にも、選択されたガラス転移温度をもつ比較的少量のシクロオレフィンポリマーを、シクロオレフィンポリマーのガラス転移温度に近い晶子融点をもつ(部分)結晶性ポリオレフィンと組み合わせて使用することにより、連続使用温度が改善されたフィルムを製造できることが分かった。これはフィルムの収縮挙動に現れている。収縮の始まりを明らかにより高い温度にずらすには、低い割合のシクロオレフィンポリマーで既に十分である。
【0013】
そのうえ本発明によるフィルムは、選択された表面粗さを示す。この表面粗さは、コンデンサーフィルムとして使用するために設けられているフィルムのさらなる加工にとって重要である。高すぎる粗さは、電気的特性(先端放電)のリスクを意味する。意外にも、本発明により用いられるプラスチック混合物の場合、必要な粗さは、単にブレンドモルフォロジーの調整およびプロセス操作によって達成できることが分かっており、したがって添加剤の添加をなくすまたは最小限に制限することができる。このような添加剤は、しばしばフィルムに不都合な電気的特性を付与する。
【0014】
さらに、意外にも、(部分)結晶性ポリオレフィンにシクロオレフィンポリマーを少し添加することにより、ポリオレフィンフィルムの抜群の延伸性が維持されると同時に、製造されたフィルムの耐熱性が明らかに改善することが分かった。(部分)結晶性ポリオレフィンからなるコンデンサーフィルム、例えばBOPPフィルムは、ポリオレフィンの低いガラス転移温度に基づき、100℃超の温度で脱落現象を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】WO2015/091829A1
【文献】US5,724,222A
【文献】EP2481767A2
【文献】EP0992531A1
【文献】WO00/63013A2
【文献】CA2115196C
【文献】JPH05-262,989A
【文献】DE102010034643A1
【文献】DE19536043A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の課題は、抜群の耐熱性を有し、100℃超、特に120℃超の温度でも低い収縮傾向のみ示すポリオレフィンフィルムの提供である。
【0017】
本発明のさらなる課題は、抜群の絶縁特性および低い誘電損率を有し、巻き取る際にフィルムが切れたりまたは絡まったりせずに問題なくコンデンサーへと加工できるポリオレフィンフィルムの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、
a)ガラス転移温度が120~170℃の間のシクロオレフィンポリマー10~45重量%および
b)結晶子融点(Kristalllitschmelztemperatur)が150~170℃の間の部分結晶性α-オレフィンポリマー90~55重量%
を含み、
成分a)のガラス転移温度が成分b)の結晶子融点以下であり、DIN ISO 11501に基づいて測定した130℃における5分後の収縮が2%以下である、二軸延伸ポリオレフィンフィルムに関する。
【0019】
本発明による二軸延伸ポリオレフィンフィルムは、DIN EN ISO 4287に基づいて測定した表面粗さRaが0.02~0.5μm、好ましくは0.04~0.2μmであることが好ましい。さらに本発明によるフィルムは、DIN EN ISO 4287に基づいて測定したRzが0.1~2μm、とりわけ0.3~0.8μmであることが好ましく、DIN EN ISO 4287に基づいて測定したRmaxが0.1~2μm、とりわけ0.3~1μmであることが好ましい。
【0020】
本発明により用いられるシクロオレフィンポリマーは、それ自体は公知のポリマーである。これは1種のモノマーにまたは2種以上の異なるモノマーに由来するポリマーであり得る。
【0021】
シクロオレフィンポリマーは、開環重合によって、またはとりわけ環維持(ringerhaltend)重合によって製造され、好ましいのは、環状オレフィン、例えばノルボルネンと、非環状オレフィン、例えばα-オレフィン、とりわけエチレンとの環維持共重合によって製造されることである。
【0022】
触媒の選択により、それ自体は公知の様式で、重合の際に環状モノマーのオレフィン環を維持するかまたは開くかを制御できる。シクロオレフィンの開環重合の方法に関する例は、EP0827975A2にある。主として環維持重合の際に用いられる触媒の例は、メタロセン触媒である。シクロオレフィンに由来するポリマーの可能な化学構造の概要は、例えばPure Appl. Chem.、Vol. 77、No. 5、801~814頁 (2005)に見出すことができる。
【0023】
概念「シクロオレフィンポリマー」とは本明細書の枠内では、重合後に、まだ存在する二重結合を減らすために水素化したポリマーのことでもある。
【0024】
本発明により用いられるシクロオレフィンポリマーは、並外れて高い透明度を特徴とする熱可塑性物質である。
【0025】
シクロオレフィンポリマーのガラス転移温度(以下に「Tg」とも言う)は、当業者により、それ自体は公知の様式で、モノマーの種類および量、例えば環状モノマーおよび非環状モノマーの種類および量の選択によって調整することができる。例えばノルボルネン・エチレンコポリマーにより、コポリマー中のノルボルネン成分の割合が高ければ高いほどガラス転移温度が高くなることが公知である。これに対応することは、他の環状モノマーと非環状モノマーの組合せに当てはまる。
【0026】
ガラス転移温度とは本明細書の枠内では、ISO 11357に基づいて示差走査熱量測定(DSC)法を用いて決定される温度のことであり、加熱速度は10K/分である。
【0027】
本発明によるポリマーフィルムでは、ガラス転移温度が120~170℃の間、好ましくは130~170℃の間、殊に好ましくは140~160℃の間のシクロオレフィンポリマーが用いられる。
【0028】
本発明によるポリマーフィルムのさらなる好ましい一実施形態では、一般式(I)の少なくとも1種のシクロオレフィンと式(II)の少なくとも1種のα-オレフィンとの環維持共重合に由来するシクロオレフィンコポリマーが用いられる。
