(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】ドラム式洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 37/40 20060101AFI20220607BHJP
F16D 63/00 20060101ALI20220607BHJP
F16D 65/16 20060101ALI20220607BHJP
F16H 1/28 20060101ALI20220607BHJP
F16D 121/24 20120101ALN20220607BHJP
F16D 125/50 20120101ALN20220607BHJP
F16D 125/28 20120101ALN20220607BHJP
【FI】
D06F37/40 D
F16D63/00 H
F16D65/16
F16H1/28
F16D121:24
F16D125:50
F16D125:28
(21)【出願番号】P 2020542085
(86)(22)【出願日】2018-08-01
(86)【国際出願番号】 CN2018097885
(87)【国際公開番号】W WO2019227658
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2020-08-03
(31)【優先権主張番号】201820826313.6
(32)【優先日】2018-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810533250.X
(32)【優先日】2018-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519385445
【氏名又は名称】▲無▼▲錫▼小天鵝電器有限公司
【氏名又は名称原語表記】WUXI LITTLE SWAN ELECTRIC CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.18,SOUTH CHANGJIANG ROAD,NEW DISTRICT,WUXI,JIANGSU 214028,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】林 光芳
(72)【発明者】
【氏名】▲盧▼ 松
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 祥▲寛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲顧▼ 超林
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0082437(KR,A)
【文献】特開2000-042286(JP,A)
【文献】特開2017-018277(JP,A)
【文献】特開昭48-104360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 37/40
F16D 63/00
F16D 65/16-65/18
F16H 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラム式洗濯機であって、
外槽と、
前記外槽内に回転可能に設けられる内筒と、
前記内筒内に回転可能に設けられる撹拌器と、
スピンドルを介して前記内筒に伝動可能に接続され、前記スピンドルによりトルクが前記内筒に伝達される駆動器と、
前記スピンドル及び前記撹拌器のそれぞれに伝動可能に接続され且つ第1状態と第2状態を切り替え可能であり、前記第1状態にあるとき、前記スピンドルのトルクを同一方向で前記撹拌器に伝達して前記撹拌器と前記内筒を同一方向に回転させ、前記第2状態にあるとき、前記スピンドルのトルクを反対方向で前記撹拌器に伝達して前記撹拌器と前記内筒を反対方向に回転させる遊星歯車部材と、
制動器と、を備え、
前記制動器は、
前記遊星歯車部材に連動し、自由回転が許容されるとき、前記遊星歯車部材が前記第1状態にあり、制動されるとき、前記遊星歯車部材が前記第2状態にある制動ディスクと、
シュートが設けられた制動ベースと、
閉合状態と展開状態を切り替え可能に前記制動ベースに設けられ、前記閉合状態にあるとき、前記制動ディスクを抱き締めて制動し、前記展開状態にあるとき、前記制動ディスクを解放して前記制動ディスクの自由回転を可能にする制動爪
であって、前記制動ディスクの軸に垂直な平面に沿って前記閉合状態と前記展開状態との間で動作可能である制動爪と、
延出位置と引き込み位置との間で摺動可能に前記シュートに嵌合し且つ前記制動爪に連動し、前記延出位置にあるとき、前記制動爪を前記閉合状態に切り替え、前記引き込み位置にあるとき、前記制動爪を前記展開
状態に切り替える制動ロッドと、
前記制動ベースに取り付けられ且つ前記制動ロッドに伝動可能に接続され、前記制動ロッドが前記延出位置と前記引き込み位置との間で移動するように駆動する制動駆動器と、を備える、
ことを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項2】
前記撹拌器と前記内筒が反対方向に回転するとき、前記撹拌器の回転数が前記内筒の回転数未満である、
ことを特徴とする請求項1に記載のドラム式洗濯機。
【請求項3】
前記撹拌器と前記内筒が同一方向に回転するとき、前記撹拌器の回転数が前記内筒の回転数に等しい、
ことを特徴とする請求項1に記載のドラム式洗濯機。
【請求項4】
前記遊星歯車部材は、遊星歯車ユニットを備え、
前記遊星歯車ユニットは、
遊星歯車キャリアと、
それぞれ前記遊星歯車キャリアに回転可能に取り付けられ、且つそれぞれ前記スピンドルと噛み合う複数の遊星歯車と、
複数の前記遊星歯車の外側に嵌めて設けられ且つ複数の前記遊星歯車のそれぞれと噛み合い、前記撹拌器に伝動可能に接続される遊星歯車ハウジングと、を備え、
前記制動ディスクは、前記遊星歯車キャリアに連動し、前記遊星歯車キャリアの自由回転が許容されるとき、前記遊星歯車部材は、前記第1状態にあり、前記遊星歯車キャリアが制動されるとき、前記遊星歯車部材は、前記第2状態にある、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のドラム式洗濯機。
【請求項5】
前記遊星歯車キャリアと噛み合い、前記制動ディスクが設けられ、前記制動ディスクを
前記遊星歯車キャリアに連動させる第2軸をさらに備える、
ことを特徴とする請求項4に記載のドラム式洗濯機。
【請求項6】
前記スピンドル内には、その軸方向に沿って貫通し且つ前記第2軸が挿通されるキャビティを有する、
ことを特徴とする請求項5に記載のドラム式洗濯機。
【請求項7】
前記制動ディスクの外周面には、車歯が設けられ、前記制動爪の内側面には、爪歯が設けられ、前記制動爪が前記閉合状態にあるとき、前記爪歯は、前記車歯と噛み合い、前記制動爪が前記展開状態にあるとき、前記爪歯は、前記車歯から離脱する、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のドラム式洗濯機。
【請求項8】
前記制動爪は、
一端が前記制動ベースに枢動可能に取り付けられる第1爪部と、
一端が前記制動ベースに枢動可能に取り付けられる第2爪部であって、前記第2爪部と前記第1爪部との間に前記制動ディスクが位置する第2爪部と、を備え、
前記制動爪が前記閉合状態にあるとき、前記第1爪部の他端と前記第2爪部の他端は互いに近接し、前記制動爪が前記展開状態にあるとき、前記第1爪部の他端と前記第2爪部の他端は互いに離れる、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のドラム式洗濯機。
【請求項9】
前記第1爪部の少なくとも一部は、前記制動ディスクの形状に合わせた円弧状として構成され、前記第2爪部の少なくとも一部は、前記制動ディスクの形状に合わせた円弧状として構成される、
ことを特徴とする請求項8に記載のドラム式洗濯機。
【請求項10】
前記制動ベース内には、第1回転柱及び第2回転柱が設けられ、前記第1爪部には、前記第1回転柱に枢動可能に嵌めて設けられる第1枢動孔が設けられ、前記第2爪部には、前記第2回転柱に枢動可能に嵌めて設けられる第2枢動孔が設けられる、
ことを特徴とする請求項9に記載のドラム式洗濯機。
【請求項11】
前記制動ロッドには、それぞれ前記制動ロッドの摺動方向に対して傾斜して設けられる第1駆動斜め溝及び第2駆動斜め溝が設けられ、前記第1爪部の他端には、前記第1駆動斜め溝に摺動可能に嵌合する第1駆動柱が設けられ、前記第2爪部の他端には、前記第2駆動斜め溝に摺動可能に嵌合する第2駆動柱が設けられる、
ことを特徴とする請求項10に記載のドラム式洗濯機。
【請求項12】
前記制動ディスクから離れる前記第1駆動斜め溝の一端と前記制動ディスクから離れる前記第2駆動斜め溝の一端は、互いに近接し、前記制動ディスクに近い前記第1駆動斜め溝の一端と前記制動ディスクに近い前記第2駆動斜め溝の一端は、互いに離れる、
ことを特徴とする請求項11に記載のドラム式洗濯機。
【請求項13】
前記制動ロッドには、それぞれ前記制動ロッドの摺動方向に平行する第1位置制限溝及び第2位置制限溝が設けられ、前記第1位置制限溝は、前記第1駆動斜め溝に連通し、且つ前記第1駆動斜め溝から前記制動ディスクから離れる方向へ延び、前記第2位置制限溝は、前記第2駆動斜め溝に連通し、且つ前記第2駆動斜め溝から前記制動ディスクから離れる方向へ延び、前記制動爪が前記閉合状態にあるとき、前記第1駆動柱は、前記第1位置制限溝まで摺動するとともに、前記第2駆動柱は、前記第2位置制限溝まで摺動する、
ことを特徴とする請求項11に記載のドラム式洗濯機。
【請求項14】
前記制動ベースには、それぞれ前記制動ロッドの摺動方向に対して傾斜して設けられる第1案内斜め溝及び第2案内斜め溝が設けられ、前記第1爪部の両端の間には、前記第1案内斜め溝に摺動可能に嵌合する第1案内柱が設けられ、前記第2爪部の両端の間には、前記第2案内斜め溝に摺動可能に嵌合する第2案内柱が設けられる、
ことを特徴とする請求項8~13のいずれかに記載のドラム式洗濯機。
【請求項15】
前記第1案内柱の端部には、前記第1案内斜め溝からの前記第1案内柱の抜けを止める第1抜け止めヘッドが設けられ、前記第2案内柱の端部には、前記第2案内斜め溝からの前記第2案内柱の抜けを止める第2抜け止めヘッドが設けられる、
ことを特徴とする請求項14に記載のドラム式洗濯機。
【請求項16】
前記制動ロッドは、
前記制動爪に連動する駆動ロッドと、
前記制動駆動器に伝動可能に接続され且つ前記駆動ロッドに掛合される伝動ロッドと、
前記駆動ロッドと前記伝動ロッドの間に圧縮される制動圧縮ばねと、を備える、
ことを特徴とする請求項1~15のいずれかに記載のドラム式洗濯機。
【請求項17】
前記駆動ロッドには、前記制動ディスクに向かう掛合面が設けられ、前記伝動ロッドには、前記掛合面に掛合されるフックが設けられる、
ことを特徴とする請求項16に記載のドラム式洗濯機。
【請求項18】
前記駆動ロッドには、取り付けキャビティが設けられ、且つ前記取り付けキャビティには、止め段差が設けられ、前記伝動ロッドには、断面の形状が前記シュートの断面の形状に合わせた摺動ブロックが設けられ、前記制動圧縮ばねは、前記伝動ロッドに嵌めて設けられ、且つ前記制動圧縮ばね及び前記伝動ロッドは、前記取り付けキャビティ内に伸び、前記制動圧縮ばねは、一端が前記止め段差に当接され、他端が前記摺動ブロックに当接される、
ことを特徴とする請求項16に記載のドラム式洗濯機。
【請求項19】
前記制動ベースは、メインケースと、前記メインケースに取り外し可能に取り付けられるブラケットと、を備え、前記制動爪は、前記メインケースに取り付けられ、且つ前記制動駆動器は、前記ブラケットに取り付けられ、前記シュートは、互いに離れているケース部分とブラケット部分を備え、前記ケース部分は、前記メインケースに形成され、且つ前記ブラケット部分は、前記ブラケットに形成され、前記駆動ロッドは、前記ケース部分に摺動可能に嵌合し、且つ前記伝動ロッドは、前記ブラケット部分に摺動可能に嵌合する、
ことを特徴とする請求項16に記載のドラム式洗濯機。
【請求項20】
前記制動器は、
モータである前記制動駆動器を前記制動ロッドに伝動可能に接続し、前記モータのモータ軸の回転運動を前記シュート内の前記制動ロッドの直線運動に変換する制動カムをさらに備える、
ことを特徴とする請求項1~19のいずれかに記載のドラム式洗濯機。
【請求項21】
前記
制動カムには、偏心柱が設けられ、前記制動ロッドには、前記偏心柱が摺動可能に嵌合する直線摺動溝が設けられ、
前記直線摺動溝の長さ方向は、前記制動ロッドの直線運動方向に垂直である、
ことを特徴とする請求項20に記載のドラム式洗濯機。