【0029】
【化1】
[式中、
nは、0または1を表し、
mは、0または正の整数、とりわけ0または1であり、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6は互いに独立して、水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、およびアルコキシ基を表し、
R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16は互いに独立して、水素およびアルキル基を表し、
R
17、R
18、R
19、R
20は互いに独立して、水素、ハロゲン、およびアルキル基を表し、
R
17およびR
19は、それらが1個の環、または複数の環を有する環系を形成するように互いに結合していてもよく、前記の1つの環または複数の環は飽和または不飽和であってよい]
【0030】
【化2】
[式中、R
21およびR
22は互いに独立して、水素およびアルキル基を表す]
【0031】
特に好ましい一実施形態では、nが0であり、mが0または1を表し、R21およびR22の両方が水素を表すか、またはR21が水素であり、R22が1~8個の炭素原子を有するアルキル基であり、R1、R2、R5~R8およびR15~R20が好ましくは水素を表す式Iおよび式IIの化合物に由来するシクロオレフィンコポリマーが用いられる。
【0032】
殊に好ましい一実施形態では、式Iの化合物がノルボルネンまたはテトラシクロドデセンであり、式IIの化合物がエチレンである式Iおよび式IIの化合物に由来するシクロオレフィンコポリマーが用いられる。
【0033】
殊に好ましいのは、上で定義したタイプのコポリマーを用いることであり、コポリマーの共重合は、メタロセン触媒の存在下で行われている。
【0034】
シクロオレフィンコポリマーの好ましいタイプは、DE10242730A1に記載されている。殊に好ましくは、シクロオレフィンコポリマーとして、Topas(登録商標)6013、Topas(登録商標)6015、およびTopas(登録商標)5013(Topas Advanced Polymers GmbH、Frankfurt am Main)のタイプを用いることができる。
【0035】
本発明により好ましく用いられるシクロオレフィンコポリマーの製造は、環維持重合下で行われ、つまり、用いるモノマー単位の二環式または多環式の構造が、重合の際に維持される。触媒の例は、チタノセン触媒、ジルコノセン触媒、またはハフノセン触媒であり、これらの触媒は、一般的には共触媒としてのアルミノキサンと組み合わせて用いられる。この製造法は既に何度も説明されており、例えば上で言及した特許文献中で説明されている。
【0036】
シクロオレフィンコポリマーの典型的な例は、ノルボルネンまたはテトラシクロドデセンとエチレンでできたコポリマーである。このようなポリマーは、例えばAPEL(登録商標)、ARTON(登録商標)、またはTOPAS(登録商標)の商品名で市販されている。
【0037】
さらなる例は、シクロペンタジエンまたはノルボルネンの開環重合に由来するシクロオレフィンポリマーである。このようなポリマーも、例えばZEONEX(登録商標)またはZEONOR(登録商標)の商品名で市販されている。
【0038】
好ましいのは、上述の式Iおよび式IIのモノマーに由来しており、これらのモノマーIとIIが95:5~5:95のモル比で用いられており、任意選択的にさらなるモノマー、例えばプロピレン、ペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、および/またはスチレンに由来する構造単位をさらに少ない割合、例えばモノマー総量を基準として最高10モル%で有するシクロオレフィンコポリマーが用いられることである。
【0039】
特に好ましいのは、実質的にノルボルネンおよびエチレンからなり、任意選択的にさらなるモノマー、例えばプロピレン、ペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、および/またはスチレンに由来する構造単位をさらに少ない割合、例えばモノマー総量を基準として最高5重量%で有するシクロオレフィンコポリマーが用いられることである。
【0040】
さらなる特に好ましく用いられるシクロオレフィンポリマーは、230℃の温度で2.16kgの負荷下で測定したメルトフローインデックスが0.3~4g/10分の間である。
【0041】
本発明により用いられるポリマー混合物の第2の成分として、結晶子融点が150~170℃の間の部分結晶性α-オレフィンポリマーが用いられる。
【0042】
これは概して、結晶子融点が好ましくは160~165℃の部分結晶性プロピレンホモポリマーまたは結晶子融点が好ましくは150~160℃の部分結晶性プロピレン-C4~C8α-オレフィンコポリマーである。
【0043】
結晶子融点とは本明細書の枠内では、ISO 11357に基づいて示差走査熱量測定(DSC)法を用いて決定される温度のことであり、加熱速度は20K/分である。
【0044】
C4~C8-α-オレフィンの例は、ブテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1である。
【0045】
本発明によるポリマーフィルムを製造するための選択される部分結晶性ポリオレフィンは、直鎖状または分枝状のタイプである。これらのポリオレフィンにおける異なるモノマー単位の順番は、統計的であるかまたはブロックの形態であり得る。個々のモノマー単位は、立体的に異なって、例えばイソタクチックに、シンジオタクチックに、またはアタクチックに配置されていてよい。
【0046】
好ましく用いられる部分結晶性ポリオレフィンは、プロピレンに由来するポリオレフィンホモポリマー、またはプロピレンと最高10重量%の割合での4~8個のC原子を有するより高級のα-オレフィンとに由来するポリオレフィンコポリマーである。この関連では、コポリマーとは3種以上の異なるモノマーに由来するポリマーのことでもある。
【0047】
ポリプロピレンは、立体特異的に作用する触媒を用いて製造されたイソタクチックな、シンジオタクチックな、またはアタクチックなポリプロピレンである。
【0048】
ポリプロピレンは、溶融物から冷却する際に結晶化する。その際、長い分子鎖は、部分領域内で折り畳まれて整列し、非常に小さな晶子を形成し、この晶子は非晶性ゾーンと一緒に超構造、いわゆる球晶(Sphaerolithen)へと結合し得る。鎖が短ければ短いほど、および分枝度が低ければ低いほど、結晶化がより良好に可能である。結晶性部分は、非晶性部分より高い密度を有する。したがって結晶性の割合に応じて異なる密度が得られる。ポリプロピレンの場合、結晶化度は35%~80%の間、好ましくは60~80%の間の範囲内を動くのが典型的である。
【0049】
ポリプロピレンの密度は非常に低く、0.895g/cm3~0.92g/cm3の間である。ポリプロピレンは通常は0~-10℃のガラス転移温度を有する。結晶子溶融範囲は通常は160~165℃である。これらの温度は、共重合によって変更でき、当業者にはこのための措置が公知である。
【0050】
特に好ましく用いられる部分結晶性α-オレフィンポリマーは、230℃の温度で2.16kgの負荷下で測定したメルトフローインデックスが2~4g/10分の間である。
【0051】
シクロオレフィンポリマーおよび部分結晶性α-オレフィンポリマーの選択は、個々の場合に、前者のガラス転移温度が後者の結晶子融点以下であるように行われる。これは、従来の設備で、このポリマーブレンドからフィルムを製造できることを保証するために必要である。
【0052】
本発明によるポリオレフィンフィルムでは、シクロオレフィンポリマーが、部分結晶性α-オレフィンポリマーのマトリクス中で分散していることが好ましく、分散した領域が相互に結合している相(共連続相)を形成していることが好ましい。このような相の形成により、収縮を特に良好に抑制できる。
【0053】
十分な表面粗さを形成するには、用いるポリマーのメルトフローインデックスが的確に選択されている場合が有利である。
【0054】
シクロオレフィンポリマーは、230℃の温度で2.16kgの負荷下で測定したメルトフローインデックスが0.3~4g/10分の間であることが好ましい。
【0055】
部分結晶性α-オレフィンポリマーは、230℃の温度で2.16kgの負荷下で測定したメルトフローインデックスが1~4g/10分の間であることが好ましい。
【0056】
シクロオレフィンポリマーと部分結晶性α-オレフィンポリマーとのメルトフローインデックスの比は、1:2~2:1であることが好ましい。
【0057】
特に好ましいのは、本発明によるポリオレフィンフィルムの金属含有率が低いことである。誘電体中の微量の金属は既にコンデンサーの電気的特性に不利に影響を及ぼし得るので、これはコンデンサーフィルムとして使用するために望ましい。
【0058】
本発明によるフィルム中の鉄、コバルト、ニッケル、チタン、モリブデン、バナジウム、クロム、銅、およびアルミニウムの総含有率は、0.25ppm未満であることが好ましい。
【0059】
本発明によるポリマーフィルムで用いられるポリマーブレンドの製造は、基本的に、それに適した装置内での個々の成分の混合によって行うことができる。この混合は、有利には、混練機、圧延機、または押出機内で実施できる。
【0060】
ポリマーブレンド中のシクロオレフィンポリマーの量は、混合物全体を基準として10~45重量%、好ましくは15~40重量%、とりわけ15~35重量%、特に好ましくは20~35重量%である。
【0061】
ポリマーブレンド中の部分結晶性α-オレフィンポリマーの量は、混合物全体を基準として通常は90~55重量%、好ましくは85~60重量%、特に好ましくは80~65重量%である。
【0062】
ポリマーブレンドは、必ず存在しているシクロオレフィンポリマーおよび部分結晶性α-オレフィンポリマーの他に、任意選択的に、それ自体は通常の添加物質をさらに含有することができる。この添加物質の総割合は、混合物全体を基準として通常は最高5重量%、好ましくは最高2重量%である。
【0063】
添加物質は、補助物質または添加剤とも言い、特定の特性を達成または改善するために、例えば製造、貯蔵、加工、または使用段階の最中および後の製品特性への良い効果を達成するために、ポリマーブレンド中に少量で添加される物質である。
【0064】
添加物質は、加工助剤であることができ、例えば油もしくはワックスであることができ、またはポリマーブレンドもしくは本発明によるポリオレフィンフィルムに特定の機能を付与する添加物、例えば軟化剤、UV安定剤、艶消し剤、防腐剤、殺生物剤、抗酸化剤、帯電防止剤、難燃剤、強化剤、フィラー、顔料、もしくは染料であることができる。
【0065】
本発明によるポリマーフィルムは、上述のポリマーブレンドの熱成形によって得られる。様々な熱成形法を使用することができる。つまり成形材料を、例えば一軸スクリュー押出機もしくは二軸スクリュー押出機からの押出成形により、フィルム用ダイを使用して変形することができ、またはフィルムを直接的に所定の厚さで、インフレーション法もしくはカレンダー法によって生成することができ、または2段階法を実施でき、この2段階法では、成形材料を加熱および溶融して、それをもとに予備成形された生成物を取得し、この製作物を加熱して伸ばし、必要であれば熱によって固定する。
【0066】
本発明は、
i)上述の成分a)のシクロオレフィンポリマー10~45重量%および上述の成分b)のα-オレフィンポリマー90~55重量%を含むフィルムを製造するステップ、ならびに
ii)ステップi)からのフィルムを逐次延伸または同時延伸によって二軸延伸するステップ
を含む、上述のポリマーフィルムの製造方法にも関する。
【0067】