【請求項22】
前記制動ベースは、前記外槽の後壁に取り付けられる、
ことを特徴とする請求項1~21のいずれかに記載のドラム式洗濯機。
【請求項23】
前記駆動器のパワーを検出するための検出装置をさらに備え、
前記駆動器のパワーが所定値に達すると、前記制動器は、前記第2軸を介して前記遊星歯車キャリアが自由に回転可能になるように制御する、
ことを特徴とする請求項5
又は6に記載のドラム式洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本開示は、無錫小天鵝股フン有限公司により2018年5月29日に提出された、中国特許出願番号「201810533250.X」及び「201820826313.6」の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、衣類処理装置の技術分野に関し、より具体的には、ドラム式洗濯機に関する。
【背景技術】
【0003】
ドラム式洗濯機は、衣類を洗濯するときに、内筒が回動して衣類及び内筒内の水を回動させることで衣類を洗濯し、内筒内のバッフルにより衣類を持ち上げたり落としたりして且つ内筒の内周面で衣類をビートする。しかしながら、その洗濯方式が単一であるため、洗濯効果が不十分である。したがって、改良する余裕がある。
【0004】
このため、関連技術には、内筒内にパルセータが設けられたドラム式洗濯機が提案されており、たとえばPCT/CN2016/11037は、モータにより直接パルセータを回転駆動し、また、モータが遊星歯車機構を介して伝動されて内筒を回転駆動し、内筒の回転速度をパルセータの回転速度より低くするドラム式洗濯機を開示している。しかしながら、内筒自体がパルセータに比べて体積が大きく、且つ洗濯時に内筒が衣類及び水を収納するので、遊星歯車機構の負荷が大きくなり、さらに遊星歯車機構の動力伝達効果及び自体の耐用年数を損なう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術に存在する技術的課題の少なくとも1つを解決することを目的とする。このため、本発明は、ドラム式洗濯機を提案し、該ドラム式洗濯機は、洗濯方式の多様化を実現し、且つ性能が安定的であり、耐用年数が長く、制御されやすいなどの利点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例によるドラム式洗濯機は、外槽と、前記外槽内に回転可能に設けられる内筒と、前記内筒内に回転可能に設けられる撹拌器と、スピンドルを介して前記内筒に伝動可能に接続され、前記スピンドルによりトルクが前記内筒に伝達される駆動器と、前記スピンドル及び前記撹拌器のそれぞれに伝動可能に接続され且つ第1状態と第2状態を切り替え可能であり、前記第1状態にあるとき、前記スピンドルのトルクを同一方向で前記撹拌器に伝達して前記撹拌器と前記内筒を同一方向に回転させ、前記第2状態にあるとき、前記スピンドルのトルクを反対方向で前記撹拌器に伝達して前記撹拌器と前記内筒を反対方向に回転させる遊星歯車部材と、制動器と、を備え、前記制動器は、前記遊星歯車部材に連動し、自由回転が許容されるとき、前記遊星歯車部材が前記第1状態にあり、制動されるとき、前記遊星歯車部材が前記第2状態にある制動ディスクと、シュートが設けられた制動ベースと、閉合状態と展開状態を切り替え可能に前記制動ベースに設けられ、前記閉合状態にあるとき、前記制動ディスクを抱き締めて制動し、前記展開状態にあるとき、前記制動ディスクを解放して前記制動ディスクの自由回転を可能にする制動爪と、延出位置と引き込み位置との間で摺動可能に前記シュートに嵌合し、且つ前記制動爪に連動し、前記延出位置にあるとき、前記制動爪を前記閉合状態に切り替え、前記引き込み位置にあるとき、前記制動爪を前記展開位置に切り替える制動ロッドと、前記制動ベースに取り付けられ且つ前記制動ロッドに伝動可能に接続され、前記制動ロッドが前記延出位置と前記引き込み位置との間で移動するように駆動する制動駆動器と、を備える。
【0007】
本発明の実施例によるドラム式洗濯機は、駆動器を設けることにより、駆動器でスピンドルを回転駆動して内筒を回転させ、また、内筒内に撹拌器がさらに設けられ、遊星歯車部材でスピンドルのトルクを撹拌器に伝達して撹拌器を回転駆動し、それによって、撹拌器の回転と内筒の回転を互いに組み合わせてさまざまな洗濯方式、たとえば、撹拌器及び内筒のいずれかの単独回転又は撹拌器と内筒の同時回転、たとえば、撹拌器及び内筒の同一方向における回転又は反対方向における回転を実現することができ、それによって、ドラム式洗濯機の洗濯方式が多様化される。
【0008】
さらに、駆動器がスピンドルを介して内筒を駆動するので、駆動器により負荷の大きな部材が直接駆動され、動力の伝達段数が減少し、動力伝送がさらに直接行われ、このため、体積が大きく且つ衣類及び水が収納された内筒が安定的に駆動され、一方、スピンドルと撹拌器との間に遊星歯車部材が設けられ、遊星歯車部材を介してスピンドルのトルクが撹拌器に伝達され、駆動器で撹拌器が間接的に駆動され、撹拌器での負荷が内筒での負荷よりはるかに小さいので、パルセータを備える関連技術におけるドラム式洗濯機に比べて、遊星歯車部材に作用する負荷が大幅に減少し、動力を安定的に伝達してドラム式洗濯機の性能の安定性向上に寄与するだけでなく、遊星歯車部材が破壊されるリスクを低減させ、ドラム式洗濯機の耐用年数を延ばす。
【0009】
また、制動ロッドが制動駆動器により延出位置と引き込み位置との間で移動するように駆動され、制動ロッドと制動爪との連動を利用して、制動ディスクを抱き締め又は解放し、遊星歯車部材を第1状態と第2状態の間で切り替え、それによって、撹拌器の回転と内筒の回転が互いに組み合わせられて様々な洗濯方式を構成し、ドラム式洗濯機の洗濯方式の多様化が実現され、且つ制御されやすく、安定性に優れている。
【0010】
したがって、本発明の実施例によるドラム式洗濯機は、洗濯方式の多様化を実現でき、且つ性能が安定的であり、耐用年数が長く、制御されやすいなどの利点を有する。
【0011】
本発明のいくつかの特定の実施例によれば、前記撹拌器と前記内筒が反対方向に回転するとき、前記撹拌器の回転数が前記内筒の回転数未満である。
【0012】
本発明のいくつかの特定例によれば、前記撹拌器と前記内筒が同一方向に回転するとき、前記撹拌器の回転数が前記内筒の回転数に等しい。
【0013】
本発明のいくつかの特定の実施例によれば、前記遊星歯車部材は、遊星歯車ユニットを備え、前記遊星歯車ユニットは、遊星歯車キャリアと、それぞれ前記遊星歯車キャリアに回転可能に取り付けられ、且つそれぞれ前記スピンドルと噛み合う複数の遊星歯車と、複数の前記遊星歯車の外側に嵌めて設けられ且つ複数の前記遊星歯車のそれぞれと噛み合い、前記撹拌器に伝動可能に接続される遊星歯車ハウジングと、を備え、前記制動ディスクは、前記遊星歯車キャリアに連動し、前記遊星歯車キャリアの自由回転が許容されるとき、前記遊星歯車部材は、前記第1状態にあり、前記遊星歯車キャリアが制動されるとき、前記遊星歯車部材は、前記第2状態にある。
【0014】
さらに、前記遊星歯車キャリアは、一側面に複数の前記遊星歯車がそれぞれ回転可能に取り付けられ、前記一側面には、複数の取り付けボスが設けられる遊星歯車ブラケットと、前記複数の取り付けボスに取り付けられる遊星歯車固定ディスクと、を備える。
【0015】
さらに、前記遊星歯車ブラケット及び前記遊星歯車固定ディスクは、いずれも前記遊星歯車ハウジング内に位置し、前記遊星歯車ブラケット及び前記遊星歯車固定ディスクは、それぞれ前記遊星歯車ハウジングの内歯の両側に当接して前記遊星歯車ハウジングの軸方向において位置決めされる。
【0016】
さらに、前記遊星歯車ブラケットの前記一側面には、複数の遊星歯車取り付けベースが設けられ、且つ各々の前記遊星歯車取り付けベースには、遊星歯車固定軸が設けられ、複数の前記遊星歯車は、それぞれ回転可能であり、且つ複数の前記遊星歯車固定軸に1対1で対応するように取り付けられる。
【0017】
さらに、複数の前記取り付けボス及び複数の前記遊星歯車は、前記遊星歯車ブラケットの周方向に交互して設けられ、各々の前記取り付けボスには、位置決めカラムが設けられ、前記遊星歯車固定ディスクには、複数の位置決め孔が設けられ、複数の前記取り付けボスにおける位置決めカラムは、複数の前記位置決め孔に1対1で対応するように嵌合する。
【0018】
本発明のいくつかの特定例によれば、前記遊星歯車部材は、内部に前記遊星歯車ユニットが設けられ、前記遊星歯車ハウジングを前記撹拌器に伝動可能に接続する遊星歯車ケースをさらに備える。
【0019】
さらに、前記遊星歯車ケースの内周壁と前記遊星歯車ハウジングの外周壁の一方には、フランジが設けられ、且つ、他方には、係合溝が設けられ、前記フランジは、前記係合溝に嵌合する。
【0020】
さらに、前記フランジは、前記遊星歯車ハウジングの外周壁に複数設けられ、各々の前記フランジは、前記遊星歯車ハウジングの軸方向に延びており、且つ複数の前記フランジは、前記遊星歯車ハウジングの周方向に間隔を空けて設けられ、前記係合溝は、前記遊星歯車ケースの内周壁に複数設けられ、各々の前記係合溝は、前記遊星歯車ケースの軸方向に延びており、且つ複数の前記係合溝は、前記遊星歯車ケースの周方向に間隔を空けて設けられ、複数の前記フランジは、複数の前記係合溝に1対1で対応するように嵌合する。
【0021】
さらに、前記遊星歯車部材は、前記遊星歯車ケース内に設けられ、且つ前記遊星歯車ユニットの外側に位置し、内輪が前記スピンドルとともに回転するように前記スピンドルに嵌めて設けられ、外輪が前記遊星歯車ケースとともに回転するように前記遊星歯車ケースに接続される遊星歯車軸受けをさらに備える。
【0022】
本発明のいくつかの特定の実施例によれば、前記ドラム式洗濯機は、前記遊星歯車キャリアと噛み合い、前記制動ディスクが設けられ、前記制動ディスクを前記遊星歯車キャリアに連動させる第2軸をさらに備える。
【0023】
さらに、前記スピンドル内には、その軸方向に沿って貫通し前記第2軸が挿通されるキャビティを有する。
【0024】
さらに、前記第2軸は、それに嵌めて設けられ且つ前記キャビティ内に設けられる第2軸の軸受けにより支持される。
【0025】
さらに、前記遊星歯車ケースには、貫通孔が設けられ、前記第2軸は、前記貫通孔に挿通され、前記第2軸は、それに嵌めて設けられ且つ前記貫通孔内に設けられる第2軸側軸受けにより支持される。
【0026】
本発明のいくつかの特定例によれば、前記制動ディスクの外周面には、車歯が設けられ、前記制動爪の内側面には、爪歯が設けられ、前記制動爪が前記閉合状態にあるとき、前記爪歯は、前記車歯と噛み合い、前記制動爪が前記展開状態にあるとき、前記爪歯は、前記車歯から離脱する。
【0027】
本発明のいくつかの特定の実施例によれば、前記制動爪は、一端が前記制動ベースに枢動可能に取り付けられる第1爪部と、一端が前記制動ベースに枢動可能に取り付けられ、前記第1爪部との間に前記制動ディスクが位置する第2爪部と、を備え、前記制動爪が前記閉合状態にあるとき、前記第1爪部の他端と前記第2爪部の他端は互いに近接し、前記制動爪が前記展開状態にあるとき、前記第1爪部の他端と前記第2爪部の他端は互いに離れる。
【0028】
さらに、前記第1爪部の少なくとも一部は、前記制動ディスクの形状に合わせた円弧状として構成され、前記第2爪部の少なくとも一部は、前記制動ディスクの形状に合わせた円弧状として構成される。
【0029】
さらに、前記制動ベース内には、第1回転柱及び第2回転柱が設けられ、前記第1爪部には、前記第1回転柱に枢動可能に嵌めて設けられる第1枢動孔が設けられ、前記第2爪部には、前記第2回転柱に枢動可能に嵌めて設けられる第2枢動孔が設けられる。
【0030】
さらに、前記制動ロッドには、それぞれ前記制動ロッドの摺動方向に対して傾斜して設けられる第1駆動斜め溝及び第2駆動斜め溝が設けられ、前記第1爪部の他端には、前記第1駆動斜め溝に摺動可能に嵌合する第1駆動柱が設けられ、前記第2爪部の他端には、前記第2駆動斜め溝に摺動可能に嵌合する第2駆動柱が設けられる。
【0031】
本発明のいくつかの特定例によれば、前記制動ディスクから離れる前記第1駆動斜め溝の一端と前記制動ディスクから離れる前記第2駆動斜め溝の一端は、互いに近接し、前記制動ディスクに近い前記第1駆動斜め溝の一端と前記制動ディスクに近い前記第2駆動斜め溝の一端は、互いに離れる。
【0032】
さらに、前記制動ロッドには、それぞれ前記制動ロッドの摺動方向に平行する第1位置制限溝及び第2位置制限溝が設けられ、前記第1位置制限溝は、前記第1駆動斜め溝に連通し、且つ前記第1駆動斜め溝から前記制動ディスクから離れる方向へ延び、前記第2位置制限溝は、前記第2駆動斜め溝に連通し、且つ前記第2駆動斜め溝から前記制動ディスクから離れる方向へ延び、前記制動爪が前記閉合状態にあるとき、前記第1駆動柱は、前記第1位置制限溝まで摺動するとともに、前記第2駆動柱は、前記第2位置制限溝まで摺動する。
【0033】
本発明のいくつかの特定例によれば、前記制動ベースには、それぞれ前記制動ロッドの摺動方向に対して傾斜して設けられる第1案内斜め溝及び第2案内斜め溝が設けられ、前記第1爪部の両端の間には、前記第1案内斜め溝に摺動可能に嵌合する第1案内柱が設けられ、前記第2爪部の両端の間には、前記第2案内斜め溝に摺動可能に嵌合する第2案内柱が設けられる。
【0034】
さらに、前記第1案内柱の端部には、前記第1案内斜め溝からの前記第1案内柱の抜けを止める第1抜け止めヘッドが設けられ、前記第2案内柱の端部には、前記第2案内斜め溝からの前記第2案内柱の抜けを止める第2抜け止めヘッドが設けられる。
【0035】
本発明のいくつかの特定の実施例によれば、前記制動ロッドは、前記制動爪に連動する前記第2案内柱と、前記制動駆動器に伝動可能に接続され且つ前記駆動ロッドに掛合される伝動ロッドと、前記駆動ロッドと前記伝動ロッドの間に圧縮される制動圧縮ばねと、を備える。
【0036】
さらに、前記駆動ロッドには、前記制動ディスクに向かう掛合面が設けられ、前記伝動ロッドには、前記掛合面に掛合されるフックが設けられる。
【0037】
さらに、前記駆動ロッドには、取り付けキャビティが設けられ、且つ前記取り付けキャビティには、止め段差が設けられ、前記伝動ロッドには、断面の形状が前記シュートの断面の形状に合わせた摺動ブロックが設けられ、前記制動圧縮ばねは、前記伝動ロッドに嵌めて設けられ、且つ前記制動圧縮ばね及び前記伝動ロッドは、前記取り付けキャビティ内に伸び、前記制動圧縮ばねは、一端が前記止め段差に当接され、他端が前記摺動ブロックに当接される。
【0038】
さらに、前記制動ベースは、メインケースと、前記メインケースに取り外し可能に取り付けられるブラケットと、を備え、前記制動爪は、前記メインケースに取り付けられ、且つ前記制動駆動器は、前記ブラケットに取り付けられ、前記シュートは、互いに離れているケース部分とブラケット部分を備え、前記ケース部分は、前記メインケースに形成され、且つ前記ブラケット部分は、前記ブラケットに形成され、前記駆動ロッドは、前記ケース部分に摺動可能に嵌合し、且つ前記伝動ロッドは、前記ブラケット部分に摺動可能に嵌合する。
【0039】
本発明のいくつかの特定の実施例によれば、前記制動器は、モータである前記制動駆動器を前記制動ロッドに伝動可能に接続し、前記モータのモータ軸の回転運動を前記シュート内の前記制動ロッドの直線運動に変換する制動カムをさらに備える。
【0040】
さらに、前記カムには、偏心柱が設けられ、前記制動ロッドには、前記偏心柱が摺動可能に嵌合する直線摺動溝が設けられる。
【0041】
さらに、前記直線摺動溝の長さ方向は、前記制動ロッドの直線運動方向に垂直である。
【0042】
本発明のいくつかの特定の実施例によれば、前記制動ベースは、前記外槽の後壁に取り付けられる。
【0043】
本発明のいくつかの特定の実施例によれば、前記ドラム式洗濯機は、前記駆動器のパワーを検出するための検出装置をさらに備え、前記駆動器のパワーが所定値に達すると、前記制動器は、前記第2軸を介して前記遊星歯車キャリアが自由に回転可能になるように制御する。
【0044】
本発明のいくつかの特定例によれば、前記ドラム式洗濯機は、前記内筒の後壁に取り付けられ、且つ前記内筒の後壁と前記外槽の後壁との間に位置し、前記スピンドルを前記内筒に回動可能に接続するとともに、前記外槽の後壁に回転可能に支持する内筒ブラケットをさらに備える。
【0045】
さらに、前記外槽の後壁には、取り付け孔が設けられ、且つ前記取り付け孔内には、スピンドルの軸受け台が設けられ、前記スピンドルは、前記スピンドルの軸受け台内に設けられるスピンドルの軸受けにより回転可能に支持される。
【0046】
さらに、前記スピンドルには、スピンドルブッシュが嵌めて設けられ、前記スピンドルブッシュには、スピンドルフランジが嵌めて設けられ、前記内筒ブラケットは、前記スピンドルフランジに接続される。
【0047】
さらに、前記遊星歯車部材には、部材シール部品が嵌めて設けられ、前記部材シール部品は、前記遊星歯車部材と前記スピンドルフランジとの間の隙間をシールする。
【0048】
さらに、前記遊星歯車部材と前記部材シール部品との間には、耐摩耗スリーブが設けられる。
【0049】
本発明のいくつかの特定の実施例によれば、前記スピンドルは、プーリに伝動可能に接続され、前記駆動器は、モータであり、且つ前記プーリに張られたベルトを介して前記プーリを回転駆動する。
【0050】
さらに、前記プーリ、前記ベルト及び前記駆動器は、いずれも前記外槽の外部に位置し、前記プーリは、前記外槽の後壁と前記スピンドルにおけるロックナットとの間に限定される。
【0051】
本発明の付加的な態様及び利点の一部は、以下の説明において提供され、その一部は、以下の説明により明らかになり、又は本発明の実施により把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
本発明の上記及び/又は付加的な態様及び利点は、以下の図面による実施例の説明において明らかで理解しやすくなる。
【
図1】本発明の実施例によるドラム式洗濯機的構造模式図である。
【
図2】ドラム式洗濯機の内筒が内筒ブラケットに取り付けられたときの構造模式図である。
【
図3】ドラム式洗濯機の内筒ブラケットがスピンドル、第2軸、遊星歯車部材などと組み立てられる前の分解図である。
【
図4】ドラム式洗濯機のスピンドル、スピンドルブッシュ及びスピンドルフランジの組立図である。
【
図6】ドラム式洗濯機の遊星歯車部材及び耐摩耗スリーブの構造模式図である。
【
図7】ドラム式洗濯機の遊星歯車部材の分解図である。
【
図8】ドラム式洗濯機の遊星歯車ユニットの分解図である。
【
図9】
図8に示される遊星歯車キャリアと遊星歯車の組立前の分解図である。
【
図10】
図8に示される遊星歯車キャリアと遊星歯車の組立模式図である。
【
図11】
図7に示される遊星歯車ケースの構造模式図である。
【
図12】本発明の実施例によるドラム式洗濯機の部分構造の後面図である。
【
図13】本発明の実施例によるドラム式洗濯機の制動器の構造模式図であり、ここで、制動爪は閉合状態にある。
【
図15】本発明の実施例によるドラム式洗濯機の制動器の構造模式図であり、ここで、制動爪は展開状態にある。
【
図17】筐体、内筒及び撹拌器を取り外したドラム式洗濯機を後から見た構造模式図である。
【
図19】本発明の実施例によるドラム式洗濯機の制動器の斜視図である。
【
図20】本発明の実施例によるドラム式洗濯機の制動器の部分斜視図である。
【
図21】本発明の実施例によるドラム式洗濯機の制動器及びアダプターの斜視図である。
【
図22】本発明の実施例による筐体、外槽、内筒を取り外したドラム式洗濯機の後から前への構造模式図である。
【
図24】本発明の実施例によるドラム式洗濯機の制動器の制動ベースの爆発図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明の実施例を詳細に説明し、前記実施例の例は、図面に示されており、図面を通じて同じ又は類似した符号は、同じ又は類似した素子若しくは同じ又は類似した機能を有する素子を表す。以下、図面を参照しながら説明する実施例は、例示的なものに過ぎず、本発明を解釈するために用いられ、本発明を制限するものとして理解できない。
【0054】
なお、本発明の説明において、「中心」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などの用語により示される方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、本発明の説明の便宜及び説明の簡素化のためであり、示される装置又は素子が必ず特定の方位を有したり、特定の方位で構造及び操作されたりすることを指示又は示唆するものではなく、このため、本発明を制限するものとして理解できない。そのほか、「第1」、「第2」により限定される特徴は、1つ又は複数の該特徴を明示的または暗黙的に含み得る。本発明の説明において、特に断らない限り、「複数」は、2つ以上を意味する。
【0055】
なお、本発明の説明において、特に明確な指定及び制限がない限り、「取り付け」、「連結」、「接続」という用語は、広義で理解すべきであり、たとえば、固定して接続されてもよく、取り外し可能に接続されてもよく、一体に接続されてもよく、機械的に接続されてもよく、電気的に接続されてもよく、直接連結されてもよく、中間媒体を介して間接的に連結されてもよく、2つの素子の内部が連通してもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本発明における上記用語の意味を理解できる。
【0056】
以下、
図1-
図23を参照しながら、本発明の実施例によるドラム式洗濯機100を説明する。
【0057】
図1-
図23に示されるように、本発明の実施例によるドラム式洗濯機100は、外槽1、内筒2、撹拌器4、駆動器(たとえば下記モータ5)及び遊星歯車部材6を備える。
【0058】
内筒2は、外槽1内に回転可能に設けられる。撹拌器4は、内筒2内に回転可能に設けられる。駆動器は、スピンドル31を介して内筒2に伝動可能に接続され、スピンドル31は、駆動器のトルクを内筒2に伝達する。遊星歯車部材6は、スピンドル31及び撹拌器4のそれぞれに伝動可能に接続され、駆動器がスピンドル31を回転駆動するとき、遊星歯車部材6は、スピンドル31のトルクを撹拌器4に伝達して、撹拌器4を回転駆動できる。
【0059】
本発明の実施例によるドラム式洗濯機100は、駆動器を設けることにより、駆動器でスピンドル31を回転駆動して内筒2を回転させ、また、内筒2内に撹拌器4がさらに設けられ、遊星歯車部材6でスピンドル31のトルクを撹拌器4に伝達して撹拌器4を回転駆動し、それによって、撹拌器4の回転と内筒2の回転を互いに組み合わせてさまざまな洗濯方式、たとえば、撹拌器4及び内筒2のいずれかの単独回転又は撹拌器4と内筒2との同時回転、また、たとえば撹拌器4と内筒2の同一方向における回転又は反対方向における回転を実現することができ、それによって、ドラム式洗濯機100の洗濯方式が多様化される。
【0060】
さらに、駆動器がスピンドル31を介して内筒2を駆動するので、駆動器により負荷の大きな部材が直接駆動され、動力伝達の段数がさらに減少し、動力伝送がさらに直接行われ、このため、体積が大きく且つ衣類及び水が収納された内筒が安定的に駆動され、一方、スピンドル31と撹拌器4との間に遊星歯車部材6が設けられ、遊星歯車部材6を利用してスピンドル31のトルクが撹拌器に伝達され、駆動器で撹拌器4が間接的に駆動され、撹拌器4での負荷が内筒2での負荷よりはるかに小さいので、パルセータ(撹拌器)を備える関連技術におけるドラム式洗濯機に比べて、遊星歯車部材6に作用する負荷が大幅に減少し、動力を安定的に伝達してドラム式洗濯機100の性能の安定性向上に寄与するだけでなく、遊星歯車部材6が破壊されるリスクを低減させ、ドラム式洗濯機100の耐用年数を延ばす。
【0061】
したがって、本発明の実施例によるドラム式洗濯機100は、洗濯方式の多様化を実現でき、且つ性能が安定的であり、耐用年数が長いなどの利点を有する。
【0062】
以下、
図1-
図23を参照しながら、本発明によるドラム式洗濯機100のいくつかの特定実施例を詳細に説明する。
【0063】
本発明の実施例によるドラム式洗濯機100の遊星歯車部材6は、第1状態と第2状態を切り替え可能である。
【0064】
遊星歯車部材6が第1状態にあるとき、遊星歯車部材6は、スピンドル31のトルクを同一方向に撹拌器4に伝達することで、撹拌器4と内筒2を同一方向に回転させる。遊星歯車部材6が第2状態にあるとき、遊星歯車部材6は、スピンドル31のトルクを反対方向に撹拌器4に伝達することで、撹拌器4と内筒2を反対方向に回転させる。たとえば、駆動器がスピンドル31を時計回りで回転駆動する場合、遊星歯車部材6が前記第1状態にあるとき、遊星歯車部材6は、スピンドル31のトルクを同一方向に撹拌器4に伝達することで、撹拌器4と内筒2の両方を時計回りで回転させる。遊星歯車部材6が第2状態にあるとき、遊星歯車部材6は、スピンドル31のトルクを反対方向に撹拌器4に伝達することで、撹拌器4を反時計回りで回転させる。
【0065】
一例として、ドラム式洗濯機100は、脱水モードである場合、遊星歯車部材6を第1状態に切り替え、第1状態にある遊星歯車部材6の動力伝達方式で撹拌器4と内筒2を同一方向に回転させ、それによって、高速回転脱水時の衣服の絡み合いや引き裂きなどを回避する。
【0066】