2段階法の場合、加熱および溶融から熱固定までの方法は、最初に、成形材料の通常の押出成形を含む。ここでは、伸ばすための予備成形された生成物(フィルム、ストリップ(Bahn)、またはチューブ)が製造される。この成形の際は、加熱および溶融された成形材料が、一般的には押出機により、所定のサイズへと成形される。その代わりに、軟化状態の成形材料を、加熱および溶融なしで成形することができる。一軸スクリュー押出機または二軸スクリュー押出機を用いることができる。これに関しては押出機のために、外部からの物質および異物質を除去できる適切なフィルターを準備することが好ましい。押出条件は、様々な事情に応じて当業者により適切に選択される。押出機内の温度は、成形材料の最も低いガラス転移温度~成形材料の分解温度より約50℃下までの範囲内で選択されることが好ましい。
【0068】
使用するダイは、例えばスリットダイ、Tダイ、またはリングダイであることができる。
【0069】
こうして得られた予備成形された延伸可能な生成物は、冷却によって固化させることが好ましい。冷却手段は、気体、液体、または(例えば金属製の)冷却ローラであることができる。冷却による固化のための温度は通常、20~100℃、好ましくは80~100℃の範囲内である。冷却速度は任意に選択でき、例えば3~200℃/秒の範囲内で選択できる。
【0070】
予備成形された延伸可能な生成物を、本発明によるポリオレフィンフィルムを得るために二軸延伸する。この二軸延伸の際は、予備成形された延伸可能な製作物を、長手方向および短手方向に同時に延伸することができ、または相次いで任意の順番で延伸することができる(つまり最初に長手方向に、続いて短手方向に)。それだけでなく、この延伸を単一ステップにおいてまたは複数のステップにおいて実施することができる。
【0071】
延伸は一般的に、機械方向(「MD」)に、つまり長手方向に、および機械方向を横切って(「TD」)行われる。機械方向への延伸比は、少なくとも1:2、好ましくは少なくとも1:3、とりわけ1:3~1:8である。機械方向を横切る延伸比は、少なくとも1:3、好ましくは少なくとも1:5、殊に好ましくは1:5.5~1:10である。
【0072】
面積比での延伸比は、特に少なくとも8倍、好ましくは10倍~100倍、特に好ましくは15~70倍である。MDおよびTDでの延伸は複数の段階において行ってもよい。
【0073】
様々な延伸法を使用することができる。これに関する例は、クランプフレームの使用またはローラ間での延伸である。延伸は、延伸可能なフィルムを製造した後、1つのステップもしくは複数の別々のステップにおいて行うことができ、または延伸可能なフィルムを製造した直後にすぐに続いて行われる。延伸温度は一般的に、用いるシクロオレフィンポリマーのガラス転移温度より10℃下~用いるα-オレフィンポリマーの結晶子融点の間で調整することができる。
【0074】
二軸延伸ポリマーフィルムは、延伸に続いて熱固定されることが好ましい。これにより、高温での特に高い寸法安定性が達成される。熱固定は、通常の方法によって実施でき、例えば、延伸したフィルムを緩めたまたは収縮を制限した状態で、用いるシクロオレフィンポリマーのガラス転移温度~用いるα-オレフィンポリマーの結晶子融点の間の温度で、約0.5~20秒間処理することによって実施する。この熱固定は、条件を変更して複数回実施してもよい。
【0075】
好ましいのは、ポリマー混合物を、ベント装置を備えた二軸スクリュー押出機を使用して、および幅広スリットダイを使用してフィルムへと成形することにより、本発明によるフィルムを製造することである。その際、押出装置内の温度は、PPフィルムの製造に対して通常の範囲内を動く。つまり、例えば押出機内の溶融物の温度は約260℃であり、ダイの領域では約240℃である。続いてフィルムを同時かまたは逐次に二軸延伸する。その際、未延伸フィルムからできるだけ薄い最終フィルムを生成するために守るべき最低延伸比(延伸係数 長手方向×短手方向)は、15、とりわけ20が典型的である。
【0076】
本発明によれば、共押出成形される多層フィルムも製造できる。
【0077】
これに関する例は、
a)ガラス転移温度が120~170℃の間のシクロオレフィンポリマー10~45重量%および
b)結晶子融点が150~170℃の間の部分結晶性α-オレフィンポリマー90~55%重量%
を含み、成分a)のガラス転移温度が成分b)の結晶子融点以下である少なくとも1つのコア層を有し、1種または複数の部分結晶性α-オレフィンポリマーでできた1つまたは2つのカバー層を有する多層フィルムであって、ISO 11501に基づいて測定した130℃における5分後の収縮が2%以下である、多層フィルムである。
【0078】
これに関するさらなる例は、
a)ガラス転移温度が120~170℃の間のシクロオレフィンポリマー10~45重量%および
b)結晶子融点が150~170℃の間の部分結晶性α-オレフィンポリマー90~55%重量%
をそれぞれ含み、成分a)のガラス転移温度が成分b)の結晶子融点以下である2つ以上の層を有する多層フィルムであって、ISO 11501に基づいて測定した130℃における5分後の収縮が2%以下である、多層フィルムである。
【0079】
少なくとも1つのPPカバー層および少なくとも1つのCOC-PPブレンドコア層を有する共押出成形された多層フィルムは、PPコンデンサーフィルムの場合に通常の公知の技術により、例えば結晶化の的確な制御および球晶の的確な形成により、その表面特性を調整でき、COC-PPブレンドコア層(複数可)の存在により、比較的高温の場合のこの多層フィルムの機械的および電気的な特性を改善できるという利点を有する。
【0080】
一方は金属化された本発明によるフィルムから、他方はポリプロピレンからの金属化フィルムから製造されたフィルムコンデンサーに対する寿命試験は、前者が明らかにより高い温度安定性を有することを示した。
【0081】
意外にも、部分結晶性ポリオレフィンに、少ない割合のシクロオレフィンポリマーを添加することが既に、フィルム収縮を明らかに少なくするのに十分である。純粋なポリプロピレンフィルムに比べ、本発明によるポリオレフィンフィルムの収縮は、明らかにより高い温度でも、収縮の低い値を保ち続ける。
【0082】
純粋なシクロオレフィンポリマーでできたフィルムとは違い本発明によるポリオレフィンフィルムの製造は、従来の設備で、従来のフィルム延伸設備を使用して行うことができる。