ドラム式洗濯機100は、洗濯モードである場合、遊星歯車部材6を第2状態に切り替え、第2状態にある遊星歯車部材6の動力伝達方式で撹拌器4と内筒2を反対方向に回転させ、衣服及び水を十分に撹拌して、衣服を洗濯するときの洗濯効果を向上させる。
【0067】
当業者にとって明らかなように、遊星歯車部材6の状態切り替えとドラム式洗濯機100の現在のモードとの組み合わせは、上記実施例に制限されず、脱水及び洗濯モードのいずれか一方において、遊星歯車部材6の第1状態と第2状態を組み合わせてもよい。
【0068】
それによって、第1状態と第2状態を切り替え可能な遊星歯車部材6が設けられることにより、撹拌器4と内筒2が同一方向又は反対方向に回転するように撹拌器4の回転方向を調整して、内筒2と連携してさまざまな作業状況に応じた作動モードを実現できる。
【0069】
いくつかの例では、撹拌器4と内筒2が反対方向に回転するとき、撹拌器4の回転数は、内筒2の回転数未満である。つまり、遊星歯車部材6が第2状態にあるとき、動力の変速・減速伝達が実現される。それによって、衣服及び水を十分に撹拌する際に、衣服の絡み合いを回避し、且つ装置全体の安定性及び騒音低減に有利である。
【0070】
いくつかの例では、撹拌器4と内筒2が同一方向に回転するとき、撹拌器4の回転数は、内筒2の回転数に等しい。即ち、遊星歯車部材6が第1状態にあるとき、撹拌器4と内筒2は同期して(同一速度且つ同一方向)回転する。
【0071】
図6-
図11に示されるように、本発明の一実施例によれば、遊星歯車部材6は、遊星歯車ユニット61を備え、遊星歯車ユニット61は、遊星歯車キャリア611、複数の遊星歯車612及び遊星歯車ハウジング613を備える。
【0072】
複数の遊星歯車612は、それぞれ遊星歯車キャリア611に回転可能に取り付けられ、スピンドル31の外側周壁には、噛合歯を有し、複数の遊星歯車612は、それぞれスピンドル31における噛合歯と噛み合う。遊星歯車ハウジング613は、複数の遊星歯車612の外側に嵌めて設けられ、さらに複数の遊星歯車612のそれぞれと噛み合い、撹拌器4に伝動可能に接続される。
【0073】
ただし、遊星歯車ハウジング613の内側周壁には、複数の遊星歯車612と噛み合う噛合歯を有する。それによって、スピンドル31、複数の遊星歯車612、遊星歯車キャリア611及び遊星歯車ハウジング613は、遊星歯車系を構成し、スピンドル31の複数の遊星歯車612と噛み合う軸部は、遊星歯車系の太陽歯車となる。
【0074】
遊星歯車キャリア611の自由回転が許容されるとき、遊星歯車部材6は、第1状態にあり、撹拌器4と内筒2を同一方向に回転させ、遊星歯車キャリア611が制動されるとき、遊星歯車部材6は、第2状態にあり、複数の遊星歯車612は、それぞれ自転し、遊星歯車ハウジング613とスピンドル31は反対方向に回転し、それによって、撹拌器4と内筒2を反対方向に回転させる。それによって、遊星歯車部材6の遊星歯車キャリア611の状態を切り替えることによって、撹拌器4の運転状態を制御して、ドラム式洗濯機100の複数種の作動モードを切り替えられる。
【0075】
それによって、本発明の実施例によるドラム式洗濯機100では、スピンドル31と撹拌器4の間に遊星歯車部材6が設けられ、遊星歯車部材6でスピンドル31のトルクが撹拌器4に伝達されて撹拌器4を回転駆動することによって、撹拌器4の回転と内筒2の回転を互いに組み合わせて、さまざまな洗濯方式、たとえば撹拌器4と内筒2のいずれか一方の単独回転又は撹拌器4と内筒2の同時に回転、またたとえば撹拌器4と内筒2の同一方向における回転又は反対方向における回転を実現することができ、それによって、ドラム式洗濯機100の洗濯方式が多様化される。
【0076】
さらに、遊星歯車部材6を介してスピンドル31のトルクが撹拌器に伝達され、駆動器で撹拌器4が間接的に駆動され、撹拌器4での負荷が内筒2での負荷よりはるかに小さいので、パルセータを備える関連技術におけるドラム式洗濯機に比べて、遊星歯車部材6に作用する負荷が大幅に減少し、動力を安定的に伝達してドラム式洗濯機100の性能の安定性向上に寄与するだけでなく、遊星歯車部材6が破壊されるリスクを大幅に低減させ、ドラム式洗濯機100の耐用年数を延ばす。
【0077】
図8~
図10に示されるように、遊星歯車キャリア611は、遊星歯車ブラケット6111及び遊星歯車固定ディスク6116を備える。複数の遊星歯車612は、それぞれ遊星歯車ブラケット6111の一側面に回転可能に取り付けられ、遊星歯車ブラケット6111の一側面には、複数の取り付けボス6112が設けられ、遊星歯車固定ディスク6116は、複数の取り付けボス6112に取り付けられ、それによって、遊星歯車ブラケット6111と遊星歯車固定ディスク6116の接続が容易になる。
【0078】
いくつかの例では、遊星歯車ブラケット6111及び遊星歯車固定ディスク6116は、いずれも遊星歯車ハウジング613内に位置し、遊星歯車ブラケット6111及び遊星歯車固定ディスク6116は、それぞれ遊星歯車ハウジング613の内歯の両側に限定され、遊星歯車ハウジング613の内歯の歯端により遊星歯車ハウジング613の軸方向において位置決めされる。遊星歯車ブラケット6111は、複数の遊星歯車612を位置決めして取り付けることができ、遊星歯車ブラケット6111と遊星歯車固定ディスク6116の組み合わせ構造によって複数の遊星歯車が遊星歯車ブラケット6111と遊星歯車固定ディスク6116との間に限定され、構造のモジュール化組立が実現され、構造がよりコンパクトになり、組み立てがより簡便になる。
【0079】
いくつかの例では、遊星歯車固定ディスク6116は、遊星歯車ハウジング613内に設けられ、ファスナーによって遊星歯車ブラケット6111に固着され、接続の信頼性が高い。
【0080】
いくつかの例では、遊星歯車ブラケット6111の一側面には、複数の遊星歯車取り付けベース6114が設けられ、各々の遊星歯車取り付けベース6114には、遊星歯車固定軸6115が設けられ、複数の遊星歯車612は、それぞれ回転可能であり、且つ複数の遊星歯車固定軸6115に1対1で対応するように取り付けられる。ここでの「1対1で対応する」とは、遊星歯車612の数が遊星歯車取り付けベース6114の数に等しく、遊星歯車取り付けベース6114ごとに1つの遊星歯車612が設けられるとして理解できる。
【0081】
いくつかの具体例では、遊星歯車取り付けベース6114には、挿着孔が設けられ、遊星歯車固定軸6115の一端は、遊星歯車取り付けベース6114の挿着孔に挿着され、遊星歯車固定軸6115の他端は、遊星歯車固定ディスク6116の制限孔6118に配置され、それによって、遊星歯車612は、位置決めして取り付けられる。
【0082】
いくつかの例では、遊星歯車ブラケット6111の一側面には、複数の取り付けボス6112及び複数の遊星歯車取り付けベース6114が設けられ、複数の取り付けボス6112及び複数の遊星歯車取り付けベース6114は、遊星歯車ブラケット6111の周方向に交互して設けられ、それによって、複数の取り付けボス6112及び複数の遊星歯車612は、遊星歯車ブラケット6111の周方向に交互して設けられる。
【0083】
さらに、各々の取り付けボス6112には、位置決めカラム6113が設けられ、遊星歯車固定ディスク6116には、複数の位置決め孔6117が設けられ、複数の取り付けボス6112における位置決めカラム6113は、複数の位置決め孔6117内に1対1で対応するように締まり嵌めし又は溶接されることで、遊星歯車固定ディスク6116は、複数の取り付けボス6112に支持され、それによって、遊星歯車固定ディスク6116と遊星歯車ブラケット6111の組立や接続を簡素化させる。
【0084】
図7、
図8及び
図11に示されるように、本発明のさらなる実施例によれば、遊星歯車部材6は、遊星歯車ケース62をさらに備え、遊星歯車ユニット61は、遊星歯車ケース62内に設けられ、それにより、遊星歯車部材6のモジュール化の設計が実現される。遊星歯車ハウジング613は、遊星歯車ケース62を介して撹拌器4に伝動可能に接続され、たとえば、遊星歯車ケース62と撹拌器4は、ネジにより組み立てられ、遊星歯車ハウジング613、遊星歯車ケース62及び撹拌器4は固定して接続され、それにより、同期運転が実現され、遊星歯車部材6を介したスピンドル31のトルクの撹拌器4への伝達に寄与する。
【0085】
いくつかの例では、遊星歯車ケース62の内周壁及び遊星歯車ハウジング613の外周壁の一方には、フランジ6131が設けられ、遊星歯車ケース62の内周壁及び遊星歯車ハウジング613の外周壁の他方には、係合溝621が設けられ、フランジ6131は係合溝621内に嵌合し、遊星歯車ケース62と遊星歯車ハウジング613が固定して接続されることが確保される。
【0086】
いくつかの好適例では、遊星歯車ハウジング613の外周壁には、複数のフランジ6131が設けられ、各々のフランジ6131は、遊星歯車ハウジング613の軸方向に延びており、複数のフランジ6131は、遊星歯車ハウジング613の周方向に間隔を空けて設けられる。
【0087】
それに対応して、遊星歯車ケース62の内周壁には、複数の係合溝621が設けられ、各々の係合溝621は、遊星歯車ケース62の軸方向に延びており、複数の係合溝621は、遊星歯車ケース62の周方向に間隔を空けて設けられ、複数のフランジ6131は、複数の係合溝621内に1対1で対応するように嵌合し、このようにして、遊星歯車ハウジング613と遊星歯車ケース62を接続するとともに、遊星歯車ハウジング613と遊星歯車ケース62の周方向における位置決めを確保し、遊星歯車ハウジング613と遊星歯車ケース62の同期運転を実現できる。
【0088】
ただし、複数のフランジ6131と複数の係合溝621の設置位置は、交換可能であり、たとえば、複数のフランジ6131は、すべて遊星歯車ケース62の内周壁に設けられ、複数の係合溝621は、すべて遊星歯車ハウジング613の外周壁に設けられ、若しくは、複数のフランジ6131の一部は、遊星歯車ハウジング613の外周壁に設けられ、残りは、遊星歯車ケース62の内周壁に設けられ、それに対応して、複数の係合溝621もそれぞれ遊星歯車ハウジング613の外周壁及び遊星歯車ケース62の内周壁に設けられ、このようにして、簡便に接続できる。
【0089】
図7、並びに
図1、
図21及び
図23に示されるように、本発明のさらなる実施例によれば、遊星歯車部材6は、遊星歯車軸受け63をさらに備え、遊星歯車軸受け63は、遊星歯車ケース62内に設けられ、且つ遊星歯車ユニット61の外側に位置し、遊星歯車軸受け63の内輪は、スピンドル31とともに回転するようにスピンドル31に嵌めて設けられ、遊星歯車軸受け63の外輪は、遊星歯車ケース62とともに回転するように遊星歯車ケース62に連結され、遊星歯車軸受け63の設置により、スピンドル31に対する遊星歯車ケース62の回転が確保される。
【0090】
本発明の一実施例によれば、ドラム式洗濯機100は、第2軸32及び制動器7をさらに備え、第2軸32は、遊星歯車キャリア611と噛み合い、制動器7は、第2軸32を介して遊星歯車キャリア611が制動されるか否かを制御する。
【0091】
いくつかの例では、第2軸32の側周壁には、スプラインが設けられ、即ち、第2軸32は、スプライン軸となり、遊星歯車キャリア611には、第2軸32のスプラインと嵌合するスプライン溝が設けられ、第2軸32と遊星歯車キャリア611は、スプラインとスプライン溝の嵌合により固定して接続され、第2軸32と遊星歯車キャリア611の同期動作が確保される。
【0092】
制動器7が第2軸32を制動すると、遊星歯車キャリア611は、制動されるため回転できなくなり、制動器7が第2軸32から離脱すると、遊星歯車キャリア611は、自由状態となる。したがって、制動器7を設けることによって、第2軸32の運転状態を切り替えることで、遊星歯車部材6を第1状態と第2状態の間で切り替え、第1状態と第2状態を切り替える遊星歯車部材6は、撹拌器4と内筒2を同一方向又は反対方向に回転するように撹拌器4の回転方向を調整して、内筒2と連携してさまざまな作業状況に応じた作動モードを実現できる。
【0093】
いくつかの例では、スピンドル31内には、その軸方向に沿って貫通し第2軸32が挿通されるキャビティ311を有する。たとえば、スピンドル31の中心軸線と第2軸32の中心軸線は平行し且つ重なり、スピンドル31は、第2軸32に対して回転可能であり、それによって内筒2と撹拌器4のそれぞれを回転駆動し、ドラム式洗濯機100の正常な作動を確保する。
【0094】
いくつかの好適例では、第2軸32は、それに嵌めて設けられ且つキャビティ311内に設けられる第2軸の軸受け3211により支持される。具体的には、スピンドル31のキャビティ311内には、少なくとも2つの第2軸の軸受け3211が設けられ、第2軸32は、少なくとも2つの第2軸の軸受け3211を貫通してスピンドル31のキャビティ311に支持され、且つスピンドル31に対して回転可能である。