【0083】
部分結晶性ポリオレフィンへの少量のシクロオレフィンポリマーの添加は、熱寸法安定性を明らかに改善し、ポリプロピレンフィルムによって知られている良好な電気的特性、例えば降伏電圧またはポリプロピレンフィルムの良好な加工性は維持されている。
【0084】
ここで説明しているポリオレフィンフィルムは、様々な分野で、好ましくは温度上昇時の高い寸法安定性および少ない収縮が求められている用途において用いることができる。用途例は、ラベル、滅菌可能なフィルム、とりわけ食品包装の分野または医療分野で用いられるフィルム、および殊に好ましくはコンデンサーフィルムである。
【0085】
本発明によるフィルムは、例えばコンデンサーに取り付けることができる。本発明は、コンデンサーを製造するための誘電体としての、上述のポリオレフィンフィルムの使用にも関する。
【0086】
本発明はそれだけでなく、ラベルを製造するための、または食品包装を製造するための、または医療分野で用いられる包装もしくは装置を製造するための、上述のポリオレフィンフィルムの使用に関する。
【0087】
とりわけコンデンサーフィルムとして加工するには、本発明によるポリオレフィンフィルムが特定の表面粗さを有さなければならない。DIN EN ISO 4287に基づいて測定されるこの表面粗さRaは、0.05~0.5μmであることが好ましい。さらに本発明によるフィルムは、DIN EN ISO 4287に基づいて測定したRzが0.1~2μm、とりわけ0.3~0.8μmであることが好ましく、DIN EN ISO 4287に基づいて測定したRmaxが0.1~2μm、とりわけ0.3~1μmであることが好ましい。
【0088】
コンデンサー製造の際は、ポリマーフィルムが繰出ロールから、典型的には冷却ローラ上に巻き取られ、その後、別の巻取ロール上に巻き取られる。この作業ステップは複数回実施することができる。フィルムの巻取が高速で進行するので、この操作のためにフィルムは十分な滑りやすさ(フィルム間の低い摩擦係数)および平滑さ(表面粗さ)を有さなければならない。
【0089】
ポリプロピレンフィルムの場合、適切な表面粗さは結晶化の制御によって達成される。この場合、球晶がいわゆる「投げ縄構造またはクレータ構造」を形成する。意外にも本発明によるポリマーフィルムの場合、必要な表面粗さは、適切なポリマー成分、ブレンドモルフォロジー、ならびに加工温度および延伸比のような適切な加工条件の選択によって調整できる。
【0090】
本発明によるポリマーフィルムの場合は意外にも、所望の表面粗さを得るために添加剤は必要ない。
【0091】
本発明によるポリオレフィンフィルムは、1層または多層であることができる。多層フィルムは、上述のポリマー混合物を含有する少なくとも1つの層を有する。
【0092】
好ましいのは、ポリマーフィルムが1層であるか、または2層、3層、4層、もしくは5層であり、この多層ポリマーフィルムが上述のポリオレフィンフィルムを少なくとも1つ含むことである。
【0093】
本発明によるポリオレフィンフィルムは、ポリプロピレンフィルムによって知られているような絶縁耐力(elektrische Durchschlagsfestigkeiten)を有することが好ましく、DIN EN 60243-2に基づいて直流電圧下で23℃において測定した絶縁耐力が>500V/μmであることが好ましい。
【0094】
本発明によるポリオレフィンフィルムはさらに、1kHz~1GHzの範囲内の周波数で25℃の温度で測定した誘電損率(dielektrischen Verlustfaktor)が0.002以下であることが好ましい。
【0095】
本発明によるポリオレフィンフィルムの厚さは、実質的に0.5~15μmの間、好ましくは1~10μmの間である。フィルム厚はDIN 53370によって決定される。
【0096】
本発明によるポリオレフィンフィルムは、高温でもPPフィルムに比べて収縮が極めて少ない。130℃における収縮は、典型的には2%未満である。PPフィルムの場合、この値には既に100~110℃で達し、130℃における対応する値は明らかにより高い。
【0097】
好ましい本発明によるポリオレフィンフィルムは、ISO 11501に基づいて測定した機械方向での130℃における5分後の収縮が2%以下、とりわけ0.1~1.5%であり、ISO 11501に基づいて測定した機械方向を横切っての130℃における5分後の収縮が0.5%以下、とりわけ0.01~0.2%である。
【0098】
さらなる好ましい一実施形態では、本発明によるポリオレフィンフィルムが、一方または両方の表面において金属化されている。
【0099】
ここで説明しているポリオレフィンフィルムは、例えばコンデンサーに取り付けることができる。本発明は、上述のポリオレフィンフィルムを1つ含むコンデンサーにも関する。
【0100】
コンデンサーフィルムは、ポリマーフィルム上に金属層を、例えば蒸着、ラミネート加工、または化学的方法によって施与することで得ることができる。コンデンサーの種類に応じて、金属層を両面にまたは片面だけに施与することができる。さらに金属層は、表面全体にまたは表面の一部だけに施与することができる。一般的には、電極層はポリマーフィルムの片面の表面全体に施与される。
【0101】
任意の電極層を用いることができる。ここでは導電性材料、例えばアルミニウム、亜鉛、金、白金、または銅が使用される。この導電性材料は、金属フィルムとしておよび/またはコンデンサーフィルムの表面に施与された金属薄膜として用いることができる。通常は、蒸着された金属薄膜が好ましく、なぜなら電極層をより薄くでき、結果として体積当たりの容量がより大きいからである。本発明によるポリマーフィルムは、金属薄膜に対する非常に良好な付着性を示し、そのうえ厚さのばらつきが小さい。蒸着される金属薄膜は、公知の方法、例えば真空蒸着、スパッタリング、またはイオンプレーティングによって生成できる。
【0102】
金属フィルムまたは施与される金属薄膜の厚さは任意に選択でき、ただし施与される金属薄膜の場合、好ましくは100~2000Å、より好ましくは200~1000Åである。金属フィルムを電極層として使用する場合、その厚さは通常は0.1~100μm、好ましくは1~50μm、より好ましくは3~15μmである。
【0103】
本発明によるコンデンサーは、一般に使われているすべてのコンデンサータイプであることができる。これに関する例はフィルムコンデンサーである。これは一般的には巻き取られたコンデンサーであり、このコンデンサーの場合、金属化フィルム(金属化された誘電体)だけが巻き取られているか、または金属化されていないフィルム(金属化されていない誘電体)が薄い金属フィルムと一緒に巻き取られている。一般的には、積層型コンデンサー、ラウンド巻回型(Rundwickel-)コンデンサー、フラット巻回型(Flachwickel-)コンデンサー、および円環コンデンサー(Ring-Kondensatoren)が区別される。コンデンサーの標準的な製造方法は当業者に公知である。
【0104】
以下の例は本発明を説明している。これにより限定を意図してはない。
【0105】
二軸延伸ポリオレフィンフィルムの製造および試験方法の一般的な説明
本発明による二軸延伸ポリオレフィンフィルムの製造に使用する設備は、(i)無配向フィルムを生成するための、フラットスリットダイ(Breitschlitzduese)および冷却ローラを備えたキャストユニットと、(ii)キャスト加工された薄膜を機械方向(MD)に延伸するための第1のセクションと、(iii)薄膜を短手方向(TD)に延伸するための、加熱装置を備えた第2のセクションとを含み、これにより二軸延伸フィルムが得られる。
【0106】
設備の長手方向延伸ユニットは、一般的に延伸係数>3の長手方向延伸をもたらす。
【0107】
長手方向延伸された薄膜の短手方向(TD)での延伸と、加熱された短手方向延伸炉(TD炉とも言う)に薄膜を通す長手方向(MD)での搬送とは、TD炉の両サイドに延びている2つの同方向に移動するチェーンによって達成された。両方のチェーンは、等間隔で配置された複数のクリップを備えている。各バンドのクリップはTD炉に入る前に開き、その後、連続的にTD炉に送られる長手方向延伸された薄膜を把持するために閉じる。TD炉は、一般的には前加熱ゾーン、延伸ゾーン、緩和ゾーン、または熱処理ゾーンからなっている。各ゾーンはさらに、より短いセクションに分かれており、これらのセクション内では選択された温度を調整することができる。
【0108】
短手方向延伸は、延伸ゾーン内の横方向の間隔の拡大によって実施された。TD炉の緩和ゾーンでは、横方向の間隔が少し減少することにより、延伸比が少し小さくなる。短手方向延伸されたフィルムは、続いて相応の巻取手段(例えば厚紙または金属からなるロール)上に巻き取られた。
【0109】
上述の延伸法では、長手方向および短手方向でのフィルムの延伸が別々の設備部分で行われた(逐次)。
【0110】
二軸配向フィルムのための延伸法の一変形形態は、同時延伸プロセスである。この場合、前置されるローラを介した長手方向延伸がなくなる。その代わりに長手方向および短手方向でのフィルムの全体延伸が、炉の特殊な実施形態において行われ、この炉では、取り囲んでいるクリップは等間隔で固定されているのではなく、クリップの間隔を個別に制御および拡大することができる。これにより、クリップの間で固定されたフィルムを同時に長手方向および短手方向に延伸する。この場合、所望の延伸比は、炉の幾何形状(短手方向)およびクリップ間隔の相応の制御(長手方向)によって調整することができる。例えばUS5,416,959で説明されているように。
【0111】
機械方向および短手方向での二軸延伸フィルムの引張係数をISO 527-3に基づいて23℃において測定した。その際、クロスヘッドの速度は1mm/分であった。
【0112】
二軸延伸フィルムの熱収縮をISO 11501に倣って確定した。二軸延伸フィルムからサイズ10×10cmの薄膜試料を切り取り、空気循環炉内に置いて、120℃、130℃、または140℃において5分間処理した。このように処理した薄膜の相対的な長さの減少を当初の薄膜と比較し、収縮を%で示した。
【0113】
二軸延伸フィルムの表面粗さRa、Rz、RmaxをDIN EN ISO 4287に基づいて決定した。
【0114】
例1~6および比較例V1~V5
上述の一般的な手順を適用することでポリオレフィンフィルムを製造した。生成された二軸延伸フィルムの組成を表1に示している。生成された二軸延伸フィルムの幾つかの特性を表2に示している。
【0115】
様々なCOCタイプを用いた。例えばTOPAS Advanced Polymers GmbH、Frankfurt am Mainの材料を使用した(例えばTopas(登録商標)6013、Topas(登録商標)6015、またはTopas(登録商標)6017)。PPは、様々な製造業者のものを使用することができる。この場合に重要なのは、生成したフィルムをコンデンサーフィルムとして用いる場合、PPは高純度の材料(コンデンサーグレード)であり、例えばBorealis AGのBorclean(登録商標)HC300 BFタイプであるということである。このPPタイプは、部分結晶性であり、結晶子融点は164℃であった。
【0116】
COC1として、材料TOPAS(登録商標)6013を用いた。この材料のガラス転移温度は142℃であった。
【0117】
COC2として、材料TOPAS(登録商標)6015を用いた。この材料のガラス転移温度は158℃であった。
【0118】
COC3として、材料TOPAS(登録商標)6017を用いた。この材料のガラス転移温度は178℃であった。
【0119】
ガラス転移温度および結晶子融点は、ISO 11357-1、-2、-3に基づくDSC(示差走査熱量測定/Differential Scanning Calorimetry)を用いて決定し、ガラス転移温度を決定するための加熱速度は10K/分、結晶子融点を決定するための加熱速度は20K/分であった。
【0120】
【0121】
表1での結果は、少なくともPP55%およびCOC45%を含有するフィルムが、通常の逐次または同時の延伸プロセスにより、PP100%のフィルムと類似の条件下で連続的に延伸できることを証明している。