【0095】
いくつかの例では、遊星歯車ケース62には、第2軸32が挿通される貫通孔622が設けられ、第2軸32は、それに嵌めて設けられ且つ貫通孔622内に設けられる第2軸側軸受け3212により支持される。それによって、遊星歯車ケース62の一端は、第2軸側軸受け3212を介して第2軸32に支持され、遊星歯車ケース62の他端は、遊星歯車軸受け63を介してスピンドル31に支持され、それによって、遊星歯車部材6を位置決めして取り付けるとともに、第2軸32及びスピンドル31に対する遊星歯車ケース62の回転を確保する。
【0096】
図12~
図23に示されるように、いくつかの例では、制動器7は、制動ディスク322、制動爪75、制動ロッド72及び制動駆動器73を備える。
【0097】
制動ディスク322は、第2軸32に接続され且つ第2軸32を介して遊星歯車部材6に連動し、制動ディスク322が制動されるとき、第2軸32及び遊星歯車キャリア611は制動され、制動ディスク322の自由回転が許容されるとき、第2軸32及び遊星歯車キャリア611は自由に回転でき、第2軸32及び遊星歯車キャリア611は自由状態となる。それによって、制動ディスク322の自由回転が許容されるとき、遊星歯車部材6は前記第1状態にあり、制動ディスク322が制動されるとき、遊星歯車部材6は前記第2状態にある。
【0098】
制動ベース71には、シュート711が設けられる。制動爪75は、閉合状態と展開状態を切り替え可能に制動ベース71に設けられ、制動爪75は、前記閉合状態にあるとき、制動ディスク322を抱き締めて前記制動ディスクを制動し、前記展開状態にあるとき、制動ディスク322を解放して前記制動ディスクを自由に回転可能にする。制動ロッド72は、延出位置と引き込み位置との間で摺動可能にシュート711に嵌合し、且つ制動爪75に連動し、制動ロッド72は、前記延出位置にあるとき、制動爪75を前記閉合状態に切り替え、前記引き込み位置にあるとき、制動爪75を前記展開位置に切り替える。制動駆動器73は、制動ベース71に取り付けられ且つ制動ロッド72に伝動可能に接続され、制動ロッド72が前記延出位置と前記引き込み位置との間で移動するように駆動する。それによって、制動駆動器73により制動ロッド72をシュート711に沿って移動駆動し、制動ロッド72を制動爪75に作用させることにより、制動爪75の抱き締め又は制動ディスク322の解放を行い、簡便に切り替えられる。
【0099】
本発明の実施例によるドラム式洗濯機用の制動器7は、制動駆動器73で制動ロッド72を延出位置と引き込み位置との間で移動駆動し、制動ロッド72を制動爪75に連動させることで、制動爪75で第2軸32における制動ディスク322を抱き締めたり解放したりして、第2軸32を自由状態と制動状態の間で切り替え、さらに、遊星歯車部材6を介してスピンドル31のトルクを撹拌器4に伝達して撹拌器4を回転駆動し、それによって、撹拌器4の回転と内筒2の回転を互いに組み合わせてさまざまな洗濯方式を実現することができ、それにより、ドラム式洗濯機100の洗濯方式が多様化される。
【0100】
さらに、制動器7の部材点数が少ないため、構造がよりコンパクト化する。制動駆動器73は制動ロッド72を移動駆動し、制動ロッド72は、延出位置にあるとき、制動ディスク322を抱き締めるように制動爪75に作用し、引き込み位置にあるとき、制動ディスク322を解放するように制動爪75に作用し、したがって、パルセータを備える関連技術におけるドラム式洗濯機に比べて、制動爪75は、抱き締めるような方式で第2軸32における制動ディスク322に直接作用し、このため、簡便に制御でき、且つ伝動構造が減少し、動力伝送がより直接行われ、第2軸32の運転状態が安定的に切り替えられ、動力を安定的に伝達してドラム式洗濯機100の性能の安定性を向上させることに有利である。
【0101】
したがって、本発明の実施例によるドラム式洗濯機用の制動器7は、撹拌器4と内筒2の連携作動モードを切り替えることができ、且つ構造がシンプルであり、制御されやすく、安定性に優れるなどの利点を有する。
【0102】
さらに、
図13、
図15及び
図20に示されるように、制動ディスク322の外周面には、車歯3221が設けられ、制動爪75の内側面には、爪歯751が設けられ、制動爪75が前記閉合状態にあるとき、爪歯751は、車歯3221と噛み合い、制動爪75が前記展開状態にあるとき、爪歯751は、車歯3221から離脱し、それによって、制動爪75が制動ディスク322を抱き締める信頼性を向上させ、さらに制動器7の制動信頼性を向上させる。
【0103】
本発明のいくつかの特定実施例では、
図13-
図16及び
図20に示されるように、制動爪75は、第1爪部752と第2爪部753を備える。
【0104】
第1爪部752の一端は制動ベース71に枢動可能に取り付けられ、第2爪部753の一端は、制動ベース71に枢動可能に取り付けられ、制動ディスク322は、第1爪部752と第2爪部753との間に位置し、車歯3221は、制動ディスク322の外周面全体に形成でき、爪歯751は、それぞれ第1爪部752の内側面の一部と第2爪部753の内側面の一部に形成される。
【0105】
制動爪75が前記閉合状態にあるとき、第1爪部752の他端と第2爪部753の他端は互いに近接し、それによって、第1爪部752と第2爪部753は、共同で制動ディスク322を抱き締めて制動する。制動爪75が前記展開状態にあるとき、第1爪部752の他端と第2爪部753の他端は互いに離れ、それによって、第1爪部752と第2爪部753は、制動ディスク322を解放して、制動ディスク322を自由に回転可能にする。
【0106】
第1爪部752と第2爪部753が制動ディスク322を抱き締めるときの制動信頼性をさらに向上させるために、第1爪部752の少なくとも一部は、制動ディスク322の形状に合わせた円弧状として構成され、第2爪部753の少なくとも一部は、制動ディスク322の形状に合わせた円弧状として構成される。
【0107】
勿論、本発明は、それに制限されず、制動爪75は、ほかの構造形態としてもよく、たとえば、弾性を有する開口リング状であり、制動ロッド72の作用下で制動ディスク322を抱き締めたり解放したりする。
【0108】
具体的には、
図13、
図15及び
図20に示されるように、制動ベース71内には、第1回転柱712及び第2回転柱713が設けられ、第1爪部752には、第1回転柱712に枢動可能に嵌めて設けられる第1枢動孔7521が設けられ、第2爪部753には、第2回転柱713に枢動可能に嵌めて設けられる第2枢動孔7531が設けられる。それによって、第1爪部752の前記一端及び第2爪部753の前記一端は、それぞれ制動ベース71に枢動可能に取り付けられ得る。
【0109】
本発明のいくつかの特定実施例では、
図13、
図15及び
図20に示されるように、制動ロッド72には、第1駆動斜め溝721及び第2駆動斜め溝722が設けられ、第1駆動斜め溝721及び第2駆動斜め溝722は、それぞれ制動ロッド72の摺動方向に対して傾斜して設けられる。
【0110】
たとえば、制動ディスク322から離れる第1駆動斜め溝721の一端と制動ディスク322から離れる第2駆動斜め溝722の一端は、互いに近接し、制動ディスク322に近い第1駆動斜め溝721の一端と制動ディスク322に近い第2駆動斜め溝722の一端は、互いに離れる。ここで、「互いに近接する」と「互いに離れる」とは、相対的なものであり、即ち、制動ディスク322に近い第1駆動斜め溝721と第2駆動斜め溝722の一端の間の距離が、制動ディスク322から離れる第1駆動斜め溝721と第2駆動斜め溝722の一端の間の距離より大きい。
【0111】
第1爪部752の他端には、第1駆動斜め溝721に摺動可能に嵌合する第1駆動柱7522が設けられ、第2爪部753の他端には、第2駆動斜め溝722に摺動可能に嵌合する第2駆動柱7532が設けられる。
【0112】
それによって、制動ロッド72が引き込み位置から延出位置へ移動し、即ち制動ディスク322の方向へ移動すると、第1駆動斜め溝721は、第1駆動柱7522を駆動することにより第1爪部752に第1回転柱712の周りを回動させ、第2駆動斜め溝722は、第2駆動柱7532を駆動することにより第2爪部753に第2回転柱713の周りを回動させ、第1爪部752の他端と第2爪部753の他端は互いに近接し、制動爪75は閉合状態に切り替えられる。
【0113】
制動ロッド72が延出位置から引き込み位置へ移動し、即ち制動ディスク322から離れる方向へ移動すると、第1駆動斜め溝721は、第1駆動柱7522を駆動することにより第1爪部752に第1回転柱712の周りを回動させ、第2駆動斜め溝722は、第2駆動柱7532を駆動することにより第2爪部753に第2回転柱713の周りを回動させ、第1爪部752の他端と第2爪部753の他端は互いに離れ、制動爪75は展開状態に切り替えられる。
【0114】
さらに、制動ロッド72には、第1位置制限溝723及び第2位置制限溝724が設けられ、第1位置制限溝723及び第2位置制限溝724は、それぞれ制動ロッド72の摺動方向に平行し、第1位置制限溝723は、制動ディスク322から離れる第1駆動斜め溝721の一端に連通し、且つ第1駆動斜め溝721から制動ディスク322から離れる方向へ延び、第2位置制限溝724は、制動ディスク322から離れる第2駆動斜め溝722の一端に連通し、且つ第2駆動斜め溝722から制動ディスク322から離れる方向へ延びる。
【0115】
制動ロッド72が延出位置まで摺動すると、制動爪75は、前記閉合状態になり、第1駆動柱7522は第1位置制限溝723まで摺動し、且つ、第2駆動柱7532が第2位置制限溝724まで摺動すると、第1位置制限溝723及び第2位置制限溝724の方向が第1爪部752と第2爪部753の開閉の接線方向に垂直であるため、制動爪75が閉合状態にあるとき、制動ディスク322から制動爪75に伝達された力は、接線方向に変換され、制動駆動器73に対して反対方向の押し力を印加することがない。
【0116】
本発明のいくつかの特定例では、
図13、
図15及び
図19-
図22に示されるように、制動ベース71には、第1案内斜め溝725及び第2案内斜め溝726が設けられ、第1案内斜め溝725及び第2案内斜め溝726は、それぞれ制動ロッド72の摺動方向に対して傾斜して設けられ、たとえば、制動ロッド72の引き込み位置から延出位置までの方向に、第1案内斜め溝725と第2案内斜め溝726との間の距離が増加していく。
【0117】
第1爪部752の両端の間には、第1案内斜め溝725に摺動可能に嵌合する第1案内柱7523が設けられる。第2爪部753の両端の間には、第2案内斜め溝726に摺動可能に嵌合する第2案内柱7533が設けられる。それによって、第1爪部752及び第2爪部753の運動軌跡が制限されて、第1爪部752及び第2爪部753の運動をより安定的にして、さらに制動爪75の性能の信頼性を向上させる。
【0118】
制動ベース71において第1案内斜め溝725及び第2案内斜め溝726が設けられた部分は、別体に構成されてもよいし、一体に構成されてもよい。
【0119】
一例として、
図24に示されるように、制動ベース71は、制動基台76と制動カバープレート77を備え、制動カバープレート77は、制動基台76に取り外し可能に取り付けられ、制動カバープレート77には、案内斜め溝が設けられ、制動爪75は、制動基台76に設けられ、制動爪75には、案内斜め溝に摺動可能に嵌合する案内柱が設けられる。
【0120】
具体的には、制動爪75の第1爪部752及び第2爪部753は、それぞれ制動基台76に枢動可能に取り付けられ、たとえば、制動基台76内には、第1回転柱712及び第2回転柱713が設けられ、第1爪部752には、第1回転柱712に枢動可能に嵌めて設けられる第1枢動孔7521が設けられ、第2爪部753には、第2回転柱713に枢動可能に嵌めて設けられる第2枢動孔7531が設けられる。
【0121】
案内斜め溝は、第1案内斜め溝725及び第2案内斜め溝726を備え、第1案内斜め溝725及び第2案内斜め溝726は、それぞれ制動ロッド72の摺動方向に対して傾斜して設けられ、案内柱は、第1案内柱7523及び第2案内柱7533を備え、第1案内柱7523は、第1爪部752の両端の間に設けられ且つ第1案内斜め溝725に摺動可能に嵌合し、第2案内柱7533は、第2爪部753の両端の間に設けられ且つ第2案内斜め溝726に摺動可能に嵌合する。
【0122】
より具体的には、