【0122】
表1での結果はさらに、COC含有率が40重量%以上の場合は延伸性が延伸法の種類に依存し得ること、およびCOCの割合がもっと低い組成での延伸度より低い延伸度しか実現できないことを証明している。
【0123】
例2、2a、およびV3は、COC含有率が特許請求の範囲における組成の上端付近にある組成を使用する場合、延伸の種類と、その際に延伸フィルムの製造に関して選択されるプロセスパラメータとが、影響を有し得ることを示している。ここでは逐次延伸の場合、確かにまだフィルムは製造可能であるが、ただしより低い延伸度しか可能でなく、したがってこの延伸条件ではもう非常に薄いフィルムは得られない。
【0124】
例4、5、およびV4は、特許請求の範囲における範囲外のガラス転移温度をもつCOCを使用すると、延伸が成功しなくなることを示している。
【0125】
例4および6は、特許請求の範囲における配合範囲内では同時延伸および逐次延伸が可能であることを示している。同時延伸プロセスではより高い延伸度が達成された。
【0126】
【0127】
表2での結果は、PPおよび少なくとも10%のCOCを含有するポリマーブレンドは、熱収縮値の低いフィルムへと加工できることを証明している。そのうえCOC含有フィルムの140℃における熱収縮の値が、120℃におけるPPフィルムの熱収縮の値にほぼ相当することを示している。
【0128】
例7~8
上述の一般的な手順を適用することでポリオレフィンフィルムを製造した。例7および8は、フィルムの粗さがどのように変化し得るかを明らかにしている。生成された二軸延伸フィルムの組成および粗さを表3に示している。
【0129】
TOPAS Advanced Polymers GmbH、Frankfurt am Mainの材料を使用した(Topas(登録商標)6013)。PPは、様々な製造業者のものを使用することができる。この場合に重要なのは、生成したフィルムをコンデンサーフィルムとして用いる場合、PPは高純度の材料(コンデンサーグレード)であり、例えばBorealis AGのBorclean(登録商標)HC300 BFタイプであるということである。
【0130】
【0131】
表3での結果は、生成されたフィルムの粗さを、プロセスパラメータを介して、例えば長手方向延伸条件によって調整できることを証明している。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.a)ガラス転移温度が120~170℃の間のシクロオレフィンポリマー10~45重量%、および
b)結晶子融点が150~170℃の間の部分結晶性α-オレフィンポリマー90~55%重量%
を含み、成分a)のガラス転移温度が成分b)の結晶子融点以下であり、ISO 11501に基づいて測定した130℃における5分後の収縮が2%以下である、二軸延伸ポリオレフィンフィルム。
2.DIN EN ISO 4287に基づいて測定した表面粗さR
a
が0.02~0.5μm、好ましくは0.04~0.2μmであることを特徴とする、上記1に記載のポリオレフィンフィルム。
3.DIN EN ISO 4287に基づいて測定した表面粗さR
z
が0.1~2μm、とりわけ0.3~0.8μmであることを特徴とする、上記2に記載のポリオレフィンフィルム。
4.DIN EN ISO 4287に基づいて測定した表面粗さR
max
が0.1~2μm、とりわけ0.3~1μmであることを特徴とする、上記3に記載のポリオレフィンフィルム。
5.シクロオレフィンポリマーが、式Iの少なくとも1種のシクロオレフィンと式IIの少なくとも1種のα-オレフィンとの環維持共重合によって得られることを特徴とする、上記1~4のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルム。
【化3】
[式中、
nは、0または1を表し、
mは、0または正の整数、好ましくは0または1であり、
R
1
、R
2
、R
3
、R
4
、R
5
、R
6
は互いに独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリールまたはアラルキルを表し、
R
7
、R
8
、R
9
、R
10
、R
11
、R
12
、R
13
、R
14
、R
15
、R
16
は互いに独立して、水素またはアルキルであり、
R
17
、R
18
、R
19
、R
20
は互いに独立して、水素、ハロゲンもしくはアルキルであるか、または
R
17
およびR
19
は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、1つの飽和もしくは不飽和の環または複数の飽和もしくは不飽和の環を形成する]、
【化4】
[式中、R
21
およびR
22
は互いに独立して、水素またはアルキルを表す]
6.n=0であり、m=0または1であり、R
21
およびR
22
の両方が水素を表すか、またはR
21
が水素であり、R
22
が1~8個の炭素原子を有するアルキルであり、そして、R
1
、R
2
、R
5
~R
8
およびR
15
~R
20
が水素であることを特徴とする、上記5に記載のポリオレフィンフィルム。
7.式Iの化合物がノルボルネンまたはテトラシクロドデセンであり、式IIの化合物がエチレンおよび/またはプロピレンを表し、式Iおよび式IIの化合物が、好ましくはメタロセン触媒の存在下で共重合されていることを特徴とする、上記5に記載のポリオレフィンフィルム。
8.部分結晶性α-オレフィンポリマーが、部分結晶性α-オレフィンホモポリマーもしくは-コポリマーであり、好ましくはプロピレンホモポリマー、またはプロピレンと5重量%以下の量の2個もしくは4~8個の炭素原子を有するα-オレフィンとの共重合によって得られるコポリマーであることを特徴とする、上記1~7のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルム。