図24に示されるように、制動基台76は、主基台761とブラケット715を備え、ブラケット715は、主基台761に取り外し可能に取り付けられ、制動カバープレート77は、主基台761に取り外し可能に取り付けられ、制動爪75は、主基台761に取り付けられ、且つ制動駆動器73は、ブラケット715に取り付けられる。シュート711は、互いに離れているカバープレート部762及びブラケット部分7112を備え、カバープレート部762は、制動カバープレート77に形成され、且つブラケット部分7112は、ブラケット715に形成され、駆動ロッド727は、カバープレート部762に摺動可能に嵌合し、且つ伝動ロッド728は、ブラケット部分7112に摺動可能に嵌合する。
【0123】
それにより、制動ベース71は、別体型に設計され、制動カバープレート77には案内斜め溝が設けられ、ブラケット715には制動駆動器73が取り付けられ、このようにして、制動器7全体の着脱、生産やメンテナンスなどがより容易になる。
【0124】
本発明のいくつかの特定例では、第1案内柱7523の端部には、第1抜け止めヘッド7524が設けられ、第2案内柱7533の端部には、第2抜け止めヘッド7534が設けられ、第1抜け止めヘッド7524は、第1案内斜め溝725からの第1案内柱7523の抜けを止め、第2抜け止めヘッド7534は、第2案内斜め溝726からの第2案内柱7533の抜けを止めることができる。
【0125】
本発明のいくつかの特定実施例では、
図13-
図16及び
図19、
図20に示されるように、制動ロッド72は、駆動ロッド727、伝動ロッド728及び制動圧縮ばね729を備える。
【0126】
駆動ロッド727は、制動爪75に連動し、第1駆動斜め溝721、第2駆動斜め溝722、第1位置制限溝723及び第2位置制限溝724は、すべて駆動ロッド727に設けられる。伝動ロッド728は、制動駆動器73に伝動可能に接続され、且つ駆動ロッド727に掛合される。具体的には、駆動ロッド727には、制動ディスク322に向かう掛合面7271が設けられ、伝動ロッド728には、掛合面7271に掛合されるフック7281が設けられる。制動圧縮ばね729は、駆動ロッド727と伝動ロッド728の間に圧縮される。
【0127】
制動駆動器73は、制動ロッド72が引き込み位置から延出位置へ移動するように駆動する際に、まず、伝動ロッド728を制動ディスク322へ移動駆動し、伝動ロッド728が制動圧縮ばね729を介して駆動ロッド727を押し、駆動ロッド727を制動ディスク322へ移動させ、さらに制動爪75が閉合状態に切り替えられるように駆動する。制動駆動器73は、制動ロッド72が延出位置から引き込み位置へ移動するように駆動する際に、まず、伝動ロッド728を制動ディスク322から離れる方向へ移動駆動し、伝動ロッド728がフック7281を介して掛合面7271を引くことで駆動ロッド727を引き、駆動ロッド727が制動ディスク322から離れる方向へ移動するように駆動し、さらに制動爪75が展開状態に切り替えられるように駆動する。
【0128】
そのほか、制動爪75が閉合状態へ切り替えられる過程に、制動ディスク322の初期位置のため爪歯751と車歯3221が完全に噛み合わない場合、制動駆動器73はさらに動作して、制動圧縮ばね729をさらに圧縮し、制動ディスク322が所定角度だけ回転した後、制動圧縮ばね729の駆動下で、制動爪75は、閉合状態に切り替えられ、且つ爪歯751と車歯3221は噛み合い、即ち、制動圧縮ばね729の設置により爪歯751と車歯3221の完全な噛み合いが確保される。
【0129】
具体的には、
図14及び
図16に示されるように、駆動ロッド727には、取り付けキャビティ7272が設けられ、取り付けキャビティ7272の開口は、伝動ロッド728に向かい、取り付けキャビティ7272には、止め段差7273が設けられる。伝動ロッド728には、断面の形状がシュート711の断面の形状に合わせた摺動ブロック7282が設けられ、それによって、シュート711内を摺動するときの伝動ロッド728の安定性が向上する。制動圧縮ばね729は、伝動ロッド728に嵌めて設けられ、且つ制動圧縮ばね729及び伝動ロッド728は、取り付けキャビティ7272内に伸び、制動圧縮ばね729の一端は、止め段差7273に当接され、制動圧縮ばね729の他端は、摺動ブロック7282に当接され、それによって、制動圧縮ばね729の取り付け及び位置決めが行われる。
【0130】
好ましくは、
図13-
図16及び
図19-
図21に示されるように、制動器7の着脱及びメンテナンスのし易さから、制動ベース71は、メインケース714と、メインケース714に取り外し可能に取り付けられるブラケット715と、を備える。制動爪75は、メインケース714内に取り付けられ、且つ制動駆動器73は、ブラケット715に取り付けられる。
【0131】
シュート711は、互いに離れているケース部分7111とブラケット部分7112を備え、ケース部分7111は、メインケース714に形成され、且つブラケット部分7112は、ブラケット715に形成され、駆動ロッド727は、ケース部分7111に摺動可能に嵌合し、且つ伝動ロッド728は、ブラケット部分7112に摺動可能に嵌合する。
【0132】
本発明のいくつかの特定例では、
図14、
図16、
図19及び
図20に示されるように、制動器7は、制動カム74をさらに備え、制動駆動器73は、モータであり、且つ制動カム74を介して制動ロッド72に伝動可能に接続され、制動カム74は、モータのモータ軸の回転運動をシュート711内の制動ロッド72の直線運動に変換することで、制動器7の正常な作動を確保する。
【0133】
いくつかの例では、制動カム74には、偏心柱741が設けられ、制動ロッド72には、直線摺動溝720に摺動可能に嵌合する直線摺動溝720が設けられる。モータが制動カム74を回転駆動するとき、制動カム74の偏心柱741は偏心して回転し、シュート711による限定のため制動ロッド72はその長さ方向における直線運動しかできないため、偏心柱741は、直線摺動溝720内を摺動するとき、制動ロッド72をシュート711の長さ方向に沿って移動駆動し、回動動作の一貫性に優れて、使用の信頼性が高い。
【0134】
好ましくは、直線摺動溝720は、長さ方向が制動ロッド72の直線運動方向に垂直であり、構造がシンプル且つコンパクトであり、容易に制動カム74に嵌合して上記機能を発揮させる。
【0135】
本発明の別の実施例によれば、ドラム式洗濯機100は、駆動器のパワーを検出するための検出装置(未図示)をさらに備え、検出装置により駆動器のパワーが所定値に達したことが検出されると、制動器7は、第2軸32を介して遊星歯車キャリア611が自由に回転できるように制御し、それによって、撹拌器4と内筒2を同一方向に回転させ、内筒2内の衣類の深刻な絡み合いによる引き裂きを回避し、安全性が高い。
【0136】
図1-
図3に示されるように、本発明の一実施例によれば、ドラム式洗濯機100は、内筒ブラケット201をさらに備え、内筒ブラケット201は、内筒2の後壁に取り付けられ、且つ内筒2の後壁と外槽1の後壁との間にあり、スピンドル31は、内筒ブラケット201を介して内筒2に回動可能に接続され、且つ、外槽1の後壁に回転可能に支持される。つまり、スピンドル31は、内筒2を直接回転駆動するとともに、遊星歯車部材6を介して撹拌器4を回転させることができ、このようにして、遊星歯車部材6が破損しにくくなる。
【0137】
具体的には、内筒2は、軸方向の両端がそれぞれ開口した内筒本体21、及び内筒本体21の後端に設けられた内筒後蓋22を備え、内筒後蓋22の外周縁には、内筒本体21の軸方向に延びている裾部が形成され、内筒本体21の後端が内筒後蓋22の裾部に接続される。内筒ブラケット201は、接続具(たとえば、ネジ)によって内筒本体21と内筒後蓋22の裾部との接続部に固定され、それによって、内筒2は、内筒ブラケット201に固定され、内筒ブラケット201とともに外槽1に対して回転可能になる。
【0138】
いくつかの例では、内筒ブラケット201は、中心軸部2011及びラック部2012を備え、中心軸部2011は、外槽1の軸方向に延びており、外槽1の後壁に回転可能に支持され、ラック部2012は、中心軸部2011の側周壁に接続され、内筒2は、ラック部2012に取り付けられる。
【0139】
好ましくは、内筒ブラケット201のラック部2012は、内筒2の周方向に分布している複数(たとえば3つ)の接続アームを有し、各々の接続アームは、内筒2の径方向に延びており、さらに各々の接続アームの内方端が中心軸部2011の側周壁に接続され、各々の接続アームの外方端が接続具によって内筒2に接続され、複数の接続アームを用いて内筒2に接続することによって、内筒ブラケット201と内筒2の接続信頼性及び安定性を確保できるとともに、内筒ブラケット201の材料の使用量を減少させ、材料コスト及び重量を低下させ、さらに該ドラム式洗濯機100のコストパフォーマンスを向上させる。ただし、ラック部2012と中心軸部2011は、一体に形成されてもよい。
【0140】
いくつかの例では、外槽1の後壁には、取り付け孔11が設けられ、且つ取り付け孔11内には、スピンドルの軸受け台12が設けられ、スピンドル31は、スピンドルの軸受け台12内に設けられるスピンドルの軸受け314により回転可能に支持される。つまり、外槽1の取り付け孔11内には、スピンドルの軸受け台12及びスピンドルの軸受け台12内に取り付けられるスピンドルの軸受け314が設けられ、スピンドル31は、取り付け孔11の軸方向に延び、且つ取り付け孔11内に伸び、スピンドルの軸受け314を介して外槽1の後壁に取り付けられ、それによって、スピンドル31は、外槽1に対して回転可能である。
【0141】
図4及び
図5、並びに
図1、
図21及び
図23に示されるように、いくつかの例では、スピンドル31には、スピンドルブッシュ316が嵌めて設けられ、スピンドルブッシュ316には、スピンドルフランジ315が嵌めて設けられ、内筒ブラケット201は、スピンドルフランジ315に接続され、このため、簡便且つ確実に接続できる。
【0142】
好ましくは、スピンドルブッシュ316は、スピンドル31に嵌めて設けられ、スピンドルフランジ315は、スピンドルブッシュ316に嵌めて設けられ、内筒ブラケット201は、スピンドルフランジ315にキャスティングされ、たとえば、内筒ブラケット201はアルミ鋳物であってもよく、機械加工によりスピンドル31、スピンドルブッシュ316及びスピンドルフランジ315を一体成形してもよく、この場合、ドラム式洗濯機100の生産効率向上に有利である。
【0143】
いくつかの例では、遊星歯車部材6は、部材シール部品641に嵌めて設けられ、部材シール部品641は、遊星歯車部材6とスピンドルフランジ315との間の隙間をシールし、それにより、遊星歯車部材6とスピンドルフランジ315との間の接続シール性が確保される。
【0144】
さらに、遊星歯車部材6の外周壁には、環状制限リングが設けられ、耐摩耗スリーブ642は、遊星歯車部材6に外嵌され、且つ一端が環状制限リングに当接され、且つ、耐摩耗スリーブ642は、遊星歯車部材6と部材シール部品641との間に位置し、部材シール部品641は、環状として耐摩耗スリーブ642に嵌めて設けられ、内面が耐摩耗スリーブ642にシールして接続され、外面がスピンドルフランジ315及び内筒ブラケット201それぞれにシールして接続される。部材シール部品641と遊星歯車部材6の間に耐摩耗スリーブ642が設けられることにより、耐摩耗スリーブ642が部材シール部品641に嵌合し、寸法精度が確保され、耐摩耗性が向上する。
【0145】
図12に示されるように、本発明の一実施例によれば、スピンドル31は、プーリ312に伝動可能に接続され、駆動器は、モータ5であり、且つモータ5は、プーリ312に張られたベルト3121を介してプーリ312を回転駆動し、即ち、ベルト3121はモータ軸51とプーリ312上に巻設されている。それにより、スピンドル31にプーリ312及びベルト3121が設けられることで、ベルト3121を介してスピンドル31と駆動器は、伝動可能に接続され、衝撃や振動による負荷を緩和させ、スピンドル31の動作を安定化させ、且つ作動を低騒音化させる。
【0146】
いくつかの例では、プーリ312、ベルト3121及び駆動器は、いずれも外槽1の外部に位置し、プーリ312は、外槽1の後壁とスピンドル31におけるロックナット313との間に限定される。つまり、プーリ312は、スピンドル31に固定して接続され、且つ外槽1の後壁とロックナット313との間に位置し、ロックナット313の設置により、プーリ312の位置決め及び取り付けが行われ、それにより、駆動器は、ベルト3121を介してプーリ312を回転させ、プーリ312は、スピンドル31を回転させ、プーリ312とスピンドル31の同期回転が実現される。
【0147】
図22及び