9.シクロオレフィンコポリマーのガラス転移温度が、130~170℃の間、好ましくは140~160℃の間であることを特徴とする、上記1~8のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルム。
10.シクロオレフィンコポリマーが、230℃の温度で2.16kgの負荷下で測定したメルトフローインデックスが0.3~4g/10分の間であることを特徴とする、上記1~9のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルム。
11.部分結晶性α-オレフィンポリマーが、230℃の温度で2.16kgの負荷下で測定したメルトフローインデックスが1~4g/10分の間であることを特徴とする、上記1~10のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルム。
12.シクロオレフィンポリマーが、部分結晶性α-オレフィンポリマーのマトリクス中で分散していることを特徴とする、上記1~11のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルム。
13.シクロオレフィンポリマーが、部分結晶性α-オレフィンポリマーのマトリクス中で共連続相を形成していることを特徴とする、上記12に記載のポリオレフィンフィルム。
14.フィルムが添加剤を含有していないことを特徴とする、上記1~13のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルム。
15.鉄、コバルト、ニッケル、チタン、モリブデン、バナジウム、クロム、銅およびアルミニウムの総含有率が、0.25ppm未満であることを特徴とする、上記1~14のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルム。
16.フィルムが1層フィルムであるか、または2層、3層、4層もしくは5層フィルムであり、これらの多層フィルムの少なくとも1つが上記1に記載のポリオレフィンフィルムであることを特徴とする、上記1~15のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルム。
17.フィルムが、DIN 53370に基づいて測定した厚さが0.5~15μmの間、好ましくは1~10μmの間であることを特徴とする、上記1~16のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルム。
18.DIN EN 60243-2に基づいて直流電圧下で測定した絶縁耐力が500~750V/μmであることを特徴とする、上記1~17のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルム。
19.1kHz~1GHzの範囲の周波数で25℃の温度で測定した誘電損率が0.002以下であることを特徴とする、上記1~18のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルム。
20.DIN ISO 11501に基づいて測定した機械方向での130℃における5分後の収縮が2%以下であり、DIN ISO 11501に基づいて測定した機械方向に対して横向きの130℃における5分後の収縮が0.5%以下であることを特徴とする、上記1~19のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルム。
21.片面または両面において金属化されていることを特徴とする、上記1~20のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルム。
22.多層フィルムであることを特徴とする、上記1~21のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルムであって、
前記多層フィルムは、
以下:
a)ガラス転移温度が120~170℃の間のシクロオレフィンポリマー10~45重量%、および
b)結晶子融点が150~170℃の間の部分結晶性α-オレフィンポリマー90~55%重量%
を含む少なくとも1つのコア層であって、成分a)のガラス転移温度が成分b)の結晶子融点以下である少なくとも1つのコア層を有し、そして、1種または複数の部分結晶性α-オレフィンポリマーでできた1つまたは2つのカバー層を有し、
前記多層フィルムは、DIN ISO 11501に基づいて測定した130℃における5分後の収縮が2%以下である、前記のポリオレフィンフィルム。
23.多層フィルムであることを特徴とする、上記1~21のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルムであって、
前記多層フィルムは、
以下:
a)ガラス転移温度が120~170℃の間のシクロオレフィンポリマー10~45重量%、および
b)結晶子融点が150~170℃の間の部分結晶性α-オレフィンポリマー90~55%重量%
をそれぞれ含む2つ以上の層であって、成分a)のガラス転移温度が成分b)の結晶子融点以下である2つ以上の層でできた少なくとも1つのコア層を有し、
前記多層フィルムは、DIN ISO 11501に基づいて測定した130℃における5分後の収縮が2%以下である、前記のポリオレフィンフィルム。
24.i)上記1に記載の成分a)のシクロオレフィンポリマー10~45重量%および上記1に記載の成分b)のα-オレフィンポリマー90~55重量%を含むフィルムを製造するステップ、ならびに
ii)ステップi)からのフィルムを逐次延伸によりまたは同時延伸により二軸延伸するステップ
を含む、上記1~23のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルムの製造方法。
25.上記1~23のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルムを含む、コンデンサー。
26.コンデンサーを製造するための誘電体としての、上記1~23のいずれか一つに記載のポリオレフィンフィルムの使用。