図23に示されるように、本発明のまた別の実施例によれば、撹拌器4は、噴水孔41を有し、ドラム式洗濯機100は、給水装置(未図示)をさらに備え、給水装置は、外槽1及び撹拌器4それぞれに連通し、外槽1内の水を撹拌器4に供給して噴水孔41から内筒2に噴出させる。
【0148】
衣類の洗濯中、給水装置は撹拌器4へ給水し、噴水孔41から内筒2内にある衣類へ噴水することで、衣類を濡らして、衣類への濡らし効果を向上させ、また、撹拌器4は内筒2における水を撹拌し、洗濯方式を多様化させ、さらに衣類洗濯効果を向上させるとともに、洗濯時間の短縮に寄与する。
【0149】
いくつかの好適例では、給水装置は、給水ホース及び給水ポンプを備え、給水ホースは、第1端と第2端を有し、給水ホースの第1端は外槽1に連通し、給水ホースの第2端は撹拌器4に接続され、それによって、外槽1内の水が給水ホースを介して撹拌器4に供給される。ここで、「給水ホースの第2端は撹拌器4に接続される」の「接続」は、広義で理解すべきであり、たとえば、給水ホースは撹拌器4に物理的に接続されてもよく、非物理的に接続されてもよく、給水ホースの第2端からの水が撹拌器4に供給できればよい。
【0150】
それによって、外槽1の内腔における水が給水ホースを介して撹拌器4に供給され、衣類を濡らす役割を果たし、衣類への濡らし効果を向上させる。給水装置を外槽1の内腔に連通させることで、別途の水源を必要とせずに外槽1内の洗濯水で衣類を濡らせるので、水の使用量を減少させる。ただし、循環ポンプが設けられたモデルでは、給水ホースの第1端は、洗濯機内の循環水を利用する代わりに、給水源、たとえば外部の蛇口に直接接続されて給水してもよい。
【0151】
いくつかの具体例では、給水ホースの第1端は、外槽1の内腔の底部に連通する。このように、給水ポンプは、外槽1の内腔の底部における水を撹拌器4に圧送することができ、ドラム式洗濯機100が最低水位を有する洗濯モードである場合にも、給水装置は、撹拌器4へ給水することができ、このため、ドラム式洗濯機100のさまざまな洗濯モードでの濡らし効果及び洗濯効果が確保される。
【0152】
いくつかの例では、撹拌器4内には、集水室42及び分流チャンネル43が設けられ、集水室42は給水装置に連通し、噴水孔41は分流チャンネル43を介して集水室42に連通する。撹拌器4内に集水室42及び分流チャンネル43が設けられることにより、給水装置は水を集水室42及び分流チャンネル43に送り、最終的に噴水孔41から内筒2へ噴水させ、衣類を濡らして、衣類への濡らし効果を向上させ、さらに洗濯効果を向上させる。
【0153】
いくつかの例では、内筒2の内部に向かう撹拌器4の表面には、複数のリブ44が設けられ、各々のリブ44は、撹拌器4の径方向に延び、且つ複数のリブ44は、撹拌器4の周方向に間隔を空けて設けられ、噴水孔41は、リブ44に形成されている。衣類を洗濯する際に、噴水孔41は内筒2の内腔へ噴水し、さらにリブ44は内筒2中の水に渦流を発生させて、衣類を回転、反転させ、それにより衣類の洗濯効果を向上させる。
【0154】
いくつかの具体例では、撹拌器4は、パルセータであり、即ち、該ドラム式洗濯機100の内筒2の底部には、パルセータが設けられる。衣類の洗濯中、衣類を内筒2において繰り返して持ち上げたり落としたりすることで、衣類をきれいに洗濯し、また、パルセータの作用下で、本出願に係るドラム式洗濯機100は、従来のようにビートにより洗濯する(内筒だけが回動する)ことに加えて、パルセータによる衣類への揉み作用を追加し、さらに洗濯効果を高めて、洗濯時間を短縮させる。
【0155】
図1及び
図23に示されるように、別の好適例では、第2軸32内には、給水通路320を有し、給水装置は、給水通路320を介して外槽1内の水を撹拌器4に供給する。第2軸32内に給水通路320が設けられることは、第2軸32に水送り機能を付与し、それにより、外槽1内の洗濯水は、給水装置で第2軸32の給水通路320に送られて、最終的に噴水孔41から外槽1内に噴出される。
【0156】
いくつかの例では、外槽1まで延出する第2軸32の一端には、アダプター323が設けられ、給水装置は、アダプター323を介して第2軸32に連結される。外槽1まで延出する第2軸32の一端には、アダプター323が設けられ、それにより、給水通路320の給水端がシールされ、外槽1内の水は、給水装置で給水通路320に送られる。
【0157】
いくつかの具体例では、アダプター323は、外槽1まで延出する第2軸32の一端に外嵌され、且つアダプター323と第2軸32との間には、アダプター軸受け3231が設けられ、アダプター軸受け3231の内輪は、第2軸32に固定して接続され、アダプター軸受け3231の外輪は、アダプター323に固定して接続され、アダプター軸受け3231は、並べて配置された2つのボール軸受けであってもよいし、1つのローラ軸受けであってもよい。それにより、第2軸32及びアダプター323は、アダプター軸受け3231を介して回動可能に接続される。
【0158】
本発明のいくつかの特定実施例では、
図19及び
図21に示されるように、制動ベース71のメインケース714には、逃し孔716が設けられ、第2軸32は、逃し孔716を貫通し、アダプター323は、逃し孔716に嵌合するとともに、制動ディスク322の外側に位置し、それによって、制動ベース71の逃し孔716を利用してアダプター323を取り付けて位置決めすることができる。
【0159】
具体的には、逃し孔716の内周面には、回転止め溝7161が設けられ、アダプター323の外周面には、回転止め凸起3232が設けられ、回転止め凸起3232が回転止め溝7161に嵌合することにより、アダプター323の周方向においてアダプター323が制限され、逃し孔716内のアダプター323の回動が回避される。
【0160】
さらに、アダプター323に対する周方向限定効果をさらに向上させるために、回転止め溝7161は、逃し孔716の周方向に間隔を空けて設けられ、たとえば等間隔で設けられる複数である。回転止め凸起3232は、アダプター323の周方向に間隔を空けて設けられ、たとえば等間隔で設けられる複数である。複数の回転止め凸起3232は、複数の回転止め溝7161に1対1で対応するように嵌合する。
【0161】
本発明のいくつかの特定例では、
図19、
図21及び
図23に示されるように、制動ベース71のメインケース714には、制動ベース71の軸方向において外へ延びている軸方向係合フック7162が設けられ、アダプター323には、軸方向係合ボス3233が設けられ、軸方向係合フック7162は、軸方向係合ボス3233に掛合される。それによって、アダプター323の軸方向においてアダプター323を位置決めし、第2軸32からのアダプター323の脱落を防止できる。
【0162】
さらに、アダプター323に対する軸方向制限効果をさらに向上させるために、軸方向係合ボス3233は、アダプター323の周方向に間隔を空けて設けられ、たとえば等間隔で設けられる複数である。軸方向係合フック7162は、逃し孔716の周方向に間隔を空けて設けられ、たとえば等間隔で設けられる複数である。複数の軸方向係合フック7162は、複数の軸方向係合ボス3233に1対1で対応するように掛合される。回転止め凸起3232及び軸方向係合ボス3233は、アダプター323に対する周方向制限力及び軸方向制限力を均等に分布させ、アダプター323の安定性及び和信頼性をさらに向上させるために、アダプター323の周方向において交互して間隔を空けて設けられてもよい。
【0163】
好ましくは、
図21に示されるように、アダプター323には、軸方向係合ボス3233及び軸方向係合フック7162を遮蔽する遮蔽カバー3234が設けられ、遮蔽カバー3234と軸方向係合ボス3233は、数が同じであるとともに、位置が1対1で対応する。
【0164】
本発明のいくつかの特定実施例では、
図21及び
図23に示されるように、アダプター323の着脱し易さから、アダプター323は、アダプタベース3235及びアダプタカバー3236を備える。
【0165】
アダプタベース3235は、アダプター軸受け3231によって外槽1まで延出する第2軸32の一端に嵌めて設けられる。アダプタカバー3236は、アダプタベース3235に取り外し可能に取り付けられ、且つ前記給水装置に連結される。各々の回転止め凸起3232は、2つの部分から構成され、一方の部分は、アダプタベース3235に形成される一方、他方の部分は、アダプタカバー3236に形成される。軸方向係合ボス3233は、アダプタベース3235に形成され、遮蔽カバー3234は、アダプタカバー3236に形成される。
【0166】
本発明のいくつかの特定例では、
図21に示されるように、アダプタカバー3236は、コネクタファスナー(未図示、たとえばボルト、ネジ等)によりアダプタベース3235に締め付けられる。該コネクタファスナーは、回転止め凸起3232の箇所に取り付けられてもよく、回転止め凸起3232におけるアダプタカバー3236及びアダプタベース3235の部分は、いずれもコネクタファスナーを取り付けるための取り付け孔が設けられる。
【0167】
さらに、
図23に示されるように、第2軸32には、コネクタシールリング3237が嵌めて設けられ、コネクタシールリング3237は、第2軸32とアダプタカバー3236との間の隙間及びアダプタカバー3236とアダプタベース3235との間の隙間をシールする。それによって、アダプター323に入った水のほかの給水通路320の部位、たとえばスピンドル31などへの侵入を回避し、防水性を向上させて、性能の信頼性を確保する。
【0168】
いくつかの例では、第2軸32には、軸シール部品325が嵌めて設けられ、軸シール部品325は、第2軸32に設けられ且つ第2軸側軸受け3212の外側に位置し、即ち、軸シール部品325は、第2軸側軸受け3212よりも第2軸32の軸方向の中心に遠くなり、軸シール部品325は、第2軸32と遊星歯車ケース62との間の隙間をシールし、第2軸32の給水通路320内の水が第2軸32と遊星歯車ケース62との隙間を通ってスピンドル31のキャビティ311及び遊星歯車部材6に侵入することを防止する。
【0169】
以下、
図1-
図23を参照しながら、本発明によるドラム式洗濯機100のいくつかの特定実施例を詳細に説明する。
【0170】
図1、
図21及び
図23に示されるように、本発明の一特定実施例によるドラム式洗濯機100は、外槽1、内筒2、スピンドル31、第2軸32、駆動器(たとえば下記モータ5)、遊星歯車部材6、制動器7を備える。
【0171】
外槽1は、前後方向に延びており且つ先端が開口し、後壁には、その厚さ方向に沿って貫通する取り付け孔11が設けられ、取り付け孔11内には、その軸方向に延びているスピンドルの軸受け台11が設けられる。
【0172】
スピンドル31は、前後方向に延びており、且つその軸方向に延びているキャビティ311を有し、スピンドル31は、間隔を空けて配置された2つのスピンドルの軸受け314を介してスピンドルの軸受け台11内に挿通される。外槽1の後壁内面まで延出するスピンドル31の一端(
図1に示される先端)は、内筒ブラケット201に固定して接続され、外槽1の後壁外面まで延出するスピンドル31の一端(
図1に示される後端)には、ロックナット313が接続され、ロックナット313とスピンドル31の後壁外面との間には、ベルト3121を取り付けるためのプーリ312が設けられ、プーリ312は、ベルト3121を介してモータ5のモータ軸51に伝動可能に接続される。
【0173】
内筒2は、内筒本体21及び内筒後蓋22を備え、内筒本体21は、外槽1の軸方向に延びており且つ両端が開口し、内筒後蓋22は、内筒本体21の後端にシールして接続され、内筒2は、内筒ブラケット201を介して外槽1に回転可能に取り付けられる。内筒ブラケット201は、中心軸部2011、及び中心軸部2011の外側壁に接続されるラック部2012を備え、内筒2は、ラック部2012に支持され、中心軸部2011は、外槽1の後壁に回転可能に支持される。
【0174】
第2軸32は、その軸方向において間隔を空けて設けられた少なくとも2つの第2軸の軸受け3211を介してスピンドル31のキャビティ311に挿通される。第2軸32の両端は、それぞれスピンドル31の両端外まで延出し、スピンドル31外まで延出する第2軸32の一端(
図1に示される先端)は、第2軸側軸受け3212によって遊星歯車部材6と嵌合し、遊星歯車部材6と第2軸31の間には、第2軸側軸受け3212の外側に位置する軸シール部品325がさらに設けられ、それによって、遊星歯車部材6と第2軸31は、シールして接続される。スピンドル31外まで延出する第2軸32の他端(
図1に示される後端)には、制動ディスク322が取り付けられる。
【0175】
撹拌器4は、内筒2の底部に回転可能に設けられ、且つ遊星歯車部材6(たとえば下記遊星歯車ケース62)に嵌合する。
【0176】
以下、本発明の実施例のドラム式洗濯機100の遊星歯車部材6を詳細に説明する。
【0177】
遊星歯車部材6は、遊星歯車ユニット61、遊星歯車ケース62及び遊星歯車軸受け63を備える。遊星歯車ケース62は、貫通孔622を有し、遊星歯車ユニット61は、遊星歯車ケース62内に設けられ、遊星歯車軸受け63は、遊星歯車ケース62内に設けられ、且つ貫通孔622と反対する遊星歯車ケース62の一側に位置し、遊星歯車軸受け63は、遊星歯車ケース62内の後部に設けられる。
【0178】
遊星歯車ユニット61は、遊星歯車キャリア611、3つの遊星歯車612及び遊星歯車ハウジング613を備える。遊星歯車キャリア611は、遊星歯車ブラケット6111、遊星歯車固定ディスク6116を備える。遊星歯車ブラケット6111の一側には、複数の取り付けボス6112、複数の遊星歯車取り付けベース6114が設けられ、複数の取り付けボス6112及び複数の遊星歯車取り付けベース6114は、遊星歯車キャリア611の周方向に交互して配置され、各々の遊星歯車取り付けベース6114には、遊星歯車固定軸6115が設けられ、遊星歯車固定軸6115は、一端が遊星歯車取り付けベース6114内に配置され、他端が遊星歯車固定ディスク6116において嵌合に適した制限孔6118内に設けられて、遊星歯車612の取り付けに用いられ、各々の取り付けボス6112には、位置決めカラム6113が設けられ、遊星歯車固定ディスク6116には、位置決めカラム6113と嵌合する位置決め孔6117が設けられ、位置決め孔6117に位置決めカラム6113が溶接されること、又は位置決めカラム6113と位置決め孔6117の締まり嵌めによって、遊星歯車固定ディスク6116は、遊星歯車ブラケット6111に接続される。3つの遊星歯車612は、遊星歯車キャリア611に取り付けられ、且つそれぞれ遊星歯車ハウジング613と噛み合う。
【0179】
遊星歯車ユニット61の遊星歯車ハウジング613には、外面へ凸出したフランジ6131が設けられ、遊星歯車ケース62の内面には、フランジ6131に嵌合する係合溝621が設けられ、それによって、遊星歯車ハウジング613及び遊星歯車ケース62は固定して接続される。
【0180】
遊星歯車部材6は、第2軸側軸受け3212を介して第2軸32に回転可能に嵌合する。遊星歯車部材6は、遊星歯車軸受け63を介してスピンドル31に回転可能に嵌合する。具体的には、スピンドル31には、スピンドルブッシュ316が嵌めて設けられ、スピンドルブッシュ316には、内筒ブラケット201に接続されるスピンドルフランジ315が設けられ、遊星歯車部材6の外部には、耐摩耗スリーブ642が嵌めて設けられ、耐摩耗スリーブ624には、部材シール部品641が設けられ、部材シール部品641は、遊星歯車部材6と内筒ブラケット201、遊星歯車部材6とスピンドルフランジ315をシールして接続する。
【0181】
以下、本発明の実施例によるドラム式洗濯機100の制動器7を詳細に説明する。
【0182】
制動器7は、外槽1の後部に設けられ、制動ディスク322、制動ベース71、制動爪75、制動ロッド72、制動駆動器73及び制動カム74を備える。
【0183】
制動ベース71は、外槽1の後壁に取り付けられ、制動ロッド72は、延出位置と引き込み位置との間で摺動可能にシュート711に嵌合する。制動ロッド72は、駆動ロッド727、伝動ロッド728及び駆動ロッド727と伝動ロッド728の間に圧縮される制動圧縮ばね729を備える。
【0184】
制動ロッド72は、延出位置にあるとき、制動爪75を閉合状態に切り替えて制動ディスク322を抱き締めるように制動爪75に作用する。制動ロッド72は、引き込み位置にあるとき、制動爪75を展開状態に切り替えて制動ディスク322を解放するように制動爪75に作用する。
【0185】
制動カム74は、制動ベース71に取り付けられ、且つ偏心柱741を有し、制動駆動器73は、制動カム74を回転駆動することで、偏心柱741を偏心して回転させ、偏心柱741は、伝動ロッド728の直線摺動溝720に嵌合して、制動ロッド72が直線運動を有するように駆動する。
【0186】
本発明の別の特定実施例によれば、外槽1の後壁まで延出する第2軸32の一端には、給水装置に接続するためのアダプター323が設けられ、アダプター323のアダプタベース3235は、アダプター軸受け3231を介して第2軸32に外嵌され、且つ第2軸32には、コネクタシールリング3237がさらに外嵌され、コネクタシールリング3237は、アダプター軸受け3231の外側に位置する。
【0187】
さらに、第2軸32内には、その軸方向に延びている給水通路320を有し、給水通路320の一端はアダプター323に連通し、給水通路320の他端は撹拌器4に連通する。撹拌器4は、給水通路320に連通するための集水室42、リブ44により画定された分流チャンネル43及びリブ44に設けられる噴水孔41を有する。
【0188】
給水装置は、給水ホース及び給水ポンプを備え、給水ホースの第1端は外槽1に連通し、給水ホースの第2端は給水通路320に連通し、給水ポンプは、給水ホースに設けられ、給水ポンプの作動時に、外槽1内の水を給水ホース、給水通路320を介して撹拌器4に送る。
【0189】
以下、本発明の実施例によるドラム式洗濯機100の作動過程を詳細に説明する。
【0190】
ドラム式洗濯機100が洗濯モードで運転する場合、制動駆動器73は、制動ロッド72が延出位置まで移動するように駆動し、制動爪75は、閉合状態に切り替えられて、制動ディスク322を抱き締めてロックし、第2軸32を移動不能にし、遊星歯車部材6の遊星歯車キャリア611と第2軸32がスプライン構造を介して嵌合するため、遊星歯車キャリア611も固定され、遊星歯車キャリア611に設けられた複数の遊星歯車612は自転しかできない。
【0191】
次に、モータ5は作動して、ベルト3121を介してプーリ312を順方向に回転させ、さらにスピンドル31、内筒2を順方向に回転するように駆動し、スピンドル31は、複数の遊星歯車612と噛み合い、スピンドル31は、回転するときに複数の遊星歯車612を同時に自転させ、さらに遊星歯車ハウジング613を反対方向に回転させ、遊星歯車ハウジング613が遊星歯車ケース62に接続され、遊星歯車ケース62が撹拌器4に接続されるため、スピンドル31は、遊星歯車部材6を介して撹拌器4を反対方向に回動させる。
【0192】
この過程において、衣類を内筒2において繰り返して持ち上げたり落としたりすることで、衣類をきれいに洗濯し、また、撹拌器4の作用下で、本出願に係るドラム式洗濯機は、従来のようにビートにより洗濯する(内筒だけが回動する)ことに加えて、パルセータによる衣類への摩擦揉み作用を追加し、さらに洗濯効果を高めて、洗濯時間を短縮させる。
【0193】
撹拌器4が噴水孔41を有する場合、給水ポンプは、第2軸2の給水通路320、又は給水ホースを介して撹拌器4へ給水し、噴水孔41から内筒2内の衣類へ噴水させ、衣類を濡らす役割を果たし、衣類への濡らし効果を向上させ、衣類の洗濯効果をさらに向上させる。
【0194】
ただし、ドラム式洗濯機100が洗濯モードである場合、遊星歯車部材6は、スピンドル31の順方向回転を撹拌器4の反対方向回転に伝達し、また、遊星歯車部材6がスピンドル31に伝動可能に接続されるため、スピンドル31を減速させて、撹拌器4の回転速度をスピンドル31の回転速度よりも低くすることができる。ここで「順方向回転」と「反対方向回転」は、相対的な表現であり、具体的な反時計回り又は時計回り回転方向を意味するわけではない。
【0195】
ドラム式洗濯機100が脱水モードで運転する場合、制動駆動器73は、制動ロッド72が引き込み位置まで移動するように駆動し、制動爪75は、展開状態に切り替えられて、制動ディスク322を解放して制動ディスク322に対する抱き締めを解除し、第2軸32を自由状態にする。
【0196】
次に、モータ5は、ベルト3121を介してプーリ312を順方向に回転させ、スピンドル31、内筒2を順方向に回転させ、次にスピンドル31は、遊星歯車ユニット61を同一方向に回動させ、さらに遊星歯車ケース62を撹拌器4及び内筒2と同一の方向に同一速度で回転させる。
【0197】
本発明の実施例によるドラム式洗濯機100では、駆動器が設けられることによって、駆動器がスピンドル31を介して内筒2を駆動し、動力伝達の段数がさらに減少し、動力伝送がさらに直接行われ、内筒2の運転がより安定的になり、一方、スピンドル31と撹拌器4との間に遊星歯車部材6が設けられ、遊星歯車部材6を利用してスピンドル31のトルクが撹拌器4に伝達され、撹拌器4での負荷が内筒2での負荷よりはるかに小さいので、パルセータを備える関連技術におけるドラム式洗濯機に比べて、遊星歯車部材6に作用する負荷が大幅に減少し、遊星歯車部材6が破壊されるリスクを大幅に低減させ、ドラム式洗濯機100の耐用年数を延ばす。
【0198】
本発明の実施例によるドラム式洗濯機100の残りの構成及び操作は、当業者にとって公知するものであるため、ここで詳しく説明しない。
【0199】
本明細書の説明において、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例示的な実施例」、「例」、「特定例」、又は「いくつかの例」などの説明は、この実施例又は例にて説明される具体的な特徴、構造、材料又は特点は、本発明の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語に対する例示的な説明は、同一の実施例又は例を指すとは限らない。さらに、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特点は、任意の1つ又は複数の実施例又は例において適切な方式で組み合わせることができる。
【0200】
本発明の実施例を示して説明したが、当業者にとって明らかなように、本発明の原理及び趣旨から逸脱することなく、これら実施例に対してさまざまな変化、修正、置換及び変形をすることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその等同物により限定される。
【符号の説明】
【0201】
1 外槽
11 取り付け孔
12 スピンドルの軸受け台
2 内筒
100 ドラム式洗濯機
201 内筒ブラケット
2011 中心軸部
2012 ラック部
21 内筒本体
22 内筒後蓋
31 スピンドル
311 キャビティ
312 プーリ
3121 ベルト
313 ロックナット
314 スピンドルの軸受け
315 スピンドルフランジ
316 スピンドルブッシュ
32 第2軸
320 給水通路
3211 第2軸の軸受け
3212 第2軸側軸受け
322 制動ディスク
3221 車歯
323 アダプター
3231 アダプター軸受け
3232 回転止め凸起
3233 軸方向係合ボス
3234 遮蔽カバー
3235 アダプタベース
3236 アダプタカバー
3237 コネクタシールリング
325 軸シール部品
4 撹拌器
41 噴水孔
42 集水室
43 分流チャンネル
44 リブ
5 モータ
51 モータ軸
6 遊星歯車部材
61 遊星歯車ユニット
611 遊星歯車キャリア
6111 遊星歯車ブラケット
6112 取り付けボス
6113 位置決めカラム
6114 遊星歯車取り付けベース
6115 遊星歯車固定軸
6116 遊星歯車固定ディスク
6117 位置決め孔
6118 制限孔
612 遊星歯車
613 遊星歯車ハウジング
6131 フランジ
62 遊星歯車ケース
621 係合溝
622 貫通孔
63 遊星歯車軸受け
641 部材シール部品
642 耐摩耗スリーブ
7 制動器
71 制動ベース
711 シュート
7111 ケース部分
7112 ブラケット部分
712 第1回転柱
713 第2回転柱
714 メインケース
715 ブラケット
716 逃し孔
7161 回転止め溝
7162 軸方向係合フック
72 制動ロッド
721 第1駆動斜め溝
722 第2駆動斜め溝
723 第1位置制限溝
724 第2位置制限溝
725 第1案内斜め溝
726 第2案内斜め溝
727 駆動ロッド
7271 掛合面
7272 取り付けキャビティ
7273 止め段差
728 伝動ロッド
7281 フック
7282 摺動ブロック
729 制動圧縮ばね
720 直線摺動溝
73 制動駆動器
74 制動カム
741 偏心柱
75 制動爪
751 爪歯
752 第1爪部
7521 第1枢動孔
7522 第1駆動柱
7523 第1案内柱
7524 第1抜け止めヘッド
753 第2爪部
7531 第2枢動孔
7532 第2駆動柱
7533 第2案内柱
7534 第2抜け止めヘッド
76 制動基台
761 主基台
762 カバープレート部
77 制動カバープレート